空港内小売のOTGが来週からAmazonのレジなし技術を導入

今週初めAmazon(アマゾン)は「Just Walk Out」というレジなし技術を他の小売に販売すると発表した。そして米国時間3月11日、北米の空港で350店超のレストランや小売店を展開するOTGはアマゾンの技術を導入する最初の小売の1つになることを明らかにした。導入初店舗となるCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットは3月16日の週にニューアーク・リバティ空港Cターミナルにオープンする。その後、ラガーディア空港でも展開するとOTGは話している。

OTGは100店以上のCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットを北米の主要10空港で展開している。調理済みの食品、フレッシュな食品、健康・美容アイテム、ギフト、電化製品などを扱っている。買い物客はクレジットカードをスワイプしてから店内に入ることになる。

そして、買い物客が棚やラックから商品を取ると、AmazonのJust Walk Outシステムがカメラ、棚センサー、コンピュータービジョン、深層学習を使ってその行為を認識する。ピックアップされた商品は自動的に客の「ヴァーチャル・カート」に加わる。もし客が商品を棚に戻したら、カートからも取り除かれる。そして客が店を後にすると、買った商品の代金が自動的にクレジットカードに課金される。

Amazon GoとAmazon Go Groceryでは、このテクノロジーのおかげでスタッフは商品棚の補充や顧客へのあいさつ、質問対応などに専念できる。

しかしCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットでは、どちらかというと精算のスピードアップに主眼を置いている。旅行客が飛行機を乗り継ぐためにダッシュするときや、買い物する時間があまりないときなどは、かなり素早い精算が求められる。

OTGのCEOであるRick Blatstein(リック・ブラトステイン)氏によると、同社は店舗での買い物がスムーズなものになる方策を常に模索している。

「AmazonのJust Walk OutテクノロジーをOTGの空港店舗に導入することを大変誇りに思う」とブラトステイン氏は声明文で述べた。「OTGは、客に時間をとらせないよう、空港での体験を最適なものにする手段としてテクノロジーを活用している。世界で最も高度な買い物テクノロジーを我々のCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットに導入することで、客が自分の時間をコントロールできるようにする」とブラトステイン氏は話した。

OTGとの取引は、AmazonにとってAmazon Goブランド店舗の利用者ではない買い物客に、同社のテクノロジーがいかにより良い精算体験につながるかを示す好例となるだろう。言い換えれば、OTG店舗への導入は、Amazon店舗以外の小売にJust Walk Outテクノロジーを広く展開するうえで足掛かりとなる。

「ニューアーク・リバティ空港Cターミナルを利用する旅行客は来週から、スナックや水のボトル、飛行機に乗り込む前に買う旅行必需品などをさっと買えるかどうか、レジ待ちの列から推測しなくてもよくなる」と、Amazonで実在店舗とテクノロジーを担当する副社長Dilip Kumar(ディリップ・クマール)氏は声明文で述べた。「Just Walk Outテクノロジーを導入するOTGのCIBOエクスプレス・グルメ・マーケットでは、旅行者は買いたい商品を手にし、列にならんで精算を待つことなく、次の行動に移れる。旅行者がこうした買い物体験を楽しむのが待ちきれない」と話した。

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参考:Amazonがレジなし店舗技術をほかの小売業者に販売開始

(翻訳:Mizoguchi

新型コロナの影響を受けるシアトルの中小企業救済へAmazonが基金を設立

ほかの多くのテック企業と同様、Amazon(アマゾン)も在宅勤務を推奨している間は時間給の従業員に賃金を支払う。同社はまた、自社ビルに入居している事業所のテナント賃料を助成することも明らかにしている。そして3月10日、Amazonは新型コロナウイルス感染拡大で影響を受けている地元の企業を助成する500万ドル(約5億円)の基金としてNeighborhood Small Relief Fundを設けることを発表した。

基金は、従業員が50人以下または年間売上高が700万ドル(約7億円)以下で、RegradeとSouth Lake Unionオフィスビル周辺に事務所を構える小規模事業所向けのものとなる。対象となるのは一般向けの事業を展開し、かつ客の来店に頼っている事業所だ。

申請する事業所は3月にどれくらい売上が落ち込むか、何かしらそれを証明するものを尋ねられる。助成金申請の審査や基金の配分はサードパーティーとともに行う。申請のレビューは3月下旬に行われ、助成金は4月に配分される。

「この基金は、事業所が従業員をそのまま雇用して彼らに給与を支払い、現在の事務所をそのまま維持し、その他の運営関連の費用をカバーするのをサポートするためのものだ」とAmazonは話す。

明らかにAmazonはこの界隈に責任を負っている。同社がそのエリアに社を構えると、レストランやフードトラック、コーヒーショップ、小売などの零細企業が後に続いた。Amazonの社員が在宅勤務を推奨されると、周辺の事業者は苦しむ。もしAmazonが在宅勤務を解除するまでに周辺事業者に救いの手を差しのべなければ、その多くは事業を続けられないかもしれない。

「新型コロナウイルスの感染拡大によって引き起こされている状況に対応するとき、従業員や住民の安全と健康を確保するという点、そして近所の地元企業をサポートする点において弊社が重要な役割を担っていることは承知している」とAmazonの不動産責任者John Schoettler(ジョン・スケトラー)氏は今朝の発表文で述べた。「我々の街にとって試練の時で、共に乗り越えられるようコミュニティと手を携えて取り組みを続ける」

新型コロナ感染拡大で影響を受けた人をサポートするテック企業は他にもある。Uber(ウーバー)、Salesforce(セールスフォース)、Cisco(シスコ)、Microsoft(マイクロソフト)、Lyft(リフト)、Square(スクエア)、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、Apple(アップル)は需要減で影響を受ける時間給労働者や非正規労働者に賃金を支払うことを約束している。Google(グーグル)はまた、WHOや政府機関向けに2500万ドル(約26億円)分の広告クレジットを用意した。加えて、Google I/O会議中止の埋め合わせとして、小規模事業者をサポートし、またマウンテンビューの学校のSTEMやコンピューターサイエンスの授業を増やすために地元の団体に100万ドル(約1億円)の提供を約束した。

さらには、MicrosoftとAmazon、そして他のシアトル企業は感染拡大への対応措置として救済基金を立ち上げるために非営利団体や政府と提携している。AmazonとMicrosoftはそれぞれ100万ドル(約1億円)を拠出した。新たな基金でサポートする地元の事業所は何万人も雇用していて、経済の重要な一部だとAmazonは語る。

「彼らは我々の友人であり、隣人だ。彼らがCOVID-19感染拡大によって直面する経済的試練に立ち向かえるよう、サポートすることが大事だと確信している」とスケトラー氏は話した。

画像クレジット:David Ryder / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

瞑想アプリでは不十分だった不安症に苦しむ人のためのCalmer You

瞑想とマインドフルネスのアプリがブームを呼んでいる。2019年にはトップ10までの瞑想アプリが1億9500万ドル(約204億円)を稼ぎ出した。これは前年比52パーセントの増加だ。そして今、売り上げトップの瞑想アプリHeadspaceの元研究主任Nick Begley(ニック・ベグリー)氏が、マインドフルネスを超えて、不安症で苦しむ人たちに焦点を当てた新しいアプリを立ち上げた。Calmer You(カーマー・ユー)という名のアプリは、瞑想の指導だけでなく、日記、認知行動療法のコースワーク、その他の身体と心の健康のためのコンテンツを組み合わせたアクティビティを提供する。

身体と心の健康のためのコンテンツには、フィットネス動画、眠れる話、有名人や心を揺さぶる人たちへの不安体験に関するインタビューなど、いろいろなものがある。

ベグリー氏はHeadspaceに2年間在籍していたが、そこで瞑想アプリが自己啓発を導きだす力の大きさを学んだと話している。

「それをマインドフルネスだけに限定する手はないと気づきました」とベグリー氏は、Calmer Youを始めた経緯に関連して語った。「世の中には優れた助言がたくさんありますが、自分を改革したいと望む人のほとんどが、動画を見たり本を読んだりと、単に受け身で消化しているだけです。それでは、そこで謳われている変化は起きません」とベグリー氏。

問題は、助言が悪いのではない。大抵の助言は優れている。そうではなく、その助言を行動に移すのが難しいのだとベグリー氏は言う。そこを手助けしてくれるのがCalmer Youだ。

アプリは、いくつかのパートで構成されており、段階的なガイドによって不安に対する理解を深め、不安の対処法を学べる28のセッションからなるコースもある。それには認知行動療法、マインドフルネス、自己への思いやりを強める療法(CFT)、分析手法など数多くのコンテンツが含まれている。また、今の気分や、自分が置かれるであろう状況をもとに推奨されるすぐに実践できる対処法を50種類以上収めたツールキットもある。さらに、日々の気分を記録するための日記もある。

1カ月の利用料は7.99ドル(約840円)、年間利用料は47.99ドル(約5020円)。

「Headspaceの穴を埋めるというのは、私たちが特別に意図していたことではありません。ユーザーがそう言い出したのです」とベグリー氏。「定期的に瞑想を行うのが難しいと感じている人が大勢いるため、私たちは不安を抱える人たちのためのツールと実践的対処法を、マインドフルネスに加えて提供したいと考えました。不安と不安から現れるさまざまな問題への対処を専門に助ける総合的なアプローチを提供する、最高品質のアプリ使用体験を届けたいのです」と彼は話した。

Calmer Youは、不安症の専門家であり作家のChloe Brotheridge(クロエ・ブラザリッジ)氏との協力で開発された。アプリの名前は、ブラザリッジ氏の著書「The Anxiety Solution: A Quieter Mind, a Calmer You(不安解消:より静かな心、より穏やかなあなた)」に由来する。開発チームはブラザリッジ氏の本をよく読んでいて、その実用的なアドバイスをもとにアプリを共同開発する気はないかと彼女に持ちかけた。

Calmer Youの親会社PSYTが掲げる目標には、こんなものがある。「自己啓発本をアプリにする

PSYT傘下のCalmer Youチームには、心理学者も加わっている。だが、アプリ自体はまだ、例えば無作為対照下試験などによる有効性の検証がされていない。ゆくゆくは行いたいという考えを彼らは示している。

Calmer Youは、ブラザリッジ氏の著書が特に若い女性を対象にしていることもあり、女性利用者にシフトしている。

「振り返ればずっと、私は不安に苦しみ、自分に最も効果のある運動を続けていました」とブラザリッジ氏。「そのためセラピストである私は、マインドフルネスだけでなく、その人にいちばん合った方法を自分で探せるように、いろいろな技術を教えています。アプリにいくつものアプローチを組み込むのは大変な作業でしたが、これがその人とその状況に最も有効な対策を見つけられるよう人々を後押しする上で、大変に重要なのだと私は考えています」と彼女は言う。

このアプリは2019年11月にベータテストを開始したが、それ以来、利用者の要望に応じてツールを追加してきた。「リバランス」ツールが2つ(1つは社会的不安を和らげるもの、もう1つは自信を持ってコミュニケーションできるようにするもの)と、夜に使用する不安日記を新しく加わえ、瞑想の指導コースと眠れる話の数も増やした。

重い不安症を抱える人の場合、このアプリは医師の治療代わりにはならないが、すでにHeadspaceなどの瞑想アプリを使っていて、常に不安を感じている人なら、普段から使うツールに加えておいてもいいだろう。

Calmer YouはiOS版が無料でダウンロードできるが、有料コースもある。

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(翻訳:金井哲夫)

Amazonがキャッシャーレス店舗技術を他の小売業者に販売開始

Amazonは3月9日、「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」と呼ばれるキャッシャーレス店舗技術を販売すると発表した。この技術はカメラ、センサー、コンピュータービジョン、深層学習を使い、買い物客が支払いの列に並ぶことなく、そのまま店を出られるようにするものだ。現在、キャッシャーレスコンビニのAmazon Goと、シアトルに新しくオープンしたAmazon Go Grocery(食品)ストアでも、同じ技術が使われている。

Amazonの公式発表に先駆けて最初に報道したロイターは、さらにAmazonはJust Walk Outを導入したい最初の顧客と「複数の」契約を交わしたと話していることも伝えている。だが、その顧客が誰なのかは同社は明かしていない。

Amazonはまた、Just Walk Outの仕組みを解説するWebサイトもオープンし、この新事業に関する質問に答えている。

Webサイトでは、この技術には何年も前から他店舗が興味を示していたため、Just Walk Outの販売に踏み切ったと書かれている。Amazonが提供するシステムには「会計不要な買い物を可能にするために必要なあらゆる技術」が含まれるとサイトでは説明されている。つまり、同社はソフトウェア技術の他にも、カメラのハードウェアやセンサー技術も提供するということだ。価格は示されていないが、このシステムには電話と電子メールによる年中無休24時間体制のサポートが付く。

Amazonによると、システムの設置はAmazonが店舗を視察してからわずか数週間以内に完了するという。新店舗の場合は、建設段階からAmazonが参加し、店舗側と協力してJust Walk Outの設置を進めることができる。店舗改装の際にも、同じように対応できる。既存の店舗に設置する場合でも、営業への影響を最小限に抑えつつ、この技術を設置するという。

間違いのないように言っておくが、これはあくまで、客がレジに並ばずに買い物ができるようにするために店舗にその技術を販売するというものだ。その店舗をAmazon Goコンビニエンスストアのフランチャイズにすることは意図していない。

客の側からすれば、キャッシャーレスの店ではレジに並ぶ必要がないため、時間の節約になる。買い物の時間も惜しむ客が利用するコンビニや、カートに商品を山積みにした客が長い列を作る食料品店においてこのシステムは理に適ったものだ。しかし棚に商品を陳列していない、または売り場面積が非常に広い大型のデパートには向かない。

AmazonのJust Walk Outでは、客はクレジットカードを使って入店すると、Amazonのウェブサイトでは説明されている。客はアプリをインストールする必要も、Amazonのアカウントを作る必要もない。店内の客の動きをカメラが追跡し、商品が棚から取られたとき、または棚に戻されたとき、棚のセンサーがリストに記録する。客が商品を手に取ると、それが仮想カートに入れられる。店を出ると、買った品物の代金がその人のクレジットカードに請求される。紙のレシートが欲しい場合は、店内のキオスクで印刷できるとAmazonは話しているが、いずれにせよレシートは自動的にメールで送られてくる。

ただし、このシステムが結果的に店舗側の増収につながるか否かは定かではない。これによって必要経費が削減できたとしても、設置費用と管理費はかかる。当然のことながら、Amazonも店の従業員を減らすための技術として売り込みをかけているわけではない。従業員は、別の仕事に専念できるようにできるとAmazonでは話している。例えば、客をもてなしたり、質問に答えたり、商品を補充したりなどだ。こうした仕事には、通常の店舗ならすでに人が割り当てられているものだが、そうでないケースもある。とりわけ、オンライン販売のハブに移行しつつある店舗がそうだ。

こうしたシステムへの客の反応も、まだ未知数だ。Amazonの店舗はいまだに目新しい存在であり、こんな人を監視するような技術が一般化されるとしたら、または実際にそうなったとき、客は敬遠するかもしれない。

キャッシャーレスシステムを売り出している企業はAmazonだけではない。Amazonはいち早く自社店舗にこの技術を導入した先駆者ではあるが、それ以来、いくつもの技術系スタートアップが同様のシステムの販売を始めている。AiFi、Grabango、Standard Cognition、Zippinなどがそうだ。米セブンイレブンやWalmartのSam’s Clubなど、独自の自動支払い技術やキャッシャーレス技術のテストを開始する小売り店も現れている。

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(翻訳:金井哲夫)

Redditが精神的に追いつめられた人をサポートするメンタルヘルスのCrisis Text Lineと提携

意見を交わすためのウェブサイトで、何千ものコミュニティを擁するRedditは今週、メンタルヘルスサービスのCrisis Text Lineと新たに提携したことを発表した。Crisis Text Lineは自殺を考えている人や自傷する人など、精神的に追い詰められている人を年中いつでもサポートするメンタルヘルスのためのテキストラインだ。今回の提携で、Redditユーザーは誰かの投稿に悩みや危機感がにじんでいるのに気づいたら、その人にフラグを立てることができる。するとフラグが立てられたユーザーにはリソースやカウンセラーにつながるヘルプラインを紹介するプライベートメッセージが送られる。

昔のヘルプラインは電話をしなければならなかったが、Crisis Text Lineではテキストでやりとりする。スマートフォンとともに育った世代、あるいは電話に対して恐怖感を持つ人に好まれるコミュニケーション手法だ。

利用には、番号741741に「CHAT」という文言をテキストを送る。すると、必要なだけカウンセラーとテキストでやりとりできるようになる。カウンセラーはその人が気持ちや考えを落ち着かせるのを手伝ったりするほか、質問をしたり、共感を示したり、話を積極的に聞いたりする。

フラグを立てた人も、そうした行動が引き金になりえることから同じサービスを通じてサポートを受けられる。

投稿やコメントを報告するには、「誰かが自殺や深刻な自傷を考えています」というオプションを投稿から直接選択できるようになっている。また、直接相手のプロフィールにいき、「彼らを手助けし、サポートする」を選ぶこともできる(Webではこの機能は「追加のオプション」内にある)。

Redditはまた、たとえ多くの人がフラグを立てて投稿をレポートした場合でも、つらく厳しい状態に置かれて人が立て続けにメッセージを受け取ることがないようにする、ともしている。「エラーでメッセージを受信」を報告するリンクもあり、Redditはこの機能の乱用もモニターできる。

Crisis Text Lineは、これまで全ケースの30%のみが自殺についてのものだ、という。カウンセリングが状況を段階的に落ち着かせることができているため、「積極的な救助」は会話の0.82%をにすぎないとのことだ(積極的な救助では、対象者の電話番号が911に提供される)。また、そうした状況にならない限り、カウンセラーは相手の電話番号を知ることもなければ、電話をかけることもない(電話番号は暗号化されている)。

Redditは、自社のプラットフォームが頻繁にサポートに利用されていることからCrisis Text Lineとの提携を決めた。今日では、Redditユーザーが難題に直面した時に助けを求められる数多くのフォーラムを提供する。例えば喫煙や禁酒、妊娠、不安・鬱の解消などについてだ。また、 r/KindVoicer/CasualConversationなど話し相手を見つけることだけに特化したコミュニティもある、とRedditは話す。

「Redditでは、自分に関係する無数のトピックについてのコミュニティを探すことができる。匿名のプラットフォームとして、自身の最も弱い部分をさらけだすためのスペースを人々に提供する」とRedditは発表文で述べている。

もちろん、こうしたコミュニティを主催するのであれば、Redditはユーザーに対し、安全とレポート機能を確保する責務を負う。

「ユーザーが安心感や24時間いつでもコミュニティにサポートされていることを感じられるRedditとの提携をうれしく思う」とCrisis Text Lineの共同創業者でチーフデータサイエンティストのBob Filbin(ボブ・フィルビン)氏はいう。「ユーザーがいつでも信頼できるメンタルヘルスリソースにアクセスできるようにすることで、Redditはオンラインセーフティ分野で思慮深いリーダーであることを証明した」

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(翻訳:Mizoguchi

App Storeで警官配備の表示アプリが禁止され出会い系も困難に、アップルがガイドライン改定

Apple(アップル)は今週、デベロッパーにApp Store Reviewガイドライン改訂版を示し、どのようなアプリが許可され、あるいは拒絶されるのか、またアプリの動作として許されることを詳しく記述して注意を促した。同社によれば、今回のガイドラインの変更は、レビュー、プッシュ通知、アップルでサインイン(Sign in with Apple)、データの収集とストレージ、モバイルデバイスの管理、その他に影響を与えるという。かなり目立つ変更点としては、アプリが広告を通知として表示できるようになったこと、出会い系や占いアプリに対してのルールが厳しくなったこと、ユーザーが警察による取り締まりを回避することを助けるようなアプリをAppleが拒絶できるようする新ルールが盛り込まれたことなど、いろいろある。

最後に挙げた、警官のいる場所を表示するアプリに対する変更は、驚くべきことに、プッシュ広告や出会い系アプリに対する変更ほど注目されていない。しかし、これは今回のルール変更の中で最も注視すべきものだろう。

App Store Reviewガイドラインの以前のバージョン(2020年1月のスナップショットを参照)には、「アプリは法執行機関によって公開された飲酒運転検問所のみを表示できる」と書かれていた。そして「アプリが「飲酒運転」や「速度の超過」を助長するようなことをしてはならない」と記されていた。当然の懸念だろう。

今回改訂されたルール(セクション1.4.4)では、これまでの文言に加えて、「ユーザーが法執行機関を回避するのを補助することによって、その種類を問わず、犯罪を犯したり、犯そうとするするために使われるような」アプリをアップルは拒絶すると明記されている。

思い出してみれば、昨年アップルは香港の民主主義推進派のデモ隊が警官を避けるために使用していたクラウドソーシングによるマッピングアプリ「HKmap」を拒絶するという決定を巡って、やっかいな状況に巻き込まれていた。当初、アプリは承認されたが、同社は中国の国営メディアから「暴徒による暴力行為を助長している」と批判されると、その1日後に承認が取り消した。

このアプリでは、ユーザーは警官のいる場所、催涙ガスが使われている場所、その他の抗議活動に関する詳細など、クラウドソーシングによって集めた情報を、定期的に地図上にプロットして共有できる。アップルは声明の中で、そのアプリが「警官を待ち伏せして標的にする」ために使われていることが判明したため、削除したと述べた。

セクション1.4.4の変更前(上)と変更後(下)

新しいApp Store Reviewガイドラインでは、この種のアプリに関するアップルの最終決定を明記している。事実上、ユーザーが法執行機関を回避することを支援するアプリを禁止した。ただし、ガイドラインにも記載されているように、警官を避けるのは必ずしも「犯罪を犯す」ためとは限らない。アムネスティ・インターナショナルは、香港の抗議活動中に警察に拘束された人々が、殴打されたり、拷問を受けるなど、警察による残虐行為があったことを文書で報告している。つまりHKmapには、ユーザーが自らの身の安全を確保するために、警官を回避することを可能にするという面もあったことになる。

このようにアップルのルールにはあいまいな部分があり、アプリを拒絶したり禁止したりすることを決定する前に、そのアプリがどのように使われるのか同社として精査する余地を残している。

今回のガイドラインに関して注目すべき他の変更としては、アプリのデベロッパーが、プッシュ通知でマーケティングメッセージ(つまり広告)を送信できるようにするという更新(セクション4.5.4)も含まれている。これまではこのような動作は禁止されていた。この変更は、すぐにユーザーから抗議を受けることになったが、最初に考えられたほど悪くないかもしれない。

これまで禁止されていたにもかかわらず、多くのアプリが、すでにユーザーにスパム広告を表示していたのは明らかだ。これからは、そうしたアプリは、ユーザーインターフェース内で顧客の同意を得る必要があり、アプリ内にオプトアウトのための仕組みを用意して、ユーザーがプッシュ通知による広告をオフにできるようにすることが求められる。この変更により、アプリ内購入が可能だったり、広告収入に依存しているアプリについて、オプトアウトの仕組みを備えているか、少なくともレビュー担当者はチェックしなければならなくなる。

「こうしたサービスを悪用すると、デベロッパーの権利が取り消される可能性があります」と、アップルは警告している。また別の変更では、「占い」や「出会い系」アプリが、「ユニークで高品質な」体験を提供していない場合、スパムとみなされるアプリのリストに追加された。それに関連するセクション(4.3)では、アップルが過飽和だと認識していたり、より厳格なレビューが必要だと考えているアプリのカテゴリについてデベロッパーに注意を促している。

また新しいガイドラインには、App Storeに投稿されたレビューにデベロッパーが対応する方法を指示するセクション(5.6.1)が含まれている。そこには「ユーザーのコメントに返信する際には、敬意を持って接すること」や、無関係な情報、個人情報、スパム、マーケティング情報を文面に含んではならないと念を押している。またこのセクションには、デベロッパーがユーザーのレビューを求める際には、アップルのAPIを使い、ほかのメカニズムを利用してはならないことも明記している。これによりユーザーは、iOSの設定からすべてのアプリについてApp Storeのレビューの要求をオフに切り替えることができる。この文言は以前のガイドラインにもあったものだが、セクション1.1.7から同5.6.1に移動した。

最後にアップルは、既存アプリのアップデートを含み、今後のすべてのアプリは、2020年4月30日以降、iOS 13のSDKを使用したものである必要があると、デベロッパーに念を押している。それ以降のアプリは、すべて「Appleでサインイン」のログイン/サインアップ機能をサポートする必要もある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Twitterはヘイト禁止規則に年齢、障害、疾患にもとづく人間性を否定する言動を追加

昨年、Twitterはヘイトスピーチに関する規定の禁止項目を拡大し、宗教団体に対する人間性を否定する言動を加えた。米国時間3月5日、Twitterはその規定を拡大し、年齢、障害、または疾患を理由に人間性を否定する言動も禁止すると発表した。最後のひとつは、もちろん、感染が広がりつつある新型コロナウイルス(COVID-19)に関連させたTwitter上での憎悪に満ちた、または人種差別的発言に即応するためのものだ。

Twitterは、本日以前にこのルールを破った投稿は削除する必要があるが、投稿された時点ではまだこのルールが適用されていないため、このことで投稿者のアカウントが停止されることはないと話している。ただし、今から投稿されるものに関しては、Twitterの改訂版「暴言や脅迫、差別的言動に対するTwitterのポリシー」のルールに従うこととなる。この包括的なポリシーには、ヘイト行為(暴力行為や脅迫行為を助長する投稿)や、ヘイト表現を伴う画像やユーザー名の公表に関するルールが記されている。

Twitter Safety:私たちはTwitterをより安全にするためのルールを常に刷新しています。昨年、私たちは 『ヘイト行為に対するTwitterポリシー』 を改訂し、非人間的な言葉に対応しました。この度、年齢、障がいや病気にもとづいて人間性を否定する言葉もポリシーの対象に含めます。

そのポリシーはすでに、人種、民族、出身地、社会的地位、性的指向、性別、性同一性など、人間性を否定する言動を広範な分野にわたり禁止している。Twitterは、そのプラットフォームで禁止したいヘイトスピーチやヘイト行為の対象となる分野をより広くカバーできるよう、時と共に禁止対象を拡大してきた。

ヘイト行為を禁止するTwitterのポリシーが抱える問題には、投稿されるツイートの量が多すぎて、処分が追いつかない点がある。さらに、投稿を審査対象とするか否かの判断をユーザーに委ねているため、ヘイトスピーチの排除は積極的に行えず、後手の処理となる。Twitterは、そのポリシーを適切に施行せず、ネット上の嫌がらせを野放しにしているとして激しく非難されている。

本日の発表でTwitterは、上記のものも含めいくつか問題があることを率直に認めている。そこで、より徹底したトレーニングを行い、テスト期間を延長して、いつ、どのように行動するか、さらに、非主流派の人たちの発言をいかにして守るかを審査担当者に理解させることにしたと話している。加えてTwitterは、人種、民族、出身地といった複雑な話題でのニュアンスや文脈をより正しく理解するためのTrust & Safety(信頼と安全)協議会を設立した。

[年齢層]はみな寄生虫だ。我々から支援を受ける資格はない
[疾患]にかかった人間は周囲の人たちに病気をうつすドブネズミだ
[障害]者は人間以下なので公共の場に出るべきではない
[宗教団体]は処罰すべきだ。その汚らわしい動物どもの排除対策が手ぬるい

 

残念なことにTwitterの最大の問題は、長年にわたって公共の広場として運用され、利用者は本名を隠して比較的自由に自己表現ができ、その発言や行動の責任を負わないという点にある。匿名でのネット利用には、たとえば、抑圧的な政権下であっても人々が自由に意見交換できるなど、それなりの正当性がある。しかしその反面、実名では言えないような発言を助長してしまう。そこに社会の監視の目は働かない。それが今、現実の世界で起きていることだ。

しかも、Twitterがヘイトスピーチやヘイト行為を取り締まろうとすれば、いつだって言論の自由を阻害すると批判されてしまう。あたかもそのソーシャルメディアのプラットフォームが、アメリカ合衆国憲法修正第1条(言論の自由)に守られた場であるかのように言われるのだ。アメリカの裁判所はそれを否定している。実際、最近になって裁判所は、YouTubeは公共の広場ではないと判断した。従って、利用者の言論の自由を保証する義務はない。これが前例となり、他のソーシャル・プラットフォームも同様の扱いとなった。Twitterもこれに含まれる。

Twitterは、もっと多くの人に登録してもらい、参加してもらえるよう奮闘してきた。だが同時に、そのプラットフォームの悪用は感知しないという方針が、その目標の達成を阻んでいる。そのためTwitterは、より多くのエンゲージメントを促すことが期待される、たとえば時間が経つと消える「ストーリー」など、新機能のテストを行っている。実際には、ポリシーを適切に施行しさえすれば実現することなのだが。投稿入力欄で教育的な助言を表示する機能(その投稿が通報されたり削除される恐れがあると利用者に警告するInstagramの仕組みと似たようなもの)の追加も遅すぎた。

Twitterがポリシーで規制する対象の幅を広げたのはいいことだ。しかし、行動を伴って初めて言葉は意味を持つ。

Twitterは、この新しい規定は本日付けで発効されると話している。

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(翻訳:金井哲夫)

人気の写真編集アプリ「VSCO」に複数の写真や映像を重ねられる映像ツール「Montage」が加わる

写真編集アプリとして人気の高く、Z世代のお気に入りというミームでもあるVSCOは、このところビデオに力を入れているようだ。先月、同社はついに、写真とともにビデオも投稿できる機能を加えた。そして米国時間3月4日、Montage(モンタージュ)と呼ばれるさらに強力で複雑なビデオ編集ツールを発表した

すでにVSCOには、ビデオにフィルターをかけたり、露出を調節したりと、写真編集のようなビデオ編集機能がある。しかしMontageは、それらとはまったく異なるビデオ編集体験だ。まず、ユーザーは複数のシーンのある長いストーリーを作成できる。そしてストーリーには、複数のビデオや写真、色、形などを重ねてコラージュのような作品も作れる。

その新しい機能は、VSCOのいわば原点でもあるVSCO Studioから利用できる。使用するユーザーはまず、方形、横長、縦長などの縦横(アスペクト)比を指定し、「カメラロール」から複数の写真やビデオを加えてシーンを作る。

「モンタージュ」を作るときに重ねていく像の透明度を指定できる。ビデオに加えるシーンの数に制限はない。ただし投稿できるビデオは2分以内だ。最終結果はVimeo以外でも共有できる。

VSCOがビデオに投資するこの時期には、Instagramストーリーや、人気アプリTikTokやByteによってソーシャルメディア上のビデオ共有が急激に盛んになり、ビデオを編集することへの関心も急増している。

昨年VSCOは、ビデオ技術の企業であるRyloを買収して、ビデオに注力する意思を明らかにした。Montageなどに搭載される新しいビデオ機能には、有料会員を増やしたい思惑もある。12月に同社は「今のペースでは2020年内に有料ユーザーが400万人を超え、年商は8000万ドル近くになる」とコメントした。これは、年間19.99ドルの会費によるもの。VSCOの1週間のアクティブユーザーは2000万人を超えているが、そのうち200万人強が有料ユーザーだ。

無料ユーザーもMontageで遊べるが、完成したビデオの保存や投稿は有料ユーザーのみだ。MontageのiOSおよびAndroidバージョンは、本日から提供される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebook Messengerが一部の国のMac App Storeに登場

1年前、Facebookは2019 F8デベロッパーカンファレンスで、同社の人気コミュニケーションアプリであるMessengerのデスクトップアプリを提供する計画を発表した。あれから1年たらずたった今、MessengerのmacOS用アプリが公開されはじめた。米国ではまだだが、Messenger for Macはすでに米国以外の一部のMac App Storeに登場している。

TechCrunchはFacebookに、これが米国を含む全世界展開の前兆であるかを尋ねた。同社の広報担当者は、これはまだ完成版ではないと回答した。

「当社はmacOS用Messengeアプリの小規模なテストを一部の市場で実施している」と担当者は答えた。「今はまだユーザーのフィードバックを集めている段階であり、公開時期は決まっていない」。

9to5MaciPhone Hacksがアプリの公開をいち早く報じ、フランスのテック系ニュースサイトであるMacGenerationの記事を参照した。興味のある人は直接フランスのMac App Storeに行けば自分で確認することもできる。

TechCrunchはMessengerがほかのいくつかの市場にも届いていることを確認した。メキシコポーランドオーストラリアなどだ(ほかにもあるかもしれない。本誌はまだ世界中のMac App Storeのリンクをクリックして一つひとつ確認したわけではない)。

デスクトップ版のMessengerアプリは、モバイルアプリとほぼ同じ機能をもち、テキスト以外に音声あるいはビデオのチャットもある。グループのチャット、通話、ビデオチャットも可能だ。ファイルの共有やエモジによるリアクション、反射を避けるためのダークテーマなども、モバイルアプリと同様に利用できる。

アプリの開発に使用されているのはElectronで、Catalystではない。Electronはウェブアプリからデスクトップアプリを作る方法としてよく使われているが、セキュリティー面ではさまざまな意味で堅牢とはいえない。

Mac版アプリの発表は、FacebookがiOS向けにスリム化されて高速になったMessengerアプリを公開した直後のことだった。新しいモバイルアプリは「発見」(Discover)セクションを廃止してインターフェースを簡素化し、Messenger体験をビジネスやアプリではなく、人々やストーリーに改めて方向づけした。

最近Facebookは、コロナウィルス流行を考慮して今年のF8カンファレンスの中止を発表した。これは、もっと待たなければ見ることのなかったニュースや新発表をFacebookから聞けるという意味かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

HuluのLive TVが遅まきながらPlayStation 4にやってきた

HuluのLive TVサービスは、ライブとHulu Originalsのようなオンデマンドの番組を両方観ることができる。それがついに、米国のPlayStation 4にやってきた。サービスの開始から3年近くも経っている。Live TVはすでにメジャーなプラットホームのほとんどすべて、Apple TV(第4世代)、Amazon Fire TV、Echo Show、Rokuのデバイス、Xbox 360とXbox One、Nintendo Switch、iOS、Android、Windows 10、Web、Chromecast、一部のテレビ(LG、Vizio、Samsung)などに対応しているから、Huluは大きな穴を塞いだことになる。

Huluは、こんなに遅くなった理由を説明していないが、しかしPS4で見られないライブのTVストリーミングはHuluだけではない。DishのSling TVもPS4のサポートがないし、AT&TのTV NOWにもない。一方Huluの上位ライバルYouTube TVは、Sonyのゲーム機にもストリーミングする気のようだ。

テレビのストリーミングが観られる主なプラットフォームはゲーム機以外にもあるため、ゲーム機は重視されない傾向がある。eMarketerによると、例えば米国ではメディアプレーヤーとしてはライバルのAppleやAmazonよりも先にRokuがサポートした。それに忘れてならないのは、Sony自身のPlayStation Vueも、Live TVサービスではPlayStationの大きなユーザーベースに加われなかったことだ。PlayStation Vueは2020年1月に閉鎖されてしまった

Huluによると、すでにHuluの標準サービスをHuluアプリでストリーミングしているPS4のオーナーは、Hulu.comでアカウントの設定をしてHulu + Live TVに切り替えれば観られるようになる。すでにHulu + Live TVに加入しているユーザーは、PlayStation 4上でHuluアプリを起ち上げればLive TVのチャンネルを楽しむことができる。

Live TVが提供するチャンネルはESPN、FOX、NBC、ABCなどだ。

Disneyが21st Century Foxを買収し、次いでNBCUとの取引により、Huluの過半数オーナーはDisneyになり、Huluは同社が完全にコントロールする企業になった。Disneyの支配下になって以降、Huluは組織改革によりCEOのRandy Freer(ランディー・フリアー)氏が去り、そHuluのマーケティング最高責任者だったKelly Campbell(ケリー・キャンベル)氏が社長に昇格した。米国時間3月3日にHuluはそのサービスの上に新たなFXハブを展開し、40あまりの番組やオリジナル作品の提供を開始した。FXは21st Century Foxの買収で、HuluのFox保有株とともにDisneyの資産になった。

Disneyによる12月の発表によると、HuluのLive TVの加入者は320万人に成長し、Huluの総加入者は3040万人だという。PS4でも見られるDisneyのストリーミングサービスDisney+は、それよりやや少ない2650万人の加入者がいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

夜中に注文して出勤前受け取りも可能、Amazonが米国一部都市での同日配送を高速化

Amazon(アマゾン)は米国時間3月3日朝、同日配送をさらにスピードアップさせる取り組みを発表した。フィラデルフィアやフェニックス、オーランド、ダラスなど米国のいくつかのマーケットに「ミニ・フルフィルメントセンター」と呼ばれる配送センターをマーケット近くに設置した。新施設のあるこれらのエリアでは同日配送にかかる時間をわずか数時間にすることができる。

顧客は、何十ものカテゴリーにわたる「Today by」と記された300万ものアイテムのリストから注文できる。このサービスは現在展開されている同日配達とは少し異なり、注文時に配達時間帯を選ぶようになっている。プライム会員はAmazon.comをブラウジングしながら気になる品がどれくらいの時間で玄関先まで配達されるのかを確認できる。

また新サービスでは、例えば夜の配達を予約するために朝にオンライン注文しなくても、終日買い物ができるようにする。加えてプライム会員は「ひと晩、朝8時までの配達」を選ぶと、真夜中に注文して翌朝に受け取ることもできる。この場合、ドライバーは午前4時半〜午前8時の間にやってくるので、出勤する前に商品が届くこともある。

Amazonはまた、顧客の近くに施設を設置することでドライバーが配達のためにさほど移動しなくてもよくなり、二酸化炭素の排出を減らせるという。これは航空機による輸送も減らすことになり、クラウドソースによるAmazon Flex programを介するなどしてより多くの配達業務の雇用を生み出せる、としている。

同日配達サービスの拡充は、Walmart(ウォルマート)やTarget(ターゲット)といったライバルとの競争で優位に立つためのものだ。両社ともオンライン注文をさばくのに、カーブサイド・ピックアップや配達など客に便利な方法の提供でローカル店舗を活用している。例えばWalmartの店舗は、米国住民90%の10マイル以内にある。これはAmazonに対して競争力のあるアドバンテージだった一方で、Amazonはフルフィルメントセンターの多くを郊外に置いている。顧客の近くに店舗を展開していることは、特にオンライングローサリーで競う際に役立つ。そのためAmazonはWhole Foodsを買収した。

Amazonは2019年、プライム会員向けの配送を2日から1日にすることを約束し、プライム会員向けの配達の遅れをなくすよう取り組んでいると述べた。ローカルマーケットにミニ・フルフィルメントセンターを置くことで、これまでよりもっと早くプライム会員にサービスを提供できるようになる。

Amazonは現在、プライム会員の35ドル(約3750円)以上の購入商品を無料で、35ドル以下の場合は送料2.99ドル(約320円)で同日配送している。既存の同日配送サービスのPrime Nowでは商品2万点のみが対象だ。300万点を取り扱う新サービスにより、商品点数がかなり拡充されることとなる。プライム会員サブスクでは、年間119ドル(約1万2750円)で1000万点ものアイテムを2日配送で届ける。Amazonは2020年2月、サブスク利用者ベースが1億5000万人に増えたとしている。

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(翻訳:Mizoguchi

GoogleのPixelにジェスチャー、絵文字、AR効果など大量の新機能追加

Pixelスマートフォンを持つ利点のひとつに、時とともに改良されていくところがある。Pixelは、最新の修正や改良を含むアップデートを最初に受ける機種だからだ。2019年12月に提供された第1弾には、ロボコール(迷惑電話)対策フィルター、写真の操作性向上、Duoでの通話の改良など数多くの新機能が含まれていた。米国時間3月2日、GoogleはPixelの新機能セット第2弾を提供すると発表。今回の内容は、新しい音楽の操作性、新しい絵文字、写真と動画のさらなる追加機能、緊急通報機能の拡大、Google Payの改良、その他となっている。

2019年にGoogleは、Pixel 4の発表にともない「モーションセンス」という新しいジェスチャー機能を発表した。手を触れずにスマートフォンを操作できるというものだ。つまり、手の動きを感知して、それをソフトウェアのコマンドに変換する。

すでにPixel 4ユーザーは、モーションセンスで次の曲に飛んだり前の曲を再生したりが可能だったが、今回の更新により、画面の上でタップのジェスチャーをすることで曲のポーズや再開ができるようになる。

Googleは、会話中にすぐに曲を止めたいときに便利だと提案している。だが実際は、動作に一貫性があるときにだけ便利に使える状態で、各社のレビュー記事では、モーションセンスのシステムは「気難しい」とか「発展途上」などと書かれている。もちろん、すぐに改良されるだろうが。

このアップデートで改良されたものの中には、2019年10月にPixel 4に追加されたPersonal Safety(パーソナル・セイフティー)アプリもある。クルマで重大な衝突事故が発生した際に、ユーザーが助けを必要としているかどうかを本体のセンサーが確認してくれる。アメリカのユーザーなら、タップまたは音声で911(緊急電話)が呼び出せる。ユーザーの反応がない場合は、現在位置と詳細を緊急電話のオペレーターに自動的に通報する。今後、この機能はオーストラリア(000)と英国(999)でも使えるようになる。

さらに、Googleのビデオ通話アプリDuoにAR効果も追加された。画面に映る自分の印象を変えたり、動かしたりができる。Duoにはすでにいくつもの効果はあるのだが、ソーシャルコミュニケーションアプリにとって、常に効果のリストを充実させておくことは必要不可欠なのだ。

一方、Pixel 4の自撮り用カメラでも奥行きのある画像が作れるようになり、ボートレートのぼかしとカラーポップが改良される。また、Facebook用の3D写真も作れるようになる。

Pixelではさらに、絵文字がバージョン12.1に更新される。これには2019年10月にiOS 13.2でiPhoneが対応し、2020年1月にはTwitterも対応している。このセットには169種類の絵文字が追加され、ジェンダーや肌の色の幅が広がり、カップルの組み合わせも増えて、よりインクルーシブな内容になった。

Google Payも改良され、電源ボタンを押したまま画面をスワイプすると、デビットカードやクレジットカード、さらにはチケットや搭乗券、その他の保存済みアイテムが選択できるようになる。この機能が最初に使えるようになるのは米国、英国、カナダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、アイルランド、台湾、シンガポールだ。

また、搭乗券のバーコードのスクリーンショットを撮影して、通知にタップしてGoogle Payに追加すれば、フライトの更新情報を通知としてリアルタイムで受け取れるようになる。この機能は、すべての国でPixel 3、3a、4のGoogle Playで3月中に使えるようになる。

パワーユーザー向けには、Wi-Fiや物理的な位置に応じてルールの設定を変更できる機能も追加された。たとえば、職場に到着したら自動的に電話の呼び出し音をオフにするとか、家に帰ったら自動的にサイレントモードにするなど、いろいろできるようになる。

その他の新機能として、Pixel 2用の「自動字幕起こし」、Pixelのダークテーマの切り替えスケジュールの設定、緊急連絡や医療情報のアクセスの簡便化、長押しでアプリのヘルプをすばやく表示できる機能の改良、直射日光の下でも画面の文字を読みやすくする明るさの自動調節(Adaptive Brightness)の更新がある。

Googleは、これらの新機能の提供を米国時間3月2日から開始すると話している。今すぐすべてが手に入るわけではないが、早々に出揃うはずだ。

画像クレジット:JOHANNES EISELE/AFP / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米国星占いアプリトップ10の2019年売上は約43.2億円で前年比65%増

不確実な時代になると、人はいつもと違う場所に答えを探しにいく。2019年、多くの米国消費者は答えを星に求めた。正確には占星術、運勢、手相やオンライン占いなどを提供する星占いアプリを利用した。Sensor Tower(センサー・タワー)の最新データによると、米国の2019年星占いアプリトップ10の売上は、前年比64.7%増の4000万ドル(約43億2000万円)だった。2018年には2410万ドル(約26億円)、2016年にはわずか770万ドル(約8億3000万円)だった。

この分野で最大のアプリはAstrology & Palmistry Coachで、年間トップ10売上の35.3%に当たる約1400万ドル(約15億2000万円)を生み出した。

ちなみに2016年以来毎年トップ10入りしているアプリが3つある。2016~2019年に売上を75%伸ばしたZodiac Touch、Psychic Text、およびPurple Oceanだ。

2019年トップ10の新顔はFortuneScope、Horoscope & Palm Master、Astrolineの3つ。うち2つは携帯カメラを使って手相占いを自動化している。2016年にはどのトップアプリにもなかった機能であり、技術に強い若者を引きつけるべくアプリが近代化していることを表している。

投資家もこの市場の可能性に目をつけていた。2019年、トップ10星占いアプリで2番目にダウンロードの多かったCo-Starは、シードラウンドで500万ドル(約5億4000万円)を調達した。ニューヨーク・タイムズで星占いアプリの人気について書かれた記事に登場したSanctuaryPatternはトップ10入りしていない(Patternは明確に星占いアプリとはいえないため今回の対象に入っていない、とSensor Towerは説明している。Sanctuaryは売上で28位、ダウンロード数で21位だった)。

星占い市場の問題は、利用者が限られていることだ。トップアプリの売上は順調に伸びてはいるものの、成長はさほど速くない。2019年に最も多くダウンロードされた星占いアプリトップ10のうち、初めてインストールされたのは1900万回で、2018年からわずか3%しか増えていない。これは2017年から2018年にかけて70.6%成長したのと比べて大きく減速したことも示している。

ダウンロード数で2016年以来連続してトップ10入りしたのはDaily Horoscopeだけだった。2019年に最もダウンロードが多かったアプリはAstrology & Palmistry Coachで33万回だった。

星占いは科学ではないが、この種のアプリを気軽に使う人には比較的無害だ。今日の混沌とした世の中で人々にコントロール感を与え、個人の性格や人生の不確かさと思われるものを星座や惑星の動きと関連付けることによって、人との関わり方に役立てる程度ものだ。ユーザーはアプリを使う中で、立ち止まって自分自身の行動や感情を見つめさせられることで、自分について学ぶこともできるかもしれない。

しかし批評家たちは、星占いアプリを信じることは人々が科学やデータや研究から目をそむけ、ナンセンスなことやときに有害なニセ科学に向かわせる一例に過ぎず、Gwyneth Paltrow(グウィネス・バルトロウ)のブランドGoopが提供する代替医療情報を求める人々と同じだ、と指摘する。

ちなみに星占いは、アプリの分類で「ライフスタイル」というカテゴリーの下にあるサブカテゴリーの1つにすぎない。Sensor Towerは以前、瞑想アプリトップ10は2019年に約213億円の売上達成、前年比52%増というレポートも出している。

画像クレジット:Sensor Tower

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Spotifyの使いやすさを重視した最新アップデートで直感的かつ片手でも操作可能に

最近ポッドキャストが見やすくなるようにデザインを微調整したSpotifyは、米国時間2月27日、モバイルのエクスペリエンス全体を新しくしたと発表した。まずはiOSアプリで無料とプレミアムの両方のユーザーに対し、一貫性があって操作しやすい外観、新しいアプリ内アイコン、カバーアートの表示の変更などを提供する。

画像:stockcam / Getty Images

新しいアプリにはシンプルで汎用的なシャッフル再生ボタンがあり、1回タップするだけで曲をシャッフル再生できる。

「お気に入り」「再生」「ダウンロード」といったプレミアムユーザー向けのアクションボタンは、これまでインターフェイスのあちこちに散らばっていたが、これからは画面下部にまとめられる。プレミアムユーザー向けのダウンロードボタンは、ポッドキャストをダウンロードする際に使うボタンと同じデザインに変更された。

アクションが1カ所にまとめられて直感的なエクスペリエンスになり、しかもSpotifyを片手で操作できるようになった。これまではアクションが画面の両側に分かれていたり右上にメニューがあったりしたので、片手で操作するのはまったくもって難しかった。よほど親指が長くない限りは、アプリを両手で操作する必要があったのだ。

新しいアプリはブラウズもしやすい。曲のカバーアートが、アルバム表示以外のどの画面にも表示されるからだ。そのため、曲のリストをスクロールするときに、タイトルの文字をいちいち読まなくてもよくなった。カバーアートをざっと眺めていけばいい。さらに、以前にお気に入りにした曲は、曲名の横にハートのアイコンが表示されるので、これも目印になる。

一つひとつの変更はささいなことだが、全体としての目標はSpotifyのアプリを使いやすくすることだ。これは、これまでSpotifyが苦手としていることだ。パーソナライズのテクノロジーが優れているとか、幅広いプレイリストがあるといったことは称賛されても、デザインは称賛されていなかった。すっきりとしていて明快に使えるデザインのApple MusicからSpotifyに乗り換えたユーザーは、Spotifyに欠けているものに気づく。

今回の変更でこの問題が解決されるかどうかはわからない。Spotifyは依然としてダークなテーマを使い続けているし、必要以上にごちゃごちゃしている。ポッドキャストを音楽と同じアプリに押し込んだのが、その主な理由だ。Appleはポッドキャストと音楽を別のアプリに分けている。しかし今回のアップデートで、これまでよりは少し使いやすくなった。これはグローバルな市場に拡大していく際には特に重要なことだ。世界中にいるモバイルの初心者ユーザーに受け入れられるには、シンプルなエクスペリエンスが鍵となるかもしれない。

iOS版の新バージョンは米国時間2月27日から順次公開されている。Spotifyは、Android版も近日中に新しいデザインになるとしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Netflixが人気トップ10コンテンツを公開

Netflixは各国におけるトップ10の公開を始めた。「今日の総合TOP 10」には、国内のNetflixで配信されているすべての映画とテレビ番組の中から最も人気のあるプログラムが表示される。アプリのタブで映画とテレビ番組を切り替えれば、それぞれのトップ10も表示される。

画像:TechCrunch

Netflixによれば、トップ10はみんながどんなコンテンツを見ているかを知るためのもので、毎日更新されるという。以前に同社は人気コンテンツと人気上昇中のコンテンツを紹介していたが、ランキング順ではなかった。

トップ10に入っているテレビ番組と映画には、Netflixのどの画面でもそのことを示すバッジが付く。したがって、何を見ようかと探したり、お勧めコンテンツを眺めたりしているときでも、その中にトップ10のプログラムがあることが簡単にわかる。

Netflixがトップ10を公表するのは初めてだという。しかし同社はトップ10の機能を以前に英国やメキシコなどの市場で実験している。これに対するユーザーの反応がよかったので、世界中で公表することにしたと同社は述べている。

トップ10はNetflixのホーム画面に表示されるが、表示位置はユーザーの好みにより異なる。例えばドキュメンタリーとホラーばかり見ているユーザーの場合、トップ10が恋愛コメディやお笑いばかりだったら画面の上の方には表示されない。

トップ10には、ほかのおすすめコンテンツとは別に並べて目立たせる意図もある。またコンテンツのサムネイルだけでなく、順位を示す数字も大きく表示される。

Netflixはトップ10の公開に関し次のように説明している。「素晴らしい映画やドラマを観たときには、家族や友人にもその作品をお勧めすると思います。 このTOP 10リストが導入されることで、さらにそうしたつながりを生むとと同時に、観たい作品をより迅速かつ簡単に見つけるのに役立つことを願っています」。

Netflixがストリーミング業界の厳しい競争にプレッシャーを感じている今のタイミングで、この機能が公開された。米国でのユーザーの伸びが鈍化し、同時に権利保有者がコンテンツをNetflixから引き上げてNBCUのPeacockやAT&TのWarnerMediaが提供するHBO Maxといったストリーミングの競合に移している。Netflixはオリジナルコンテンツの製作を増やしているが、その多くはあまり上質ではないものや、低予算のバラエティ番組だ。エミー賞はまだ獲得していないし、力を入れて製作したスコセッシ監督の「アイリッシュマン」は今年のアカデミー賞で各部門にノミネートはされたものの無冠に終わった

Netflixは視聴者数を完全に公開したことはない。番組や映画が区切りとなる数字を達成したときなどにだけ公開する。例えば「The Witcher」(ウィッチャー)を7600万世帯が「意識的に見た」(2分以上見たことを指す)というような場合だ。Netflixは他社の推計も否定し、例えばニールセンの推計は実際の視聴者数より少ないなどとしている。

トップ10は実数を公表するものではないが、人気のプログラムや今後のブレイクを知ることはできる。トップ10は世界中のユーザーに対して順次公開されるため、自分の画面にはまだ表示されないかもしれない。この記事に掲載した図はNetflixが提供したサンプルで、特定の市場における現在のトップ10ではない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

タブを整理するワークスペースを装備したOperaの新しいブラウザー

米国時間2月25日に登場したOperaの新しいウェブブラウザーは、大量に開いたタブのカオスからユーザーを救い出すことを目指している。Operaのデスクトップ用ブラウザーの最新リリース(コードネームR2020)には、「ワークスペース」と呼ぶ新機能が導入された。これにより、ユーザーは、さまざまなコンテキストに応じてタブを整理できる。たとえば、仕事用、余暇の活動、個人のプロジェクト、調査活動、旅行の計画などといったワークスペースに分類できる。

最近では、数十ものタブを開いたままブラウザーを使うユーザーも少なくない。さらには、複数のウィンドウに渡って多くのタブを開いた状態にする場合もあるだろう。ウェブ上での検索と調査結果を、それなりに整理しておくためだ。毎日のようにPCで仕事をしている知的労働者にとっても、1つのブラウザーを仕事と趣味のブラウジングの両方に使っている約66%のアメリカ人にとっても、扱いにくいものになっていると、Operaは言う。

Operaの調査によれば、65%のユーザーが、ブラウザーの状態をもうちょっと整理したいと考えていて、60%はタブをグループ化したいと望んでいることがわかった。

残念ながら、メジャーなブラウザーメーカーは、まだこうした問題に効果的な対策を打ち出していない。ユーザーは仕方なく、独自に効率的な使い方を編み出したり、サードパーティ製のブラウザーアドオンなどを使って対処したりしている。

たとえば、ブラウザー拡張機能のOneTabを利用すれば、開いているタブをまとめて閉じて保存し、後でアクセスできるようになる。ただし、このような拡張機能はブラウザー標準のインターフェースではないので、多くのユーザーはそうしたものが存在することすら知らない。また、こうした拡張機能を使用して整理した場合、タブをどこかに保存したこと自体を忘れてしまいがちだ。そのため、保存したタブを元に戻す代わりに、結局同じページを検索し直すことになってしまう。

Operaのシステムは、開いている多くのタブを管理する手段として、ワークスペースのコンセプトを提示している。新バージョンのブラウザーでは、最大5つのワークスペースを作成し、それぞれ名前を付け、アイコンも設定できる。アイコンにはサイドバーの上部からアクセスできる。その時点でアクティブなワークスペースは、青でハイライト表示される。

リンクを右クリックして別のワークスペースで開いたり、ワークスペース間でタブを簡単に移動することも可能だと、Operaは説明している。これにより、単に整理された状態から始められるだけでなく、整理された状態を維持できる。作業中に複数のコンテキスト間を行ったり来たりする傾向のあるユーザーも安心だ。たとえば、オンラインのスプレッドシートに入力したり、仕事のメールに返信する合間に、数分間だけ個人的なメッセージや、SNSをチェックするといったことは、よくあるだろう。

「ブラウザーのタブを発明したのはOperaです。そして今日では、それらをうまく扱うために、ブラウザーのインターフェースとして何らかのサポートが必要であることを理解しています」と、OperaのPC向け製品のプロダクトディレクター、ジョアンナ・チャジカ(Joanna Czajka)氏は、今回の発表に関する声明の中で述べている。「誰もが、自分の環境をきちんとしたいと考えています。特に余計な作業なしに、そうできるのが理想です。ワークスペースを使えば、新しいツールの使用方法を学ぶ必要もなく、使い始めた瞬間から整理できるのです」。

ワークスペースは、このベータ版ブラウザーの主要な新機能には違いないが、他の追加機能により、たとえばCtrl+Tabのキーボードショートカットを使って、開いているタブを簡単に切り替えることができる。これは、macOSでのアプリの切り替え方法に似ている。また、マウスポインターをタブに合わせると、もし重複しているタブが開いていれば、それがハイライト表示されるという親切な機能も加わっている。

Operaはブラウザーの機能を革新してきたという定評がある。そしてここ最近のリリースでは、さまざまな機能の統合にも力を入れてきた。たとえば、暗号通貨ウォレットの組み込みや、VPN機能などだ。また、トラッキングのブロック機能など、プライバシーの保護に役立つツールも取り入れている。さらには、ゲーマー向けのブラウザー、Opera GXも公開した。しかし今回のリリースほど、ブラウザーのユーザーの日常的なニーズにフォーカスしたものは、これまでに見られなかった。

残念ながら最近では、ブラウザーの乗り換えは、それほど簡単ではなくなっている。マイナーなブラウザーや、ベータ版では、多くのユーザーが依存しているさまざまな拡張機能をサポートしていないことが多いからだ。

にもかかわらずOperaは、同社のブラウザーの利用者数は成長していると主張している。同社製PC用ブラウザーの利用者数は、2018年第3四半期から2019年第3四半期にかけて17%増加し、現在では月間ユーザー数で6800万人以上を数えるという。

新しいOperaのブラウザーは、ここから無料でダウンロードできる

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

オンラインゲームプラットフォームのRobloxがAndreessen Horowitzから165億円調達、評価額4400億円に

オンラインゲームのプラットフォームであるRoblox(ロブロックス)は、Z世代を中心に月あたり1億1500万人のプレイヤーが集う場だが、米国時間2月26日にAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のLate Stage Ventureファンド率いる1億5000万ドル(約165億円)のシリーズG投資を獲得したことを発表した。同社はまた、最大3億5000万ドル(約385億円)の普通株と優先株の株式公開買い付けを開始すると話している。

同社は以前、長期的な可能性を信じて、株主と従業員に定期的な売り出しを行い流動性を提供した。またCFOのMichael Guthrie(マイケル・ガスリー)氏によれば、Robloxのキャッシュフローはポジティブだとのこと。

このシリーズG投資には、新規の投資会社としてテマセクとテンセント・ホールディングスのほか、これまでの投資会社Altos Ventures、Meritech Capital、Tiger Global Managementが参加している。

今回の投資は、このゲーミングプラットフォームの急成長期と重なることとなった。2019年には、訪問者数がMinecraft(マインクラフト)を超えて1億人となった。200万アクティブユーザーを擁する開発者コミュニティーは、1億1000万ドル(約120億円)の収益を上げた。2018年の収益は7000万ドル(約77億円)強、2017年は4000万ドル(約44億円)強だった。

以来、Robloxは開発者事業への投資をさらに増やし、よりリアルな3D体験が得られる新しいツールとマーケットプレイスを立ち上げた。そこでは、クリエイターは自分が開発したアセットやツールなどを他人に売ることができる。

Robloxは、App Storeに似た、それを利用してゲームが構築できるプラットフォームを提供している。人気の高いゲームは多くが無料だが、ゲーム内アイテムをRobuxとう仮想キャッシュでプレイヤーに買ってもらうことで利益を得ることができる。最大クラスのゲームとなると、月平均のプレイヤー数が1000万人に上るものもある。訪問者数が10億人を超えるゲームは10本以上を数える。

Robloxのプレイヤーは、単にゲームのゴールやタスクのコンプリートを目指しているだけではない。ゲーム環境の中で、友だちとオンラインでつながり遊んでいるのだ。週間のアクティブユーザーの半数は、友だちと遊ぶためにRobloxを訪れている。さらに、Robloxユーザーの半数は毎月自分のアバターを変更している。

この数カ月間、Robloxはそのプラットフォームを米国外に広げてきた。中でも注目すべきは中国だ。昨年、Robloxはテンセントとの戦略的提携を行い、プラットフォームとコーディングカリキュラムを中国で展開することを決めた。中国語に対応するばかりか、コーダーキャンプも開催する。現在Robloxには、200を超える国々のプレイヤーと開発者がいると同社は話している。

去年の時点でRobloxの評価額は25億ドル(約2750億円)あり、コムスコアによると、そのプラットフォームでは9歳から12歳の米国の子どもたちのおよそ半数が遊んでいたという。今もその数値は維持されている。しかもそのユーザーベースは、13歳以上が40%と若年層に傾いている。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、現在のRobloxの評価額は40億ドル(約4400億円)となっている。同社はコメントを控えているが、TechCrunchはそれが本当であると強く信じている。

Robloxによると、現在のユーザーベースは1カ月に延べ15億時間をそのサービス上で費やしているという。プラットフォーム間で行き来が可能なため、パソコンからスマートフォンへ移動してプレイを続けるユーザーも多い。これはオンラインゲームの新しいトレンドだ。フォートナイトやPUBGといったゲームが人気を集めている一因でもある。

「私たちは、Robloxの長期ビジョンを強く信じており、次なる変曲点に突入する彼らを支援することに自信を持っています」と、Andreessen Horowitzの無限責任パートナーを務めるDavid George(デイビッド・ジョージ)氏は、今回の投資に関連して話していた。「Robloxは、強力なトラクションと、会社を前進させ、長年にわたり業界を押し上げる、有機的で成長率の高いビジネスモデルを併せ持った、非常に珍しいプラットフォーム企業のひとつです」と彼は言い添えた。

Robloxは、新しく調達した資金を使って海外進出を含めた成長を継続させ、さらなる開発用ツールとエコシステムを構築し、エンジニアリングの人材とインフラに投資する計画を立てている。

「私たちは、人々が集まり、創造し、学び、楽しむための安全な公共の場を作り上げるというビジョンに忠実に従っていきます。これまで世界のクリエイターコミュニティーとともに築いてきたものを振り返ると、まさに感無量です」とRobloxの共同創設者でCEOのDavid Baszucki(デイビッド・バスズキー)氏は声明の中で述べている。「将来に向かっては、私たちは、クリエイターとプレイヤーを未来のメタバースへと導く最先端のツールとテクノロジーの構築に、今まで以上にしっかりと関与してまいります」。

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(翻訳:金井哲夫)

Twitterが「返信を非表示」APIをデベロッパーに公開

昨年11月、Twitterは「返信を非表示」にする機能を全世界に公開した。この機能はオンライントロール(荒らし)が会話を妨害することを防ぐのが主な目的で、ユーザーは自分のツイートに対するどの返信を表示するかを選べるようになる。米国時間2月26日、Twitterは返信を非表示にする機能をデベロッパーコミュニティーにも公開し、ユーザーがツイートへの返信を迅速かつ効率よく非表示にできるツールを開発できるようにした。

この種のツールは、Twitterを活用している企業やブランドが、自分のアカウントへの返信が多すぎて個別には対応が難しい場合などにとりわけ有効だ。新たに返信の非表示APIが公開されたことで、デベロッパーは顧客にとって重要な要因に基づいて自動的に迷惑なツイートを隠すツールをつくることができる。たとえば特定の禁止キーワードを含むツイートや有害なスコアの高いツイートなどだ。

今日の公開に先立ち、Twitterは少数のデベロッパーの協力を得て、新機能を利用したツールをすでに公開している。

Alphabet傘下の会社でウェブの悪と戦っているJigsawは、自社のPerspective APIにTwitterの新機能を統合し、AIを利用してツイートに有害スコアをつける。有害スコアが一定値(.94)を超えた返信は自動的に非表示になり、ユーザーはそれまで手動で選り分けていた時間を有効利用できる。

ビジネスワークフローのためのスクリプティング・プラットフォーム、reshuffleは、新機能を使ってキーワードユーザーに基づいて返信を検出し非表示するスクリプトを開発した。

人気アプリのQuotedRepliesの開発者であるDara Oladosu氏もこのAPIを使ってHide Unwanted Repliesというアプリをつくった。現在同アプリはキーワードまたはTwitterハンドルに基づいて自動的に返信を非表示にする。近々、トロールやボットの可能性の高いアカウントによる返信を非表示にする機能も追加する予定だ。作られたばかりのアカウントのツイートやフォロワーの少なすぎるアカウントなどだ。

返信の非表示はこれまでで最も賛否の分かれるTwitter機能だ。ユーザーが批判を抹殺したり、権利が与えられるべき反対意見を抑止する可能性があるためで、誤情報やプロパガンダに対する異議を非表示にすることなどが考えられる。この機能にオンライン悪行を防ぐ効果はないと指摘する人たちもいる。表向きはなくなっても陰で悪事は行われる。最近ある組織は、返信の非表示をうまく利用してドメスティックバイオレンスが表面化しない理由についてのオンラインキャンペーンを行い、問題点をさらに表面化した。
それでも、返信の非表示の利用は増えており、CIAさえも一部のツイートで利用している。

返信を非表示にする新しいTwitter APIは、今日から全デベロッパーに向けてすぐに使える形で提供が開始される。当初はTwitter Developer Labsを通じて公開される。Developer Labsは昨年スタートしたプログラムで、デベロッパーがTwitterの最新APIを一般公開前に使ってフィードバックを返すものだ。Twitter Developer Labsは無料だが、利用するには認証済デベロッパーアカウントを使ってサインアップする必要がある。Twitterはコミュニティーフォーラムでも、新APIを使って同社に協力するデベロッパーを募っている。

Twitterは初期テスターのフィードバックに基づき、すでにいくつかAPIに変更を加えたと言っている。返信の再表示や大量ツイートの制限増加、返信が非表示にされているかどうかを示すリストを取得する機能などだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ストリーミングが過去最高を記録、2019年全音楽売上の80%を占める

ストリーミングサービスが音楽全体の売上に占める割合が過去最高を記録した。RIAAの年末レポートによると、2019年のストリーミングサービスの売上は前年比20%増の88億ドル(約9710億円)で、レコード音楽の売上全体の79.5%を占めた。

このレポートで言う「ストリーミング」には、広告付きサービスのVevoやYouTube、Spotifyの広告付きプラン、PandraやSiriusXMなどのストリーミングラジオサービス、そしてSpotify PremiumやApple Musicのような有料サブスクリプションなどさまざまなサービス形態が含まれている。

ストリーミングと言えば、アーティストや作曲者、レコード会社への支払い方法など、業界としてさまざまな課題を抱えているが、音楽業界全体の著しい成長を後押ししている。RIAAによると、米国の2019年のストリーミング市場は、2年前の米国のレコード音楽市場〈全体〉よりも大きいという。

さらに、2019年のレコード音楽売上は前年の98億ドルから111億ドル(小売り価格)へと13%増えた。これで4年連続して2桁成長を達成したことになり、これは有料サブスクリプションサービスの増加によるものだとRIAAは分析している。

サブスクリプションサービスの売上シエアは最大で、2019年の売上成長手も最大の割合を占め、総売上は前年比25%増の68億ドルだった。この数字には、Pandora Plusのような有料サブスクリプションサービスの「限定プラン」の売上8.29億ドルも含まれている。Amazon Prime Musicもこのカテゴリーに入っている。

こうした売上の伸びは、オンデマンド音楽にお金を払うユーザーが益々増えていることが理由のひとつだ。2019年の有料サブスクリプション数は6040万件で2018年の4690万件から29%も増えた。これは、各サービスが無料の広告付きプランユーザーの一部を有料サブスクリプションに切り替えさせることに成功している兆しといえる。

広告付きサービスも伸びており、2019年は前年比20%増の9.08億ドルで、5000億以上の局を1億人以上の米国リスナーにストリーミングした。広告付きサービスは広く利用されているものの、売上面では音楽売上全体のわずか8%しか占めていない。

一方、ラジオサービスの人気は下降気味で、2019年の売上は4%減の11.6億ドルだった。

ストリーミングサービスの伸びは、デジタルダウンロード売上も奪っている。2019年のダウンロード売上は2006年以来初めて10億ドルを割り、前年比18%減の8.56億ドルだった。アルバムのダウンロードは21%減の3.95億ドル、単独トラックの売上も15%減って4.15億ドルだった。

広告付きサービスと同じく、ダウンロードのシェアも昨年の全売上の8%に過ぎなかった。

CD、レコードなどの物理媒体の2019年売上は前年比微減(0.6%)の11.5億ドルだった。レコード盤は1988年以来最高の売上を記録し、5.04億ドルに達した。しかし、物理媒体製品が全音楽売上に占める割合はわずか4.5%だった。

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Amazonが初のレジなし食品スーパーをシアトルに出店

米国時間2月25日、Amazonは同社初の食品スーパーを開店し、レジのない 「Just Walk Out(そのまま店を出る)」テクノロジーのパイロットテストを行う。この方式は全米の主要都市のコンビニエンスストアAmazon Go、25店舗ですでに利用されている。Amazonのお膝元シアトルに新しく開店したAmazon Go食料品ストアでは生鮮野菜、肉、魚、パン類、家庭用品、乳製品、簡単ディナー製品、ビール、ワイン、蒸留酒などが販売される。

売り場面積は約715平方メートル、店舗全体では966平方メートルで、AmazonのJust Walk Outテクノロジー導入店舗としては最も広い。

コニビニエンスストアのAmazon Goと同じく、利用者は入店時にAmazon Goアプリを使ってスキャンしたあと、普通に買い物をする。カメラとセンサーが棚から離れた商品を追跡し、利用者のバーチャルカートに追加していく。利用者が店を出ると、カートは登録済みの支払いカードを使って自動的にチェックアウトされる。

それは行列もレジもない食品スーパーだ。店員は、棚の補充やカスタマーサービスなどほかの仕事に専念できる。

このモデルは、客が商品を取ってすぐに出ていくコンビニのAmazon Goではうまく機能している。しかし食料品の販売はAmazonのレジなしテクノロジーにとって新しい挑戦だ。食料品の買い物客は概して商品を慎重に選ぶ。生鮮食品を手に取り、指で押してから棚に戻すこともある。商品を2つ手にとってラベルを見比べてから1つをカートに入れ、もう1つを棚に戻すこともある。ときには間違えた場所に戻すことも。気が変わったとき、正しい位置に戻さず別の通路に戻す客もいる。

従来の食品スーパーではこれは問題にならない。別の客が場所を間違えた商品を取ったとしても、レジで正しく計算される。しかしAmazonのテクノロジーは、商品の識別に苦労するかもしれない。

シアトル店はAVA Capital Hill(610 E. Pike Street)にある。営業時間は月曜日から木曜日は午前7時から午後11時、金、土、日曜日は午前7時から深夜0時までになっている。

通常の食料品に加えて、同店舗ではオーガニック製品や特選品も取り扱う。地元ブランドのLa Parisienne、Donut Facttory、Tony’s Coffee、Seattle Bagel Bakery、Lopez Island Creamery、Ellenos Yogurt、Uli’s Fmous Sausage、Beecher’s、Eat Local、Sri Bella、Carso’s Pasta Company、Theo Chocolateの商品も販売される。

Amazonが傘下のWhole Foodsとは別に食品スーパーを開業するという情報は2019年から出回っていた。しかし、Amazonの食品スーパー計画がレジなしAI技術を使うのかどうか、新店舗は通常の食料品店に加えてAmazonの食料品配達ビジネスのハブとしても機能するのかどうかなどはわかっていなかった。

Amazonは自社のレジなし技術をどこまでスケーリングできるかを試したいのだろう。しかし数カ月、数年のうちにあと何店舗つくりたいかはまだわかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook