SDGs達成を目指すスタートアップのコンテスト「XTC」初の日本予選が2月26日開催、出場10社が決定

2015年より開催され、例年、世界中から6000社以上がエントリーするスタートアップのコンテスト、Extreme Tech Challenge(XTC)。

XTCの目的は、国連サミットで採択された、17の持続可能な開発目標(SDGs)と連携し、地球と人類とが直面している最大の課題をテクノロジーで解決するスタートアップを発掘し、支援すること。 Lynq、Elevian、Doctor on Demand、Wanderu、Cresilon、Bloomlifeを含む過去の出場企業の累計調達額は440億円にもおよぶ。

XTCの7つの審査カテゴリは、SDGs17課題を集約した7カテゴリーだ。それらは、「AGTECH、FOOD & WATER」、「CLEANTECH & ENERGY」、「EDUCATION」、「ENABLING TECHNOLOGIES」、「FINTECH」、「HEALTHCARE」、そして「TRANSPORT & SMART CITIES」。

今年は、6月にパリで開催される決勝戦に向け、日本で予選、JAPAN COMPETITION 2020が開催される。2月26日にNagatacho GRiDで開催される日本予選では、書類審査を突破した10社のスタートアップが、日本代表として決勝に進むことのできる、2枠のシード権を巡って争う。シード権を獲得した2社は、パリで開催されるVivaTechnologyのメインステージでピッチを披露することになる。

本日、そんなXTCの日本予選に出場する10社のスタートアップが発表された。

コンテストの審査員を務めるのは、TomyK代表でACCESS共同創業者の鎌田富久氏、立命館大学の情報理工学部で教授を務める西尾信彦氏、IT-Farmのジェネラルパートナー白井健宏氏、Plug and Play Japanの小林俊平氏、そしてXTC Japanのメンバー1名。

当日は、「ソーシャルインパクト投資」、「日本のSDGsの現状」、「世界規模で事業を展開する企業の作り方」などをテーマとした、専門家による特別講演も行われる。XTC主催者、そしてTreasure Data創業者、芳川裕誠氏の登壇が決定している。

XTC JAPANが目指すのは、日本におけるインパクト投資の活性化、そしてグローバル課題の解決、ならびに海外進出を目指すスタートアップの支援。

XTC JAPANは、日本のソーシャルインパクト投資市場は微増に留まっているのが現状。一方、グローバルではソーシャルインパクト投資の投資残高は急速に増加しており、昨年4月での推定残高は5020億ドル(約55兆円)と、2018年から倍以上に増加したとも言われている、と説明。

そして、日本では数少ないユニコーン企業ですら、海外進出に苦戦している。また、日本はマーケットが小さいため、ある程度までしか成長しないという課題もある、と指摘している。

IT-FarmのパートナーでXTC Japanの企画、後援を務めている春日伸弥氏は「『グローバル課題の解決』。それが全てだ。グローバルの課題を、テクノロジーを使って解決する。そのために、スタートアップを、資金やパートナーシップなどにより支援する」と話す。

春日氏いわく、今回の初の日本予選では「結果的に、日本国内でなく世界に目を向けているスタートアップからの応募が集まった」。同氏は2月26日のイベントが起点となり、前述のようなSDGs達成を目指すスタートアップが、例えば大企業と繋がることにより、エコシステムが活性化することを期待している。XTC Japanでは現在、一般参加者向けのチケットを販売中だ。

バイオメカニクスを生かしたスポーツ用ウェアラブルデバイス開発のNURVVが9.9億円調達

CES 2020でローンチしたバイオメカニクスのスタートアップであるNURVV(ナーブ)が、スポーツとeスポーツのベンチャーキャピタルファンドのHiro Capitalが主導し、Games Workshopの共同創設者であるIan Livingstone CBE(イアン・リビングストンCBE)氏とLoveCraftsの共同創設者であるCherry Freeman(チェリー・フリーマン)氏が参加したシリーズA投資で、900万ドル(約9億9000万円)を調達した。

同社は、スマートフォンを落としても壊れない方法がわかれば、バスケットボール選手がどれだけ高くジャンプできるかもわかるということを証明した。Jason Roberts(ジェイソン・ロバーツ)氏は、世界トップクラスのスマートフォンのケースのメーカーであるTech21の創業者だ。彼と、彼の共同創業者、そして彼の夫人Ulrica(ウルリカ)は、その知識を応用して、新しいウェアラブル製品を発売した。靴の中にこれを敷くと、足が着地したときの力や跳躍の測定が可能になるというものだ。

このウェアラブルは、32個のセンサーを埋め込んだ軽量な中敷きで、ひとつのセンサーごとに、1秒間に1000回、足裏のデータを取得する。

今回の投資金は、NURVVの最初の製品、NURVV Run(ナーブラン)を国際市場への投入と、さらなる研究開発に使われる。Wired、CNET、Gear Patrolで高い評価を受けたほか、英国立物理学研究所で3年にわたりテストされてきた。

測定できるのは、ケイデンス、歩幅、接地パターン、プロネーション、バランス。このデータをNURVV Runのコーチングアプリに送り、その人のランニング技術を図で示す。これを見ることで、自分の技術とペースが改善できる。

ランニングに関するデータを膨大に収集するのは今でも可能だが、そのデータが見られるのは、いつだって走った後だ。創設者でCEOのロバーツ氏は、NURVV Runはランナーのデータを「アクションがあった時点で足から直接取得し、簡単に理解できるシンプルな方法で走りの改善をリアルタイムでコーチングできます」と話している。

同氏はTechCrunchに対して、この中敷きに組み込まれたテクノロジーは「ステップ数やストライドや消費エネルギーを測定する腕時計よりも正確で、怪我も検知できる」と話していた。彼はこう問いかける。「走っている人のステップ数をリアルタイムで配信することも可能です。バスケットボールでそのデータが見られたら、どうですか?」。

共同創設者のウルリカ・ロバーツ氏はこう付け加えた。「私たちはいつも同じ疑問に立ち返ります。重要な情報は足で発生しているのに、どうしてランニングのデータを腕で計るのかって」。

【中略】

「私たちは専門家を探して、それを実現しました」。

Hiro Capitalの業務執行社員であるLuke Alvarez(ルーク・アルバレス)氏は声明で「Hiro Capitalは、4回目の契約で、初めてのスポーツテックへの投資としてNURVVを支援できたことをうれしく思っています。NURVVの成功は、彼らの事業のすべての点でアスリートの体を中心に据えたことに起因します。NURVVの基礎は、ディープなバイオメカニクスとデータサイエンスを結合させたセンサーの特許技術にあり、これはスポーツ、ゲーム、VRとAR、そして健康全般に革命を引き起こす潜在力があります。ジェイソンとウルリカは、類いまれな起業家であり、この2人とその仲間たちと共に、NURVVを次のレベルに引き上げる手伝いができることに、大変にエキサイトしています」。

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(翻訳:金井哲夫)

Nuroの新型配達ロボに米政府は無人運転車として初の安全基準の適用除外を認定

去年、ソフトバンク・ビジョンファンドから9億4000万ドル(約1030億円)の投資を受けた自動配達のスタートアップであるNuro(ニューロ)は、無人運転配達車の安全規定適用除外を米連邦政府から初めて認められた企業となった。

米運輸省道路交通安全局から適用除外の認定を受けたのは、Nuroの(先週木曜日に初めて公開された)R2と呼ばれる最新型低速電動車だ。レストランや食料品店などの業者が、近隣の配達サービスに使用する。これはNuroのみならず、自動運転車業界にとって、ひとつの到達点であり、連邦政府がこの技術をどのように規制するかを示す指標ともなる。

R2は間もなく、ヒューストンでNuroの自動運転版プリウスの隊列に加わり、消費者への配達を公道で行うことになると同社は話している。この展開は、2018年にKroger(クロガー)と提携しアリゾナで行った配達サービスの試験運用に続くものだ。当初、この試験にははトヨタのプリウスが使われていたが、後にR1配達ロボットに切り替えられた。

Nuroの第2世代低速配達車両R2は、無人運転を行う目的で設計され、自動運転システムのみを使って運用される。人間のドライバーは乗車しないため、従来の乗用車に欠かせなかった、あるいは連邦政府が義務づけていた、サイドミラーや透明なフロントガラスなどの装備は必要ない。

「低速自動運転配達車なので、ドライバーを乗せるために運輸省が以前から義務づけていたミラーやフロントガラスなどの装備は、もう意味がありません」と、米国運輸長官であるElaine L. Chao(エレイン・L・チャオ)氏は声明の中で述べている。

米運輸省の安全基準適用除外によって、R2は、サイドミラー、フロントガラス、前進時にオフになるリヤビューカメラの3つの装備なしに運用が可能になった。これは現在GMが、自動運転ユニットCruiseで申請しているものとは違う。Cruiseは低速車とは見なされないため、適用除外を受けなければならない項目がずっと多いのだ。

この3つの適用除外だけでも、手続きにはかなりの時間がかかった。Nuroは道路交通安全局と3年間協議を重ねてきた。適用除外の申請書を提出したのは2018年10月だ。「適用除外を受けた車両であっても、安全基準を完全に満たした車両と同じだけの安全性を確保できることを証明しなければなりません」とNuroの最高ポリシー及び法務責任者David Estrada(デイビッド・エストラーダ)氏は言う。

新しいR2配達ロボットは、通常ならサイドミラーが取り付けられる部分の車体断面の幅が狭く、角も丸くなっている。こうしたデザインにより、自転車やその他の「傷つきやすい通行者」のために道を空けることができるとNuroでは話している。

R2には、ライダー、レーダー、カメラが装備され、車体の周囲360度の視覚情報を「ドライバー」に送るようになっている。だがそこでも、適用除外が必要だったとエストラーダ氏は話す。道路交通安全局の適用除外により、R2は前進時でもリアビューカメラを作動させておくことができる。新しい乗用車には、人間のドライバーが車を前進させるとオフになるリアビューカメラの搭載が義務づけられている(注意が散漫になるのを防ぐためだ)。人間が乗らないのであれば、その心配はいらないとNuroは指摘する。

この適用除外には条件がある。Nuroは、自動運転システムに関する報告書を提出し、R2を実働させるときに適切に当局に通知するという条件付きで、2年間の適用除外が許されている。またこの適用除外は、2年の期間中に5000台以下のR2を製造し運用することをNuroに許可している。

R2は、ミシガン州に本拠を置くRoush Enterprises(ラウシュ・エンタープライゼズ)と提携して国内で設計生産されるが、これ以前の車両よりも耐久性の高い車体を注文に応じて作ることができ、衝撃を吸収し内側にへこむことで衝突時に歩行者などの車外の人や物を守る前面構造になっていると同社は説明している。

さらにこの車両は、ドアを改善して大きな画面を車体に備えることで、客が操作して荷室のロックを外せるようにしている。荷室の容量はR1よりも65%ト大きくなり、温度調整も可能なので、惣菜や料理も含む、傷みやすい食品を新鮮に保つことができるようになった。

画像クレジット:Nuro

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(翻訳:金井哲夫)

国土安全保障省は2020年大統領選のセキュリティー計画を立てていない

国土安全保障省のサイバーセキュリティー諮問機関は2020年大統領選挙のセキュリティー計画が「まだ出来ていない」と政府監視機関が発表した。その報告書は、米国時間2月65日に政府監査院が発表したもので、サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA、Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は、「2020年の選挙期間が始まる前に、選挙基盤のセキュリティーを確保するための戦略を実行する準備ができていない」と指摘した。

監査院は、同部門は州や自治体が各選挙基盤を堅牢にするための計画を「早急にまとめる」必要があると語った。しかしCISAは、政治運動を保護し、海外からの脅威への注意を喚起する運用計画の半分も完成できそうにないと語った。

これは2016年大統領選挙で重大な障害の原因となったのと同じ問題であり、当時はヒラリー・クリントン陣営がハッキングされたり、ロシア政府が大規模な情報操作を行うなどの事件が起きた。

報告書によると、11月時点でCISAが完了した脆弱性評価はわずか161件であり、これは選挙システムの遠隔操作を防止することを目的としており、全米の数千カ所に上る地方自治体で実施する必要がある作業だ。監査院は、CISAが投票日にセキュリティー問題が起きたときにどう対応するかの「計画を立てていない」ことも指摘している。

監査院は、CISAで現在進行中の組織変更も無計画の一因であると言う。同部門は士気の低さとに加え、少なくとも一名の要職が辞任している。昨年、CISAのサイバーセキュリティ担当次官補で、選挙システムのセキュリティーの責任者でもあったJeanette Manfra(ジャネット・マンフラ)氏は政府を離れてGoogleで新たな職に就いた

同報告書の悪事の証拠が公表されるわずか数日前、アイオワ州民主党が使用した投票集計アプリ悲惨な障害のために投票結果を予定通り公表することができなかった。この党員集会は、民主党がトランプ現大統領と戦う候補を指名する最初の取り組みだった。

CISAの広報担当者であるSara Sendek(サラ・センデク)氏は、同局は厳重な選挙体制を構築するために3年を費やし、サイバーセキュリティー部門は選挙支援の「準備を完了」していたと語った。

「CISAの仕事は終わっておらず、毎日開発と改善を続けているが、脅威の問題やシステムの安全を守るために必要な行動が何かは認識している」と広報担当者は語った。

画像クレジット:Bloomberg (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

気球ネットワーク開発のグーグル系Loonとの無人航空機開発のソフトバンク系HAPSMobileが空飛ぶ基地局を実現

Google(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)傘下のLoonは、成層圏上の気球にアンテナを乗せて、僻地にインターネットを届けようとしている。同社はこのほど、パートナーのHAPSMobileのための新しいペイロードの開発を完了した。HAPSMobileはソフトバンクの子会社で、高高度を太陽エネルギーで飛ぶ無人航空機を開発している。両社が協力して互いに適応させた通信技術により、Loonの気球がインターネットの通信を地球に送受し、それをHAPSMobileのドローンが利用してモバイルの空飛ぶ基地局になる。

そのための両社の戦略的パートナーシップは昨年4月に発表されたが、それはLoonの機能試験が初めて気球以外のプラットホーム上で行われるという意味でも重要だ。HAPSMobileが開発したHAWK30航空機は、成層圏を時速100kmあまりで飛ぶ。巡航高度は約2万mだ。しかしそれではLoonの気球よりも早すぎるので、ペイロードの方でそのスピードに適応することが必要だ。例えば、LTE接続を地上のデバイスへ送受するために使うアンテナの感度を高めて高速回転を可能にし、良質な接続を維持する。

LoonとHAPSMobileによると、両社の通信技術では700km離れていても1Gpbsの高速でデバイス間の接続を提供できる。HAWK30プロジェクトにおけるHAPSMobileの目的は、圏域を地上の基地局よりも大きくすることだ。なにしろ高高度だから、最も高い地上基地局と比べても、それがカバーする圏域は大きい。現在では全体をカバーするために何万本もの地上基地局が使われているが、この方法なら40機のソーラー航空機で足りると同社は説明する。それに地上基地局方式では避けられなかった、たくさんの細かい圏外域が減ることも期待できる。

Loonにとってこれは、運用形式の有意義な拡張であり、通信技術を互いに適応させることによって、今後いろんなタイプの航空機や送受信方式にも対応できれば売上の機会も増える。だからこれは、同社の商用パートナーシップの一例にすぎない。もちろん今の気球による展開そのものが、ユーザー企業との新たなパートナーシップを獲得することもありえるが。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

消費者向け遺伝子検査市場縮小を受けAncestryが6%の従業員を解雇

消費者向け遺伝子検査市場の活況が減速する兆しが続いている。過去2週間で、消費者遺伝子検査サービス最大手2社である23andme(23アンドミー)とAncestry(アンセストリー)をレイオフの嵐が襲った。Ancestryは2月5日、ブログ投稿で従業員を6%削減することを発表した。CNBCが最初に報じた

レイオフを発表したブログの投稿で、Ancestryの最高経営責任者であるMargo Georgiadis(マーゴ・ジョージアディス)氏は次のように述べた。

過去18か月間にわたりDNA市場全体で消費者需要が減速していることが確認された。アーリーアダプターのほとんどが市場に参加した今、DNA市場は転機を迎えている。将来の成長には、消費者の信頼構築と、人々により大きな価値をもたらす革新的な新製品の開発に継続して力を注がねばならない。Ancestryは、その革新をリードし、家族史と健康の両方で新発見を促すための良い位置にいる。

本日、市場の現実に合わせて当社の事業をさらに良い位置につけるため、焦点を絞った変革に踏み切った。これは難しい決定であり、従業員の6%に影響が及ぶ。従業員に影響を与える変更は、細心の注意を払って実行される。実施した理由は、AncestryHealth事業で見込まれる長期的な機会と中核事業である家族史事業へさらに注力し、また投資を強化するためだ。

Ancestryの動きは、1月下旬の23andMeの人員削減に続くものだ。23andMeは100人(従業員全体の約14%)の従業員を解雇した。

Business Insiderが昨年8月に報じたように、遺伝子検査会社のIllumina(イルミナ)は、DTC(Direct to Consumer、D2C)遺伝子検査市場の「やわらかさ」について警告した。

「以前はDTC市場の見込みを消費者需要に基づき予測していたが、予期しない市場の軟調を受け、近い将来の成長予測について慎重な見方をしている」と同社の最高経営責任者であるFrancis deSouza(フランシス・デソウザ)氏は第2四半期の決算報告で述べた。遺伝子検査の結果がどう使われるのか、消費者はプライバシーの問題に気づき始めたようだ。

「クレジットカードは解約できるがDNAは変えられない」と、市民団体Tactical TechのデジタルセーフティーおよびプライバシーのディレクターであるMatt Mitchell(マット・ミッチェル)氏は今年初めにBusiness Insiderに語った

プライバシーの専門家と法学者によると、米国のプライバシー法はDNA検査の結果がどのように使用されているのか、また潜在的に悪用される可能性についても現実に追いついていない。

「米国では、遺伝情報の保護に一般的なプライバシー法を適用せず、固有の問題として取り組んできたが、それは本当に悪いアイデアだったというのが関係者の結論だ」と、ブランダイス大学法学教授およびルイビル大学生命倫理健康政策法律研究所所長のMark Rothstein(マーク・ロススタイン)氏は5月にWiredに語った

GEDMatchと呼ばれるオープンソースの系図サイトから収集されたDNA証拠に基づき「ゴールデンステートキラー」の調査が行われ、最終的にJoseph James DeAngelo(ジョセフ・ジェームズ・デアンジェロ)が逮捕された一件は、消費者がこの問題についてじっくり考えるきっかけになったはずだ。

この事件では、デアンジェロの親類がサイトにアップロードした情報を、捜査官が犯罪現場でDNAと照合し、一致に近いことを確認した。その情報が他の詳細と関連付けられ、最終的に容疑者をデアンジェロに絞り込んだ。

消費者向け遺伝子検査サービスは苦戦しているかもしれないが、投資家の臨床遺伝検査に対する期待は高まる一方で、InVitaeのような上場企業の株価は上昇し、非上場会社であるColorはT. Rowe Priceのリードで投資家から約7500万ドル(約83億円)の資金を新規調達した。

画像クレジット:Andrew Brookes / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

クリスティーナ・コック氏が女性宇宙滞在記録を更新して地球に帰還

宇宙飛行士のChristina Koch(クリスティーナ・コック)氏は、ESAのLuca Parmitano(ルカ・パルミターノ)氏、ロシアのAlexander Skvortsov(アレクサンドル・スクボルツォフ)氏とともに、国際宇宙ステーション(ISS)から地上へと帰還した。米国東部標準時2月6日午前0時50分(日本時間2月6日午後2時56分)にISSにドッキングしたソユーズ宇宙船に搭乗し、予定どおりカザフスタンに米国東部標準時午前4時12分ごろ(アルマトイ時間同日午後3時12分、日本時間2月6日午後6時12分)に無事着陸した。

コック氏が米国人宇宙飛行士としてISSに328日連続で滞在し、世界で2番目に長い滞在期間となったことは意義深いものだ。これは340日間宇宙で過ごしたScott Kelley(スコット・ケリー)氏に次いで2番目に長い。また米国人女性のPeggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏の289日間を抜いて、公式には女性として世界最長の宇宙滞在となった。

NASAが指摘しているように、コック氏の宇宙滞在には5248回の地球の周回が含まれており、またISSが軌道上を移動した距離に換算すると、その総距離は1億3900万マイル(約2.2億km)であった。同氏はISS船外でもかなりの時間を過ごし、同僚の宇宙飛行士のJessica Meir(ジェシカ・メイア)氏とともに、女性だけによる史上初の宇宙遊泳となった、3回の女性だけによる宇宙遊泳を含む6回の宇宙遊泳を達成した。

コック氏と帰還した宇宙飛行士は全員、着陸時には健康なようだったが、定められた標準的な健康診断を受けることになる。ただし彼女の科学ミッションはこれで終わりではなく、同氏はNASAのArtemis(アルテミス)計画を含む、月や火星を含む太陽系での宇宙開拓への道を開く、長期宇宙滞在に関するNASAの研究に参加している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米国成人の30%が出会い系アプリを使用し12%が特定の相手を見つけている

米国における出会い系アプリの利用は上昇中であり、それに起因する問題も増加している。Pew Research Center(ピュー・リサーチセンター)が米国時間2月6日発表した最新レポートによると、米国成人の30%が出会い系アプリまたはウェブサイトを使ったことがある。2013年のわずか11%から急増した。そして米国成人の12%がオンライン出会いを通じて長期間の関係をもったことがある。さらに、ユーザーの大半はオンラインの出会いを良い体験だったと答えている。しかし、特定の分野を掘り下げてみると、ハラスメントに関する深刻な問題が浮かび上がってくる。

調査によると、オンライン出会いユーザーの37%が、自分は興味がないと言った後も出会った相手が引き続き連絡してきたと回答し、35%が露骨なメッセージや画像を送られ、28%が汚い言葉を浴びせられた。割合は少ないものの(9%)、身体的危害を受けた人もいた。

全体的に、こうした数値は女性の方が男性よりもずっと大きかったとレポートには書かれている。

具体的には、オンライン出会いを利用している女性の48%が、「ノー」と言った後も連絡され続けたことがあると答えた。46%は不快な画像を送られ、33%が汚い言葉をかけられ、11%が身体的脅威を受けた。

若い女性では数値はさらに大きくなる。18~34歳の女性でオンライン出会い系サービスを使っている10人中6人が、興味がないと伝えたあともしつこく連絡をしてこられたと答え、57%が不快な画像を送られ、44%が汚い言葉をかけられ、19%が身体的脅威を受けた。

若年層は、高齢者と比べて出会い系アプリやウェブサイトを多く使う傾向にある。これには複数の要因があると考えられる。若い世代は新しいテクノロジーを使うことに抵抗がなく、多くの高齢ユーザーは最終的に長期的関係をもったために出会い系アプリをやめるという事実がある。

ピューリサーチによると、LGBの人々は、異性愛者より出会い系アプリやうウェブを使ったことがある割合が2倍近く、それぞれ55%と28%だった。

もう1つ、このレポートの興味深い調査結果は、オンライン出会いの成功率だ。出会い系市場のリーダーであるTinderは、若年層の取り込みに最近力を入れており、「シングル」ライフスタイルを目指すユーザーをターゲットにしている。オンラインでの出会いはカジュアルなもの、結婚は何年も先、という人々だ。米国で最大かつ最も成功している出会い系プラットフォームとして2019年に12億ドル(約1318億円)を売り上げたTinderには、業界のトレンドを動かす力がある。

それに関して、米国成人の30%がオンライン出会い系を使ったことがある一方で、信頼ある関係にいたったのは出会い系ユーザーの39%にあたる米国成人の12%にすぎない。ここでも、2013年の出会い系利用者が11%、長期的関係にいたったのがわずか3%という数字よりはずっと大きい。

「2013年の調査と今回とではいくつか異なる点があるが、利用者が増え、成功率が高くなっているという全体傾向に間違いはない」とピューリサーチは説明する。

オンライン出会いにまつわる数々の問題をよそに、良い体験と答えた人(57%)の方が悪い体験(42%)よりも多い。ただし全体的にみると、アプリやサイトが米国における出会いと関係に与える影響に関ついて、人々は複雑な感情を抱いているとピューリサーチは見ている。例えば、米国人の半分が出会い系アプリは良い影響も悪い影響も与えていないと答えている。

しかし、現在出会い系アプリを使っているユーザーに、アプリの印象を尋ねたところ、期待よりも失望(45%)、楽観より悲観(35%)、安心より不安(25%)を感じていると答えた。ちなみにこれは、会いたかった魅力的な相手を簡単に見つけられるなどの好意的回答をしたのと同じ人たちだ。

また、米国成人の半数近く(46%)が、アプリやサイト経由で人と出会うことは安全ではないと考えている。そう感じている女性(53%)の方が男性(39%)よりも多い。この数値は、女性の方がアプリによるハラスメントの標的になりやすいことと相関している可能性が高い。

レポートはほかにも、出会い系アプリの利用やユーザーの感情を、地域・年齢層、教育水準別に分析しているほか、ユーザーの意見も紹介している。

全体的に見て、さまざまな結果が入り混じっている。概してユーザーはオンライン出会いに満足している。多くの人が相手候補を簡単に見つけられると考えているが、必ずしも安全ではないと思っている。ユーザーは、ハラスメントを受けることをオンライン出会い体験の一部としてある程度受け入れているようだ。これは多くの人が、ハラスメントを受けているにもかかわらず、オンライン出会い全体について好印象をもっていることから推測できる。

本調査は、オンライン出会いプラットフォームの浅薄さも指摘しているようで、いかに写真が重要(71%が非常に重要と答えた)であるかを挙げた。これは人との相性を決める価値として、趣味や関心事(同36%)、宗教(同25%)、政治(同14%)、さらには相手がどんな関係を望んでいるか(同63%)さえも上回っている。

大半の人々は、出会い系アプリには嘘つきや騙そうとしている人でいっぱいだと信じており(それぞれ71%と50%)、出会い系サイトやアプリでそうした行為が頻繁に起きていると思っている。

最後に、オンライン出会いに成功した人は、そうでない人よりもアプリやサイトに好印象を持っているようであり、これはオフラインでも同じことだ。

ピューリサーチの調査は2019年10月16日から28日にかけて実施され、4860人の回答を得た。レポート全文を読むことができる。

画像クレジット:Leon Neal / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

音楽レーベルのSnafu Recordsは次なる大物アーティストをアルゴリズムで発掘

Snafu Records(スナフー・レコーズ)は、音楽界の才能発掘に新しいアプローチを導入しつつある。米国ロサンゼルスに本社を置くスタートアップの創設者でCEOのAnkit Desai(アンキット・デサイ)氏は、同社を「初の完全サービスのAI対応レコードレーベル」と表現している。

過去5年間、キャピトル・レコードとユニバーサル・ミュージック・グループでデジタルおよびストリーミング戦略に携わってきたデサイ氏は、この業界に詳しい。世の中には、今でも才能あるアーティストは大勢いるが、レコードレーベルはそれを引き出す手段に乏しいと彼は指摘する。

「世界中が死ぬほど聞きたい音楽を生み出す女の子がインドネシアにいたとしても、その娘にチャンスはありません」と彼は言う。「彼女を世界と結ぶ架け橋は、今の世の中には存在していません。音楽業界は、非常に旧式のやり方に凝り固まっていて、アーティストの発掘は口コミが頼りです」。

レーベルの新人発掘を手伝うソフトウェアの開発を行うChartmetric(チャートメトリック)のような企業もある。しかし、デサイ氏は「私もそうしたサービスを使ったことがあります。しかしいつだって、21世紀のテクノロジーを20世紀の機械に持ち込むという結果に終わるのです」と話す。

その機械とは、つまりレコードレーベルそのものだ。そこで彼は、自分のレーベルを立ち上げることにした。Snafu Recordsだ。米国時間2月6日に正式に設立された。

このスタートアップは、シード投資290万ドル(約3億2000万円)を調達したことを発表している。主導したのはTrueSight Ventures。これに、Day One Ventures、ABBAのAgnetha Fältskog、SpotifyのJohn Bonten、William MorrisのSamanta Hegedus Stewart、Soundboksの創設者Jesper Theil Thomsen、Headstart.ioの創設者Nicholas Shekerdemianなどが参加している。

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デサイ氏によると「Sunafuのアプローチはテクノロジーを使って『基本的にあらゆる人たちが、我々に代わって音楽を聞いて才能発掘を行う』ものだ」という。

同社のアルゴリズムは、YouTube、Instagram、SoundCloudなどのサービスで、毎週、まだどことも契約していないアーティストの作品を15万曲ほど聞き、リスナーのエンゲージメント、リスナーの感想、音楽そのものを基準に評価するという。同氏は、Spotifyのトップ200リストに70〜75%の類似性があるものが狙い目だという。そのため、どこかで聞いたような曲で、そこそこ「型破り」なものとなる。

この分析結果は点数化され、それをもとにSnafuは「この膨大な音楽データから、毎週15から20の曲を抽出して、そこから人間(チーム)が関与する」という。

目標は、Snafuのアーティストとして、そのミュージシャンと契約を交わすことだ。するとアーティストは、同社の音楽業界の専門知識を活用できるようになる。これには、同レーベルのクリエイティブ責任者で、Madonn(マドンナ)、One Direction(ワン・ダイレクション)、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)らに楽曲の提供も行っているCarl Falk(カール・ファルク)氏のアドバイス、ストリーミングの収益の一部を支払ってマーケティングの支援を受けるといった内容も含まれる。Snafuは、通常のレーベルに比べてアーティストの分け前が多く、拘束期間も短いとデサイ氏は話している。

ストリーミングで(ツアーやグッズ販売と比較して)、大きなビジネスを支えるだけの収益が得られるのかを尋ねると、デサイ氏はこう答えた。「経済的な面で、ストリーミングは不当に悪く思われがちです。そこには誤解があります。ストリーミングで本当に素晴らしい数字を出すアーティストは、まだまだたくさんいます。ただジャンルが違うだけなのです」

Snafuは、本日正式に設立されたばかりだが、すでに16組のアーティストと契約している。その中にはアーカンソー州リトルロックで活動するデュオのJoan(ジョアン)やジャズミュージシャンMishcatt(ミシュキャット)がいるが、Mishcattの「Fade Away」は、リリース5週間目で500万回もストリーミングされた。

「アンキットとSnafuチームには、テクノロジーと音楽業界の深い専門知識の交差点で、新しく画期的で永続的な音楽レーベルを構築できる大きなチャンスがあります」と、TrueSight Venturesの創設パートナー、Hampus Monthan Nordenskjöld(ハンパス・モーサン・ノルデンシュルド)氏は声明の中で述べている。「音楽業界は構造的転換期にあり、21世紀の音楽レーベルはどうあるべきかを再定義するSnafuと仕事ができることを、大変うれしく思っています」。

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画像クレジット:Snafu Records

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(翻訳:金井哲夫)

Starlinerの二度目のエラーでNASAがボーイングのソフトウェア工程の見直しを要求

NASAのAerospace Safety Advisory Panel(ASAP、航空宇宙安全諮問委員会)は、12月に行われたCST-100 Starliner(スターライナー)の宇宙ステーションとの無人ドッキングテストで発見された二度目の問題を受けて、Boeing(ボーイング)のソフトウェア試験工程の見直しを推奨した。そのときStarlinerは計画どおりに宇宙ステーションと連結できなかったのだが、それは、ミッションのタイマーのエラーでカプセルが、多すぎる燃料を早すぎるタイミングで燃焼したためだった。

米国時間2月6日の会議でASAPのグループは、ミッションの過程でソフトウェアの第二の「異状」が見つかったことを明らかにした。Space Newsの記事によると、その異状はカプセルの飛行中に修正された。その問題が修正されずに見過ごされていたら、エンジンの誤噴射により「宇宙船の壊滅的な失態」に至っただろう、と顧問の一人Paul Hill氏がSpace Newsに語っている。

試験ミッションの間に起きた複数の問題を、今BoeingとNASAが調べている。両者が強調しているのは、その打ち上げはニューメキシコ州ホワイトサンズにおける大気圏突入と着陸に成功し、ISSに接続できなかったにもかかわらず、計画どおりの多くのテストを行えたことだ。

彼らの指摘によると、当時ミッションタイマーのそのエラーは、搭乗者に危険が及ぶものではなかった。しかしこの新たに発見されたエラーは、修正されなければ前のものよりも深刻だったと思われるが、カプセルの地球の大気圏への再突入の2時間前に修正された。

その結果顧問団は、Boeingのシステムエンジニアリングとソフトウェアインテグレーション、および検証試験の見直しを求めることになった。そしてそれが終了するまでは、有人無人を問わずいかなる本番打ち上げも試験飛行も行われない。12月の打ち上げに関して予定されていた次のステップも、すべてが延期になる。

顧問団によると、NASAはすでに「全社的安全性評価」を行うことを決めている。その評価は、昨年、同じく商用の有人事業であるSpaceXに対しても行われている。

そしてそのSpaceXは、顧問団によると、「近く有人飛行を行うことに関しては疑念のない段階に達しているが、正確な時期は未定」だそうだ。なかなか、心強いお言葉だ。なお、米国会計検査院が発表した、商用有人宇宙飛行に関する報告書は、最初の実用有人ミッションのためのCrew Dragonカプセルの納期が、最初のスケジュールよりも早くなった、と明かしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleマップがクラウドソースの交通情報を拡張、新ナビゲーションバーも追加

Google(グーグル)はAndroid版およびiOS版のGoogleマップのアップデートにより下部のタブバーを刷新し、新しいアイコンといくつかの新機能を追加した。特に、同社はユーザー生成コンテンツとレコメンデーション(おすすめ)に力を入れている。

アプリの下部には、Explore、Commute、Saved、Contribute、Updatesの5つのアイコンが表示される。これまでも場所を保存したり、Googleマップのリストに情報を追加したりすることはできたが、これらの機能がより見やすくなり、サイドメニューには表示されなくなった。

「Saved」 タブでは保存した場所、リスト、およびマップに簡単にアクセスできる。同じメニューからは過去のアクティビティの履歴にアクセスすることもできるが、Googleアカウントの設定で位置履歴を無効にすることも可能だ。

「Contribute」のタブでは、過去のすべてのコントリビューション(ReviewsやPhotos)を表示でき、メニューからコンテンツを直接追加することもできる。ReviewsやPhotosにくわえて、場所を検索して追加したり編集したりする代わりに、メニューから直接編集したり、場所を追加したりできるようになる。

最後に、Updatesタブは2つの既存の機能である、推薦フィード(For You)と企業からのメッセージのビューに統合している。Googleは2018年11月に企業にメッセージを送る機能を追加したが、その受信箱は見つけにくかった。

クラウドソースの交通データに関しては、Googleは交通データを混雑度レポート以外にも拡張しようとしている。Googleマップでは、旅行の最後にバスや電車に乗ったときの詳しい情報を入力するようユーザーは促される。

ユーザーは室温、アクセシビリティ、防犯カメラや警備員の存在についての質問を受け取ることになる。地域によっては、女性専用コーナーがあるかどうかも報告できる。日本では、Googleマップでより多くの車両が用意されるルートを選ぶことができる。これらの機能は3月に公開される予定だ。

同社はまた、拡張現実(AR)を使ってルートを確認できる 「Live View」 機能の改善も発表した。例えば、目的地のピンが表示されることで、目的地をより正確に把握できる。

最後に、GoogleはGoogle Mapsのロゴをアップデートした。よりミニマリズムな、Googleカラーのピンだ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

YouTubeの子供ビデオ向け100億円基金の内容が一部判明、キッズビデオ製作者のダメージ緩和へ

昨年秋、YouTubeは子供のプライバシーを保護する法律に違反したとしてFTC(連邦通信委員会)から訴追され、1億7000万ドル(約187億円)を支払うことで和解した。この機に同社は「1億ドル(約110億円)の基金を用意し子供向けコンテンツの製作を支援する」と発表した。これは児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)の適用の厳格化に伴って子供向けビデオのクリエーターが受ける打撃を少しでも緩和することが狙いだ。

FTCの訴追によりYouTubeが子供向けビデオでのターゲティング広告を中止するなどの対策を取ったため、多くのクリエーターが深刻な経済的影響を受けていた。今回、YouTubeが積極的に支援する子供向けコンテンツの内容の一部が明らかになった。

Bloomberg(ブルームバーグ)によれば、YouTubeは「同情、コミュニケーション、感謝、好奇心、人間性、チームワーク、忍耐、自己抑制、共感、創造性」をかきたてるような傾向の作品を支援するという。詳細はYouTubeのパートナーに登録しているユーザーに通知された。

この通知は「YouTubeのコンテンツは子供たちが自分自身に備わった強さと熱意を再発見することを助けるようなものとなる。YouTubeのビデオは子供たちがライフスキルを発見し、熱意をもって目的に取り組み、健康的な習慣を身に付け、自分自身を高め、文化と多様性を理解し、かつコミュニティに役立つ人間となることを助けねばならない」と述べている。

TechCrunchの取材に対してYouTubeは、この報道が正しいことを認めたうえで「YouTubeはパートナーとさらに議論を深めている。具体的にどんな作品がファンドからの支援を受けられるのかについては年内に詳細を発表できるようにしたい」と付け加えた。

YouTubeの1億ドルのファンドは今後3年間にわたって投資される予定だが、同社が子供向けコンテンツとしてどんな傾向のビデオを求めているかについての具体的な指針となるはずだ。現在、YouTubeで人気を集めている子供向けビデオは、おもちゃの開封、びっくりいたずら、家族の日常のビデオブログなどだ。たとえばRyan Kaji(ライアン・カジ)氏は「Ryan’s World」(ライアンの世界)、「Ryan ToysReview」(ライアンのおもちゃレビュー)によって、2019年に2600万ドル(約28億5700万円)を稼ぎ出し、この年のYouTubeを利用した収入でトップとなった。

しかし子供たちがこうしたカジュアルな広告入りビデオに夢中になることに両親はあまりいい顔をしていない。最近iPhoneとAndroidで視聴時間コントロール機能が強化されたおかげで両親は子供がYouTubeを見る時間を制限することができるようになった。またDisney+を始めとする子供向けコンテンツを豊富に揃えるストリーミングサービスによって、両親や子供にとってYouTube以外の選択肢も増えている。

子供向けとして適したコンテンツに投資するというYouTubeの決定は広告主を安心させ、いっそう広告を掲出させるための戦略の一環なのだろう。最近、企業はインターネットへの広告出稿にあたってウェブセーフティー、つまり広告によるブランド毀損のリスクに神経を使うようになっている。しかしこうした努力はYouTubeでは裏目に出ることも多かった。

YouTubeの広告収入は2019年には15億ドル(約1648億円)を記録するなど好調で、今のところ懸念すべき点はない。しかしテレビ広告市場が急速に縮小している現状からすればネット広告には今後さらに大幅な拡大の余地がある。TV広告は依然として巨大だ。昨年の米国におけるTV広告は700億ドル(約7兆6917億円)だった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米セブン-イレブンがレジレス実験開始、Amazon Go対抗へ

米国の大手コンビニチェーンであるセブン-イレブンがレジレス(キャッシャーレス)店舗の実験に参入する。これはAmazonがレジレス店舗、Amazon Goの普及を図るキャンペーンに力を入れていることへの対抗だ。

今週、セブン-イレブンはテキサス州アービングの本社近くに65平方mのレジレス店舗をオープンする。ただし当面利用できるのは同社の社員に限られる。レジレス店舗ではテクノロジーが人間のレジ係の代りを務める。購入と支払いのプロセスを管理するだけでなく、在庫もモニターする。

この店は飲料、スナック、料理、生鮮食品、市販薬そのほか、セブン-イレブンで売れ筋の商品をそろえる。品揃えはテストからのフィードバックによって修正される。

Amazon Goと同様、セブン-イレブンのパイロット店舗もモバイルアプリから利用する。顧客はアプリを利用して入店チェックイン、支払い、レシートの受け取りを行う。

同社によれば、システムはアルゴリズムをユーザー別にカスタマイズし、AIテクノロジーによって顧客行動の予測を行うという。シニア・バイスプレジデントであるCIOのMani Suri(マニ・スリ)氏は声明で以下のように述べている。

セブン-イレブンの目的は、顧客のショッピング体験を過去の行動から期待されるものに近づけ、スムーズかつ高速にすることだ。新種の店舗の一般公開に先立って、当社社員に公開することは現実の条件で新しいテクノロジーをテストする絶好の方法だと考える。社員であればネガティブな体験についても気兼ねなくフィードバックできるため、セブン-イレブンがシステムの動作を詳細に学び、必要があれ改善することを容易にする。このインハウスで収集された体験をベースにセブン-イレブンでは現在および将来のカスタマー・テクノロジーを構築することができる。

セブン-イレブンではこれまでもオンデマンドの配達モバイルアプリを利用した支払いなど最新のテクノロジーを利用したサービス導入に積極的だったが、AmazonがGoでコンビニ店舗ビジネスに正面から参入してきた以上、これに対抗するシステムの構築に向かうのは必然的だった。

しかしキャッシャーレス店舗市場への参入を図っているのはもちろんセブン-イレブンだけではない。

2018年にAmazon Goのコンセプトが発表されて以後、大手スーパーチェーンではWalmart(ウォルマート)本体、グループのSam’s Club (サムズクラブ)、またGiant EagleチェーンがAmazon Goに似たAIを始め各種のテクノロジーのテストを開始している。またStandard CognitionZippinGrabangoAiFiTrigoなどの会社はレジレスの店舗運営ソリューションを小売企業に販売しようと試みている。

パイロットプログラムは進行中だが、一般向けのキャッシャーレス店舗がいつオープンされるのかについては発表されていない。また利用される独自テクノロジーの詳細も不明だが、レジレス店舗は通常、カメラ、センサー、AIを複合したシステムとなるのが普通だ。

セブン-イレブングループはライセンスを付与したぶんも含め、17カ国でフランチャイズ7万店を運営している。うち北米には1万1800店舗がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

OneWebが34機のブロードバンド通信衛星の打ち上げをライブ配信

地球規模のブロードバンドインターネット衛星コンステレーションの配備を検討しているさまざまな企業のうちの1つが、宇宙における既存事業に34機の衛星を追加する。OneWeb(ワンウェブ)は米国東部標準時間の2月6日午後4時42分(日本時間の2月7日午前6時42分)、Soyuzロケットで衛星を打ち上げる。この新しい衛星は、昨年2月に軌道に投入された6機の衛星に加わる。

OneWebは、最終的には少なくとも650機の衛星を低軌道で運用したいと考えており、これにより地上の顧客にインターネットサービスを提供する。打ち上げサービスを提供するArianespace(アリアンサービス)は、OneWebのために2021年末までに最大19回のミッションを遂行し、今年中にもパイロットテスト用の接続サービスが開始され、来年には本格的な商用サービスを開始する予定だ。

OneWebは昨年、12億5000万ドル(約1400億円)の資金調達を行い、その総調達額を34億ドル(約3700億円)に引き上げ、大量生産と導入フェーズのコストをカバーする。なお、資金の大部分はソフトバンクから調達している。今回の打ち上げは年内の最初のテストを開始するのに大いに役立つだろうが、一方でSpaceX(スペースX)はすでに独自のStarlinkプロジェクトのために240機の衛星を打ち上げており、さらに60機の衛星を次々と打ち上げることから、衛星ブロードバンドインターネットサービスの競争は激化している。もちろん、SpaceXは独自の打ち上げ能力を所有しており、その展開を有利にしている。

一方、Amazon(アマゾン)は現在「Kuiper」という開発コードで同様のプロジェクトを進めているが、衛星の軌道投入はまだ始まっていない。OneWebは、海運、航空、企業、政府機関の顧客をターゲットにしており、Swarm TechnologiesやKeplerのような他の小さなスタートアップ企業も同様だ。これらの事業者がサービスを始める際には、市場投入のスピードが重要な要素となるが、潜在的な市場は巨大であり、複数の業界にまたがっているため、最終的に複数の勝者が生まれる可能性が高い。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

フランスの相乗りサービス「BlaBlaCar」が2019年に71%の急成長

フランスのスタートアップであるBlaBlaCarが業績の一部を明らかにした。2019年の同社の売り上げは、対前年比で71%増加した。2018年と2019年の違いは、バスのライドシェアや一部地域でのバスのチケットサービスを手がけて経営を多角化したことだ。

BlaBlaCarのサービスで今でも最も知名度が高いのは、長距離ライドシェアリングのマーケットプレイスだ。ある都市から別の都市へ移動したいときに、シートが空いている車を見つけ、その車に乗せてもらえるように予約をすることができる。長距離を自分の車で移動しようとする人は、このプラットフォームに登録して乗りたい人を見つければ、ガソリン代や高速道路料金の負担を分けあえる。

2018年11月にBlaBlaCarはOuibusを買収して、バスと自家用車の両方のマーケットプレイスになった。Ouibusの名称は、現在はBlaBlaBusとなっている。BlaBlaCarは自宅と職場の間の通勤相乗りマーケットプレイスも運営しており、このサービスはBlaBlaLinesという名前だ。

BlaBlaBusはヨーロッパの400の都市をカバーし、BlaBlaLinesは150万人のユーザーが利用している。つまり、BlaBlaCarは巨大なコミュニティを築いている。同社のユーザーは8700万人に上り、そのうち1700万人は2019年に登録したユーザーだ。BlaBlaCarは昨年、サービス全体で7000万人を運んだ。

フランスでは、長距離の相乗りサービスの利用者が1日に13万5000人を記録した。鉄道会社のストライキが影響していると思われる。企業としては、最高執行責任者にBéatrice Dumurgier(ベアトリス・デュミュジエ)氏を迎えた。BlaBlaCarは数年前には困難に直面したが、現在はエンジニアリングチームを2020年に2倍にしてチームを再び拡大する計画だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ディズニーは2021年にはHuluの世界的サービスを目指す

Huluは、おそらく来年には、いよいよ米国外にもサービスを拡張する。このちょっとしたニュースは、ディズニーの会長兼CEOであるBob Iger(ボブ・アイガー)氏が、今週の投資家に対する決算報告で確認したこと。21世紀フォックスの買収と、それに伴うNBCUとの取引の結果、ディズニーは完全にHuluの運営を掌握した。それにより、Huluの運営と国際的な事業計画を合理化する手段を得たことになる。手始めに、今週からHuluの組織改編に着手し、HuluのCEOであるRandy Freer(ランディ・フリーア)氏も退任することになった。

画像クレジット:Hulu

ディズニーでは、Huluを消費者向けの直販事業にうまく統合したいと考えているという。それは、国際的な展開を実現するための第一歩となるはずだ。

同社は現在、フォックスとの取引で取得した資産を活用して、Huluのオリジナルコンテンツのラインアップを充実させようとしている。さっそく来月からは、Huluはまったく新しいFXオリジナル番組の独占的なストリーミングサービスとなる。さらにHuluは、現在のFXショーのシーズン中のストリーミングと、ほとんどの現在、およびライブラリシリーズの過去のシーズンの番組を購読者に提供する。

拡充されたオリジナルのコンテンツライブラリは、Huluの番組ラインアップが米国内ほど充実していない市場で購読者を引き付けるのに役立つはず。そこにはFXだけでなく、ディズニーの他のスタジオで作られたDisney+用の「家族向け」という条件には適合しないような作品、例えばマーベルのR指定の映画なども含まれる。

ディズニーは、Huluの国際的な展開について、正確な時期を明らかにしなかった。アイガー氏は、立ち上げから活況を呈しているDisney+のグローバルな導入が最優先事項であると述べている。同社は、11月中旬に導入されたばかりのDisney+が、すでに2650万人の有料会員を獲得するまでに成長したことを発表した。それに対してHuluの会員数の合計は3040万人だが、それは約12年間の成果だ。

しかし現状では、HuluはDisney+に対する需要から利益を受けている。Hulu、Disney+、さらにESPN+をセットにして、1か月あたり12.99ドル(約1400円)で提供するサービスによるものだ。ディズニーによれば、解約率を下げるのにも役立っているという。

アイガー氏よると、Disney+はこの3月には西ヨーロッパで、さらに3月29日にはインドで、サービスを開始する予定だ。また2021年には、ラテンアメリカを含む世界各国でも利用可能となる。

「私たちは、それらの立ち上げに集中する必要があると感じています。マーケティングと作品の製作にも注力し、Disney+のすぐ後で、あるいは、それほど間を開けずにHuluも提供するのです」とアイガー氏は言う。「というわけで、Huluを提供するのは確かですが、いつからという具体的な計画は、まだありません。おそらく、国際的な展開は2021年になるでしょう。いずれにしてもDisney+の後ですね」と付け加えた。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

宇宙開発スタートアップのFireflyがあSatlantisと衛星群打ち上げミッションを契約

宇宙開発スタートアップのFirefly Aerospace(ファイアフライ・エアロスペース)は、地球観測と衛星運用のリモートセンシングペイロードメーカーであるSatlantis(サトランティス)と、新たな契約を結んだ。FireflyはSatlantisの小型衛星群を打ち上げる予定で、これは低軌道から地球の高解像度、あるいはマルチスペクトル画像を提供する。

Fireflyは同社初の「Alpha」ロケットと、宇宙船の開発とテストを進めている。同社は今年中にAlphaの初打ち上げを実施する予定で、米国時間2月4日にSatlantisとの間で結ばれた契約によれば2022年の打ち上げが予定されている。

Alfaは2段式ロケットで、機体には炭素複合材が使用されている。全長は約95フィート(約29m)で、約2200ポンド(約1トン)を低軌道に打ち上げられる。Rocket Lab(ロケット・ラボ)と同様にFireflyの目標は、相乗りミッションの予約に頼るのではなく、専用の打ち上げを行うための手頃な価格の選択肢を小型衛星の顧客へと提供することだが、実際にはそれ以上のペイロードも提供できる。

Fireflyは2020年初めに垂直状態でのエンジンの燃焼試験を実施したばかりだが、最初のテストに続く1月末の発射台でのテストは、出火により失敗した。同社は出火は燃料漏れによるものだと発表し、Alphaの改良を進めている。FireflyでCEOを務めるTom Markusic(トム・マルクシック)氏はKVUEに対し、この事故は今年半ばまでにロケットの初打ち上げを実施するという目標には影響しないと述べた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

米信用組合のCUNAがランサムウェア感染の疑いでシステムダウン

主要なロビイストであり、米国における信用組合のための組織であるクレジット・ユニオン全国協会(CUNA)は、今週初めに「サイバー攻撃」の後にシステムがダウンし、現在復帰を目指している。ワシントンDCに本社を置くCUNAは、全米の州および連邦公認の信用組合を代表し、ロビー活動、アドボカシー(政策提言)、その他の業界団体サービスを提供している。

しかし、報道機関との接触を禁じられていた事件に詳しい情報筋によると、2月3日のシステムダウンの原因はランサムウェアの影響だったという。使用されたランサムウェアの種類は現時点では不明だが、CUNAは主にMicrosoft(マイクロソフト)のソフトウェアを採用しており、これはランサムウェアの標的になることが多いと考えられている。同社のウェブサイトに掲載された報告では、システムダウンは「技術的な問題」とのみ説明されていた。

CUNAの広報担当者のVicky Christner(ヴィッキー・クリスナー)氏は、ランサムウェアがシステムダウンの原因であるとは認めず、「ビジネス停止の問題」について「サイバー事件への対応を進めている」とのみ説明した。

「CUNAは会員の社会保障番号やクレジットカード番号を保存していない」と、クリスナー氏は伝えている「これまでの調査によると、名前や会社の住所、メールアドレスなど、システム内のデータにアクセスされたことを示す証拠はない」。「我々の調査は現在も続いている」と同氏は伝えている。

今回の事件は、ランサムウェアからの防御を支援することを目的とした、模擬ランサムウェア攻撃をCUNAが実施した数か月後に発生した。CUNAへの攻撃は、ここ数カ月の間にランサムウェアの被害を受けた企業の中でも最新のケースだ。昨年はアルミニウムメーカーのAebi Schmidt、郵便・運送会社のPitney Bowes、飲料メーカーのArizona Beveragesがランサムウェアの被害を受け、それぞれ数日間システムがダウンした。

記事執筆時点では、CUNAのウェブサイトはシステムを「早急に」復帰にすると表明している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ワークフロープラットフォームのMonday.comが新バージョンを発表

米国時間2月4日、Monday.comは同社の柔軟なワークフロープラットフォームのバージョン2を発表した。このバージョンで、顧客はMonday上でもっと簡単にカスタムアプリを作ることができる。

画像:GettyImages

共同創業者でCEOのRoy Mann(ロイ・マン)氏は、同社の製品はさまざまな目的に使えるきわめて柔軟なワークフローツールで、主に中規模の企業をターゲットにしていると語る。同氏は「プロセス管理、ポートフォリオ管理、プロジェクト管理、CRMの管理、ホテル運営、R&Dの管理と、やりたいことは何でもこのツールでできる。やりたいことを組み立てるブロックを我々が提供しているからだ」と述べている。

バージョン2.0では、ブロックを組み立ててあらゆる組織やチームのニーズに合うカスタムアプリを作れるコード不要の環境を提供している。ワークフローのエレメントを使って、Monday内のプロセスを組み立てることも、ほかのアプリやサービスと統合することもできる。

実際に、新バージョンには100を超える自動化のレシピとコード不要のカスタムオートメーションがあらかじめ作られている。ほかのアプリとの統合も50種類以上用意されている。これらを使ってプロジェクトマネージャーはコーディングをしなくてもかなり高度なワークフローを作成できる。

企業がホテルを運営するカスタムアプリを構築する例。スクリーンショット:Monday.com

また、同社はMondayのプラットフォームを、このプラットフォーム上で動作するアプリを作りたい開発者に公開している。マン氏によれば、これはまだ始まったばかりで、ゆくゆくは開発者が作ったアプリのマーケットプレイスを開設する計画だという。

マン氏は「まず(プラットフォームを開発者に対して)ベータとして公開する。(当初は)開発者自身と開発者の顧客が使用するが、その後ほどなくしてアプリを(マーケットプレイスに)公開する計画だ。これは明確な方向性だ」と語る。

同社の年間経常収益は1億2000万ドル(約132億円)、顧客数は10万。これまでひっそりと事業を進めてきた。マン氏によると、従業員は370人で拠点は主にイスラエル、これまでに2億7300万ドル(約300億円)を調達した。直近の投資は昨年7月の1億5000万ドル(約165億円)で、評価額は19億ドル(約2090億円)と非常に高かった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

顧客生涯価値を予測するロサンゼルスのスタートアップ「Retina」が新たに約2億7500万円を調達

顧客の行動と今後の生涯価値を冷静に見つめるロサンゼルス拠点のスタートアップ、Retinaが新たに250万ドル(約2億7500万円)を調達した。

画像:Mykyta Dolmatov / Getty Images

前回のシードラウンドで投資したロサンゼルスのベンチャーファーム、Crosscut Venturesが今回の新たな資金を支援した。この資金調達は、ロサンゼルスのスタートアップのエコシステムのおかげで、南カリフォルニアのエコシステムを拠点とする企業は資金調達に応じてくれる投資家を近隣で探しやすくなっていることを示している。

販売業者はRetinaのShopifyアプリを使ってデータを処理し、顧客生涯価値を予測することができる。Shopifyと統合していない販売業者は、自社が持っているデータをRetinaに処理してもらって顧客生涯価値を予測できる。Retinaはオンラインの顧客獲得や返金について20〜30%のコストダウンを販売業者に対して確約している。

Retinaの広報担当者によると、同社はリーセンシー、フリークエンシー、チャーンのレートの分析に基づいて顧客獲得の計画を立てるという。同社は、顧客データまたは支払いプラットフォームに記録されているこれまでのトランザクションのログを分析してデータを収集すると公表している。

Retinaの共同創業者でCEOのMichael Greenberg(マイケル・グリーンバーグ)氏は発表の中で次のように述べている。「すべての顧客は同等に獲得されるわけではなく、実際は顧客の大多数がビジネスの妨げになる。Retinaは、最初の購入の6カ月後ではなく直後に、さらに多くの買い物をする顧客を見つける。我々のクライアントはオンライン広告の費用を何百万ドルも節約しつつ、売り上げを伸ばしている。今回の資金調達により、我々はサービスを拡大し、2020年中にさらに多くのブランドに分析を提供する」。

Madison Reedなどのオンライン販売ブランドや、カミソリのサブスク企業のDollar Shave Clubが、Retinaのプロダクトをすでに利用している。

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(翻訳:Kaori Koyama)