大手衛星事業者のインテルサットが米連邦破産法11章の適用を申請

世界的な衛星通信事業者のIntelsat(インテルサット)は米国時間5月13日の水曜日の深夜、連邦破産法第11章(チャプター11)の適用を申請したと発表した。同社は将来的な成長を可能にするための「財務リストラ」プロジェクトに乗り出すための肯定的な手段としてこれを位置づけようとしているが、破産申請が喜ばしい場合はめったにない。

Intelsatは、米国における5Gネットワーク構築のためのFCCによるCバンド帯域クリアリングに参加する必要性と、「新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な健康危機により、いくつかの市場に影響を与えている景気後退」を破産申請を決定したの要因の1つとして挙げている。

Intelsatの現在の計画には、日々業務の変更や人員削減は含まれていないという。同社はまた裁判所の承認を条件に、DIPファンドとして新たに10億ドル(約1100億円)を調達したことも明らかにした。これは連邦破産法第11章の手続き中に、事業を継続する予定であることを意味している。

Intelsatは同時に、新しい衛星の打ち上げや地上ネットワークの構築、新サービスの追加などを継続しながら手続きを進めていくとしており、その目標は「できるだけ早く再建を完了させることだ」としている。この衛星会社は、過去にも同様のリストラを実施したことで財務的により健全な状態になっており、今回の破産申請の目標モデルとしてGM(ゼネラルモーターズ)とアメリカン航空を挙げている。

Intelsatの破産申請は、世界的なパンデミックの影響を受けた宇宙企業の最初のケースではない。世界的な衛星インターネットプロバイダーであるOneWeb(ワンウェブ)も今年3月に、連邦破産法第11章の適用を申請した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NVIDIAがAmpereアーキテクチャのデータセンター用GPUを出荷、タンパク質モデリングなどAI学習の性能が20倍に

NVIDIAは米国時間5月14日、同社のAmpereアーキテクチャをベースにした最初のGPU、NVIDIA A100の生産が軌道に乗り、世界中の顧客に向けて出荷を開始したと発表した。

画像クレジット:Argonne National Laboratory

Ampereは、NVIDIAのGPUアーキテクチャーの世代に大きな飛躍をもたらすもの。同社では、これまでの8世代に渡るグラフィックハードウェアの中で「パフォーマンス的に最大の飛躍」と表現している。

具体的にA100は、これまでのNVIDIA製のデータセンター用GPUと比較しても、AIトレーニングと推論のパフォーマンスを20倍ほども向上させる。例えば、データ分析、タンパク質モデリング、その他の科学的なコンピューターの利用や、クラウドベースのグラフィックレンダリングなど、ほどんどあらゆる種類のGPU集約化型のデータセンターのワークロードに対してメリットを提供できる。

A100 GPUは、ニーズに応じてスケールアップしたり、逆にスケールダウンさせることも可能だ。つまり、1台のユニットを使用した場合には、パーティションに分割することで、最大7つの独立したタスクを処理できる。あるいは、それらをすべて組み合わせて、1つの大きな仮想GPUとして動かし、AIアプリケーションの最大級に難しいトレーニングタスクに取り組むこともできる。特に「マルチインスタンスGPU」と呼ばれるパーティショニング機能は、この世代にとって新機軸のもの。あらゆる規模のクライアントに対してコスパの高いA100の能力を提供できる点は強調に値する。データーセンターで使われているGPUの利用状況に多少の余裕がある場合、理論的には1台で最大7基の独立したGPUを置き換えることができるからだ。

生産と出荷の状況の報告に加えて、NVIDIAは、スーパーコンピューターやデータセンターで使用するために、すでに多くの顧客がA100を採用していることも併せて発表した。たとえば、Microsoft Azure、Amazon Web Services、Google Cloudをはじめとして、現存するほぼすべての重要なクラウドプロバイダーが含まれるという。

さらにNVIDIAは、8基のA100 GPUを独自のNVLinkを使って組み合わせるDGX A100システムも発表した。すでにこれも、NVIDIAから直接、あるいは承認された再販パートナーから入手可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

テスラが長寿命低コストのバッテリーを開発中、EVの価格をガソリン車と同等に

Tesla(テスラ)のCEOを務めるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、将来のバッテリー技術の改善を吹聴し、次の同社のイベントは「バッテリーデー」になる、とまで公言していた。そして5月14日ロイターは、テスラが最新バッテリー技術を発表する計画であることを報じた。開発したテクノロジーは、同社の電気自動車の動力源として「100万マイル」の使用に耐え、低コストで生産できるという。これは同社が同等のガソリン車と同じかそれ以下の価格でEVを販売できることを意味している。

これが本当なら同社にとって大きな転換点だ。ロイターによると、この技術は中国企業のContemporary Amperex Technology(寧徳時代新能源科技股份有限公司)との共同研究開発から生まれたもので、マスク氏が電力ストレージの経済変革を起こすために集めた選りすぐりの学界出身者からなるテスラバッテリー技術研究チームの成果に基づいている。

バッテリー容量と製造コストは、電気自動車の製造コストに関わる長年の阻害要因であり、EVの販売価格が高額になる主要な原因だ。通常自動車メーカーは、テスラも含め生涯の燃料費節約と地域や州、国が提供する税優遇を、EVの生涯コストをガソリン車と同等あるいは低くする緩和要素として示してきた。しかし、同社の新しいバッテリー技術はこの状態を変え、EVの価格をガソリン車よりも低くする可能性を秘めている。そうなればEV普及の大きな原動力になる。

テスラは新バッテリーをまず中国で、Model 3を皮切りに採用する予定だとロイターは書いている。その後、他の市場へも展開し、最終的に新しい製造プロセスでバッテリーを生産する。新プロセスは労働コストを下げ、生産量を上げるためのもので、ネバダ州にある今のギガファクトリーの30倍の広さの、いわゆる「テラファクトリー」で使用される。

「テスラが開発しているバッテリー技術には、低コバルトおよびコバルトフリーの化学物質を使用するものや、新たに開発された材料と内部コーティングによって活性物質へのストレスを減らして、利用可能期間を延ばすものもある」とロイターは伝えている。

同社は提携しているContemporary Amperex Technologyが開発した新システムも導入する。最終的なバッテリーパックに搭載する前にバッテリーセルをまとめる手順を省略することで、パッケージの重量とコストを下げる。ほかにも、バッテリーの部品を最終的に他のエネルギー製品で使うことで実用年数を延ばす新たなリサイクル技術を開発している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

