ロシア侵攻でウクライナ市民は暗号化メッセンジャー、オフライン地図、ツイッターを積極利用

ウクライナの人々はロシアによる侵攻を受けて、オフラインで使える地図アプリや暗号化されている通信アプリに目を向けている。侵攻により、数百万の人々が家を離れ、抗戦するか近隣諸国に逃れている。アプリストア分析企業Apptopiaのデータによると、ここ数日、ウクライナの人々はTwitterやストリーミングラジオアプリなど、最新のニュースや情報を入手できるさまざまなコミュニケーションアプリやオフライン地図などをダウンロードしている。

現在、同国のiOS App Storeでは、プライベートメッセンジャーのSignal、メッセージングアプリのTelegram、Twitter、オフラインメッセンジャーのZelloやBridgefyがトップ5にランクインしている。その他トップ10にはWhatsApp、そしてオフライン地図アプリのMaps.Meが入っている。Maps.MeはGoogle Mapsよりも6つ上にランクインしていて、Google Mapsは現在、リアルタイムの交通状況(セキュリティリスクとされる情報)の提供を停止している。そしてSpaceXのStarlinkアプリが入っていて、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が衛星インターネットサービスが現在ウクライナで利用できるようになっていると発表してから39ランクアップした(もちろん、このサービスが必要とされる場所で実際にどの程度利用可能であるかは、今後のアプリの順位に反映されるかもしれない)。

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メッセージングアプリの上位に入っているものの中で、より多く採用されたアプリがいくつかある。

2022年2月24日のロシアの侵攻開始から2月27日までの間、Telegramの新規インストール数はApp StoreとGoogle Play合計で5万4200回とトップで、1月の同時期から25%増加した。一方、オフラインメッセージングアプリのBridgefyは、新規インストール数の増加率が最も高く、1月同時期にわずか591回だったダウンロードが、ここ数日で2万8550回と、前月比で4730.8%増という大幅な伸びを記録した。

同じくトランシーバーアプリのZelloは、1月24~27日のダウンロード1万2540回から、2月24~27日は2万4990回へと99.3%増加した。Signalの増加率は20.6%と控えめだが、1月の同期間のインストールは3万9780回、ここ数日では4万7990回とかなり強力な採用を誇っている。

もちろん、セキュリティに関しては、すべてのメッセージングアプリが同じように作られているわけではない。

Signalは最も安全なアプリで、エンド・ツー・エンドの暗号化を提供し、アカウント作成日以降のデータは収集されない。一方、Telegramはデフォルトではエンド・ツー・エンドの暗号化を提供していないが、ユーザーが暗号化された「秘密のチャット」機能を手動で有効にすることができる。ただし、TelegramはSignalの創業者Moxie Marlinspike(モクシー・マーリンスパイク)氏から、主張するほど安全ではないとの批判を受けており、その主張は長年にわたり他のセキュリティ研究者や暗号技術者などによっても支持されている

マーリンスパイク氏は最近Twitterで、Telegramが安全でないことをウクライナの人々に再び注意喚起し、Telegramはデフォルトで、誰もがこれまでに送受信したすべてのメッセージのプレーンテキストのコピーを持つクラウドデータベースになっているとツイートしている。

トランシーバーアプリのZelloは、1対1およびグループでの会話をエンド・ツー・エンドで暗号化しているとされているが、同社が2020年にセキュリティ侵害に直面していたことは注目に値する。Bluetoothとメッシュネットワークのルーティングに依存する人気の抗議アプリBridgefyも、過去数年にわたり数々のセキュリティ問題に直面してきた。このアプリは香港、インド、イラン、レバノン、ジンバブエ、米国での抗議活動の際に利用者が急増したが、2020年には深刻な脆弱性が見つかり、「プライバシー災害」と呼ばれることになった。

その後、エンド・ツー・エンドの暗号化のサポートを展開したものの、2021年にアプリを分析した暗号技術者は、それらの修正が不十分であることを発見した

メッセンジャー以外のアプリで、ここ数日ウクライナで急増しているのは、ストリーミングラジオとTwitterのアプリだ。

通常、TwitterはiOSのNewsカテゴリで1位だが、総合順位は90位から130位程度に落ち着いている。しかし、2月27日時点で、ウクライナのiOS App Store総合チャートでは前日から2ランクアップして4位、Google Playでは15ランクアップして28位となった。2月27日にTwitterはiOSとAndroidで約7000回ダウンロードされ、これは1日のダウンロード数としては過去最多だ。

画像クレジット:Apptopia ウクライナのアプリストア 2022年2月27日

ストリーミングラジオアプリのRadios UkraineとSimple RadioはApp Storeでも順位を上げ、現在それぞれ19位と21位につけている(Facebookが20位で、その間に入っている)。

Google Playのウクライナのトップチャートは、少し様子が違う。

Signal、Bridgefy、Telegram、Zelloもトップ5に入っているが、エンド・ツー・エンドの暗号化を提供するAndroid専用のピア・ツー・ピアメッセンジャーBriarもランクインしている。オフライン地図アプリのMaps.Meは11位、Two Wayとシンプルな名前の別の双方向トランシーバーアプリは15位で、WhatsAppがそれに続く。

ウクライナのGoogle Playストア、2022年2月27日(画像クレジット:Apptopia)

両アプリストアとも、多くのゲームがトップチャートにランクインしている。家族が急場しのぎの防空壕に隠れたり、安全な場所まで長距離移動する間に、子どもたちを楽しませるためにダウンロードされたようだ。

世界の他の場所では、ロシア・ウクライナ戦争が他のアプリをチャート上位に押し上げている、とApptopiaは指摘する。

米国では、ニュースアプリのCNNとFox Newsがここ数日で急上昇し、ワシントンポストでは、国家間の緊張が高まる中、2月19日の侵攻に先立って1日のインストール数が過去最高(1万5000回)を記録した。

画像クレジット:Apptopia 米国ユーザーのニュースアプリダウンロード数

そして今、ロシアがニュースやソーシャルメディアへのアクセスを遮断したことで、VPNアプリの需要が高まっている。Apptopiaの調べによると、ロシアが国内でFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアアプリへのアクセスを制限し始めた後、VPNアプリのトップ5は1日のダウンロード数が大幅に増加し、ユーザーは通常よりも1日に数万回多くVPNアプリをダウンロードした。しかし、ロシアの人々は、VPNが必ずしもセキュリティに優れているわけではないことに注意する必要がある。VPNプロバイダーは、インターネットトラフィックをISP(インターネットサービスプロバイダー)以外の誰かにルーティングするだけなので、セキュリティは、VPNプロバイダーをどれだけ信頼できるかに左右される。

急増するVPNアプリのダウンロード(画像クレジット:Apptopia)

画像クレジット:Anna Fedorenko / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ウクライナ侵攻のなか、ロシア政府がアップル・Metaなど米ハイテク大手に検閲圧力を強化

ロシアのウクライナ侵攻が続くなか、ロシア政府がアップルやGoogle、Twitterなどハイテク大手に現地オフィスを開設するよう義務づける法律を遵守するよう迫り、検閲キャンペーンを強化していると報じられています。

米The New York Timesによると、ロシア当局は「アップルをはじめとした企業に対し、国内に法人を設立することを義務付ける法律を遵守するよう警告した」とのことです。この通称「上陸法( landing law/現地に拠点を作らせるため)」により、企業や従業員がロシアの法制度や政府の検閲官の要求に対してより脆弱になる、との法律の専門家や市民団体のコメントも紹介されています。

この「上陸法」は2021年7月に、プーチン大統領が署名して成立したものです。それに基づき11月には対象となる企業のリストと、ロシアの要件を満たすため具体的に何をすべきかが明らかにされていました

ちなみにロシア当局は7月に、野党指導者ナワリヌイ氏が構想した選挙支援アプリにつき、アップルとGoogleにアプリストアから削除するように要請。さらに両社に対してアプリを削除しないと罰金を科すと脅したとの報道もありました

さてNYTによれば、今回の動きは「海外ハイテク企業に対するロシアの圧力キャンペーンの一部」とのことです。ロシア当局は罰金や(従業員の)逮捕、インターネット・サービスの遮断や速度制限の可能性をちらつかせ、クレムリン派(プーチン支持派)のメディアはそのままにして、ネット上の好ましくない素材を検閲するように企業に働きかけている、と伝えられています。

アップルはどう対応したかと言えば、すでに今月初めにモスクワにオフィスを開設して「上陸法」を遵守しているとの報道もあります。またウクライナ副首相がティム・クックCEOに対してロシア国内におけるアップル製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請しましたが、記事執筆時点ではクックCEOからの反応は確認されていません。

その一方で、Facebookの親会社であるMetaはウクライナ侵攻に際して、ロシア国営メディアが広告収入を得ることを禁止し、ファクトチェックを厳格にしていくとの対応を発表。これをロシア側は違法と主張し、同社のSNSへのアクセスを制限したことを明らかにしています。

ふだんアップルはプライバシーを基本的な人権の1つと呼び、ユーザー行動の追跡に基づくターゲティング広告が収益源のMetaおよびFacebookはその反対勢力と見られている印象があります。が、今回に限っては立場が逆転している感もあり、アップルに対して欧米の世論からの批判が高まるのかもしれません。

(Source:The New York Times。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

ツイッターがロシア国営メディアにリンクするツイートを特別にマーク、リーチの制限狙い

Twitter(ツイッター)は米国時間2月28日、ロシア政府がウクライナへの侵攻を続けていることを踏まえ、ロシア政府と結びついた偽情報の拡散を防ぐための新たな措置を発表した。

同社は、ロシア政府とつながりを持つメディアからのリンクを含むツイートに、その関連性を示すラベルを追加することを開始する。このラベルにはオレンジ色の感嘆符が付き、Twitterユーザーに「stay informed(情報に注意 / 情報源を知りましょうという意)」と警告している。

Twitterはまた、これらのニュース組織が幅広いオーディエンスにリーチする能力を弱めるため、プラットフォーム上でロシア国営メディアの可視性を低下させることを開始する予定だ。

ロシア政府とつながりのあるツイートに対する変更は、直ちに展開される。Twitterによると、今後数週間のうちに、他の「政府系メディアアカウント」についても同様のラベルを追加する予定だという。

「ロシアのウクライナ侵攻に関して、人々がTwitterで信頼できる情報を探している中、当社は自分たちの役割を理解し、真剣に受け止めています」とTwitterのサイトインテグリティ責任者であるYoel Roth(ヨエル・ロス)氏はツイートで述べている。「我々の製品は、あなたが見ているコンテンツの背後に誰がいるのか、そして彼らの動機や意図が何であるかを簡単に理解できるようにするべきです」とも。

Twitterは2年前に国営メディアのアカウントにラベルを付け始めたが、これらのタグはアカウントのプロフィールページに表示され、ツイート自体のラベルほどには目につかない。

同社は政府系メディアのアカウントによる広告を許可していない。これは、中国政府とつながりのある多数のアカウントが香港での抗議デモに関するプロパガンダを拡散したことを受けて、2019年に実施した変更だ。

ロス氏は、ロシアのウクライナ侵攻が始まった数日前から、ロシア政府系のメディアにリンクするツイートが1日4万5千件以上見られるようになったと付け加えた。同氏はこの新しいラベルを、Twitter上の会話に「有用なコンテキストを加える」方法であり、グローバルな選挙やパンデミックに関するツイートで同社が行っている取り組みと一致するもの、と位置付けた。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Den Nakano)

ツイッター、ロシアの軍事的脅威に関するオープンソース情報を共有するアカウントを復活

Twitterは、ロシアの軍事活動の詳細を共有している多くのアカウントを米国時間2月23日に誤って削除したことを公表した。

Bellingcat(ベリングキャット)の調査員Aric Toler(アリック・トーラー)氏が23日朝に、Twitterユーザー@667_mancerがオフラインになった後、これらの間違って停止されたアカウントへの注意を呼びかけた。最近、ウクライナによる攻撃というロシア政府の主張を否定したオープンソースインテリジェンス(OSINT)のアカウントも同時期に停止され、この地域から画像やその他のデータを共有するフランス語のアカウントも停止された。

過去8年間、ドンバスからのユーザー生成コンテンツで最良のアグリゲーターだった彼のアカウントが停止/ロックアウトされている。もしツイッターの誰かがこれを読んでいるなら、魔法の杖か何かを振って、彼を復帰させてほしい。

24時間の間に2回も締め出されたが、また戻ってきた。1度目は「破壊工作とガス攻撃の失敗」を否定する投稿で、2度目は「ウクライナのロシアへの攻撃」を否定する投稿で、だ。

大量報道の結果としてOSINTアカウントが立て続けに停止されたと主張するTwitterユーザーもいたが、同社は2月23日に過失を認める発言をしている。

「我々は、我々のポリシーに違反する新たなシナリオを積極的に監視してきた。そしてこの例において、我々は間違って多くのアカウントに強制措置を取った。我々は迅速にこれらの行動を検討、すでに積極的に影響を受けたアカウントの数にアクセスを復活させている」とTwitterはTechCrunchへの声明の中で説明している。

さらにTwitterは、アカウントが「組織的なボットキャンペーン」や「大量の報告」のために停止されたとする報道は正確ではないと付け加えた。同社のSite Integrityの責任者、Yoel Roth(ジョエル・ロス)氏はツイートで、同社の人間的なモデレーションチームが、「操作されたメディア」として知られる一般的で潜在的に危険なかたちの誤報であり、誤解を招くような変更された写真やビデオを積極的に検出して削除しようとした結果、今回のミスが発生したと説明している。

我々は詳細に調査しているが、大量報道は今回の要因ではない。

操作されたメディアに積極的に対処するための活動の一環として、少数のヒューマンエラーが発生したため、これらの不正な強制が発生してしまった。我々は問題を解決し、影響を受けた人々に直接連絡を取っている。

OSINTのアナリストやその他の誤情報調査員たちは、それらの嘘を暴く目的で、爆発したクルマやおかしな変造ナンバープレート、プーチンの時間表示のおかしい会議の写真といった偽造写真や動画などをよく共有している。ウクライナの状況を不正確に表現するロシアのプロパガンダの蔓延により、それらをやり取りする機会も増えている。

2010年代に登場したOSINTは、紛争の報道や誤情報のリアルタイムの暴露などのための重要なツールだ。このようなデータの収集は以前ならもっと高いレベルのリソースを必要としたが、ソーシャルメディアの急増と、簡単に衛星画像が手に入れられるようになったことで、オンラインのOSINTグループが、世界中で各国政府が行っているをリアルタイムで追えるようになった。

OSINTの仕事をしている著名な組織であるBellingcatは、ロシアの腐敗撲滅運動家Alexei Navalny(アレクセイ・ナワリヌイ)氏の暗殺未遂や、マレーシア航空第17便の攻撃など、あらゆる事件を調べてきた。

画像クレジット:Brendan Hoffman/Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ジャック・ドーシーが去った今、ツイッターがイーサリアムの投げ銭をサポート

Twitter(ツイッター)のファウンダーで前CEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は、敬虔なBitcoin(ビットコイン)信者だったかもしれないが、最高ツイート発信者の彼が地位を退いた今、ETH(イーサリアム)のTips(チップ、投げ銭)に対応しない理由はない。米国時間2月17日、Twitterは海外フィンテックプロバイダーのPaga(パガ)、Paytm(ペイトゥム)、およびFlutterwave(フラッターウェイブ)Barter(バーター)を新たにサポートし、ナイジェリア、インド、およびガーナのユーザーへも投げ銭範囲を拡大した。

Twitterでは、BitcoinによるTipsは、Strike(ストライク)のLightning Network(ライトニング・ネットワーク)経由ですでに低い手数料で利用可能だ。しかし、今回のEthereum(イーサリアム)の追加は、Twitterの非Bitcoin暗号進出の動きと一致している。悪名高いあの六角形のNFTプロフィール写真もその1つだ。

「Twitterと同じく、デジタル通貨は国際的障壁なしに運用されています。Bitcoinに加えてEthereumによるTips決済を導入することで、さらに多くの人たちが容易にデジタル経済に参加できるようになることを期待しています」とTwitter広報担当者がTechCrunchに話した。

TwitterのETH TipsはENS(Ethereum Name Service)に対応しておらず、長くて面倒な英数字形式しか使えない。ETHでTipsを送るといっても、実際にはTwitter経由で投げ銭するわけではない。ETH Tipsオプションをクリックすると、そのユーザーのEthereumアドレスがコピーされるだけなので、その後自分の暗号資産ウォレットへ行き、そのユーザーにETH Tipsを送る。しかし、投げ銭は概して少額なので、誰かのEthereumアドレスに投げ銭するのはあまり現実的ではない、手数料が高いからだ。基本的にこの機能は、自分のウォレット・アドレスをフォロワーたちと共有するための便利な方法にすぎない。

Twitter Tipsは、iOSおよびAndroidの18歳以上の全ユーザーが利用できる。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッター、DMの会話を最大6件まで受信箱トップに固定できる機能を提供開始

Twitter(ツイッター)は、ここ1年で行っている津波のような製品アップデートの中で、ダイレクトメッセージ(DM)インターフェースを徐々に強化している。同社は米国時間2月17日、ユーザーが6つの会話をDM受信箱のトップに固定(ピン留め)し、簡単にアクセスできる機能をロールアウトしていると発表した。この機能は、iOSとAndroidのモバイルアプリ、ウェブ版で利用できるようになる。

2021年、TwitterはDMに待望の変更をいくつか加えた。個別の会話の中で、一度に複数の人にツイートをDMすることができる機能もその1つだった。また、個々のメッセージに日付と時間のタイムスタンプを付けるかわりに「タイムスタンプのクラッターを減らす」ために、メッセージを日ごとにグループ化するようになった。

今後数カ月の間に、Twitterがさらに新しいDM機能を発表してもショッキングではない。Twitterは2021年の最後の数カ月間に、2つのメッセージング企業を買収した。ロンドンを拠点とするグループチャットアプリSphere(スフィア)と、Slack(スラック)のライバルとなるはずだったQuill(クイル)だ。SphereとQuillの従業員はTwitterに吸収され、Quillの元スタッフはメッセージングに特化した仕事をするとされていた。Quillの創業者であるLudwig Pettersson(ルートヴィヒ・ペッターソン)氏は、Stripe(ストライプ)の元クリエイティブディレクターでもあり、Conversations(会話)チームのプロジェクトマネージャーとしてTwitterに参加した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

ツイッター、「優良ボット」を識別するラベルを正式導入

Twitter(ツイッター)は2021年秋に、自社サービス上の「優良ボット」と同社が呼ぶものが自らを優良と名乗れるようにする新しいラベルを導入した。「ボット」という言葉はしばしばネガティブな意味合いを持つが、Twitterは、新型コロナウイルス感染症のアップデート、地震警報、議会に提出された法案など、役立つ情報を自動的にツイートする有用なボットも存在すると指摘している。この「優良ボット」ラベルは、これまで一部のグループでテストされてきたが、いますべての自動化されたアカウントの保有者が利用できるようになった。

テスト中と同様、ボットとラベル付けされたTwitterアカウントは、そのTwitterのプロフィールにこの情報を表示する。アカウント名と@ユーザーネームの下に、小さなロボットアイコンが表示され「Automated by」の文字に続いて、アカウントの運営者の名前がくる。一方、Twitterの略歴には、ボットの目的が詳しく書かれる。

ボットがツイートすると、ユーザーのタイムラインにもその自動化の状況が表示される。

Twitterは、この情報はユーザーがどのアカウントをフォローし、関わり、信頼するかを決めるのに役立つとしている。

画像クレジット:Twitter

このアカウントラベルは、9月に約500のTwitter開発者アカウントで初めて利用できるようになり、@earthquakesSF@vax_progress@last100bills@AltTxtReminder@met_drawings@EmojiMashupBotなどのボットが、機能をテストしてフィードバックを提供した。これらのアカウントは、重要な最新情報から興味深い情報、楽しいコンテンツまで、さまざまなボットの使い方を示した。

「優良ボット」に加えて、多くの人が他の方法でTwitterアカウントを自動化している。例えば、IFTTTインテグレーションを使ってリンクをツイートするような方法がある。しかし、Twitterはそのような種の自動ツイートについてはあまり懸念していないという。ユーザーは自分のアカウントで使用するサードパーティーのアプリケーションを調べて、Twitterのルールに従っていることを確認する必要がある、とだけ指摘している。

画像クレジット:Twitter

ボットラベルは有用だが、Twitterのサービスにおけるボットに関するより大きな問題を必ずしも解決してはいない。

悪質なボットには、スパムをつぶやくボット(あるいは、暗号資産詐欺を宣伝するボット!)のような迷惑なものから、今後の選挙に影響を与えようとする懸念されるものまで、さまざまなものがある。オプトイン方式を採用しているため、つぶやいて良いことをしようとしているボット所有者は、ラベルを追加して、そのアカウントの所有者であることをアピールすることができる。しかし、悪質なボットはできない。

この機能は、Twitter APIを使用する自動化されたアカウントに2月16日から提供されている。しかし、Twitterによると、今のところシステムの監査は行われていない。

「Twitter上のすべてのアカウントにはTwitterのルールが適用されます」と同社の広報担当者は話す。「ラベルはオプトインのみであるため、現時点では採用を選択したアカウントの監査は行わず、アカウントがルールに違反した場合は、我々の報告プロセスに則ることになります」。

Twitterは、米太平洋時間2月16日午後3時にTwitter Safetyチーム主催のTwitter Spaceでこのニュースについてさらに議論し、同2月17日午前11時にはTwitterDevのTwitchチャンネルで開発者向けデモを行う予定だ。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッター、悪質行為防止ツール「セーフティモード」のベータテストを開始

Twitter(ツイッター)はSafety Mode(セーフティモード)という機能へのアクセスを拡大する。この機能は、Twitterのプラットフォーム上でまだかなり頻繁に問題となっている悪質行為や乱用からユーザーが自身を守るための一連のツールを提供するものだ。2021年9月に少数のテスターグループに導入されたセーフティモードは米国時間2月15日、米国、英国、カナダ、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランドなど英語圏マーケットでより多くのユーザーを対象にベータ版が提供される。

Twitterは、今回のアクセス拡大により、セーフティモードの機能に関してより多くの知見を収集し、どのような改善がまだ必要なのかを学ぶことができるとしている。また、セーフティモードの展開と並行して、ユーザーがセーフティモードを有効にする必要がある場合には、有効にするよう促す予定だとTwitterは説明する。

公共のソーシャルプラットフォームとして、Twitterは会話の健全性の維持にずっと苦労している。長年にわたって、この問題に対処しようと多くの調整とアップデートを展開してきた。ここには、不快で侮辱的な返信を自動的に隠す機能が含まれ、またユーザーが自分のツイートに返信できる人を制限したり、ユーザーが検索から身を隠したりすることもできる。常軌を逸し始めている会話についてユーザーに警告する機能もある。

しかし、セーフティモードは、積極的に正しい方向に会話を誘導するためのものというよりは、防御的なツールだ。

ひどい言葉で元の投稿者に返信したり、侮辱や憎悪に満ちた発言や言及など、迷惑な返信を繰り返しているアカウントを7日間自動的にブロックする。セーフティモードが有効な間は、ブロックされたアカウントは、元の投稿者のTwitterアカウントをフォローしたり、そのツイートや返信を見たり、ダイレクトメッセージを送ることができなくなる。

画像クレジット:Twitter

Twitterのアルゴリズムは、返信に使用されている言葉を精査し、ツイートする人と返信者の関係を調べることで、一時的にブロックするアカウントを決定している。例えば、ツイート投稿者が返信者をフォローしていたり、返信者と頻繁にやりとりしていたりすると、そのアカウントはブロックされない。

嫌がらせをしてくるアカウントをいちいち手動でブロックするのは、ツイートが拡散し、投稿者がかなりの攻撃対象になった場合は不可能だ。そうではなく、セーフティモードは、攻撃を受けているユーザーが、すばやく防御体制を整えることができるようにするものだ。このような状況は「キャンセル」が話題になるセレブや有名人だけでなく、女性ジャーナリストや社会的に疎外されたコミュニティに属する人、さらには一般人にも時として起こることだ。

また、これはTwitterだけの問題ではない。Instagram(インスタグラム)は2021年、EURO 2020決勝戦で敗れたイングランドチームのサッカー選手数人が怒ったファンから悪質な嫌がらせを受けた後、似たような悪質行為防止の機能を導入した。

Twitterは、初期のテスターからのフィードバックで、攻撃が進行している可能性があるときを識別するのにさらなるサポートを人々が求めていることを把握した。その結果、有害かもしれない返信や迷惑な返信をシステムが検出した場合、この機能を有効にするようユーザーに促すことにした、と同社は2月15日説明した。こうした促しは、ユーザーのホームタイムラインに表示されるか、ユーザーがTwitterを利用していないときは通知としてデバイスに表示される。これにより、ユーザーはTwitterの設定からこの機能を探し出す手間が省ける。

画像クレジット:Twitter

これまでセーフティモードは、初期トライアルで750人のユーザーに試用された。今後は、対象となるマーケットの約50%のユーザー(無作為抽出)にベータ版を展開する予定だ。これらのユーザーがアプリ内でTwitterに直接フィードバックする方法を検討しているという。

同社は、セーフティモードを世界中のユーザーにいつ公開するのかは明らかにしていない。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターが2月12日午前2時すぎからダウン、現在は復旧済み

Twitterの翼が切り取られたようだ。Downdetectorに寄せられたユーザーの報告によると、Twitterは日本時間2月12日午前2時15分(米国東部標準時時間2月11日午後12時15分)ごろからダウンしていた。少なくとも45分間は停止しており、一部のユーザーはより多くの問題を抱えているようだ。

この障害はウェブとモバイルアプリの両方に影響を与えているが、Downdetectorによると、より多くのユーザーがウェブの問題を報告しているという。

TechCrunchはTwitterに、障害の原因やその影響がどの程度広がっているかについてのコメントを求めている。

この障害が最初に報告されてから約1時間後、Twitterサポートは以下の声明を発表しており、現在は復旧しているようだ。

タイムラインの読み込みやツイートの投稿を妨げていた技術的なバグを修正しました。現在、正常に動作しています。お待たせして申し訳ありませんでした。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【コラム】ソーシャルメディアは科学と「根本的に対立」している可能性がある

米国時間2月11日に発行されたScience(サイエンス)に掲載された特別論説が、現在の形式のソーシャルメディアは、事実や道理を提示したり広めたりする目的には根本的に適していないのではないかと論じている。論説は、現在はアルゴリズムが主導権を握っており、システムの優先順位は残念ながら逆になっていると主張している。

ウィスコンシン大学マディソン校のDominique Brossard(ドミニク・ブロサール)氏とDietram Scheufele(ディートラム・ショイフル)氏は、その鋭い(そして無料で読むことができる)意見の中で、科学者が必要とするものとソーシャルメディアプラットフォームが提供するものとの間の基本的な断絶について説得力のある説明を行っている。

彼らは「科学的な議論のルールや、証拠の体系的、客観的、透明な評価は、ほとんどのオンライン空間における議論の実態と根本的に対立している」と述べる。「ユーザーの怒りや意見の相違を収益化するように設計されたソーシャルメディアプラットフォームを、懐疑的な人々を説得するために用いる(たとえば気候変動やワクチンは確立した科学領域では議論の余地はないということ)ことが、生産的な手段であるかどうかには疑問が残る」。

科学者によるコミュニケーションの効果を減少させるソーシャルメディアの最も基本的な特性は、広汎な分類ならびに推奨エンジンの存在だ。これにより、ブロサール氏とショイフル氏が「homophilic self-sorting(同一傾向自己分類)」と呼ぶものが生みだされる。つまり、あるコンテンツを見せられる人は、すでにそのコンテンツに馴染んでいる人なのだ。言い換えるなら、彼らは聖歌隊に向かって説教しているのだ。

「科学に好意的で好奇心旺盛なフォロワーを、科学者のTwitter(ツイッター)フィードやYouTube(ユーチューブ)チャンネルに連れてくるのと同じ営利目的のアルゴリズムツールが、一方では最も緊急に科学を必要としている人たちから、科学者をますます遠ざけることになるだろう」と彼らは書いている。ここには、明らかな解決策は存在しない「その原因は、科学情報のエコロジーにおけるパワーバランスの地殻変動にある。ソーシャルメディアプラットフォームとその基盤となるアルゴリズムは、急速に拡大する情報の流れをふるいにかけようとする受け手の能力を上回り、その過程で感情的・認知的な弱点を利用するようにデザインされている。このような事態になっても不思議はない」。

Scienceの編集長であるH. Holden Thorp(H・ホールデン・ソープ)氏はいう「だがそれはFacebook(フェイスブック)にとって収益化の良い手段なのです」。

このテーマで論説も書いているソープ氏は、私に対して、最近の科学者とソーシャルメディアの関わり方には、少なくとも2つの明確な問題があると話してくれた。

「その1つは、特にTwitterでは、科学者たちがそれを使って、詳しく議論したり、アイデアを公然と広めたり、支持したり、撃墜したりするのが好きだということです。これらはかつて、科学者たちが黒板を囲んだり、会議をしている時にやっていたことです」と彼はいう。「こうしたことはパンデミック以前から行われていましたが、今ではそのようなやりとりが行われる主要な手段となっています。その問題点は、もちろん、今や永久的な記録が残るようになっているということです。そして、通常の科学の検討過程では当然破棄されるような、一度は提出されたものの間違っていることが判明した仮説のいくつかが、私たちのやっていることを台無しにしようとしている人々によって選ばれてしまうのです」。

そして「2つ目は、素朴すぎるアルゴリズムです。特にFacebookのアルゴリズムは、意見の相違や意見の相違を広める非公式な投稿に非常に高い評価を与えています。たとえば『私の叔父はマスクをして教会に行ったが、新型コロナウイルスに感染した』というような情報も、拡散すれば権威ある情報に勝るものとして扱われることになるでしょう」と彼は続けた。

ブロサール氏とショイフル氏が指摘するように、このような状況が重なると、科学者は「明らかに不利な立場に置かれる【略】わかりやすい結論よりも、専門的な規範や倫理的立場から信頼性のある累積的な証拠を優先する、公開討論における少数派のようなものだ」。

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残念ながら、科学的な面では誰もができることではない。間違いなく、システムに参加すればするほど、自分の周りのサイロを強化することになる。私たちはあきらめるべきだと主張する者はいないものの、問題は科学コミュニティが、ソーシャルメディア上で偽情報の行商人たちよりも発信力が弱いことだけではないということを認識する必要がある。

ソープ氏は、これは数十年前から続く反事実主義的な傾向と政治化の最新局面に過ぎないと認めていいる。

「人々は、これが非常に単純なことであることを認識せずに、少し感情的になっている傾向があると思います。たとえば政党は同じ立場を取ることはないでしょう、すると片方が科学的に厳格な場合、もう1つは科学に反する立場をとることになります」と彼は説明する。彼は、民主党が科学の側に立つことが多いのは確かだが、遺伝子組み換え作物や原子力では反対側に立ったこともあると指摘した。重要なのは、誰が何に賛成しているかではなく、2つの政党が反対の意見を唱えることで自らを定義していることだ。

「これは、科学に賛成するよりも、科学に反対する方が政治的に有利だということに気づいた政党の振る舞いなのです」と彼はいう。「なので科学者がただ『メッセージが伝わらない』と言っているのは呑気な態度なのです、彼らが直面しているのは、今やFacebookの力を背景にした政治マシーンなのですから」。

ブロサール氏とショイフル氏は、最後の論点として、Deep Blue(ディープ・ブルー)によるGarry Kasparov(ガルリ・カスパロフ)氏の敗北を示した。その敗北後、スーパーコンピュータを出し抜くための特別なトレーニングを追求するひとはおらず、カスパロフ氏のプレイが不十分だと非難するひともいなかった。そのショックが去った後、我々はチェスだけでなく、コンピューティングとアルゴリズムの可能性においても新しい局面を迎えたことは誰の目にも明らかだった(少し前に、カスパロフ氏自身も私に対して、その見解が進化したことを語ってくれた)。

「科学者にも同じ理解が求められている」と彼らは書いている。「公共の場における議論に、事実と証拠を用いた情報を持ち込む新しい時代であり、良い方向に変化しているものもあるのだ」。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

イーロン・マスクのツイートに関する和解をめぐり米SECがテスラに召喚状

ロイターCNBCによると、Tesla(テスラ)は2021年11月に証券取引委員会(SEC)から召喚状を受け取ったという。

同社が財務文書で公表した情報によると、SECが特に求めているのは「SEC修正和解案へのコンプライアンスをめぐるガバナンスのプロセスに関する」情報だ。11月の召喚状は、同社トップのElon Musk(イーロン・マスク)氏がTwitterのフォロワーに、現在、所有しているテスラの保有株の10%を手放すことになったらどうなるかなと尋ねた直後に発行された。同社の株価は、そのツイートの後で急落している

Teslaは、2018年にSECが「非公開化する」とツイートしたイーロン・マスク氏を訴えたことを皮切りに、何年もSECと対立している。同庁は、テスラが非公開化するための資金をすでに確保しているとツイートしたマスクが、「虚偽かつ誤解を招く」発言であるとして詐欺にあたるとした。

Teslaはその年にSECと和解し、マスク氏はソーシャルネットワークへの重大な情報のポストは、事前に法務が承認したもののみとするという和解条件を受け入れた。しかしそのすぐ後に彼は、それまで非公表だった2019年の生産台数を、その情報が最初にチェックされることなくツイートした。

SECは2018年の合意事項を侮辱したとして彼の拘禁を求めたが、結局、マスク氏が何をツイートできて、何をツイートできないかを正確に把握できるよう修正を加える必要があったた。

テスラのチーフは、Twitterを頻繁に使用することで知られている。彼はミームやランダムなツイートの合間に、彼の会社であるTeslaやSpace Xに関する新しい発表を織り交ぜてきた。Teslaの投資家集団が2019年の訴訟で、事前チェックのないTwitterの使い方をやめさせようとした。そして2021年は、もう1人の投資家がマスク氏と彼の企業を訴訟して、SECとの合意に違反していると非難した。

そのときの原告は、2020年5月の「Teslaの株価は高すぎると思う」という発言を含め、マスク氏はいい加減で未承認のポストをツイートし続けていると主張した。マスク氏はその後、Twitterを数回お休みし、自分のアカウントを削除したとも主張したが、現時点では相変わらずこのプラットフォーム上でとても元気だ。

編集者注記:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetの副編集長。

画像クレジット:SOPA Images/Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)

暗号資産をめぐるツイッターでのVCたちのビンタ合戦でおかしな状況に……

Twitter(ツイッター)でよくつぶやく一部のベンチャーキャピタリスト(VC)は最近やや敵意に満ちており、業界で最もパワフルな人々が前例のない方法で暴言を吐いている。  筆者が思い浮かべるのはChris Dixon(クリス・ディクソン) 氏とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏の2人で、彼らは最近、暗号資産、ブロックチェーンを使ったコレクティブル、あるいは分散化の有望性が誇張されているのではと疑う影響力のある人々に対して我慢できない様子を見せている。

最も有名な争いは、12月下旬に億万長者の起業家でTwitterの共同創設者であるJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏が、フォロワー600万人に対して「『Web3』を所有しているのは君じゃない。VCやLPが所有している。彼らのインセンティブから逃れることはできないだろう。結局はラベルの違う中央集権的な存在なんだ」とつぶやいたことから始まった。

確かに、ドーシー氏はVCを嘲笑していたが、この見方には真実がある。Andreessen(アンドリーセン)や、Paradigm(パラダイム)やPantera(パンテラ)のような暗号資産に前向きな企業は、そこらにある最大のプラットフォームのいくつかと財政的な利害関係がある。それは構わない。そうした企業のサポートがなければ、これらのプラットフォームは存在しないかもしれないし、時間が経過するにつれ、プラットフォームはより分散化されていく可能性も大いにある。

とはいえ、ドーシー氏のツイートは戦争を勃発させた。ディクソン氏は、約80万人のフォロワーに向けて「あなたはまず無視され、次に笑われ、そして挑まれ、そうしてあなたが勝つ」とサブツイートし、最初の手榴弾を投げつけた。

ディクソン氏がほくそ笑むのには、それなりの理由があった。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は何年も前から、暗号資産プロジェクトに資金とリソースを注ぎ込んでいて、嘲られることになると思われていた。今となっては、同じような取り組みにもっと多くの時間とお金を捧げなかったすべての人に嘲が向けられている。ちなみに、Andreessen HorowitzのCoinbase(コインベース)への投資額は、2021年に暗号資産取引所が公開取引を開始した日に110億ドル(約1兆2675億円)と評価された。

しかし、戦争はそこで終わらなかった。ドーシー氏はディクソン氏に返信し、アンドリーセン氏自身も会話に割って入ってドーシー氏を何度も侮辱し、事態は悪化の一途をたどり続けた。

その毒々しい雰囲気は最近、さらに広まった。元Facebook社員でエンジェル投資家に転身し、さらにはベンチャーキャピタリストとなったBobby Goodlatte(ボビー・グッドラット)氏が米国時間2月4日「私は暗号資産の熱烈な支持者で、アートNFTは馬鹿らしいと思う」と特定の人に向けることなくツイートした。グッドラット氏のツイートは表面上は比較的無害に見えたが、突然、グッドラット氏の7万人の10倍のフォロワーを抱えるディクソン氏が、グッドラット氏のコメントをリツイートし、その上に「ボビー・グッドラットをショートカットできる?」と書き込んだ。

愕然とするグッドラット氏が反応する前に、ディクソン氏はグッドラット氏のアカウントをブロックした。

ディクソン氏はその後、そのコメントと、父親が元下院議員であるグッドラット氏に向けられた「私の両親は億万長者で、私は運良く暗号資産を手に入れたが、今度は自分の道を歩んだ勤勉な創業者たちをゴミ扱いしたい」という侮辱を削除したようだ。

この件に純粋に傷ついた様子のグッドラット氏は、その後ディクソン氏をピエロと呼んだ。

多くの業界関係者は、Andreessen Horowitzで何が起こっているのか、静かに問いかけている。あるベンチャーキャピタリストは2月5日に内々にこう言った。パートナーたちは、単に儲かりすぎて「問題ある投稿」をするようになってしまったのでは?

シードステージファンドのHustle FundのゼネラルパートナーEric Bahn(エリック・バーン)氏は別の説を唱えている。「これまで共有されてきたFacebookのコンテンツを見れば、そのアルゴリズムがネガティブなストーリーや攻撃的なストーリーを好んできたことがわかります。そうしたものは非常に共有しやすい材料です。Twitterでも同じことが言えます。意地悪な書き込みをすれば、それが注目されることに気づいている人もいます」。

明らかに、Andreessen Horowitzの投資家は何もいうつもりはない。同社は自社に関わるすべての人のために稼いできた。そうした投資家、そして資本市場にいる一部の創業者の中には、Andreessen Horowitzの強硬な戦術に説得力を感じる人もいるかもしれない。

一方、ライバル企業の中には、その強気な行動(最近、Andreessen Horowitzが持つ欠点の1つ)を利用しているところもあるようだ。

TNT Venturesのベンチャーキャピタリスト、Parker Thompson(パーカー・トンプソン)氏は、ディクソン氏とグッドラット氏の騒動の後、多くの人がささやく言葉を要約してツイートした。「あそこの水の中には、人々の正気を失わせる何かがあるようです。ポートフォリオにとって、強気な兆候ではありません」。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターが親しい友達にだけツイートを見せる「Flock」機能を実験中

Twitterは、選択した友達にだけツイートを見せることのできる機能に現在も取り組んでいる。2021年7月に同社は「信頼できる友達」を指定して一部のツイートをその人たちだけに見せることを検討していると明らかにした。最近、開発者でリバースエンジニアのAlessandro Paluzzi(アレッサンドロ・パルッツィ)氏が、この機能の開発が進められていてTwitterはこれを「Flock(フロック)」と呼んでいる証拠を見つけた。

この機能が広く公開される場合には、名前は変わるかもしれない。TwitterはThe Vergeに対し「Flock」は単なる仮の名前だと述べた。パルッツィ氏が見つけた説明によると、現在の試行では最大150人のユーザーを自分のリストに追加し、そのグループに送信したツイートは追加された人たちだけが見て返信できる。Flockに送信したツイートには対象者に対し、グループに追加されているのでこのツイートが見えているという注意書きが付く。グループはいつでも編集可能で、Twitterによればグループから削除した人にはそのことは知らされない。

Twitterは信頼できる友達の機能の追加について検討していると初めて明らかにした際に、もう1つ、同一アカウント内で別のペルソナを持てるようにするというコンセプトも示した。こちらが開発中かどうかは不明だ。同社は同じ関心を持つ人たちが利用できる専用スペースの「Communities(コミュニティ)」という機能もテストしている。Flockはリアルの友達を意図して設計されているもので、Instagramの「親しい友達」に近い。TwitterはThe Vergeに対して送ったコメントの中で「健全な会話ができる新しい方法に常に取り組んでおり、現在はもっとプライベートに共有する方法を探っているところです」と述べた。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon(マリエラ・ムーン)氏はEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

Twitter Blue利用者はNFTをプロフィール写真として使用可能に

米国時間1月20日、Twitter(ツイッター)はユーザーが自分のNFT(非代替性トークン)を見せびらかす仕組みを新たに導入した。NFTはブロックチェーンに保管されたデジタル資産を証明する仕組みだ。同社はNFT Profile Pictures(NFTプロフィール写真)を、iOSのTwitter Blue(ツイッターブルー)サブスクライバーに向けて、同サービスのLabs(ラボ)機能を使って公開する。プロフィール写真にNFTを載せられるのはiOSユーザーだけだが、新しい六角形のプロフィール写真はプラッフォームによらずTwitterユーザー全員に表示される。

サブスクリプションサービスのTwitter Blueはまだ全世界には公開されていないため、NFT Profile Picturesを利用できるのは、同サービスが早期提供されている米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの各国に限られる。

Twitterは以前からNFTへのより本格的な対応計画を示唆しており、プラッフォーム上でちょっとした話題になっていた。多くの暗号化マニアたちは、すでにプロフィール写真に自分のNFTを使っているが、Twitterはユーザーの暗号ウォレットや所有権を証明する正式な手段を提供していなかった。

画像クレジット:Twitter

2021年9月、おびただしい数のアップデートを提供する中で、Twitterは同社のNFT計画を初めて紹介した。当時Twitterは、認証によっていかにクリエーターたちが自分の作品をTwitter上でよりよく展示できるようになるかを強調し、彼らがコレクションを陳列できる方法を検討していると話した。

関連記事:ツイッター「ビットコインのチップ」「NFTの認証」「スペースの録音」、クリエイター向けファンド」など新機能ラッシュ再開

「Twitterは、人々が気にかけていることについて語り合う場所であり、しばしばそこは暗号資産やNFTを初めて体験する場所になります」と広報担当者が発表を伝えるメールでTechCrunchに話した。「私たちは今、人々がNFTをアイデンティティと自己表現の一形態として、さらには繁栄するコミュニティやますます活発化するTwitterでの会話に参加するための手段として使っている人ところを見ています」。

Twitter Blueサブスクライバーがこの機能を利用するには、今までと同じようにプロフィール写真の変更画面へ行く。すると写真の代わりにNFTを選べる新しいオプションが表示される。そこで自分の暗号ウォレットをつなぐ。

開始当初は、Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)、Rainbow(レインボー)、MetaMask(メタマスク)、Ledger Live(レジャー・ライブ)、Argent(アージェント)、およびTrust Wallet(トラスト・ウォレット)がサポートされる。認証が済んだら、自分が見せたいNFTを選ぶ。Twitterによると、現在NFT Profile Picturesでは、Ethereum(ERC-721またはERC-1155トークン)で発行(mint)されたJPEGおよびPNGのNFTを使用できる。

登録されると、そのNFTを見たTwitterユーザーは、プロフィール写真をタップすることでその作品やコレクション、その来歴などを詳しく知ることができる。例えばプロジェクトやコレクションがOpenSea(オープンシー)やその他のサードパーティー・マーケットプレイスで検証されているかどうかがわかる。

今回の公開は、プラットフォームに分散化テクノロジーを導入することへのTwitterの関心の高まりを受けたもので、これまでにも同社は、Bitcoin(ビットコイン)のチップ機能をサポートしたり、暗号化エンジニアリングの責任者に Tess Rinearson(テス・リニアソン)氏を最近採用するなどの動きをみせてきた。また同社は2021年、自身でNFTを発行する実験も行い、そこでは無料でNFTを配布した。

関連記事:ツイッターがNFTを作り始めたらしい、140点のNFTをユーザーに1日限り無料で配布

非サブスクライバーにもいずれこの機能を提供するのかどうか、会社はまだ決定していないが、Twitter Blueユーザーからのフィードバックを見て、いずれ新たな情報を提供するつもりだと話した。

編集部注:OpenSeaの間の悪いダウンのために、Twitterの新機能導入が混乱した可能性がある。

画像クレジット:Twitter

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッターが「コミュニティ」機能を全Androidユーザーにも公開

Twitter(ツイッター)は、同サービスの「コミュニティ」機能を全Android(アンドロイド)ユーザーに提供する。iOSとウェブへの導入から4カ月後のことになる。ソーシャルメディアの巨人は、AndroidユーザーはTwitterアプリを最新バージョンにアップデートしていれば、コミュニティ機能を使えるようになったと語った。最初のコミニュティに参加した時点で、アプリのナビゲーションバーにコミニュティタブが現れる。

関連記事:ツイッターがついに「コミュニティ」機能導入、簡単に共通の関心事でつながれるように

同機能は、共通の興味に基づいて他のユーザーと簡単につなることを目的にしている。ユーザーは、さまざまなソーシャルハブに参加して、通常のグループやフォロワーとは別に、興味を共有している人たちに向けて直接ツイートできる。そのツイートは全体に公開されるが、リプライできるのはそのコミュニティのメンバーに限られる。Twitterは、同機能の利用が導入以来伸び続けていて、毎週新しいいくつものコミュニティが作られ、何千人もの人たちがRoblox(ロブロックス)、Xbox Community(エックスボックス・コミュニティ)、Tech Twitter(テック・ツイッター)、Fashion(ファッション)、R&B Twitter(アール・アンド・ビー・ツイッター)、Formula 1(フォーミュラ・ワン)などさまざまなトピックスに参加しているという。

2022年1月初め、Twitterはコミュニティの更新と拡張の計画について詳細を発表した。同社によると現在、コミニュティは招待のみか全体公開のどちらかしかない。しかしTwitterは、管理者や司会者が承認または却下できる「参加申請」オプションを検討している。さらに同社は、コミニュティで話題になっているツイートをタイムラインのトップに表示する「Ranked Timesline(ランク順タイムライン)」のテストも行う予定だが、ユーザーには時間軸順にタイムラインを表示するオプションも残されるという。

そしてTwitterは、ユーザーがコミニュティ内で自己表現する方法をいろいろ考えているという。司会者がコミニュティで注目されているコメントをハイライトさせる方法も検討している。さらにTwitterは、ユーザーと司会者が互いにQ&Aを行う仕組みもテストする予定だ。

Twitterのコミュニティ機能は、クリエイターコミュニティを推進する同社の取り組みとも相性が良い。2021年、同社はオーディオルーム向けにSuper Follows(スーパーフォロー)やTicketed Spaces(チケット制スペース)などの有料サブスクリプション機能を導入した他、1回限りの支払いができるTip Jar(現在はTips[チップ]に名称変更)も公開した。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ツイッター、偽報報告機能をブラジル、スペイン、フィリピンにも拡大

2021年8月、Twitter(ツイッター)は米国など一部の市場で、招待ユーザーが選挙や新型コロナウイルス関連の偽情報に出会ったら報告できる機能を導入した。そしてこの度、同社はテストを拡大して対象となるマーケットを増やした。現在の米国、オーストラリア、韓国に加えて、ブラジルとスペインとフィリピンでも導入される。

関連記事:ツイッターはユーザーに新型コロナと選挙の誤情報報告を依頼

Twitterはまた、本機能の普及に関する最新情報を提供し、デビュー以来、370万件以上のユーザー投稿レポートを受け取ったと述べた。ちなみに、Twitterの収益化可能な1日のアクティブユーザー数は、直近の決算発表時点で約2億1100万で、そのうち3700万は米国在住、1億7400万人は国際市場在住となっている。

Twitterのサイトインテグリティ担当責任者であるYoel Roth氏によると、同社が偽情報に対して偽情報扱いをしなければならないコンテンツの「大部分」は、自動化(措置の50%以上を占める)または事前モニタリングによって前もって識別されたものだという。新機能を通じてユーザーから提出されたレポートは、Twitterが誤報のパターンを識別するために使用され、Twitterがこの機能によってこれまでに最も成功を収めた分野だとロス氏はいう。これは、Twitterのプラットフォーム外でホストされているコンテンツにリンクしているメディアやURLのような、テキストベースではない偽情報の分野で特に当てはまる。

しかし、Twitterが個々の報告されたツイートのサブセットをレビューしたところ、分析した多くのツイートには偽情報がまったく含まれていなかったため、他の政策分野の20~30%と比較して、「対応可能」とされたのは10%程度だったとも指摘している。

本日、このテスト機能をブラジル、スペイン、フィリピンからのツイートにも拡大しました。現在までに約300件の報告があり、私たちのポリシーに違反するツイートを指摘したり、新しい誤報の傾向を把握するのに役立っています。

今後の展開にご期待ください。

この機能を使えるマーケットでは、ユーザーはツイートの右上にある3ドットメニューから「report tweet」を選ぶ。そして「it’s misleading」を指定すればよい。

Twitterには、すでに違反コンテンツを報告する方法があるが、この度のオプションのように、偽情報を含むツイートそのものを報告する明確な方法はない。むしろユーザーが「怪しくてスパムかもしれない」「乱暴で有害である」とオプションから選ばなければならない。そこからやっと、Twitterのルールに違反している特定のツイートを絞り込んでいく。

今回のツイートを偽情報と指定する方式では、ユーザーがもっと早く直接的にルール違反のコンテンツを指定できる。そして報告そのものはTwitterの今ある規則執行の流れに結びついており、人間によるレビューとモデレーションを合わせて、罰すべきコンテンツか否かを判断する。また、報告されたツイートは、そのプライオリティでソートされレビューされため、フォロワー数が多かったり、エンゲージメントのレベルが高い人のツイートが先にレビューされる。

この機能の展開は、ソーシャルネットワークが、そのプラットフォーム上で拡散を許してしまった偽情報を一掃するか、あるいはそのような一掃を強制する規制や、おそらくそうしなかった場合の罰則を制定するよう圧力を受けている時期のものだ。

Twitterが偽情報に対抗するための取り組みは、フラグ立てのオプションだけではない。同社はBirdwatchという実験も行っており、Twitterユーザーが誤解を招くツイートに事実関係の注釈を付けることで、クラウドソーシングによる事実確認を目指している。このサービスはまだパイロットテスト中で、ユーザーからのフィードバックに基づいてアップデートされている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】ソーシャルメディアとマッチングアプリが抱える深刻な身元確認問題

ソーシャルメディアとマッチングアプリはそろそろ、自分たちが蒔いてきた種を刈り取り、各プラットフォームから詐欺、偽装、デマ情報を一掃すべきだ。

その誕生当初、ソーシャルメディアやマッチングアプリは、インターネットの世界の小さな一角を占めるにすぎず、ユーザーはわずかひと握りだった。それが今では、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が、選挙に影響を及ぼしたり、ワクチン接種の促進を後押しまたは阻害したり、市場を動かしたりするほどに巨大な存在になっている。

また、何百万もの人々が「生涯の」伴侶と出会うためにTinder(ティンダー)やBumble(バンブル)などのマッチングアプリを利用しており、そのユーザー数はFacebookやTwitterに迫る勢いだ。

しかし、お祭り騒ぎはここまでだ。信用や安全よりも利益が優先されてきた結果、なりすまし犯罪やオンライン詐欺が入り込む隙が作り出されてしまった。

今や、BumbleやTinderで友達が「キャットフィッシング(なりすましロマンス詐欺)」に遭ったという話も、家族の誰かがTwitterやFacebookでオンライン詐欺の被害を受けたという話も、日常茶飯事である。悪意のあるネット犯罪者が個人情報を盗んで、あるいはなりすましの個人情報を新たに作って、詐欺を行ったり、政治的または商業的な利益のために偽情報を拡散したり、ヘイトスピーチを広めたりした、というニュースは毎日、耳に入ってくる。

ほとんどの業界では、ユーザーによるなりすまし詐欺の実害を被るのは当事者である企業だけで済む。しかし、マッチングアプリやソーシャルメディアのプラットフォームで信用が崩壊すると、その被害はユーザーと社会全体に及ぶ。そして、個人に及ぶ金銭的、心理的、時には身体的な被害は「リアルな」ものだ。

このような詐欺事件の増加を食い止める、あるいは撲滅する責任を果たしてきたのは誰だろうか。何らかの措置を講じてきたと主張するプラットフォームもあるが、各プラットフォームがその責任を果たしてこなかったことは明白だ。

Facebookは、2020年10月から12月の期間に、13億件の偽アカウントを摘発したが、これは十分というには程遠い数だ。実際のところ、ソーシャルメディアやマッチングアプリは現在、最低限の詐欺防止策しか講じていない。簡単なAIと人間のモデレーターは確かに有用だが、膨大な数のユーザーには到底追い付かない。

Facebookによると、3万5000人のモデレーターが同プラットフォームのコンテンツをチェックしているという。確かに大勢だ。しかし、概算すると1人のモデレーターが8万2000件のアカウントを担当していることになる。さらに、ディープフェイクの使用や合成ID詐欺犯罪の手法の巧妙化など、悪意のあるネット犯罪者は手口を日ごとに進化させているだけではなく、その規模も広げつづけている。経験豊富なユーザーでさえもそのような詐欺行為に引っかかってしまうほどだ。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、この問題と闘う点で腰が思いと批判されてきた。しかし、実際のところどのように闘えるのだろうか。

なりすましロマンス詐欺の被害は深刻

次のような場面を想像するのは難しくない。マッチングアプリで誰かと出会って連絡を取り始める。その相手がいう内容や質問してくる内容に、怪しさは感じられない。その関係が「リアル」だと感じ始め、親しみを覚え始める。その感情は気づかないうちにエスカレートして、警戒心は完全に解け、危険信号に対して鈍感になり、やがて恋愛感情に発展する。

このようにして新たに出会った特別な人とあなたは、ついに直接会う計画を立てる。するとその相手は、会うために旅行するお金がないという。そこであなたはその人を信じて、愛情を込めて送金するのだが、間もなくその人からの連絡が一切途絶えてしまう。

なりすましロマンス詐欺事件の中には、被害が最小限にとどまり自然に解決するものもあるが、上記のように金銭の搾取や犯罪行為につながる事例もある。米国連邦取引委員会によると、ロマンス詐欺の被害額は2020年に過去最高の3億400万ドル(約348億8000万円)を記録したという。

しかし、これは過少に報告されている結果の数字であり、実際の被害額はこれよりはるかに大きい可能性が高く「グレーゾーン」やネット物乞いを含めるとさらに膨れ上がるだろう。それなのに、ほとんどのマッチングアプリは身元を確認する術を提供していない。Tinderなど一部の人気マッチングアプリは、身元確認機能をオプションとして提供しているが、他のマッチングアプリはその類いのものを一切提供していない。ユーザー獲得の妨げになるようなことはしたくないのだろう。

しかし、オプションとして身元確認機能を追加しても、単に上っ面をなでるような効果しかない。マッチングアプリ各社は、匿名IDや偽IDを使ったユーザーの加入を防ぐために、もっと対策を講じる必要がある。また、そのようなユーザーが社会と他ユーザーに及ぼす被害の重大さを考えると、マッチングアプリ各社が防止策を講じることを、私たちが社会として要求すべきだ。

身元確認はソーシャルメディアにおいて両刃の剣

ロマンス詐欺はなにもマッチングアプリに限ったことではない。実際のところ、ロマンス詐欺の3分の1はソーシャルメディアから始まる。しかし、ソーシャルネットワークサービスにおいて身元確認を行うべき理由は他にもたくさんある。ユーザーは、自分が本物のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)のアカウントを見ているのか、それともパロディアカウントを見ているのかを知りたいと思うかもしれない。オプラ・ウィンフリーやアリアナ・グランデ本人たちも、本物のアカウントとパロディアカウントとの違いがはっきり分かるようにして欲しいと思うだろう。

別の重要な点は、ソーシャルネットワーク各社は身元確認を行うことによってネット荒らしの加害者を抑制すべきだという世論が高まっていることだ。英国では、同国のリアリティー番組人気タレントKatie Price(ケイティー・プライス)が主導して始まった「#TrackaTroll(#トロール行為を取り締まる)」運動が勢いを増している。プライスがHarvey’s Law(ハーヴェイ法)の制定を求めて英国議会に提出した嘆願書には、およそ70万人が署名した。ハーヴェイとは、匿名の加害者からひどいネット荒らしの被害を受けてきた、彼女の息子の名前だ。

しかし、ソーシャルネットワークを利用する際の身元確認を義務化することについては、強く反対する意見も多い。身元確認を行うと、家庭内暴力から逃げている人や、政治的な反対勢力を見つけ出して危害を加えようとする抑圧的な政権下の国にいる反体制派の身を危険にさらすことになる、というのが主な反対理由だ。さらに、政治やワクチンに関する偽情報を拡散しようとする多くの人々は、自身の存在を顕示して、自分の意見に耳を傾ける人を集め、自分が何者なのかを世の中に認知させたいと考えているため、身元確認を行っても彼らを抑止することはできないだろう。

現在、FacebookとTwitterは、正規アカウントに青い認証済みバッジを表示させる制度に「認証申請」プロセスを導入しているが、確実な措置というには程遠い。Twitterは最近、「認証申請」プログラムを一時的に停止させた。いくつもの偽アカウントを正規アカウントとして誤認証してしまったためだ

Facebookはもっと進んだ措置を講じてきた。かなり前から、特定の場合、例えばユーザーが自分のアカウントからロックアウトされたときなどに、身元確認を行ってきた。また、投稿されたコンテンツの性質、言葉遣い、画像に応じて、投稿者のブロック、認証の一時停止、人間のモデレーターによるレビューを行っている。

身元確認とプライバシー保護を両立させることの難しさ

悪意のあるネット犯罪者がマッチングアプリやソーシャルメディアで偽のIDを作って詐欺行為を働いたり、他の人に危害を加えたりすると、それらのプラットフォームに対する社会の信頼は損なわれ、プラットフォームの収益にも悪影響が及ぶ。ソーシャルメディアのプラットフォーム各社は今、ユーザー数を最大限まで伸ばすことと、ユーザーのプライバシーを保護することを両立させるために、あるいは、より厳しくなる規制とユーザーからの信頼失墜に直面して、日々格闘している。

盗難やハッキングによる個人情報の悪用を防ぐことは非常に重要である。もしTwitterやFacebookで誰かが自分になりすましてヘイトスピーチを拡散させたらどうなるだろう。自分はまったく関与していないのに、職を失うかもしれないし、もっと深刻な被害を受ける可能性もある。

ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、ユーザーと自社のブランドを守るためにどのような選択をするのだろうか。これまで、プラットフォーム各社の決断は、テクノロジーよりも、ポリシーや利益の保護を中心として下されてきた。プライバシーに関する懸念に向き合って信頼を築くための対策と、利益確保の必要性とのバランスを取ることは、彼らが解決すべき戦略上の大きなジレンマだ。いずれにしても、ユーザーにとって安全な場所を作り出す義務はプラットフォーム各社にある。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、ユーザーを詐欺や悪意のあるネット犯罪者から守るために、もっと大きな責任を担うべきだ。

編集部注:本稿の執筆者Rick Song(リック・ソング)氏はPersonaの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Rick Song、翻訳:Dragonfly)

議事堂暴動を調査する米下院委員会がMeta、YouTube、Twitter、Redditに召喚状

2021年1月6日の米議会議事堂での暴動に関する調査を主導する下院委員会は米国時間1月13日、テック大手4社に召喚状を出した。

「1月6日特別委員会」の委員長Bennie G. Thompson(ベニー・G・トンプソン、民主・ミシシッピ州選出)氏は、YouTube(ユーチューブ)の親会社Alphabet(アルファベット)、Facebook(フェイスブック)とInstagram(インスタグラム)の親会社のMeta(メタ)、Reddit(レディット)、Twitter(ツイッター)に対し、これらのプラットフォームが当日の暴動を組織するためにどのように使われたかについて追加情報を提供するよう要求する文書を送付した。

発表の中で委員会は、連邦議会議事堂への攻撃計画に関連したコンテンツをホストしていると各社を非難している。「Metaのプラットフォームは憎悪、暴力、扇動のメッセージを共有するため、選挙に関する誤った情報、偽情報、陰謀論を広めるため、そして『Stop the Steal運動』を調整、または調整しようとするために使われたとされています」と委員会は述べ、その後解散したFacebookのCivic Integrityチームが調査に関連する情報を持っていたと考えていると指摘した。

当時報じたように、Facebookは2020年の米大統領選の正当な結果を否定するコンテンツの拡散を制御できず、Stop the Steal運動の主要ハブだった。また、Facebookは以前、Proud BoysやThree Percentersなど、議事堂襲撃事件の一翼を担うに至った一部の過激派や民兵的なグループを組織するためのプラットフォームとして選ばれていたこともあった。

同委員会のRedditへの苦情は、2020年1月下旬にヘイトスピーチを巡って禁止された後、独自ドメインに移行した悪名高いサブレディット「r/The_Donald」に焦点を当てているようだ。委員会はまた、YouTubeが暴動のライブストリームに使用されたこと、Twitterユーザーが「暴行の計画と実行に関するコミュニケーションに同プラットフォームを使用したとされている」ことを指摘した。

委員会は2021年8月に初めて15のプラットフォームに関連記録を要求したが、その回の書簡では、Snapchat(スナップチャット)、Twitch(ツイッチ)、TikTok(ティクトック)といった従来のソーシャルメディアアプリに加え、4chan(4チャン)、8kun(8クン)、Gab(ギャブ)、Parler(パーラー)、theDonald.win(ザドナルド・ドット・ウィン)といった過激派向けのサイトにも情報を要求している。

「繰り返し具体的に要請したにもかかわらず」4つの主要なソーシャルプラットフォームが十分に詳細な情報を提供しなかったため、委員会は前回と同じ要請をしており、今回は1月27日を期限としている。

画像クレジット:Photo by Spencer Platt/Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアがツイッターの業務停止処分を解除、「条件満たした」

ナイジェリア政府は、ソーシャルメディア大手Twitter(ツイッター)の取り締まりを宣言してから半年以上を経て、Twitterの業務停止処分を解除した。

ナイジェリアのテック監督機関である国家情報技術開発庁(NITDA)のKashifu Inuwa Abdullahi(カシフ・イヌワ・アブドゥラヒ)長官が現地時間1月12日、声明で発表した。アブドゥラヒ氏は、禁止措置後のナイジェリアとTwitterの協議を監督するためにナイジェリア政府が設置した委員会(Technical Committee Nigeria-Twitter Engagement)の議長を担っていた。

関連記事:ナイジェリアが大統領の投稿削除を受けツイッターを無期限停止に

同氏によると、同国の通信・デジタル経済大臣がMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)大統領に宛てて書いたメモを受け、業務停止処分の解除が承認されたという。声明ではまた、西アフリカ時間2022年1月13日午前0時までに直ちに業務停止を解除することが明らかにされた。

「ナイジェリア連邦政府(FGN)は、ムハンマド・ブハリ大統領(GCFR)が、ナイジェリアにおけるTwitterの業務停止を今夜2022年1月13日午前0時から解除することを承認したことを国民に知らせるよう私に指示しています」と声明にはある。「この承認は、通信・デジタル経済名誉大臣であるIsa Ali Ibrahim(イサ・アリ・イブラヒム)教授が大統領に宛てて書いたメモを受けてのものです。メモの中で大臣は、ナイジェリアとTwitterとの協議を監督する委員会の勧告に基づき、解除に対する大統領の承認を要請しています」。

アブドゥラヒ氏はまた、Twitterが「2022年第1四半期中にナイジェリアに法人を設立する」ことに同意したと声明で述べている。声明によると、Twitterの法人設立は、同社が「ナイジェリアへの長期的なコミットメントを示す最初のステップ」とのことだ。

法人設立は、2021年4月にガーナにアフリカ初の拠点を設立したTwitterが、業務停止処分から数カ月後にナイジェリアでの事業を再開するために求められた10の要求のうち満たせなかった3つのうちの1つだ。これは同年8月にナイジェリアのLai Mohammed(ライ・モハメド)情報相が発表した。

ナイジェリアでの現地事務所あるいは法人設立に加え、Twitterが満たせなかった要求は現地での納税、コンテンツや有害ツイート規制のためのナイジェリア政府への協力だった。

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitterスペース、ポッドキャストのようなオーディオ録音シェア機能のテストを継続

Twitter(ツイッター)は、ホストが過去に録音したスペースの音声をツイートで共有できる機能「Spaces Recordings」に取り組んでいる。これにより、ホストがオーディオ録音を共有すると、何人のリスナーがライブで参加したか、また何人が後から録音を再生したかを確認することができるようになった。

Twitterの広報担当者によると、同社が長い間ちらつかせてきたこの機能は、もうしばらくクローズドテストにとどまるとのことだが、開始以来、テストグループを何度か拡大しているという。Twitterは、この機能を将来的にはより広く展開する予定だ。

Twitterスペースが録音されている場合、ライブでスペースに参加しているユーザーには、赤い点が付いた「Rec」ボタンが表示される。ホストが後で録音を共有する際には、開始時間を編集することができる。これにより、スペースがすぐに開始されなかった場合でも、将来のリスナーが数分間のデッドエアを聞く必要がなくなる。録音されたスペースを聞くとき、ユーザーはライブのスペースと同じように、誰が話しているのか、誰がオーディオルームにいたのかを確認することができる。

これらの機能は、リスナーにとっては、聴き逃したお気に入りホストのコンテンツに非同期的に参加することができるので便利だ。また、ホスト自身にとっても、このリプレイ機能を利用することで、視聴者を増やしやすくなる。Clubhouse(クラブハウス)では、2021年11月に「リプレイ」という同様の機能を追加した。この機能では、ユーザーが音声をダウンロードして編集し、必要に応じてポッドキャストとして共有することもできる。Twitterでは2021年6月から、ユーザーが過去30日間のスペースのオーディオファイルをダウンロードできるようになった。

スペースはTwitterの主要な機能として推されており、モバイルアプリでも中央のタブを占めている。しかし、このライブオーディオ機能の成長にはつまづきもあった。最近ではTwitterスペースのユーザーが、人種差別的なタイトルのスペースなど、明らかに有害なコンテンツを配信されたことを通報した後も当該スペースがフィードに残っていたことが報告されている。Clubhouseのような他のライブオーディオアプリも、有害なコンテンツの管理に苦労している。Twitterは、スペースのモデレーションが既存の報告機能を超えて拡張されるかどうか、あるいはどのように拡張されるかについて、まだ詳細を明らかにしていない。

Twitterの広報担当者は、TechCrunchに対しこう述べている。​​「当社はより積極的な検知方法を模索し、新しいモデレーションのオプションを評価・開発することに取り組んでいます。スペースは反復開発中の製品であり、より多くの人々が利用するにつれて、我々は学び続け、注意深く耳を傾け、フィードバックに基づいて改善していきます」。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)