あなたのAndroidスマホがストーカーウェアに感染している可能性、削除方法はこちら

今日最も広く展開されている消費者向けスパイウェアの1つにセキュリティ上の脆弱性があり、約40万人の携帯電話データが危険にさらされており、その数は日々増え続けている。TechCrunchが特定したこのスパイウェアは、ベトナムの少人数の開発者によって運営されているが、セキュリティ上の問題はまだ修正されていない。

今回、問題のあるスパイウェアアプリは1つだけではない。Copy9、MxSpy、TheTruthSpy、iSpyoo、SecondClone、TheSpyApp、ExactSpy、FoneTracker、GuestSpyといった一連のアプリが、同じセキュリティの脆弱性を共有している。

しかし、修正プログラムがなく、TechCrunchはこの脆弱性に関する具体的な詳細を明らかにすることができない。知らないうちに携帯電話が危険にさらされている何十万人もの人々にもたらすリスクのためだ。

この脆弱性がすぐに修正される見込みはないため、このガイドでは、あなたのAndroidスマートフォンからこれらの特定のスパイウェアアプリを削除する方法を説明する。そうすることが安全だとあなたが思えばの話だ。

消費者向けのスパイウェアアプリは、子ども追跡ソフトウェアという名目で販売されることが多いが、同意なしにパートナーや配偶者を追跡・監視できることから「ストーカーウェア」としても知られている。これらのアプリは、Google Playのアプリストア以外のところからダウンロードされ、本人の許可なくスマホに仕込まれ、発見されないようホーム画面から消えるように設計されている。あなたが携帯電話を積極的に使用していないときでも、携帯の動作がいつもと違ったり、動作がいつもより鈍く遅くなったりすることに気づくかもしれない。

これらの一連のストーカーウェアのアプリは、雇用主が従業員の業務用携帯電話を遠隔管理するためによく使用されているAndroid搭載の機能を悪用しているため、Androidスマホが危険にさらされているかどうかのチェックは迅速かつ簡単に行える。

チェックを実行する前に、安全策を準備して欲しい。Coalition Against Stalkerware(ストーカーウェアに対抗するための取り組みを行う企業連合)は、ストーカーウェアの被害者と被害克服者のためのアドバイスとガイダンスを提供している。スパイウェアは秘密になるよう設計されているが、携帯電話からスパイウェアを削除すると、それを仕掛けた人物に警告がいく可能性が高く、安全でない状況を作り出す可能性があることに留意して欲しい。

この操作では、スパイウェアのアプリを削除するだけで、すでに収集されサーバーにアップロードされたデータは削除されないことに注意が必要だ。また、Androidのバージョンによっては、メニューオプションが若干異なる場合がある。自己責任においてこれらの手順に従って欲しい。

Google Playプロテクトの設定を確認する

Android端末のセキュリティ機能Google Playプロテクトが有効になっていることを確認する(画像クレジット:TechCrunch)

Google Playプロテクトは、サードパーティ製のものやアプリストアの悪意のあるAndroidアプリから保護するための最高のセーフガードの1つだ。しかし、スイッチをオフにすると、それらの保護機能が停止し、Google Play外のストーカーウェアやマルウェアが端末にインストールされる可能性がある。そのため、このストーカーウェアネットワークでは、スパイウェアを仕掛ける人に、動作させる前にGoogle Playプロテクトを無効にするよう促している。

Google PlayアプリからGoogle Playプロテクトの設定を確認し、有効になっていること、そして最近スキャンが完了したことを確認しよう。

アクセシビリティサービスが不正に細工されていないか確認する

ストーカーウェアは、デバイスとそのデータへの深いアクセスに依存していて、画面読み上げなどのアクセシビリティ機能を動作させるために、設計上、OSとそのデータへの広範なアクセスを必要とするAndroidのアクセシビリティ機能を往々にして悪用する。アクセシビリティのオプションの中にダウンロードした覚えがないサービスがある場合は、削除した方がいいかもしれない。ストーカーウェアのアプリの多くは「アクセシビリティ」や「デバイスヘルス」と呼ばれる、最初から入っているアプリに偽装されている。

Androidのスパイウェアは、ビルトインされたアクセシビリティ機能を悪用することが多い(画像クレジット:TechCrunch)

端末管理アプリがインストールされていないか確認する

端末管理のオプションは、アクセシビリティ機能と似ているが、さらに広範囲にAndroidにアクセスすることができる。これらの端末管理オプションは、企業が従業員の携帯電話をリモートで管理し、機能を無効化し、データ損失を防ぐためにデータを消去するためのものだ。しかし、このオプションによってストーカーウェアのアプリが画面を録画し、デバイスの所有者を盗聴することもできる。

端末管理アプリ設定の覚えのない項目は、端末侵入の一般的な指標だ(画像クレジット:TechCrunch)

ほとんどの人は個人の携帯電話に端末管理アプリを入れていないだろう。そのため「System Service(システムサービス)」「Device Health(デバイスヘルス)」「Device Admin(デバイス管理)」などの名前のついた見慣れないアプリが出てきたら要注意だ。

アンインストールするアプリを確認する

これらのストーカーウェアアプリのホーム画面アイコンは表示されないかもしれないが、Androidスマホのアプリのリストに表示されている可能性がある。Androidの設定画面にいき、アプリを表示して欲しい。そして一般的な外観のアイコンを持つ「デバイスヘルス」「システムサービス」などの無難な名前のアプリを探す。これらのアプリは、カレンダー、通話履歴、カメラ、連絡先、位置情報に広くアクセスできる。

スパイウェアのアプリは、一般的な外観のアイコンであることが多い(画像クレジット:TechCrunch)

覚えのないアプリやインストールしていないアプリがあった場合は「アンインストール」をタップする。この場合、ストーカーウェアを仕掛けた人物に、アプリがもはやインストールされていないことを警告する可能性が高いことに注意して欲しい。

携帯電話を保護する

ストーカーウェアが仕かけられていた場合、携帯電話のロックが解除されていた、無防備になっていた、あるいは画面ロックを推測・学習されていた可能性が高い。より強力なロック画面のパスワードは、未来のストーカーからあなたの携帯電話を保護するのに役立つ。また、電子メールやその他のオンラインアカウントは、可能な限り二要素認証で保護すべきだ。

あなたやあなたの知り合いが助けを必要としている場合、National Domestic Violence Hotline (1-800-799-7233)が家庭内虐待や暴力の被害者に24時間365日無料で極秘のサポートを提供している。緊急事態の場合は911に通報を。また、Coalition Against Stalkerwareは、あなたの携帯電話がスパイウェアによって侵害されていると思われる場合のリソースを提供している。この記事の執筆者には、SignalとWhatsAppの+1 646-755-8849、またはzack.whittaker@techcrunch.comでコンタクトを取れる。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

トランプ氏のTRUTH SocialがApp Storeに登場、しかし誰も利用できず

Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏のメディアグループは米国時間2月21日、米国でiOSアプリ「TRUTH Social(トゥルースソーシャル)」をリリースしたが、公開されているツールを使って同アプリのAPIをスキャンしたところ、すでに登録自体を締め切っていることがわかった(また、そのスキャンによると「独自アカウント登録マイクロサービス」は「Pepe」と名付けられているが、これは差別的な意味合いのあるミームの名前だ)。

TRUTH SocialはApple(アップル)のApp Storeで無料ダウンロードの1位になっているものの、ほとんどのユーザーはこのアプリに入ることができない。TRUTH Socialをダウンロードすると、Eメールアドレスと生年月日を入力するよう促され(ユーザーは18歳以上でなければならない)、その後、認証メールを待つことになる。しかし、そのプロセスのすべてのステップで、TechCrunchはエラーメッセージを受け取った。認証メールを受け取ると、そのリンクはさらにエラーメッセージを生み、アカウントを作成することができなくなった。10万人以上のユーザーとウェイトリストに入れられたというユーザーもいれば、認証メールを受け取れなかったり、認証ステップを通過できなかったりしたユーザーもいる。TechCrunchは、これらのサインアップの困難さについて、Trump Media & Technology Group(TMTG)にコメントを求めた。

トランプ前大統領は、2021年の国会議事堂襲撃事件後、ポリシー違反を理由に、Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)から削除された後、自身のソーシャルメディア・プラットフォームをつくることに興味を持つようになった。TMTGは10月のプレスリリースで「リベラルメディア・コンソーシアムの対抗馬を作り、ビッグテック企業に反撃すること」をミッションとしていると書いている。

画像クレジット:TRUTH Social

TRUTH Socialの発表は、初期の困難に満ちていた。この新しいソーシャルネットワークは、Mastdon(マストドン)のオープンソースのコードを使いながら、そのコードを自分たちのものだと主張していた。

「利用規約には、このサイトは所有財産であり、すべてのソースコードとソフトウェアは彼らによって所有または管理されているか、彼らにライセンスされていると主張する心配な箇所がありました」と、Mastodonは当時書いていた。「注目すべきは、利用規約にも他の部分にも、Mastodonへの言及も、Mastodonのユーザーインターフェースにデフォルトで存在するソースコードへのリンクも一切含まれていなかったことです。Mastodonは、AGPLv3ライセンスの下で公開されているフリーソフトウェアで、これを使用するオーバー・ザ・ネットワーク・サービスは、そのソースコードとあらゆる変更に一般にアクセスできるようにすることを要求しています」。

12月、TRUTH SocialはついにMastodonのソースコードを、そのウェブサイトの「オープンソース」と書かれたセクションに追加した

「私たちの目標は、あなたの政治的信条が何であろうと、オープンソースコミュニティをサポートすることです。だからこそ、我々がすばらしいソフトウェアを見つけるために最初に行くのは『ビッグテック』ではなくそのコミュニティなのです」と、TRUTH Socialのウェブサイトには書かれている

12月には、Devin G. Nunes(デビン・G・ヌネス)下院議員(カリフォルニア州)が下院を去り、TMTGのCEOに就任した(トランプ氏は同社の会長を務めている)。

今週末のFox Newsとのインタビューで、ヌネス氏はTRUTH Socialの本格的なローンチは数週間後であると述べた、現在はiOSでのみダウンロード可能である。

「毎日我々はより多くの米国人にサービスを提供します、そしてできるだけ早くあなたにも」と、ヌネス氏はFox Newsで述べた。

画像クレジット:MANDEL NGAN / JOSH EDELSON/AFP / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Yuta Kaminishi)

部屋探しプラットフォーム「カナリー」がYahoo!不動産と業務提携拡大、賃貸物件情報約50万件をカナリーに掲載へ

お部屋探しプラットフォーム「カナリー」がYahoo!不動産と業務提携拡大、賃貸物件情報約50万件をカナリーに掲載へ

不動産仲介業者の業務をデジタル化する業務効率化ソリューションと、部屋探しプラットフォーム「カナリー」(CANARY。Android版iOS版)を開発・運営するBluAgeは2月21日、ヤフー提供の不動産・住宅情報サイト「Yahoo!不動産」との業務提携を拡大し、賃貸物件情報掲載における連携を開始したと発表した。

ヤフーとBluAgeは、売買物件情報掲載における業務提携を2020年7月より開始しており、「Yahoo!不動産」取り扱いの売買物件情報約30万件がカナリーにすでに掲載されている。今回の業務提携拡大により、約50万件の賃貸物件情報がカナリーに掲載されることになり、ユーザーの利便性が向上するとしている。

カナリーは、賃貸および売買物件を探すお部屋探しプラットフォーム。アプリの新規ダウンロード数は月10万件、累計ダウンロード数は100万件を達成しているという(2021年10月時点)。

従来のお部屋探しにおいては、消費者がウェブサイトや広告を通じて複数店舗へ直接来店しているが、昨今では、スマートフォンの普及やコロナ禍により、来店することなくモバイルアプリを通じて物件を探す消費者が増えている。また、カナリーは透明性・利便性の高さを重視し、いわゆる「おとり物件」を含む募集終了物件や重複した情報を大きく削減。ユーザーは正確かつ最新の情報を基に部屋探しを行えるという。

印タタ・グループが導入準備中の「スーパーアプリ」に問題あり、内部関係者が告白

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、早ければ2022年3月にも「スーパーアプリ」の発表を計画している。これは、同社が確立したサービスや最近買収した消費者向けサービスの多くを、初めて1つの大規模なアプリとして統合することによって、Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)やAmazon(アマゾン)などの企業に対抗しようというものだ。

Tataは当初、この「TataNeu(タタ・ニュー)」と名付けられたスーパーアプリを、2021年のうちに消費者向けに導入する予定で、数四半期前から同社の従業員を対象にテストを行っていた。2022年4月に開催されるIPLクリケットトーナメントでは、TataNeuのプロモーションのために大規模なマーケティング活動の展開が計画されている。

ただ、1つだけ問題がある。

本件に詳しい2人の関係者とTechCrunchに提供された資料によると、発表が遅れているにもかかわらず、TataNeuは決して現代的に見えるものではないようで、同社の幹部はどうすればこのスーパーアプリに消費者を惹き付けることができるか、いまだに悩んでいるという。

このアプリには、Tata Digital(タタ・デジタル)が2021年過半数の株式を取得したオンライン食料品店のBigBasket(ビッグバスケット)や、小売チェーンのCroma(クロマ)、エンターテインメントサービスのTata Play(タタ・プレイ)、富裕層向けオンライン通販サイトのTataCLiQ(タタクリク)、AirAsia(エアアジア)のフライトチケット、Taj(タージ)ホテルを運営するIHCL、タタ・グループとの合弁事業でインドに進出しているStarbucks(スターバックス)のフード&ビジネスなど、さまざまなサービスが含まれている。

さらにTataNeuは、個人間の送金、ブロードバンド、電気、水道、衛星テレビの料金の支払い、ローンなどの機能も提供する(支払い機能があることは興味深い。Tataは、インドで広く採用されているUPIに対抗できる、同国の新しい決済インフラの構築と活用を支援するためのNUEライセンスに入札している主要企業の1つでもある)。

しかし、このアプリは滑稽なほどバグが多く、恐ろしく遅くて、統合機能はさまざまなTataのサービスをアプリ内のブラウザを介して指し示すだけであり、しかも携帯電話なのに時々デスクトップ表示になることもあるという。

画像クレジット:TechCrunch

Tataが従業員を対象にしてテストしているこのアプリは、消費者向けに提供する予定のものと同じであり、大幅な改善には取り組んでいないと、この件に詳しい人物は語っている。

顧客へのインセンティブに、Tataは「NeuCoin(ニューコイン)」を報酬として提供することを計画している。1NeuCoinは1インドルピー(約1.54円)に相当する。同社は最終的に、BigBasketや1mg、その他のサービスが提供している異なる特典を段階的に廃止し、すべてのサービスでNeuCoinを統一的に使用するつもりだ。

この報酬は、幅広いカテゴリーで展開する自社サービスの「コネクティング・レイヤー」を構築しようとしているTata Groupにとって、大きな焦点の1つだ。これが成功すれば、155年の歴史を持つこの巨大企業グループは、国内最大のロイヤリティプログラムを構築することができる。

「TataNeuは、Tataの複数のブランドを結びつける統合プラットフォームで、これまでにないものです。スーパーアプリとして設計されたTataNeuは、食料品、電子機器、金融ソリューション、航空券、休暇旅行など、あらゆるものを提供します。TataNeuに掲載されている各ブランドは、NeuCoinという共通の特典でつながっています。NeuCoinは、オンラインでも実店舗でもすべてのブランドで獲得でき、同様に使用することができます」と、Tataは述べている。

しかし、Tataの現在の計画によると、顧客はBigBasketやその他のTataのサービスで直接買い物をすればNeuCoinsを蓄積することができ、そのためにTataNeuアプリを使用する必要はない。また、インドで数億人の消費者を相手に事業を行っているTataは、スターバックスをはじめ、所有権や提携関係が限定的な一部のブランドにも、新しいロイヤルティプログラムへの参加を全面的にあるいは部分的に認めさせようとして苦心していると、この件に詳しい人物は語っている。

Tataの消費者向けデジタルサービスには、多くの成果がかかっている。同社は2023年3月期のGMV(流通総額)で100億ドル(約1兆1500億円)を目標にしていると、インドのニュース・分析出版物であるCapTable(キャップ・テーブル)は2022年2月初めに報じた

2年前に同じインドのReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)が、デジタル・小売事業のためにMeta(メタ)やGoogle(グーグル)など多くの著名な投資家から270億ドル(約3兆1000億円)以上の資金を調達したように、Tata Groupもスーパーアプリのために資金調達を行っている。だが、関係者によると、主要な2つの投資家がすでに投資を見送る意向を示しているとのことだ。

Tata Digitalの広報担当者は今のところ、コメントの求めに応じていない。

画像クレジット:Dhiraj Singh / Bloomberg / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Metriportは自分の様々な行動を数値化し相関性を探って自己改善を図れるアプリ

Metriport(メトリポート)というアプリは、あなたのさまざまな数値化されたデータを1つの場所に集約し、気分のトラッキング、薬のトラッキング、ジャーナリングなどの優れた機能を提供する。プライバシー保護のため、あなたのデータはすべて端末内に保存され、アプリはあなたのデータに相関性を見つけ出して、あなたがより良い自分になるための手助けをしてくれる。

カロリー計算、歩数の集計、気分の測定、購入した物の割合、睡眠時間の測定、運動量の集計など、自分の行動を定量化することは、スマートウォッチやコンピューターなどの記録ツールがその作業の負担を軽減してくれる現在、ますます容易になってきている。

しかし、課題もある。記録にこだわる人は、相互に連携していないアプリをいくつも実行しているため、そこから行動パターンを見分けることは困難になる。月経がランニング後の痛みに影響するか?その日の気分が食事の量に影響するか?コーヒーを飲む量や歩く量と、睡眠の質には相関関係があるのか?Metriportはそれらを追跡し、これまで不透明だった行動パターンのベールを取り払うことができる。

「私たちはこれを、トラッキングアプリのスイスアーミーナイフだと考えています。これまでは、気分追跡アプリ、ジャーナリングアプリ、生理を記録するアプリ、健康状態を記録するアプリなど、7つの異なるアプリが必要でしたが、私たちはMetriportを、すべてが1つのプライバシーを重視したプラットフォームに集約される、個人データのダッシュボードというコンセプトで作っています」と、Metriportの共同設立者であるColin Elsinga(コリン・エルジンガ)氏は語っている。「これまで、私たちは外部から投資を受けずにMetriportを開発してきました。友人のDima(ディマ)と私は中学時代からの知り合いで、2人とも開発者であり、健康やフィットネス、特にメンタルヘルスに情熱を持っていました。2人ともさまざまなトラッキングアプリを使っていましたが、それらにはかなり制限があることに気づいたのです」。

この会社は、広告トラッキング技術の使用を拒否しており、すべてのユーザーデータを暗号化してデバイス内にローカルに保存している。このアプリの開発者本人であっても、ユーザーのデータを入手することはできない。同社が提供するプレミアムプランでは、ユーザーのデータを同社のサーバーに保存することも可能だ。

「当社のクラウドバックアップでは、携帯電話を紛失した場合や新しいデバイスに移行したい場合に備えて、データを保持することができます。当社のサーバーにデータを保管したくない場合は、それをオプトアウトすることもできますし、いずれにせよ、データはすべて暗号化されています。本人以外の誰もデータを見ることはありません」と、エルジンガ氏は述べている。「私たちは、自社のマーケティングを犠牲にしても、多くのことを行ってきました。私たちは、お客様にここで完全にコントロールされていることを知っていただくために、できるだけ透明化したいと考えています」。

Metriportは今までのところ、ブートストラップで運営を続けている。しかし、ユーザー数が増えてきたら、より多くの資金を必要とする計画を立て、ベンチャーキャピタルからの投資を受けることも考えている。

「私たちにとって、実際の製品に関して言えば、成長は大きな目標の1つです。私たちは、たくさんのエキサイティングな新機能に取り組んでいます。実際、本日配信したアップデートでは、天気のトラッキング機能が追加されました。私はずっと慢性的な偏頭痛に悩まされてきましたが、これでようやく気圧が頭痛に影響するかどうかを追跡できるようになりました。相関性のインサイトを実行するだけで、大きな影響があるかどうかを確認することができます。

Metriportの開発はまだ初期段階だが、チームはiOSAndroid用のアプリですばらしいスタートを切った。標準で用意されている測定やデータ同期の機能に加えて、ユーザーは自分でカスタマイズした測定値を作成し、例えば、片頭痛の程度、食べたパンケーキの枚数、ピアノを弾いた時間などを、相関性のトラッキングに含めることができる。

画像クレジット:Metriport

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スーパーボウル広告で暗号資産アプリのダウンロードが279%増加、Coinbaseがけん引

スーパーボウルの広告スポットは、露出だけでなく、アプリのインストール数においても、多くのハイテク企業に利益をもたらしたことが、新たなレポートで示された。しかし、昔のDVDスクリーンセーバーのような黒い画面にQRコードをバウンドさせただけのCoinbase(コインベース)のバイラル広告が他企業を凌駕し、2月13日のスーパーボウル・サンデーの広告放映後にインストール数が前週比で309%増え、翌日には286%増となった。

関連記事:スーパーボウル2022に登場したテック広告のベストとワースト

この新しいデータは、アプリ分析会社Sensor Tower(センサータワー)が、スーパーボウルの試合中に広告を出したモバイルファーストのブランドにとって、スーパーボウル広告がどの程度のパフォーマンスを発揮したのか、数字をもとに分析したものだ。同社は、クライアントとの秘密保持契約により、実際のダウンロード数を公開することはできないが、そのデータからこれらの広告がどのような影響を及ぼしたかを知ることができる(データは米国のアプリストアのみを対象としている)。

結果として、暗号資産アプリの中でCoinbaseだけが成功を収めたわけではない。広告によってダウンロード数が大きく伸びた上位5つのアプリのうち、3つが暗号資産アプリだった。Coinbaseに加え、暗号資産取引プラットフォームのeToroは、2月13日にアプリのインストール数が前週比132%増となり、翌14日は82%増だった。一方「Curb Your Enthusiasm(ラリーのミッドライフ クライシス)」のスター、Larry David(ラリー・デヴィッド)氏を広告に起用した暗号資産取引所FTXは、13日にダウンロード数が前週比130%増、翌日には81%増となった。

Coinbase、eToro、FTXを合わせると、2月13日の米国でのアプリインストール数は前週に比べ279%も増加した。この傾向は翌日も続き、前週比のダウンロード増加率は252%に達した。

スーパーボウル・サンデーでトップ5に入った他のアプリは、スポーツブックだった。DraftKings Sportsbookアプリは、2月13日のダウンロード数が前週比197%増と、Coinbaseに次いで伸びた。Caesars Sportsbookは147%増でトップ3に入った。

トップ10には順番に、オンライン車購入プラットフォームVroom (ダウンロード111%増)、子ども向けフィンテックのGreenlight(89%増)、別のオンライン車購入プラットフォームCarvana(53%増)、ストリーマーAMC+(38%増)、そしてMetaのOculus(25%増、奇妙で陰気な広告だったことを考えると意外だ)が入った。

ダウンロード数の伸びは広告の成功を示すものだが、もう1つの指標はアプリのランクだ。こちらはダウンロード数やベロシティ、その他の要素を組み合わせて測定される。

ブランドのスーパーボウル広告が新規インストールの即座の増加を促したケースもあるが、すべての広告が同じように恩恵を受けたわけではない。さらに、スポーツベッティング(スポーツを対象にした賭け)のアプリ、PeacockやYouTube TVのような用途がより実用的なアプリなど、広告費とは関係なくインストール数が増加したと思われるアプリもあった。

しかし、ランクは、広告が放映される前にこれらのブランドがどれだけ人気があったかを示す。

例えばOculusは、Apptopiaのデータによると、2月12日に米国のiOS App Storeで総合102位だったのが、翌13日には100位になり、14日には175位に下がった。これは、Sensor Towerが指摘するように、ダウンロード数で25%の伸びを見せたとしても、多くの新規ユーザーにアプリを試用させるまでには至らなかったことを示している。

一方、Coinbaseは13日に総合124位だったのが、その後膨大なトラフィックの増加によりクラッシュした。しかし、14日には米国のApp Storeで第2位となった。その他、14日にはPeacock TV(1位)、HBO Max(6位)、FanDuel Sportsbook(12位)、DraftKings Sportsbook(25位)、Disney+(31位)、YouTube TV(42位)などが上位に入った。

2022年のスーパーボウル広告でもう1点興味深いのは、これらのデジタルブランドが従来のテレビ広告を取り入れたのと同じように、従来のブランドもデジタル広告に目を向けていることだとSensor Towerは指摘した。

Pathmaticsのデータでは、Peacock、Paramount+、HuluなどのOTTビデオプラットフォームでの支出額上位10社の広告主は、ほとんどが従来型のブランドだった。例えば、Weight Watchersは、これらのストリーミングサービスでのマーケティングに約140万ドル(約1億6200万円)を費やし、Volvoは100万ドル(約1億1500万円)超、Nikeは62万3000ドル(約7200万円)をつぎ込んだ。食料品トラッカーのBasketful(トップ10で唯一モバイルファーストのブランド)は約48万6000ドル(約5600万円)を、続いてGeicoが約41万3000ドル(約4760万円)を費やした。

画像クレジット:Sensor Tower

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッター、DMの会話を最大6件まで受信箱トップに固定できる機能を提供開始

Twitter(ツイッター)は、ここ1年で行っている津波のような製品アップデートの中で、ダイレクトメッセージ(DM)インターフェースを徐々に強化している。同社は米国時間2月17日、ユーザーが6つの会話をDM受信箱のトップに固定(ピン留め)し、簡単にアクセスできる機能をロールアウトしていると発表した。この機能は、iOSとAndroidのモバイルアプリ、ウェブ版で利用できるようになる。

2021年、TwitterはDMに待望の変更をいくつか加えた。個別の会話の中で、一度に複数の人にツイートをDMすることができる機能もその1つだった。また、個々のメッセージに日付と時間のタイムスタンプを付けるかわりに「タイムスタンプのクラッターを減らす」ために、メッセージを日ごとにグループ化するようになった。

今後数カ月の間に、Twitterがさらに新しいDM機能を発表してもショッキングではない。Twitterは2021年の最後の数カ月間に、2つのメッセージング企業を買収した。ロンドンを拠点とするグループチャットアプリSphere(スフィア)と、Slack(スラック)のライバルとなるはずだったQuill(クイル)だ。SphereとQuillの従業員はTwitterに吸収され、Quillの元スタッフはメッセージングに特化した仕事をするとされていた。Quillの創業者であるLudwig Pettersson(ルートヴィヒ・ペッターソン)氏は、Stripe(ストライプ)の元クリエイティブディレクターでもあり、Conversations(会話)チームのプロジェクトマネージャーとしてTwitterに参加した。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

あらゆるアプリを「スーパーアプリ」に変えるAppboxoが約8億円を調達

ミニアプリとは、より大きなアプリの中で動作する軽量のプログラムのことで、ユーザーのエンゲージメントと収益の追加的な源泉として機能する。ミニアプリは、WeChat、Alibaba、Grabなどの「スーパーアプリ」によって普及した。しかし、すべての開発者がこれらのハイテク企業のリソースを持っているわけではない。シンガポールを拠点とするAppboxo(アプボクス)は、この競争の場を均等にしたいと考えている。このスタートアップのプラットフォームでは、ミニアプリを自分で作ったり、サードパーティの開発者向けマーケットプレイスであるAppboxo Showroomからミニアプリにアクセスしたりして、開発者は自分のアプリをスーパーアプリに変えることができるのだ。

GCash(ジーキャッシュ)、Paytm(ペイティーエム)、VodaPay(ボダペイ)などを顧客に持つAppboxoは、米国時間2月16日、RTP Global(RTPグローバル)が主導するシリーズA資金調達で700万ドル(約8億円)を調達したことを発表した。その他、最初の投資家であるAntler(アントラー)と500 Southeast Asia(500ソースイースト・アジア)に加え、SciFi VC(サイファイ・VC)、Gradient Ventures(グラディエント・ベンチャーズ)(GoogleのAIに特化したベンチャーファンド)、エンジェル投資家のHuey Lin(ヒュー・リン)氏とKayvon Deldar(ケイボン・デルダー)氏といった新しい支援者が参加した。

Appboxoは、2019年にCEOのKaniyet Rayev(カニエト・レイエフ)氏、CTOのNursultan Keneshbekov(ヌルスルタン・ケネシュベコフ)氏によって設立された。TechCrunchが最初に取り上げたのは2020年12月でシード資金を発表したときだった。現在、東南アジア、インド、南アフリカの10のスーパーアプリに採用され、400以上のミニアプリの統合をサポートしており、その大半はサードパーティの開発者によって構築されたものである。同社によると、統合されたユーザー数は5億人以上とのこと。

同社は、主に2つの製品を提供している。1つは、ミニアプリを構築・起動するためのSDKやAPIを備えたSaaSプラットフォーの「Miniapp」例えば、モバイルウォレットは、フードデリバリー、ショッピング、レストラン予約などのミニアプリを統合することができる。

2つ目は、約1年前に登場した「Shopboxo」で、企業はモバイルデバイスを通じてカスタマイズ可能なオンラインストアを30秒以内に立ち上げることができる。

Shopboxoで作成したミニアプリは、Appboxoを通じてスーパーアプリに統合することができる。レイエフ氏は、中小企業の幅広い加盟店ベースにリーチできることで「特にAppboxoの顧客はすでにeコマースを中心に同社のプラットフォームを使用しているため、2022年はミニアプリの数が数千に拡大する」と予想している。「金融系スーパーアプリは、新しい垂直方向への多様化を望んでおり、現在の状況では、eコマースが最も明白な機会であり、最も実行しやすいように見えます」と語る。

レイエフ氏は、AppBoxoの新たな資金調達は、Shopboxoをさらに発展させ、同時に加盟店エコシステムを拡大し、国際的なプレゼンスを構築するために使われるとTechCrunchに語っている。当初は、スーパーアプリが最も優勢なアジア太平洋地域に焦点を当てるが、ヨーロッパと米国にも進出したいという。

画像クレジット:AppBoxo

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(文:Catherine Shu、翻訳:Akihito Mizukoshi)

グーグルのInboxを復活させてSlackも混ぜたメールクライアント「Shortwave」

Google(グーグル)による「Inbox」の実験は、それが続いていた間は輝かしいものだった。2014年に招待制のサービスとして開始されたInboxは、同社の次世代のメールクライアントだった。あまりにも優れていたため、Googleが2019年にサービスを終了させたことも意外ではなかった。しかし、ありがたいことに、Google / Firebase(ファイアベース)の元従業員グループが現在、Inboxの体験を復活させている……Slack(スラック)のユーザー体験も少し混ぜて。

Shortwave(ショートウェーブ)のAndrew Lee(アンドリュー・リー)CEO、Jacob Wenger(ジェイコブ・ウェンガー)CPO、Jonny Dimond(ジョニー・ダイモンド)CTOは、全員が以前、GoogleでFirebaseを担当していた。同社の初期から働く社員たちの多くも同じだ。

  1. conversation

    画像クレジット:Shortwave
  2. channel

    画像クレジット:Shortwave
  3. inbox

    画像クレジット:Shortwave

Inbox for Gmailと同様に、Shortwaveは基本的にGmailを中核とするメールクライアントであり、ユーザーは両者を簡単に行き来することができる。しかし、それ以上のものでもある。それは2022年に向けて再考されたInboxのようなものだと考えればよい。

リー氏が筆者に話してくれたように、同社のチームはInboxから2つの重要なインスピレーションを得た。「1つは、メールをグループ分けして処理するべきという考え方です」と、リー氏は述べ、Inboxのトピックごとにメールを束ねる機能を引き合いに出した。「受信箱の中でメールの量が増えると、すべてのメールに目を通すのは現実的ではありません。キーボードショートカットを駆使し、アプリが高度に最適化されていたとしても、すべてのメールに目を通すだけで長い時間がかかります」。例えば、カレンダーの通知のような自動化されたメールが届いても、招待はカレンダーですでに受け入れている場合があるだろう。そこで、数回のクリックですべてのメールを既読にしたり、スヌーズして後で見るようにしたりすれば、時間を大幅に節約できる。

画像クレジット:Shortwave

さらに、チームは「受信箱は、好むと好まざるとにかかわらず、ToDoリストである」という考えのもと、Shortwaveを開発した。「そうすると、ユーザーにToDoリストのように管理するツールを提供するか、あるいは頭の中で管理することを強要するかのどちらかになります」と、リー氏は説明する。「彼ら(Inboxの開発者たち)は、Inboxに文字通りチェックマークを追加して、『これは完了したものとしてマークされているよ』ということを表現するなど、ToDoリスト型の機能を追加しました。我々も同じことをしました」。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveでは、例えばメールを受信箱の一番上に固定することができる。筆者にとって、これはGmailのスター機能を使うよりも良い方法だが、これは個人的な好みの問題かもしれない(私はよくメールにスターを付けるが、その後、そのメールに戻ることはまずない)。また、必要に応じて受信箱内のメッセージを並べ替えたり、自分で作成したバンドルに整理したりすることもできる。

現代のメールクライアントに期待されるような、メッセージをスヌーズする機能も備えている。

Inboxのユーザー体験に加えて、チームはSlackのような最新のチャットクライアントの機能も実装した。例えば、GIFや絵文字を使って返信することができるなど、ShortwaveにはSlack風のリアクション機能が搭載されている。また、グループ会話用のチャンネルや通常の@メンションなど、特にビジネスシーンでのグループ会話を容易にするためのさまざまな機能も用意されている。

会話に参加している全員がShortwaveを利用している場合は、入力中を伝える通知も届き、他の人がオンラインにいるかどうかも確認できる。

筆者は数日前からShortwaveを試しているが、確かにこれは初期のInboxを思い出させる(ただし、iOSアプリとは異なり、Androidアプリはまだ少し粗い部分があり、チームもそれを認識している)。

リー氏の話によると、チームは主にビジネスユーザーをターゲットにしているという。また、誰でも無料でサービスを利用できるが、90日以上のメール履歴をサービスに残したい場合は有料になるという、Slackのようなマネタイズモデルを採用している。

画像クレジット:Shortwave

Shortwaveは米国時間2月15日、シリーズAラウンドで900万ドル(約10億4000万円)の資金を調達したことも発表した。このラウンドは、実はチームが製品開発に着手した直後の2020年4月にクローズしており、USVLightspeed(ライトスピード)が主導し、共同創業者たちも出資した他、Flybridge Capital(フライブリッジ・キャピタル)とAfore Capital(アフォア・キャピタル)が参加した。また、Mercury(マーキュリー)のCEOであるImmad Akhund(イマド・アクンド)氏、Segment(セグメント)の創業者であるPeter Reinhardt(ピーター・ラインハート)氏とIlya Volodarsky(イリヤ・ヴォロダースキー)氏、Voyage(ボヤージュ)の創業者であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏など、多くのエンジェル投資家も出資している。

画像クレジット:SKrow / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

消費者を守るために、米国議会はアプリストアのサプライチェーンを保護するべきだ

2022年2月上旬、ユーザーの携帯端末に未審査のアプリケーションをインストールできるようにすることなどを端末メーカーに義務づける法案「Open App Markets Act」が、米国上院司法委員会で承認された

この法案は、スマートフォン黎明期から続く、公式アプリストアからしかアプリケーションをインストールできない「壁に囲まれた庭」のようなアプリ流通モデルに対峙する。多くの人が、アプリストアの競争によって消費者にもたらされる潜在的な利益に注目しているが、本法案の一部は、監視されていないルートでのアプリ配信を可能にすることで、意図しない、しかし潜在的に重大なデバイスセキュリティのリスクを導入するものだ。

今日の「壁に囲まれた庭」モデルからの脱却は、ユーザーに新たなセキュリティリスクをもたらし、ユーザーはより多くの悪質なアプリが存在するストアを利用することになるかもしれない。Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)などの大手ソフトウェア企業が運営するアプリストアでは、販売するアプリにマルウェアや脆弱性がないかどうかを審査している。

このような審査は、特に人による審査がない場合、不完全である可能性があるが、これらのストアの管理された性質は、悪意のあるサイバーアクターがアプリを使用してユーザデータを盗んだり詐欺を行ったりする能力を大幅に低下させる。

これに対し、中国に多く存在するような規制の緩いアプリストアは、マルウェアを含む危険なアプリの温床となる。最も基本的なセキュリティチェックが行われていない規制の不十分なアプリストアは、データを盗んだり詐欺にあったりする危険なアプリをユーザーが簡単にダウンロードできるようになるため、消費者のリスクが増大する。

アプリストアは、現代のソフトウェアサプライチェーンの中心的な役割を担っている。アプリストアが消費者に提供するアプリは、私たちの日常生活に欠かせないものであると同時に、非常に機密性の高いデータと結びついている金融、健康、個人向けサービスなどを含んでいる。

個人および中小企業は、大企業が自社のデバイスにインストールできるソフトウェアを管理するためにつかうのリソースを持たないため、悪意のあるアプリによってデータを盗まれたり、詐欺にあったりするリスクが高くなる。

例えば、最近のFlubotマルウェア攻撃は、標的型テキストメッセージを利用して受信者に不正アプリをダウンロードさせ、攻撃者が金融情報を盗み出したりメッセージを傍受したりすることを可能にするものだった。このマルウェアは、Googleのアプリストア以外からのアプリのインストールを許可するようユーザに要求するもので、不正アプリが無防備なユーザにいかに大損害を与えるかを示す例になっている。

Flubotは、危険なソフトウェアを使用して機密データを盗んだり、データの身代金を要求したりする、より大きなトレンドの一部に過ぎない。このような傾向の危険性は、公式ストアのようなアプリ審査やセキュリティスクリーニングがない無規制のマーケットプレイスへの移行によってさらに拡大します。

アプリの自由な「サイドローディング」(公式アプリストア以外からアプリをインストールすること)を許可すると、ウェブ上のどこからでもアプリをインストールできるようになり、さらに大きなリスクが生じる。これにより、ユーザはより多くの無料アプリにアクセスできるようになるかもしれないが、同時に、ユーザを騙してマルウェアが仕込まれたアプリをインストールさせる攻撃の重大な機会を生み出すことにもなる。そのインストールの結果が銀行口座が空っぽの銀行口座であれば、無料アプリは無料とは言えない。

幸いなことに、米国議会は、消費者であるエンドユーザーを保護するために、新しいアプリストアに対してセキュリティ基準を課すことができる。

まず、アプリストアに対して、人間によるレビューを含む、基本レベルのセキュリティレビューとアプリの監視を義務付けることができる。人間による審査は、アプリが使用する権限がアプリの広告を反映していることを確認するのに役立ち、悪意のあるアプリが想定外のことを行うのを防ぐのに不可欠なステップとなる。

第二に、米国やその他の政府は、無制限の「サイドローディング」を義務付ける計画を断念すべきだ。一般的なエンドユーザが、付随するセキュリティリスクを理解しないまま、数回のクリックで未知のアプリをインストールできるとしたら、そのリスクはあまりにも大きすぎる。

最後に、悪意のあるアプリをインストールするリスクを減らすために、公式アプリストアにこだわることを選択するユーザもいるかもしれないが、これらのストア以外からアプリをインストールすることにしたユーザは、信頼できないソースからのアプリのインストールをブロックし、オープンウェブや信頼できないアプリストアからのアプリを避けることによって、リスクを減らすために、デバイスの衛生状態をよく保たねばならない。

悪意のあるアプリがもたらすリスクは常に存在するが、政策立案者とユーザは、競争が激化するアプリストア空間がユーザの個人データへの脅威を最小限に抑えることを保証するために、より多くのことを行うことができる。上記のような基本的なセキュリティ基準を既存の提案に追加することで、アプリストアの新たな選択肢がもたらすセキュリティリスクを最小化することができる。

編集部注:執筆者のMichael Chertoff(マイケル・チェルトフ)氏は元国土安全保障長官で、「Exploding Data:Reclaiming Our Cyber Security in the Digital Age」の著者。現在はテクノロジー分野を顧客とするセキュリティおよびリスク管理会社Chertoff Group(チェルトフ・グループ)の会長。

画像クレジット:Jorg Greuel / Getty Images

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(文:Michael Chertoff、翻訳:Yuta Kaminishi)

Windows 11でAndroidアプリを実行可能に、米国でAmazon Appstoreプレビュー提供開始

2021年10月、Microsoft(マイクロソフト)はAmazon(アマゾン)との提携によって、Windows 11パソコンでAndroid(アンドロイド)アプリを実行するテストを開始した。ただし、その機能を利用できるのはWindows 11 Insider Program(インサイダー・プログラム)に参加しているベータテスターのみで、アプリは50種類ほどに限られていた。そして米国時間2月15日、同社は利用範囲を拡大し、Microsoft StoreにあるAmazon Appstore Previewで1000種類以上のアプリやゲームを提供開始した。

この公開と合わせて、MicrosoftはWindows 11のTaskbar(タスクバー)の改善およびMedia Player(メディア・プレイヤー)とNotepad(メモ帳)アプリのデザイン変更も行っている。

当初、Androidアプリのベータテスターは、AmazonのKindle(キンドル)アプリ、The Washington Post(ワシントン・ポスト)、Clash of Kings(クラッシュ・オブ・キングス)、Coin Master(コインマスター)、Lego Duplo World(レゴ・デュプロ・ワールド)などのアプリを試すことができた。この体験は、新しいWindows Subsystem for Android(ウィンドウズ・サブシステム・フォー・アンドロイド)を利用したAndroidプラットフォーム上に構築されており、IntelのBridge Technology(ブリッジ・テクノロジー)を基盤としている。AMDとIntel両方のデバイスに対応しているが、Windows 11の動作要件を満たしていることが条件だ。

Amazon Appstore Previewの利用可能範囲拡大は、技術面の準備作業が必要だったため2月15日午前から公開が始まっている。ただし、完全に統合された体験はまだ提供されていない。

これで米国のWindows 11ユーザーは、Amazon Appstore PreviewをアクセスしてAmazonと提携している1000種類以上のアプリとゲームをダウンロードできるようになる。Audible(オーディブル)、Subway Surfers(サブウェイサーファーズ)、Lords Mobile(ロードモバイル)、Khan Academy Kids(カーン・アカデミー・キッズ)などだ。利用するためには、まずMicrosoft Storeを開き、アップデートする必要がある(Microsoft Store > LibraryからGet Updatesをクリック)。そこでお気に入りのアプリやゲームを検索して、Amazon Appstore経由でダウンロードできる。アプリはWindowsの一部と感じられるように動作するというコンセプトなので、Windowsの入力やスナップ機能などのウィンドウ操作とも統合される。

 

タスクバーの改善も本日公開される。Windows 11でデザイン変更されたタスクバーは、数多く苦情受けており、ユーザーは画面の下に固定され、ユーザー独自のショートカットを追加できないタスクバーに不満をもっている。Microsoftはフィードバックに耳を傾け、その問題を修正する予定だが、この日のアップデートは別の問題に対応するためのものだ。

第2モニター上のタスクバーにも時刻と日付が表示され、タスクバーの左端にライブの天気情報が表示されるようになった。Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)のユーザーは、タスクバーからミュート / ミュート解除やウィンドウ共有ができるようになり、ビデオ会議がスムーズに行えるようになる。

これらの機能は当初、2022年2月のセキュリティ以外のプレビューリリースで提供される予定だった。

一方、Media Playerは、キーボード愛好家のためにショートカットキーとアクセスキーが強化された他、アクセシビリティ機能が改善された。NotepadアプリにはWindows 11のDark Mode(ダーク・モード)機能を受け継いだ新しいユーザーインターフェースが加わり、メニューの簡易化、複数レベルのundo(やり直し)、カラフル絵文字対応、検索・置換の体験改善などが行われた。

こちらのアップデートは、Settings > Update & Security > Windows UpdateからCheck for Update(更新の確認)で要求できる。

Microsoftは、2022年にはWindows 11を、年次更新に加えて、今以上に更新頻度を高めると言っている。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Snapchatがクリエイターのストーリーにミッドロール広告を導入する計画を発表

刹那的なメッセージングアプリだったSnapchat(スナップチャット)は、クリエイターが利益を上げられるプラットフォームとしての地位を確立しようとしている。米国時間2月14日、同社はSnapStar(スナップスター)と呼ばれる(そのためには申請して資格を得る必要がある)最大のクリエイターたちを対象に、Snapchatのストーリーの中にミッドロール広告を導入する計画を発表した。

Snapchatの広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、この機能は、米国を拠点とする少数のクリエイターに向けてごく初期のベータ版がすでに導入されているが、今後数カ月のうちに、Snap Starsを対象にもっと広く展開していく予定だという。これらの広告は、ストーリーの中にミッドロール広告として表示され、クリエイターは広告収入の一部を得ることができる。その報酬は、投稿頻度や視聴者のエンゲージメントなどの要素を加味した支払い計算式によって決定される。Snapchatはこれらの支払いの仕組みなどについて、それ以上の詳細なコメントを控えている。

Snapchatは、TikTok(ティックトック)の類似品的なSpotlight(スポットライト)だけで、2021年に2億5000万ドル(約289億円)をクリエイターに支払っている。クリエイターは、アプリ内のギフト機能や、企業がAR開発者やインフルエンサーとより簡単に提携できるクリエイターマーケットプレイスを通じて、Spotlightでも利益を得ることができる。

関連記事:Snapはこの1年間でTikTok風動画のクリエイターに約284.5億円を支払っている

今回のテストは、クリエイターファンドの支払いとレベニューシェアの違いについて、クリエイターの間で継続的に行われている議論を受けて、実施されるものだ。長年YouTuber(ユーチューバー)として活躍し、Vidcon(ビドコン)の共同設立者であるHank Green(ハンク・グリーン)氏は先月、TikTokのクリエイターファンドの規模がユーザー数と同じペースで成長していないことを指摘した。つまり、TikTokのクリエイターがプラットフォームへの貢献に対して得られる収入は、時間の経過とともに少なくなっているということだ。しかも、TikTokの親会社であるByteDance(バイトダンス)が、1年で580億ドル(約6兆7000億円)もの利益を上げていることを考えれば、2億ドル(約231億円)のクリエイターファンドの規模は(それがたとえ10億ドル[1154億円]に成長することになっていたとしても)わずかなものに感じられる。一方、YouTubeは過去3年間に広告収入から100億ドル(約1兆1540億円)の分配を支払っている。しかしそれと同時に、TikTokやSnapchat Spotlightのような短い動画形式のプラットフォームに、YouTubeと同じくらい多くの広告が入ったら、とても使っていられないと感じるだろう。

関連記事:「クリエイターファンド」はそれほど褒められたものじゃない

Snapchatはこのテストで、クリエイターファンドとレベニューシェアの両方のモデルを組み合わせようとしている。しかし、この機能がクリエイターにとってどれほど有益なものになるかは、支払いの仕組みが謎のままでは何とも言えない。

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

投資家はメタバースのキラーアプリを必死で探す、3DソーシャルネットワークアプリBUDが約17.3億円調達

投資家たちはメタバースの次なるキラーアプリを見つけようと必死だ。ユーザーが3Dのコンテンツをカスタマイズして他の人と交流できるアプリのBUDが米国時間2月13日、シリーズA+ラウンドで1500万ドル(約17億3100万円)を調達したと発表した

「どうぶつの森」を思わせるかわいらしいキャラクターが登場するBUDは2021年11月に公開されたばかりだ。調査会社のApp Annieによれば、アプリ公開から数週間で米国など数カ国においてAndroidのソーシャルアプリカテゴリーでトップ10に入ったが、その後は100位台に沈んでいる。

勢いは落ちたが、この新しいアプリに対する中国の積極的な投資家の動きは止まらなかった。「予定オーバー」であるシリーズA+ラウンドを主導したのはQiming Ventures Partnersで、Source Code Capital、GGV Capital、Sky9 Capitalも参加した。シリーズAの調達金額は明らかにされていない。新たに調達した資金は製品の研究開発と国際市場でのユーザー獲得に充てるとBUDは述べている。

SnapのエンジニアだったShawn Lin(ショーン・リン)氏とRisa Feng(リサ・フォン)氏が共同で2019年にBUDを創業し、従業員数100人の企業へと成長させてきた。2022年末までに従業員数を200人にし、グローバルの本社を暗号資産ハブとして台頭するシンガポールに開設することを目指している。

BUDのセールスポイントの1つは、テクニカルな知識がなくてもドラッグ&ドロップで簡単に3Dワールドをカスタマイズできることだ。この点が、人気のクリエイター向けメタバースアプリで韓国インターネット複合企業Naver傘下のZepetoとは異なる。中国では最近、Zheliという新しい3DアバターソーシャルプラットフォームがApp Storeの無料ソーシャルアプリカテゴリーでトップになった。

関連記事:韓国NAVER Zがメタバースクリエイター向けの約115億円ファンドを設立

BUDやRoblox、Zepetoなどはエンドユーザーがメタバースを体験できるアプリだが、メタバースを単なるバズワードではなく現実のものにするためのインフラを開発している起業家も多い。分散型決済システムを開発している人もいれば、クリエイター向けツールを作っている人もいる。後者の例としては、3Dグラフィックス開発者向け共同作業プラットフォームで最近シリーズAで5000万ドル(約57億7000万円)を調達したTachi Graphicsがある。

関連記事:500以上のモバイルアプリが「メタバース」というバズワードを使って新規ユーザーにアピール

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

インドがGarenaのゲーム「 Free Fire」など新たに54の中国関連アプリを禁止

インドは、Tencent(テンセント)の「Xriver」、Garena(ガレナ)の「Free Fire」、NetEase(ネットイース)の「Onmyoji Arena」と「Astracraft」、さらに中国との関連が明らかな50のアプリを禁止した。過去1年半にわたって続いている国家安全保障を理由とした同様の禁止措置の最新の動きだ。

新たに禁止されたアプリの中には「Sweet Selfie HD」「Beauty Camera」「Viva Video Editor」「AppLock」「Dual Space Lite」などが含まれる。これらは、長期にわたる国境紛争をめぐってインドと中国の間で地政学的緊張が高まる中、インド政府が2020年半ばから禁止している中国関連の300以上のアプリの多くのクローンまたはリブランディングしたものだ。

この問題に詳しい人物によると、インドの電子工学・通信技術省は、2000年に制定されたIT法69a条に基づいてこの命令を出したという。

Google(グーグル)の広報担当者は声明の中で、この命令を認め、同社はこれに従っていると述べた。

「IT法第69A条に基づいて下された暫定命令を受け、確立されたプロセスに従って、影響を受ける開発者に通知し、インドのPlay Storeで利用可能なままになっているアプリへのアクセスを一時的にブロックしました」と、Googleの広報担当者は現地時間2月14日に述べた。

画像クレジット:Jakub Porzycki / NurPhoto via Getty Images

Garenaの「Free Fire – Illuminate」は、すでにインドのGoogle Play StoreとApple(アップル)のApp Storeから削除されたが、今回削除の対象となったものの中で最も人気のアプリのようだ。

分析会社App Annie(アップアニー)がTechCrunchに提供したデータによると、東南アジアの大手ゲーム会社Sea(シー)が所有するこのバトルロイヤルゲームの1月の全世界の月間アクティブユーザーは7500万人で、うち4000万人超がインドのユーザーだった。また、SeaはTencentを最大の投資家に数え、インドでソーシャルコマースShopeeのテストもひっそりと行っている。

禁止令のニュースは、インドのGarenaのチームにとって驚きだった。同社は、ゲームをさらに宣伝し、インドでより多くのユーザーや著名なゲーマーを引きつけるために、トーナメント組織との契約を獲得しようとしていたと、この問題に詳しい人物はTechCrunchに語った。Seaはこの展開についてすぐにコメントを出さなかった。

インドにおける一連のアプリ禁止は2020年6月下旬に始まった。世界第2位のインターネット市場であるインドは、国家安全保障上の懸念から「TikTok」、Alibaba(アリババ)の「UC Browser」、Tencentの「WeChat」など中国と関連する数十のアプリを禁止した

関連記事:インド政府がTikTokなど中国企業の59のアプリを禁止すると発表

インド政府は、こうした発表の中で中国について明確に言及したことはなく、2月14日の動きについても公式な声明は発表していない。インド政府はこれまでの禁止措置のほとんどで、アプリがユーザーのデータを収集、採掘、プロファイルする方法は、インドの国家安全保障と防衛にリスクをもたらす、と述べてきた。

過去1年半で、インド政府は人気タイトル「PUBG」を含む300以上の中国関連アプリを禁止してきた。「PUBG」がインドでGoogle Play StoreとAppleのAppStoreに何らかのかたちで復帰したことがわかっている唯一のアプリであることに変わりはない。

関連記事
大ヒットゲーム「PUBG Mobile」のインド復帰をまつわるさまざまな疑問インド政府がTikTokやUC Browserなど59の中国製アプリを引き続き禁止

他にもいくつかの企業やアプリ運営会社がインド政府の懸念に対応しようとしたが、インド政府は2021年初めに対応が不十分と判断し、決定を留保した

アプリのダウンロード数による市場規模、データ期間:2021年(画像・データクレジット:App Annie)

インドは、アプリのインストール数で世界的に見ても圧倒的に大きな市場だ。App Annieによると、2021年にインドは250億回以上のダウンロードを記録した。

米国の大手企業はもちろん、中国や韓国など他の国の企業も、次の大きな成長地域を求めて、過去10年間にインドに積極的に注力してきた。それに比べ、中国で事業を展開しているインド企業はほんの一握りにすぎない。

インドが「TikTok」の禁止令を撤回することを拒否した後「TikTok」の親会社ByteDance(バイトダンス)はインドの従業員の大部分を解雇し、TechCrunchが報じたように最近では同国でのEdtech事業を停止した

「TikTok」がインドで禁止されたことで、いくつかの地元のスタートアップが短編動画アプリを立ち上げて人気を集め、10億ドル(約1155億円)超の資金を調達した。しかしこれは「TikTok」が他のいくつかの海外市場に深く進出したため、ByteDanceの収益にはあまり影響がなかった。インドのソーシャルネットワーク「ShareChat」とオンデマンドストリーミングサービス「MX Player」は2月10日、同国の短編動画アプリを統合すると発表した。これは9億ドル(約1039億円)規模の取引だ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国生まれの音声ネットワーキングアプリ「Tiya」、国際的な事業展開を進めるべくシンガポールに本社を設立

TikTok(ティックトック)は、おそらく中国から生まれた最も成功したアプリであり、国際市場への印象的な進出を果たしている。しかし、中国で開発されたより小規模なエンターテインメントアプリにも、海外で事業を展開しているものが数多くある。

Tiya(ティヤ)もその1つだ。中国のポッドキャスティングプラットフォームであるLizhi(リーチ)から生まれたこのアプリは、音声ベースのリアルタイムなネットワーク体験を提供する。その名前に聞き覚えがあるかもしれない。そう、TiyaはよくClubhouse(クラブハウス)と比較されているのだ。そして、そのClubhouseが2021年流行したおかげで、2021年春にLizhiの株価は急上昇した。

しかし、Tiyaの背後にあるアイデアは、Clubhouseの隆盛(と没落)よりも先行していた。2019年にローンチしたこのアプリは、Clubhouseとはかなり違った人々を魅了しており、その多くは一緒にゲームをしながらチャットをするために利用している。2013年に設立された親会社のLizhiは、早くから音声コンテンツにインタラクティブな機能を取り入れ、リスナーがクリエイターにメッセージを送ったり、バーチャルギフトを購入したりできるようにした。バーチャルアイテムを販売するというビジネスモデルは、すぐに収益の柱となった

Tiyaはこの3年間、デビューした米国で着実に人気を博してきたが、さらに海外展開を進めようとしている。同社は現地時間2月7日、シンガポールの中央ビジネス地区に、Yahoo(ヤフー)やGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)などの大手企業と並び、1万平方フィート(約930平方メートル)の本社を設立したことを発表した。

このオフィスの開設にともない、早ければ2022年の第1四半期にはシンガポールで同アプリのダウンロードが可能になる予定だ。Tiyaは全世界で約2000万件のダウンロードを記録しているものの、そのうちアクティブユーザーがどれほどいるかは明らかにされていない。

中国のテック企業が、国際的な事業展開を進める中で、海外に拠点を置くことは自然な流れだ。例えば、TikTokは世界的に普及が進むにつれて、中国国外での運営体制を大幅に強化し始めた。TikTokは、ユーザーのデータをシンガポールに保存しているというが、これは西側の規制当局がデータセキュリティへの懸念を強めているためだ。中国の新しいデータセキュリティ法では、企業が海外にデータを移動する方法についても規制を厳しくしているため、企業にとっては国内外のデータを分離することが得策となる。

関連記事:長きにわたるマイクロソフトの中国ローカライズの結果

Tiyaのシンガポール本社には、ビッグデータ、人事、ユーザーリサーチ、管理、運営などの機能を担当する部署が置かれ「技術プラットフォームと製品開発計画」を支援するチームになると、同社は今回の発表で述べている。同社は、2022年末までにこの都市国家で「完全に運用可能なチーム」を持つことを目指しており「最新バージョンのアプリを世界各地で順次展開する」計画を立てているという。採用活動の一環としては、南洋理工大学とパートナーシップを結び、新卒者を募集する。

Tiyaの会長であり、Lizhiの創業者でもあるMarco Laii(マルコ・ライ)氏は「Tiyaをシンガポールに導入し、世界に通用する才能を持った現地のチームと協力することで、我々はこの地域でより大きな成功を収めることができると確信しています」と語っている。

画像クレジット:The Tiya app. Photo:App Store

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

順天堂大学医学部は2月9日、花粉症予防のための研究用スマートフォンアプリ「アレルサーチ」(Android版iOS版)をアップデートし、2つの新機能を追加した。これにより、ユーザーは自分自身の花粉症タイプに合わせた効果的な予防や対策が行えるようになるという。

順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範准教授らからなる研究グループが提供する「アレルサーチ」は、本来は花粉症に悩むユーザーからの情報を収集し、花粉症研究ビッグデータを構築することを目的とした研究用アプリだ。花粉症の自覚症状のアンケートや画像診断、生活習慣などの情報を、同意のあったユーザーから集めている。

それと同時にユーザーは、目の赤みの画像診断やアンケートから花粉症レベルを数値化して示す「花粉症レベルチェック」、地域ごとの花粉症レベルを地図上に示す「みんなの花粉症マップ」、花粉飛散情報、花粉症と生産性の関係の数値化、花粉症レベルチェックや労働生産性レポートを確認できる「みんなの花粉症ダイヤリー」といったサービスが利用できる。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:アプリのダッシュボード。画像右:アンケート結果や目の赤みの画像診断から花粉症症状と生産性の数値化

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

画像左:みんなでつくるリアルタイムの「みんなの花粉症マップ」。画像右:花粉症症状を日記化「花粉症ダイアリー」

そこに今回、「花粉症タイプの見える化」と「おすすめの花粉症対策提案」という2つの機能が加わった。「花粉症タイプの見える化」は、個人差の大きい花粉症症状をグラフで可視化し、適切な治療や自己管理に役立てるというもの。「おすすめの花粉症対策提案」は、ユーザーの花粉症タイプに基づく予防行動を提案してくれるというものだ。

順天堂大学、花粉症予防アプリ「アレルサーチ」に個人に合わせた予防が可能になる2つの新機能を追加

猪俣氏は、今回のアップデートにより「ユーザーのQOLの向上のみならず、保険診療である花粉症をセルフメディケーション(自己管理)にシフトさせることで、医療費削減にも大きく貢献できることを期待しています」と話している。

研究グループは、患者と市民の参画を進めている。このアップデートも、公募によって組織された「患者・市民委員」の意見交換会を重ねながら実現させたものだ。また、委員会による「アレルサーチ」の評価が、質問項目やインターフェイスの改善につながっているという。

「アレルサーチ」は、Android版iOS版があり、それぞれGoogle Play、App Storeから無料でダウンロードできる。

個人が寄付金管理口座を簡単に低コストで開設できるアプリ「Daffy」

シリコンバレーで活動する有名人Adam Nash(アダム・ナッシュ)氏は、あなたがもっと寄付をしたいと思っていると考えており、さらに「寄付」という行為をとてもシンプルなものにしようとしている。

そのようなメッセージを筆者はナッシュ氏と先週末に話をしたときに受け取った。同氏の直近のフルタイムの職務にはDropbox(ドロップボックス)の副社長と、財務顧問会社Wealthfront(ウェルスフロント)の社長兼CEOがあり、自動車eコマースプラットフォームShiftとAcornsの取締役も務めている。

実は、ナッシュ氏が現在構築しているDaffyという寄付のための新しい金融プラットフォームは、マイクロ投資アプリAcornsでの最後の役割がきっかけで生まれたものだ。DaffyはRibbit Capitalがリードし、XYZ Capital、Coinbase Ventures、50人以上の著名なエンジェル投資家(Reid Hoffman[リード・ホフマン]氏、Aaron Levie[アーロン・レヴィ]氏、Amy Chang[エイミー・チャン]氏など、リストは続く)が参加したシリーズAラウンドで1710万ドル(約20億円)を調達したばかりで、目的は人々がより頻繁に、もっと寛大になれるよう支援することだ。

具体的には、どう機能するのか。Daffyは、慈善寄付のための401(k)のようなものであるドナー・アドバイズド・ファンド(DAF)を開設して利用する、最も低コストで摩擦の少ない方法を提供している。DAFは、お金あるいは株式や暗号資産を寄付することで寄付時に税優遇を受け、その寄付金は管理された投資口座に移動し、時間の経過とともに増えることが期待されるものだ。後日、寄付者はその資金を自分の選んだ慈善団体に寄付する。

DAFは、超富裕層や、億万長者ではないが生活に困っていない人々の間で、含み益に対する課税を回避する手段として非常に人気がある。National Philanthropic Trust(NPT)によると、2021年時点で平均的なドナー・アドバイズド・ファンド口座は16万3000ドル(約1880万円)で、現在DAFには十分な資金(約16兆円超)が眠っており、2021年のDAFから適格慈善団体への助成金は推定346億7000万ドル(約4兆20億円)に達し、2019年に比べて27%増加した。NPTはこれを「ハイウォーターマーク (最高水準)」としている。

DaffyはDAFを開放することで、経済的なスペクトルを超えてより多くの人々が参加できるようにするつもりだとナッシュ氏は述べた。そのための第一歩は、より手頃な価格でアクセスできるようにすることだ。SchwabFidelityVanguardの顧客は現在、ドナー・アドバイズド・ファンドを設立することができるが、これらの金融大手はそれぞれ資産の0.60%の管理手数料を徴収しており、これは長期的に積み重なる可能性がある(Vanguardは最低寄付額2万5000ドル[約290万円]を口座開設要件としている)。

一方、Daffyは最低100ドル(約1万1550円)の寄付を一度だけ行う必要があり(あるいは、100ドルに達するまで毎週10ドル[約1155円])、寄付の金額にかかわらず、月3ドル(約350円)、年間36ドル(約4200円)の手数料を徴収する。この手数料は「より多くの費用がかかる」評価済みの株式や暗号資産も寄付する場合は月20ドル(約2300円)になるとナッシュ氏は説明する。しかし、その資産が相当なものであるなら、これはおそらくリーズナブルな設定だろう。

DAFがより広く採用されるための第2ステップは、アクセスを容易にすることだ。この点では、カリフォルニア州ロスアルトスを拠点とするDaffyは前進している。実際、Daffyのアプリは現在Apple App Storeからダウンロードでき、Daffyはこのプラットフォームで利用できる初の「フル機能」DAFだと主張している。

Daffyは現在、9つのファンドにアクセスできるようにしているが、今後さらに多くのファンドが登場する見込みだとナッシュ氏は話す。

この大きく成長する経済の一部に取り組んでいるのは、Daffyだけではない。Fidelityのような大手に加え、Y Combinatorのアクセラレータープログラムを最近終了したCharityVestのようなスタートアップも同じ顧客を追い求め始めている。

また、低コストであるため、どのように生き残り、成功するかという問題もある。それはそうとして、従来はもっと手数料の高いDAFを利用していたが、数千ドル(数十万円)とは言わないまでも数百ドル(数万円)の管理コストを節約するためにDaffyに乗り換えるような顧客を、Daffyがますます自社プラットフォームに引きつける可能性はありそうだ。

ケチな大富豪について質問されたナッシュ氏は、Daffyにはすでに「7桁」のポートフォリオを持つ顧客がいると述べ、Daffyがこれ以上高額の扱いをする計画はないと主張した。また、Daffyが提携するファンドから紹介料を受け取っていないこと、資産額に関係なくすべての顧客を歓迎することも明確にした。

おそらく、一部の顧客はロスリーダーと同氏は見ているのだろう。実際、多くの金融サービスのスタートアップと同様、DAFはDaffyが他の多くの商品を提供するための最初のステップであるように見える。しかし、同氏は、まだすべてを発表する準備ができていない。

「これは間違いなく、より大きなもののためのくさびですが、金融サービスを目的とはしていません」とナッシュ氏は語った。「これはメガバンクが手がけるものではありません。当社の使命は、人々がもっと頻繁に、そしてより寛大になり、自分より恵まれない人々のために積極的にお金を準備するのを助けることです。人々が寄付をする方法、組織が資金を調達する方法はたくさんあり、これらはすべて我々が非常に楽しみにしている分野です」と同氏は続けた。

しかし、今のところナッシュ氏は、Daffyをユーザーの毎日の習慣にすることに全力を注いでいる。それは野心的なことだと同氏は認めるが、人はテクノロジーの助けを借りてあらゆる種類のルーチンを確立するものだ。

「CalmやHeadspace、あるいは宗教関係のアプリなど、人々が自分の望む生活を送れるようにするためのアプリやサービスはますます増えています」とナッシュ氏は指摘する。多くの人が「なりたい自分になるために、サービスを利用しています」ともいう。それが寛大さ、慈善活動、チャリティーに適用されない理由はない。

画像クレジット:Dropbox

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップル、オランダのデートアプリの決済に関する命令で再び罰金を食らう

デートアプリの支払い方法をめぐって、オランダでApple(アップル)の反トラスト法違反が続いている法案が、さらに500万ユーロ(約6億6000万円)増えて1500万ユーロ(約19億8000万円)になったことを同国の消費者保護・市場監督局(Authority for Consumers and Markets、ACM)が認めた。

このペナルティは消費者保護・市場監督局の命令に関わるもので、それによるとAppleは同国のデートアプリがデジタルコンテンツを販売した場合、その代金の支払いに関して、Appleに手数料をもたらすApple自身の決済インフラの使用を強制するのではなく、サードパーティの決算プロバイダーの使用を容認しなければならない。

iPhoneのメーカーであるAppleは2021年以来、オランダの命令に逆らい、控訴を続けてきた。しかし2022年1月、最初のコンプライアンスの締切とペナルティ執行の脅威が近づくにともない同社は、アプリがApple以外の決済技術に接続することに合意し、オランダのApp Store上にあるデートアプリに限り、2つの「オプション的資格」を導入するとした。それによりアプリは、命令が指示しているように別の決済処理の選択肢をユーザーに提供できる。

しかしAppleの1月のコンプライアンスの主張を、ACMはただちに無効として罰金を科した。どうやら規制当局は、Appleが命令のすべての要求に従うことをためらっている点を問題にしたようだ。

ACMの命令に対するAppleの抵抗に関する裁判所命令は、まだ一部しか公表されていないため、消費者保護・市場監督局は、現在、言えることに限界があると述べている。

一方、Appleは命令に逆らうことをPRに活かそうとしている。そして1月の声明では「複数の決済サービスを使えることによりユーザー体験が損なわれ、プライバシーとデータのセキュリティに新たな脅威が作り出される」と主張している。

自分たちのデートアプリにApple以外の決済技術を使いたいと思っている開発者にAppleが提供した情報も、できる限りその決定に二の足踏ませようとしている。つまりAppleの主張では「ユーザーはApp Storeの機能の一部を使えなくなり、そのような販売方法によって発生する返金や購入履歴やサブスクリプションの管理といったサポートの欠如により、ユーザー自身がそれらの責任を負うことになる」という。

の新たな打撃でAppleは、Apple以外の決済技術を使うデートアプリからの販売に関しては27%の手数料を課すと発表した。これはAppleが通常、アプリ内購入に課している30%とほぼ同額だ。

つまり、標準料金のわずかな割引と、カスタマーサービスの責任、および技術的な諸経費を追加するだけでは対象となるアプリの収益が増えるとは思えない。これは、Appleが、ローカル開発者がサードパーティの決済システムを使用することをできるだけ難しく、そのハードルを高くしようとしていることを示唆している。

関連記事:アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

しかしこれは、Appleのアプローチが偽りのコンプライアンスを選択することであることを意味している。ACMの命令の字面ではなくその精神に反して、同社は外部決済を使うことを開発者にとってほとんど魅力のないものにしている。しかしながらACMの最新のペナルティは、Appleが規制当局が命令で強制していることの中核にさえ達していないことを示唆している。

懸案のコンプライアンス問題の詳細を尋ねたところ、競争当局は、Appleが完全な情報を提供していないと答えた。これはおそらく、Appleがコンプライアンスに従っているかどうかを正しく評価できないと感じていることを意味する。

「ACMは、Appleが定期的な違約金支払いを条件とする命令を遵守するために既に実施したとする変更について、Apple自身からまだ何らの情報も受け取っていません。当該命令に基づき、Appleはこれを行うことが要求されています。Appleは、そのような情報を適時に、また完全な形で提供していないため、Appleは引き続き同命令に定められた要件を遵守していないことになります。そのため、Appleは3回目の違約金を支払わなければならず、Appleが支払わなければならない総額は現在1500万ユーロに達しています」と広報担当者は述べている。

「Appleのウェブサイトに掲載されている情報だけでは、同社が定期的なペナルティ支払いを条件とする命令で定められた実質的な要件を遵守しているかどうかを評価することはできない。ACMは、Appleの行動と行為に失望しています。私たちは、Appleが最終的にACMの要求事項を遵守することを望んでいます。しかも、これらの要件は裁判所によって支持されています」と付け加えた。

Appleにコメントを求めたが、本稿を書いている時点では返事はない。

金儲け主義の巨大企業にとって、比較的小さな欧州の単一市場のアプリのサブセットなど大した問題ではないかもしれないが、同社のApp Store手数料モデルは現在、世界中の開発者からの苦情や規制の圧力にさらされている。

つまり、Appleは市場ごとに足を引っ張り、現地の開発者に複雑さと疑念をもたらし、一般的にこのプロセスを遅くて辛いものに空回りさせるよりも、App Storeの中核的な収益モデルを切り崩すような大規模で意味のある変更をすばやく行うことの方が、ビジネスにとってはるかに大きなリスクとなると考えているだ。

ACMによると、Appleのノン・コンプライアンスの罰金は毎週上昇し、最大の5000万ユーロ(約66億円)に達するまで上がり続ける。しかしそれは、時価総額2兆8170億ドル(約325兆円)の企業にとってポケットの小銭であるため、この問題を困難で不快なものにし続けても問題ない。

とはいえ、ヨーロッパの市場の一部は現在、競争法の改定に取り組み、テクノロジー大手からの途方もないチャレンジに対応しようとしている。たとえばEUのDigital Markets Actは、インターネットのいわゆるインターネットの「門番たち」のための先取り的ルールの提案だ。またドイツの、すでに法律として成立した規則は「すべての市場で重要な意義を持つ」プラットフォームに対する権力の迅速な介入について定めている。現在、その対象企業はGoogleだ

ドイツ連邦カルテル事務局はAppleのApp Storeの捜査に関してオープンな手続きをとっているが、こちらも同社のやり方が競争に関するローカルな限度を超えそうなときは、規制のギアをさらに上げるだろう。

英国でも、競争保護促進のためのリフォームが進んでいる。こちらも議会の判断で「大きな市場ステータス」を持つとされるテクノロジー大手に対する特別法を導入できる。

このように各国の議会は、気に入らないルールを単純に無視しようとするプラットフォームをターゲットとする権力を急速に強化している。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)

カレンダーアプリ「Fantastical」がプライバシーファーストのミーティングスケジュールのリンク共有を可能に

人気のカレンダーアプリ、Fantastical(ファンタスティカル)の開発元であるFlexibits(フレクシビッツ)は、スケジューリングを便利にする新機能をいくつか追加した。この分野は、Calendly(カレンドリー)が支配しているようだが、Flaxbitsはアプリの「Opening(オープニング)」機能を、プライバシーファーストのスケジューリング機能だと強調している。そして、もちろん新機能はFantasticalに直接組み込まれ、別のツールやサービス、サブスクリプションなどは不要だ。

Fantasticalアプリをバージョン3.6にアップデートすると、設定パネルにいくつか新しいオプションが追加されている。これらの新機能はmacOS、iOS、およびiPadOSで利用できる。標準設定では、Openingは有効になっていない。使用するためには自分で設定する必要がある。

「オプトインするのはあなた自身であるべきです、データはあなたがコントロールします」とFlexbitsの共同ファウンダーであるMichael Simmons(マイケル・シモンズ)氏が私に話した。

Opening機能を有効にすると、Fantasticalに設定済みのカレンダーアカウントに直接つながる。自分の予定が空いているかいないかを決める真の情報源として使うカレンダーを選ぶことができる。

「アプリはあなたのFantasticalデータベースを調べて、日付と時刻だけを取ってきます」とシモンズ氏は言った。Flexibitsはイベントの名前や招待客のリストには触れない、なぜなら機能を果たすために必要のない情報だからだ。

その後、ユーザーはさまざまなイベントのタイプを設定する。例えば、月曜日と水曜日の午前に営業電話の予定を入れたければ、その日の午前9時から午前11時までの間に営業電話をかけるイベントテンプレートを作る。

イベントタイプには、タイトル、説明、所要時間、リンクなどいくつかのオプションがある。また、Fantasticalのミーティングリクエストを自動的に承認するか手動で承認するかも設定できる。

ご想像のどおり、イベントのリンクを取得してメールやWhatsAppメッセージ、ウェブサイトでもシェアすることができる。そのリンクをクリックした人は、いつあなたの予定が空いているかを見て、時刻を選んでミーティングをリクエストできる。

画像クレジット:Flexibits

自動承認を有効にしておくと、ミーティングをリクエストした人のカレンダーに招待状が届く。ミーティングをリクエストするためにFantasticalを使う必要はなく、アカウントを作る必要もない。

スケジュール調整はウェブではなくアプリ内で行われる。誰かがあなたとのミーティングをリクエストすると、Fantasticalアプリがミーティング(のイベント)を作成し、他の出席者を招待する。

もし、あなたがCalndlyなどの類似ツールをすでに使っていたら、今まで通りのワークフローを続けたいに違いない。しかし、もしあなたがFantasticalユーザーで、Calendlyライクなリンクを使いたいなら、FantasticalのOpeningを使うほうがずっと簡単だろう。

その他の改善点

Fantasticalは「Proposals(プロポーザル、提案)」と呼ばれるスケジューリング機能も提供している。アプリ内で複数回数、複数日時のイベントを作れる機能だ。会社はこの機能を密かに改善し、Doodle(ドゥードゥル)の対抗品へと作り変えた。

これからはイベントプロポーザルを複数の招待者に送ることができる。招待者はウェブページで投票できる。あなたはアプリを使って最適な日付と時刻を確認し、コメントを読んでプロポーザルをカレンダー・イベントに転換できる。スクリーンショットを見てもらうほうがずっと簡単だろう。

画像クレジット:Flexibits

スケジューリング機能に加え、Fantastical 3.6には新たに四半期ビューができた。四半期ビューは、好みによって四半期の最初の日から始めることも、現在の週から始めることもできる。

数年前、Flexibitsはフリーミアムモデルに切り替え、全機能のロックを解除する有料サブスクリプションを提供した。OpeningsやProposalsなど高度な機能のほとんどは、利用にサブスクリプションが必要だ。現行の料金は年額39.99ドル(約4600円)、月額4.99ドル(約576円)。

Flexibitsは、App Storeで多くのネガティブコメントをつけられたことがあるが、プロダクトとビジネスの転換はうまく行っているようだ。

チームは6人から18人へと3倍に増えた。これまでに同社は、かなりの数のアップデートを発行しており、サブスクリプションにはCardhop(カードホップ)アプリが加わった。

マイケル・シモンズ氏は売上数値を明らかにしなかったが「数百万の人たち」がFlexibitsアカウントを作って無料トライアルを始めたと語った。もちろん、この中でサブスクリプションのアクティブ利用者はこのユーザーベースのごく一部だけだ。

Flexibitsは、さまざまなタイプのマーケットに対応する方法についても考えている。たとえば同社はチーム向けのFlexibitsを開発している。第一に、多人数のグループや従業員向けにライセンスを購入できるチーム・アカウントが導入される。アプリにはチーム向け機能のための場所も用意されているが、まだ完成していない。

関連記事:悪夢のようなビデオ会議の日程調整を評価額約3165億円のスタートアップCalendlyに変えた方法

画像クレジット:Flexibits

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Artiphonのビデオ編集アプリ「Orbacam」、同社製インターフェースなしで音楽制作もできる機能を追加

TechCrunchはここ何年もArtiphon(アーティフォン)を密着的に追ってきた。2020年後半、筆者はこの音楽スタートアップの最新のスマート楽器Orbaを気に入った。決して複雑な楽器ではないが、楽しい小さな携帯型サンプル / MIDIインターフェースとして、世界的なパンデミック時にクリエイティブに時間をつぶすには最適な方法だ。

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2021年10月には、ハードウェアインターフェースを利用してクリエイティブなビデオ編集ができるアプリOrbacamを追加し、Orbaの芸の幅を広げた。

「音楽は常に多感な体験であると信じています。誰でもすぐに遊べるよう、聴覚、視覚、触覚に訴えるようOrbacamをデザインしました」と、同社の創業者でCEOのMike Butera(マイク・ブテーラ)氏は当時述べた。「音楽をソーシャルコンテンツと同期させることの威力を目の当たりにしてきましたが、そのほとんどは他人の曲を動画に貼り付けているだけです。今、人々は完全に自分自身のものである音楽ビデオを作成することができます」。

同社は米国時間2月8日、アプリの2.0バージョンをリリースした。数多くの新たなアップグレードがあり、 特に画面上の演奏機能の追加が目を引く。これは小さな機能だが、Orbaのハードウェアデバイスに類似したアプリ内機能を提供するもので、このサービスを試すための障壁となる99ドル(約1万1000円)を取り除く。画面上のレイアウトは、Orbaの円形8キーレイアウトを模倣している。

「音楽制作も、他のメディアと同じように、すぐにアクセスできるようにしたいのです。私たちはためらうことなく1日中、写真やビデオを撮影しています。そして今、Orbacamでどこにいてもすぐに音楽制作ができるようになりました。表現力豊かで美しいものを作るのに必要なのは携帯電話と少しの時間だけです」とブテーラ氏は話す。

画面上のインターフェースにより、ユーザーはiOSデバイスでソーシャルメディア用の楽譜をリアルタイムにすばやく作成することができる。また、80年代のVHSにインスパイアされたGlitchフィルターなど、ビデオ用の新しいエフェクトも多数用意されている。Artiphonは、この新しいインターフェースが、同社のハードウェアへの入り口となることを期待しているに違いない。そして、もしあなたがすぐに使ってもいい99ドルを持っているのなら、それは楽しいものだ。

画像クレジット:Artiphon

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi