[JP]デザイナが自由に投稿した作品でTシャツやカップ、iPhoneケースを販売できる「SUZURI」

クリエイターが自分でデザインした画像や図案をアップロード(入稿)して、それをプリントTシャツとして販売できるサイトとしては、これまで国内にもClubTがあったけど、先日社名変更を行ったばかりのGMOペパボ(モチロン旧社名はpaperboy&co.だ)が今日、「SUZURI」という似たサービスをリリースした。

SUZURIは、自作のイラストや写真をアップロードするだけでTシャツやiPhoneケース、トートバッグ、マグカップとして商品化して販売できるECサービスだ。決済や発送といった販売に絡む作業はSUZURI側が行なうので初期投資や在庫管理のリスクなしにオリジナルグッズの販売できるそうだ。

SUZURIの特徴はシンプルさで、初期費用や月額利用料、販売手数料というのがない。ちょっと使ってみたところ、画像をブラウザにドラッグ&ドロップするだけで、さくっとTシャツやカップにプリントされた画像が生成されて仕上がりイメージを見ることができる。あとはタイトルや説明を加えて販売を開始すればいい。このときSUZURIでは「トリブン」を自分で設定できる。カタカナだと読みづらいが「取り分」のことで、製造原価やGMOペパボの取り分に上乗せする形で、デザイナは自分の取り分を自由に設定できる。

上の写真のTシャツに対して「ほしくねぇ」とTechCrunch部員は言っているが、この画像でみてほしいのはそこじゃない。SUZURIでは、ディスプレイ上で見る商品の素材やテクスチャ、シワ感などにこだわったそうで、よーく見ると確かに写真がペロンとカップに巻き付く感じに曲面として表示されていたり、Tシャツのシワのたわみに沿ってアップ画像が波打ってたりもするなど「合成感」は低めということが分かると思う。ちょっとテッキーなことを書き加えると、Webアプリ部分はRuby on Railsで作っていて画像生成はNode.jsで非同期で処理を行っているそうだ。

オープンしたばかりのSUZURIには、まだほとんど作品がないので今後どんなクリエイターやデザインが集まってくるサイトになるのか想像が付かない。「クリエイター」と呼ぶにふさわしい人々が集まればいいけれど、ネタっぽい投稿とか厨二病っぽい毛筆書き、あるいは本当の意味での落書きが増えたらどうなんだろうなと余計な心配をしてしまう。

ただ、GMOペパボはCtoCではこれまでにも古着フリマアプリ「kiteco」、ハンドメイド作品のオンラインマーケット「minne」なんかを展開していて、個人が手軽に取り引きできる分野を「スマートEC」として伸ばしているそうなので、こうしたマーケットの舵取りはお手の物なのかもしれないけどね。


POSデータをめぐる日本の決済業界とアドテク業界の攻防

編集部注:この原稿は八巻渉氏による寄稿である。八巻氏は決済とアドテクをテーマとしたスタートアップ企業「カンム」を2011年に創業した起業家で、日本では珍しいCard Linked Offer(クレジットカード決済連動型優待)と呼ばれる実店舗への送客プラットフォームを開発・運営している。日本ではここ数年、お金に関連するスタートアップ企業がたくさん出てきているわけだが、こうしたサービス群の勢力図を読み解く鍵のひとつは、POSデータという。

にわかに決済業界が賑わっています。スマフォ型クレジット決済リーダー市場では、SquareCoineyロイヤルゲートがあり、家計簿系スタートアップではReceRecoDr.WalletZaimマネーフォワード、タブレット向けレジソリューションとしてはAirレジユビレジスマレジなどがあります。一方、ここ数年、日本でもDSP、SSPをはじめとするアドテクも市場ができつつあります。DSP(Demand Side Platform)というのはオンラインで広告を出す側が利用するプラットフォームで、ターゲットを選んで効率的に広告を配信できるシステムのこと。一方、SSP(Supply Side Platform)とは広告を載せる側の媒体が広告収入を最大化するために広告配信を管理するシステムのことで、アプローチの方向が違うものの、両者は従来営業や広告担当者が手作業で行ってきた広告枠売買や入稿作業を自動化するものです。

さて、決済業界とアドテク業界は直接関係がないように見えるかもしれませんが、関係者の間では、いつかこの2つの業界が合わさり、新しいマーケティング市場が形成されるだろうと言われています。

では、いつ合わさるのか?

私は、そのタイミングを予測するには、POSデータが鍵になると思っています。

なぜなら、上に挙げた決済系サービスで収集できる一般的な決済データというのは、商品データが欠落していることがあり、これが弱点であるからです。POSデータに含まれる商品データと連携する方法を業界全体で常に模索している状態なのです。決済データとPOSデータが結び付けば、決済サービスを導入している加盟店だけでなく、各種商品を提供するメーカー側にもバリューを提供していくことができるでしょう。

アドテク業界が、どう関係するのか? 広告は購買に結び付いて価値をはじめて生むものですから、今後アドテクで、より詳細な費用対効果の測定のために、実際の購買情報を取りに行くのは必然の流れでしょう。

ここまでの話をに出てきた各業界の動向を俯瞰するため、POSデータを巡る新興勢力を図示する以下のマップを作成しました。

ひとつひとつ、それぞれの勢力の動きをひも解いていきたいと思います。

アドテク勢力の動き

ここでのアドテクとは、RTB(Real Time Bidding)に関わる業界のことを指しています。中心はDSPや、SSPのプレーヤーです。こうしたプレーヤーが、広告効果の最適化を図るためにデータを効率的に管理しようとDMP(Data Management Platform)というものを作りました。DMPとは消費者のデータを一箇所に集積して、広告配信を最適化したい企業にデータ販売するものでAudience ScienceDAC(Audience One)などがサービスを提供しています。DMPはもともと、複数企業が使用する共通データプラットフォームですが、それとは異なり、広告を配信する企業内の自社データを一元化して、そのデータを使って自社の広告出稿の効率化を行うために「Private DMP」が生まれました。

昨年、そのPrivate DMPのパッケージがいくつか出始め、今年は野心的な広告主・メディアが導入を始めていると聞きます。例えば、昨年DSPプレーヤーのフリークアウトは、データ解析技術に強みのあるプリファードインフラストラクチャーと、インティメイトマージャーというDMP専門の合弁事業会社を設立したりしました

Private DMPをやる上で、社内のデータの統合は必要不可欠であり、導入元が流通系(百貨店、アパレルなど)であれば、POSデータとの連携は必須となります。そうなるとPrivate DMPを通して、POSデータをいじり始めるプレーヤーが出てくることでしょう。

スマート決済/レジ勢力の動き

スマホ決済の代表格であるSquareを見ていると、ただの決済ではなく、消費者を抱え、加盟店を抱え、データを抱え、そこに一大マーケティングプラットフォームを築こうとしている姿が見えてきます。加盟店は決済端末を通じて、消費者はウォレットを通じて囲おうとしているように見えます(ウォレットとはSquare Walletのことで、クレジットカードと顔写真の情報を入力しておくと、加盟店での支払い時に名前を伝えるだけで支払いが終わるアプリ。お店側は専用アプリで顔写真をチェックして本人か確認する)。また、タブレットPOSもリリースし、POSレジからひっくり返そうとしています。

また、日本のスマホ決済の雄、Coineyも、決済端末だけでなく、今年の1月にモバイルプリンターをリリースしました。カード業界的にレシートの発行は必須、という雰囲気もあったのかと思いますが、商品データもちゃんと入れていくという流れに向けた布石のように思えます。

プリンターと言えば、昨年の12月、東芝TECと博報堂が組んで、電子レシートの実証実験を行っています。動きの遅いと思われてきた、本家POSメーカーの動きにも注目です。

決済勢力の動き

弊社でも提供しているCLO(Card Linked Offer)は、現状数少ない決済連動型のマーケティングを行えるプロダクトですが、上記でも触れたとおり商品データの特定ができません。よって、何らかの形でPOSデータとの連携が必要で、既にPOSデータとの連携を行っているTカードやPontaの様な仕組みを作って、弊社だけでなく業界全体として、いよいよ本格的にマーケティング市場に乗り出す機運が出てきています。

ネット系の決済プレーヤーも、WebPayspike、Yahoo!JapanのFastPayをはじめ、増えてきています。昔に比べて決済データへのアクセスが容易になってきたように思えます。当然マーケティングへの活用のために、ECと密に連携していくものと思われます。

そして、実は決済代行No.1シェアのベリトランスも決済データを広告に活用する「trAd」というサービスを提供しています。

このtrAdというのは、要は決済情報を使って決済完了画面に最適な広告を出す、というものです。昨年、ベリトランスは、eContext Asiaを通じて、三井住友カード、JCB、クレディ・セゾンから出資を受けており、今後の動きが注目です。

家計簿アプリ

そして、今までのプレーヤーは大きな企業との連携を前提とした動きでしたが、もっとお手軽にPOSデータ、というより購買商品データを取得しているプレーヤーもいます。それがいわゆるレシート読み取り型の家計簿アプリで、その代表格ReceRecoは2013年11月時点でダウンロード数115万を超えています。なお、ReceRecoを運営しているブレインパッドは、Private DMPの提供にも積極的で、上の図でいうところの両サイドから虎視眈々とPOSデータを狙っているように見えます。

なお、マネーフォワードやマネーツリーなどのアカウントアグリゲーション系のサービスもいずれマーケティング利用に移ってくるでしょう。こちらは、既にデジタル化された購買データであれば、一人の人間に紐づく一通りのデータが得られ、色々な活用が考えられます。

ではどこが一番先にPOSデータに行きつくか?

別軸として、それぞれがどのような企業と取り引きしているか見てみたいと思います。

Private DMPは、現状やはり広告主、主にメーカーがクライアントになると思われます。そして、ネット上が主戦場になります。よって、Private DMPは今年一通りメーカー系に導入され、広告予算の厳しい流通系はその様子を見ながら、来年度以降、ECを中心に導入していくと考えられ、早くて2年後あたりから事例が見えてくると予想します。リアルのデータを含めるともっと先のことになるでしょう。

ただ、SPA(製造小売業)のように、POSもマーケティングも行っているところもあり、早まる可能性はあります。

かたや、スマホ決済は主に中小企業を中心に導入が進んでいます。理想としては、大手のPOSレジのリプレイスだと思いますが、日本の場合、大手であれば大手であるほど、POSベンダーと密接に連携してゴリゴリにカスタマイズしているため、そこを変えるには時間がかかりそう。来年あたりから中小向けにソリューションが出始めて、2年後くらいからちょっとずつ大手と話を始める流れではないかと予想しています。

「じゃあ、CLOか! ネットとリアルの両方握って、小売もSPAも営業してるやんけ!」と、ポジショントーク的にも良さそうに見えますが、Tカード・Pontaという同じようなスキームで行っている企業と、どう差別化していくかが肝になります。

個人情報の問題

と、今まで消費者の目線を無視した、各業界の動きだけを追ってきましたが、個人情報の問題は置いておけません。おそらく、これからもいよいよデータを勝手に取得するということは難しくなり、ちゃんとどのデータを何の用途に使用するか明示し、かつそれが消費者にとってベネフィットになるものを作り、業界として提示していくことが求められるでしょう。


合衆国のAmazon Prime, 年会費99ドルに値上げ

恐れていた日がついに来た。AmazonはPrimeの年会費を近く99ドルに値上げする、と発表した。新料金は一週間後からで、これまでの79ドル99セントから約20ドルの値上げになる。

Amazon Studentの会員は49ドルを払う。Prime Freshの会費は299ドルに据え置きだ。

既存の会員は、会員資格が更新される時に新会費を払う。AmazonのFAQによると、すでにそのむねのお知らせメールを各会員に送ったそうだ。つい最近更新したばかりの人は、運がいいね。

Amazonは昨年末のクリスマス年末商戦でふるわなかったことを報告した1月末の決算報告のとき、Primeの値上げをほのめかしていた

今のAmazonの立場は厳しい。長年ウォールストリートの寵児だった同社の株価は、昨年のホリデイシーズンの不調のせいで躓いた。アナリストたちは、売上260.6億ドル、一株あたり利益0.66ドルを予想していたが、GDPが大きく伸びた四半期に、Amazonは彼らの期待に応えられなかった。

Amazonの株価は、まだ回復していない。〔Prime値上げでAmazonの株価上がる(未訳)〕。

すでに9歳になる今のPrimeは、単なる送料無料制以上のものだ。会員特典には、ビデオのストリーミングやKindleのライブラリなどもある。ぼくも長年のPrime会員だから値上げは痛いが、やはり会員を続けるだろう。お店へ買い物に行くのは、面倒だもんね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


大手通販サイトのOverstock.com、Bitcoinによる購入は売上の1%以下ながらも増加中

Overstock.comは、Bitcoinを支払い通貨として受入れて以来、新生暗号通貨を支持するサイトとして好意的に報道されてきた。Coinbaseとの提携によってBitcoinを取扱うOverstock.comは、同通貨による取引が今月100万ドルの節目を越えたことを発表した。

今日(米国時間3/12)午前の記事に、Overstock.comがどのようにBitcoinを扱い、このデジタル支払い方法の受入れがもはや新奇なことではなくなったことが詳しく書かれている。Overstock.comのCEO Patric Byrnによると、導入初日以来、金額は「2~3万ドル」の範囲で安定し、徐々に増えてきているという。

Bictoin利用が伸びていることを考えて、3万ドルの数字を採用して売上を推計してみよう。果たしてBitcoinはこの会社の売上に目に見える貢献をしているのだろうか。

暦年2013年、Overstock.comの売上は13.04億ドルだった。同社の売上は季節変動が大きいことを踏まえ、四半期データではなく平均値を使うと、90日間で3.26億ドル、1日当たり360万ドルになる。

360万ドルに対する3万ドルは、いかにも少なく0.83%にしかならない。疾風怒濤のBitcoin統合を経た後も、ドルの数字は目立ったものではない。

しかし、Bitcoin自体にとってもOverstock.comのBitcoin統合にとっても、まだ日は浅いことを踏まえれば、この数字は失敗の予兆ではない。むしろ、Bitcoin自身の市場価値が非常に高い割には、Bitcoin購入ネットワークの動きは控えめだ。

最近私はBitcoinの流通量に注目している。検討材料を提供しよう。Bitcoinの総流通量は79億ドル相当。過去24時間のBitcoin取引はわずか1850万ドル。これは日商約0.23%になる。例えばGrouponを見ると、時価総額に対する日商比率は3.7%だ。これはBitcoinの約16倍になる。私が思うにこれは、全Bitcoinの半分を1000人以下の人々が所有していることに影響されている。

こうした富の集中は、Overstock.comで商品を購入するのに十分なBitcoinを持つ人の数が、みんなの予想よりも少ないことを意味している。それでも、大Bitcoinネットワークは ― 私の知る限り ― 日々拡大している。よって、ホリデーシーズンにはOverstock.comが1日に6桁の数字を動かすことを期待しようではないか。

IMAGE BY FLICKR USER MARCEL GRIEDER UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED) 

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Amazon、売り手のための公式iPhoneアプリ、Amazon Sellersをリリース

Amazonは新しいiPhoneアプリ、Amazon Sellers静かにローンチした。これはAmazonの巨大マーケットを利用して商品を販売しようとする会社や個人向けのツールだ。

たいへんストレートなAmazon Sellerという名称のこのアプリは商品バーコードの読み取りと検索、価格チェック、販売ランキング、レビュー管理、買い手とのコミュニケーションなど多様な機能を備えている。

これまでAmazonのエコシステムでは売り手用の公式アプリが欠けていると指摘されてきた。現在この穴はSellerMobileのようなサードパーティーのアプリによって埋められている。しかし個人の売り手の間には、わざわざサードパーティーの有料アプリ使わねばならない(SellerMobileの場合月額5ドル()ことに不満の声が上がっていた。

もっともSellerMobileは依然としてAmazon Sellerにはない機能をいろいろ備えている。たとえばAmazonのアプリでは、SellerMobileほど高度な在庫管理はできない。ただしAmazonのアプリが今後改良されていく可能性は十分ある。

商品の検索や顧客とのコミュニケーションの他に、Amazon Sellerでは販売開始前に商品のリストを作成して利益を予想する機能もある。このアプリでは、売り手が原価を入力するとAmazonの手数料、配送料を差し引いた利益がどれほどになるかシミュレーションできる。

App StoreでAmazonは「このアプリを出入りする情報はすべてAmazonのサーバで処理される」と説明している。これは一見あたりまえの話に思えるが、売り手にとって死活的に重要な情報をサードパーティーに委ねなければならないことにしばしば不満が漏らされてきたので、それに対処したものだろう。

現在Amazon Sellersの利用にはアメリカのAmazonの売り手登録が必要だ。Android版についてはまだ情報がない。ダウンロードはこちらから

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Thirdshelfが紹介する未来のiBeaconストア

今年のDx3 デジタルビジネスEXPOで、モントリオール拠点のThirdshelfが、iBeaconの近距離ベース・ショッピングカスタマイズを利用した小売店の、フル機能デモを披露した。デモ店舗には、同技術の可能性について聞かされていたことの多くが、Thirdshelfのホワイトレーベル店内システムと、EstimoteのBluetooth LEを利用したハードウェア・ビーコンを使って実現されていた。

ThirdshelfのSaaSソリーションは、高級ブティックストアのLXR & Co.、POSソフトウェアのLightspeed、およびEコマースのShopifyとの協業によって作られている。店にはEstimoteのハードウェアが疑似店内レイアウト全体に散在し、近づいてきたユーザーの端末と通信し、iPadベースの顧客対面ディスプレイの表示をカスタマイズすると共に、カスタマーサービス画面にも店内にいる顧客の情報をリアルタイムで送り込む。

「顧客が近づくと、パーソナライズドモードのブラウズが可能になり、ウィッシュリストやおすすめ商品がついて回る」、とThirdshelfのCEO Antoine Azarは説明する。「店員にも今起きていることが伝えられ、例えば店内にいる客の人数を忠誠度別に知ることができる。さらに、個々の買い物客を掘り下げて、ウィッシュリストやおすすめやプロフィールの確認も可能だ。

店頭のPOSソフトウェアとも連動しているので、トランザクション情報や購入履歴を顧客にひも付けして、おすすめ商品の選択や通知に利用できる。顧客アプリのデザインや機能は、小売店ごとにカスタマイズして、特定の店舗またはチェーン向けのブランディングが可能だ。Thirdshelfは、現在中小規模の店舗をターゲットにしているが、いずれは大型小売業者にもこの種のシステムを提供する大きなチャンスがあると考えている。

Azarによると、Thirdshelfは客の習慣や店内レイアウトに関する意味のあるデータを中小店向きに収集したり、協力して顧客に店舗を横断した忠誠インセンティブを与えることも提案している。

現在プロジェクトはベータ版で料金は未定だが、いずれは事業規模に応じた月額料金が課されることになるだろう。Thirdshelfは経験ある起業家らが自己資金で立ち上げたスタートアップで、今後数ヵ月間でこのベータプロジェクトを拡大していく考えだ。








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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


楽天がヨーロッパ初のR&Dセンターをパリに開く

日本のインターネットサービス企業Rakutenが今日(米国時間2/18)、ヨーロッパで初の研究開発センターをパリに開設した。楽天のグローバルな研究開発センターはこれが三つめで、Rakuten Institute of Technologyと名づけられている。

あと二つは、東京(40名)とニューヨーク(10名)だ。パリのR&Dセンターは、ここのビッグデータグループを併合し、パリ支社が計20名の社員を新たに抱えることになる。

一週間前にRakutenは、メッセージングアプリのViberを9億ドルで買収すると発表し、それは同社が“世界一のインターネットサービス企業になるため”、とされた。

Rakutenの発表声明によると、パリのR&Dセンターは、データ分析、不正行為の検出、リコメンデーションシステム、画像処理、ユーザインタフェイス、そして“eコマースにおけるオンラインからオフラインへの遷移”など、“グローバルなeコマース産業の発展を支援する”研究開発プロジェクトに注力する。

RakutenのCEO Hiroshi Mikitaniは、プレスリリースで次のように述べている:

“弊社のグローバルな目的は、小売企業や商業者がオンラインで販売できるようにすることであり、そしてそのために弊社は、オンライン、モバイル、ソーシャルなどあらゆる購買チャネルにおいて、消費者のWeb閲覧や買い物行動に合わせる努力をする必要がある。弊社がグローバルな研究チームのサイズを大きくするのはそのためであり、それによってeコマースにおける今後の大きな展開を、弊社のサポートにより市場にもたらすことができる、と考えている。”

画像: Flickr/lakbaydiwa PASANKRUS; CC BY 2.0のライセンスによる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Mt. Goxの創設者が、秘密のBitcoinプロジェクトに取りかかっている

史上最大かつ最も奇妙ともいえる転換によって、Jed McCalebはMt. Gox(Magic: The Gathering Online Exchangeaの略)を、ゲームカード交換サイトから、世界最大のBitcoin交換所へと変身させた。

暗号化通貨交換所の運営にかかわる法的ごたごたを嫌がったMcCalebは、Mt. Goxを会ったこともない東京拠点のフランス起業家たちに2011年に売却した。彼らはMt. Goxを運営し、1年以上にわたってBitcoin取引を支配していた。しかし、過去6ヵ月間Mt. Goxではユーザーが資金を払い戻せなくなるトラブルが発生し、信用を失墜した。さらにここ数日間、Mt. Goxは払い戻しを停止すると発表し、再び問題が浮上している。同社は、 Bitcoinの「取引適応性」に関するプロトコルに問題が発生した可能性があるためと言っている。他の交換所でも払い戻しは停止されており、Bitcoin Foundationは問題解決に取り組んでいると話している。

いずれにせよ、McCalebはこうしたMr. Goxのトラブルから何年も無縁でいる。

そして今、彼は新しいプロジェクトのために戻ってきた。そしてサイトのアドレスが謎めいている:secretbitcoinproject.com

そこには、この短かいメッセージがあるだけだ。

私が数年前にMt. Goxを売った時、Bitcoinは1ドル以下で取引されていた。今日、Bitcoinは新しい環境の中にいる。Mt. Goxは存続に四苦八苦している。今私は、Bitcoinにもみなさんにとってもよりよい何かを作っている。

アルファテスト参加者募集中。
-Jed

ある筋からは、彼がインスタントメッセージとSkypeだけを通じて資金を調達したとも聞いている(McCalebはやや閉鎖的だ)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


AmazonのiOSアプリにカメラによる商品検索機能搭載―リアル店舗のショールーム化いよいよ進行

消費者は現在でもリアル店舗を訪れるとスマートフォンを使ってさかんに価格比較をしているが、店舗にとって状況はさらに悪化しそうだ。

Amazonは「カメラでショッピング」機能をメインのiOSアプリに追加した。これまでは棚に並んでいる商品のバーコードを読み取る必要があったが、これからは写真を撮るだけでAmazonその他のeコマースサイトとの価格比較ができる。

Amazonにとっては商品の画像認識は新しいテクノロジーではない。Amazonはすでに傘下のA9(オンライン検索および広告事業部)からFlowというスタンドアロン・アプリを提供している。

今回はこのツールがメインのアプリに統合されたわけだが、ここでもFlow機能と呼ばれている。スタンドアロン・アプリが公開されたのは2年と少し前だが、AmazonはメインのiOSアプリに統合する前に十分な時間をかけてテストを繰り返してきたわけだ。

FlowのiOSアプリ(将来はAndroidにも)の発端はAmazon A9がSnapTellを買収したときに遡る。このスタートアップは画像による商品検索テクノロジーの開発を行っていた。SnapTellで商品(正確にはCD、DVD、ゲームのジャケット、書籍の表紙)の写真を撮ると、Amazon,だけでなくGoogle、eBayその他主要なeコマースサイトの価格を検索することができた。

AmazonのiOSアプリに統合されたFlowの検索対象はオリジナルより広い。CDやDVDのパッケージや本の表紙だけでなく、ロゴやキャラクターなど特徴ある画像を幅広く認識できる。さすがに箱から出してしまった商品、たとえば居間に転がっているヘッドホンの写真では検索できないが、ショッピングの際の価格比較用には問題ないだろう。

正確さと幅広さでは商品のバーコードをスキャンするのが一番だが、商品を棚から取り出してひっくりかえさねばならないこともあるし、印刷位置がわかりにくい商品もあるのでやはり多少面倒だ。パッケージの写真をぱちりと撮るだけいいというのはやはり使い勝手がいい。.

カッコーが他の鳥の巣に卵を産み付けるように、Amazonはライバルの現実店舗を自社のショールーム代わりに使うという寄生虫作戦を取っている。画像認識機能の追加で、この作戦はますます効果的になるだろう。

〔日本版:このバージョンのAmazonアプリは現在は日本のApp Storeからはダウンロードできない。アメリカのApp Storeで有効なIDが必要〕

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


アメリカ第二位のネットショップNeweggがAmazon Prime対抗サービスを49ドルで開始

今度登場したPremierは、Amazon Primeに対抗するNeweggの49ドルのサービスだ。送料無料で三日以内の優先配送、低額速達配送、返品手数料無料、と来ればAmazonの実績ある優待サービスに十分互角に対抗できそうだ。

ただしPremierには、Amazon Primeのようなビデオストリーミングライブラリはない。

Neweggは合衆国で二番目に大きいeリテイラーで、登録ユーザが2500万人いる。第一位はもちろんAmazonだ。今回のローンチの数日前にはAmazonがその決算報告で、Primeの料金を今の年額80ドル(79ドル)から100~120ドルに値上げするかもしれない、とほのめかした。

Newegg North AmericaのCMO Soren Millsはこう言う: “うちはつねに顧客体験の向上に努めており、今回の特典プランもNewegg.comでのショッピングをより魅力的にするための施策の一環だ。送料無料の優先配送もすぐれた特典だが、そのほかにもいろいろな顧客サービスを常時検討中だ”。

NeweggのPremierには、ほかにも細かな特典がいくつかある。値下げの通知、会員特別価格、専用顧客サービス電話などだ。さらにまた、会員専用の背景とか情報パネルなどもある。さすがのAmazonも、ページの背景を変えることまでは、思いつかなかっただろうね。

〔余計な訳注: ヨドバシはデフォルトで全品送料無料だけど…。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Amazon Primeが50%の値上げへ…送料圧力に耐えられず

Amazon Primeが値上げされるらしい。昨日の四半期決算報告で明かされた情報によると、年会費が最大50%上がるようだ。

Primeのこれまでの年額は79ドルだ。この金額で個人ユーザはAmazonの最良のサービスを買うことができる。たとえば、送料無料で当日~二日以内の配送だ。これで、トイレットペーパーさえも、店に買いにいかずにすむ。ありがたいことでござりまする。

今Amazonは、厳しい状況に置かれている。これまで長年、ウォールストリートの寵児だった同社は、この前のクリスマス商戦の不調が響いて株価を下げ、決算報告では売上260億ドルあまりEPS0.66ドルというアナリストたちの期待を満たせなかった。GDPが伸びた四半期でありながら、Amazonはその波から落ちこぼれてしまったのだ。

同社のIR(investor relations)電話会議で、送料の増加が重荷になっているのでPrimeの79ドルを維持できない、とう話が出た。上げ幅は、20ドルから40ドルぐらい、ということだ。

Primeは今では、単なる送料無料だけでなく、ビデオのストリーミングとかKindleのライブラリなども特典としてついている。昔からの会員としては、値上げは歓迎しないけど、今更やめることもないだろう。トイレットペーパーを買いにお店へ行くのは、いやだもんね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


無料EC「BASE」が独自カード決済導入、三井住友カードなどと提携

無料でネットショップを開設できるサービス「BASE」を運営するBASEは、三井住友カードと決済代行サービスのスマートリンクネットワークと提携し、3月1日より独自のカード決済システムを導入する。現在のカード決済はPayPalを活用していて、購入時には外部ページに遷移している。新決済システムはBASE上で決済が完結するため、買い手は利便性が向上する。BASE店舗オーナーとしても、決済完了までのページ遷移数が減るため、コンバージョン率が上がることが見込まれる。

新決済システムの移行にあたり、1月31日より既存のBASE店舗オーナーに事前受付を開始。カード決済のシステム料は据え置きで、「代金の3.6%と40円」が別途かかる。店舗オーナーは通常、独自でECサイトを構築する際にカード決済を導入するには、カード会社の審査を受けなければならない。しかし、BASEで出店することで、ECサイト開設時からカード決済が利用できることになる。

BASEは初期費用や月額費用だけでなく、販売手数料も無料のサービス。カード決済時の手数料は発生するものの、「現時点でマネタイズはしていない」(BASEの鶴岡裕太氏)。今後はオプションの機能で課金する可能性はあるが、「今年いっぱいは大規模なマネタイズの予定もない」という。1月末時点でショップ開設数は7万店に上り、毎月30〜40%増えているのだという。


独自SNSが作れる「Revolver」にネット通販機能が追加、無料EC「BASE」と提携で

アーティストやブランドが熱狂的なファンと交流するための独自SNS構築サービスといえば、レディー・ガガさんの「LittleMonsters.com」を仕掛け、Google Venturesなどから580万ドルを調達した米国のスタートアップ「Backplane」が有名だ。日本では、昨年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登場したリボルバーが同様のサービス「Revolver」を手がけていて、芸能人の倖田來未さん板野友美さん、ジャーナリストの佐々木俊尚さんらがファンコミュニティを構築している。そのリボルバーが23日、ECサイト構築サービス「BASE」と提携し、RevolverにSNSを開設したユーザーが商品を販売できる機能を追加した。

第一弾として、元AKB48の板野さんが開設するSNS「Team Tomo」上に専用ECサイトを公開。彼女がプロデュースしたジャージの販売をスタートした。Team Tomoは、板野さんのブログやTwitter、Facebookページを集約する場として機能するとともに、専用ECに送客する。リボルバーは今回の提携を通じて、年内に著名人を中心とする約100サイトにECサイト機能を追加したいという。

RevolverはHTMLやCSSなどの知識がなくても、専用の管理ツールを使うことで「最短で数分」(リボルバー)でPinterest風のコミュニティサイトを開設できるのが特徴。PCやMacだけでなく、スマートフォンやタブレットにも最適化される。2013年11月に正式公開し、これまでに約1400件のSNSが開設されているのだとか。リボルバーの小川浩CEOによれば、今後はクローズドなSNSをリリースし、Yammerといった社内SNSの領域にも参入したいと話している。


Amazon、「予測出荷」の特許を取得 ― 注文される前に商品を出荷

Amazonの無人飛行配達ドローン計画は去年の話だ。今Eコマースの巨人は、さらに極悪なことに取りかかっている。事前出荷だ。

Amazonは、購入者が何を買うかを、実際に買う前に予測して配達時間を短縮するシステムを特許出願した ― それは購入のクリックが起きる前に(結局起きなくても)、概ねその方向にあるいは戸口まで、商品を発送するしくみだ。

これは、Eコマース物流の環から完全に人間を取り除こうとする動きを、さらに一歩進めるものだ。機械が自発的に他の機械から何かを買い、それを第3の無人ロボットに配達させる ― 一方、ドアを開ける生身の受取人は、今日がロボットに臓器を摘出される日でないことを願いつつ配達された荷物を受け取る。

[そして、予定通りの時間にドアチャイムが鳴る。宅配便が ― 予想通り ― Amazonの箱を届けに来た。このやりとりは全く正常だが、どうも不吉な予感がする ― たとえ、その箱が先週自分が注文した商品であり、来週注文したくなるものではないことが99.9%確かだとしても。あるいは数分前に注文したものかもしれない。しかし、おそらくそれはAmazonが計画していることそのものだ。]

2012年8月に出願され昨年12月に承認されたその特許には、Amazonが「予測出荷」と呼ぶ方法が記載されており、事前出荷シナリオの1つが次の通り詳しく書かれている。

・・・方法の1つとして、1つ以上の商品を最終配送先に届けるために1つのパッケージに梱包し、パッケージを送る配送先地域を選択して、出荷時には宛先を完全には指定せずにその配送先地域に商品を出荷、パッケージが輸送されている途中に、正確な配送先を指定する。

予測配達先は、さまざまな「ビジネス変数」の分析によって決定される可能性がある、と特許資料に書かれている。個々の事前出荷パッケージに対する顧客の要求を見極め、地理的経路を決定するための分析に使用できるデータとして、購入パターンの履歴、アンケート等で明示的に表明された好きみ、年齢地理データ、ブラウジング習慣、ほしい物リスト等が考えられる。

さらに同特許には、「予想出荷」パッケージを目的地に届けるための様々なシナリオや、潜在顧客までの距離に基づき経路変更する方法等も詳しく書かれている ― さらには、顧客が購入するまでトラック内に半継続的に留め置くことも。

時として同特許の文言は、あたかもAmazonが物理的商品の配達を、水道や電気を家庭に供給する公共事業のごとく考えているように聞こえることもある ― 需要の急増と落ち込みを予測して物流を微調整するが、何よりも常に物を流れ続けさせることによってそれを行う(即ち、トラックは常にパッケージを満載して永久運動を続ける)。

そのようなシステムのためには、同社の既存Eコマース在庫管理および時間管理システムを一から作り直し、より動的で反応の早いものにするた必要があるだろう(Amazonが既に予測出荷のしくみを展開し始めていない限り)。しかし、それが在庫管理の改善につながることもあると特許はうたっている。

・・・パッケージの予測出荷によって、在庫のより高度でタイムリーな管理が可能になる場合がある、例えば、実際に注文される前に商品を潜在顧客に向けて移動することができる。

そして、もし需要予測アルゴリズムが失敗したとき(当然起きる)、Amazonは構わず商品を送る場合もある ― まだ実際にクリックして購入はしていないが、データ分析の結果それを大いに気に入る可能性の高い顧客へのプレゼントとして。即ち、返送・経路変更のコストが、プレ顧客へのサプライズ訪問のコストを上回る場合だ。

それは、すばらしいサプライズかもしれないし、恐ろしく不適切かもしれない ― Amazonのアルゴリズムがどれほど良くできた知恵者であるかによる。不適切な例としては、DIY遺言パックが既に死んだ人に送られたり、子供のおもちゃが残された両親に届いた場合などが考えられる。正しく届けられない場合、予測アルゴリズムは多くの落とし穴を避けと通る必要があるだろう。

米国においてAmazonは、ワックリック購入を特許化することによって、Eコマース市場の膨大なシェアを獲得する道を開いた。はるか前1999年のことだ。その特許は何年にもわたって大きな役割を演じ、他のEコマース業者が同様の高速チェックアウトを使うためには、この方法をライセンスしなければならかった。

事前出荷は、Amazonが再びオンライン購入プロセスを、文字通り「次のレベル」に引き上げる可能性を秘めている。購入ボタンをクリックした数時間後数分後に商品が届くとなれば一大事だ。しかし、将来それが現実になる可能性が十分にある。Amazonユーザーは、自分が何をほしい(物リストに入れる)かに注意しておく方がいい。

(Via the Wall Street Journal)

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


オークションで売れなくても、システム評価額で買い取ってくれるFOBO

何かモノを売る目的で使う場合、Craigslistには少々使いづらいところがある。スパムメールがいろいろとやってくるし、また買うと言った相手が消えてしまうこともある。また商品を送ってから、いろいろと難癖を付けて値切ってきたりされることもある。ただ、これまでにCraigslistを圧倒するようなサービスが生まれてこず、結局、運を天に任せるような気持ちで、これまでどおりにCraigslistを使い続けたりしている人も多いだろう。

そのような状況を打破すべく登場してきたのがFOBOだ。Craigslist利用時に悩まされた問題を解決しつつ、利用者にタブレットなどのエレクトロニクス関連製品を売るための場所を提供する。

サービスは地域毎の展開を目指している。今回まず立ち上げられたのはサンフランシスコだ。モバイルアプリケーションを利用して、ものを売ることができる。個人間販売につきものだった問題は大きく改善されており、利用は簡単で、またあっという間に商品を売ることが出来るようになっている。FOBOでは、販売者に対する「販売価格保証制度」がある。97分間の「出品期間」にモノが売れなければ、FOBOが最初に提示した保証価格にて商品を買い取るようになっているのだ。

最低保証価格は商品出品時に決定される。eBayの標準的な販売価格を元にFOBO側で設定されるようになっている。初期価格決定後はオークションが行われ、これは1時間半とちょっとの間つづくことになる。オークション実施期間中に、他の利用者が自分の購入希望価格を入札することができるようになっているわけだ。

何らかの理由で入札がない場合、先にも書いたようにFOBOが出品商品を買い取ることとなる。そしてFOBOがその商品を売りに出すわけだ。すなわち、出品者の視点でみれば、出品時に評価額が付けば、それ以上の額が手に入ることは確定するということになる。

そうはいっても、FOBOはGazelleのような再販サイトを展開しようとしているのではない。自らが買い取りを行うのは、出品者側のモチベーションを高めようとするアイデアなのだ。この手のサービスで、レベルの高い出品者を確保することはかなり難しいことなのだ。それに対応しようとするFOBOの仕組みとして、評価額での買取制度をスタートさせたのだ。これにより、出品製品のクオリティも高くなるという意識もあるだろう。少なくとも1000名規模で行われた数ヶ月間にわたるβテストでは望む方向に近い結果が出ているようだ。すなわち手品された商品のうち、92%が売れているとのことだ。

FOBOを使って出品するメリットはそれだけではない。97分間のオークションで売れない場合に保証金で買い取ってくれるだけではなく、支払いもアプリケーションの中で完結するようになっている。つまり出品者側には、商品が売れた段階でとくに行わなければならないことはない。自分の都合の良いタイミングで商品を発送すれば、それで売買は完了ということになる。

もちろん購入者側も、FOBOを使って便利な点はいろいろとある。たとえばサインアップ時に、今日もある商品を登録しておくよう促される。登録しておくと、実際に商品が登録された際に通知を受け取ることができるようになっている。

FOBOはこれまでにIndex Ventures、Greylock、Kevin Rose、Chris Sacca、Y Combinatorなどから、160万ドルの資金を調達している。

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(翻訳:Maeda, H


フランスの‘反Amazon法’が成立すると送料無料がなくなる–それで個人書店は持ち直すのか?

Cultural exception文化例外)がまた襲ってきたようだ。フランス議会は数日後にほぼ確実に、いわゆる’反Amazon法’を成立させる。この法律が成立するとAmazonは、書店を保護するために、送料無料で本を売れなくなる。この法律は、本の値引き販売を禁じているLang Lawラング法)の建て増しみたいなものだ。

フランスの本の価格は、外国人にとって分かりにくい。1981年にフランスの文化相が、本の定価販売を義務付ける法律、ラング法を制定した。それ以降、出版社は定価制を採用し、本の裏表紙に価格を印刷することになった。

大手書店チェーンも個人書店も含め、すべての書店が、本を定価で売ることしかできなくなった。ただし例外があって、定価の5%までのディスカウントは認められている。多くの書店がこの例外規則を利用しているが、わずか5%をディスカウントと称するのは、地球広しといえどもフランスの本屋さんぐらいしかいないだろう。

1981年の制定当時は、個人書店を大型書店チェーンから守ることが目的とみなされていた。法律は功を奏し、今でもフランスでは個人書店が健在だ。それにその後、イタリア、ポルトガル、スペイン、ドイツなどでも本の定価制を法律で保護するようになった。

でも当時の書店は、Amazonという恐ろしい怪獣の来襲を予期していなかった。今ではAmazon以外にも、Fnacなどいくつかのフランス固有のネット書店が町の本屋さんの経営をおびやかしている。

ネット書店の二大大手AmazonとFnacは、法律で許されている5%の値下げとともに、一律の送料無料で町の本屋さんに対抗することを選んだ。本屋さんたちはそれを、不当競争とみなした。

文化相曰く送料無料の禁止はAmazon敵視策ではない

Amazonはタックスヘイブンとしてルクセンブルグを利用しているから、送料無料でも利益があり、マーケットシェアを拡大してきた。フランスでの同社のシェア拡大のやり方はほかの国と同じで、薄利多売*の徹底だ。もちろん理論的にはAmazonは、いつでもその逆を行って、値上げと利幅増大に転向できる。〔*: 在庫回転率が年30~40(一般書店の10~15倍)、毎日大量の日銭が入るが納入者には90日済度。〕

今日、フランスの文化相Aurélie Filippettiは、その法律が反Amazon法とあだ名されていても、実際にはAmazonという特定企業を対象とする法律ではない、と述べた。今後のオンライン書店はAmazonにかぎらず、5%値引きしてさらに送料無料にすることは許されない。

定価制が競争の活性化に導く理由

本の定価制といえば、もう一方に、合衆国におけるAppleのeブックの定価制がある。Appleのそれは、自由競走の妨害として有罪になった。

2010年にiBookstoreが発足したときには、いわゆる代理店タイプの価格モデルがeブックストアを席巻した。Appleは出版社に定価を維持させるが、それと同時にKindleなどほかのeブックストアでも定価販売を強制される。

そのことが司法省の逆鱗に触れ、省は反トラストの嫌疑で告訴状を書いた。しかし、小売レベルでの価格付けを自由にしたことによって、むしろ競合他社はつまづき、Nookのeブックの売上は落ち込んだ。ほかのストアでも、同様だっただろう。

今では、Amazonは押しも押されもしないマーケットリーダーだ。司法省は代理店型モデルを有罪化したことによって、独占に近い状態を招いた。出版社との利益分有交渉においては、Amazonが断然有利なのだ。

フランスの’反Amazon法’では、政府はその逆を行き、個人書店や小規模出版社を守ろうとしている。しかし、それは行き過ぎだろうか?

12月に、フランスの書店チェーンの二番目の大手Chapitreが倒産した。2014年には、オンライン書店に苦しめられている本の業界に、1230万ドルの救済資金が投じられる。

そこで問題は、送料無料をめぐるこの法律は、単なる行き過ぎか、それとも、これで十分にフランスの2500軒の個人書店が救われるのか、だ。

(画像クレジット: Casey Bisson)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


大手量販店のTargetで史上最大級のハッキング被害―4000万人分のクレジットカード情報がまるごと流出

今日、アメリカ最大のチェーン店の一つ、Targetは「POSシステムに記録された約4000万人分のクレジットカードおよびデビットカードの情報が11月27日から12月15日の間に侵入者によって盗まれた」と発表した。

Targetの発表によれば、同社は不法アクセスに気づくと同時に捜査当局と金融機関に通報し、「適切な対処の準備を整えている」という。また外部の専門家に依頼して攻撃相手、侵入の範囲を調査しているということだ。

顧客の氏名、カード番号、有効期限、3桁のCVVセキュリティー・コードのすべてが盗まれた。被害に遭ったのはTargetの店舗でショッピングをした顧客に限られる。

Targetの反応は非常に遅かった。12月12日にBrian Krebsが漏洩の噂を最初に報じ、Krebsは「顧客のトラックデータのすべてが漏洩したらしい」と書いている。トラックデータというのはクレジットカードの裏面の磁気ストライプに記録されている情報だ。

Targetの広報担当、Katie Boylanは「当社はできるかぎりの資源を対策に注いでおり、捜査当局およびトップクラスの情報犯罪対策企業と共同で事態の解明に取り組んでいる。[そのため] 現在これ以上のコメントはできない」と述べた。

ハッキング被害そのものは珍しいものではないが、これほどの規模の信用情報流出となると非常に稀だ。2009年に支払サービスのプロバイダーが1億3000万人分のカード番号を流出させたことがあった。しかし想定される実害の程度を考えると今回のTargetの事件はは間違いなく史上最大級の漏洩だ。

磁気ストライプの全記録データの盗難が最悪なのは、これによって本物とまったく同一の偽造カードが作成できるからだ。カード番号、名義、有効期限、セキュリティー・コードがあればオンラインで不正注文がいくらでもできるのは言うまでもない。「クリスマスを控えたこの時期、最悪のタイミングで漏洩が起きた」とSophosのセキュリティー調査部門の責任者、James Lyneは語った。

Targetは顧客に対して、頻繁に利用状況をチェックするなどカードの不正使用に対して警戒するよう呼びかけている。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Uberもすごいがオンデマンド・カーシェアリングのLyftはそれ以上に急成長中

数週間前にGawkerがスクープしたところによると、Uberの売上は毎週2000万ドルにもなるらしい。

それでもピア・ツー・ピア交通サービスの分野でUberが決定的な勝者になったわけではない。この市場全体が急成長中であるし、Lyftのような有力ライバルも現れているからだ。Uberが革新的なリムジン・サービスとして始まったのに対し、Lyftはオンデマンド・カーシェアリング・サービスとしてスタートした会社だ。Lyftの共同ファウンダー、John ZimmerがTechCrunchの取材に対して明かした統計によると同社は毎週6%という驚異的な率で成長を続けている。

この週間成長成長率はUberの2.8%の2倍以上になる。この1年でLyftは20倍以上に成長した。

“Zimmerは「リムジン・サービスなど高価格帯のサービスの勝者はUberになるかもしれないが、より手頃な価格のピア・ツー・ピア交通サービスの部門はまた別だ」と語った。“Lyftはすでにこの分野のリーダーであり、オンデマンド交通サービス全体えも圧倒的な成長率を誇っている。

Lyftの売上がもともと小さいから成長率が高く見えるのは当然だと思われるところだが、Lyftによると、週間売上はUberの全サービスの売上合計の3分の1に達しているという(Uberが35億ドルの評価額最新の資金調達をした際の数字)。

Zimmerが明かした売上ダッシュボードの数字によれば、Lyftの売上は通年換算で1億ドルに届く。

われわれの推計ではUberの年間売上総額は10億ドル程度で、Lyftの10倍になる。またファウンダー、CEOのTravis KalanickによればUberは展開中の多くの都市ですでに1億ドルの売上を達成しているという。

Uberはリムジン、タクシー、ピア・ツー・ピアのカーシェアリング、SUVなど幅広いサービスを提供している。またUberは国際展開も進めており、24カ国の66都市でサービスを提供している。Lyftはアメリカ国内でサービス提供は20地域だ。

この他にもスマートフォンから呼び出せるオンデマンド交通のスタートアップとしてはSidecar、Hailo、Gett、それに中国の Didi Dacheなどがある。しかしこうしたスタートアップはLyftとUberに比べれば桁違いに小さい。

しかし両社の競争は次第に激しさを増している。LyftのドライバーがUberに鞍替えすると50ドル分のガソリン・クーポンが渡されるなど、UberはLyftからドライバーを奪うための攻撃的キャンペーンを展開中だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


popIn Actionは「買いそうな客」にネット越しで割引提示もできるスマホEC向けマーケツール

先日、銀座の某ブランドカバン店に入って特定商品を探していたら、誰も店員が声をかけて来なかったのに驚いた。ネットで見て欲しいカバンは決まっていて、いかにも「探している」という素振りをしていたのに、その顧客(私)に声をかけないってもったいなくない?

まあ声をかけられてメンドくさいと思う人も多いだろうし、対人コミュニケーションなんて面倒と思うギークなら、そもそも店舗に足を運ばないとかもあるのかもしれないけど、リアルな店舗では、ふつう絶妙なタイミングで顧客に声をかけてコンバージョンレートを上げるわけである。「買いそうな顧客」を見分けるのだ。

同じ棚の前を何度か行ったり来たりとか、特定商品の前で腕組みするなんていうのは明らかに購買意欲アリのサインだ。「表示価格より、お安くできますよ」とかなんとか囁きかけるべきなのだ。

それと全く同じことを、モバイル向けECサイトで実現するのがpopInが開発した新マーケティング・ツールの「popIn Action」だ。popIn Actionの最初のリリースは10月のことだが、今日新たな機能をリリースして、popInがいうECサイト上での「One to oneマーケティング」ツールがほぼ実現できたという。

popIn Actionの「リアルタイムオファー」は、絶妙なタイミングでの声がけを、ネット越しに半自動で行うツールだ。スマフォで買い物をしているユーザーの行動を見ていて、どのぐらいの頻度で同じ商品アイテムを閲覧したかによって「購買意欲」をリアルタイムで判定。一定以上の購買意欲を持っているユーザーに対して、画面上に時間限定の「10%オフ」といったクーポンを提示することができる。購買意欲の判定に使うのは、商品の訪問履歴、お気に入り登録情報、流入経路、カートの情報など。

従来、こうしたECサイト上の最適化やマーケティングは専門の担当者が各種指標を見ながら行っていたが、popIn Actionが新しいのは、そうした専属マーケターや特殊な仕組みを用意しなくても導入できることだ。popIn代表取締役の程涛氏によれば、「2週間のうちに3回接触したとか、短時間で2回接触したらオファーすると売上が上がる、といったノウハウは中小のECサイトにはない」といい、popIn Actionでは、ここの部分を「購買意欲判定エンジン」として実装。各種実店舗のデータから統計モデルを作って「買いそう」という判定を自動化しているのだという。

「買いそう」を判定するのはカンタンな話ではなく、例えばユニクロで靴下を買うときには何度も棚の前を行ったり来たりしないし、ECサイト上でも、多くの人は割と気軽にカートに放り込むだろう。一方、腕時計やカメラなどの高額商品は逡巡もするし、1週間ぐらい何度も同じページで写真を眺めたりもするかもしれない。popIn Actionは、こうした違いについても統計モデルで対応できるとしていて、こうしたアルゴリズミックなアプローチが既存大手アドテクサービスとの違いだと程氏は話す。購買意欲は時間とともに下がるが、実はかなりダイナミックに変化しているものだという。これを最大100点の単一指標にして、例えば50点以上を購買欲アリと判定するロジックがpopIn Actionのコアにある。利用するECサイトに対して直接この数字を見えるようにはしていないが、アクションを仕掛けるべきユーザーをECサイト運営者のダッシュボード上にリストアップして表示し、対応するアクションを定義できるUIを提供する。割引クーポンのオファーも1つだが、そのほかにもバナーや特定広告の表示といったアクションも定義できる。

popIn Actionではもう1つ、「パーソナライズド広告」が利用できる。結局のところ、購入を迷う人はECサイトを離脱して別サイトへ行ってしまうのが普通だ。このとき広告ネットワークを使って、ほかのサイト上でもユーザーが閲覧した商品の広告を出す、というのがリターゲティング広告だ。このリターゲティング広告を個別ユーザーに対して打つことができる。

通常の10倍の効果があると言われるリターゲティング広告だが、すでに大手サイトやECサイトでは採用済みで、popIn Actionが狙うのは、まだ導入できずにいる、もっと小さいECサイトだ。国内でリターゲティング広告のシェアトップはCretioだが、中小ECサイトには導入のハードルが高いのだという。例えば、商品データをCSVでCretio側にアップロードする必要があるなど導入コストのために大手EC以外は採用できないことがある。popIn Actionはこの問題をスクレイピングで解決する。popIn Actionの利用はJavaScriptのコード片を追加するだけで設置でき、商品データを事前に広告会社にアップロードする必要もない。

2013年末リリースのpopIn Actionでは、対象をモバイルEC、かつHTMLに限定した割り切りがミソ。「すでに25〜50%の売上がモバイル。リアルタイムオファーやパーソナライズド広告はスマフォのほうがやりやすい」(程氏)。既存ECコンテナに対応することで、95%の精度で商品名、写真、価格の3つを抽出できるのだという。例えば、商品画像は画面に対する表示面積などから判定する。楽天市場などが典型だが、PCのECサイトは画像やテキストなどの要素が大量にあって、スクレイピングに向かないので、モバイルECサイトならではのアプローチだ。

popIn利用はスマホサイトの月間訪問数5000未満の場合は無償。5000〜10万で月額980円のプレミアムプラン、10万以上の場合は従量制課金などとなっている。現在popInではECコンテナ大手と連携を進めていて、現在手作業によるコピペが発生してしまうクーポンコードの連携などを自動化していく予定という。

popInは東京大学エッジキャピタルの支援で設立した東大発ベンチャー企業。当初はWebページ内検索や、大手メディア向け検索エンジンの開発、関連記事表示などの技術を手がけてきたが、アドテクベンチャーのFreakOutと協業する中で、今回のような仕組みに至ったという。


pixiv、収益度外視のクリエイター向け無料ECサイト構築サービス

イラスト投稿サービス「pixiv」を運営するピクシブは、クリエイターがECサイトを無料で構築できるサービス「BOOTH(ブース)」を12月19日に公開する。初期費用や月額料金、販売手数料はゼロ。ピクシブの片桐孝憲社長によれば、自社の収益は考えず、「クリエイターを支援する一機能」と割り切っているのだという。ショップを開設するにはpixiv IDが必要となる。

BOOTHはpixivに投稿されているイラストだけでなく、書籍や同人誌、グッズ・手作りのアイテムのほか、イラストやゲーム、音楽、写真、動画、電子書籍といったデジタルコンテンツを販売できるプラットフォーム。商品登録数は無制限。サンプル配布向けの「ゼロ円設定」も可能だ。

BOOTHの倉庫で商品の保管・梱包・発送を代行するサービスも用意している。送料は一律700円。倉庫の保管費用は半年間無料、その後はサイズに応じて料金が発生する。現時点でサポートしている決済はクレジットカードのみだが、1月より銀行振込とコンビニ決済にも順次対応していく。

無料のECサイト構築サービスは国内では「STORES.jp」「BASE」などがあるが、BOOTHの強みは900万人以上が利用するpixivと連携している点だ。クリエイターはpixivのフォロワー(ファン)に自分の商品を通知できるほか、作品の検索結果画面や作者のプロフィールに商品を表示する機能も近々搭載する。今後はクリエイターの制作支援にも注力する。「例えば、自分の描いたキャラのぬいぐるみを作りたい!という要望にも応えていきたい」(片桐氏)。

片桐氏によれば、2007年にpixivをリリースした1、2年後くらいから、「pixivは作品の発表と販売の場にしたい」と考えていたという。このタイミングでBOOTHを公開したのは、「ユーザーが900万人を突破し、pixivを中心にしたECサービスでも成立する規模になったと判断したため」と話している。

クリエイターからは初期費用や月額料金、販売手数料を徴収しない。クレジットカード決済にかかる手数料(商品代金の3.6%+10円)は発生するが、当面はBOOTHでの収益は考えていないという。「今の予想では数年は大赤字ですが、将来的にpixivとの相乗効果でビジネスモデルを作っていきたいと思っています(笑)」。

pixivといえば、登録ユーザー数900万人突破を記念して、有料会員限定で提供していた一部機能を無料会員にも開放したところ、有料会員が大幅に減ってしまったことが記憶に新しい。「うちなんか一生収益化なんかできませんよ」と自嘲気味に語る片桐氏だが、BOOTHではpixivのユーザーが楽しく創作活動ができたり、作品の売買を介したコミュニケーションが生まれればと話している。