話者映像とPC画面を組み合わせ「非同期コミュニケーション」を支援するQudenのzipunkが5000万円調達、正式版も公開

B2BビデオコラボレーションSaaS「Quden」(クデン)を提供するzipunk(ジパンク)は2月7日、シードラウンドとして5000万円の資金調達を行ったことを発表した。引受先はOne Capital。同時にプランや機能を拡充した正式版を2022年2月よりリリースしたことを明らかにした。

調達した資金は、「プロダクト開発体制の強化」「PLG(Product-Led Growth)モデルの実践を通じたグロースサイクルの確立」「ユースケース・事例などのコンテンツ制作」、またこれらに必要な採用活動にあてる。

Qudenは、話者の映像とPC画面を自由に組み合わせた動画をワンクリックで作成・共有できるSaaS。テクニカルサポートやサービスの機能説明といったカスタマーサクセス業務に活用することで、顧客対応効率や顧客満足度が改善できるとしている。また、社内トレーニング用動画コンテンツや業務フィードバックに用いれば、繰り返し発生する定型業務やビデオ会議を削減でき、組織の生産性が向上するという。

同社は、Qudenを単なる画面録画ツールではなく「時間や場所に制約のない働き方を推進するコミュニケーションインフラ」と捉え、社内外のあらゆるワークフローに活用されるサービスを目指しているという。代表取締役CEOの兵藤佑哉氏は、「業務コミュニケーション手段として『非同期×動画』というフォーマットを活用することで、業務の中断を招く同期的(≒リアルタイム)なコミュニケーションを減らし、異なる時間帯や場所で働くメンバーとの協働がよりスムースになると考えています」とコメントしている。

またこの2022年2月にフリープラン(無料)と、より多くの機能を備えたチームプラン(月額750円)を用意し正式に公開した。フリープランの利用の際は、カード情報などは不要。話者映像とPC画面を組み合わせたビデオメッセージを作成・共有可能なQudenのzipunkが5000万円調達、正式版もローンチ

ジパンクは2019年12月に設立されたスタートアップ。「『働く』をもっと自由に」というミッションを掲げ、Qudenの開発と運営を行っている。

リモートでカットの指示が出せる撮影プラットフォームのSoona、シリーズBで約40.1億円調達

eコマースの劇的な成長と並んで、一部ではパンデミックが追い風となり、販売業者がオンラインビジネスに参入することを容易にするサービスの需要も増加した。Soona(スーナ)というスタートアップは、シリーズBで追加調達した3500万ドル(約40億1000万円)の資金をバックに、このマーケットに参入している。Soonaのプラットフォームでは、写真や動画の「仮想」撮影によって、ブランドのeコマース用ウェブサイトやマーケティングのコンテンツを作成できる。つまり、Soonaのテクノロジーを使えば、販売業者は別の場所で写真撮影を行うためにアイテムを送付してその結果を待つ代わりに、リモートかつリアルタイムでブランドの写真撮影プロセスに参加することができるのだ。

「私たちはブラウザで写真撮影に招待します。Zoom(ズーム)の会議に参加するのとそれほど変わりません」と、Soonaの共同創業者兼CEOであるLiz Giorgi(リズ・ジオルジ)氏は説明する。「カレンダーの招待をクリックすると、写真撮影の様子がブラウザに表示され、リアルタイムでキャプチャされる写真やビデオクリップをすべて確認できます。それらのアセットは操作できるので、お客様やチームはアセットのフィードバックをカメラマンに提供することができます」。

画像クレジット:Soona

Soonaの顧客は、構図の変更や、シーンの小道具の追加・削除、写真撮影のその他調整など、要望に応じてカメラマンとやり取りができる。その上、販売業者にとってサービスの前払いをしなくていいのはありがたい。写真1枚につき39ドル(約4470円)、ビデオクリップ1つにつき93ドル(約1万700円)を支払って、実際に必要なアセットだけ購入すればいいのだ。選び終えると、写真や動画は24時間以内に納品され、ウェブサイトやマーケティングチャネルにアップロードする準備ができる。また、いつでも過去の撮影記録にアクセスして追加のオーダーをすることもできる。

ビジネスの成功によって今回新たな資金の調達にこぎつけたSoonaは米国時間1月24日、Bain Capital Ventures(ベインキャピタルベンチャーズ)の取りまとめによって3500万ドル(約40億1000万円)の資金を新たに調達したとアナウンスしている。前の投資者であるUnion Square Ventures(ユニオンスクウェアベンチャーズ)、Matchstick Ventures(マチスティックベンチャーズ)、Starting Line Ventures(スターティングラインベンチャーズ)、2048 Ventures(2048ベンチャーズ)、Range Ventures(レンジベンチャーズ)もラウンドに参加し、Soonaの合計調達額はこれまでに5100万ドル(約58億5000万円)に達した。

ジオルジ氏のバックグラウンドは専門的なメディア制作だ。Soonaを始める前は、インターネットビデオ制作のMighteor(マイテアー)という自分の会社を経営し、その前はメディアおよびテレビの制作会社で働いていた。そうした経験を通して、コンテンツの作り方、特に美しいコンテンツの作り方を見定める目が養われた、と氏は述べている。一方、氏の共同創業者、Hayley Anderson(ヘイリー・アンダーソン)氏のバックグラウンドはアニメーションにあり、マイテアーのクリエイティブディレクターだった。マイテアーは後に、クリエイターネットワークのStandard(スタンダード)に買収された

ヘイリー・アンダーソン氏とリズ・ジョルジ氏(画像クレジット:Soona)

2人は2019年にSoonaを設立し、その年に最初の商品を発売した。最初の頃、Soonaの業務では、顧客に写真や動画の撮影のために実際のスタジオに来てもらい、ソフトウェアを使用して映像をすぐにアップロードして、顧客がすぐに購入できるようにしていた。しかしパンデミックのために、Soonaは再調整して仮想モデルに切り替えることを余儀なくされた。結果的には、このモデルを採用したことがビジネスの成長に役立った。パンデミックの最中に直接接触をともなう活動ができなかったときだけでなく、リモートワークが普通のビジネス環境になってからもそうだ。Soonaの収益は、2020年から2021年にかけて400%増加し、2021年から2022年にかけてさらに300%増加した。Soonaは年間収益の数字を公開しないが、ビジネス上の評価基準は非公開ながらも競争上の優位性に言及している。(参考までに)。

Soonaは現在、約1万の販売業者にサービスを提供しており、Wild Earth(ワイルドアース)、Lola Tampons(ロラタンポン)、The Sill(ザシル)、SNOW(スノー)、Birchbox(バーチボックス)などの顧客がいるが、サブスクリプションモデルではなく、取引ベースのビジネスをしている。ジオルジ氏は、これが商品市場に適していることが明らかになったと考えている。2021年は月ベースで、収益の63%はリピート客から得た。顧客の約60%は100万ドル(約1億1500万円)から500万ドル(約5億7300万円)のeコマースストアであり、その多くはShopify(ショッピファイ)を利用している。ショッピファイは化粧品、美容、健康、ファッション、履き物に強く、現在は消費者向けパッケージ商品や栄養商品の分野の成長が大きい。

「私たちのビジネスモデルは繰り返し型ではないかもしれませんが、ブランドでこうしたアセットが必要とされる頻度は高いレベルにあります。それで、こうした視覚的なアセットにいつどのようにお金を使い、投資するか、選択できるようにすることで、本当に簡単にSoonaを使い続けることができるようにしました」と、ジオルジ氏は述べている。「しかし、サブスクリプションを検討の対象から外しているわけではありません」。

現在、リモートでの写真撮影のために販売業者が商品を送付できるようにしている企業は、Pow Photography(パウフォトグラフィ)など他にもあるが、Soonaのようにリアルタイムではない。従来のeコマースサイト向けに「白地に商品」の写真、つまり白い背景の商品画像に主に重点を置いているライバルもいる。これは、たとえばリビングルームやキッチンセットの写真ショットで商品とモデルを組み合わせて作るリッチコンテンツなどとは逆である。一方、どちらかといえば市場方式で業者とカメラマンを直接結びつけようとする競合他社もある。

画像クレジット:Soona

しかし、Soonaの独自テクノロジーでは、オンラインでの写真撮影を計画するために必要なものをすべて顧客に提供する。人とペット両方のモデルやスタイリストを使用することもできる。モデルは、他のギグエコノミーの仕事と同様、契約ベースで働く。しかし、Soonaのカメラマンは、ギグワークとして仕事を請け負うか、フルタイムの従業員に移行することができる。現在、カメラマンは、フルタイムのスタッフとして約35人、請け負いで100人ほどいる。

Soonaは追加の資金を得て、モデルのサービスの市場を拡大することを目指している。この市場は現在、Soonaのビジネスで最も成長の速いセグメントの1つであり、実際、2021年のビジネス全体の20%を占めた。Soonaは、2022年にこのプラットフォームの規模を3倍にして、さまざまな人材のタイプを増やし、販売業者の顧客のために商品の見栄えをよくする新しい方法を取り入れることを計画している。また、精選したビジネスデータと販売業者の目標について尋ねることで、ブランドのためにどんなタイプの写真撮影をすればよいかに関する提案を増やすのに役立つテクノロジーにも投資する。Soonaはすでに、Amazon(アマゾン)およびInstagram(インスタグラム)推奨の撮影を始めており、類似のことをTikTok(ティックトック)で始める計画を立てている。

また、この会社は、APIプラットフォームを拡張して、ショッピファイ以外にも統合を拡大することも計画している。ショッピファイは現在、顧客ベースで55%を占めている。計画を進めるにあたり、Soonaは、たとえばKlayvio(クラビヨ)やBigCommerce(ビッグコマース)など、他のeコマーステクノロジー企業との統合に狙いを定めている。

この会社は、デンバー、オースティン、ツインシティーズに拠点を持っており、ミネアポリスの現在のチーム以外のエンジニアを増やすことで、エンジニアリングチームも3倍にする。商品チームも拡大する。

ジオルジ氏はSoonaの現在の評価額について話すことを避けたが、Soonaは女性が創業した次のユニコーンになる「道を歩んでいる」と考えている。「私たちは間もなくそこに到達します」と氏は断言した。

画像クレジット:Soona

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ピーター・ティール氏がフェイスブック取締役を退任、政治活動に重点か

米国時間2月7日、Facebook(フェイスブック)の親会社Meta(メタ)は、取締役のPeter Thiel(ピーター・ティール)氏が再選を目指さす、ソーシャルメディア会社経営陣最高幹部の在任期間を終えることになったと発表した

それはさほど驚きの行動ではなかった。ティール氏は公な政治活動への関与が多くなっており、何人かの議員候補者の支援も行ってきた。Meta傘下のFacebookおよびWhatsApp(ワッツアップ)の世界的交流における重要性を考えると、特に選挙期間においては、より政治色の薄い取締役会の方が健全さを見せることができるかもしれない。

この動きへの解説はすばやかった。Dan Primack (ダン・プリマック)氏は、巨大テックプラットフォームであるFacebookとティール氏のつながりは、同氏が推す主要テック企業を批判している候補者にとっては厄介かもしれないと指摘した。ティール氏はかつてDonald Trump(ドナルド・トランプ)前米国大統領も支援しており、トランプ氏はFacebookをはじめとするテック企業のコンテンツ監視ポリシーを再三攻撃していた。

さらに重要なことに、右寄りの米国政界にとってFacebookをはじめとする巨大テック企業は、本質的に彼らの政治的観点に反する偏見をもっていると見えている。実際Facebookは、保守的、反動的人物ちに特別な機会を与えるために自らの規約を曲げたが、そのことは証拠とともに知れ渡った。

関連記事:フェイスブックとSpotifyが時間外取引で叩かれている理由

政治的な部分ばかり書いているのは無作法ぶっているからではない。ティール氏退任に関する初期の記事によると、彼の意思はより政治的になるためだという。New York Times(ニューヨーク・タイムズ紙)によると、ティール氏はMetaの役員会を去った後「11月の中間選挙に関与することに集中したい」からであり、Bloomberg(ブルームバーグ)は、ティール氏が「ドナルド・トランプ前大統領の2022年選挙運動に対する政治的支援を強化する予定」だと書いている。

いつかティール氏は、巨大テック企業のために働くか、巨大テックを攻撃する候補者を資金援助するかを選ばなくてはならなかった。彼はすでに裕福なので、役員の椅子を維持するより後者を選ぶことはさほど難しくなかっただろう。

いずれにせよ、今回の動きはFacebook経営陣の布陣を大きく変えるものであり、重要な出来事だ。a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同ファウンダーであるMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏をはじめ、Dropbox(ドロップボックス)、DoorDash(ドアダッシュ)などのCEOは取締役会に残る。

Facebook株は、通常取引で5%強値を下げたが、時間外取引では概ね変わっていない。

画像クレジット:Kiyoshi Ota/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マッチングアプリBumbleの初買収はZ世代向けの同アプリFruitz、あらかじめ目的を明らかしておける点が人気

マッチングアプリ企業のBumble, Inc.(バンブル)は、米国時間2月7日、初の買収を行い、急成長中のフランスのマッチングアプリ「Fruitz(フルーツ)」を自社アプリのファミリーに加えるというニュースを発表した。Bumble, Inc.は、欧州で特に人気のあるBadooの親会社としてすでに国際的な事業展開をしているが、Fruitzを傘下に加えることで、より若いZ世代の利用者の間で勢いを増すことができると考えている。

取引条件は公開されていない。

Fruitzは、ユーザーのマッチングを支援するために、型にはまらないアプローチをとっている。同アプリでは、長期的な関係を望む人から一夜限りの関係を求める人まで、特定の関係タイプごとにフルーツが割り当てられている。これにより、ユーザーは自分と同じ考えを持っていない人を除外することができる。また、マッチングされた相手にメッセージを送る前に、アイスブレーカーとして機能する質問に答えるよう促される。

Fruitzは、CEOのJulian Kabab(ジュリアン・カバブ)氏、CTOのFabrice Bascoulergue(ファブリス・バスクーラーグ)氏、CFOのArnaud Ruols(アルノー・ルオール)氏によって共同設立され、最初は2017年2月1日にフランスでサービスを開始した。カバブ氏は、このアプリのアイデアは、自身がマッチングアプリを利用しようとした際に、その体験に何を求めているかという点で意図が異なる相手とマッチングしたことがきっかけだと語っている。

「自分が求めているものを表現することは、批判されることを恐れているので容易ではありません。その結果、誰もが自分の意図に正直にならず、お互いに時間を無駄にしていたのです」と同氏は語る。「人々が自分の意図に関して正直になれるようにすることが、私たちの最初のミッションでした」。

画像クレジット:Fruitz

Sensor Towerのデータによると、現在までにFruitzは、App StoreとGoogle Playで全世界で560万回ダウンロードされている。2022年2月3日現在、ホームマーケットであるフランスでは、iPhoneのトップ無料アプリチャートの「ライフスタイル」カテゴリーで4位にランクインしている。

現代の多くのマッチングアプリと同様に、Fruitzはスワイプベースのインターフェースとフリーミアム体験を提供している。

だがBumbleにとっての魅力は、このアプリのユニークな機能ではなく、その利用者層にある。Bumbleは、Fruitzがマッチングアプリ市場で成長しているZ世代に特にリーチしていることに着目した。またフランス、ベルギー、オランダ、スイス、スペインなど、西ヨーロッパの主要国でも人気を博しており、カナダでも急成長を遂げていた。

Bumbleの創業者兼CEOであるWhitney Wolfe Herd(ホイットニー・ウォルフ・ヘルド)氏は、声明の中でこう述べている。「Fruitzは、私が何年も動向を追ってきたブランドであり、リーダーシップチームです。ジュリアン(・カバブCEO)、ファブリス(・バスクーラーグCTO)、アルノー(・ルオールCFO)は3人ともダイナミックですばらしいリーダーであり、フランスをはじめとするヨーロッパ全域の消費者の共感を強く得るユニークな製品を作り上げました。このアプリを当社の技術プラットフォーム、コミュニティサポート、ブランドおよび成長マーケティングと組み合わせることで、Fruitzの成長を加速させることができます。Fruitzの買収により、当社が重視する人間関係のエンパワーメントに沿って、消費者向けの製品提供を拡大することができます」。

Bumbleは、Fruitzを同社の一連のマッチングアプリに組み込むとともに、機械学習(ML)技術、マーケティング、ローカリゼーション、安全性プラットフォームなどのリソースを提供する。なお、Fruitzのブランド変更や運営終了の予定はない。その代わり、共同創業者全員を含む9人のチームが、母国フランスでアプリの運営を継続する。現在、Fruitz、Badoo、Bumbleを擁するBumble, Inc.を合わせると900人以上の従業員がおり、オースティン、ロンドン、バルセロナ、パリ、モスクワにオフィスを構えている。

画像クレジット:Bumble

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

映画製作者が直接、作品をAmazonプライムビデオやApple TVなどのチャンネルで配信可能にするFilmhub

ストリーミング市場の成長にともない、コンテンツに対する需要も高まっている。だが映画製作者にとっては、従来よりコンテンツ作成が容易になったとはいえ、配給は依然として伝統的なシステムに支配されていることが多い。つまり、多くの映画製作者は、適切なコネがなければハリウッドから締め出されているのが現状だ。Filmhub(フィルムハブ)という企業は、この問題を解決するために、テクノロジーを利用して流通の簡素化と効率化に取り組んでいる。このプラットフォームにより、映画製作者は、Amazonプライムビデオ、Apple TV、IMDb TV、TCL、Tubi、Plexなどの大手を含む100を超えるストリーミングチャンネルに直接配信することが可能になる。

Filmhubは米国時間1月20日、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・ホロウィッツ)がリードしたシードラウンドで680万ドル(約7億7000万円)を調達したことを発表した。

このラウンドには、他に8VC、FundersClub(ファウンダーズクラブ)、Eleven Prime(イレブン・プライム)、Tara Viswanathan(タラ・ビスワナタン)氏(Rupa Health[ルパ・ヘルス]のCEO)、Nick Greenfield(ニック・グリーンフィールド)氏(Candid[キャンディッド]のCEO)、David Fraga(デビッド・フラガ)氏(InVision[インビジョン]の元COO)、Jerrod Engelberg(ジェロッド・エンゲルバーグ)氏(Codecov[コードコヴ]のCEO)が参加した。

Filmhubは、ロサンゼルスを拠点に活動する映画作曲家Klaus Badelt(クラウス・バデルト)氏のサイドプロジェクトとして2016年にスタートした。バデルト氏は「Thin Red Lin(シン・レッド・ライン)」「Gladiator(グラディエーター)」「Pirates of the Caribbean:The Curse of the Black Pearl(パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち)」の他、これまでに100本を超える作品を手がけている。製作費が下がり、より多くの映画が作られるようになる中で、同氏はこの作品ストリーミングの分野に機会を見出したが、強力な配給を得ることはできなかった。バデルト氏はその後、テック業界のベテランで、Square(スクエア)、Mint.com(ミント・ドットコム)、Google(グーグル)などで働いた経験のあるAlan d’Escragnolle(アラン・デスクラニョール)氏とチームを組み、2020年からフルタイムでプロジェクトに取り組むようになった。

Filmhubはそれ以来、ビジネスを成長させ、パートナーとしてストリーミングチャンネルを追加し、権利を放棄せずに作品を視聴者に見つけてもらう簡単な方法を望む映画製作者を増やしていくことにフォーカスしてきた。

画像クレジット:Filmhub

Filmhubはまず、映画製作者にインタビューを行い、彼らのコンテンツが同社と協働するストリーマーの技術仕様を満たしていることを確認する。同社はその後、自動化された技術と自社のセールスチームを活用して、可能な限り多くのストリーミングサービスにコンテンツを提供する。社名は「Filmhub」であるが、デスクラニョール氏は、そのコンテンツは必ずしも長編映画である必要はないと明言している。テレビ番組や短編映画など、プロが作成したコンテンツをシリーズ化することも可能である。ただ、同社の焦点は映画製作者と直接仕事をすることにある、と同氏は語る。

「伝統的なスタジオシステムが映画製作者にとって最良の環境になるとは考えていません。例えば、映画製作者としてスタジオ映画を製作する場合、通常は前払いです」とデスクラニョール氏は説明する。しかし、その映画が公開されれば、映画製作者たちは自分の作品が生み出す収入を共有できなくなるかもしれない、と同氏は指摘する。「クリエイター、そしてオリジナルの映画製作者に力を取り戻し、彼ら自身のライブラリを構築する機会があると信じています」とデスクラニョール氏は付け加えた。

ある意味で、Filmhubが行なっていることは、DistroKid(ディストロキッド)のような他の配信プラットフォームが音楽業界に対して成し遂げてきたことに類似している。これらのプラットフォームは、アーティストたちがレーベルと契約を結ぶことなく、自分たちの作品をトップストリーミングサービスに直接アップロードできる場となっている。

最近のパートナーシップの1つとして、小規模な動画サービスのコンテンツを独自のサブスクリプションで集約するClassPass(クラスパス)風のストリーミングサービス、Struum(ストゥルーム)との協業がある。FilmhubはStruumと協力して、Slamdance Film Festival(スラムダンス映画祭)に参加している映画製作者が作品を配信できるよう支援している。Struumは、スラムダンス映画祭の各タイトルを3カ月間独占的に提供する。そして契約の一環として、映画製作者は最初の1年間、FilmHubとStruum上の利益の100%を受け取ることになる。

Filmhubは通常、配信する映画のロイヤリティ収入の20%を得ている。ただし、各ストリーミングサービスがFilmhubに支払う料金はさまざまである。

画像クレジット:Filmhub

同社は収益の数字を公表していないが、デスクラニョール氏によると、収益は対前年比で3倍に成長し、配信数は数千タイトルから1万タイトルに増加したという。コンテンツは100を超えるストリーミングチャンネルに配信されている。同社はまた、手元にあるデータを活用して、ストリーミングパートナーがFilmhubのサービスでどのようなコンテンツが最適かを判断するのを支援することもできる。これはひいては取引の成立に貢献するであろう。

Filmhubが配信するコンテンツのすべてが新しいわけではない。例えば、Torsten Hoffmann(トーステン・ホフマン)氏が2020年に製作したドキュメンタリー映画「Cryptopia — Bitcoin, Blockchains, and The Future of the Internet」のように、現代的な映画もあるかもしれない。一方で、2014年に公開された、マジシャンのJames Randi(ジェームズ・ランディ)氏を描いた「An Honest Liar」などの古いコンテンツも、ストリーミングプラットフォームでの配信が実現すれば、堅調な第2の人生を迎える可能性がある。デスクラニョール氏によると、Filmhubは50年代、60年代、70年代のクラッシックな作品も配信しており、それらを「エバーグリーン」なものだと考えている。この種の映画やテレビ番組は、今のところテレビではあまり注目されていないかもしれないが、さまざまな視聴者とつながることができるストリーミングサービスに進出する可能性を秘めている。

将来的には、Filmhubは独自の消費者向けストリーミングサービスを立ち上げ、映画製作者のコンテンツをフィーチャーすることを目指していく。同社はこのサービスをデバイスを越えて利用できるようにしたいと考えており、他社の既存のストリーミングプラットフォーム内におけるアドオンとしての利用も視野に入れている。同社は今回の資金調達を受けて、このプロジェクトのためにエンジニアリング、技術オペレーション、セールスなどの人材採用を進めており、現在35名のチームを成長させていく計画である。

「今日の市場では、定評のある映画製作者でない限り、作品が世に出てくるのは非常に困難です。これはストリーミングサービスにとっても消費者にとっても、機会を逸しています。特に、より多様で国際的なコンテンツのポテンシャルがあることを考えると、なおさらです」とa16zのゼネラルパートナーであるAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は自身の投資について語っている。「業界の流通モデルを前進させることを通して、Filmhubは世界中のクリエイター、プラットフォーム、視聴者にWin-Win-Winの関係を構築しています」と同氏は付け加えた。

画像クレジット:Niklas Storm / EyeEm / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

マイクロソフトがMac版OneDriveの苦情に対応、全ファイルをローカル保持する方法を説明

マイクロソフトがMac版OneDriveの苦情に対応、全ファイルをローカル保持する方法を説明

マイクロソフトがmacOS 12.1以降のOneDriveアプリにつき「ファイルのローカル保存」オプションをなくし、実質的にファイルオンデマンドを強制したことで、ユーザーから様々な苦情が寄せられていました

この件につきMSが「Files On-Demand Experience(ファイルオンデマンド経験」を紹介するブログ記事を更新し、全てのOneDriveファイルをMacローカルに保持しておく方法などを説明しています。

現在テスト中のmacOS 12.3ベータでは、OneDriveが同期機能に使っていたKernel拡張が利用できなくなり、代わりにアップルのFile Providerフレームワーク使用が必須となりました。これを受けてMSはOneDriveアプリを更新したところ、ファイルオンデマンド機能を強制することになったわけです。

ファイルオンデマンド機能とは、全てのファイルをローカルに保存してストレージを圧迫することなく、必要になったときにクラウドからダウンロードして使えるようにする仕組みのこと。

最新版のOneDriveアプリでは本機能を無効にするオプションが削除されており、基本的にファイルはローカル保存されません。アプリ更新後には、同期済みのファイルがMacローカルから消されたとの声もありました。

なぜ、ファイルオンデマンドを事実上の強制としたのか。MSはブログで同機能をWindowsでは2017年に、Macでは2018年から提供しており、初めはオプトイン(ユーザーの同意を得てから有効にする)のみだったのが、デフォルトでオンに切り替える上で、どのぐらいのユーザーがオフにするかを慎重に監視してきたいきさつを説明。そしてWindowsとMacともに本機能を無効にしてるユーザーは非常に少数だったことを語っています。

そして「お客様のセットアップで何か問題が発生した場合は、サポート担当者にご連絡いただき、問題を診断させていただきます」とのことです。つまりMacでのトラブルは以前より劇的に減っており、それでも苦情があれば個別に対応すると示唆しているようです。

その一方でMSは、全ファイルをMacローカルに保持しておくことが「一部のユーザーにとって重要なシナリオ」だと認めており、そのための最良の方法は、「常にこのデバイス上に保持する」を選んでファイルをピン留めすることだと述べています。

さらにフォルダをピン留めしておくと「現在その中にある全コンテンツと、新たに追加されたコンテンツが端末に保持されます」として、ファイルをフォルダごとローカル保存する(1つずつピン留めしなくてもいい)方法を教えています。

このやり方を使えば、OneDriveの全ファイルをローカルに保持できます。まずFinder上でOneDriveフォルダを参照し、アイコン表示に切り替え、アイコン間の空白を右クリックして「このデバイスで常に保持」を選ぶという手順です。

マイクロソフトがMac版OneDriveの苦情に対応、全ファイルをローカル保持する方法を説明

Microsoft

これで当面は凌げる見込みですが、MSは「macOSとWindowsの両方で、この機能をより簡単に設定できる方法を積極的に検討しています」と付け加えています。

さらにMSは、一部ユーザーがOneDriveフォルダを閲覧する際に表示が遅いと経験した理由や、その回避策についても説明しています。詳しくはブログ記事をご確認ください。

最後にApp Store版アプリでのオートセーブに関する問題にも言及されていますが、こちらは最新版の「(バージョン)22.002.0201.0005で修正されています」と追記されています。

ともあれ、当面は「Finder上でOneDriveフォルダごとピン留め」により全ファイルをMacローカルに保持できるわけです。今後、よりMacユーザーに寄り添ったアップデートがやって来ると期待したいところです。

(Source:Microsoft。Via MacRumorsEngadget日本版より転載)

健康管理システムCarelyを運営するiCAREが19億円のシリーズE調達、健康ビッグデータを活用するプロダクト開発加速

健康管理システムCarelyを開発・運営するiCAREが19億円のシリーズE調達、健康ビッグデータを活用するプロダクト開発を加速

健康管理システム「Carely」(ケアリィ)を開発・運営するiCAREは2月7日、シリーズEラウンドとして、第三者割当増資および複数の金融機関からの融資による総額19億円の資金調達を実施すると発表した。引受先は、リード投資家のインキュベイトファンドなど。累計資金調達額は43.8億円となった。

調達した資金により、Carelyの認知拡大に加え、従業員への健康投資が事業成長につながる有用性を証明するために、健康ビッグデータをより一層活用するプロダクト開発を加速する。またそれらに伴う、人材採用と組織体制の強化に注力する。

iCAREは、「働くひとの健康を世界中に創る」をパーパスとし、2016年にCarelyの開発・運営を開始。コロナ禍以前は、人事・総務が抱える健康管理(健康診断・ストレスチェック・長時間労働対策など)を自動化し、業務工数を削減するSaaSとして評価を得ている。

2020年9月からは、Carelyに蓄積される健康ビッグデータを活用した健康経営コンサルティングを開始。2022年1月時点における累計契約企業数は500社を超え、アカウント数はサービス開始から年平均成長率121%で伸び続けているという。直近では「持続的な事業成長を支えるための健康管理の基幹システム」として評価が高まり、従業員数1万名を超える企業への導入が進みアカウント数が伸びているそうだ。

NTTドコモが月550円の「homeでんわ」で固定電話に参入、既存固定電話機と固定電話番号をそのまま利用可能

NTTドコモが月550円の「homeでんわ」で固定電話に参入、既存固定電話機と市外局番から始まる固定電話番号をそのまま利用可能

NTTドコモが固定電話サービスに参入します。モバイルネットワークを経由しながら既存の固定電話機と固定電話番号をそのまま使える「homeでんわ」を3月下旬から提供します。

「homeでんわ」では、固定電話機に、専用端末「homeでんわ HP01」を電話線でつなぐことで、工事不要で利用可能。現在固定電話を利用しているユーザーも簡単に「homeでんわ」に移行できます。

NTTドコモが月550円の「homeでんわ」で固定電話に参入、既存固定電話機と市外局番から始まる固定電話番号をそのまま利用可能

Wachirawut Priamphimai / EyeEm

料金は「homeでんわ ライト(月1078円)」と「homeでんわ ベーシック (2178円)」の2プランを用意します。また、ドコモのスマートフォン、またはホームルーター「home 5G」を契約中のユーザーが「homeでんわ」を利用する場合、「homeでんわ セット割」が適用され、月額基本料金が528円割引となり、「homeでんわ ライト」は毎月550円から利用できます。

NTTドコモが月550円の「homeでんわ」で固定電話に参入、既存固定電話機と市外局番から始まる固定電話番号をそのまま利用可能
契約期間の設定はなく、解約金などの費用も発生しません。なお、初期費用として、契約事務手数料2200円、番号継続登録料2200円がかかります。また、緊急通報の場合は市外局番ではなく、070/080/090番号での発信となります。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

デジタルデザインプラットフォームCanvaがより良いデータストーリーテリングを目指し英Flourishを買収

Canva(キャンバ)はオーストラリア時間2月2日、ロンドンに拠点を置くデータビジュアライゼーションのスタートアップFlourishの買収を完了したと発表した。買収の金銭的条件は公表されていない。

今回の買収は、ビジュアルコミュニケーション企業であるCanvaの月間アクティブユーザー数(MAU)が7500万人を超え、過去12カ月間で3000万人以上増加した中でのことだ。

Duncan Clark(ダンカン・クラーク)氏とRobin Houston(ロビン・ヒューストン)氏が2016年に設立したFlourishは、BBC、Sky(スカイ)、Deloitte(デロイト)、Moody’s(ムーディーズ)などの企業が、データポイントを消化しやすいチャート、グラフ、ビジュアルに変えることができるよう、データビジュアライゼーションツールを提供している。Crunchbaseによると、80万人以上の顧客をCanvaの傘下に引き入れることになる同社は、これまでベンチャーキャピタルで約100万ドル(約1億1500万円)を調達している。

Canvaの共同創業者兼COOであるCliff Obrecht(クリフ・オブレヒト)氏はTechCrunchに対し、Flourishの44名の従業員全員がCanvaに加わることになると述べている。

シドニーを拠点とするCanvaは2013年に設立され、これまでに5億7000万ドル(約656億8000万円)以上のベンチャーキャピタル資金を調達してきた。最近では、2021年9月に2億ドル(約230億5000万円)のベンチャーラウンドを実施し、その際の同社の評価額は400億ドル(約4兆6105億円)とされた。今回の買収は、ベンチャーラウンドでの資金調達の一部ではない。オブレヒト氏によると、Flourishとの交渉は資金調達の前から始まっていたとのこと。

同社の共同創業者兼CEOであるMelanie Perkins(メラニー・パーキンス)氏は2021年9月のTechCrunch Disrupt 2021で、同社の買収戦略についてこう語った。「世の中には、いくつかの異なるタイプの企業があるような気がします。喜びをもたらすことに本当に集中している人たちと、ヒエラルキーや構造、そういったものを重視する人たちです。純粋に価値を提供することに集中している人は、実に重要です」。

来月中には製品が統合され、あらゆるデータソースを接続して、リッチで魅力的なビジュアルに変換する新機能が追加される。これには、スプレッドシートからテンプレートを選んでダイナミックチャートを作成できるようにしてほしいというような、顧客からの要望も含まれているとオブレヒト氏は述べている。

Flourishの買収は、KaleidoやSmartmockupsなど、2021年に行われた他の2社の買収に続くものだ。Canvaのキャッシュフローはプラスだが、オブレヒト氏は直近の増資について「人材、製品、M&Aを通じて成長するための『軍資金』を持つことは重要です」と語った。

「我々は、Canvaの中核となるデータストーリーテリングというビジネスコミュニケーションの重要な部分を担う企業を買収しています」と彼は続けた。「Canvaはこの点を最重要視し、データストーリーテリングを民主化するFlourishの買収を加速させ、当社のビジュアルストーリーテリングと組み合わせることで、真の相乗効果を得ることができました」。

関連記事:デジタルデザインのCanvaが静止画・動画から背景を消すKaleidoを買収

画像クレジット:Canva

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

Discord、一部のサーバーでフォーラム、新MODツール、ホットな話題を表示するホームページをテスト中

Discord(ディスコード)は先週、最大規模のコミュニティでいくつかの新機能のテストを開始した。この音声ソーシャル / チャットのプラットフォームは、ゲーマー同士をオンラインプレイ上で結びつけることから始まったが、現在はカスタム絵文字、ライブイベント、トピックチャンネル、その他あらゆることが可能になる多数のサードパーティ製プラグインなどを備え、活況あるオンラインコミュニティを構築するための主要な手段の1つに成長している。

関連記事:Discordが新機能を発表、音声イベントのポータルとなる「Stage Discovery」機能や有料チケット制の導入など

サーバーが成長すると物事が扱いにくくなることを、同社は認識している。Discordで最も人気のあるコミュニティの中には、常に数十万人が同時に接続しているものもある(大ヒットした中国のRPG「原神」の公式サーバーは、記事執筆時点で30万人以上が利用しているが、これはほんの一例だ)。

Discordサーバーは、リアルタイムの掲示板フォーラムのようなものだが、人々が会話に参加したり離れたりするのではなく、大量の人々が一度にライブでチャットしている。小規模なコミュニティでは、これは非常にうまく機能しており、容易に会話を把握していられるが、サーバーの規模が大きくなると(時には非常に大きくなり過ぎる)、多くが混乱の中に失われてしまう。

大規模なDiscordサーバーに初めて参加する場合や、会話から一度離れてしまった場合、どのようにして追いつけばいいのかと考えて途方に暮れることがある。ほとんどの大規模サーバーでは、新たに参加するメンバーのための入門チャンネルや、関連する各々の会話に人々を導くためのトピック別チャンネルを用意しているが、大規模で完璧なソリューションはない。そこで、Discordはすべてをスムーズに進めるために、先週から一部の大規模サーバーで、3つの実験的な機能を試している

1つ目の新機能は「より整理された会話」のためのハブとして、サーバーにフォーラムのようなチャンネルを提供する。これは、Reddit(レディット)と同じように、この特別なチャンネルに非同期的に出入りして、会話の内容を見逃さないようにできるというものだ。また、古いコンテンツであっても、今でも関連性のあるものは表面化させ、進行中のスレッドに人々をループさせることで、時間の経過とともに会話のトピックを発展させることができる。

Discordがテストしているフォーラムのような新機能(画像クレジット:Discord)

フォーラムとは別に、Discordでは新しいホームページスタイルの機能もテストされている。この2つ目の新機能は、ホットなトピックを集めて、その時々のサーバーに関連するタイムリーなコンテンツを、TL;DR型の要約として提供する。今でも、多くのサーバーでは専用のニュースチャンネルを使用して似たような機能を達成しているが、それらのスペースはあまり活動的ではなく、重大な発表を強調する以上のことを提供していない場合が多い。

そして3つ目。Discordはモデレーションの面において、新しい自動化ツールをテストしている。これは、コミュニティがサードパーティのモデレーションツールで得ている機能の一部を、自社で提供するというものになる。具体的な内容はまだ明らかにされていないが、Discordで最も人気の高いモデレーションボットには、新しいユーザーを歓迎するプロセスを自動化したり、不品行をスキャンしたり、さらにはルールを破った人を追い出したりするものもある。ちなみに、プレミアムサードパーティ製Discordボットの中でも最も人気のあるMee6(ミーシックス)は、11月にDiscordが足を踏み入れたNFT(非代替性トークン)に対する反発を、現在自ら味わっているところだ。

Discordは2021年7月、オンライン上における暴言や嫌がらせを検知するAIソフトウェアを作っているSentropy(セントロフィ)という会社を買収した。この買収は、自社の自動モデレーション機能を強化すると思われていたが、今回テストされる新機能がこの買収から生まれたものかどうかは、確認されていない。

これらの実験的な機能は、今のところクローズドベータでしか利用できず、Discordはいくつかの大規模なサーバーを使ってテストを行っている。テストに参加したコミュニティは、必ずしも即座にすべての実験的な機能が有効になるわけではない。Discordは、新しいツールがさまざまなサーバーで、どのようにニーズを満たすことができるかを見ているからだ。

今回の実験的な機能の導入は、今後の展開のほんの一例に過ぎないかもしれない。とはいえ、Discordは他に何をしようとしているのか、ヒントを見せていない。同社は最大級のアクティブなオンラインコミュニティを擁しており、それらのサーバーの成長に合わせて、より便利な機能を提供するように、賢明に進化している。

Discordのグループ・プロダクト・マネージャーを務めるRick Ling(リック・リン)氏は、TechCrunchに次のように語っている。「私たちはDiscordを成長する地域のように考えています。小さな友人グループから、数千から数十万人のメンバーがいる音楽、ゲーム、教育のコミュニティまで、Discordをホームとするコミュニティのすべての形と規模に合わせて、設計しなければなりません」。

「私たちは、管理者やモデレーター、そしてコミュニティのメンバーたちが、自分たちのスペースを自分たちだけのものにできるようにすることを、非常に大事に思っています。彼らが集まり、居場所を見つけられるようなツールや機能への投資を続けていきます」。

画像クレジット:Tiffany Hagler-Geard/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

2021年のクラウドインフラ市場は前年比36%増の約20.5兆円に急拡大

今さらだが、クラウドインフラ市場は驚異的な成長を続けている。Synergy Research(シナジー・リサーチ)のデータによると、2021年1年間で500億ドル(約5兆7500億円)近いビジネスが追加され、2020年の1290億ドル(約14兆8600億円)から2021年は1780億ドル(約20兆5000億円)に成長した。Canalys(カナリス)も同様の数字を報告している。

四半期に関しては、Synergy Researchの報告によると、市場は500億ドル(約5兆7500億円)に達し、前年比36%増となった。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグ3は、市場が成熟しても、市場での強みを活かして目覚ましい成長を続けている。

MicrosoftとGoogleは同程度の成長率で、四半期で45%前後、Amazonは40%弱の成長率になっている。四半期の売上高は、Amazonが約170億ドル(約1兆9500億円)、Microsoftが約100億ドル(約1兆1500億円)、Googleが約50億ドル(約5700億円)となり、いずれも健全な成長事業となった。

市場の割合による内訳は、2021年から大きく変わっておらず、Amazonが33%でトップ、次いでMicrosoftが21%、Googleが10%となっている。注目すべきは、Amazonのシェアがここ数年頑固に続いているのに対し、GoogleやMicrosoftは時間をかけて着実に成長を続けていることだが、もちろん、市場は拡大を続けており、Amazonの収益もそれなりの伸びを続けている。

実際、Synergy Researchによれば、4年半前にはわずか11%のシェアだったMicrosoftが、18四半期で2倍となり、見事な上昇ぶりを見せているという。Synergy Researchの主席アナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンズデール)氏は、Amazonのポジションがしばらく変わっていないことについては、あまり心配していない、と述べている。彼はそれをいい問題だと言っている。

「巨大で急速に成長する市場の3分の1を支配することは、はまるのにとてもいい『わだち』です」と、ディンズデール氏は述べた。そして、将来を予測するつもりはないが、急速な成長を一貫して続けることは難しいと指摘した。

「原則として、将来の市場シェアについては、予測もコメントもしません。それは私たちのようなアナリストが超えてはいけない境界線なのです。しかし、数学は強力な力であり、規模が大きくなればなるほど、積極的な成長を維持することは難しくなるとは言えます。それは(企業の)人生の事実なのです」。

画像クレジット:Synergy Research

CanalysのデータはSynergy Researchのデータにかなり近く、四半期で530億ドル(約6兆1000億円)強、34%増と報告されている。Canalysは、年間では、2020年の1420億ドル(約16兆3600億円)から前年比35%増の1917億ドル(約22兆900億円)としている。

四半期の内訳は、Amazonが33%、Microsoftが22%、Googleが9%となっている。繰り返しになるが、この数字はSynergy Researchのものと引き分けと呼べるほど近いものだ。どちらも市場を同じように定義しているので、大きな驚きにはならない。

Canalysは、ホスティングされた専用プライベートインフラストラクチャまたは共有インフラストラクチャのいずれかのサービスと、サービスとしてのプラットフォームを対象としている。Synergy Researchでは、インフラとプラットフォームサービスを対象としています。両社ともSaaSは除外しており、別カテゴリーとしてカウントしている。

事実、市場は急速な成長を続けており、アナリストや予言者が正しければ、クラウドの成長余地はまだ山ほどあると思われる。特に最大手の企業は、派手な収益を上げてこの成長の恩恵を享受しており、ここ数年、四半期ごとに私たちはそれを目の当たりにしている。

市場の底辺であっても、まだまだ儲けはある。MicrosoftやAmazon、Googleのレベルには及ばないかもしれないが、それでも数十億ドル(数千億円)規模のビジネスの積み重ねは可能だ。今後数年間、私たちは急速な成長を見続ける可能性がある。そうでなくなったとき、それは「人が犬を噛む」ような珍しいニュースになるだろう。

画像クレジット:Kwarkot / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Yuta Kaminishi)

スポティファイ、Hi-Fiサブスク提供の遅れがライセンス問題に関係していることを示唆

Spotify(スポティファイ)のCEOであるDaniel Ek(ダニエル・エク)氏は、ストリーミングサービスのHi-Fiサブスクの開始延期が、ライセンス問題に関連していることをほのめかした。2月2日に行われたSpotifyの四半期および年間収益発表会で、エク氏はアナリストや投資家に対して、Hi-Fiサービスの計画についてあまり話すことはないとしながらも、議論は進行中であると述べた。

Spotifyが約束どおりHi-Fiサービスを一般に提供できなかったことに関する直接的な質問に対して、エク氏は曖昧な答えだけを述べ、次に進んだ。

「私たちが話している機能の多くは、特に音楽に関連するものでライセンスに行き着きます」と、エク氏は投資家に語った。「だから、これを市場に出すためにパートナーと常に対話をしているということ以外、これに関して具体的に発表することはできません」。

2021年2月、Spotifyは新しいハイエンドサブスクサービスを展開する計画を発表した。同社は、Spotify HiFiが2021年中に開始され、Spotify Premiumの加入者に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を聴くオプションを提供すると発表していた。Spotifyはまた、Hi-FiサービスはSpotify Connect対応スピーカーを含む、デバイス間で動作すると述べていた。同社は、価格やどの市場がこの新しいサブスクをサポートするかなど、詳細な情報は提供しなかった。しかし、このサービスはPremiumの「add-on(アドオン)」として提供される予定だった。つまり、通常のPremiumサブスクよりも高い費用がかかるということだ。この計画は、競争環境の変化によって複雑になる可能性があった。

この延期された機能に関するエク氏のコメントは、2021年12月、この機能に関するスレッドが数百ページにもおよぶ怒りの書き込みに爆発した後、Spotifyの担当者が同社のコミュニティフォーラムに残したものに続くものだ。

「私たちは、Hi-Fi品質のオーディオがあなたにとって重要であることを知っています」と、コメントはいう。「私たちも同じように感じており、将来的にSpotifyのHi-Fi体験をPremiumユーザーに提供できることを楽しみにしています。しかし、まだ共有できるタイミングの詳細はありません。もちろん、可能な限りここでアップデートします」。

なお、Spotifyのロスレスサブスクの噂は、ストリーミングサービスがSpotify HiFiという新しい有料オプションの導入を考えていることが明らかにされていた2017年に遡る。当時、この機能は月々5〜10ドル(約570〜1150円)の追加料金がかかると噂されていた。

SpotifyのHi-Fi層の導入が遅れているのは、Apple Music(アップルミュージック)とAmazon Music(アマゾンミュージック)の両社がその顧客向けにハイファイストリーミング機能をリリースしているためだ。2021年6月、Apple(アップル)は追加料金なしでApple Musicのサブスクに、ロスレスオーディオストリーミングとDolby Atmos(ドルビーアトモス)をサポートするSpatial Audio(スペイシャルオーディオ)の提供を開始した。Apple Musicの7500万曲以上の全カタログがロスレスオーディオに対応している。ロスレスオーディオは、CDクオリティの16ビット/44.1 kHzから始まり、24ビット/48 kHzまで対応する。オーディオマニアは、24ビット/192kHzまでのハイレゾロスレスも選択できる。

一方、Amazonは2019年にロスレスオーディオストリーミングを備えたサブスクAmazon Music HDを月額5ドル(約570円)の追加料金で開始した。2021年5月には、対象となるAmazon Music Unlimitedの加入者全員に、Amazon Music HDを追加料金なしで提供するようにした。Amazon HDは、ビット深度16ビット、サンプルレート44.1kHz(CD品質程度)で楽曲をストリーミングする。一部の楽曲はUltra HD、つまり24ビット、最大192kHzのサンプルレート(CD品質以上)でストリーミング配信される。

ハイファイストリーミングの開始は、オーディオファン向けにより高品質なストリームでを提供してきた音楽ストリーミングサービスTidal(タイダル)の脅威に対抗する方法と考えられている。Tidalは、加入者数では業界トップの音楽ストリーミングサービスに及ばないが、その存在は、より質の高い音楽を求める需要があることを示している。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

アップル、オランダのマッチングアプリの代替決済システム使用に手数料27%を請求へ

裁判所の命令により、マッチングアプリの開発者はオランダでApple(アップル)のアプリ内課金システムを使用する必要はなくなった。また、これらの課金決済はAppleによって処理されないため、Appleはデジタル購入の際に通常の30%の手数料を取ることはない。しかし、サードパーティの決済システムを利用する開発者は、依然として手数料を支払わなければならない。Appleは27%の手数料を請求する予定だ。

オランダの反トラスト法問題を把握していない人のために説明すると、オランダ消費者市場庁はもともと、Appleが非常に特殊なケース、つまりマッチングアプリ開発者が販売する「superlike」や「boost」といったデジタルコンテンツでオランダの競争規則に違反していると指摘していた。

これは、Appleのアプリ内課金システムにとって、別の新たな脅威となる。韓国では、デジタル決済に関する新法に基づき、Appleはサードパーティーの決済システムを認めることに同意した。また、米国と欧州では、いくつかの訴訟が進行中だ。

オランダに関しては、Appleは外部決済を認めることはユーザーの利益にならないと主張し、反トラスト法に基づく決定について上訴している。

「これらの命令がユーザーの最善の利益になるとは思えません。当社はACM(消費者市場庁)の決定を受け、高等裁判所に上訴しました。これらの変更がユーザーの体験を損ない、プライバシーとデータセキュリティに新たな脅威をもたらすことを懸念しています。一方、当社は本日開始する、義務付けられた変更を行う義務があり、近日中にさらなる情報を提供する予定です」と同社は1月に述べた。

オランダの競争当局は、Appleが裁判所命令に従う最初の期限を過ぎていることからすでに500万ユーロ(約6億5000万円)の罰金を科しており、同社に選択の余地はあまりない。

Appleは現地時間2月4日、マッチングアプリの開発者がオランダで代替決済システムを利用する方法を説明するドキュメントページを更新した。これはかなり技術的なものに関する文書で、開発者がどのように代替支払いオプションを提供できるかを説明している。

しかし、Appleがアプリ開発者に手数料を請求する予定であることも書かれている。基本的に、Appleが取引を扱わないため、開発者はApp Storeの手数料を3%カットされる。しかし同社は、提供するさまざまなサービスに対して27%の手数料を請求することは、まだ正当だと考えている。

ACMの命令に従い、サードパーティのアプリ内決済プロバイダをリンクアウト、または使用する権利を付与されたマッチングアプリは、取引にかかる手数料をAppleに支払うことになります。Appleは、付加価値税控除後のユーザが支払う価格に対して27%の手数料を請求します。これは、決済処理および関連する活動に関連する価値を除いた率です。開発者は、サードパーティの決済プロバイダーによって処理された売上について、オランダの付加価値税(VAT)など、適用される税金の徴収と送金に責任を負います。

アプリ開発者は毎月、App Storeでホストされているアプリに関連するデジタル売上を報告する必要がある。その後、Appleは27%の手数料の請求書を送付する。

つまり、開発者はAppleの決済システムを回避することで、追加でかなりの収益を得ることはない。しかし、それだけではない。サードパーティの決済システムには技術的な費用もいくらか発生する。

マッチングアプリではよくあることだが、複数の国にユーザーを持つアプリ開発者の場合、同じアプリのバイナリを提出することはできない。開発チームは、オランダ語のアプリとオランダ語ではないアプリの2種類のバイナリをまとめて提出しなければならない。

Appleは、サードパーティの決済システムを使用することを可能な限り難しく、高価にしたいと考えている。ほとんどの開発者は、Appleのアプリ内課金APIを使い続ける可能性がある。

「Appleのアプリ内課金システムを使い続けたいマッチングアプリの開発者は、そうすることができ、追加で何かを行う必要ありません」とAppleは書いている。

しかし、それは同社がただ時間を稼いでいるように感じられる。App Storeは依然として、さまざまな管轄区域で独占禁止法の厳しい監視下に置かれている。Appleは、最初の裁判所命令や競争促進的な改革を回避する方法を見つけるだろう。しかし、規制当局が本当にAppleのアプリ開発者向け手数料を下げたいのであれば、もっと賢くなるはずだ。

 画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

バカンは2月4日、東日本電信電話(NTT東日本)との提携を深化し、ニューノーマルな働き方に適応する共同検討の新サービス、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」(キープル)の提供を開始すると発表した。

また同提携の一環として、NTT東日本本社オフィスの執務スペース約300席にKeepleを2021年12月より展開。Keepleでは、VACANが提供する座席の即時予約サービス「VACAN Noline Autokeep Module」(ノーライン オートキープ モジュール)を活用することで、素早い開発およびサービス提供を実現しているという。同モジュールは、VACANが提供する座席の予約サービス「VACAN Noline Autokeep」の機能をベースとしており、導入環境に応じて必要な機能を随時カスタマイズできる仕組み。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

昨今、リモートワークの浸透、オフィスのフリーアドレス化、フレックス勤務などのワークスタイルの変化により、様々な課題が生じている。バカンは、これら課題を見える化し、ワークプレイスの最適化、組織と人、人と人との新たなコミュニケーションの実現に向け、今後もNTT東日本と連携してサービスをブラッシュアップし、展開を加速させるとしている。

オフィス内の空いている座席を検索・予約、座席利用データを基に席の配置や導線設計の見直しなども行える

バカンのKeepleは、オフィスの座席に設置された専用タブレットと専用ウェブサービスを活用することで、座席の予約やオフィス内での社員の現在位置を検索できるサービス。

専用サイトにスマートフォンからアクセスすることで、オフィス内の空いている座席を検索・予約できる。また座席を予約した者は、座席に設置されているQRコードやタブレットのバーコードを読み取ることで、チェックインが可能となる。

事前予約を行っていない場合は、席が空いていれば座席に設置されているタブレットから直接利用予約が可能。

座席の満空情報は、専用サイト以外にも、オフィスに設置してあるサイネージなどの情報端末からも確認できる。座席の利用率や残席数などをリアルタイムに分析することで、おすすめの座席をレコメンドし簡単に座席を選べるようにサポートするといった機能も実装しているという。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

また、オフィス内における社員同士のコミュニケーションを活性化させるために、「社員の位置検索」機能も提供。位置検索機能において、探したい社員の名前を専用画面に入力することで、利用している席の場所を見つけられる。これにより、フリーアドレス特有の人を見つけにくいといった課題を解決し、スムーズな対面での会話を実現している。

さらに、利用データを基に各デスクの利用状況を可視化可能。これらデータを活用することで、席の配置や導線設計の見直しなどが可能となり、オフィス運用をデータでサポートするとしている。バカン、オフィス向けコミュニケーション促進サービス「Keeple」をNTT東日本の本社オフィスに提供開始

やった!ついにSnapが黒字に

クラクションを鳴らせ、のぼりを立てろ、パレードをしよう。Snap(スナップ)が黒字になった

それも、調整後EBITDA黒字のことでも、調整後営業利益黒字でも、悪名高き非GAAP純利益黒字でもない。「本物」の黒字だ。

2021年第4四半期、Snapは売上13億ドル(対前年比42%増、約1493億3000万円)、営業損失2510万ドル(約28億8000万円)、GAAP純利益2260万ドル(約26億円)を計上した。これまで長年にわたりSnapのときには曲がりくねった黒字への道について書いてきた意地悪のすべてに代えて、私は「おめでとう」をいいたい。

1つだけ、わずか6320万ドル(約72億6000万円)の注意点。営業損益はマイナスなのに、どうやってプラスの純利益をひねり出したのか?

画像クレジット:Snap

この会社の2021年第4四半期の営業損失をプラスに変えるのにひと役買った「その他の利益(Other Income)」とは何か?私は知らない。今はまだ。会社の決算リリースでも用意されたコメントでも説明されていない。しかしいずれにせよ、Snapの四半期は絶好調であり、投資家たちは興奮した。株価はこの日の散々な通常取引(23.53%安)から、数字が発表されたあとの時間外取引で現在急上昇(40.90%高)している。

要するに、多くの会社に打撃を与えたApple(アップル)のプライバシーポリシー変更が、SnapにとってはOKだということらしい。これは驚きだ。なぜなら2021年第3四半期同社は、Appleの新しいプライバシー方針は損益に直接的打撃を与えるとコメントしていたからだ。どう考えればよいのか?会社の決算発表文を見てみよう。最高ビジネス責任者であるJeremi Gorman(ジェレミ・ゴーマン)氏が次のように語っている(強調は引用者による)。

ダイレクトレスポンス広告部門では、AppleのATT(アプリケーション追跡透明性)関連の変更から生じた課題への継続的取り組みによって、堅調な進展を見せています。予想していたとおり、ブランド部門では、サプライチェーン崩壊と労働力崩壊に関連するマクロな逆風が顕在化し、新年になっても未解決のままです。こうした状況にもかかわらず、当社は新しい広告主の獲得を続け、アクティブ広告主数は史上最高を記録しました。

確かに堅調な進展だ。

絶好調の四半期を推進したのは着実なユーザー成長であり、それはMeta(メタ)が現在苦闘していることそのものだ。これに関するSnapのグラフを見てみよう。

画像クレジット:Snap

要約すると「ヤバイ!」

他に関連する企業のニュースとしては、Amazon(アマゾン)は絶好調の決算報告後の時間外取引ですばらしい時間を過ごしている。これはPayPal(ペイパル)、Spotify(スポティファイ)、Netflix(ネットフリックス)をはじめとするテック世界の他社が、投資家の期待に答えられずに沈黙せざるをえなかった後の出来事だ。

最近の決算報告は悲喜こもごもであり、言い方を変えれば、我々は、少なくとも2021年は足並みを揃えて前進していたようだった企業間の業績の相違を確認しているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

東京都の5Gイノベーション街中実装・事業化アクセラレータープログラムにYper・サイトセンシング・シナスタジア・Placyが採択

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

GO BEYOND DIMENSIONS TOKYOに採択された4社とその街中実装パートナー各社の代表

東京都の「5G技術活用型開発等促進事業(Tokyo 5G Boosters Project)」において、スタートアップ支援の開発プロモーターとして採択されたサムライインキュベートは、5Gを活用したサービスなどの街中実装や事業化を支援するプログラム「GO BEYOND DIMENSIONS TOKYO」を実施している。

2月3日には、第1期として募集した中から4社が選定され、記者会見が開催された。採択されたのはYperサイトセンシングシナスタジアPlacyで、今後パートナーとなる大手企業や大学とともに、事業化を目指した実証実験などを行う。今夏には成果発表会も実施される予定だ。

採択された4社とその街中実装パートナー各社

採択された4社とその街中実装パートナー各社

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

夏までには一定の成果を上げ、発表を行う予定

東京都は、Tokyo 5G Boosters Projectとして20201年度から支援事業を開始。都が選定した「開発プロモーター」が主導してスタートアップなどの開発・事業化を支援するなどして、東京都が抱える課題を、5Gを活用することで解決しようという試みだ。2021年度にその1社に選定されたサムライインキュベートがオーガナイザーとして募集したのが今回のプログラムとなる。

サムライインキュベートのDirector Enterprise Groupの山中良太氏は、「5G普及による将来ビジョンは、AI・データ活用のケータイ化」と指摘。これはAIやデータ活用が「誰もが手軽に、いつでも利用できる」(山中氏)という意味だという。

例えば自動配送ロボットは、超高性能センサーや超高性能プロセッサを搭載するため、1大300~500万円とコスト高になる。しかし、5Gの特徴である高速・大容量、低遅延、多数接続といったメリットを生かし、クラウド側でデータを処理することでコスト低減に繋がる。これによって「サービスやソリューションが一気呵成に普及する可能性を秘めている」と山中氏。

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

5Gが目指す将来ビジョンとして、山中氏はエッジのシンクライアント化によるコスト低減などにより、AI・データ活用のケータイ化が起きる、としている

これによって、自動運転車、ドローン配送、遠隔手術、xRといった社会課題を解決できるようになる。そんなポテンシャルを秘めていると山中氏は強調する。そうした世界を実現するために、スタートアップと街中実装パートナーによるタッグで、より確実に開発が進められることを狙ったのが今回のプロジェクトだ。

サムライインキュベートの山中良太氏

サムライインキュベートの山中良太氏

5Gの真価が現れる5G SAサービスが順次開始される2022年を「AI・データ活用元年」(山中氏)として、プロジェクトを推進し、実用化に繋げていきたいと意欲を見せていた。

「5G遠隔操作・監視でどこからでも配達員になれる自律走行ロボット」

採択されたYperは、もともと置き配バッグ「OKIPPA」を提供していたスタートアップ。物流のラストマイル配送を効率化するとしてOKIPPAを開発したが、加えて新たに開発しているのが自動配送ロボットの「LOMBY」だ。

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

OKIPPAのYperが開発している自動配送ロボットLOMBYが採択

Eコマースなどの通信販売やフードデリバリー、フリマアプリといったサービスの拡大で、「ラストマイル配送」の市場規模は2.5兆円に達していると同社代表取締役の内山智晴氏は指摘。宅配物の取扱量も2020年の約45億個から35年には88億個まで拡大すると予測されているが、国内労働人口は逆に約6400万人から5587万人に減少するとみられている。

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

宅配物の取扱量が急拡大するのに対して、労働人口が減少し、配達員が不足する懸念がある

結果として、物流は伸びても配送するための人員が不足することが懸念されており、「このギャップをどう埋めるか」(内山氏)ということから、今回の配送ロボットが開発されているという。

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

遠隔からロボットを操作することで、効率よく非対面の配送が可能になる

街中実装パートナーとしてJR東日本都市開発、東京都立大学、三菱地所が参画。飲食店からマンションへフードデリバリーをする実験や、都立大キャンパスでの宅配物配送や構内のフードデリバリー、東京の2つのビルにおける商業ビル内外での商品配送といった実験を計画している。

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

例えばフードデリバリーでは、店舗から300mほど離れたマンションへ遠隔操作で配達する

公道での配送においては、今後の法改正や警察などとの協議も必要になるが、5Gを使った映像伝送によって周囲を確認しながらの遠隔操作が可能。内山氏も、「遠隔操作では比較的技術的な課題が少ない」と話す。実証実験によって、それぞれの環境での商用利用ではどういった課題があるかを見極め、それをクリアしていきたい考えだ。

実験のプラン

実験のプラン

Yperの内山智晴氏

Yperの内山智晴氏

「減災初期対応に必要な災害時の被災状況のドローン生中継サービス」

産業技術研究所発のスタートアップであるサイトセンシングは、GPSなどの衛星測位システムの電波が届かないような地下、屋内、悪天候化の屋外などでも自律飛行ができるドローンを開発している。

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

サイドセンシングのドローン(画像中央)。屋内でGPS信号が届かなくても自律飛行が可能で、自動で撮影した画像を使って3Dモデルを作成する、といった開発が行われている

同社のドローンは、「移動体の動きにおける加速度の変化を積分して自己位置を求め、映像を使わずに自律航行ができる」(同社代表取締役の平林隆氏)という仕組みで、外部からの電波が不要で、映像も使わないので処理が軽く高速な位置測定が可能だという。

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

被災状況のリアルタイム把握を行うなど、様々な現場で活用できるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

高精細映像が撮影できることで、そのデータを活用したサービスとの連携も可能になるとしている

災害時にもいち早く現場で活動でき、現場の状況を素早く伝送できることにフォーカスしているそうで、その映像の伝送のために高速・大容量の5Gを生かす。ドローンからの映像を元に、災害時の避難民の数を数えたり、河川の決壊危険個所を映像から推定したり、といった外部のサービスとの連携において、映像がより高精細であるほど精度が高まるため、4Kや8Kの高精細映像を伝送できるよう、今回のプロジェクトで取り組む。

まずは開発の第1フェーズとして、小型のプロトタイプのドローンを開発。都立大のキャンパス内で自律飛行と撮影をして、5Gで映像を伝送する実験を行う。来年には大型ドローンで同様の実験を行い、24年3月には実用化に繋げたい考えだ。

今後のプラン

今後のプラン

サイドセンシングの平林隆氏

サイドセンシングの平林隆氏

「5Gによる大量普及型XR顧客体験価値向上サービス」

観光バスに乗り込んだ乗客がVRゴーグルを装着し、観光地の実際の景色と映像を組み合わせたXR周遊観光サービスなどを提供しているシナスタジアは、5Gによって機材の低コスト化と高リッチ化を実現して、サービス拡大に繋げたい考え。

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

VRゴーグルとリアルの観光を組み合わせたXR周遊観光サービス

現在は、京急電鉄の横浜バスツアーで導入されているがVRゴーグルに加えて処理するためのPCとバッテリーが必要で、バス1台に付き約2000万円のコストが掛かっているという。これを5Gの高速・低遅延の特徴を生かし、ネットワーク側でXR処理を行い、VRゴーグルに配信する仕組みによって、1台に付き400万円という大幅なコスト削減が可能になるという。

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

コストの重さが課題だったが、5Gの活用でシンクライアント化して安価に抑える

現在の仕組みでも、1人あたり4000円のチケットが即日完売で、利用者からも好評だという。ただ、オープントップバス1台で運用しており、これをさらに広げようとするには、現状の仕組みでは高コストだと京急側も判断。

それに対して、5Gを使ってデバイスをシンクライアント化することで、コストを削減し、今後はスマートフォン上でもXRコンテンツを配信できるようになり、幅広い環境にサービスが提供できるようになると期待する。

シナスタジアの代表取締役・有年亮博氏は、今回のプロジェクトを踏まえ、「来年度に実サービスを開発する」考えだ。

シナスタジアの有年亮介氏

シナスタジアの有年亮介氏

「オフィスにおける創造・共創を誘発するリアルワールド・メタバースサービス」「人と都市とのリアルなつながり・交流を創出するリアルワールド・メタバースサービス」

4社目のPlacyは、音楽を通じた感性解析AIを開発するスタートアップ。人の感性を推定するために音楽を活用すると精度が高くなることが「研究レベルでは出ている」と同社の代表取締役社長の鈴木綜真氏。Spotifyは、SNSで取得されるデータよりも音楽から得られたデータの方がより高精度にパーソナリティの推定が可能だとしているそうだ。

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

場所に対して音楽を投稿し、投稿された音楽を聴いて自分の感性と合う場所を見つける、という感性マップを提供している

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

今回のプロジェクトでは「感性」という観点から街やオフィスの魅力を高めるサービスを開発する

こうした視点を応用してその人と感性の合う街を紹介するといったサービスを展開してきた同社だが、今回のプロジェクトではパートナーの清水建設のオフィス内で、従業員のオフィスに最適化されたBGMを再生する。三菱地所とは、NianticのAR技術を活用し、東京・丸の内の「感性マップ」を作成し、誘客・回遊を生み出すためのコンテンツを作成する。

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

丸の内では、メタバースと感性マップを使って街の感性を可視化し、人の回遊性を高める

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

NiantecのAR技術を使った街クエストを開発してゲーム性も備えるサービスにする計画

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

オフィスの感性マップを作成し、感性に合う環境で仕事をすることで、新たな価値の創出を狙う

Placyの鈴木綜真氏

Placyの鈴木綜真氏

米国のAmazonプライム料金が17%値上げ、年間約1万5960円に

米国時間2月3日に行われた四半期および全年の決算報告で、Amazon(アマゾン)は米国でのプライムの料金値上げを発表した。月額料金が12.99ドル(約1490円)から14.99ドル(約1720円)に上がり、年会費は119ドル(約1万670円)から139ドル(約1万5960円)と、17%の値上げになる。

新料金は2月18日からAmazonプライムの新規会員に適用され、既存会員には3月25日以降の更新時に適用される。プライムの特典が継続的に増えていることと、人件費および輸送費の高騰のため値上げを行うという。

「Amazonはプライムに大規模な投資を続けています。ここ数年で、私たちは、高速で無料の無制限プライム配送で利用できる商品の選択肢を増やし、より多くの独占的な取引と割引を追加しました。プライム会員の特典の継続的な拡大だけでなく、賃金や輸送コストの上昇にともない、米国でのプライム会員の価格を引き上げることになりました。これは、Amazonがプライムの価格を引き上げるのは2018年以来初めてです」とAmazonプライムの副社長であるJamil Ghani(ジャミル・ガニ)氏は声明で述べている。

米国でAmazonプライムの料金が上がるのは、これが3度目だ。前回は2018年に、配送費用の高騰を理由に値上げされた。その前は、同社は2014年にプライムの料金を値上げしている。

Amazonは決算発表で、米国のプライム会員が60億回以上の無料配送を受けたこと、2021年に世界で2億人以上の会員が番組や映画をストリーミング配信したことを明らかにしている。

画像クレジット:David Becker/AFP/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

急成長するライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnotがPastel Labsを買収、エンジニアリング担当VPも雇用

ライブストリームショッピングプラットフォームのWhatnot(ワットノット)は、フェニックスのガレージから抜け出して今や従業員数120人、評価額15億ドル(約1717億5000万円)にまで成長した。事業が爆発的に成長していることから、2022年中に従業員は300人以上になると見込まれている。この成長を支えるために、Whatnotは重要な人物を2人雇用する。1人は2020年にJeff Chang(ジェフ・チャン)氏が創業したPastel Labsの買収に関連している。チャン氏はかつてPinterestの成長チームでテクニカルリードを務めた著名な成長アドバイザーで、買収にともなってWhatnotの成長担当責任者となった。買収は全株式の取引でIPは含まれないことから「アクハイヤー」(買収による雇用)と見られる。Whatnotはもう1人、Lyftの成長&プロダクトエンジニアリング担当責任者だったLudo Antonov(ルード・アントノフ)氏をVP兼エンジニアリング担当責任者として雇用することも発表した。

関連記事:コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に

Pastel Labsの買収は2021年12月に合意していたものの発表されていなかった。この買収についてWhatnotの共同創業者でCEOのGrant Lafontaine(グラント・ラフォンテーヌ)氏は、500万〜1000万ドル(約5億7000万〜11億4500万円)規模と述べた。Pastel Labsは従業員5人の小さい企業で、ユーザーのビデオメッセージを記録するSaaSプロダクトやオンライン指導向けのEdTechマーケットプレイスなど、実験的なプロダクトを開発していた。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアクセラレータプログラムのY Combinatorでチャン氏を知った。Whatnotはコロナ禍の直前である2020年冬にY Combinatorに参加していた。創業当初、ビニール人形のFunko Popのようなコレクターズアイテムのリセールに力を入れていたWhatnotは、資金を調達できなかった。人々はお遊びではなくコロナ禍に気を取られていたからだ。Whatnotはしばらくの間、ロサンゼルスからフェニックスへ移らざるを得ないほどだった。しかし同社は、米国の市場ではライブのソーシャルコマースは初期段階で今後の可能性を大いに秘めていると考えて、構築を続けた。

ラフォンテーヌ氏は「(チャン氏は)Y Combinatorでまさに成長を教えている人です」と述べ、チャン氏について「会社をスケールし、成長させることと、そのためのメカニズム」を知ることに関して世界で指折りの人物と説明している。ラフォンテーヌ氏によれば、チャン氏はこれまでにも成長に関する問題についてWhatnotにアドバイスをしてきたという。そして両氏が話をする中で、ラフォンテーヌ氏はPastel Labsで開発されてきたことの一部を、1年間で60倍以上の成長を遂げたばかりのWhatnotでさらに活かせるのではないかと考えた。

今後、チャン氏はWhatnotでマーケットプレイスの売り手側のスケールに力を入れる。現在、マーケットプレイスで扱われているものはスポーツやゲームのカード、おもちゃ、マンガ、ビンテージゲームなどのコレクターズアイテムが中心で、最近ではスニーカー、ビンテージファッション、レコード盤などのマニア向けカテゴリーもある。チャン氏は買い手側の強化にも力を入れ、スケールし続けるために必要な仕組みを明らかにしていく。それは広告かもしれないし、共有のためのツールか、あるいはもっと別のものかもしれない。同氏が率いる成長チームのメンバーは現在6人で、今後増員する計画だ。

もう1人のアントノフ氏はLyftやPinterest、Huluなど多くの有力テック企業での経験があり、今後はWhatnotのエンジニアリングチームを動かしていく。

画像クレジット:Whatnot

ラフォンテーヌ氏はアントノフ氏について「ルードは世界有数の成長を遂げたPinterestの成長チームや、Lyftの数百人にのぼるプロダクト&成長エンジニアリングチームの運営など、一流のエンジニアリングチームを確立してきました。彼の経歴はWhatnotにうってつけです。ビデオを扱い、コンテンツやPinterestを扱い、Lyftでマーケットプレイスを扱ってきました」と称賛している。

ラフォンテーヌ氏は、Whatnotはコンテンツプラットフォーム、マーケットプレイス、ビデオプラットフォームの3つをすべて包含するものだと補足した。

新たに加わる2人は、NFTなどの新しい分野に進出して拡大を続けるWhatnotを率いていく。同社は他にも、スケーリング、低遅延の環境、リアルタイムのデータを用いてコンテンツを発見するシステムの構築といった課題にも取り組む。ラフォンテーヌ氏によれば、今後1年間で同社はコレクターズアイテムやマニア向けカテゴリー以外にも拡大していく予定だという。さらに同社は、コンシューマ向けの新機能や売り手向けツールを追加する計画も立てている。

「ジェフとルードはともに、成長やマーケットプレイスのエンジニアリングチームを率いる豊かな経験を持っています。2人はコンテンツとコマースを組み合わせるだけでなく、企業のユーザーを何億人にもスケールする技量を示してきました。ルードとジェフがWhatnotに加わって、これほどうれしいことはありません」とラフォンテーヌ氏はいう。

画像クレジット:Whatnot

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

Google Workspace、無料の新プラン「Essentials」でシャドーITに全力投球

Google(グーグル)は米国時間2月3日、おそらくまだG Suiteと呼ばれているであろう同社の生産性サービス、Workspaceの新バージョンを発表した。今回発表された無料の新プラン「Google Workspace Essentials」によりGoogleは、Gmailを除く基本的なWorkspaceの生産性ツールを提供することで、より多くのビジネスユーザーをプラットフォームに呼び込みたいと考えている。

関連記事:G SuiteがGoogle Workspaceにリブランド、チャットルームでドキュメント作成コラボも可能に

これまでは、Google以外のメールアドレスでWorkspaceを利用するためには、14日間の試用後に月額6ドル(約690円)/ ユーザーのBusiness Starterアカウントにサインアップする必要があった。この有料プランがなくなるわけではないが、今では仕事用のメールアドレスでサインアップするだけでOKだ。クレジットカードは必要ない。

新しい無料プランは、基本的に既存のエントリーレベルであるBusiness Starterだが、ストレージ容量が30GBから15GBに減少している。それを除けば、最大100人のユーザーとのGoogle Meetを1回の通話で60分まで利用できたり、仕事のコラボレーションのためのSpacesや、同僚のゴシップを話すためのChatにアクセスできたりする。もちろん、Sheet、Slides、Docsなどの標準的なツールもすべて含まれている。

すでに仕事用のメールアドレスがあるので、このエディションにはGmailが含まれていない。Gmailから仕事用のアドレスでメールを送るのは難しいし、さまざまな混乱を招くことを考えれば、これは納得がいく。

画像クレジット:Google

だが、少し複雑な部分もある。1つのEssentials Starterチームアカウントには、25人のユーザーという上限がある。しかし同一企業内で、複数のチームアカウントを作成することができる。つまり、基本的にはチームの誰かがアカウントを作成し、より大きな会社で働いている場合は他のチームメンバーを招待する必要がある。

この動きによって、GoogleはシャドーITにまったく新しい世界を切り開こうとしている。Googleは発表の中で、次のように書いている。「Essentials Starterでは、従業員が自分の生産性向上ツールを簡単に選択でき、最新のコラボレーションを仕事に取り入れることができます」。すなわち、IT部門が選択しなければ、従業員が代わりに選択することになる。

また、データガバナンスやセキュリティに関するさまざまな問題も出てくる。

「Google Workspace Essentials Starterは、仕事でGoogle Workspaceを自分1人で、またはチームで簡単に使い始められるように設計されています」とGoogleの広報担当者は筆者の質問に対し説明してくれた。「ユーザーをチームに招待する機能など、いくつかの軽量な管理機能が含まれていますが、より詳細なIT管理や高度なセキュリティなどの機能は、Google Workspaceの有料プランでのみ利用可能です」とも。

おそらくこれにより、まだ有料のWorkspaceアカウントを持っていない大企業は、従業員が自分でアカウントを立ち上げるのを阻止するために、急いでサインアップすることになるだろう。

画像クレジット:Ingus Kruklitis

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)