ステータスページが必要なことは分かっているがなかなか…という企業をStatusPageがお助け

Y Combinator出身のStatusPageは、今日(米国時間7/16)の公式デビューに先駆けてすでに、Jawbone、Shopify、New Relic、Parse、Ping Identity、Zendeskなどが有料ユーザであるという幸運なスタートアップだ。名前から見当がつくと思うが、同社はWebサイト/サービス/アプリケーションを運営する企業のために(というか~~に代わって)ステータスページをホストする。どの企業も本当は、自前で良質なステータスページを提供したい…が、なかなかそのための時間や人を割けないのだ。

同社は昨年10月に、Steve Klein/Scott Klein兄弟が創業した。5月には第三の協同ファウンダDanny Olinskyが加わった。Klein兄弟は前に、モバイルアプリ制作企業をミュージシャンのリソースReverbNationに売り、その後は請負仕事などをしながら次にやることを模索していた。

ステータスページを身代わりホストするというアイデア…ユーザ企業に代わってダウンタイムやそのほかの状況をその企業の顧客のために提供する…は、なかなか良いと思われた。彼らはそれまでの経験から、とくに小企業がそんなサービスを強く求めていることを知っていたからだ。Scottがデベロッパたちにその話をすると、全員口を揃えて、“いいね。ほしいね。金払ってでも使うよ。ステータスページまではなかなか手が回らないからね”、と言った。

StatusPageのサービスは、ステータスページを作るだけなら無料だが、それをユーザが自分のブランドとドメインで一般公開するときは有料になる。ページは、そのユーザ企業が重要とみなす測度…APIのレスポンスタイム、バックグラウンドジョブ、エラー、システムダウン、などなど…を追跡する。最近では、Pingdom、New Relic、Datadog、TempoDB、Webmon、Libratoなどのサードパーティからもらったデータも表示できる。

いろんな測度の現状/現在値を表示するだけでなく、ユーザ企業はそのページから、問題に関して顧客とコミュニケーションし、対策について報告できる。そのためにメールやテキストメッセージングも使える。またユーザ企業はダッシュボードの上でそれまでの事故履歴などをグラフィカルに見ることができる(その)。

基本プランは月額19ドルで、ページとドメイン(status.社名.com)が提供される。月額79ドルでは、SMSによる通知が加わり、また表示する測度をカスタマイズできる(その企業が必要とするデータ)。さらにその上には、ビジネスプランとエンタプライズプランがある。

Scottによると、ユーザ登録をしてから基本プランのページが表示されるまでの時間は15分から30分ぐらいだ。彼曰く、“自分でなかなか作れないのは、開発の納期が厳しいからだ。だからうちが作るステータスページは、デベロッパの手と時間をいっさい煩わせないものでなければならない”。こんなページは、CSSの初歩を知ってて会社のロゴなどの画像が手元にある人なら誰にでも作れる、Scottはそう説明する。“デベロッパが忙しければ、事務職にだって作れるよ”。

今後は、もっとカスタマイズの幅を広げたい、と彼らは考えている。とくに大規模なサイトでは、今どのサービスがどのユーザに影響を及ぼしているかを、明確に表示する必要がある。マルチテナントの場合はとくに、誰にでも情報を見せるのではなく、関係ある情報を関係ある顧客にだけ見せる、という粒度が必須だ。

StatusPageの類似サービスには、StashboardOffsitestatusWhiskerboardなどがある。彼らは今日の一般公開デビューの前にHacker Newsの上で非公開でローンチしたが、その間に登録アカウント450を獲得し、そのうち50は有料顧客だ。

今はわずか3名のチームが、Y Combinatorに近いMountain Viewにオフィスを構えている。しかし今後は、Dannyだけを残してリモートで仕事をするつもりだ。Scottはコロラド州Fort Collins、Steveはノースカロライナ州Durhamとなる。まだ、新たな資金調達の予定はない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


山ほどある写真共有アプリの中で健闘するKeepSafe, 写真を‘見せる’よりも‘見せたくない’で成功

KeepSafeは、携帯の上にパスワードで鍵をかけられるフォトギャラリーを作る。その同社がこのほど、Floodgateが率いるラウンドにより340万ドルを調達した。これまでの成長により同社のユーザ数は1300万名に達し、うち600万は毎月アクティブだ。

あまり適切な言い方ではないが、KeepSafeの市場はSnapchatのそれとやや重なっている。Google Playストアのリビューには、こんなのが多い: “やばい写真を隠しておくのにベスト”、“セックスの写真を子どもに見られたくない人にはいいね”。

どうやら、自分の携帯を子どもに使わせる親が多いらしいね。そしてそのとき、アダルト的なコンテンツを見られたくないのだ。

とはいえ、このアプリのファウンダZouhair Belkouraの以前からの口癖は、“Keepsafeはもっと日常的な目的で使われている。たとえば仕事関連のスケッチやアイデアを友だちや家族など個人的な写真とは別にしておきたい、とかね”、だ。

でもこれまでは、プライバシーを重視するソーシャルネットワークや写真共有アプリはどれも、FacebookやInstagramなどに対し苦戦してきた。KeepSafeは、多くの人や親たちが、それらの人気写真アプリに対して感じていた問題を、うまく解決したようだ。

立ち上げはわずか1年半前だから、600万の月間アクティブユーザ数は立派なものだ。

今回の資金調達で、FloodgateのMike Maplesが取締役会に加わる。これまでの投資家Asset ManagementとStriveなども、今回のラウンドに参加した。

新たな資金は技術者の増員と製品開発部門の充実に充てたい、という。同社の売上源は、偽のPINロック画面がある、などの有料サービスだ。ふつうのPIN画面に加えて偽のPIN画面が欲しい、なんて根性は私には理解できないけど、秘密保持のためには念には念を入れたい、という人も世の中にはいるんだね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


不法コピーが激減。ただしノルウェーでの話

ノルウェーのIpsosの報告によると、同国における海賊行為は近年驚くほど減少した。有効な代替手段のおかげだという。例えば、音楽の不法コピーは、2008年には12億曲だったが、昨年は2.1億曲へと減った。昨年は約6000万本の映画やテレビ番組が不正入手されたが、5年前は1.25~1.35億本だった。結局、ストリーミングその他の有償コンテンツの利用によって、海賊行為は徐々に減少している。

念のため言っておくと、このデータはノルウェーのものであり、全世界を代表するものではないが、Spotify、Rdio、Netflix ― およびこれらのサービスのプラットフォーム別バージョン ― の人気を踏まえると、ハリウッドにできなかったことが起きているようだ。

Torrentfreakはこう書いている:

この海賊行為の著しい減少の原因は何か?第一に、これは海賊対策キャンペーンの効果ではない。ノルウェーで過去5年間に訴追されたファイル共有サイトはごく少数であり、それを変えるために法が緩和されたのは7月からだ。

ノルウェーはファイル共有サイトに対する攻撃の先頭に立っており、最近ISPレベルでサイトを閉鎖し、権利保有者が著作権侵害者を追求することを許す法案を通過させた。しかし「遅きに失した」感もある。同法は同国で起きた最低レベルの海賊行為とたまたま時期が一致したため、MPAA[米国映画協会]は、海賊の減少は強力な法律のおかげであり、安定した実用的で好ましい代替手段のためではないと屁理屈をこねるかもしれない。

ValveのGabe Newellは、「海賊行為に関して基本的な誤解があるとわれわれは思っている。海属行為はほぼ必ず、サービスの問題であり価格の問題ではない」と言う。もし、作品の提供間隔がまばらだったり、全く入手不可能であったり、価格差がひどかったりすれば、海賊行為の誘発力ははるかに大きくなる。何もかもがワンクリックで簡単に入手できるようになれば、市場はずっと面白くなり、製作者も消費者もずっと喜ぶはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


50億ドルの自社株買い戻しを抱えるYahooにはキャッシュの山, これからも大型買収の続行可能

Yahooの2103Q2の決算報告は微妙な評価になると思われるが、その中の一部の記述は、誰もが知りたがっていたあることに、答えている。あれほど大量に買収をして、お金は大丈夫? そう、Yahooにはまだまだお金がだぶついていて、これからだって、なんぼでも買収ができちゃうのだ。その証拠が、同社の株式買い戻し事業だ。報告書はこう述べている: “2013年の第二四半期においてYahooは2500万株を6億5300万ドルで購入した”。これの総事業費は50億ドルとされている。しかもこれらの株は、いつでも売って現ナマと交換できる。

2012年の9月にMarissa Mayerは、Yahooが保有するAlibabaの株の40%を76億ドルで売ると決定した。そのうちの36億5000万ドルは、Yahooの株に再投資するために取り置かれ、同社が自分の未来に自信を持っていることが証明された。

今日の決算報告でCFOのKen Goldmanは、こう述べている: “Alibabaグループからの36億5000万ドルを株主にお返しし、合計1億9000万株を再購入する措置が基本的に完了したことを、ここにお伝えできることは、欣快である”。

しかし、それだけではない。SECから認められた株買い戻し計画の総額は50億ドルだが、同社はその完了を目指している。つまり、11億ドルでTumblrを買ったりしたから、もうお金がないだろう、という噂は、文字通り根も葉もない噂だった。

企業が自社株を買い戻した場合、その株は後日、廃棄または再発行できる。再発行した場合には、既存の株が希釈されずに新株の番号は前と同じ番号だから、まるで何事もなかった様相になり、会社にとっては大きな勝利だ。

そのほかのアドバンテージもある。たとえばそれはYahooの強い自信を示し、自社の株を最良の投資機会として訴求できる。下図のように、既発行株の減少により株価はやや上がっている。

過去12か月、Yahooの株はきわめて好調だ。2012年7月16日に15ドル65セントだった株価が今日(米国時間7/16)は26ドル88セント、わずか1年で71.8%という驚異的な伸びだ。伸び率ではGoogleやAppleやeBayを凌いでいる。

というわけで、今のところ、Yahooの株式買い戻し事業は奏効し、同社は買収に36億5000万ドルあまりを投ずることができた。同社のポートフォリオの価値は、今ではさらに上がっているからだ。株価がこのように上がり続けるかぎり、それは良い戦略だ。

そこで本日の決算報告は起業家やVCたちに、あることを教えている: Yahooは買収三昧を今後も続けることができる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoft、iOS版Outlookアプリを公開するも誰も使いそうにない

OutlookがiPhoneとiPadで使えるようになった。ある意味で。Outlookのフル機能を期待しないこと。これはMicorosoft OfficeのOutlookアプリ〈ではない〉。メール、カレンダー、連絡先の簡易版アプリで、Windows 8に入っているものとほぼ同じだ。今すぐiOSデバイス用に無料でダウンロードできる。しかし、いつものMicrosoftらしく、話はそう簡単ではない。

Outlook Web Appという紛わしい名前のアプリを使うには、Microsoftのクラウドベースの生産性スイーツであるOffice 365の定期購読が必要だ。これはiOS版Officeを使うために必要なものと同じで、年間100ドルが必要だ。どうやらMicrosoftは自社アプリを誰にも使わせたくないようだ。なぜなら、もしこのアプリが無料だと、MS Surface RTの主たるセールスポイントがなくなってしまうからだ。

これは残念な話だ。このOutlookアプリはWindows 8のフラットスタイルをiOSに持ち込む上質のアプリだからだ。さらに、プッシュ通知とリモートデータワイプをサポートするネイティブiOSアプリでExchangeをサポートできるようにもなる。

Outlook Web Appは、Oultook.com機能の大半を提供しているようだ。メール、カレンダー、および連絡先が使用できる。音声入力、2カラム表示、Bingマップの統合も。ルック&フィールはWindows 8版アプリとよく似ていて、両プラットフォームのユーザー(私のような)にとっては馴じみやすい。

もちろんこれはOutlookのフルバージョンではない。MicrosoftはiPad、iPhone用にそれを提供することはないだろう。これは単なるメールアプリなので、それ以上のOutlook.comでできることは望まない方がいい。

先月iPhone向けにOfficeが公開された時にも指摘したが、MicrosoftはiOSとのきわどい境界線上を歩いている。一方で自社の中核製品を新しいプラットフォームに持ち込もうとしている。しかし、そのために自身の巣立ったばかりのプラットフォームと共食いさせることはできない。結局、Officeのフルパワーをタブレットで使うためには、Windows 8またはRTのデバイスを買う他はない ― Microsoft Surfaceのような。

Microsoftは大衆を無視して、改宗者たちに向けて説教しているだけだ。年間100ドルのOffice 365購読が必要であることによって、Microsoftのアプリはバイラルに広がり新しいファンを把むチャンスを完全に失っている。今、iPhone用OfficeやiOS用Oultlookを使えるのは、有償Microsoftユーザーだけだ。そしてそれは、iOSユーザーのごく僅かな割合にすぎない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Chrome 29ベータはAndroidにWebRTCとWeb Audio APIを実装, デスクトップではOmniboxを改良

Googleが今日(米国時間7/16)、Chrome 29のデスクトップAndroid用バージョンのベータをリリースした。とくにAndroid版に重要な変化があり、オーディオ合成処理のためのWeb Audio APIと、リアルタイム通信のための最新API WebRTCをサポートしている。

デスクトップ版(Windows、Mac、Linux)のアップデートには、omniboxの改善提案が取り入れられ、ユーザが最近訪れたWebサイトが尊重されるようになった。このほかデスクトップバージョンでは、WebMによるビデオ再生でGoogle自身のVP9コーデックがサポートされた。


ただしWeb Audio APIが当面使えるのは、NEONオプティマイゼーションをサポートするARMデバイスのみである。これは、ARM Cortex-A8プロセッサで導入された新しい命令を実行する方法のことだ。Web Audio APIをサポートしている実機の上では、ここでそのデモを楽しめる。デスクトップのChromeでは、かなり前からサポートされている。またiOSと、今回のAndroid用ベータもサポートしている。

なおFirefoxは、先週のNightlyがこのAPIをサポートしている。

WebRTCは、このAPIを使うとビデオとオーディオによるリアルタイム通信がプラグイン不要でできる。それが、今回はAndroid用ベータでサポートされた。デスクトップのChromeは、このAPIを早くからサポートしたブラウザの一つだ。実装が今後さらに普及すれば、多くのデベロッパの関心がそれに向かい、Webブラウザのほとんど標準的な機能になるだろう。ChromeとFirefoxはすでにサポートしているが、MicrosoftはInternet Explorer 11までお預けのようだ。

WebRTCに関しては、Googleのビデオチャットのデモがここにある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Googleマップ、新インターフェースを全体公開

去る5月のI/Oカンファレンスで、Googleが新しいマップインターフェースを披露したことを覚えているだろうか。ついにやってきた。

厳密に言えば、新しいマップはしばらく前から使えている ― ただし、発表直後に招待リストにサインアップして、今日Googleが全員に向けて門を開くまえに呼ばれていればの話だ。(私は発表の数時間後にサインアップしたが、招待されたのはつい1~2週間前だった)。

何が新しくなったかをおさらいしておこう。

  • 新しいフルスクリーン・インターフェース
  • ビットマップタイルの代わりにベクトルデータを使用し、読み込みや操作が早くなった
  • ズームアウトが〈はるか〉彼方までできる。宇宙へも。Google Earth風の宇宙ビューを採用。ただしCPUが十分で強力で対応ブラウザー(ChromeまたはFirefox)を使っている必要がある。
  • 有名な場所をユーザー投稿写真をつないだ画面で探索できる。これは実用というより観光目的だが、十分一見の価値がある(主要都市(サンフランシスコ等)へ行き、右下隅の拡大矢印をクリックすれば見える)
  • 殆どの行先案内で、自動車経路以外の代替手段が提示される
  • 公共交通機関の所要時間や乗り換え駅を比較できるグラフ表示

ただしちょっと待った! 今すぐmaps.google.comに走って新しいルックスが見られることを期待しないこと。待ち行列は解消されたが、使うためにはオプトインが必要だ。そのためにはこのページへ行き、最下端までスクロールして「使ってみる」ボタンをクリック。これですぐに使えるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Googleストリート・ビューでエッフェル塔をじっくり観光―古い写真やエジソンが録音した設計者の声も

今日(米国時間7/16)、Googleはパリのエッフェル塔のすべての展望フロアの 360度ストリートビューを公開した。数週間前、Googleは世界最大のビル、ドバイのブルジュ・ハリファのストリートビューを紹介している。しかし今回のエッフェル塔の場合がユニークなのは、現在のパノラマ写真だけでなく、Google Cultural Instituteとエッフェル塔運営会社が協力して、ストリートビューに過去の文化遺産を組み込んで展示していることだ。

この展示には50点以上の古い写真や版画、設計図などが含まれている。Googleによれば「エッフェル塔の歴史と19世紀の社会への大きな影響を物語る」資料だという。この資料の目玉のひとつはトーマス・エジソンが録音した塔の設計者のギュスターヴ・エッフェルの声だ。

Googleがストリートビューの撮影トロリーを持ち込んだ日は曇っており、晴天だった場合ほどの迫力がないのはいささか残念だ。

この数ヶ月、Googleはグランドキャニオンのトレール、グレートバリアリーフの水中写真動物園運河廃墟になった日本の島〔長崎県の軍艦島〕、スキー場などストリートビューに次々と新しい世界を加えてきた。Googleは先月だけでもアジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、北アメリカで1000箇所近いストリートビューを加えている。〔ユネスコ世界文化遺産のストリートビューのコレクションでは白川郷の民家などが紹介されている〕

拡大マップ

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ジェスチャー・インタフェース・テクノロジーがますますホットに―OmekをIntelが買収(確認ずみ)

Googleがイスラエルのクラウドソース・カーナビのWazeを11億ドルで買収したことが記憶に新しいが、今日(米国時間7/16)、ジェスチャーを利用したインタフェースを開発しているイスラエルのスタートアップ、Omek InteractiveIntelが買収したという情報をわれわれは独自の情報源によって確認することができた。Omekに対してIntelは以前から投資していた

また、イスラエルのCalcalistの記事によれば、MicrosoftのKinectに利用されているジェスチャー・テクノロジーを開発したPrimeSenseの買収をAppleが試みているという。

こうした動きを合わせて考えると、Kinect的なジェスチャー・インタフェースの利用が今後大いに進みそうだ。

ただしApple/PrimeSenseの噂はいささか根拠が薄弱で、「まったくのでたらめだ」と否定する関係者もいる。PrimeSenseはこれまでにGeminiIsrael Funds、Canaan Partners、Genesis Partners、Silver Lake Partnersなどから3000万ドル近い資金を調達している。

一方、われわれはOmekを電話で取材したが、その相手はくすくす笑って(本当だ)、「話はIntelに聞いてもらいたい」と言った。

アップデート: Intelは私の取材に対してOmekの買収を確認した。同時に、「報じられている買収価格をIntelとして確認したことはない。またこのテクノロジーを利用した製品計画について現在コメントはできない」と付け加えた。

Omekの買収価格については3000万ドルから5000万ドルと観測されている。Omekはこれまでに1380万ドルの資金を調達しており、うち700万ドルはIntelCapitalからの投資だ。Intelがなぜ戦略的投資の枠を超えて買収に踏み切ったのか、いくつかの説明が出ている。

その一つはVentureBeatの記事で、これによると、両者は今年3月に交渉を始めた。当初、Omekは新たな資金調達をもくろんでいたが、結局エグジットの道を選んだという。

もうひとつの観点は、Intelは3Dヴィジュジュアル化とパーセプチュアル・コンピューティングの実現という野心的な戦略の重要な要素としてジェスチャー・テクノロジーを必要としていたからだというものだ。パーセプチュアル・コンピューティングというのは音声、タッチ、ジェスチャーなどAI解析を必要とする感覚的インタフェース全般を指すIntelの用語だ。この4月にスタートしたIntelの1億ドルの投資ファンドの対象もまさにこの分野だ。

第3の説明はもっと散文的なものだが、それだけに真実をうがっているかもしれない。GeekTimeによれば、この買収はハードウェアのセールスをテコ入れするためだという。IntelはOmekのテクノロジーをチップに焼きこみ、製品の差別化に役立てるつもりだろうという。

PrimeSenseのニュースの真偽はさておき、9to5Macはジェスチャー・テクノロジーを含む知的所有権が、Apple TVのようなユーザーのリビングルームで使われるプロダクト分野をも制覇したいというAppleの野心にとってきわめて重要であるという説得力ある分析をしている。

いずれの説によるにせよ、ジェスチャー・テクノロジーの重要性が増していることは疑いない。近い将来、われわれは手の動きや指のサインでコンピュータを操る時代に入りそうだ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「Stores.jp」のブラケットを完全子会社化 – 時価総額は約6億5000万円

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは「Stores.jp」などを運営するブラケットを簡易株式交換により完全子会社化したことを発表した。

スタートトゥデイはブラケットの1株に対し、350株を割当て、合計31万5000株を割当て交付している。スタートトゥデイの株価は現在(7月16日13時30分)2,071円なので、ブラケットの時価総額は約6億5,000万円となる。

プレスリリースによると、Stores.jpの店舗数は約4万を越え、その内70%以上はアパレルカテゴリー関連のストアだという。ストア開設者からの販売支援や物流サービスに対する需要が高まっていることなどを考慮し、両社のシステム基盤やサービス耐性を連携させ、さらに拡大成長を実現させたいとのこと。

ブラケットというと、最近はStores.jpが話題になることが多かった。昨年8月末にリリースされた同サービスはフリーミアムモデルで、4カ月後には黒字化、黒字化後は無料ロゴデザイン、ストアカード作成、段ボールの提供など、ストア開設者の満足度を向上させるべく、様々な取組みを行ってきた。

また、ブラケットは他にも様々なファッションサービスを展開していて、オンライン上で靴をデザインし、購入できる「Shoes of Prey」、モデルのマッチングサービス「ModelTown」、オンライン上でワンピースをデザインし、購入できる「PrivateRobe+」などがある(一覧はこちら)。

Stores.jp以外にもこうしたファッション系のサービスを多く展開していることから、スタートトゥデイとのシナジー効果は大きいだろう。

後ほど、今後の展開については取材してアップデートする予定だ。


クラウド上のコードエディタCodeanywhereがシリーズAで60万ドルを獲得

クラウド上のコードエディタKodingはこれまで925万ドルを調達し、近年は同類のCloud9 IDE登場した。しかしこの分野でいちばん大きなCodeanywhereはユーザ数15万に達し、WebホスティングSite5 Webの親会社であるWorld Wide Web Hosting, LLCからシリーズAで60万ドルを調達した。資金は主にスケーラビリティ、ユーザ獲得、および新機能の開発に充てられる。企業の資本効率という点では、サンフランシスコのKodingよりも良さそうだ。

前はPHPanywhereという名前だったCodeanywhereは、Web上のコードエディタを提供することによって“デベロッパのためのGoogle Docs”になることを志向している。使い勝手はデスクトップのコードエディタと変わらないが、しかしどのブラウザからでも使える。そしてバックアップはクラウド上にリアルタイムで作られていく。

Codeanywhereの協同ファウンダIvan Burazinのヴィジョンは、“クラウド(上の)開発の業界標準になること”だ。

Codeanywhereは言語のシンタクスをチェックし、変数名やキーワードなどを色分け表示する。ブラウザはどのブラウザでもよく、デバイスもどのデバイスでもよい。プラットホームはiOS、Android、Windows 8、Blackberryなど何でもOKだ。Web開発に用いられる主な言語をすべてサポートし、また複数のデベロッパがリアルタイムでコラボレーションできる。

Site5のファウンダBen Welch-Bolenによると、同社の魅力は“チームの才能とまとまりの良さ”だ、と言う。

Codeanywhereの社籍はクロアチアにあり、無料と有料の両バージョンを提供している。有料バージョンは月額5ドルで、近くチームで使う有料バージョンが可利用となる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Google株、今週の決算発表を控えて市場最高値を記録

Google株が急騰している。2013年6月24日以来株価は7.32%上昇し、NASDAQ開場直後に史上最高値を更新する926.47ドルを記録した。木曜日(7/18)の収支報告を控え、期待は極めて高い。悲喜こもごもだった2013年Q1の後、同社にはアナリスト予測を越える売上が期待されている。

Q1決算後、Google株の終値は765.91ドルだった。今日の史上最高値は、約3ヵ月間で20.96%高という驚くべき上昇を意味している。言い換えると、Googleの時価総額、3040億ドルは500億ドル増えている。繰り返すがこれはわずか3ヵ月間の出来事だ。

本稿執筆時点で、株価はわずかに下がり917.59ドルだ(前日の終値からは0.59%安)。Googleは今日何も発表する予定がないため、この史上最高値は、おそらく大がかりな金融決定によるものだろう。Google株が、ふだんより多くのポートフォリオに組み込まれているのかもしれない。

それでも、決算発表を間近に控え、今日のニュースはGoogle全体を改めて熟視する良い機会だ。最近、Googleはより焦点を絞った会社になった。業績の低い製品を切り、愛されたサービス、Google Readerでさえ例外ではなかった。買収に関しては、以前ほど無鉄砲ではなくなった。今年Googleは、「Motorolaを引っぱる」ことなく、小さくてより戦略的な買収を行いつつある。Wazeには11億ドル払わなくてはならないが、Motorolaとその数千人の社員と比べれば小さい。広告は未だにGoogle売上の大半を占めている。

2013年のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスは、会社の新しい焦点を示す好例だった。Google TVやNexus Qのような失敗する大胆な製品の代わりに、GoogleはAPIおよびGoogle+やGoogle Mapsのような中核製品について話した。

Google+は明確な成功とはまだ言えないが、このソーシャルネットワークには十分なリソースを注ぎ込んでいる。しかしGoogle製品はこれだけではない。Android、Chrome、YouTube、Google Maps、そしてもちろんGoogle検索は、今もGoogleのロードマップにとって非常に重要だ。もしこの会社が収益を多様化する方法を見つけたなら、投資家たちが喜ぶのはまちがいない。

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(翻訳:Nob Takahashi)


スマホでタクシーを呼べるUber、「割り勘」で益々便利に

オンデマンド輸送のUberが今日また新しい機能を発表し、さらに手軽に利用できるようになった。最新のソフトウェアアップデートでは、他の乗客と料金を分割支払いできる。これで友達と相乗りする時の負担を減らせるだけでなく、ユーザー基盤の拡大も期待できる。

最新アプリでは、利用者は車を呼んだ後「料金分割」機能を選び、連絡先から友達を招待したり、手動で携帯電話番号を入力することができる。するとアプリから同乗者にメッセージが送られ、そこのリンクからアプリを開くか、ダウンロードして支払い情報を入力する。

Uberはこの新しい料金分割機能によって、価格的に益々コモディティー化しつつある市場の中で、自社サービスをより利用しやすくできる。スタート後の数年間、Uberの主なライバルは流しのタクシーや配置業者で、早くて確実な配車を特徴としてきた。そして利便性と信頼性の代価として付加料金を課している。

今やUberは、LyftやSideCarといった他の乗り合いスタートアップから、低コストの戦いを仕掛けられている。対抗してUberは、サンフランシスコでuberXサービスの料金を劇的に値下げした。料金分割機能によって、Uberは複数乗客による利用がさらに便利になる。

副次効果とし、まだUberで支払ったことのない乗客のスマートフォンにアプリをインストールできる。これは今後の潜在利用者の増加を意味する。

2009年の設立以来、Uberは計5700万ドルを調達した。出資者には、Menlo Venters、Benchmark Capital、Goldman Sachs、Jeff Bezos、CrunchFund、First Round Capital、Lowercase Capital、Founder Collective、 および多くのエンジェル投資家らがいる。

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(翻訳:Nob Takahashi)


判断をクラウドソースするCrowdFlower, 累積判定数が10億に達す

タスクをクラウドソースして管理するサービスCrowdFlowerが、協力者たちによる“判定”(judgment, ジャッジメント)の件数が10億に達した、と発表した(何かを“判定する”ことが、ここでのタスクなのだ)。

同社によれば、判定こそが同社の“マイクロタスク…すごく微小なタスク…の要(かなめ)”だ。企業ユーザはCrowdFlower経由で、画像が適切か、とか、マーケティング用のデータベースに載ってる住所は完全か、などを判定してもらう。10億件めの判定は、ブラジルのカリアシカに住む人が、合衆国の企業のために、オーストラリアの小企業に関するデータベースの細部を、検証した結果だった。

CrowdFlowerは、Chris Van PeltとLukas Biewaldの二人が創業した。Biewaldが、同社のCEOだ(彼はぼくの学生時代のルームメイト)。同社は2009年のTechCrunch50でローンチした。

同社によると、現在の協力者は500万名あまりいる。最近は、誰かのスキルをテストする機能を設けたから、そのぶん、協力者たちの質も上がったし、またCrowdFlower自身の、協力者の能力を“判定”する能力も、上がったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


本を3Dプリントで作ることに十分な意味がある, という作例

デザイナーのTom Burtonwoodがデザインした本は、その中に、彼が住むシカゴの博物館/美術館や建築物から採取したテクスチャ(立体組織)がある。その本はアコーディオンのような形をしていて、orihon(折り本)と呼ばれ、だいたいどんな3Dプリンタでも作れる。

彼はこう書いている:

このプロジェクトのきっかけは、シカゴのColumbia CollegeのCenter for Book and Paperから作品を依頼されたことだった。その展覧会のテーマは、“オンデマンド印刷”と“写真集”だったが、それへのぼくの答えがこの“本”だ。

この本は、紙の代わりに3Dプリントされたプラスチックの板を折りたたんだもので、使われているプラスチックの量も多く、相当複雑だ。でもBurtonwoodは、お遊びと実用性をうまく両立させている。多くのアーチストたちにとって、3Dプリントを作品に利用するときの参考になりそうだ。

その本はここでダウンロードできるが、もちろんあなた自身が、彼のテンプレートを利用して怪獣図鑑や市内各地のトイレットの座面集などを3Dプリントで作ってもよい。あるいは、彼がデザインしたペッツ・ディスペンサRMuttを3Dプリントでコピーしてみるのはどうだろう。いずれにしても、クールな作品だね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Microsoftの学生コンペImagine Cup 2013, 優勝者決まる(本選には世界71か国から参加)

ロシアのサンクトペテルブルグで行われたMicrosoft主催の学生テクノロジコンペImagine Cup 2013はさきほど、Dr. WhoのMatt Smithがホストを努める元気活発な授賞式で幕を閉じた。今年は、「世界市民」、「ゲーム」、「イノベーション」という三つのカテゴリーでそれぞれ優勝者が決まり、賞金5万ドルずつが贈られた。優勝チームの国籍は、イギリス、ポルトガル、そしてオーストリアである。各カテゴリーの二位三位はそれぞれ、1万ドルと5千ドルを勝ち取った。

「世界市民(World Citizenship)」賞は、患者の血液型を迅速安価に調べられるシステムを作ったポルトガルのAna Ferrazがもらった。台湾のOmni-Hearing Solutionが二位、オーストラリアのConfufish Royaleが三位だった。

「ゲーム」のカテゴリーでは、オーストリアのZeppelin Studioが、パズルのプラットホームScheinで優勝した。インドネシアのSolite Studiosが二位、フランスのBanzai Lightningが三位になった。

「イノベーション」部門ではイギリスのColinkedが、BluetoothやWi-Fiで即席にソーシャルネットワークを作れる携帯アプリSoundSYNKで優勝した。スロベニアのDORAが二位、タイのMYRAが三位だった。

さらに、Microsoftの技術に絞った三つの特別賞があり、まずWindows Phone Challenge賞はWindows Phone用の音声によるリマインダーを作ったシンガポールのvSoft Studioが獲得した。さらに Windows Azure Challenge賞(とMail.ru賞)はインドのY-Notsへ、Windows 8 App Challenge賞はイタリアのTeamNameExceptionへ行った。

また女性の権利と保護のために国連が設けたUN Women Award賞は、携帯を補聴器として使う台湾のOmni-Hearing Solutionと、マラリア検査技術を開発したウガンダのCode 8が取得した。

主催者Microsoftと協賛のKFC、Samsung、Facebook、Mail.ruを合わせると今年の賞金総額は100万ドルを超えた。各地の予選には25000名あまりの学生が参加し、71か国87チーム309名の学生がロシアで行われる本選に招かれた。このコンペは、今年で11回目である。来年のImagine Cupは、ワシントン州レドモンドのMicrosoft本社で本選が行われる。

昨年までのこのイベントでは、「世界市民」と「ゲーム」に力点が置かれていた。しかし今年は「イノベーション」部門が加わり、参加者や作品の幅が広がった。作品は、必ずしも“人類社会の改善向上”に寄与するものでなくても、よくなったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


スマートウォッチのPebble、Kickstarterと予約注で27.5万台を販売。アプリは100万ダウンロード達成

スマートウォッチのスタートアップ、Pebbleは、同社のウェアラブル・コンピューター・アクセサリーが、昨年著しい成功を収めたKickstarterプロジェクトで19万台の予約注文を受けたことを初めて公表した。これでスマートウォッチの予約総数は27万5000台になる。未開の市場に向けて売られているデバイスとして印象的な結果だ。

Pebbleの共同ファウンダー、Eric Migicovskyは私に、総注文数を発表したかった理由は、同社がBest Buyでの販売を発表したことに合わせ、Kickstarter支援者向けに出荷することの挑戦について少しでも伝えたかったからだと話した。Best Buyでの反応も非常に良好だが、具体的な数字はまだ言えないとMigicovskyは言った。Pebbleは、すでに多くのBest Buy店舗で売り切れている。

Kickstarterキャンペーン完了後の6~10ヵ月間は、出荷だけに集中していた。Migicovskyによると、それは優先事項ではなく「唯一」事項だったと言う。今、スタートアップはその焦点を会社の長期的目標達成に向け始めた。この中には、需要を満たし、予約注文した人全員が間違いなくデバイスを受け取ることも含まれており、来年にかけて実現する計画だ。しかし、もう一つの重要な優先事項は開発者のサポートであり、Pebbleは今それに注意を向け始めている。

「今わが社の焦点は、サードパーティー開発者にシフトしつつある」とMigicovskyは言う。同社によると、これまでに100万本以上の時計アプリがPebbleデバイスにダウンロードされていることが、iOSおよびAndroidアプリ経由のインストール記録からわかっている。すでにPebble SDKに関する活発なコミュニティーも出現しており、Pebbleはそこに費用や開発努力を注いでいる。

「これはデベロッパーの作るアプリが良くなっていくという意味だ。われわれはデベロッパーのアプリをどうユーザーに届けるかに集中する。こうした考えを伝えることは、わが社だけでなくデベロッパーの関心事でもある」

Pebbleは市場への参入に成功した今、このスマートウォッチを長続きする堅牢なプラットフォームにするための2つのゴールに集中することになる。もちろん、27万5000という彼らにとっては魅力的な数字も、準備中と噂されるiWatchをAppleが発売すば、さほど驚くものではなくなる。しかしそれは未知の話であり、Pebbleとしては現市場での位置を確立することが今できる最良の行動だ。

Migicovskyは、今日RedditでAsk Me Anythingを行うので、彼がPebbleの将来について詳しく語る良い機会になるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi)


Dropboxはどうやってユーザ数175Mにスケールできたか?–初期の技術者が経験を語る

今日は本誌定番のすばらしい起業家たちやすばらしいVCたちのお話からすこし離れて、技術のお勉強をしよう。覚えておられると思うが、最近Dropboxは、ユーザ数が1億7500万に達したと発表し、もうハードディスクは要らない、という大胆な発言をしてニュースになった。すごいことだけど、でも、その背後にはどんな技術があるのだろう? スタートアップは、成功するためにスケーラビリティをどうやって確保すべきか? しかも、ユーザ数何億というレベルにまで…。そしてその秘訣は、相当早くからとてもシンプルで柔軟性のあるプラットホームを作っておくことに、あったのだ。

今日(米国時間7/11)ブダペストで行われたRAMPカンファレンスで、以前Dropboxでサーバ担当の技術者だったRajiv Erankiが、会場を埋め尽くす技術者たちを前に、その概要を述べた。彼は2008年にDropboxに入り、2011年に辞めた。“もっと違うことをしたかった”からだが、その中にはニューヨークでカクテルバーを開くことも含まれていたらしい。なお、RAMPの主催者は、ハンガリーに生まれて世界的にビッグなスタートアップになったPreziUstream、そしてLogMeInだ。

大学に残れという話もあったErankiは、結局ふつうに卒業して当時まだユーザ数2000のDropboxに入った。彼ともう一人の計二人が、正社員としてバックエンドのスケールアップを担当した。そのころのDropboxは、データベース専用機が一台、フロントエンドのサーバが一台、という構成だった。

Erankiによると、初期のチームは“効率の悪いことをたくさんやりながら、数千というオーダーのユーザに対応していった”。

たとえば、Dropboxが最初に行ったデータベースのシャーディング(sharding, 分割)は、バグだらけだった。複数のデータベースにまたがるJOINを一本化できず、大量の非正規化(denormalization)をやった。

しかし、とくに大きな変更を加えたということはなくて、Dropboxの初期のこのような、行き当たりばったり、その場しのぎのやり方には、技術的に便利な面もあった。

たとえばユーザの行動に関するクェリを、コードを1行も書かずに簡単に実行できた。必要に応じて、複数のデータベースにまたがるJOINができた。MySQLのクェリを動かしながら大量のバグフィクスができる、という構造だったので、とても便利だった。大量の共有フォルダのあるユーザでも、データベースのクェリは一回でよかった。また、フロントエンドはつねに一つだったので、彼らが見るべきログも、つねに一つだった。

こういう、その場その場の工夫の積み重ねにより、“柔軟性とスケーラビリティの大きいシステムができあがった”、とErankiは言う。

つまり、最初のうちはデータベースを分割しなかったため、いろんな作業が複雑になることを避けられた。初期の取り組みから得られたもう一つの教訓は、言語としてPythonを選んで良かったなぁ、ということ。それは、何でも書ける、何でもできる言語だった。

ユーザ数が100万になっても、全プラットホームが前と同じ数百行のコードで動いていた。コードが数千行に肥大することはなかった。Pythonを使ったことによって、“何千行ものCのコードを書くことなくユーザ数4000万に達することができた”。クライアントアプリケーションも、Pythonで書いた。

彼らが重視したのは、開発、管理、そしてメンテナンスの容易さと、コードの堅牢性/確実性(シンプルで壊れにくいこと)だ。また、大量のグラフを出力する管理ツールを捨てて、簡単なダッシュボードを作り、そこからパフォーマンスを分析した。“ほとんどのグラフは何の役にも立たない”、と彼らは悟った。ダッシュボードではグラフを多用せず、項目と値をそのまま書いた(「ログインの失敗」など)。また、余剰クェリはmemcacheする、SQLクェリの最適化を遅らせるなどの、“ゆとり策”をとった。

そして分かってきたのは、“毎日のようにDropboxを大量に使うユーザは、それをCDNの代わりに使うなど不当な使い方をしている人か、または単なるバグだ”ということ。そして、ふつうの、まともな使い方をしている中位ユーザたちが、将来のDropboxのビジネスの基盤だと気づいた。特異な上位ユーザに目を奪われずに、ふつうのユーザをたいせつにする。そこからDropboxはビッグビジネスに育っていった。

Erankiはまた、次のようなレッスンも学んだ。

彼によると、前もって配慮したこと、“先走って巧妙を追うこと”は、必ず失敗した。むしろ、何もせずに、よく注視しながら成り行きにまかせるのがベストである。

ものごとが‘マーフィーの法則’的にまずくなるのを事前に防ぐためには、たとえばWebサーバをハードリブートして、それが自動リスタートできるかチェックする。できなければ、問題が起きている。

ログデータはきちんと保存することが重要。そして、古いコードは消さない方がよい。どちらも、あとになって必要になることがあるからだ。“消す必要のないものはそのまま残せ”、が鉄則だ。そして初期の経験から学んだのは: 新しい技術の導入には疑いの気持ちをもって…眉に唾をして…臨め、だ。

Erankiは、自分が犯した間違いからも学んだ。

ダウンタイムやパフォーマンスの劣化を、詳細に記録しなかった。

新規雇用は早めに。土壇場になって人を雇っても、ほとんど役に立たない。前もって、会社やシステムのことをよく知る期間が必要である。また、そういう人が多くなれば、今後の新規雇用も楽になる。

Erankiが初期のDropbox経験から学んだことの核心は: “前もってアーキテクチャに関してクレバーであることは難しい”、そして、“円滑なスケーリングのためには、プロジェクトの正しい優先順と、それらの構築プロセスが重要”、ということだった。

Dropboxは今の1億7500万から10億にスケールできるか、と聞かれた彼は、できる、と答えた。だって、今の5倍大きいだけだからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


SkypeとMicrosoftは、通話とメールをNSAに提供していた(The Guardian報道)

英The Guardian紙が新たな機密文書を暴露し、SkypeとMicrosoftの両社が米国スパイ組織に協力し、メールとビデオチャットの内容を提供していたことが明らかになった。これらのデータが無差別に集められたものか、特定の対象を標的としたものかは不明だが、文書から判断すると、NSAは個々の要求について個別の令状を必要としていなかったと思われる。

「Prismシステムに新たな情報提供者を迎えるためには、協力的チームワークが不可欠だった」と文書に書かれている。「この成功は、FBIが長期間Microsoftの協力を得て任務を果たしデータ収集を実現した結果だ」。

NSAは暗号化前のデータを入手していたと報道されている。「Prismによる、Hotmail、Live、 およびOutlool.comメールのデータ収集は影響を受けない、なぜならPrismは暗号化以前にデータを収集しているからだ」

諜報員らは、Skypeの傍受通話の音質にも大いに満足している。「フィードバックによると、収集したSkype通話は非常に明瞭で、メタデータも完全と思われる」。

MicrosoftはSkypeを2011年に買収したが、Skypeは買収以前から国家機関に協力していたという。

一番の懸念は、ある文書に、諜報員は情報を得るために特別な要請を必要としないと書かれていることだ。つまりアナリストらはこのためにSSO [Special Source Operation]を申請する必要がなくなる。多くのアナリストがこの手続きの存在すら知らない。

NSAの漏洩者Edward Snowdenは、SSOをNSA監視ツールの「至宝」と呼んでいた。

もちろん、Microsoft、Skype,および国家情報長官は、このプログラムの合法性を擁護する声明を発行している。全文を読まなくても、以下の万能文字列4つをランダムにつなぎ合わせれば、要点はわかる。

1. [われわれはユーザーのことを気にかけている]
2. [われわれはプライバシーを尊重している]
3. [これは合法である]
4. [われわれは米国憲法を愛している、約束する]

また合衆国憲法修正第4条が縮小される。

画像提供:Bryce Durbin

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(翻訳:Nob Takahashi)


電子レンジをハックして未来のレンジに変える開発者

本日の「なぜやるの? できるから。」コーナーへようこそ。

いい加減〈いまいましい電磁波を食料にぶつける〉だけの古くさい電子レンジに飽き飽きしているみなさん。たぶんアニメーションGIFも、Snapchatの送信も、Fergieのダウンロードもできない。

稀代のクールな開発者、Nathan Broadbentが彼のレンジに加えた改造は、2013年の誇りある電子レンジメーカーなら全員やるべきだ。音声命令! 調理時間をバーコードでプリセットド!自動時刻設定!!

Rasberry Picrowareをご紹介しよう。名前から想像できるように、これは電子レンジとRaspberry Piのマッシュアップ。新し物好きやハッカーやギークに世界中で愛されている25ドルのマイコンだ。

こんなことが出来るようになった:

  • インターネット経由の時刻合わせ
  • バーコードを読みオンラインデータベースから調理方法を取得する。そんなデータベースは実在しないので、彼が自分で作り、その場で追加もしている。
  • 音声命令。「レンジ君、解凍、20秒」等(悲しいかな、Nathanが言うにはキッチンの音響効果のためにあまりうまく働かないとのこと)
  • カスタム効果音(「ピー」はまぬけっぽいから)
  • スマートフォンでレンジを制御できる。私の考えるこの機能の唯一の使い道。後でポップコーンを食べたくなることがわかっていて、事前にレンジに入れておくことができる場合。あるいは、自分は世界一のギークだ、なぜならレンジをスマホで動かせるから、と友達に言いたい時。
  • 調理が終るとツイートする。理由は、もちろんそれが可能だから。

他のことはともかく、自動時刻合わせは欲しい。私の(2年前に買った)電子レンジは、時刻合わせに最も異常でありえないほど難解な手順でボタンを押す必要がある。だからわが家で停電があれば、少なくとも3ヵ月間は時刻が点滅することを意味している。

Piを電子レンジに組み込むこと自体がクールだが、ひとたび彼が深い部分に手を入れ始めれば、プロジェクトのスケールはぐっと大きくなる。Piをレンジの電源につなぎ、新しいコントロールパネルをデザインすることから、カスタム基板をエッチングで作り元の基板と入れ替えることまで。

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(翻訳:Nob Takahashi)