全球測位衛星システム「GNSS」を置き換える衛星サービス構築に向けXona Space Systemsが約1億円を調達

米国カリフォルニア州サンマテオを拠点とするスタートアップのXona Space Systems(ホナ・スペース・システムズ)は、1517 Fundが主導しSeraphim Capital、Trucks Venture Capital、Stellar Solutionsが参加する100万ドル(約1億円)の「プレシード」ラウンドを調達した。同社は、全球測位衛星システム(GNSS)に取って代わる、測位・航法・タイミング(PNT)衛星サービスの開発に注力しており、セキュリティや精度、正確さの面で大きなメリットがあると考えている。

Xonaによれば、ほぼすべてのグローバルナビゲーションソフトウェアやサービスのバックボーンとなっているGNSSは、比較的精度が低く悪意のある攻撃者から妨害の可能性があると主張している。GNSSは、時代に革新をもたらした技術だが、自動運転車の輸送やドローンフリート、自動化された海上輸送など、現代的なアプリケーションの要求を満たすという課題には対応していない。

Xonaは野心的な目標を抱いている。GNSSはこれまでに開発された中で最も重要かつ影響力のある宇宙ベースの技術の1つだ。その影響は、モバイルマッピングアプリを利用したターンバイターンのナビゲーションのような消費者アプリケーションから、グローバルロジスティックプラットフォームのような産業サービスまで、毎日利用されている。そしてGNSSを近代化し、改良し、信頼できる次世代の代替技術を開発できれば、誰もが大きな利益を得ることができます。

Xonaのアプローチでは、GNSSに比べて精度が10倍に向上し、さらに暗号化によってセキュリティが大幅に向上することが期待される。同社はPularブランドのPNTサービスの特許を申請しており、これは低軌道衛星(GNSSネットワークは高軌道)を利用して、次世代ナビゲーション技術を提供するというものだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Momentusが4K解像度の無料衛星ライブストリーミングサービスへ衛星打ち上げへ

宇宙輸送スタートアップのMomentus(モメンタス)は、英国の衛星テレビ放送会社のSen(セン)が4K解像度のリアルタイムビデオストリーミングサービスを構築するために、宇宙への輸送と展開を提供する新しい契約を提携した。Senは、個人向けに無料、開発者とサービス作成者向けにオープンソースのデータプラットフォームを介して、高品質な地球のライブビューを提供する。

米国カリフォルニア州サンタクララを拠点とするMomentusは、打ち上げ後にペイロードを移動させたい衛星会社にサービスを提供する。人工衛星の軌道を変更したり、あるいはSpaceX(スペースX)のFalcon 9のような、他のロケットに搭載されたペイロードのラストワンマイルの輸送を提供したりできる。

Momentusは軌道上での転送のVigorideを使用して、Senの衛星を軌道に乗せる予定だ。水プラズマベースの推進機のVigorideは年内に最初の試験飛行を行い、2021年までの実用化を目標としている。そして2022年にはSenのためにミッションを実施する。

Senの技術では、複数のカメラを搭載した小型衛星からの映像を提供し、最終的にはMomentusが打ち上げる最初の5機の衛星で構築されたコンステレーション(衛星システム)全体が運用される。この映像は個人がウェブやスマートフォンのアプリを介して無料で閲覧できるだけでなく、企業向けにプレミアムサービスとしても提供される予定だ。

MomentusはVigorideを打ち上げた後、2022年か2023年はArdorideと呼ばれる新バージョンの装置を計画しており、より大きなペイロードとより高い軌道への輸送、さらには月までの移動にも対応できるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

MITが家電製品が出す電磁波から居住者の健康状態を把握するシステムを開発

自分の健康状態の全体像を把握するため、これからはApple Watchのようなデバイスを身につける必要はないかもしれない。MIT(マサチューセッツ工科大学)のコンピューター科学・人工知能研究所 (Computer Science and Artificial Intelligence Lab、CSAIL)の研究者が、ヘアドライヤー、ストーブ、電子レンジ、洗濯機などの家電製品がいつ、どこで使われているかを把握できる新しいシステムを開発した。研究者たちは、これらの情報を医療従事者に伝えることで、彼が介護を担当している人々の習慣や課題を知らせるのに役立つと信じている。

研究チームが考案した 「Sapple」 と呼ばれるシステムは、家に設置された2つのセンサーを使って、ストーブやヘアドライヤーなどの家電の使用パターンを測定する。位置センサーは、電磁波を利用して位置を特定し、ユーザーがその場所の境界を歩くだけでエリアをカバーするように調整できる。もう1つのセンサーは、家庭内のエネルギー使用量を測定し、そのデータを移動情報と組み合わせ、家で電化製品を使用しているときと、その使用時間を計測するため、エネルギー使用量と特定の人物の物理的位置とマッチングさせる。

研究者が「Sapple」と呼ぶそのシステムは、家の中に2つのセンサーを取り付け、デバイスの使用パターンを判定する。位置センサーはデバイスが発する電磁波からその場所を特定するが、検知範囲はユーザーが実際に歩くことによって指定できる。もう1つのセンサーは家全体のエネルギー消費を計測し、動きの情報と組み合わせてエネルギー利用のシグナルを人間の物理的な位置にマッチングし、家の中の誰かが器具を使っていることと、その使用時間を知る。

この方法では、スマートメーターなどを使う類似のシステムにある多くの問題を回避できる。家電にはそれぞれ特定の電力使用パターンがあるので、消費電力量によってどの家電が使われたのかはわかる。しかし、該当する家電がいつどのように使われたかを知るのは難しい。MITのシステムが提供する情報なら、医療従事者が患者が衛生に十分配慮しているか、食事を自分で作って食べているかなどを知ることができるわけだ。

このシステムにはプライバシーの落とし穴がたくさんありそうだが」、その使用目的が高齢者の介護など特定の用途に限られている。極めて省エネで、いま必要とされている疫病対策のための人と人の間の距離も維持できる。

IoTのスマートデバイスがまったく必要ない点でも巧妙なシステムで、単純なセンサーを2つ取り付けるだけなので、介護を受ける患者側に技術の知識も能力もいらない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

RocketLabが月や火星、金星を探査する次期宇宙船に搭載する新エンジンをテスト中

Rocket Lab(ロケット・ラボ)は、次期宇宙船のPhoton Lunar(フォトン・ルナ)に搭載する新しいエンジンのテスト段階に入っていると、創業者でCEOのPeter Beck(ピーター・ベック)が明かした。同氏は 、同社のエンジン開発チームによってテストが勧められているhyperCurieと呼ばれるエンジンの画像を公開した。

hyperCurieはその名前が示すように、現在Rocket Labがミッションに使用しているElectronロケットの第3段と、Photon(フォトン)宇宙船(衛星バス)に搭載されているCurieエンジンを進化させたものだ。hyperCurieはRocket Labが開発中の新しい宇宙船であるPhoton Lunar に搭載され、月や火星、金星、さらにはその先まで小型のペイロードを運ぶ。

Rocket Labは今年2月、NASAに代わって月にペイロードを打ち上げる契約を獲得しており、NASAや他の顧客のために、月周回軌道や他の深宇宙の目的地へと小型衛星を投入する機会の増加を見据えていることは明らかだ。NASAの月探査ミッションは長期的な有人ミッションのための重要な要素である、月周辺にLunar Gatewayと呼ばれる軌道ステーションを建設し配置するという、NASAの最終目標の前段階になるだろう。

ベック氏は今月初めにPhoton Lunarの詳細なワイヤーフレームの概略図を公開したが、その中にはhyperCurieエンジンを搭載した宇宙船が描かれていた。hyperCurieは圧力式のCurieとは異なり、電動ポンプを採用することで性能を向上させ、より多くの推力を発生させる。

Rocket LabによるNASAのための月着陸ミッションは、現在のスケジュールによれば2021年に実施される予定であり、このエンジンがすでにテスト段階に入っているのは順調ということだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

カーネギーメロン大学が開発した小型ロボ探査車がNASAのテストに合格、来年には月面へ

カーネギーメロン大学(CMU)は、月面でロボット探査車を活動させることに、また一歩近づいた。同大学の小型ロボットが、重要なNASAの設計評価テストに合格したのだ。このテストは、NASAとAstrobotic(アストロボティク)が共同で実施したもの。Astroboticの月着陸船であるPeregrine(ペレグリン)が2021に計画されているミッションで、このロボットを月面まで運ぶことになっている。

設計評価テスト合格の前提としては、プロトタイプから実際にフライト可能な探査車に移行する段階で、CMUチームが実装することにしていたいくつかの設計変更が含まれていた。もともとは今夏に実施する予定だったものだ。変更後のバージョンは、打ち上げと月への飛行に耐えられるようストレステストを通過させる予定となっていた。その探査車自体が壊れないようにするのはもちろんだが、Peregrine着陸船に積み込まれる他の機材にも悪影響を与えないようにしなければならない。Peregineは、NASAの要求に従って各種の実験機材を月面まで輸送するのだ。

CMUの探査車はIris(アイリス)と呼ばれている。重量は約4ポンド(約1.8kg)で、大きさはちょっと大きめのトースターほどのもの。それでも、月面を探索する最初の米国のロボット探査車になるという名誉が与えられることになる。最終的に、これが「CubeRovers」への道を切り開くことになるだろう。比較的安価で小型の探査車シリーズで、公、民を問わず、一連の科学的な調査、挑戦に低予算で貢献できるもの。

Irisには4つの車輪があり、2つのビデオカメラを搭載している。このロボットの装備としては、それがメインのセンサーだ。カメラの小型化により、小型のロボット探査プラットフォームを使って、高品質の画像や動画データを収集するのが、かなり容易になった。これは、Astroboticのような企業にとっては素晴らしい展開だ。同社も、Peregrineのような軽量で安価な着陸船を使って大気圏外の宇宙を探査するという、民間企業としてまったく新しい市場に打って出ようとしている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

SpaceXがCrew Dragonの宇宙ステーションとのドッキングを体験できるシミュレーターを公開

SpaceX(スペースエックス)はブラウザーペースの新しいシミュレーターを公開した。同社初の有人宇宙船であるCrew Dragon(クルードラゴン)のドッキング過程を手動で操作するのがどんなものかを体験できる。実際には、Crew Dragonは全自動で国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングするが、宇宙飛行士は必要になったときに代って手動で操作する。このシミュレーターは「その際に宇宙飛行士が使用する「実際のインターフェース」を再現している」とSpaceXは説明している。

ドッキングのユーザーインターフェースは、宇宙飛行士がCrew Dragon搭乗時に使う実際のUIとしては、驚くほどシンプルだ。まるでiPhoneやiPadのスペースシミュレーターでバーチャルコックピットに出てきそうだが、Crew Dragonに搭載されている制御装置や情報ディスプレイのほとんどがタッチスクリーンなので、それも当然かもしれない。

方向指示ボタンが両側にあり、カプセルの方向および垂直、水平位置を調整できる。いずれも動きの大小を切り替えられる。中央の照準器がそれぞれの制御の動きをフィードバックするので、特にガイドがなくても自分で制御方法を理解するのは比較的簡単だ。簡単なヘルプ機能が、メインのゴールは照準器に出てくる数字を全部グリーンにすることだと教えてくれるが、それ以外でドッキングを成功するためにいちばん必要なのは忍耐だ。

気分転換の楽しい方法であることが主目的だが、宇宙船制御におけるSpaceXの人間中心のインターフェースデザインのアプローチを直に体験できる稀有な機会でもある。これは、NASAのアボロ計画やスペースシャトル計画のアーカイブ映像に見られるインターフェースとは大きく異なり、タッチスクリーンデバイスがどこにでもある現代の影響を明らかに受けている。

有効性の証明は、システムがどの程度パイロットがドッキングに成功するところを正確に描写しているかによるが、せっかくなので、うまくドッキングできるかどうか自分で試してみてはいかがだろうか?NASAのJames Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官は一度目の挑戦で成功したと言っているが、彼は元空軍パイロットなのでゼロから初めたとは言い難い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新型コロナ患者に早期警告する喉装着型ウェアラブル、NWUの研究者が開発

進行中のパンデミックによってあらゆる業界で大きな変化が生じているが、新型コロナウイルス感染症の影響を緩和するためのより長期的なソリューションの開発には、特に時間と労力を投資する価値があるだろう。ノースウェスタン大学の研究者がシカゴのShirley Ryan AbilityLabと共同で取り組み、新型コロナウイルスの感染者に早期警告を提供するウェアラブルデバイスを開発した同プロジェクトは、そういった取り組みの代表的な例である。

喉に装着できるよう設計されているこのウェアラブルデバイスは、約25人の個人によってすでに使用されており、自宅や診療所でのモニタリングを通じてその有効性に関する初期データが提供されている。関連ハードウェアが患者の咳や呼吸活動を監視し、研究チームによって開発された一連のアルゴリズムと連携することにより、初期症状や、感染が進行しより高度なケアを必要とする場合に発症する兆候を特定することができる。

