ドッグシッターのスタートアップ、Roverが1.55億ドルを調達

犬の散歩と預かりサービスのスタートアップで、昨年の今頃DogVacayと合併したRoverが、 1.55億ドルの大型資金調達ラウンドを実施する。

この分野ではライバルのWagが圧倒的勢力をもっているが、二番手となり、さらには巨額の資金をバックにWagを追い抜くチャンスもある。DogVacayとRoverはよく似たビジネスモデルで合併にいたり、Wagにとって大きなライバルとなった。 Wall Street JournalによるとRoverのラウンドの会社評価額は9.7億ドル。

Wagは今年、SoftBankのリードで3億ドルの巨大ラウンドを実施した。Softbankはスタートアップに次々と巨額を注ぎ込んでおり、ベンチャーキャピタルの構図を変えようとしている。そして、さまざまなドッグケアサービスに大きな関心をしめしており、Roverももちろんそのひとつだ。サンフランシスコの町を歩いているとすばらしい犬をたくさん見かけるし、犬の飼い主を相手にするビジネスに大きなチャンスがあることは間違いない。

Roverは、ドッグオーナーを、散歩、預かりその他のドッグケアをする人々に引き合わせる。ユーザーは地域内のドッグウォーカーやドッグシッターをアプリで予約する。これはWagがかつて多くの批判に直面した部分であり、劣悪なサービス(迷子を含む)についてBloombergに大きく取り上げられた。 なんであれ日常の仕事を第三者にまかせるUberのようなサービスには数々の試練が待ち受けているのは当然だ。

Roverはウェブサイトに、「シッター候補の20%以下しか採用していない」と明記している。これはWagをはじめとするこの業界全般に対する批判を和らげ、潜在顧客の心配を軽減するためだろう。Roverによると、現在北米全体で20万人のシッターが当路さされている。同社は以前のラウンドで1.56億ドル調達している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

1.5万施設が登録する民泊管理ツール提供のmatsuri technologies、数億円を調達

民泊管理ツール「m2m Systems」など、民泊事業者向けのサービスを複数展開するmatsuri technologies。同社は5月23日、DasCapital(連続起業家の木村新司氏が代表を務める投資会社)、ファンドクリエーション、リンキンオリエント・インベストメントが運営するファンドより、数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

なおファンドクリエーションとは資本業務提携を行い、共同で民泊マンスリーファンドを組成。資金面でも民泊事業者をサポートしていく方針だ。合わせて複数社と協業し、民泊借り上げ事業にも取り組む予定だという。

matsuri technologiesが提供しているm2m Systemsは、複数のAirbnbアカウントを登録・一元管理できる民泊管理システムだ。ゲストからのメッセージ対応を始め、事業者が民泊運営において抱える課題を解決する機能を複数搭載する。

メッセージの自動送信、清掃状況の確認と手配、複数アカウントの一元管理などを通じて、事業者の業務効率化に加えて物件の稼働率の向上もサポートするのが特徴。2018年5月には登録件数が1万5000施設を突破した。

また6月に施行される民泊新法(住宅宿泊事業法)では民泊営業の上限が年間180日とされ、事業者は残りの期間を住宅利用することが必要だ。業界内ではこの180日以外の期間を、短期の賃貸物件として運用する「二毛作民泊」が注目を浴びていて、matsuri technologiesでも民泊とマンスリー賃貸の併用管理システム「nimomin」を手がけている。

今回の資金調達を踏まえ、同社ではm2m Systemsをはじめとする民泊運営支援ツールの機能拡充を進めるとともに、ファンドクリエーションと共同で組成する民泊マンスリーファンドなどを通じて、民泊事業者を支援していく方針だ。

Facebookの二要素認証がユーザーの電話番号(SMS)を使わないようにできる

Facebookの二要素認証をより安全にするためのオプションが、もうすぐさらに増える。

すなわちFacebookは確認プロセスを単純化して、電話番号の入力を不要にする。同社は今日(米国時間5/24)、Duo SecurityやGoogle Authenticatorのようなサードパーティの認証アプリケーションのサポートを発表し、同時にそのセットアップ過程を簡素化して、それらを容易に使い始められるようにした。

二要素認証(Two-factor authentication, 2FA)は今や広くサポートされているセキュリティ方式で、防御ラインを二重化することによって、通常のログイン認証情報が盗まれても安心できる。第二の防御ラインとしてはSMSからの番号入力がよく使われているが、SIMをハックして別の電話に情報を転送することもありえる。そのハッキング行為はソーシャルエンジニアリング的な手口を使うから、認証用のハードウェアデバイスや、サードパーティのアプリケーションの方がまだ安全だ。

3月には、FacebookのCSO Alex Stamosが、Facebookは二要素認証用の電話番号をスパム行為に利用している、というユーザーのクレームに対して謝罪し、注目を浴びた。同社は、二度といたしませんと言い張ったが、そもそもそれは、ログインに電話番号を利用しなければ起きなかったことだ。

今度の新しいセキュリティ機能は、Facebookの設定ページの“Security and Login”(セキュリティとログイン)のタブで有効にできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、昨年iPhoneのバッテリーを保証外で交換したユーザーに50ドルのクレジットを提供

昨年、保証期間の過ぎたiPhoneのバッテリーを有償で交換した人は、Appleから50ドル[5600円]の返金を受けられるかもしれない。今週Appleは、サポートページでiPhone 保証対象外バッテリー交換クレジットを発表した。対象となるのは正規修理拠点で行われた交換。

今回の措置は、旧モデルのiPhoneでバッテリー寿命を延ばすために処理速度を落としていたことを同社が認めたことを受け、今も続いている補償プログラムの一環だ。昨年末Appleは、この問題をユーザーに告知していなかったことを謝罪し、今後は透明性を高めることを約束した。

その後間もなく、Appleは通常より50ドル安い29ドルのバッテリー交換プログラムを提供開始した。今回のクレジットは2017年中この割引サービスが始まる前にバッテリー交換を行った人が対象だ。

同社は7月27日までに対象者全員にメールを送り、ユーザーのアカウントでクレジットを受け取る手順を通知することを約束した。通知は来ないが対象者であると信じる人は、今から年末までの間に直接Appleに連絡されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

出張や旅行時の面倒なビザ申請がオンラインでスムーズに、「one visa visit」のクローズドβ版公開へ

日本で働く外国人労働者のビザ取得をサポートする「one visa」を提供するone visa。同社は5月29 日より、海外出張や海外旅行時のビザ取得がオンライン上で完結する新サービス「one visa visit」のクローズドβ版を提供することを明らかにした。

それに先立って本日5月23日より、まずは先着100名を対象に同サービスの事前登録受け付けを開始する。

短期滞在ビザの取得手続きをオンライン上でスムーズに

one visa visitは商用や旅行目的での短期滞在ビザを、オンライン上でサクッと取得できるサービス。対象となるのは電子ビザ(e-Visa)に対応している国で、クローズドβ版ではインドやブラジル、ベトナムなど19カ国から始める。

これまでもオンライン上でビザを取得すること自体はできたが、そこにはいくつかの課題があった。まずは言語の壁。各国の電子ビザを取得する際には、日本語ではなく外国語の画面に沿って手続きを進めることになる。場合によっては部分的にしか英語に対応していないケースもあるそうで(他の部分はその国の言語)、そうなると一気に取得のハードルが上がる。

もちろん旅行代理店に頼むという手段もあるが、人件費がかかるのでその分費用がかかるのは仕方のないこと。one visa代表取締役CEOの岡村アルベルト氏によると、国によっても異なるが2〜3万円かかることも珍しくないという。

一方one visa visitは費用や言葉の課題を解決することに加え、取得するまでの期間が短いという点が大きな特徴だ。日本語の画面に沿って進めるだけで各国のビザ申請ができ、費用は数千円から。手配にかかる日数は数営業日だが、早ければ1日かからずに電子ビザが届くケースもあるそうだ。

「本人がビザ取得に必要な情報を入力するため、スタッフの人手を介さずコストを抑えれる。またこれまでは各国ごとにビザ取得のフローや必要な手続きがそれぞれ違い、毎回別のルールに沿って1からやる必要があった。one visa visitの場合、対応している国については全て同じフローでビザを取得できる」(岡村氏)

今回のクローズドβ版ではなくその次のフェーズにはなるが、過去に一度登録した情報を引き継ぐことで、2回目以降の申請時の負担を削減できるような機能も追加するそう。またそのタイミングでは海外出張の機会が多い法人の利用を見越して、従業員のビザの管理や代理取得ができる機能も検討していくという。

海外進出時のハードルを下げ、心理的な国境をなくす

そもそもone visa visitを開発した背景も、2017年6月にオープンβ版をリリースしたone visaの利用企業が増える中で、新たなニーズを見つけたからだ。

one visaは冒頭で触れたとおり、外国人を雇用する企業のビザ取得や管理を簡単にするサービスで、現在ITベンチャーを中心に約180社が利用する。one visaの導入企業では社員が海外出張にいく機会も多く、その際に国ごとにビザ取得のフローが異なるなど面倒な作業が発生していたため、一気通貫でスムーズに手続きができるサービスの必要性を感じたのだという。

「海外に行く際にハードルとなるのがビザの問題。このプロセスを可能な限り簡単にして負担をなくすことで“心理的な国境”を取り除き、人材が流動的に活躍できるようにしたい」(岡村氏)

外務省が発表している「海外進出日系企業実態調査」をみても、2016年の海外に進出している日系企業数(拠点数)が7万1820拠点で過去最多を記録するなど、日本以外の国でビジネスを展開しようとする企業も増えてきている。ビザ取得を簡単にしたいというニーズは今後も増えそうだ。

また岡村氏自身はアメリカで移民が多くのスタートアップを立ち上げたり、重要なポストについている現状を受け「異なる文化を持っているからこそ、自国と移住先の文化の違いがわかり、新しい視点から物事を考えたり価値を提供できるのではないか」と考えているそう。

そのため将来的には「まずはone visa visitで短期ビザを取得し、試しに冒険にいくような形で海外に行ってみて、定住して何か新しいチャレンジをしたい国が決まったらone visaを活用して必要なビザを取得する」といったように、短期と長期双方のビザ取得を簡単にする仕組みを構築していく方針。

それによって「異なる価値観を持っている人がいろいろな国に行き、新しい発見を得たり、それまでにない価値を提供しやすくなる環境を整えていきたい」(岡村氏)という。

スタートアップの資金調達をお膳立てするエメラダ、投資型CFに続きレンディングサービスを開始

2017年11月にリリースした株式投資型クラウドファンディング(以下株式投資型CF)「エメラダ・エクイティ」を通じて、スタートアップの資金調達をサポートしてきたエメラダ。同社は5月23日、株式投資型CFに続く新たな資金調達プラットフォームとして、オンラインレンディングサービス「エメラダ・バンク」をリリースした。

エメラダ・バンクの初期運営には、城北信用金庫、第三銀行、東邦銀行、大和信用金庫といった地域金融機関、金融機関向けにシステムのコンサルティングなどを手掛ける電通国際情報サービスが参画。将来的に法人向け金融システムのマーケットプレイスを目指すという。

決算書からは見えないデータも活用、多くの企業に借入の選択肢を

エメラダ・バンクは、スタートアップや中小企業がオンライン上で500万円から5000万円までの借入ができるサービスだ。

決算書に加えて銀行口座の入出金情報やオンライン上の定性情報などを分析。決算書から見えない情報もしっかりと評価することで、新規借入をしやすい仕組みを作る。合わせて企業ごとの事業計画や資金繰り状況も踏まえて返済計画をパーソナライゼーションすることで、デットファイナンスという選択肢をより使いやすい形で提供するのが特徴だ。

「従来は決算書の内容で審査が通らなかった企業でも借入のチャンスが得られる。一方で借入できたものの返済の負担が大きく苦労する企業も多い。資金繰りが安定しているのでコツコツ返済する、大きな投資で一時的に収支が悪化するため初期の負担を減らすなど、企業ごとに柔軟な返済計画を提案していく」(エメラダ代表取締役社長兼CEOの澤村帝我氏)

借入までのフローは一部対面での面談が含まれるが、申請から一連のコミュニケーション、契約締結まで基本的にオンライン上で完結。借り手が何度もオフィスまで足を運ぶ必要もない。

またエメラダ・エクイティと連携し、会社の状況に合わせて借入と増資どちらが適しているのかを提案。実際に資金を調達するところまで、エメラダのサービス上でサポートする。

「情報を登録しておきさえすれば、借入ができるタイミングでお膳立てしたり、投資型CFの提案もできる。部分的にではあるが『オンライン上の外部CFO』のような形で、創業期や成長期の企業のファイナンス面をサポートしていきたい」(澤村氏)

主なユーザーとしているのは20〜40代のネットに精通している経営者や財務担当者。今すぐに資金が必要なわけではないが、少し先のタイミングで資金調達を検討しているスタートアップも、一度情報を登録しておけばエメラダ側で分析しサポートを受けることも可能だ。登録料は無料となっている。

銀行APIの開放でオンラインレンディングの可能性が広がる

近年、日本のFintech界隈で注目されているのが銀行のAPI公開だ。口座残高を調べるといった「参照系API」にしろ、外部サービスから銀行振込をするといった「更新系API」にしろ銀行APIの開放が進む。エメラダ・バンクもまさにそうだが、銀行口座の決済情報にアクセスして、入出金情報を取得・分析することもできるようになってきた。

もちろんどんな事業者でも自由にできるというわけではない。この点については「改正銀行法の中で企業の口座情報を取得する要件を金融庁が定義している。エメラダ・バンクについては金融庁とコミュニケーションを取りながら準備を進めてきた」(澤村氏)という。

もうひとつ、サービスを立ち上げるにあたって同社が取り組んでいたのが金融機関との連携だ。「既存の銀行が貸せていない企業に貸し出す」のがエメラダ・バンクの特徴でもあるが、基本的には銀行と連携して運営する必要があるというのが澤村氏の考え。

「法律面の議論もあるが、(サービスの特性上)コンプライアンス基準やセキュリティ基準を満たしているかどうかが重要。その点でリリースのタイミングで複数の金融機関と連携できていることは大きい」(澤村氏)

創業期から成長期まで、企業のファイナンスを支える

これまで約半年にわたって株式投資型クラウドファンディングを提供してきたエメラダだが、今後は2つのサービスを密に連携させ、各企業を長い期間に渡り継続して支援することを目指していくという。

「スタートアップを含め未上場企業ではビジネスを回すのにリソースが割かれ、財務があと回しになりやすい。この役割をエメラダが補完することで、手間をかけずとも上手くいくようにしたい。その意味でローンとエクイティはセット。創業期はエクイティ、少しずつ事業が軌道に乗り始めた移行期でデットも検討し、本格的な成長期にはよりいい条件でデットを提供する、など企業のフェーズやニーズに合わせて最適な資金調達手段を選べるプラットフォームを目指す」(澤村氏)

今後はそれぞれのフェーズに合わせた機能の拡充や、AIを使ったレコメンデーション機能などの開発にも取り組む予定だ。

エメラダは2016年10月の設立。野村證券、ゴールドマン・サックス証券を経て起業した澤村氏を中心に、金融機関出身のメンバーも多い。2017年4月にはD4Vなどから2億円を調達している。

400を超える縫製工場などと連携、衣服生産プラットフォームの「シタテル」が数億円規模の調達

衣服生産プラットフォーム「シタテル」を提供するシタテルは5月22日、既存株主やスパイラル・ベンチャーズ・ジャパンなど複数の投資家を引受先とする、第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回のラウンドはシリーズBに相当するもので、具体的な調達額は非公開だが数億円規模になるという。

シタテルへ出資した企業は以下の通りだ。

  • スパイラル・ベンチャーズ・ジャパン
  • FFGベンチャービジネスパートナーズ
  • 朝日メディアラボベンチャーズ
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • オプトベンチャーズ(既存株主)
  • 三菱UFJキャピタル株式会社(既存株主)
  • その他非公開の投資家

同社は2016年6月にシリーズAでオプトベンチャーズと三菱UFJキャピタルから数億円を調達しているほか、2014年10月にも三菱UFJキャピタル、日本ベンチャーキャピタル、リブセンスから資金調達を実施している。

シタテルは2014年3月創業の熊本県発スタートアップだ。運営する衣料生産プラットフォームでは提携する400以上の縫製工場の技術や、サプライヤーのリソースをデータベース化。グッズを制作したいファッションブランドやセレクトショップの要望と工場の稼働状況などを考慮し、適切にマッチングすることで、「小ロット・高品質・短納期」で衣服を生産できる仕組みを構築してきた。現在は7000を超えるクライアントが登録する。

また直近では受注から生産までをワンストップで管理できるECシステム「SPEC」や、メンバー制のコミュニティプラットフォーム「Weare」を公開するなど、衣服に関する新しい取り組みも行っている。

シタテルでは今回調達した資金を用いて、同社の基盤システムである「SCS(シタテル・コントロール・システム)」の強化を進めるほか、SPECや工場・サプライヤー向けのオペレーションツールの開発、Weareのコミュニティ構築に取り組むという。

テイクアウトの待ち時間を減らす事前注文・決済アプリ「PICKS」公開、数千万円の調達も

テイクアウトの事前注文・決済サービス「PICKS(ピックス)」を開発するDIRIGIOは5月21日、同アプリのリリースに加えて、エウレカ創業者である西川順氏とKLab Venture Partnersより数千万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

冒頭でも紹介した通り、PICKSはスマホから飲食店のテイクアウトメニューを事前に注文・決済することで、スムーズに料理を受け取ることができるサービスだ。

ユーザーはアプリから周辺エリアでPICKSに対応している飲食店を探し、メニューの選定から注文、決済までを事前に済ませておく。あとは注文時に指定した時間にお店にいくだけ。決済は完了しているので長い行列に待つ必要も、その場でお金を払う必要もない。

店舗にとっても、スマホひとつでテイクアウトに対応できることが魅力。何か複雑なシステムや大型の端末は不要だ。テイクアウトが人気でいつも行列ができてしまう店舗では、顧客の待ち時間を減らすことで満足度向上や離脱客を抑える効果も見込めるだろう。

店舗用のアプリではオーダー確認や売上管理のほか、休業日や売り切れの設定にも対応する。初期導入日や固定の月額利用料などはかからず、アプリを経由して注文があった際にのみ手数料が発生する仕組みだ。

アプリを通じたテイクアウトの事前注文・決済は、海外ではモバイルオーダー&ペイという名称で急速に拡大している領域。スターバックスやマクドナルド、宅配ピザチェーンなどを始めとした様々な外食チェーンが導入する。

飲食店でのアルバイトをきっかけに考案

PICKSを提供するDIRIGIOは2016年7月の設立。最初は別のグルメサービスをやっていたそうだが、2017年からPICKSの前身となる「Doggy Bag」をリリースした。モバイルオーダー&ペイ関連のサービスを立ち上げたきっかけは、DIRIGIO代表取締役CEOの本多祐樹氏が飲食店でアルバイトをしていた際に、店長がテイクアウトのオーダーを受けたことだという。

