Virgin Orbitの自動人工呼吸器を米食品医薬品局が緊急承認、数日以内に医療現場に提供へ

小型衛星の打ち上げを目指すVirgin OrbitはFDA(米食品医薬品局)から人工呼吸器用の緊急使用許可(EUA)を得た。同社は新型コロナウイルス(COVID-19)感染の重症患者に必須となる人工呼吸器のニーズに対処するため、数週間前から設計とプロトタイプ化の製造を開始していた。Virgin Orbitは、「FDAの承認が得られたので、数日以内に人工呼吸器の提供が開始できる」と期待している。

Virgin Orbitが設計した人工呼吸器は、救急車に搭載され救急隊員が自発呼吸の能力を失った患者に使用する手動人工呼吸器を自動化したものだ。設計に当たっては専門家と医師のグループ、ブリッジ人工呼吸器コンソーシアムの指導を得ている。「ブリッジ」という分類のとおり、主に「つなぎ」として使用されるタイプだが、これには大きなメリットがある。軽症患者にブリッジタイプの簡便な人工呼吸器を使うことにより、本来の人工呼吸器を新型コロナウイルスによって重篤な肺炎を起している患者の救命にあてることができるようになる。

Virginではすでに人工呼吸器の製造を開始していると発表しており、現在の生産体制で「週に100台以上」を生産できるという。今週中に出荷予定の最初の100台はカリフォルニア州に送られEMSA(Emergency Medial Services Authority)によって必要度の高い医療現場に配布される。

Vigin Orbitでは人工呼吸器の生産ラインを迅速に立ち上げて出荷を開始するために多大の努力を払ったが本業はやはり衛星打上だ。同社では独自の小型衛星発射システムの開発を続けるとしている。Virgin Orbitの空中発射システムについてはTechCrunchでも報じてきた。今月、Launcher Oneロケットを747母機の主翼下に吊り下げて所定の高度に上昇させる最終飛行テストに成功している。この後は実際にロケットに点火して衛星を打上げるテストとなる。これは今年中に実施される予定だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

SpaceXが60個以上のStarlink衛星の打ち上げに成功、2020年のサービス開始に布石

SpaceXは、新たにStarlink(スターリンク)衛星の一団を打ち上げた。地球低軌道に展開されたこれらの衛星は、地球全域での高帯域ブロードバンドのインターネット通信網の利用を可能にするものだ。今回の打ち上げで軌道上のStarlink衛星は合計422基となったが、SpaceXではそのうち2基(最初の2つのプロトタイプ)は早急に軌道から外すことにしている。

すでにSpaceXは、民間人工衛星運用企業としては世界最大規模になっているが、まだ余裕も伸びしろも十分にある。また、Starlinkの打ち上げ頻度も、世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)危機にも関わらず増加している。前回の打ち上げは3月18日だった。SpaceXは今年に入ってわずか4カ月の間に、トータルで4回の衛星打ち上げを実施している。

この攻めのペースを保つのには理由がある。打ち上げを行うごとに、この衛星がネットワークの屋台骨を構成するStarlinkブロードバンドサービスの開始が近づくからだ。SpaceXでは、今年後半のいずれかの時期に、カナダと米国北部をカバーするネットワークの提供を始めたいと考えている。さらに、この方式を有効に展開するためにも欠かせない。従来の静止インターネット衛星よりもずっと地表に近い軌道を回り、サービス提供地域の上空を通過する衛星同士で接続を引き継ぐ必要があるため、一般消費者や企業に安定的で信頼性が高く遅延の少ないインターネット接続を提供するためには、たくさんの衛星を飛ばす必要があるのだ。

Starlinkは、来年には全世界へサービスを拡大したいと考えている。そのためには、さらに多くの衛星を打ち上げ、ずっと大きなコンステレーションを構築しなければならない。SpaceXが公表した資料には、需要や性能に応じて、1万2000基から4万2000基の小型衛星を打ち上げてネットワークを完成させると記されている。

SpaceXのCEOで創業者のElon Musk(イーロン・マスク)氏は、Starlink衛星が地上からの夜間の天体観測を妨害するとの苦情への対処について詳しい説明も行った。その人工衛星が反射する光は、天体写真に点や筋となって現れる。それが地上の望遠鏡や天文台からの天文観測や研究に支障をきたすと天文学者は主張している。

今回の打ち上げには、使用を終えたFalcon 9(ファルコン9)ブースターロケットの回収も試みられた。これは、SpaceXのDemo-1 Crew Dragon(デモ1・クルー・ドラゴン)の打ち上げにも使用されたものだ。さらに2019年には2回使われている。Falcon 9は、大西洋上で待機していたSpaceXのドローン船に計画どおり着艦した。これで、今年の初めに数回あったFalcon 9ブースターの着陸失敗が挽回されることを願う。

SpaceXはまた、打ち上げの際にStarlink衛星を保護し、後に2つに割れるフェアリングの回収も試みることにしている。だが、システムのアップグレードにより、パラシュートで減速しながら降下してくるフェアリングを網で捕まえる方式は使えない。その代わりに、海に着水したところを拾い上げる方法が検討されている。SpaceXがその方法を確定し発表したときには、この記事を更新する予定だ。同社では、フェアリングももっと頻繁に再利用したいと考えているのだが、網で捕まえる方法のほうが再使用のための整備が楽になる。これも、現在建造中の完全に再利用可能なStarship(スターシップ)宇宙船を実現させるべく、事業を継続したいSpaceXのコスト削減策のひとつだ。

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(翻訳:金井哲夫)

ソーシャル・ディスタンス制限を緩和すればピークは5月中旬にずれ込む、コロンビア大学の新型コロナ最新予測

米国ニューヨーク州のコロンビア大学メールマン公衆衛生学部は、米国における新型コロナウイルス(COVID-19)感染数のピークと減少について、ソーシャルディスタンス基準の違いに応じた最新予測を公表した。最新の情報に基づいて改定された予測によると、人との接触を約30%減らすことで、4月末にこの国の新規感染者数をピークにもっていける。しかし、減少が20%に留まると様相は劇的に変わり、ピークに達するのは5月半ばにずれ込み、1日の新規感染者数は最大3万人に膨れ上がる。

コロンビア大学の予測数値はホワイトハウスのコロナウイルス・タスクフォースや米国疾病対策センター(CDC)、ニューヨーク市を始め全米の数多くの自治体への助言に使用される。今回改定された予測では、近々ピークを迎える可能性はあるものの、それは同じ時期に病院やICUの収容能力が最大限に達することを意味していると指摘している。さらにコロンビア大学の研究者らは、この情報はピーク到達の地域差は考慮にいれておらず、30%の接触削減が着実に行われていた場合であっても、地域によってピークを迎える時期が異なる可能性があると警告している。

コロンビア大学研究チームが開発したモデルは、感染者数および死者数、都市や州の境界をまたぐ移動、緊急野戦病院の収容能力など、モデルが最初につくられたときには入手できなかった情報も取り入れている。コロンビア大学のウェブサイト経由でモデルから導かれた日々の予測をインタラクティブなグラフで見ることができる

これ以外にも、最近多くの公衆衛生専門家、伝染病学者、医学研究者らが改定された予測を発表しており、ソーシャル・ディスタンスの緩みが新型コロナウイルス感染拡大を長期化、悪化させる壊滅的に結果につながり、さらには医療従事者(特に現場作業者)の負担を増やすことを指摘している。

MITも、現在の対人接触の制限緩和が及ぼす影響について、「指数関数的爆発」が起きると予測している。一方一部の州では、専門家や研究者が時期尚早との意見で一致しているにも関わらず、すでに制限の緩和を実施している。

画像クレジット:Rob Kim / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Firefly AerospaceがSpaceflightと2021年のAlphaロケット打ち上げで契約

Firefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)はSpaceflight(スペースフライト)と契約を締結し、2021年に米国カリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地から打ち上げ予定のFireflyロケットのペイロードの大部分を、Spaceflightに提供する。Spaceflightはロケットのライドシェアサービスを提供しており、他の企業と1機のロケットを共有することで、ペイロード容量を最大限に利用しながら、顧客あたりの打ち上げコストを削減する。

FireflyのAlphaロケットは、同社初の衛星打ち上げロケットであり、太陽同期軌道に630kgのペイロードを投入できる。またSpaceflightは、そのスペースを満たすために多数の顧客からのペイロードを統合し管理する。この契約には、将来のミッションまで長期的に適用される条項も含まれており、Spaceflightは将来のAlphaの打ち上げに顧客が参加できるよう支援する。

Spaceflightはすでに、ロケットのライドシェア市場におけるリーディングカンパニーとして台頭しており、29機のロケット打ち上げにおける271機の衛星のペイロード管理サービスを提供している。FireflyのAlphaは現在テスト段階にあるが、1月のテストパッドでの火災を含むいくつかの障害や、新型コロナウイルスのパンデミックにもかかわらず、大いな進展を遂げ作業を続けている

Fireflyは今年後半にもAlphaを打ち上げる予定で、現在はテキサス州ブリッグスの同社の施設で、ロケットの第1段と第2段の最終受け入れ試験を行っている。そして最初のテスト飛行が成功すれば、Fireflyは2021年にも商業飛行が開始できる状態になるはずだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

「Starlink衛星打ち上げ時のトラブルはアルコール洗浄液の混入」とマスク氏がツイート

SpaceXの創業者でCEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は4月22日、「今回のStarlink衛星の打ち上げの際にMerlinエンジンの1つが停止した原因が判明した」とツイートした。このトラブルは打ち上げそのものには影響せず、Starlink衛星は所期の軌道に乗った。「少量の洗浄液の混入が見過ごされた」ためにエンジン停止が起きたという。

SpaceX Falcon 9ロケットの一段目(ブースター)は9基のMerlinエンジンを搭載しており、うち1基が停止してもミッションを継続できるよう設計されている。実際、3月18日の打ち上げではブースターの作動中に1基が停止した。 このエンジン・トラブルが60基のStarlink衛星の軌道投入に影響を与えまなかったのは設計どおりだったが、SpaceXは原因の調査を開始し 、NASAもこれに加わった。5月27日にNASAとして初めての民間企業のロケットを利用した有人宇宙飛行が予定されており、これにはFalcon 9が使用される。

マスク氏は、Merlinエンジンの停止の原因は「少量のイソプロピルアルコール(洗浄液)がセンサーのデッドレッグに混入し、飛行中に発火したためだ)」とツイートした。イソプロピルアルコールはごく一般的な有機洗浄液で殺菌能力も高いため消毒用に薬局で自由に購入できる。マスク氏の説明からすると、Merlinロケットの液体燃料系の圧力バルブのセンサーハウジングにイソプロピルアルコールが少量誤って閉じ込められたものらしい。少量のアルコールの発火はエンジンの損傷には至らないはずだが、センサーに高熱を伝えたためエンジン停止が起きたようだ。

NASAとSpaceXは、商用有人宇宙飛行事業の実証ミッション、Demo-2の実施予定を公式に発表しているところから考えて、NASAはSpaceXによる原因の調査と原因の特定に納得した可能性が高い。SpaceXの発表どおりであれば、パーツの洗浄後のチェック手続きの改良により比較的簡単に防止できるだろう。万一同様の問題が発生した場合でも、Falcon 9のエンジンシステムに組み込まれた冗長性により、ロケットは正常な飛行を続けられる可能性が非常に高いことが示されたといえる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

