Amazon・Alibabaの2強状態の中、EC企業に残された道とは

【編集部注】執筆者のHans TungはGGV Capitalのマネージングパートナー。

超巨大企業に勝つにはどんな手を使えばいいのか? 中国とアメリカという世界最大級のEC市場で戦う企業は、日々この問いに頭を悩ませている。

AmazonとAlibabaの大成功(時価総額はどちらも4000億ドル以上)をもってEC市場の戦いは終わった、と考えている人は多い。Amazonが本や家庭用品、電子機器、服、食料品など次々と新しいカテゴリーを制覇していく傍ら、Alibaba傘下のTmallとTaobaoもシェアを伸ばし、何百万という数のSKUを確保するなど、両社は本当の意味で世界中の消費者にとっての”何でも揃う店”になろうとしている。

しかし、ここで戦いを放棄するのは早計だ。最新の動向を注意深く見ていくと、まだまだグリーンフィールドと呼べるような分野があるとわかる。ミレニアル世代が中心の大衆市場にサービス開発時点から注目することで、新たなECユニコーンになれる可能性がまだ残されているのだ(ミレニアル世代の購買行動に関する詳細はこちらを参照してほしい)。

新しいトレンドを理解する上で大事なのは、”大衆市場”の再定義だ。売り手と買い手が各地域に留まっていた昔の経済では、大衆市場を狙うというのは、さまざまなカテゴリーの商品を可能な限り安い価格で販売するということを意味していた。つまり”毎日特化”でものを売る”何でも揃う店”になるということだ。

しかし、スマートフォンの普及に伴い状況は大きく変わった。今や世界の大衆市場は、ミレニアル世代の消費行動や好み、さらには中国で起きているライフスタイルの”アップグレード”に大きく影響されている(このアップグレードは旅行や家庭用品、ファッション、食事などさまざまな分野で発生しており、中国の消費者は安価でユニークなプロダクトを求めている)。

そんな中、個々のニーズにあったサービスを提供することで大きな成長を遂げているのが、Dollar Shave Club(ひげ剃り)や73Hours(中国の婦人靴ブランド)をはじめとする新しいeブランド、さらにはHouzz(インテリア・DIY)、DarbySmart(ものづくり)、Red(中国名Xiaohongshu、ビューティープロダクト)などの分野を絞ったマーケットプレイスだ。彼らはキュレーションとパーソナライゼーション、そしてコミュニティの力を使ってアメリカ・中国市場を席巻している。

キュレーションVS巨大倉庫

巨大企業と彼らの違いは「検索VSディスカバリー」という構図にまず表れる。AmazonやTaobaoは巨大な仮想倉庫のようなもので、明確な目的を持ったユーザーのニーズに応えている。消費者は自分が欲しいものを安く買うためにAmazonやTaobaoのサイトを訪れているので、欲しい商品を検索し、購入してサイトを去る、というのが一般的な流れだ。無料配送や翌日配達といったメリットもあるが、このようなサービスは消費者がスマートフォン上で明確な目的なしに楽しむには、あまりに無機質で情報量も多すぎる。

先述のeブランドや分野を絞ったマーケットプレイスは、このような巨大倉庫と真っ向から戦おうとはしていない。その代わりに彼らは、消費者の興味をひきそうなカテゴリーの商品をキュレートするなど、ディスカバリー要素に注力している。モバイルショッピングはある種のエンターテイメントになろうとしており、消費者は巧みに選び抜かれた商品群を眺めること自体をも楽しんでいるのだ。キュレーションのやり方はさまざまだが、その人気はアプリストアのランキングを見れば明らかだ。

インテリアやDIYが中心のHouzzのように、その道のプロがキュレーションを行う場合もあれば、ファッションがテーマのPoshmarkのようにKOL(キー・オピニオン・リーダー)をはじめとするユーザーがその担い手となるケースもある。また、価格が基準のサービスも存在する。HollarやWishは激安商品を販売しているほか、LetGoOfferUpはCraiglist風の中古品売買プラットフォームをモバイルフレンドリーな形で運営している。

彼らは、色んなカテゴリーの商品を今すぐ買いたいという消費者をターゲットにはしていない。その代わりに、彼らは(カテゴリーや価格ごとに)商品をキュレートし、消費者が手頃でユニークな商品をスマートフォン上で楽しみながら見つけられるような環境を提供しているのだ。

ネット上の自己表現としての消費

消費者はAmazonやTaobaoのことも気に入っているかもしれないが、それはあくまでツールとしてであり、サービスのキャラクターにひかれているわけではない。つまり、消費者は便利だからAmazonやTaobaoを使っているに過ぎず、自己表現のためにこれらのサイトを何度も訪れているわけではない。

AirBnBやRed(Xiaohongshu)、Pinterest、Houzzといったeブランドやマーケットプレイスは、ソーシャルサービス上のファンや、消費者に憧れを持たせると同時に刺激を与えるようなコミュニティの構築がとてもうまい。彼らはコミュニティや自分たちが提供している価値を文化的文脈に落とし込み、サブカルチャーの入り口のような存在になることで、ユーザーのロイヤルティーを高めているのだ。プロダクトのパーソナライゼーションとコミュニティの構築がうまくいけば、ソーシャルメディア上で口コミが広がる。これが現在アメリカと中国の両方で起きていることだ。

高級志向のEC企業も特定の価値観を反映したブランディングを通じて同じことをやっている。さまざまな体型に合う、”女性による女性のための”下着を販売しているLively、健康飲料のDirty Lemon、自分の髪にあったシャンプーやコンディショナーが購入できるFunction of Beautyなどがその一例だ。

ユーザーの好みに沿って提案商品を変えるサービスも存在する。ファッション系サブスクリプションサービスを提供しているStitchFixDiaは、ユーザーがどの服を購入してどの服を返却したか、という情報をもとに次に送る商品を変えている。AIを使って消費者の好みを反映した商品を販売・提案しているブランドは、詳細なパーソナライゼーションを差別化の柱にできるだろう。

業界や個別の戦略はさまざまだが、上述の企業に一貫して言えるのは、AmazonやAlibabaではなく彼らのアプリ上でプロダクトを購入したいと消費者に思わせるほどのパーソナル、そしてソーシャルなインセンティブを創り出しているということだ。これはオンラインに限った話ではなく、オフラインの小売企業も日々変化する消費者行動に手を焼いている。今後Walmartのように生き残りのためにM&Aを繰り返す企業が出てくるかもしれない。

Amazonに対抗するためにWalmartはJetを買収した

これからどうなるのか?

では、スタートアップはこの記事で触れたような強みを活かして、本当にAlibabaやAmazonに勝てるのだろうか? この質問に対する私の答えはイエスだ。EC市場にはまだまだ成長の可能性が残されている。

確かにAmazonとAlibabaはアメリカと中国それぞれの市場でかなりのシェアを握っているが、未だ両国のECの市場規模は、最大9兆ドルとも言われる小売市場の8%(アメリカ)、16%(中国)でしかない。まだまだEC市場には発展の余地があるということだ。将来的には昔の小売市場のように専門店が立ち並ぶようになるかもしれないが、そこにはエクスペリエンスとしての買い物という概念やAR・VR技術、AIを活かしたひねりが加わってくるだろう。

そんなEC市場で勝ち残っていくためには、これまで以上にミレニアル世代の価値観やコミュニケーションチャンネルに注目しなければならない。今後EC市場がさらに成長し進化していく中、キュレーションやパーソナライゼーション、コミュニティの創出に力を入れた企業こそが、ますます大きくなるパイの取り分を増やしていくことになるだろう。

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake

Y Combinatorに支援を受けたVIDAはデザイナーのアートワークをファッション、アクセサリ、その他に変身させる

VIDAは、デザイナーたちが、ファブリックや、革、そして金属などの実素材に、アップロードしたデザインを印刷し、ユニークな製品として売ることができるようにするeコマーススタートアップだ。数年前の立ち上げ以来そのアーティストのコミュニティは10万人を超える規模に拡大している。同社は最近行ったシェール、スティーブ・マデン、ワーナー・ブラザースなどの大物とのコラボレーションに続き、現在スタートアップアクセラレーターのY Combinatorに参加している。

VIDAのアイデアは、創業者のUmaimah Mendhroによるものだ。彼女はパキスタン出身で、ハーバードビジネススクールの卒業生で、Microsoftとサンフランシスコに本社を置くマーケティング会社Westで働いた経験を持つ。

Mendhroはかつて、アーティストを目指していたこともあり、彼女自身も裁断、スケッチ、縫製、刺繍、スクリーン印刷、ペイントなどを教えていたことがある。しかし、彼女は芸術だけで生計を立てることに不安を抱き、その結果別の道を歩むことになった。

VIDAの起業によって、Mendhroはアートとテクノロジーに対する彼女自身の関心を組み合わせることができた。ここではアーティストたちが自身のデザインを提出し、VIDAの直接布地印刷デジタルプリントを使って服にすることが可能で、また最近はより硬い素材へのプリント手段も提供されるようになってきた。

デジタルプリント技術を使用すると、従来の方法よりも布地にデザインを転写するプロセスが高速になる。これによって、VIDAは在庫を保持する代わりに、必要に応じてアイテムを印刷することができる。また、3Dプリンターを使用して宝石コレクションのための金型をデザインし、3Dニットやレーザーカッティングなどの他の分野にも程なく参入する予定だ。

1度プリントされると、VIDAは、アーティストのためにその着用姿を宣伝するためのブランドページを作成する。VIDAがアイテムの製造販売に関連したデザイン以外のすべてのプロセスを引き受けて、アーティストは総売上の中から10%を受け取ることになる。

最初の立ち上げ時には、VIDAが扱っているものは、わずか2、3種類のものしかなかった – シルクトップと何種類かのスタイルのスカーフだ。

今では同社は、トップス、ボトムス、ラップ、バッグ、スカーフ、そして枕やタペストリー、ポケットスクエア、バッグ、ジュエリーなどの家庭用アイテムなど、数多くの分野を扱うようになっている。また、世界150カ国以上に広がる10万人以上のアーティストやクリエイターへとコミュニティを広げている。このサイトには200万件以上のSKU(商品最小管理単位)が登録されていて、毎日約5000件が追加されている。

VIDAは顧客数や販売実績を公表していないが、今年はHSNとのコラボレーションの下で女優のシェールと仕事を行った。また同社はワーナー・ブラザースともワンダー・ウーマンにインスピレーションを受けたアイテムの扱いも行った(これもまたHSNとのコラボレーションだ)。

VIDAの大きなビジョンは、アイデアを製品にするプラットフォームを構築することだが、Mendhroは新しいタイプの消費者にもアピールすると語る。

「私たちは、小売業界を支配してきた標準化された大量生産品を拒み始めているのです。私たちは、ユニークで、物語を伝え、そこに私たちの個性の一部が反映された、真の本物だと感じることのできるものを求めているのです」と彼女は語る。

カスタムメイドの性質を持つものであるにも関わらず、プロダクトの多くは驚くほど手頃な価格だ。例えば、カスタムバッグは40ドルから50ドルの価格帯だ – 新しいNine Westの財布や他の大衆ブランドよりも安い。

また同社は、パキスタン、インド、トルコでの識字学習プログラムや女性のエンパワーメントプログラムなどの組織を通じて、工場でプロダクトを製造する人々に還元を行うことで、社会的な意識の高い買い物客層にも訴求している。

やっと12人を超えたばかりの、このサンフランシスコを拠点とするチームは、Y Combinatorのデモデーの終了後、布地を超えた対応を増やしビジネスを拡大するために、追加資金を調達する予定だ。

現在スタートアップは、Google Ventures、Azure Capital、Slow Venturesから、550万ドルの資金提供を受けている。これは、VIDAがまだ初期段階にあった2014年に、TechCrunchが既に報告していた、130万ドルのシードラウンドに続くものだ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Amazonのプライベートブランド、大盛況――デバイスの成功を受けてファッションも拡大へ

Amazonはここ数ヶ月、プライベート・ブランドの充実に力を入れている。ただしブランドの所有者がAmazonだと表示されていない場合がほとんどなので、ユーザーにはAmazonブランドだということはわかりにくい。しかし1010dataが今週発表したレポートによれば、Amazonのプライベート・ブランドは活況を呈している。またAmazonBasicsや子供服のScout + Ro、Amazon Elements、またAmazon製デバイスのEcho、Kindle、Fire TVなどAmazonの名前を冠したブランドも急成長している。

1010dataはこれまでもAmazonのプライベート・ブランドを追跡しており、このレポートには詳しいアナリティクスが掲載されている。

今年上半期、Amazonのプライベート・レーベルは総販売点数の2%を占めるだけだった(マーケットプレイスへの出品、サービスのサブスクリプションを除く)。しかしAmazonのプライムデー・セールスの期間中、この割合は12%にも拡大していた。

実はAmazonBasicsはこの分野で今年トップのパフォーマンスを示している。AmazonBasicsには「毎日必要なアイテム」が多数取り揃えられている。スマートフォンの充電器からHDMケーブル、bluetoothスピーカー(Alexaを除く)のようなエレクトロニクス製品、各種オフィスサプライ、シーツ、バスタオル、ペット用品まで品揃えは充実している。トータルで2000種類近いプロダクトを取り扱っており、これまでのところAmazonのプライベート・ブランドとしては最大のものだ。

1010dataの調査によれば、2017年上半期のAmazonBasicsの売上は2億ドル以上になったという。

AmazonBasicsに続くのはエレクトロニクスで分野で、これにはEcho、Fire TV、Kindleが含まれる。上半期の売上はそれぞれ1億2000万ドル、1億1000万ドル、
7500万ドルだった。エレクトロニクス製品をすべてトータルするとAmazonのプライベートブランドの売上の55%となるという。 この急成長の主役はEchoで対前年比で2倍(101%アップ)だった。またKindle Fireの売上はほとんど3倍(184%アップ)となっている。

Amazon ElementsはAmazonのプライベート・ブランドでいちばん歴史が長い。ヒット商品は赤ちゃん用おしりふきのベビーワイプだが、最近取扱品目にビタミンとサプリを加えた。 このブランドも上半期に950万ドルを売り上げている。

最近加えられた新しいブランド、ベッドのシーツやバスタオルなどを扱うAmazon Pinzonは660万ドル、昨年スタートしたスナックのブランド,、Happy Bellyも同期に200万ドルの売上となっている。

さらに最近Amazonはファッション・ビジネスにも力を入れており、品揃えの拡大中だ。一部のブランドはすでにかなりの反響を得ている。女性向けアパレルのLark + Ro、男性向けドレスシャツのButtoned Down、またAmazon Essentialsのアパレルもトップ10入りしている。

中でも子供服のブランド、Scout + Roは対前年比542%のアップともっとも伸びが著しい。この急成長は品揃えの拡大と歩調をあわせたもので、昨年に比べて取り扱う種類も5倍に増えている。紳士靴のFranklin & Freemanも成長中だ。

とはいえ、プライベート・ブランドのすべてがバラ色ではない。たとえばPinzonは上記のように今年上半期で660万ドルの売上を得ているものの、対前年比では28%のマイナスとなっている。

またこのレポートによれば、Amazon Elementsが口コミ評価では群を抜いており、 42%と他のAmazonの4倍以上になっている。

また1010dataはアイテムをSKU〔単品管理〕で分析しており、プライベート・ブランドではAlexa Voice Remot機能つきの Fire
TV Stickがトップセラーとなっている。続いて黒のEcho Dotスピーカー、さらにAmazonBasicsのプロダクトが続く。Echo、白のEcho
Dotもトップ10に入っている。EchoデバイスはPrime Dayのベストセラーだったことを考えると意外ではない結果かもしれない。【略】

1010dataは契約上の守秘義務を理由としてデータのソースを明らかにしていないが、用いた情報は全体として「オフラインおよびオンラインにおける消費者の購入動向を独自に収集したもの」だと述べている。

画像: Ross D. Franklin/AP

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonの商品が購入後2分で受け取れる――Instant Pickup、アメリカのキャンパスで実験開始

Amazonが現実店舗における商品販売でまた一歩を進めた。Instant Pickupという新しいシステムはその名前のとおり即座に商品をピックアップできる。Amazonの顧客は一定の商品についてはAmazonプラットフォームで購入後、2分以内に受取りができる。

このプログラムは当面カリフォルニア大学バークレー校などアメリカの大学キャンパス5箇所でスタートした。 Reutersの記事によれば今年末までにアメリカ各地に拡大されるという。

Instant PickupsはAmazonの「注文後の待ち時間を最小化する」という目標への新たな挑戦で、これにはモバイル・デバイスの充電器、スナック、飲料などAmazon.comで大量に注文される商品が数百種類揃えられる。つまりInstant Pickup店舗はAmazonのオンライン購入者がひんぱに行う「衝動買い」に対応した販売システムだ。

Pickupにおける品揃えは、各店舗に配置されたAmazon社員が決定する。アイテムは集合郵便受けのような専用ロッカーに収納される。顧客がAmazonでアイテムを購入すると専用のキー・コードが発行されるので、このコードを使ってロッカーを開けばよい。価格は通常の宅配版より安く設定される。AmazonではInstant Pickupの運営の自動化を考えているが、スタート時点ではまだ実現していない。

当面Pickup店舗が置かれるのはバークレーの他にロサンゼルス、アトランタ、コロンバス、メリーランド州のカレッジ・パークに所在する各大学だ。

Instant Pickupシステムは現実店舗に関する最近のAmazonの一連の動きに適合する。Amazonは高級生鮮食品のスーパーマーケット、Whole Foodsを買収しているのでInstant Pikcupをこうした店舗の一角に設置することは容易だろう。Whole Foodsは各地の人口動態を考慮して最適な位置に出店している。こうした店舗が衝動買いにも対応できることになればさらに強みを増すだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

生鮮で苦戦しているAmazonが冷蔵不要・常温保存の食事の配達を研究中

‘MRE’という言葉が、軍隊やサバイバル技術に関する話のなかによく登場する。それは、“Meal, Ready-to-Eat”(すぐ食べられる食事)、すなわち携行食のことだ。Amazonは今、独自のMREを研究しているらしい。しかもそれは、前線の兵士やサバイバルごっこのハイカーたち用ではなく、一般消費者向けのおいしくて満足感のある食品としてだ。

Amazonは、軍用に開発された技術を利用して、冷蔵庫を要しない、常温保存のできる即席食を作ろうとしている。そもそもそれは、在庫管理やロジスティクスという面で売る側にメリットがある。倉庫も輸送も簡単だ。Reutersのその記事によると、生鮮に進出しようとするAmazonにとって最大の難関が商品の日持ちであり、しかもその対策は簡単ではない。

しかしこれはさらに、オンデマンドの食事配達(meal delivery)への進出に際しても、Amazonのアドバンテージになる。同社はすでに、専業のBlue Apronなどとどうやって競合するかを考えつつ、パイロット事業を動かしている。

その技術は‘microwave assisted thermal sterilization’(マイクロ波による過熱消毒, MATS)と呼ばれ、封をしたパッケージを高圧の水槽に入れてマイクロ波を照射すると、食品の風味と栄養を損なわないだけでなく、細菌を排除して最大1年の棚持ちを可能にする。この技術の商用化を今、915 Labsというスタートアップが探求している。

それはまだ、消費者への提供が確定したわけではなく、目下テスト中の生鮮と配食の分野における試行錯誤の一環にすぎない可能性もある。でもその分野で、日持ち棚持ちという大きな障害にぶつかったeコマースの巨人が考えた対策としては、なかなかおもしろい研究開発のテーマだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

生鮮食品宅配のBlue Apronは四半期決算発表後、株価急降下

今日(米国時間8/10)、Blue Apronは第2四半期の決算を発表した(上場後最初の決算発表)が、その内容に株価は急降下した。同社の決算の数値は市場の期待と大きく食い違うちぐはぐなものだったため、株価を14%以上下落させた。

Blue Apronは支出を押さえるためにマーケティング費用の削減を試みているが、その結果は大幅な顧客の減少をもたらした。Bleu Apronは初期段階では多少の利益を出していたが、その後顧客獲得のためのマーケティングに巨額の支出を行っていた。

しかしこうして獲得した新規顧客をつなぎとめ、実際に食品を購入させる方策がすぐに問題となった。今期、Blue Apronは顧客ベースの健全化にやや成功し、生鮮食品の購入はややや増えている。しかしマーケティングを削減する中で顧客数の拡大を続けられるかどうはは依然不透明だ。同社は今期、2億3810万ドルの売上に対して1株あたり利益が0.47ドルの損失を報告した。ウォールストリートのアナリストは2億3580万ドルの売上と0.30ドルの損失を予測していた。

以下が株価の推移のグラフだ。

つまり、マーケティング費用を絞った結果、売上は予測を上回ったものの1株あたり利益では損失が拡大するという結果となった。Business Insiderによれば、同社は電話記者会見で今年下半期の見通しを1億2100万ドルから1億2800万ドルの損失となるだろうと予測したという。電話記者会見の内容については現在TechCrunchでも精査中だが、こうした否定的な見通しがBlue Apronのような新規上場企業の株価に悪影響を与えることは間違いない。現在市場ではSnapchatを運営するSnapの株価が低迷し、テクノロジー企業の上場への意欲が減退しているとも噂されている。

下半期のBlue Apronには数多くの難題が待ち受けていそうだが、その中でもAmazonという巨人が落とす影は大きい。しばらく前からAmazonが生鮮食品宅配サービスに乗り出そうとしている情報が流れており、これが株価を押し下げる要因の一つになっている。Blue Apronは1株当たり10ドルで新規上場を果たしたものの、株価は今や半値に下がっている。

しかしテクノロジー企業の上場がまったくストップするということではない。Dropboxは上場に向かってさらに一歩を進めたようだ。またTechCrunch は サブスクリプション・ベースのアパレル通販のStitch Fixが密かに上場申請を行っていたことを報じている。

画像: Michael Nagle/Bloomberg via Getty Images

〔日本版〕Google Financeによれば日本時間8/11朝のBlue Apronの株価は5.14ドル。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonの‘Themes’機能はカスタマーレビューを気になる言葉でフィルターできる…レビューが超多すぎる製品では便利

【抄訳】
Amazonがとくに告知もなく、“Themes”(テーマ)という新しい機能をモバイルのAmazonアプリに導入した。それは、カスタマーレビューを閲覧しやすくするための工夫で、まず、既存のレビューの中で比較的頻繁に使われている言葉を見つけ、そしてボタンをタップすると、その言葉が含まれているレビューだけがフィルタされて残る。

そういう、その製品/商品に関していちばんよく使われている言葉〔複数〕のことを、ここではテーマと呼んでいるわけだけど、カスタマーレビューのあるところへページをスクロールすると、そこの“トップカスタマーレビュー”の上の方にカラフルなボタンがいくつも並んでいて、そこにその製品/商品のテーマが並んでいる〔上図中央カラムの中ほどの[great][vacuum][suction]などなどのボタン…商品が掃除機なので、吸い込み(suction)や真空(vacuum)などの語が既存のレビュー中に多い〕。

青いボタンが、いちばん多く登場している言葉だ。その下の方のグレーや白の小さなボタンは、それほど多く登場していない言葉だ〔上図の例では、[love][little]など〕。

たとえば手持ち型の電気掃除機(上図左カラム)では、製品に関するキーワード、“suction”や “battery”などが既存のレビュー中から拾われている。

また、あまり役に立たない“good”や“great”などの語も、頻出語として拾われている。まだAIなどの高度なスマートな処理は使われていないらしくて、言葉の選び方はきわめて機械的で単純だ。いずれにしてもこれらのボタンをクリックすると、その言葉が登場しているレビューだけを集めたページが出現し、キーワードは黄色の背景色で強調されている〔上図右カラム〕。たとえば掃除機の吸い込み率が気になる人は、[suction]をクリックして、フィルタされたレビューだけを読むとよいだろう。

【中略】

この“Themes”(テーマ)機能は、iOSとAndroid上のAmazonアプリで利用できる。〔この機能の日本語化については、8月9日現在、不明です。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Shopifyの売上と利益が大幅増、同社上のネットショップは50万店を突破、ユーザーは全世界に広がる

Shopifyが火曜日(米国時間8/1)に報告した2017Q2の決算は、強力な数字が並んでいる: 売上は前年同期比で75%アップ、売上総利益は同じく83%増加した。売上高は1億5170万ドルでウォール街の予想を上回り、同社のサブスクリプションベース(有料会員制)の事業は7160万ドルに成長した。そのプラットホームに新規に会員登録するマーチャントが、記録的な数を数えたためだ。〔マーチャント, merchant, 商業者…Shopfy上でネットショップをやってる人たち。〕

Shopifyのユーザーであるマーチャントの数は、四半期記録としては初めて50万を突破し、ユーザーは世界の175か国に広がる。マーチャントの増加率は2012年以来平均74%を維持し、これら全マーチャントのこれまでの累計売上は400億ドルに達する。

Q2の新規登録ユーザーの地域別分類を見ると、複数の市場で大きく伸びており、北米地区56%、アジア82%、南アメリカ168%、アフリカ70%の増となった。マーチャント数(ショップ数)は50万だが、同社のショップ管理ソフトウェアのこれまでの累計ユーザー数は120万に達する。

Shopifyに店開きしているショップからの購入者は過去12か月で1億3100万人、昨年のブラックフライデーとサイバーマンデーには、同社プラットホーム上のマーチャントは全体で毎分10万ドルの売上を計上した。

Shopifyは今期、クレジットカードリーダーChip and Swipe Readerの一般配布を開始した。まだ入手していないマーチャントは無料で入手できる。また同社のCFO Russ Jonesが、新任の確保を条件に引退の意思を表明した。新任は来年中には見つかる、と同社は予想している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ジェフ・ベゾスの資産世界一は一瞬だけ――AmazonのQ2は平凡、株価やや下げる

今日(米国時間7/27)、Amazonは第2四半期の決算を発表した。投資家にとって平凡な内容であり、株価は3%下がった。CEOのジェフ・ベゾスは決算発表の直前に一瞬だけビル・ゲイツを抜いて資産世界一になっていたが、株価下落によってたちまち冷たい現実に直面することになった。ベゾスは依然として世界で2位の金持ちにすぎない。

冗談はさておき、今期Amazonは137億ドルで Whole Foodsスーパーマーケット・チェーンを買収しており、その決算はAmazonにとって大きな意味を持つものだった。しかしAmazonは途方もないサイズの取扱総額からごく薄い利益を絞り出すというこれまでのやり方を踏襲したようだ。しかしAmazonがWhole Foods買収を完了し全米で数百にもなる現実店舗の運営をするようになれば、この方式には市場から強い圧力を受けることになるかもしれない。

問題はAmazonの多様な事業の損益がきめて広い範囲に散らばっていることだ―4億ドルの損失もあれば3億ドルの利益もあるという具合だ。同社はこれまでアグレッシブな成長を続けながら利益も確保してきた。しかし来期にはこの路線も限界に突き当たる可能性がある。Whole Foodsの買収を境として、今後Amazonは成長するために投資すれば赤字となるモードに戻るかもしれない。

Amazonの株価は今年驚くべき急上昇をみせた。今年初めと比較して40%もアップした。この値上がりでベゾスは一瞬だがビル・ゲイツを抜いて世界一の金持ちになった。 パソコンをベースにした現実世界とインターネットをベースにしたオンライン世界との交代を象徴するものと受け取られた。AmazonはAlexaで音声認識の世界へ、Twitchでビデオ・ストリーミングの世界に進出したが、Whole Foodsで現実世界の小売業に戻って来たともいえる。

決算資料からAmazonの巨大なオペレーションを支える重要な柱はAWSだということが分かる。Amazonの営業利益は前年同期の7億1800万ドルから今期は9億1600万ドルにアップした。今期純益は1億9700万ドルで前年同期の8億5700万ドルから大きくダウンした。サーバー事業はAmazonの利益を維持する部門であり、仔細に検討するなら、AWS事業そのものだと分かる。この事業はビジネスとして軌道に乗り、年間100億ドルの売上をもたらしている。

AmazonのEPS〔1株あたり利益〕は0.4ドル、で売上は380億ドルだった。アナリストの予測はEPSが1.42ドル、売上が371億8000万ドルだった。売上は前年同期比で25%アップしている。

全体としてAWSは昨年同様のペースで成長を続けている。Amazonは今期AWSの売上は対前年比で42%%アップしたとしている。2016年第2四半期の対前年比成長率は58%だった。今年の成長率はややダウンしているものの健全な成長を続けていることはAmazonにとって重要だ。世界の多数の企業がAWSをインフラとして利用している。Amazonは毎期きわめて高い利益率を誇っている。

もちろんクラウド事業の競争は激しさを増す一方だ。ことにGoogleがクラウド事業に本格的に取り組み始めたし、 Microsoftも当然ながらライバルだ。AWSはクラウド・コンピューティングのパイオニアであり今やほとんどその代名詞ともなっているが、世界の大企業、スタートアップのニーズを満たしていくためには日々サービスを拡充していくことを怠れないだろう。

画像:Drew Angerer/Getty Images

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

落ち目のSearsが家電ブランドKenmoreにAlexaを載せてAmazonから売る、21世紀の生き残りを賭けて

これを、かつての最強ブランドSears(シアーズ)の、死刑執行の一時的な延期以外の何かとして見ることは困難だ。ネットショップが優勢になってからの、これまでの数十年間、全国どこでもモールの旗艦店だったこのストアは、苦戦を強いられた。そして今や同社は、Amazonと契約して、家電のストアブランドKenmoreを、今も続いている同社の業績落下の、主要な原因の一つ(==Amazon)で売ることになった。

いかにも負け戦のような選択だが、しかし少なくとも、短期的には賢明だ。ウォール街もご褒美として、今朝(米国時間7/20)の取引では、この131歳の企業の株を25%も上げたではないか。SearsのCEO Eddie Lampertも同じく希望をいだき、“アメリカにおけるKenmoreブランドの流通と入手のしやすさを大きく拡大する”、と今朝の声明で述べている。

全国で651店あるSearsは、今でもアメリカで第五位の大きさのデパートメントストアだ。だから、流通に不足はないはず。ただし2011年には3500店あったことを思い出すと、今さら新しいパートナーシップに感動している場合ではない。

流通チャネルにネットが加われば、同社家電製品の入手しやすさがアップするのは当然だが、Kenmoreのファンにとっては、物理店を避ける理由がひとつ増えたことになる。お客が物理店を避ければ、ワンストップショッピングが売りだった古典的デパートメントストアにおける、“ついで買い”の商機も失われる。

この苦悩する小売企業は以前、Kenmore, Craftsman, DieHardなどのストアブランド商品の流通経路の選択肢を増やすことを検討する、と発表したことがあったが、今回のニュースは、それから1年以上も経っている。これらのブランドには今でも多少の顧客吸引力があり、Searsのお店の残された集客力の、一部でもあるのだ。

Searsのこの契約には、別のおもしろいニュースもくっついている。いやいやながら21世紀へ足を引きずって歩いて行くSearsの、Kenmore家電製品に、Alexaのスキルが実装されるのだ。たとえばGEがそれをとっくにやってしまったエアコンでは、ユーザーは家にいるままでそれを買えて、しかもカウチに座った(寝た?)まま温度を変えられる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

The RealRealのCEO曰く、目標は巨額買収よりもIPO; ブランド力でよそよりも高く売れる自負

The RealRealは、ラグジュアリーの委託販売サイトで、本物を証明する証明書があって前の持ち主がはっきりしている品物だけを扱う。扱い品目の中には、シャネル、エルメス等々、高級ブランドからの出品もある。本誌は最近、CEOのJulie Wainwrightにインタビューしたが、そのとき彼女は、いずれ上場したい、と語った。
“目標はIPOね。会社を売る気は全然ないから。だからある時点で上場したい、と思っているのよ”。

これまで1億7300万ドルを調達したスタートアップが、投資家たちのための流動性(liquidity, 投資によって得られた企業所有権の市場化現金化の可能性)を期待されるのも、いわば当然だ。先月同社は、プライベートエクィティ(非上場企業対象の投資家)企業のGreat Hill Partnersから5000万ドルを調達した。それまでの投資家は、Canaan PartnersやGreycroft Partnersなどだ。

The RealRealはラクジュアリーアイテムの売り手と買い手を結びつける。アイテムはデザイナーファッション、ハンドバッグ、ジュエリー、家具などさまざまだ。名前の中でで“リアル”を二度も繰り返しているのは、本物であることを強調するためだ。上のビデオでは、ルイ・ヴィトンのバッグの偽物の見分け方を学べる。

競合他社は苦戦している。たとえばThreadflipは大量の不良在庫に押しつぶされて閉鎖したが、The RealRealはアイテムを自分では買わないから在庫はつねにない。そしてそれが売れたときにのみ、仲介料を得る。そこでWainwrightによれば、同社は逆の悩みを抱えている。つねに、需要が供給を上回っている、アイテムの委託者よりも買い手の方が多いのだ。

売り手にとっては、アイテムを見せる場所はたくさんある。伝統的な委託販売のサイトもあれば、eBay(オークション)、Poshmark、ThredUPなどなどもある。どのプラットホームにも、そこならではの特徴はあるが、The RealRealは‘ラクジュアリーのみ’という絞り込みが強みだと思いたい。アイテムが、よそより高く売れる傾向がある。また、シャネル、グッチ、プラダなどの高級デザイナーブランドも、The RealRealをよく利用している常連だ。

Warby Parker, Birchbox, それに今ではAmazonも、今やeコマースから物理店へと展開している。その波に乗りたいThe RealRealは5月に、秋にはニューヨーク店を開店する、と発表した

Wainwrightによれば、パイロットショップが大成功したので、みんなその気になっている。The RealRealが今や知名度の高い人気ブランドであることに、確信を持てたそうだ。

The RealRealの前は、WainwrightはPets.comのCEOだった。この有名なスタートアップは、ドットコムブームのさなかに閉鎖した。最近、ドッグフードeコマースのChewy.comが33億5000万ドルという巨額で買収されたことを思えば、Pets.comは登場のタイミングが早すぎたのだ、と言えるかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon Pay PlacesはAmazonアカウントで実店舗での支払いができるサービス:まずはTGI Friday’sからスタート

Amazonは本日(米国時間7月19日)、Amazon Pay Placesという新しい機能を導入した。これによって顧客はAmazonアプリを用いて、店内での支払い、あるいは買い物に先立つ事前注文を行なうことができる。すなわち、現実世界で買い物をする際に現金、小切手、クレジットカード、デビットカードを使用する代わりに、Amazonアカウント情報を使用することができるのだ。Pay Placesの最初の実現場所にはTGI Friday’sレストランチェーンとの提携も含まれている。もちろんこの機能は、将来より多くの店舗や実世界での利用が予定されているものだ。

Amazon Pay Placesの立ち上げパートナーのTGI Friday’sは、現時点でこの機能を使用できる唯一の場所だ。また米国中で利用可能なわけでもなく、ボストン、フィラデルフィア、ボルティモア、ワシントンDC、バージニア州リッチモンド、ペンシルベニア州ウィルクスバリのアマゾン顧客だけが、この機能を現在利用することができる。

Amazon Pay Placeにアクセスするには、Amazonのモバイルアプリが必要だ。アプリを起動して、メニューをタップし、“Programs & Features”を更にタップする。

このセクション内で、(サポートされている地域内なら)Amazon Pay Placesは利用可能になる。

そこから、TGI Friday’sのメニューを見て、さらにアプリを通して注文をダイレクトに行うことができる。

Amazonアプリを用いて、レストランのテイクアウトオーダーの支払いを済ます事には意味がある。従来の厄介なテイクアウトの注文手段を単純化してくれるからだ。これまでは、レストランに電話をかけ、支払い手段を電話で伝え、レストランの専用モバイルアプリをダウンロードしたり、レストランのオンラインオーダーページを訪問したりしなければならなかった。

しかし、Amazonの目論見は、レストランを超えた範囲に対してもAmazon Pay Placesを利用することだ。Amazonが買収したWhole Foodsが、顧客ピックアップオーダーにこの機能を使う未来を想像することは難しいことではない。

ニューヨーク・ポスト紙によれば、オーダーに対してAmazonがより大きな取り分を占めるAmazon Restaurantsとは異なり、Amazon Pay PlacesはAmazon Paymentsに対する新しい追加であると報じられている。

ざっくり言えば、Amazon Paymentsとは自身が運営するPayPalのような代替支払い手段だ。つまり、オンラインマーチャントは、ウェブサイトのチェックアウトページにボタンを追加することで、顧客のAmazonのアカウント情報を使って支払いを行わせることができる。そうすることによって、顧客がカートを放棄する可能性が減り、チェックアウトがスピードアップすると考えられている。

Amazon Paymentsも、PayPalのように、1トランザクションあたり2.9%+30セントの手数料を請求する。

Amazonは現在どれくらいの数の小売業者が、その支払いプラットフォームを使用しているかについては公表していない。しかし2月には、これまで3300万を超える顧客が、Amazon Paymentsを使用して購入を行なったと発表している。これは2016年4月に発表された2300万に比べて1000万の増加だ。

一般にAmazon Paymentsは電子商取引に関連しているが、Amazonはゆっくりと現実世界にも展開を続けている。例えば、 Amazonは昨年、豪華な衣料品を扱うModa Operandiと提携し、来店した顧客が衣服の代金を、事前にオンラインで洗濯しておいたAmazonのアカウント情報を使って支払うことを可能にしていた、

ということで、Amazon Pay Placesは、現実世界に於けるAmazon Paymentsの2番目のユースケースを表している。

Amazonは、Amazon Pay Placeが、いつ追加の市場に参入したり、ショウケースパートナーと提携するのかについては何も述べていない。しかし明らかにこれは着目を続ける価値のある領域だ。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: DAVID RYDER/GETTY IMAGES

Amazon、ショッピングSNS、Sparkをリリース――フォーマットはInstagram Srtoris的、当面米国のみ

今日(米国時間7/18)、Amazonは購入できる商品写真を配信するAmazon Sparkをリリースした。これは通販における商品の発見を改善するサービスで、一見したところFacebookのInstagram Storiesに似ている。Storiesと同様、Amazon Sparkもレビュー、アイデイア、写真などユーザーからの投稿をベースにしたサービスだ。

ユーザーが自分のお気に入りの商品の写真を投稿すると他のユーザーがコメントや「いいね!」のような反応を返す。AmazonではFavoriteという独自の「いいね!」ボタンを用意している。

Amazonはこれまで数ヶ月、アメリカの一部ユーザーを対象にAmazon Sparkのベータ版をテストしていた。Sparkは他のソーシャル・メディアに流れていたプロダクトの購入をめぐるやり取りの一部をAmazon自身に取り戻そうとするのが狙いだ。Sparkであれば気に入ったプロダクトを見つけた場合、ユーザーは他のサイトに移ることなくその場で購入ができる。

つまりAmazon SparkはいくぶんかPinterestのライバルでもある。ただSparkのサービス・フォーマットはフィードの配信であり、その点ではInstagramに近い。

Amazon Sparkが使えるのはAmazonのモバイル・アプリ(当面iOS版)のみで、 デスクトップには対応していない。

Sparkに参加するにはハンバーガー・メニューのPrograms & Features〔プログラムと機能〕からサブメニューを開く。ユーザーは関心のあるカテゴリーを少なくとも5つ選ぶ必要がある。このデータをベースにAmazon Sparkはユーザー別のカスタム・フィードを作成し、関連あるプロダクト、画像、利用法のアイデアなどが配信される。

5つ以上のカテゴリーを選択することもできるが、最低5つ選択しないと先に進めない。

  1. img_4949.jpg

  2. img_4950.jpg

  3. img_4952.jpg

  4. img_4953.jpg

  5. img_4954.jpg

  6. img_4955.jpg

このカテゴリーは多数あるが、基本的にはAmazonで人気ある商品の分類に対応している。たとえば「本」、「スタイル&ファッション」、「テクノロジー」、「インテリア」、「音楽」、「フィットネス」、「オモチャとゲーム」といった具合だ。しかし「ネコ」、「IoT」、「バーベキュー」といった範囲を狭めたカテゴリーもある。

最後にユーザー名や通知設定を入力すると商品画像を中心にしたニュースフィードの配信が始まる。一部の投稿は商品レビューに近く、使い勝手、機能、体験などを詳しく書いた記事だ。

またファッション・カテゴリーの場合、Instagramでよく見かける美しい画像で商品があまり目立たないもの配信されるようだ。

投稿された商品がAmazonで販売されている場合、ショッピングバッグのアイコンが記事の右下端に表示される。アイコンにはこの写真からジャンプしてAmazonでその商品が購入された回数が表示される。

たとえば帽子をかぶった女性がヨセミテで夕暮れのハーフドームを眺めている写真をクリックすると、女性がかぶっている帽子のページにジャンプして詳細を知ることができる。

こうしたライフスタイル的な画像以外にも商品そのものの写真、記事、リンク、アンケートなどが投稿できる。【略】

ある意味でAmazon Sparkはプロダクト・レビューに新しい領域を切り開くものかもしれない。Amazon本体では大量の商品レビューを投稿するユーザーが「トップ・レビュワー」として優遇されてきたが、Sparkはむしろあるプロダクトに熱中するユーザーがエンスージアストとして優遇されるサービスのようだ。

エンスージアストと認定されると投稿にバッジが表示されるようになる。

Spark投稿者は誰でもエンスージアストになれる―ただし投稿するためにはまずAmazon Primeのメンバーでなければならない。プライム会員でないユーザーはSparkのフィードを閲覧することはできるが、記事やコメントを投稿できない。【略】

近くAmazonはSparkのコンテンツをさらに強化する予定だ。たとえば7月30日以降、ユーザーはSparkのプロフィールに以前投稿したプロダクト・レビューを含めることができるようになる。

Amazon Sparkは今日からアメリカでスタートする(当面iPhoneアプリのみ)。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

米Amazon、惣菜用食材提供サービスをテスト中

Amazonが、惣菜用食材サービスのための商標を出願するなど、どうやらサービスに参入する予定であるとの噂が流れている。この噂は、IPOを果たしたばかりのBlue Apronの株価にも影響を与えている。そして、どうやら噂は噂にとどまらないものであることが明らかとなった。すでに、オリジナルのサービスである「Amazon Meal Kits」がテストされているのだとのこと。在シアトルの利用者がオーダーして利用したことが報じられている。

その利用者とはJosh Chaddという人物で、GeekWireのインタビューで利用した旨を述べたそうだ(Business Insiderが報じている)。必要な材料とわかりやすいレシピの入ったSteak Au Poivre(ステーキ料理の一種)ボックスをオーダーしたのだとのこと。1、2週間前に商品情報が表示されたのだそうで、他にはTacos Al Pastorも掲載されていたとのこと。ちなみにChaddはAmazonFreshも利用しているそうだ。カスタマーレビューなどから判断するに、Amazon Meal Kitsは一部の利用者に対して6月末頃から提供されたらしい。

  1. 71bzh5j9wklsl1500.jpg

  2. amazonmealkit4-1260x556.jpg

Amazon Meal Kitsが画面に現れた利用者たちからの情報によれば、提供された食材メニューは17種類であった様子。価格は14ドル99セントから18ドル99セントあたりであったらしい。Chaddによれば、Blue Apron、HelloFresh、Sun Basket、あるいはHome Chefなどと同様のクオリティをもつサービスだと感じたそうだ。

これまでも噂はあったが、これによりAmazonが食材サービスに参入するのは既定路線となったといって良いだろう。Amazonはこれまでも、一部の利用者に対してのみ新しいサービスを提供して、しかる後に本サービスとするということを繰り返してきた。食料品を直ちに配送するAmazonFreshもやはり限定的なサービスとして始まったものだった。レジを利用しないショッピングサービスも、やはりごくわずかな利用者を対象に開始している。

Meal Kitsが、直ちに全米で利用可能になるというわけではないのだろう。AmazonFreshもサービス地域の拡大にはかなりの時間がかかった。それに一般のEコマースサービスと比べればさまざまな準備が必要になるサービスでもある。ただ、サービス拡大にそれなりの時間がかかる見通しであるにしても、たとえばBlue Apronなどにとっては脅威となるに違いない。ホールフーズ・マーケットを買収したAmazonは、既存ネットワークを活用したサービスの拡大を狙ってくるのだろう。

今後の動きについて、Amazonには質問を投げているところだ。いまのところはまだ回答を得られていない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Blue Apronの株価急落続く――食品通販の新規上場スタートアップに試練

先月株式上場を果たして以後のBlue Apronの日々は順調とは言いにくい。それでなくとも巨大な影を落とすAmazonが137億ドルでWhole Foodsを買収したことは生鮮食料品市場に大きな衝撃を与えた。一層芳しくないニュースが次々に報じられ、Amazonのライバルになるはずだったスタートアップは今や重大な危機を迎えている。

今日(米国時間7/17)、Blue Apronの株価はさらに10%下がった。上場以来、Blue Aproは不運と市場の不信に取り巻かれているようだ。Amazonはコマースと一見無縁に思えるAWSのような分野でも10億ドル級のビジネスを構築し、ゲームのライブ・ストリーミングを行うスタートアップを買収している。今月発見された商標登録の記録からすると、Amazonは精肉の宅配分野への進出も計画しているらしい。

Amazonがそういう計画を立てているなら、それには十分な理由がある。わずかこの数年でBlue Apronは年間売上8億ドルのビジネスとなり、2015の第1四半期には少額ながら利益を計上できた。新規事業への参入にあたって巨額の資金を費やしているとはいえ、Amazonのロジスティクスは完璧な科学の領域に近い。Amazonが生鮮食料品分野に強い関心を抱くのは論理的にみて必然だろう。Whole Foodsの買収後は、この目標達成へのハードルはますます低くなっている。

Blue Apronは上場にあたって売り出し価格を下げたが、それでも見通しは楽観的に過ぎた。Blue Apronが各地で投資家への説明会を続けている最中にAmazonはWhole Foods買収という爆弾を落とした。Blue Apronの上場という興奮は一気に冷水を浴びせられ、逆に巨大な疑問符が浮かぶこととなった。 最後に10ドルで上場されたものの、今日の株価は6.51だった。Blue Apron株はわずか数週間で価値の3分の1を失ったことになる。

Blue Apronは株式市場に対してAmazonのような巨大な通販帝国の一部に割り込んだ単なるニッチ企業ではないことを証明するという難事業に挑まねばならなない。株価の低下は変革を主張する「もの言う株主」を引き寄せるし、優秀な社員をつなぎとめる報酬設定にも悪影響を与える。前途は洋々だというイメージが維持できなければ社内の士気低下もあり得るだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonのプライムデー・セールス、Amazon Echo人気が圧倒的

今年のAmazonのプライムデー・セールスは「記録的」なものとなったようだ。30時間にわたって開催されたプライムデー・セールスでは、大幅に値引きされたEchoデバイスや、さまざまのメーカーからの各種プロダクト(Amazonの言葉を借りれば「何十万もの商品」)が大いに売れ、昨年のプライムデーを60%上回る、過去最高の売上を達成した日となったようだ。

「この機会にプライム会員を試してみて頂いている方々や、そしてもちろん以前からのプライム会員の皆様のおかげで、すばらしい1日となりました」とはAmazonのバイスプレジデントであるGreg Greeleyの言葉だ。「全世界のAmazon社員は、一層の努力でお得なプロダクトを提供できるように努力してまいります。プライム会員の皆様に、より一層の便利さないし快適さを提供していくことができるようになるはずです。気が早いのですが、来年のプライムでーも楽しみにしています」。

プライム「デー」と言いながら、セールス時間は1日よりも若干長かった。また、新たにプライムデー・セールスを提供し始めた国も3つあった。しかし、今年の大成功の要因はそうしたところにはないようだ。

情報筋およびAmazonの広報を通した発言によれば、今年のプライムデー・セールスを大成功に導いた要因はAmazon自らのEchoシリーズにあったようだ。ご存知だろうが、Amazon独自の人工知能であるAlexaを搭載したホーム・スピーカーだ。好みに応じたサイズが選べるように、バリエーションも増えている。

その中でも、断トツでもっとも多くを売り上げたのは、小さなEcho Dotであった。Amazonは詳細な販売数などを明らかにしないが、信頼できる情報筋によれば、Echoデバイスは「毎分数千台」のペースで売れたのだとのこと。この情報が流れたのち、Amazonも「アメリカ国内のプライムメンバーは、毎分6000台を超えるペースでオーダーしていた」旨を公表している。

プライムデー・セールスを終えた段階のアナウンスによれば「Amazon発のデバイスの中でもっとも売れたというだけでなく、Amazonが世界中で扱っている全プロダクトの中で最も売れた」とのことだ。

価格についていえば、オリジナルのEchoは50%の割引価格となる89ドル99セントで販売され、またDotも15ドルの値引きとなる34ドル99セントで販売された。Echoデバイスについては、取り扱っている各マーケットで同様の割引が行われていた。ちなみにEchoが現在サポートする言語およびマーケットはアメリカ、イギリス、およびドイツということになっている。

秘密主義のAmazonからの正式データではないが、プライムメンバーたち(遅ればせにお伝えしておけば、「プライムデー・セールス」は、Amazonの有料会員に向けたサービスだ)は、去年比で7倍もEchoデバイスを購入したのだそうだ。展開している13ヵ国にて、何千万もの利用者がAmazonアプリケーションを使って買い物をしたのだとのこと。

Echo Dot以外に、多くのAmazon発ハードウェアが購入されたのが、今年のプライムデー・セールスの特徴ともなっている。オリジナルのEchoは言うまでもなく、FireタブレットやKindleも記録的な売上となった。また、Alexa内蔵の激安4Kテレビも、「Amazonの歴史上、もっとも売れたテレビ」となるほどに売れまくったらしい。

アメリカ国内で他に売れたものといえば、たとえば圧力鍋、23andMeのDNAテストキット、WiFiスマートプラグなどが販売を伸ばした。ソニーのPlaystation 4も大いに売れ、国別にみれば以下のようなものが売れていたらしい。

  • スペイン:SANDISK USB3.0フラッシュ 64GB SDCZ43-064G (ULTRA Fit) 、Lenovo Ideapad 310
  • メキシコ:AmazonBasics Apple Certified Retractable Lightning to USB Cable、ニンテンドースイッチ
  • 日本:ザバス ホエイプロテイン、Happy Belly 岐阜・養老 天然水
  • イタリア:フィニッシュ 食洗機用洗剤 固形 タブレット、Caffe Vergnano 1882 Espressoマシン
  • インド:OnePlus 5スマートフォン、Seagate Expansion 1.5TB 2.5″ Portable USB 3.0ハードディスク
  • ドイツおよびオーストリア:PlayStation Plusメンバーシップサービス、ソーダストリーム
  • フランスおよびベルギー:PlayStation Plusメンバーシップサービス、ゲームオブスローンズ完全版Blu-Ray
  • 中国:Fisher Price Soothe and Glow Seahorse、『サピエンス全史』+『『A brief history of tomorrow』セット
  • カナダ:【全自動圧力調理器】 インスタントポット、Amazonベーシック AA Rechargeable Batteries

Amazonのプライムデー・セールスは、昔から行われていたセールス手法と同じだ。薄利多売により店の会員を増やし、よって売上を拡大することを狙っているわけだ。

消費者としては、商品をより安く手に入れることができる機会となり、Amazonにとっては規模の力で利益を増やす場として機能している。プライムデー・セールスによりどれだけのプライム会員が増えたのかは明らかにされていない。売上金額とならんで、どれだけのプライム会員が増えたのかが興味深いところだ。

膨大な数が売れたらしいAmazon Echoはまだまだ新しい商品ではある。かつてのフラフープのように、一時的なブームとして売れているのか、それともスマートフォンのように定着していくのかも注目に値するところだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Amazonの大セール、Prime Dayは7/10 18:00から

Amazonが3回目となるPrime Dayの内容の発表した。Prime DayはAmazon版のブラックフライデーセールで、そもそもは同社の創立20周年を記念して始められたものだった。Amazonは今年もPirme Dayを実施するとしていたが、日時や内容が発表されたのはこれが最初だ。

AmazonはPrime会員に向けて「セールでは何十万種類もの商品を用意しています」と呼びかけている。Prime会員は5分に1人の割合で増えているのだそうだ。このセールに参加するにはPrime会員でなければならないが、もちろん無料トライアルに参加することができる。

今年のセール期間は30時間で、太平洋時間では7月10日午後6時からスタートし、翌日まで続く〔日本では7/10(月) 18:00から7/11(火) 23:59まで〕。Prime Dayセールは中国、インド、日本、メキシコ始め13カ国で行われる。

昨年のPrime Dayはピーク時間帯にサイトが問題が発生したにもかかわらずAmazon史上、最大の売上を記録した

今年Amazonはカテゴリー別にセールを行う。ペット用品、テクノロジー用品、園芸用品などだ。これは過去のPrime Dayで消費者から「実際に購入して有利になる製品を見つけるのが難しい」という不満の声が上がったからだ。たとえ10万種類のセールが行われていても自分が望む品を見つけることができなければ無意味となる。

昨年の消費者の不満は、セールに出された商品に「品質が劣っているものがあった」、「誰も欲しがらないようなものがあった」などだ。これは大部分人力のキュレーションの問題というよりアルゴリズムが不適切だったためのようだが、消費者にとって不愉快な結果をもたらしたという点では同じことだ。

何十万というセールの中にはそうしたシステム上の問題が若干残っているかもしれないが、 Amazonでは「今年の目玉はテレビセットだ」としている。テレビやビデオを見るのは誰でも好きだし、これまでのブラックフライデーのセールでも中心的存在だった。まだ詳細は明らかににされていないが、4K、Ultra HD、 スマートTV、Amazon Fire TVなど「過去最大のテレビ・セール」になるという。

Amazonでは「記録的な在庫を確保している」としているが、ディスカウントのテレビ(その他のエレクトロニクス機器)は早々に売り切れるとなる可能性が高い。なるべくたびたびサイトをチェックして欲しいものを早めに探し出しておくことが賢明だ。

Amazonはまだ自社製品についてのセール情報を公開していないが、Kindle、Fireタブレット、Fireテレビ、Echoスピーカーなどもディスカウントされるのは確実だろう。昨年Amazonは「何十万台ものKindle」が売れたと発表している。またPrime Dayには普段の2.5倍のFire TVが売れたという。

〔日本版〕以下アメリカでのセール情報は省略。日本でのPrime Dayのページはこちら

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazon、衣服を試して気軽に返品もできる「プライム・ワードローブ」をアナウンス

アメリカのAmazonが、プライム会員向けに新たなサービスをアナウンスした。ファッション関連のサービスで、興味を引いたものをなんでもオーダーし、届いたものの中で気に入ったもののみを購入することができるというものだ。この新たなサービスの名前はプライム・ワードローブ(Amazon Prime Wardrobe)という。現在のところはベータ段階ではあるが、登録しておけば、サービス開始時に通知を受けることができる。

利用する際には、大人向けないし子供向けの、洋服・靴・アクセサリーなどの「ファッション」カテゴリーから3ないし15のアイテムを選択する。選択したアイテムは「ワードローブボックス」(Prime Wardrobe box)として送付される。まとめて送るにあたっての追加料金(ボックス費用など)はかからない。カルバンクライン、リーバイス、アディダス、セオリー、タイメックス、ラコステなどなど、ブランドも自由に選ぶことができる。

ワードローブボックスが届けば、7日間のうちに試着してみることができる。合わなかったり、気に入らなかったものは、送られてきたボックスに入れて送り返すことになる。返却用のボックスには、近くのUPSが発行したプリペイドラベルがついていて、集荷してもらったり、あるいは営業所に持ち込むことができる。ワードローブボックスで送られた商品の3ないし4つを購入すれば、購入金額は10%割引となり、5つ以上を購入するならば20%オフになる特典もついている。支払額はもちろん購入した商品についてのみで、追加の手数料などは一切かからない。プライムメンバーは追加料金なしで利用することができるのだ。

なお、これらの情報は「本日、Amazon Fashionはプライム・ワードローブをアナウンスしました。Amazonでのファッション商品購入に新たな魅力をもたらすものです。購入前に試してみることができるようになったのです」という、Amazonからの簡単なメールによりもたらされたものだ。

ファッション関連の商品が思った様子と違ったり、購入を後悔してしまうようなことはありがちなことだ。ZapposはAmazonが買収する前から返品システムを特徴のひとつとしてアピールしていた。Amazonは自らが揃える幅広いファッションアイテムについて返品システムを充実させることにより、より気軽に買い物を楽しめるようにしようとしているわけだ。送られた商品の多くを購入すれば、割り引くというサービスもおもしろい。利用者としては、少数のアイテムしか選ばない場合でも、UPSとのやり取り時間が増えるだけだ。comScoreのデータによれば、Amazonのファッションジャンルでの売上割合は、2013年の15.4%から2016年の17%に拡大中だとのことで、新たなサービスが大きな収益源として成長する可能性はある。

プライム・ワードローブと同様の返品サービスは、Stitch Fixなど多くのサービスが行なっていることだ。ただ、これまでの類似サービスに比べると、Amazonは(多くの男性がそうであるように)買い物に出かけるのがあまり好きでないという人をターゲットとして重視しているようだ。「おすすめアイテム」などを送って興味をもってもらうのではなく実際に関心をもったものを送るようになっている。ただ、プライム・ワードローブがうまくいくようならば、Stitch FixやTrunkClubなどのファンション関連アイテムのデリバリーサービスを買収して、サービス拡大に乗り出そうとするかもしれない。

とりあえずのところは、プライム・ワードローブの一番のウリはその簡単さにあるといえるかもしれない。手持ちのアイテムとちょっと違ったものが必要になった場合にも、Amazonの商品層の厚さや迅速な配達により、気になるものをすぐにオーダーしてみることができるようになる。気になったものの、結局気に入らなかったというような場合でも失うものは何もない。通販でファッションアイテムを購入することのリスクや面倒をできる限り減らそうとするサービスなわけだ。

「試着」が気軽ができるようになり、あるいはリアル店舗の魅力を薄めることにもなるかもしれない。自分に合わないものをオーダーしてしまっても気軽に返品できるわけで、Alexaを活用する幅も広がるかもしれない。

さらにいえば、プライム・ワードローブはAmazon Echo Lookとの親和性も高いものだといえる。全身写真で洋服の様子をチェックすることができるし、似合うかどうかをAIに判断してもらうStyleCheckアプリケーションなどを使って、購入判断をすることもできるだろう。すなわち、プライム・ワードローブはAmazonが扱うファッション関連サービスの拡大に大いに寄与するものとなる可能性もあるわけだ。

10年ほど前に、ジェフ・ベゾスは「2000億ドル企業になるためには、ファッションや食料品を充実させていく必要がある」と述べていた。すでに金額的には目標を上回っているわけではあるが、ファッション関連サービスを充実させることで、Amazonはさらなる成長を成し遂げようとしているわけだ。さらに、買収したWhole Foodsを活用して、ファッション関連アイテムの実店舗展開に乗り出すということもあるのかもしれない。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Amazonはフィンテックでも強大な勢力になるだろうか?、答はイエスだ

月曜日(米国時間6/19)に中国の深圳で行われたTechCrunchとTechNodeのイベイトで、Ernst & YoungのフィンテックリーダーJames Lloydが、Amazonは巨大テクノロジー企業だが、今後はフィンテックでもトップに立つだろう、と予言した。

Lloydによると、彼は、Amazonは今後ますます、決済と貸付とクレジットスコアの分野への進出を大きくしていく。“彼らは自分たちのエコシステムの便宜に寄与するものなら何でも手を出す”、と彼は語る。Loydは、Amazonと、Alibabaの系列企業Ant Financial(元Alipay)は立ち位置として似ている、と言う。

Amazonの最近の発表では、同社は昨年、小額貸付で10億ドルを貸し付けた。Lloydは、Amazonがこの分野に今後一層注力する、と予想している。“彼らは大量のデータを利用できる立場にいる。どこの誰が向こう3か月の在庫準備資金としてどれだけ必要としているか、彼らには分かるのだ”。

彼が訝(いぶか)るのは、Amazonの東南アジア進出の遅れだ。“彼らの中核ビジネスであるeコマースに大きな疑問が一つあるとするなら、それは、Amazonはアジアで何をしようとしているのか、だ”。

企業向けの振替決済サービスAirwallexの協同ファウンダーでCEO Jack Zhangは深圳のステージで、ビットコインは国際的な商取引における長期的な決済手段にならないだろう、と述べた。

彼は、ビッドコイン市場に十分な流動性がある、と信じていないし、また、その不安定性にも懸念している。“それが国境を越えた決済の未来の姿だとは、思われない”、と彼は語る。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazonの買収履歴一覧、Whole Foodsだけが異様に突出

Amazonが今日(米国時間6/16)、Whole Foodsを137億ドルで買収すると発表したが、これは同社のこれまでで最大の買収だ。

第二位はZapposの12億ドルだが、それは2009年という大昔だ。その後同社は、Twitchの約10億ドル、Kiva Systemsとその大量のロボットを7億7500万ドルと、大きな買い物がいくつかあったが、それらは今日のビッドとは比べ物にならない。でも、それも当然だ。大型食料品店グロサリーというモーレツに複雑なオペレーション、そしてそれを支えるロジスティックスというオペレーション、そのための物理的および人材的資産、全部合わせれば当然100億のオーダーにはなるだろう。

今日のWhole Foodsへのビッドで、AmazonはWalmartの互角のコンペティターになる。Walmartはその試合に備えて最近ネットショップのJetを買った。今朝は。Bonobosを3億1000万ドルで買う、とも言っている。でもAmazonの今回の買収は断然でかいから、Walmartを始めとするグロサリー小売企業の株価は軒並み急落した。Amazon自身にとっても、かつてなかったほど巨額の今回の買収は、同社がグロサリーの配達と、もしかして物理店の展開に対し、本気であることを示すのだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))