広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」提供

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始

広告クリエイティブ運用型クラウド「リチカ クラウドスタジオ」を運営するリチカは1月19日、ショートムービープラットフォームの「TikTok」(ティックトック)において、TikTok For Businessの監修のもと「運用型クリエイティブパッケージ」の提供を開始すると発表した。

TikTok For Businessは、広告代理店や制作会社を通さずにTikTokに広告を出稿できるセルフサーブ型広告のプラットフォーム。企業・ブランドと関心事や新しい興味の対象を探すオーディエンスを結びつけることで、広告の枠組みを超えたコミュニケーションを実現させ、認知拡大や顧客獲得といったビジネス課題にアプローチする。

リチカ クラウドスタジオは、デジタル広告やSNS用途で動画や静止画を量産・運用できる「運用型クリエイティブクラウド」。配信面に最適化したクリエイティブを制作・検証・改善が可能で、大手事業会社や広告代理店を中心に400社以上に導入されている。

TikTokはユーザー数の増加とともに広告媒体としての需要も高まっているものの、成果に結びつく広告クリエイティブの研究はなされておらず、最適解が見つからないという課題があった。その状況を受けリチカは、TikTok For Businessの監修のもと、今回の「運用型クリエイティブパッケージ」の提供に至った。TikTokへの出稿を希望する広告主に対してリチカ クラウドスタジオを活用し、TikTokに最適化したクリエイティブを制作。大手事業会社や広告代理店のデジタルマーケティング支援を行ってきた実績を元に、成果につながる広告クリエイティブを提供する。

以下は、広告クリエイティブのサンプル。

広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始広告クリエイティブ運用クラウドのリチカがTikTok for Businessと連携、「運用型クリエイティブパッケージ」を提供開始

Shopifyと中国JD.comがクロスボーダー販売業者の取り込みで提携

世界最大のeコマース企業2社が手を組む。中国の大手オンライン小売JD.com(JDドットコム)は、世界のブランドが中国の膨大な輸入品に対する需要を開拓し、また中国の販売業者の海外販売を支援することを目的に、オタワに拠点を置くShopify(ショッピファイ)と戦略的パートナーシップを結んだ。

このニュースは、中国のクロスボーダーeコマースコミュニティで注目を集めている。提携により、JDとShopifyの同盟はまずAlibaba(アリババ)と直接競合することになる。JDの宿敵は大きな輸入事業を抱え、取り扱うブランドは直近では世界3万5000にのぼる。2021年は6000超のブランドがAlibaba経由で中国に進出した。

JDは何年も前から中国に商品を輸入しているが、既存のブランドオンボーディングプロセスは1年もかかることがある。JDは物流に多額を投資してきたため、しばしば中国のAmazon(アマゾン)と呼ばれているが、Shopifyを採用しているブランドが最短4週間でJDの5億人のアクティブバイヤーに販売を開始できる高速トラックを構築する予定だ。プラットフォームでは、販売者側の準備を整えるのに自動翻訳や価格交渉などのツールを使い、まずは米国と中国を結ぶ貨物航空便で商品を輸送する。

JDは、ブランドの中国でのマーケティングと販売を支援することだけを意図しているわけではない。同社はShopifyのストアオーナー向けに、JD Sourcingと呼ばれるサプライヤーソーシングサービスも展開している。販売者はJD Sourcingを通じて商品のリクエストを出し、JDがその商品の在庫を確認すると、商品を倉庫から取り寄せ、Shopifyストアに掲載し、ドロップシッピングで消費者に送る準備を整える。

今回の提携のもう1つの目的は、Shopifyの消費者直販ソリューションを通じて中国製品を海外に届けることだが、これは非常に競争の激しい分野だ。Amazonは、中国の輸出業者のためのゲートウェイとして自らを成長させ、中国内でスタッフを雇用して販売業者の精査と管理を行っている。同社が最近行った偽レビューの取り締まりは中国のeコマース業界に衝撃を与えたが、同社はその市場支配力のおかげで、輸出業者にとって非常に魅力的なチャネルであることに変わりはない。

関連記事:米Amazonから中国の大手販売業者が消える、不正レビューが原因か

より厳しいプラットフォーム規約に対応するため、多くのAmazon出品者は商品デザインやブランディングにますます投資するようになっている。また、Amazonのロールアップと呼ばれるブランドアグリゲーターからの買収オファーを受けることを選択する販売者もいる。

JDとShopifyのコラボレーションは、中国の輸出業者に新しい選択肢を提供する可能性がある。Shopifyは長い間、ブランドを拡大したい人のためのオプションだったが、自動化にはより多くの仕事がともない、販売者はマーケティングと物流により手をかけなければならない。

JDはShopifyとの提携を通じて「欧米市場の消費者に訴求する中国のブランドや販売者のためのアクセスとコンプライアンスを簡素化」し「Shopify を通じてDTCチャンネルを立ち上げる」ことをサポートすると約束している。クロスボーダーの配送はJDが担当する。

このeコマース大手2社は、Shopifyが商品の幅を提供し、JDが広範なグローバル倉庫と配送インフラを提供するというように、互いにうまく補完し合っているようにみえる。注目すべき提携だ。

画像クレジット:composite by TechCrunch

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko MIzoguchi

植物由来の素材を使ったヘアエクステンションを開発・販売するスタートアップ「Rebundle」

Rebundle共同設立者のDanielle Washington(ダニエル・ワシントン)氏とシアラ・イマニ・メイ氏(画像クレジット:Curtis Taylor Jr.)

米国時間1月17日朝、髪を専門とするスタートアップ企業でセントルイスに拠点を置くRebundle(リバンドル)は、プレシードラウンドで140万ドル(約1億6000万円)を調達したと発表した。この資金調達イベントを主導したのは、中西部を地理的に重視するベンチャーキャピタルのM25だ。Rebundleは、このプレシードラウンドに先立ち、6桁相当の助成金およびその他の非流動的な資金を調達していたことを、CEO兼共同創業者のCiara Imani May(シアラ・イマニ・メイ)氏はTechCrunchによるインタビューで語った。

Rebundleは、植物由来の素材を使ったヘアエクステンションを開発・販売している企業だ。ヘアエクステンションに関する筆者の知識は乏しいが、メイ氏はいくつかの重要なポイントを説明してくれた。まず、市場は大きく、かつ多様で、低価格なもの(プラスチック製)から高価なもの(人毛)まで、無数の価格帯があること。そして2つ目は、プラスチック製のエクステンションは頭皮に炎症を起こす可能性があるということだ。

Rebundleを設立する前から、メイ氏はより持続可能な生活に関心を抱いていたという。プラスチック製のエクステンションが引き起こす炎症についても認識していた。彼女のスタートアップ企業が生み出したものは、製品からプラスチックを取り除くことで顧客の頭を快適にし、廃棄物を減らすことで環境に貢献できるという、両方の可能性を持っている。

Rebundleは、バナナ繊維を芯材に使って製造したさまざまな色のエクステンションを販売している。また、海外ではなく、米国内に新たな生産拠点を建設していることにも注目すべきだろう。

今回の資金調達に話を戻すと、この資金はチームとサプライチェーンへの投資に充てられると、CEOは語っている。これまでRebundleの製品は、1時間以内に売れ切れてしまっていた。つまり、適切に事業を拡大するためには、今まで調達した資金では足りなかったのだ。そこで、ベンチャーキャピタルに支援を求めることにした。

RebundleはDTC(消費者に商品を直接販売する)企業であり、自社ウェブサイトを通じて製品を販売している。筆者はメイ氏に、ヘアエクステンションを使用している人が年に何回くらい新しいエクステンションに交換するのかを訊いてみた。多い人で年に5回と彼女は答えた。つまりRebundleは、定期的に購入される物理的な商品を独自のチャネルで販売しているということだ。

エクステンション市場の粗利益率がどうなっているのか、今ここで私たちにはわからないが、定期的にエクステンションが売れる可能性があるということを考えると、Rebundleは興味深いビジネスケースと言えるだろう。

継続的に購入される仕組みを持たない製品のDTCモデルに山ほどのベンチャーキャピタルが投資し、この実験がさまざまな結果をもたらしたことを思い出して欲しい。

製品のサブスクリプション(定期購入)について尋ねると、共同創業者は具体的な説明を避け、このアイデアには「遊びの余地がある」とだけ述べた。現在のエクステンションの顧客が、通常のサブスクリプションで製品を購入することはないと、メイ氏は説明した。もし、Rebundleが国内製造を拡大し、製品構成に定期サービスを導入できるようになれば、2022年中に同社が再び資金調達を行っても、私は驚かないだろう。

しかし、その必要はなさそうだ。同社のCEOがTechCrunchに語ったところによると、今回のラウンドはローリング・クローズで行われたが、この資金によって少なくとも18カ月、おそらくそれ以上のランウェイが確保されるという。そのため、同社が近い将来にさらなる資金を必要とすることはないだろう。しかし、資金が必要にならないからといって、スタートアップ企業が資金を提供されたときにそれを受け入れるのを躊躇することあまりないはずだ。

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NTT・NTTドコモ・スカパーJSAT・エアバスがHAPS早期実用化の覚書締結、衛星も組み合わせた大規模ネットワーク構想

NTT・NTTドコモ・スカパーJSAT・エアバスがHAPS早期実用化の覚書締結、衛星とHAPSを組み合わせた大規模ネットワーク構想

NTTは1月17日、HAPS早期実用化に向けた研究開発、実証実験などの推進を検討する覚書を、NTTドコモスカパーJSATエアバスとの4社で締結したことを発表した。HAPSの接続性、HAPSを利用した通信システムの有用性の発見、技術やユースケースの開発を4社で進めるという。

HAPSとは、地上約2万mの成層圏を飛行する高高度プラットフォーム(中継基地局)のこと。昨年、NTTとエアバスは、エアバスが所有する高高度無人機「Zepher S」(ゼファーエス)を用いた実証実験を行い、通信サービスの実現可能性をすでに実証している。今回の覚書により4社は、5Gのさらなる高度化と6Gに向けた取り組みとして、空、海、宇宙を含むあらゆる場所への「カバレッジ拡大」を目指す。

さらにこの覚書には、静止軌道衛星(GEO)、低軌道衛星(LEO)も含めた非地上ネットワーク技術を用いたアクセスサービス「宇宙RAN(Radio Access Network)」事業の促進も含まれている。「宇宙RAN」が実現すれば、災害対応、離島やへき地へのサービス、飛行機や船舶などの通信環境の飛躍的改善が期待できるという。

宇宙RANシステム構成

宇宙RANシステム構成

今後は通信技術の開発のみならず、HAPSの機体開発や、HAPSの運用に向けた標準化と制度化への働きかけも行い、HAPSによるネットワークサービスの商用化に向けたビジネスモデルに関する検討も行う。さらに、HAPS、衛星、地上局の連携による「宇宙RAN」事業を促進し、NTTの技術を活用したネットワーク構築の実証実験を視野に入れた協力体制も構築してゆくとしている。

NTTドコモ、脳・身体の情報をネットワークに接続し人間の感覚を拡張する6G時代の「人間拡張」のための基盤を開発

NTTドコモ、脳や身体の情報をネットワークに接続し人間の感覚を拡張する6G時代の「人間拡張」のための基盤を開発

NTTドコモは1月17日、ネットワークで人間の感覚を拡張する「人間拡張』を実現する基盤の開発を発表した。これは、「ドコモ6Gホワイトペーパー」で示した6G時代の新たな価値提供の1つ。H2L、FCNT、富士通の協力により、世界で初めて開発した。

「人間拡張」とは、脳や身体の情報をネットワークに接続し、人間の感覚を拡張するというもの。6Gでは通信速度が人間の神経の反応速度を上回るようになるため、これが可能になるとされている。NTTドコモはそこで、「身体のユビキタス化」「スキルの共有」「感情の伝達」「五感の共有」「テレパシー・テレキネシス」という目標を掲げており、今回「身体のユビキタス化」と「スキルの共有」という身体的な動作を共有するための基盤を開発した。

具体的には、人の動作を「センシングデバイス」で取得し、その動作データを駆動機器「アクチュエーションデバイス」を通じて人やロボットにリアルタイムで伝えるというものだ。動作を送る側と受け取る側とで身体の大きさや骨格が異なる場合、そこを調整して自然な動作が伝わるようにもしている。また動作の大きさも調整が可能だ。しかも、動作データは基盤上に蓄積しておくこともできる。そのため、熟練工の動作を保存しておき、後に後継者に反映して技術を継承するといったことも可能になる。

さらに、パートナー企業が提供するさまざまなデバイスの相互接続も行える。デバイス開発者に向けてこの基盤に簡単に接続できる開発キット(SDK)を提供し、関連する技術を持つパートナーを増やし、付加価値を向上させて商品化に取り組むとのことだ。

今後は、感情の伝達や五感の共有にも拡張し、「多様性の享受や、ハラスメントなどの社会的課題の解決」にも貢献したいとNTTドコモでは話している。

現在オンライン開催されている「docomo Open House’22」にて、この基盤で人やロボットが腕や手の動きを共有する様子が見られる。

 

英アマゾン、「英国で発行されたVisaカードの取り扱いを停止する」との脅迫を撤回

Amazon(アマゾン)は、決済手数料をめぐる論争で、英国でのVisa(ビザ)カード決済のサポートを終了すると公に脅していたが、撤回したようだ。

同社は現地時間1月17日、Amazon.co.ukのユーザーに電子メールを送り、1月19日に予定されていた「見込まれる変更」が、同日から実施されないことを知らせた。

ただ、AmazonとVisaが手数料について持続的な条件に達したかどうかはまだ明らかではない。

「Amazon.co.ukでのVisaクレジットカードの使用に関して予定されていた変更は、1月19日には行われなくなりました。当社は、顧客がAmazon.co.ukでVisaクレジットカードを使い続けられるような潜在的な解決策について、Visaと緊密に連携を取っています」と、Amazonは英国のユーザーに宛てた電子メールに書いている。

「Visaクレジットカードに関連する何らかの変更を行う場合は事前にお知らせします」と続け「それまでは、Visaクレジットカード、デビットカード、Mastercard、American Express、Eurocardを現在同様に使い続けることができます」と付け加えた。

AmazonとVisaにコメントを求めたところ、この動きを認めたが、それ以上の詳細については説明しなかった。

Amazonは、今のところ何も変わらないというユーザーへの簡潔な声明以上のコメントを却下した。

Visaの広報担当者も「潜在的な解決策」が実際に何を意味するのかについては詳しく説明しなかった。「Amazonの顧客は、我々が合意に達するために緊密に協力している間、1月19日以降もAmazon.co.ukでVisaカードを使用できます」と記した声明の中で、手数料に関する交渉が続いていることを暗に示している。

2021年末にAmazonは英国のユーザーへの電子メールで、Visaのクレジットカード決済に課す高い決済手数料を理由にVisa決済のサポートを終了し、Amazon.co.ukでの買い物の支払いに代替手段を用意するよう警告していた。

関連記事:英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

その際の大量の電子メール送信というやり方は、Amazonが自社の市場パワーを利用してVisaからより良い条件を引き出そうとしたように思われた。

それが功を奏してVisaにクレジットカード手数料を引き下げさせることができたのか、それともAmazonが英国の買い物客に大きな混乱をもたらす瀬戸際から一歩下がることにしたのかは不明だ。

後者であれば、Amazonはすでに、Visaベースの支払い方法に依存する英国のユーザーに、近い将来、同社のサイトで買い物を続けられるかどうか、数カ月にわたって不安を与えていたことになる。

Visaは2021年11月に、Amazonが「将来的に消費者の選択肢を制限すると脅している」ことを残念に思うと述べ「消費者の選択肢が制限されて得をする人はいない」とも主張していた。

Visaは当時、Visaカード保有者が英国で発行されたVisaクレジットカードを引き続きAmazonのウェブサイトで使用できるよう、解決に向けてAmazonとともに取り組んでいると述べていた。

それから数カ月経ったが、Amazonが英国発行のVisaカードの利用を停止する期限が迫っている中でも交渉は続いているようだ。

Amazon.co.ukでのVisa決済の手数料上昇は、英国のEU離脱と関連している。ブレグジットにより、英国と欧州経済領域 / EU間の取引で課される手数料の上限が撤廃されたからだ。

しかし、この問題はおそらく、Amazonが英国のビジネスをどのように構築しているかという点にも関わっている。同社は、英国の顧客にEU拠点の法人を通じて請求し、英国のウェブサイトを通じて計上した収益をルクセンブルグの欧州本社に移しているためだ。

City AMの2021年8月のレポートによると、Amazonはこの企業構造によって、かなり高額な英国の税金の支払いを免れることができたという。しかし、同じ「利益移転」構造によって、AmazonはVisa「税金」をかなり多く負担しているようだ(というか、負担してきた……)。

画像クレジット:David Ryder/Stringer / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

株式取引業務をユースケースに、量子暗号通信による膨大な金融取引データの高秘匿・低遅延伝送の検証実験を実施

株式取引業務をユースケースに、量子暗号通信による膨大な金融取引データの高秘匿・低遅延伝送の検証実験を実施

東芝は1月14日、株式取引業務をユースケースとする量子暗号技術の有効性と実用性に関する検証実験を、野村ホールディングス野村證券情報通信研究機構(NICT)、日本電気(NEC)と共同で実施したことを発表した。これは、実際の株式取引で標準的に使われている伝送フォーマット「FIX」に準拠し、金融取引の模擬環境において、データの高秘匿性、低遅延性、大量伝送の耐性を検証した国内で初めての試みだ。結果として、量子暗号化を適用しても従来のシステムと遜色のない通信速度が維持できること、大量の株式発注でも暗号鍵が枯渇しないことがわかった。

コンピューターによる株式のアルゴリズム取引が普及したことで、国内の証券取引所における1日の取引高は3兆円を超えるほどに拡大した。取引処理の遅延が機械損失につながるため、注文応答時間がミリ秒未満の通信ネットワーク基盤も提供されている。今後、5G・Beyond 5Gからさらに高速な通信技術が普及すると、さらなる高速化、大容量化、低遅延化が求められる。加えてサイバー攻撃の増加にともない、金融機関におけるセキュリティー対策の一層の強化が求められる。そのため、「理論上いかなる計算能力を持つ第三者でも解読できないことが保証されている唯一の暗号通信方式」である量子暗号通信の金融分野への適用が欠かせない。

共同検証にあたり、NICTが量子鍵配送(QKD。Quantum Key Distribution)装置を導入して構築した試験用通信ネットワーク環境「Tokyo QKD Network」上に投資家と証券会社を模した金融取引の模擬環境を整備。野村ホールディングスと野村證券が、FIXプロトコルに準拠した模擬データを生成するアプリケーションを開発した。

使用した暗号化方式は、ワンタイムパッド(OTP)方式と高度暗号化標準(AES)方式の弱点に対する対応を施した「高速OTP」と「SW-AES」、そしてNECが開発した回線暗号装置「COMCIPHER-Q」の3つ。それぞれの方式の違いによる影響について検証が行われた。株式取引業務をユースケースに、量子暗号通信による膨大な金融取引データの高秘匿・低遅延伝送の検証実験を実施株式取引業務をユースケースに、量子暗号通信による膨大な金融取引データの高秘匿・低遅延伝送の検証実験を実施

その結果、量子暗号通信を適用しても従来のシステムと比較して遜色のない通信速度が維持できること、大量の株式取引が発生しても暗号鍵を枯渇させることなく高秘匿と高速暗号通信が実現できることが確認された。もし、鍵の枯渇が懸念される場合には、鍵消費量の少ない方式に切り替えることで、ビジネスの継続性を維持できる。暗号化レベルや暗号通信速度などで顧客ニーズに対応できる柔軟な提案が可能になるという。

今後は、1週間程度の連続稼働と、システム障害時にシステムの切り替えが遅延なくできるかを、2021年度末までにテストするとのことだ。株式取引業務をユースケースに、量子暗号通信による膨大な金融取引データの高秘匿・低遅延伝送の検証実験を実施

【コラム】ソーシャルメディアとマッチングアプリが抱える深刻な身元確認問題

ソーシャルメディアとマッチングアプリはそろそろ、自分たちが蒔いてきた種を刈り取り、各プラットフォームから詐欺、偽装、デマ情報を一掃すべきだ。

その誕生当初、ソーシャルメディアやマッチングアプリは、インターネットの世界の小さな一角を占めるにすぎず、ユーザーはわずかひと握りだった。それが今では、Facebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)が、選挙に影響を及ぼしたり、ワクチン接種の促進を後押しまたは阻害したり、市場を動かしたりするほどに巨大な存在になっている。

また、何百万もの人々が「生涯の」伴侶と出会うためにTinder(ティンダー)やBumble(バンブル)などのマッチングアプリを利用しており、そのユーザー数はFacebookやTwitterに迫る勢いだ。

しかし、お祭り騒ぎはここまでだ。信用や安全よりも利益が優先されてきた結果、なりすまし犯罪やオンライン詐欺が入り込む隙が作り出されてしまった。

今や、BumbleやTinderで友達が「キャットフィッシング(なりすましロマンス詐欺)」に遭ったという話も、家族の誰かがTwitterやFacebookでオンライン詐欺の被害を受けたという話も、日常茶飯事である。悪意のあるネット犯罪者が個人情報を盗んで、あるいはなりすましの個人情報を新たに作って、詐欺を行ったり、政治的または商業的な利益のために偽情報を拡散したり、ヘイトスピーチを広めたりした、というニュースは毎日、耳に入ってくる。

ほとんどの業界では、ユーザーによるなりすまし詐欺の実害を被るのは当事者である企業だけで済む。しかし、マッチングアプリやソーシャルメディアのプラットフォームで信用が崩壊すると、その被害はユーザーと社会全体に及ぶ。そして、個人に及ぶ金銭的、心理的、時には身体的な被害は「リアルな」ものだ。

このような詐欺事件の増加を食い止める、あるいは撲滅する責任を果たしてきたのは誰だろうか。何らかの措置を講じてきたと主張するプラットフォームもあるが、各プラットフォームがその責任を果たしてこなかったことは明白だ。

Facebookは、2020年10月から12月の期間に、13億件の偽アカウントを摘発したが、これは十分というには程遠い数だ。実際のところ、ソーシャルメディアやマッチングアプリは現在、最低限の詐欺防止策しか講じていない。簡単なAIと人間のモデレーターは確かに有用だが、膨大な数のユーザーには到底追い付かない。

Facebookによると、3万5000人のモデレーターが同プラットフォームのコンテンツをチェックしているという。確かに大勢だ。しかし、概算すると1人のモデレーターが8万2000件のアカウントを担当していることになる。さらに、ディープフェイクの使用や合成ID詐欺犯罪の手法の巧妙化など、悪意のあるネット犯罪者は手口を日ごとに進化させているだけではなく、その規模も広げつづけている。経験豊富なユーザーでさえもそのような詐欺行為に引っかかってしまうほどだ。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、この問題と闘う点で腰が思いと批判されてきた。しかし、実際のところどのように闘えるのだろうか。

なりすましロマンス詐欺の被害は深刻

次のような場面を想像するのは難しくない。マッチングアプリで誰かと出会って連絡を取り始める。その相手がいう内容や質問してくる内容に、怪しさは感じられない。その関係が「リアル」だと感じ始め、親しみを覚え始める。その感情は気づかないうちにエスカレートして、警戒心は完全に解け、危険信号に対して鈍感になり、やがて恋愛感情に発展する。

このようにして新たに出会った特別な人とあなたは、ついに直接会う計画を立てる。するとその相手は、会うために旅行するお金がないという。そこであなたはその人を信じて、愛情を込めて送金するのだが、間もなくその人からの連絡が一切途絶えてしまう。

なりすましロマンス詐欺事件の中には、被害が最小限にとどまり自然に解決するものもあるが、上記のように金銭の搾取や犯罪行為につながる事例もある。米国連邦取引委員会によると、ロマンス詐欺の被害額は2020年に過去最高の3億400万ドル(約348億8000万円)を記録したという。

しかし、これは過少に報告されている結果の数字であり、実際の被害額はこれよりはるかに大きい可能性が高く「グレーゾーン」やネット物乞いを含めるとさらに膨れ上がるだろう。それなのに、ほとんどのマッチングアプリは身元を確認する術を提供していない。Tinderなど一部の人気マッチングアプリは、身元確認機能をオプションとして提供しているが、他のマッチングアプリはその類いのものを一切提供していない。ユーザー獲得の妨げになるようなことはしたくないのだろう。

しかし、オプションとして身元確認機能を追加しても、単に上っ面をなでるような効果しかない。マッチングアプリ各社は、匿名IDや偽IDを使ったユーザーの加入を防ぐために、もっと対策を講じる必要がある。また、そのようなユーザーが社会と他ユーザーに及ぼす被害の重大さを考えると、マッチングアプリ各社が防止策を講じることを、私たちが社会として要求すべきだ。

身元確認はソーシャルメディアにおいて両刃の剣

ロマンス詐欺はなにもマッチングアプリに限ったことではない。実際のところ、ロマンス詐欺の3分の1はソーシャルメディアから始まる。しかし、ソーシャルネットワークサービスにおいて身元確認を行うべき理由は他にもたくさんある。ユーザーは、自分が本物のOprah Winfrey(オプラ・ウィンフリー)やAriana Grande(アリアナ・グランデ)のアカウントを見ているのか、それともパロディアカウントを見ているのかを知りたいと思うかもしれない。オプラ・ウィンフリーやアリアナ・グランデ本人たちも、本物のアカウントとパロディアカウントとの違いがはっきり分かるようにして欲しいと思うだろう。

別の重要な点は、ソーシャルネットワーク各社は身元確認を行うことによってネット荒らしの加害者を抑制すべきだという世論が高まっていることだ。英国では、同国のリアリティー番組人気タレントKatie Price(ケイティー・プライス)が主導して始まった「#TrackaTroll(#トロール行為を取り締まる)」運動が勢いを増している。プライスがHarvey’s Law(ハーヴェイ法)の制定を求めて英国議会に提出した嘆願書には、およそ70万人が署名した。ハーヴェイとは、匿名の加害者からひどいネット荒らしの被害を受けてきた、彼女の息子の名前だ。

しかし、ソーシャルネットワークを利用する際の身元確認を義務化することについては、強く反対する意見も多い。身元確認を行うと、家庭内暴力から逃げている人や、政治的な反対勢力を見つけ出して危害を加えようとする抑圧的な政権下の国にいる反体制派の身を危険にさらすことになる、というのが主な反対理由だ。さらに、政治やワクチンに関する偽情報を拡散しようとする多くの人々は、自身の存在を顕示して、自分の意見に耳を傾ける人を集め、自分が何者なのかを世の中に認知させたいと考えているため、身元確認を行っても彼らを抑止することはできないだろう。

現在、FacebookとTwitterは、正規アカウントに青い認証済みバッジを表示させる制度に「認証申請」プロセスを導入しているが、確実な措置というには程遠い。Twitterは最近、「認証申請」プログラムを一時的に停止させた。いくつもの偽アカウントを正規アカウントとして誤認証してしまったためだ

Facebookはもっと進んだ措置を講じてきた。かなり前から、特定の場合、例えばユーザーが自分のアカウントからロックアウトされたときなどに、身元確認を行ってきた。また、投稿されたコンテンツの性質、言葉遣い、画像に応じて、投稿者のブロック、認証の一時停止、人間のモデレーターによるレビューを行っている。

身元確認とプライバシー保護を両立させることの難しさ

悪意のあるネット犯罪者がマッチングアプリやソーシャルメディアで偽のIDを作って詐欺行為を働いたり、他の人に危害を加えたりすると、それらのプラットフォームに対する社会の信頼は損なわれ、プラットフォームの収益にも悪影響が及ぶ。ソーシャルメディアのプラットフォーム各社は今、ユーザー数を最大限まで伸ばすことと、ユーザーのプライバシーを保護することを両立させるために、あるいは、より厳しくなる規制とユーザーからの信頼失墜に直面して、日々格闘している。

盗難やハッキングによる個人情報の悪用を防ぐことは非常に重要である。もしTwitterやFacebookで誰かが自分になりすましてヘイトスピーチを拡散させたらどうなるだろう。自分はまったく関与していないのに、職を失うかもしれないし、もっと深刻な被害を受ける可能性もある。

ソーシャルメディアプラットフォーム各社は、ユーザーと自社のブランドを守るためにどのような選択をするのだろうか。これまで、プラットフォーム各社の決断は、テクノロジーよりも、ポリシーや利益の保護を中心として下されてきた。プライバシーに関する懸念に向き合って信頼を築くための対策と、利益確保の必要性とのバランスを取ることは、彼らが解決すべき戦略上の大きなジレンマだ。いずれにしても、ユーザーにとって安全な場所を作り出す義務はプラットフォーム各社にある。

ソーシャルメディアやマッチングアプリのプラットフォームは、ユーザーを詐欺や悪意のあるネット犯罪者から守るために、もっと大きな責任を担うべきだ。

編集部注:本稿の執筆者Rick Song(リック・ソング)氏はPersonaの共同設立者兼CEO。

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Rick Song、翻訳:Dragonfly)

ミレニアル世代やZ世代を惹きつけたいインスタ風アプリSupernovaはSNS大手の「倫理的オルタナティブ」になれるか

Supernova(スーパーノヴァ)は新しいアプリで、Apple(アップル)とAndroid(アンドロイド)のアプリストアで公開されており、広告収入の大部分を慈善事業に寄付している。Instagram(インスタグラム)とFacebook(フェイスブック)の新しい「倫理的オルタナティブ」と謳う同アプリに、チャンスはあるだろうか?

Facebookがパノプティコン(一望監視施設)のような刑務所になり、米国政府の権力を覆そうとするプライベートグループに参加することを軽々しく提案するのを何年も見てきたか、あるいはInstagramをドゥームスクローリング(ネット上で悲観的なニュースや情報を読み続けること)して、自身や10代の子どもたちのメンタルヘルスが徐々に損なわれていくのを経験した後であれば、多くの人々は、より高潔な原則を持つ代替のソーシャルメディアプラットフォームに大きな満足を覚えるだろう。こうした代替のいくつかは何年にもわたって現れたり消えたり(RIP Path)しているが、Zuckerberg(ザッカーバーグ)氏の悪徳のような支配から大衆を遠ざけることに成功した者はいない。

おそらく人々は忘れてしまっているかもしれない。Facebook(その延長線上でInstagram)がこれほど大きい唯一の理由は、広告収入がこうした無料サービスを支えているからだということを。もし広告主が、十分に魅力的なアプリでソーシャルメディアの群衆を取り込むことができる他の場所を持っていれば、FacebookとInstagramはある程度プレッシャーを感じ始めるだろう。少なくとも、理論上はそうなっている。

広告業界を知り尽くしている英国の起業家が、ミレニアル世代やZ世代にアピールするために設計された独自のソリューションを使って、これらの大手企業に対抗しようと計画している。これらの世代は一般的に、前世代よりもはるかに大義を支援したいという欲求に導かれている。

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏(画像クレジット:Supernova)

Supernovaの創業者でCEOのDominic O’Meara(ドミニク・オメーラ)氏は、かつてSaatchi(サーチ)に在籍した広告の第1人者で、英国アカデミー賞の受賞歴もあり、同スタートアップを主に自己資金で運営している。同氏は次のように語っている。「ASICS(アシックス)のようなスポンサーやMQのような慈善団体は、このアプリに備わる、ユーザーの安全を中心に据えた包括的なソーシャルネットワークという要素を評価して、今回のローンチに参加することを選んでいます。Supernovaが補完するのはまさにそこに存在するギャップであり、私たちは今後数カ月から数年のうちにこのギャップを縮小し、社会に成果を還元するソーシャルネットワークとなることを目指しています」。

「私たちの技術とアクセシビリティは、ソーシャルメディアと広告の力を使って世界がお互いに心から助け合うこと、そしてそれらの行動がどこでどのように役に立っているのかを常に透過的かつ正確に見ることを可能にします」と同氏は付け加えた。

Supernovaはこれを、同社のプラットフォーム上で有害性を防止することにより実現しようとしており(その方法については後述)、ユーザーが「安全かつセキュアであり、友人たちとの前向きで、刺激的で、人生を肯定するようなインタラクションを持つことを推奨されていると感じることができ【略】ヘイト、人種差別、ホモフォビア(同性愛嫌悪)、極端な政治思想などを目の当たりにすることのない場所を作ろうとしている」。

ビジネスモデルはシンプルである。同社は広告収入の60%を世界の慈善事業に寄付し、寄付金は気候変動、動物福祉、緊急事態の対応、健康と福祉、ホームレス支援、人権、メンタルヘルス、海洋清掃の各項目について、会員の希望に応じて配分される。どの要因が最も多くの資金を得るかは、ユーザーによって決定される。

Supernovaによると、世界のソーシャルメディア広告市場の1%以上を獲得できれば、年間6億ポンド(約925億円)を慈善団体に寄付することになるという。対照的に、FacebookとInstagramからの相当額は510億ポンド(約7兆9000億円)となる。しかし当然ながら、その現金は現在すべてザック氏の金庫に入っている。

FacebookやInstagramがヘイトスピーチを禁止していることはよく知られているが、もちろん、実際に行われることはほとんどないことも私たちはわかっている。Supernovaはまず最初に、自社のコミュニティ基準に基づいて「100%人間によるモデレーション」を行うとしており、さらにはユーザー向けに完全な憲章を約束している。

Supernovaアプリ(画像クレジット:Supernova)

どのようなアプリなのだろうか?

Instagramとの類似点はすぐにわかるだろう。ユーザーはコメントやメッセージングとともに写真やビデオを共有できる。ユーザーはフォローすることもフォローされることも可能である(1つか2つのバグが残っており、筆者のプロフィールは選択していないユーザーを自動的にフォローしているようだ)。

ユーザーはアカウントに対して、非公開、検索、フォロー、不要なユーザーのブロックなど、私たちが慣れ親しんできたソーシャルメディアツールのほとんどを設定することもできる。

ここで異なるのは、基礎となる仕組みである。

まず、ユーザーは自身のプロフィールで、Supernovaが広告パートナーから調達した資金を使って支援したい慈善分野を指定できる。

次に、ユーザーにナルシシズムを誘発することなく「Like」が慈善事業の広告収入の一部を得るための票のような働きをする。ユーザーの投稿に「Like」がついた場合、彼らが選んだ慈善団体は寄付として「Supernova Action Fund(Supernova活動基金)」のより大きな部分を得ることになる。

Superlikeや「Supernova」を獲得した投稿は、通常の「Like」の10倍の票を獲得する。ただし1つ難点がある。Supernovaを提供するには、まずユーザーが十分な「Karma Point」を獲得しなければならない。おそらくこれは、エンゲージメントを促進するためであろう。

今のところ、世界的なスポーツブランドであるASICSがSupernovaのスポンサーとなり、メンタルヘルスの慈善団体MQ Mental Health(MQメンタルヘルス)が最初に選ばれた慈善事業となっている。

また、Instagram(というよりFacebookのようなもの)とは異なり、Supernovaにはユーザーがグループに集まることのできる「グループ」機能がある。

オメーラ氏によると、Supernovaへの投資は「友人、家族」による資金調達ラウンドで100万ポンド(約1億5000万円)を超えており、2022年前半には機関投資家からのさらなる資金調達を予定しているという。

人間によるモデレーションについてオメーラ氏に尋ねたところ、次のように回答してくれた。「英国に拠点を置く訓練を受けたチームで、24時間体制で私たちが管理するシフト制を採用しています。彼らは若くて聡明な人材であり、主にコンピュータサイエンスの大学院や学部出身者です。会社の成長に合わせて社内で育成することで、チームが最初からコミュニティに親近感と共感を持てるようにしています」。ただし、同社の規模拡大に伴い、機械学習の支援を受けることになるだろうと同氏は言い添えた。

「Supernovaは、AIによって他のプラットフォーム上で活発に宣伝されている、有害で急進的なコンテンツから解放されます。その結果、Supernovaが万人向けではなく、熟慮される存在になることは間違いありません」とオメーラ氏は語っている。

Instagramでは禁止されていることで知られる乳首は同プラットフォーム上で許可されるのだろうか。

「すべては、投稿の内容や性質、投稿内のテーマによって異なりますが、コミュニティ基準に準拠しているかどうかは確実にチェックされます。違反した場合は削除されます」と同氏。

もし女性が母乳育児について説明しているのなら、それは許されるだろうかと筆者は尋ねた。

「その意図が明らかに有益であり、主題の真の側面を扱っている限りは、おそらくそうなるでしょう。もしその意図や内容が、その主題や私たちのコミュニティに対して、私たちの考えでは失礼であるか、有害であるか、あるいは否定的であるならば、コミュニティ基準や憲章を侵害することになり、削除されるでしょう」と同氏は回答した。

広告主にとってのメリットは何であろうか?

オメーラ氏は次のように語っている。「正しいことをしている『新時代』のソーシャルメディアの一部であることは、ブランドに害を与える可能性のある古い有害な秩序の一部であることとは対照的に、彼らのブランド(PR)にとってすばらしい価値があります。Deloitte(デロイト)によると、ミレニアル世代の80%は、他人の利益を自分の利益よりも優先するブランドからのみ購入したいと考えています。大手広告主は、ソーシャルメディアの現状に辟易しているようです。私は昨日、100億ドル(約1兆円)を超えるグローバル予算を投じている広告主に会い、そのことを明確に伝えられました」。

「当社のプロダクトは完全にスケーラブルで、ミレニアル世代のわずか1%にリーチすれば、毎日4000万人にスポンサー広告を届けられるでしょう。広告主たちが『量より質』を求めている今、これで十分です。1000社以上の広告主による42億ドル(約4822億円)規模のFacebookのボイコットは、その初期の兆候であり、今も消え去ってはいません。代替のオファーは今のところ提供されていません。そこにSupernovaが登場したのです」と同氏は付け加えた。

Supernovaが生き残れるのか、それともDavid Beckham(デイビッド・ベッカム)氏がローンチし、痕跡を残さず沈んだストリーミングソーシャルメディアアプリ、MyEyeになるのかはまだわからない。

タフで物議を醸す話題がこれまでほとんど登場してこなかった、一種の「バニラ(ありきたりな)」ソーシャルネットワークであるだけで、ユーザーを惹きつけるのに十分かどうかという疑問が残る。そして、潜在的に偏った人間によってコンテンツがモデレートされた場合、Supernovaはその決定を好まない人々から訴えられることになるのだろうか?

しかし、少なくとも今回の初公開からは、Supernovaは好調なスタートを切ったようだ。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Dragonfly)

LinkedIn、インタラクティブなClubhouseスタイルの音声イベント機能を2022年1月開始、動画版は今春登場予定

8億人以上の人々がキャリアを積むために仕事用のプロフィールを掲載しているLinkedInは、次のステップとして、プラットフォームをより多く使ってもらう狙いだ。同社は新しいイベントプラットフォームを展開し、インタラクティブなバーチャルライブイベントの掲載、主催、マーケティングを行う予定だ。まず、音声のみの製品をベータ版として2022年1月に発表し、その後、春に動画版を発表する。最初は、LinkedInをオーガナイザーやホストとして利用しているクリエイターをターゲットにする。

ここ数年の新型コロナ生活の中で、オンラインイベントが多くの支持を得ていることから、現在の計画では、LinkedInの新しいイベント製品はすべてオンラインで提供し、フォーマットをオープンにしてイベントの運営者自身がフォーマットを作ることができるようにする予定だ。

プロダクトマネージャーの Jake Poses(ジェイク・ポーズ)氏はインタビューで次のように答えている。「私たちの理念は、主催する人が管理できるようにすることです。オンラインの円卓会議、炉辺談話などを簡単に開催できるようにしたい。フォーマルなイベントを開催したい人もいれば、インフォーマルなイベントを開催したい人もいるでしょう。また、リスナーとコミュニケーションをとりたい、質問を受けたいという要望もあるでしょう。私たちは、プロフェッショナルな人々にインタラクティブな機能を提供し、サポートします」。

2022年1月開始するオーディオイベント機能には聞き覚えがあるかもしれない。これはClubhouseに匹敵するもので、LinkedInの取り組みが最初に記事となったのは2021年3月だった。LinkedInは2021年、このイベントサービスに追加する可能性のある他の機能を試してきた。例えば、2021年9月にテストを開始した有料のチケットオプションなどだ。しかしポーズ氏によると、今のところインタラクティブイベントは無料サービスとして開始され、現時点ではチケット制にする計画はないとしている。

(LinkedInは近いうちにチケット制を導入すると思われる。私が尋ねたところ、Clubhouseの広報担当者は「クリエイターファーストというマントラの一環として」、当スタートアップ企業は「クリエイターが自分の作品をさらにマネタイズできるよう、チケット制イベントを含む複数の選択肢を模索している」と言っていたが、時期は特定できなかった。また、動画に関しては今のところロードマップにないことも確認した。彼女は「当社は、ソーシャルオーディオ体験に引き続き注力しており、オーディオ中心の新機能がコミュニティの体験をどのように強化できるかを引き続き模索しています」と付け加えた。)

オーディオイベントのモデルはこちら。

2022年1月末に開始されるこの新しいイベントプラットフォームには、他のサードパーティ製のソフトウェアを使用せずにインタラクティブなコンテンツをエンド・ツー・エンドで実行できるツールが含まれる。ホストはLinkedInから直接イベントを記録・実行できる他、オンラインの参加者とホストがライブで会話し、議論を進行できるツールや、イベント開催中と終了後に参加者が互いにコミュニケーションするためのツールが備わる予定だ。また、LinkedInは当然ながらイベントをリストアップし、プラットフォーム間でイベントに関する情報発信のサポートを行う。

これらのイベントのホストについては、まず、LinkedInを利用してすでに多くの人々とつながっている個人、つまり、TikTokなどの他のソーシャルプラットフォームで見られるような独自のクリエイターをターゲットとし、キャリア開発、専門的な話題、その他のLinkedIn中心の専門分野に向けたコンテンツを構築していく予定である。

LinkedInはここ数カ月、より広く、より活発なクリエイターコミュニティの育成に取り組んできた。この目的のために、2021年秋には2500万ドル(約28億6407万円)の資金とインキュベーターを立ち上げた。ポーズ氏によると、現在配信製品であるLinkedIn Liveを利用できるクリエイターは150万人とのことだ。イベントの企画と開催は、その戦略を拡張するための自然な流れといえる。

LinkedInは時間とともに、企業や大きな組織にもLinkedInでイベントを構築してもらいたいと考えているとポーズ氏は付け加えた。しかし大きな組織では、より大きな予算、より高い生産価値を目指したインフラ、そしてチケットやその他のサービスが必要になることが多い。同氏は、必要な人、あるいは希望する人は、サードパーティのアプリケーションやソフトウェアを製品に統合することができるようになると語った。(実際、今のところツールのほとんどはLinkedIn自身で構築されていることも認めていた。LinkedInを所有しているMicrosoftとの統合もあるのは確かではあるが)。

フィードに表示される動画機能のモデルはこちら。

LinkedInがイベントへの尽力により大きな関心を持ったのは、やや時代をさかのぼり、パンデミックの時期より前の2019年に初めてデビューし、対面での集まりに焦点を当てていたEventsハブに始まる。新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こってから数カ月後、LinkedInはバーチャルエンゲージメントを目的としたオンライン投票や配信スタイルの動画イベントの開始により、それまでオンラインイベントシナリオで使用されていた方法の一部を公式化した。

同社にとって、これらのイベントは成功を収めている。ポーズ氏は、年間のオンラインイベント作成が2021年1年間で150%増加し、同じ期間にLinkedIn Liveのバーチャルイベント参加者が231%増加したと述べた。取り上げられたトピックは、AIイノベーション基調講演ファイナンシャルプランニングライブ住宅施工メンターシップサイバーセキュリティ授賞式などだ(これらによっても、長期的にLinkedInがこれらのイベントの運営者として個人のクリエイター以上を抱え得る可能性が伝わる)。

LinkedInはまた、その規模と資金力を利用して、イベント分野で活躍する他の興味深い企業への投資や買収も行っている。2021年6月、LinkedInは、オンラインイベントの大企業であるHopin(2021年8月の直近の資金調達ラウンドで77億5000万ドル(約8874億6025万円)と評価された)に投資していることを明らかにした。また2021年8月には、クリエイターがハウツーやその他のメンタリング動画を作成・共有できるJumpropeというスタートアップ企業を買収している。(実際、これがポーズの入社の経緯であり、クリエイター、イベント、動画を網羅する製品をリードすることになった。)

これらのことは、LinkedInのコンテンツ戦略における次の論理的なステップであるだけでなく、パンデミックから2年経った今でも多くの人が在宅勤務をしており、新型コロナウイルス感染症が多くの人にとって脅威であることを考えると、明らかに時代の兆しのように感じられるのである。

だが、オンラインビデオ会議、そして率直に言ってオンラインなものすべてに対して私たちの多くが抱く疲労の影響をLinkedInはどのように受けるのか、また、オンラインイベントの選択肢が1つ増えて、結局多すぎるということが判明した場合、LinkedInは調整できるのかということを考えざるを得ない。

ポーズ氏の答えは、オンラインイベントはさらなる民主化のために必要なものであるが、イベント企画者の中にはハイブリッドなアプローチを取る人もいるかもしれない、というものだった。

オンラインやハイブリッドなものは「この先の時代」かもしれないが、インタラクティブイベントが解決しようとしているものはまったく異なるものだとポーズ氏はいう。

「物心ついたときから、私は講演やミートアップに出かけていました。これらは、社会人がコミュニケーションし、物事を学ぶ方法の主軸です。しかし、これらのイベントには、お金と移動時間、部屋に入って話す勇気、そしてイベントを運営するスペースが必要です。私たちの狙うところは、対面からバーチャルへ移行することで、実際にアクセスを民主化し、より多くの人々にそれを開放することです」と彼はいう。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

NTTドコモ、5Gミリ波で「緻密なエリア構築」を可能にする「置くだけアンテナ」開発

NTTドコモ、5Gミリ波で「緻密なエリア構築」を可能にする『置くだけアンテナ』開発

NTTドコモは、5Gで利用している28GHz帯(ミリ波)や、6Gに向けて開拓している、さらなる高周波数帯の電波において、きめ細やかなエリア構築を可能にするアンテナを開発しました。

同アンテナは、高周波数帯の電波を伝搬するケーブル(誘電体導波路)に、プラスチック小片を接触させると、接触箇所から電波が漏洩するという物理現象を活用したもの。

同実験では、60GHz帯の電波を伝搬するケーブル(誘電導波路)を埋め込んだ板に、プラスチック小片(アンテナ)を置くことで、その周辺に通信エリアを構築できることを確認しました。

さらに、複数の箇所に同時にアンテナを置くことで、複数の場所で同時にエリアを構築することや、アンテナの大きさや配置方法を変えることで、構築する通信エリアの範囲や方向をコントロールできることを確認したといいます。

NTTドコモは、2022年度上期から、5Gサービスで利用している28GHz帯(ミリ波)で本アンテナによる通信エリア構築の検証を開始し、実用化をめざす方針です。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

オンラインチェックアウトテックのBoltが405億円調達、評価額100億ドル超えのデカコーンに

チェックアウトテクノロジー企業のBolt(ボルト)は、新たな資本を引き寄せ続けている。同社は現地時間1月14日にシリーズEラウンドで3億5500万ドル(約405億円)を調達したと発表し、同社に近い情報筋によると、評価額は110億ドル(約1兆2565億円)に達したという。

Boltのワンクリックチェックアウトの製品は、Amazon(アマゾン)が1997年以来採用していることで知られているのと同じ技術を企業に提供することを目的としている。と同時に、取引が本物であることや支払いを受け付けられることを保証する決済および詐欺防止サービスを組み込んでいる。さらに、買い物客は一度アカウントを作成すれば、そのクレデンシャルを何百ものBoltネットワークブランドのネットワークで使用することができる。

今回のラウンドは、シリーズDで3億9300万ドル(約448億円)という大規模な資金調達を行ったわずか3カ月後に行われた。シリーズEを含めると、Boltのこれまでの資金調達総額は10億ドル(約1142億円)近くになる。創業者でCEOのRyan Breslow(ライアン・ブレスロー)氏は、評価額はシリーズD時のほぼ2倍になった、とTechCrunchに語った。

Boltの調達総額が10億ドル近くまで増えたことについて、Boltは実際に数千億ドルの価値がある競合企業が存在する分野で事業を展開している、とブレスロー氏は説明した。ソースによると、Stripe(ストライプ)、Shopify(ショッピファイ)、Checkout.com(チェックアウト・ドットコム)のような企業と競合している。

「多くの資金を手にしたように見えるかもしれません。しかし、実際には違います。これは競争力を高めるための資金なのです」とブレスロー氏は付け加えた。「競合他社と肩を並べるだけでなく、もっと上を目指したいと思っています。この資金で優秀な人材を獲得し、戦略的な買収を行い、当社にとって重要な欧州への進出を実現することができます」。

国際展開という点では、2021年11月から乗り出した。Benefit CosmeticsとPrestaShopの両方と契約を締結し、そして初めて買収を行った(あらゆるデジタル画面でのダイレクトチェックアウトを可能にするスウェーデンの技術会社Tipserだ)。

ブレスロー氏は当時「TipserがBoltにとっていかに重要な存在になりうるか、我々は理解していました」と述べた。「彼らは10年前から組み込み型コマース技術を完成させており、唯一手ごわい存在でした。我々が苦手とする分野で、Tipserは当社を上回っていました。Tipserをチームに迎えたことは、非常に戦略的なことです」。

買収から2カ月、BoltのネイティブチェックアウトとショッパーエクスペリエンスにTipserの組み込みコマース技術を統合させる作業は続いており、すでにいくつかの大口顧客と契約しているとブレスロー氏は話す。

一方、シリーズEは、BlackRockが運用するファンドや口座がリードし、既存投資家のActivant CapitalとMoore Strategic Venturesに加え、新たにSchonfeld、Invus Opportunities、CreditEase、H.I.G. Growthが参加した。

Invus Opportunities のパートナーのBen Tsai(ベン・ サイ)氏は「eコマースを取り巻く状況はオンラインチェックアウト体験を改善する大きなチャンスを提供していて、小売業者は結果として顧客を失っていることに気づきつつあります」と電子メールで述べた。

「拡大するBoltの小売店ネットワークの中で、ワンクリックで簡単にチェックアウトできる恩恵を受けている数百万人もの買い物客のネットワークを同社は有しています」と同氏は付け加えた。「ライアンと野心的なBoltチームを支援し、Boltがディスラプトしている業界に大きなチャンスがあることをうれしく思います」。

Boltは2021年に加盟店あたりの流通取引総額を80%成長させ、アカウントは2020年比で180%増え、取引は前年比で200%成長した。また、今後18カ月で買い物客1億人がBoltのネットワークに参加する見込みだという。

最後に、企業が人間優先の職場文化を作ることを目的としたプレイブック「Conscious Culture」を2021年5月に発表した後、現在では80社近く、数百の顧客を抱えている。

Boltの従業員は550人を超え、200以上の都市でリモート勤務している。今回の資金調達により、人材採用、買収、国際展開に加えて、2022年中に多数の新製品を発表するという目標に向けた取り組みを加速させる。

構想にはソーシャルコマースのような分野への重要な投資が含まれており、ウェブサイト、チャットボット、店舗、ビデオストリーム、ゲームなど、あらゆるチャネルでネイティブの組み込み型コマースを実現できるようになる。これにより、Boltのチェックアウト機能があらゆるところに配置されることになるとブレスロー氏は予想している。また、Boltのネットワーク上で客がより効率的に買い物ができるよう、消費者向け製品の拡大にも資金が投入される予定だ。

将来的には、Boltが新製品を発売する際に「Amazonゴールドスタンダード」と呼ばれる購入体験を分解し、どんなビジネスでもワンクリックでチェックアウトできるだけでなく、シームレスな注文追跡、迅速な返品、迅速な配送、会員特典など、Amazonが早期に優位に立った技術をすべて利用できるようになるとブレスロー氏は見ている。

上場が近いか、という質問に対し、同氏は当面の目標でもなければ最終目標でもないと答えた。

「目標はただ1つ、史上最高の会社を作ることです」と付け加えた。

画像クレジット:Bolt

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

消費者ブランドの顧客データ有効利用を助けるDaasityが約17.1億円調達

Daasityの共同創業者Sean Corson(ショーン・コーソン)氏とDan LeBlanc(ダン・ルブラン)氏(画像クレジット:Charmaine Gray Photography)

eコマースの分析とデータ収集を行うDaasityは、消費者ブランドが顧客データをより賢く活用するためのアプローチを開発し続ける中で、シリーズAで1500万ドル(約17億1000万円)の資金を調達した。

この、出資者数が予定を超えたラウンドをリードしたのはVMG Catalystで、他にCove FundやExeter Capital、1855 Capital、Mooring Ventures、Okapi Venture Capital、そしてSerra Venturesらが参加した。これで同社の総調達額は2070万ドル(約23億6000万円)になる、とCEOのDan LeBlanc(ダン・ルブラン)氏はいう。

ブランドは同社の技術を利用して、Shopify、Amazon、Facebook、Klaviyoなどなどから自分に関連したデータを取り込んで分析し、その結果をマーケティングのチャネルに押し込み、これまでのパフォーマンスの履歴から得られる洞察に基づいて、消費者体験の最適化を図る。

ルブラン氏によると「消費者製品のブランドが現在ほど多いときは過去にありません。そのため競合は慢性的に激しくなっています。ブランドは、迅速で確実性の高い意思決定に導く正しいデータにアクセスすれば勝利できます。データの需要もかつてないほど高いため、私たちはデータのインフラストラクチャに投資して、ブランドが彼らの必要とするデータにアクセスできるようにしています」という。

Daasityは現在、ManscapedやVuori、Caraway Homeといった1600を超えるブランドを扱っており、2021年は経常収益が前年比で300%増え、従業員数は倍増した。

今回の資金で従業員数をさらに増やし、2022年末までに160%の増員になるという。また同社は、良好なデータアクセスとデータソース、および、分析結果により良い洞察を込められるための教育リソースのための技術開発にも投資している。今後は、より個人化された顧客データにも取り組む計画だ。

今後、同社はブランドがデータインフラストラクチャの各部位を自由に構成できるようにして、彼らのデータインフラストラクチャをモジュール状にしたいという。構成アイテムのピックアップは、メニューから料理を選ぶような簡便なやり方で、新しいデータソースやウェアハウジングのオプション、デジタルトランスフォーメーション、そして視覚化ツールなど、およそ35の新しい統合を加えていく。

VMG CatalystのパートナーであるBrooke Kiley(ブルック・カイリー)氏の声明文によると「同社が成長の次の段階に入っていくときに、ダンとDaasityのチームとのパートナーシップを継続できることはすばらしいことです。私たちは、データの有効利用がブランドにとって一貫して難しい、という状況を毎日のように見ていますが、そのニーズもかつてないほど大きくなっています。今日の競争の激しいeコマース環境では、データ利用の成功の鍵になっています。Daasityはデータをすべてのブランドにとってアクセス可能なものにし、彼らを行動に結びつくような洞察で強くして、彼らのマーケティングチャネルを必要不可欠な顧客データでより豊かにしています」という。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】高まるアクセシビリティへの意識、それは行動につながっているのだろうか?

ほぼ2年にわたり、世界中の人々が世界との関わり方を大きく変えてきた。それは多くの人々に日々の行動を変えさせた。残念なことに、これらの変化の一部によって、多くの人が当たり前に思っている日常業務が、アクセシビリティやアコモデーションを必要とする人にとって気が遠くなるような困難なものになってしまうことがある。

ハリス世論調査では、米国の成人の半数以上がパンデミックのためにオンライン活動を増やしていることが明らかになっている。障がいのある人の場合、その数字は60%になる。

オンライン活動が増えたからといって、誰もが目標を達成できるわけではない。では、この危機はアクセシビリティにどのようなインパクトを与えているのだろうか。アクセシビリティの重要性について、組織は最終的にメッセージを受け取っているのだろうか?

増加傾向にあるアクセシビリティへの意識

近年、どこを見てもアクセシビリティや障がいのある人についての何かがあるように感じられるのではないだろうか。大手テック企業のテレビ広告の多くは、障がいのある人々やアクセスしやすいテクノロジーを取り上げている。

Apple(アップル)ではネットワークテレビの最初のプライムタイム広告の始まりを告げ、Microsoft(マイクロソフト)は米国最大の試合中に広告を出している。Google(グーグル)の広告では、耳の不自由な男性が、自分のPixel(ピクセル)スマートフォンでLive Caption(ライブキャプション)を使って初めて息子に電話をかける様子が描かれている。またAmazon(アマゾン)の広告には、聴覚に障がいのある従業員Brendan(ブレンダン)氏の職場や家での姿が映し出されている。

アクセシビリティへの意識が高まっているのは明らかだ。2021年5月の「Global Accessibility Awareness Day(グローバル・アクセシビリティ・アウェアネス・デー)」に敬意を表し、Apple、Google、Microsoftは自社プロダクトのアクセシビリティに関する多数のアップデートとリソースを発表した。DAGERSystem(デーガーシステム)は、近くリリース予定のAccessible Games Database(アクセシブルゲーム・データベース)を公開した。これによりゲーマーは、プラットフォームごとにアクセシブルゲームを検索し、聴覚、視覚、色、微細運動のカテゴリー別にアクセシビリティをフィルターできるようになる。

テック企業がアクセシビリティについて語り、それをプロモーションし、マーケティング予算の一部にしているのはすばらしいことだ。しかし、それについて語ることと行動を起こすことの間には違いがある。語ることでウェブサイトのアクセス性が向上するわけではない。それには行動が必要である。

最近のForrester(フォレスター)サーベイでは、10社中8社がデジタルアクセシビリティに取り組んでいることが示された。では、実際に何か変化は起こっているのだろうか。人々は障壁なしにウェブサイトを利用することができているだろうか?

インターネット利用率の上昇はアクセシビリティを向上させたか

これは、2021年のState of Accessibility Report(SOAR、アクセシビリティの状況レポート)で明らかにされた疑問である。SOARの目的は、企業や業界全体のアクセシビリティの現状を評価することにある。アクセシビリティが改善された点や、作業が必要な部分を見つけるためのツールとなっている。

同レポートはこれまで、Alexa(アレクサ)のトップ100ウェブサイトのアクセシビリティの状態を分析することで、アクセシビリティの指標を得てきた。このレポートでは、販売数ではなく、最も人気のあるデジタルプロダクトに焦点を当てている。ほとんどの場合、変化は上位から始まる。上位で状況が改善すれば、残りは後に続く。

80/20ルールとしても知られるパレートの法則がここで適用される。デジタルプロダクトの上位20%でトラフィックの約80%に到達する。

興味深いのは、Alexaのトップ100は2021年に31の新しいウェブサイトをリストしているが、それらは2019年や2020年にはトップ100に入っていなかったことだ。2019年にAlexa 100のリストに掲載されたウェブサイトの中で、2021年のリストに掲載されたのはわずか60%であった。

こうした変化や現在のAlexaトップ100ウェブサイトをレビューすることで、パンデミックによってオンライン行動がどのように変化したかが容易に見て取れる。上位のウェブサイトには、ファイル転送やコラボレーションツール、配送サービス、Zoom(ズーム)やSlack(スラック)などのコミュニケーションツールなど、多くの生産性アプリが含まれていた。

ビデオプラットフォームに関していえば、特にクローズドキャプションが導入された地域において、パンデミックがアクセシビリティに大きなインパクトをもたらしたことは明らかであろう。2020年4月の時点で、Skype(スカイプ)以外のビデオプラットフォームには自動キャプションが組み込まれていなかった。残念ながら、Skypeのキャプションは最高の品質とはいえなかった。

Google Meetには、2020年5月までにキャプションが追加された。この時点でZoomは、自動キャプションのベータテストを行っていた。だが当初は有料アカウントにのみ展開していた。嘆願書の提出を受け、Zoomは無料アカウントでの提供に同意した。そうなるまでに約8カ月を要している。

6月頃には、Microsoft TeamsのiOSアプリで、Teamsのネットワーク上にいないユーザーが無料でキャプションを付けて利用できるようになった。これは良いスタートだが、ビデオプラットフォームのアクセシビリティにはキャプション以上のものが求められる。マウスなしでナビゲートできる必要がある。キャプションに加えて、プラットフォームはトランスクリプトを提供する必要がある。スクリーンリーダーや更新可能な点字デバイスと互換性があるのは、キャプションではなくトランスクリプトになる。

Alexaのトップ100ウェブサイトのテスト結果は以下の通りである。

  • テストしたウェブサイトのうち、スクリーンリーダーがアクセシブルであるのは62%で、2020年の40%から増加した
  • すべてのページが、有効なドキュメント「lang」属性を持つことに対して合格となった
  • テストしたウェブサイトのうち、入力フィールドのラベルにエラーがあったのはわずか11%だった
  • 最も一般的なエラーはARIAの使用であった
  • 2番目に多いエラーは、カラーコントラストであった

要約すると、Alexaのトップ100ウェブサイトのスクリーンリーダーのテストでは、2019年と2020年のテストよりも大幅な改善が見られた。

モバイルアプリはどうだろうか?ある調査では、モバイルインターネットに費やされる4時間について、回答者の88%がその時間をモバイルアプリに費やすと答えている。アプリの利用率が高く、アクセシビリティコミュニティがアプリのアクセシビリティに関心を持っていることから、SOARは今回初めてモバイルアプリをテストした。Web Content Accessibility Guidelines(WCAG、ウェブコンテンツ・アクセシビリティガイドライン)2.1では、モバイルデバイスのアクセシビリティに関する10の成功基準が追加されている。

モバイル分析では、iOSとAndroid向けの無料アプリのトップ20と、両OS向けの有料アプリのトップ20に注目している。最大の驚きは、無料アプリの方が有料アプリよりはるかにアクセシブルであったことだ。

無料アプリの主要機能のアクセシビリティをテストしたところ、iOSアプリの80%、Androidアプリの65%が合格した。有料アプリの主要機能のアクセシビリティに関しては、合格したのはiOSアプリでわずか10%、Androidアプリで40%であった。

なぜ格差があるのか?Statista(スタティスタ)によると、93%以上がAndroidとiOSデバイスの両方で無料アプリを使用しており、無料アプリのユーザー数は有料アプリをはるかに上回っている。プロダクトの利用者が増えれば増えるほど、利用者がアクセシビリティに関する要望やフィードバックを行う可能性が高くなる。また、無料アプリを提供している企業の多くは、アクセシビリティを最優先事項としている大手テック企業である。

私たちができること

デジタルアクセシビリティが進歩しているのはとても喜ばしいことだが、企業は軌道を維持する必要がある。そのための最も効果的な方法の1つは、アクセシビリティに対するトップダウンのアプローチを採用することである。それを企業文化の一部にしていくのである。

アクセシビリティ優先の文化をひと晩で構築するということはなく、数カ月で構築することもない。時間が必要となる。どんな小さな一歩も進歩である。重要な点は、どんなに小さくても最初の一歩を踏み出すことだ。それは、画像に代替テキストを追加することを社内の全員に指導するようなシンプルなものかもしれない。あるいは、適切な見出しの使い方について、ということも考えられよう。

マッスルメモリーになるには相当な練習が必要となる。あるものを制覇したら、次のものに移る。SOAR 2021によると、多くの企業が代替テキストと見出しを習得し始めているという。しかし、彼らはカラーコントラストとARIAに苦戦している。おそらくそれが次のステップになるだろう。

アクセシブルなプロダクトを生み出すには、障がいのある人たちがそのプロセス全体に関わる必要がある。そう、実用最小限のプロダクトを構築する前に。さらに良いのは、障がいのある人を雇用することで、常に専門家の手が届くようにすることだ。

アクセシビリティの格差が大きい理由は、教育と訓練の不足にある。企業はプロダクト開発チームだけではなく、すべての人を訓練する必要がある。開発チームはアクセシブルなウェブサイトを作ることができるが、マーケティング担当者がキャプションなしでビデオを投稿したり、グラフィックデザイナーがコントラストの悪い画像を作成したり、営業担当者がアクセシブルでないPDFファイルを公開したりすると、その苦労はすべて水の泡になる。

アクセシビリティはすべての人の責務といえよう。

編集部注:本稿の執筆者Joe Devon(ジョー・デボン)氏は、アクセシブルな体験を構築するデジタル・エージェンシーであるDiamondの共同設立者。また、Global Accessibility Awareness Dayの共同設立者であり、GAAD Foundationの議長も務めている。

画像クレジット:twomeows / Getty Images

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(文:Joe Devon、翻訳:Dragonfly)

英国でMeta集団訴訟、競争法違反で約3520億円求める

Facebook / Meta(フェイスブック / メタ)が数年にわたり英国でソーシャルネットワークでの支配力を乱用していたとして、強力な訴訟ファンドの支援を受けた競争法の専門家が、同社に対し競争法違反で数十億ドルの集団訴訟を起こす。原告側が勝訴すれば、Facebookは31億ドル(約3520億円)の損害賠償金を英国ユーザーに支払わなければならなくなる。

集団訴訟は、Facebookの親会社であるMetaを相手取っていて、現地時間1月12日にロンドンにある英国の競争審判所に訴状が提出された。

この訴訟では、4400万人の英国のユーザーが2015年から2019年の間にデータを搾取され、Facebookはそうしたユーザーに賠償金を支払うべきだと主張するという異例のアプローチを取っている。Facebookの支配により、事実上、他に実行可能なソーシャルプラットフォームがなかったユーザーの個人データやプライベートデータをFacebookはすべて奪い、その見返りとしてユーザーが得たのは、実質的に友人や家族に赤ちゃんや子猫の写真を投稿できることだけだったと主張している。

ライザ・ロブダール・ゴームセン博士

この訴訟は、国際競争法の専門家であるLiza Lovdahl Gormsen(ライザ・ロブダール・ゴームセン)博士(写真上)が主導している。ロブダール・ゴームセン氏は、Facebookの市場支配について英国議会で意見を述べ、それに関する法的な学術論文も執筆した。

ロブダール・ゴームセン氏の訴えは、Facebook(最近Metaに社名変更した)が英国のFacebookユーザーに対して「不当な価格」を設定したという考えに基づいている。

Facebookにアクセスを許可するために設定された「価格」は、英国ユーザーの非常に貴重な個人データの放棄であり、その見返りとして、Facebookが巨額の収益を上げる一方で、ユーザーは単にFacebookのソーシャルネットワークプラットフォームへの「無料」アクセスを得ただけで、金銭的補償はなかった。

この主張で重要なのは、Facebookがユーザーのデータを自社プラットフォームに閉じ込めることによってだけでなく、Facebookピクセルで他のウェブサイトでもユーザー追跡し、ユーザーに関する深い「ソーシャルグラフ」データを生成することによって英国ユーザーを「囲い込んだ」ということだ。

ユーザープロフィールがCambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルのような論争の中で何度も再浮上し、その市場利用を実証したことがロブダール・ゴームセン氏の主張を支えている。

ロブダール・ゴームセン氏の弁護士であるQuinn Emanuel Urquhart & Sullivan(クイン・エマニュエル・アークハート&サリバン)法律事務所は、Metaに書面でこの主張を通知している。ロブダール・ゴームセン氏は、影響を受ける人々、すなわち2015年10月1日から2019年12月31日の間に少なくとも1回はFacebookを利用した英国に居住するすべての人の代表を務める。

この「オプトアウト」集団訴訟は、Metaに対するこの種のものとしてはイングランドおよびウェールズでは初だ。オプトアウト訴訟であるため、Facebookの400万人の英国ユーザーは、損害賠償を求めるために積極的に訴訟に参加する必要はなく、訴訟からオプトアウトすることを選ばない限り、訴訟に加わることになる。

この訴訟に対する資金援助は、世界最大の訴訟資金提供者の1つであるInsworth(インスワース)が行っている。Quinn EmanuelとInnsworthは、過去にこの種の消費者集団訴訟を起こした実績がある。

Metaに関してはより広い背景があり、同社は米国での消費者集団訴訟、世界中での規制措置にも直面している。米連邦取引委員会(FTC)が起こした反トラスト訴訟ではInstagram(インスタグラム)とWhatsApp(ワッツアップ)のプラットフォームから分離される可能性がある。

ロブダール・ゴームセン氏は声明の中で、次のように述べている。「登場してからの17年で、Facebookは英国で友人や家族と確実に1カ所でつながることができる唯一のソーシャルネットワークとなりました。しかし、Facebookには暗い面がありました。市場支配力を乱用し、英国の人々に不当な利用規約を課し、個人情報を搾取していました。私は、Facebookにデータを搾取された4400万人の英国人のために、数十億ポンド(数千億円)の損害賠償を確保すべく、この裁判を起こします」。

筆者はロブダール・ゴームセン氏と電話で話したが、その際、Twitter(ツイッター)やMyspace(マイスペース)のような他のソーシャルネットワークが利用可能だったとFacebookは主張することができるかどうか尋ねた。

「TwitterやSnapchat(スナップチャット)などでは、人々は家族や友人と同じようにつながることができないと思います。Facebookはかなりユニークなやり方をしています」。

今回の訴訟は、Facebookピクセルが他のウェブサイトにも遍在していることにも基づいている。それがこの訴訟でどのような意味を持つのか、筆者は尋ねた。

「自分がFacebookのユーザーだと想像してください。自分のデータがFacebook.comで利用されることは承知しているかもしれません。しかし、ピクセルは、あなたがサードパーティのウェブサイトを利用するときに意味を持ちます。そのサードパーティのウェブサイトはもちろんFacebookとは何の関係もありません。つまり、Facebookは、あなたが実際にサインアップしたという以上に、ずっとたくさんのあなたのデータポイントを作り出しているのです」とロブダール・ゴームセン氏は述べた。

ユーザーは設定の奥深いところでFacebookのプラットフォームから自分自身を削除することは可能だが、実際には、ユーザーの大多数は削除方法がわからず、それが可能であることさえ知らない、と同氏は主張している。

ロブダール・ゴームセン氏は、英国国際比較法研究所(BIICL)の上級研究員、競争法フォーラムのディレクター、国際競争ネットワークの非政府顧問、Journal of Antitrust Enforcement(OUP)の諮問委員会の委員を務めている。

TechCrunchはFacebookにコメントを求めたが、記事公開時点では回答はなかった。

画像クレジット:Dr Liza Lovdahl Gormsen

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

コトバデザイン、5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを活用した低遅延通話サービスCOTOBA Talkの招待制試験開始

コトバデザイン、5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを活用した低遅延通話サービスCOTOBA Talkの招待制試験開始

対話型AIの開発を行うコトバデザインは1月13日、NTTドコモの提供する5Gサービスおよびドコモオープンイノベーションクラウドを活用した「超」低遅延通話サービス「COTOBA Talk」の招待制試験サービスのエントリー受付開始を発表した。COTOBA Talk紹介サイトよりエントリーできる。

同招待制試験サービスにより得られたフィードバックを基に、通話体験のさらなる向上と作業現場で求められる機能拡張を進める。特に音声アシスタントを中心とする音声によるVUI(Voice User Interface)の高度化により、ハンズフリー通話およびITシステム利用の充実を図り、商用サービス化を加速する。

COTOBA Talkは、PC操作環境が得られないデスクレスワーカー向けに作られた、低遅延・高品質で安全なコミュニケーションを実現するクラウド型通話サービス。スマートフォンアプリとして提供しており、ヘッドセットを使用すれば複数人で映像付きのハンズフリー通話が可能となる。

 

特徴としては、まず5Gの高速通信と通話処理の最適化により200msを切る低遅延通話の実現がある。またドコモ5G網とドコモイノベーションクラウドに閉じた形のサービスとなっているため、インターネット経由の通話よりも高いセキュリティを保てる。さらに、音声指示を理解する音声アシスタントを搭載していることから、様々な外部ITシステムの音声操作が可能にになっており、端末(スマートフォン)を取り出す必要をなくしているという。この音声アシスタントは、コトバデザインが開発した、対話インターフェースを構築・運用するためのクラウドサービス「COTOBA Agent」を利用して実装している。

コトバデザイン、5Gとドコモオープンイノベーションクラウドを活用した低遅延通話サービスCOTOBA Talkの招待制試験開始

COTOBA Talk サービス構成

 

利用シーンとしては、工事・小売店舗・介護など複数人で連携して作業を行う現場を想定。COTOBA Talkでは、各端末のカメラ映像付きで低遅延通話が行えるため、現場の映像を共有しながら快適に利用できるとしている。特に、骨伝導型ヘッドセットを装着すると、周囲音を遮断せず、騒音環境でもクリアな音声で通話できるようになり、長時間の使用にもストレスがないとしている。

2017年8月設立のコトバデザインは、「ヒトに寄りそう、 対話インタフェースの創造と解放」をミッションとして掲げるスタートアップ。世界中のクリエイターがAIを対話インタフェースとして自由にコンテンツ開発できる世界を作ること、またヒトが対話インタフェースを通じてより豊かな生活が可能となることを目指して、対話システムおよびコンテンツの企画・開発・販売・運用を主事業としている。

SNSを情報解析し事故・災害情報をリアルタイム配信するスペクティが「Yahoo!防災速報」アプリと連携開始

Spectee(スペクティ)は1月11日、Yahoo!JAPANが配信するアプリ「Yahoo!防災速報」(Android版iOS版)と連携を強化しSNSより解析された災害情報の提供開始を発表した。

2021年2月よりSpecteeは、「Yahoo!リアルタイム検索」(スマートフォンウェブ版)において、SNSに投稿された災害状況を表示する機能を提供。スマホで同サイトにアクセスした際に表示されるスマートフォンウェブ版の「事故・災害」タブでは、スペクティが収集・解析したツイートを表示しており、これらの位置情報については動画・画像・投稿内容やその他の情報を基に付加している。

今回はその連携をさらに強化し、「Yahoo!防災速報」内のユーザー同士が災害状況を共有できる「災害マップ」上において、「Yahoo!リアルタイム検索」から位置情報を取得できる気象災害に関する投稿のみを抽出し情報を表示する。

この「災害マップ」では、災状況を取材する報道機関や被災地で防災・救助活動を行うNPOと防災士による情報も閲覧可能となっており、自治体や気象庁などの公的機関から発信される情報とあわせて参照することで、ユーザーの防災行動を支援する。

SNSを情報解析し事故・災害情報をリアルタイム配信するスペクティが「Yahoo!防災速報」アプリとの連携開始

機能の特徴としては、写真や動画付きのSNS投稿を表示し、災害状況を視覚的に理解できるようにした点が挙げられる。台風や大雨といった風水害、地震や大雪など様々な災害の状況が確認可能になったうえ、投稿内容がどの地点のものなのかがわかるようマップ上で表示できるようにし、正確な災害発生地点の把握が行える。

Specteeは、「最先端の情報解析技術で、世界のあらゆる『危機』から人々を守る。」をミッションとして掲げており、災害や緊急時の被害を減らすため、AIを活用して被害状況をリアルタイムに可視化し予測する防災・危機管理ソリューション「Spectee Pro」を提供している。2021年12月末時点で、全国600社の企業や100以上の自治体や官公庁に導入されており、防災や企業のBCP、交通の安全、店舗管理、物流やサプライチェーンのリスク管理などに活用されているという。

データ分析企業Databricksが同社初の業界特化型レイクハウスを発表

クラウドインフラストラクチャのプロジェクトがどんどん複雑になっている中で、特定の業界に向けてあらかじめパッケージ化したソリューションを提供することが業界のトレンドとなっている。米国時間1月13日、潤沢な資金を持つデータ分析企業のDatabricksが、同社初の業界特化ソリューション「Lakehouse for Retail」を発表してこのトレンドに参戦した。同社は小売業者に対し、これまでの分析ツールやDatabricksのAIツールによって生成される膨大な量のデータから価値を抽出するのに役立つ、完全に統合されたプラットフォームを提供するとしている。

Databricksの共同創業者でCEOのAli Ghodsi(アリ・ゴディシ)氏は「これは我々のジャーニーにおける重要なマイルストーンで、企業がリアルタイムで事業を運営し、より正確に分析し、顧客のすべてのデータを活用して有意義なインサイトを明らかにするものです。Lakehouse for Retailは小売業における企業やパートナー間でのデータドリブンのコラボレーションと共有を推進します」と述べている。

このプラットフォームを早期に利用している企業には、Walgreens、Columbia、H&Mグループなどがある。これらのユーザー企業はDatabricksのプラットフォーム全般を利用できるが、特に重要なものとしてLakehouse for RetailのSolution Acceleratorsがある。Solution Acceleratorsは、Databricksが「データ分析と機械学習のユースケースとベストプラクティスに関するブループリント」と呼んでいるもので、うまくいけば新規ユーザーが開発にかかる時間を何カ月も節約できる。これには、リアルタイムストリーミングのデータインジェストのテンプレート、需要予測、レコメンデーションのエンジン、顧客のライフタイムバリューを測定するツールが含まれる。なおDatabricksには以前にも同様のブループリントがあったが、Databricksが統合ソリューションとして提供していたわけではなく、利用者が自分たちで構成しなくてはならなかった。

Walgreensの医薬・ヘルスケアプラットフォームテクノロジー担当バイスプレジデントであるLuigi Guadagno(ルイージ・グアダーニョ)氏は次のように述べている。「Walgreensでは毎年、膨大な数の処方箋を処理しています。DatabricksのLakehouse for Retailを利用することで、このすべてのデータを一元化し、1カ所で保管して分析や機械学習のワークロードをフル活用できます。複雑さやコストのかかる旧式のデータサイロを廃することにより、インテリジェントで一元化されたデータプラットフォームでクロスドメインのコラボレーションが可能となり、柔軟に適応し、スケールし、お客様や患者様により良いサービスを提供できるようになりました」。

ここ数年、Databricksは「レイクハウス」の概念を普及させようとしてきた。その概念とは、分析のためのデータウェアハウスと、まだ活用されていない膨大な生データを保管するデータレイクの利点を組み合わせるということだ。

画像クレジット:Boy_Anupong / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

Metaが実験的出会い系動画サービス「Sparked」を閉鎖

Meta(メタ)は、2021年以降、テストを続けてきたビデオを使ったスピードデーティングアプリを終了することを、同サービスのユーザーにメールで伝えた。2021年4月、当時Facebook(フェイスブック)と呼ばれていた同社は、新しいデーティング(出会い)サービス「Sparked」をテストしていることを正式に認めた。同サービスは社内の新製品開発チームであるNPEチームが開発した。ユーザーが相手のプロフィールをスワイプして相手を見つける近年のデーティングアプリと異なり、Sparkedの狙いは、1対1のスピードデーティングによる意外な発見をオンラインサービスにもたらすことだった。

Sparkedでは、デート希望者はあらかじめ決められたイベント中に自身の地域内の人たちと、短時間の「ビデオデート」を繰り返していく。開発チームはシカゴをはじめとする選ばれた地域でサービスをテストした他、1年を通じて何回かの「グローバル」デートナイトや、LGBTQユーザーや特定の年齢グループなどの層に特化したイベントを開催した。

画像クレジット:Meta

Sparkedのユーザーは、まず4分間の短いビデオデートでおしゃべりをして、うまくいけばその後10分間のデートができる。デート希望者は自分の電話番号、メールアドレス、Instagramアカウントなどの連絡先情報を相手に伝えることもできる。

Metaは当時Sparkedについて、ビデオデーティングがどのようなものになるかを評価するための「小規模な社外ベータ」テストだと説明していた。

しかし、2021年夏Sparkedは、ビデオチャットをともなわない別の種類のオンラインデーティングを実験し始めた。オーディオデーティングだ。何回かの「オーディオオンリー」のデートナイトを開催し、そこではユーザーは互いにおしゃべりできるが、ビデオには現れない。偶然ではなく、そのすぐあとFacebookの主要なデーティングサービスである、Facebook Dating(フェイスブックデーティング)も、Audio Dates(オーディオデート)という新機能を公開し、同じように出会った相手とオーディオチャットする仕組みを提供した。

そして今、Sparkedは店じまいしようとしている。同社はテスト参加者宛のメールで、サービスは2022年1月20日に終了することを告げた。

「私たちは2020年の終わりに、みんなが善意に基づく体験を通じて好きな相手を見つける方法の1つとしてSparkedの開発を始めました。以来、みなさんからの絶え間ない助言とフィードバックのおかげで、多くのことを学び、改善し、人と人との繋がりを作ってきました」とメールに書かれている。「多くの優れたアイデアがそうであるように、成功するものもあれば、Sparkedのように、終わらなくてはならないものもあります。

このメールは、Sparkedが「成功」した「多くの優れたアイデア」に入らなかったことを示唆しているようにみえる。

Metaの広報担当者にコメントを求めたところ、Sparkedユーザーにメールで伝えた以上に追加することはないという返事だった。

同社はユーザーに対して、閉鎖される前にSparkedのウェブサイトから各自の情報をダウンロードする方法を提供している。1月20日以降は、全ユーザーのアカウントが削除される。

Metaがこの実験を中止することに驚きはない。NPEチームのプロジェクトの中で、スタンドアロンアプリとしてMetaで永住の地を得たものはほとんどない。これまでに実施してきた中途半端なテストの数々には、通話アプリミームメーカーの他、TikTok(ティックトック)や Twitter(ツイッター)、Clubhouse(クラブハウス)といった人気ソーシャルアプリの類似品もあった。現在、米国App Storeで今も生きているNPEプロジェクトは3つだけ、ラップミュージックに特化したTikTokライクなアプリ、BARS(バーズ)、協力して音楽を作るアプリ、Collab(コラボ)、およびカップル向けアプリのTuned(テューンド)だ。

ちなみに、Facebookによるさまざまなデーティングの取り組みは、先行サービスと比べて成功しているとはいえない。The Verge(ザ・バージ)が2021年春に行ったMetaのFacebook Datingアプリ広告の分析を見ると、Facebookは数百万人のユーザーをさまざまな都市でFacebook Datingユーザーへと転換させることに苦闘している、Facebookアプリ内で直接利用できる機能であるにもかかわらず。

そしてこれに関してMetaはパンデミックのせいにすることはできない。トップクラスのデーティング・アプリは、パンデミック中に人々がバーチャル・デーティングを活用したことで利用が急増し、2021年にもそれが続いた

Facebookは自社のFacebook Datingサービスについて数値を公表しておらず、Facebookアプリの組み込み機能であることから、他の方法で利用状況を知ることはできない。

継続的投資のハードルを越えられなかったに違いないことに加えて、会社が消費者向けの新たなソーシャル体験だけでなく、新興市場にもっと力を入れていく方針を進める中、SparkedはNPEチームの新たなビジョンと必ずしも一致していない。

NPEグループはナイジェリアのラゴスにオフィスを作り、アジアにも人員を配置している。さらに同グループは、小規模な起業家たちにシード・ステージ投資を行うなど新しいアイデアを外部に求めようとしていることを最近発表した

画像クレジット:Sparked

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

有名アスリートと一緒にトレーニングできるアプリ「Masters」

Mastersアプリのアスリートたち(画像クレジット:Masters)

2022年の現在は、スマートフォンのアプリの中でレッスンを受けて有酸素運動をしたり、筋肉を鍛えたりするアプリが実にたくさんある。(IPOした)Peloton(ペロトン)のようなプラットフォームの成功はよく知られているが、もちろん、900万ポンド(約14億円)を調達したFiiT(フィット)や、990万ドル(約11億3000万円)を調達したFitplan(フィットプラン)などの新興企業もある。加えて、コーチが自分でコースを作成するMoxie(モクシー)もある。しかし、いまだにあまり開拓が進んでいないのが、セレブリティフィットネスのクラスだ。MasterClass(マスタークラス)は、ハイアートの分野ではほぼ市場を掌握しているが、セレブリティフィットネスは相対的に未踏の分野である。もちろん、有名人が自分のフィットネスアプリを作ることはあるが、その魅力は限られており、有名人にとっては副業に過ぎない。

しかし今、2021年にベータ版を公開した新しいスタートアップ企業が、エリートアスリートから筆者のような凡人がトレーニングを受けられるプラットフォームになることを目指している。

Masters(マスターズ)」は、ユーザーが世界で最も有名なアスリートたちと一緒にトレーニングを行い、4週間のガイド付きオンデマンド・トレーニング・プログラムを通じて、彼らの仕事の秘訣を学ぶことができるアプリだ。

このスタートアップ企業は先日、シードラウンドで270万ドル(約3億900万円)の資金を調達した。このラウンドはKing.com(キング・ドットコム)創業者のファンドであるSweet Capital(スイート・キャピタル)が主導し、Mucker Capital(ムッカー・キャピタル)、Goodwater Capital(グッドウォーター・キャピタル)、Luxor Capital(ラクサー・キャピタル)が参加した他、Shaun White(ショーン・ホワイト)選手、Bam Adebayo(バム・アデバヨ)選手、Kai Lenny(カイ・レニー)選手、A’ja Wilson(エイジャ・ウィルソン)選手などのアスリートや、Anton Gauffin(アントン・ガウフィン)氏、Jakob Joenck(ヤコブ・ヨーンク)氏、Henrik Kraft(ヘンリク・クラフト)氏、Greg Tseng(グレッグ・ツェン)氏、Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏、Hank Vigil(ハンク・ヴィジル)氏、Janis Zech(ジャニス・ツェッヒ)氏、Andreas Mihalovits(アンドレアス・ミハロビッツ)氏などのプロフェッショナル技術系エンジェル投資家もエンジェルキャッシュを投じた。

同社はすでに何人もの世界的に有名なアスリートと契約を結んでいる。例えば、X GAMES(エックスゲームズ)と3度のオリンピックに出場したスノーボードチャンピオンのショーン・ホワイト選手、3000メートル障害の世界チャンピオンで9度の全米チャンピオンであるEmma Coburn(エマ・コバーン)選手、サーフィンの世界チャンピオンであるカイ・レニー選手、サッカー界のスーパースターでゴールデンボールを獲得したAda Hegerberg(エイダ・ヘガーバーグ)選手、ウィンブルドンで2度の優勝を果たしたテニスチャンピオンのPetra Kvitova(ペトラ・クビトバ)選手などだ。

MastersのCEO兼共同設立者であるGreg Drach(グレッグ・ドラック)氏は次のように述べている。「学習の将来性とは『最高の人から学ぶ』ことであり、同じようにトレーニングの将来性は『最高の人と一緒にトレーニングする』ことです。優秀なトレーナーが指導する対面式のグループエクササイズクラスに10人が参加できるなら、オリンピックメダリストやNBAレジェンドが指導するバーチャルクラスには1000人、1万人が参加できるはずです。私たちの目標は、そんな勝利の方法を、誰もが取り入れることができる実践的なプログラムに変換することです」。

Mastersアプリ 画像クレジット:Masters

Mastersは現在、iOSアプリとして配信されている。各コースはコホートベースで、同じ道のりを歩む同輩と一緒に参加することになる。レッスンは高品質の動画で提供される。

このスタートアップ企業は、都市型ランニングコミュニティ「Midnight Runners(ミッドナイト・ランナーズ)」創業者のグレッグ・ドラック氏とChristian Dorffer(クリスチャン・ドーファー)氏、そして2020年にReddit(レディット)に買収されて2021年廃止された動画共有アプリ「Dubsmash(ダブスマッシュ)」の元CTO / 共同創業者だったDaniel Taschik(ダニエル・タシク)によって2021年に設立された。

Sweet CapitalのRiccardo Zacconi(リカルド・ザッコーニ)氏は次のようにコメントしている。「私はいつも、最高のプロスポーツ選手がトップに立つためにどんなことをやっているのかを知りたいと思っていました。例えば、彼らは実際にジムに行って何をしているのか?Mastersは、彼らのルーティンを、誰にでもできる具体的なプログラムに落とし込むことに成功し、多くの人の心に強く訴えたのです」。

Mastersが今回のラウンドで調達した資金は、新たなアスリートとの契約、Androidアプリの立ち上げ、製品の改良のために使われる予定だ。

ドーファー氏は筆者にこう語った。「人々は、テレビやソーシャルメディア、印刷物、オーディオブックなどで、スポーツ界のアイドルを追いかけるのが好きです。Mastersはまったく新しい出版フォーマットであり、私たちはこれを『インタラクティブ・トレーニング・ドキュメンタリー』と呼んでいます。私たちは、このプレミアムな教育フォーマットこそが未来であり、従来の悠長に構えたビデオフォーマットは競争に苦戦することになると信じています」。

 

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)