この装置は24時間使用できるように設計されており、継続的なデータストリームを提供。症状が明らかに悪化してからでは早期治療の段階を過ぎてしまっており、通常の受診では頼りないが、この装置を使用すれば直ちに情報が提示されるため大きなメリットとなる。同ウェアラブルデバイスは切手サイズで薄いバンドエイドのような見た目だ。咳の音や頻度だけでなく、胸の動き、心拍数、体温、呼吸数も監視することができる。

同装置は特に発熱、咳、呼吸障害など、新型コロナウイルスの最も一般的な初期症状として医療専門家らが認識している症状をベースとして調整されている。同装置の開発チームをリードした、ノースウェスタン大学の研究者John A. Rogers(ジョン・A・ロジャー)氏によると、このウェアラブルデバイスが装着されるのは喉元にある「頸切痕」という部分で、ここは身体の呼吸経路の中でも「皮膚の表面付近で空気の流れが発生する場所」とのことだ。

このハードウェアにはさまざまな活用法があるだろう。第一に、最前線で働く医療従事者にとって貴重なツールとなる。起こり得る病気の早期兆候となるものを知ることができるため、同僚への感染を回避し、必要な治療を可能な限り効率的に受けることができる。第二に、すでに新型コロナウイルスに感染したと診断された人が、感染の経過や悪化する時期について貴重な情報を提供することができる。第三に、診療所内と自宅の両方にいる被験者からのライブ情報を用いて、治療の開発に取り組んでいる科学者に何が、どのように、どの程度うまく機能しているかの情報を提供するためにも活用することができる。

このデバイスは比較的簡単に生産が可能だ。チームによると毎週数百単位で生産でき、外部のサプライヤーに大きく頼る必要もないと言う。今回の危機に対応するために大量に必要となる可能性のあるハードウェアにとって、これは非常に大きな利点である。また、同デバイスはほぼ気付かれずに着用することができる上、臨床医と患者の両方にとって非常に使いやすい作りになっている。

OuraリングやKinsa体温計のように、生体からの測定値を監視するデバイスがウイルスの流行を抑えるのにどのように役立つかを考察中のプロジェクトが他にも進行中である。同ウェアラブルデバイスを手掛けた研究者らは、デバイス開発を管理するためにSonicaと呼ばれるエンジニアリング企業と連携してきた。これからはさまざまな機関と協力して(BARDAからの資金提供を含む)、より多くの場所にこのウェアラブルデバイスを導入し、広範囲に使用できるように製品化する可能性について検討していく予定だ。

関連記事:アップルが新型コロナ検査検体回収キットを開発する企業に約10億円提供

Category:ヘルステック

Tags:新型コロナウイルス ウェアラブル

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(翻訳:Dragonfly)

“新型コロナウイルス

NYのマウント・サイナイ病院は新型コロナ患者の体調管理にGoogle Nestカメラを導入

現在進行中の世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックは、リモートケアに関する多くの活動を活発にした。中でもGoogle(グーグル)のNestデバイスを利用した、米国ニューヨークにあるMount Sinai(マウント・サイナイ)病院の新しいプロジェクトは、オンプレミスのケアでさえもリモートテクノロジーにより安全にできることを示している。同病院の臨床医は、双方向のコミュニケーションに加えて、ビデオベースの患者の症状やバイタルサインの追跡を実施するために病室でNestのカメラを使い始めている。

Nestのカメラを使用することで、看護師や医師などの医療従事者は新型コロナウイルスへの感染の確率を抑えながら、一元的な監視とケアを提供し、人と人との交流を最小限の接触のみに限定できる。新型コロナウイルスに感染した人と接触する回数が増えるほど、免疫系がそれに対応できなくなり自分自身が感染する可能性が高くなることで、最前線で働く医療従事者に大きなウイルス感染のリスクが生じるため、これは重要なことだ。

さらに、個人用保護具(PPE)の温存という別の重要な観点からも病院を助けることになる。リモート監視により、スタッフはマスクや手袋を使用する回数を大幅に減らすことができ、以前の方法と比べて在庫がすぐになくならないようにできる。

グーグルはNestのカメラを、マウント・サイナイ病院にある100以上の病室に設置し、さらには最大1万台のデバイスとカスタム設計のモニタリングコンソールを全米の病院に提供する計画だ。

生命を守るためには直接的なケアが必要だが、リモート医療技術がパンデミックの最悪な影響を緩和する役割を担っていることは明らかだ。これはおそらく危機が続く中で、この種の技術が負荷にさらされる医療インフラを支えるために展開されるケースの、ほんの始まりにすぎないだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

約2万円でプロ並の性能を楽しめる万能マイク「Rode Wireless GO」、新色と付属アクセサリーでさらに進化

オーディオ業界をリードするRode(ロード)は、移り変わりの激しいクリエイター業界のニーズに常に対応し、YouTuber、ポッドキャスター、InstagramやTik Tokなどのメディア通に多数の新製品を申し分ない価格で提供し続けている。Rode Wireless GOのマイクシステムは、その中でも最もすばらしい製品と言えるかもしれない。報道のプロが使用していたような高価なワイヤレスのマイクパックシステム相当の品質を備えた製品が、199ドル(約2万1000円)という非常に魅力的な価格で大衆向けに提供されている。設定や使用法も実に簡単だ。今回同社は、Rode Wireless GOの新バーションであるホワイトと、すでに柔軟性に優れた同オーディオデバイスにさらなる汎用性をもたらす新たなアクセサリーを発表した。

著者はWireless GOが発売されて以来のファンであり、これまでにオリジナルのブラックバージョンをさまざまな場面で使用してきた。ホワイトバージョンは、オリジナルの優れた点を損ねることなく、薄い色の服を着用した際のビデオ撮影に適したライトカラーオプションを提供する。Wireless GOに馴染みのない読者のために説明しよう。この製品はトランスミッターとレシーバー(背面には衣服に取り付けるためのクリップ付き)の2点セットで、それぞれUSB-C経由で充電が可能。防風マイクマフ、充電ケーブル、3.5mmオーディオケーブル、持ち運びケースが付属する。

トランスミッターとレシーバーは同期されているため、電源を入れるだけで簡単に使用開始できる。トランスミッターにはマイクが内蔵されており、首元に取り付ければすぐに音を拾って飛ばすことができる。レシーバーパックはデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのコールドシューマウントに簡単に取り付けできて、付属の標準オーディオケーブルをカメラのマイクインプットに接続すれば直接録音が可能だ。

Rode Wireless GOのUSB-Cポートはオーディオアウトプットとしても機能するため、USB-CヘッドセットやUSB-C-3.5mmアダプターを使用してパックから直接音声をモニタリングすることもできる。トランスミッター側には3.5mmインプットがあり、ラベリアマイク(またはその他のマイク)を接続してオーディオシステムをさらに向上させることができる。ラベリアマイクといえば、Rodeは独自のLavalier GOラペルマイクの新バージョンであるホワイトを展開しており、これも高品質のサウンドを生み出す、手頃な価格のすばらしい製品だ。以下では、GO本体からの直接の音と、トランスミッターに接続されたLavalier GOを使用したサンプルの両方を比べて聞くことができる。

Wireless GOは汎用性が高く、幅広い用途で活躍してくれる。たとえばビデオ会議に使用するために、著者のメインの仕事用MacのUSBオーディオインターフェースに接続しておく。会議の時間になり電源を入れるだけで、こちら側のこもったような低品質の音が解決し、相手はとても聴きやすくなるわけだ。外出先でもWireless GOはポッドキャスティングにうってつけのオプションだ。ワイヤレスイヤフォンやデバイスの内蔵マイクと比較してはるかに優れたサウンドを提供してくれる。その上、同様に高品質のほとんどのUSBマイクと違い同製品はきわめてポータブルである。

Rodeは今回のローンチと同時に複数のアクセサリーも発表。さらに多くの用途に対応できるようになった。たとえばThe Interview GOアダプターを使用すれば、トランスミッターを手持ち式のマイクグリップに取り付け、風音や破裂音を減らすフォームフィルターを装着させてスティックマイクに変身させることができる。つまり、通行人のカメラインタビューや、多くの報道陣が殺到する現場での取材に参加する際に持ち運ぶマイクが1つ減らせるというわけだ。

Rode Wireless GOのトランスミッターを、話し手の衣服のどこにでも簡単に取り付けることができる新しい磁石式クリップアタッチメントも用意されており、これで首元や裾に留める必要がなくなる。これはどんな服装にでも柔軟に対応できるという点で非常に革新的で、装置の写り込まないクリーンなビデオショットが撮りたい場合に活躍する。

同社のWireless GOは、他のオーディオアプリケーションで役立つ裏技も持ち備える。たとえば、ヘッドフォンセットに使用するとレイテンシフリーのワイヤレスコンバーターとして機能する。トランスミッターの3.5mmポートにインプットを接続し、ヘッドフォンセットをレシーバーに接続すれば完成だ。

どの観点から見てもまったく妥協のない、万能なマイクシステムを見つけるのは至難の技ではあるものの、Rode Wireless GOはこの価格帯で得られる比類なき完璧なマイクと言っても過言ではない。Go本体は199ドル(約2万1000円)、Lavalier GOは79ドル(約8400円)である。トランスミッター用の磁石式クリップのMagClipは19ドル(約2000円)で、手持ち式マイクアダプター、Interview GOは29ドル(約3000円)だ。

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(翻訳:Dragonfly)

約2万円でプロ並の性能を楽しめる万能マイク「Rode Wireless GO」、新色と付属アクセサリーでさらに進化

オーディオ業界をリードするRode(ロード)は、移り変わりの激しいクリエイター業界のニーズに常に対応し、YouTuber、ポッドキャスター、InstagramやTik Tokなどのメディア通に多数の新製品を申し分ない価格で提供し続けている。Rode Wireless GOのマイクシステムは、その中でも最もすばらしい製品と言えるかもしれない。報道のプロが使用していたような高価なワイヤレスのマイクパックシステム相当の品質を備えた製品が、199ドル(約2万1000円)という非常に魅力的な価格で大衆向けに提供されている。設定や使用法も実に簡単だ。今回同社は、Rode Wireless GOの新バーションであるホワイトと、すでに柔軟性に優れた同オーディオデバイスにさらなる汎用性をもたらす新たなアクセサリーを発表した。

著者はWireless GOが発売されて以来のファンであり、これまでにオリジナルのブラックバージョンをさまざまな場面で使用してきた。ホワイトバージョンは、オリジナルの優れた点を損ねることなく、薄い色の服を着用した際のビデオ撮影に適したライトカラーオプションを提供する。Wireless GOに馴染みのない読者のために説明しよう。この製品はトランスミッターとレシーバー(背面には衣服に取り付けるためのクリップ付き)の2点セットで、それぞれUSB-C経由で充電が可能。防風マイクマフ、充電ケーブル、3.5mmオーディオケーブル、持ち運びケースが付属する。

トランスミッターとレシーバーは同期されているため、電源を入れるだけで簡単に使用開始できる。トランスミッターにはマイクが内蔵されており、首元に取り付ければすぐに音を拾って飛ばすことができる。レシーバーパックはデジタル一眼レフカメラやミラーレスカメラのコールドシューマウントに簡単に取り付けできて、付属の標準オーディオケーブルをカメラのマイクインプットに接続すれば直接録音が可能だ。

Rode Wireless GOのUSB-Cポートはオーディオアウトプットとしても機能するため、USB-CヘッドセットやUSB-C-3.5mmアダプターを使用してパックから直接音声をモニタリングすることもできる。トランスミッター側には3.5mmインプットがあり、ラベリアマイク(またはその他のマイク)を接続してオーディオシステムをさらに向上させることができる。ラベリアマイクといえば、Rodeは独自のLavalier GOラペルマイクの新バージョンであるホワイトを展開しており、これも高品質のサウンドを生み出す、手頃な価格のすばらしい製品だ。以下では、GO本体からの直接の音と、トランスミッターに接続されたLavalier GOを使用したサンプルの両方を比べて聞くことができる。

Wireless GOは汎用性が高く、幅広い用途で活躍してくれる。たとえばビデオ会議に使用するために、著者のメインの仕事用MacのUSBオーディオインターフェースに接続しておく。会議の時間になり電源を入れるだけで、こちら側のこもったような低品質の音が解決し、相手はとても聴きやすくなるわけだ。外出先でもWireless GOはポッドキャスティングにうってつけのオプションだ。ワイヤレスイヤフォンやデバイスの内蔵マイクと比較してはるかに優れたサウンドを提供してくれる。その上、同様に高品質のほとんどのUSBマイクと違い同製品はきわめてポータブルである。

Rodeは今回のローンチと同時に複数のアクセサリーも発表。さらに多くの用途に対応できるようになった。たとえばThe Interview GOアダプターを使用すれば、トランスミッターを手持ち式のマイクグリップに取り付け、風音や破裂音を減らすフォームフィルターを装着させてスティックマイクに変身させることができる。つまり、通行人のカメラインタビューや、多くの報道陣が殺到する現場での取材に参加する際に持ち運ぶマイクが1つ減らせるというわけだ。

Rode Wireless GOのトランスミッターを、話し手の衣服のどこにでも簡単に取り付けることができる新しい磁石式クリップアタッチメントも用意されており、これで首元や裾に留める必要がなくなる。これはどんな服装にでも柔軟に対応できるという点で非常に革新的で、装置の写り込まないクリーンなビデオショットが撮りたい場合に活躍する。

同社のWireless GOは、他のオーディオアプリケーションで役立つ裏技も持ち備える。たとえば、ヘッドフォンセットに使用するとレイテンシフリーのワイヤレスコンバーターとして機能する。トランスミッターの3.5mmポートにインプットを接続し、ヘッドフォンセットをレシーバーに接続すれば完成だ。

どの観点から見てもまったく妥協のない、万能なマイクシステムを見つけるのは至難の技ではあるものの、Rode Wireless GOはこの価格帯で得られる比類なき完璧なマイクと言っても過言ではない。Go本体は199ドル(約2万1000円)、Lavalier GOは79ドル(約8400円)である。トランスミッター用の磁石式クリップのMagClipは19ドル(約2000円)で、手持ち式マイクアダプター、Interview GOは29ドル(約3000円)だ。

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(翻訳:Dragonfly)

NASAがSpaceX、Blue Origin、Dyneticsの3社を月面着陸船の開発に指名

NASAがアルテミス計画で有人着陸システムを提供する企業を選出した。これには、1972年以降初めて宇宙空間から月面に宇宙飛行士を運ぶこととなる着陸船が含まれる。幅広い分野にわたる競合他社の中から選ばれたBlue Origin、SpaceX、Dyneticsは、月面着陸において初の女性飛行士と新たな男性飛行士を月面に運ぶための有人着陸システム(HLS)を開発および構築する予定だ。2024年までの達成を目指している。

SpaceXが提案したStarshipが、SpaceX Super Heavyロケットを用いて発射する着陸船として選ばれた。Starshipは同社が現在開発中の宇宙船で、軌道、月、火星へのミッションに完全再利用可能な宇宙船として設計されている。Super Heavyも現在開発中だ。これは完全再利用可能なブースターとして機能し、全ペイロードを搭載したStarshipを軌道に乗せることができる。Starshipは以前使用されたモデルやデザインとは非常に異なるため、着陸船として選出された事実は実に興味深い。

NASAによると、Starshipの柔軟な設計が長期的な目標に役立つようだ。OrionやGateway月軌道ステーションから月面までなどのより長い距離を移動する輸送乗務員に対し、地球軌道での燃料移送を提供できるようになる。SpaceXの提案には、宇宙空間における車両間の推進剤移送のデモンストレーションや、無人での月面着陸テストが含まれている。

興味深いことに、2024年までにOrionのクルーカプセルを月に運ぶために開発されたSpace Launch System(スペースローンチシステム、SLS)は人を輸送できる唯一の人間用ロケットとなるが、NASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官によると、必ずしも人が搭乗できる着陸船がSLSを使用して月に到達する必要があるわけではないと言う。理論的には、Super HeavyがStarshipを発射して月に運び、そこでオリオン(SLSを使用して移動)とドッキングして、月面への旅の最終行程にまでいたるというシナリオだ。

SpaceXによる有人Starshipのコンセプト

SpaceXによる有人Starshipのコンセプト

Blue OriginによるBlue Moonは、専用の着陸船に関してはより伝統的な設計になっており、Starshipほどは統合されていないマルチパートの降下および上昇システムを備えている。 昨年の国際宇宙会議でJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏は、Blue Originの入札の際、より詳細なデザインのほかパートナー企業やその役割を提示した。その「ナショナルチーム」では、Lockheed MartinがHLSを打ち上げる発射システムの「上昇要素」部分を構築し、Northrop Grummanが着陸船を打ち上げ機から降下位置に移送するシステムを提供。Blue Originは着陸船と実際に月面に降ろすための降下システムを開発する予定だ。また、Draperが航空電子工学と降下におけるガイダンスを提供。Blue Moonは、Blue OriginのNew GlennロケットとULAのVulcanの両方で打ち上げることができる。Starshipと同様に、Blue Moonの着陸システムも宇宙飛行士を運ぶ前に別の打ち上げ機を使って移動することが可能だ。

Blue OriginによるBlue Moonの着陸コンセプト

Blue OriginによるBlue Moonの着陸コンセプト

Leidos(旧SAIC)の子会社であるDyneticsは、宇宙と防衛の専門知識を実証してきた長い歴史を持ち、1969年に設立されている。上昇および降下の機能を備えた着陸船1機を含むDynetics Human Landing Systemを開発し、月旅行の際にはULAのVulcan発射システムに搭載されて、月に向かう。DyneticsはSierra Nevada Corpなど、多くの下請業者と共に同システムの開発に取り組む。

Dynetics Human Landing Systemのコンセプトデザイン

Dynetics Human Landing Systemのコンセプトデザイン

この契約で競い合う企業のリストには、業界全域におよぶ共同チームを率いるベゾス氏のBlue Origin、NASAのCommercial Crewプログラムのプロバイダーの1社でもあるBoeing、Commercial Crew用の別の輸送船を開発し、5月下旬に初の乗員飛行を目指すSpaceXのほか、宇宙ステーションの補給を含むさまざまなミッションで使用するための再利用可能な宇宙往還機を開発するSierra Nevada Corporationや、同レースで驚きの勝者となったDyneticsなどの中小企業が含まれていた。

ここでの契約は、複数のプロバイダーに少なくとも2つのシステムを並行して開発させるというNASAの目標を反映している。これにより、大きな挫折に直面した場合にも冗長性が生まれ、またNASAは理論上少なくとも今後2つの有人着陸システムから選択が可能となるわけだ。アルテミス計画の目的は人を月面に再度送り込む事だけでなく、火星やその先を含む有人探査を見据え、NASAが深宇宙を目指すための中継地として確立させるためのものである。

契約は合計9億6700万ドル(約1030億円)に上る。支払いは10カ月の工程におけるプロバイダーのマイルストーン達成度合いに応じて行われる。NASAは電話にて、同ミッションを行うために必要な技術の多くはすでに存在し、参加している企業の多くはすでに彼ら自身の輸送船開発の追求に多大な投資を行っているため、今回の取り組みは前回月に行った際とは非常に異なるシナリオである事を言及している。

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Category:宇宙

Tags:NASA SpaceX Blue Origin Dynetics

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(翻訳:Dragonfly)

アップルが新型コロナ検査検体回収キットを開発する企業に約10億円提供

Apple(アップル)は同社の高度製造支援基金であるAdvanced Manufacturing FundからCOPAN Diagnostics(コパン・ダイアグノスティック)に1000万ドル(約10億円)を提供した。同社は、米国の病院向けに新型コロナウイルス(COVID-19 )診断のための検体回収キットを製造している。今回の資金は、米国拠点の製造業の開発と成長をサポートするためにアップルが設けた基金から拠出される。これは注目に値する。というのも、同基金はこれまでアップルのサプライチェーンに直接つながっている企業の支援に使われてきたからだ。

今回の支援ではアップルは、COPAN Diagnosticsの設備や材料の確保も手伝っている。例えば、新たな高度設備のデザインをアップルがサポートした。支援金は、COPANがキットの供給をもっと増やせるよう、南カリフォルニアにある生産施設を拡大するのにも使われる。アップルによると、同施設の現在のランレートは週7000キットほどだが、7月までに週100万キット超に増やす。こうした取り組みにより米国内で新たに50人ほどを雇用することにもなるとアップルは述べている。

COPANは診断業界ではパイオニアで、2003年にはフロックドスワブ(DNAサンプル採取に特化して設計された綿棒)を開発した。現在は、世界で広く使われているウイルスを含む臨床検体の輸送媒体を生産している。アップルからの投資は、COPANの専門を生かしつつ主に生産拡大に使われる。米国における広範な新型コロナウイルス診断のボトルネックになるのを防ぐべく急増する診断キット需要に対応しようと、アップルが達成し得る驚異的な生産量に近づけられるような生産体制にする。

アップルはグローバルの新型コロナ危機との戦いに多くのリソースを向けている。ここには寄付、保護具の提供、症状チェックアプリとGoogle(グーグル)との提携のもとに今後リリースされる濃厚接触の通知ソフトウェアのためのソフトウェア開発リソースが含まれる。今回の高度製造支援基金からの資金提供は、Appleがさまざまな方法でパンデミックに取り組めるということを示す新たな例となる。

画像クレジット: Apple

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(翻訳:Mizoguchi

トム・クルーズが宇宙での映画撮影についてSpaceXと交渉中か

長年に渡って活躍中のアクションスター、Tom Cruise(トム・クルーズ)氏は、ますます壮大で激しいスタントやアクションシーンを求め続けている。そして、そうしたものすべてを盛り込んだ最高のアクションムービーの集大成として、宇宙で映画を撮影することを目指しているのだろう。Deadlineによると、クルーズ氏がElon Musk(イーロン・マスク)氏のSpaceXと、宇宙で長編映画を撮影する可能性について話し合いを始めており、そこにはNASAも参加しているという。

これはまだ予定に組み込まれたプロジェクトではなく、話を始めたばかりだが、真剣な話し合いが行われているとのこと。この話はクルーズ氏の命知らずの性格からもうなずけるものだ。というのも同氏は、スタントシーンを自ら演じることが多い。「ミッション:インポッシブル」シリーズの、鳥肌の立つような見せ場のシーンのいくつかも、その例外ではない。

そのレポートによると、その映画は「ミッション:インポッシブル」の続編ではないようだが、本当に宇宙空間で撮影されるとすれば、人気シリーズでなくても、十分に聴衆を惹き付けるものになるはずだ。

実際にどうやって撮影するつもりなのか、ということについては何も明らかにされていない。しかしSpaceXは、まさに有人宇宙船を実用化しようとしているところだ。NASAの宇宙飛行士を乗せたCrew Dragonが、この5月27日に初めて打ち上げられようとしている。これは国際宇宙ステーションに対して、宇宙飛行士を輸送する宇宙船が、通常業務として運行可能になったことを示す最終準備段階のデモンストレーションとなるミッションだ。

SpaceXとNASAは、まさにCrew Dragonを開発するために官民のパートナーシップを締結した。計画では、契約によって他の民間のパートナーも利用できることになっている。NASAが民間業者と官民パートナーシップを結ぼうとしているのは、市場を開放することによって長期的にコストを賄うことができると考えているからだ。SpaceXは既に別のパートナーとの話し合いのもと、Crew Dragonに搭乗するプライベートな打ち上げの予約を募っている。

マスク氏が率いるSpaceXは、現在、完全に再利用可能な宇宙船であるStarshipの実現にも取り組んでいる。それが実際に飛行できれば、船内に撮影スタッフが乗り込むスペースもできるはずだ。実際に人間が搭乗できるようになるのはまだ数年先かもしれないが、将来の有人月面着陸ミッションの契約プロバイダーの1つとして、NASAに選ばれている。すべてがNASAの計画通りに進めば、このミッションは2024年に始まる予定だ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Netflixの『スペース・フォース』の予告第1弾が公開、『The Office』のスティーヴ・カレルが主演

Netflix(ネットフリックス)は、米軍をパロディ風に描いた最新シリーズ『Space Force(スペース・フォース)』の最初のトレーラーを公開した。このプロジェクトは、宇宙に焦点を当てた軍種が公式発表された直後に公開されたもので、実際の米国宇宙軍が発足したばかりであるにも関わらず、このように短期間のうちに洗練された作品のトレーラーが公開されたのは、非常に印象的だ。

シリーズは5月29日(ちょうど、NASAとSpaceXが初の民間宇宙船によるデモ飛行を行い、有人宇宙飛行を再開する予定日の2日後)から始まり、Steve Carell(スティーヴ・カレル)や John Malkovich(ジョン・マルコヴィッチ)、Diana Silvers(ダイアナ・シルバー)、Tawny Newsome(タウニー・ニューサム)、Lisa Kudrow(リサ・クドロウ)、Ben Schwartz(ベン・シュワルツ)が出演する。もしこのトレーラーから 『The Office(ジ・オフィス)』のような雰囲気を明らかに感じたら、それには正しい。同シリーズのクリエーターとなるGreg Daniels(グレッグ・ダニエルズ)を含め、クリエイティブチームの多くが『Space Force』に関わっている。

この雰囲気からこのシリーズを『The Office but with space army』と表現したくなるが、それはスティーヴ・カレルとMicheal Scott(マイケル・スコット)が演じる登場人物がしゃべっているとことから強力に連想させられるだけだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAはトム・クルーズの映画に協力、ISS宇宙ステーションで撮影する

噂は事実だった。TechCrunchはNASAはトム・クルーズの宇宙を舞台にした映画製作に協力していると報じたが、今朝、ジム・ブライデンスタインNASA長官がツイートでこれを確認した

NASAはクルーズに協力してISS(国際宇宙ステーション)で撮影を行う。このニュースはDeadlineが最初に報じ、SpaceXもパートナーとなる可能性があると書いていた。以前からNASAはISSの商業的利用への開放をさらに進めようと努力していた。大作映画のロケにISSを提供することはよい方法の一つだというのは間違いない。

ブライデンスタイン長官は、広く人気があるチャンネルを通じてISSのような科学的事業を紹介することは、「エンジニアや科学者の若い世代にインスピレーションを与え、NASAの意欲的な目標の達成に役立つ」と述べている。SpaceXのイーロン・マスクも「これは楽しそうだ」とツイートしている。

トム・クルーズがISSに乗り込むならSpaceXのCrew Dragonシステムを使うことになるはずだ(ハリウッドスターがISSに行くというのは突飛な仮定に聞こえるかもしれないが、クルーズが宇宙に飛び出せるチャンスを逃すとは私には想像しにくい)。SpaceXのCrew Dragonは、有人宇宙飛行能力を実証する最終的なデモの段階に来ており、NASA宇宙飛行士の2人を乗せてISSにむかうDemo-2ミッションが今月末に予定されている。

NASAとSpaceXでは、Crew Dragonの有人飛行能力を民間ビジネスが利用できるようにしようと計画している。Crew Dragonの定員は最大7人だが、NASAはこのうち4人分だけを自身のために予約している。つまり民間ビジネスによる予約によってNASAが負担する打上コストを節約しようという考えだ。

トム・クルーズ(プラス主演女優?)と撮影クルーにISSへの飛行のチケットを買ってもらえば、NASAの出費はだいぶ助かる。 もちろんこれは計画の初期段階であり、いつ、どのように実行されるのかについてはまだ何も発表されていない。SpaceXはCrew Dragonを一般ツーリストに開放する計画を発表しており、それによれば来年後半か2022年にはこの宇宙ツアーが開始される予定だ。

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滑川海彦@Facebook

Virgin GalacticとNASAが共同で2点間移動用の超音速機を開発へ

Virgin Galactic(バージン・ギャラクティック)は、米国時間5月5日にNASAとの新しい提携契約を公表した。地球上の2点間移動のための高速航空機の開発が目的だ。NASAはこれまでも、超音速航空機の開発を独自に行ってきた。Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)が製造した低衝撃波の超音速試験機X-59はその1つだが、今回のVirgin Galacticとその子会社The Spaceship Company(ザ・スペースシップ・カンパニー)との新たな提携契約では、特に持続可能な高速移動技術を民間および商用航空に適用する道を探る。

Virgin Galacticは、このプロジェクトで幸先のいいスタートが切れると確信している。その理由の筆頭に挙げられるのが、現在が保有している航空機の開発、エンジニアリング、試験飛行を行ってきた実績だ。同社にはWhiteKnightTwo(ホワイトナイトトゥー)母機や、その母機から発射されて大気圏と宇宙の境目まで到達できる有翼宇宙船SpaceShipTwo(スペースシップトゥー)がある。Virgin Galacticのシステムは、通常の滑走路から離陸しまたそこへ着陸できるように構成されている。ロケット推進式のSpaceShipTwoは、地球の大気圏と宇宙との境目をかすめて飛行でき、商用宇宙観光として客を乗せ、感動的な眺めや短時間の無重力体験を提供することになっている。

実際、Virgin Galacticの技術は2点間高速移動に最適なように思える。おそらくSpaceX(スペースエックス)とその建造中のStarship(スターシップ)を使った野心的な計画の数々によって一般に認知されるようになった2点間移動は、超高速で地球上の2点をつなぐという考え方だが、大気圏の非常に高い(現在の民間航空路線の高度よりもずっと高い)ところか、もしかしたら宇宙空間を通ることになる。高高度を飛行するのは、空気が薄く空気抵抗も低いために超高速で飛行できるからだ。例えば国際宇宙ステーションは、地球の周回軌道を90分で1周している。

SpaceXによると、Starshipならニューヨークから上海までの移動はわずか40分だという。今の飛行機なら16時間かかる。Virgin GalacticもNASAも、まだまだ所要時間を語れるような段階には至っていないが、単純に比較するならばSpaceShipTwoの最高速度はおよそ時速4000kmなのに対して、ボーイング747はおよそ988kmだ。

Virgin GalacticとNASAのこの新しい提携は、米国Space Act Agreement(宇宙法協定)に基づくものだ。これはそのさまざまな目標、ミッション、計画指令の達成に役立つとNASAが判断した団体の協力を得るためにNASAが利用するという形の協定だ。具体的にどんなものになるかを想像するのは時期尚早だが、Virgin Galacticはその広報資料の中で「乗客の満足度と環境への責任にを重視した、次世代の安全で効率的な高速航空移動のための航空機の開発を目指す」と述べている。そしてそれは「業界のパートナーたち」との共同で行われるとのことだ。

画像クレジット:Mark Greenberg / Virgin Galactic / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

中国が新型の長征5号Bロケットで次世代乗員カプセルのデモ飛行

中国が新型の長征5号Bロケットを利用した、次世代宇宙船の実証ミッションを打ち上げた。これは、中国の次世代宇宙ステーションの部品の打ち上げにも使用される、新型の長征ロケットの最初の打ち上げでもある。

今回のミッションでは、中国で最新のロケット射場となる文昌(ウェンチャン)から、乗員を乗せない宇宙船が打ち上げられた。長征5号Bは推進力を高める4つのブースターを装備した10基のエンジンを搭載したロケットで、中国にとってこれまでで最も強力なロケットだ。このロケットは第2段がなく、大型のペイロードを地球低軌道に運ぶために特別に設計されている。これはまさに、同国が2022年までの建設を計画している宇宙ステーションの組み立てに必要なものだ。

乗員カプセルは低軌道で短期間の実証ミッションを行うが、現時点では飛行証明の準備段階だ。最終的には、軌道上の宇宙ステーションとランデブーし宇宙飛行士を送り込むために中国が現在使用している宇宙船の神舟と代わることになる。現在は3人乗りだが、最終的には一度に最大6人を輸送することができ、また最終的には月まで宇宙飛行士を運ぶことも可能になる。

これは中国の宇宙開発にとって重要なミッションであり、現在進行中のNASAによる商業有人ミッションと比較すると興味深い。アメリカは5月27日にSpaceX(スペースX)の商業宇宙船が宇宙飛行士を乗せて初のデモ打ち上げを行うという、大きなマイルストーンに近づいている。また同社のCrew Dragonは、構成によって最大7人の乗員を輸送できる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter