ドイツでトラックに代わるドローンによる社内輸送の試行を実施

ドローンのスタートアップであるWingcopterは、提携先である製薬会社のMerck(メルク)およびフランクフルト応用科学大学と共同で、新しいドローン輸送サービスの運用テストを完了した。物理的に離れた社内施設間で小型貨物を運ぶ際に、トラックやその他の路上輸送に代えてドローンを使うことの利点を示すことが目的だ。今回の初フライトでは、ドイツのゲルンスハイムにあるメルクの研究施設から約25km離れたダルムシュタットの本社まで顔料サンプルを運んだ。

この試行にはいくつもの重要な意味がある。現地は比較的密集した都市部にあり、送電線、鉄道、道路などの上を飛行しなければならない。またこの実験では、継続的な視界を確保せずに実施されたが、有視界飛行は現在ほとんどの商用ドローン輸送テストで必須だ。提携各社はこれが世界中で行われている同様のパイロットプロジェクトの参考事例になることを望んでいる。

今後、同プロジェクトはさらに輸送テストを重ね、実験結果をまとめて3月に報告する予定だ。トラックに代えてドローンを使用することは、時間(1日が1時間になることもある)、排出ガス、さらには重くて燃料を食う大型トラックを空で戻す無駄を省くこともできるなどのメリットがある。

WingcopterのCEOであるTom Plümmer(トム・プルマー)氏はプレスリリースで、さまざまな利用場面でのドローン配送の利点を「繰り返し実演」してきたことを強調し、救急救命医療品を遠隔地に届けたことにも言及した。米国では、Alphabet傘下のWingがFedExとの提携で実施した試験、UPSがMatternetと共同配送した例などがあるが、今回の商用試験は一般消費者の賛同を必要としない点で、短期的にはチャンスが大きいかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

窮地のコンビニを再構築するFoxtrotが19億円を調達

オンデマンドの配達サービスが驚異的な成長と遂げる中で、コンビニエンスストアは比較的手つかずで取り残されていた。つい最近までは。

2013年に設立されたFoxtrot(フォックストロット)は、店での購入かネット注文で配達させるかを客が選べるようにして、窮地のコンビニを再構築しようと考えている。

同社は米国時間2月5日、1700万ドル(約18億7000万円)の成長資金を調達したと発表した。ImaginaryとWittington Venturesが共同で率いるこのラウンドには、前回の支援者であるFifth Wall、Lerer Hippeau、RevolutionのRise of the Rest Seed Fund、M3 Ventures、シカゴ大学、Collaborative VC、Wasson Enterprise、そして新規にBluestein AssociatesとBarshop Venturesが加わっている。

Foxtrotは、クラフトビールやナチュラルワイン、おなじみのブランドとしてOreo(オレオ)のクッキーやBounty(バウンティー)のペーパータオルなどの日用品、さらにFoxtrotブランドのサンドウィッチ、惣菜、コーヒーなど幅広い製品を取り扱う。地元ブランド、新興ブランド、伝統ブランドがひとつ屋根の下に並ぶという驚きの品ぞろえだ。全体としてFoxtrotは、100以上の業者と協力して800種類以上の製品を販売する。

創設者でCEOのMike LaVitola(マイク・ラビトーラ)氏によれば、コーヒー、サンドウィッチ、グミキャンディーなどのFoxtrotの自社製品、HimsやMatchaBarなどの新興ブランドの製品、Bud Light(バドライト)とオレオなど有名ブランドの主要産物の比率は均等になるという。

だが、店舗はそれほど重要でもない。Foxtrotはアプリを使った全製品のオンデマンドの配達サービスも行う。しかも、前月に100ドル以上Foxtrotで購入(店舗でもネットでも)していれば、1カ月間の送料が無料になるロイヤリティープログラムも提供している。

  1. Fox-Trap-Breakfast-Sammy

  2. Coffee-2

  3. Grain-Bowl-Tablescape

  4. Foxtrot-Interior-6

  5. Foxtrot-Exterior-1

Foxtrotはダラスとシカゴに店舗を構えている。今後、ワシントンD.C.をはじめとして足場を広げていく計画だ。同社は、前年比の収益は2倍、電子商取引の顧客ベースは前年比で150%を記録しているという。店舗とネットの収益は半々だ。

雇用面では、来店した客に商品を選び包んで渡す店舗の従業員は正規職員となる。配達員は契約だが、Foxtrotのオンデマンド配達サービスに関する独自のベストプラクティスに基づいて同社に直接雇用される。

ラビトーラ氏は、小売りからオンラインに至るまでの一貫したエクスペリエンスの維持を、ひとつの大きな挑戦と考えている。「それらは根本的に異なるものです」と同氏。「この2つでひとつの成功を収めることは、片方だけ成功させるのとはまったく違います。今後、最初の市場と同じように成功するためには、ネットでも店舗でも、お客様が来店したときに、同じブランドがそろった同じエコシステムにいると感じてもらえるようにしなければならないのです」。

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(翻訳:金井哲夫)

「安くてもこれだと使わない」現場を見つめ改良した「TANOMU」が発注ユーザー1万店舗を突破

いまだに主な通信手段としてFAXと電話が生き残り、レガシーな業界と言われてきた飲食業界。だが、デジタル化の波は着実に裾野へ向かって広がりつつあるようだ。

例えば、先日、FAX受注の自動化機能を搭載した「クロスオーダー」は、飲食店と卸売業者間の受発注をLINE経由で行えるサービスで、大手チェーンではなく、個店や小規模チェーンをターゲットとしている。同じく、飲食業界向けの受発注システム「TANOMU(タノム)」も、卸業者と個人経営の飲食店とのやり取りを重視したサービスを提供している。

そのTANOMUが、1月30日に発注ユーザー数1万店舗突破を発表した。2018年11月のトライアル版提供開始から約1年3カ月のことだ。運営のタノムは、実は2018年3月まではシェフ監修のミールキット「Chefy」を運営していたスタートアップだ。

タノム代表取締役の川野秀哉氏に、事業ピボットのわけ、飲食業界の課題とタノムの目指すところについて、話を聞いた。

タノム代表取締役 川野秀哉氏

ミールキット「Chefy」クローズを決意した理由

2017年6月にリリースされたChefyは、プロのシェフが選んだ食材とレシピが届く、ミールキットサービスだった。リリースのきっかけは、川野氏自身が「週末だけでも家族にごちそうを食べさせてあげたい」と思ったこと。「子どもができたばかりで妻が大変そうにしている中で、せめて週末の料理ぐらいは、と取り組んだが、食材やレシピを選ぶのはこれほど難しいものかと思った。事業を探すというより、自分が料理がしやすいサービスがほしいと考えた」(川野氏)

ちょうど欧米では、ミールキットを扱うBlue ApronHelloFreshといったスタートアップが順調に資金調達を行い、上場を目前に事業を拡大していたころ。川野氏は「日本でもミールキット市場は広がるのではないか」と予測して、この分野に進出した。

サービス開始当初は環境も良く、資金調達もスムーズだったChefy。しかし“プチごちそう”のミールキットデリバリー領域にはその後、オイシックスやセブン・ミールサービスといった大手も進出し、「価格や物流面で競争することは難しく、スタートアップができることはなくなっていった」(川野氏)という。

外部環境の変化とともに、サービスの内容そのものにも川野氏は疑問を感じ始めた。「人を喜ばせたいと始めたサービスなのに、星付きのレストランのシェフによるプロのレシピは難しく、毎週これをやっていたら苦痛でしかないのではないか、と自分でも感じるようになった。また本来はエンジニアであるCTO(共同創業者の福岡一樹氏)も、オリーブオイルだとか食材だとかを毎週パッキングするのに必死になっている。俯瞰で見た時に『本当に我々が役に立てて、社会に求められていることをやっているんだろうか』と考えるようになっていた」(川野氏)

テクノロジーという強みが生かせない一方で、物流や食材の目利きには特別秀でているわけでもない自分たちは、ユーザーにとっても必要ないサービスをやっているのではないか。そう感じて川野氏は、投資家や創業メンバーとも話し合った結果、Chefy終了を決断した。サービスクローズは2018年3月のことだった。

現場に寄り添い改良を続けた「TANOMU」

Chefyをクローズした川野氏は「『あったらいいな』でChefyを始めたことがいけなかった。『ないと困る』ことをやらなくてはいけない」と考え、事業のピボットを数カ月にわたって試行錯誤していた。三井物産に在籍していた時代も、その後ワイズテーブルコーポレーションで海外のレストラン立ち上げを担当した際も、「食とテクノロジー」がテーマとしてあった川野氏。その領域で身近な人に解消したい課題を聞こうと、Chefyで取引先だった食材卸業者10〜20社ほどにヒアリングを行ったそうだ。

しかし「IT屋としてヒアリングをすると、本当に困っていることは話してくれない。聞いても本音が出てこなくて、『音声入力で注文できたら』といった『あったらいいな』系の要望ばかりだった」(川野氏)という。

そこで、川野氏は卸業者の働く現場に朝から晩まで張り付いてみることにした。最初に現場に入ったのは青果卸で、初日の集合時間は午前2時。雨漏りする築地市場で、電話・FAXの受注を処理したり、仕入れ、ピッキングなどさまざまな業務を行った。

「慌ただしく、いろんな仕事をしなければならない現場では、新しいツールを入れること自体が(学習の手間が発生して)コストになると分かった。日々の受注だけでなく、配送や売上の回収、請求書起こしなど、ほかにもやらなければならないことはたくさんある。何から手を付ければよいか、考えた」(川野氏)

八百屋だけでなく魚屋やイタリアン、中華食材など、何軒かの卸業者に入らせてもらう中で、川野氏は「『受注の効率化』と『売上を上げたい』という課題は、どこでも共通だと分かった」という。とはいえ、どの業者も効率化のためにFAXから受注方法を変えるという発想はないし、新たなツールへの学習アレルギーも強い。また既存のウェブ受発注システムが卸業者に浸透している理由を聞くと「取引先の大手チェーン店から導入してくれと言われて、仕方なく入れた」というところが多く、「ITシステムは外圧的に入れるもの」という意識も根強かったそうだ。

川野氏は、配送や納品書を書く作業、請求書のフォーマットや作り方など、実際に現場で見聞きすることで卸売業の懐に入り込むよう心がけた。そのうち、ある1社から「じゃあ、今できるところだけでもやってみてよ」と言われるようになる。最初はしかし、受発注の仕組みではなく、紙のチラシや電話・店頭など口頭での営業で行ってきた販促をデジタルチラシに置き換え、そのチラシから発注ができるシステムを用意してみたそうだ。

できあがったシステムは試してもらえたものの、3日で使われなくなった。チラシの内容は、常に訴求したい新しい商品に入れ替えなければ見られなくなってしまうが、入力の手間がかかる。また顧客に習慣的に見られるような工夫も必要だった。

「どんなに安くてもこれだと使わない」と卸業者に言われ続けたシステム。だが、どこの業者でも「売りたいおすすめ品は載せたい」「毎日発注されるものは掲載したい」ということが分かっていく。そこで、受発注のコストを下げるだけでなく、おすすめ品を案内できて売上の向上にもつながるよう、両方をセットで実現するシステムとして、TANOMUを改良していったところ、使ってくれる業者が増えていったと川野氏は話す。

「問屋さんが飲食店に広めてくれた」

TANOMUでは、卸業者は店舗への商品案内、注文受け付け、受注数の集計といった業務を、スマートフォンやPC、タブレットで行うことができる。飲食店の側も隙間時間にスマホで業者おすすめの商品をチェックでき、簡単に食材の発注が可能だ。

TANOMU発注画面イメージ

TANOMUは発注側の飲食店は無料、受注側の卸売業者は初期費用10万円、月額3万円から(商品数・取引数により変動)で利用できる。川野氏は「受注サイドの問屋さんの方を徹底的に向くようにしている」という。

川野氏は「IT的な効率化だけでは現場は受け入れられない」といい、「我々は、競合他社というよりは、今ある商習慣と戦っていて、学習コストを超えて価値を生むものを作ろうとしている」と述べている。「競合が見せ方をまねてくることもあるが、TANOMUは卸業者が必要なものだけを搭載し、機能を入れすぎずにシンプルに使えるようにしている。問屋さんの話を聞いて、本当に必要な機能だけを追加・開放していっている」(川野氏)

こうした姿勢がユーザー企業に評価されて、TANOMUはサービス開始から1年3カ月で飲食店側の利用が1万店を超えるところまできた。「問屋さんが取引先の飲食店に広めてくれている」(川野氏)という。

「問屋は紙をなくしたいだけでなく、デジタル化した上で、基幹システムと連携するなど、受注後のフローも含めて効率化したいと考えている。ある程度以上の規模の問屋は、既にRPAもFAX-OCRも取り組んでいるが、取引相手の飲食店がフォーマットに合った形で発注してくれないと始まらないので悩んでいる。真に商習慣を変えなければ、本当の効率化からはズレてしまう。そこを一緒に変えていきたい」(川野氏)

現場でもスマホで操作が完結する

卸売業者の方を向くようにしている、と川野氏は言うものの、実は飲食店側でも、デジタル化を求めている傾向があるとのこと。「飲食店の人も、個人的なやり取りや経理作業ではスマホやPCを使い始めている。食材の発注で使っていないのは今までがFAXと電話の世界だったから、というだけのこと。問屋も『飲食店は変えてくれないだろう』と思い込んでいる」(川野氏)

固定電話やフィーチャーフォンしか使えない、というような店ならともかく、若い店主や海外で修行してきたような飲食店経営者なら、少なくともスマホ、LINEは違和感のないツールだ、と川野氏。「導入してみると、思った以上に早く使いこなしてもらえる」という。

「店の方でも、閉店後に発注書をFAXするところが多く、みんなが同じような時間で送信することによる『FAX渋滞』に悩んでいる。朝来てみたらエラーで送信できていなかった、となると結局もう一度送信するとか、電話で問い合わせるといった面倒なことになる。『終電で帰るときにスマホで発注できたら、その方が助かる』と思っている人は多い」(川野氏)

「飲食は古い業界ではあるが、変えたいという現場のニーズは感じる」と川野氏。今後について「大手の卸売業者にもTANOMUの導入を広げていきたい」と語る。

「はじめは既存サービスのインフォマートなどが入らないような、年商5億円までの小さな問屋の需要を想定していた。仮説が当たって、小規模の問屋で導入が広がり、それが1万店舗ユーザーの利用につながっている。ただ、問い合わせを聞いていると、FAX受注から数の確認、ピッキング、配送、提案といった一連の業務で大変に感じる課題は、規模にかかわらず共通している。リードタイムの管理やユーザー権限設定といったエンタープライズに特有の機能を整備するなどして、より大規模の業者にも利用を広げたい」(川野氏)

そのほか、ニーズとしては、飲食店と卸売業者間だけでなく、店舗間、支社間の社内受発注に利用したいという声や、移動販売やデパート出店などが多く、FAXが置けない店で使いたいという声もあるそうだ。

「軽減税率の導入や働き方改革の推進、オリンピック・パラリンピックに向けた商流などの背景もあって、卸売業の現場の人は疲弊している。単純作業が多いが、業務時間帯が独特なため、人が雇いにくく、やるべきことは増えている。この状況に対して『新しいことを覚えるのは無理』というのを何とか解決して、人の疲弊を解消したい。また人の効率化だけでなく、社会問題化している食材廃棄の問題解決にもつなげていきたい」(川野氏)

また「食以外の美容やアパレルなどの分野にも進出したい」と川野氏。「商売のあるところでは必ず役に立てることがある」として、飲食業界でのバーティカル展開が一段落した暁には、いずれホリゾンタルにもサービスを展開していきたいということだった。

メルカリの2019年10〜12月期決算は赤字拡大、国内堅調、米国は顧客獲得フェーズ、メルペイはd連携と地域経済活性化に注力へ

メルカリは2月6日、2020年6月を事業年度の決算期日とする第2四半期(2019年10〜12月)の業績を発表した。7月〜12月の半年間の売上高は前年同期比38.7%増の329億9300万円、営業損失は380%悪化の139億600万円、経常損失は371%悪化の138億9500万円。(親会社株主に帰属する)四半期の純損失は315%悪化の141億300万円となる。

10〜12月の第2四半期だけを見るとCARTUNE経由を含む国内と米国の連結GMV(総流通額)は前年同期比21%増の1683億円、これらのメルペイを含んだ売上高は前年同期比39%増の84億円、営業損失は前年の57億円から悪化の68億円。メルカリの国内事業のGMVは前年同期比で20%伸長し、営業利益率は32%と前四半期から続いて堅調だ。メルペイは利用者が500万人超、加盟店数は170万カ所超。米国のメルカリ事業はGMVが前年同期比46%増、MAU(月間アクティブユーザー)は290万人超となった。メルペイと米国のメルカリ事業は引き続き赤字だ。

詳細は順次追記する。

大量のトランザクションをブロックチェーンで一元管理するClearが約14億円を調達

Clearは野心的なアーリーステージのスタートアップだ。同社は、通信企業間の決済など大量のトランザクションを処理するためのブロックチェーンを構築しようとしている。米国時間2月5日、シリーズAで1300万ドル(約14億円)を調達した。

このラウンドはEight Roadsがリードし、Telefónica Innovation VenturesとDeutsche TelekomのTelekom Innovation Pool、HKT、そしてSingtel Innov8が参加した。

今回のラウンドに参加した投資家が通信企業であることは偶然ではない。Clearのブロックチェーンによるトランザクションネットワークの初期のユースケースは、世界中の通信企業間の決済の移転だ。今それは、手作業のエラーになりがちなやり方で行われている。

Clearの共同創業者であるGal Hochberg(ガル・ホッホバーグ)氏によると、同社のミッションはこれまでのビジネスの各種契約をデジタルに置き換えること。これは、デジタル台帳の用語ではスマートコントラクトと呼ばれている。

同氏は「Clearが実現するのは、ビジネスパートナと信頼できる状態を作ることだ。なぜなら彼ら全員が、料金もユーザーの利用状況も同じもの、同じ情報を見るからだ。Clearを導入すれば、彼らはどんな問題でもリアルタイムで見つけられる。商用の情報でもサービスのデリバリーでも、それらの問題をClearのプラットホームの中で実際に解決できる」と語る。

複数の国境にまたがる大量のトランザクションをブロックチェーンで処理すると、そのスマートコントラクトは規約の自動的な執行者となり、月末まで待たされてエラーが見つかり解決プロセスを開始するといった非効率さがなくなる。問題の発見と解決がリアルタイムで行われるからだ。決済までの時間が短縮され、対立の解決もスピードアップする。

同氏は「ブロックチェーンを使えば、そういう対話的な操作を監査可能で、暗号化により安全、そして当事者たちが同期して全員同じ情報を見ている状態で進められる」と説明する。

繰り返すと、同社は世界中の通信企業の膨大な量のトランザクションを支えている。その国境横断性は良いテストケースだ。しかしホッホバーグ氏によると、それはスタート地点にすぎないという。まだ完全に完成した姿ではないが、何億件もの課金を伴うイベントを処理できることは実証された。

今回の資金により同社は、今年の前半にはキャリアクラスのプロダクションを完成させたい。また、これだけ資金があれば、通信以外の分野にも進出できるだろう。

関連記事:Kadena fulfills hybrid blockchain vision with launch of public chain(パブリックチェーンでハイブリッドブロックチェーンを目指すKadena。未訳)

画像クレジット: Clear

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

KKRがシスコの幹部を招聘しテクノロジー分野の投資活動を強化へ

数十億ドル(数千億円)規模のマルチストラテジー投資会社であるKKRは、Rob Salvagno(ロブ・サルバニョ)氏を米国のテクノロジーグロースエクイティ部門の共同責任者に任命し、テクノロジー分野の投資活動を強化する。同社がテクノロジー分野に真剣に取り組み、引き続き新しい買収と投資の機会を探しているサインだ。

ネットワーク大手であるCisco(シスコ)の事業開発副社長兼Cisco Investmentsのヘッドだったサルバニョ氏は、CiscoのすべてのM&Aとベンチャーキャピタル投資の責任者だった。同氏は20年以上のキャリアの中で、アーリーステージを対象とした数億ドル(数百億円)規模のCiscoの投資ファンド、Decibelの設立と立ち上げに関わった。

「我々のビジネスは、5年前に5人の小さなチームでテクノロジーグロースエクイティストラテジーを始め、以来大きく進化している。我々のビジネスの成長と世界中にある数々の魅力的な投資機会により、チームを拡大するだけでなく、テクノロジー分野の経験、ネットワーク、地理的範囲も拡大することができた」とKKRのパートナーでテクノロジーグロースエクイティの責任者であるDave Welsh(デイブ・ウェルシュ)氏は声明で述べた。「我々のチームにサルバニョ氏のようなテック業界のベテランが加わることで、我々は将来に向けて基盤を固め、多くの投資機会を捉えるために良いポジションを確保できる」。

KKRは2014年以降、27億ドル(約3000億円)をテック企業に投資した。19人の投資専門家を擁し、レイターステージのテック企業への投資プレーヤーとしての地位を確立した。今月初め、同社は北米、欧州、イスラエルへのグローステクノロジー投資に特化した22億ドル(約2400億円)のファンドの資金調達を完了した。

「サルバニョ氏が持つ、セキュリティ、インフラストラクチャソフトウェア、 AppDev(アプリ開発)やDevOps(ソフトウェア開発)といった幅広いバックグラウンドは、我々のチームのスキルセットをうまく補完すると考えている」とウェルシュ氏はメールで述べた。「今回のファンドの重点分野は、以前のファンドと同様、消費者インターネット、フィンテック、インシュアテック、テクノロジーを活用したサービスなどに関わるソフトウェアだ」。

同氏によると、アプリケーション開発ソフトウェアとセキュリティ技術も引き続き同社の重点分野となる。  「さらに、インフラストラクチャソフトウェア(最新のデータセンターやクラウド環境の運用に使用されるソフトウェア)、アプリケーション開発および開発オペレーション(AppDevvおよびdDevOpsソリューション)などのソフトウェアソリューションに費やす時間を増やす」と同氏はメールで述べた。

画像クレジット:Image Credits: Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi)

コレクターズトイを鑑定・販売するWhatnot、まずはビニール人形の鑑定からスタート

かわいいくて頭のでかいこのビニール人形のFunko Pop(ファンコ・ポップ)。米国ではゲーム専門の小売店であるGameStop、衣料などを扱う小売店のHot Topicといった店舗や、同僚の机の上を占拠しているのを目にしているはずだ。特にこの数年で小売店の棚を並ぶことが多くなった。今や、ほぼすべての娯楽分野のFunko Popがあり、その種類は8000種類以上とも言われている。だがその数は、止まるところを知らない。

他のコレクターアイテムと同様、Funko Popにも特別に価値の高いものが存在する。マイナーなキャラクターでほとんど売れなかったものや、珍しいカラーリングの限定版、イベント会場で1日か2日間だけ配布されたものなのだ。レア物になると、ひとつ数百から数千ドルの値がつく。そして、人々が大枚を叩くところには、偽物が出回るのが世の常だ。

Y Conbinatorの2020年冬のクラスを卒業したWhatnot(ホワットノット)は、コレクターズトイの偽物問題に、GOATやStockXなどの認定小売業者のモデルを応用して取り組もうとしている。Whatnotは、買い手と売り手をつなぐ膨大な専門知識を持つ仲介者業者。買い手の注文に応じて売り手がFunko PopをWhatnotに送る。Whatnotは、増え続ける知識を駆使して真贋を鑑定する。問題ないと判明すると、そのFunko Popは買い手に届けられ、Whatnotはおよそ9%と送料として数ドルを手数料として受け取る。

「実際、私たちは、スニーカーを買って転売する仕事からスタートしているのです」と、Whatnotの共同創設者であるGrant LaFontaine(グラント・ラフォンテイン)氏は私に話してくれた。「その後、Funko Popの売り買いを始めました。しかし始めてみて、意外と難しいことに気がつきました。Funko Popの売買は、スニーカーの売買に比べて危険度も高かったのです」。

GOATやStockXのようなサービスはスニーカー愛好家にとって「劇的に単純化」されていて、買い手のためには偽物を排除し、売り手を傷つける詐欺が疑われるものを閉め出しているとラフォンテイン氏は言う。

現在、Whatnotで販売されるすべてのFunko Popは人間の専門家が鑑定している。高価なレア物なら理解できる。600ドルから700ドルで取り引きされるComic Conのシス・トルーパーや、数千ドルにもなるとされる2012年の「ホログフィック」のダース・モールのようなアイテムを、Funko Popの愛好家は「Grail」(聖杯)と呼んでいる。だが、それほどレアでもないものに関しては、そこまでやる必要がない。

そんな考えから、Whatnotは箱のサイズがわずかに違うとか、ロゴが少し変といった危険信号を取り引き段階で発見できるようにするデータベースを構築している。近い将来には彼らの鑑定は大半が自動化され、高価な取り引きに限って人間の専門家が鑑定(特別料金で)という態勢になる。

この市場の可能性に目を付けているのはWhatnotだけではない。スニーカー専門の認定小売りマーケットプレイスを最初に立ち上げたStockXは、昨年後半からコレクターズアイテムも扱うようになった。Whatnotはと言えば、コレクターズトイに特化し、愛好家にぴったりのユーザーエクスペリエンスの提供、特定カテゴリーでの検索、彼らが欲しがる情報の提示によって、固定ファン層を確保したいと考えている。

とはいえ、WhatnotはFunko Pop専門ではない。少なくとも、ずっとそれを続けるわけではない。いずれは他のタイプのアイテムにも手を広げる予定だ。次の候補としては、ポケモンカードあたりが考えられる。同社が私に話してくれたところによると、Wonder Ventures、YC、その他の少数のエンジェル投資家からプレシード投資として55万ドル(約6000万円)を調達したという。

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(翻訳:金井哲夫)

Wiskが空飛ぶタクシーのニュージーランドへの試験導入で合意

エアモビリティーカンパニーのWiskはニュージーランド政府との間で、同国Canterbury(カンタベリー)地区にてエアタクシーの試験運行を設定する協定に合意した。その目的は、空飛ぶタクシーのCoraが政府の航空当局によって認可され、後に乗客を飛ばすためである。Coraは2人乗りの電動垂直離着陸(eVTOL)機で、主に自律的に飛行するが、バックアップとして遠隔操縦士も存在する。

Coraはもともと、2018年に発表されたSebastian Thrun(セバスチャン・スラン)氏が創業したKitty Hawkによって開発されたプロジェクトで、最終的な飛行認証を目指して2017年にニュージーランドでひっそりとテストを開始した。Kitty HawkはこのプロジェクトでBoeing(ボーイング)と提携し、最終的に2社はより正式なジョイントベンチャーのWiskを形成。一方でKitty Hawkは電気駆動の空飛ぶ車であるHeavisideへと開発の焦点を移した。

機体には12個のローターを搭載して冗長性と垂直上昇能力を備えており、離陸後には大きな固定支柱が動作して時速約100マイル(約時速160km)で飛行する。当初の航続距離は25マイル(約40km)程度の短い移動を想定して設計されているが、ここで重要なのは、都市部や開発の進んだ地域で柔軟な移動手段を提供し、自動車などの地上輸送手段に取って代わることだ。

この試みが早くに始まれば、この種のモビリティとしては世界初の本格的な取り組みとなり、商業的な短距離向けの空飛ぶタクシーサービスへの大きな一歩として、航空業界やモビリティ業界の注目を集めることになるだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

法廷データの検索・分析サービスを開発するリーガルテック企業のTrellisが5億円弱を調達

州の法廷データの検索と分析ツールを開発している米国ロサンゼルス拠点のTrellis Researchが、新たな投資ラウンドで440万ドル(4億8383万円)を調達するとともに、ドキュメントサービスのDocstocの創業者であるAlon Shwartz(アロン・シュワルツ)を技術担当共同創業者として迎えた。

Trellis Researchは2年あまり前にNicole Clark(ニコール・クラーク)氏が創業し、今回シュワルツ氏は同社のプロダクト最高責任者CPOとしてプロダクトデザインを担当する。前述のようにシュワルツ氏は、かつてのTechCrunch 40にも登場したDocstocの創業者としてよく知られているが、その後はペアレンタルコントロールのunGlueなどのスタートアップをロサンゼルス界隈で創業した。

同氏は声明で「Trellisのことは、初期のころからアドバイザーだったのでよく知っている。一緒に仕事をしてみたいと思えるチームは、ここしかない」と語る。同社の440万ドルの投資は、Craft Venturesがリードし、OkapiやRevelなどの投資家が参加した。彼らは、Trellisが今年大きく伸びると期待している。

Trellisの共同創業者でCEOのニコール・クラーク氏

同社はカリフォルニアではすでに操業していて、カリフォルニア州上位裁判所の記録と司法分析の最大のデータベースがある。来年Trellisは、ニューヨークとテキサス、フロリダ、およびデラウェアの各州に進出する予定だ。

Trellisのフリーミアムのサービスでは、州の裁判の裁定や関連文書にオーガニック検索でアクセスでき、またパワーユーザーは有料で保存文書の全文にアクセスでき、ダウンロード、印刷、分析などもできる。クラーク氏はこのプロダクトについて「私が顧客第1号だ」と言う。

ロサンゼルスで訴訟人代理弁護士だったクラーク氏は、自分の調査ニーズを満たすためにTrellisを作った。彼女はよると「このデータを2年使ってからは、どんな申し立てでも勝てるようになった。だから、これが法廷闘争で勝てるためのツールであることはほとんど自明だ。これがあれば、判事が今進行中の案件について何を考えているか分析できるし、弁護士は判事の心にあることを見透かしながら申し立てができる」と答える。

同氏によると、自分のソフトウェアを使えば裁判における弁護士の勝率が倍になる。Trellisの使用料は個人では100ドル、企業との契約は交渉次第だ。同社の創業は2018年だが、同氏がそのサービスのためのデータを集め始めたのは2016年だ。今ではそれは、カリフォルニア州の文書の膨大な集積だ。

Techstarsのアクセラレーター事業を卒業したTrellisは、最初の200万ドル(約2億2000万円)の資金をCraft VenturesとOkapiから調達した。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「千葉道場とファンドで起業家育成のエコシステムを作る」:TC School #17レポート1

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型イベント「TechCrunch School」第17回が1月23日、開催された。スタートアップのチームビルディングを一連のテーマとして展開する今シーズンの4回目、最終回となるイベントでは「チームを拡大する(拡大期の人材採用)」を題材として、講演とパネルディスカッションが行われた。

この記事では、キーノート講演の模様をお伝えする。登壇者は千葉道場ファンドで取締役パートナーを務める石井貴基氏だ。自らもアオイゼミを創業し、Z会へのM&Aを実施した石井氏からは、起業家としての創業からエグジットまでのエピソードと、現在参画する千葉道場の起業家を支える取り組みについてが語られた。

起業家としては情報弱者だった創業期

石井氏は新卒でリクルートに入社。SUUMOの広告営業に従事した後、ソニー生命に転職し、生命保険の販売を行っていた。販売活動の一環で、ライフプランのコンサルティングも行っていた石井氏は、ファイナンシャルプランナーとして、さまざまな家庭の家計を見ていく中で、どの世帯でも教育費負担が非常に多いと感じる。これが起業のきっかけとなり、ライブストリーミングを使って、いい先生から安く学べる学習塾として、オンライン学習塾のアオイゼミを立ち上げた。

アオイゼミはライブストリーミングで授業を配信する、中高生向けオンライン学習塾だ。創業は2012年。石井氏は2019年3月に代表を退任したが、当時の登録生徒数は60万人以上と日本最大級に拡大した。「学習塾としての実績もついてきて、難関大学への合格者も輩出するようになっている」(石井氏)

北海道・札幌出身の石井氏は、函館の高校、東北の大学に進学し、就職では札幌に戻る形となったため、「会社を作るまで東京に出たことがなかった」そうだ。当時はスタートアップ立ち上げのための教科書もなければ、情報もなかったと振り返る石井氏。初めての上京が起業、という境遇で、石井氏が創業の地に選んだのは、中野だった。

「東京のビジネスの中心は新宿だろう、ぐらいにしか思っていなくて、中野なら新宿からも近いからベストではと考えたんですよね。その後、よく見渡してみたら『ベンチャーの中心地って渋谷なんだ』と気づいて、失敗したなと思いました(笑)」(石井氏)

立ち上げ当初はお金もなく、1LDKに創業者の3人で生活していたそうだ。生徒が塾を利用するのは夜間なので、日中はアルバイトで出稼ぎをして、夜にオンライン学習塾を配信するという日々。「極貧生活で体重が15キロ減った」と石井氏はいう。

今でこそファンドのパートナーという立場の石井氏だが、アオイゼミ創業初期はベンチャーキャピタルを紹介されて「投資家って何だ?という感じで、うさんくさいと思っていた」という。それがいろいろと話を聞いて、今度は「株式発行するだけで数千万の大金を、無担保無保証で出してくれるなんて、これは使わない手はない! じゃんじゃん株式発行すればいいじゃないか」と思ったそうだ。「起業家としては完全に分かってない、リテラシーの低い情報弱者だった」(石井氏)

買収後のアオイゼミ退任を決めた深セン訪問

暗黒の創業期を1年半ほど経た2013年、現・千葉道場ファンドの代表で、エンジェル投資も行う個人投資家・千葉功太郎氏と出会った石井氏は、シードラウンドで4000万円の資金調達を実施した。その後、ジャフコからの調達や、KDDI Open Innovation Fundらからの調達を実施。2015年のシリーズAラウンド調達までは「VCや、教育とは縁のない事業会社からしか調達していなかった」という石井氏だが、次のファイナンスのために動く中で、コンテンツ獲得のために既存のリアルの教育事業者と組むことも検討し始めていた。

「学習塾のツラいところはコンテンツ確保で、大学別の対策講座などをやろうとすると、とても大変。そういったコンテンツを持っている会社から出資してもらって、一緒にやった方がいいのではないか、ということで資本業務提携に動いていた。それでZ会と話していたときに、『マイノリティ出資で一緒にできることは限られている。それなら完全に一緒にやらないか』というオファーをいただき、サービスの成長のためには最適のパートナーではないかと考えて、2017年11月にM&Aを果たした」(石井氏)

通信教育で知られてきたZ会グループは、傘下に栄光ゼミナールを持つなど、教育事業を総合的に広く展開するが、「大手とはいえ、教育はレガシーな産業。彼らも私たちのようなテック系を取り入れたかったのだと思う」と石井氏はいう。M&A後は想定していたコンテンツ強化を進めたほか、家庭教師マッチング(現在はサービスを休止)やリアルな塾でオンライン授業の一括配信など、グループ会社と連携して新しい事業を開発していった。

石井氏としては買収後も「特に退任の時期を決めていたわけではなく、もう数年やろうと思っていた」というアオイゼミ。代表退任のきっかけは2019年1月、千葉道場のコミュニティ有志メンバーと中国・深センを訪問したことだった。

「中国では公立の図書館の自習室で、ほとんどの子どもたちがタブレットやスマホを使って、動画で勉強していた。一方、日本国内では、私たちのアオイゼミや競合の『スタディサプリ』などがあるけれども、思った以上にオンライン学習の普及が進んでいない。教育の格差をゼロにして、誰でも立身出世できる世の中にしたい、と会社を作ったが、中国と日本のギャップを見た時に想像以上に衝撃を受けて、ピンと張っていた糸が切れたような感じになった」(石井氏)

石井氏は深セン訪問時の心境について「もしかしたら多くの日本の人たちにとって、オンライン学習はそこまで求められていないんじゃんないだろうか、とも考えたし、日本の教育業界に、これ以上自分の時間を使うことに意義が持てなくなった」と述べている。

1月半ばに深センを訪問した石井氏は、翌週の取締役会で代表退任を宣言。2019年3月、創業した会社を去ることになった。退任後はしばらくの間、東南アジアを中心に旅行していたという石井氏。英語力を鍛えるために、セブ島、シンガポールへ留学もしていたそうだ。

こうして石井氏がフリーの時間を過ごしていた、2019年夏のこと。アオイゼミでエンジェル投資を受けていた千葉氏から「暇だったら千葉道場の運営を手伝ってよ」との声がかかった。石井氏が「以前から参加していた、コミュニティのサポートでもやるのかな」と思い、何を「手伝う」のかよく聞かずにOKの返事をしたところ、「今度ファンドを立ち上げるんだよね」と千葉氏。「気づいたら取締役になっていました」と笑いながら、石井氏は千葉道場ファンド参画のいきさつについて語る。

口外無用、徹底的GIVEの精神で支え合う千葉道場

千葉道場はスタートアップ約60社が参加する、起業家コミュニティだ。ミッションに「Catch The Star(星をつかむ)」、ビジョンに「まだ見ぬ幸せな未来を創造し、テクノロジーで世界の課題を解決する」を掲げる千葉道場について、「スタートアップ起業家が高い視点を持ってチャレンジし、レバレッジがより効きやすい、新しいテクノロジーを活用することを大切にしている」と石井氏は説明する。

そもそも千葉道場コミュニティは、石井氏と、元ザワット創業者の原田大作氏とがKDDIのアクセラレーションプログラム「KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)」で出会ったことがきっかけとなって始まっている。ザワットは2011年創業で、フリマアプリ「スマオク」などを運営。2012年創業のアオイゼミと同様、千葉氏からのエンジェル投資を受けていた。

両社は組織づくりや資金調達で悩みを抱え、「お互いに1年ぐらい、ツラいことが起きていた」(石井氏)という。そこで「同じようなステージの起業家を集めて、飲み会でもやってみよう」と企画。共通の出資者である千葉氏にも相談してみたところ、「せっかく集まるなら、きちんとプログラムを練ってやってみたらどうか」とのアドバイスを受け、2015年に第1回の千葉道場合宿を鎌倉の寺で開催することになった。

いざ開催してみると「実はもうすぐキャッシュが尽きる、とか、役員が辞めそう、といった生々しい話が多く、『これは外では話せない』ということばかり。同じ起業家として何とか助けてあげたい、という気持ちが膨らんだ」(石井氏)

そこで、千葉道場は徹底した「秘密厳守」と徹底的な「GIVEの精神」で支え合う、起業家のためのコミュニティへと発展。その象徴的存在が、通称「血判状」と呼ばれる、合宿参加者の連判状だ。「実際には(血ではなく)朱肉で拇印を押すんですが、毎回『千葉道場で見聞きしたことは、参加者以外には一切口外しないことを約束する』と改めて誓い合う、というものです」(石井氏)

半年ごと、年2回開催されている千葉道場の合宿では、それぞれの起業家から“過去”“現在”“未来”が共有される。失敗をほかの起業家が繰り返さないよう伝えるのが「過去の共有」、新しいテクノロジーを事業に取り入れる方法など、経営ノウハウについて語るのが「現在の共有」、そして未来のために目線を上げて目標を見つめていく「未来の共有」だ。

「CEOといえども、やはり目先のことにとらわれがちで、創業時に思い描いていた、遠い未来のことを忘れてしまうこともある。視点を上げて次の半年間もがんばっていこう、という場を作っている」(石井氏)

現在は半年に1回の合宿だけでなく、特許庁や東京証券取引所などと合同で勉強会も開催されている千葉道場。「少人数ではアクセスしにくいところにも、集団なら対応してもらえるので、情報を聞かせていただいている」(石井氏)

2030年までにユニコーン100社創出を目指す

千葉道場に参加するスタートアップは、ヘルスケア、D2C、シェアエコノミー、SaaS、住宅テック、アグリテックなど、幅広い。その中には、SmartHRWealthNaviスマートニュースなど、既に名の知られたスタートアップも含まれる。

エグジット済みの企業もいくつか出ている。2017年にはザワットをメルカリが買収、宿泊予約サイト「Relux」運営のLoco PartnersをKDDIが買収アオイゼミをZ会が買収と、参加企業のエグジットが続いた。また2019年にも、タウンWiFiがGMOインターネットグループに株式譲渡している。

さらに2019年12月には、千葉道場参加企業の中からの初のIPO案件として、スペースマーケットが東証マザーズへ上場した

「千葉道場が始まって5年間、半年に1度ぐらいしか集まらないが、一緒に成長してきた仲間という感覚がすごく強い。スペースマーケットさんも苦労されてきたことがある程度分かるので、東証の上場セレモニーで鐘をたたく姿を見られて、何とも幸せなことだと正直すごく熱くなってしまった。こういった(千葉道場発の)IPO案件は、これからも増やしていきたい」(石井氏)

石井氏からは、千葉道場参加企業の時価総額別の分布も紹介された。ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)も現在2社ありつつ、10億円以下の企業から300億円超企業まで「バランス良く含まれている」と石井氏は述べている。

千葉道場のコミュニティには数値目標が設定されている。「2025年までにユニコーン企業を25社、1兆円企業を1社創出する」、さらに「2030年までには100社のユニコーン企業、5社の1兆円企業を生み出したい」というものだ。「既存のメンバーの中からもユニコーンが生まれる確率は高いと思っているが、この目標を実現するためには、もっと多くの会社に投資をしなければならないだろう」と石井氏はいう。

起業家コミュニティから生まれた千葉道場ファンド

ベンチャーキャピタルとしての千葉道場ファンドの設立は、2019年にシリコンバレーで行われた第10回千葉道場で発表され、投資活動が始まった。千葉氏がジェネラルパートナー、石井氏がパートナー、原田氏がフェローを務める千葉道場ファンドの設立は、10月にはメディアにも公開され、本格的に始動した。

ベンチャーキャピタルが出資先を集めてコミュニティ化するのではなく、千葉道場という起業家コミュニティがファンドを持つ、という形は「通常とは逆の事例で、世界的に見ても珍しい取り組みではないか」と石井氏は語る。

また、エグジットした起業家が外に出て、そこからファンドの運営に入る、という点も千葉道場ファンドの特徴だ。「私も今まさに、プロ投資家としての経験を積んでいるところ。投資家の側に立つと、起業家と違う視点になるので、すごく学びが多い。恐らく次に会社を作ったら、ある程度失敗を防げるのではないか。そうした経験を積んで、もう一度会社を作ったときに、より強い起業家として千葉道場のコミュニティに入る。そこで起業したときにはファンドから投資を受ける。このような形で新しい起業家の育成システムを作れれば、という思いでやっている」(石井氏)

「千葉道場ファンドは投資対象も特殊」と石井氏はいう。「私たちはコミュニティファンドなので、コミュニティに入っていただくためのシード・アーリー投資と、最後に『行ってらっしゃい』というときの後押しのレイター投資、基本的にこの両端にしか投資しない」ということで、中間フェイズについては「ほかのVCや事業会社と連携しながらスタートアップを育成していきたい」と石井氏は述べている。

その他、サポート体制としては、コミュニティの仲間同士で支え合い、教え合うということもありつつ、「いろいろな経験を積まれた投資家、起業家にメンターとして入っていただいている」と石井氏。企業とも連携し、特許業務や採用、ディープテックの分野でアドバイスを受けられるようになっているそうだ。

「千葉道場のミッション『Catch The Star』を少しでも多く広げていくことが、日本のスタートアップシーンにとって、すごくいいことにつながっていくと信じて、引き続きがんばっていきたい」(石井氏)

月額1480円からのコーヒーサブスク「PostCoffee」は“自分に合った”コーヒーが定期的に届く

何も考えずに、自分が美味しいと感じるコーヒーを常に飲んでいたい——もしあなたがそんな願望を持つコーヒー愛好家なら、本日2月6日に正式公開された「PostCoffee」をチェックしてみるといいかもしれない。

このスペシャルティコーヒーのサブスクリプションサービスは、Web上で10個の質問に応えるだけで「自分に合った3種類のコーヒー豆」をピックアップし、特製のコーヒーボックスに入れて定期的に自宅まで届けてくれる。「時間をかけて選ぶのは面倒だけど、味にはこだわりたいしマンネリ化も避けたい」というユーザーとは特に相性が良いだろう。

コーヒーのラインナップは30種類以上。PostCoffeeを象徴するブレンド1種と、その他は単一の農園で栽培されたシングルオリジンから構成される。スペシャルティコーヒーのシングルオリジンでの種類数は国内最大級の品揃えになるとのことだ。

10個の質問に答えれば自分に合ったコーヒーを提案

PostCoffeeでコーヒーを頼みたいユーザーは、まずオンライン上で「コーヒー診断」を行う。

ライフスタイルや嗜好に関する10個の質問に答えていくと各ユーザーのコーヒーライフを診断。コーヒー豆3種類に加えて、オススメの淹れ方やオプション(砂糖や粉末ミルク)などをカスタイズして提案してくれる。

質問の内容は「オープンしたばかりのアイスクリーム屋でどんなフレーバーを選ぶか」「1週間の休暇をどこで過ごすか」といったように、一見コーヒーとはあまり関係のなさそうなものも多い。ただそこにも明確な狙いがあるという。

「これまでも業界内でコーヒーの味を科学する取り組みは行われてきたが、すごく嗜好性が強い飲み物なので、どんなに美味しくても人によっては気に入らなかったりする。それを踏まえてコーヒーの味を科学するというよりは、個人の嗜好性やライフスタイルを科学することでコーヒーの好みを導き出すというアプローチを取っている」(下村氏)

自分向けにカスタマイズされたコーヒー豆はオプションやフィルターをセットにしたコーヒーボックスとして定期的に自宅に届く。3種類のコーヒー豆をそれぞれ3杯分 (計約140g)ずつが基本となるが、コーヒーを頻繁に飲むような人の場合は5杯分に変更することも可能。頻度も1ヵ月ごと、または2週間ごとで選べる。

月額料金は1480円からとなっていて、オプションの内容や量、頻度によって変わる仕組み。飲んだコーヒーについてフィードバックをすることで、次回以降届くコーヒーをどんどん自分好みのものにアップデートできるのが特徴だ。また各コーヒー豆は単品で購入することもでき(1280円/150g)、最短で翌日にポストへ投函してくれる。

もともとPostCoffeeはオンデマンド型のコーヒー豆ECアプリとして2019年3月にスタート。当初からサブスクモデルのマンスリープランを提供していたものの、コーヒー診断の仕組みなどもなく、シンプルなプロダクトだった。

正式版の提供にあたっては、ベータ版から蓄積してきたデータやユーザーインタビューの結果を基に開発したパーソナライズ機能を搭載。コーヒー豆の種類も拡充した上で、各ユーザーが自分に合ったコーヒーライフを発見できるサービスを目指した。

「『たくさんの選択肢の中から自分に合ったものを探すのは大変だけど、一方でマンネリ化はしたくない』『コーヒーが無くなった時には、すぐに届けてくれる仕組みが欲しい』といったユーザーさんの声をミートアップなどで耳にする機会が多かった。無思考型のUXとも言われるように、自分でわざわざ考えなくても美味しいコーヒーが定期的に自宅へ届く体験を作っていきたい」(下村氏)

目黒にサービス体験型のリアル店舗をオープン

今回PostCoffeeでは正式版のリリースと合わせて、東京都目黒区の目黒通り沿いに焙煎所を併設したオフライン店舗を開設したことも明かしている(一般オープンは2月10日から)。

このリアル店舗ではコーヒー診断をした上でバリスタと一緒にコーヒーの試飲や飲み比べ、ハンドドリップによる抽出などを無料で体験できる。いわゆるサービス体験型の店舗のため、イートインやテイクアウトはなし。PostCoffeeが気に入った場合は診断結果を基にその場でサブスクをスタートすることができ、1回目のコーヒーボックスはそのまま持ち帰ることも可能だ。

店舗ではバリスタと一緒に自身のカルテ(診断結果)を見れるなど、既存ユーザーでも楽しめる要素を取り入れてるそう。PostCoffeeではオンラインだけでなくオフラインの体験も改善しながら、サービスの拡大を目指していく計画だ。

POST COFFEEは2018年9月の設立。昨年10月にはセレス、朝日メディアラボベンチャーズ、インキュベイトファンド、スタディーズから総額約5000万円の資金調達を実施している。

アップルはユニバーサル購入オプションをMacに広げ、App Storeを統合

Apple(アップル)は米国時間2月5日、macOS用アプリも含むクロスプラットフォームのアプリを、間もなく1つのユニバーサル購入のかたちで販売できるようにすると公式に発表し、アプリ開発者を驚かせた。消費者の側では、ユニバーサル購入オプションとは、ひとつのアプリを一度購入すれば、iPhone、iPad、Apple TV、Macなど、異なるデバイスでも使えるようになるというもの。開発者の側では、MacとiOSのアプリ、またはその他の組み合わせを同時に購入するよう顧客に促すことができる。さらに、顧客のアプリ内購入とサブスクリプションのプラットフォーム間での同期も容易になる。

同社によると、ユニバーサル購入は2020年3月から開始されるとのこと。この変更に備え、iOSとMacのApp Storeのカテゴリーを統一し、アプリをより探しやすくすると同社は話している。

アップルのApp Storeのカテゴリーは、滅多に更新されることがないため、それだけでも、ユニバーサルなアプリのバンドルを行わない業者も含め、開発者に衝撃を与える大転換となる。新しいカテゴリーにアプリを載せれば、アプリの数が多い既存のカテゴリーで競うよりも、トップアプリの上位にランキングされる可能性が高くなる。

iOSでは、開発者は2つの新しいカテゴリーにアプリを登録できる。「開発ツール」と「グラフィック&デザイン」だ。

Mac向けのApp Storeには、iOSにある「ブック」[フード/ドリンク」「雑誌/新聞」「ナビゲーション」「ショッピング」が新たに追加される。

さらに、MacのApp Storeにある「写真」と「ビデオ」のカテゴリーは、「写真/ビデオ」に統合されて、iOSのApp Storeとの同期性が高められる。また、MacのApp Storeでは、「子ども向け」は「ゲーム」のサブカテゴリーではなくなる。

アップルによれば、開発者は新しいアプリを、App Store Connectで1つのAppレコードを使って開発する方法と、既存のAppレコードにプラットフォームを追加して新しいユニバーサル購入オプションを利用する方法のいずれかが選べるという。この機能は、macOS Catalyst対応アプリではデフォルトで有効となるが、それ以外のアプリでも使用できる。

2月5日から、開発者は「Xcode 11.4 beta」アップデートリリースをダウンロードして開発作業を始められるが、このオプションが一般に利用可能になるのは3月にローンチされてからとなる。

誤解のないように言えば、一度の購入で複数のアプリを提供できるようになるのは、これが初めてではない。例えば、iPadやApple Watchのアプリも同時に付いてくるiPhoneアプリを買ったことがある人なら、すでにユニバーサル購入オプションを経験済みということだ。新しいのは、それと同じ機能をMac用アプリに初めて導入するという点だ。

もちろん、ユニバーサル購入はすべてのアプリに恩恵をもたらすわけではない。なので開発者は、ビジネス展開の方針に基づいて、その長所と短所を自分で見極めてバランスをとる必要がある。だがこのオプションは、これまでアップルが別々に提供していたアプリのエコシステムを統一し、今後のMac用アプリの開発に拍車をかけるという点で大きな前進となる。

ベータ版Xcodeは2月5日、macOSとiOSのベータ版とともに公開された。これらを組み合わせることで、Macでのスクリーンタイムの通信制限、Mac用のヘッドポインター技術、絵文字ステッカー、CarPlayの更新とiCloudのフォルダ共有といった新機能が利用可能になる。

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(翻訳:金井哲夫)

Uberがカリフォルニア州で自動運転車の路上テスト許可を取得

Uberのアドバンストテクノロジー(ATG)グループは、米国カリフォルニア州の公道で自動運転車をテストするための許可を再取得した。アリゾナ州で歩行者を死亡させた致死事故の後テストプログラムを縮小してから2年近くすぎてからのことだ。

Uberは、従来テストしていたサンフランシスコの公道に今すぐ自社の自動運転車を走らせる予定はない。テストを再開する前には地域、州、国の有力関係者に通知すると同社は説明している。

「サンフランシスコは、その複雑で変化を続ける環境ゆえに自動運転技術の重要な課題を学習するのに最適な都市だ。自動運転テストを再開する正確な時期は未定だが、今般カリフォルニア州DMV(陸運局)からテスト許可を得たことは、Uberの生まれ故郷でのテスト実施に向けた重要な一歩だ」とUber広報担当者はメールで語った。

カリフォルニア州陸運局が発行した許可証は、Uberの自動運転部門にとって、わずか1年半前に終了の運命にあると見られていたプログラムを再開するための重要な鍵だ。

Uber ATGグループは、アリゾナ州フェニックスのテンペ郊外で歩行者のElaine Herzberg(エレイン・ヘルツバーグ)さんを死亡させた衝突事故を起こして以来、すべての公道におけるテストを中止した。Uber ATGは自動運転車の試験をフェニックス、トロント、ピッツバーグ、サンフランシスコの各都市で実施していた。当時同社は、 ピッツバーグとサンフランシスコで100人の自動運転操作員をレイオフし、自動運転部門を売却したがっているという噂が広まった。

Uber ATGは2018年12月に、ペンシルベニア州運輸局が同社の公道での自動運転車試験を許可したことを受け、ピッツバーグで自動運転車の路上テストを再開した。

Uberは、ワシントンDCでも今年自動運転車のテストを開始する計画に先立ち、マッピングを開始した。まず3台のUber車両が現地のマッピングを行うと広報担当者は語った。マッピング車両は人間が運転し、訓練をうけた社員2名が同乗して車両屋上のセンサーウィングに設置されたカメラ、回転式ライダー(光検出測距装置)などのセンサーデータを収集する。データは高解像度マップの作成に使用されるほか、Uberのバーチャルシミュレーションやテストトラックテストのシナリオ作成にも使われる。

Uberは2020年末までにワシントンDCで自動運転車を走らせる予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

yupのフリーランス向け報酬即日払いサービスに「パートナープログラム」が登場

yupは2月6日、「パートナープログラム」を開始することを発表した。同社は2019年2月設立のスタートアップで、主にフリーランスに向けた報酬の先払いサービスを開発・提供している。TechCrunch Tokyo 2019スタートアップバトルのファイナリストでもある。

同社の先払いサービスを利用することで、フリーランスは通常の請求書支払いのフローを変えることなく、通常は個人で1カ月、法人では2カ月かかることもある報酬をすぐに得られるのが特徴だ。報酬の10%をyupが手数料として徴収するものの、支払いの遅延などのリスクを大幅に軽減できる。

具体的には、取引先に送った入金前の請求書情報をyupに登録するだけで、yupから報酬が支払われる仕組みだ。後日、実際の報酬が取引先から支払われた際にyupにその金額を振り込むという流れになる。

同社では、2019年9月26日にβ版の提供を開始。本人確認などの手続きはすべてオンラインで済ませられるほか、審査は最短60分で完了するので、その日からサービスを利用できる。また、yupを利用していることを取引先から知られることはない。

今回、発表されたパートナープログラムの対象は、フリーランスの取引先企業。同プログラムに登録した企業は、取引先のフリーランスに先払いサービスを利用してもらうことで、yupがフリーランスから徴収する手数料の一部が還元されるほか、特別料金で先払いサービスを利用できる。

実際の還元割合やサービス利用料は企業によって異なるものこ、フリーランスとの取引量が多い企業の場合、先払いの経理処理をyupに任せることで社内業務の効率化も図れるだろう。

企業側の業務効率化が進めば、フリーランス側がyupに徴収される手数料を企業側が負担するという流れも生まれるかもしれない。

同社では専用の受付フォームを用意しているので、パートナー契約を考えている企業は登録フォームに必要事項を入力すればいい。

ポッドキャスト好調のSpotify、2019年Q4売上高は24%増の約2195億円

米国のような主要マーケットでは、いまや音楽消費の80%超がストリーミングによるものだ。そしてこの分野のリーダー的存在である1社がその恩恵を受けている。Spotify(スポティファイ)は2月5日、2019年第4四半期の決算を発表した。購読者数は前年同期比31%増の2億7100万人で、中でも有料購読者は29%増の1億2500万人だった。総売上高は前年同期比24%増の20億ドル(約2195億円)、粗利益率は25.6%だった。しかし同社はこれまで同様に営業損失も出した。今期の営業損失額は7700万ユーロ(約93億円)で、1株あたり損失は1.14ユーロ(約138円)ほどとなっている。

成長を牽引したのがポッドキャストで、前年から200%成長した。月間アクティブユーザー(MAU)の16%超がポッドキャストコンテンツを聴いている(おそらくThe Ringerのような人気ポッドキャストブランドを買収しようとしている噂があるのはこれが理由の1つだろう(アップデート:SpotifyはThe Ringerを買収していた)。

決算内容は同社の予想と一致する。予想では、MAU数を2億5500万〜2億7000万人、プレミアム購読者を1億2000万〜1億2500万人、売上高を17億4000万〜19億4000万ユーロ(約2100〜2340億円)、粗利益率は23.7〜25.7%、営業損失は3100万〜1億3100万ユーロ(約37〜158億円)としていた。

一方、アナリストは売上高を20億9000万ドル(約2290億円)、1株あたり損失は0.25ドル(約27円)と予想していて、実際の数字はいずれもアナリスト予想を下回った。

Spotifyはまた、2020年第1四半期についての見通しも示し、MAU数2億7900万〜2億8900万人、プレミアム購読者1億2600万〜1億3100万人とした。売上高は17億1000万〜19億1000万ユーロ(約2060〜2300億円)に減少する一方で、粗利益率は23.5〜25.5%で推移すると見込んでいる。

Spotifyは全ストリーミングサービスの中で最大手という位置にい続けているが、資金を十分に持っている企業との競争が激しくなりつつある。Amazon(アマゾン)は先月、Amazon Musicのユーザーが5500万人であることを発表し、Apple(アップル)は有料ユーザーが6000万人であることを昨夏明らかにした。そしTikTok(ティクトック)も音楽ストリーミングサービスの準備を進めている。ショートビデオで知られるTikTokは音楽に関心があり、そしてモバイルの扱いに慣れている急増中のオーディエンスを取り込むことで音楽ストリーミング業界に一気に食い込みたい考えだ。

上記のサービスはおそらく米国と欧州で最も知れているものだが、他のマーケットをみると、競争はもっと激しい。インドのGaanaは同国だけでMAU1億5200万人を抱え、同国での成長を模索するSpotifyにとって手強い相手だ。

Spotifyは第4四半期のMAUは「これまでの中で最も増加幅が大きく、購読者を1000万人増やすのにかかった時間は最も短かった」と述べた。これは、無料の3カ月トライアル提供によるところが大きく、無料トライアルは現在家族向けプランにも適用されている。一部の小売でも6カ月無料トライアルを提供している。継続しているGoogle Homeとのパートナーシップや、AlexaオーナーへのSpotify無料サービス提供もまた、今後成長に貢献するはずだ。

売上高の成長に関しては、2つの主要事業エリアで逆のトレンドがあると同社は指摘する。平均売上高が5%減少したにもかかわらず(無料トライアルが拡大されているため)、プレミアム講読の売上高はSpotifyの予想を上回って前年比24%増の16億3800万ユーロ(約1980億円)だった。広告は23%増の2億1700万ユーロ(約262億円)だった。

前年比80%増の5億5100万ユーロ(約665億円)だった営業経費と、1株あたりの損失への影響について、Spotifyは「弊社の株価上昇による社会的費用が想定よりも大きかったため」と説明した。

同社が指摘した社会的費用というのは、株価連動型報酬に関係する給与税だ。「スウェーデンはソーシャルコストを考慮するが、サービスを展開するいくつかの国で我々はソーシャル税の対象となっている。ガイダンスでは株価の変動は見通せず、株価の上下は営業経費に影響を及ぼす。第4四半期では、株価の上昇で社会的費用が計画よりも2000万ユーロ(約24億円)かさんだ」。

「想定よりも膨らんだ社会的費用をのぞき、営業損失は粗利額がわずかによくなった結果、予想よりも改善された」とも付け加えた。ポッドキャストは力強い成長を見せ、Spotifyの中で存在感は大きい。Spotifyには70万タイトルものポッドキャストがあり、新たなディスカバリー機能でユーザーはカタログ内を探検できる。

Spotifyは昨年、ポッドキャスト関連事業の買収に4〜5億ドル(約440〜550億円)を使ったとされている。そして今年に入ってもポッドキャストを買収した。Bill Simmons(ビル・シモンズ)氏のThe Ringer networkだ。

今回の買収をSpotifyはスポーツコンテンツの強化のためだけでなく、オーディオを超えた人気のメディア展開という大きな動きをつくりだすために活用している。「我々がここで投資しているトレンドは、ラジオのオンラインへの移行だ」とCEOのDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は決算報告で述べた。「我々は次のESPNを買収した」。

Spotifyは長い間、アーティストがコンテンツを売って収益をあげるのをサポートするツールを提供する、両面マーケットプレイスの構築に取り組んできた。またポッドキャストにも守備範囲を広げ、いまやSpotifyはオリジナルのコンテンツとサービスに力を入れ国際展開もしている。日本での「Hypnosis Radio」(ヒプノシスラジオ)、メキシコでの「Fausto」(ファウスト)、ドイツの視聴者向けの「SEKTEN & KULTE」と呼ばれるParcast社「Cults」のリメイク、インドにおける3つのオリジナルポッドキャスト「22 Yarns」「Love Aaj Kal」「Bhaskar Bose」などがある。

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXが衛星打ち上げライドシェア開始、料金1億円超で予約受付中

SpaceXが衛星打ち上げをウェブから予約できるツールを発表した。これはFalcon 9の打ち上げに際し、ペイロードに余裕がある場合、ライドシェア方式でミニ衛星を搭載できるというものだ。昨年SpaceXが発表したライドシェア式打ち上げは6000万ドル(約69億円)以上かけてロケット1機を丸々予約する必要がない(余裕がない)小型衛星の打ち上げたいカスタマーの市場を開拓するのが狙いだ。

衛星打ち上げのライドシェアのページによれば、料金は100万ドル(約1億1000万円)から、ペイロード重量は200kgからだ。200kgを超える場合、1kgあたり5000ドル(約55万円)の追加料金となる。

ユーザーはまず希望の軌道種類を静止、低軌道、極軌道などからを選び、衛星打ち上げ準備が整う一番早い日付として最速期日を入力する。本稿執筆時点では今年の6月以降が選択できる。次に打ち上げを希望する衛星の質量(重量)を入力すると推定料金が表示される。以後さらに詳細な情報の入力を求めるページが続く。搭載を計画しているのは15インチ(38cm)ポートか24(61cm)ポートか、今後SpaceXから発表される打ち上げ日程にける希望するロケットと打ち上げ日付などを入力する。

 ユーザーが入力できる要素にはこのほか、SpaceXの標準規格で衛星を搭載するためのポートアダプターの必要の有無と規格、衛星放出システムをユーザーが独自に用意するのか、SpaceXの標準システムを利用するか、衛星が独自の推進システムを装備する場合は打ち上げ直前の燃料注入、200万ドルまでの保険などがある。オンラインでTesla(テスラ)車を注文するのに似ているが、もちろんはるかに高価な買い物となる。

これは単に話題を呼ぶためのマーケティングツールではなく、本当に衛星を宇宙に送るためのページだ。オプションの入力が完了し、ユーザーが米国の国際兵器輸送規則(ITAR)に違反するなどの違法行為の疑いを受けていないことが確認されるクレジットカード番号が入力できる。この時点で5000ドル(約55万円)の予約金が引き落とされる。残金は3回払いとなるが、SpaceXが引受を確認後5日以内に初回かつ最大の支払いをする必要がある。

 SpaceXでは同時に、衛星ライドシェアについてのユーザーガイドを公開し、このプログラムの環境テスト、法的責任、技術的スペックなどの詳細に触れている。 しかしウェブサイトを開き、Tesla Model Yを予約するのとそっくりの手順で衛星を軌道に送り込むことができるというのはやはり驚きだ。

サイトはユーザーにわずかでも規則違反があったり、最低99万5000ドル(約1092万円)の残金支払いができなかったりすれば予約金は没収となると警告しているが、それにしても今のところ世界にこのページ以上に手軽な衛星打ち上げ予約方法はなさそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

お笑いゲーム「Cards Against Humanity」が風刺サイト「ClickHole」を買収、なんと社員が筆頭株主に

Cards Against Humanity(人間性に反するカード)という名前のカードゲームを開発している同名の企業が、G/O Mediaから風刺サイトのClickHoleを買収した。

米国時間2月3日夜のBuzzFeed Newsの速報によると、ClickHoleの社員がサイトの過半数株主になる。Cards Against Humanityの創業者であるMax Temkin(マックス・テムキン)氏はBuzzFeedに「目標はClickHoleのチームに、自分たちが良いと信じたことをできる機会を与えること」と語っている。チームを今の5人よりも増やすためのリソースも与える。

テムキン氏は「彼らには、資金を与える。求められればアドバイザーになってもいい」と述べている。ClickHoleは2014年に風刺紙The Onion(ジ・オニオン)の一部として創刊され、BuzzFeedやUpworthyなどにあるバイラルなコンテンツ(読者のクリックを誘う記事)のパロディーに専念している。例えばUpworthyには、史上最も優れたダイエットガイドがある。

我々の仲間ClickHoleの幸運を祈り連帯を表明したい。これからは社員がメディアのオーナーになるべき時代だ。

The OnionはUnivisionに買収されたが、そこはほかにも、Gawker Mediaの刊行物をいくつか買収していた(Gawker本体を除く)。そしてそれらを、Gizmodo Media Groupというブランドにまとめていた。UnivisionはThe OnionとGizmodo Media Groupの2つのブランドをプライベート・エクイティ企業のGreat Hill Partnersに売り、後者は買収後の2ブランドをG/O Mediaという名前に変えた。GizmodoとOnionの頭字語だろう。

その後はまた波風があり、G/O Mediaの役員たちは政治サイトSplinterを閉鎖した。その前にはDeadspinの編集者とライターたちが大量退社して、サイトの新方針に抗議した。それは、多様な記事で人気のあったDeadspinをスポーツ専門にする、という新方針だった。Deadspinの読者吸引力が落ちたからではない。

現在、G/O MediaとCards Against Humanityの両方にコメントを求めている。昨夜の速報ニュースの前には、ClickHoleはその記事の一つで「うちのコンピューターがコオロギの大群にやられたのでClickHoleはしばらく待機モードに入る」と宣言した。

アップデート:テムキン氏から以下の声明が届いた。

ClickHoleには1つの世代に一度しか現れないようなお笑いの才能がたくさんいる。だから彼らに仕事のやり方を指示するようなことはしない。我々の目標は彼らにうちにあるクリエイティブツールを何でも提供することだ。

関連記事:Deadspin writers quit after being ordered to stick to sports(スポーツ専門への方針変えに抗議して多くのライターがDeadspinを去る、未訳)

画像クレジット: The Washington Post/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

新型コロナウイルスの懸念からLGとZTEがMWC出展をキャンセル

LGとZTEは、新型コロナウィルス関連の懸念から今月末にスペインバルセロナで開催予定のMWCへの出展計画のキャンセルすると発表した。 LG社のサイトに掲載された声明によれば、同社は世界最大のモバイルトレードショーであるMWCをスキップし、その代替となる別箇のイベントを「近日中」に開催するという。

韓国ソウルに本社を置くLG社は、その声明の中で「従業員、パートナー、そして顧客の皆様の安全を第一に考え、LGは今月末にスペインバルセロナで開催予定のMWC2020への出展ならびに参加を中止します」と述べている。 「この決定によって、国境を超えて感染拡大の続くウィルスの影響ですでに制約の増大している国際移動による危険に、多くのLG従業員を晒す事態を避けることができます」。

中国四川省に本社を置くZTEもまた、MWCへの参加中止を米国時間2月4日に発表した。Vergeに対しプレスカンファレンスを中止したことを告げたが、同社はその理由として移動とビザ発行の遅れはもちろん、「私たちはどちらかと言えば過剰な気遣いをする企業ですし、単純に関係者に不快な思いをしてないのです」と述べている。

今回のコロナウィルスの流行は、全世界の人間の移動とサプライチェーンを破壊している。 中国国内で多数の感染者が報告されている一方で、今回の流行はまた、世界に広がるアジア系の人々を対象とした、人種差別と外国人嫌悪の動きへとつながっている。

MWCを主催するGSMAが本日サイトに投稿した声明は以下のものだ。「バルセロナ、上海、そしてロサンゼルスで毎年開催されるMWCイベントだけではなく、各地で開催されるMobile 360カンファレンスへのコロナウィルスによる影響の可能性の評価を継続しています。 GSMAは現段階ではイベントに対する影響は些少なものだと結論付けています」。

2月24日から27日にかけて予定されているバルセロナでの全てのイベントは、予定通り開催される。 GSMAは既にウィルス拡散を防ぐための対策を発表している。例えば、清掃の徹底、混雑する場所(ケータリング、手すり、トイレ、入出場口、タッチスクリーンなど)の滅菌消毒などや、会場での様々な医療サポートなどだ。 また同社は、話者ごとの「マイク交換プロトコル」適用することを発表し、参加者に「握手はしないポリシー」を採用することを呼びかけている。

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(翻訳:sako)

Apple TVアプリとApple TV+がLG製テレビで利用可能に

「Apple TV」アプリが、LGのスマートテレビで使えるようになった。もちろん、Apple(アップル)の新しいストリーミングサービスApple TV+へのアクセスも可能だ。LGは今週、米国および世界80以上の国々で、LG製スマートテレビの2019年モデルで、Apple TVアプリが利用可能になったと発表した。今年後半には2018年モデルでも使えるようになり、2020年モデルでは最初から使えるという。

ユーザーはLG Home Launcherから新しいアプリにアクセスし、Apple TV+の番組をストリーミングしたり、Apple TVのチャンネルを購読できる。iTunesビデオライブラリにアクセスしてiTunesにある10万本以上の映画やテレビ番組を購入したり、レンタルしたりすることも可能だ。

さらにLGは、ほとんどのApple TV+コンテンツと同様、アップルの幅広いタイトルはドルビービジョンとして提供され、LGの最新テレビがサポートしていることを強調している。アップル製品のユーザーが、iPhone、iPad、あるいはMacからコンテンツをミラーリングするAirPlay 2も利用可能だ。またvのHomeKitにも対応しており、ホームアプリやSiriを使ってテレビをコントロールできる。

Apple TVアプリ、AirPlay 2、そしてHomeKitは、今のところLGの2019年モデルのOLED TVと、NanoCell TVのSM9XおよびSM8Xシリーズで動作する。今月後半には、UHD TVの一部(UM7XとUM6Xシリーズ)でも利用可能となる。そして今年後半には、無線によるファームウェアのアップグレードにより、LGの2018年モデルのテレビでもサポートされる予定だ。同社によれば、2020年モデルのLG製テレビは、すべて最初からApple TVアプリに対応するという。

昨年11月にApple TV+が登場して以来、現代の人がテレビを観るさまざまな方法に対応するため、Appleは広範囲のエコシステムをサポートするしかなかった。現在Apple TVアプリは、すべてのアップルデバイスとウェブ上で動作し、Fire TVやRokuといったストリーミングメディアプレーヤーでも利用できる。これまでのところ、広範囲のスマートテレビでApple TVアプリを利用可能にしていたのはサムスンだけだった。アップルのウェブサイトによると、ソニーやVIZIOなど、他のテレビメーカーは、現時点ではAirPlay 2のサポートのみを提供している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

オンラインからオフラインの橋渡しプラットフォーム「Sendoso」が44億円調達

電子メールはゴミだ。我々は常にその中に埋もれている。デジタルな書簡があふれる中で、人目を引くのは容易ではない。このインターネット時代の主要コミュニケーションチャンネルが大混乱している状態で、いかにしたら人々の注目を集められるのか?

ひとつには、受信ボックスを丸ごと忘れて物理的にやるという方法がある。そこに目を付けたのが、Sendoso(センドーソー)というスタートアップだ。Sendosoは米国時間2月4日、4000万ドル(約43億8000万円)の新たな資本投資を受けた。これは、Oak HC/FT Partners(HC/FTはヘルスケアとフィンテックの略)主導のシリーズB投資だ。同社はこれにより、重要な知らせであることを送り主が相手に気付かせる、彼らが「発送プラットフォーム」と呼ぶシステムの開発スピードを加速させる。

TechCrunchでは、2019年の初めに同社が1070万ドル(約11億7000万円)のシリーズA投資を獲得したときの話を掲載している。Sendosoはこれまで、非公開会社のまま5400万ドル(約59億円)を超える資金を調達した。

TechCrunchのインタビューに応えて、SendosoのCEO、Kris Rudeegraap(クリス・ルーディーグラープ)氏は、1500万ドル(約1億6400万円)に満たない投資を受けた後、「製品と市場が合致した」ために、次はひとつのラウンドで4000万ドルを調達できたと述べている。そのためシリーズBは「とても人気のラウンド」になったとルーディーグラープ氏。この投資ラウンドは「関心という点では定員超過でした」と彼は言い足した。

またこのスタートアップは、2019年の総収益が、2018年と比較して330%に成長したとのことだ。驚異的な成長ぶりだが、いったいSendosoとは何をする会社なのだろう? Sendosoは、現実世界に大きな足場を持つハイテク企業だ。だから、ちょっと説明が難しい。具体的には、同社のソフトウェアは、顧客の「デジタルとフィジカル(物理的)の発送戦略を合体」させて注目度を高めるのだと、ルーディーグラープ氏は説明していた。

シリーズAの時期にTechCrunchで詳しく伝えたが、CEOはセールス畑の人間だ。彼はそこでコミュニケーション戦略を発展させ、見込み客にグッズや手書きメモなどを送るようにした。その作戦は大成功だったのだが、時間のかかる作業だった。

Sendosoは、そのルーディーグラープ氏のセールス方式の製品版だ。同社はこのサービスを「Sending Platform」(発送プラットフォーム)と呼び、ウェブサイトには日持ちのしないものでも何でも送れると書かれている。今朝発表された広報資料によれば、Sendosoは市場での立ち位置を「顧客の市場進出計画にデジタルとフィジカルの発送戦略を合体させる」ことに置いている。

同社が構築するソフトウェアは、顧客とSendoso独自のサービス、サービスと顧客の顧客関係管理ツール、そしてその両方と倉庫を結びつけて、名前入りのアイテムをチームや見込み客に送る手伝いをする。

この会社が、やがてはいろいろな分野に枝を広げるであろうことは容易に想像がつく。あらゆる分野の企業との関係を深めており、出荷経験があり、倉庫もどんどん拡張しているからだ。今後は何を発送するようになるのだろう?

だが今は、企業が他の企業に贈り物や商品を、ときどき名前入りで送るという業務に専念しているようだ。セールスの世界は広い。セールスを促進させるための市場も巨大だ。Sendosoが2020年も3桁の成長を遂げるかどうか、注目しよう。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)