LabCorpの新型コロナ検査キットが家庭用として初めて米食品医薬品局が認可

LabCorp(ラブコープ)の家庭用新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査キットPixel(ピクセル)は、米食品医薬品局(FDA)が排除していた検査方法として、初めての緊急時使用許可(EUA)を取得した。これは家庭用の検体採取キットで、鼻腔スワブなどの検体採取用具と、採取した検体を検査機関に送るためのパッケージが含まれている。

これまでFDAは、家庭用の検査や検体採取のためのキットの使用を認めてこなかった。実際、同じように家庭で検体を採取して、新型コロナウイルスの存在を検出する分子リアルタイムCPR検査の実施をすでに許可されている研究所に送付し、検査結果を教えてもらうという検査キットを数多くのスタートアップ企業が発表するようになると、FDAはガイドラインを示し、家庭用検査キットは認可できない旨を強調していた。

FDAによれば、認可されたのはLabCorpの新型コロナリアルタイムPCR検査のみで、他の同様の検査キットは、今でも前もってEUAを取得しなければサービスは開始できないという。遠隔医療により有資格の医療専門家の指導を受けるか否かに関わらない。FDAガイドラインの例外を利用して、家庭での血清検査を実施している研究所もあるが、それは新型コロナウイルスの発症を確認するための検査ではないというのが同局の見解だは。

家庭での検査が許可されたことは(家庭での完全な検査の実施ではなく単なる検体検査ではあるが)、FDAがこれまでの方針を変更したという意味で、大きな一歩だ。FDAは先日、ガイドラインを更新し、同局は家庭用検査キットのメーカーと協力して、それを一般に普及させる最良の方法を探ると表明した。なぜならFDAは「家庭での検体検査を含む安全で正確な検査方法を通じて、新型コロナウイルスの検査の機会を増やすことに公衆衛生上の意味があると認識した」からだ。

LabCorpは40年以上の歴史を誇る米国の医療診断企業であり、Pixelシリーズには、大腸癌、糖尿病、心臓脂質の状態を家庭で検査できるものがある。FDAは家庭での検体採取の認可に道を開きたいと考える企業の中でも、業界で長年実績を積んできた相手を好んだようだ。専門家の立ち会いなく自分で検体採取を行い、パッキングして、送るといった手間がかかることで、間違いが増える恐れがあると同局は考えたのだろう。

米国では現在、新型コロナウイルスの検査は、診療所や病院に加えてドライブスルー施設に依存している。だがこれらの検査は、リスクプロファイルや症状発現など、受けるための条件が厳しい。また検査を実施する医療専門家は、自身が感染の危険にさらされる。家庭で検査ができれば、検査率が全体に高まと同時に、新型コロナウイルスパンデミックが実際にはどこまで広く、どれほど深く及んでいるかを、より正しくイメージできるようにもなるはずだ。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:金井哲夫)

成層圏上の気球からインターネット接続を提供するLoon、初めての商用化をケニアで

Googe(グーグル)の親会社Alphabet傘下のLoonは、遠いへき地などに高高度からのブロードバンド接続を提供する。同社はこのほど、その気球の初めての商用バージョンを、2週間前にケニア政府から得られた承認により、ケニアの人びとのインターネット接続のためにローンチした。気球は目下テスト中だが、その結果を待ちながら数週間後には本番のサービスを開始する予定だ。

Loonはケニアの通信企業Telkom Kenyaとパートナーして、同社の契約ユーザーにサービスを提供する。気球は地球の成層圏の高度およそ2万メートルを飛び、地上局のセルタワーも通信衛星も利用できない遠隔地に、安定性の良い高速インターネット接続を提供する。

LoonのCTO Sal Candido(サル・カンディド)氏が書いたMediumの記事によると、気球はプエルトリコまたはネバダ州から離陸し、長い旅をしてケニアのサービス供用地域へ向かう。気球は気流に乗って最終目的地へ向かうが、それは成層圏風に運ばれる最高速のルートなので、かなり回りくどい旅路になる。具体的なルートは、Loonの自動ナビゲーションソフトウェアが決める。

ケニアに到着したら、機械学習を利用するその同じアルゴリズムが、ターゲット圏域の比較的安定性の良い場所に気球を定置させる。気球は上下に動いて異なる気流を捉え、固定された地理的領域の中で気球はそんな短い旅を繰り返しながら、地上の顧客への24時間の高速安定サービスを提供する。

ただし顧客が気球に直接アクセスするのではなく、パートナーのTelkomのセルネットワークからその接続サービスを利用する。それに対しTelkomは当然ながら課金をするため、アフリカのインターネットアクセス性スタートアップBRCKなどは、それが障碍になる人びともいる、と懸念している。でも、やっと初めて商用化にこぎつけたわけだからLoonにとっては重要なマイルストーンであり、今後デプロイの仕方をもっと多様化していけば、さまざまなビジネスモデルが可能になるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3Dプリントメガネ製造のFitzがヘルスケアワーカーにカスタム保護メガネを提供

多くのスタートアップが、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大や影響を抑制すべく取り組んでいるヘルスケアワーカーをサポートしようと、個人用防護具(PPE)やその他の必需品を求める声に応じている。そのうちの1社が消費者直結型3DプリントメガネブランドのFitz(フィッツ)だ。できる限りの保護を必要とする最前線で働くヘルスケアワーカーのための度入りレンズの保護メガネを作るのに、同社のカスタムフィットメガネ技術を活用している。

Fitz Protectは、FitzがiOSアプリ用に作り出したカスタムメードのための手法で作られている。この手法は、Appleが最近のiPhoneや全iPad Proモデルに搭載している深度センサー付きFace IDカメラによって可能になった。アプリではバーチャルのお試しができ、フィット感をミリ単位で調整できる。Protectはメガネの1種で、あらゆる度数に対応する。しかし、目の周辺から液体が入ることがないよう、カバーとガード機能を強化した安全メガネとなっている。

ヘルスケアのスタッフは、感染を拡大させる新型コロナ患者の咳やくしゃみ、飛沫を飛ばすようなその他の行為から顔や口、鼻、目を保護するために出来る限りのことをしている。それらの策は、1枚の透明なプラスティックシートを搭載しているフェイスシールドと、口と鼻を守るN95マスク(入手できないときはそれに代わるもの)が一般的だ。

FitzのCEO、Gabriel Schlumberger(ガブリエル・シュルンベルジュ)氏は電子メールで、Fitz Protectのデザインは、処方レンズ搭載の保護メガネを探していたニューヨークやロサンゼルス、テキサスの医療現場で働く医師や看護師によるものだと説明した。

「医師の60%超がメガネを使用している。そして現在のガイドラインではコンタクトレンズの使用中止を推奨している」とシュルンベルジュ氏は話した。しかもFitz Protectはさらに保護レイヤーを加えるフェイスシールドと併用することもできる、と付け加えた。

「メガネを使用する人から、普通のメガネでは特に眉の上などのカバー範囲が十分でない、と聞いた。ボール紙の切り抜きを加えている人もいた」と同氏は述べた。「もっといいものを作るために当社が持っているシステムを活用した」

Fitzのモデルは価格面でも貢献している。というのも、従来のメガネに比べてかなり競争力のある設定になっているからだ。Fitzのメガネはフレーム、レンズ、送料込みで通常たったの95ドル(約1万円)で販売されている。また、年間185ドル(約2万円)で無制限にフレームを変えられるメンバーシッププランも提供されている。医師、看護師、その他の病院スタッフ向けのFitz Protectの費用は免除している。そして同社は、現在1つあたり100ドル(約1万1000円)ほどかかる製造コストを賄うため寄付を募っている。ただし、シュルンベルジュ氏によると、この製造コストはプロセスの改善でもう少し抑えることができるという。

最初の週にすでに3000人超のヘルスケアワーカーから申し込みがあり、他にも需要が出てきた場合に応えられるよう同社は準備しているという。

“新型コロナウイルス

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(翻訳:Mizoguchi

ロサンゼルスの新型コロナウイルス抗体保有者は公式感染者数の55倍

南カリフォルニア大学(USC)がロサンゼルス郡公衆衛生局と共同で実施した最新研究で、ロサンゼルス郡人口の2.8~5.6%がCOVID-19(新型コロナウイルス)の抗体をもっていることが示された。これは22万1000~44万2000人の市民が過去に感染していたことを示唆しており、検査によって確認されたよりも最大55倍の人数に上る。これは、感染は以前考えられていたよりもはるかに広がっていると疑っているカリフォルニア州が、短期間に行った2回目の抗体調査であり、ソーシャル・ディスタンス対策を継続する正当な理由でもある。

ロサンゼルス郡の研究結果には、よいニュースもある。もし抗体検査の結果が正確であれば(われわれは現時点で彼らの報告が正しいかどうか確信は持っていない。特に免疫性については)、感染者の致死率は公式診断例のデータよりもずっと低いことになる。USCの研究による抗体検査を通じて計算された感染率は、先週スタンフォード大学が発表したサンタクララ郡の感染率と驚くほど似通っていて、同郡では4万8000~8万1000人が感染から回復したことを示している。

ロサンゼルスの研究が、誤差を考慮した上で郡人口全体に外挿した結果、2.8~5.6%の市民が抗体をもっていることを示しているのに対して、スタンフォード大学の研究では、2.5~4.2%の住民が新型コロナウイルスの抗体をもっているという結果がでている。これらの数値は、検査キットの精度および検査標本の性別年齢層に基づいて補正されている。

いずれの研究論文も相互査読を受けていないので、ある程度疑ってかかる必要がある。しかし、双方の数値の密な近似や、世界で行われた過去の類似研究の結果を踏まえると、新型コロナウイルスの実際の感染数は公表されている数値よりはるかに多いことを示唆していると考えられる。公表数値は通常、診察で確認されたものだけを数えるが、その大部分は中度から重度の症状を示している患者が対象だ。

未検知感染者率の高さは、新型コロナウイルスの脅威が見かけより低いことを意味すると捉えるべきでは決してなく、この新しい情報は、外的症状がないために診察を受けることも隔離や接触者追跡の対象になることもなかった人々からの感染が、誰の予想よりもはるかに多いことを意味しているにすぎない。

これは、ソーシャル・ディスタンス対策がいっそう重要であることを意味している。なぜなら、新型コロナウイルスの潜在保菌者を識別することがこれまで思っていた以上に困難だからだ。感染の特質を理解することは、究極的にはウイルスにさらされる最大の危険を避ける対策の向上に役立つのだろうが、現時点でこの新しい情報からわかっているのは、新型コロナウイルスはわれわれがこれまで理解していたような早期の前兆をみせることなく、はるかに効果的に人々に伝わっている、ということだけだ。

画像クレジット:Kit Karzen https://www.kitkarzen.com/ /

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

緊急用人工呼吸器のSpiro Waveが米食品医薬品局の認可を取得して新型コロナ需要に応える

新型コロナウイルス(COVID-19)重篤患者の治療に必要な人工呼吸器の不足を補う新規プロジェクトが、米国時間4月20日に大きな節目を達成した。米食品医薬品局(FDA)の緊急時使用認可(EUA)が下りて、同プロジェクトの機器の使用と量産が認められた。「Spiro Wave」(スパイロ・ウェイブ)と呼ばれるそのハードウェアは緊急用の自動人工蘇生器で、1台5000ドル(約54万円)で製造できる。技術者、医師、研究者らからなる開発チームはすでに製造を開始して、介護施設に提供している。

Spiro Waveは、基本的に手動の人工蘇生器の機能を再現する。人工蘇生器は、緊急時に救急患者に手動で人工呼吸を行う持ち運び可能な装置だが、Spiro Waveはその作業を自動化し、かつ従来の手動式と同じタイプのバッグを使うので、機材の供給が容易だ。

Spiro Waveはマサチューセッツ工科大学(MIT)のオープンソースプロジェクトであるE-Vent(イーベント)のプロトタイプデザインを基にしている。E-Ventは新型コロナ危機による機器不足を緩和する位置手段として、MITの研究者らが開発した。Spiro WaveをつくったのはNewlab(ニューラブ)、10XBeta(テンエックス・ベータ)、Boyce Technologies(ボイス・テクノロジーズ)の共同ファウンダーたちからなるチームで、E-Ventのデザインを出発点にすることで、緊急用人口蘇生器の設計と製造をわずか数週間で成し遂げることができた。

製造パートナーのBoyce社は、ニューヨーク市クイーンズ地区にある同社のLong Island City製造工場で、1日に最大500台作ることが目標だといっている。最初の数百台は既に今週からニューヨーク市内の施設に届けられている。同チームは、FDAの医療機器製造許可を取得している海外パートナーを探して製造規模を拡大し、さらに多くの台数を供給することを考えている。

開発チームによると、これは本格的な人工呼吸器を置き換えることものではないという。緊急時の現場で、人工蘇生器で十分だが、手動式では操作者の配置や長期の利用が現実的ではないという場面に使用することで、機材不足を緩和することを目的としている。緊急時使用許可が与えられている他の多くの機材と同様、これは正式なFDA認可を受けた機器や治療方法を完全に置き換えるものではないが、革新的でスケーラブルな解決方法であり、過大な負荷のかかる医療機関における治療レベルに大きな違いをもたらすだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトが新型コロナの元患者に血漿提供の可否を問うボットを開発

新型コロナウイルス(COVID-19)から回復した元患者の血液から取り出す血漿は、世界的パンデミックをコントロールしようと展開されている取り組みの中で、差し当たって活用できる有効な手法となる可能性を秘めている。米食品医薬品局(FDA)はすでに対象となる個人に献血を広く呼びかけている。そして今度はMicrosoft(マイクロソフト)がCoVIg-19 Plasma Alliance(ビル&メリンダ・ゲイツ財団が資金の一部を拠出している)の代理でオンラインスクリーニングツールを構築した。

マイクロソフトが財団のために開発した「CoVIg-19 Plasma Bot」は同社がテクノロジーを駆使して作った新型コロナ関連の最新ボット事例となる。同社が米疾病予防管理センター(CDC)向けに手がけた症状自己チェックサイトは、米国で初期に大規模展開されたものの1つだ。Plasma Botは個人が生物学上、そして健康上、血漿提供の条件に合致するか、個人が貢献したいかどうか、献血センターでの血漿回収に参加できるかどうかを判断するために、いくつかの簡単な質問をする。

新型コロナに感染し、完全に回復した人の血液から分離される液体である回復期血漿の使用は、多くの科学者や研究者が模索している治療方法だ。血漿の使用方法は主に2つある。1つは、予防や素早い回復のための免疫アップを目的に新型コロナ患者やリスクの高い人に直接血漿を注入するというもの。もう1つは高度免疫治療と呼ばれる治療法の開発だ。容易かつ効率的に大規模展開できるかもしれない治療法を開発するために提供された血漿から抗体を集める。

回復期血漿にかかる開発の試験や療法研究で最大のボトルネックが、血漿そのものだ。新型コロナウイルス感染症の元患者で完全に回復し、献血に必要な条件をクリアした人からしか集められない。

新型コロナウイルスを克服するために研究や開発が進められている他の多くの治療法と異なり、回復期血漿は他の呼吸器感染症の治療で既に効果が確かめられており、長く活用されてきた歴史がある。

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(翻訳:Mizoguchi

Uberが小売品や個人の荷物配送サービスも開始、新型コロナによる事業環境の変化に対応

Uberは今週、Uber DirectとUber Connectという2種類の新サービスを導入すると発表した。Directは小売品の配送プラットフォームで、Connectは家族や友人に荷物を送るためのピア・ツー・ピアのパッケージ配送サービスだ。これは、新型コロナウイルスのパンデミックがライドシェアリング事業を抑制し続けているため、既にUber Eatsプラットフォームを食料品に導入しているが、今回の発表はUberが宅配サービスにこれまでで最も積極的に進出することを意味する。

Uberは既に、最前線の労働者に個人用保護具を輸送するプラットフォームの新たな拡張を導入しており、一部の市場ではEatsも食料品に加えて、便利な商品を配送している。DirectとConnectのサービスは、当初は一部の都市で開始される予定だが、その内容は利用する場所によって大きく異なる。例えばニューヨークでは、Cabinetと提携して市販薬の配送を行う一方、ポルトガルでは郵便小包の配送で公共郵便サービスを補完する。

Uber Connectはある人から別の人との間で当日中に連絡を取り合って配送を行うサービスで、同社はこれを介護用品、必需品、ゲーム、その他の日用品を友人や家族に送る方法だとしている。サービスはオーストラリア、メキシコ、アメリカの25以上の都市で開始される。Connectは本質的にはUberの基本的なライドシェアサービスと大差はないが、ドア・ツー・ドアで人を運ぶのではなく、荷物を移動させる。

どちらのサービスも米国時間4月20日から導入されるが、Uberが利用状況を把握し、ユーザーがサービスに何を求めているのかを見極めながら、徐々に進化していくだろう。また、Uber Eatsの利用が急増している一方、一般的なライドシェアサービスの需要が大幅に減少している中で、荷物の配送事業を強化することは、ドライバーの稼働率を高め、さらには収入を継続させることにもつながる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

NASAとSpaceXによる初の有人宇宙飛行は5月27日に決定

NASASpaceX(スペースX)は、米国内から史上初めて民間宇宙船に宇宙飛行士を乗せて打ち上げる日時を決定した。米東部時間5月27日午後4時32分(日本時間28日午前5時32分)の予定だ。ケネディ宇宙センター内のSpaceXの39A発射施設から打ち上げる。以前、ミッションの予定時期は5月中旬から5月下旬と発表されていたが、ついに宇宙飛行士のRobert Behnken(ロバート・ベンケン)氏とDouglas Hurley(ダグラス・ハーリー)氏を国際宇宙ステーションへ送る最初の打ち上げ希望時刻が決まった。

この打ち上げは、NASAのコマーシャルクループログラムにおける最初の有人ミッションだ。民間との​​パートナーシップを通じて、米国の打ち上げ能力を取り戻すことを目指している。SpaceXとBoeing(ボーイング)の両社が参加し、それぞれ独自に打ち上げロケットと有人宇宙船を開発している。SpaceXはBoeingに先行し、この段階への到達に必要なすべてのステップを終えた。Demo-2と呼ばれるこのフライトは、厳密にはまだテストプログラムの一部だが、NASAの宇宙飛行士が長期滞在のために国際宇宙ステーション(ISS)を訪れる。滞在期間はまだ決まっていない。

今回の最終テストでは、ロケットの発射台、地上の運用施設、軌道システム、宇宙飛行士の手順など、「Crew Dragon」(クルードラゴン)と「Falcon 9」(ファルコン 9)の発射システムを一つ一つ検証する。すべての検証が正常に完了すると、クルードラゴンはフルオペレーションの認証を受け、ISSへの宇宙飛行士の定期的な移送サービスを開始できる。

ミッションでは、ベンケン氏とハーレー氏を乗せたCrew Dragonが打ち上げられて軌道に乗り、約24時間後にISSに接近する。宇宙船はステーションと完全に自動でドッキングするよう設計されている(前回までの無人デモミッションでも同じ)。その後、ベンケン氏とハーレー氏が下船してISSクルーのメンバーとして参加し、軌道科学プラットフォームの研究を行う。

ミッションを遂行するCrew Dragonは軌道上に約110日間滞在できるよう設計されているが、実際の滞在期間は打ち上げ時の準備状況よる。完全稼働バージョンのCrew Dragonは、少なくとも210日間の滞在を想定して設計されており、NASAの3人と日本の宇宙機関の1人を含む4人の宇宙飛行士がすでに決まっている。すべて順調に進めば今年後半となる見込みだ。

Demo-2のCrew Dragonは、ISSを出発する準備ができたら、ベンケン氏とハーレー氏を乗せてISSから自動的にドッキング解除し、地球の大気圏に再突入し、制御を保ちながら大西洋に着水する。SpaceXの船がCrew Dragonを回収し、フロリダに持ち帰る。

NASAとSpaceXは、新型コロナウイルスによる世界的な危機が進行する中で、すべての人と同様にさまざまな課題に直面している。だがNASAのアドミニストレーターであるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏は「 ISSにおける米国のアクセスとプレゼンスを保つことが非常に重要だ」と述べており、このミッションを継続するべく追加措置を講じている。

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(翻訳M:Mizoguchi

宇宙内衛星サービスが成功を見せつけて軌道上の宇宙船操作の記録を破る

Northrop Grumman(ノースロップ・グラマン)が初めて行うMission Extension Vehicle(ミッション延長用宇宙船, MEV-1)のデモンストレーションミッションの成功が証明され、Intelsat(インテルサット)の衛星の寿命を5年延ばすことができた。そのミッションには、2月25日にノースロップのMEVがインテルサットのIS-901衛星と軌道上でドッキングすることが含まれ、そのあとインテルサットの軌道が変えられて稼働時間を延長できた。

最初のドッキングは2月の終わりごろ行われたが、MEVはそれまでの時間をIS-901の軌道を変えることに費やし、その後インテルサットはさらに、一部の顧客をそれまで使われていなかった衛星に移して、通信サービスに使えるようにした。両社の発表によると、今それは「フルサービス」を提供しており、それが今後5年続く。そのあとMEVは使われなくなっていた軌道に戻って最終的に引退する。そのときMEV−1は再び、ほかのスペースタグ(space tug, 宇宙のタグボート)ミッションで使えるようになり、ほかの衛星のために同じサービスを実行できる。

これは、軌道の持続可能性(サステナビリティー)と宇宙内サービス、および寿命延長の点で画期的であり、とくにNorthrop Grummanはこれをサービスとして提供できるようになる。一方Intelsatにとっては、中断のないサービスを継続できる点で「コストパフォーマンスが良くて効率的」であり、まったく新しい衛星を作って打ち上げなくても顧客のニーズに対応できる、とプレスリリースで言っている。

今、業界には変化が起きつつあり、巨大な静止衛星から、低地球軌道を飛ぶアジャイルな小型衛星の艦隊へ移行して、コストを下げようとしている。今回のような軌道サービスはもう一つのオプションを与えるが、しかし今のところは、新しい人工衛星コンステレーションのスタートアップではなく、レガシーの宇宙産業の衛星事業者にアピールするものだろう。

Northropは、インテルサットの別の衛星のための第二のMEV宇宙船の打ち上げを計画しているから、短期的にも市場性があるわけだし、また将来的には大型宇宙船の経済性を変えてしまうだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

提携拡大でNASAが出資するプログラムにおけるPlanetの衛星画像を地球科学者が利用可能に

NASAとPlanet(プラネット)はパイロットパートナーシップを成功させた。その結果、同宇宙機関はPlanetとの契約を延長し、Planetの地球観測衛星の画像をNASAが出資するすべての研究プログラムに提供することになった。NASAは2019年4月に、Essential Climate Variables(ECV)の追跡に取り組む35人の研究者チームに同社の画像を提供する、最初の契約をPlanetと結んでいる。

ECVのトライアルではPlanetの画像が、ヒマラヤでの山崩れなど地球上のさまざまな環境現象を追跡し、洞察を得るのに役立つことが示された。研究者たちが早期警告の兆候を検出する上で重要な要素の1つは、Planetのコンステレーションの高い再訪率、つまり特定の地域を撮影する頻度だった。

Planetのデータは地球全体を少なくとも1日に1回はカバーしており、これには北極のような他の衛星による地球観測範囲にない地域も含まれている。その頻度とカバーする範囲、詳細さは地球科学にかかわるすべての人にとって貴重なリソースとなり、また数十以上のプロジェクトに関わる何百人もの科学者が利用できるようになったことを意味する。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

オックスフォード大学が500人規模の新型コロナワクチンの臨床試験を実施へ

現在進められている最大の新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン試験の1つで、ボランティア500人超でのテストが5月中旬までに行われる。オックスフォード大学の研究者らは、ワクチンの可能性を調べる無作為臨床初期・中期ステージ試験のために、年齢18〜55才の代表的サンプルを含む参加者を既に確保した。このワクチンは、新型コロナウイルスに対して効果のある免疫を作り出すために、改変された無害のウイルスを使用する。

テストは参加者510人を5つのグループに分けて行う。1つのグループはワクチン接種のあとフォローアップがあり、追加の接種を受ける。このワクチンの技術は既に10種の治療法開発に使用されているが、結果を確かなものにするためには異なる国における異なるテストグループを用いるというアプローチをとる必要がある。これは採用されている対策が異なるために地域によって感染率に大きな差があるからだ、と研究を主導するSarah Gilbert(サラ・ギルバート)氏はBloomberg(ブルームバーグ)に語った。 

ワクチンを手掛けるチームはまた、6カ月かかる臨床試験の後にワクチンの大量生産を開始することを目指しており、生産規模を拡大するために追加の資金確保を模索している。最終目標は秋までに大量生産できるようにすることだ。ワクチンの有効性が証明され、5000人規模での最終試験が行われた後、9月に現場のヘルスケアワーカーへの接種を開始するという仮定に基づいている。

オクスフォード大学が行っているのは、ヒト臨床試験段階まで進んだひと握りの試験のうちの1つだ。しかし今後さらに加わることが予想される。すでにModernaInovioのヒト臨床試験が米国で行われており、それらもまた初期臨床結果を受けて幅広く展開されるようになる前に緊急使用される可能性がある。

こうしたワクチン候補の一部が秋までに入手可能になったとしても、広く利用できるようになることを意味するわけではない。さらなるテスト、生産の増強、流通と管理に関する取り組みが必要で、これらのプロセスでさらに数カ月かかることが見込まれる。しかしながら、前例のない新型コロナウイルスパンデミックでは開発プロセスにおけるこれまでにない効率性が引き出されており、この尋常ではない状況でさらなる取り組みが続くかもしれない。

画像クレジット:Rost-9D / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi

遠い恒星の可住周回軌道上に地球サイズの惑星が見つかった

アメリカ航空宇宙局(NASA)とエイムズ研究センターの研究者たちが、太陽系の外の恒星を周回している地球大の惑星を発見した。その惑星はKepler-1649cと呼ばれ、地球の1.06倍の大きさしかなく、物理的な寸法ではわれわれの惑星によく似ている。それはまた、その恒星にとても近くて、地球が太陽から得ている光の約75%が得られる距離を周回している。

その恒星は赤色矮星で、星というよりフレアに近く、われわれのお隣さんとは違って、その岩だらけの衛星の表面で生命が進化するのは難しかっただろう。軌道は恒星にとても近くて、1年がわずか19.5地球日だ。ただし恒星の熱は太陽よりも相当少ないので、場所によっては液状の水がありうるだろう。

Kepler-1649cは、2018年に引退したKepler宇宙望遠鏡のこれまでの観測データを科学者たちが掘り返しているとき見つかった。そのデータから惑星らしいものを見つけるアルゴリズムは失敗したが、情報を見直していた研究者たちがKepler-1649cに気づいた。

その外惑星には、大気はどんなのかなど、これから知るべきことがたくさんある。Kepler-1649cの生命をサポートする能力に関しても、問題は山ほどあり、また、それが地球に似ているとか、恒星の周囲の正しい可住ゾーンにあるという判断も、元のデータにエラーがあるかもしれない。でもとにかく、そのサイズと、それが乗っている軌道帯の温度だけで言えば、これまで見つかったものの中でいちばん生命をサポートする可能性のありそうな太陽系外惑星だ。

地球のような特徴のある外惑星の発見は、今後の調査の良い候補を提供する。地球や宇宙にある観測機器を何に向けるべきか、という問題の解にもなる。生命のサポートについて確実なことが何か言えるまでには、長い時間を要するだろう。でも、その可能性のある外惑星が見つかっただけでも嬉しい前進だ。

画像クレジット: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

隔離ルールの緩和で新型コロナの発症が急増、MITの新たな機械学習モデルが示唆

MIT(マサチューセッツ工科大学)は、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の新しいモデルを開発した。公式に入手可能なデータに基づき、流行に関する確立された疫学的方程式と、ニューラルネットワークに基づく推論を組み合わせたものだ。

画像クレジット:Chris J Ratcliff/Getty Images

新しいレポートで示されているモデルは、1月下旬から3月上旬の期間のデータでトレーニングすると、世界中のさまざまな地域における4月1日までの実際の蔓延を、正確に予測できることが判明している。そして、現在予定されているように、隔離措置を直ちに、あるいは近々に緩和したり廃止したりすると感染の「指数関数的な爆発」を招くことを示している。

MITの研究者は、新型コロナウイルスのデータだけに基づいてモデルを開発しようとしたが、SARSやMERSに関する情報を使用して大流行の進行状況を図示した人もいる。入手可能な新型コロナウイルスの情報と、実効的に隔離されていて、他人を感染させる恐れのない感染者の数のニューラルネットワークベースの概算を組み合わせることで、既存のモデルを超える精度のモデリングが可能となり、社会距離戦略と隔離方策の効果を正確に予測するとことができる。そして、それらの措置が縮小されたり、撤回された場合の影響を知ることになる。

MITのモデルによれば、来週あたりには、米国とイタリアでの新型コロナウイルスの感染者数は横ばいになる。これは、これまでの予測とも一致している。もちろん感染者数と、それによる医療システムへの負荷という観点からすればいいニュースだ。しかしこれを、現在実施中の感染拡大防止措置を緩和し始めてよい時期だとは絶対に解釈すべきでない。

実際にこの研究では、「隔離措置の緩和が早すぎると、結果はかなり壊滅的なものになると予測される」と結論づけている。そのモデルを開発したMITの機械工学教授、George Barbastathis(ジョージ・バーバスタディス)氏の見解だ。それは、独自の隔離措置の緩和が早すぎたために、感染拡大の第2波に見舞われたシンガポールの例を見てもわかるだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルはハイエンドなモジュラー式ノイキャンヘッドフォンを開発中か

Apple(アップル)は、人気の高いボーズやソーニ―の製品のような、オーバーイヤー式のノイズキャンセリング機能付きヘッドフォンと競合する製品を独自に開発していると、Bloomberg(ブルームバーグ)が報告している。AirPodsやAirPods Proに使われているのと同様の技術を搭載するものだという。このヘッドフォンには、パーツを交換可能なデザインも採用されているようだ。たとえば、トレーニングや長時間装着する際など、特定の用途別にカスタマイズ可能なアクセサリーを用意しているという。

この新しいヘッドフォンのプロトタイプデザインは、今年の後半に発表される可能性もある。ただしCOVID-19危機が続いているため、タイミングは定かではない。それにアップルは、いろいろな要因によって予定をあれこれ変更する傾向がある。Bloombergは「レトロな外観」になるとしている。ヘッドバンドから伸びる細いアームに、楕円形のイヤーカップが直接取り付けられたようなものだという。交換可能なパーツとしては、イヤーパッドや、ヘッドバンドのクッションがある。いずれも、磁石を利用してヘッドフォンのフレームに取り付けられるようになっているようだ。

アクティブ・ノイズキャンセル機能やタッチ式のコントロールだけでなく、Siriのサポートも内蔵している。しかしiOSとmacOSのユーザーにとって最も重要なのは、AirPodsシリーズや、アップル製Beats製品の一部のヘッドフォンと同様、複数のデバイスに対し、非常に簡単に接続できることだろう。

アップルはすでにBeatsブランドで、AirPodsと同様にノイキャン機能を内蔵し、複数デバイスへの接続性の高いヘッドフォンを、オーバーイヤータイプとオンイヤータイプの2種類発売している。Bloombergのレポートは、新しいヘッドフォンがBeatsブランドになりそうだとは言っていない。いずれにせよ、カスタマイズできるという特徴は、アップルの既存の製品には見られない新機軸と言える。

Bloombergは以前にも、アップルが、より小型のHomePodスピ−カーを製品ラインナップに加えるのではないかと報告していた。また今週公開された、FCCに対する新たな申請は、完全ワイヤレスのインイヤースポーツイヤフォン、PowerBeats Proの後継機の発売が近づいていることを示している可能性もあるという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米食品医薬品局が新型コロナ回復者に血漿提供を呼び掛けるウェブサイトを開設

新型コロナウイルス(COVID-19)の効果的な治療法の開発で、現在進められている手法の1つが新型コロナから回復した人の血漿を使ってのものだ。基本的にこれは、新型コロナに感染し、完全に回復した人が提供する血液の液体成分を使うもので、ウイルスと戦う過程でつくられた抗体を他の人に提供して治療につなげる。FDA(米食品医薬品局)は回復した患者の献血を呼びかけるとともに、可能性のある使用法を説明する専用のウェブサイトを立ち上げた。

回復した人の血漿の使用は、新しいコンセプトではない。実際1890年代後半から使われていて、1918年のスペイン風邪パンデミックの際も「結果はまちまちだった」が活用された。現代の手法は、治療法としての回復期血漿の効果と可能性を改善させることができるかもしれない。また血漿(動物と人間の両方のもの)を基本有効成分として使用した多くの薬剤が開発中だ。

回復期血漿の提供を呼び掛けるFDAの新たなウェブサイトでは、回復期血漿がどういうものか、なぜ有効な治療法としての可能性を調査しているのかを説明している。また個人が血漿を提供するにはどういう状態でなければならないのかも示していて(提供前の少なくとも28日間は症状がない、あるいはウイルス検査で非陽性が確認されてから14日たっていること)、米国赤十字社か最寄りの血液センターで提供するよう案内している。

新型コロナ治療での有効性がまだ証明されてもいないのに、なぜ大量の新型コロナ回復者の血漿が必要なのか。それは主に、新型コロナと戦うのに回復期血漿が本当に有効かを確かめる多くの研究が行われているためだ。そこにはさまざまな治療法の臨床試験や、FDAが1回限りの使用を承認する緊急研究用新薬制度を通じての患者治療も含まれる。

新型コロナを解決する可能性のある治療法やワクチンが開発途上にあるように、回復期血漿もまだ有効性が証明されていない。有効性を調べるために現在展開されている取り組みがすぐに確証を得るというのはありそうにない。それでもさらに研究を進めるために血漿需要は高まっていて、今回のウェブサイトのようにFDAが情報を提供するとともに血漿提供を広く呼び掛けるに至った。

画像クレジット:THOMAS FREDBERG/SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:Mizoguchi