iOS用ドキュメント作成アプリCraftが約8.8億円調達、ブラウザベースエディターも提供予定

2020年11月に発表されたばかりのドキュメント作成・共有アプリ「Craft(クラフト)」は、iOS用アプリとしてゼロから構築されたものだが、Creandum(クリーンダム)が主導するシリーズAラウンドで、800万ドル(約8億8300万円)の資金を調達した。このラウンドにはInReach Ventures(インリーチ・ベンチャーズ)や、Skyscanner(スカイスキャナー)の共同設立者で元CEOのGareth Williams(ガレス・ウイリアムズ)氏をはじめとする多くのテック系起業家(その多くは元Skyscanner)が参加した。

現在、iOS、iPadOS、MacOS用に提供されているCraftは、2021年にいくつかのAPIや拡張統合、そしてブラウザベースのエディターの提供を開始する予定だ。Notion(ノーション)と同じような製品になることを目指しており、同社の創業者でCEOを務めるBalint Grosz(バリント・グロス)氏は、Zoom(ズーム)のビデオ通話で次のように筆者に語った。「NotionはライティングやWikiなどに非常に重点を置いています。私たちの製品にはNotionから多くのユーザーがきていますが、私たちは主に文章によるコンテンツを扱う人々にとって、より良いソリューションを提供できると信じています。Notionは、データベースや構造的なコンテンツに非常に強く、人々は図らずもそれ以外のものにも使っているだけなのです。製品が似ていることもあり、ユーザーからは非常に強力な競争相手として見られていますが、両者の市場が重なることはあまりないと思います。現時点では、外部にNotionから我々の製品に乗り換える人がいて、そういう人々が競争相手として認識しているようです」。

これはアプリの体験そのものよりも「階層化されたコンテンツ」によるものだとグロス氏はいう。「私たちの製品は、ノートの中にノートを作ることができる構造を持っています。つまり、テキストの塊ごとにコンテンツを追加し、スタイルをナビゲートして、その中に追加していくことができます。Notionも同様です。これは他の多くの製品にはない機能であり、それが当社とNotionが比較される最大の理由です」。

Craftは、Notionに対する主な優位性として、UX、データの保存とプライバシー(Craftはオフラインファーストで、リアルタイムの同期とコラボレーションが可能。iCloudのようなサードパーティーのクラウドサービスも利用できる)、他のツールとの統合を挙げている。

グロス氏は、以前在籍していたDistinction(ディスティンクション)がSkyscannerに買収された後、同社のモバイル戦略を担当していた。

CreandumのゼネラルパートナーであるFredrik Cassel(フレドリック・カッセル)氏は、声明の中で次のように述べている。「最初に話し合いを持った時から、ユーザーがCraftに寄せる愛情の大きさと、美しさとパワフルさを同時に兼ね備えた製品を作るチームのユニークな能力の両方に感銘を受けました。今後予定されているコネクティビティやデータアクセシビリティに関する機能は、Craftを競合製品とは一線を画したものにするはずです」。

CraftのiPad用アプリ(画像クレジット:Craft)

InReach Venturesの共同創業者であるRoberto Bonanzinga(ロベルト・ボナンジンガ)氏は、次のように付け加えた。「何百万人もの人々が自分の考えを構成し、最も効果的かつ美しく書き留める方法を再発明するという、バリントのビジョンの明快さと大胆さに魅了されて、私たちはCraftに迷わず投資しました」。

Craftの起ち上げと資金調達は「Skyscanner マフィア」のようなものが出現していることを示唆している。Skyscannerは、2016年に中国最大の旅行会社である現在のTrip.com Group(トリップドットコム・グループ)、当時のCtrip(シートリップ)に17億5000万ドル(約1934億円)で買収された。

その他の支援者には、元SkyscannerのCPOでGoCardless(ゴーカードレス)のCTPOだったCarlos Gonzalez(カルロス・ゴンザレス)氏、元Skyscannerの戦略担当VPだったFilip Filipov(フィリップ・フィリポフ)氏、元Dorsai(ドルサイ)のCEOでTravelPerk(トラベルパーク)のCPOであるRoss McNairn(ロス・マクナイアン)氏、元Apple(アップル)のテクノロジー&パートナー・マネージャーだったStefan Lesser(ステファン・レッサー)氏、元Skyscannerの技術責任者でShapr3D(シェイパースリーディー)のエンジニアリング担当VPであるAcos Kapui(アコス・カプイ)氏などがいる。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:CraftアプリiOSmacOSiPadOS資金調達テキストエディター

画像クレジット:Craft

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

米国のiPhoneユーザーは2020年に平均1万5200円をアプリに支出

アプリストア分析会社Sensor Towerが発表した新しいデータによると、米国の消費者は2020年、iPhoneアプリに前年比38%増の平均138ドル(約1万5200円)を使った。この増加は主にパンデミックの影響によるものだ。1年を通じて消費者は仕事、教育、エンターテインメント、ショッピングなどのためにiPhoneを使い、ユーザー1人あたりのアプリ支出額は前年比42%増と過去最多となり、年間成長率も2016年以来の高さとなった。

Sensor Towerは消費者支出の増加傾向が2021年も続くと予想し、米国でアクティブのiPhone1台あたりの消費者支出は平均180ドル(約1万9900円)に達する見通しだとTechCrunchに話した。こちらも、少なくとも部分的にはパンデミックによる増加で、特にパンデミックが焚き付けたモバイルゲームへの支出の増加が要因だ。

画像クレジット:Sensor Tower

2020年の米国におけるiPhoneアプリの支出増加は世界のトレンドを反映した。Sensor Towerによると消費者はiOSとAndroidアプリで過去最多の1110億ドル(約12兆2741億円)を、App Annieによると1430億ドル(約15兆8126億円)を使った。App Annieの分析には中国のサードパーティーAndroidアプリストアも含まれている。

関連記事:モバイルアプリが成長を続けた2020年、ダウンロード数は記録的な2180億件に、消費者支出は約1兆4900億円

2020年の米国のiPhone消費者支出が最も多かった部門は、もちろんゲームだ。

米国ではデバイス1台あたりのモバイルゲームへの支出は2019年の53.80ドル(約5950円)から2020年には76.80ドル(約8490円)へと43%増えた。これは、44ドル(約4865円)だった2018年から53.80ドル(約5950円)だった2019年にかけての成長率22%よりも20ポイント以上高い。

米国のユーザーは支出額の大半をCandy Crush SagaやGardenscapesといったパズルゲームに使った。こうしたゲームは人々がパンデミックやそれに関連するストレスを吹き飛ばすのに役立ったかもしれない。この部門の支出額はアクティブなiPhone1台あたり平均15.50ドル(約1710円)で、カジノゲームの平均13.10ドル(約1450円)がそれに続く。こちらはコロナ禍で実際のカジノ場の閉鎖が影響した。戦略ゲームの2020年支出額も急増し、iPhoneユーザーあたり平均12.30ドル(約1360円)となった。

画像クレジット:Sensor Tower

アプリ内支出でもう1つの大きなカテゴリーはエンターテインメントだった。劇場やコンサートホールが閉鎖され、かなりの数の消費者がストリーミングアプリに向かった。Disney+はパンデミックによる都市封鎖が始まるほんの数カ月前の2019年後半に続いてHBO Maxが2020年5月に提供を開始した。

この部門のデバイス1台あたりの平均支出は過去2番目に多い10.20ドル(約1130円)で、2019年の8.10ドル(約895円)から26%増だった。参考までに、2018年から2019年にかけての成長率はわずか1%だった。

デバイスあたりの支出額のトップ5位に入った他のカテゴリーとしては、写真・ビデオ(56%増の9.80ドル、約1080円)、ソーシャルネットワーキング(41%増の7.90ドル、870円)、ライフスタイル(14%増の6.50ドル、720円)がある。

こうした支出額の増加はTikTok、YouTube、Twitchといったアプリと結びついていた。特に、Twitchでの2020年支出額は米国のiPhoneで前年に比べ680%増加した。一方、TikTokは140%の成長だった。ライフスタイルの部門では、バーやクラブが封鎖される中、消費者が都市封鎖の間に他人とバーチャルにつながろうとしたことを受けて、デートアプリが大きな成長要因となった。

全体として、2020年を特徴的な年にしたのは必ずしもどのアプリを人々が使っていたかではなく、どのくらい頻繁にアプリを使い、そしていくら費やしたのかということだった。

App Annieは以前、パンデミックがモバイルの浸透を2〜3年分進めたと指摘した。パンデミック前は1年のうちに支出が緩やかになる時期があったが、Sensor Towerは今日、特定のタイプのアプリ、特に2020年のゲームの支出に関して「季節性」の要素はなかったと指摘している。2020年はいつでもアプリに支出する年だった。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:アプリiPhoneApp StoreSensor ToweriOS

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

2021年第1四半期のアプリ支出額は過去最多の約3.5兆円

パンデミックのアプリ産業への顕著な影響は2021年も衰えていない。実際、消費者のアプリ支出は2021年第1四半期に過去最多を記録したとApp Annieの新レポートで示されている。2021年第1四半期に消費者はiOSとGoogle Playで320億ドル(約3兆5384億円)使った。前年同期比40%増で、過去最多だとApp Annieは指摘している。

2020年、新型コロナウイルスによるロックダウンで人々は仕事、教育、買い物、フィットネス、エンターテインメント、ゲームなどのアプリを急速に受け入れ、アプリのダウンロード数と消費者支出どちらも増加した。App Annieは以前、2020年の世界のアプリダウンロード数は2180億回、消費者支出額は1430億ドル(約15兆8126億円)といずれも過去最多となった、とのレポートを発表していた

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画像クレジット:App Annie

こうしたトレンドは2021年も続き、2021年第1四半期のモバイル消費者の支出額は前年同期より約90億ドル(約9952億円)多いようだ。2021年第1四半期の消費者支出額はiOSが210億ドル(約2兆3221億円)と、Androidの110億ドル(約1兆2163億円)より多かったが、いずれのストアも40%成長だった。

しかし支出につながったアプリのタイプは、2つのアプリストアでは若干異なる。

Google Playではゲーム、ソーシャル、エンターテインメントのアプリが支出額では前年同期比で最も成長し、一方iOSではゲーム、写真&ビデオ、エンターテインメントのアプリが最も成長した。

ダウンロード数においても両アプリストアでは様子が異なる。

Google Playでは、ソーシャル、ツール、ファイナンスのダウンロード数が最も成長したが、iOSではゲーム、ファイナンス、ソーシャルネットワーキングだった。また、Google Playではダウンロード数が成長した他のカテゴリーに天気(40%)、デート(35%)が含まれるが、iOSではヘルスとフィットネスのアプリのダウンロードが25%も成長した。おそらく、これは外出禁止措置に新年の抱負(減量)が組み合わさった「パーフェクトストーム」によるものだろう。外出禁止措置ではユーザーはジムに行くことなく健康を維持する新たな方法を見つけることを余儀なくされた。

画像クレジット:App Annie

しかしながら第1四半期に上位にきたアプリはほぼいつもと同じ顔ぶれだ。ダウンロード数でTikTokがFacebookを上回り、次いでInstagram、Telegram、WhatsApp、Zoomと続く。ただ、消費者支出額ではTikTokは2位で、トップはYouTubeだった。そしてTinder、Disney+、Tencent Videoの順となっている(Netflixはアプリ内購入を通じてではなく、現在新規ユーザーを直接サインアップするように誘導しているためチャート入りしなかった)。

画像クレジット:App Annie

Facebookのアプリはダウンロード数ではTikTokの後塵を拝したが、傘下のアプリFacebook、WhatsApp、Messenger、Instagramが月間アクティブユーザー(MAUs)数では大きな割合を占めている。一方のTikTokのMAUsは第8位だった。

第1四半期に健闘した新進気鋭アプリとしては、プライバシーに注力しているメッセージアプリSignalがある。ダウンロード数とMAUsの両方で最も成長した。そしてSignalに肉薄したのがTelegramだ。議事堂暴動後に主流のソーシャルメディアからユーザーが移ってきた。その他の「ヒットした」アプリはMX TakaTakで、インドでのTikTok禁止でショートビデオ部門にできたその穴を埋めている。

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画像クレジット:App Annie

一方、ゲームはいつものことながら第1四半期の消費者支出の大半を占め、220億ドル(約2兆4328億円)だった。内訳は、iOSで前年同期比30%増の130億ドル(約1兆4375億円)、Androidで同35%増の90億ドル(約9952億円)だ。ゲーマーたちは1週間あたり約10億のタイトルをダウンロードし、これは前年同期比15%増だった。

ダウンロード数ではAmong Us!が2位に順位を下げ、Join Clash 3Dがトップに躍り出た。一方、DOP 2:Delete One Partが順位を308位上げて3位に入った。

画像クレジット:App Annie

消費者支出額ではRobloxがトップで、2位以降はGenshin Impact、Coin Master、Pokémon GOの順だった。Among Us!はダウンロード数では順位を下げたものの月間アクティブユーザー数では1位を維持した。次いでPUBG Mobile、Candy Crush Saga、Robloxの順だった。

パンデミックはまたモバイルゲーミングマーケットの成長を加速させ、2020年のダウンロード数の成長率はゲーム全体のダウンロード数の2.5倍だったとApp Annieは指摘している。そしてモバイルゲーミングの2021年の消費者支出額は1200億ドル(約13兆2728億円)と、他のフォーマットの合計の1.5倍になると予測している。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:アプリGoogle PlayApp StoreApp Annie

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素が一般アスリート・部活生向け自動献立提案AIアプリ「勝ち飯AI」β版を開発、限定ユーザーテスト開始

味の素は3月31日、アスリート向け献立提案AIアプリ「ビクトリープロジェクト管理栄養士監修 勝ち飯AI」β版を開発し、ユーザーテストを開始した。限定ユーザーテストを通してコンセプトの受容性を確認するとともに、同社では今後さらに多様な領域において生活者への価値を創出・提案する予定。

勝ち飯AIは、同社がトップアスリート向けに培ってきた栄養計算や高度なサポートの知見を、一般のアスリートにも広く提供することをコンセプトとして開発した、自動献立提案アプリ。アスリートの厳しい栄養基準を満たしつつ好きなメニューを献立に組み込むなど、食事を楽しみ、親子のコミュニケーションなどを促しながら選手の目標に向けてサポートを行う。

同アプリは、献立やレシピに関する独自テクノロジーを基盤に、栄養面でトップアスリートへの食サポート活動を実施している同社「ビクトリープロジェクト」管理栄養士監修の下、開発。ビクトリープロジェクトのサポート現場で使用される栄養計算基準をアルゴリズム化し、ユーザーがアプリ上で必要な情報を入力するとAIが栄養基準を満たす献立を提案する。

また、必要栄養価を充たす献立を提案するためのメニューデータベースには、同社運営のレシピサイト「AJINOMOTO PARK」のデータを活用。各メニューに対し、栄養情報に加えて、ジャンル・季節・調理時間など様々な情報を紐づけており、AIがユーザーに適した献立を提案するという。

具体的な使用方法として、「選手」と、食で選手をサポートする「調理する人」とがアカウント連携することで利用できるという。

「選手」は、性別・体重・体脂肪率などの基礎情報に加え、種目(瞬発系、持久系、球技系、その他)や目標(体重を減らす、体重を増やす、現状維持)を選択し登録。日々の体組成をアプリに登録し、食事記録の際に味や食べた量を5段階で評価することでどのくらいの栄養価を摂取したかが分かるとともに、AIがユーザーの好みの味や量を学習し、使えば使うほど選手に最適化された献立が提案されるようになる。

「調理する人」は、選手の目標や体組成に応じてAIが提案する献立(10日分、毎食3パターン)から調理するメニューを選ぶことが可能。その際、あらかじめ選手が食べられない食材を登録したり、選手からのリクエストメニューを表示することもできる。

味の素は2018年、「食から未来を楽しく」というミッションの下、「生活者にとってのさまざまな価値」を実現することをすべての起点とし、新たな事業を生み出す部署として生活者解析・事業創造部を創設。研究機関やパートナーとの連携、AIなどのテクノロジーやデータの活用、サービスの開発と運用、生活者やパートナーからのフィードバックを通して世の中全体で多様な生活者価値を生み出し、新たな食の楽しい未来を作り上げたいという。

同アプリ開発にあたり生活者にヒアリングやリサーチを実施した結果、食事によるパフォーマンス向上への関心が高い「一般アスリート・部活生」に、トップアスリートと同様の食サポートプログラムを提供するサービスのニーズが高いことが判明。さらに、中高部活生を子に持つ親にインタビューを行ったところ、親としても食事面からサポートすべく講習会などに参加するものの、自分の子供に置き換えた場合栄養計算や献立の組み立てなどが結局分からないといった声があったという。

また、コロナ禍において活動休止・縮小となっている部活動も多く、「これまでの『たくさん動いて、たくさん食べよう』といった指導ができなくなっている」といった声も指導者から多く聞かれたそうだ。思うように練習ができない時にどのような食事でカラダ作りをするべきかなど、食事の内容に対する関心度の高まりを感じ、アスリート・部活生や食サポートをする方々の悩みを同社の知見を活かし解決することをアプリの目標として位置付けているという。

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カテゴリー:フードテック
タグ:味の素(企業・製品)アプリ / モバイルアプリ(用語)AI / 人工知能(用語)食品(用語)新型コロナウイルス(用語)スポーツ(用語)料理 / クッキング(用語)レシピ(用語)日本(国・地域)

Fleksyの共同創設者がApp Store詐欺による売上減でAppleを提訴

キーボードアプリFleksyの共同創設者であるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフセリウ)氏(後にPinterestが買収契約で獲得)は、自身のアプリFlickTypeが詐欺の標的になったことを受け、偽レビュー、評価、サブスクリプション詐欺、悪質なクローンアプリなどのApple App Storeの問題に注意を呼びかけてきた。そしてこの開発者はApp Store改革の次の一歩を踏み出し、Appleを相手に訴訟を起こそうとしている。

関連記事:Appleは蔓延するアプリの評価詐欺を根絶するよう開発者に迫られている

米国時間3月17日にサンタクララ郡のカリフォルニア州上級裁判所に提出された同氏の訴えでは、Appleは、安全で信頼できる場所であると宣言して、iOSアプリケーションを合法的に販売できる唯一の場所であるApp Storeのためのアプリケーションを作るよう開発者を促しながら、合法的なアプリ開発者が手にすべき利益を搾取する詐欺行為から開発者を保護していないと申し立てている。

さらに訴状によるところでは、詐欺師たちがサブスクリプションを利用して収益を生み出しており、そこにはAppleとの収益分配が含まれているため、Appleはそのような行為に対して無関心になっているとされている。

エレフセリウ氏は個人的にApp Store詐欺師の影響を受けてきた。同氏はPinterestでの高収入の仕事を辞め、Apple Watch用のスワイプ型キーボードの1つであるFlickTypeアプリの開発に努めてきた。ローンチ後、このアプリは模倣アプリ制作者たちの標的となった。彼らは、自分たちのアプリがFlickTypeと同じ機能セットを提供していると主張しながら、貧弱なデザインのソフトウェアを提供し、ユーザーに高価なサブスクリプションを押し付けている。さらに偽の評価やレビューを大量に表示することで、ユーザーがこの分野でアプリを探しているときにはるかに優れた選択肢であるように見せかけることも行っている。

一方、FlickTypeは3.5星の評価を受けており、開発者によるコントロールの及ばないApple Watchプラットフォームの問題や、ユーザーの関心を引きそうな機能が欠けていることなどがたびたび指摘されている。しかし、エレフセリウ氏は自身のアプリのユーザーと関わりを持っている。苦情に対応し、ユーザーが要求した機能が追加されたりバグが修正されたりしたことを知らせている。詐欺師たちは、アプリの総合的な評価を高く保つために5つ星のレビューを十分な数購入するだけだ。

言い換えれば、エレフセリウ氏がApple Watch用のスワイプ式キーボードのカテゴリを築くApp Storeの開発者として懸命に働いている間、潜在的な収入はApp Store上の偽アプリが横取りしているというわけだ。

関連記事:Google Playの手数料が30%から15%に値下げ、2020年のAppleに倣って

Appleは何年も前から、アプリの品質問題に真剣に取り組んできた。同社は、疑わしいサブスクリプションアプリを一掃し、定期的なスイープを通じてApp Storeからクローンやスパムを削除した。かつては、アプリの品質基準を高めるためにテンプレートを使って作られたアプリを禁止したこともあったが、これはより専門的なアプリを作るためのリソースや資金がない小規模事業者の怒りを買った。(Appleはその後、ポリシーをより公平なものに変更した。)

関連記事:Apple、批判の的のテンプレート・アプリ禁止条項を修正――実質はほぼ変化なし

しかし新たな訴訟では、Appleは開発者の不正行為から利益を得ているため、詐欺師のアプリを取り締まっていないと指摘されている。エレフセリウ氏はまた、自身の会社であるKPAW, LLCを通じてこれらの問題をAppleに提起しているが、Appleはこの問題を解決するために「ほとんど何もしなかった」と述べている。

だが、エレフセリウ氏のストーリーはさらに複雑だ。同氏のアプリは、Appleの特別プロジェクトマネージャーを務めるRandy Marsden(ランディ・マースデン)氏と買収の可能性について話し合った後、App Storeから何度も却下されているからだ。エレフセリウ氏はTechCrunchに対し、Appleと数字についても協議され、会議にはディレクターやバイスプレジデントなどが参加したと語っている。訴状によると、AppleはFlickTypeをApple Watchの機能にすることを検討していたという。

その直後、競合他社のアプリが承認されたにもかかわらず、FlickTypeはApp Store Reviewガイドライン違反でApp Storeから削除された。エレフセリウ氏はDeveloper Relationsを通じて抗議したが、今後同じ問題を防ぐ方法については何も指導を受けなかったという。

その後数カ月にわたって、FlickTypeはApp Store Reviewから拒絶され続けた。このアプリは多くのメディアの技術系ジャーナリストたちが称賛しており、Appleも購入を検討したことがあるにも関わらず、AppleのApp Store Reviewは「貧弱なユーザー体験」を提供するものだと伝えている。App Reviewは開発者に「フルキーボードアプリはApple Watchには適さない」とも伝えているが、競合他社によるキーボードアプリの公開は認めている。

AppleのApp Reviewチームは、FlickTypeの統合可能バージョンのキーボードを使っているサードパーティーアプリも問題なく承認した。その中には、RedditのNano、TwitterのChirp、WhatsAppのWatchChat、InstagramのLensなどのWatchアプリが含まれている。

Appleが2020年1月にFlickTypeを承認した後、常に拒否されていたわけではない競合他社のキーボードによって、FlickTypeの収益はすでに1年にわたって損なわれてきたと同社は主張している。それでもFlickTypeはApp Storeの有料アプリトップ10に名を連ね、最初の1カ月で13万ドル(約1400万円)を稼いでいる。その成功の結果、すぐに詐欺師たちの標的になり、彼らは水増しされたほとんど使い物にならない競合アプリをローンチし、FlickTypeの収益を減らしたのだ。FlickTypeの月間売上は2万ドル(約220万円)に落ち込んでいる。競合各社はまた、偽のレーティングを使って人気を保ち、疑いを持たないユーザーにアプリをインストールさせていた。

エレフセリウ氏のストーリーは、結果的に特殊なものではなかった。同氏はここ数カ月、App Storeにおける数百万ドル単位の詐欺行為記録してきたが、その中には同氏が直面したものだけでなく、同様の苦労を体験した開発者たちのケースも含まれている。ソーシャルメディアでの同氏の記述によると、Appleが何らかの対応をしたケースもあり、そうでないケースもある。また、詐欺アプリの1つを削除するだけで、同じ開発者アカウントの他のアプリが動作し続けることを許可しているようだ。

今回の新たな訴訟は、エレフセリウ氏が直面した問題についてAppleに責任を負わせることを目的としており、同氏が失った収益の回復と、裁判所が裁定したその他の損害賠償金の支払いをAppleに求めている。

Appleにコメントを求めたが、現時点で回答は得られていない。

訴状のコピーは以下の通り。検証のための公的記録検索にはまだ現れていない。この訴訟がオンラインで表示されるようになったら、状況に応じて更新する。

Kpaw, LLC対Apple, Inc、Scribdより、TechCrunch提供

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApp StoreアプリFleksy裁判

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

中国がアプリによる過剰なユーザーデータ収集を5月から禁止

中国の最高規制機関である国家インターネット情報弁公室、工業情報化部、公安部、国家市場監督管理総局が共同で発表した文書によると、2021年5月1日以降、中国のアプリはユーザーに過剰な個人データの提供を強制できなくなる。

中国では、アプリがユーザーに機密性の高い個人情報の提供を求め、共有を拒否したユーザーはアクセスを拒否されることがよくある。ナビゲーションマップを使用するための位置情報のように正当なものもあるが、モバイル決済を行うための生体認証など不要なものも多い。

TechCrunchで報じたように、中国当局は2020年12月に、さまざまなアプリが収集する権利を持つデータの許容範囲を示した。

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新たな文書によると、人気が高まっている「ミニプログラム」など、あらゆる形態のアプリがこの要件の対象となっている。「ミニプログラム」とは、アプリストアをインストールしなくてもWeChatやAlipayといった包括的なネイティブアプリを通じてアクセスできるライトアプリのことだ。

現在のところ、この文書はガイドラインに過ぎず、規則をどのように施行するか、違反者をどのように処罰するかについては明記されていない。この文書は、データ保護に関して中国が少しずつ前進していることを示しているが、人々の日常生活が急速にデジタル機器と結びついているため、規制当局は規則を更新し続けなければならないだろう。

ここ数カ月の間、中国は、かつて同国が誇っていたテクノロジーの寵児たちを厳しく取り締まっている。中国は「プラットフォーム経済」を抑制するために包括的な独占禁止法を導入し、Ant GroupのIPOは失敗AlibabaとTencentは反トラスト的だと罰金が科されている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:中国アプリ個人情報データ保護

画像クレジット:Alibaba

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(文:Rita Liao、翻訳:Katsuyuki Yasui)

医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

医師が処方する保険適用「ニコチン依存症治療アプリ」など研究開発のCureAppが21億円調達

CureApp(キュア・アップ)は3月12日、第三者割当増資および融資による約21億円の資金調達を発表した。引受先は、ジャパン・コインベスト3号投資事業有限責任組合や既存株主をはじめとする10社。借入先は商工組合中央金庫。累計調達額は約64億円となった。

調達した資金により、2020年より販売を開始したニコチン依存症治療アプリの社会浸透をさらに促進する。また、現在治験中の高血圧治療アプリ、臨床試験中のNASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ、アルコール依存症治療アプリとがん患者支援治療アプリの研究開発や薬事手続、その他新規領域におけるパイプライン拡大を加速させる。

健康保険組合や企業、自治体を主な顧客とする民間向けヘルスケア事業に関しても、引き続き拡大を目指すとしている。

CureApp「治療アプリ」の現在の状況

  • ニコチン依存症治療アプリ:慶應義塾大学医学部呼吸器内科との共同開発。2019年5月、日本初となる治療用アプリの大規模RCT(ランダム化比較試験)を終了。2020年8月に薬事承認を取得、同年12月に保険適用を受け禁煙外来での処方開始
  • 高血圧治療アプリ:自治医科大学循環器内科学部門との共同開発。2019年12月より治験を開始。2021年中の薬事申請を予定
  • NASH(非アルコール性脂肪肝炎)治療アプリ:東京大学医学部附属病院との共同研究。2016年10月より臨床研究、2018年4月より多施設での臨床試験を開始
  • アルコール依存症治療アプリ:国立病院機構 久里浜医療センターと2020年6月より臨床研究を開始
  • がん患者支援治療アプリ:第一三共と2020年11月より共同開発を開始

2014年7月設立のCureAppは、アプリそのものが病気を治療する治療法(デジタル療法)として「治療アプリ」の研究開発・販売を行っているスタートアップ。2020年8月には国内初の治療用アプリ「CureApp SC」の薬事承認、2020年12月に保険適用を受けた。すでに、医療機関において治療アプリを用いたデジタル療法が開始されているという。

また現在、4疾患を対象に治療アプリの研究開発を進め、これら医療機関向け「治療アプリ」の開発で蓄積した知見を活用した民間法人向けモバイルヘルスプログラム「ascure卒煙プログラム」も提供している。「日本発のデジタルヘルスソリューション」として、順次グローバルにも展開予定という。

ascure卒煙プログラムでは、医師開発アプリと医療資格を有する禁煙指導員のオンラインカウンセリングを組み合わせ、6カ月に渡って禁煙支援を提供。2017年4月の提供開始以来200超の法人で導入が進んでいるほか、特定保健指導に対応したプログラムも提供している。

治療用アプリは、海外ではDTx(Digital Therapeutics。デジタルセラピューティクス)と呼ばれ、従来の治療法では治療が難しかった疾患を治す可能性を秘めた最新治療として、国内外で研究開発を進められているという。

DTxは、医薬品と比べても遜色のない治療効果を有し、開発コストの低さ、スマートフォンを持っていれば誰でも平等に受けられるという特徴がある。

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ニコチン依存症の治療アプリを開発するキュア・アップが1億円を調達

カテゴリー:ヘルステック
タグ:アプリ / モバイルアプリ(用語)医療(用語)CureApp(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Rent the RunwayのiOSチームがアプリのリリースサイクルを管理するRunwayを開発

ドレスレンタルのRent the Runwayの他、ClassPassやKickstarterなどの企業からモバイルアプリのエンジニアやデザイナーが集まってスタートアップのRunwayを立ち上げ、モバイルアプリのリリースサイクルに関して体験した共通の問題点を解決しようとしている。Runwayと既存のツールを接続すると、アプリのリリースに関する進捗を追跡管理し、リリースの過程で発生する手作業の多くを自動化し、関係者のコミュニケーションを円滑にすることができる。

Runwayの共同創業者であるGabriel Savit(ガブリエル・サビット)氏は「モバイルアプリのリリースは不可能に近い作業だと我々はしばしば口にします。さまざまなツールにわたってたくさんの物事が動きバラバラになっています」と説明する。サビット氏はRent the Runwayの初のモバイルアプリチームの同僚として、現在はRunwayの共同創業者となったIsabel Barrera(イザベル・バレラ)氏、David Filion(デビッド・フィリオン)氏、Matt Varghese(マット・バルギース)氏と出会った。

サビット氏は「リリースの準備を確実に整えるのに時間がかかる、時間が無駄になる、Slackでのやりとりが多いといった問題が発生します」という。

一般にエンジニア、プロダクト、マーケティング、デザイン、QAなどが関わるチームは、スプレッドシートや共有ドキュメント、そしてSlackなどを使ってアプリの最新の進捗状況をお互いに把握する。

一方、リリースの準備のために発生する実作業はGitHub、JIRA、Trello、Bitrise、CircleCIなど、さまざまな別々のツールで管理されている。

画像クレジット:Runway

Runwayはチームのツールをすべて統合するレイヤーとして動作するように設計されている。シンプルなOAuthの認証フローでツールをRunwayと接続した後、どのようなブランチ戦略か、リリースブランチをどう作るか、リリースにどのようにタグづけするかなど、チーム独自のワークフローをRunwayに理解させる設定をする。

つまり、Runwayをトレーニングして運営方法を理解させる。自分たちのプロセスややり方を変えてRunwayに合わせる必要はない。

セットアップが完了すると、Runwayはさまざまな統合ポイントから情報を読み取り、解釈して、アクションを起こす。チーム全員がウェブのインターフェイスからRunwayにログインし、自分たちがリリースサイクルのどこにいるか、これから何をしなくてはいけないかを正確に把握できる。

「我々が開発する接着剤で動いている部分とツールをすべてまとめた結合組織を作り、全員が参照して同期したり集まったりすることのできる正しい情報源にしようとしています。これによりコラボレーションが円滑になって向上し、関係者が共通認識を持てるようになります」。サビット氏はそう語る。

画像クレジット:Runway

仕事を進めていくと、例えばJIRAのタグがないなどの問題をRunwayが見つける。そして自動でタグを補う。不適切なビルドが申請用として選択されているなどのミスも防ぐ。

他には、Slackのコミュニケーションも自動化する。Runwayは誰が何に責任を持っているかを理解した上で、Slackの通知やアップデートをチームの特定のメンバーに送る。これによりSlackのチャンネルのノイズを減らすと同時に、全員が自分のするべきことを把握できる。

現在、Runwayはモバイルアプリのキックオフから、申請してアプリストアでリリースするまでのサイクル全体に集中している。近々バグレポートやベータテストのプラットフォームなども接続して統合の範囲を広げる予定だ。長期的にはデスクトップなど他のプラットフォームのアプリにも同社のワークフローを広げていきたいと考えている。

画像クレジット:Runway

Runwayは現在、ClassPass、Kickstarter、Capsuleなど少数の初期カスタマーとともにパイロットテストを実施している。初期カスタマーがすべて料金を支払っているわけではないが、すでに40種類以上のアプリで本番のリリースサイクルにこのシステムが使われている。

費用は1カ月、1アプリあたり400ドル(約4万3000円)から。リリースマネージャーとアプリは無制限で、統合をすべて利用でき、iOSとAndroidをサポートしている。ハイレベルのカスタマーサポートとコンサルティングサービスを希望する場合の費用は応相談となる。

Runwayがいつ正式に公開されるかは未定だ。現時点では利用企業ごとにオンボーディングの対応をして、各社に固有に統合のニーズを解決すべく緊密に連携しているためだ。現在RunwayはApp Store、Google Play、GitHub、JIRA、Slack、Circle、fastlane、GitLab、Bitrise、Linear、Jenkinsなどとの統合に対応しているが、利用企業の要望に応じてさらに追加されるかもしれない。

Runwayの4人のメンバーは主にニューヨークを拠点としている。現在はY Combinatorの2021年冬学期バーチャルプログラムに参加中だ。シードラウンドの資金調達はまだ実施していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Runwayアプリ

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

マイクロソフトが会議で文字起こしや翻訳を行うアプリ「Group Transcribe」を発表

Microsoft(マイクロソフト)の社内インキュベーターであるMicrosoft Garage(マイクロソフト ガレージ)から、会議の文字起こしに使える新たなプロジェクトが発表された。

現在、リアルタイムで文字起こしが行えるスマートフォン用アプリはいくつかある。例えば「Otter.ai(オッターエーアイ)」や、Google(グーグル)のPixel(ピクセル)デバイス向け「Recorder(レコーダー)」などだ。だが、Microsoftが新たに発表した「Group Transcribe(グループ トランスクライブ)」は、会議の文字起こしを共同作業的なプロセスとして再構築し、全員が同時に自分のデバイスで会議を記録することで、精度を高めるというものだ。このアプリは、80以上の異なる地域で話されている言語をリアルタイムで翻訳する機能も備わる。

アプリを使用するには、まず1人が自分のデバイスで会議を開始する。続いてBluetooth、スキャン可能なQRコード、またはリンクを共有することで、他の出席者に参加を呼びかける。他の出席者が参加して会議が始まると、各人はリアルタイムで文字起こしされる会議の記録を自分のデバイスで見ることができる。

画像クレジット:Microsoft

AI音声言語技術を搭載したこのアプリは、会議で使用されている各人の携帯電話のマイクが捉えた話し手の声量に基づいて、より精度の高い書き起こしと話し手の識別を行うことができるという。

各出席者の声量レベルを比較することで、どの端末が話し手に最も近いか、そしてその話し手が好む言語を、クラウドサービスが判断する。つまり、このアプリでは、誰が話したのかというラベルづけも正確に行うことができる。これは1人しか記録していない他の文字起こしアプリが不得意とすることだ。

さらに、会議の参加者が自分の母国語で話したい場合は、このアプリが他の参加者のデバイスに、各人の言語に翻訳して文字化したものを提供することも可能だ。

画像クレジット:Microsoft

Microsoftによると、このアプリはアクセシビリティも考慮して設計されており、聴覚障害者や難聴者、非ネイティブスピーカーの人でも、リアルタイムの文字化や翻訳を通して、より積極的に会議に参加することが容易になるという。

このプロジェクト自体が、全員合わせると十数種類のさまざまな言語や方言を話すMicrosoftの従業員たちによって構築されたものだ。

「これはコミュニケーションのためのすばらしいツールになり得ます。私が是非とも確かめたいことは、このアプリが異なる言語を話す人々の間にある壁を打ち破るためのものであるということです」と、主任開発責任者のFranklin Munoz(フランクリン・ムノス)氏は、このプロジェクトを発表する際に語っている。

多くのクラウドベースの文字起こしサービスと同様、このアプリは機密性の高い会議には使用するべきではない。しかし、Microsoftはこのデータとプライバシーコントロールをグラニュラ(粒状)化し、ユーザーは会話データを共有したい相手や時間を決めることができる。

画像クレジット:Microsoft

収集された音声とテキストの入力データは、機能を実行するためにMicrosoftのオンライン音声認識および翻訳技術に送られるが、本名ではなくランダムに生成された識別子が使用される。

Microsoftが会議の文字起こしデータや音声記録を保存することはないが(ユーザーのデバイスに保存される)、サービス改善のために参加者が会議の記録をMicrosoftに「寄与」することを、このアプリは奨励している。

会議の参加者全員が同意した場合、Microsoftは音声と音声認識で生成されたテキストの文字起こしを保持することができる。Microsoftはこのデータを見直すことで、音声認識と話者属性の機能を時間をかけて改善していくことを目指していると言っている。ユーザーデータはその後、Microsoftの従業員やMicrosoft社に勤務する他社の契約社員が、秘密保持契約の下でアクセスできるようになるが、発言者のアカウント情報は一切含まれない。

レビュアーがアクセスできるのはランダムな音声の断片のみで、完全な録音ではない。また、Microsoftによると、例えばクレジットカード番号や電話番号などを表す長い数字の文字列は削除することで、会議の録音を「非識別化」しているとのこと。ユーザーは過去に共有した録音をいつでも削除することができるが、それ以外の場合は暗号化されたサーバーに最大2年間保存されると、Microsoftは述べている。

企業で使用する場合、管理者レベルですべてのユーザーを「寄与」に設定したりブロックしたりする方法はないので、このようなサービスの利点とリスクを慎重に検討する必要があるだろう。また、これはMicrosoft Garageのプロジェクトであり、つまり実験的なものであって、いつでも閉鎖される可能性がある。

現在、このGroup TranscribeアプリはiOSのみで利用可能だ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Microsoftアプリ機械翻訳文字起こし

画像クレジット:Microsoft

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ノンデスクワーカーの現場から紙をなくす「カミナシ」が約11億円を調達

「これからの5年間は、ノンデスクワーカー(ブルーカラー)向けの『デスクレスSaaS』の時代が来ると思っています」と意気込むのは、カミナシCEOの諸岡裕人氏だ。同社は2020年12月、インフィニティ・ベンチャーズ主催の「ローンチパッドSaaS」にて優勝している。

2021年3月4日、カミナシはシリーズAラウンドでALL STAR SAAS FUNDCoral Capitalなどを引受先とする第三者割当増資を実施し、総額約11億円の資金調達を行ったと発表した。

点検作業をiPadアプリで完結させる

「現場から紙をなくす」ためのプラットフォームであるカミナシは、ブルーカラー(現場で働く従業員)を対象とした業務効率化ツールだ。従来、紙やExcelで行われていた点検記録や作業記録などをiPadのアプリで完結できるようにする。

約300台の機械がある食品工場を例にしてみよう。現場の担当スタッフは、毎日すべての機械を1台ずつ点検しながら、手書きで用紙に記録していく。その後、管理者は提出された書類を1枚ずつ確認して押印する。驚くことに、スタッフが行う点検回数は1日1000回以上、管理者が承認する書類は1日100枚以上に及ぶこともあるという。

カミナシCEOの諸岡氏は「このような書類での点検作業は、非効率なだけなく、ケアレスミスや形骸化にもつながっています。年間数百万円から数千万円の膨大な費用をかけているにもかかわらず、そのデータが必ずしも信用できないというのは、あまりにもったいないと感じていました」と話す。

これを解決するのが、カミナシの役割だ。上記のような現場の「点検リスト」などをクラウド上でノーコードで作成でき、スタッフは作業中にiPadのアプリを通じて記録することが可能になる。管理サイドはリアルタイムに報告内容を確認でき、これまで数時間かけていた承認作業も数クリックで完結できる。カミナシを導入すれば、現場から「紙」は瞬く間に姿を消すというわけだ。

画像クレジット:カミナシ

エンジニアが現場に足を運ぶ

しかし、実際にブルーカラーの現場をデジタル化することは、言うほど簡単ではない。従業員のなかには高齢者や、ITリテラシーが低い人も当然いる。現場で多忙な実務をこなすスタッフにとって、ツールは本当に使いやすいものでなければならない。

「ひと言でいうと大変です」と諸岡氏。とにかく現場に足を運ばなければ話が始まらない。同社はセールスだけでなく、エンジニアやデザイナーまでもが実際にクライアントの現場まで足を運び、従業員と対話を重ね、「現場の痛みを知る」ことに重きを置いている。

そんな「現場ドリブン」を徹底するカミナシのアプローチは功を奏した。プロダクトローンチからわずか8カ月で導入社数は70社を超え、食品から航空、ホテルまで14の業界に導入されるまでに成長。現在アウトバウンドセールスは行っていないものの、ウェブ経由からの流入で月間問い合わせ件数は150を超えるという。

「負け続けた3年間」があった

ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。 父親が経営する食品工場などで働きながら、地道に経験を積んできた諸岡氏。2016年に起業し、食品工場向けのソフトウェアを開発したものの、3年間は鳴かず飛ばずの状態が続いたという。

この苦しい期間を経て、2019年12月にピボットを決断しカミナシが誕生する。「これまで僕は、ずっと自信がなかったんです。『まだ結果が出ていないから、前に出るべきじゃない』と思っていた。でも、2019年にピボットを決意した時『もう、恥も外聞もなくやってやろう』と思ったんです」と当時の心境を語る。 これが大きな転機となった。

諸岡氏は自身のnoteにて、過去の赤裸々な失敗談を含めたカミナシの理念や、メリットを積極的に発信。すると、自然に「熱い想い」を持った仲間達がカミナシに集まったという。

悪戦苦闘した3年間も決して無駄ではなく、カミナシ誕生の糧となった。諸岡氏は「僕自身、3年間で300以上の現場を見てきた。1000人以上の話を聞いた。もう二度とごめんだ、と思えるくらいにはやってきた。その時に蓄積したデータや知見があるからこそ、当時より10倍も20倍も良いプロダクトを完成させられた」という。

2020年6月のリリース以降、ローンチパッドSaaSでの優勝、シリーズAの資金調達と、順調に階段を駆け上がってきたカミナシだが、「現場から紙をなくした」先にある将来も見据える。今回の調達資金の一部は、工場などが最先端のIoTやAIを導入するためのシステム作りに投入する予定だという。「現在人間が行っている点検作業を、IoTセンサーが自動的に行い、データをカミナシに送信。それをAIが分析して報告書を作成する」などの活用を想定する。

「ノンデスクワーカーのDX」。誰もが理屈ではわかるものの、本当の意味で現場の課題を理解し、ユーザーに寄り添ったプロダクトを作ることができる企業はそう多くないだろう。父親の会社で働く時代から、「現場」をその目に焼き付けてきた諸岡氏が率いるカミナシは、数少ないその内の1社かもしれない。

関連記事:現場作業員の業務効率化アプリ「カミナシ」が9言語で利用できる「多言語翻訳機能」提供、WOVN.appと連携

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:カミナシiPadアプリDX資金調達日本

グーグルがアップルのプライバシーラベル表示義務に従いiOS用アプリの更新を再開

Google(グーグル)はこの週末に、多くの主要なiOS向けアプリを更新し始めた。同社はApple(アップル)が新たに義務づけたプライバシーラベルの表示を加えなかったため、長い間これらのアプリは更新されずにいた。2021年初め、Googleはこのラベルを「間もなく」同社のアプリを更新する際に追加すると言っていたが、今のところ、Google検索、Googleフォト、Googleアシスタント、Googleマップ、Google Pay(グーグルペイ)、Chrome(クローム)など多くのアプリはまだ更新されていないままだ。

関連記事:早ければ今週にもGoogleのiOSアプリにApp Storeのプライバシーラベルが追加される見込み

Appleのポリシーに従い、開発者はプライバシーラベルを適用するまで、アプリをそれ以上アップデートすることはできない。そのためGoogleは多くの主要アプリを長い間、更新できなかった。特にバグ修正やパフォーマンスの改善を含むマイナーアップデートを定期的に配信しているGoogleのような規模の企業であれば、通常はそのようなことはない。

例えばGmail(ジーメール)は、この週末にアップデートが行われる以前は3カ月間も更新されていなかった。

iOS App StoreにあるGoogleのアプリ情報を見ると、Googleスライド、Googleドキュメント、Googleスプレッドシート、Googleカレンダーは週末にアップデートが配信されている。また、この数週間で、Googleの他のアプリも、新たにラベルを追加して更新が再開された。例えば、YouTube(ユーチューブ)、YouTube TV、YouTube Music(ユーチューブミュージック)、Google ToDo(Google Tasks)、Google ポッドキャストなどだ。

我々はこのスプレッドシートで、Googleアプリの更新を追ってきた(Appfiguresはその独自のデータと照らし合わせて、我々のシートの正確さを確認している)。

2021年にプライバシーラベルの表示が適用されたGoogleのアプリは、週末にアップデートされた一連のアプリだけではない。アプリの中には、アップデートされずにラベルのみが加えられたものもあるため、見つけることが難しい場合もある。

Googleの全iOS向けアプリで、現在プライバシーラベルの表示が適用されているアプリには以下のものが含まれる。

Google One(グーグルワン)、Googleポッドキャスト、Google Stadia(グーグルステイディア)、Google Fit(グーグルフィット)、Google Fi(グーグルファイ)、Google ToDo、Google Chat(グーグルチャット)、Onduo(オンデュオ)、Project Baseline(プロジェクトベースライン)、YouTube、YouTube TV、YouTube Music、YouTube Kids(ユーチューブキッズ)、YouTube Studio(ユーチューブスタジオ)、Google Meet(グーグルミート)、Google Smart Lock(グーグルスマートロック)、Motion Stills(モーションスチル)、Google Fiberr(グーグルファイバー)、Google広告、Wear OS(ウェアオーエス)、Googleカレンダー、Google Classroom(グーグルクラスルーム)、Googleスライド、Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleドライブ、Google Play ムービー、Google Home(グーグルホーム)、Fiber TV(ファイバーTV)、Google翻訳、Google Authenticator(Google 認証システム)

Googleは、プライバシーラベルを適用するために、なぜそれほど時間がかかっているのか、理由を述べていない。当初は、毎年恒例のホリデー・コード・フリーズ、つまり多くの人々が休暇を取るため、アプリの更新を一時的に停止しているから、プライバシーラベルの適用が遅れているとしていた。

しかし、アプリの更新が止まっているのが、数週間から数カ月になるにつれて、Googleが他の大手テック企業よりもはるかに慎重で、プライバシーラベルを適用するために方法論的なアプローチを取っていることが明らかになった。その結果、同社のアプリのアップデートへの注目と監視が高まった。

実際、Googleのアプリがプライバシーラベル表示を加えて更新される度、大々的に報じられることになっている

例えば、Engadgetは米国時間3月1日、週末にGmailなどのアプリが更新されたことを報じている。

2021年1月中旬、Googleは公式にその遅延に対する注目に応え、同社のiOS用アプリは次回の更新を受ける際にプライバシーラベルの表示が適用されると、ブログ記事で説明した。しかし「更新」と「プライバシーラベルの適用」は必ずしも同時に行われているわけではない。報道によると、Gmailはすでに2月22日にプライバシーラベルが追加されていたが、今まで更新はされていなかった。

そしてプライバシーラベルの表示が加えられたアプリは、更新されたアプリよりもずっと多い。

Googleはコメントを求められても現時点で回答していない。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAppleアプリiOS

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

AIによる頭髪診断・対策支援から専門家への相談まで可能な国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

国内初のAGA(男性型脱毛症)管理アプリ「HIX」(ヒックス。Android版iOS版)の開発・運営を手がけるエムボックスは2月24日、シードラウンドにおいて、総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ジェネシア・ベンチャーズ、守屋実氏。

HIXは、スマホアプリで薄毛診断から対策までワンストップで完結するというサービス。調達した資金は、「HIXのさらなる機能開発」「マーケティングへの投資」「製品開発」の3点などにあてる。

HIXのさらなる機能開発では、まずアプリの新たな機能開発やUX/UIを改善するという。これにより、HIXが薄毛に悩むユーザーにとって、パーソナルケアの面で最も身近で頼りにできるサービスになることを目指す。

また、現在は画像判定後の診断は最終的に毛髪診断士の承認を経て行っており、これをAI診断による完全自動化を行いオペレーション効率を向上させるとしている。

マーケティング体制の強化では、新規顧客獲得を目的に、ウェブやSNS、動画投稿サイトを活用したインハウスマーケティングを行い、潜在顧客へ効率よくリーチできる体制を構築する。

またHIXでは、すでにアプリや公式サイトを通じてPB (プライベートブランド)医薬品である発毛剤や栄養補助サプリメントなどの提供を行っており、今後製品開発とブランディングをさらに強化するとしている。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

PB (プライベートブランド)医薬品として、発毛剤や栄養補助サプリメント、マイクロスコープをすでに展開している。これをさらに拡充する

自宅で頭髪の状況を確認できるAGA管理アプリ「HIX」

HIXは、AI(人工知能)を用いた画像判定技術と、AGA専門医監修の対策支援アルゴリズムを搭載。自宅で薄毛診断ができ、この診断結果に基づいた信頼性の高いヘアケアを行えるというスマートフォンアプリ。

2020年7月にiOS用β版をリリースしており、この公開から約半年で累計ダウンロード数は約1000件、診断画像数は3000件超となったという。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

ユーザーは、HIX(のカメラ機能)で髪と頭皮の画像を撮影・送信し問診に回答すると、薄毛・AGAの進行状態を診断し、各ユーザーに合った対策方法を提案する。この提案では、AGA専門医と連携し、普段の診察で行っている診断・治療方針決定などをアルゴリズムとして構築したという。

さらにHIXでは、アプリからカウンセラーにチャットで相談を行ったり、発毛剤(医薬品)などを購入したりも可能。自宅で手軽にヘアケアを行えるようにしている。

エムボックスによると、HIXユーザーからは、自分で行った対策を記録できることや効果の進捗をすぐ確認できる利便性が評価されているという。

薄毛に悩む方は、クリニックなどを受診しない限り、セルフチェックしか診断手段はなく、予防・治療方法はインターネットで検索し、非常に多くの情報の中から選択しなければならない状況にある。適切な情報や、自分にあった商品を選択するために多くの時間と労力を費やす必要があるという。

また一般的に、市販の育毛剤や発毛剤は毎月6000~7000円程度要すること、パッケージデザインも中高年向けであることから、ミレニアル世代にとっては敷居の高い商品となっているそうだ。

男性向けパーソナルケアのトップランナーを目指す、国内初のAGA・男性型脱毛症アプリHIXが4000万円調達

これら課題の解決として、HIXでは、「手軽さ」「不安の軽減」を提供するとしている。

HIXでは、スマホひとつで無料でいつでも本格的な薄毛診断ができ、自分にあった効果的な予防や対策法を把握可能としている。また、アプリから効果が実証された医薬品などのヘアケア商品をリーズナブルな価格で購入したり、AGAクリニックのオンライン診療の予約も行える。

またHIXでは、クリニックや専門機関へ通院しなくとも、薄毛の進行状態や原因を正しく把握でき、自分にあった予防や対策方法が明確になるとしている。

また、チャットでカウンセラーに薄毛の悩みや不安を相談できたり、対策の効果を確認したりできることから、漠然とした不安を軽減可能という。

男性向けパーソナルケアの先頭を切りたい

創業メンバーである代表取締役CEOの金澤大介氏と取締役COOの小西裕介氏は、クリニックや薬局の運営経験から、薄毛や多汗症、ニキビなどのパーソナルヘルス領域での治療や服薬支援に従事してきた。毛髪や肌の病気は見た目の悩みにつながるため、症状を抱えている人は気持ちの沈みが大きく、QOLが低下してしまいがちという。その中でも、特に悩みが深いのが男性のAGA(男性型脱毛症)としている。

日本国内には薄毛に悩む男性は、約1200万人(日本醫事新報)とされるものの、医療機関を受診する物理的・心理的ハードルが高く、適切な治療を受けている人が少ないという。結果的にインターネットの間違った情報を選択し、効果が期待しにくい商品に手を出してしまうケースが多くあるそうだ。こういった人に手軽に毛髪状態が診断でき、正しい知識と適切な対策(商品)を手に入れられる環境があれば、不安や悩みを軽減できると考え、サービスの立ち上げに至ったという。

金澤氏によると、アンチエイジングや美容、フェムテックはじめ、アメリカでは女性向けパーソナルケアがまず盛り上がりをみせ、男性対象のものが続く形だったという。同氏は、日本でも同じ軌跡をたどると考えており、男性のパーソナルヘルスケア領域、特に薄毛対策において、エムボックスがその先頭を切りたいと明かした。現状ではオープンに語りにくいもの、恥ずかしいものという意識があるため、HIXを通じて男性向けパーソナル領域を変えていきたいとしていた。

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世界のアプリ支出額は2025年までに約28.4兆円に成長との予測、2024年に非ゲームへの支出がゲームを上回る

新たなマーケット予測によると、アプリの支出額は2025年までに2700億ドル(約28兆3545億円)に達する。ここには有料のダウンロード、アプリ内購入、サブスクリプションが含まれる。Sensor Towerのデータでは、アプリ内支出は今後数年、パンデミック前の水準に戻って安定成長し、ダウンロードは増え続ける。そしておそらく最も特筆すべきは、ゲーム以外のアプリのアプリストア支出額が2024年までにモバイルゲーム支出額を上回るという予測だ。

今日では消費者はゲーム以外のアプリの倍の額をモバイルゲームに注いでいることを考えると、これは大きな賭けだ。しかしながらSensor Towerは多くのモバイルアプリに導入されているサブスクモデルがシフトすると確信している。2024年までに非ゲーム支出は860億ドル(約9兆300億円)に達し、一方のモバイルゲーム支出は730億ドル(約7兆6680億円)となると予測している。そして2025年までにこの差は広がり、非ゲーム支出は1070億ドル(約11兆2380億円)に、モバイルゲーム支出は780億ドル(約8兆1930億円)に達する。

画像クレジット:Sensor Tower

参考までにマーケットの現状をいうと、2020年に世界の消費者がトップ100のサブスクアプリに費やした額は前年比34%増だった。しかしすでにサブスクの成長はアプリ内購入の回避策を取っているNetflixやTinderのような大手アプリの影響を受けていることが示されている。

関連記事:2020年サブスクアプリのトップ100は34%増の約1.4兆円に、総支出に占めるシェアは変わらず

Sensor Towerが予測できないのは、今後数年の規制環境がアプリストア全体にどのように影響をおよぼすかだ。Apple(アップル)やGoogle(グーグル)のような企業は現在、自社の決済メカニズムを通じたサブスク料金を顧客に課金することを求めている。しかしアプリメーカーがアプリ内でサブスクを展開できるようにする新しい反独禁法が導入されるかもしれない。ゆえに、そうした変更はアプリストアのサブスク成長トレンドに大きな影響をおよぼし得る。

パンデミックにより2020年のアプリ内支出は前年比30%増の1110億ドル(約11兆6590億円)に達したが、全体のアプリ内支出は今後5年間でコロナ前の水準に戻るとSensor Towerは予測している。そして2つのアプリストアの売上高は毎年、年平均成長率(CAGR)19.5%で増加し、2025年には合計2700億ドル(約28兆3610億円)に達すると見込んでいる。この数字の内訳は、1850億ドル(約19兆4330億円)がAppleのApp Store、850億ドル(約8兆9290億円)がGoogle Playだ。

画像クレジット:Sensor Tower

米国は他のグローバルマーケットよりもゆるやかに成長し、CAGR17.7%で2025年までに740億ドル(約7兆7730億円)に達する。

欧州マーケットのアプリストア支出は2020年から2025年にかけて成長し、英国がそれを牽引する。これは支出総額が最も多いことを意味するのではなく、どこで成長しているか、言い換えればアプリマーケットの機会を示すものだ。2025年までに欧州の11カ国が消費者支出額10億ドル(約1050億円)というマイルストーンを超え、合計で420億ドル(約4兆4120億円)に達する。

画像クレジット:Sensor Tower

一方、ダウンロード数は今後数年間は成長し続け、2025年までに2300億回に達するとSensor Towerは予測している。この数字の大部分はGoogle Playが占め、1870億回だ。しかしながら米国では2025年のApp Storeのダウンロード数は106億回でGoogle Playの63億回を上回る、とSensor Towerはレポートを締めくくっている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト思考力育成アプリ「シンクシンク」(Android版iOS版)を手がける教育テック(EdTech)領域のスタートアップ「ワンダーラボ」(旧花まるラボ)は2月22日、トイアイデアコンテスト「STEAM Toy Contest 2021」の開催を発表した。募集締切は5月13日で、結果発表は6月下旬予定。大賞には賞金30万円が授与される。スペシャルスポンサーはハナヤマ、Google、小学館。

Googleもスペシャルスポンサー、教育テックのワンダーラボがSTEAM分野「トイ」募集コンテスト

STEAM Toy Contest 2021は、子どもから大人まで、知的好奇心を刺激し、心が踊るような「トイのアイデア」を募集するというコンテスト。STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデアの提出を求めている。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の頭文字を取ったもの。

「トイ」とは、主に小学校低学年の子どもから大人までが「遊び」として楽しめるものを指す。形式(デジタル/アナログ、パズル・ボードゲーム・カードゲーム・謎解き、など)は問わない。子どもも理解でき、楽しめる内容であることを重視する。複数応募可能。

「新しい」という点については、ゲームのルールが新しい、技術の使い方が新しい、形式が新しい、体験が新しい、頭の使い方が新しいなど、なにか凡庸でない部分が見受けられるほど評価は高くなるとしている。

またすでに完成しているものでも、アイデアベースでもかまわないものの、応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限るとしている。

  • 募集内容:STEAMの5分野に当てはまりそうなトイのアイデア。STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)を指す。応募時点で商品化されておらず、その予定がないものに限定。複数応募可能
  • 一般部門応募資格:年齢・国籍不問。個人応募限定
  • キッズクリエイター部門応募資格:小学生まで。国籍不問。個人応募限定
  • 募集締切:5月13日
  • 結果発表:6月下旬予定。イベントサイトで結果発表
  • 賞金・賞品:STEAM Toy大賞(賞金30万円)、各部門優秀賞(賞金5万円)。キッズクリエイター賞(スポンサー企業・主催よりオリジナルグッズやトイ贈呈)
  • 審査基準:ワクワクする気持ちを引き出すようなアイデアか、子どもから大人まで楽しめるアイデアか、新しさのあるアイデアか、実現可能なアイデアかなどを中心に様々な観点で吟味し、総合的に判断

同コンテストにおいて発表・制作された作品などに関し、主催者から応募者へ、共同開発、製品化または事業化などの申し出をする可能性があるという。その場合条件などについて協議を行いたいとしている。

また主催者のワンダーラボは、日頃より数多くの研究開発を行なっているため、主催者が独自で考案したアイデアと応募者のアイデアが偶然にも同一または類似する可能性を挙げている。そのような場合でも、応募者が主催者の故意を立証できない限り、主催者は一切の責任を負わないものとしている。

2014年創業のワンダーラボは、子どもたちが本来持っている「知的なワクワク」を引き出すためのコンテンツを開発・運営しており、国際的な算数大会の問題などを多数製作・監修している、STEAM/STEM教材・思考力教材製作のパイオニア。

2017年にリリースした思考力育成アプリ「シンクシンク」は、日本e-Learning大賞 Edtech特別賞受賞、海外でGoogle Play Awards 2017/2019 TOP5などを獲得。同アプリは抽象思考の基礎となる思考センスを育てる問題を多数収録し、世界中に配信しており、JICA・慶應義塾大学との実証実験では、学力・非認知能力の両面に高い効果が確認されているという。

また、三重県と「教育振興のための包括協定」を締結し、2018年度より同県全土への教材提供やアドバイスを実施。カンボジアではJICA・政府との協働案件として同国への思考力教育の導入を推進するなど、国内外で官学と連携した取り組みを行っている。

2018年11月には、世界最大の教育ベンチャーのコンペ「Global EdTech Startup Awards」(GESA)の日本予選にて最優秀賞を受賞した。

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数学学習アプリのPhotomathが24.3億円調達、2億2000万ダウンロード突破

方程式を解くのを助けてくれる人気のモバイルアプリPhotomathが、Menlo VenturesがリードするシリーズBの投資ラウンドで2300万ドル(約24億3000万円)を調達した。アプリは大成功した消費者向けアプリであり、自分の家にティーンエイジャーがいる人なら、すでにご存知だろう。

このアプリはまず最初に、スマートフォンのカメラに数学の問題を読ませる。するとアプリは、解き方を1つひとつの説明してくれる。何でも楽をしたい学生にとっては、理想のアプリかもしれない。

Photomathの使い方は実に多様だ。たとえばノートに書いた方程式からPhotomathはグラフを描くこともできる。

キーボードで方程式をタイプするのは、かなり難しい。そこで、紙やペンという物理的世界とスマートフォンとの間にあるギャップの橋渡しをしたことが、Photomathの成功の鍵となっている。ユーザーはペンを握って紙の上に何かを書くだけでい。つまりPhotomathれは、電卓のAR(拡張現実)バージョンともいえる。紙とペンという物理的な現実を、計算能力で拡張する。

今日の投資ラウンドには、GSV VenturesやLearn Capital、Cherubic VenturesそしてGoodwater Capitalが参加した。

このアプリの成功裏話はおもしろい。Photomathは当初、MicroBlinkという企業のためのデモアプリとして設計された。当時チームは、テキスト認識技術に取り組んでおり、自分たちのコア技術が役に立つさまざまな企業に、技術を売る売ることを考えた。

2014年には、ロンドンのTechCrunch Disruptで彼らは、MicroBlinkを売り込んだ。そうするとひと晩で、PhotomathはiOSアプリストアのトップに躍り出た

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Photomathはこれまでに、2億2000万回以上ダウンロードされている。本稿を書いている時点で米国のアプリストアでは59位で、Tinderの1つ上だ。真似をしようとした企業は多かったが、どこもこのヨーロッパの小さなスタートアップを負かすことはできなかった。

アプリは、子どもたちが家で勉強するようになってから、さらに利用されている。手を上げて助けを求める先生がいなくても、十分に勉強できる。

Photomathは無料だが、有料版のPhotomath Plusもある。こちらはアニメを使って解き方を説明するなど、さまざまな機能がある。

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画像クレジット:Photomath

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

グーグルが機能していないアプリ「Trump 2020」を一時停止措置に

Google(グーグル)は、規則に違反したとしてTrump 2020選挙運動アプリのGoogle Play Storeでの扱いを一時停止した。Android Policeの報道を受けてGoogleはその事実を認めた。報道では、アプリはいかなるコンテンツも取り込めず、Storeから取り除かれたようだとされている。同アプリのAndroid版、iOS版ともに2020年11月の選挙後もオンライン上にまだあるが、アップデートされていない。これがアプリの安定性の問題につながったようだ。

たとえばAndroid版は2020年10月30日からアップデートされていない、と調査会社Sensor Towerは指摘する。

Android Policeの報道によると、アプリはまだ存在するがコンテンツを取り込むことができず、接続面での問題もある。この問題は報道にあるとおり、ユーザーがアプリをダウンロードすると、Tロゴが回転する最初のローディングスクリーンになるか、すぐにサーバーエラーが表示されるかだとTechCrunchは理解している。どちらにせよ、アプリの中身をまったく取り込まない。

Google Play Storeにある直近のユーザーレビューでも「開かない」「アプリは起動すらしない」「まったくひどい、機能しない」「接続確認を、というだけで開かない」などと問題が報告されている。とあるユーザーは「みんなのコメントに返事してください。ロードしていません」とデベロッパーに多くの苦情に対応するよう求めた。別のユーザーは「Googleが削除するまでは機能していた」と記し、この問題はGoogleの不手際だとほのめかした。

しかし、Googleは削除していない。Trump 2020 Androidアプリは実際にはGoogleが行動する前から問題を抱えていた。

たとえば1カ月ほど前のツイートでも同様の問題が指摘された。

GoogleはTechCrunchに対し、Play Storeで禁止にはなっておらず、機能していなかったために一時停止になっているだけだと述べている。もし問題が解決すれば、復活するかもしれない。Googleはまた、アプリを一時停止とする前に、このアプリのデベロッパーに連絡を試みたが、返事が一切なかったとも述べた。

「Trump 2020選挙運動アプリはこのほど機能を停止し、問題を解決してもらおうと複数回デベロッパーに連絡を取りました」とGoogleの広報担当は述べた。「人々はGoogle Playからダウンロードしたアプリが最低限のレベルの機能性を提供すると考えており、問題を解決しないなら機能しないアプリはストアから取り除く、というのが当社のポリシーです」。

Androidでの問題にもかかわらず、TechCrunchはiOS版アプリがまだ最初の立ち上げが可能で、サインアップで電話番号に確認コードを送れることを確認した。しかしアプリのメイン表示にいくと、エラーメッセージが表示される。ただし、過去のコンテンツをブラウズする能力に影響はない。

iOSのTrump 2020(スクリーンショット)

Sensor Towerは、Trump 2020アプリのAndroid版は2021年2月7日から新規インストールされていないようだと話す。同社はまた、同アプリのiOS版のインストールが150万回だったのに対し、Android版は約84万回だったと指摘した。

Trump 2020アプリの問題がニュースになるのは今回が初めてではない。

2020年の米大統領選挙までの数カ月、多くのTikTokユーザーがApp StoreユーザーレビューでTrump 2020アプリを貶めた(なぜか、Z世代ユーザーは低い評価のアプリは自動的にアプリストアから削除されると信じている。それは真実ではない)。しかしTikTokユーザーのそうした取り組みによって、Trump 2020アプリの全体評価は星1.2に落ち、Trump 2020陣営はアプリ評価のリセットを余儀なくされた。

大統領選はだいぶ前に終わったが、ユーザーはまだアプリに星1という低い評価をつけている。時にネット上の荒らし者たちは、その過程でちょっとしたユーモアを見せようとさえする。

とあるPlay Storeのレビュワーは「アプリは私の携帯のOSを乗っ取ろうとクーデーターを試みた」と書き込み、別の人はiOSで「私は2016年から十分苦しんだ」と記した。

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画像クレジット:Alex Wong / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

キャッシュレス決済連動の栄養管理アプリ「SIRU+」(シルタス。Android版iOS版)を運営するシルタスは2月18日、第三者割当増資による約5億円の資金調達を発表した。

引受先は、ギフティ、テックアクセル1号投資事業有限責任組合(合同会社テックアクセルベンチャーズ)、シティクリエイションホールディングス、インテージの計4社。

調達した資金により、SIRU+のサービス拡大、小売業へのDX支援サービス拡大にあて、以下の取り組みを推進する。

  • 連携スーパーの拡大:買い物客はひとつの店舗で買い物をするわけではないので、SIRU+が使えるスーパーやコンビニエンスストアを増やす必要がある。アプリ導入済みスーパーとの実証実験で得た知見をもとに、連携スーパーを拡大する
  • SIRU+ならびにSIRU+Bizの改善:SIRU+データを活用して、小売業や食品メーカー向けに買い物客の健康ニーズを分析するツール「SIRU+ Biz」を2020年11月にリリース。SIRU+ならびにSIRU+Bizの機能を改善し、利用者ならびに利用企業の増加を狙う
  • 外部サービスへの拡張:ECやサイネージ、スマートカートなどと連携することで、決済前に自分の栄養状態を見ながら買い物ができる環境を構築

スーパーのキャッシュレス決済から栄養バランスが整う食材・レシピを提案する「SIRU+」アプリが5億円調達

SIRU+はキャッシュレス決済と連動して買い物データを自動で栄養分析し、栄養バランスが整う食材やレシピを提案するスマホアプリ。日常生活の一部である買い物から健康的な食生活を目指す「頑張らないヘルスケアアプリ」という。

SIRU+を繰り返し利用すると、ユーザーの食の好みを機械学習し、個人の食生活に合わせて最適な買い物を提案するようになる。2020年4月に食材入力機能を追加しており、対象スーパー以外で購入した食品なども登録できるようになった。

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互いの顔がパズルで隠されたところから始まるデートアプリを開発したJigsawが、約4億円の資金を調達

「反表面的」なデーティング(出会い系)アプリのJigsaw(ジグソー)が、270万ポンド(約4億円)のシード資金を調達し、米国での事業拡大に向け一歩先んじた。今回のラウンドは、オンライン・デーティング企業の潜在需要発掘を行うRelationship Corp(リレーションシップ・コープ)という会社が先導し、米国と英国の「主に」テクノロジー部門に投資するエンジェル投資家からの支援を受けている。

社名が示すように、Jigsawは出会いの化学変化を求めて他の独身者の写真をスワイプするという業務処理に、「表面的な要素を抑えた」体験を提供することで、少々謎めいた楽しみを追加する。

彼らの(特許を取得した)反表面的な仕掛けは、最初は策略じみているように見え、赤面してしまうかもしれない。これは文字通り、ユーザーの顔の上にデジタルジグソーパズルを重ね合わせ、対話を重ねるごとに徐々にピースが取り除かれていき、アプリ内であらかじめ設定された量のエンゲージメントを達成すると初めて顔が現れるというものだ。

アプリのFAQによると、写真にデジタルフィルターの類を使用することは禁止されており、「本当の」自撮り写真のみとなっている。そのため、可愛い猫耳などを追加したりすることはできない。

同社はまだいくつかのトリックを袖の下に隠しているが、将来の計画はその時が来るまで公開したくないようだ(そのアプリに例えて言うならば、今のところ同社の製品のロードマップは半分完成したジグソーパズルというところか)。

Jigsawは英国のスタートアップ企業で、最高経営責任者を務めるAlex Durrant(アレックス・デュラント)氏と、最高個人情報責任者のMax Adamski(マックス・アダムスキー)氏が、2016年に共同で創設した。彼らは当時、大学生の友人同士だった。数多くのデーティングアプリがあまりにも表面的であるため、人々が不満を抱いていることを発見した彼らは、2018年に仕事を辞めてプロジェクトに専念。2019年にパズルで顔を覆ったデーティングアプリを発表し、昨年11月には米国に進出した。

Jigsawは現時点で、これら2つの市場で約15万人以上の登録ユーザーを抱えており、米国では5万人が登録している。新しい資金が潤沢にある今、彼らは大西洋を越えて本格的な事業展開に乗り出そうとしている。

デュラント氏によると、チームは今後の6カ月間に米国で50万人のユーザーを獲得することを目標にしているとのこと。米国のデーティングアプリでは、表面的なスワイプが少ない傾向にあるため、Jigsawにとって参入の勝算があると彼らは考えている。

「私たちは頭がおかしいわけではないので、人の顔にパズルを重ねたほうがよく見えると思っているわけではありません。パズルは表面的なデーティング業界に向けて私たちが立てた中指です」と、デュラント氏は言う。「パズルはあなたが仰るように、ユーザーが外見を超えてお互いを見られるように、そして、より有意義で持続的な相互作用を推進するために存在しています」。

現在のところ、Jigsawの顔を覆う仕掛けは、16個のピースで構成されたパズルによるものだ。全ての写真は、まず「こっそり覗かれるように」1つのピースが取り外されるところから始まる。そして誰かがその写真を気に入ると(マッチングが成り立つと)もう1個のピースが取り除かれるので、2つのピースが開いた状態でチャットが始まることになる。

さらにお互いがメッセージを交換するごとにパズルのピースが取り除かれていき、最終的には全てのピースが消えて顔が完全に明らかになる。うまくいけば、その時点で会話が途切れることもないだろう。

「お互いに6つ以上のメッセージ(合計12個)をかわすことが、有意義な会話には最低限必要であると我々は考えています」と、デュラント氏は言う。「そのため、現在のジグソーパズルは、7回のメッセージが交換されると(合計14個のピースが取り除かれると)、その下にある顔が完全に見えるようになっています。この数字はテストによって決められたもので、今のところユーザーにとってのスイートスポットとなっています」。

デーティングアプリのユーザーが、心ないスワイプをせず、より多くのチャットをかわすように、顔のビジュアルを覆うというコンセプトは、Jigsaw独自のものではない。「デーティングアプリ疲れ」を軽減するために「公開を遅らせる」仕掛けを施したアプリはたくさんある。別のアプリであるINYNは、プロフィールが表示される速さを制限している。

また、チャットをするまでユーザーの写真をぼかしてしまうアプリには「Taffy(タフィ)」がある。イスラム教のマッチングアプリ「Veil(ベール)」では、「デジタルベール」機能(不透明フィルター)が用意されており、相互にマッチするまで男女ともすべてのプロフィール写真に適用される。

Willow(ウィロー)」のような他の「反表面的」なデーティングアプリは、Q&A形式のアプローチを試みており、互いの質問に答えていくと、さらに多くの写真が見られるようになっている。このように、全てが明らかになるまで時間が掛かるように作られたアプリは数多い。

しかし、Jigsawはこのような「ゆっくりと明らかにする」形式に、おそらく最も視覚的にわかりやすい(そしてゲーム的な)仕掛けを採用した。それは直ぐに明らかになるものの、しかし「恋は盲目」になりがちな他のデーティングアプリの平均に比べれば、ゆっくりと明らかになることは確かだ。

我々が確認したところによると、そのシード投資はユーザーを買うためでもないようだ。

Relationship Corp. は、デーティングアプリにユーザー獲得/トラフィック生成サービスを提供しており、投資先にもそれらのアプリが含まれる。だが、デュラント氏によれば、Jigsawの場合はストレートなエクイティ投資であるという。つまり、その成長する能力に自信を持っているようだ。

「彼らは非常に地味だが、業界ではよく知られています」と、デュラント氏はシード投資を先導した投資家について語る。「同社のCEOであるSteve Happas(スティーブ・ハパス)氏は、以前ProfessionalMatchを起ち上げた人物で、(投資の一環として)当社の諮問委員会のメンバーでもあります。私たちには彼らと協力してユーザーを獲得する選択肢もありましたが、そうではなく、彼らは私たちの内部チームを顧問としてサポートしてくれています」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

個人の位置情報をブローカーに売っていたX-Modeはアプリがストアから排除されてもユーザーの追跡を継続

これまでの発表よりもはるかに多い、何百ものAndroidアプリがユーザーの詳細な位置データをX-Mode(エックスモード)に送信していたことが判明した。X-Modeは位置データを米軍の請負業者に売ることで知られているデータブローカーである。

新たな調査によれば、そうしたアプリにはメッセージアプリ、無料の動画、ファイル変換ソフト、さまざまな出会い系サイト、宗教と礼拝用のアプリが含まれている。どれも、これまでに数千万回もダウンロードされているアプリである。

ExpressVPN Digital Security Labの主席調査員Sean O’Brien(ショーン・オブライエン)氏と、Defensive Lab Agency(ディフェンシブ・ラボ・エージェンシー)の共同創設者Esther Onfroy(エスター・オンフロイ)氏は、ここ数年のある期間にX-Modeのトラッキングコードが埋め込まれているAndroidアプリを200近く発見した。

一部のアプリは、つい2020年12月にAppleとGoogleがアプリからX-Modeを削除しないとアプリストアから排除することを開発者に通達した時点でも、まだ位置データをX-Modeに送信し続けていた。

しかし、排除が通達されてから数週間経っても、米国のある交通地図アプリは、依然として位置データをX-Modeに送信していたにも関わらずGoogle Playからダウンロード可能だった。このアプリは人気があり、すでに数十万回もインストールされている。

公開された新たな調査は、X-Modeと連携したアプリについて今までに行われた調査の中で最も大規模なものであると考えられている。通常の携帯電話用アプリから収集された位置データの利用権売買は数十億ドル(数千億円)規模の産業になっており、X-Modeはその産業で商売している数十社の企業の1つである。そうした位置データはたいていターゲティング広告を提供するために使用される。

先に米国諜報機関が商用の位置データの利用権を買い取り、米国人の過去の行動を、令状を取得する前に調査したことが報じられたばかりであるため、X-Modeには、政府の仕事との関係を疑う厳しい調査の目が向けられることになった。

X-Modeは、アプリ開発者にお金を払ってソフトウェア開発キット(SDK)と呼ばれる追跡用コードを使ってもらい、その代わりにユーザーの位置データの収集と引き渡しを請け負う。この追跡に関するユーザーのオプトインは、アプリの利用規約とプライバシーポリシーを承諾することにより成立する。ただし、位置データが最終的にデータブローカーの手に渡る可能性や軍の請負業者に販売される可能性があることを、X-Modeを使用しているすべてのアプリがユーザーに開示しているわけではない。

X-Modeが軍の請負業者(広い意味でとらえると米軍)と関係していることを最初に公表したのはMotherboard(マザーボード)だ。その報告では、世界中で9800万回以上ダウンロードされている有名な礼拝用アプリが詳細な活動データをX-Modeに送信したことが明らかになった。

2020年11月、Motherboardはさらに、これまで報告されていないイスラム教の礼拝用アプリQibla Compass(キブラ・コンパス)がX-Modeにデータを送信していたことを発見した。この発見はオブライエン氏の調査結果でも裏づけられており、さらにいくつものイスラム教徒向けのアプリにX-Modeが組み込まれていることが指摘された。Motherboardは、ネットワークトラフィックを分析することで、そうしたアプリの少なくとも3つはある期間にX-Modeに位置データを送信していたことを確認した。ただし、Google Playにある最新バージョンではすべて改善されている。Motherboardの記事全文はこちらで読むことができる

2020年、X-Modeの最高経営責任者Josh Anton(ジョシュ・アントン)氏は、CNNに対して、データブローカーは米国で2500万台のデバイスを追跡しており、Motherboardによって指摘されたSDKは約400のアプリで使用されていると説明した。

アントン氏はTechCrunchに次のように語っている。

X-Modeがほとんどの広告用SDKと同じようにモバイルアプリデータを収集していたことを考えると、X-ModeのSDKの排除はエコシステムに大きな影響を与えることになる。AppleとGoogleは、パブリッシャーの大部分が位置データの収集と使用に関する二次的同意を得ていたとしても、モバイルアプリデータの収集と使用に関するいち企業の能力をプラットフォームが決定できるという先例を作った。

最近、当社は、この問題に協力して解決する最善の方法を理解するためにAppleとGoogleに公式文書を送った。命を救うための位置データの使用と、位置データを活用した製品を開発するテックコミュニティの機能強化を両方とも継続して行うためである。当社は、AppleとGoogleが位置データの収集と使用に関して自分たちに当てはめている同じ基準をX-Modeにも適用することが重要であると考えている。

調査員は、X-ModeのSDKを使用しているアプリとの通信が行われたことが判明している新しいエンドポイントも公表した。オブライエン氏は、これが、ユーザーの位置データをX-Modeに送信しているアプリや送信履歴のあるアプリのさらなる発見に役立つことを期待している。

オブライエン氏は「私たちは、こうしたロケーショントラッカーのターゲットになっているかどうかを利用者が識別できるようになることを望んでいる。さらに重要なこととして、こうしたスパイのような行為を止めるよう強く求める。調査員は公共の利益のために調査結果を精査し、プライバシー、セキュリティ、権利への脅威を明らかにする必要がある」と語った。

TechCrunchは、調査結果に含まれていたアプリの中から、ダウンロード数の多い20数個のAndroidアプリを選び、そのネットワークトラフィックを分析した。既知のX-Modeのエンドポイントと通信していたアプリを探し、ある期間に位置データをX-Modeに送信していたアプリを確認するためである。

また、調査員によって特定されているエンドポイントを使用し、X-Modeと通信している可能性がある有名なアプリが他にもないか探すことにした。

その結果、Googleアプリストアの排除から抜け落ちているアプリを少なくとも1つ特定できた。

Googleによって削除される前にGoogle PlayにあったNew York Subway(画像クレジット:TechCrunch)

New York Subway(ニューヨーク・サブウェイ)はニューヨーク市の地下鉄網を案内する人気アプリで、これまでに25万回ダウンロードされ、Sensor Tower(センサー・タワー)によって提供されるデータを使用している。このアプリは、本記事の執筆時点でもまだGoogle Playに掲載されており、アプリストアが排除を通告してから更新されていないため、依然として位置データをX-Modeに送信していた。

アプリを読み込むと、広告、分析、市場調査のためにX-Modeへのデータ送信に同意するようユーザーを求めるスプラッシュスクリーンがすぐに表示されるが、アプリにはX-Modeの政府関係の活動については少しも説明されていなかった。

イスラエルに拠点を置くアプリメーカーDesoline(デソリン)に何度かコメントを求めたが、回答はなかった。ただ、問い合わせを行った少し後にこのメーカーはプライバシーポリシーからX-Modeに関する記載を削除した。本記事の執筆時点では、このアプリはGoogle Playから消えたままである。

Googleの広報担当者は、この会社がGoogle Playからアプリを削除したと説明している。

また、TechCrunchは、調査員が提供しているアプリの一覧を使用して、非常に人気のある2つのアプリMoco(モコ)とVideo MP3 Converterの旧バージョンを発見した。これまで累計1億1500万回以上ダウンロードされているが、いまだにユーザーの位置データをX-Modeに送信している。Google Play以外からAndroidアプリをインストールし、データをX-Modeに送信する古いアプリを実行しているユーザーにプライバシーリスクをもたらしている。

どちらのアプリメーカーにもコメントを求めたが回答はなかった。Googleは、同様の問題がある他のアプリが削除されたかどうかや、位置データをX-Modeに送信する古いバージョンのアプリを実行しているユーザーを保護するためにどんな対策を講じるかを、たとえその方法があるとしても説明しないだろう。

AppleのiOS用の対応するアプリや同じ名称のアプリについても調査したが、X-Modeのエンドポイントとの通信が検出されたものは1つもなかった。Appleに問い合わせたところ、排除を実施した後にいずれかのアプリをブロックしたかどうかについてのコメントは拒否された。

オブライエン氏は「スマートフォンのセンサーは、不当に利用すれば、私たちの活動、自由な表現、自主性を制限しかねない多くのデータを提供している。位置データの密かな収集は、人権に関わる重大な脅威をおよぼしている。生活の中で特にセンシティブな部分や、誰と一緒にいるかといったことを観察できるからだ」と語る。

最近公開された調査によって、一般的なスマートフォンアプリから何百万もの米国人の個人データが(ほとんどの場合、ユーザーの明示的な同意なく)収集・販売されている方法に関する新たな事実が明らかになる可能性がある。

米政府の監視機関は現在、事前に令状を取得することなくさまざまなデータブローカーから位置データを買い取って使用することに関して、米内国歳入庁(IRS)や米国土安全保障省(DHS)をはじめとするいくつかの連邦政府機関に対して捜査を行っている。先週、国防情報局の諜報分析官が米国人の位置データを保存している商用データベースの利用権を購入したことが明らかになった。

評論家は、政府が2018年の最高裁判決の抜け穴を使っていると指摘している。その判決は、法執行機関が令状なしで携帯通信会社から直接、携帯電話の位置データを取得することを禁止するものだった。

現在、政府は、ブローカーから直接購入できるものに対して令状が必要だとは考えていないという見解を示している。

厳しいプライバシー評論家として知られるRon Wyden(ロン・ワイデン)上院議員の事務所では以前、データブローカー産業について詳しく調べ、データブローカーを取り締まって罰金を科すために連邦取引委員会に新たな権限を付与する法律を過去に草案したことがある。

ワイデン氏は「米国人は位置データがクレジットカードと一緒にデータブローカーから誰かに売られている話にうんざりしている。業界の自主規制が機能していないのは明らかだ。連邦議会は、私が提出した『Mind Your Own Business Act』のような強力な法案を通して、データの販売を防ぐのに効果がある方法を利用者に提供し、米国人のプライバシーを侵害した企業に説明責任を求める権限を連邦取引委員会に与える必要がある」と語る。

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カテゴリー:セキュリティ
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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Dragonfly)