「電話でオーダーを受けため、メニューの説明などから始めて10分ほど時間がかかっていた。2日連続で1万円ほどの注文があり(テイクアウトが売上アップに繋がる)チャンスを感じた一方で、電話ではなくもっと効率的にできないかと考えたのがきっかけだ」(本多氏)

サービスの対象となる飲食店は大きく2つ、「すでにテイクアウトをやっていて、オペレーションをさらに効率化したい店舗」と「これから新たにテイクアウトを始めようとする店舗」に分かれるそう。PICKSではDoggy Bagより移行する形で約30店舗からスタートするが、その多くは以前からテイクアウトをやっている飲食店。中にはピークタイムに約20分ほど待ち時間が発生する店舗もあり、業務効率化だけでなく離脱客を減らす目的もあるようだ。

一方のユーザー側においても、Doggy Bag時代には約10%が月に4回以上のペースでサービスを活用。同アプリを通じて8ヶ月間で約50回テイクアウトの注文をしたユーザーもいるなど、「全体的に利用頻度が高かったことから可能性を感じた」と本多氏は話す。

約1年間サービスを提供する中で得た知見を基に、大きな改善を経てPICKSとして再度リリース。大手のチェーン店はもちろん、個人経営の飲食店でも手軽にモバイルオーダー&ペイに対応できるアプリを目指すという。

「(前身のアプリでは)店舗はiPadから操作をするようにしていたが、導入コストや使い勝手が課題となっていたため、PICKSでは使い慣れたスマホで全て操作できるように変えている。そのほか注文フローやメニューの写真の大きさなど、細かいデザインも含め以前より使いやすい仕様になった」(本多氏)

今回調達した資金で組織体制を強化し、プロダクト開発と店舗開拓を進める方針。まずは渋谷や六本木など都内の中心エリアで飲食店数の拡大を目指していく。

また中長期的には当日限定の割引など飲食向けのマーケティングツールのような機能のほか、「たとえば小売の事前注文・決済など、飲食以外のモバイルオーダー&ペイも検討していきたい」(本多氏)という。

独自コインを通じて資金とファンを獲得、「SPOTSALE」や「BASE」が新たな取り組み

近年クラウドファンディングを筆頭に、個人や企業が共感してくれたファンから資金を集められる仕組みが増えてきている。

5月17日にお店の“会員権”取引所「SPOTSALE(スポットセール)」が発表した「SPOT COIN」や、同月14日にネットショップ作成サービス「BASE」が公開した「ショップコイン」もまさにその手段のひとつ。

これらのサービスは店舗が“独自のコイン”を発行することで、初期の資金調達やファン獲得を実現できるものだ。

ユーザー間での売買も可能な「SPOT COIN」

イジゲンが2018年3月にリリースしたSPOTSALEは、飲食店や美容室などの店舗と顧客をつなぐ会員権の取引所だ。店舗は優待つき会員権を発行しユーザーに購入してもらうことで、資金と顧客を同時に獲得できる。またユーザーが購入した会員権を売買できる点がクラウドファンディングとの大きな違いだ。

今回イジゲンが発表したSPOT COIN(リリース日は6月15日)は、SPOTSALEに上場する企業や店舗が独自のコインを公募し、発行できるポイント機能のようなもの。コインはユーザー間で売買できるほか、実店舗やECサイトでの決済(SPOT Pay)、店舗がSPOTSALEで発行する会員券の購入にも使える。

ユーザーがサービスや会員権をディスカウント価格で購入できる仕組みを作ることで、店舗が資金集め・ファン集めをしやすい環境を構築。より良いサービスを早期から提供できるような経済システムの創造を目指しているという。

資金決済に関する法律(資金決済法)における「前払式支払手段」に該当するかが気になるところだが、SPOT COINでは有効期限を半年間としているため資金決済法の適用対象にはならないという(発行の日から6月内に限って使用できるものは適用対象外。前払式支払手段については日本資金決済業協会のサイトに詳しい記載がある)。

イジゲン代表取締役CEOの鶴岡英明氏によると「最初は第三者型で登録することを検討していたが、SPOTSALEの場合では(コイン価格が変動して大幅に上昇する可能性もあり)供託金が調達した金額を超えてしまうリスクがある」ため、リスクを避けるべく6ヶ月の期限を設けたそうだ。

そのためSPOT COINを購入したユーザーは半年以内に「SPOT Payで使う」「売却する」「会員権を購入する」のどれかを選択する必要がある。

今後イジゲンではSPOT COINの第1弾として、6月15日より自社の独自コイン「イジゲンコイン」の公募販売を開始する計画。同コインはイジゲンが提供するサービスの支払い手段として利用できるようにする予定だ。

BASE出店店舗が使える新たな資金調達手段「ショップコイン」

また先日ネットショップ作成サービスのBASEからも、ショップコインという新たなサービスがリリースされた。これはBASEに出店する店舗が独自のコインを販売することで資金を調達できる機能だ。

コインは作成元の店舗でのみ、1コイン1円として利用が可能。販売価格は100コインあたり50〜100円の範囲で選べるため、コインの価格を100円より安く設定すればユーザーが利用時に割引を受けられるようになる。店舗はコインの作成にあたって資金を集める目的を「公約」として明記する必要があり、この内容などをもとに運営側で審査を実施。通過した場合のみコインを販売できる仕組みだ。

ショップコインのサイトに「このサービスの本質的な目的は『ファンとの関係を継続すること』にあると私達は考えています」とあるように、資金調達の手段としてだけでなく、熱心なファンを獲得するきっかけにもなりそうだ。

まだ知名度が低い店舗でも割引価格でコインを発行すれば注目するユーザーがでてくる可能性もあるし、早くから応援してくれたファンにはサービスを他の顧客よりも安く提供することで期待に応えることができるだろう。

なお先に紹介したSPOT COINと似ている部分もあるが、ショップコインの場合は購入したコインをユーザー間で売買する二時流通の仕組みはない。資金決済法上の「自家型前払式支払手段」にあたるものの、各店舗が販売できる上限金額は1000万円以下となっているため「自家型発行者」には該当せず、資金決済法やこれに関係する金融庁のガイドライン等に基づく規制の対象にもならないという。

今回紹介した2つのサービスとは方向性の異なる部分もあるが、3人以上のコミュニティが「コミュニティコイン」を発行することで支援者を集めることのできる「fever」や、個人や店舗が特典を設定した無料の“ポイント”を配布できる「MINT」といったサービスもでてきている。

これらのサービスによって、店舗とファンの関係性の築き方もより広がっていきそうだ。

ネイティブ広告プラットフォームのログリーがマザーズ上場へ

ネイティブ広告プラットフォーム「logly lift」などを運営するログリーは5月17日、東京証券取引所マザーズ市場に新規上場を申請し承認された。上場予定日は6月20日で証券コードは6579だ。

有価証券報告書によると同社の2016年3月期(第10期)の売上高は4億625万円、経常損失が5800万円、当期純損失が5830万円。2017年3月期(第11期)における売上高は9億1180万円、経常利益が4992万円、当期純利益が6352万円だ。なお第12期については第3四半期までの累計(2017年4月1日〜12月31日)で売上高が11億4093万円となっている。

ログリーは2006年5月の設立。現在は2012年にリリースしたlogly liftを主軸に、ネイティブ広告プラットフォーム事業を展開している。自然言語処理と機械学習を組み合わせた独自の文脈解析技術を強みに、レコメンドエンジンや広告配信を最適化。分析ツール「Loyalfarm」の開発や東南アジアにおけるlogly liftのOEM提供などにも取り組み、事業を拡大してきた。

株式の保有比率については、代表取締役の吉永浩和氏が30.79%を保有する筆頭株主。ついで取締役の岸本雅久氏が17.98%、VOYAGEGROUPが15.24%、アイティメディアが5.36%、VOYAGE VENTURESが5.24%、シーエー・モバイルが5.18%と続く。

イラストやマンガ制作のフーモアがJ:COMと資本業務提携、共同でコンテンツの原作開発へ

クラウドソーシングによるイラストやマンガなどのコンテンツ制作事業を展開するフーモア。同社は5月17日、ジュピターテレコム(以下J:COM)と資本業務提携を実施したことを明らかにした。

フーモアでは今後J:COMの100%子会社であるアスミック・エースと、映像化、ゲーム化、商品化などのメディア展開を前提としたコンテンツの原作開発を共同で進める。なお今回の資本業務提携による具体的な調達額は非公開だが、関係者の話では数千万円規模になるという。

フーモアは2011年11月の設立。クラウドソーシングの仕組みを活用したゲーム向けのイラストや企業のプロモーション用のマンガ制作などを行ってきた。国内外の登録クリエイター数は6000名を突破し、累計で4000〜5000本のコンテンツを制作。フーモア取締役COOの松田崇義氏によると、最近では大手企業などが社内コミュニケーションに活用する目的で、同社にマンガ制作を依頼するケースも増えているそうだ。

今回の資本業務提携では映像コンテンツの製作・販売・配信ノウハウを持つアスミック・エースと共同で、オリジナルコンテンツの制作に取り組む方針。アニメや映画などの映像化、ゲーム化、商品化などのメディア展開を前提に、電子コミックやライトノベル、ノベルアプリなどを作っていくという。

またJ:COMが手がける事業とも連携を深め、フーモアで制作したコンテンツとJ:COMのメディアを活用したプロモーションメニューの開発にも力を入れる。

「(エンタメ業界において)コンテンツの原作が不足しているという課題がある。フーモアのクリエイターネットワークと、アスミック・エースの持つ知見やノウハウを合わせることで、原作不足を解決していきたい」(松田氏)

freeeがAPIエコノミー形成に向け「オープンプラットフォーム戦略」発表、バックオフィス効率化から全社最適化へ

クラウド会計ソフト freee」や「人事労務 freee」などバックオフィス業務を効率化するクラウドサービスを複数展開するfreee。同社は5月15日、APIを活用した外部サービスとの連携を強化しAPIエコノミーの形成を目指す「freee オープンプラットフォーム」戦略を発表した。

今後は財務会計や人事労務分野以外のクラウドサービスともAPI連携を進めることで、クラウド上にあるさまざまなデータの一元管理、バックオフィス部門を超えた全社での業務最適化の実現を目指していく方針。開発者向けのコミュニティサイト公開、API連携の専任チーム設置など、サポート体制も強化する。

また具体的な連携サービス拡充の第1弾として、セールスフォースやサイボウズなど販売管理領域における連携パートナー8社を発表。営業部門と経理部門の連携をスムーズにし、債権管理業務の効率化を推進する。

複数クラウドサービスの導入により生まれた、新たな課題の解決へ

freeeの新戦略の背景にあるのは、クラウドサービスが普及したことによって生じた新たな非効率だ。ここ数年で業務効率化や生産性向上を目的に、クラウドサービスの導入が加速。2011年から2016年の5年間で普及率が2倍以上になっているという。

クラウドの導入によりチームや部門単位でデータの共有が進み効率化が進んできた一方で、1社当たりの導入サービス数も増加すると「システムごとにデータがバラバラになっていること」が新たな課題になるケースが増えてきた。つまりチーム単位では効率的だけど、各ツール間は連携できていないためにデータの転記業務や二度打ちが発生し、会社全体で見ると最適化がされていないという課題だ。

この状況を解消する手段として各システムをAPIでつなぎ、データを一元管理できるようにするという動きが進んでいる。freeeでも会計freeeをリリースした2013年からパブリックAPIを公開。その後も請求書APIや人事労務APIなどAPIの公開範囲を広げてきた。

とはいえ当初はクラウドサービスが今ほど普及していないこともあり、連携するサービスや領域もある程度限定的なものだったという。「ここ数年間でマーケットが大きく変化している。クラウドサービスを複数導入する企業も珍しくなくなり、(freeeでこれまでやってこなかったような領域の)他サービスとの連携の要望も増えてきた」(freee担当者)

第1弾は販売管理システムとの連携強化から

そのような流れを受けて、今後freeeでは会計、人事労務の領域で各種APIを順次公開していくとともに、販売管理や勤怠システム、グループウェアやコミュニケーション領域の各サービスとの連携を強化していく。

「これまでのAPI連携では経理部や人事部などバックオフィス領域の効率化に取り組んできた。これからはfreeeを使う前の工程や、freeeでは対応していない工程で使われているサービスとの連携を進める。経理や人事のためのサービスから、全社最適のサービスを目指していきたい」(freee担当者)

freeeでは連携サービス拡充の第1弾として、販売管理領域に取り組む方針。以下8社のパートナー企業と連携を開始し、営業部門と管理部門における債権管理業務の効率化から始める。

  • セールスフォースドットコム「Salesforce Sales Cloud 」
  • サイボウズ「kintone」
  • ゾーホージャパン「zoho CRM」
  • 日本オプロ「soarize」
  • ジオコード「ネクストSFA」
  • トレードシフトジャパン「Tradeshift」
  • レッドフォックス「cyzen」
  • 三和システム「NT-golf」「NTG-head」

また並行してAPI連携の専任チームによるサポート体制の強化や開発者コミュニティの形成にも力を入れる。その一環として開発者向けポータルサイト「freee Developers Community」を公開。freee APIを利用する開発者に対してテクニカルサポートや他の開発者に質問・相談できる仕組みを整えるほか、ハッカソンやミートアップを通じてエンジニアコミュニティを広げていく方針だという。

freeeが今回発表した新戦略の狙いは、API連携を通じてサービスの付加価値をあげていくこと。ただその先には「APIマーケットプレイス」という形で、APIを使ったマネタイズなどを進めていく展開も可能性の一つとして検討していくという。

たとえば2018年1月にはKDDIが、APIプロバイダーとAPI利用者をつなぐマーケットプレイス「KDDI IoTクラウド API Market」を公開している。これと似たように、将来「freee API マーケット」のようなものが生まれてくるのかもしれない。

 

スマホ撮影の写真とA4用紙で衣服の寸法を測定、AI採寸アプリ「MeasureBot」公開

近年オンライン上で個人がつながり、さまざまなモノを売買するC2Cのマーケットプレイスが拡大してきている。マザーズへの上場承認が発表された「メルカリ」はその代表的な例だろう。

C2Cマーケットプレイスで流通しているモノの中でも主要な商品となっているのが、アパレル製品だ。今や多くのユーザーがスマホを使って直接ファッションアイテムを売り買いしているが、その際に不安要素となるのが服の「サイズ」問題だった。

この問題を解決する手段として、A4用紙とスマホで撮影した写真にテクノロジーを組み合わせ、衣類のサイズを測定するというアプローチをとったのがシリコンバレー発のスタートアップOriginalが展開するブランド、Original Stitchだ。同ブランドは5月15日、AIアパレル採寸アプリ「MeasureBot」をリリースした。

MeasureBotではユーザーが採寸したい衣服の上または横にA4用紙を置き写真を撮影すると、AIが写真の中から用紙を検出して衣服との寸法比較を始める。あとは着丈や身丈をタップすれば採寸でき、自動でサイズが入力されるという仕組みだ。活用されているAI技術は米国特許を取得しているという。

同アプリは現在iOS版のみ提供。Android版は開発中とのこと。冒頭でも触れたようなC2Cマーケットプレイスにおける活用などを視野に入れていて、売り手ユーザーにとっては採寸画像を公開することでより効果的に商品を販売できる可能性もあるだろう。

運営元のOriginal Stitchは2013年12月にシリコンバレーでテストサービスを開始し、2014年4月に日本版をスタートしたオンラインカスタムシャツブランド。袖、襟、ボタンなど細かいカスタマイズが可能で、10億通りのパターンから選べることが特徴だ。

つい先日にはスマホで撮影した全身写真をもとに、肩幅や首周りなど全身40箇所の採寸ができるアプリ「Bodygram(ボディグラム)」も発表。こちらは今夏を目処にリリースする予定だという。

食事の写真からカロリーや栄養素を自動算出、健康管理アプリ「カロミル」が約6000万円を調達

AIを活用した健康管理アプリ「カロミル」を運営するライフログテクノロジー。同社は5月14日、電通サイエンスジャム(DSJ)、CSAJファンドFFGベンチャービジネスパートナーズを引受先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

ライフログテクノロジーでは2018年1月にもDG Daiwa Venturesが運営するDG Labファンドから資金調達を実施。これらを合わせた総額の調達額は約6000万円になるという。

調達した資金により組織体制を強化し、AIの精度向上や食事データの取得、アスリートや疾病向けなどの新規事業開発に取り組む方針。また出資先であるDSJとは双方が保有するデータや知見を活用した共同研究を進めるべく、業務提携も始める。

スマホで食事を撮影すれば、カロリーや栄養素が自動で測定

カロミルは日々の食事や運動のログを、ダイエットや健康管理に活用できるヘルスケアアプリ。カロリーはもちろん、たんぱく質や脂質、糖質など細かい栄養素を残せるのが特徴だ。

栄養素の算出方法は登録されているメニューから選ぶ、自分で計算する、栄養士に分析依頼する(月10 回まで無料で依頼可能)、食事の写真から判定するなどいくつかある。その中でもカロミルが強化しているのが、食事の写真から自動的にカロリーや栄養素を算出する機能だ。

この機能は以前TechCrunchでも紹介したとおり、2017年9月からアプリ内に搭載しているもの。自社開発の食事画像解析AIにより、スマホで撮影した写真を「そもそも食事の画像かどうか」「(食事の場合)具体的なメニューは何か」を2段階で解析。該当するメニューのカロリーや栄養素を算出する。現在は約1000品目の食事メニューを識別でき、識別率は82%ほど。コンビニで販売されている商品やファミレスなど飲食店のメニューも含まれる。

ライフログテクノロジー代表取締役の棚橋繁行氏によると、この機能を搭載したことでユーザーの年齢層や幅が広がったそう。「もともとは特に20〜30代の女性によく使ってもらえていたが、20〜50代の男女であまり差がなくなってきた。いぜんより年齢層が上の人にも使ってもらえるようになったほか、疾病患者の方の利用も広がってきている」(棚橋氏)

現在もこの機能のコアとなる画像解析AIの精度向上に注力しているとのこと。今回の資金調達も、体制を強化しさらに研究開発を進めていくことが目的だ。

食事関連データを軸に事業拡大へ

今回ライフログテクノロジーでは資金調達と合わせて、調達先であるDSJとの業務提携を発表している。今後カロミルを通じて蓄積した食事(栄養素)データと、DSJが解析知見を持つ感性や脳波といった生体信号データの関連性を研究することで、食事がメンタルヘルスや労働生産性に与える影響を探っていく予定。これによってヘルスケア領域で、新たな未病対策や疾病予兆への改善助言なども可能になると考えているそうだ。

また将来的には食事関連データとさまざまなパーソナルログを連携し、マーケティング活用やスポーツ領域での事業展開も見据えているという。

「(自社にとって)食事データが1番コアになる部分で、それを活用した新たな事業展開を進めていく。ただ食事データをメインとしつつも、画像解析技術を軸にその他のライフログデータももっと管理しやすい仕組みを目指している。たとえば血圧や血糖、運動の記録なども写真を撮っておきさえすればデータ化できるようになると、ユーザーの利便性もサービスの可能性も広がる。今後は今まで以上にライフログを貯めていく時代になると思うので、まずはデータを残す煩わしさや手間を(画像解析AIなどの)技術を通じてなくしていきたい」(棚橋氏)

 

Amazon傘下のRing、ドアホンのパスワード変更後もビデオがアクセス可能だった

ホームセキュリティー分野での存在感を高めようとしているAmazonにとって、ちょっとした汚点になりそうな案件だ。The Informationによると、Ringのカメラ付ドアホンに、今年1月までパスワードを変更したあともビデオをアクセスされる抜け道があったことがわかった。

Ringは今年Amazonに10億ドルで買収された会社で、1月にこの問題を修正したことを認めた。アップデートが発行されたのは、マイアミ在住の利用者から、パスワードを変更した後にも別れたパートナーがビデオフィードを見ているという報告があってからのことだった。ただしアップデートは直ちに配信されなかったことをCEO Jamie Siminoffが認めており、すぐに全ユーザーに配信するとアプリの速度低下を招くためだったと言っている。

Ringは最近Amazonが買収した中でも中心的存在であり、顧客の家庭に直接入り込み、ホームセキュリティーの新サービス展開の基盤となることを期待されている。外部に向けられているドアホンカメラは、家庭内に置かれる製品と比べると侵入性は低いが、今回の問題はクラウド接続デバイスを家庭に導入することを考えている多くのユーザーに二の足を踏ませることになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

売りたいものを家に取りにくる出品代行サービス「トリクル」、梱包や発送など面倒な作業は一切不要に

売りたいものはたくさんあるけど、フリマサービスやオークションに出品するのは少し面倒ーーもしそんな悩みを抱えている人がいれば「トリクル」というサービスをチェックしてみるといいかもしれない。

5月11日にSpiceが公開した同サービスは、ユーザーが売りたい物を家まで取りに来て、販売代行までしてくれるというもの。商品の出品手続きや梱包、発送業務といった一連の作業が不要になることが特徴だ。

ユーザーがやることは、サイトから集荷日時を選んで当日スタッフに商品を渡すだけ。商品は1点から依頼でき、本や洋服、コスメ、家具など幅広いジャンルが対象になる(基本的には販売できるものが対象になるため、汚れがひどいものや大型の家具・家電など集荷できないケースもあるそう)。集荷は朝10時〜深夜24時までで費用は無料。現在対応しているエリアは渋谷区・港区・目黒区・品川区・世田谷区・新宿区だ。

集荷した商品はトリクル側がAmazonなど既存のマーケットプレイスやオークションサイトで販売。取引が完了したものについては、販売額から30%の手数料と購入者への送料を差し引いた金額がユーザーの取り分となる。ユーザーはサービスの画面上で商品のステータスが確認できるほか、売れた際にはSMSで通知を受けることができる。

Spice代表取締役の徳泉成夏氏によると、周囲の人に困っていることをヒアリングしてみたところ「家に売りたいものはあるけれど、売るのが面倒」だという声が数人からあがったそう。フリマアプリなど二次流通マーケットが成熟してきたからこそ、便利になる一方で、出品者側には丁寧なコミュニケーションやスピード感のある対応が求められるようにもなってきた。

そのような背景も含め、既存のチャネルで物を売るに至っていない人達が「面倒」だと感じている作業をなくすことができないかを検討。結果として梱包や配送の手間もなくし、ユーザーは家で商品を渡すだけで済むというアイデアに行き着いたのだという。

事前にテストリリースをしてみたところ、同じ課題を感じているユーザーが多く中には1人で200点以上の集荷を依頼して人もいたそう。商品としては洋服などが多く、数点のみというよりはある程度まとまった数の商品を売りたいユーザーが多いようだ。

「手数料がものすごく安いというわけではないし、値付けが自分でできるわけでもない。ただそれでも使いたいと思ってくれる人が一定数いると考えた。その人達にとって使いやすいサービスにしていきたい」(徳泉氏)

中古建機の販売プラットフォーム「ALLSTOCKER」のSORABITOが3.6億円を調達

中古建機販売プラットフォーム「ALLSTOCKER」を運営するSORABITOは5月10日、Spiral Ventures Japanマーケットエンタープライズちばぎんキャピタルらを引受先とした第三者割当増資により、総額3.6億円を調達したことを明らかにした。

ALLSTOCKERはオンライン上で建設機械や重機、運搬車両を売買できるプラットフォームだ。初期から日本国内だけでなく東南アジアを中心にグローバルで活用され、現時点では150を超える国と地域からのアクセスがあるという。サービスの正式リリースは2015年11月。建機の買取販売などに携わっていた経験のある青木隆幸氏(SORABITO代表取締役)が立ち上げたもので、このあたりの背景などは以前TechCrunchでも詳しく紹介している。

現在はマーケットプレイス形式の「ALLSTOCKERマーケット」とオークション形式の「ALLSTOCKERオークション」を運営。軸となるALLSTOCKERマーケットでは建機を売りたいユーザーと買いたいユーザーをオンライン上でマッチングし、現在は月間で100台規模の取引数になっているという。

青木氏は以前にも日本の中古建機は品質が高く、海外で人気があるという話をしていたが、このニーズはさらに高まっているそう。そのためここ1,2年はより使いやすく、安全な取引ができるようにプロダクトやオペレーション面の改良を進めるとともに、出品数を拡大する取り組みに力を入れてきた。

直近では伊藤忠建機との提携のほか、今回の調達先でもあるマーケットエンタープライズとも中古建機・重機の買取・販売で事業提携を締結している。

「海外での成約も増え、継続的な顧客もつくようになってきた。アジアを中心とした中古建機の流通プラットフォームとして、まずは欲しいと思った建機がきちんと手に入るような環境を作っていく。並行して海外での営業も進めながら(国内外で中古建機の需要と供給をつなぐ)架け橋のような存在を目指す」(青木氏)

SORABITOでは調達した資金を通じて運営体制を強化するとともにサービスの充実を図る方針。今回リード投資家となったSpiral Venturesはアジアでも精力的に投資をしているVCで、今後は投資家のサポートも受けながらさらなる海外展開を進めるという。

