Spotifyがソーシャルに曲を「発見」できるTastebuds機能を開発中

Spotify(スポティファイ)は、友だちが何を聴いているかを調べられる「Tastebuds」(テイストバッズ、味蕾という意味)のプロトタイプを開発している。音楽発見サービスは本来ソーシャルなものだが、2017年にInboxを廃止して以来、Spotifyにはモバイルアプリで友だちと直接コミュニケートできる機能がない。「友達のアクティビティー」の表示機能はデスクトップ版に限定されている。

どうやらSpotifyは、同社が用意したプレイリストと「発見」の画面だけをユーザーに見せるために、故意にソーシャル機能を制限しているようだ。それが、Spotifyにキングメーカーの地位を与えている。ここで紹介されたアーティストはスターへの道が開かれるため、Spotifyは大変な影響力を手にしたわけだ。そのため、レコードレーベルはSpotifyと仲良くしておかないと、つまり持続可能なロイヤリティー料率と独占権を提供しなければ、自社のアーティストがプレイリストから外されてしまうと恐れるようになり、Spotifyのレコードレーベルとの交渉態度はさらに強気になった。

この戦略が功を奏し、Spotifyはライセンス契約数を増やし、レーベルにとっては決定的な意味を持つ重要なプロモーションパートナーとなり、やがては新規株式公開への道筋が付いた。Spotifyの株価は、公開価格132ドルでスタートし、公開当日は165ドルまで上昇したが、152ドル近辺で推移している。この地位に大変に満足したSpotifyは今回、「発見」に関する制限を解除。ユーザーが、友だちが聴いている音楽からよりよいインスピレーションが得られるようにしようと考えたようだ。

ジェーン・マンチャン・ウォンによるSpotifyのTestebudsのコード

Testebudsは、友だちの音楽の嗜好を探れるというものだ。Tastebudsは、My Library、Home、Browsのセクションと並んで、ナビゲーションのオプションという位置づけになる。まだ機能していないが、この機能のランディングページには誰でもアクセス可能だ。説明もわかりやすい。そして「Tastebudsとは?味覚の確かな友だちを通じて音楽を発見できるようになります」と書かれている。

プロトタイプの機能は、リバースエンジニアリングの魔女でありTechCrunchの常連情報屋であるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチャン・ウォン)氏がSpotifyのウェブ版から発見した。彼女はその仕組みを詳しく教えてくれた。「フォローしている人の検索」を行うペンのアイコンをタップすると、そのユーザーたちが一番よく聴いている曲の情報が示され、その曲を簡単に聴くことができ、彼らのライブラリに曲を追加することもできるという。

Tastebudsがなければ、Spotifyでソーシャルに他の人たちと関わり合える手段は、目立たないわずかなものに限られる。SMSやFacebook Messengerなどのボタンで曲を友だちに送るか、InstagramやSnapchatのストリーに曲を貼り付けるかだ。Spotifyでは、以前はアプリに内蔵されたInboxで曲のやりとりができたのだが、もっと人気のあるメッセージアプリを使ったほうがユーザーのためになるという理由から廃止されてしまった。

モバイル版とウェブ版では廃止されたが、デスクトップ版アプリでは、Facebookの「友達」が今聴いている曲を「友達のアクティビティー」のティッカーで見ることができる。また、特定のユーザーを探してフォローすれば、その人が公開しているプレイリストが見られるようになる。だが、Spotifyはユーザーの検索を積極的に推奨はしていない。

Spotifyには、他にも、実験は行ったが採用されなかったソーシャル機能がいくつかあった。そのひとつが、The Vergeのkly-playlist” rel=”noopener”>Dani Deahl(ダニー・ディール)氏が去年発見したFrends Weeklyというプレイリストだ。今年の5月には、ウォン氏が発見して我々が報じた、キューを共有して、離れていても友だちと同じ曲を同時に聴けるSocial Listening機能があった。 2014年には、Spotifyはブロブ的なブランジングから、アルゴリズムによるお勧め、好きなアーティストの新曲、友だちがよく聴いている曲などをもとに動的に更新されるPlayFeedプレイリストを作るようになると私が報じたが、その後、Discovery WeeklyとRelease Radarが追加された。Tastebudsも、最新のソーシャル機能として加わる可能性が高い。

Spotifyの友だちと同時に聴けるソーシャル視聴機能のプロトタイプ

結果としてできるのは、友だちが今何を聴いているかをほんの少しだけのぞくか、非常に数が少なく、それでいて古くなってることが多い友だちが自分で公開したプレイリストを手に入れるか、別のメッセージアプリで曲を送るぐらいなものだ。友だちが最近何を聴いているのか、またその人の音楽の好みを全体的に知る優れた手段がない。

我々は、Tastebudsがどのように動作するのか、誰が何を見られるのかに関するプライバシー機能、この機能は実際に採用されるのか、されるとしたらいつかといった詳しい話をSpotifyに問い合わせている。我々はまた、音楽を共有することで人と人がつながり、恋が芽生えるようにと2010年に設立されたTastebuds.fm(テイストバッズ・エフエム)という音楽出会い系サービスのスタートアップと何らかの契約を交わしているのかについても興味がある。

【更新】Spotifyの広報担当者は「私たちは常に新しい製品やエクスペリエンスを試していますが、現時点でお知らせできるニュースはありません」と断言した。また、スタートアップのTastebuds.fmとは関係がないことも話した。

Spotifyにとってソーシャルは、巨大にして、いまだその恩恵を引き出せていない要素だ。ソーシャルなお勧めがSpotifyで音楽を楽しむユーザーを長く引き留めるというだけでなく、それによってより多くの広告を聞いてもらえるようになり、サブスクリプションの解約も減らせるだろう。さらに、他にはない独自のソーシャルグラフにユーザーを固定するこにもつながる。Apple MusicやYouTubeといった競合サービスが類似の音楽カタログを提供する可能性はあるが、Tastebudsのソーシャルな「発見」でユーザーたちを虜にできれば、Spotifyからの離脱を防げるはずだ。

関連記事:Spotifyはどのようにしてレーベルへの影響力を強めたのか(未訳)

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(翻訳:金井哲夫)

YouTube MusicがSpotifyに対抗して3つの新プレイリストを追加

YouTube Musicは、3種類のパーソナライズされたプレイリストを導入することで、Spotify、Apple Musicといったサービスの要素を取り込もうとしている。その3つのプレイリストとは、SpotifyのDiscover WeeklyをパクったようなDiscover Mixと、New Release Mix、そしてYour Mixだ。Discover Mixについては、以前のテスト中に出回ったことで、すでに発見されていた。現在では3つすべてのプレイリストが世界中のYouTube Musicユーザーに提供されている。

これらの新しいミックスを導入する同社の計画は、この秋のTechCrunch Disrupt SF 2019で発表されていた。YouTubeの最高製品責任者、ニール・モハン(Neal Mohan)氏は、機械学習と人間のキュレーションを組み合わせることで、提供する音楽サービスを改善する計画について話していた。

Discover Mixは、SpotifyのDiscover Weeklyに非常によく似ている。ユーザーが、新しいアーティストや好きな音楽を見つけられるよう、手助けすることに焦点を当てたもの。ユーザーが、これまでに聴いたことのない曲や、好きなアーティストの曲ながら、あまり知られていないものを紹介してくれる。しかし、競合の音楽サービスと異なるのは、このプレイリストは、YouTube MusicとYouTube、両方の聴取データの履歴を活用して作成されること。

このミックスは、毎週水曜日に更新され、リスナーに毎週50曲を提供する。

New Release Mixは、名前から想像できるように、ユーザーのお気に入りのアーティストや、ユーザーが気に入りそうだとYouTubeが考える他のアーティストによる、すべての最新リリースを取り上げるもの。これは、ほとんどの新曲のリリースと同様、毎週金曜日に更新されるが、必要に応じてそれ以外の日に曲が追加されることもある。

最後のYour Mixは、ユーザーのお気に入りの音楽と、まだ聴いたことのない、好きそうな曲を組み合わせたプレイリスト。中身は、普段の聴き方の傾向によって選ばれる。このミックスは、定期的に更新され、常に最新の状態に保たれる。

もちろん、YouTube Musicを長い時間聴けば聴くほど、ミックスは良いものになる。しかしYouTubeによれば、ユーザーが設定で自分の好きなアーティストを選んだり、実際に数曲を聴くだけで、すぐにパーソナライズされたミックスの提供が可能になるという。

このようなプレイリストの登場は、現在Googleがストリーミング音楽サービスに熱心に投資するようになっていることと無関係ではない。この秋には、YouTube Musicは、Google Play Musicに代わって、新しいAndroidデバイスに付属するデフォルトの音楽アプリになった。そして最近の報告によれば、Spotifyの主要市場であるインドでは、遅れて参入したにもかかわらず、YouTube MusicはSpotifyやJioSaavnより優位に立っているという。

新しいプレイリストは、iOS、Android、およびウェブ版のYouTube Musicで、すでに利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

子供の足をスマホで計測できるマーケットプレイス運営のJenzy

フィラデルフィアで女性が設立するスタートアップの中でも、Jenzy(ジェンジー)ほど大きな期待を抱かせるものはないだろう。オンラインマーケットプレイスと子供の足のサイズを計るバーチャル計測サービスを提供する企業だ。

モルガン・スタンレーのMulticultural Innovation Lab(マルチカルチュアル・イノベーション・ラボ、多文化イノベーション研究所)から125万ドル(約1億3700万円)の投資を受けたこの企業は、絶望から生まれ、2つの大陸で育てられた。

Eve Ackerley(イブ・アケリー)氏とCarolyn Horner(キャロリン・ホーナー)氏の2人の共同創設者は5年前、中国の雲南省の別々の場所で英語教師をしていたときに出会った。物が買える店が少なかったため彼女たちはネット通販に頼っていたのだが、靴を探していたときネット通販の最大の欠点に気がついた。適切なサイズの靴を見つけられないことだ。

写真に向かって左から、Jenzyの共同創設者であるキャロリン・ホーナー氏とイブ・アケリー氏

米国に帰ってきても、その記憶は2人から離れなかった。そこで彼女らは、スマートフォンだけで足のサイズが測れるアプリケーションの開発に着手し、小売店と協力して、女性が自分の足のサイズを正しく知り、適正な靴が買える仕組みを作った。

このアイデアが発展し、初めて会社を設立したこの2人は、靴の購入が厄介なのは大人ばかりではないことに気がついた。正しいサイズを知ることと適切な靴が買えるマーケットプレイスは、子供にこそ必要だと。

「私たちの事業でもっとも独創的な部分は、プラットフォームで扱われるすべての靴を標準化したことです」とホーナー氏は言う。

Jenzyは、コンバース、サッカニー、ケッズといったブランドと共同で、足にぴったり合う子供靴を提供している。「子供は、片方の足のサイズが6で、もう片方が7ということもあります」とホーナー氏。Jenzyなら、それぞれの足にぴったりの靴が届く。「Jenzyで計測すれば、確実に正しいサイズの靴が届けられるよう、卸売業者と協力しています」。

小売店にすれば、大きな負担となっている部分を削減できる。この業界では返品率は30%にのぼるが、Jenzyなら15%まで減らせるとホーナー氏は言う。この節約幅は110億ドル(約1兆2000億円)産業にとって非常に大きいとホーナー氏は見積もっている。

Jenzyは、最初のバージョンのアプリを2017年7月に提供開始したが今年の初めにアップデート版をリリースした。ホーナー氏の概算では、5月から今日までに同社は2万5000の足を測定し、アプリのダウンロード数は1万5000に達するという。

「この計画は、中国から戻った後でも、まだ私たちの興味が続いているかを確かめるものでした」とホーナー氏は会社設立時を振り返って言った。

当初2人は、カリフォルニアにあるアケリー氏のパートナーの自宅で作業していたが、後に子供靴に方向転換すると、ベータテスターたち(子だくさんのホーナー氏の家族だ)と密接に仕事を進めようと、フィラデルフィアに移った。

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(翻訳:金井哲夫)

TV広告などにオンデマンドで映像を入れ込むプロダクトプレイスメント開発のRyff

従来の放送メディアにおける広告料金が下落傾向にある現在では、毎日何百万ドルもの予算を貪るドラマの制作会社は、新しいビジネスモデルを探し出す必要がある。サブスクリプション型のサービスが台頭してきている。大手放送局はみなオンデマンドサービスを開始し、従来のテレビ放送は、広告に支えられた動画ストリーミングサービスに置き換えられている。

しかし、ここにもうひとつ広告業界が渇望してきた至高のシステムがある。技術的に実現困難とされてきたものだが、ついに手が届くものになった。それは商品をオンデマンドで映像に入れ込むプロダクトプレイスメントという広告手法で、2018年の初めからRyffが開発を続けてきたテクノロジーだ。

プロダクトプレイスメントは米国で次第に大きなビジネスとなっており、調査会社Statistaのデータによれば2019年には114億4000万ドル(約1兆2500億円)をかき集めた。この数字は、2012年の47億5000万ドル(約5200億円)から伸びてきたものだ。この報告書には、米国人のおよそ49%が映像で目にしたプロダクトプレイスメントの商品に対してアクションを起こしているという。

プロダクトプレイスメントの効果は、インディアナ大学とエモリー大学の研究者たちも証明している。彼らは「テレビ番組で行われた卓越プロダクトプレイスメントには、インターネット上での会話やそのメーカーのウェブトラフィックに大きな好影響を与えている」ことを発見した。

一方、ストリーミングサービスは視聴者が直接支払う料金で潤っているが、収益の流れを多様化する道も探っている。NetflixとHuluは、どちらもプロダクトマーケティング部門を拡大し、Forrester Researchなどのアナリストたちは、従来型の広告収入が減少している企業にとって、プロダクトプレイスメントは大きな稼ぎ頭になると予測している。

すでに、プロダクトプレイスメントを扱う企業はいくつか存在する。 Branded Entertainment Networkのようなスタートアップは、商品のメーカーや番組制作者と協力して、映画やテレビドラマの内容的に最適なシーンに商品を配置する手配をしている。また、映像に商品の看板を映り込ませるMirriadは、プラットフォームも制作会社も儲かる仕組みを作っている。

Ryffは、このテクノロジーを次のレベルに引き上げている。同社はコンピュータービジョン、機械学習、レンダリング技術を使って、映像内のオブジェクトを認識し、それを顧客が宣伝したい商品データと自由に入れ替えることができるのだ。

「定額制動画配信やストリーミング・プラットフォームが市場に浸透し、契約者数が伸び悩むNetflixなどのプラットフォームと合体すると、それらのプラットフォームは、否応なく新しい収入源を追求し、それを取り入れるようになります」と、MaC Venture Capitalの経営ジェネラル・パートナーで、Ryff取締役会の新役員Marlon Nichols(マーロン・ニコルス)氏は言う。「有料プラットフォームの利用者は、コンテンツを視聴中に広告で中断されるのを嫌います。そのため、プロダクトプレイスメントは成長をもらたす重要なチャンネルであり、Ryffの新たな市場とユニークなテクノロジーにより、同社はマーケットに成長をもたらす疑いようのないマーケットリーダーとなるでしょう」

その技術開発力を維持し、販売力とマーケティング力を向上させるために、Ryffは500万ドル(約5億4700万円)の資金調達を行った。Crunchbaseによれば、Ryffは以前、Mahindra Groupの子会社や非公開の投資家たちから360万ドル(約3億9400万円)の投資を受けている。今回はValor Siren Ventures、MaC Venture Capital、Moneta Ventures、Vulcan Capitalからの投資となる。

「Ryffの技術は、製品のリーチを拡大し、売り上げを伸ばすソリューションに対する急激な需要の高まりを受けて、よいタイミングで提供されました」とTech Mahindraのメディアおよびエンターテインメント担当副社長Uday Ghare(ウーデイ・ゲア)氏は投資の際に行われた声明で述べている。「メーカーはコンテンツ中心のプログラムにへの依存度を高め、その流れが拡大していくため、メーカーからの資金の流れは、コンテンツマーケティングと運用型広告の両方に流れるようになるでしょう」。

Ryffの広告は、視聴者の好みやその番組を配信するプラットフォーム、放送される地域、放送の日時、幅広い視聴者の人物像に合わせて変更できると同社はいう。つまり、Google広告の動画版みたいなものだ。今回、Ryffへの資本コミットメントを決めた根拠について、MaC Venture Capitalのニコルス氏は、以下のような内容をブログに書いている。

知的財産の所有者が、そのコンテンツの価値をRyffのマーケットプレイスで最大限に高められる未来を想像してください。そのコンテンツは、数百とはいかないまでも、数十ものプロダクトプレイスメントの機会に配置され、クリエイティブな必然性に沿ったかたちで映像に重ねられる。そうした機会は、メーカーのマーケティング目標の達成度によってランク付けされ価格が決められる。メーカーは、そのマーケティング戦略や予算に応じて、映像の中に商品が組み込まれる機会を買う。動画が配信される直前に、商品の3Dモデルがアップロードされ、映像に動的に組み込まれるのです。

Ryffが最初に発表した契約相手は、「リアリティー」番組の制作会社Endemol Shineだ。「Ryffは、視聴者がスキップできない唯一の広告形式というプロダクトプレイスメントのコンセプトを的確に生かし、あらゆるコンテンツ、あらゆる時間、あらゆる市場への応用ができて、規模の調整も可能で、受け入れられやすいソリューションを提供しています」とRyffの創設者でCEOのRoy Taylor(ロイ・テイラー)氏は声明の中で話している。「その結果は、すべての人に恩恵をもたらします。イライラする広告からコンテンツを解放し、見る人に合わせた商品のプロダクトプレイスメントと、動画資産を収益化する新しい手段を提供します」。

写真クレジット:Netflix

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(翻訳:金井哲夫)

クラウドファンディングのMakuakeがアリババ傘下の「造点新貨」と連携、中国でのテストマーケや越境ECが容易に

クラウドファンディングやテストマーケティングのプラットフォーム「Makuake」を運営するマクアケは12月18日、中国の大手ネット企業のアリババグループに属するAlifishとの提携を発表した。AlifishはMakuakeと同様のプラットフォーム「造点新貨」を運営しており、マクアケとの連動で、日本と中国の事業者の相互紹介を進め、各国へ進出する際のサポートを行う。マクアケの今回の取り組みは、韓国の大手のクラウドファンディングサービス「Wadiz」との業務連携に続くもの。

具体的には、中国でのビジネス展開を希望するMakuakeのプロジェクト実行者に対して造点新貨を紹介する。プロジェクト実行者は造点新貨を利用した製品やサービスのテストマーケティングが可能になるわけだ。テストマーケティングが成功すれば、アリババグループの巨大ショッピングサイトサイトである「淘宝網」(タオバオワン)での出店も可能になるとのこと。その逆の、造点新貨のプロジェクト実行者をMakuakeに紹介する作業も担う。

マクアケは12月11日に東証マザーズに上場し、公開価格1550円のところ初日終値は2980円と順調に株価が上昇。その後も順調に推移し、12月18日14時48分に値幅制限の上限である4690円に達して本日はストップ高となっている。

関連記事:クラウドファンディングサイトのMakuakeが東証マザーズ上場、公開価格1550円で初日終値2980円

Whiskの人工知能レシピアプリは食材を宅配してくれる

料理のレシピを紹介するウェブサイトやアプリが急増しているが、作りたい料理を組み合わせたり探したりが、ここ数年難しくなってきている。レシピのサイトは、広告やら長たらしい個人的な話で埋め尽くされ、今の利用者は買い物リストを作って店に買いに行よりネットで食材を揃えたいという事実を多くのアプリは無視している。米国時間12月17日、Whisk(ウィスク)という企業が、新しい形の食事のプランニングとレシピ検索のサービスを開始した。集めたレシピの整理も行えるほか、Walmart(ウォルマート)、Amazon Fresh、Instacart(インスタカード)など、さまざまな食材宅配業者で簡単に材料を購入できる。

Whiskは、収益を3倍に伸ばし、収益性と月あたり5億件を超えるレシピのインタラクションを生み出す力を備えるようになった今年の3月、会社そのものが今年の3月にSamsung NEXT(サムスンネクスト)に買収されている。

そして今、Whiskはウェブサイト、モバイルアプリ、音声アシスタントなどに対応する新しいクロスプラットフォーム・エクスペリエンスを提供するまでになった。すべては、食事のメニューやリストの共有、そして買い物を楽に行えるようにするためだ。

誤解のないように説明しておくが、Whiskは一般的なレシピサイトとは違う。ほかで見つけたレシピを保存してくれる手段だ。レシピサイトの散らかりっぷりは最悪。メディアの注目は集めたが、ユーザーからは悲鳴が出ている。また、好きなレシピをPinterestでピンにしている人が大勢いるが、その管理にうんざりした私は、メモアプリにそのテキストと写真をコピーしている。だがWhiskは、今の私のやり方を再考させてくれた。

Whiskのサインアップは、FacebookやGoogleでログインしたくない場合も、メールアドレスか電話番号で簡単に行える。あとは、ウェブ上で見つけたレシピのURLを加えていくだけだ。

Piterestのようなサイトの場合は、リンクが自分のアカウントに保存され、簡単に見られるようになる。だが、Whiskはそれだけではない。そのサイトから重要な情報を抽出し、再構成してくれるのだ。たとえば、レシピのタイトル、写真、材料、所要時間などが、Whiskのレシピ用の記入フォームのそれぞれ適切な場所に配置される。

私が試したところでは、残念ながら作り方の説明が漏れてしまっていたが、そこだけ後からコピーして貼り付ければ済むことだ。説明を書き加えたり、メモを入れたり、自分の好みに合わせて材料を足したり変更したり削除したりもできる。レシピには、元の場所へのリンクを含め、直接保存もできるが、Whisk上で作ったレシピ集への追加もできる。

実際に料理を作るときには、余計な話や広告を一切省いて、レシピだけを見ることができる。

公正を期すために言えば、このやり方でレシピを保存する場合、単純に“Pin It”ボタンを押すだけよりも手間がかかる。Whiskが写真を抽出してくれない場合もある。また、レシピのYoouTube動画へのリンクなど、料理方法以外の詳しい情報を後から追加したくなることもある。

しかし、レシピを追加する際に、数分間の余計な手間をかけることで得られる恩恵も大きい。レシピを整理するだけでなく、Whiskは、スマートテクノロジーを駆使して食事のプランニングも手伝ってくれるのだ。追加されたレシピには、小さな写真アイコンで認識できるようになるのだが、Whiskは各レシピの栄養面を計算して、“Health Score”(健康スコア)を付けてくれる。

この処理は、材料、組み合わせ、日持ち、味、カテゴリーなどのマッピングを行うWhiskの自然言語型深層学習アルゴリズム“Food Genome”(フード・ゲノム)が担当する。今では、Whiskのエコシステムは月に5億件のインタラクションがあると、同社は話している。

Whiskはまた、ボタンをクリックするだけで人数分に合わせた材料の分量に変更できる。頭の中で材料の計算をしなくても(あちこちググらなくても)いいのだ。

材料を買い揃える段階では、ボタンをタップするだけで買い物リストが作られる。必要に応じて材料を個別に加えたり、外したりもできる。このリストはSMS、電子メール、またはURLで共有して、他の人が見たり編集したり、これに従って買い物を頼んだりもできる。Whiskの音声アプリを利用すれば、またはBixby、Alexa、Googleアシスタントのユーザーならば、手を使わずにリストにアイテムを追加できる。

そして、自分の地域で利用可能なオンライン食品宅配業者から、注文したい店を選ぶ。これこそWhiskが他の競合レシピアプリと一線を画す機能だ。ほかのアプリは、往々にしてこの最後のステップを見落としている。

現時点では、Whiskは世界の29のオンライン食品宅配業者に対応している。米国ではWalmart、Instacart、Amazon Fresh、PeaPod。イギリスでは、Tesco、Ocado、Waitrose、ASDA、Amazon Fresh。その他の海外市場では、GetNow、Woolworths、REWEなどが使える。

「米国人のおよそ半数が、今でも紙にペンで買い物リストを書いています。それなのに、ほとんどの人が料理のアイデアをデジタルメディアから得ています」とSamsung NEXTのWhisk製品責任者Nick Holzherr(ニック・ホルチエ)氏は、アプリ立ち上げの際の声明で述べている。「新しくてより健康的な食事関連のコンテンツをインターネットで探し回るのに、何時間も費やされています。しかし、7つから9つの同じレシピのデータが繰り返し出て来るだけです。オンラインとオフラインとの間に根本的な断絶があります。Whiskは、そこをつなげることができます」と彼は話す。

同社はまた、2025年には、米国人の70%がインターネットで買い物をするようになると指摘している。インターネットで買い物をする人が増えれば、一部の食品小売業者からアフィリエイト料も入るようになり、Whiskはこのサービスによる収益を増大させることだろう。

本日からWhiskは利用できるChromeの拡張機能として、またAndroidAlexaGoogleアシスタントBixbyで利用できるようになった。iOS版は間もなく登場する。

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(翻訳:金井哲夫)

仮想通貨交換業から建設業へ転身、ユニオンテックCFO木村氏の挑戦

ユニオンテックは12月1日、CFO(Chief Financial Officer)として、元コインチェックCFOだった木村幸夫氏の就任を発表した。同社は経営陣に新たな人材を加えることで組織体制の強化を図り、ネット関連事業をいま以上に加速展開させる狙いだ。

写真に向かって左から、ユニオンテックの新CFOに就任した木村幸夫氏、代表取締役社長の韓 英志氏

ユニオンテックは、現会長の大川祐介氏が2000年に内装仕上げを主力事業として立ち上げた建設会社だ。2016年にはネット事業に参入し、建設業界の受発注に特化したマッチングプラットフォーム「SUSTINA」(サスティナ)を提供。現在の会員企業数は1万1000社超、登録職人は11万人超と国内有数のサービスに成長している。

2018年9月には元リクルートの韓 英志氏が社長に就任。会長の大川氏と二人三脚で建設業界のディスラプトを進めてきた。18歳のときにクロス職人として建設業界に入った大川氏は、2018年10月に日本SHOKUNIN総研(日本職人総研)を設立し、建設業界の環境改善や建設職人の意識改革に取り組んでいる。

一方の韓氏は、SUSTINAをはじめとするネット事業に注力。職人仲間からの紹介・斡旋が中心だった仕事の受発注を、適正な評価システムなどを活用して、職人企業の新規顧客開拓を支援している。同社は建設会社としては珍しく、著名なネット企業から転職してきたエンジニアを中心とした、20人超の抱えるプロダクトチームを擁し、オフショアではなく自社でサービスを開発・運営しているのも特徴だ。2019年1月には、DCMベンチャーズを引き受け先とする第三者割当増資で9.7億円の資金調達も実施した。

関連記事:建設職人マッチングのユニオンテック、設立20年目にして米VCから約10億円調達、なぜ?

直近の同社の活動としては、10月に発生した台風19号の被災地域で、SUSTINAのネットワークを活用して、首都圏だけでなく全国から職人を募って、ブルーシートの張り替え作業などを支援。最初に支援協力した千葉県富津市では、高齢者や損壊の激しい家屋を中心に、同社が職人の手配から職人の滞在費、資材費、ブルーシートの張り替えなどの施工費まですべてを負担して、ボランティアとして活動。その後、千葉県庁からの依頼で県下の被災地全域での支援に切り替わり、千葉県に寄せられた約700件の案件のうち、200件超の案件をユニオンテックが請け負ったという。なお、富津市以外の案件については、職人の派遣をユニオンテックが担当し、滞在費(宿泊日)や交通費は千葉県が負担した(資材費や施工費は、被災者負担)。

韓氏によると「被災地に個人でブルーシートを運んでいたときに富津市役所の関係者の方との出会いがあり、すぐに支援することを決めた」とのこと。こうして富津市でのボランティアが始まった。その後、千葉県からの要請を受け、被災地支援専用のコールセンターをユニオンテック社内を設け、多いときは1日200件を超える連絡を受けたという。

なお、被災地支援中に自衛隊による復旧作業も並行して実施されたが、自治体でも正確な情報を把握することは難しいほど混乱した状況だったそうだ。「ブルーシートをきちんと張り付けられる高所作業に長けた職人は現地では圧倒的に足りず、自衛隊の支援を除くと数週間から数カ月待ちだった」と同氏。損壊した瓦の復元工事に至っては、被災者にとっては気の遠くなる1年半待ちという状態だったそうだ。

自治体すら把握できない混乱状態だったので、復興支援に見せかけた詐欺や工事代金の高額請求などのトラブルが発生する懸念があった。そこで同社は、被災地への職人の派遣にSUSTINAのデータベースと建設会社として20年間積み上げてきた実績をフル活用。同社と実際に取引があり信頼のおける1500社超の建設会社に被災地支援を打診したところ、職人がすぐに呼応。北は北海道から、西は兵庫県から職人が千葉県に駆けつけたそうだ。

関連記事:台風15号の被災地・千葉県富津市をユニオンテックが復興支援、建設職人マッチングサービス「SUSTINA」を活用

金融業界と建設業界は実はよく似ている

このユニオンテックに、元コインチェックの木村氏が新たにCFOとして加わることになる。同氏は、コインチェックが旧社名のレジュプレスのときの2016年に、CFOとして参画した人物。それ以前は、2000年に監査法人トーマツに入所し、2004年公認会計士登録。2006年からはコンサルティング会社のグローウィン・パートナーズで、シニアコンサルタントとして数十件のM&A案件を担当し、財務デューデリジェンス、株価算定業務に従事したほか、IPO支援、業務改善などにも携わった。2010年には、保険持株会社であるアニコムホールディングスに入社して、財務部長、給付管理部長、経営企画部長を歴任。東証一部への市場変更のプロジェクト責任者などを務め、子会社のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)であるアニコム キャピタルの社長も兼務していた。

「コインチェックは入社してすぐに会社の規模が非常に大きくなり、IPOに向けた準備もしていたが、2018年1月に仮想通貨流出という大事件を起こしてしまった。事件後は、もう一度コインチェックを復活させ、会社に残った社員がきちんと働ける環境を整えることを目指して、被害者への補償やセキュリティの強化などに務めた」と同氏。事件から3カ月後の同年4月にマネックスグループ入りして事業を続行してきた同社は、2019年1月にそれまでの「みなし業者」から正式な仮想通貨交換業者として金融庁の登録が認められるまでに回復した。

木村氏によると「ユニオンテックへの移籍は金融庁の登録が契機ではないが、コインチェックのマネックスグループ入り後は、株主構成や経営体制も変わってきたことで経営基盤が安定したことから、次のチャレンジに向けた活動の機会を模索していた」という。ユニオンテックではCFOという役職に就任するが、当面は同社の組織運営を含めたCOO的な役回りも担当し、社長の韓氏とともに建設職人マッチングサービスのSUSTINAを中心に、ネット関連事業の拡大を進めていく。

「転職時に特に業界は決めていなかったが、建設業界の現状を知りユニオンテックでぜひ仕事をしたいと感じた。建設業界も市場やプレイヤーが巨大かつ長い歴史があるゆえに、まだまだITの進展によるビジネスチャンスの余地が大きいと感じている。まずは社内組織の改善を進めて、今後の攻めにつなげていきたい」と木村氏は力強く語ってくれた。

需要逼迫なのに人手不足に陥る建設業界をテクノロジーで解決

建設業界は、2030年には需給のバランスが大きく崩れることが指摘されている。大都市部では今後、築後10年や20年を経過したタワーマンションや超高層ビルなどの大規模修繕の需要が激増するほか、来年の東京五輪や2025年の大阪万博などで新規着工も増える。一方で、少子高齢化や職場環境の問題で職人の人手不足は深刻だ。そのため、建設投資額が増えるが、技能労働者、すなわち建設職人が減っていく。その結果、建設コストの高騰はもちろん、職人が集まらずに建設計画の見直しを余儀なくされるケースも多数出てくると考えられる。

建設業界も、ドローンやGPSを使った測量をはじめとして今後は機械化やロボット化が進むと考えられるが、それはミリ単位での調整が不要な土木工事などに限られる。図面どおりには建てられず日々の修正が必要になる建築物については、職人の手がどうしても必要になるのだ。

しかし、今後訪れる職人の人手不足はミスマッチを減らすことである程度軽減できる。そして労働環境が改善されると、職人を目指す人材も増えるはずだ。ユニオンテックはこういった問題を解決して好循環を生み出すため、今後ネット事業を主力事業に育てる戦略を掲げている。「現在請け負っている仕事で、ユニオンテックが請けるより、SUSTINAの登録会社が担当したほうが適切と判断した仕事はどんどん譲っていきます」と韓氏。建設会社は一人親方のケースも多く、小規模な工事であれば工期や工事代金などをユニオンテックよりも柔軟に対応できるケースもある。ユニオンテックがプラットフォーム事業に注力することによって、小規模な建設会社の新規顧客開拓につなげるという狙いもあるようだ。

そして同社がいま取り組んでいるのは、前述したユニオンテックとの取引実績がある1500社超のデータベースと同じものを、SUSTNAの法人会員1万社超に広げていくこと。所在地や従業員数はもちろん、人工単価、取得資格、夜間工事可能かどうか、得意とする工事、取引先、保険といった信用情報を蓄積することで、SUSTINAを介した取引量の増加を目指していく。

従来の職人仲間からの仕事の斡旋だけでは非効率だった受発注をSaaSで提供することで建設職人自身の働き方改革も目指す同社。韓氏は「今後は建設職人の空き時間までリアルタイムで可視化できるようにして職人の流動性を高め、受発注のミスマッチをなくしていく」と語る。

コンタクトレンズ小売りの1-800 Contactsが在宅検眼の6over6 Visionを買収

センサーやコンピュータビジョン、機械学習の技術発達で、医学的な診断が家で行われるようになりつつある。そうしたサービスを提供する最新企業が、コンタクトレンズをオンラインで販売する1-800 Contactsだ。米国ユタ州に拠点を置く同社が、在宅検眼の6over6 Visionを買収した。買収額は非公開だ。

6over6 Visionはイスラエルを拠点とする企業で、機械学習とセンサーを組み合わせた在宅検眼の商業展開にこれまでに1500万ドル(約16億円)を調達している。基本的な目の検査をスマートフォンかコンピュータ、そしてカメラだけで行うことができる。

Rimonci Capital、Alumot VC、インドのオンラインメガネ会社Lenskart.comそしてTriVenturesが、6over6 Visionの投資家となる。Lenskart、NovaVision、Kede Optics、SmartBuyGlasses、EyeRim、Liingo、Magic Leap、Glasses USAなどの企業は、既存のレンズから光学パラメーターを取得したり瞳孔間距離を測定したりするのに6over6 Visionのテクノロジーを活用している。これにより消費者は二次検査や予約なしで処方を更新できる。

「我々は6over6 Visionが構築したイノベーションを称賛してきた。実際、我々の顧客向けにも同社の技術を活用している。今回の買収で、25年間行ってきたよりよい視力ケアの追求を続けられる」と1-800 ContactsのCEO、John Graham(ジョン・グラハム)氏は発表文で述べた。「シンプルで低価格な眼のケアがあって然るべきだ。6over6 Visionを取り込むことで、こうしたケアをこれまでよりも多くの顧客に提供できる」。

1-800 Contactsは、新しい眼鏡やコンタクレンズ処方のための視力検査といったサービスも提供する予定だ。「消費者自ら視力のケアを管理し、実際に足を運ぶことなく世界中のコミュニティにアクセスできるようにする画期的なテクノロジーを作り出すことが我々の使命だった」と6over6 Visionの共同創業者のOfer Limon(オファー・リモン)博士は声明文で述べた。「1-800 Contactsは、業界を弱体化させたものを変えるという私たちの原動力を共有している。今回の買収で、グローバル規模で真の革新をもたらせると確信している」。

画像クレジット: Science Photo Library / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazon上のサードパーティ店はプライムの配達にFedEx Groundが使えなくなった

サードパーティのベンダーは先週末にAmazon(アマゾン)から、プライムの発送にFedExの地上配達サービスを使わないよう命じられた。ウォールストリート・ジャーナル紙の記事によると、米国時間12月15日にAmazonが販売業者送ったメッセージは、「『配達のパフォーマンスが良くなるまでは』この禁令を継続する」と書かれていたそうだ。プライム以外に関しては今でもFedEx Groundを利用できるし、速いが高いFedEx Expressならプライムに使える。

今やAmazon.comで売られている品物の半分以上がサードパーティの売り手の製品ないし商品だが、FedExの地上配達に関する決定はホリデーショッピングシーズンのピークに明らかになった。夏にFedExは、Amazonとのパートナーシップを解消し、空輸のExpress地上配送の提供をやめた。ただし、このときサードパーティの件は含まれていない。

Amazonのスポークスパーソンによると、現在同社はクリスマスの配達遅延や未配達問題に対処しており、顧客が荷物をタイムリーに受け取るよう努力しているという。TechCrunchは今、FedExにもコメントを求めている。

FedExとUPSはどちらも最近、配達遅延を経験している。その原因は、記録的な配達量と天候不順だと公表している。

Amazonはまた、売り手に自社のロジスティクスネットワークを使うよう強制しているという不服申立てにより、国の反トラスト規制当局に調査されている。同社は米国最大のオンラインリテーラーとして独自の倉庫事業や配達事業も持っているため、FedExやUPS、それにUnited States Postal Service(USPS、米国郵政公社)の強力な競合相手になっている。

最近のモルガン・スタンレーの報告によると、米国のAmazonサイトで注文される品目の46%をAmazonが配達している。そのため、Amazon LogisticsはAmazon以外の注文も配達するようになるだけでなく、2022年までには扱い量でFedExもUPSもUSPSも抜くそうだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

InstagramはAIにより悪質なキャプションにも注意を与える

今年7月にInstagram(インスタグラム)は、悪質と思われるコメントが投稿される前に警告する機能を発表した。先回りして警告するこの機能を、今度はキャプションにも拡張する。今回のこの新機能では、ユーザーが投稿に付けるキャプションを書くと、これまでにいじめと報告された文言に類似していないかどうかをインスタグラムのAIが検知する。

ただし悪意のある発言の公開を阻止するわけではない。書いた言葉を考え直すようにとちょっと注意を促すだけだ。しかし前述の機能が公開された後は、コメント欄でのいじめが減っている。

この新機能が実装されると、ユーザーが悪質と思われるキャプションを書いた場合に「このキャプションは以前に報告されたものと類似しているようです」と通知が表示される。この通知を見たユーザーは、文言を編集するか、ボタンを押して詳しい情報を見るか、無視して投稿することができる。

オンラインでのいじめの減少だけでなく、インスタグラムはユーザーに対し、どういうことが禁止されているか、どういう場合にルール違反でアカウントが無効化されるおそれがあるかを知らせることも狙っている。


今回の新機能でネガティブな、あるいは暴力的なキャプションの投稿を阻むことはできないが、インスタグラムはオンラインでのいじめの被害者を救う機能をこれまでに数多く導入している。例えばユーザーは、個々のポストについてコメントをオフにする、フォロワーを削除する、コメントをフィルタリングする、アカウントをミュートするといったことができる。今年はぎりぎりのコンテンツのランクを下げる対策も開始した。これは利用禁止には至らないもののボーダーラインに近づいているアカウントに対して適用されるもので、暴力的な、あるいは有害なコンテンツを投稿して注目を集めようとする理由がほとんどなくなる。

こうした対策が遅すぎたのは、10億人を超えるインスタグラムユーザーにとっては不幸なことだ。偽情報を調べるための投稿のファクトチェックは、世界的には米国時間12月16日に始まったばかりだ。

現在のソーシャルメディアプラットフォームのほとんどがそうだがインスタグラムも、誰かを傷つけたい人がサービスをいかに悪用するかに目を向けて慎重に設計されたものではなかった。むしろテクノロジーがほんとうに誰かを傷つけることに、インスタグラムなどのプラットフォームは後から気づいた。ソーシャルメディアプラットフォームは、さまざまな視点や体験を考慮した労働力の構成に現在も苦心している。

いじめと思われる発言に注意を促す新機能は歓迎だが、インスタグラムができてからこの機能が実装されるまで10年もかかったのは残念だ。AIが進化して来年のどこかのタイミングでこうしたツールはもっとパワフルで実用的になるかもしれないが、こうした機能はシンプルな形であっても何年も前に実現し年月をかけて進化してもよかったはずだ。

インスタグラムは、この機能は一部の地域から徐々に公開し、世界的には「その後数カ月のうちに」と展開すると述べている。つまり2020年ということだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップルが米ABCと提携、「News」アプリ内で米大統領選挙ニュースを提供

Apple(アップル)は12月16日、2020年米大統領選挙のニュースをApple Newsアプリ内で提供することについて米ABCと提携すると発表した。このコラボは2020年2月7日にニューハンプシャーで開催される民主党の候補者討論会を皮切りに始まる。そして2020年米大統領選挙期間中、Newsアプリ内でABC Newsのビデオ、ライブストリーミング、FiveThirtyEight投票データ、インフォグラフィック、分析などを展開する。

「スーパー・チューズデー、共和党と民主党の全国大会、選挙討論会、投票日、そして2021年大統領就任式もカバーする」とアップルは表明している。ABC News、Apple News、そしてWMUR-TVはまた予備選挙開始後に最初に開催される2月の討論会でも提携する。

アップルがNewsアプリの中で米国の選挙に関する特集を組むのはこれが初めてではない。同社は2016年の物議を醸した選挙の後に選挙ニュースの提供を始めた。その選挙では、GoogleTwitter、そしてFacebookなどを含むテック大企業が自社のネットワーク上で展開されたロシアによる選挙介入で議会での尋問や調査に直面した。

ほどなくしてApple Newsは米中間選挙のセクションの展開を開始し、その後、2018年11月6日にリアルタイムでの選挙結果ハブを展開した。直近では、2020年民主党候補と討論のガイドを加えた。

信頼できるニュースプラットフォームに対する需要は、Newsアプリにおけるアップルの最優先事項だ。そしてアップルはABCが今年4つのエドワード・R・マロー賞を受賞したことにも言及している。ABCはまた、2020年大統領選に関するものとしてはこれまでで最も視聴された討論会を主催した。この討論会は今年9月に開かれ、ABCとUnivisionで1400万ビュー、オンラインビデオで1100万ビューがあった。

一方、FiveThirtyEightは統計分析、データ可視化、それから最新の投票追跡や候補の推薦、資金調達といった政治と選挙に関するレポートで知られている。「質の高いニュースや信頼できる情報へのアクセスはいつのときでも重要だが、特に選挙の年はそうだ」とApple Newsの編集長であるLauren Kern(ローレン・カーン)氏はコラボレーションに関する声明文で述べた。「毎日Apple Newsを利用している数百万のユーザーに、2020年の選挙という大きなニュースについての幅広い報道、そして信頼できる分析を提供するためにABC Newsと提携できることを誇りに思う」。

「今度の選挙は近代史の中で最も重大なものの1つだ。Apple Newsとの新たな提携では、我々のワールドクラスの政治ジャーナリズムをこれまでよりもさらに多くの人に届けることになる」とABC News会長のJames Goldston(ジェームズ・ゴールドストン)氏は話す。「2020年を通して率直な情報や知見、コンテクストを提供することで、より多くの人に主要な問題や候補者、イベントをより深く理解してもらうことができるはずだ」。

選挙ニュースでの提携に先立ち、Apple NewsはAxios、Politico、The Washington Post、Fox News、CNN、The New York Times、CBSなどさまざまなメディアと手を組んでいる。

今回アップルが報道パートナーとしてABCを選んだのは注目に値する。アップルはこれまで、ABCを所有するDisney(ディズニー)と近しい関係にあった。これはひとえにDisneyのCEO、Bob Iger(ボブ・アイガー)氏がアップルの共同創業者Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と親しく、ディズニーがジョブズ氏の会社Pixarを2006年に買収したことによるところが大きい。しかしDisney+のライバルであるApple TV+をアップルが立ち上げたことで、2社が競合関係にあるとしてアイガー氏はアップルの役員を辞任した。ただ、2020年の選挙報道での提携が示すように、2社は今後もときどきは協業できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramが偽コンテンツを警告画面で遮蔽、ただし政治家は対象外

Instagramは政治家の偽情報拡散に対して、親会社のFacebook同じ自由を与えようとしている。Instagramは米国での限定的なファクトチェッキング(事実確認)テストを5月以降拡大してきた。このほど45のサードパーティー組織と協力して、アプリ内の写真やビデオコンテンツの真実性を審査する。偽物と判定されたコンテンツは「発見」タブおよびハッシュタグページから除外され、フィードやストーリーではコンテンツが警告画面に覆われ、ユーザーがタップするまで表示されなくなる。

これは偽コンテンツへのリンクに警告を付加するだけで、ユーザーがすぐに内容を見ることができるFacebookのやり方と比べて大きく前進している。10月にFacebookは、Instagramと同様のインタースティシャル(画面を占有する)警告システムを採用することを発表した。

Instagramは画像マッチング技術を使って偽コンテンツの複製にも同じラベルを付け、これをFacebookとInstagramのコンテンツを横断して行う。このことは、会社を分割してInstagramを分離させようとしている規制当局に対してFacebookが反論する際の論点になるかもしれない。一方でこれは、インターネットを守る価値あるスケールメリットであるとも言える。FacebookとInstagramとWhatsAppを分割することは、リソースの断片化を助長する恐れがある一方、競争によってアプリの自制を促す可能性もある。

Instagramはシステム全体にわたる安全対策の強化を目指している。今日(米国時間12/16)からInstagramは、写真やビデオのキャプションが侮辱的あるいはいじめにつながる可能性がある場合、警告を与えて投稿前に編集する機会を与える。今年Instagramはコメントについてこれと同じことをすでに始めている。さらにInstagramは、新規ユーザーの年齢を尋ね、13際以上であることを確認するようになった。これは以前私が必要だと書いていたことで、さもないと児童オンラインプライバシー保護法違反の罰金を課されるものだった。

しかし、このファクトチェッキングを免除される集団の1つが政治家だ。政治家のコンテンツは、広告を含め、たとえ明らかに不正確であっても、ファクトチェッキングの対象にならない。これは本誌を始めとする批評家から多くの反感を買ったFacebookのポリシーとも一致している。これには候補者がライバルを陥れたり、分極化を促したり、嘘によって資金を集める可能性がある。InstagramのCEO Adam Mosseri(アダム・モッセーリ)氏は、政治広告を禁止すれば宣伝を必要とするライバル候補者を困らせる可能性があり、また政治広告と意見広告の線引は困難であると主張した

幸いInstagramはこの点では危険性が低い。なぜならフィードの投稿からは、政治家が資金集めを行う外部ウェブサイトに直接リンクできないからだ。しかし、認証済みユーザーはストーリーにリンクを付加することが可能であり、誰でもプロフィールにリンクを1つ置くことができる。これは、Instagramを使う政治家が意図的に偽情報を兵器化し、真実を欺きInstagramで見るものを信じられるという人々の認識に乗じて、政治家がキャンペーンを拡大する可能性が残っていることを意味している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

App Annieが2010年〜2019年のアプリとゲームの総合トップ10を発表

モバイルアプリの分析企業であるApp Annieは、2019年のモバイルアプリ、ゲームのトップ10に加えて、2010年代のアプリ、ゲームの動向をDecade in Reviewとして発表した。

こには2010年から2019年までの10年間で最も人気があったアプリとゲームがトップ10としてリストアップされている。ダウンロード数の上位をFacebookグループが占めたのは意外ではないだろう。ダウンロード回数のトップはFacebook本体、以下Messenger、WhatsApp、Instagramと4位まで独占した。ちなみにゲームのダウンロード数トップは、インドでの大ヒットのおかけで、Subway Surfersだった。

このレポートの対象はiOSとGoogle Playのデータであり、中国の独自ストアなどサードパーティからのダウンロードは入っていない。しかし世界的なトレンドを把握するには問題ないだろう。

ゲーム以外でこの10年間の最多ダウンロードアプリがFacebookのものだったというだけでなく、Facebooはそれらのアプリ、Facebook、Messenger、WhatsApp、Instagramを現在も運営している。独占の体制の威力をいかんなく示したといえるだろう。一方、Facebookの直後に続く5位にランクインしたのはSnapchatだ。 Facebookが数十億ドルを用意して買収を図ったのはもっともだった。

Skypeが6位、Twitterが10位に入り、コミュニケーションとソーシャルメディアがこの10年のダウンロード数のトップ10のうち7つを占めた。


ゲームを別にすると、ビデオストリーミングと音楽関係のアプリがユーザーの支出のトップ分野となった。1位は Netflixだったが、Pandora Musicが3位、Tencent Videoが4位に入っている。

2019年の売上トップとなったTinderも2位につけたが、この10年のトータル売上のトップはやはりNetflixだった。4位に日本のLINE、これにiQIYI、Spotify、YouTube、HBO NOW、Kwaiが続いた。

【略】

ゲーム分野の売上チャートのトップはSupercellのClash of Clans、3位がCandy Crush Sagaだったがダウンロード数でもランクインしたのはこの2タイトルだけだった。ゲーム売上では日本勢が目立ち、ミクシィのモンスターストライク(2位)、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのパズル&ドラゴンズ(4位)、ソニーのFate/Grand Order(5位)だった。

以下、Tencentの王者栄耀(Honour of Kings)、NetEaseの夢幻西遊(Fantasy Westward Journey)、Niantic/任天堂のPokémon GOと続いた。

売上トップ10のタイトルの多くは各年度末のチャートでもトップ10に入っているが、順位は必ずも比例していない。近年人気にかげりが見えるタイトルもある。

例えば、この10年の売上リストでトップのClash of Clansは2019年のチャートでは8位だ。「ゲーム・オブ・スローンズ」のヒットで8位に入っているコンテンツストリーミングのHBO NOWはシリーズが終了したことで2019年のランク入りは逃している。一方ユーザー側のトレンドとしてはTikTok、Likeeのようなショートビデオへのシフトがみられる。これらは2019年のダウンロード数でそれぞれ4位、7位7を占めている。

【Japan編集部追記】ゲームのダウンロード数のチャート画像は記事内にない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

【以上】

会計・人事労務クラウドのfreeeがグローバルIPO、公開価格2000円で初値2500円、時価総額1200億円超え

会計・人事労務クラウドサービスサービス事業を展開しているfreeeは12月17日、東証マザーズ市場に上場した。主幹事証券会社は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、大和証券、メリルリンチ日本証券の3社。公募543万5200株、売り出し1204万1100株、オーバーアロットメント108万9700株。オーバーアロットメントとは、当初の募集・売出予定株数を超える需要があった場合に実施される株式の販売方法。主幹事証券会社が対象会社の株主から一時的に株式を借り、売出予定株数を超える株式を、募集・売出しと同じ条件で追加販売すること。

主幹事証券会社の顔ぶれからもわかるように、今回の同社の株式公開は国内の投資家はもちろん、海外の投資家に対しても募集・売出しなどを同時に行うグローバルIPO(グローバルオファリング)だ。過去には、LINEやメルカリなどが採った方法でもある。

同社の既存株主には、米国シリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルであるDCM(DCM V LPが11.6%、A-Fund, L.Pが6.84%.)のほか、日本や中国での投資を行っているインフィニティ・ベンチャーズ(IVP Fund II Aが5.04%、IVP Fund II Bが2.66%)、シンガポール拠点のベンチャーキャピタルであるPalace Investments(2.66%)が名を連ねるなど、グローバルIPOを意識した構成になっていた。

東証マザーズでの公開価格は2000円で初値はそれを500円超上回る2500円となった。12月17日10時現在の最高値は9時59分につけた2640円で、時価総額は1238億2900万円。現在は2630円前後で推移している。

同社は、「クラウド会計ソフトfreee」や「人事労務freee」などのスモールビジネス向けクラウドERP(統合基幹業務システム)サービスを展開している、2012年設立のスタートアップ。会計ソフトウエアや人事労務ソフトなど、中堅中小企業や個人事業主のバックオフィス向けSaaS(サービスとしてのソフトウエア)を開発・提供している。このほか「クラウド会計ソフトfreee」と連係した税務申告ソフト「申告freee」を会計事務所向けに提供している。起業家向けとして、起業時の書類を無料で作成できる「会社設立freee」や「開業free」や事業者用クレジットカード「freeeカード」などもある。

直近の業績は、2019年6月を決算期とする2018年度(2018年7月〜2019年6月)は売上高45億1600万円、営業損失28億3000万円、経常損失28億5000万円、当期純損失は27億7800万円。2020年度(2019年7月〜2020年6月)の予想は、売上高69億4100万円、営業損失28億7600万円、経常損失31億2700万円、当期純損失31億3500万円。

大幅な赤字上場となるが、SaaSビジネスに長けた海外ファンドが既存株主に入っていることから、今後の成長カーブがどのように描かれるのか注目だ。

Spotifyがこの10年間を振り返るオリジナルポッドキャストを配信

Spotify(スポティファイ)のポッドキャスト推しは続いている。米国時間12月16日に、10個のエピソードから構成されるポッドキャストのオリジナルシリーズ「The Decade Wrapped」(10年間のまとめ)が新たにリリースされた。Spotifyの年末の「Wrapped」(まとめ)キャンペーンから得られた知見やデータを活用したポッドキャストだ。WrappedはSpotifyが年に1度(今年は10年分)、その年最大の音楽のトレンドを振り返るものだが、それぞれのユーザーに合わせてパーソナライズされている。これに対してThe Decade Wrappedは、Spotifyユーザーがストリーミング再生したデータを集計して制作されている。

画像:stockcam / Getty Images

The Decade Wrappedには、ドレイク、ニッキー・ミナージュ、ワン・ダイレクション、ビヨンセといったアーティストや、ハーレムシェイクやDespacito(デスパシート)のような大きな流行が取り上げられている。Spotifyユーザーがアーティストや曲を何回ストリーミング再生したかに基づいて選ばれた。

ストリーミング再生の回数を紹介しよう。ニッキー・ミナージュの曲で最も人気のある「Bang Bang」は7億3000万回以上。ワン・ダイレクションの「What Makes You Beautiful」は2億7000万回以上。ビヨンセの「Halo」は 7億500万回以上。アリアナ・グランデの「hank u, next」は9億7300万回以上。 ケンドリック・ラマーの最大のヒット曲「Humble」は11億回以上。 マーク・ロンソンの「Uptown Funk」は10億8000万回以上。

ヒット曲の「デスパシート」は13億回以上、「江南(カンナム)スタイル」は2012年の登場以来2億500万回以上再生された。

The Decade WrappedポッドキャストのホストはEric Eddings(エリック・エディングズ)で、Robin Thede(ロビン・テド)、Hannah Bronfman(ハナー・ブロンフマン)、Lele Pons(レレ・ポンズ)といった評論家、コメディアン、インフルエンサー、ライターも出演している。こうした出演者がこの10年間にポップカルチャーを定義した音楽を振り返っている。

過去を懐かしく振り返るコンテンツは、エンターテインメントでは人気の形式だ。例えばケーブルテレビチャンネルのVH1が放送する「I Love the…」シリーズは、同局で最も人気のある番組のひとつだ。Spotifyが年末に配信するWrappedも、ソーシャルメディアにたくさんの投稿があるところを見ると多くのリスナーが楽しんでいるようだ。

The Decade Wrappedは、ポッドキャストのリスナーをSpotifyのサービスに引き寄せようとする一連の動きのうち最も新しいものだ。最近では、ユーザーが好きなトピックを選ぶとおすすめのポッドキャストがリコメンドされるようになった。Wrappedにポッドキャスターの指標が追加され、パーソナライズしたポッドキャストのプレイリスト機能が登場し、自分のプレイリストにポッドキャストを追加できるようになり、Spotify Studios、そして同社が買収したGimletParcastが制作する新しいオリジナルシリーズが次々に配信されている。

The Decade Wrappedの最初の3エピソードは米国時間12月16日から配信されていて、残りのエピソードは今週、毎日配信されるとSpotifyは発表している。このポッドキャストの詳しい内容はSpotifyのサイトで紹介されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

App Annieが2019年のモバイルアプリやゲームのiOS/Android総合トップ10を発表

App Annie(アップ・アニー)が発表した今年の年間レポートによれば、世界のモバイルユーザーは2019年末までにApp StoreとGoogle Play から合計1200億回のダウンロードを行うことになるという。

これは2018年から5%のアップで、再インストールやアップデートのダウンロードは含まない新規ダウンロードだけの回数。ダウンロード回数の新記録という、注目すべき数字だ。2019年の両ストアの売上合計は900億ドル(約9兆8650億円)に近づいており、対前年比で15%のアップだ。このレポートには今年のダウンロード回数、売上などのトップ10もリストアップされている。

世界で最もダウンロード回数が多かったアプリ(ゲームを除く)の顔ぶれは今年も比較的安定していた。シンガポールに本拠を置くショートビデオのLikeeが唯一の新顔だった。ここではTikTokが4位となり、FacebookグループのInstagramだけでなくSnapchat、Netflix、Spotifyも上回った。ただし今年もダウンロード回数トータルではFacebookグループが圧倒しており、Messengerが1位、Facebook本体が2位、WhatsAppが3位だった。

ゲームのダウンロード回数はアプリよりはるかに入れ替わりが多く、トップ10のうち7タイトルが今年の新顔だった。カジュアルカーレースのFun Race 3D、人気シューティングゲームのモバイル版であるCall of Duty: Mobileがこの乱戦に割り込んだのが目立つ。

アプリ売上ではゲームが圧倒的な割合を占めるが、今年のトレンドはサブスクリプションの伸びだった。ゲーム以外のジャンルでの売上の成長は写真とビデオ、エンタテインメント分野が中心となり、App Annieではこのトレンドは2020年に継続するものと予測している。今年大人気となったDisney+のサブスクリプションの売上も来年はリスト入りしてくるかもしれない。この分野ではHBO Max、NBCUのPeacock、ジェフリー・カッツッェンバーグのQuibiといったメジャーなサービスの開始も予定されている。

App Annieが報じたとおり、すでに多くのアプリがサブスクリプション・モデルを採用している。2019年9月を終期とする年度で、ゲーム以外の売上トップ100のアプリの95%はアプリ内課金によるサブスクリプションだった。アプリ、ゲームのパブリッシャーがサブスクリプションを採用するトレンドは今後も継続し、消費者の支出を押し上げるだろうと同社は予測している。

昨年はNetflixが首位だったが、今年はデートアプリのTinderがNetflixを押しのけて1位となった。昨年は「ゲーム・オブ・スローンズ」のおかげで好調だったHBO NOWが今年はトップ10入りを果たせなかった。かわりにLINEマンガが滑りこんだ。Tencent VideoとiQIYIは昨年と同順位だったが、YouTubeは7位から5位に上昇し、逆にPandoraは5位から6位に順位を落とした。

App Annieでは今年は「ブレークアウト」という新しいジャンルを作り、今年人気が出たアプリ、ゲームをリストアップした。これはダウンロード数、売上の各分野で対前年比伸び率が最大だったタイトルだ。ダウンロード回数では7位だったYY IncのLikeeが今年のブレークアウト・アプリのトップとなっている。2位も同じYY IncのNoizz、4位も同社のアプリでインドで人気が出たソーシャルゲームのプラットフォームのHagoだった。ブレークアウトの3位はByteDanceのHeloとなっている。Good Job Gamesのタイトルが1位から3位まで独占しているのが目を引く。

売上のブレークアウトにはYouTube、iQIYI、DAZN、Tencent Videoなどが入っている。顔ぶれは他のトップ10に近い。ゲーム分野ではハイパーカジュアル系タイトルがトップ10のうち7つを占めた。話題のリリース、任天堂のマリオカートツアーとActivisionのCall of Duty: Mobileもランクインしたが、やはり消費者の支出はハイパーカジュアルのようだ。

【Japan編集部追記】App Annieには日本におけるiOSアプリ、ゲームについてのリストも公表している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クラウドファンディングのMakuakeがAndroidアプリを配布開始、iOSから遅れること約2年

クラウドファンディングサイト「Makuake」を運営するは12月16日、Androidアプリの配布を開始した。2017年10月にリリースされたiOSアプリに遅れること2年弱、Androidユーザーもスマートフォンから手軽にプロジェクトへの支援が可能になる。

同社によると、2019年9月期第4四半期時点での過去1年間において「Makuake」で決済実績があるサポーターの決済割合は70%と高いが、2019年6〜10月の期間にiOSアプリ経由で出資した利用者のリピート決済率はさらに高い85%となるなど、Android版の登場が待たれていたという。iOS版では気になるカテゴリを登録することで新着プロジェクトの通知を受け取れる「Myタグ機能」などの機能がリピート率アップに貢献していたようだ。

もちろんAndroid版アプリにもMyタグ機能が備わっており、気になるジャンルのプロダクトやサービスの情報はいち早く手に入れられる。もちろん、応援購入したプロジェクトの活動レポートや実行者からメッセージももプッシュ通知で知らせてくれる。

同社は12月12日に東証マザーズに上場し、公開価格1550円で初日終値は2980円、12月16日の終値では3780円を付けるなど上場後も株価が順調に上がっており、同社の事業に対する期待度の高さが見てとれる。

さらに12月13日には、元Facebook Japan執行役員ディレクターで、現在はPwC Japan Managing Directorの職にある馬渕邦美氏を社外取締役として迎えるなど、経営基盤の強化にも抜かりがない。同社は今後、馬渕氏からマーケティングや経営に関する助言を受けることで、サービスおよび同社の継続的な成長を目指すとのこと。

関連記事:クラウドファンディングサイトのMakuakeが東証マザーズ上場、公開価格1550円で初日終値2980円

RCSメッセージが米国のAndroidユーザー向けに提供開始

今週末、米国のAndroidユーザーにちょっとしたサプライズがある。メッセージサービスであるRich Communication Services(RCS)が、Google(グーグル)により予定より少々早く開始されるようだ。同社は11月、この機能を年末までに米国内のAndroidユーザーに提供すると発表していた。

Android Messagesのプロダクトマネージャーを務めるSanaz Ahari(サナズ・アハリ)氏のツイートによると、このSMSの後継サービスは米国で今週から利用できるようになったという。また、この新しいプロトコルはメッセージングの中心的存在であるSMSに重要な進歩をもたらすとしている。

今回のアップデートでは、グリーンの吹き出しで知られるiOSで多くのユーザーを獲得してきたApple(アップル)の標準プロトコルであるiMessageと比べて多くの機能が追加された。主な機能としては、既読の確認、他のユーザーの入力をリアルタイムで見る機能、ファイルの転送サイズの拡大、グループメッセージングの改善などがある(ただし、端末間での暗号化などの一部の機能はまだ不足している)。

特筆すべきは、10月に米国の4つの主要通信事業者がRCSの導入を促進するために、まれな共同作業を行ったことである。一方、英国とフランスのユーザーは今夏からこの機能を利用でき、さらに多くの国にも展開する予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

食事の出前サービスが4000億円超で買収された韓国は一流スタートアップ拠点になるかもしれない

ソウル、そして韓国はまだ誰も話題にしていない秘密のスタートアップ拠点なのかもしれない。中国のスタートアップ市場の規模と範囲があまりにも大きいために近隣国の韓国は小さく見られてしまいがちだが、ここ数年の様子から察するに、韓国は一流のスタートアップ拠点になれる、というかなるだろう。

その好例として、韓国を代表する食事の出前アプリ「配達の民族」、略して配民(ペミン)は先週、ベルリンのDelivery Hero(デリバリー・ヒーロー)からの驚きの40億ドル(約4380億円)の買収提案を受けたことを発表した。実現すれば、韓国のスタートアップ史上で最大のイグジットとなる。

この買収は、独占禁止法の審査を通過した後に決定する。なぜなら、Delivery Heroは配民の最大のライバルYogiyo(ヨギヨ)を所有しており、規制当局の承認が必要になるからだ。Delivery Heroは2014年にYogiyoの株式の過半数を取得している。

関連記事:Delivery Heroが韓国の強力なライバルであるBaedaltongの過半数株式を取得(未訳)

しかし驚くべきは、過去10年の韓国のスタートアップ拠点としての成長の様子だ。5年前にTechCrunchのソウル駐在海外特派員を、8年前には韓国科学技術院の研究者を務めていた私は、その拠点としての成長を地元で観察し、ここ数年は遠くから注視してきた。

いまだ財閥系複合企業の支配が続いているものの(サムスンを超えられるものがない)、韓国経済にダイナミズムを与えているのはスタートアップと文化産業だ。また、国の年金基金から(国内外を問わず)スタートアップ界に資金が流れる仕組みのため、大企業での昇進経路という泥沼から脱却してスタートアップの道を探る起業家たちのチャンスはさらに広がっている。

配民のオリジナルのブランディングは、イラストに重点が置かれている。

5年前に配民は、かわいい系でクリエイティブなインターフェイスでフライドチキンを出前するひとつのアプリに過ぎなかった。その料金を巡っては、レンストラン・フランチャイズのオーナーから批判を受けた。しかし今では、配民のバイクはソウル中で見かけるようになり、たくさんのレストランには配民のスピーカーが設置され、キャッチーなサウンドとともに配民の名前を宣伝し、インターネットで配達の注文が入るごとにアナウンスを流している。

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先週、ソウルにいた私は、あるレストランで、1分から3分おきぐらいに「配達の民族にご注文!」とのアナウンスが流れ、落ち着いて食べることができなかった。びっくりするような商品マーケティング戦略だが、米国の宅配スタートアップが真似しないことのほうが驚きだ。

エコシステムの強固さは、いつものとおりに維持されている。頭のいい大卒の労働人口が多く(韓国は世界で最も教育率が高い国のひとつだ)、加えて若者の失業率と不完全雇用率が高いことから、とうてい叶わない企業の役職にこだわるよりも、スタートアップを起業しようとする動きがますます加速している。

変わったのは、ベンチャー投資資金の流れだ。韓国がスタートアップの資金調達に苦労していたのは、そう昔のことではない。数年前、韓国政府は、自国の起業家を対象とするベンチャー投資企業の設立費用を引き受ける計画を開始した。単純に、スタートアップを軌道に乗せる資金がなかったという理由からだ。その当時、私が聞いたところでは、1000万円程度のシード投資金でスタートアップの過半数株式が買えてしまうのは珍しい話ではなかった。

現在、韓国は、ゴールドマン・サックスSequoia(セコイア)とおいった数多くの国際投資企業がスタートアップへの投資を狙う国になっている。さらに近年では、数々のブロックチェーン開発の中心地にもなり、資金の急激な上昇と下落を経験しつつも市場が維持されている。相対的に調達資金は増加し、いくつものユニコーン・スタートアップが生まれるまでになった。CrunchbaseのUnicorn Leaderboardには合計で7社が登録されている。

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そうして韓国は動き出した。数多くの新進スタートアップが将来の大きな結果に向かって突進しようと身構えている。

そのため、この国の障壁を乗り越えて参入したい意欲を持つベンチャー投資家には、これからもユニークなチャンスがある。とはいえ、この国の過去と未来の成功を最大限に活用するには克服しなければならない課題がある。

おそらく最も難しいのは、この地で何が起きているかを深く理解することだろう。中国は、国家安全保障からスタートアップや経済まで、あれこれ取材したいという大勢の外国の特派員を引きつけるのに対して、韓国では海外の特派員はもっぱら北朝鮮の話か、たまに変わった文化の話を取材するぐらいなものだ。スタートアップを専門に追いかけているジャーナリストもいるにはいるが、残念なことに極めて希で、エコシステムの規模に比べて予算があまりにも少ない。

さらに、ニューヨーク市と同様に、広く交流することのない異種のエコシステムがいくつも混在している。韓国には、国内市場をターゲットにしたスタートアップ(それが今の大量のユニコーン企業を生み出した)と、半導体、ゲーム、音楽と娯楽といったさまざまな産業を牽引する大手企業がある。私の経験からすると、このような垂直市場はそれぞれが社会的のみならず地理的にも個別に存在していて、産業の壁を越えて才能や見識を集結させることが難しい。

だが最終的には、シリコンバレーやその他の重要なテクノロジーの拠点で評価が高まれば、最高のリターン特性をもたらすスタートアップの街の上の階層に進めるだろう。先週、早期に配民に投資した人たちは、おそらく出前のフライドチキンで祝杯をあげたことだろう。

画像クレジット:Maremagnum / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Spotifyはポッドキャスト強化に本気だ

静聴。Spotifyはポッドキャストの強化に本気だ。同社はこれまでもポッドキャストの普及に大金を使ってきた。大金といったらとんでもない大金だった!しかも今後さらに多額の投資をする構えだという。

もちろん音楽ビジネスも好調だ。しかしSpotifyは2019年だけでもポッドキャストのプラットフォーム整備に4億ドルから5億ドルも投資してきたのだからみんなポッドキャストを聞いてもらわないと困る。今週、Spotifyはすぐに好みのポッドキャストを開くことがきるボタンを導入した。

「ポッドキャストの好みのテーマ」を尋ねるこのポップアップは Vergeが最初に見つけたが、当面は米国、英国、メキシコ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドといった英語圏の国とブラジルでまだポッドキャストを聞いていないユーザーに対して表示されるようだ。しかしすぐに世界のユーザーに表示されるようになるだろうと思う。Spotifyはポッドキャスト分野には比較的新しい参入者だ。今もポッドキャストは急成長を続けているが多くのリスナーはすでにお気に入りのポッドキャスト・プラットフォームを持っている。

そこでSpotifyはポッドキャストの強化に大変な力を入れており、多数の人気ポッドキャストを無料で提供するなどライバルとの差別化に懸命だ。今年は「2019年のまとめ」に音楽だけでなくポッドキャストも含めた。もっともこのリストには1、2回聞いただけのアーティストもフィーチャーされるが。

いずれにせ好みのポッドキャストを発見するディスカバリー・システムはきわめて重要だ。ユーザーの好みを推定して「お勧め」として表示する以外にどういう方法があるのか各プラットフォームとも試行錯誤を繰り返している。Spotifyでは同社のプラットフォームだけでなく、外部のポッドキャストも含めて推薦している。この方式が巨額の投資に見合うだけのリターンをもたらすかどうか興味深い。

【Japan編集部追記】Spotifyのデスクトップ・アプリのホーム左サイドバーには「ポッドキャスト」ボタンが表示される。また検索バーからカタカナで「ポッドキャスト」と入力すると日本語ポッドキャストを検索できる。Androidアプリではスクロールダウンすると「2019年、話題になったポッドキャスト」が表示される。また「検索」タブにも「ポッドキャスト」ボタンが表示される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook