透明性の高いソフトウェアサプライチェーン構築を支援するCodenotaryが約14.2億円調達

開発チームが透明性の高いソフトウェアサプライチェーンを簡単に構築できるサービスを提供するCodenotary(オープンソースでイミュータブルで人気のimmudbの開発元でもある)は米国時間1月24日、Bluwat、Elaiaなどの新規および既存の投資家から1250万ドル(約14億2000万円)のシリーズBラウンドを調達したことを発表した。この新ラウンドにより、2021年7月に行われた550万ドル(約6億2000万円)のシリーズAラウンドを含め、同社の資金調達総額は1800万ドル(約20億2000万円)に達した。

Codenotaryは、以前Qumranetを共同設立したCEOのMoshe Bar(モシェ・バー)氏とCTOのDennis Zimmer(デニス・ジマー)氏によって設立され、DevOpsサイクルにおけるすべてのコンポーネントを識別・追跡できるよう支援する。つまり、サプライチェーンに対する攻撃やLog4jのような脆弱性がある場合、企業がこれらのライブラリがどこで使われているかを把握し、潜在的な被害の広がりを最小限に抑えることがはるかに容易になる。これらの情報はすべて、改ざん不可能な履歴システムを提供する台帳データベースであるimmudb上にあるため(ブロックチェーンを頼らずに)、ユーザーはこれらの情報を完全に信頼することができるはずだ。Codenotaryをソフトウェアのサプライチェーンに追加すると、サービスはそれに基づいて自動的に部品表を作成する。

画像クレジット: Codenotary

バー氏によると「私たちのミッションは、オープンソースでも、エンタープライズの内製でも、企業のどのようなアプリケーション開発でも、そのすべての成果物を信頼できるようにすることだ。会社を始めたときは、誰がどこを担当しているか、彼らがいつ何をしたかなど、すべての開発関連情報が安全で不正アクセスが起こり得ないことを目指した」という。当時、Codenotaryにはそのような要求を満たすデータベースがなかったので、チームがそれを自作した。バー氏によると、immudbはブロックチェーンから得られるものと同じような暗号検証を、はるかにパフォーマンスの良いデータベースの形で提供する。

 

「Codenotaryは、DevOpsサイクルにおけるすべてのコンポーネントを迅速に識別・追跡し、無数のアプリケーションの信頼性と完全性を回復するためのソリューションを提供しています」と、同社の初期投資家であるスイスのBluwat AGのシニアパートナーであるPascal Blum(パスカル・ブルーム)氏はいう。「Codenotaryの主要なイミュータブルデータベースであるimmudbと組み合わせることで、同社はこの新たな市場でリーダーの地位を獲得しています」。

現在、同サービスの顧客は100社を超え、そのほとんどを公表することはできないが、世界最大級の銀行も含まれていると同チームはいう。

CTOのジマー氏によると、Codenotaryの顧客の多くは、まずソフトウェアパイプラインにこのサービスを導入し、ソースから製品までのソフトウェアの出所を証明できるようにする。その顧客層は、小規模なソフトウェア開発会社から大規模なERP企業までさまざまで、例えば、新しいリリースにかけた品質保証作業を公開したり、自社のソフトウェアを使用する外部顧客に部品表を提供するために、このサービスを利用することが多いと、同氏は指摘している。バー氏が付け加えたように、こうした問題を最前線で考えているのは、金融機関や政府機関であることが多い。

Codenotaryは、今回の資金調達により、製品開発を加速させ、マーケティングと販売を世界的に拡大する計画だという。

画像クレジット:boonchai wedmakawand/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、パンデミックの影響を受け続ける一部デベロッパーに対してアプリ内購入免除の特例措置を再度延長

パンデミックはまだ終わっていない、とAppleはいう。同社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためにバーチャル開催を強いられた一部サービスのための、アプリデベロッパーがアプリ内購入システムを回避することを認めるというCOVID時代のApp Store猶予措置を再び延長した。具体的にAppleは「有料オンライングループサービス」を提供するアプリはアプリ内購入を利用しなければならないとするApp Store Reviewガイドライン3.1.1の適用を引き続き延期する。

影響を受けているデベロッパー(元来のビジネスモデルが、バーチャルではなく、対面イベントを中心に作られていた)は、パンデミック中、アプリ内購入を使用しなくてはならないというAppleの要件に従わずにすんでいる。

当初Appleは,1対1のサービスに限りアプリ内購入要件を免除した。医者と患者による医療相談や、教師と生徒の個人指導、不動産屋と顧客の物件ツアー、トレーナーと顧客のフィットネストレーニングなどだ。しかしAppleはその後すぐ、グループサービスのイベントから手数料の徴収を続けることは世界的パンデミック下で小企業に害を及ぼすとMeta(Facebook)から批判された

もちろんFacebookには別の思惑があった。自社の決済システムで手数料を免除していたFacebook Pay(フェイスブック・ペイ)を、Appleのアプリ内購入の代わりに使うことをAppleに認めさせたかったのだ。一時的にせよ、Appleがそれを認めれば、Facebookは何千何万人のユーザーを自社の決済エコシステムに引き込むことができる。

そうではなく、Appleは自社の手数料をオンライングループサービスに対しても一時的に免除した。オンラインセミナーやグループ・ヨガクラスなど、1対少人数や1対多人数のイベントも含まれる。これによってAppleは、パンデミックの打撃を受けている小企業から利益を上げているというMetaの批判に答え、かつFacebook Payには何の利益も与えない。

しかしパンデミックが長引くにつれAppleは、猶予期間が過ぎて対象企業がAppleのアプリ内購入システムに戻る期限を延期せざるを得なくなった。2020年11月、Appleは猶予期間を2021年6月までに延長した。そして2021年4月、同社は期限を2021年12月31日まで延期した。2021年11月、Appleは期限が迫っていることをデベロッパーに再通知した。

悲しいかな、オミクロン株の影響によってAppleは再度期限を延ばすことになった。

現在同社は、対象デベロッパーは2022年6月30日まで、Appleのアプリ内購入システムに戻ることを猶予されるとしている。この日は、失った収入源を取り戻し始められることが確実だとAppleが期待している日付に違いない。

さらに同社は、アカウント作成が可能なアプリ内にアカウント削除機能を実装する期限も延長したことを示した。「この要件の実装の複雑さ」が理由だ。つまり、もともと時間がかかり実装が困難な変更が、店舗の閉鎖や新型コロナによる従業員の病休や子どもの家庭でのバーチャル授業などによって、いっそう大変になっているということだ。

この延長は、先週末Appleのデベロッパーサイトの投稿で静かに発表された。それはAppleのアプリ内購入ビジネスモデルがさまざまな角度から攻撃されているさなかだった。同社のEpic Games(エピックゲームズ)と裁判は現在上訴中であり、つい最近オランダ規制当局からは、デベロッパーのサードパーティー決済に自社のアプリ内購入インフラストラクチャーの使用を強制していることは反トラスト法に違反しているとして罰金を課された。さらに同社は、最近韓国でもアプリ内決済をめぐる同様の規則に従わざるを得なかった

関連記事:オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

グーグルの「欺瞞的」なユーザー位置情報追跡をめぐりワシントンD.C.などが提訴

米国時間1月24日、ワシントンD.C.、テキサス州、ワシントン州、インディアナ州は、ビッグテックに対する最新の訴訟を発表した。この訴訟は、ユーザーがその種のトラッキングが無効になっていると信じていた場合でも、Google(グーグル)は位置情報を収集してユーザーを欺いたと主張している。

ワシントンD.C.の検事総長Karl Racine(カール・ラシーン)氏は「Googleは、アカウントやデバイスの設定を変更することで、顧客が自分のプライバシーを保護し、同社がアクセスできる個人データをコントロールできると、消費者に誤って信じ込ませました」と述べている。「実際にはGoogleの説明に反して、同社は組織的に顧客を監視し、顧客データから利益を得続けています」。

ラシーン氏は、Googleのプライバシー慣行を、消費者のプライバシーを損なう「大胆な虚偽表示」と表現した。同氏の検事局は2018年、ユーザーが位置情報を保存しないと明示されたプライバシーオプションを選択している場合でも、iOSおよびAndroidの多くのGoogleアプリが位置情報を記録していることが判明したとAP通信が報じたのを受けて、Googleがユーザーの位置情報をどのように扱っているかを調査し始めた。AP通信は、プリンストン大学のコンピュータサイエンス研究者と連携して、その調査結果を検証した。

「この件に関するGoogleのサポートページには、次のように書かれている。『ロケーション履歴はいつでもオフにできます。ロケーション履歴をオフにすると、あなたが行った場所は自動的に保存されません』」とAPは報じた。「しかし、それは事実ではない。ロケーション履歴を停止した状態でも、一部のGoogleアプリでは、タイムスタンプ付きの位置情報が許可なく自動的に保存されている」。

この訴訟では、Googleが、ユーザーがオプトアウトすることが不可能な位置情報追跡システムを構築したこと、Androidのアプリ内およびデバイスレベルでのプライバシー設定によるデータの保護方法についてユーザーに誤解を与えたことを主張している。また、Googleは、ユーザーの利益に反する選択をさせるために、欺瞞的なダークパターンデザインを用いたとしている。

このような行為は、消費者を保護する州法に違反している可能性がある。ワシントンD.C.では、消費者保護手続法(Consumer Protection Procedures Act、CPPA)により「広範囲にわたる欺瞞的で非良心的なビジネス慣行」が禁止されており、検事総長が執行している。

ラシーン氏のD.C.検事局は、Googleに対する差止命令を求めるとともに、プライバシーに関して消費者を欺いて収集したユーザーデータから得た利益の支払いを同社に求めている。

関連記事:グーグル、広告ビジネスをめぐるテキサス州の反トラスト法訴訟で棄却を要請

画像クレジット:Alex Tai/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Aya Nakazato)

ビジネス向け保険の仲介を手助けするSayataがシリーズAで約39.8億円を追加調達

Sayataの創業者、アヴィシェイ・マヤ氏、アサフ・リフシッツ氏、イダン・ゴロン氏(画像クレジット:K Rifkind)

保険仲介業者であり、保険会社のマーケットプレイスであるSayata(サヤタ)は、2021年8月に1700万ドル(約19億3400万円)の資金調達を行った後、シリーズAに向けて3500万ドル(約39億8300万円)の追加資金を調達した。

今回のラウンド延長は、Pitango Growth(ピタンゴ・グロウス)とHanaco Ventures(ハナコ・ベンチャーズ)が共同主導し、これまでの投資家であるTeam8 Capital(チーム8・キャピタル)、Vertex Ventures(バーテックス・ベンチャーズ)、Elron Ventures(エルロン・ベンチャーズ)、OurCrowd(アワークラウド)が参加した。

ボストンを拠点とする同社にとって、2021年の10倍を超える収益成長に続く新たな資金調達となる。2年前に設立された同社は、中小企業が保険を確保するための手段を提供している。

保険を確保するために、これら中小企業は通常、保険会社に直接行くのではなく、保険仲介業者を経由すると、Sayataの共同創業者兼CEOのAsaf Lifshitz(アサフ・リフシッツ)氏はメールで教えてくれた。

「上記のプロセスは、より時間がかかり手作業です」とリフシッツ氏はいう。「ビジネス保険の確保は、仲介業者の1日の大半を占めます。見積書を集め、顧客がそれを理解するのを助け、申請書を処理し、保険会社と何度もやり取りして補償を確定するのに何時間も費やされます」。

その代わりに、Sayataは、仲介業者が入力したビジネスに関するいくつかの情報に基づいて、主要な保険会社から複数の保険の見積もりを提供する、完全に自動化され、オンラインで行われるマーケットプレイスを開発した。これらの見積もりは、保険プランに関するカスタマイズされた参考資料とともに、保険の選択と確保をするために企業に転送される。

このアプローチにより、Sayataを利用する仲介業者は、より多くの、より良い補償オプションを顧客に提供することができ、リクエストに迅速に対応することができるようになる。リフシッツ氏によると、このような簡単なプロセスにより、顧客はSayataのパートナー仲介業者が提供する保険に加入することが多いとのことだ。

現在、Sayataは100以上の仲介業者や保険会社のパートナーから、1000人以上のユーザーを抱えている。同社はAxis(アクシス)、Brit(ブリット)、Hiscox(ヒスコックス)、Tokio Marine(東京海上)などの保険会社や、At-Bay(アットベイ)、Coalition(コーリション)、Cowbell(カウベル)、Corvus(コルヴス)の大手技術系総代理店と提携している。

同社は、リフシッツ氏、Avishay Maya(アヴィシェイ・マヤ)氏、Iddan Golomb(イダン・ゴロン)氏によって2017年に設立されて以来、合計6000万ドル(約68億3400万円)を調達している。今回の追加資本により、同社は2021年同時期の17名から47名へと人員を増強することができる。

また、リフシッツ氏が米国内だけで1000億ドル(約11兆3900億円)以上と推定している、中小企業向け保険市場をさらに開拓することも可能になる。

「中小企業向けの商業保険をより良い方法で確保したいという市場の要望は多いです。現在、同社は主にサイバー保険をプラットフォームで提供していますが、当社の顧客からは、Sayataのプラットフォームにもっと多くの保険種目を追加して欲しいという要望が特に寄せられています。今回のラウンド延長は、その需要に応えるために新しい保険種目をより早く拡大するためのすばらしい方法です」と同氏は述べている。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

「ノーコード」ブームの継続を感じさせるSoftrのシリーズA資金調達

テクノロジー系市場では数年前、ローコードやノーコードのアプリケーションやサービスの増加について議論があった。世界的に開発者の人材が不足していることもあり、より簡単にソフトウェアを作成できるようにするためのソフトウェアの開発が進んだが、ノーコードやローコードの開発ツールは、新たにエキサイティングな技術的負債を増やすための非常に優れた方法に過ぎないと考える人もいた。

しかし、ここ1年ほどはそんな議論も影を潜め、技術者ではない人々に力を与えるローコードの可能性を十分に備えた製品を開発している企業は、順調に成長していることに気づいた。

Softr(ソフター)はその好例で、同社は先日、シリーズAラウンドで1350万ドル(約15億円)の資金を調達したことを発表した。TechCrunchでは2021年初頭に、Softrが220万ドル(約2億5000万円)の外部資金を集めたシードラウンドを実施したことを報じている

関連記事:ノーコードでAirtableを利用したウェブサイト・アプリの作成を簡単にするSoftrが2.3億円調達

今回のシリーズAラウンドは、FirstMarket Capital(ファーストマーケット・キャピタル)が主導し、テクノロジー業界から多くの個人が参加した。筆者は少し前にこの案件の気配を、Box(ボックス)やGlossier(グロッシアー)に在籍していたAshley Mayer(アシュレイ・メイヤー)氏から聞いていた。前回、Softrに出資したAtlanticLabs(アトランティックラボ)も、同社のシリーズAに参加している。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップ企業は、顧客がAirtable(エアテーブル)のデータベース上に簡単にアプリを構築できるようにするプラットフォームを提供している。しかし、同社は現在の任務にとどまらず、かなり大きな野望を持っている。

TechCrunchは、SoftrのMariam Hakobyan(マリアム・ハコビアン)CEOとのインタビューで、同社がそのソフトウェアを使ってアプリを作成するために利用できるデータベースの種類を増やす予定であることを知った。また、同社ではコンポーネント(Softrができることを公式の機能よりも拡張するためのもの)とテンプレート(我々の理解では、箱から出してすぐに使えるアプリ)の両方のマーケットプレイスを開設することも計画しているという。

ハコビアン氏によれば、Softrはやがて1つのエコシステムになることを目指しているという。Googleスプレッドシートやその他のデータソースのサポートを追加することは、その取り組みに役立つだろう。

同社では、ノーコードのサービスが「ただ引き継がれていくだけ」で、同社はその下流に向かって泳いでいると考えていると、ハコビアン氏は語る。

ハコビアン氏は、現在のソフトウェア市場において、なぜノーコードサービスや、さらにいえばより一般的なローコードサービスが好調なのかということに関して、いくつかの傾向を挙げている。1つ目は、需要に見合うだけの開発者が市場にいないということ。これはよく理解されている。彼女のもう1つの主張は、世代論的なものだ。ハコビアン氏によると、Z世代はそれ以前の世代に比べて技術的な知識が豊富で、伝統的な本業を確保することにはあまり興味がなく、自分でツールなどを作る方法を探しているという。

Z世代がノーコードを促進させるというのは、理由をはっきり指摘できなくても、頭では理解できる。次の四半期に向けて注目していきたい。

次に、市場におけるSoftrの実績について見ていこう。この会社は製品を市場に投入してからまだ日が浅いので、前年同期比の成長率を厳しく評価することは難しいが、初期のデータをいくつか紹介すると、同社の登録ユーザー数は現在3万人で、有料会員数は1000人を超えているという。同社の主な顧客は、中小企業であることを明らかにしている。これは、現在の競争が激しい開発者市場に、中小企業ではなかなか手が出せなくなっていることを考えると、理に適っている。

Softrがどれだけ早く自社サービスにより多くのデータソースを追加できるか、そして計画中のマーケットプレイスをどれだけ早く展開できるかに注目したい。Softrがエコシステムになるかどうかは、その時点で市場が決めることだろう。

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

オランダ当局がアップルに約6.4億円の罰金、出会い系アプリの独占禁止法違反で

オランダの競争当局は、同国の出会い系アプリがサードパーティの決済技術を利用できるようにするよう求めた命令に従わなかったとして、Apple(アップル)に500万ユーロ(約6億4000万円)の罰金を科した。

来週までに当局が求める要件を満たさなければ、同社はさらに500万ユーロの罰金が科される可能性があり、その後も毎週、数カ月にわたって、この命令に関連して最大5000万ユーロ(約64億円)の罰金が課される可能性がある。

この罰金は、オランダの監視機関である消費者・市場庁(ACM)が2021年に出した命令に関連するものだ。当局はAppleが独占禁止法に違反していると判断し、出会い系アプリプロバイダーに押し付けている条件を見直すよう命じていた。

独占禁止法上の問題となっているのは、デジタルコンテンツの販売にApple独自のアプリ内決済インフラ(別名IAP API)を使用することを義務付けるApp Storeの規約で、AppleはこのAPIを通じて手数料を徴収している。

Appleの規約では、出会い系アプリが代替決済システムを利用することも禁止している。

当局は、出会い系アプリがアプリ内で他の支払い方法に言及することをAppleが禁止していることも問題視した。

ACMは1月24日、Appleが命令に従っておらず、出会い系アプリに関する規則を命令に沿うよう修正しなければならないと発表した。

「出会い系アプリのプロバイダーがApp StoreでApple以外の決済システムも利用できるようにしなければならない。加えて、出会い系アプリのプロバイダーは、アプリ外の決済システムを参照できなければならない」と発表にはある。

現在も続くAppleの違反の全容は、明確に述べられていない。しかし、重要なのは、Appleが求められていることをまだ行っておらず、実際に出会い系アプリのプロバイダーが他の決済システムを利用できるようにしていないことのようだ。

オランダ当局はまた、出会い系アプリのプロバイダーがApple以外の決済インフラを利用することを難しくするためにAppleが構築したと示唆する障壁を批判している。

「Appleはいくつかの点で要件を満たしていない」とACMは書いている。最も重要なのは、Appleが条件を見直さなかったことであり、その結果、出会い系アプリのプロバイダーはいまだに他の決済システムを利用できないでいる。現時点では、出会い系アプリのプロバイダーは、単に「関心」を表明することしかできない。

「加えてAppleは、出会い系アプリのプロバイダーがサードパーティの決済システムを利用することに対して、いくつかの障壁を設けた。これもACMの要求と相反する。例えば、Appleはアプリプロバイダーに対して、アプリ外の決済システムを参照するか、代替の決済システムを参照するかの選択を迫っているようだ。これは許されない。プロバイダーはどちらの選択肢も選ぶことができなければならない」。

ACMは2021年に下した決定で、出会い系アプリに対する条件を修正する必要があるとAppleに伝えた。しかし、TechCrunchが報道したように、Appleは差止命令を求め、命令への対応を遅らせることに成功した(命令の一部はまだ封印されたままだ)。

また、同社はこの命令の適用を1月中旬まで遅らせることもできた。

Apple以外の決済インフラで処理されたデジタルコンテンツの販売について、同社はオランダの出会い系アプリから依然として手数料を徴収する意向があることが先週明らかになった。開発者向けサポートノートには「ACMの命令に従い、リンクアウトまたはサードパーティのアプリ内決済プロバイダーを使用する資格を与えられた出会い系アプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払う」と記されている。

本稿執筆時点では、その主張はAppleの「StoreKit External Purchase Entitlement」(ACM命令に言及している)に関する投稿にまだ掲載されている。そして、封印されたままの命令の一部は手数料に関係している可能性がある。しかし、詳細を確認することはできていない。

Apple以外の決済システムを使用するアプリにも手数料を課すことができるというAppleの主張について、TechCrunchは先週ACMに問い合わせたが、当局の広報担当者は回答を却下した。「裁判所が支持し、公表を許可した命令の部分しか言及できない」とのことだ。

一方、Appleのサポートサイトは、Apple以外の決済手段を導入するための明確なプロセスを提供する代わりに、関心のあるデベロッパーに「developer interest form」を紹介するにとどまっている。

説明文も「間もなく」詳細情報が提供される、という曖昧な表現にとどまっている。

オランダの出会い系アプリが代替決済手段を導入するための手続きの実装遅れによってAppleに500万ユーロの罰金が発生した(そして増えている)。

もちろん、数百万ドル(数億円)の罰金、あるいは5000万ユーロ(約64億6000万円)の罰金でも、Appleは騒ぎはしないだろう。

しかしいま、App Storeの規約に対する複数の競争法上の苦情や調査はAppleにとってはるかに大きな懸念となっている。これらはアプリ内課金で徴収する手数料を攻撃していて、EU英国アジア米国ではデベロッパー向けの契約条件について当局が調査し、命令が出されているところもある。

短期的には、そして(または)AppleがApp Storeの競争に関する苦情をなくすような実のあるグローバルな競争改革の提案をしない場合、各市場 / 地域の規制当局がAppleの規約の評価に注意を向けるため、iOSアプリ開発者のための規制のパッチワークが迫っている。

差し当たり、iOSアプリの競争と価格設定に関する消費者と開発者の勝利は、しぶしぶもたらされる可能性が高く、苦労して勝ち取るもののようだ。

しかし、Appleの契約条件の事前規制は現在多くの市場で検討されており、その明確な目的は、行動修正を加速させることにある。つまり、故意に遅らせるという戦略は、将来的にもっと高くつくことになりそうだ。

ACMの罰金についてAppleにコメントを求めている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学は1月21日、自動運転AI開発に不可欠な教師データ作成のため開発した3次元アンノテーションツール「Automan」について、オープンソースソフトウェア(OSS)として公開した(GitHub)。ライセンスはApache License 2.0。これは、アンノテーションツールの開発を行うFastLabelAutowareの開発をリードするティアフォーの子会社Human Dataware Lab.との共同研究によるもの。自動運転領域でのAIの研究開発を加速させる。東京大学・FastLabel・Human Dataware Labが自動運転用3次元アンノテーションツールAutomanをOSSとして無償提供

東京大学大学院情報理工学系研究科の加藤真平准教授を中心とする研究グループは、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業「完全自動運転における危険と異常の予測」において、完全自動運転中の危険と異常について、理論と実践の両面から実用的課題に取り組んでおり、そこには、機械学習技術に人間並みの判断を求めるよりも、危険や異常を感知したらすぐに停止することのほうが社会的な価値は高いとの理念があるという。そんな彼らは、限りなく100%に近い精度で危険と異常を予測し、最小限の移動量で安全に停止できる自動運転システムのプロトタイプを完成させた。

この成果を普及させるには、第三者が研究成果を再現できることが重要だが、それには自動運転システムのAI基盤が必要、またそれを構築するには高品質な大量の教師データが欠かせない。ところが現在、そうした教師データの作成はマンパワーに頼った労働集約型で行われているため、教師データ不足や品質の問題が発生し、自動運転AIの研究はなかなか進んでいないのが現状だ。

そこで研究チームは、FastLabelが提供するアンノテーション・プラットフォームFastLabelと連携し、自動運転AIが用いる画像と点群のデータへのアンノテーションの自動化に取り組み、今回AutomanをFastlabelおよびHuman Dataware Lab.と共同で開発。OSSとして公開するに至った。

また同研究では、3次元アノテーションを自動運転システム全体のCI/CD(Continuous Integration / Continuous Delivery)に組み込めるインターフェースを設計したことで、自動運転AIの開発サイクルを改善することを可能としたという。

今後は、外部からの攻撃に備えるため、脆弱性に対する研究を進めつつ、「走れば走るほど賢くなる自動運転システム」を目指して、自動運転の実用化を加速するという。

コロナ禍での友達同士の出会いを支援するアプリ「Flox」がNYの大学生に人気

新成人の困難に勝るものはないが、ロックダウンの中、人格形成期を過ごした大学生の年齢のZ世代にとって、有意義な友達づくりはさらに難しくなる可能性がある。パンデミック中はコロンビア大学のリモート授業に参加していたJamie Lee(ジェイミー・リー)氏は、この隔離がいかに同級生、特にクラスメイトと一度も顔を合わせることなく通学する2~3年生に影響したかに気づいた。

「ミドルスクールでInstagramをダウンロードしてから、オンラインで常に私自身を個人として表現してきましたが、オンラインでリアルに自己表現するのをとても不安に感じました」と、リー氏はいう。「『それじゃ、どうやってみんなとリアルにつながる方法を探そうか?』という考えを受け入れたかったのです。そして一番リアルな存在である友人と一緒に行うのが最善策だと思いました」。

2020年夏、リー氏はFlox(フロックス)のノーコードのベータ版を立ち上げた。人々が会うのを助けるアプリである。プロフィールを作成してマッチするTinder(ティンダー)、Hinge(ヒンジ) 、Bumble(バンブル)のようなもので、グループとしてサインインしてから他の友人グループとつながるだけでよい。

「利用者からはオンラインで体験したものの中で一番楽しいとのフィードバックをもらいました。私にとってはターニングポイントでした。これはとても本気のものになり得る、これをやるなら今だと思いました」とリー氏はいう。

そうして彼女はアプリに全力を挙げるため、コロンビア大学卒業まであと1年を残して中退した。

画像クレジット:Flox

2021年2月、リー氏と2人のフルタイム勤務のエンジニアは(彼女のチームの範囲では)約250人の利用者を対象にアルファテストを実施し、ニューヨークシティだけで学部生と最近の卒業生にプライベートなベータテストを開発した。これまでに順番待ちの利用者は2万人に達したが、リー氏は2021年11月頃にFloxを順番待ちしている大学生の年齢のニューヨーカーにも公開し始めると述べた。後に他の都市にも拡大する。さらに、FloxはHoneycomb Asset Management (ハニーコムアセットマネジメント)が主導しBBG Ventures(BBGベンチャーズ)とBanana Capital(バナナキャピタル)が参加した120万ドル(約1億3662億円)の資金調達ラウンドを終えた。

「正直なところ、最初のラウンドは驚くほど難しかったです。私はプエルトリコ人であり中国人です。当時21歳で、これに関する経歴もないし、コロンビアも退学しました」とリー氏は述べた。「こういう会話に入る上で、そもそもみなさんから私に関するご意見があるに違いないと思います。ピッチミーティングではもっとZuck(ザック)のようになれと言われました」。

リー氏は彼女自身の年齢層の人々のためにプラットフォームを開発する創設者として、賢いやり方でアプリを市場に出した。利用者にはリアルに感じて欲しいと考えた。そこで、TikTok(ティックトック)利用者でもあるオーディエンスに会い、アプリの販促用の動画を投稿したところ三つの投稿で閲覧数は180万回とバズった。

「トイレにも1人で行けないのに」リー氏はあるTikTokでいう。「なぜ1人で出会いアプリを使っているの?」。

@jamietylerlee

WELCOME TO FLOX. Waitlist early access in bio #startup #entrepreneur #app #friends #dating #fyp #selfimprovement #watchmegrow #tech #foryou

♬ original sound – Jamie Lee

Floxはグループ基準のソーシャルネットワーキングを試みる初のアプリではない。Tinderは友人とグループに参加し、他のグループとマッチする機能を持つTinder Social(ティンダーソーシャル)にこのアイデアを反映していた。しかし2016年の前途多難なスタートのあとたった1年ほどでこの機能は終了した。不注意にも、自身の連絡先からTinderのアカウントを持っている人を特定できたからである。リー氏は、Tinder SocialがうまくいかなかったのはTinderがすでに出会い(ナンパ)アプリとしてのブランドを確立していて、利用者1人がそのプロフィールを持っていると、同じバージョンの自分を友人やデート相手となる可能性がある人に見せることになったからだと考えている。

「個人に焦点を当てることはやめたいと考えています。それはデートを指すからです」とリー氏。「グループのアイデンティティを受け入れたいと思います。そうすればフロックは『アパートメント11』と呼ばれるかもしれません。グループを構成している人々よりも、誰がグループを立ち上げているかを見られます。強調されることを入れ替えているのです」。新たな人に会うことに焦点を置きながら、リー氏はFloxのグループ(フロック)を作る友人同士も近付くことを望んでいる。

Bumbleも出会いアプリとして始まったが、友達を作りビジネスパートナーを見つけるモードもある。リー氏は、Bumble BFF(バンブルBFF)をFloxのインスピレーションとして言及するが、彼女がアプリを使用したとき、ほとんどの人が新しく友達を作るよりもルームメイトを探しているように見えた。

画像クレジット:Flox

「Z世代は最も孤独で、不安で、落ち込んだ世代です。友人が必要な人はとてもたくさんいます」。リー氏は述べた。「しかし、『一対一の友情アプリを使用すること』にともなう社会的スティグマがあります。不運にも、一対一で友達を探すとき、相手や、あなたがBumble BFFを使用していることを知っているかもしれない誰かに、あなたが友人がおらず、希望する立ち位置に自らを置いていないことを示唆することがよくあります。そのため、私達のFloxの目標は、より快適に、安全に、楽しくすること、そして友人探しの裏にある社会的スティグマを取り除くことです」。

このアプリは、人は現在の友人に無視されると、新たな人と会うことを最も心地よく感じるというリー氏の仮説に依存する。しかし集団力学によって安全の層が新たに備わる。Floxは出会いアプリではないが、リー氏は一部の人がその目的でアプリを使用することを知っている。しかし、グループの中の人と出会うことで、他人と一対一で会うことにつきまとうリスクの軽減に役立つ可能性がある。

「2~3年前に住んでいた街で、出会いアプリで散々な目に遭いました。私はその出来事を報告しましたが何も措置が取られず、そのプラットフォームでは守られている感覚を得られませんでした」とリー氏はいう。「2020年、利用者と初めてお話ししたとき、利用者は『出会いアプリで他者に会うのは不安。一対一では安全ではないと感じるから。』と言っていました。そのため、私達はもっと心地よく、安全に人と会えるこの環境を提供したいのです」。

Floxの最近のシードラウンドにより、リー氏はアプリを構築し、利用者をどんどん増やし続けることを願っている。同時に、アプリ体験が既存の利用者にとって肯定的でリアルな物であり続けるよう慎重に進めたいとしている。

画像クレジット:Flox

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

友だちと写真をホーム画面で共有できるアプリ「Locket Widget」、米App Store上位にランクイン中

新ソーシャルアプリLocket Widget(ロケットウィジェット)が、1月10日あたりから米App Storeのチャートで上位に躍り出ている。このアプリは、iOSのホーム画面のウィジェットに友人のライブ写真を表示するという巧妙なものである。つまり、通常ならニュースや天気、励みになる格言、iPhoneギャラリーからの写真などが表示されるAppleのウィジェットシステムを、プライベートなソーシャルネットワークプラットフォームにしてしまうのだ。

Apple Worldwide Developer Conference(アップル世界開発者会議)の学生奨学金受賞者で、カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業したばかりのMatt Moss(マット・モス)氏が考案したこのアプリ。Hawkeye Labs(ホークアイ・ラボ)というユーザーリサーチとテストのためのプラットフォームを構築していたときに思いついたものだという。

Locketはもともと個人的なサイドプロジェクトであり、メインフォーカスではなかったと同氏は認めている。

「2021年の夏、彼女の誕生日プレゼントとして作ったものです。彼女は秋には学校に戻る予定で、遠距離になってしまうところだったため、自分のホーム画面に彼女の小さな写真が表示できれば、繋がりを持つという意味でも良い方法だなと感じたのです」。

1〜2週間でこのアプリを作り上げた同氏は、その後半年間にわたって恋人と1日平均5枚の写真を送り合うなど、かなり頻繁にアプリを使用した。Locketでは送受信した写真が履歴に残るため、写真を振り返って見る楽しみもある。

やがて2人の友人たちがこれに気づき、自分たちも恋人や家族、友人同士で使いたいと言い出したため、モス氏はLocketをApp Storeで一般公開することにした。

元旦に発表されて以来、今朝の時点での登録ユーザー数は200万人を超えている。Apptopia(アプトピア)のApp Storeのデータによると、米国時間1月9日の時点でLocketは米国のApp Storeで総合1位となり、その前日にはソーシャルネットワーキングアプリ部門で1位となっている。Apptopiaの報告によると、これまでのところ全世界でのインストール数は約100万で、そのうち約31%が米国からのものだという。ただしこのデータは1月11日までのものである。

Locketが急速に普及したのは、TikTok(ティックトック)のおかげだとモス氏は考えている。Locketの企業アカウントに動画を公開し、アプリを実際に使用している様子をアピールした結果、同氏の動画はわずか数日で10万回もの再生回数を記録。その後、他のTikTokユーザーも、同アプリとLocketのオリジナルビデオで使用されたカスタムサウンドを使った独自のコンテンツを作り始めたのである。

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その結果、同アプリは若いTikTokユーザー層の間で爆発的に広がった。実際、英国のTikTokユーザーが作ったある動画は、1日で500万回再生を突破したとモス氏は話している。

アプリ開発者がローンチ時にTikTokを活用してインストールを促進するというのはよくあることだが、同アプリでは有料のインフルエンサーを起用してのマーケティング活動は一切行われておらず、またTikTokなどで有料広告を出したこともないとモス氏は伝えている。

TikTokでの露出のおかげで、現在LocketはiPhoneの無料アプリチャートで1位を維持しており、またアーリーアダプターらがアプリをダウンロードするよう友人たちにも呼びかけたため、さらなるインストール数を獲得し続けている。

アプリの利用を開始するには、App StoreからLocketをダウンロードした後、電話番号の認証とサインアップが必要だ。

するとアプリがiPhoneの連絡先とカメラへのアクセスを要求してくるのだが、理想的にはアドレス帳へのアクセスなしで、独立型の招待システムから友人を招待できるようにすることができたら、よりプライバシーに配慮したアプローチとなるだろう。アプリをより使いやすくするためにもこの仕組みの変更を検討しているとモス氏は話しているが、Locketが連絡先を保存したり、電話番号を使って自動的に招待を送信したりするようなことはなく、友人に送るテキストをカスタマイズできるiMessageのウィンドウがポップアップ表示されるだけだという。

しかし、連絡先を取り込むという要求を拒否した場合、アプリがまったく使えなくなるということが判明した。

Locketで友達を招待して追加したら、iOSのホーム画面に同アプリのウィジェットを追加する。友人が画像を追加するたびに、それが自分のウィジェットに表示される。逆も同様で、アプリを起動して自分の写真を追加すれば、いつでも友人のウィジェットに送ることができる。

画像クレジット:Locket

このアプリは、ただこれだけのことなのである。派手なカメラフィルターやエフェクトはなく、Camera Rollから画像をアップロードすることもできない。最大5人までの友人や恋人と、写真をリアルタイムで共有するためだけに設計されているのである。

App Storeでトップの座を掴んだモス氏は現在、次のステップを検討中だ。サブスクリプションモデルの導入、ウィジェットの追加の他、いずれはAndroid版もサポートする予定である。外部からの投資を受けるかどうかはまだわからない。

「いろいろと検討しています。どうなるか楽しみです」と同氏。

しかし同氏は、Locketは現在の写真ウィジェットという体験を超えていく可能性もあると考えている。ユーザーが今後より多くの写真を共有することで、時間をかけてアプリ内の機能も成長していくのだろう。

「親しい友人や家族だけの空間というのは、かなり有意義なものだと感じています。特に若い人たちは、広告中心、指標中心のアプリに少し疲れているようです」。

「Instagram(インスタグラム)で1000人の友だちがいたり、Snapchat(スナップチャット)で100人の友だちと画像を送ったりしなければならなかったりと、アプリの巨大なソーシャルサークルにはまってしまい、結局は疲れきってしまうのです。そのため5人、10人の親しい友人だけに向けたものを作り、スマートフォンをアプリではなく人のための、よりパーソナルなものすることができれば、そこには大きなニーズが存在すると感じています」。

ウィジェットでの写真共有エクスペリエンスを提供しているのはLocketが初めてではない。2020年に登場したMagnets(マグネッツ)というアプリも同様のアイデアだが、ここではウィジェットを介して友人にテキストメッセージを送ることもできる。この分野で競合するアプリには、Ekko(エコー)、Widgetgram(ウィジェットグラム)、Lettie(レティ)、Tile Widget(タイルウィジェット)、Fave(フェーブ)などがあるが、どれもまだマイナーである。

Locketは現在iOSで無料でダウンロードが可能だ。一部のユーザーがウィジェットの動作方法を理解していなかったり、開始プロセスに戸惑ったりしていたようで、星3.4つの評価しか得られていない。同アプリの話題が絶頂に達していたころに問題が発生し、後者の問題が頻発していたようだが、我々はその後Locketをテストし、問題が解決されていることを確認している。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

コードとその変更を視覚化可視化するCodeSeeがセカンダリーシードで約8億円調達

CodeSeeは、コードベースのすべてのパーツがどのように組み合わされているかを開発者が理解するのを助ける一連のツールを構築している、その名にふさわしいスタートアップだ。米国時間1月20日、同社は2020年に受け取った300万ドル(約3億4000万円)に加え、700万ドル(約8億円)のセカンダリーシードを発表した。このラウンドは、新たな投資家である Wellington Access Ventures、Plexo Capital、Menlo Ventures に加え、最初のシード投資に参加した複数の業界エンジェルも加わっている。

同社のCEOで共同創業者のShanea Leven(シャネア・リーベン)氏によると、同社はコードベース全体を理解するという、どの開発者もその経験レベルに関係なく、特に新しいコードベースに出会ったときに苦労する問題を解決しようとしているという。

「初めて見るコードベースに対して、誰でも一種の恐れを感じ、圧倒されてしまいます。自分がこのコードベースに貢献できるという自信が持てるのは、かなり後になってからです。どんなに経験を積んでいても、そうです。誰にでもひるむ時があり、またコードベースは毎日変化するため、理解が追いつかないこともあります」とリーベン氏はいう。

リーベン氏によると、同社は2021年9月に同社のオープンソースのOSS Portプロジェクトを取材してからも成長が続いており、現在、数社と一緒にテストしている有料バージョンももうすぐリリースできるという。

関連記事:CodeSeeが開発者によるコードベースの可視化を支援するオープンソースプロジェクト「OSS Port」を開始

「これまで作ってきたチームやエンタープライズ向けのバージョンは完成間近です」とリーベン氏はいう。またReview Mapsという新しいツールも開発中で、これはGitHub上でコードベースに変化が生じたらそれらを視覚化するというものだ。変更されたファイルをアルファベット順にリストにする従来の方法では、どこがどう変わったのか、それが全体にどのように影響するのかわかりづらい。そこでReview Mapsは、その名のとおりリストではなく変化のマップを提供する。

「あなたがコードベースに有意義な貢献を提供できるようになり、最初のプルリクエストを書けるようになったら、それはあなたが行なうコードの最初の変更であるため、コードベース全体のコンテキストの中でその変化を視覚化できることが重要です」。大規模で複雑なプロジェクトでは、何百件もの変更が毎日のようにプッシュされているため、これはなお一層重要だ。

「600ものファイルが変更されたコードレビューを見ると、非常に気が遠くなってしまいます……。なので、コードレビューがこれほど大きくなると、ほとんどの人はレビューしないようになります。しかし、私たちなら、自分の変更点を確認することができます。ズームアウトして全体像を見ることもできます。自分の変更がコードベースにどのような影響を及ぼすのか、全体像を把握することができるのです。これは、開発者にとって非常に嬉しいことです」とリーベン氏はいう。

現在、同社の従業員数は13名で、2022年中に5〜6名の増員を予定している。

画像クレジット:Yumi mini/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

膨大な量のデータのクラウド移行をローコードで実現するProphecyが約28.4億円調達

米国時間1月20日、データエンジニアリングのローコードプラットフォームであるProphecy.ioが、Insight PartnersがリードするシリーズAのラウンドで2500万ドル(約28億4000万円)を調達したと発表した。既存投資家であるSignalFireとBerkeley Skydeck、および新たな投資家Dig Venturesもこのラウンドに参加し、同社の総調達額は3100万ドル(約35億3000万円)になった。

Prophecyのユーザーエクスペリエンスの核は、データエンジニアやアナリストがワークフローを構築するためのビジュアルインターフェースとコードエディターをシームレスに切り替えることができるローコード環境だ。このインターフェースによって、Apache Sparkのコードをすばやく作成し、そのコードをAirflowサービスを通じて容易に実行することできる。

このコードとビジュアルインターフェースを切り替えていく方法で、一方が行った変更がすぐにもう一方に反映するようになり、また必要に応じてビジュアルインターフェースをカスタムの要素で拡張することもできるため、マーケットで優位に立てるとチームは願っている。まだレガシーなツールを使っている企業が非常に多いため、Prophecyは企業が既存のETLワークフローをモダナイズできるためのトランスパイラーを提供している。

Prophecyの共同創業者Raj Bains(ラジ・ベインズ)氏は、次のように述べている。「誰もが、データは新たなオイルだと、もう10年ぐらい言い続けています。しかし、実際に大企業へ行ってみると、データ管理は混乱しています。そんなところへ私たちが出ていって『直しましょう』というのです」。Prophecyと提携したDatabricksやSnowflakeはデータを利用するための処理エンジンを構築しているが、企業はクラウドへの移行を同時に進めているため、重い作業を行うための多くのツールをまだ必要としていると同氏はいう。

ベインズ氏によると、これらの企業は、オンプレミスで動いている何万ものデータパイプラインが下層にあることが多いという。そこでProphecyのツーリングによりこれらのパイプラインをモダナイズして、クラウド(できればProphecyのプラットフォーム)に移した方がすっきりする場合が多い。

つまり「そのために作ったコンパイラーは、極めて高度なツールです。それは、彼らの古いデータパイプラインを読み、クラウドとクラウド技術のための新しいデータパイプラインを自動的に書き出します。私たちは大企業の膨大な量のデータエンジニアリングの残骸に取り付いて、それらの全体をクラウドへ移行させる。現在、クラウドを志向している大企業は多いのですが、成功する移行方法はわかっていません。そこで、私たちはクラウドへの移行を支援し、まったく異なるエコシステムであるクラウドの世界で彼らが成功できるようにするのです」。

Prophecyは設立から間もないが、すでに多くのFortune 500や50の企業がデータのインフラの構築と管理のために同社サービスを利用している。

Insight PartnerのマネージングディレクターGeorge Mathew(ジョージ・マシュー)氏によると、同社に関心を持った理由は、ベインズ氏がHortonworksやNVIDIA、Microsoftなどに在籍していたからなどさまざまだという。

「ラジ(・ベインズ)とProphecyのチームは、昨日までの古いシステム、特にそのデータ部分をよく知っている。だからそれを、クラウドネイティブな世界のどこへどうやって移せば、その巨大な移行が成功するかもわかっています。しかも、ノーコード / ローコードでそれができるのです」とマシュー氏はいう。同氏によると、現在はデータウェアハウスやレイクに積み上がった膨大な量のデータを抱えている企業が増えているたタイミング的にも良いという。数年前までは、それほどでもなかった。

ベインズ氏が掲げる2022年の目標は、プロダクトをもっと磨いて顧客がパイロットではなくプロダクションで成功できるようにすることだ。そのため、当然ながらこの度の資金は同社の市場化努力、特にフルスタックのデータエンジニアリングプラットフォームの構築に投じられる。

画像クレジット:Artur Debat/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中小企業の営業とサポートチーム向け自動化プラットフォームSaaS Labsが約48億円を調達

SaaS Labs(SaaSラボ)は、中小企業の営業およびサポートチーム向けの自動化プラットフォームを積極的に成長させるため、前回の資金調達完了から3カ月足らずで新たな資金調達ラウンドで4200万ドル(約48億490万円)を調達し、2社のスタートアップを買収した。

SaaS LabsのシリーズBラウンドは、Sequoia Capital India(セコイア・キャピタル・インディア)が主導した。このラウンドには、既存の出資者であるBase 10 Partners(ベース10パートナーズ)とEight Roads Ventures(エイト・ロード・ベンチャー)の他、起業家の Anand Chandrasekaran(アナンド・チャンドラセカラン)氏、Allison Pickens(アリソン・ピケンズ)氏、Michael Stoppelman(マイケル・ストッペルマン)氏、Amit Agarwal(アミット・アガーワル)が参加している。今回の資金調達は、カリフォルニアとノイダを本拠地とする同スタートアップが10月に行った1800万ドル(約20億5800万円)のシリーズA調達に続くものだ。

大企業やエンタープライズ向けには、営業やサポート業務の効率化をもたらすツールが数多く存在する。しかし、中小企業には同じことは当てはまらない。これが、Gaurav Sharma(ガウラブ・シャルマ)氏が米国で立ち上げたHelloSociety(ハローソサエティ)というベンチャー企業で得た学びである(この会社は、New York Timesに買収された)。

彼はTechCrunchのインタビューで「中小企業は、彼らの指先にあるソフトウェア製品を見てみると、それほど愛されておらず、十分なサービスを受けられていないことがわかる」と語っている。それに比べて大企業は「エージェントの生産性を向上させるためのすばらしいツールにアクセスできる」と彼は述べている。

SaaS Labsはこの6年間、中小企業の営業チームやサポートチームを強化するために「同じくらい強力」なAI搭載ツールを構築してきた。これらの製品はノーコードソリューションであり、導入のためにITチームを持つ必要性を排除している。

「これらのツールはまた、非常に手頃な価格で、中小企業が依存する他のビジネススタックやオンプレミスのハードウェアソリューションとシームレスに統合することができます」と同氏は語る。

現在、1500万人以上の販売・サポート担当者が直面している課題は、コールログやCRMツールを手動で更新しなければならず、そのツールは上司にリアルタイムの更新情報を提供するようには設計されていないということだ。このため、彼らのコミュニケーションチャネルにギャップが生じ、リアルタイムに介入することができないのだ。

中小企業が営業やサポートチームのためにクラウドベースのコンタクトセンターを数分で立ち上げることができるSaaS LabのJustCallのダッシュボード(画像クレジット:SaaS Labs)

「顧客とのコミュニケーションを行う5人のチームを持つと、大混乱が起こり始めるものです。例えば、JustCall.ioは100以上のビジネスツールと統合されており、これらのチームが利用することができます。JustCallは1億件以上の通話データベースを持ち、機械学習によって通話の品質やプレイブックやワークフローが守られているかどうかを確認することができます。管理者は、すべての通話をふるいにかけるのではなく、評価の低い通話だけを見ることができるのです」と同氏はいう。

このスタートアップは、全世界で6000社以上の顧客を獲得している。小規模な企業であれば、月々25ドル(約2800円)程度の支払いで利用でき、ビジネスの成長とともに年額数万ドル(数百万円)の支払いに移行していくのが一般的である。

顧客のうち70%以上が米国、10%が英国に拠点を置いている。顧客にはGrab(グラブ)、GoStudent(ゴースチューデント)、Booksy(ブックシー)、HelloFresh(ハローフレッシュ)などが含まれる。

同スタートアップは何年も黒字を続けており、2021年は売上を2.5倍に伸ばしたという。

米国時間1月20日には、2つの買収も発表した。ポーランドに拠点を置くCallPage(コールページ)は、営業チームがリードと即座につながるためのコールバック自動化ツールで、フランスに拠点を置くAtolia(アトリア)は生産性とコラボレーションツールである(彼らのチームは、正社員としてSaas Labsに参加する予定だ)。シャルマ氏は、これらの買収はSaaS Labsの製品提供の幅を広げ、さまざまな市場での足跡を深めるのに役立つと述べている。

シャルマ氏によると、今回の資金の一部は、さらに多くのスタートアップを買収するために投入される予定だという。

「当社は十分な資本を有していますが、今回の資金調達により、成功した事業をさらに強化したり、優れた人材をグローバルに採用したり、革新的な製品を発売したり、ブランドマーケティングに注力したり、戦略的M&Aを積極的に行うために必要な資金を確保することができるようになります。中小企業が営業、サポート、マーケティングなどさまざまな機能を現代化するためにソフトウェアを導入し続ける中、SaaS Labsはこの機会を捉え、今後5~7年で30倍の成長を遂げることができると確信しています」。と述べている。

彼は、今後4~5年以内にSaaS Labsを上場させることを視野に入れているという。

「SaaS Labsは、中小企業向けのマルチチャネルの顧客コミュニケーションプラットフォームを構築しています。一連の製品を通じて、デジタルの効率性とオフラインのコミュニケーションチャネルの親密性を融合させた体験を提供しています」と、Sequoia Capital IndiaのMDであるTejashwi Sharma(テジャシュウィ・シャルマ)氏は声明で述べている。

「例えば、同社の主力製品であるJustCallは、大きなインパクトを与えることができました。顧客は、平均して1人のエージェントが手作業で行う時間を週に12時間短縮したと報告し、顧客満足度は30%向上しました。Sequoia Capital Indiaは、顧客コミュニケーションの未来を築くガウラブとそのチームと提携できることをうれしく思っています」とも述べている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ウェブ会議の議事録作成を効率化できる録音・メモツールEkaki提供のChiefが2000万円のシード調達

ウェブ会議の議事録作成を効率化できる音声メモツールEkaki提供のChiefが2000万円のシード調達

ウェブ会議のための録音・メモツール「Ekaki」を開発・提供するChiefは1月18日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、Skyland Ventures。調達した資金はEkakiの開発費用にあてる。

Ekakiは、ウェブ会議のためのオール・イン・ワンツールを目指し、2021年11月よりクローズドβの事前受付を開始。現在のEkakiは、録音とメモが一体化した音声メモツールとなっており、今後の機能追加により議事録作成・メモ・スケジュール管理などを統合し、ウェブ会議の際に使用されるツール間の行き来をなくしてさらなる業務の効率化を図る予定。将来的には、コールセンターの電話業務と後処理業務、また医療業界の記録業務への対応も進めるという。

Ekakiでは、会議や商談中のメモ作成が素早く行えるほか、会議後に録音を聞き返しながら議事録作成が可能となる。ウェブ会議を妨げないよう操作用ツールバーをコンパクトにまとめており、映像を見ながら会議のメモを取れる。ワンクリックで栞を登録する機能により、メモを取る余裕がない場合にも対応しやすいとしている。

Chiefは、代表取締役社長の飯塚氏が早稲田大学在学中の2019年3月に設立したスタートアップ企業。ウェブ会議システムが新たなワークツールとして定着する中で、素早い対応が求められるウェブ会議中の作業を楽にするツールを作りたいという飯塚氏の意志の元、Ekakiの開発を開始した。

同社は、馬が一般的な交通手段であった時代に速い馬を育てるのではなく、車というまったく新しいものを作りたいという。将来的には「コンピュータ上の操作を自動化する」というミッションを実現するため、ウェブ会議を行う世界中の人々に愛されるグローバルなプロダクトを開発し、日本で初めてのプロダクト・レッド・グロース(PLG。Product-Led Growth)を達成したいとしている。

「App Storeの詐欺師」と非難された音楽アプリAmpMeが週10ドルの料金を引き下げ

Apple(アップル)がApp Storeの収益の大幅な増加を喧伝していたのとほぼ同じ時期に、開発者であり著名なApp Store批評家でもあるKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeに潜む新たな詐欺師と思われる存在を明らかにした。エレフテリオ氏はTwitter(ツイッター)で、音楽同期アプリ「AmpMe(アンプミー)」の利益に言及する投稿を行った。同アプリは、ユーザーの音楽を複数のデバイス、例えば友人たちのスマートフォンやBluetoothスピーカー、コンピュータースピーカーとの間で同期させることで、音楽のボリュームを高めるとうたっている。AmpMeはこの基本的なサービスに週10ドル(約1150円)という信じがたい金額を請求しており、App Storeでフェイクレビューを使ったプロモーションを展開していた。

AmpMeのiOSアプリは、一部の機能の利用にはサブスクリプションを必要としないが、音楽を他のデバイスと同期させたい場合には必要になる。ユーザーがこのアプリをダウンロードした主な理由はおそらく後者であろう。

エレフテリオ氏は、このサービスが同氏のいう「不合理な週10ドル(年間約520ドル[約6万円])」で価格設定されていることを指摘している。ほとんどのアプリ内サブスクリプションと同じように、このサブスクリプションも自動更新される。また、Appleはサブスクリプションの簡単な登録と継続を可能にしているが、キャンセルについては、App StoreまたはiPhoneの設定アプリからアクセスできるアカウントページの「サブスクリプション」セクションからのみ可能となっている。アプリ自体の中でキャンセルすることはできない。

AmpMeは少なくとも料金についてはユーザーを欺こうとしていなかった。登録ページには、無料トライアル提供期間は3日間であり、その後は週9.99ドルのサブスクリプションで提供されることが明記されている。

だがこのアプリがApp Storeのルールに抵触した部分は、潜在顧客へのマーケティングの仕方にあった。

AmpMeは大量のフェイクレビューを購入していた。それはナンセンスな名前に関連する5つ星の評価が多いことからも明らかである。例えば、Nicte VidelerqhjgdやElcie Zapaterbpmtlのような名前は、誰かがキーボードのボタンをマッシュ(ランダムに打つこと)したような感じがある。だがこうしたレビュアーが「すごくいい!」とか「超便利」あるいは「他の音楽アプリは要らない!」などのポジティブなフィードバックを残したことは確かである。

(興味深いことに、これらのレビュアーは他のアプリにも5つ星のレビューを残しているが、すべて同じ日に投稿されていた。実に疑わしい)

フェイクレビューによって同アプリのApp Storeでの総合評価は星4.3となり、まともで便利な音楽同期ツールのような印象を与えた。一方で、本物のレビューは、App Storeの正規ユーザーが法外な価格や基本機能、あるいは明らかなフェイクレビューについて不満を述べていたが、スパムによってかき消された。

Appleは何年もの間、この見かけ倒しのアプリに対策を講じてこなかった。さらに悪いことに、App Storeのエディトリアルコレクションを通じて何度もプロモーションを行っていたとエレフテリオ氏は指摘している。

同氏が今回の件から導き出した結論は、AppleはApp Storeの詐欺師の取り締まりに手ぬるいだけではなく、詐欺アプリの収益のポテンシャルのために、実際にそうする意欲を削がれている可能性があるというものである(これ以外に考えられる結論は、App Storeを消費者のために安全に保つことに関してAppleは無能であるというものだが、これも実によろしくない様相である)。

エレフテリオ氏はAppfiguresのデータを引用し、App StoreでのAppleの手数料控除後の生涯収益として、AmpMeがこれまでに1300万ドル(約14億8900万円)を得ていることを伝えている。

別の企業はこの数字をさらに高くしている。Apptopia(アップトピア)はTechCrunchに対し、2018年10月にアプリ内課金による収益化を開始して以来、1600万ドル(約18億3300万円)の収益を上げたと語っている。そのうち1550万ドル(約17億7600万円)がApp Store経由で、50万ドル(約5730万円)がGoogle Play経由であった。アプリ内購入収益の大部分(75%)は米国の消費者からのもので、これまでに3350万のライフタイムインストールを記録しており、そのうちの38%は米国からとなっている。

TechCrunchに寄せられた回答の中で、AmpMeは今回提起された主張の一部に異議を唱えた。

同社によると、ユーザーは年間520ドル、つまり週10ドルのサブスクリプション料金の合計に相当する金額を支払っていないという。有料ユーザー全体の平均年間サブスクリプション収益は約75ドル(約860円)であると同社は説明する。これは、ユーザーが無料トライアルを利用した後、ある程度の時間を置いて購読をキャンセルしていることを示している。AmpMeはまた、内部的には、このことが自社の価格設定の透明性とオプトアウト手続きの容易さに対する信念を強めたことにも言及した。

しかし同社は、なぜApp Storeのリスティングがフェイクレビューで埋め尽くされたのかについて適切な回答を示さず、代わりに匿名のサードパーティに責任を転嫁した。

「私たちは、多くのスタートアップがそうであるように、マーケティングとアプリストアの最適化を支援する外部のコンサルタントを何年にもわたって雇ってきました。さらなる監視が必要であり、それが私たちが現在取り組んでいることです」と匿名のAmpMe担当者から送られた声明文には記されている(eメールの署名は「AmpMeチーム」となっていた)。

さらに同社は、この最近のフィードバックに対応するものとして、同アプリの新バージョンをより低い価格でリリースすることを明らかにした。

「私たちは常にAppleのサブスクリプションガイドラインを遵守しており、その高い基準が確実に満たされるように継続的に取り組んでいます」とメールには書かれている。「また、コミュニティからのフィードバックを尊重し、その価値を重んじています。したがって、より低価格の新しいバージョンのアプリは、すでにレビュー用としてApp Storeに提出されています」。

このバージョンは現在公開されており、毎週のサブスクリプション料金は9.99ドルから4.99ドル(約570円)に引き下げられている。

エレフテリオ氏は米国時間1月13日、フェイクレビューが手動で削除されているようであるとTechCrunchに語った。

米国時間1月10日の午前11時に、同氏はこのアプリのレビュー数が5万4080件であったことを伝えていた。AmpMeかなり悪評立った後、11日午後9時までに同アプリのレビュー数は5万3028件に減少した。12日の午前7時までにレビュー数は再び減少し、5万693件になった。しかし、アプリ全体の評価はあまり影響を受けていない。これは、偽のApp Storeユーザーが投稿したレビューが削除されている一方で、5つ星の評価が付けられているがレビュー内容やレビュワーの名前が表示されていないレビューは削除されていないことが考えられる。つまり、クリーンアッププロセスは、同アプリがフェイクレビューを購入したことを明らかにするものではないということである。

また同じように興味深いのは、AmpMeのCEOであるカナダのテクノロジー起業家Martin-Luc Archambault(マルタン=リュック・アルシャンボー)氏である。同氏が開発し、ソフトウェアからアドウェアに転換した「Wajam(ワジャム)」は、カナダのプライバシーコミッショナー事務局(OPC)によって過去に調査され、同意なしにユーザーデータを収集してカナダのインターネットプライバシー法に違反したことが判明した。また、複数の方法を用いてウイルス対策ソフトウェアによる検出を回避したと当時の報道は伝えている。OPCが調査結果を発表した際、アルシャンボー氏は問題のカナダのユーザーデータは破棄され、Wajamはその資産を中国企業に売却したと主張していた。OPCの報告書によると、同アドウェアはその存続期間中に何百万回もインストールされたという。

つまり、これはフェイクレビューを買うことに反対する人の話とは思えない。

AmpMeは当初の声明以降の追加質問に回答しておらず、Appleにもコメントを求めているが回答は得られていない。

Crunchbase(クランチベース)のデータによると、AmpMeはこれまでに1000万ドル(約11億4600万円)のVC資金を調達している。

画像クレジット:AmpMe

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ノーコードで営業やマーケティングのためのデモが作れるWalnut、4カ月で700%の成長を遂げ約40億円調達

ヨアヴ・ビルナー氏とダニー・フリードランド氏(画像クレジット:Walnut)

企業の営業やマーケティングのためにノーコードでデモを作ることができるサービスWalnutが、8月の1500万ドル(約17億2000万円)のシリーズAに続き、シリーズBの3500万ドル(約40億円)の資金調達ラウンドを発表した。

Walnutのノーコードプラットフォームは、カスタマイズされた製品デモを迅速に作成し、営業やマーケティングのプロセスに統合することができ、さらにデモから洞察を得ることができる。

共同創業者でCEOのYoav Vilner(ヨアヴ・ビルナー)氏によると、シリーズA以降同社は、年間経常収益が700%という驚異的な成長を示した。同社は現在、Adobe、Dell、Medallia、NetApp、Treasure Data、Funnel、People AI、ContractBookといった100近いSaaSの顧客と提携している。

「発表直後から、多くの投資家が関心を寄せてくれた。当初の予定では、もっと後に資金調達するつもりだったが、このペースを維持していることから、今がチャンスだと思いました。ラウンドの間隔が3カ月というのは珍しいことですが、私たちが作っているものは、間違いなくもっと資金が必要な状態だったのです」とビルナー氏はいう。

最前のラウンドをリードしたFelicis Venturesは、これまでの累積で同社に5600万ドル(約64億1000万円)を与えている。ビルナー氏によると、Felicisという社名は彼がこれまで何度も耳にした名前であり、共同創業者のDanni Friedland(ダニー・フリードランド)氏もFelicisのSaaSとソフトウェアを対象とする投資に関心を示し、Walnutに合ってると感じた。

Felicisに加わったのは既存の投資家NFXとEight Roads Ventures、そしてA Capital、および戦略的エンジェル投資家のグループ、すなわちSalesforceの社長でCMOのSarah Franklin(サラ・フランクリン)氏、Oktaの共同創業者Frederic Kerrest(フレデリック・ケレスト)氏、TripActionsの共同創業者でCEOのAriel Cohe(アリエル・コーエ)氏、Papaya Globalの共同創業者でCEOのEynat Guez(アイナット・ゲズ)氏だ。

この新たな資金でWalnutは、米国とヨーロッパとイスラエルのチームを現在の55名から合わせて100名近くに増員できるとビルナー氏はいう。またもちろん、技術と製品開発にも注力する。

「ようやく需要を満たし、国を越えて人材を増やし、さまざまな接点での販売を促進するためのより広いプラットフォームを構築できるようになる。まだ名前すらない新しいカテゴリーを作っていますが、私たちの目標は販売スペースに革命を起こすことです。」と彼は付け加えた。

FelicisのゼネラルパートナーViviana Faga(ビビアナ・ファガ)氏と副社長のJake Storm(ジェイク・ストーム)氏はこのラウンドのリード投資家で、Walnutが行っていることを「sales experience」と呼び、同社は市場開拓のチームが顧客と対話できるようにしているという。ただしパンデミックである現在、誰も営業に会いたいとは思わないため困難な仕事だとファガ氏はいう。

それでもファガ氏は、Walnutのようなツールにとって今は好機だという。企業は、デモにますます力を入れようとしているからだ。また、営業チームだけが利用するのではなく、マーケティングやカスタマーサクセスチームもこの技術を採用するようになっている。ストーム氏によると、その結果、現在のWalnutはより効率的な販売の実現とボトムアップの成長に向けた取り組みという2つの波に乗っているという。

「ヨアヴ(・ビルナー)とダニー(・フリードランド)に会った時、私たちは彼らが巨大なチームを作ることを知っていたし、Walnutを使いたいと願うユーザーのウェイトリストを見て、私たちはそれが世界で必要な解決策であることを知りました」とファガ氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

時間給労働者向けのオールインワンの労働力管理ツールを提供するNowstaが新たな資本を獲得

Nowsta(ノースタ)は、ハイブリッド化が進む労働環境において、雇用主が時間給労働者とより密接に関わることを支援するアプローチでベンチャーキャピタルを魅了した。

同社は米国時間1月19日、GreatPoint Ventures(グレートポイント・ベンチャーズ)が主導するシリーズBで4100万ドル(約46億8500万円)の資金調達を発表し、これまでの資金調達額は5900万ドル(約67億4200万円)に達した。今回の資金調達には、GreatPointの他、VMG Catalyst(VMGキャタリスト)、Rally Ventures(ラリー・ベンチャーズ)、Tribe Capital(トライブ・キャピタル)、既存投資家のGreen Visor Capital(グリーン・バイザー・キャピタル)、Compound Ventures(コンパウンド・ベンチャーズ)、Clocktower Technology Ventures(クロックタワー・テクノロジー・ベンチャーズ)が参加している。

CEOのNick Lillios(ニック・リリオス)氏は2015年にNowstaを設立し、その後1年半をかけて、ニューヨークのフードサービス業者との自身の仕事経験から生まれたこの技術を構築した。時間給労働者の運用の複雑さが同社の技術の着想の源であり、時間給労働の変化についていけない現在の労働力管理ソリューションに対する答えであった、と彼はいう。

Nowstaのウェブとモバイルアプリは、自動スケジュール管理、タイムトラッキング、給与計算、コミュニケーションなどの労働力管理ツールをオールインワンのリソースに統合したもので、信頼できる第三者人材派遣業者が調達した熟練労働者と雇用主をつなぐオンデマンド型労働マーケットプレイスも含まれている。また、ウォレット機能もあり、ユーザーはシフトごとに支払いを受け、将来の稼ぎを確認することができる。

「どの雇用主も臨時労働力を活用し、その隙間を埋めるために1099型労働者(米国における個人事業主)を使おうとしている」とリリオス氏はTechCrunchに語っている。「我々の市場は、必要としている雇用者と従業員をマッチングし、彼らがどのように訓練され、審査されたかを見ることができるので、雇用者は迅速な決定を下すことができます」。

同社は2019年4月に810万ドル(約9億2500万円)のシリーズAを調達し、マーケットプレイスを作るための後押しとなった。世界的なパンデミックが発生したとき、Nowstaは従業員を一時解雇しなければならない顧客と協働を開始し、このリソースによって同社は顧客が従業員を他の仕事に移行させる手助けをすることができたのだ。

リリオス氏は、時間給の仕事が元に戻るとは思っていない。むしろ、より多くの従業員が柔軟性を求め、より多くの雇用主が適応するためのツールやリソースにアクセスできるようになるため、過去2年間に見られたシフトは永続的に続くだろう。

かつてテクノロジーに乏しかったこの市場には、現在、このように十分なサービスを受けていない人々に注目するスタートアップがひしめいている。直近では、従業員の能力を引き出すアプリで3200万ドル(約36億5500万円)のシリーズB資金を調達したAskNicely(アスクナイスリー)について報じた。

その他にも、フロントワーカーが組織で使われているさまざまなITサービスを利用したり、お互いに交流したりするためのアプリ、Blink(ブリンク)などがある。シフトワーカーと雇用主をマッチングするマーケットプレイスのShiftsmart(シフトスマート)は9500万ドル(約108億円)を調達し、メッセージングアプリのWhen I Work(ウェン・アイ・ワーク)は2億ドル(約228億円)という巨額のラウンドに至った。一方、Fountain(ファウンテン)は8500万ドル(約97億1000万円)、Seasoned(シーズンド)は1870万ドル(約21億3600万円)を調達し、レストラン従業員のためのツールを開発した。2022年の初めには、Homebase(ホームベース)が7100万ドル(約81億1100万円)を調達し、ホームサービスのプロに焦点を当てたWorkiz(ワークイズ)が1300万ドル(約14億8500万円)を調達した。

現在、Nowstaの技術は、スポーツスタジアム、ホテル、フードサービス業者、倉庫など600の雇用主で、毎月30万人以上の労働者を管理している。パンデミックの間、より多くのスタジアムやホテルがオンラインに戻り、約1000人の従業員を雇用する必要があったため、Nowstaは最初に数百人の労働者を調達することができた。リリオス氏は「ビジネスに革命を起こし、フレックスワークの新しいモデルを切り開いた」と述べている。

今回の資金調達により、新たに米国内の25の市場に事業を拡大し、年末までに68人の人員を倍増(2021年は25人)し、製品開発や営業・マーケティングに投資することが可能となる。2021年に収益を大きく伸ばした後、リリオス氏は、それを繰り返すことは考えていないものの、2022年の収益は少なくとも3倍から5倍に成長すると予測している。

GreatPoint VenturesのマネージングパートナーであるAshok Krishnamurthi(アショク・クリシュナムルティ)氏は、文書で次のように述べている。「この2年間で、労働市場にパラダイムシフトが起き、時間給やフレックスタイム制がますます普及しています。あらゆる種類の企業が、オンデマンドの労働力に簡単に繋がり、効率的に管理しなければならなくなりました。そのための最も効果的な方法がNowstaであり、ニックとそのチームと提携してこのビジョンの達成を支援できることを、これ以上ないほどうれしく思っています」。

画像クレジット:Marko Novkov/EyeEm / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

eコマースのカスタマーサービスで繰り返される作業の自動化をサポートするZowie

Zowieの共同創業者マット・シオレック氏とマヤ・シェーファー氏(画像クレジット:Zowie)

顧客サービスの内容は、ほぼ数種類に限定される。まず返品、そして返金、そして品質管理部門に対する質問だ。これらは、同じ内容が繰り返されることも多く、また、もっと複雑な話題で顧客エンゲージメントを深めるための時間はなかなか得られない。例えば情報をプロダクト部門へつないだり、顧客にとってベストのプロダクトを探す手伝いをするといったことはできていない。

Zowieを創業したMaja Schaefer(マヤ・シェーファー)氏とMatt Ciolek(マット・シオレック)氏は、繰り返されることが多いサービスは自動化できると考えている。同社を興した2019年、2人はプロダクト開発と、顧客調査の仕事をしていたeコマース企業での経験をブレンドしようと考えていた。

CEOのシェーファー氏は「顧客サービスは、既存のソリューションで解決する問題ではないということを私たちは悟りました。それらのソリューションはどれも実装がとても難しいからです。実装には数カ月も必要で、さらにその後、メンテナンスが困難になります」という。

2人は、繰り返し行われる仕事の解決策としてチャットボットをクライアントに提案し、数週間でその構築を任された後、Zowieのアイデアを思いついた。

顧客サービスにAIによるチャットボットを使うやり方は、新しいものではない。2021年1年でも、ForethoughtHeydayCognigyLandbotHeyflowなどが、この分野で資金調達を発表している。

しかし、競合他社の中には、回答などのワークフロー情報をツールに入力する必要があるものもあるとシェーファー氏はいう。その代わり、ZowieのZowie X1テクノロジーは、製品やブランドに特有のリクエストワークフローを最初から自動化する。同社は数分でデータを分析し、Zowieがサポートできるサポートチケットの割合(場合によっては50%)を顧客に伝えることができる。

シェーファー氏は、チャットボットの導入により、エージェント1人あたり1日2時間程度が解放され、チャットボットが回答しない質問を受け付けたり、より複雑な問題を解決したり、より多くのサポートを売上につなげたりすることが可能になると見積もっている。平均して、顧客は最大45%の売上増を実現することが可能だと、彼女はいう。

2020年から2021年にかけて売上が3倍になった同社は、資金調達を目指すことを決め、Gradient Venturesと10xFoundersが主導し、LatticeのCEOであるJack Altman(ジャック・オルトマン)氏、GiessweinのCEOであるMarkus Giesswein(マルクス・ジースバイン)氏、以前の投資家であったInovo Venture Partnersが参加してシードラウンドで500万ドル(約5億7000万円)を調達した。

ZowieはGiessweinを含む約100社の顧客と取引している。彼女は今回の資金を製品開発、マーケティング、販売、米国および北米全域の商業チームの成長に充てたいという。同社の従業員は現在36名で、2022年中にチームを倍増させる計画だ。

Zowieが拡大しようとしている製品機能には、ウェブサイトから電子メール、WhatsAppまで、できるだけ多くのチャネルでの自動化、および営業サイドでカスタマージャーニーをナビゲートできるような機能の実現が含まれている。

Gradient VenturesのジェネラルパートナーであるDarian Shirazi(ダリアン・シーラーズ)氏は、短期間で大きな収益を上げたことと、創業者たちが築いているビジネスに惹かれたこともあり、Zowieを選んだと語る。

「Zowieを見ていて感じた差別化の1つは、ナレッジベースを生成してくれるeコマース向けの初のAIチャットボットであることでした。他は質問に答えるためのナレッジベースを用意しなければならず、そんな時間がない企業もあります。私たちはチャットボットの期待していますが、巨大でバーティカルなeコマース向けにうまくやった人はいませんでした」とシーラーズ氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

新型コロナで加速、小売商の決済インフラ管理を支援するオーケストレーションプラットフォーム「Gr4vy」

小売企業では決済処理やルーティングを自動化するために独自の「オーケストレーション」プラットフォームを構築することが多い。だが、それらの保守は複雑になりがちであるため、Spreedly(スプリードリィ)のような企業が求められるわけだ。2021年、米国で設立された新たなスタートアップ企業であるGr4vy(グレイヴィ)は、より迅速な方法でこれを実現すると主張している。

Gr4vyは、そのために2021年1110万ドル(約12億7000万円)のシリーズA資金調達を実施したが、米国時間1月13日、March Capital(マーチ・キャピタル)が主導するシリーズA拡張ラウンドで、さらに1500万ドル(約17億2000万円)を調達したことを発表。同社のシリーズAステージにおける資金調達総額は(過去のシード資金調達も含め)2720万ドル(約31億2000万円)に達した。これにより、同社の評価額は2倍の1億1500万ドル(約131億8000万円)になったとされている。

サンマテオに拠点を置く同社は、Nyca Partners(ナイカ・パートナーズ)、Activant Capital(アクティヴァント・キャピタル)、Plug and Play Ventures(プラグ・アンド・プレイ・ベンチャーズ)からも出資を受けている。

オーケストレーションプラットフォームとしては珍しく、Gr4vyのクラウドネイティブなペイメントオーケストレーションプラットフォーム(POP)は、クラウド上で小売商のインフラストラクチャを供給するインスタンスも提供している。Gr4vyは現在、GoCardless(ゴーカードレス)、Banked(バンクド)、Akoova(アクーヴァ)などの企業と提携している。

Gr4vyの創業者兼CEOであるJohn Lunn(ジョン・ラン)氏は、筆者に次のように語った。「新型コロナウイルス感染拡大は困難な状況をもたらしましたが、すべてがオンラインになったことで、大きなチャンスにもなりました。多くの企業や小売業者のシステムは、こんな状況に向けて準備が整っていなかったり、目的に適合していませんでした。それまでオンライン取引は全体の5%に過ぎず、それ以外はすべて店舗で処理していたのが、突然100%オンラインになったわけですから。新型コロナウイルスの影響で部分的にデジタル化が加速したことは、大きな利点になったと私は思います」。

コンサルティング会社のMcKinsey(マッキンゼー)では、2025年までに世界の決済収入は2兆5000億ドル(286兆5000億円)に達し、2024年までに電子商取引による小売売上は、全世界の小売売上の21.8%を占めるようになると予測している。

March CapitalのパートナーであるSolomon Hailu(ソロモン・ハイル)氏は次のように述べている。「現代のデジタル決済の方法は、かつてないほど多様化しており、その結果、小売商は圧倒されるように感じています。【略】このeコマース戦略が重要な時期に、クラウドネイティブで使いやすいオーケストレーションプラットフォームを提供することで、小売商が決済インフラを簡素化し、管理できるようにするジョンとGr4vyのチームとパートナーシップを組めることに、Marchは興奮しています」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サイバーセキュリティの最も重要な原因となっているヒューマンエラーに対処する独SoSafe

私たちがこの数年間で学んだように「ヒューマンエラー」を原因とするサイバーセキュリティの侵害は、企業にとって最も対策が難しいものである。調査によると、サイバー攻撃の約85%は人的要因に由来しているという。そのため、2021年790万ドル(約9億円)の資金を調達した英国のCybsafe(サイブセイフ)など、このような落ち度を解消するために設立されたスタートアップ企業が急増している。人間の行動への対応は、明らかにサイバー分野で最もホットな新しい領域の1つだ。

最近この分野で勢力を拡大しているのが、ケルンに本拠を置くSoSafe(ソーセイフ)だ。サイバーセキュリティの意識向上とテストを行うこのプラットフォームは今回、成長投資ファンドのHighland Europe(ハイランド・ヨーロッパ)が主導するシリーズBラウンドで、7300万ドル(約83億5000万円)の資金を調達した。

このラウンドには、既存投資家のActon Capital(アクトン・キャピタル)とGlobal Founders Capital(グローバル・ファウンダーズ・キャピタル)に加え、SAP Hybris(SAPハイブリス)の創業者でCelonis(セロニス)のアドバイザリーボードメンバーであるCarsten Thoma(カーステン・トーマ)氏、La Famiglia(ラ・ファミグリア)とAdjust(アジャスト)の創業者であるChristian Henschel(クリスチャン・ヘンシェル)氏が参加した。

SoSafeが競合するのは、2021年に上場したKnowbe4(ノウビフォー)や、これまでに5800万ドル(約66億円)を調達しているCofense(コフェンス)などのプラットフォームだ。

SoSafeによれば、同社はサイバーセキュリティにユーザー中心のアプローチを採り、行動科学から得られる洞察を利用してユーザーを正しく、より安全な方向に誘導し、ゲーム化された方法を用いてエンドユーザーにサイバー攻撃では何に注意すべきかを教えるという。

現在、SoSafeのプラットフォームはAldi(アウディ)、Ceconomy AG(セコノミ)、Taylor Wessing(テイラー・ウェッシン)、Vattenfall(ヴァッテンフォール)、Valtech(ヴァルテック)など、1500社以上の顧客に利用されている。

SoSafeの共同設立者でマネージングディレクターを務めるNiklas Hellemann(ニクラス・ヘレマン)博士は次のように述べている。「セキュリティ意識とヒューマンリスク管理において、既存のパラダイムに挑戦する当社のプラットフォームは、膨大な数の顧客に採用され、驚異的な成長を遂げています」。

今回のラウンドで主導投資家の役割を果たしたHighland Europeは、これまでMalwarebytes(マルウェアバイツ)、Cobalt(コバルト)、ActiveFence(アクティブフェンス)などのセキュリティ企業を支援してきた。

Highland EuropeのパートナーであるGajan Rajanathan(ガジャン・ラジャナサン)氏は、次のように述べている。「SoSafeの創業者たちは、信頼性の高いサイバーセキュリティ意識向上および試験プラットフォームを構築しました。これは行動分析とヒューマンリスクの点数化によって支えられ、サイバーセキュリティにおける最も重要な脅威領域、つまり人間によるセキュリティの穴を持続的に保護するものです。同社は、短期間で驚異的な勢いを経験し、主要なソフトウェアのスケールアップ企業の1つとして急速に注目を集めています」。

画像クレジット:SoSafe

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

友人グループみんなで36枚撮りのロールを撮影、24時間後に現像されるアプリ「Lapse」が12.6億円調達

ソーシャルメディアアプリでは、アルゴリズムによる広告表示、インフルエンサーを活用したソーシャルグラフ、際限なくスクロールするよう促すUXなどが執拗に行った結果、大手ソーシャルメディア企業のバイラル的な成功と大衆市場でのエンゲージメントにつながっている。しかし、この市場には依然として入り込むすき間が残されており、写真を撮影して自分が選んだ友人と共有できるアプリには、従来のソーシャル的な一連の機能を排除したものが登場している。そうしたアプリの1つLapse(ラプス)が、リリース早々に投資家たちの強い関心を呼び、このたび大規模なシードラウンドを発表した。

Lapseでは、ユーザーがグループを形成し、グループの存在場所に関係なくグループ間で協力して、36枚ショットの「ロール」に即興で(アドリブで)写真を撮る。写真は現像され、撮影開始後24時間でグループにのみ公開される。そのLapseがシードラウンドで1100万ドル(約12億6000万円)を調達した。

今回のLapse(会社名もアプリ名と同じ)のラウンドを率いたのはOctopus Ventures(オクトパスベンチャーズ)とGV(旧称Google Ventures)で、他にもSpeedinvest(スピードインベスト)や個人投資家たちが参加した。個人投資家の中には、初期のFacebookのデザイナーSoleio Cuervo(ソレイオ・クエルボ)氏もいる。クエルボ氏はソーシャルエンゲージメントという点では実績がある。彼はFacebookの「いいね」ボタンをデザインしたチームの一員だった。

今回のラウンドでLapseの総調達額は1240万ドル(約14億2300万円)に達する。これには、同社が創業前の9月にプレシードで調達した140万ドル(約1億6000万円)が含まれる。このプレシードはスピードインベストが率い、Claire Nooriala(クレア・ノーリアラ)氏(Snap Inc.ヨーロッパ・中東・アフリカ担当副社長)、Matt Robinson(マット・ロビンソン)氏(NestedとGoCardlessの創業者)、Ian Hogarth(イーアン・ホガース)氏も参加した。

9月の創業後、Lapseは1万人のベータテスターを獲得した。その後短期間で、Appleのダウンロード件数トップの座に躍り出て、15万人がキャンセル待ちの状態になっている。ほんの数カ月で大規模なシードラウンドを実施してそうそうたる投資家たちを集めることができたのは、15万人という大量のユーザーを獲得できたからだ。

画像クレジット:Ingrid

Lapseは、ソーシャルメディア特有の仕組みを一新しようとしているため、ユーザーや投資家の間で注目を集めている一連のアプリに属する。

Instagram(インスタグラム)、TikTok(ティックトック)などが数百万人のユーザーを獲得しているが、そうしたユーザーはアプリの常用者だ。その一方で、こうしたソーシャルメディア企業とその策略を警戒しているユーザー層(とその親たち)が確かに存在している。これらの企業は大量の有害なコンテンツを配信していることがわかっているが、その使い方(および悪用方法)をコントロールするのは極めて難しいため、解決策はこれらの企業を廃業させるしかないと信じている人たちもいる。

そこまで厳しい話でなくとも、こうした大衆市場向けのソーシャルメディアアプリを大いに楽しんでいる、あるいはビジネスに活用している人たちでさえ、執拗にエンゲージメントとエクポージャーを求めてくる彼らのやり方にうんざりしており「ソーシャル」を実現するもっとプライバシーに配慮した、あるいはインパクトの強い方法を求めている。

同じカテゴリーに属するアプリは他にもある。IRLは、創業者によると、互いにメディアを共有したり、知らない人が投稿したメディアを延々とスクロールしながら観る代わりに、ユーザーたちがもっと有意義なソーシャルインタラクションを生み出すという前提で創業された。

IRLは、現実のイベントを重視するよう設計されたものの、パンデミックが発生しダラダラと続く中、皮肉にもバーチャル(つまりIRLではない)イベントにも拡張することで何とかユーザーを確保してきた。2022年始めに10億ドルを超える評価額で大規模な資金調達ラウンドを実施したIRLは「Digital Nutrition」アプリを2021年12月初めに買収した。このアプリによって、よりエシカルを重視したレコメンデーションを開発できるようになるという。

Lapseに近いコンセプトのアプリとしてDispo(ディスポ)がある。Dispoも使い捨てカメラロールという方向性を認識しており、体験を重視するといいつつ単に何かを体験した写真を共有するだけという方向性からは距離を置いている。Dispoでは、撮影した写真は翌日にならないと見ることができない。

Dispoも2021年初めに資金調達を行った。しかし、口コミでどんどん広がる状態にまで推進した(Dispoの共同創業者は人気のユーチューバーDavid Dobrik[デビッド・ドブリック]氏)原動力が悪い方向に転じて(ドブリック氏のチームが性的暴行で告発された)、多くの人たちが後味の悪い思いをした(初期の投資家たちは手を引き利益を断念した上、ドブリック氏もこの件に関わったとして辞任に追い込まれた)。とはいえ、Dispoは流行りのソーシャルメディアトレンドから外れたわけではない。9月に同社は、写真をNFTとして販売することに対するユーザーの関心を判断するためのテストを始めた。

LapseはDan Silvertown(ダン・シルバートン)とBen Silvertown(ベン・シルバートン)の兄弟によって創業された。シルバートン兄弟はベトナムを一緒に旅行した際に、ネットから離れてゆっくり過ごすために全自動カメラを使った。この体験からインスピレーションを得た2人は、写真を撮影して友人たちと共有するという機能はそのままで、あまりやきもきせずにソーシャル投稿するというアイデアを再現するアプリを構築できないかと考えた。

Lapseは、撮影した写真をすぐには見れなくするという点ではDispoと同じだが、撮影した写真を本当に親しい仲間以外の誰とも共有しないという点が異なる。

(今は廃業してしまったが、初期のFacebookの社員David Morin[デビッド・モリン]氏が、Facebookによって撮影された広角ビューとバランスをとる方法として小グループ内で共有する方法を提供するために創業したPath[パス]は、非常に先見の明があったということになる。少し時代の先を行き過ぎてしまったのかもしれない)

Lapseはまだアーリーステージの初期なので、これから発展する余地が大いにある。Lapseにはカメラの背面からスチール写真を撮るためのレンズしか用意されていない。しかし、創業者によると、このレンズは多くの試行錯誤の末に生まれたものだという。

画像クレジット:Ingrid

「30人のプロの写真家と協力して当社独自の画像処理エージェントを開発しました」とベン氏はインタビューで語ってくれた。「しかし、これは、当社が20段階の処理と考えているアナログフィルムを再現する取り組みの第1段階に過ぎません」。

このフィルターの効果は、昔ながらの全自動カメラで撮影したスナップ写真の画質という説明が一番近いだろう。古風に聞こえるが、平均的なスマートフォンで実現されるようになった極めてパワフルなカメラ体験を意図的に制限して、それを即興的な味で置き換えるおもしろい方法だ。もちろん、たくさんの失敗作も生まれることになるが。

人はどこかへクルマで行く代わりに積極的に歩く選択をしたり、どこかで出来合いの料理を買う代わりに意図的に複雑な料理の多くの手順を体験するほうを選ぶことがある。Lapseはさしずめ、これのカメラ版といったところだろう。不便で面倒くさいと感じるかもしれないが、おかげで従来とは異なる結果が得られるかもしれない。

個人的には、Lapseフィルターを使うことによって予期せぬ、また管理が難しい副作用が生じることがあるものの、それは救いようのないものではなく、むしろおもしろいものだ。

例えば焦点を合わせられないためひどいピンぼけになることがあるし、前向きレンズがないため不正確なセルフィーしか撮れない(あるいは私は結局そうしたのだが、鏡に映った自分を撮るくらいしかできない)。ビデオ機能はないし、画像にいたずらする「フィルター」もない。スナップを撮る機能は驚くほど簡単だ。自分でも気づかないうちに写真を撮っている。撮り直しはできない。

筆者の息子アベルは3枚構成の写真を撮る方法を見つけてしまった。筆者もやってみようとしたがどうしても方法が分からなかった。

こうして撮影された写真は現像されてグループチャットに配信される。チャットでは超高速スライドショーが再生される。スピードを落としてもう少しじっくりと見ることもできる。もちろん、カメラロールの写真を保存して別の場所で共有するといった従来のソーシャルメディアと同じ仕かけも用意されている。

ダン氏によると、この機能は当初、Lapseのうわさを広めてもらうために用意したのだという。ティックトックは他のプラットフォームとビデオを簡単に共有できるようにすることでユーザーを引き寄せ成長したが、これを真似たものだ。まだ初期段階なので、この機能を維持するのか、最終的にオフにしてしまうのかはまだ決めていないという。

収益化に関する具体的な内容もまだ決まっていない。ただ、広告から収益を上げる方法は避けたいとしている。

「収益化についてはざっくりと考えてはいますが、具体的なことはまだです」とダン氏はいう。「ただ、おそらく広告ベースの収益モデルは使わないと思います。というのは、広告ベースのモデルは、可能なかぎり多くのユーザーに動機を与え、現在の画面を表示するために費やされる時間を最適化しますが、これは有害な行動が生じる原因の1つだからです。我々は量ではなく質を重視したいと考えています」。1つのアイデアとしてフリーミアムモデルがある。「あるレベルでユーザー向けにアプリを構築し、ユーザーが大変気に入って、追加機能に対して料金を支払うようにする方法です」。例えば共有された写真に表示される商標を消去する機能がある。現在、共有された写真のフレームにはLapseという商標が表示されるようになっている。

何より、Lapseは誇大広告なしでゆっくりと成長していくという考え方を受け入れているようだ。

Lapseはアクティブなユーザー数を公開していないが、キャンセル待ち15万人という数字は現在のLapseのアクティブな全ユーザー数ではないと思われる。GVのような投資家が支援しているということは、数字は良いという1つの証だ。複数の招待を受けることを許可されているユーザーがそのうちの1人から招待を受けるとキャンセル待ちリストをスキップできる。エンゲージメントはかなり高く、Lapseをダウンロードしたユーザーの15%がアプリを使い続けている、とベン氏は説明する。現在のところ、ユーザーの大半はZ世代の女性であり、ユーザーの実に79%が女性、71%が24歳以下である。現在のところ、ユーザーの約80%が米国居住者だ。

こうしたすべての数字は、アプリが成熟するにつれて変わってくるだろう。ソーシャルアプリに対するさまざまなアプローチの中から現実的な選択をするという流れの中で、そう願いたいものだ。

「Lapseは、ユーザーが従来の大手ソーシャルメディア企業との関係を根本的に考え直している時期に登場した次世代のプライベート型ソーシャルネットワークです」とオクトパスベンチャーズの投資マネージャーMatthew Chandler(マシュー・チャンドラー)氏は語った。「Lapseでは、ユーザーはもう製品ではなくなります。このメンタル面での劇的な変化により、ユーザーはプライベートなグループ内で自由にやり取りし、生活の中の今この瞬間を撮ることができます。また、Lapseの製品設計では、ユーザーは自分を特定の方法で演じるというプレッシャーから開放され、本当の自分であるように促されます。これは私達のコミュニケーション方法に重大な影響を与えます。ダン氏とベン氏は、画像ベースの記憶のための新しいプラットフォームの構築に取り組んでいます。当社は彼らとパートナー関係を結ぶことができたことに大きな期待を寄せています」。

画像クレジット:Lapse

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)