SonyのPlayStation 4の全世界売上が4000万台を突破、ぶっちぎりのトップ

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SonyはPS4が依然好調で、これまでの売上が全世界で4000万台を超えた。それはもう、勝負がついたと言える数字かもしれない。VGChartzの非公式の推計によると、MicrosoftのXbox OneとNintendoのWiiUはそれぞれ、2099万台と1311万台だ。

PS4が3000万台に達したのは昨年の11月だったから、過去6か月で1000万台増えたことになる。2000万から3000万までの1000万増は8か月を要しているから、Sonyはますます快調だ。

Sonyによると、PS4の2013年11月の発売以来、ゲームの売上はダウンロードも合わせると2億7090万部あまりとなる。同機は北米地区で発売され、その後数週間でヨーロッパ、南米、オーストラリアと展開し、Sonyの拠点市場日本は2014年2月、中国は2015年3月となった。中国は、まだゲームの数(種類)が少ない。

Sony Interactive Entertainmentの社長兼グローバルCEO Andrew Houseが、こう声明している: “全世界のファンとパートナーのみなさまからの多大なるご支援を感謝申し上げる。みなさまのおかげで、このような短い期間で大きな成果を達成できた”。

Sonyは、PlayStation 4向けの開発を今でも続けている。

最近ではPCとMac用のリモートプレイが加わり、10月にはVRヘッドセット— PlayStation VR –が予定されている。それは、お値段が399ドルと競合製品に比べて安く、またハイエンドのPCを要しないところから、かなりの市場性が期待されている。それに加えて、Sony/PlayStationまわりの豊富なゲーム資産と、ゲーム業界との結びつきもあるから、コンテンツの面でも期待は大きい。

またSonyはNintendoに倣って、ゲーム専用機ゲームのモバイル化(iOS/Android)も計画している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

「360度動画のテレビ局を目指す」360Channelが本日ローンチ

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360Channelは本日、オリジナルの360度動画の配信サービス「360Channel(サンロクマルチャンネル)」をローンチしたことを発表した。360Channelはコロプラの100%子会社で、VRで視聴できる360度動画に特化したサービスを提供するため昨年11月に設立した。これまで事業内容や提供サービスなどに関する情報開示をあまり行ってこなかったが、今月16日になって360度動画の配信サービスを開始すると発表していた。そして昨日、本日のサービスローンチに先駆け、メディア向け発表会を開催したので、その内容をお伝えしたい。

360Channelは「360度動画のテレビ局」を目指すと同社経営企画の中島健登氏は話す。360Channelでは、オリジナルの360度動画製作と動画配信を行う。360Channelは現在20名ほどの社員を抱え、テレビ番組や広告映像の製作に携わってきたメンバー、そして360度動画を製作するための映像をスティッチする部隊で高品質の動画コンテンツをユーザーに届けると話す。

最初に手がけるのは「バラエティ」「旅行」「ライブ」「パフォーマンス」「体験」「ドキュメンタリー」といったカテゴリーの6チャネルで、ローンチ時では22のコンテンツが視聴可能だという。1コンテンツの長さは5分から10分程度だ。お笑い芸人のチュートリアルが司会を務めるバラエティー番組やアイドルの音楽ライブ、ANAと協力し製作した機体工場見学などのコンテンツがある。動画の更新頻度に関しては、ユーザーの視聴習慣を促せる頻度で行ってしていきたいと360Channelは話す。

動画製作には、下の写真にあるGoProのアクションカメラを複数台取付けたVRカメラを使用しているという。

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動画コンテンツはPC、スマホ、そしてヘッドマウントディスプレイ(HMD)で視聴可能だ。ローンチ時にはOculus RiftとGear VRに対応している。順次他の機種にも対応予定だという。ユーザーは360Channelにアカウント登録をすることで動画コンテンツをお気に入りに登録することもできる。

Gear VR

Gear VRと360Channelのアプリ

今回、Gear VRとOculus Riftのどちらでもコンテンツを視聴した。Gear VRとOculus Riftの性能に差があるため操作方法が少し違ったり、動画の画質にも少し差があるが、360Channelでできることは基本的には一緒だという。

360Channelの「チャンネル」は、テレビのようにずっとコンテンツを配信しているということではなく、番組名を指しているようだ。見たいチャンネルの中に複数ある録画コンテンツの中から一つを選んで視聴する形だ。360度動画はYouTubeでもFacebookでも平面のものはいくつか見たことがあるが、HMDで見る360度動画は臨場感があり、ありきたりな表現だが本当にその場にいる雰囲気が味わえた。旅行番組では行ったことがない街のお店を見てまわっているような感覚になり、アイドルの番組では実際に話しかけられているようにも感じられた。ドキュメンタリー作品である熊本の震災現場を写した動画では、これまであまり自分ごととして感じていなかった震災がすごく身近に感じられて恐いと思う反面、震災への備えをしたり、危機感を持とうと思えた。

360Channelの体験デモ

私は今回初めてHMDで360度動画を視聴したが、操作方法は直感的ですぐに慣れることができ、意外とHMDも軽くて快適だった。動画コンテンツも頭の動きと動画表示の差はさほど感じなかったので、違和感なく楽しむことができた。ただ、自分で動画内を見回すという狭い範囲での動きは可能だが、当然のことだが動画の中で歩くことはできないし、また動画は定点で撮影しているものが多く、動画の中でシーンが切り替わることでしか次の場面に移動することもない。動画の中では、さもその場を歩いて回ったり、興味がある箇所に近寄ったりできそうな感覚なのに、そうできないのはちょっともどかしく感じた。

360Channelでは、今後動きに対応する端末への対応や動画にインタラクティブな要素を加えたり、生中継などのコンテンツも追加したりすることも考えていると話していたので、さらにコンテンツが充実していくことに期待できそうだ。

Gear VRは昨年の12月、Oculus Riftは今年の3月末に一般向けに発売されたことを考えると、まだVRが普及するには時間がかかるかもしれない。今後魅力的なコンテンツが増えるほど、より多くの人がHMDを手に取る機会も増えていくだろう。

IMAX、世界に「VR体験センター」を開設へ。独自のVRカメラも開発

A man tries out the Oculus Rift virtual reality headset at the Oculus booth at the Electronic Entertainment Expo on Wednesday, June 11, 2014, in Los Angeles. (AP Photo/Jae C. Hong)

IMAX。映像テクノロジー推進の第一人者である同社が、バーチャルリアリティーのリングに上がるべく、新たに一連のプロジェクトを立ち上げる。

Goolge I/Oカンファレンスの後、IMAXは360度、3Dコンテンツの撮影を可能にする「映画品質のバーチャルリアリティー(VR)カメラ」を開発する計画を発表した。映像技術の巨人は、このプロジェクトをGoogleと協同で進める。Googleは同社のJumpプラットフォームを使い、開発には18ヵ月を要すると予想されている。仕様から見て、これは業務用カメラであり消費者向けではない ― 相当の現金を手離すつもりでない限り。

さらにIMAXは、VRコンテンツに変換するために、既存の映像作品をGoogleに提供すると言った。

VRをスクリーンに持ち込むだけでなく、IMAXはVRスクリーンを消費者の手に渡すことも見据えている。同社は、ショッピングモール等の公共の場所で「VR体験」を提供する準備を進めている、とWall Street Journalは伝えている。言い換えれは、誰でもVRヘッドセットを使ってゲームをプレイしたりビデオを見たりできる場所だ。

スウェーデン拠点のStarbreeze ― ヘッドセットとゲームを提供する ― との提携によって、IMAXはVRセンターを世界6箇所に開設する予定で、ロサンゼルスを皮切りに中国その他の地域へと拡大していく。

この計画は、VRカメラと密接につながっている。なぜならIMAXは映画製作会社のVRコンテンツを作ってもらい、このVRセンターに配信してほしいからだ。

コンテンツ形態としてのVRは、メディア業界への転換が可能だが、配給には根本的問題が残っている。最近本誌のDisruptイベントのパネルで論じたれたように、ヘッドセットのあの形状と価格は、アーリーアダプターか可処分所得の豊富な人に利用が限定され、一方では、自宅でしか使えないことが利用シナリオの可能性を限定している。モバイルVRは問題の一部を解決するものの、別のタイプの課題をもたらす。デバイスは非力なマシンにつながれ、バッテリー寿命の心配やその他のモバイル要因が絡んでくる。

IMAXのVR体験センターは、この配給問題を解決するものではないが、VRを身近にすることはでき、その結果認知度を高め、多くの人々に役立たせることができるかもしれない。少なくとも、将来われわれを興奮させる新たな(そしてカッコいい)映像体験が期待できそうだ。

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3分で分かるGoogle I/O:AndroidのVR標準対応、インストール不要の「Instant Apps」など

Googleは米国時間5月18日10時(日本時間19日午前2時)から3日間にかけて開発者向けカンファレンス「Google I/O」を開催している。カンファレンスでは、AndroidのVR標準対応やインストール不要の「Instant Apps」、ビデオ通話アプリ「Duo」など、さまざまなが発表されている。ここでは発表された内容について、翻訳記事をまとめたかたちでご紹介する。これを読めば、カンファレンスの概要を理解することができるだろう。

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VR筐体「Cardboard」の対応アプリDL数は5000万件に

今回のカンファレンスのキーワードの1つは間違いなく「VR」だ。段ボールを組み立て、Android端末を挿入して利用する安価なVR向けヘッドセット「Google Cardboard」、これに対応するアプリのGoogle Play上でのダウンロードが、5000万件を超えたという。1月時点で2500万件、約4カ月で2倍に増加しているという計算だ。

Google Cardboard、アプリのダウンロード数が5000万を突破

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次世代AndroidにもVRは標準装備

キーノートでは、次世代Android OSの「Android N」のプレビュー版が発表された。製品版は2016年夏の後半にもリリースされる予定だという。マルチウィンドウをサポートするほか、アップデートプロセスも一新する。また、VRアプリが優先的にCPU、GPUにアクセスでき、画面表示のレイテンシーを最小限にとどめる「VRモード」を標準搭載するという

Android Nの新プレビュー版はベータ版品質―アップデートはバックグラウンド、VRモードを標準搭載

このAndroid Nだが、正式名称はユーザーから募集する予定だ。

Android Nの名前はGoogleが決めずにネット上の一般公募になった 

VRモードの詳細な説明はこちらを参照して欲しい。

Android N、レイテンシーを20ミリ秒に抑えたVRモード搭載

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今秋には独自のVRヘッドセットも発売

VRの話を続けよう。Android NのVRモードとともに発表されたのが新しいVRヘッドセットのイメージだ。最初のモデルは今秋にもリリースされる予定で、シンプルなコントローラーも付属する。

GoogleのDaydream VRヘッドセットの参考デザインが発表、ハードウェアの発売は秋から

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アプリとウェブのギャップを埋める「Instant Apps」

もちろん発表されたのはVRだけではない。Android向けに発表された「Instant Apps」は、アプリをダウンロードしてインストールし起動するのではなく、小さな実行可能ファイルに分割することで、ウェブ上でURLをタップしてすぐに実行できる、ウェブとネイティブアプリのギャップを埋める存在になるようだ。

Google I/O: AndroidのInstant Appsはアプリとウェブページとのギャップを埋める新アプローチ

チャットやビデオ通話アプリもリリース

Googleではすでにメッセージングサービスの「Googleハングアウト」を提供しているが、今回のカンファレンスでは新たにAIとの対話を想定したテキストチャットアプリの「Allo」、Facebook競合とも言える1対1のビデオ通話アプリ「Duo」といったコミュニケーションアプリもリリースしている。

チャットにも音声にも対応、Googleがバーチャルアシスタントを発表

Google、新しいHDビデオ通話アプリ「Duo」を発表。AppleのFaceTimeに対抗

その他、今回のカンファレンスに関する記事は以下の通り。

Googleは機械学習アルゴリズム専用の高速チップを内製、なんと、8ビット機だ 

Google、大幅に高速化したAndroid Studioをリリース 

GoogleはNで始まる言葉をネットで募集…でもそれは最悪の企画だ 

UI刷新、キーボード搭載、スタンドアローンアプリなどAndroid Wearが大幅アップデート 

Google、Firebaseをモバイル開発者に向けた統一プラットフォームに進化させる 

第一回Google Play賞、最優秀アプリはHouzzへ、計10種のカテゴリーで優勝作品が受賞 

YouTubeがDaydreamプラットホーム用の専用VRアプリYouTube VRを披露、Cardboardコンテンツは過去のものに

Google、Awareness APIをリリース―Androidアプリがユーザー環境に反応するようになる 

YouTubeがDaydreamプラットホーム用の専用VRアプリYouTube VRを披露、Cardboardコンテンツは過去のものに

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Googleは昨年から徐々に、YouTubeに仮想現実(virtual reality, VR)を目指した機能を導入してきた。360度のビデオフォーマット、立体ビデオ、3Dオーディオ、それにGoogle Cardboardの広範なサポート、などなど。

今日(米国時間5/19)はそのYouTubeが、“VRビデオの世界最大のコレクション”と名乗りを上げ、今後のDaydream対応スマートフォン向けの、完全にVRを主役とするデザインを披露した。

また同社のブログ記事では、NBA, BuzzFeed, Tastemadeなどとのパートナーシップが発表され、彼らと共同で“仮想環境における新しいストーリー提示方法を探求し、クリエイターと視聴者がVRビデオで対話していくための、有意義な教訓を提供していきたい”、とぶちあげた。

YouTubeの発表ではさらに同社は、そのJump VRカメラの事業をロサンゼルスとニューヨークのYouTube Spacesに持ち込み、さらに世界各地でもその事業を展開して、多くのコンテンツクリエイターたちがVRの制作を始められるようにする。

Google Cardboardの場合はどちらかというとVRよりもモバイル優先で、このヘッドセットの先端にスマートフォンを挿入して、その画面上でCardboardアプリからコンテンツを見るのだった。しかしDaydreamはいわばVR専用機だから、それに対応するYouTubeもまったく新しい設計/デザインになる。

そのYouTube VRアプリはまだ詳細が不明だが、とにかくそれは完全なVRで、ユーザーにはプレイリストや音声による検索/発見機能が提供されるようだ。

VRでどうやってユーザーがテキストを入力するのか、それとも検索はYouTubeだけでなく、Daydreamの全体的なインタフェイスとして音声のみにするのか、どっちだろう。I/OカンファレンスでGoogleが見せた参考設計のコントローラーでは、画面上のアイテムをレーザーポインターのようなものでセレクトする。テキストも、文字をそうやってセレクトしながら入力するのだろうが、分かりやすい反面、面倒だね。

YouTubeが今回、寛大にも見せてくれた唯一のスクリーンショットでは、ビデオ再生中のポーズ画面が、ナビゲーションをコントロールするインタフェイスになるようだ。Daydreamのユーザー体験は、Gear VRなどそのほかのモバイルVRヘッドセットのナビゲーション方式とは、かなり違うものになりそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Android N、レイテンシーを20ミリ秒に抑えたVRモード搭載

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今年のI/O開発者カンファレンスでGoogleが自社の仮想現実ヘッドセットをローンチするかはまだ分からないが、最新バージョンのモバイルOS「Android N」ではVRアプリ専用モードを搭載することが分かった。

このモードでは、VRアプリをフォアグランドで使用する時、アプリが端末のコアプロセッサーへの独占的なアクセスを確保する。センサーパイプラインを改良したこと、そしてAndroidのVulkanグラフィックAPI対応を行ったことで、GoogleはNexus 6PにおけるVRモードのレイテンシーをおよそ20ミリ秒にまで短縮することができたという。この数値はモバイルVRで最も高い水準だと言える(Gear VRの駆動する水準と同等だ)。

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「Androidの開発を始めた時、このように多様なユースケースまで想定していませんでした」とAndroidの開発VPであるDavid Burkeは私には話した。VRではレイテンシーが最も大きな課題だったという。 Burke が「モーションとフォトンの比率」と呼ぶこの問題は、VRヘッドセット、特にモバイルのVRにとって長いこと課題だった。ユーザーの頭の動きと画面上の映像との遅延が大きいほど、ユーザーはそのシーンの中にいるように感じられなくなる(酔って気分が悪くなってしまうこともある)。

改良の余地はいつでも残っているものだが、レイテンシーを20ミリ秒に抑えることが快適に使用するために重要な水準だと考えられてきた。OculusのCTOであるJohn Carmackは、この水準での遅れなら「たいてい感じられない」と言う。他のOculus、HTC、Sonyといった高価格帯のヘッドセットではより高度なグラフック要件が必要だが、レイテンシーの水準はだいたい同じくらいだ。

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この新たなVRモードでは、アプリはスマホのCPUとGPUにおける全ての処理能力にアクセスがあり、画像を可能な限り素早くレンダリングする。また、Googleのチームは単一のバッファーを使用し、アプリが画面上でスキャンラインを追うようにすることで、画像のバッファー方法を変更した。

また、VRモードはOculusのTime Warpingと似た手法を採用している。画像を表示する直前にユーザーの頭の動きを検出して画像を構築し、随時現在の頭の位置を確認して、素早くその位置に合うように画像を調整している。

もし手持ちのスマホディスプレイが残像を最小にできないのなら、この機能は役立たないだろう。なぜならピクセルの色が十分な速度で変わることができず、動きがほとんどぼやけてしまうからだ。

今回Googleが注力したのはパフォーマンスの改良であることは明らかだが、Googleのチームはこのモードに他の機能も付け加えた。例えば通知の他にアラームや着信も確認することができる。これらは全てステレオ投影3Dでレンダリングしたカードで通知する。

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GoogleはこのVRプラットフォームを「Daydream」と名付けた。GoogleはVRモードの他に、これに対応するヘッドセットやコントローラーなどのハードウェアを認定していくという。Googleは、VR体験の中で利用できる特別なPlayストアを構築し、すでにNew York TimesやNetflixといった複数のアプリ開発者と協力して、Daydreamアプリを開発している。Googleは自社のPlayアプリ、 StreetView、YouTubeとGoogle Photosもこのプラットフォームに持ち込む計画だ。

Daydreamプラットフォームは今年の秋にローンチ予定だ。

GoogleはAndroid VRに最初から対応しているスマホ端末も認定する。もちろん、Googleのフラグシップ端末であるNexus 6Pに最初の認定レーベルが付く。Googleは、Samsung、HTC、LG、Huawei、ZTEからもVR対応のスマホを提供し、他のスマホも認定していく予定だという。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

GoogleのDaydream VRヘッドセットの参考デザインが発表、ハードウェアの発売は秋から

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2012年のGoogle I/Oの圧倒的な主役は、多くのスカイダイバーやバイカー(自転車乗り)やクライマー(登山家)を動員してデモを行ったProject Glassだ(今から思えば)。 その2年後のGoogleは、来場者全員にCardboardヘッドセットを進呈し、その年のI/Oはそれでキマリ、となった。さらにその後それは、某日刊紙が読者に無料で配る景品になった。

スマートグラス(glass,眼鏡)とVRヘッドセット、この二つは、どちらも大成功、とは言えなかったが、ひとつだけ確かなのは、Googleが人間の顔にコンピューターの画面を貼り付けることによって、知覚の体系を変えようとしていることだ。

当然、その執念は1〜2年で立ち消えになるものではない。まさに予想されたとおり、今年の同社はVRハードウェアを一段と進化させた。その“Daydream”と呼ばれるプラットホームと、AndroidのニューバージョンAndroid NのVRモードと共に、最近噂でもちきりだった新しいヘッドセットが披露された。まだ、サードパーティのデベロッパー向けの、最小限の機能しかない参考設計だが、サードパーティのハードウェアデベロッパーもターゲットとしてねらうヘッドセットとコントローラーの概念モデルがデビューした。

今のところ情報は乏しいが、しかし同社によると、今は“複数の”デバイスを準備中で、最初の装置が秋に出る。Googleによると、スペックは光学的側面と快適性の両方に配慮し、ユーザーが期待する、あるいは気になる点をすべてカバーしている。VRのユーザー体験そのものも、Cardboardの素朴なレベルを卒業して長時間楽しめるものになっている、という。

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コントローラー(上図)は、とてもシンプルな楕円形で、いくつかのボタンと、クリックしたりスワイプできるタッチパッドがある。内部には方向センサーがあって、より没入的な動きの制御を可能にしている。Googleは今日のI/Oのステージで、まるで“マジック”のよう、という言葉さえ使った。また、柔軟性にも富むので、実際にそれを見たサードパーティデベロッパーたちは喜んでいるそうだ。

何度も言って申し訳ないが、このハードウェアに関する情報は今のところ希薄だ。でもGoogleは、パートナーの名を誇らしげに挙げた。Google PlayのDaydreamバージョンもあるから、The New York TimesThe Wall Street Journal、CNNなどの既存のVRアプリも、ふつうに参加できる。

Hulu, Netflix, HBO, それにIMAXなども、GoogleのVRのコンテンツパートナーだ。ゲームのUbisoftとEAもそう。Googleはスマートフォンを”Daydream対応”にするためのスペックも公表しており、この新しいヘッドセットが処理能力、センサーの機能、ディスプレイの仕様、すべてにおいて、同社の新しいVRプラットホームとしての十分な力を持っていることを、示唆している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマホVRのハコスコがKDDIとアイ・マーキュリーから資金調達、業務提携も拡大

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現地時間の5月18日に開催されたGoogle I/OでGoogleがスマートフォンVRのプロジェクト「Daydream」を発表したばかりだが、日本でもスマートフォンVRに関する動きがあったようだ。段ボール製の筐体を組み立ててスマートフォンを差し込めば、簡単にVRコンテンツを体験できる「ハコスコ」。このハコスコとVR動画共有プラットフォームの「ハコスコストア」を提供するスタートアップのハコスコが5月19日、KDDIの運営するファンド「KDDI Open Innovation Fund」およびミクシィ傘下のマーキュリーキャピタルから合計約5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

ハコスコの創業は2014年7月。代表取締役を務める藤井直敬氏は、MITの研究員を経て、独立行政法人理化学研究所(理研)の脳科学総合研究センター適応知性研究チームのリーダーとして「SR(Substitutional Reality:代替現実技術)システム」の開発に携わってきた。現在は、VRコンソーシアムの代表理事も務めている。2014年にはANRIがシードマネーとして3000万円の出資を行っている。

以前の取材でも聞いたのだが、ハコスコは初月から単月黒字を達成している。ビジネスはハコスコの販売や、アプリを通じたVRコンテンツ配信チャンネルの販売、VRコンテンツの製作など。企業のプロモーションなどで利用されるケースが多く、これまでに約50件の導入事例があるという。その内容は音楽アーティストの映像特典やアート、博物館の企画展と連動したコンテンツなど。筐体の荷台数は17万個。ハコスコストアのアプリダウンロード数はiOS、Android合わせて7万件。特定ユーザーへの限定公開も含めて、約5000本のVR動画がクライアント企業やユーザーからアップされた。

「ハコスコ本体も販売しているが、それだけでは価値を出せない。プラットフォームからコンテンツの提供までワンストップで実現できるのが強み」(藤井氏)。3D表示機能(左右の目それぞれに視差のある映像を表示することでe映像を立体的に見せること)についてはGoogleよりも早く対応している。

今回の資金調達はいずれもCVCからだが、これは事業提携の意味合いも強いためだそう。KDDIは今後VRプラットフォームの営業および集客⽀支援、同社のAR事業「SATCH」との連携を進める。またミクシィとは、先日発表されたばかりの「きみだけ360°チャンネル」を始めとしたVR エンタメコンテンツの開発で提携する。その他にも、エイベックス・ミュージック・クリエイティヴ、グリー、アマナ凸版印刷、ポニーキャニオン、博報堂/博報堂プロダクツとの業務提携を進める。また、不動産、旅行、冠婚葬祭といった領域での提携も拡大。筐体はこれまでEC限定で販売していたが、今後は大手家電量販店でも販売していく。

ハコスコでは今後、段ボール筐体にこだわらず、スマートフォンだけでVR、ARなどを楽しめるプロダクトも開発していくという。「過去・現在、CG・リアルという4象限で言えば、今までは過去、CGの組み合わせのコンテンツが中心だった。それを現在、リアルなものであっても、(過去、CGと)あまり変わりのない体験にしたい」(ハコスコCOOの太田良恵子氏)。KDDIとの連携でARエンジンを組み込むほか、位置情報などをもとに「ある地点である方向を向いた際にだけ特定の体験をさせる」という、位置ゲー(位置情報ゲーム)のような体験を提供していくとしている。

Eyesight、スマホの標準ハードウェアを使ったVR用ジェスチャーコントロールのデモを公開

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ここ数年間、EyeSightはモバイル端末からスマートメガネまで、様々なプラットフォームにジェスチャー制御技術を提供して、その名を定着させてきた。今日の発表によると、同社はそのテクノロジーが最も威力を発揮するであろうプラットフォームに進出する:バーチャルリアリティーだ。

プロジェクトの詳細はあまり公開されていない。広報担当者に問い合わせたところ、テクノロジーの財産的価値を守るために、EyeSightは詳細を公開しないという回答だった。それでも、新たなVR機能はソフトウェアのみのソリューションであり、一般的スマートフォンカメラを利用し、Googleカードボード製品のような、スマートフォンベースのバーチャルリアリティーシステムに、モーションコントロールを提供する、ということがわかっている。

そのための追加ハードウェアは不要で、スマートフォンのCMOSセンサーを利用する。このイスラエルのスタートアップは、YouTubeビデオで簡単な機能説明をしている。

すべてはまだ全くの初期段階だが、EyeSightは「近い将来」SDKを公開する計画を明かした。私は、CEOのGideon Shmuelに、VRのモーションコントロール以外に、同社がどんなことを考えているのかを尋ねた。

「われわれは、ユーザーにとって自然で直感的な指の動きを使って、VRの操作をもっと身近にするためにシステムを設計した」とShmuelが私に言った。「ジェスチャーコントロールを組み込むことによって、VRでタッチフリーの操作が、ハードウェアの追加や変更なしに実現できる。現在3Dセンサーを使った没頭的タッチフリーコントロールの開発も進めている」

近いうちにもっと没頭的なデモを見られることを期待したい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

視野角210度、解像度5120×1440の超高級VRヘッドセットStarVRがAcerと提携してハイエンドエンターテイメント市場をねらう

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昨年のE3でデビューしたStarVRは、ビッグネームたちの影に隠れてしまっていたが、でも、このハイエンドのヘッドセットを試してみることのできた人たちは、感動した面持ちでブースを去っていった。

なによりもまず、このStarbreeze社のハードウェアは視野角が大きくて、OculusやHTCの110度に対して210度だ。パネルはWQHD(Wide Quad-HD)左右2基で5120 x 1440の超精細を誇る(RiftとViveは2160 x 1200)。

このゲームスタジオからの今週の発表によると、同社はハードウェアではAcerとパートナーしている。両社は設計と製造とプロモーションで協働し、その契約内容はStarVRを“プロフェッショナルで位置対応のエンターテイメント市場”に持ち込む、となっている。RiftやViveが狙っている家庭のリビングルームは相手にしない、とも読める。

ハイエンドのスペックと、おそらく、その高価格からは、それも当然だ。

AcerのCEO Jason Chenによると、すでにStarVR対応のPCを作りつつある。“弊社のR&DチームをVRエコシステムの複数の側面に割り振り、安定的で高品質な体験の実現を目指している。すでに先月Acerは、StarVR完全対応の強力なデスクトップとノートブックを発表した”、ということ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VRコンテンツの進化に欠かせない視界捕捉(viewcapture)ツールをOculusがGearVR互換スマートフォンに提供

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つまりこうだ: 複数の画面の情報を目が三次元の仮想空間へまとめようとしているときは、もはやそれは“スクリーンショット”とは呼べないし、それは、そんな経験を言い表す適切な言葉でもない。そこでそれを、ビューキャプチャ(viewcapture, 視野・視界を捕捉する)と呼ぼう。

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スクリーンショットなら簡単

もうひとつの別の問題は、今あるVRヘッドセットやVRプラットホームはどれも、製品自体にビューを捉える機能がないこと。サードパーティのソリューションはもちろんあるが、でも、まるでスクリーンショットをとるときのように簡単にVR体験を記録できることが、VR製品の理想的なあり方だ。

まだそこまで行っていないけど、OculusがGearVR互換フォーンに対して行ったアップデート(Road to VRに初出)は、少なくともその方向への第一歩だ。[back]ボタンを押し下げると出るユニバーサルメニューの”Utilities”のところに、捕捉(キャプチャ)ツールがある。

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ネイティブに捕捉されたショットは、単眼で1024×1024という、ささやかなものだ。オーディオをビデオとは別に録音しなければならないから、この内蔵ツールは使えない、という人もいるだろう。でもそれは安上がりのVRのための安上がりのソリューションだから、今後は良くなる一方だ。

これはまったく新しい機能ではなく、デベロッパーには前から提供されていたが、アップデートの公式ロードマップには数か月前から載っていた。そして、今回のパッチ1.17.7で、一般供用になった。

しかしVRコンテンツの普及を阻む大きな障害がある。ヘッドセットがないとトライできないし、しかもあんなものを装着したいと願う人間は、世の中にあまりいない。VRの大衆的普及のためには、それが、今の、アーリーアダプターしか手を出さないようなものから徐々に、シンプルな技術へと進化していく必要がある。そして、今のお粗末な地下室の多くが、本物の洞窟(のVR)へと変わっていくべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

799ドルの仮想現実撮影カメラVUZEが予約販売を開始…お安いが4K 3D 360度も可能

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仮想現実は高価だ。Oculus RiftやHTC Viveのようなハイエンドのヘッドセットは599ドルとか799ドルするし、VRのコンテンツを撮影するためのカメラはその何倍もする。

同じ799ドルでも、それがカメラなら、まあ安いとは感じなくても“手ごろ”とは言えるだろう。その、手ごろと思われるVUZEは、NokiaやFacebookの数万ドルするやつに比べると、たしかに手を出しやすい。

イスラエルの画像企業HumanEyesが開発したこのポータブルカメラは、8台のカメラを内蔵し、平面的で矩形の本体の外辺部に計4つのペアを構成している(上図)。これらにより、4Kの360度仮想現実ビデオを撮れる。

その低価格は、あきらかに消費者をねらっている。一般消費者にとって、仮想現実はまだ、高嶺の花の技術だ。しかしこのカメラは一回のクリックで撮れる、いわゆる“押すだけカメラ”だから、かなり敷居が低い。

同社のCEO Shahar Bin-Nuはこう語る: “これは初心者にもエキスパートにも向いている。また、いくらでも編集に凝ることができるから、相当クォリティの高い商用製品の制作も可能だ”。

このカメラには、三脚とキャリーケースと、編集ソフトVUZE Studioがつく。今日(米国時間5/12)から799ドルで予約販売を開始するが、発売は10月の予定だ。

この製品のターゲットについて、Bin-Nuはこう述べる: “消費者もそうだが、プロシューマーのメイカー日本語Wikipedia)たちからも関心が集まっている。今の3Dカメラは主にカメラが2台だが、こちらは8台だから、2Dとしては最高の体験を提供できる。プロシューマー向けの3D VR機能もあり、それをハリウッド的なノウハウや予算のない人たちでも駆使できる”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

360 Photosはスマートフォンカメラでニュースフィードにパノラマをアップできる―Gear VRにも対応

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パノラマ写真やビデオのファンも増えてきたが、Facebookでのユーザー体験にはデスクトップであれモバイルであれ、デバイスの中に閉じ込められているという限界があった。そのユーザー体験はニュースフィード上とOculusのアプリを利用したSamsung Gear上で大きく改善されることになる。

これを期にFacebookはGear VRの利用統計を初めて公表した。これによると月間ユーザーは100万の大台に到達した。またユーザーは1日当たり平均25分利用している。このプラットフォームを使おうとしているデベロッパーには心強い数字だ。

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iPhoneやGoogle Photospheresその他 360°パノラマ写真を多く見かけるようになっているが、Facebookの次回のアップデートでは360 Photos機能が追加され、ユーザーは2次元のパノラマ写真を簡単にアップロードできるようになる。Facebook ではデータを処理し、ニュースフィード中の360 Photosで表示できるようにする。通常表示の場合、ユーザーは画面長押しやマウスによるドラグなど視点を移動することができる。 Gear VRを装着している場合は周囲を見回せばよい。

360 PhotosはVRコンテンツを誰でも作れるものにする。通常のパノラマ写真から生成されるのでユーザーは特別のVRカメラを持っている必要がない。iOS 6以降のiPhone、v4.2以降のAndroidならどれでもよい。また360°写真用アプリは無数に存在し、ダウンロード可能だ。事実、多くの人々がこれまでもパノラマ写真を撮影していたが、それをFacebookで見られるようにするのが一苦労だった。

GoogleはAndroid向けにPhoto Sphereシステムを開発し、ユーザーが簡単に 360°パノラマを撮影し、段ボール製のGoogle Cardboardのような簡易なヘッドセットでVR体験ができるようにした。

Facebookでは昨年9月からニュースフィードに 360°パノラマを導入している。しかし360°パノラマを撮影するのはかなり難しく〔800ドルのBubblCamなどの〕高価なハードウェアを必要とした。今後はほとんどのスマートフォンで仮想現実が撮影できることになる。

Gear VRのユーザー、100万の大台

Samsungは6ヶ月前に全世界でGear VRをリリースした。この価格99ドルモバイル用ヘッドセットはFacebook傘下のOculusのVRテクノロジーを利用している。ユーザーは最新の
Galaxyスマートフォンをヘッドセットに装着するだけで仮想現実が楽しめる。今回FacebookはOculusのテクノロジーの利用状況の一端を明らかにした。

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Facebookによれば、先月のGear VRのユーザーは100万人以上だったという。デベロッパーはMinecraftなどのゲームを含む250種類以上のアプリを開発し、多様なVR体験を提供している。

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VRはゲーマー専用のテクノロジーだという偏った考えを打破すべく、ユーザーの80%はGear VRのトップ10ビデオ・アプリのうちの7種類を使って毎日ビデオ・コンテンツを視聴するとFacebookは指摘している。

Gear VRには新しいビデオ番組もやって来る。Felix & Paul StudiosのNomadsシリーズはモンゴルとケニヤの遊牧生活をする人々を描写している。Discovery Channelはアラスカ沖でのカニ漁をテーマにしたヒット番組、『ベーリング海の一攫千金(Deadliest Catch)』のVR化を準備している。

Oculus自身もGear VRのOculus Homeをアップデートし、最新のコンテンツが探しやすくなるなど使い勝手が改善される。Oculus Mobileアプリには「最新のコンテンツ(What’s New)」セクションが設けられ、新しくアップされたコンテンツがハイライトされる。新しいVR体験を待っている人々には朗報だ。

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新しいOculus Homeデザイン

Oculus RiftのようなハイエンドのVRは大きな話題になっているものの、VRをメインストリームにするのはGear VRのような手軽なモバイル・デバイスだ。しかしVRの人気を盛り上げるためには、優れたコンテンツが大量に必要だ。こちらにFacebookの2016年のトップ360°ビデオがリストされているが、ユーザーはVRコンツの数が少ないことに苛立っている。あるユーザーは「〔優れたコンテンツは〕もう全部見てしまったので最近はVRを使う時間が減っている」と私に語った。

Facebookのオープンソースの360サラウンドVRカメラなどはプロ志向のアイテムだったが、新しい360 photo機能はもっと一般向けだ。iOS、AndroidデバイスでFacebookを使っている数多くのユーザーがコンテンツをアップロードするようになればVRヘッドセットに手を伸ばす機会も増えることになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

iemo創業期メンバーが立ち上げたのは“サッカー×VR”の新メディア「サカチャン」

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2016年は”VR元年”だなんて言われているが、その波はオンラインメディアにも押し寄せている。2015年11月設立のSkyballは5月11日、サッカー特化の動画メディア「サカチャン」を正式公開した。

サカチャンはサッカーに特化した動画メディアだ。Jリーグの各チーム(オープン時点では横浜F・マリノス、大宮アルティージャ、セレッソ大阪の3チーム)の練習風景を中心に取材。短い動画として編集して配信する。動画の一部は360度動画になっており、スマートフォンなどを使って、臨場感のあるコンテンツとして楽しむことができる。

Skyball代表取締役の熊谷祐二氏

Skyball代表取締役の熊谷祐二氏

基本的に配信するのは独自コンテンツだ。チームごとに週1回の取材を行い、毎回20本程度の動画を作成するという。ベータ版運用時に公開した横浜F・マリノスの中村俊輔選手の360度動画は、Facebookでのシェアのみで公開から48時間で20万人以上に視聴されたという。「練習風景の動画コンテンツは世に出回ってない。ヨーロッパのクラブチームならYouTubeの専門部隊などがある場合もあるが、日本ではほとんどなかった」(skyball代表取締役の熊谷祐二氏)

熊谷氏は2007年に起業。求人情報検索サイトやソーシャルゲームなどの領域を手がけた。その後2014年には4人目のメンバーとしてiemoに参画。おもに国内での経営、開発のマネジメントを行った。iemoは同年9月にディー・エヌ・エーに買収されるが、買収後に同社を退社。2014年末から世界一周の旅行に出かけたのちにSkyballを起業した。

「iemoでの経験はとてもエキサイティングだった。代表(の村田マリ氏)がシンガポールを拠点にしていたこともあり、国内を中心に様々な経験をさせてもらった。その一方で、自身が30歳を迎えるにあたってゼロイチでサービスをやりたいという思いが強くなっていた」

「そんなときに興味を持ったのが『SportTech』。自身が高校まで野球をしていたし、旅先ではプレミアリーグなどサッカーの試合がどこでも、みんなで盛り上がることができると知った。ITとスポーツ、どちらも人と人を繋げるもの。今では選手が自らメディアで発信もするし、ビッグデータだって活用されている」

「(FCバルセロナ所属でブラジル代表選手の)ネイマールのインタビュー記事で『子どもの時にネット上にあったブラジル代表の練習動画を観て、技術をマネしていた』という話があった。調べてみると今どきのサッカー少年は、親や自身のスマートフォンでゲームをするか、YouTubeでサッカー動画(好きな選手のハイライトやテクニック集)を観ていることが分かった。米国ではThe Player’s Tribuneuninterruptedなど新しいスポーツメディアも登場しており、この領域に挑戦しようと思った」

今後は取材範囲を拡大するほか。撮影スタッフやエンジニアなどの人材の採用強化を進める。現在は外部資本を入れていないが、資金調達も検討している。

熊谷氏は単純に動画メディアを成功する、というだけでなく「スポーツクラブの良きIT商社」になりたいと語る。「スポーツ業界にあらゆるITソリューションを提供していきたいし、クラブだけでは対応しきれないコンテンツを提供し、選手とファンの新たなコミュニケーションの場を作りたい」(熊谷氏)。また今後はVRやARを使うことでスポーツの新たな視聴体験を提供していくという。

フジテレビとグリーがVR領域でタッグ、共同プロジェクト「F×G VR WORKS(仮)」を展開

左からグリー 取締役執行役員常務の青柳直樹氏、フジテレビ コンテンツ事業局長山口真氏

左からグリー 取締役執行役員常務の青柳直樹氏、フジテレビ コンテンツ事業局長山口真氏

今日5月10日は、グリーと一般社団法人VRコンソーシアムがVR(仮想現実)市場の拡大を目的にしたカンファレンス「Japan VR Summit」を東京・品川で開催中だ。これと合わせるかたちでグリーはフジテレビジョン(フジテレビ)とVR領域における業務提携を発表した。

両社は今後、共同プロジェクト「F×G VR WORKS(仮)」を展開する。プロジェクトでは、フジテレビが持つ企画・キャスティング力と映像コンテンツ制作力、グリーが持つVRコンテンツ開発力とWeb・アプリ開発力を結集することで、良質なVRコンテンツを製作提供する体制を構築するとしている。

提携の第1弾として、 良質なVRコンテンツの製作を希望するクライアント企業に対して、VRコンテンツ制作に関わる企画・キャスティング、撮影・編集、アプリ・機能開発、イベント運営、配信、プロモーションなど、全ての領域をワンストップで提供していくとしている。

両社はこれまでにもVRコンテンツの制作・研究を進めてきている。フジテレビでは2015年に総合エンターテインメントサービス「FOD(フジテレビオンデマンド)」内で、360度撮影したVR動画コンテンツを提供。また音楽番組「Love music」内でアーティストのライブパフォーマンスを360度VR動画で収録するなどしている。またグリーは2015年の東京ゲームショウでVRタイトル「サラと毒蛇の王冠」を出展。同年11月にはVRコンテンツに特化舌「GREE VR Studio」を立ち上げ。さらに2016年4月には北米VRスタートアップを中心に投資するファンド「GVR Fund」を組成してしている。

今回の提携について、フジテレビ コンテンツ事業局長の山口真氏は「スポーツや報道、音楽ライブといったジャンルでのコンテンツ制作とVRの親和性は高く、テレビ局のノウハウを最大限活用して、これらのジャンルを中心にユーザーに支持されるサービスを開発していく」とコメント。またグリー 取締役 執行役員常務の青柳直樹氏は、「日本を代表する映像コンテンツ技術、サービスの実績とノウハウを持つフジテレビとの提携により、良質なVRコンテンツを全方位的に制作できる体制を作り、市場全体の拡大に貢献していくことを目指す」とコメントしている。

VRはメディアコンテンツに変革をもたらすが、ヘッドセットは進化しなければならない

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仮想現実は、全く新しい没入的な体験を大勢の人に届けることを約束するが、まず既存のハードウェアは進化しなければならない。

NextVRの共同ファウンダーDave ColeとModsyの共同ファウンダーでCEOであるShanna Tellermanの共通の見解だ。VR業界のベテラン2名がTechCrunch Disrupt New Yorkのステージに登場し、誇大に強調されているが、潜在的に変革をもたらす可能性のある媒体の開発について語った。

Tellermanの会社は2月に800万ドルを調達し、ユーザーが自宅と同じ仮想空間の制作を可能とするサービスを構築している。ユーザーは仮想空間で様々なインテリアデザインや内装を試すことができる。VRでよく挙げられるゲーム、スポーツ、ポルノといったコンテンツとはまた異なるコンテンツだ。Tellermanは、初期のハードウェアを持つ白人男性以外にVRが浸透するにはまだ時間がかかるだろうと話す。

「現実には、最もVRを活用できる多くのコンシューマーはまだVRを自宅のリビングに置いていないということです。私たちはVRを支える素晴らしいテクノロジーを持っていて、住宅のデザインを行っています。VRが浸透した際にはそれを有効活用できる準備を整えています」と彼女は言う。

NextVRは最近シリーズAラウンドで3050万ドルを調達し、LiveNationとも契約を取り付けた。すでに Kentucky DerbyやNBAの試合といった複数のスポーツを放送している。多数の新機能も追加予定だという。例えば、位置のトラッキングや動きの検知などだが、Coleは自社のプログラミング開発の領域を広げたいと話す。

「広範なオーディエンス向けのコンテンツは一筋縄ではいかない課題です。私たちは現在、特定の分野にだけ注力しています。クリティカルマスが必要です。 VRがクリティカルマスに到達するにはコンテンツを提示する必要があります」と彼は説明する。

しかし、一回体験したら後戻りはできないという。「一回その体験をしたら、他の動画を見るのは水槽を眺めているような気分になります」とColeは言う。

仮想現実がクリティカルマスに届くにはどうすべきか?

時間の他にTellermanとColeはどちらも新しいハードウェアの体験が必要だと考えている。自宅で体験できる固定されたVRは仮想現実と拡張現実のコンテンツによる体験の潜在能力を示しているが、まだコストが高く、ぶかっこうで居心地が良いものではない。そのために限定的な初期ユーザーの中でしか利用されないだろうという。

「多くの人は顔に何かを着けるのに抵抗があります。トレンドはトレンディーな人から始める必要があるでしょう。シリコンバレーとか。たまには上手くかもしれませんよ」とTellermanは冗談を言う。「形状も良いものでなければなりません」。

「メインストリームになる前に形状は変えなければなりません」とColeも同意する。

NextVRのファウンダーは、LGが今年の初めに発表した軽量VRヘッドセットのプロトタイプ「LG 360 VR」について、これがアーリーアダプターより広いオーディエンスに仮想現実の浸透を促すタイプの端末だろうと話す。また、MicrosoftのHoloLensにも言及した。HoloLensは早くも成功を約束した機能の実現を見せ、開発に1000名以上のエンジニアが携わっている。

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「ヘッドセットより先があると思います。スマホかもしれないですし、目に映すのかもしれませんが、家に置いてあるゴーグルではないと思います」とTellermanは話す。

どちらもVRが次の真正なブレークスルーをもたらすと考え、3D TVのように失敗しないだろうと話す。

「3D TVはほんの少ししかテレビの体験に価値を加えることができませんでした」とテレビ業界に関連した会社を持つColeは説明する。「VRは人の視覚システム全体を使います。3Dではできなかったことです。iMaxシアター以上に、これまでの何よりも没入的な体験です」

「3Dゴーグルは失敗するかもしれませんが、VRコンテンツは別次元の没入感をもたらします。素晴らしいビジネスを作っているように感じています」とTelleremanは同意した。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

NextVRがスポーツに次いでコンサートもライブVR中継へ…大手プロモーターLive Nationと契約

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スポーツの実況ストリーミング中継を3D(立体映像)のVRでやる、という大事業に挑戦したNextVRが、今度はその次のビッグな市場に挑む: 仮想現実によるコンサートのライブ中継だ。

このほどNextVRは大手プロモーターのLive Nation〔日本法人あり〕とパートナーして、これから“何百もの”コンサートやイベントを同社の仮想現実プラットホームにライブでストリーミングしていくことになった。

今回の大メジャー級のパートナーシップは、NextVRがライブイベントのVRストリーミング市場で、その初期から強力な地歩を築きたい、という強い意思の表れだ。今年の初めには同社はFox Sportsと複数年の契約を結び、今後そのネットワークからライブのスポーツイベントをブロードキャストしていく。

NextVRはすでに、Comcast VenturesやTime Warner Investmentsなどから3550万ドルの資金を導入している。

NextVRが参入するコンサートのVR放送という分野は、明らかにまだ若い市場だが、すでにVRLIVEなどの仮想現実スタートアップが探究を始めている。VRLIVE社は、同社独自の“3D VRオーディオプラットホーム”をアップグレードしてコンサートのストリーミング中継を行い、VRによるもっともリアルな音響体験をユーザーにお届けしたい、としている。

今、NextVRのストリーミングの“受信機”はSamsungのGearVRに限られているが、もうすぐそのほかのプラットホームにも対応していく、と同社は言っている。

P.S. 月曜日(米国時間5/8)のDisrupt NYでNextVRの協同ファウンダーDave Coleにインタビューする予定なので、それをFacebook Liveでご覧いただくか、または残り僅かなチケットをお買いいただき、カンファレンスにご来場いただきたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SamsungのVRベッドタイムストーリーは、本当にキュートか?

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Samsungは子供のことを心配している。よく眠っているか? 親が仕事でいない時、寂しがっていないか? VRヘッドセットを親の手を借りずに装着できるか? 最後が非常に重要だ。なぜならSamsungは、子供たちが寝る前に通常に読み聞かせの代わりに、VR体験を楽しんでほしいと思っているからだ。〈なぜそうしたいか?〉はわからないが。

まず、大真面目で言うと、IT企業が子供と親をつなごうとする取り組みは何であれ推奨されるべきだ。問題 ― 子供がママやパパを恋しがる ― を発見し、「もし…ならクールでは?」と考えるのは良いことだ。彼らにとっては。

しかしいくつか ― 私が知らないだけかもしれないが ― 気になることがある。

vr_enviroまず、寝る前に液晶画面を見つめることについて、われわれは既に警告されている。睡眠を妨げる等の理論がある。その意味で、ベッドタイムストーリーはリラックスして心を落ちつかせる時間であるべきだ ― 親が話す昔話や想像の世界は眠りを誘う。ダイナミックな360度バーチャル環境はその正反対で、寝る前の活動としては問題がある。

それに加えて、幼少期のVR利用に関する研究は殆ど行われていない。思うに、1日5分ずつなら子供の脳は変化しないだろうが、私は医師ではない。ただ、現時点でリスクを冒すようなものではないと感じるだけだ。

もう一つ、やや脱線するが、なぜパパや他のママが読み聞かせしてやらないのか? それも答ではないだろうか。大きなヘッドセットでなくビデオ通話で顔が見えるだけでもいいだろう。

VRは本物になりつつあり、親や先生は子供たちの生活にプラスに生かす方法を見つけるに違いないと思っている。しかし、この応用に関しては少々強引で未熟さを感じる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「宇宙」のVR化を目標に、自前の衛星打ち上げを目論むSpaceVRが125万ドルを調達

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バーチャルリアリティに期待されることのひとつは、決して訪れたことのなく、また訪れることのない場所に、実際にいるような感覚を体験することだろう。その「訪れたことのない場所」のひとつは、文句なく最後のフロンティアたる「宇宙」ということになる。

SpaceVRは、宇宙のVR化を本気で実現しようと歩み始めている。高解像度の360度カメラを宇宙に配置し、VRヘッドセットを通して宇宙の素晴らしさをみんなに体験してもらおうとしているのだ。

SpaceVRの従業員は5名だが、このたびシードラウンド資金として125万ドルの資金を調達した。リードしたのはShanda Groupで、Skywood Capitalもこのラウンドに参加している。この資金はいろいろな意味で社を「高み」に押し上げることとなるのだろう。

ご存知かもしれないが、SpaceVRは昨年9月にはKickStarterキャンペーンを展開していた。これもカメラを宇宙に送り出すことが目的のキャンペーンだった。ISSから映像を地球に送ることを目的として11万ドルを超える資金を集めた。

それから数カ月が経ち、SpaceVRはより大きな夢を描くようになった。自前の衛星を打ち上げようと考えるようになったのだ。この夢の実現のためには、やはり比較的小規模な企業ともいえるSpaceXと連携することを考えた。カメラを200マイル上空まで送り届け手もらおうと考えているのだ。カメラはOverview 1と名付けられ、4K魚眼レンズを2台搭載している。そして6ヶ月の宇宙滞在期間中に衛星の周りをさまざまな角度から撮影しようというプランだ。

VR映像を手がけているChris Milkは、VRを称して「究極の共感マシン」(ultimate empathy machine)と呼んだ。SpaceVRのファウンダー兼CEOであるRyan Holmesは、宇宙空間を描くVRをを完成させることは、人間の感性にとっても非常に大きな意味を持つことになると主張している。Holmesとはチャットで話したが、彼は「オーバービューエフェクト」(Overview Effect)ということを言っていた。すなわち、地球の姿をはるか遠く(宇宙)から見る経験をした人は、「人類」というものに思いをいたすようになり、そして地球上で「大問題」として扱われることも宇宙規模から判断が下せるようになるというのだ。

「物事のプライオリティーがまったく変わることになるでしょう」とHolmesは言っていた。「より強くサステナビリティについて考えるようになるでしょう。地球上で行われている数々の無駄について、意識を巡らせることができるようになるはずです」。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

ソニーグループのCrackleがVRコンテンツ(とVR広告)の配信計画を発表

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また新たなデジタルストリーミングサービス上にVRコンテンツが登場する。今回はソニーのCrackleだ。ただ、本日(米国時間4月20日)のソニーの発表によると、今回のVR化はコンテンツだけではなく、広告にも及ぶとのこと。映画やオリジナル番組を含む、コンテンツライブラリ全てを特設の「VRシアター」内でストリーミング配信するだけでなく、広告を掲載したい企業はロゴ等をあしらってシアターを「着せ替え」したり、360度全方位広告を設置したりすることができる。

この計画は、ニューヨークで行われたCrackleのUpfront(北米のTV業界における広告主向けイベント)で発表され、HBOやDiscoveryといったライバル達によるVRテクノロジーへの投資に関する発表の直後のことであった。両社は今週初め、3Dグラフィック企業OTOYへの投資を行い、今後HBO NOWやDiscovery VRといった、彼らのチャンネルにVRコンテンツを導入する予定だ。

デジタルストリーミングサービス分野の競合となるNetflixHuluも、先日VR関連サービスの発表を行っており、これまでにVRコンテンツを配信してきた。

ソニーは、この新たなフォーマットをどのようにマネタイズするか、という検討を他社に先駆けてはじめている点で、自社サービスの差別化が図れると主張する。ほとんどの映像コンテンツプロバイダーが、未だVR番組について試行錯誤している一方、Crackleは、広告収入で運営されているオンデマンド動画配信サービスで初めて、広告主に対してVRでのプロモーションの機会を提供していると同発表で述べた。

実際には下記のような形でサービスを提供するとCrackleは説明する。

Crackleは、VRヘッドセットやその他の対応デバイスを利用する視聴者に対して動画を配信する仮想シアターの開発を行っており、各種スマートフォン、Google Cardboard、SamsungのGrear VRそしてPlaystation VRが対応デバイスとして挙げられている。(尚、ソニー自身のVR計画における最大の競合である、FacebookのOculus Riftはそのリストに含まれていなかった)

VRシアターは、完全な没入型視聴環境で、ユーザーはCrackleのコンテンツからどれでも自由に選んで視聴することができる。ユーザーは、シアター内のスクリーンに映し出される動画を見ると同時に、あたりを見回すと、恐らく壁やシートに貼り付けられるであろう、広告主のロゴや広告をも確認することができる。また、広告主も自らの360度広告をこの環境下で配信することができる。

ソニーは、他社に先立ってこの新たな広告サービスを利用する企業を選び出した。LGは、同社のフラッグシップモデルであるスマートフォンの新機種LG G5および「Friends」の広告に同サービスを利用予定だ。(Friendsとは、LGのマーケティング用語で、VRヘッドセットや360度映像を撮影可能なカメラ等、周辺機器を意味する)

更にLGは、自社のLG 360 Camで撮影した360度広告についての「舞台裏」映像も制作し、この映像はMartin Freeman氏主演のCrackleオリジナルシリーズ「StartUp」のプロモーションに利用される予定だ。StartUpは2016年の第3クオーターより配信予定で、ギャング経由の黒い金で起業資金を調達するなど、「貧困層」からテック業界へ参入した起業家についての話だ。

テック業界を中心とした番組の内容であることを考えると、「StartUp」が初の「VR」広告の実験台となるのにも納得がいく。

VRシアターでのストリーミングに向けた動画ライブラリの整備に留まらず、Crackleは「Robot Chicken」のBryan Cranston氏とStoopid Buddy Stoodiesが総指揮をとった、オリジナルのストップモーションアニメ「SuperMansion」も製作予定だ。

更にCrackleは、製作対象候補として現在挙がっているオリジナル番組を基にVRコンテンツの製作を行う予定で、VR化に際し広告主からのスポンサーシップを受付けている。

Crackleの代表で、Sopy Pictures Televsion Digital Networkの上級副社長でもあるEric Berger氏は、「我々Crackleは、日々変化する消費者動向を反映したコンテンツ・広告づくりを行うことが、視聴者に興味をもってもらう上で有益であると考えています。更に、私たちは持続可能な広告モデルを伴うこれからのテレビの方針を立ててており、このことが広告主、コンテンツプロバイダー、そして誰よりも消費者の皆さんにとっての利益に繋がると考えています」

Crackleは、主要他社と同じようにVR技術や、VR広告に投資を行っているものの、その投資が最終的な利益にどのような影響を与えるかについては、未だわかっていない。また、Crackleを含むこれらの企業は、視聴者が日常的にVR技術を利用するのか(または360度ビデオを見るのか)や、エンゲージメントを測定するには何を指標とすればよいのかについても答えることができない。同様に、VR広告を打つ企業がどのような数値指標を期待しているのかというのも断定が難しい。

From left, GM of Crackle and EVP of Sony Pictures Digital Television Networks, Eric Berger, actors Bryan Cranston, and Dennis Quaid, and Chairman of Sony pictures Television, Steve Mosko are seen at the Crackle Upfront at New York City Center on Wed. April 20, 2016 in New York City. (Photo by Michael Zorn/Invision for Crackle/AP Images)

左から、Crackleの代表兼Sony Pictures Digital Television Networksの上級副社長Eric Berger氏、俳優のBryan Cranston氏、Dennis Quaid氏、Sony Pictures Television会長Steve Mosko氏。2016年4月20日ニューヨーク市内で行われたCrackleのUpfrontにて(Photo by Michael Zorn/Invision for Crackle/AP Images)

Upfrontでは、VRに関するニュースの他、今後公開予定のオリジナルシリーズの詳細についても発表され、前述の「StartUp」のほか、オークションハウスを描いたドラマ「The Art of More」、Guy Ritchie氏の映画を基にした「Snatch」、Seinfeld氏による「Comedians in Cars Getting Coffee」の新シーズン、そして「SuperMansion」が紹介された。

その他にもCrackleは、新たな広告フォーマット「break-free」を発表し、これによってシリーズ毎に放映される広告数が減少する。これまでのように、10話から構成されるシリーズに300もの広告を挿入するのではなく、一話あたりの広告数が5つになる。しかし、その5つの枠を与えられた企業は、全エピソードでコマーシャルを流すことができるため、複数回に渡る物語風の広告を通して、視聴者にストーリーを伝えることができるようになる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake 500px, Twitter