なお同社は2016年5月にGMO VenturePartners、グリーベンチャーズ、JA三井リース、オプトベンチャーズ、SMBC ベンチャーキャピタル、個人投資家の小泉文明氏や高野秀敏氏らから5億円を調達。2015年11月にもGMO VenturePartnersらから約1億円を調達している。

起業家の有安氏を含む6人のメンバー、ブロックチェーン特化のコワーキングスペース立ち上げへ

ブロックチェーン領域に特化したスタートアップのHashHub。同社は5月10日、会社の設立と仮想通貨とブロックチェーン領域に特化したスタジオ型コワーキングスペースを今年夏頃にも立ち上げることを発表した。設立メンバーは、仮想通貨領域のメディアの運営やウォレットの開発などを手がけてきた東晃慈氏(HashHubの代表取締役に就任)を中心とする6人。その中には、起業家でエンジェル投資家の有安伸宏氏も含まれる。

HashHubのコワーキングスペースは東京大学がある東京都本郷に設立される予定だ。ブロックチェーンを活用したビジネスを立ち上げたい個人やチームが対象となる。入居費用は月額3万5000円から。

HashHubは施設をコワーキングスペースとして開放する一方で、自社でもブロックチェーン技術を使ったプロダクトやサービスの開発を進める。入居者も巻き込みながら新しい事業の開発に取り組むという、“スタジオ型”のコワーキングスペースだ。また、HashHubはブロックチェーン技術がオープンソースで開発されることの重要性を認識しており、売上の一部をオープンソースでの開発支援にあて、開発者による勉強会やワークショップ、技術アドバイスを行っていくという。

設立背景について、代表取締役の東氏は「国内では仮想通貨の投機市場が大きく伸びたが、それ以外のビジネスが育っていない。この状況を打破しなければ、海外勢に遅れをとってしまうとの懸念からコワーキングスペースの運営に乗り出した」と語る。

また、有安氏は「『分散型の◯◯を作ります!』と意気込む起業家と会えるようになったのは、ここ最近のこと。しかし、従来のWebビジネスと比較すると、ブロックチェーン関連事業に必要なテクノロジーや法関係などのノウハウには、黎明期ならではの学びにくさがあります」と話し、ブロックチェーン領域でイノベーションをおこす起業家へのサポートの重要性を語った。

HashHubのコワーキングスペースは今年の夏頃にオープンする予定だ。入居申し込みや価格プランなどの詳細は、このWebページで確認できる。

「学習と人脈のハブ機能となる物理的な拠点の誕生は、エコシステムにとって王道的な布石。かつて、日本のWebビジネス黎明期に渋谷周辺が「ビットバレー」と名づけられ、多様なベンチャーが集積したように、様々なblockchain startupが日本でもポコポコと生まれてくることを期待している」(有安氏)

副業人材と企業をつなぐシューマツワーカーが4000万円調達、登録ユーザーは1300人

副業したい人材と企業をつなげる「シューマツワーカー」を運営するシューマツワーカーは5月10日、KLab Venture Partnersサイバーエージェント・ベンチャーズ、および大冨智弘氏ら複数の個人投資家から4000万円を調達したと発表した。今回の資金調達は、J-KISS型新株予約権方式によるものだ。

シューマツワーカーはエンジニアやデザイナー、マーケッターなどの「副業社員」を、人材を求める企業に紹介するというエージェント型のサービスだ。現在までの登録ユーザーは1300人で、これまでに約80社への紹介実績があるという。利用企業として紹介してもらった企業群を見る限り、現在のところスタートアップ企業による利用が多いようだ。

シューマツワーカー代表取締役の松村幸弥氏は、エンジニア人材の採用コストがあがり、スタートアップが良いエンジニアを雇いづらいくなったという背景があると説明する。そういった理由から、パラレルワーカーとしてエンジニアを雇いたいという企業側のニーズが高いのだという。加えて最近では人事や広報の人材に対する企業からの引き合いも多くなったようだ。

「“副業社員”という言葉を流行らせたい。副業というものがもっと身近になるような社会になってほしい」(松村氏)

シューマツワーカーは2016年9月の設立。今回の資金調達は同社にとってシードラウンドという位置づけとなる。ちなみに、TechCrunch Japanで以前紹介した副業系サービスのカオスマップはシューマツワーカーが作成したものだ。

Uber、自動運転車を「数カ月以内に」復活させることを表明

Uber CEO Dara Khosrowshahiは、3月にアリゾナ州テンピで起きた死亡事故を踏まえ、Uberの自動運転車の今後について手短に語った。今日(米国時間5/9)ロサンゼルスで行われたUber ElevateカンファレンスでKhosrowshahiは、Uberが「はっきりとは言えないが、数カ月以内に」自動運転車を復活させると言った。

正確に言うとKhosrowshahiは100%確信を持って答えたわけではない。つまり数カ月より長くかかっても私は驚かない。

彼は続けて、Uberが自動運転車を再び走らせるときは、「可能な限り安全な方法をとる」と言った。

Uberは3月の死亡事故のあと、自動運転車をすべて引き上げた。その後Uberはカリフォルニア州の試験運転許可を再申請しない決定を下した。同社の以前の許可は3月31日に失効している。

Uberがカリフォルニア州でテストを続けたければ、新たな許可申請が必要になり、さらに「アリゾナで起きた事故の追跡調査結果を提出する必要がある」とDMVの所長代理・法務責任者のBrian Soubletが3月のUber宛て書簡に書いている。UberはDMVとの打ち合わせも設定しなければならない。

国家運輸安全委員会(NTSB)の調査経過にづいて質問されたKhosrowshahiは、調査は継続中であると答えた。Teslaがオートパイロットシステムに関わる死亡事故についてよくしゃべりNTSBとの関係を損ねているのとは対照的に、Khosrowshahiは「調査結果を事前にツイートすることはない」と語った。

だからといってリークがないというわけではない。今週、The InformationがUberのソフトウェアに欠陥があったと報じた。具体的には、どの物体を無視してどの物体に注意するかを判定するソフトウェアに問題があったと記事は書いている。

この記事を受けUberはNTSBと積極的に協調していること、また事故の詳細についてはコメントできないことを話した。

「なお現在当社では、自動運転車プログラムの徹底した安全審査を進めており、元NTSB委員長のChristopher Hartを招いて当社の安全対策全般について助言を受けている」とUber広報担当者が声明で語った。「われわれの審査では、当社のシステムの安全性から運転手の訓練プロセスにいたるまですべてを精査しており、近いうちに詳しく報告したいと思っている」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook