iPad上でWindows 3.1が動作、DOS用ゲームが遊べる「iDOS 2」アプリを利用しインストール

iPad上でWindows 3.1が動作、DOS用ゲームが遊べる「iDOS 2」アプリを利用しインストール

Benj Edwards

次期iPadOS 15はマルチタスクの強化に重点が置かれていますが、そこでもmacOSやWindowsのように複数の窓を開くシステムは先送りとなりそうです。そんななか、iPad上にWindows 3.1をインストールして、ゲーム等のサードパーティ製アプリを動かすことができたと報告されています。

テックメディアFast Companyの技術エディターであるHarry McCracken氏は、Windows 3.1をiPadにインストールする方法を見つけたとのことです。

そのやり方の手順を、How-to GeekサイトのBenj Edwards氏が分かりやすくまとめて公開しています。

具体的には、iOSやiPadOS上で昔のDOS用ゲームがプレイできる「iDOS 2」というアプリを使うというもの。本来Windowsを動かすために作られたわけではありませんが、Windows 3.1はMS-DOSからインストールできるため「DOSアプリのひとつ」として可能になっている模様です。

やるべきことは第1に、「iDOS 2」アプリをApp Storeから610円で(今のうちに)購入すること。またWindows 3.1の正規のコピーも必要となりますが、Edwards氏はその入手方法も説明しています。

Windows 3.1のファイルを入手したら、それをiPadの「ファイル」アプリ内に収納用のフォルダを作ってから転送します。次にiDOSにファイルを読み込ませ、指示に従ってすべての設定を適切にしてやれば、Windows 3.1は簡単にインストールできるとのことです。

この仮想Windows 3.1には、iDOS 2を通じてサードパーティ製アプリを追加インストールも可能です。Benj氏はInternet ArchiveからWindows 3.1用のソフトウェアを入手する方法も説明しており、ゲームや生産性向上ツールからユーティリティまで一通りが調達できます。実際に「Civilization II」など、iPad上で動作する古典タイトルのいくつかが紹介されています。

iPad上でMacのようなマルチウィンドウが動くまでには遠い道のりになると思われますが、約30年前のWindows 3.1であれ「複数の窓があれば、iPadでどのように使えるのか」はふんわりと確認できるはず。また、あえてWindows 3.1時代のアプリ縛りで仕事をしてみて、Windows 10がいかに便利になったかを実感してみるのもよさそうです。

(Source:How-to-Geek。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチング「お金の健康診断」が1.6億円を調達

お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチングサービス「お金の健康診断」が1.6億円を調達

お金の悩みを抱える個人とファイナンシャルプランナー・金融仲介業者とのマッチングサービス「お金の健康診断」を展開する400F(フォーハンドレッド・エフ)は7月13日、SPV(特定企業やプロジェクトへの投資の目的で専用ファンドを立ち上げて資金供給を行う手法)などを用いた第三者割当増資を実施、1億6000万円の資金調達を発表した。引受先は、シードスタートアップ投資を中心に行うSkyland Ventures。

お金の健康診断は、居住地域、年齢、年収、家族構成などの質問に答えると、同地域、同年代の人との比較による家計状況が判断され、それをもとにファイナンシャルプランナーや金融仲介業者からのお金に関するアドバイスがもらえるというサービス。資産運用、老後資金の準備、住宅の購入などに役立てることができる。ユーザーは、チャットを通じて専門家に気軽に相談できる。質問に答えることでお金の悩みを明確化し、自分にぴったりの「お金の相談相手」が見つかると400Fは話している。

400Fは、2017年11月に、おかねのデザインの100%子会社として設立されたが、2018年11月に「お金の健康診断」を正式リリースし事業モデルが確立し売上げが急成長したのを受けて、2020年7月にMBO(マネジメント・バイアウト:事業部門が自ら部門を買収し独立する手法)による独立を果たした。この1年で「お金の健康診断」の月間ユーザー獲得数は10倍に、獲得単位は1/10になるなど大きく成長している。今回の資金は、製品の開発とマーケティングの強化、人材採用、サービス価値向上にあてられる。

400Fは、何かと気が重くなるお金の話をプロの専門家にチャットで相談できるウェブマガジン「オカネコ」も提供している。400Fという社名は、ゴッホが生前に唯一売れた作品「赤い葡萄畑」が400フランだった逸話に由来している。後に名画として価値が急上昇したことから、無限の可能性を持ち続ける企業を目指すという意味があるという。

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ネットを介して番組や映画を「一緒に視聴」するアプリ開発スタートアップに投資家も注目

2020年の新型コロナウイルスが流行した際には「Netflix Party(ネットフリックス・パーティ)」という無料のブラウザ拡張機能が人気を博した。これを使えば、自宅に閉じ込められた人々が、遠く離れた友人や家族とつながって、同じNetflixの番組や映画を同時に視聴できる。さらに画面右側のチャットで、一緒に見ている動画について語り合うこともできる。

後にTeleparty(テレパーティ)と改名したこの会社はまだ創業したばかりだが、他にシード資金を調達した2つの若い会社と競合している。1社はロンドンで2020年12月に設立された新興企業で、7月初めにCraft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)の主導でラウンドを終えたばかりだ。もう1社はベイエリアに拠点を置く創業4年目の会社で、500 Startups(ファイブハンドレッド・スタートアップス)を含む未公開のシードラウンドで300万ドル(約3億3000万円)を調達している。

多くの投資家がバーチャルイベントや教育テック企業資金を提供しており、人々がオンライン上でより多くのことを一緒に行えるような、一種のマルチプレイヤーブラウジング体験を開発することには、まだ大きなチャンスがあると、両社は考えている。スポーツ観戦や映画鑑賞はもちろん、将来的には医師と一緒にレントゲン写真を見ることさえ可能になるかもしれない。両社は、特に若いユーザーにとって、誰かと一緒にウェブサーフィンをする機会が増えることは必然だと述べている。

両社のアプローチはやや異なっている。Craft Venturesが見込んで220万ドル(約2億4200万円)のシードラウンドを行ったGiggl(ギグル)は、2020年創業したロンドンを拠点とするスタートアップで、ウェブアプリによってユーザーをバーチャルセッションに招待する。これらのセッションは「ポータル」と呼ばれ、ユーザーは友人を招待して一緒にコンテンツを閲覧したり、テキストチャットや音声通話をすることができる。ポータルは、友人のみで集まるプライベートな部屋にすることも、誰でも参加できるように「パブリック」に設定することも可能だ。

Gigglは、19歳のCPO(最高製品責任者)であるTony Zog(トニー・ゾグ)氏を含む、一緒に育った4人のティーンエイジャーによって設立された。最近LAUNCH(ローンチ)アクセラレータープログラムを卒業したばかりだが、すでに約2万人のユーザーが毎月アクティブにサービスを利用しており、ダウンタイムを最小限に抑え、コストを削減するために、独自のカスタムサーバーを用いたインフラを構築し始めている。

同社のさらに大きなアイデアは、あらゆる種類の状況に対応できるプラットフォームを構築し、それらに応じて課金することだ。例えば、ウェブサーフィンをしているときや、Apple Worldwide Developers Conference(アップル世界開発者会議)のようなイベントを一緒に見ているときには無料でチャットできるが、さらにプレミアムな機能を有料で提供したり、コラボレーションの方法を模索している企業にはサブスクリプション販売することも計画している(Gigglが現在提供しているサービスのデモは下の動画で見ることができる)。

Hearo.live(ヒアロ・ライブ)は、500 Startupsや多数のエンジェル投資家に支援された、もう1つの「マルチプレイヤー」スタートアップだ。この会社は、Sony Worldwide Studios(ソニー・ワールドワイド・スタジオ)で13年間エンジニアリングディレクターを務め、一時期はElectronic Arts(エレクトロニック・アーツ)の一部門でCTOを務めていたこともあるNed Lerner(ネッド・ラーナー)氏が発案した。

Hearoは、Gigglのようにユーザーが何でも一緒に見ることができるわけではない。そういう意味ではより狭い戦略をとっている。その代わり、ユーザーはNBC Sports(NBCスポーツ)からYouTube(ユーチューブ)、Disney+(ディズニー・プラス)など、米国で見られる35以上の放送サービスにアクセスでき、すべてのユーザーが同じオリジナルのビデオ品質で視聴できるように、データの同期化が行われている。

Hearoはサウンドにも力を入れており、例えばユーザーたちがバスケットボールのプレーオフを一緒に見ながらコメントする場合など、複数のオーディオストリームが同時に生成される際に、参加者全員がノイズの多いフィードバックループに見舞われることがないように対策も講じている。

実際に、Hearoの小さなチームが開発したエコーキャンセラーなどの「特別なオーディオトリック」によって、ユーザーは「ノイズやその他のものに邪魔されることなく」体験を楽しむことができると、ラーナー氏はいう。なお、ラーナー氏は「Clubhouse(クラブハウス)にできることは、ほとんどすべて私たちにもできます」と語っている。「ただ、正直に言って、人が単に座って話しているだけなんて、大したことだとは思わなかったので、ご覧のように他のことに力を入れているのです」。

Gigglと同様に、Hearoとラーナー氏はサブスクリプションモデルを想定している。また、最終的にはスポーツ放送局と広告収入を分け合えるようになることを見越しており、そのためにEuropean Broadcasting Union(欧州放送連合)とすでに協力しているという。Gigglと同様、Hearoのユーザー数は、iOS、Android、Windows、macOS用のアプリのこれまでのダウンロード数が30万件、月間アクティブユーザー数が6万人と、一般的な基準からすると控えめな数字に留まっている。

このことは「オンラインで一緒に見る」ことが、果たして大きな商機になるのかという疑問を投げかけている。そしてその答えは、HearoとGigglが注目に値する技術を持ち、収益を上げる道筋を用意していても、まだ明確にはなっていないようだ。

「一緒に視聴」体験に注力しているのは、これらのスタートアップ企業が最初というわけではない。シリアルアントレプレナーのRichard Wolpert(リチャード・ウォルパート)氏が設立したアプリ「Scener(シーンナー)」は、200万人のアクティブな登録ユーザーを擁し「すべてのスタジオと最良かつ最も活発な関係を築いている」と述べている。しかし、このアプリは自らをバーチャル映画館として販売しており、その使用目的は少々異なる。

2013年に創業したRabbit(ラビット)は、人々が同じコンテンツを同時に見たり、テキストチャットやビデオチャットをすることを可能にした。Gigglが構築しているものに近いと言えるだろう。しかし、Rabbitは結局、暗礁に乗り上げてしまった。

ラーナー氏によると、Rabbitは他人の著作物をスクリーン共有していたため、同社のサービスに対する料金を請求することができなかったからだという(基本的には「個人的な金銭的利益のためでなければ、ある程度の海賊行為は許される」とラーナー氏は述べている)。しかし、新型コロナウイルスの流行が遠のき、人々が物理的な世界により積極的に関わるようになった今、このようなサービスに大きな需要があるだろうかと疑問に思うのは当然だろう。

しかし、他の人はいざしらず、ラーナー氏は心配していないようだ。同氏は、他の場所よりも携帯電話で動画を視聴する方がはるかに快適だと感じている世代がいることを指摘する。また、画面を見ている時間が「孤立したもの」になっていることに言及し、いずれは、それが「仲間と一緒に過ごす理想的な時間」、つまり一緒のソファでゲームを見るようなものになると予測している。

その予測には根拠となる前例がある。「この20年の間に、ゲームはシングルプレイヤーからマルチプレイヤーになり、ゲームの中にボイスチャットが登場して、人々が実際に集うようになりました」と、ラーナー氏はいう。「モバイルはどこにでもあり、ソーシャルは楽しいものです。同じことが、他のメディアビジネスにも起こると我々は考えています」。

Gigglのゾグ氏は、このトレンドが彼の会社にも有利に働くと考えている。「コロナ禍が終息すれば、人々がより頻繁に会うようになることは明らかです」と、同氏はいう。しかし、現実の世界における交際は、インターネット上の至るところですでに行われているオンライン交際の「代用にはならない」と考えている。

さらに、Gigglは「オンラインで一緒の時間を過ごすことが、現実の生活で一緒にいるのと同じくらい良いことだと思えるようにしたい」と考えていると、ゾグ氏は付け加えた。「それがGigglにおける最終的な目標です」。

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画像クレジット:Pavlo Conchar/SOPA Images/LightRocket via Getty Images / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

買い物データから栄養を分析しレシピを提案する「SIRU+」と西鉄ストアが健康的食生活を支援する社会実験を開始

「がんばらないヘルスケアアプリ」SIRU+と西鉄ストアが買い物内容から健康的食生活を提案する社会実験を開始

買い物から健康的な食生活を目指す「がんばらないヘルスケアアプリ」SIRU+(シルタス。Android版iOS版)を展開するシルタスは7月12日、西鉄ストアと共同で、福岡ヘルス・ラボの支援を受けた健康寿命延伸のための社会実験を開始すると発表した。

購買履歴から栄養を分析し食材・レシピを提案するSIRU+と西鉄ストアが買い物内容から健康的食生活を支援する社会実験を開始

2019年からサービスを開始した「SIRU+」は、スーパーのポイントカードなどを紐付けることで、購買履歴から栄養の偏りを可視化し、栄養バランスが整う食材やレシピを提案するというアプリ。消費者には、より健康的な食材の購入に役立ち、スーパー側にとっては、店舗や地域ごとの消費者の栄養傾向がわかり、健康的な品揃えの参考にできるという。

今回の実験では、福岡市内で西鉄ストアが運営する「にしてつストア レガット」22店舗において、にしてつストアの「ナイスカード」または「あんくるふじやカード」を持つ20代から60代の男女を対象に、購入商品の栄養バランスを自動的に分析し、不足栄養素を補う食品やレシピを提案する。2021年7月15日から8月15日まで被験者の募集を行い、利用開始から6カ月間続けられる。

社会実験の概要

  • 募集期間:2021年7月15日~8月15日(300名程度想定)
  • 参加方法:募集期間中、にしてつストアのポイントカードをアプリに登録。利用は無料
  • 実験期間:利用開始日から6カ月間
  • 対象者:「ナイスカード」または「あんくるふじやカード」を所有する20代〜60代の男女(既往などによる食事制限がない方、妊娠中・授乳中でない方)
  • 実施店舗:福岡市内の、にしてつストア・レガネットの22店舗(SIRU+利用可能店舗は、市外店舗を含む61店舗)
  • 検証内容:SIRU+の利用前後における、参加者の栄養摂取状況や健康意識、購買意識、購買行動の変化

この実験は、福岡市と福岡地域戦略推進協議会が設立した「福岡ヘルス・ラボ」の支援によるもの。福岡ヘルス・ラボは、リビングラボ(市民参加型の共創活動)の手法で、市民、企業、大学などが一体となり社会課題を解決するという取り組み。実験は、その第三期事業に採択されたことで実現した。

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数々の賞を受賞したゲーム「Alto’s Adventure」のSnowmanが子供向けアプリ会社Pok Pokを設立

数々の賞を受賞したiOSゲーム「Alto’s Adventure」「Alto’s Odyssey(アルトのオデッセイ)」「Skate City」などを開発した小規模な開発スタジオであるSnowman(スノーマン)が、教育的な子ども向けエンターテインメントに特化した新会社Pok Pok(ポク・ポク)を設立した。Pok Pokは、2021年5月末に最初のタイトル「Pok Pok Playroom」を発表している。このゲームタイトルは、未就学児を対象に、遊びを通して創造的思考を引き出すことを目的としている。

今回の発表は、Snowmanがゲーム開発スタジオとしてではなく、アプリメーカーとしての原点に立ち返るものだ。

実際、同社の最初のiOSアプリである「Checkmark」は、iPhoneユーザーに位置情報を利用したリマインダーを提供する生産性向上のためのアプリだった。しかしその後Snowmanはゲーム制作にシフトし、CirclesやSuper Squaresなどの初期リリースでモバイルゲームの需要を開拓した。しかしSnowmanが本格的にゲームへの進出を開始したのは「Alto’s Adventure」が登場してからだった。

Snowmanの共同設立者でクリエイティブディレクターのRyan Cash(ライアン・キャッシュ)氏は「Snowmanのことをビデオゲームの開発スタジオであると考えたことはありません。多くの人はSnowmanを開発スタジオだと思っているでしょう。今のところ私たちはゲーム開発でしか知られていません。これは私たちのコアビジネスのようなものです。しかし、私たちは自分たちのことを、クリエイティブな作業が好きな実験屋が集まるチームだと考えています。今はたまたまビデオゲームですが、これからも何が起こるかわかりませんよ」と語る。

画像クレジット:Snowman

Pok Pokは、実はSnowmanの実験の文化から生まれた。

Snowmanの社員であるMathijs Demaeght(マティス・デマエト)氏とEsther Huybreghts(エスター・ユイブレシュト)氏は、現在それぞれPok Pokのデザインディレクターとクリエイティブディレクターを務めているが、彼らの息子のJames(ジェームズ)が幼児だった頃、彼を楽しませるためのアプリを探していた。しかし、自分たちが探しているようなアプリがあまりないことに気づいた。

エスターは、彼を怒らせないもの、あまり専門なものではないもの、ゲーム要素がないものを求めていたと説明する。

その後次男のJack(ジャック)が生まれたとき、彼らは自分たちが欲しいと思うアプリを作ってみようと考えた。大まかなプロトタイプをライアンに見せたところ、彼はそれに可能性を見出し、彼らにやってみなさいと言ったのだ。

ライアンの姉であるMelissa Cash(メリッサ・キャッシュ)は、ディズニーで乳幼児向け製品の開発に携わっており、当時「アルトのオデッセイ」の立ち上げを手伝っていた。彼女は、エスター氏とマティス氏が取り組んでいるものを見て、感銘を受けた。

画像クレジット:Snowman

「私は5年間、子ども向けの商品の仕事をしてきましたが、このようなものは見たことがありませんでした。その時、この先20年はこの仕事をしていきたいと思ったのです」と彼女は語る。メリッサ氏はこのプロジェクトに参加し、現在はPok PokのスピンアウトのCEOを務めている。

Pok Pokは法律的には独立した会社だが、Snowmanと密接な関係を保っている。

メリッサ氏はまたこう語る。「私たちはSnowmanの中でPok Pokをインキュベートしてきました。デスクを一角に移動し、全員がメンターとして、同僚として、グループで共同作業をしています」。ライアンもやはり関わっている。「ライアンは、私たちのアドバイザーであり、ヘルパーであり、すべてです。私たちはまだ彼のための肩書きを思いついていないほどです」と彼女は付け加えた。

現在、Pok Pokのチームは6人の正社員から成るが、プロジェクトでは請負業者や専門家と協力する。一方、Snowmanは20人以上で、ほとんどがトロントにいる。しかし、Snowmanの社員の中には、30%から50%の時間をPok Pokに費やしている人もいるとライアンはいう。

当面、Pok Pokは自己資金で運営されているが、これはSnowmanが他の分野で成功を収めているおかげでもある。「アルト」シリーズだけでなく、Apple Arcade(アップルアーケード)の「Where Cards Fall」や「Skate City」など、いずれも現在PCやコンソールに展開している。また、Slingshot and Satchel(スリングショット・アンド・サッチェル)とのコラボレーションである「DISTANT」にも取り組んでいる。

2歳から6歳までの子どもを対象としたPok Pok Playroomは、Pok Pokの第1弾タイトルとして、5月20日に配信を開始した。このアプリには、子どもたちが創造的に遊べる、6つのいわゆる電子玩具が収録されている。また、これらのおもちゃは、子どもの成長に合わせて成長していく。

例えば、積み木のおもちゃは、形を動かしたいだけの幼児にとっては魅力的だが、年齢が上の子どもなら街を作ることができるかもしれない。お絵かきのおもちゃは、小さいうちは落書きができるが、大きくなってからはキャンバスになる。また、musical blobsという心を落ち着かせるおもちゃもある。これは、ラバライトのようなもので、さまざまな形の塊が跳ねたり、触ると反応したりするものだ。

すべてのおもちゃは、自由に使えるように設計されている。正しい使い方や間違った使い方はない。また、Pok Pok Playroomはゲームではない。レベルをクリアしたり、目的を達成するものではなく、買うものもない。

Pok Pok Playroomが、例えばToca Boca(トッカ・ボッカ)のようなライバル企業のゲームや電子玩具と比べて違うのは、より教育的でリアルな設計になっていることだ。

エスター氏はこう語る。「私たちは教育的なアプローチをとっており、今後のアプリについても、発売後のPok Pok Playroomがどのように成長しようとも、そのようなアプローチをとる予定です。例えば、Pok Pok Playroomには、ユニコーンも魔法使いも登場しません。すべてが現実に即しています。私たちは、子どもたちと一緒に、世界がどのように見えて、どのように機能するのかを探りたいのだと思います。私たちには、すべての子どもたちを対象にした、いわゆるアルファベットや数字では必ずしもない教育的なアプローチについてのアイデアがたくさんあります」。

画像クレジット:Snowman

また、Pok Pokでは、多様性の問題を避けるために、しゃべる動物や架空のキャラクターは使わない。代わりに、すべての人種、すべての性別、すべての家族構成、さまざまな能力や障害を持った人たちがアプリの中に登場する。

エスター氏は次のように述べる。「子どもたちがアプリの中で自分や家族、友人を認識できるようにすることは、私たちにとってとても重要なことです。私たちのチームにとって、誰もがありのままの自分や家族の姿を尊重されていると感じることがとても重要なのです。私たちはその点でトップランナーでありたいと思っています」。

約3年前から開発を進めてきたこの新アプリは、サブスクリプション方式で価格が設定されており、時間の経過とともに「電子玩具」が追加されていく。

Pok Pokは就学前の子どもを対象としているが、将来的には次の年齢層やその他のタイプの学習者を対象とした創造的なプロジェクトの設計を見越している。

Pok Pok Playroomは、発売に先立ち、約250世帯でベータテストを実施した。

Pok Pok PlayroomはiPhoneおよびiPadで利用でき、5月20日午前9時(米国東部時間。日本時間5月20日午後11時)より、14日間の無料体験版を提供する。その後の価格は、月額3.99ドル(約440円)または年額29.99ドル(約3300円)で、アプリ内課金はない。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

唾液とアプリだけで迅速・正確な新型コロナの検査を可能にする英Vatic

新型コロナウイルスのパンデミックでは、デルタ型の感染が一気に拡大する局面を迎えている。しかし、世界中で予防接種が進む今、社会にとっての主なコストは、医療サービスが逼迫することではなく、企業の従業員が追跡システムによって自己隔離を強制されるためにその会社に生じる大規模な混乱だ。このように、職場(あるいはその他の環境)におけるバイオセキュリティが非常に重要になっている。

上の段落は、英国の著名な科学者たちがパンデミックの次の段階に関して最近政府に送った公開書簡の内容を言い換えたものだ。

職場のバイオセキュリティがより効率的でなければならないとすれば、より迅速で優れた検査方法が必要になる。英国のスタートアップが、この問題を解決したかもしれないと考えている。

バイオセキュリティ企業のVatic(バティック)は、新型コロナの「KnowNow」検査を開発した。同社は、この検査が、ラテラルフロー検査よりも正確で、より速く、より簡単で(必要なのは口の中に入れる綿棒だけ)、検査データの共有が可能で、さらにサービスや職場へのアクセスを可能にする「パスポート」のQRコードも作成できると主張している。

Vaticは今回、家庭用検査の展開のために637万ドル(約7億1000万円)を調達した。まず新型コロナウイルス向け検査から始める。

今回のシード資金ラウンドは、ロンドンのVCであるLocalGlobeとHoxton Venturesが主導した。

2019年創業のVaticは、家庭内でデータを生成することを目的とした唾液ベースの検査を開発した。同社によると、検査にかかる時間は15分以内で、身体が感染を撃退したことにともなう偽陽性を回避し、検査時に実際に感染している人を特定できるという。今までの抗原検査では、200人に1人の割合で偽陽性になる可能性があった。

Vaticの検査

Vaticによると、同社の検査は、人間の細胞表面を模倣することで感染性ウイルスを特定するもので、ラテラルフロー検査の開発方法を効果的に再設計し「その精度を高めている」という。

唾液のみによる新型コロナのスピード抗原検査KnowNowは、CEマークの承認を得て、実際に英国で使用されている。唾液検査とアプリを組み合わせることで、自宅での検査結果を医療機関や他のプラットフォームと即座に共有することが可能になる。唾液を使った検査は、喉の奥や鼻腔を綿棒でこする必要がある現在のラテラルフロー検査に比べ、はるかに簡単で不快感も少ないことは明らかだ。Vaticは現在、FDA(米食品医薬品局)から緊急使用許可を得るために米国で臨床試験を行っている。

Vaticの共同創業者でCEOのAlex Sheppard(アレックス・シェパード)氏は次のように説明した。「新型コロナのスピード検査導入が最近減少している理由の1つは、サンプリング技術にあります。今の検査は、受ける人にとって非常に不快でわずらわしいものです。今後、オフィスや学校、接客業などで新型コロナが発生した際の混乱を最小限に抑え、正常な状態に戻すためには、大量の検査を行う際の苦痛を取り除く必要があります。そのために私たちは、検査と一緒にバイオセキュリティ技術を開発し、ユーザーが独自のQRコードを作成して会場に安全に入場できるようにしました」。

どのような仕組みなのか。Vaticによると、同社の技術は、感染力の指標としてウイルスの「スパイク」を探すが、ウイルスの潜在的な変異に対しても免疫があり、どのような変異があっても新型コロナを検査することができるという。

シェパード氏によれば、このVaticの検査はまだ第1段階に過ぎないという。人間の細胞の表面を模倣することで、他の感染性ウイルスも検出できる。

「私たちは、新型コロナウイルスの中から、皮下注射針のようにスパイクを使ってヒトの細胞に侵入する部分を選びました」とシェパード氏は話した。「この部分が、今回の検査で基本的に相互作用する部分です。つまり、今回の検査では人間の細胞を模倣していることになりますが、これは完全にユニークなものです。通常のラテラルフロー検査とはまったく異なるエンジンを搭載していますが、それは動力源となる化学物質がまったく異なるからです」。

Vaticの検査のもう1つの特徴は、唾液の交換検査と連動したアプリを採用していることだ。検査が終わると、暗号化されたQRコードが表示される。

「NHS(英国民保険サービス)の検査とまったく異なるというわけではありません」とシェパード氏はいう。「しかし、完全に信頼ベースのシステムなので、健康データを危険にさらす必要はありません。政府のウェブサイトに自宅の住所を書き込むわけではないのですから。もちろん、通知可能な疾患の報告に関する政府の要件を満たしていますが、健康データを提供しすぎていないことを確認できるよう設計されています。安全なのです」。

シェパード氏と共同創業者のMona Omir(モナ・オミール)氏は、オックスフォード大学の2019年9月のアクセラレータープログラム「Entrepreneur First」で出会い、その後、ロンドンの投資家と、オックスフォード大学のOxford FoundryとInnovate UKからの助成金支援の両方から資金を調達している。

LocalGlobeのパートナーであるJulia Hawkins(ジュリア・ホーキンス)氏は、次のようにコメントした。「Vaticのテクノロジーは検査の未来です。英国の多くのトップ企業が率先して、従業員の検査を事業回復計画の最優先事項としていると聞き、すばらしいことだと思っています。今回の新たな投資は、英国内および海外でのKnowNow検査の展開を成功させ、中断を最小限に抑えて経済活動を再開させるための鍵となるでしょう」。

Hoxton VenturesのパートナーであるRob Kniaz(ロブ・ニアズ)氏は「綿棒で唾液のみの採取は、不快で厄介なスピード検査の世界では真のブレイクスルーであり、Vaticチームの市場への投入の速さは非常に印象的です。Vaticにとっては、この検査は旅の始まりに過ぎず、家庭での検査という市場に革新をもたらす機会は無限にあります」。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Vatic新型コロナウイルスアプリイギリス資金調達

画像クレジット:Vatic founders, Alex Sheppard and Mona Kab Omir

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルがGoogle Playの課金をめぐり大規模な反トラスト訴訟に直面

37人の司法長官からなるグループが米国時間7月7日、複数州にまたがる2件目の大規模な反トラスト訴訟をGoogle(グーグル)に対して起こした。

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は、テネシー州、ノースカロライナ州、ユタ州の司法長官と共同でこの訴訟を主導している。超党派の連合体は、カリフォルニア、フロリダ、マサチューセッツ、ニュージャージー、ニューハンプシャー、コロラド、ワシントン、およびコロンビア特別区を含む、米国の36の州を代表している。

「Googleは、その違法行為により何億ものAndroid(アンドロイド)ユーザーが携帯電話やタブレットにダウンロードする何百万ものアプリケーションを確実にGoogleだけに頼るよう動きました」と、ジェームズ氏はプレスリリースで述べた。「さらに悪いことに、Googleは、ただ競争を求めているだけの何百万もの中小企業の活力を奪っています」。

2020年12月には、35の州がGoogleが検索ビジネスの独占を維持するために違法行為を行っているとして、Googleに対して別の反トラスト訴訟を起こした。司法省は同年10月、検索に焦点を当てた独自の独禁法訴訟を起こした。

関連記事:グーグルの「独占力」を非難する米国35州が新たな反トラスト法訴訟を提起

超党派の州連合は、この新しい訴訟の中で、Googleが「誤解を招くような」セキュリティ警告を用いて、消費者や開発者を壁に囲まれた同社のアプリガーデンであるGoogle Play Store(グーグルプレイストア)内に留めるようにしていると主張している(下の埋め込み資料参照)。しかし、GoogleがAndroidアプリの開発者から徴収している手数料が、この訴訟の本質であると思われる。

「Googleは、潜在的なライバルがGoogle Play Storeに対抗するのを妨害する違法行為を行っただけでなく、アプリ開発者や消費者をGoogleの決済システムに不当に閉じ込め、高額な手数料を請求することで利益を得ています」と、コロンビア特別区司法長官のKarl Racine(カール・ラシーン)氏は話した。

Googleは、Apple(アップル)同様、すべてのアプリの決済処理を自社のサービスであるGoogle Play Billingに集約し、すべての決済から30%を徴収することで利益を得ている。ここで批判されていることは、アプリのエコシステムをさらに厳しく管理しているAppleにもあてはまり、今後もそうあり続けると思われる。Googleは、iMessageに相当する専用アプリを持っていないため、同じようにユーザーを囲い込むことはできない。

この訴訟ではアプリ市場におけるGoogleの「独占力」が議論されているが、部屋の中の象のような存在はAppleだ。Appleは、モバイルソフトウェア分野におけるGoogleの強力な直接の競合相手である。訴訟では、消費者がAndroidのエコシステムに留まるよう圧力を受けていると主張しているが、少なくともAndroidに関しては、その多くが最終的には慣れとサンクコスト(すでに発生し回収不能な費用のこと)に起因している。Appleに対する主張の方がはるかに強いと思われる。

テック企業がアプリ開発者から高額なモバイル決済手数料を搾取しているという声は、ますます大きくなっている。今回の複数州にまたがる訴訟は最新のものだが、この話題は、Epic GamesがAppleの手数料を回避したいがためにApp Store以外でモバイル決済を行うことを求めてAppleと裁判を起こして以来、白熱している。Epicが回避策を確立したとき、AppleはEpicをApp Storeから追い出し、Epic Games対Appleの構図が生まれた

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司法省は、Appleのアプリストアでの商慣習にすでに関心を持っていると言われている。いつでも同社に対して別の訴訟を起こすことができる多くの州の司法長官も同様だ。

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タグ:GoogleGoogle Play反トラスト裁判Androidアプリ

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイク・タイソンやメイウェザーも支援、自宅でボクシングの練習ができるFightCamp

家でボクシングやキックボクシングの練習ができるインタラクティブなトレーニングシステム「FightCamp」が、9000万ドル(約10億円)の資金を調達した。その投資家たちのリストはとても長く、中には有名ボクサーの名前も多く見ることができる。

FightCampは、グローブに埋め込んだセンサーと、有料の訓練動画のセットだ。動画に従って練習していくと、パンチの回数やスピードとその上達が計測される。単純なすぎる表現をすると、それはパンチを鍛えるためのPelotonだ。

この資金調達ラウンドはNEAとConnect Venturesが仕切ったが、後者はNEAとハリウッドの芸能プロダクションCreative Artists Agencyの共同事業だ。他にSupercellのCEOであるIikka Paananen(イルッカ・パーナネン)氏やClassPassのCEOであるFritz Lanman(フリッツ・ランマン)氏、歌手のUsher(アッシャー)、そしてテレビのVikingsで武道を披露するKatheryn Winnick(キャサリン・ウィニック)氏らが投資をした。おっと、そしてもちろんMike Tyson(マイク・タイソン)やFloyd Mayweather(フロイド・メイウェザー)、格闘家のGeorges St-Pierre(ジョルジュ・サンピエール)、世界最強のパンチと言われるFrancis Ngannou(フランシス・ガヌー)ら、そのパンチで有名な人たちも数多く投資に参加している。

FightCampは今のところiOSのみだが、近くそれも変わるだろう。今回の資金調達を発表するプレスリリースで、国際展開と有料コンテンツの充実、そしてAndroidバージョンの提供を、現在計画中だと述べている。

画像クレジット:FightCamp

価格は、揃えるものによって439〜1349ドル(約4万8700〜14万9800円)までとなっている。ちなみに1219ドル(約13万5400円)なら、自力で立つパンチバッグ、その下のマット、ボクシング用グラブ、そしてその中に入れるパンチ計測用センサー「パンチトラッカー」を揃えることができる。すでにジムの器具をいろいろ揃えていて「パンチトラッカー」だけが必要なら439ドルだ。月額会費は39ドル(約4300円)。

FightCampは2016年に、パンチ力を調べるハードウェア「Hykso」でスタートした。しかし2018年に有料コンテンツに注力するようになり、FightCampを立ち上げたが、今ではすべてをこの名前の下にまとめたようだ。

同社は今回の投資の前にも800万ドル(約8億9000万円)を調達しているので、調達総額は9800万ドル(約108億8000万円)になるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:FightCampアプリ資金調達エクササイズ

画像クレジット:FightCamp

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(文:Greg Kumparak、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ARと3Dモデルを使えば知識の共有もスムーズ、無料アプリも提供するJigSpaceが約5.2億円調達

元アートディレクターのZac Duff(ザック・ダフ)氏は、2015年にゲーム開発コースをオンラインで教え始めたが、新型コロナウイルスの影響によるロックダウンが起きた後、世界中の教師が経験したのと同じ困難に直面した。そこでダフ氏は、自分の3Dデザインの経験を活かして、バーチャルリアリティの教室を構築し、生徒たちがリモート学習をもっと魅力的に感じられるようにした。この学校では、Zoom(ズーム)で講義を受ける代わりに、生徒たちはVRヘッドセットを装着して、ダフ氏が作った古代ギリシャ風の教室に移動する。

とはいえ、このような学習モデルを容易に普及させることはできないことも、ダフ氏にはわかっていた。ほとんどの学校にはVRヘッドセットの準備がないし、ほとんどの教師は10年を超えるゲームデザインの経験を持っていないため、緑の野原に蝶が舞う教室を(ダフ氏のように)作ることはできないからだ。しかし同氏は、誰もが3Dプレゼンテーションを作成し、ARで情報を共有できる、ユーザーフレンドリーなプログラムに可能性があると感じた。

「その中心にあるのは、知識の伝達です。ある人が別の人に知識を本当に効果的な方法で伝えることです」と、ダフ氏はTechCrunchに語った。同氏は、一般的なユーザーでもアイデアを伝えるためのプレゼンテーションやグラフィックを簡単に作成できる、Microsoft Powerpoint(マイクロソフト・パワーポイント)やCanva(キャンバ)のような製品に言及した。「2Dではそういったシステムがありますが、3Dではそれがありませんでした。何かを作るためには、本当に複雑で高価な技術的プロセスを経なければなりません。それが私の心に引っかかっていました」。

画像クレジット:JigSpace

それからすぐに、ダフ氏は金曜日に仕事を休んで、3Dにおける知識共有の標準を確立するための会社となるJigSpace(ジグスペース)の概要をまとめ上げた。2017年にローンチした同社のプラットフォームは、現在400万人以上のユーザーを抱え、App Store(アップ・ストア)における平均評価は4.8。JigSpaceのアプリをダウンロードすると、水漏れしたシンクを修理する方法や、乾いた壁の補修方法、あるいはLego(レゴ)Star Wars(スターウォーズ)の宇宙船の作り方などを示す3Dモデル(Jigと呼ばれる)に、ARで触れることができる。また、ピアノの構造や人間の目の仕組み、新型コロナウイルスの感染経路などを教える教育用モデルもある。JigSpaceの潜在的な使用例は多岐にわたる。ダフ氏はメーカーと協力し、自社製品のJigを作ってもらいたいと考えている。そうすれば、例えばエアコンのフィルターを交換する際に、説明書に載っている白黒の2次元の図面ではなく、3次元のモデルをARで見ることができるようになるというわけだ。

JigSpaceは米国時間6月30日、シリーズAラウンドで470万ドル(約5億2000万円)の資金を調達したと発表した。この投資ラウンドはRampersand(ランパーサンド)が主導し、Investible(インベスティブル)の他、Vulpes(ウルペス)、Roger Allen AM(ロジャー・アレンAM)などの新たな投資家も参加した。

JigSpaceのアプリは無料で利用でき、誰でも3Dモデル化されたオブジェクトのプリセットやテンプレートを組み合わせて独自のJigを作成することができる。技術的な知識を持った人なら、無料版でも30MBまでのファイルをアップロードして、よりカスタマイズされたJigを作ることもできる。しかし、Jigspaceの収益源は、商業ビジネスや製造会社向けに設計された「Jig Pro(ジグ・プロ)」プラットフォームだ。Jig Proの個人向けサブスクリプションは月額49ドル(約5450円)だが、企業向けの価格はオンラインに記載されていない。

画像クレジット:JigSpace

「当社にとって最適な分野は耐久消費財の製造業です。なぜなら、ほとんどの製造業の製品にはCADファイルがあり、3Dデータがすでに存在しているからです」と、ダフ氏はいう。「当社はそれらの企業と協力することで、製品の構造を示す素材を製作するためのツールを企業に提供することができます」。

JigSpaceはPro版を発表した直後、Apple(アップル)のiPhone 12発表イベントで取り上げられ、iPhone 12のLiDARスキャナーと5G機能を使って製造業の時間とコストを削減する方法の実例を示した。また、JigSpaceはSnapchat(スナップチャット)とも提携し、キッチン用品をスキャンすると、電子レンジやコーヒーメーカーなどがどのように動くかを示す3Dイメージ(Jig)が表示されるレンズを作成した。

Jig Proの顧客数は、2020年半ばの発売以来、毎月40%ずつ増加しており、平均的なユーザーは1日1回以上アプリにログインしているという。Verizon(ベライゾン)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Medtronic(メドトロニック)などの企業は、JigSpaceを使って3Dモデルを開発し、関係者や顧客、遠隔地の従業員に提示する方法として活用している。アップルのCapture(キャプチャ)のような製品が出てくれば、自分の3DモデルをJigSpaceに取り込むことがさらに容易になるだろう。

商業的な可能性を秘めているにもかかわらず、JigSpaceは手軽にARを通して学べるように、無料版を維持している。これはダフ氏にとって重要なことであるという。

「私たちは、トップ技術者だけでなく、情報を共有したいと思っているすべての人々に、確実にサービスを提供できるようにしたいのです」と、ダフ氏はいう。「共同設立者のNuma Bertron(ヌマ・ベルトロン)と私は、最初から無料版を提供したいと考えていました。知識は可能な限り最善の方法で人々がアクセスできるようにすべきであり、そうすべきでない理由はありません」。

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タグ:JigSpace教育資金調達アプリ3D / 3Dモデル

画像クレジット:JigSpace

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ぶちまけたレゴブロックを確認、おすすめの作品を提案するiOSアプリを公式は買収すべき

LEGOは長年Appleと緊密に連携し、iOSの未公開のテクノロジーを実験したり、WWDCなどの発表イベントでデモをしたりしてきた。その中にはかなり調整したARKitプラットフォームとレゴのセットの連携があり、実物のおもちゃにデジタルのエクスペリエンスを追加していた。

iOSのテクノロジーと実物のレゴブロックを統合した見事なアプリがApp Storeで公開されている。それはファンが作ったものだ。「Brickit」というこのアプリはLEGO Groupが作ったアプリより優れたものを目指していて、コンピュータービジョンのテクノロジーで大量のブロックをすばやく認識する。

ユーザーは、レゴブロックを重なり合わないように床にぶちまけるだけでいい。するとアプリがすぐに解析してブロックを特定し、ユーザーが持っているブロックで完全に、あるいはだいたい作れるちょっとした作品をいくつか提示する。このアプリの驚くべきところはスピードだ。数百個のブロックをほんの数秒で認識できる。

筆者自身は残念ながら大量のレゴブロックをすぐに試すことはできなかったが、TechCrunchの同僚がiOSでアプリを試してみたところ、デモと同様に順調に動作した。ブロックを特定してからおすすめの作品をスクロールして見られるようになるまでに、デモよりは少し時間がかかった。組み立てている間は、大量のブロックの中から必要なピースがある場所も教えてくれる。

Brickitのチームはこの極めてニッチなユースケースでの驚くほど効果的な使い方という形で、iOSの最新バージョンに備わっている物体認識のパワーを示している。

現状では、このアプリはサードパーティーが作ったものであるためちょっとした制限がある。App Storeには免責として、このアプリはLEGO Groupが作ったものではなく、同社の従業員でもないLEGOのファンが作ったものだと記載されている。このように記載してあるのだからLEGO Groupが過剰に反応して弁護士を立てるようなことにならないように願うが、このアプリがAppleのハードウェアを見事に活用していることを考えれば、LEGO Groupがこのアプリを買収すればいいように思える。

LEGO Group自体の関与によってBrickitでできるようになることはたくさんある。主にLEGOの組み立て説明書のライブラリとの統合だ。LEGOが2019年にBrickLinkを買収したのは、購入後の市場の創出に関してファンのコミュニティをもっと活用しようという狙いだったことは明らかだ。ユーザーが自分の持っているブロックのデータベースを作れるようにすれば、同社はユーザーが所有するコレクションに対する洞察を深め、間違いなく同社にとって価値のあるデータになるだろう。

Brickitアプリは今のところiOS版のみだが、同社のウェブサイトには2021年秋までにAndroid版を公開する予定と記載されている。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:LEGOAppleiOSアプリコンピュータービジョン

画像クレジット:Brickit

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(文:Lucas Matney、翻訳:Kaori Koyama)

プライバシーに配慮し家族全員は良い信頼関係を築ける位置情報アプリ「Life360」を著名人投資家も支援

家族のためのコミュニケーション / 位置追跡アプリ「Life360(ライフ360)」が、新たな投資ラウンドを発表した。このラウンドでは、Life360の今後の製品の方向性やマーケティングを決定するために、多くの著名な投資家やインフルエンサーを招き、新たに「ファミリー・アドバイザリー・カウンシル(家族諮問委員会)」を設立する。約210万ドル(約2億3000万円)規模となった今回のラウンドは、故Kobe Bryant(コービー・ブライアント)氏とビジネスパートナーのJeff Stibel(ジェフ・スティーベル)氏が共同で設立した会社であるBryant Stibel(ブライアント・スティーベル)が主導し、Vanessa Bryant(ヴァネッサ・ブライアント)氏、Joanna & Chip Gaines(ジョアンナ&チップ・ゲインズ)氏、Tony Hawk(トニー・ホーク)氏、Chris & Jada Paul(クリス&ジェイダ・ポール)氏、TikTok(ティックトック)のインフルエンサーであるBilly Perry(ビリー・ペリー)氏、Nicole & Michael Phelps(ニコル&マイケル・フェルプス)氏が参加した。

Life360は2年前に上場して以来、オーストラリア証券取引所(ASX)で取引されており、今回のラウンドでは、Life360のサービスに注目を集めることもできる新たな出資者を迎え入れることを重視している。同社によると、195カ国以上で毎月2800万人以上のユーザーに利用されているこのアプリは、2021年度の収益が1億1000万米ドル(約121億5000万円)を超える見込みだという。2021年3月の時点で、91万6000世帯がLife360のサービスに月額料金を支払っている。

Life360は、これらのセレブリティ投資家と同社で「ファミリー・アドバイザリー・カウンシル」を設立し、アドバイザー自身の家族の経験を活かすことで、機能開発や将来の方向性、マーケティング戦略の策定に役立てていくと述べている。

Life360はこのアプリを、子どもを監視するヘリコプターのような親だけでなく、すべての家族が使いたいと思えるものにしたいと考えており、家族の懸念に応えるべく努力してきた。実際に、Life360のChris Hulls(クリス・ハルス)CEOは2020年、TikTokに参加して、プライバシーが守られていないという10代の若者たちの不満を聞き、それを元に「Bubbles(バブルズ)」というプライバシーを尊重した機能を開発した。この機能では、正確な場所を示す青い点ではなく、大まかな場所を示す泡が表示される。これによって、10代の若者は彼らが望む自由が感じられるようになると同時に、親と子がより良い信頼関係を築くこともできる。

「企業への投資やアドバイスは、一般的に大人が行うものであり、子どもと一緒に行うものではありません」と、ハルス氏は今回の投資についての声明で述べている。「私たちは、子どもたちと一緒に製品についてアドバイスできるというユニークな機会を作るようにしています。そのような印象的な支援を得られるということは、家族の安全を守るサービスを提供する主要な企業になるという我々の長期的なビジョンを雄弁に物語っています。Life360は、親と子の両方にとって有意義で適切なブランドを作りたいと考えています。だからこそ、投資家のみなさまにも同じ精神で参加していただくのは当然のことなのです」と、同氏は続けている。

「私の情熱の1つは、子どもたちにとって相応しい機会が得られるようにすることです」と、新たに投資家となったヴァネッサ・ブライアント氏(コービーの未亡人)は語っている。「Life360を使えば、親にとっては子どもの送迎や相乗りが容易になる一方で、子どもたちには勉強や遊び、スポーツの練習をする場所が与えられ、家族全員が安全に守られていると感じることができます。10代の子どもが運転している時には、走っている場所や走行速度、電話の使用状況などを知らせる最新ツールが備わっていることで、親として安心感が高まります。娘が運転していても、助手席に乗っていても、クルマの位置や速度を確認できるのが気に入っています」と、彼女は声明で述べている。

位置情報サービスで有名になったLife360は、携帯電話に標準搭載されている「Find My(ファィンド・マイ)」のようなアプリや、携帯電話会社が提供するサービスとの競争の中で、単なる家族追跡ツールにとどまらない地位を確立しようと尽力してきた。現在、Life360の家族向けツールには、安全運転、緊急支援、個人情報保護などの機能が含まれている。

2カ月ほど前、Life360はウェアラブル位置情報機器メーカーのJiobit(ジオビット)を買収し、幼い子どもやペットなど、携帯電話を持たない家族にもトラッキング能力を拡大することを発表した。

同社によれば、この3700万ドル(約40億9000万円)の買収は約30日後に完了する予定であるという。

今回の新たな投資家を迎える前に、Life360は2021年初めにRandi Zuckerberg(ランディ・ザッカーバーグ)氏を取締役に任命し、2020年にはRussell Burke(ラッセル・バーク)氏をCFO(最高財務責任者)、Jonathan Benassaya(ジョナサン・ベナサヤ)氏をCPO(最高個人情報責任者)として経営陣に加え、ビジネスモードと製品提供に注力してきた。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Life360資金調達位置情報家族

画像クレジット:Life360

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Shopifyが売上高1.1億円以下のデベロッパーへのアプリストア手数料を免除

AppleやGoogle、そして直近ではAmazonなどの動き同様に、eコマースプラットフォームのShopify(ショッピファイ)は米国時間6月29日、同社のアプリマーケットプレイス、そして新しいShopify Theme Storeでデベロッパーに課す手数料を下げると発表した。同社のUnite 2021カンファレンスで、Checkout、API、デベロッパーツール、フレームワークなどへのアップデートを含む他のデベロッパー関連のニュースとともに発表された。

Shopifyのアプリデベロッパーパートナーは2020年に、2018年と2019年の合算を上回る2億3300万ドル(約260億円)を売り上げた。これは部分的には新型コロナウイルスパンデミックとそれにともなうeコマースへの急速なシフトによるものだと同社は話す。今日では、Shopifyのアプリストアでは6000超のアプリが提供されていて、販売事業者は経営のために平均6つのアプリを使っている。

Shopifyはアプリデベロッパーの売上にかかる手数料を、同社のプラットフォームでの年間売上高が100万ドル(約1億1050万円)以下であれば20%から0%に下げると話す。このベンチマークはプラットフォーム上で毎年リセットされ、売上高が100万ドル前後のデベロッパーにさらに稼ぐ可能性を提供する。そしてShopifyの売上高シェアが適用されると、その取り分は「余分の」売上の15%となる。つまりデベロッパーは100万ドルを超えた分の売上の15%だけを手数料として払うことになる。

同じビジネスモデルがShopifyのTheme Storeにも導入され、デベロッパーは7月15日から申し込める。

ShopifyのアプリストアとTheme Storeは別事業であり、売上高100万ドルというメトリックはそれぞれ別に適用される。新しいビジネスモデルは8月1日から展開され、アカウント情報をパートナーダッシュボードで提供して登録しているデベロッパーが利用できる。

これまでよりもデベロッパーフレンドリーなビジネスモデルはShopifyにとっては売上減を意味するが、さらにイノベーションと開発を促すことが見込まれるため、売上減の影響が「かなり大きなものになる」とは考えていない、と同社は話す。

Shopifyのアプリストアへの変更は、デベロッパーに課す手数料をめぐるアプリストアマーケットにおけるシフトに続くものだ。

2020年、アプリストア運営に対する規制当局の監視が厳しくなる中で、Appleは新しいプログラムのもとに零細事業者に課すアプリストア手数料を減額すると発表している。年間最大100万ドル稼ぐデベロッパーはアプリ内購入で払う手数料は15%に抑えられる。その後、GoogleAmazonも似たような動きを見せた。たとえばGoogleの場合、デベロッパーが稼ぐ最初の100万ドルでは15%の手数料を取る。Amazonはまだ20%と高い手数料を徴収しているが、特典としてAWSクレジットを付けている。

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AppleとGoogleは特に、こうした変更がアプリストア独占疑いでの独禁法調査から自社を守るのに役立つことを望んでいて、一方で自社のアプリ経済に参加する良い理由をデベロッパーに提供している。

モバイルはさておき、Microsoftは2021年、ライバルへの圧力を強める手段としてEpic GamesのWindows Storeでのゲーム販売の手数料を12%とすることに同意した。新しいWindows 11 Storeの大規模なアップデートでは、アプリにかかる手数料は15%のままだが、デベロッパーは独自の決済プラットフォームを使うことができる。

これまで、マーケットの大方はアプリとゲームの販売の手数料を下げることにフォーカスしてきた。Shopifyのアプリプラットフォームは他のものと異なる。eコマース事業を促進するのに使われるアプリを扱っている。出荷や配達、マーケティング、マーチャンダイジング、ストアデザイン、顧客サービスなどに関するものだ。これらは消費者向けのアプリではないが、アプリストアで販売されている。

デベロッパーの事業への変更は6月29日開催のUnite 2021で発表された大きなニュースである一方で、それはShopifyが発表したプラットフォームに関する一連のアップデートを打ち消しはしない。

主なアップデートは次の通りだ。Netflixが最初にテストしたShopifyのLiquidプラットフォームへの、よりフレキシブルでカスタマイズ可能なアップデートであるOnline Store 2.0のデビュー。すばやい対応のためのカスタムストアフロントへの投資。Hydrogenというカスタムストアフロント構築のための新しいReactフレームワーク。OxygenというShopifyでのHydrogenストアフロントをホストする方法。プロダクトと類似プロダクト、カスタムコンテンツでのMetafieldsのサポート。これまでよりも迅速なSpotify Checkout。Checkout Extensions(デベロッパーによって構築されるカスタマイゼーション)。従来より簡単でパワフルなShopify Scripts。サードパーティ決済ゲートウェイのCheckoutへの統合のためのPayments Platform。ストアフロントAPIへのアップデート。

Shopifyはまた、新たにいくつかの事業メトリクスを共有し、たとえば2020年4億5000万人超がShopifyで決済を行い、流通取引総額は1200億ドル(約13兆2640億円)だったと明らかにした。アプリデベロッパー、テーマビルダー、デザイナー、代理店、専門家などを含むShopifyパートナーの2020年の売上高は125億ドル(約1兆3815億円)と前年比84%増で、これはShopifyプラットフォームの売上高の4倍だった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Shopifyeコマースアプリ

画像クレジット:Thomas Trutschel / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Alphabetのドローン配送子会社Wingがドローンの空域承認アプリのOpenSkyを米国で公開

筆者はドローンのテストをするのが大好きだ。とても楽しいし、筆者のいつものレビューサイクルに組み込まれている。しかし自分が住んでいるニューヨーク市クイーンズあたりでテストをするのはすっかりあきらめている。このあたりは人口密度が高く、大きな国際空港が2つと刑務所が1つあるという独自の事情があり、規制のためこの辺で飛ばすのはほとんど不可能だ。

近隣で空いている空域を正確に知るのは、特にニューヨークのような大都市では難しい。米国時間6月29日、Alphabetのドローン配送子会社であるWingは、米国のGoogle PlayストアとiOSのApp StoreでOpenSkyアプリを公開すると発表した。

画像クレジット:Wing

このアプリは2019年にオーストラリアで趣味と商用の両方のドローンパイロットを対象に、CASA(Civil Aviation Safety Authority、民間航空安全局)のサポートを受けて公開された。米国版はLAANC(Low Altitude Authorization and Notification Capability、低高度の認可および通知機能)空域の飛行に関して連邦航空局の協力を得て作成された。

ドローンオペレーターはこのアプリを使って自分の近隣などの空域を飛行する承認を申請でき、これまでは数日から数週間かかっていたプロセスが短縮される。

WingはブログにQ&Aの形でこのように投稿している。「なぜドローン配送会社がオペレーター向けアプリに投資するのでしょうか?」「それは、米国には登録されたドローンがすでに200万機近くあり、すべてのドローンが規制を遵守すれば空を安全に共有できるからです。しかも規制を遵守すれば、ゆくゆくは緊急対応、商用の調査、非接触配送などドローンの利用が広がり、多くの人にとってメリットが大きくなります」。

このアプリは米国内で米国時間6月29日から利用できる。

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カテゴリー:ドローン
タグ:WingAlphabetアプリ

画像クレジット:Wing

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

日本版「ファンタジースポーツ」の普及を目指すスポーツ観戦視聴体験向上サービス「なんでもドラフト」が1.7億円を調達

日本版「ファンタジースポーツ」の普及を目指すスポーツ観戦・視聴体験向上サービス「なんでもドラフト」が1.7億円を調達

スポーツ・エンターテインメントの観戦・視聴体験を目的としたモバイルアプリ「なんでもドラフト」を開発するなんでもドラフトは6月28日、第三者割当増資による1億7000万円の資金調達の実施を発表した。引受先には、島田亨氏(USEN-NEXT HOLDINGS取締役副社長COO)、河田剛氏(スタフォード大学フットボールコーチ)、高蝶恵介氏(米国弁護士)などの投資家が含まれる。累計資金調達額は2億円に達した。

なんでもドラフトは、「リアルイベント連動型ドラフト会議アプリ」と銘打たれている。特にアメリカで人気のファンタジースポーツの形式を採り入れたものだ。ファンタジースポーツとは、あるプロスポーツで、好きな選手を集めて自分だけのオールスターチームを作ると、各選手の実際の試合での活躍に連動してチームのスコアが決まり、それで他の人たちのオールスターチームと対戦するというゲーム。海外では賞金が出るサービスもあるため、日本では賭博法や景表法に抵触する恐れがあった。「なんでもドラフト」は、そこを回避した合法的な日本版ファンタジースポーツを普及させ、新しいエコシステムを創出して日本のスポーツ界を盛り上げようとしている。

「なんでもドラフト」サービスのイメージ

スポーツ以外でも、エンターテインメント、社会、文化といった幅広いジャンルでも、それぞれのイベントで活躍する人たちのオールスターチームを作って競うこともできる。さらに、プロアマ問わず、スポーツ競技団体やチームに、試合以外でもファンに楽しんでもらうサービスの提供、テレビや新聞などのメディアとの連携も視野に入れている。

共同創設者でCEOの森井啓允氏は、TBSテレビに入社しスポーツ中継などを担当した後、宣伝プロデューサーを経て、退職後にニューヨークでMBAを取得。ソフトバンクに入社し、孫正義氏のスピーチライターをなどを務め、シリコンバレーに赴任してベンチャー投資を担当するといった経歴を持つ。

もう1人の共同創設者でCOOの並木啓悟氏は、慶応義塾大学在学中に公認会計士試験に合格し、PwCコンサルティングの米国公認会計士としてアメリカで活躍後、シリコンバレーに移住。カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得し、スタートアップの上場や資金調達を手がけてきた経歴の持ち主。双方とも日米のスポーツ事情とビジネスに精通している。

現在、「なんでもドラフト」は2021年後半のアップデートを準備中。収益の一部はスポーツ競技団体やパフォーマーへの支援および寄付にあてるという。また同社は、「世の中の廃棄を熱狂に変える!」というスローガンを掲げ、地方創生SDGs官民連携プラットフォームに参画。スポンサー企業から廃棄となる商品の提供を受け付けている。

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カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)エンターテインメント(用語)スポーツ(用語)なんでもドラフト(企業・サービス)ファンタジースポーツ(用語)資金調達(用語)日本(国・地域)

アプリで集めたデータで「生物予報」という新たな社会インフラを、京大発の「バイオーム」が描く未来

地球温暖化が進行し、豪雨や猛暑などのリスクがさらに高まることが予想されている昨今、環境保全に向けて「自然環境のデジタル化」を進めているのが、京都大学発のスタートアップであるバイオームだ。同社は開発した「いきものコレクションアプリ『Biome(バイオーム)』」で取得したデータを基に、分布状況など生物の今後を予測する天気予報ならぬ「生物予報」として、新たな社会インフラになる狙いもあるという。生物予報で害虫被害などに対して事前に対策を打てるようにしていく考えだ。

代表の藤木庄五郎氏は、学生時代に熱帯のボルネオ島で2年以上キャンプ生活をしながら、原生林の調査を行ってきた。現地で取得したデータから生物多様性を定量化するアルゴリズムの開発に成功し、その成果から2017年3月に京都大学大学院博士号(農学)を取得。同年5月にバイオームを立ち上げた。

藤木氏は環境保全活動などによって利益を生む仕組みを作ることができれば、環境課題の解決を促進できると考えている。その仕組み作りの第一歩となるのが、同社が開発したアプリとなる。藤木氏に話を聞いた。

いきものコレクションアプリ「バイオーム」

バイオームアプリは、スマホから写真を投稿すれば、独自の名前判定AIにより、日本国内に生息するほぼすべての動植物(約9万2800種)を判別できる。AndroidiOSに対応し、無料でダウンロード可能だ。

正式リリースから2年以上が経った2021年6月時点で、延べ約27万ダウンロード、アプリ内の投稿数は142万件を超えた。8000件を超える投稿しているユーザーもいるという。

アプリは、画像を基にディープラーニングで学習させた見た目の情報で生き物の名前を判定しているが、もう1つ仕組みがある。投稿画像の位置情報と日時といったメタ情報も学習させている点だ。

「例えば、蝶は世界で約2万種いますが『東京の代々木公園で4月に撮影できる蝶』といった場合、10種類程度に絞り込むことができます。位置情報と日時を組み合わせていることが、私たちの特徴的な技術になります」と藤木氏は説明する。

国内にいる動植物約9万2800種の教師画像を個々の種ごとに大量に用意しなくてもとも、位置情報や日時のメタ情報を組み込むことで、精度の高い判定を行えるようにしている。

さらに、ユーザーがアプリで投稿するたび、生き物が「いつ、どこで、どのような」活動をしているかなど、これまで取得しづらかったリアルタイムデータが集まるのだ。

「バイオームはただ名前判定を行うアプリではありません。位置情報と日時で、分布状況などの情報も扱います。これらのデータを私たちが解析し、必要な人に適切なカタチで届け、保全活動などに紐づけていくことが、重要な役割でもあります」と藤木氏は語った。

データの提供先は産学官で多くの事例があるが、環境省との連携も進んでいる。温暖化による生き物への影響を調査するため、アプリを活用。2020年11月、温暖化の影響で生息分布が北へ移動しているような生き物や、開花時期が早まった植物などを、全国のユーザーに投稿してもらうキャンペーンを実施した。バイオームが集まったデータを解析し、同省に提供している。2021年夏からも同様のキャンペーンを実施する予定だ。

新たな「社会インフラ」を目指して

「今後は環境保全がさまざまな領域で重要な課題となっていきます」と藤木氏はみる。国内でもSDGsに取り組む動きが注目され、国内外でESG投資が増えている現状もある。

ただ、これまで生物多様性などの統一された評価方法はほとんど確立されておらず、行政や企業、団体などが手探りで環境保全に取り組んでいるというのが現状だという。

「生物分布データ」の不足が、原因の1つだと藤木氏は考えている。データが不足していれば、具体的な環境保護に関する活動やビジネスも曖昧なものになってしまう。

この問題に対し、アプリによって自然環境や生物多様性についてのデータを集めていくことで、バイオームは自然環境のデジタル化を進めていく。その上で、バイオームがビジネスプラットフォームを構築。生物多様性・環境の保全活動や、サステナブルなビジネスモデルの創出などのサポートをしていく考えだ。

さらにアプリを使って生物に関するビッグデータを蓄積していくことで、藤木氏は「生物の現状をリアルタイムで把握することはもちろん、生物の将来予想となる『生物予報』を可能にしていきたいと考えています」と話した。

藤木氏によると、生物予報は「ある地域で害虫がこの1週間で増加するため、農家は対策を講じてください」といったことも可能になるという。実現すれば、農家はもちろん、食品生産業界や化粧品業界など、農家から原材料調達している企業にとっても、生物予報は有益なものになる。

「生き物の現状がわかり、予測ができることはとても重要です。天気予報のような『生物予報』というサービスが、これからの社会インフラとして役立つはず。この仕組みを確実に作り上げることで、生物多様性、あるいは環境保全に関するビジネスを行う上で、なくてはならない社会インフラになっていきたいと考えています」と藤木氏は展望を語った。

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カテゴリー:EnviroTech
タグ:バイオームアプリ日本生物多様性SDGs

iPhoneの「天気」アプリで大気の質を表示するBreezoMeterが約33.2億円を調達

Ran Korber(ラン・コーバー)氏は、喘息持ちで妊娠中の妻と一緒に、イスラエルに家を買おうとしていた。環境エンジニアである同氏は、大気汚染が早死の最大の原因であること、早産の原因になること、その他の呼吸器系の病気の原因になることを知っていた。コーバー氏はイスラエルで最も汚染の少ない都市を探し始めたが、そのような情報は存在しないことに気づいた。そこで感じた不満から、花粉、大気汚染、山火事、天候のカテゴリーで40種類の汚染物質を予測するツール、現在の「BreezoMeter(ブリゾメーター)」を作った。

同社は米国時間6月28日、Fortissimo Capital(フォルティシモ・キャピタル)が主導するシリーズCラウンドで、3000万ドル(約33億2000万円)を調達したと発表。これまでに同社が調達した資金の総額は4500万ドル(約49億8000万円)に達した。イスラエルに拠点を置くこの会社は、コーバー氏が妻と家を探していた時から約2年後の2014年に設立された。

BreezoMeterの共同創業者で、現在CEOを務めるコーバー氏は「多くの国では、人々は自分の周りの空気について何も知りません」と、TechCrunchに語った。

BreezoMeterは、AIと機械学習を活用して、世界中に設置されている4万7000基以上のセンサーを含む複数のソースからデータを収集・把握し、100カ国以上の街頭レベルの大気質データ(5メートル間隔)と、花粉、汚染物質、火災のデータを提供している。

Apple WatchやiPhoneを持っている人でも知らなかったかもしれないが、どちらもApple(アップル)の「天気」アプリにBreezoMeterが組み込まれている。どこの都市の天気でも、下にスクロールすると、BreezoMeterによる大気質の指標が表示される。米国のAQI(大気汚染指数)は、0から500のスケールで表示され、0が最もクリーンな状態。ここマイアミの空気の質は、昨日は36(良い)、今日は51(中程度)だった。それに比べてニューヨークの空気は、今日は34(良い)で、マイアミよりも良好だ。

BreezoMeterは、現在の空気の質を測定するだけでなく、予測することも可能なので、自分の感受性に合わせて準備しておくことができる。

コーバー氏は「花粉の飛散時期がいつから始まるのかを予測し、2つの異なる場所の間で花粉がどのように移動するのかを予測することができます」と語っている。

自分の感受性がよくわからなくても、自分がいる場所の空気の質を知っていれば、少なくとも症状に用心することができるだろう。

「空気中の汚染物質の種類によって、BreezoMeterはそれが引き起こす症状を教えてくれます」と、コーバー氏はいう。

問題は、汚染そのものだけでなく、大気質について大きな情報格差があることだ。環境保護庁(EPA)によると、米国では約1億2000万人の人々が、大気汚染のモニタリングが行われていない地域に住んでいるという。

「BreezoMeterが作られる以前は、誰もが同じセンサーのデータを使用していましたが、今ではそれらのセンサーに加えて、交通量、山火事、衛星、ローカルセンサーなどのデータを収集し、花粉については土地利用も考慮しています」と、コーバー氏は語る。

センサーが簡単に破壊されてしまうのは、山火事の時だ。「センサーは文字通り燃えてしまうのです」と、コーバー氏はいう。この問題を回避するために、BreezoMeterは衛星からのデータを含む、他の多数のセンサーを頼っている。

「毎日3億人以上の人々が当社のプラットフォームを利用して、環境上の危険を回避するための情報に基づいた意思決定を行っています」とコーバー氏は述べているが、誰もがアップルの天気アプリのみを利用しているわけではない。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息を持つ人であれば、Resmed(レスメド)傘下のPropeller製品に組み込まれたBreezoMeterの恩恵を受けているかもしれない。Propellerは、空気質に応じて、窓を閉めたり、吸入器を使用したりなど、健康状態を改善するために何をすべきかを患者に伝えるデバイスを製造している。

BreezoMeterによると、PropellerがBreezoMeterを製品に組み込んで以来、Propellerの患者は、喘息発作が約50%減少し、ER訪問も減ったという。

BreezoMeterは今回調達した資金を、より多くの製品カテゴリーの開発や、チームを3倍の約120人に増やすことに充てる予定だ。

関連記事:オフィスの新型コロナ対策を支援する空気品質監視プラットフォームのOpenSensorsが4.1億円調達

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:BreezoMeter空気監視iPhone資金調達イスラエルアプリ

画像クレジット:BreezoMeter

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

最も理想に近い「ポータブルXbox」をiPhoneとゲームパッドBackbone Oneの組み合わせで実現

2020年末にこちらの記事で紹介したiPhone用ゲームパッド「Backbone One(バックボーンワン)」が、ゲームアクセサリとしては究極の提携を果たした。米国時間6月28日、Xbox Cloud Gaming(エックスボックス・クラウド・ゲーミング)の提供開始に合わせて、iOS向けXbox Game Pass Ultimate(エックスボックス・ゲーム・パス・アルティメット)にバンドルされることになったのだ。

この提携の一環として、Backbone Oneは「Designed for Xbox」のスタンプが押された新しいリテールパッケージで、Xbox Game Passとバンドルして販売される。Backbone OneとiPhoneの組み合わせは、我々がこれまで見た中で最も「ポータブルXbox」に近いものだ。

前回書いた記事では、Backbone OneがiOSに組み込まれているアクセサリーAPIを巧みに利用して、専用アプリのダッシュボードに非常に洗練された機能が提供されていることを紹介した。今回、そのダッシュボードがアップデートされ、所有するゲームの表示や、新しいゲームの紹介、クリッピング機能で友人とキラープレイを共有するといった機能がさらに使いやすくなった。これは、筆者がこの数年間にiOSで見た最高のゲームアプリの1つであり、世界で最も多いゲームユーザーのために、世界で最も大きな遊び場を作る可能性を大いに秘めている。

画像クレジット:Backbone

Backbone Oneに備わるキャプチャー・ボタンは、Xbox Cloud Gamingと連携し、リンクとして共有することができる。新しいXbox Game Passのフィードを表示したり、同じインターフェイスでXboxとiOSのゲーム間を移動することも可能だ。また、現行機ではまだ十分に活用されていないが、実際には非常に優れた機能であるXbox Remote Play(Xbox リモートプレイ)機能も大きく取り上げられている。

パッケージにはAppClip(アップ・クリップ)が使用されており、店頭でパッケージを見ると、Xbox Cloud Gamingを実行中のBackbone OneがARで表示される。

Backboneチームは、その巧妙で洗練された統合と確かな直感で、引き続き感銘を与えている。チームにゲームコントローラーの血統があることは明らかだが(オリジナルのXbox 360コントローラーを開発したチームメンバーの何人かがBackboneに携わっている)、最も印象的なのはソフトウェアの面だ。Backboneが「Warzone(コール・オブ・デューティ・ウォーゾーン)」や「Minecraft(マインクラフト)」のようなAAA級のiOSゲームと、XboxやPlayStationのリモートプレイ、そして今回対応したネイティブなxCloudゲームという異なるゲーム体験を統一させた方法は、これまでApple(アップル)を含め誰も上手くできなかったことであり、モバイルゲームの未来のあり方を感じさせる。

画像クレジット:Backbone

Xbox Cloud Gamingはウェブベースであるにもかかわらず、Backboneの非常によくできたダッシュボード内ではネイティブアプリとして扱われ、表示される。筆者は個人的にBackboneで、Stadia(ステイディア)を介して「Destiny 2(ディスティニーツー)」を長時間プレイしたが、非常にすばらしかった。現在のXbox Cloud Gamingのタイトルと同じように、このダッシュボードにより直接的に統合され、クリッピングやソーシャル共有できるようになるのが待ち遠しい。

Backboneがインストールされていると、ゲームを発見し、ダウンロードして、プレイするという体験は、チームがキュレーションに力を入れていることもあり、Apple Arcade(アップル・アーケイド)よりも優れている。非常に洗練されたリンクの仕組みも取り入れられているので、アプリのクリップがフィードで共有されているのを見たら、すぐにApp Store(アップ・ストア)からアプリをダウンロードすることができる。インターネットネイティブのプレイヤーは、このような形で新しいゲームを見つけてすぐにプレイしたいと思っているはずだ。ゲームやストリームが継続的にハイパーリンクされた世界では、いちいち手動で検索する手間をかけずとも、ゲームを見たり、フォローしたり、プレイしたりすることが可能になる。

そしてそれはまた、将来的にはゲームを発見して「ダウンロード」するだけなく、友人が共有したゲームプレイの映像を見たら、それをタップするだけで、ゲームを購入する前に最初のレベルや試合を、体験プレイして夢中になれるような世界の到来を感じさせる。それは新たなプレイヤーを引き寄せる大きな入口となるはずだ。

今回のMicrosoft(マイクロソフト)との提携により、Backbone Oneを公式ウェブサイトまたはマイクロソフトストアから99ドル(約1万900円)で購入した人は、Game Pass Ultimateを3カ月間利用できる。Game Pass Ultimate3カ月分の価格だけで45ドル(約5000円)することを考えると、これは新規顧客にとって非常にお得な条件といえるだろう。そしてこの提携は、まだ歴史の浅いスタートアップ企業であるBackboneにとっても、大きな後押しとなるに違いない。

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Surface Duoの2つのスクリーンがゲーム画面+バーチャルコントローラーとして使用可能に

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Backbone OneiPhoneXbox Game PassMicrosoftiOSアプリ

画像クレジット:Backbone

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

最も理想に近い「ポータブルXbox」をiPhoneとゲームパッドBackbone Oneの組み合わせで実現

2020年末にこちらの記事で紹介したiPhone用ゲームパッド「Backbone One(バックボーンワン)」が、ゲームアクセサリとしては究極の提携を果たした。米国時間6月28日、Xbox Cloud Gaming(エックスボックス・クラウド・ゲーミング)の提供開始に合わせて、iOS向けXbox Game Pass Ultimate(エックスボックス・ゲーム・パス・アルティメット)にバンドルされることになったのだ。

この提携の一環として、Backbone Oneは「Designed for Xbox」のスタンプが押された新しいリテールパッケージで、Xbox Game Passとバンドルして販売される。Backbone OneとiPhoneの組み合わせは、我々がこれまで見た中で最も「ポータブルXbox」に近いものだ。

前回書いた記事では、Backbone OneがiOSに組み込まれているアクセサリーAPIを巧みに利用して、専用アプリのダッシュボードに非常に洗練された機能が提供されていることを紹介した。今回、そのダッシュボードがアップデートされ、所有するゲームの表示や、新しいゲームの紹介、クリッピング機能で友人とキラープレイを共有するといった機能がさらに使いやすくなった。これは、筆者がこの数年間にiOSで見た最高のゲームアプリの1つであり、世界で最も多いゲームユーザーのために、世界で最も大きな遊び場を作る可能性を大いに秘めている。

画像クレジット:Backbone

Backbone Oneに備わるキャプチャー・ボタンは、Xbox Cloud Gamingと連携し、リンクとして共有することができる。新しいXbox Game Passのフィードを表示したり、同じインターフェイスでXboxとiOSのゲーム間を移動することも可能だ。また、現行機ではまだ十分に活用されていないが、実際には非常に優れた機能であるXbox Remote Play(Xbox リモートプレイ)機能も大きく取り上げられている。

パッケージにはAppClip(アップ・クリップ)が使用されており、店頭でパッケージを見ると、Xbox Cloud Gamingを実行中のBackbone OneがARで表示される。

Backboneチームは、その巧妙で洗練された統合と確かな直感で、引き続き感銘を与えている。チームにゲームコントローラーの血統があることは明らかだが(オリジナルのXbox 360コントローラーを開発したチームメンバーの何人かがBackboneに携わっている)、最も印象的なのはソフトウェアの面だ。Backboneが「Warzone(コール・オブ・デューティ・ウォーゾーン)」や「Minecraft(マインクラフト)」のようなAAA級のiOSゲームと、XboxやPlayStationのリモートプレイ、そして今回対応したネイティブなxCloudゲームという異なるゲーム体験を統一させた方法は、これまでApple(アップル)を含め誰も上手くできなかったことであり、モバイルゲームの未来のあり方を感じさせる。

画像クレジット:Backbone

Xbox Cloud Gamingはウェブベースであるにもかかわらず、Backboneの非常によくできたダッシュボード内ではネイティブアプリとして扱われ、表示される。筆者は個人的にBackboneで、Stadia(ステイディア)を介して「Destiny 2(ディスティニーツー)」を長時間プレイしたが、非常にすばらしかった。現在のXbox Cloud Gamingのタイトルと同じように、このダッシュボードにより直接的に統合され、クリッピングやソーシャル共有できるようになるのが待ち遠しい。

Backboneがインストールされていると、ゲームを発見し、ダウンロードして、プレイするという体験は、チームがキュレーションに力を入れていることもあり、Apple Arcade(アップル・アーケイド)よりも優れている。非常に洗練されたリンクの仕組みも取り入れられているので、アプリのクリップがフィードで共有されているのを見たら、すぐにApp Store(アップ・ストア)からアプリをダウンロードすることができる。インターネットネイティブのプレイヤーは、このような形で新しいゲームを見つけてすぐにプレイしたいと思っているはずだ。ゲームやストリームが継続的にハイパーリンクされた世界では、いちいち手動で検索する手間をかけずとも、ゲームを見たり、フォローしたり、プレイしたりすることが可能になる。

そしてそれはまた、将来的にはゲームを発見して「ダウンロード」するだけなく、友人が共有したゲームプレイの映像を見たら、それをタップするだけで、ゲームを購入する前に最初のレベルや試合を、体験プレイして夢中になれるような世界の到来を感じさせる。それは新たなプレイヤーを引き寄せる大きな入口となるはずだ。

今回のMicrosoft(マイクロソフト)との提携により、Backbone Oneを公式ウェブサイトまたはマイクロソフトストアから99ドル(約1万900円)で購入した人は、Game Pass Ultimateを3カ月間利用できる。Game Pass Ultimate3カ月分の価格だけで45ドル(約5000円)することを考えると、これは新規顧客にとって非常にお得な条件といえるだろう。そしてこの提携は、まだ歴史の浅いスタートアップ企業であるBackboneにとっても、大きな後押しとなるに違いない。

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Surface Duoの2つのスクリーンがゲーム画面+バーチャルコントローラーとして使用可能に

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:Backbone OneiPhoneXbox Game PassMicrosoftiOSアプリ

画像クレジット:Backbone

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2021年上半期のモバイルアプリ支出額が過去最大の7兆円超え、ダウンロード成長は鈍化

消費者のモバイルアプリ支出が2021年上半期に過去最多の649億ドル(7兆1780億円)となったことがアプリストア調査会社Sensor Towerの予備分析データで明らかになった。App Store、Google Playでの支出額は前年同期に比べて24.8%増加した。しかし業界の専門家はパンデミックによるモバイルへの加速的なシフトは今後も継続するとみている一方で、これは指摘するに値するが、過去最多の支出額にもかかわらず支出額の成長率はわずかに鈍化し、ダウンロード数の成長率はさらに大幅に縮小した。

2019年上半期から2020年上半期にかけて、モバイルアプリでの支出額は405億ドル(約4兆4780億円)から520億ドル(約5兆7500億円)へと28.4%増えた。その前の成長率を24.8%下回った。

画像クレジット:Sensor Tower

2021年上半期のグローバル支出のうちAppleのApp Storeが415億ドル(約4兆5900億円)を占め、これはGoogle Playの234億ドル(約2兆5860億円)の1.8倍だった。

しかしGoogle Playは引き続き成長を加速させていて、App Storeが2020年上半期の340億ドル(約3兆7580億円)から22.1%成長したのに対し、Google Playは180億ドル(約1兆9890億円)から30%増だった。これは部分的には、フィリピンのように新型コロナウイルスによるパンデミックで事業閉鎖や自宅待機を余儀なくされたマーケットの需要による、とSensor Towerは指摘した。

ゲーム以外の消費者支出はスポーツ、金融、ビジネス、本、エンターテインメントのアプリに支えられた。トップ100にランクインしているサブスクベースのアプリ(ゲームを除く)が支出の大半を占め、83億ドル(約9175億円)だった。2021年上半期に売上が最も多かったアプリは引き続きTikTokで、YouTubeとトップ常連のTinderが続いた。

画像クレジット:Sensor Tower

もちろん、モバイルゲームが全体の支出額に最も貢献し、2021年上半期の支出額は447億ドル(約4兆9380億円)に達した。うち260億ドル(約2兆8720億円)がApp Storeでのものだったが、成長は2020年上半期の26.5%から2021年上半期には13.5%に減速した。

画像クレジット:Sensor Tower

2020年上半期に売上高が最も多かったゲームは順に、TencentのHonor of King(150億ドル超、約1兆6570億円)、PUBG Mobile(中国版も含め約15億ドル、約1660億円)、Genshin Impact(8億4800万ドル超、約940億円)、Roblox、Coin Masterだった。

モバイルアプリのダウンロードの成長は2021年上半期に大幅に減速したとSensor Towerは指摘した。

2020年、消費者はパンデミックの影響で仕事、教育、買い物、健康、グローサリーなどのためにアプリに目を向け、新しいモバイルアプリのインストールは世界中で大幅に増えた。2020年上半期、アプリインストールは前年同期比25.7%増の713億回に達した。しかし2021年上半期にはダウンロードはわずか1.7%増にとどまり725億回だった。

画像クレジット:Sensor Tower

App Storeではゲーム以外のインストールの前年同期からの減少はさらに顕著で、2020年上半期の183億回から2021年上半期は163億回に減った。これについてSensor Towerは、経済や対面での活動が再開した米国のようなiOSユーザーが多いマーケットでは消費者の注意をひく競争が激化していることの表れだと考えている。

一方、Google Playでの(ゲーム以外)のインストールは2020年上半期の530億回から2021年上半期は562億回へと6%増加した。これはいまだにパンデミックの影響を受けているインドのようなAndroidが主流のマーケットでのアプリに対する需要と結びついているかもしれない。結果として、Google PlayでのアプリインストールはApp Storeの3.5倍だった。

画像クレジット:Sensor Tower

ゲーム以外のアプリで最もダウンロード数が多かったのはTikTokで、2021年上半期中の新規インストールは3億8460万回だった。しかしこれは前年同期の6億1900万回から約38%減だった。2020年インドで禁止されたことが響いたのかもしれない。アプリダウンロードのトップ5の残りはFacebookがほぼ独占し、第2位がFacebook、第3位がInstagram、第4位がWhatsAppだった。そしてTelegramが第5位で、Messenger、Zoom、Snapchat、CapCut、Google Meetが続いた。

一方、モバイルゲームのダウンロードはApp Storeでは22.8%減の44億回だったが、Google Playでは前年同期比3.9%増の237億回と成長した。

発表されたデータは予備分析のものであり、今後より正確なものになるかもしれない。また全体像を把握するのに他の会社の分析レポートと比較する価値もあるだろう。

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カテゴリー:その他
タグ:Sensor TowerアプリApp StoreGoogle Play

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Kayakの共同創業者がポッドキャスト発見アプリ「Moonbeam」をリリース

ポッドキャストのダウンロードは昨年、空前のブームとなった。そしてKayak(カヤック)の共同創業者でテック起業家のPaul English(ポール・イングリッシュ)氏は毎日聴く熱心なリスナーになった。しかしポッドキャストを愛する人は、ポッドキャストを探すのが難しいものであることを知っている。Apple PodcastsやSpotifyのような人気のストリーミングアプリすら使える発見ツールを欠いている。そうしたことから、先週Spotifyがポッドキャスト発見アプリのPodz(ポッズ)を買収したのは、この業界における新しいコンテンツを発見する簡単な方法に対する需要が次第に増している事実を示すものとなった。

イングリッシュ氏は6月24日、パーソナライズされたレコメンデーションを提示するのに機械学習と人間によるキュレーションをミックスさせたポッドキャスト発見アプリMoonbeamを立ち上げた。ユーザーが好きそうなニュースフィードスタイルのコンテンツストリームを作るという、Podzが提供しているものと似ているように聞こえるかもしれない。しかしMoonbeamは、ポッドキャストホストがMoonbeamで特集する自身の番組のクリップを選べるようにしているクリエイターフレンドリーなプラットフォームを作ることで賭けに出ている。Moonbeamはまた、ファンが番組を気に入った場合、そのクリエイターにチップを送れるようにもしている(Moonbeamは手数料を取らないが、ポッドキャスターが考慮に入れなければならないアプリ内購入手数料はある)。

「Podzは発見のための1つのアプローチですが、多くの人がこの問題に取り組むべきニーズがあると考えています」とイングリッシュ氏はTechCrunchに語った。「MoonbeamがPodzと異なる点は、人間のエディターがいることです」

イングリッシュ氏は、部分的には洗練された発見アルゴリズムのお陰でユビキタスな存在になったTikTokに感化された。エンジニアとして、同氏は楽しみでInstagramやTwitterなどのアプリをよく再設計する。しかしポッドキャスティングに興味を持つようになるにつれ、同氏はTikTokのように機能しつつ新しいポッドキャストを見つけるのを手伝うアプリを作りたくなった。TikTokでいうとFor Youページに相当するBeamセクションでは、長さ数分のクリップをユーザーに提供する。そうしたクリップにどのように反応するかに基づき、アルゴリズムはあなたがどういう種のポッドキャストを視聴したいかを学習する。

「機械学習はあなたの友人よりもあなたにうってつけのコンテンツを探すことができます。あなたが持っているのと同じような面白いユーモアのセンスを持っている人をドイツで発見するかもしれません。あなたの最も親しい友人とは少し違うかもしれません」とイングリッシュ氏は話した。「機械学習はユーザークラスタリングをします。あなたが好きなものと似たようなものを好むユーザーを見つけると、Moonbeamでそうしたユーザーが聴いている番組を共有できます」

しかしMoonbeamのようなアプリで注意が必要なのは、多くの人がアプリを使うほどに、さらに機能するようになることだ。公正に言うと、アプリは6月24日にリリースされたが、初期段階ではポッドキャストレコメンデーションの多くは比較的よく知られた番組から選ばれる。しかしすでに多くのポッドキャストがあることから(全ての番組がNPRによって制作されているわけではない!)、問題は「This American Life」を発見することではないということだ。大手制作スタジオのサポートがなければポッドキャスト業界で試みようとしないような新出のクリエイターを探している。クチコミにより一晩でセンセーションを起こすことが十分可能であり、これはクリエイターにとってTikTokを価値あるものにしている要素だ。ポッドキャスター向けに同じような価値を生み出すアプリがあったらどうだろう?

Moonbeamは2週間ごとにソフトウェアをアップデートする計画だ。アップデートではリスナーがお気に入りのポッドキャストを制作したチームとやり取りできるようにする一連のツールを導入する見込みだ。こうした機能の最初のものとなるチップはすでにアプリに導入されている。間もなく、ファンとポッドキャスターはMoonbeamでシェアするために自前のクリップを作ることができるようになる。Moonbeamのウェブサイトに誘導するポッドキャストのホストは現在、自身の番組を宣伝し、そのクリップを作ることができる。Headlinerのようなアプリよりもナビゲートするのはややスムーズではないが、機能的だ。

「リスナーとホストの間にかなりのツールを追加するつもりです」とイングリッシュ氏は話した。「関係構築はとても重要です。我々はそれを直接プレイヤーの中でしたいと考えています。Facebookや他のサイトに行く必要はないようにしたいのです」

Moonbeamではアプリでエピソード全てを聴いたり、特定の番組を検索したりできるため(たとえBeamに表示されなくても)ポッドキャッチャーとしても機能するが、ポッドキャッチャーはたくさんある一方で発見アプリはそうではない。Moonbeamがそうした状況を変えることを期待したい。

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画像クレジット: Moonbeam

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi