係争中のUploadがコロプラなどから450万ドルを調達していたことが明らかに

今年はじめにVRメディアの「UploadVR」を子会社化したUploadが、2016年9月に450万ドルを調達していたことが分かった。これまで報じてこられなかった今回の資金調達は、昨日TechCrunchでも報じた、同社に対するセクシャルハラスメント訴訟により明らかとなった。

シリーズAとなる本調達ラウンドをリードしたのはコロプラだ。Uploadのスポークスパーソンによれば、その他にも、General Catalyst、NetEase、Sparkland Capital、Unity Ventures、CRCM、GREE、GreycroftのファンドであるGC Tracker、Outpost Capital、そして、投資家のDavid Chao氏とJulia Popowitz氏が本ラウンドに参加している。

同社はこれまでに、シードラウンドで中国のShanda Groupと複数のエンジェル投資家から125万ドルを調達している。

UploadのスポークスパーソンがTechCrunchに語ったところによれば、同社はこの資金を利用して「3つのコアドメインである、コワーキング、教育、メディア領域の拡大を図るとともに、ロサンゼルスにあるUploadのオフィスと、新たにローンチしたUpload EDUにフォーカスしていく」という。

先月、同社はロサンゼルスに2万フィートの巨大オフィスを開設している。このオフィスが注力して手がけるのは、Google、HTC、Udacityと共同で行う教育イニシアティブだ。また、サンフランシスコのオフィスにはコワーキングスペースが併設されており、ここでは35社を超すスタートアップが活動している。

同社は現在17人のフルタイム従業員を抱えており、その他にも「契約社員が大勢いる」という。

昨日、UploadのDigital and Social Media部門のディレクターを務めていた女性が社内でセクシャルハラスメント、女性差別、不当解雇を受けたとして訴訟を起こした。同社とその共同創業者たちに対するこの訴訟では、Uploadが「男性至上主義」の会社であり、「セクシャルハラスメントが横行し、それにより(女性にとって)耐え難い仕事環境がつくり出されている」としている。Upload, Inc.及びUploadVR, Inc.のそれぞれが本訴訟の被告として指名されている。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Apple、iPad miniの改訂は終了か?

近々Appleが新しいiPadを出すと噂されている。しかしiPad miniはどうなのか? BGRの最新記事によると、iPad miniの改訂はなさそうだ。そしてiPad miniは終末を迎えるかもしれない。

AppleはWWDCで、10.5インチ画面で外枠の細い新型iPadを発表するらしい。このiPadは現在の9.7インチiPad Proとほぼ同じ大きさなので、iPad Proラインアップでこの小型機を置き換えることになるだろう。

ローエンドでは、最近低価格の9.7インチiPadを発売した。価格はわずか320で399ドルのiPad mini 4よりも安い。

この入門レベルのiPadやiPhone 7 Plus(およびファブレット全般)がiPad miniより人気なのは明らかだ。だからAppleはiPad miniをやめようとしている。iPad miniを店頭からなくすことはAppleにとって苦渋の決断かもしれない。しかし私はAppleがまだ少しの間iPad miniを残すと思っている ―― ゆっくりとフェードアウトしていくのだろう。

2012年に登場したとき、iPad miniはホットな新製品だった。フルサイズのiPadは重量級のモンスターで、だれもがNexus 7やKindle Fireといったタブレットに興奮した。携帯電話には小さな3.5インチディスプレイしか付いていなかった。

みんなが軽くて持ち歩けるデバイスを求めていた。iPad miniはウェブを見てメールを読むなどに最適な端末だった。映画を見るには少々小さかった。私はiPad miniが大好きだった。

しかし、iPadが軽くなり、スマートフォンが大きくなるにつれ、iPad miniは以前ほど便利ではなくなった。そしてタブレット市場全体は成長していない。AppleがiPad miniをどうするつもりか、WWDCを待つことにしたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「世界最強のグラフィクスカード」を自称するAMDの長く待たせた新型機Radeon Vegaが6月に発売

グラフィクスカードに関してちょっと間(ま)が開(あ)きすぎた感のあるAMDから、ついにその次世代機Radeon Vega Frontier Editionが出た。この、おそらくペア搭載(duo)と思われるハイスペックGPUがねらうのは、NvidiaのPascalシリーズGTX 1080と1080Ti、そしてさらに最新のTitan Xpも標的だ。

その細部は: 64コア、単精度12.5TFPSのプロセッサー、帯域16GBのキャッシュ、そして8Kディスプレイのサポートだ。

それでも飽きたらぬAMDは、同機の水冷バージョンも用意した。限定生産だが、もっとも過酷な処理負荷に対応し、自分が焼け死ぬことを防ぐ。

同社American Micro DevicesはRadeon Vegaプラットホームを、AIなどのアプリケーションのための“世界最強のグラフィクスカード”と呼ぶ。これまでPC上のゲーマーたち向けにはNvidiaに人気をさらわれたが、それでもAMD製品は、サーバーやデスクトップ、ラップトップ、ゲーム専用機などさまざまなシステムに、全世界的に採用されてきた。

そして今回のVegaは、スピードでもNvidiaに勝つことが目的だ。“速い”という言葉が、Nvidiaの可用性の高いPascalに付着している状態を、解消したい。長年のAMDファンは、まるで醒めぬ夢のように、そう思い続けてきた。

AMDは、Vegaの得意分野を二つ挙げている: 今後のAIの研究を加速する機械学習の開発と、そしてもちろんゲームをさらに贅沢にするフォトリアリスティックな描画能力だ。

発売予定は6月半ば、価格は未発表だが、1000ドルラインまで届くかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon、Fire TV内蔵の低価格4Kテレビを発売

90ドルのFire TV、40ドルのFire TV Stickに続いて、Amazonは差し込みデバイス嫌いの人たち向けに、ストリーミングビデオ機能を内蔵した同社初のテレビ受像機を販売する。現在予約受付中で、インターネットで最も強力な広告塔、Amazon自身のホームページでデビューを飾った。Amazon Fire TV Editionというシンプルな名前のこの製品は、サウスカロライナ州拠点のElement Electronicsが製造し、価格は43インチモデルの449ドルから。

求めやすいこの金額は、同社が長年続けてきたライバルを蹴落とす価格モデルに沿っている。プラグイン方式の先行製品と合わせて、Amazonが4Kテレビをリビングルームに自社メディアを送り込むためのパイプと考えていることは間違いない。

今やAmazonビデオには、30万本を超えるテレビ番組や映画がAmazon、Netflix、HBO、Showtime、Hulu、Sling TVなどから提供され、Alexaの親切な音声リモコンで操作できる。この新しいテレビによって、Amazonはリビングルームに自社製スマートアシスタントを潜入させる方法をまたひとつ開拓した。

449ドルという価格は、Amazonの既存のスタンドアロン・メディアプレーヤーを買うのと比べてかなり高価ではあるが、外部入力が可能であるなど独自の利点もある。しかし、安い価格と引き換えに、セットトップボックスより買い替えサイクルのずっと長い受像機にスマートテレビ機能が組み込まれているという弱点を抱えることになる。

これはAmazonにとって実に明快な戦略の製品だ ―― Amazonは再びRokuを直接迎え撃つ。そしてこれを皮切りに同社のサービスを内蔵したサードパーティ製品がいくつも出てくるに違いない ―― ただしAmazonブランド製品ほど大きな扱いは受けないだろうが。

Fire TV Editionは、6月からリアル店舗にも購入が可能だ。価格は最高で65インチ機の899ドル ―― ただしAmazonから直接購入すると、15ドルのHDアンテナが期間限定でついてくる。もちろんプライムメンバーなら送料は無料だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple、MacBookを近くアップデート――6月5日のWWDCで発表か

Bloombergによれば、AppleはMacBookとMacBook Proのアップデートを近々行う予定だ。Appleはこれを6月5日のWWDCカンファレンスのキーノートで発表するはずだという。

Retinaディスプレイの12インチMacBookがアップデートされたのは1年前だが、このモデルは全体的に優れたデザインなので、新バージョンはスペックの強化程度にとどまるだろう。

もしかするとAppleは第2のUSB-Cポートを追加するかもしれない。現行モデルはポートが1つしかないため、充電しながら別のデバイスを接続することができなかった(ドングルを使えば可能だが、少々煩わしい)。またキーボードも最新のMacBook Proと比較するとやや見劣りがした。

Touch Barを装備したMacBook Proはまだ十分新しいモデルだが、AppleはCPU、RAM、ハードディスク容量などを定期的に拡大してきた。

現行MacBook ProはIntelのKaby Lakeプロセッサを登載するのが間に合わなかった。Skylake CPUでも特に不都合はないが、この機会に新世代CPUが登載されるなら歓迎だ。

むしろBloombergの記事で驚いたのは、AppleはMacBook Airの新モデルの発表も考えているという点だった。タッチバーなしのエントリーモデルの13インチMacBook ProならMacBook Airの新型機にぴったりだろう。重量は13インチMacBook Airと同程度がProはかなり高価だ。

Makbook Airは安価なのがその(少なくとも当面の)存在理由だが、もう少し能力を高めたMacBook Airが後継機になるなら素晴らしい。とはいえMacbook Airが今回のアップデートに含まれることはないかもしれない。.

WWDCはその名称の通りデベロッパー・カンファレンスだ。Appleはこのカンファレンスをデベロッパー・コミュニティー向けにソフトウェアのアップデートを発表する場としている。今年もその点には変わりはない。したがってiOS 11、tvOS 11、watchOS 4、macOS 10.12などについていろいろ聞くことになりそうだ。

もちろんWWDCに集まるデベロッパーは毎日Macを使っているユーザーだ。そこでハードウェアのマイナー・バージョンアップを発表するのは理にかなっている。Macのユーザーは以前からiMacとMac Proの新モデルを待ちわびているが、それらの発表はWWDCには間に合わないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

社内の雰囲気が悪い理由は――アトラエの新サービス「wevox」は社員のエンゲージメントを可視化する

なんとなくチームの雰囲気が良くない、あるいは隣の部署は調子が良さそう。会社働いていると、そういった社員やチームのモチベーションや人間関係の状態は肌感覚としては分かるだろう。最近は人事評価のクラウドサービスなどは増えてきたが、こうした社員の主観的な気持ちに焦点を当てるサービスは少なかったかもしれない。

人材サービスを提供するアトラエの新サービス「wevox」は定期的なサーベイを実施することで、社員の仕事や会社とのエンゲージメントを数値化しようとしている。

wevoxを使うにはまず社員のデータをエクセルなどでアップロードする。登録した社員には定期的に同僚との関係、上司との関係、承認・関心、健康、自己成長、理念/戦略/事業、職務といった項目に関するサーベイが届く。これらの項目には社員のエンゲージメントにおける学術的な裏付けがあるという。サーベイを実施する頻度は週1回、月2回などが選べる。

wevoxのサーベイは個人ごとではなく、チームごとの平均を算出する仕組みだ。年次や役職ごとで属性を切ってデータを確認することもできる。

wevoxのサーベイの集計結果

 

集計結果の画面で組織全体のエンゲージメントを一目で確認できる。状態が良いところほど青く、問題があると赤くなる。これで、例えば「同僚との人間関係」の項目が赤くなっていたのなら、社員同士のコミュニケーションを活性化するといった対策が取れるだろう。継続的にデータをトラックすることで、実施した対策に効果があったかどうかも確認できる。

社員のエンゲージメントを高める意味

アトラエはこれまで人材採用のサービスを提供してきたが、組織の成長には採用だけでなく、採用した人材の定着や離職防止も重要と考えてきたとwevoxの担当を務める森山雄貴氏は説明する。その点について企業にヒアリングしたところ、「漠然と組織に課題があることは認識しているけれど、具体的に何が問題か特定できていない」という声があったという。

「スターバックスなどの企業は社員のエンゲージメントを重要視しています。それが会社の業績の向上にもつながるからです。wevoxはこれまで感覚値でしかわからなかった社員のエンゲージメントを定量化します」。

エンゲージメントについてのサービスというと社員の負担になりそうだが、wevoxのサーベイはメールやslackで通知し、スマホから1、2分で回答できるように設計しているそうだ。

質問の内容は浅くとも、頻度を高くサーベイを実施することに重点を置いていると森山氏は話す。エンゲージメントの調査を年に1回だけ実施するだけでは足りないことが多い。特にビジネスの変化が早いインターネット企業などでは3ヶ月でも状況が一変していることもある。wevoxは社員のモチベーションの低下や離職が起きる前に組織課題を特定し、手が打てるようにしたい考えだ。

wevoxは社員1人あたり月額300円で提供する。すでにwevoxはベータ版を提供していて、これまでに50社以上の利用があったそうだ。

wevoxでは、組織課題を解決するためのコンサルティングサービスも提供している。今後は自社のサービスに限らず、課題に応じて適切なスペシャリストや他社サービスの提案も行っていきたいと話す。ゆくゆくはAPIで、例えば人事労務や人事評価などのクラウドサービスとも連携できるようにしたい考えだと話している。

Twitterに共同ファウンダーのビズ・ストーンが戻ってくる

Twitterの共同ファウンダー、ビズ・ストーンは先ほど、自分がスタートさせるのに大きな役割を果たした会社に戻るつもりだと ブログで発表した。もう1人の共同ファウンダー、イヴ・ウィリアムズと共にObvious Corporationを立ち上げるためにストーンがTwitterを離れたのは2011年だった

ビズ(・ストーン)のエネルギーとセンスを再びTwitterに迎えることができる! ―ジャック

Twitterでの今後の役割についてストーンは具体的に説明していないが、まずはTwitterの企業文化を正しい方向に向けることに集中するだろう。またStoneは自分の復帰は「誰かと交代するためではない」ことを明言している。

全員がTwitterという物語をすみずみまで理解し、自分の役割をその中ではっきり認識することが何より重要だ。私は内部の文化を整え、そのことが外部にも感じられるようにしたい。–ビズ・ストーン

1ヶ月ほど前にストーンは自分の最新のスタートアップ、JellyをPinterestに売却している。その際、ストーンは「自分はPinterestに加入することを求められていないので今後新しいチャンスをつかむ用意がある」 と述べた。

Stoneのブログ記事によれば、最近Twitterの社員イベントに「スペシャル・ゲスト」として招かれ、現CEOで同じく共同ファウンダーのジャック・ドーシー(彼も 一度去った後で復帰した)と壇上で対談したという。その際、ドーシーは「Twitterに戻る気はないか?」と尋ね、これに社員が喝采した。 イベントの後でストーンはドーシーの真意を確かめ、真剣であることを知ると申し出を受けることにしたという。

Twitterファンはこのニュースに熱狂している。Twitterはそのルーツに帰るべきだと考えるものは多い。そのためには共同ファウンダーの復帰はまったくもって適切だろう。株式市場も好感を持った。このニュースが流れるとTWTR株は即座に2%アップし、この3ヶ月での高値19.62ドルを付けた。

画像: TechCrunch/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

Slackがビデオ通話で画面共有サポート――Screenhero買収後2年目にやっと実現

スクリーンショットを送るだけでは十分でないことがある。Slackの有料ユーザーはビデオ通話機能を利用してライブで画面共有できるようになった。この機能が追加されたのはSlackがScreenheroを買収して2年後となった。当時Screenheroはエンタープライズ向けに画面共有を提供する社員6人のスタートアップで、Slackはキャッシュと株式によって同社を買収した。今後数日のうちに実施されるMacとWindowsアプリのアップデートに画面共有機能が含まれる予定だ。

Slackの画面共有を利用するのは簡単だ。まずビデオ通話を開始し、画面共有ボタンをクリックすればよい。複数のモニタを使っている場合、どの画面を共有するか選択することができる。画面共有中に個人情報が漏れないようウェブカメラは無効になりSlackの通知も表示されなくなる。共有される画面にはカーソルも表示されるので注目すべき場所を示すのは簡単だ。

Slackがアプリ中でネーティブに画面共有をサポートすることはサードパーティーの画面共有機能とライバル関係になる。これにはSkype、BlueJeans,、Appear.in、Google Hangouts、Zoomなどが含まれる。ただしサードパーティーとの協力関係に変化はなく、ユーザーは従来どおり画面共有にこれらのアプリを利用できる。

Slackはサードパーティーを含めたエコシステムの構築に力を入れているが、必要とあればコア機能を自らのネーティブ内で拡張するのをためらわないことが今回の画面共有機能のサポートで判明した。Slackにスマートな機能を追加することを考えているデベロッパーはこの点をもう一度よく考えてみる必要があるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、偽ライブビデオの取り締まりを厳格化

Facebookが、ライブビデオの誤解を招く利用方法を禁止しようとしている。同社がTechCrunchに伝えたところによると、Facebookは同サービスのポリシーのライブAPIの項目に、以下の記載を追加した。「このAPIを使って画像のみを公開しないでください(例:静止画像、アニメーション、ループ再生画像などを公開しない)。また、動かないものや風景の映像に関連したライブストリーム投票を行わないでください」。
(日本語版注:本稿掲載時点で日本語版ポリシーには未記載)

このポリシーに違反するビデオはFacebookでの露出度が下げられ、繰り返し違反したパブリッシャーはFacebookライブの利用を制限される。

今年1月にFacebookが2016年のトップ10ライブビデオを発表した後、TechCrunchは偽「ライブ」ビデオの摘発をFacebookに要求した。トップ10の半数は本当のライブとは言えず、静止した背景に重ねられた単なる投票やカウントダウンだった。

Facebookに寄せられたフィードバックによると、視聴者はそうした静止画やグラフィクスのみの中継を面白いライブコンテンツとは感じていない。昨年12月、Facebookはグラフィックスのみのライブビデオで「いいね!」やリアクションを使ってニュースフィードから投票させることを密かに禁止した。

今回Facebookはさらに一歩進めて、ライブ方式の浄化をはかっている。

ライブビデオが人を引き付けるのは、次に何がおきるかを期待する緊急性や意外性だ。もしユーザーが偽ライブビデオに慣れてしまうと、友達やフォローしているパブリッシャーが中継を始めたという通知が来ても、見に行くことは少なくなってしまうだろう。

本誌は、誤解を招くライブビデオのもう一つの形態も追及した:カウントダウンだ。この手の多くはコンピューターグラフィックスをループ映像に重ねたもので、上に貼ったBuzzFeedの年越しカウントダウンが典型例だ。しかしFacebookは、現実世界のカウントダウンが行われてループしてないものは現時点で禁止していない、と私に言った。それでも、投稿したパブリッシャーにネガティブなフィードバックが続くようであれば反応も落ち込むだろう。Facebookは今後もこうした状況を監視していくと言っている。

Facebookは「ライブする」という動詞を自分たちのものにするべくエンジニアリングとマーティングに膨大な資源を費やしてきた。ソーシャルコンテンツをライブで録画、閲覧する第一の場所としての座を維持し、長期的にこの投資を回収するためにはこうしたライブ中継の質を高く保つことが不可欠だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

最強のランサム・ウェア防止対策、そのトップ6(シックス)

〔訳注: この記事は‘書かれ方’がややジョーク的です。〕

以下は、あなたと、あなたが愛する人びとと、イギリスのNational Health Serviceが、ランサム・ウェアを防ぐためのすばらしい秘訣だ。

すべてをバックアップする

堅牢で、人にばれないシステムを作り、毎日それを利用する。

Windows XPを使わない

信じ難いことかもしれないが、会社のコンピューターで、すでにサポートされていないオペレーティングシステムを使うと、データを危険にさらす。お金を投じてもっと安定性の良いオペレーティングシステムを導入すべき。

USBメモリやハードディスクを買ってすべてのデータを定期的にバックアップする

朝出社したらランサム・ウェアにやられていても、数日前までのデータは復旧できるから。患者の記録など重要な情報の破壊は防げる。

データのバックアップを重視する

自分のコンピューターにバックアップボタンがなければ、MacOSならTime Machineを、またWindows 10ならBackupシステムを使おう。Microsoftも言っている: “バックアップはつねに良いことです。あなたのファイルのコピーを別のドライブ(ハードディスクなど)に保存しておけば、オリジナルに何か起きたときに安心です”。

顧客サポート担当の人もバックアップを!

あなたのオフィスがマルウェアにやられたら、困るでしょ? 家では、パパやママがランサム・ウェアをダウンロードするかもしれない。感染を防ぐいちばん容易な方法は、バックアップ計画を作り、そのやり方を彼らに教えること。そして、あなた自身やほかの社員が、バックアップから簡単にデータを復旧できる計画も作っておこう。

最後に再び: データのバックアップをしましょう

くどいようだけど、ほとんどすべてのランサム・ウェアは、定期的なバックアップで防げます。それは、コンピューターにハードウェアを増設するだけの簡単な作業で済まないこともあるだろうけど、とにかく、バックアップからデータを復旧できるようにしておけば、ランサム・ウェアというトラブルから100%おさらばできる。ハードディスクは今とても安いし、ソフトウェアもとっても使いやすいから、ぜひやろう。

わざわざビットコインを買って、知らない人に送ることから、永遠にお別れしよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ニュースキュレーションのGunosy、新たに女性向けアプリ「LUCRA」の開始を発表

ニュースキュレーションサービス「グノシー」や「ニュースパス」を展開するGunosyは5月16日、女性向けの情報キュレーションアプリ「LUCRA(ルクラ)」を開始することを発表した。リリースは5月下旬の予定。

LUCRAはトレンドの高い女性を対象に、ファッションやグルメなどの情報を配信するアプリ。具体的なスキームはグノシーと変わらず、データ解析技術やデータに基づくアルゴリズムによる配信技術、メディアとのリレーションを活用してユーザーに最適な情報を配信する、というもの。

広報担当者は「メディアではなく、プラットフォームという立ち位置」と語り、社内に編集部はなく、オリジナルコンテンツを配信する予定もないという。ここ数年で女性向けメディアが乱立していたが、それらとは異なるというわけだ。

また、“女性向け”にフォーカスした背景について、「グノシーやニュースパスを軸に事業の成長を考えているが、これまでに培った技術やメディアリレーションを活用して新しいサービスも出来るのではないか。最もレバレッジをかけられそうなのが女性向けでした」と語る。

まずはグノシーやニュースパスで契約した600媒体の記事を中心に、データ解析技術やデータに基づくアルゴリズムによる配信技術によってユーザーごとに最適な情報を届ける予定だという。反応によっては、LUCRA単体で新たな媒体と契約を結ぶ選択肢もあるそうだ。

今後の展開について、「ニュースに限らず、情報の非対称性がある領域に関しては常に新サービスの検討をしている」と語った。

【ポッドキャスト】GoogleのMaterial Designのリーダーが同社のデザインビジョンの起源を語る

[筆者: Jared Erondu, Bobby Ghoshal]

Rich Fulcherは、GoogleのMaterial Design UX and Engineeringのトップだ。今回はわれわれのHigh Resolutionシリーズの第14回で、Material Designがどのように作られたか、自分が勤める会社で自分独自のデザイン表現(デザイン言語)をどうやって作り出すか、デザインという工程では強力な文化性が重要な役割を演ずること、などを語ってもらった。

Larry PageがGoogleのCEOに復帰したとき、彼は非常に幅広い指示を出した。 それは、“Googleをビューティフルにすること”だった。その指示の下でGoogleのデザイン部門は、同社のプロダクトの呈示のされ方を根本から考え直すことになった。しかしながら、Googleほどの大きな企業で統一的なデザイン言語を作ることは、容易ではなかった。そこでFulcherは工程をいくつもの小さなステップに分割し、それを積み重ねていくと全体像が見えてくる、というやり方を選んだ。いくつかの大きな部品がまとまると、そこからSearch(検索), Maps, Gmail,などの消費者向け中核製品への実装過程が始まった。

自分の会社の普遍的なデザイン言語を作る過程が、複雑である必要はない。必要なのは、真剣に取り組むこと。それは、完成までに長期間の集中と献身を要する、今でもまだ進行中のプロジェクトだからだ。Fulcherは、デザイン言語が会社のビジネスにもたらす価値を説明している。そのステップは、あなたが今日からそれをやり始めるとしても、十分に参考になるだろう。

Jared EronduBobby GhoshalHigh Resolutionのホストだ。このポストと各回の注記は、フリーのライターGannon Burgettがまとめた。High Resolutionの各回は月曜日の太平洋時間午前8時に、本誌TechCrunchに載る。iTunesOvercastでも聴ける。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

今度のAppleのiPhone 7 Plusポートレートモードのコマーシャルは大量の髪の毛をチャリティに寄付

Appleの今日(米国時間5/15)からのコマーシャルは、最後に“practically magic”(まるでマジック)というキャッチフレーズがある。それはまたまたポートレートモードの宣伝で、ニューオリンズの床屋さんが舞台だ。

ポートレートモードは、iPhone 7 Plusのソフトウェアの機能で、二つのカメラを使って互いに異なる奥行き感を表現する。背景は自動的にぼかされるので、短焦点のカメラなのに高価なDSLRで撮ったような写真になる。

このコマーシャルでは、ポートレートモードが小さな床屋さんの秘密兵器になる。散髪が終わるとお客さんの写真を撮り、それらのポートレートを額に飾る。そのことが知れ渡り、この床屋さんの前の道路には長い待ち行列ができるようになる。

古い下町を思わせるセピア色の映像。ちょっとふざけた演出。そしてWilliam Onyearborの“Fantastic Man”が流れる。しかし、撮影はたいへんだった、と思う。わずか1分の映像の中に、大量のショットと額入り写真がある。

その撮影では24人が散髪して、AppleはそのヘアをLocks of Love(愛の頭髪)に寄贈した。病気等の理由でウィグを使う子どもたちのための、非営利チャリティだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MAプラットフォーム「b→dash」提供のフロムスクラッチが32億円の大型調達

フロムスクラッチ代表の安部泰洋氏

マーケティングプラットフォーム「b→dash」を提供するフロムスクラッチは5月16日、シリーズCラウンドで産業革新機構、楽天ベンチャーズ、既存株主などから合計で約32億円を調達したと発表した。

フロムスクラッチは2015年5月に約3億円を、続いて11月に約10億円を調達しており、同社の累計調達金額は約45億円となっている。

フロムスクラッチが手がける「b→dash」は、企業のマーケティングプロセス全体のデータを統合し、一気通貫で分析するSaaS型のマーケティングプラットフォーム。ウェブでの集客から顧客管理まで、マーケティングの「入口から出口」までを一元管理することができる。

データの取得はもちろん、取り込み、統合、加工、そしてデータの活用に至るまでのすべての機能をオール・イン・ワンで提供していることがb→dashの最大の特徴だ。これまでに、キリンエイチ・アイ・エス岡三オンライン証券などが同プラットフォームを導入している。

料金はプラットフォーム開発費用が約500万円〜、月額費用が60万円〜となっている。これは前回の取材時(開発費用が100万円〜、月額費用が50万円〜)から値上げされている。

月額費用が数万円のマーケティングツールも存在するなか強気の価格設定だとも言えるが、フロムスクラッチ代表の安部泰洋氏は「簡単に言ってしまえば、この値段設定でも受け入れられると考えたから。マーケティング活動をしっかりと行っている企業では、そのために様々なツールを使うと1年で3000万円ほどかかる場合が多い。データ統合基盤の構築なども含めると、さらに費用がかかる。一方のb→dashでは、ケースごとに異なるが年額1000万円ほどですべてを完結できることもある。データの取得から統合、活用までを1つで実現するソリューションとして考えれば、結果的に全体の費用を節約でき、十分に受け入れられる価格だ」と話す。

前回の10億円に引き続き、32億円という大型調達を完了したフロムスクラッチ。今回調達した資金は主にプラットフォームの追加開発に使うとしている。その具体的な内容として同社が挙げたのが、安部氏が「b→dashの本質的な強み」と話す”データ統合の強化”、そして”データ処理能力の強化”と”人工知能の開発”だ。

3つのコアコンピタンス

データ処理能力の強化について安部氏は、「今後、MAプラットフォームがオンプレミス型からクラウド型に移行していくのは確実。しかし、クラウド型には『データの処理能力が低い』という課題がある。そこで私たちは、大量のデータをクラウド上で瞬間的に処理できるようなエンジンやアーキテクチャを実現するための研究開発を行う」と話している。

そして、安部氏が特に強調して話すのが人工知能の開発だ。b→dashの最大の特徴はマーケティングの入口から出口をカバーしていることだというのは先ほど述べた通り。だからこそ、フロムスクラッチはWebの行動データから購買データにいたるまで様々な種類のデータを持つ。そのビッグデータを”餌”にして人工知能をトレーニングすることで、精度の高い予知機能(例えばある顧客にどの営業員を担当させるべきなのかなど)を提供できると同社は語る。

「今後、フロムスクラッチのコアコンピタンスは、データの統合技術と高速処理技術、そして人工知能の3つになる。今のb→dashは、『コアコンピタンス×日本(地域)×マーケティング(事業領域)』として捉えることができるサービスです。今後、このコアコンピタンスに様々な地域や事業領域を掛けあわせていくことで、様々なサービスを実現していく」と安部氏は話す。

その具体例として安部氏が挙げたのは、中小企業やBtoB企業向けの新しいマーケティングプラットフォームの開発だ。マーケティングに大きな予算をかけることができる大手企業や一部のBtoC企業とは違い、中小企業やBtoB企業は価格の安いマーケティングツールを求める傾向がある。「価格感が合わず、これまでは『外していた』ような領域だった」と安部氏は話すが、今後は低価格帯のプラットフォームを新たに提供することで彼らのニーズにも応えていく。

「BtoB向けのプラットフォームの利用料金は数万円、極端に言えばタダでもいいと思っている」と安部氏が話すように、BtoB企業向けのマーケティングプラットフォームはフロムスクラッチにとって収益を得る手段ではない。同社は、b→dashを通してBtoC企業のデータは持っている。しかし、今後データと人工知能を活用していくフロムスクラッチにとって、BtoB企業に向けたプラットフォームを用意することで彼らがもつデータを手に入れることの方が重要だということだろう。

全世界的なランサム・ウェアの攻撃を偶然の発見で停止できたようだ

昨日(米国時間5/12)からの全世界的なランサム・ウェアの犯行は、いくつかの理由でおそろしいが、でもMalwareTechのセキュリティ研究者による素早い行動が、その拡散を少なくとも一時的に抑止したようだ。研究者自身はそのとき、それを知らなかった。

その詳しい話はここにあるが、要点はこうだ: すでにご存知かもしれないが、そのランサム・ウェアは、先月Shadow BrokersがNSAの記録から見つけたエクスプロイトを利用して拡散した。それは遠くまで迅速に拡散する能力を持ち、そのマルウェアもまさにそのように拡散した。しかしそのために、それを封じ込めて研究しようとするITの人びとの関心を招いた。

これに対する安全対策として、このウィルスのペイロード(payload, 動作コード)には、作者だけが知っているあるドメインが未登録かどうかを調べるコードが含まれていた。それはつまり、一部のネットワーク環境では、相手が悪質なコードを研究しているVMだったりすると、あるドメインに接続を試みるような外行きデータをすべて捕捉し、自分が勝手に選んだトラフィックを返したりするからだ〔一見、未登録でなくなる〕。

そのランサム・ウェアは、そんな環境で自分を起動したくないから、ある種の(適当な)未登録のドメインをpingする。たとえば、afn38sj729.comとか。そしてそれが、DNSエラー以外の何かを返したなら、そのトラフィックは操作されている可能性が高い。ランサム・ウェアは停止し、それ以上の分析をやめる。

ランサム・ウェアが未登録のドメインを呼び出していることを見つけたその研究者は、直ちにそれを登録してトラフィックをモニタできるようにした(そうやって上図のようなマップを作れた)。それにより拡散先を追跡できる、と思ったが、実はドメインを登録したことによって〔DNSエラーが返らなくなり〕攻撃そのものを殺してしまった。そのドメインをpingすると、既登録という結果が返ってくるので、ランサム・ウェアは自分を決して起動しない! 研究者はランサム・ウェアの生命維持装置を外してしまったのだが、自分ではそのことに気づかなかった。あとでそれと類似の動作をテスト中に、そのことが分かった。

偶然とはいえ、未登録ドメインを登録したことは、研究者の正しい行為だった。とにかくそれは結果的にサーバーをコントロールするコマンドであり、あるいはキルスイッチ(kill switch, 緊急停止スイッチ)だった。結果そのものには、異論がない。残念なのは、すでに被害に遭った人を救えないことだ。今後の展開は防げるけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonが「世界を食い尽くしている」理由を考える

編集部:この記事は起業家のの執筆。経歴

私は昨年12月にソフトウェアのスタートアップを共同で創業し、毎月株主に向けて会社の進捗を報告するメモを送っている。しかし先月は自社の状況に関するメモではなく。われわれのビジネス(小売業)を待ち受ける根本的な状況の変化について書いた。

このビジネスでAmazonは支配的な地位を得ているだけでなく、今後ますますその地位は強化されると判断したからだ。これによってリテールビジネス全般にアポカリプスが迫っている。Amazonは世界最強の企業の一つだが、同時にその本質がもっとも理解さにくい会社でもある。そこで多くの人々からAmazonを分析した私のレターを公開すべきだというアドバイスを得た。

私の最初の会社は自動車部品のメーカーだった。われわれはAmazonに対するベンダーでもあり( Amazonはプロダクトの大口顧客だった)、同時に「マーケットプレイス」のサードパーティーの販売者でもあった(この場合われわれはAmazonに売上から一定の手数料を支払った)。つまり私はAmazonのビジネスについて通常知り得ないような経験をした。AWSを始めとするAmazonの各種の事業についても以前からフォローしてきたし、Amazonという会社は私にとってある種の強迫観念に近いものになっている。

一方、リテール・ビジネスは全体としてティッピングポイントを迎えつつあるというのがコンセンサスのようだ。テクノロジー系メディアもメインストリーム・メディアもAmazonという怪物のさらなる成長が小売業に決定的なコラテラル・ダメージを与えるだろうという記事を多数掲載している。Amazonのライバル(アメリカでは主としてWalmart)に対する優位性は維持可能なものであるのか、またライバルはAmazonのビジネスをコピーすることがでいるのかについても多くの議論が交わされている。

たとえばAmazon Primeの特急配送( 2日から1時間まで)やMarketplace(Amazonが販売するのと同じプロダクトを同じエントリーでサードパーティーが販売できる)、Amazon Goストア(レジなしの物理的店舗)からAmazonのドローン利用配送プロジェクトなどだ。

おそらくこうしたプログラムはすべてWalmartのような実力を備えたライバルなら数年で実現できるだろう。たとえば特急配送で利益が出せるかどうかは配送センターを消費者の近くに設置できるかどうかにかかっている。その点Walmartすでに全米150箇所以上の配送センターを持っている。【略】

こうした点を考慮してもなおかつAmazonは世界でもっとも強力な会社であり、Amazonがライバルに対して持つ優位性はまだ十分に理解されていない。向こう10年ほどの間にAmazonのリテール分野での拡大を止められるライバルは存在しないのではないか?

その理由はメディアやアナリストが好んで取り上げる「ブレットポイントの行列」、つまりアナリストが論じることを好むAmazonの事業の多様化にあるのではない。またジェフ・ベゾスのビジョンや企業文化も決定的要素ではない(もちろん私はベゾスは世界でもっとも優れたCEOの1人だと思っている。またAmazonの企業文化も尊敬している)。Amazonの優位性は事業の全てが外部に向けたサービス志向のアーキテクチャーを持っている点にある。Amazonは同社の事業のあらゆる側面をそれぞれ独立したプラットフォームとして公開し、市場での競争にさらしてきた。

「垂直統合」には落ち込みやすい罠がある。垂直統合(部品の内製化、供給メーカーの買収など)によって大幅にコストが削減できるというのがセールストークだが、実際にはそうはならない。当初実現された利益の増大は競争すべきライバルを失った「供給者」が凡庸化するにつれて帳消しとなってしまう。

自動車産業が典型的な例だ。自動車メーカーは部品メーカーを買収する垂直統合の時期の後で部品コストの急上昇を経験し、外注に戻るというサイクルを繰り返している。ライバルとの競争がない事業部は肥大化し、非効率化する。これを防止するために外部メーカーと競争させたりコスト構造について詳細な検討を加えるといった方法は社内官僚制を悪化させるだけで現実のコスト削減にはまったく結びつかないのが普通だ。

AmazonのSOA(サービス志向アーキテクチャー)の典型はやはりAWSだ(AmazonのエンジニアだったSteve Yeggeが2011年に発足当時のAWSについてa非常に面白い記事を書いている)。2000年代にAmazonの通販事業は驚異的なスピードで拡大を続けていたたが、当時はまだエンタープライズ・レベルのSaaSはメインストリームのビジネスとなっていなかった。そこでAmazonは独自のテクノロジー・インフラを構築する必要に迫られた。この社内インフラを顧客向けのサービス(AWS)として開放するという天才的なアイディアについてはすでに多数の記事が書かれている。この戦略は通年換算140億ドルという巨大ビジネスを生んだ。しかしこの金額自体はAmazonが自ら戦略の正しさを知ったという重要性に比べればいわばボーナスに過ぎない。Amazonはプラットフォーム企業になることは競争の喪失によるコストの増大やテクノロジーの停滞に対する効果的な防壁になると発見した。

Jeff Bezoz, CEO of Amazon.

(写真:Drew Angerer/Getty Images)

AWSのデビュー後、10年以上にわたってAmazonは社内向けに開発したツールを洗練させて外部向けのプロダクトとして事業化するという手法をきわめて意識的に繰り返している。最新の例はAWSのAmazon Connectだ。これはもともと自社の通販事業の連絡先管理のために開発されたツールだがAmazonはこれをクラウドベースのセルフサービスのプロダクトとして外部に公開した。この事業の売上も巨額に上っているが、本質はそこではない。本当の価値は、プラットフォームとして公開することにより、部内ツールが肥大化、非効率化することを防げるという点にある。

もう少し具体的にいえばこうだ。もしAmazon Connectがビジネスとして失敗したとしよう。 Amazon経営陣は数値化された結果(売上の減少など)によって自社の連絡先管理ツールのパフォーマンスがライバルに大きく劣っていと知ることができる。Amazonは事業の監査や競争入札といった資源を浪費し官僚制を肥大させるだけの手段を一切必要とせず事業のパフォーマンスに関する正確なフィードバックを得る方法を発見した。プラットフォーム化して外部に公開すれば、その事業が成功していれば利益を生むし、問題があれば直ちにその結果が出る。おおまかにいえば事業が生む利益は事業の質に比例する。数々の事業においてその質を判定する効果的な方法をAmazonは得た。

AWSは非常に目立ち、したがってわかりやすい例だが、この戦略(実行にはヘラクレスの功業的な努力が必要になる)はAmazonのあらゆる事業、部門において一貫して採用されている。Amazonでは膨大な数のサービスが外部から利用可能になっている。エコシステム全体のプラットフォーム化こそライバルがコピーすることがほぼ不可能なAmazonの優位性だ。

もっとも広く利用されている例はFBAプログラムだろう。Amazonに何か注文したときに「この商品は(社名)が販売し、Amazonが発送します」という文言を見たら、これがフルフィルメント by Amazonだ。

FBAプログラムを利用するサードパーティーの業者は商品をバルクでAmazonに送る(所有権はサードパーティーにある)。Amazonは注文に応じて商品を顧客に配送する。返品やサポートもAmazonが処理してくれる。しかも手数料は驚くほど安い。しかもFBAは Amazonサイトでの販売に限られない。AmazonのFBAマルチチャネルサービスはAmazonサイト外で受けた注文をAmazonが代行して販売してくれる。たとえばステンレスの携帯用魔法瓶、Hydro FlaskはShopifyに独自の通販ストアを持っている。Shopifyのストアで注文を受けるとHydro FlaskはFBA(外部APIを利用)でAmazonにその後の処理を任せることができる。

Hydro Flaskのメリットは明らかだ。同社の製品は中国で製造されており、Flexportのようなフォワーダーを通じてAmazonのフルフィルメント・センターに直接搬入される。Hydro Flaskは自社で在庫を保管、管理するという頭痛(とコスト)を避けることができる。Amazonにとっても種々の利益がある。a) 倉庫の収容能力の活用、b) 配送商品量の増大によるバーゲニングパワー、c)フルフィルメント・サービスの手数料(マーケットプレイスなど各種のサービスを含めた手数料売上の総額は2017第1四半期だけで64億ドル。これはAmazonの売上総額の25%になっている)、等々だ。

しかしこの場合でも長期的にみた真のメリットはAmazon自身の社内ツールの競争力の強化だ。膨大な人員を抱えるフルフィルメントはAmazonにとって最大のコストセンターだが、サービスを外部に公開することよってその能力は日々改善される。

FBAのようなマルチテナント、マルチャンネルのクラウドサービスを公開するのは、社内需要を満たすだけのサービスの構築とはまったくレベルが違う完成度を必要とする。社内のみのツールであれば、ハードコーディングされた素人っぽいやっつけ仕事でもいい。しかしそうしたシステムは改良していくことが不可能に近い。【略】

FBAのようなサービスでは〕処理上のエラーの総量は膨大なものになる。Amazon側で商品が失われたため無条件で何万ドルもの払い戻しを受けた業者をいくつも知っている。FBAを運営するために必要なテクノロジー上の能力に加えてこうしたコスト負担に無期限に耐えられる体力があるライバルは果たしてどのどのくらい存在するだろうか?

Amazonがむこう5年間のうちに小口配送サービス(UPS/FedEx/USPS)に参入することは間違いないと思われる。Amazonは最大のコストセンターを次々にプロフィットセンターに変身させてきた。最初はテクノロジー(AWS)で、次はフルフィルメント(FBA)、次はAmazonのオリジナルブランド商品という具合だ。Amazonはすでに40機の貨物機と何千台ものトレーラーを所有している。 10箇所以上の小口荷物仕分けセンターを開設して既存の配送業者への支払いの軽減に努めている。しかも小口配送サービスには、Amazon自身の膨大な社内需要が存在するだけでなく、アーリーアダプターの顧客となることが確実なサードパーティーの小売業者がFBAに多数参加している。

ここでUPS、FedExからRackspace に至るライバル各社に対してAmazonが持つ決定的な優位性は、同社が「ドッグフードを食べる」、つまり自社サービスの最大のユーザーであるという点だ。たとえばUPSは配送エラーについて通販事業者という緩衝帯を持っている。荷物の破損や行方不明、繁忙期の配送遅延などが起きると消費者はまず通販事業者を責める。業者は向き直ってUPSを責めるという順序になる。しかしAmazonの場合、緩衝帯は存在しない。パフォーマンスが劣っていた場合、責任を転嫁する相手はいない。Amazonの強みは単なる多角化ではなく、それぞれの事業が外部に公開されることでフィードバック・ループを完成させているところにある。このはずみ車が回り出すとライバルがこれに打ち勝つのはきわめて困難になる。【略】

〔Marketplace Web Service (MWS) APIや常時最低価格を維持するrepricersなどツール〕その他、いくらでも例を上げることができる。【略】「イノベーションのジレンマ」をAmazon以上に深く理解している企業は少ないに違いない。

そこで簡単にいえば、Amazonには誰も追いつけないというのが私の結論だ。AmazonがFBAを完成させるのに10年かかかった。仮にこれから5年でWalmartがその水準に達したとして、そのときAmazonはどこにいるだろう? この記事で私が紹介してきたのはAmazonのほんの上っ面に過ぎない。まだ知名度は高くないがSeller Fulfilled PrimeやDirect Fulfillmentなどは今後重要になるだろう。予見しうる将来、既存の大型小売業者がAmazonに太刀打ちするのは難しいだろう。しかしある種のバーティカル、たとえばペットフードのChewy.comのようなスタートアップには、すくなくとも短期的にはチャンスがあるかもしれない。

Amazonが打倒されるとすれば反トラスト法訴訟(しかし同社は小売業売上のわずかな部分しか占めていないので当分の間適用は難しだろう) または消費者が物理的な商品を購入する仕方に重大なパラダイムシフトが起きるような場合しか考えられない。没入的仮想現実がすべてを支配し人間は栄養を点滴で摂るようになるといったことにでもなれば話は別だ。しかしそうしたSF的事態が近い将来起きるとは考えられない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ランサム・ウェアWannaCryはまだ急速に拡大中、でも今では‘キルスイッチ’対策が有効だ

世界中に広まったランサム・ウェアWannaCryはまだ勢いが衰えていないが、サイバーセキュリティのプロフェッショナルたちによる素早いアクションが、その被害の一部を食い止めている。

その“キルスイッチ”(kill switch)は、先週末(米国時間-5/13)、偶然見つかった。それは、そのマルウェアの拡散を止めることはできないが、少なくともコードの起動を防ぐことはできるので、ファイルの暗号化や身代金の請求はなくなる。

Check Pointの研究者たちは、別のキルスイッチドメインを使っている新種のWannaCryを見つけた。pingをしてそれが登録されていないことが分かったら、ランサム・ウェアを起動する。詳しくは前の記事をご覧いただきたい。もちろん彼らはそれをただちに登録し、新しいミュータントのマルウェアが起動されることを防いだ。

これにより研究者たちは、そのランサム・ウェアが新たなコンピューターに感染するとつねにpingが来る、という便宜をもらったことになる。彼らのブログ記事には、新たな感染は1秒に1回起きている、と書かれている。

それらのコンピューターはデータを人質に取られないが、でも新しい変種はいくらでも簡単に作れる。それらは、まだ起動されてないキルスイッチを使って、前と同じ速さで感染していくだろう。キルスイッチをそもそも使っているならば。

唯一の本格的な解決方法は、その脆弱性のあるマシンにワクチンを接種することだ。Microsoftは、古くてもはやサポートしていないバージョンのWindowsのためにパッチを発行するという、まれな行動をとった。でもそんなマシン〔XP以前〕はまだ、世界中に大量に野放しになっている。Microsoftとしては当然、それをすべきだったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

良い頃合いに声がけ―、ネット接客のAI化でSprocketが新機能

声がけはアートだ。雑貨店やアパレルショップで店員が声がけしてくるとき、早すぎると客にうとまれる。かといって顧客が相談したいタイミングで視線が合わないようなところにボケっと立っているようでは失格。正しいタイミングで声がけできる売り子の売上成績は良いだろう。

これはウェブサイトも同様だ。ポップアップや画面の下からニュルッと出てくるチャットウィジェットで来訪者に「声がけ」するタイミングには、早すぎることも、遅すぎるということもある。これを機械学習で最適化しようというのがSprocketが本日リリースした「Autosegment」だ。すでにピザハットなど従来からのSprocketの顧客が導入を開始しているという。

購入を迷っている人に返品のFAQをすっと見せる

ウェブ接客のSaaSを提供するSprocketについては2015年5月にTechCrunch Japanでお伝えした。法人向けのモバイルEC制作の受託事業を行っていた「ゆめみ」から分離独立して深田浩嗣氏が創業したスタートアップ企業だ。Sprocketは2015年に1億2000万円の資金調達を行い、2017年1月にもシリーズAとして1億6000万円の資金調達をD4Vアコード・ベンチャーズなどから行っている。深田氏はゆめみの共同創業者だったが、特定事業を切り出す形で再び別企業としてスタートアップを始めた形だ。

Sprocket創業者で代表取締役社長の深田浩嗣氏

Sprocketが提供しているウェブ接客(ここに事例集がある)は、なかなか面白い。いくつか例を出そう。

ワコールの女性向けの下着販売であれば、通常のアイテム一覧リストをスクロールダウンしたタイミングで、画面下部に女子キャラを表示。顧客に対して「谷間をキレイに見せるブラ」「大きい胸を小さく見せるブラ」など4つの選択肢を示して「何をお探しですか?」とやるわけだ。画面でいうと以下のような感じ。

特に効果があるのは購入直前で逡巡しているような人に出す情報だという。「返品に関するFAQは通常サイトのどこかに眠っています。これを購入ボタンを押そうか迷っている人に提示することで不安が解消されてコンバージョンは上がります」(深田氏)

ログイン失敗時には、パスワードリマインダーに誘導するメッセージを出したり、ゲスト購入も可能であるむねメッセージを出したりする。

ピザの購入直前の画面ではシズル感のある動画で、チーズがニューッと伸びるのを見せるとコンバージョンが上がるそうだ。さらにトッピングのおすすめもランキングで見せる。これは、電話での受付で顧客の注文を聞いた後にオペレーターがやる追加提案のようなものだ。

野菜の定額配送サービスであれば、初めてサイトを訪れる人に対して野菜の安全性などを説明し、続いて料金のシミュレーションができるコンテンツへ誘導する。

 

「SprocketはUI改善というよりも、導線を動的に作ってるということなんです。すっと情報を提示して来訪から購入までの体験を一直線にする」(深田氏)

すでにこうしたウェブ接客は成果をあげている。深田氏によれば、顧客1社あたりのSprocketへの支払い額は月額20万円前後で、それによって支払額の10倍程度の収益増に繋がるというのが一番多い事例だそう。中には投資額に対して50倍程度の収益増となっているケースもあるという。リターンが大きいのは生命保険やクレジットカードの申し込みなどの「説明系商材」。価格の高い化粧品などもSprocketの導入効果が大きいという。

Sprocketでは顧客に導入提案をするときに、達成するROIを保証しているという。導入後に調整が必要なケースもあるが、2、3カ月程度で提示したリターンが出るケースが9割程度という。「ツールとして売れることは分かったので、今の課題は組織としてどうスケールするか」(深田氏)

今回リリースした機械学習のAutosegmentは、ユーザーの行動を観察して、Sprocketが持っている接客パターンのどれを誰に当てるべきかを考えて実行する部分を機械化するという。

・購入を悩んでいそうなら不安を解消するような話をする
・自分を納得させるプッシュがほしそうならプラスアルファの説得材料を提示する
・まだ他の商品も見たそうなら関連する他の商品を紹介する

といったことを判断して接客の仕方をリアルタイムに変える。まだどの程度実際の収益増に繋がるかという具体的な数字は出ていないものの、複数実施しているトライアルからすると20%程度の収益向上は見込めるのではないかという。

AIによる接客の結果は再び機械学習の教師データとしてSprocketのシステムにフィードバックすることができる。「自分の接客の結果から学習し、自ら接客の仕方をブラッシュアップするAIです。やればやるほど接客の精度が上がる」(深田氏)。今後は流入経路や天気・ニュースなど外部の情報も接客判断に使えるように拡張することも考えているとか。

現在Sprocketの顧客は約100社。年商は2〜3億円のレンジで成長している。海外に目を向ければMarketoやEloquaなどマーケティングオートメーション領域では競合大手も少なくないし、Walkmeという同コンセプトのサービスもある。ただ、SaaSといってもSI的要因も強い商習慣の違いなどから日本のEC市場では国産サービスが伸びそうだ。国内競合サービスには、プレイドの「KARTE」やSocketの「Flipdesk」、NTTドコモの「ecコンシェル」などがあるほか、クーポン配布ということだとEmotion Intelligenceの「ZenClerk」もある。

Intel、最大12コアのCore i9 CPUをまもなく発表か

もうすぐComputexカンファレンスが開催される。本誌はPCコンポーネントの最新情報を本格的に追っているわけではないが、Intelの計画に関するこのリーク情報は興味深い。IntelはデスクトップCPUの最新ラインアップとして、ハイエンド12コアのCore i9 CPUをまもなく発表するらしい。

Intelの計画がリークされたのはAnandTechの掲示板だ。どうやら社員か提携会社の誰かが、ドイツ語のPowerPointプレゼンを写真に撮ったようで、次期ライアップの一覧表が見える。

詳しくはAnandTechを見てもらうとして、最上位機種は怪物になりそうだ。12コア、消費電力140 Wはこの分野で最強のCPUと言ってよいだろう。これを使えるのはデスクトップコンピューターだけで、もし来るべきMac Proに採用されたらすばらしい。

唯一の問題は、Intelの上位CPUが概して非常に高価なことだ。このCore i9 CPUが1000ドルを超えても私は驚かない。

ほかのCore i9シリーズは、6、8、または10コアになるようだ。シングルスレッドのタスクを走らせることが多い人なら、Turbo Clock 3.0という新しいクロック状態を使えばシングルスレッドタスクを高速クロックで動かすことができる。

新しいCPUシリーズはまもなく発表されるはずで、出荷は6月でハイエンドのi9だけは8月の予定。多くの人々はノートパソコンや下位のCPUを使うだろうが、IntelがCPUの領域でイノベーションを続けているのを見ることはうれしいものだ。いずれは誰もがその恩恵にあずかることだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善

こんにちは、Webコンサルティング事業部の藤沢です。今回は内部リンクの話をしようと思います。

私がクライアントサイトのSEO課題解決のため最も多く提案しているのが内部リンク設計の見直しかもしれません。キーワード戦略にのっとって正しく内部リンク設計をしていけば、ページ本来の評価を得ることができ、そのSEO効果は絶大です。逆にいかに作り込んだWebページでも内部リンク設計をミスってしまっていると検索エンジンから低い評価を受けてしまうことが往々にしてあります。

そこで今回は成功事例を交えながら、改めてSEOにおける内部リンク設計の重要性やポイントについて触れていこうと思います。

事例紹介

まずは実際に私がSEO施策を担当しているECサイトで、内部リンク設計を見直すことで自然検索流入数を大幅に増やすことに成功したクライアント事例を紹介します。

サイト概要

Web上でアンティーク家具を販売しているECサイト。6000点にも及ぶ商品を扱っているほか、家具のレイアウトやおすすめの使用方法を紹介する写真集コンテンツや、家具に関するお役立ち情報を発信するオウンドメディアも展開しています。

クライアントからの要望

サイト内のコンテンツ追加は頑張っているものの、思うようにランキング改善および検索流入の増加に繋がっていかないからSEOで協力してほしい。

 

施策開始前のサイト状況

以下はSEO施策を開始する前のサイト状況・自然検索トラフィック状況・ランキング状況です。

 

施策開始前のサイト状況

サイト課題

1.静的なリンクが設けられていないため、検索エンジンがクロールしずらくなっているページ

⇒小カテゴリページ

 

2.十分に内部リンクを集められていないページ

⇒大カテゴリページ、小カテゴリページ、家具タイプページ、利用シーンページ

 

3.関連ページへの発リンクが出来ていないページ

⇒商品詳細ページ、写真集詳細ページ、コラム詳細ページ

 

 

2015年12月1日~2015年12月31日の自然検索トラフィック

カテゴリページへの自然検索流入が2.23%と非常に少ない状況でした。

 

2015年12月のランキング状況

全1,250キーワードで順位を計測した結果、1位のキーワード数は13個という状況でした。

 

どのようなプランニングをしたか?

キーワード調査の結果、カテゴリページに対応するキーワードに検索ニーズが存在することが分かりましたが、カテゴリページの評価が低かったことでこれらのキーワード帯からの検索流入を集めきれていませんでした。 これがセッションおよび収益を上げきれていないSEO課題の一つと捉え、サイト内部を調査してみたところ、

・カテゴリページへの導線がクロールしにくくなっている

・関連するページからカテゴリページに対して内部リンクを集めきれていない

このようなサイト内部課題が見つかったため、内部リンクの最適化およびリンク設計施策を進めることで、カテゴリページのランキングを改善させ、自然検索トラフィック及び収益の改善を狙っていくことにしました。

 

実施してきた内部リンク設計施策

おもに以下のようにページ単位で内部リンク設計施策を継続的に進めていきました。

 

 

ページ別施策

施策内容

1.静的なリンクが設けてクロールを促進

⇒大カテゴリページ、小カテゴリページ

 

2.関連ページへの発リンクを設置

⇒商品詳細ページ、写真集詳細ページ、コラム詳細ページ

 

また、このほかにも「内部リンク先のURLの調整」「各ページのtitlemeta descriptionh1のキーワード調整」「商品詳細ページのコンテンツ追加」についても同時に着手していきました。

施策を進めてきた結果

内部リンク設計を軸にSEO施策を進めてきた結果、1年間で以下の成果を出すことが出来ました。

 

施策前⇒施策後の自然検索トラフィック推移

全体の自然検索経由でのセッション数は193%改善、カテゴリページへの自然検索経由でのセッション数は1,157改善しました。

 

2015年12月1日~2016年12月31日のカテゴリページへの自然検索トラフィック推移

カテゴリページへの自然検索トラフィックの推移です。施策開始後少しずつセッションが改善していき、2016年8月から9月にかけて大きくセッションを伸ばすことが出来ました。

 

2015年12月1日~2016年12月31日のランキング状況推移

ランキング状況も、1位のキーワード数が93個2位-5位が161個に改善しました。

 

 SEOに取り組むうえで内部リンク設計は非常に重要であることはお分かり頂けたのではないかと思います。

次からはSEOに取り組むうえでの内部リンク設計で抑えるべきポイントについて触れていきます。

内部リンク設計のポイント

内部リンク設計のポイントは「SEO上重要なページに、関連するページから、正しい方法でリンクを集める」ことです。検索エンジンはリンクが多く集まっているページを重要ぺージとして認識しますが、それ以外にもページ同士の関連性やリンク形式も確認し、総合的な評価をしています。

そこで、重要なページに正しく内部リンクを集めるために抑えるべきポイントを以下に書いていきます。

内部リンクの設置場所

まずは内部リンクの設置場所についてです。リンクを設置する場所ごとに考えなければいけないことも変わってきます。それぞれのリンク設置場所では、どのような点を考慮するべきかを見ていきましょう。

グローバルナビゲーション

サイトの全てのページに共通して設置された案内リンクを指します。どのページに訪れたユーザーであってもサイト全体のコンテンツ構成が分かるような構成にするのが望ましいです。

グローバルナビゲーションとは

フッター

グローバルナビゲーション同様、サイトの全てのページ下部に共通して設置された案内リンクを指します。主要コンテンツへの遷移や自社で運営する他サイトへ誘導することを目的としてリンクを設置するのが一般的です。

サイドメニュー

サイト構造やシステムの制約にもよりますが、可能であればページ同士の関連性を示せるようにページ毎に内容をカスタマイズするのが望ましいです。サイドメニューがすべて共通のテンプレートになってしまっている状態ではページ同士の関連性を検索エンジンにうまく伝えられない可能性があります。

 

サイドメニューリンク例:「テーブル」ページ

 

パンくずリスト

パンくずリストはユーザーに対して、サイト内のどの位置に滞在しているのかを視覚的に示してあげるとともに、検索エンジンにサイト構造を示す重要な役割を果たしています。(パンくずリストが複数ある場合には最上段に設置されているものからサイト構造を把握します)また、パンくずリストの構造をきちんと設計することで、下層ページから多くの関連リンクを重要ページに集められることに繋げられることもあるため、SEO戦略に基づく設計が必須です。

 

良いパンくず例、悪いパンくず例

パンくずリストとは

メインコンテンツ内

メインコンテンツ内は検索エンジンがページ内容を把握するうえで最も重要視している場所です。特に商品詳細ページや記事詳細ページといった末端ページからは、関連する一覧ページに発リンクできる絶好のチャンスでもありますので、SEO上重要なページに関連リンクをきちんと返していきましょう。

メインコンテンツ内からのリンク設置例

方法は様々ですが、上の図のように商品概要を表すメインコンテンツ内に関連ページへのリンクを設置する方法などがあります。

 

リンク循環イメージ

パンくずリストやメインコンテンツ内を用いて関連リンクを包括的に設置していきます。

内部リンクの形式

次に内部リンクの形式についてです。Googleの「検索エンジン最適化スターターガイド」にも記載のとおり、出来るだけアンカーテキストを用いてユーザーと検索エンジンにリンク先のページがどんな内容なのかを示すように設定していきましょう。

また、画像でリンクする場合にはalt属性に代替テキストを記述するようにしましょう。

検索エンジンにクロールされにくい場合

重要なコンテンツがクロールされにくい場合には、静的なリンク(<a>タグを用いたリンク)が設置されているかどうかを確認してみましょう。

詳しくは「SEOで本当によく見る”もったいない”内部リンク設計」をご覧ください。

内部リンク設計に適しているタイミングとは

SEOを考慮した内部リンクを設計するのに適しているタイミングはWebサイトのリニューアル時です。

サイト運用フェーズでは、

・システムの制約を受けて十分に変更することができない

・サイト構造を見直さなければ十分な効果が期待できない

ことが多くあるため、やはりサイトリニューアル時にWeb制作会社やシステム会社と十分に連携し、ユーザビリティ、SEOを考慮した内部リンク設計を実装していくことが理想的といえます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?一つ一つの項目がどこかで聞いたことのあるような話で、真新しい話は一切なかったかもしれませんが、十分に内部リンク設計が出来ているサイトが意外に少なく勿体ないなと感じたことと、内部リンク設計を見直すことで大きな成果に結びつく可能性があるという点をお伝えしたかったため、事例を交えて改めてご紹介させていただきました。

実際には内部リンクを集めるべきページの決定など、その会社のビジネスモデルや展開しているサービスによって異なってくるため、リンク設計よりもSEO戦略を考えるほうが難しかったり、サイト規模が大きくなればなるほど重要なページ数が増えていくためリンク設計が複雑化するなど、一筋縄じゃいかない場面もありますが、基本概念として「キーワード戦略にのっとって重要なページに関連リンクを集める」という事は変わりません。

もし内部リンク設計に課題があると感じるようであればこの記事を参考に改善にトライしてみてください。

【家具ECサイトのSEO事例】内部リンク設計でカテゴリページへの検索流入が1,157%改善ナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。