Apple Musicはコンサートのストリーミングを強化する

音楽ストリーミングアプリは差別化に苦労している。その中でApple(アップル)は米国時間12月4日の夜、本社にあるSteve Jobs Theater(スティーブ・ジョブズ・シアター)で開催される、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)の大規模なショーを使い、コンサートビデオを戦略の中心にしようとしている(訳注:コンサートはすでに終了しており、現在はオンデマンドで視聴できる)。このApple Music Awardsコンサートは、ライブストリーミングが行われた後、Apple Musicの6000万人の加入者に、オンデマンドでストリーミングされる。アップルは近い将来にも、こうしたストリーミングコンサートをもっと開催したいと考えている。

単なるコンサートのストリーミングを超えて、アップルはアートやアーティストの味方としての認知を強化しようとしている。Apple Musicは、iPhoneメーカーの巨大な収益のほんの一部に過ぎないため、Spotify のようなミュージシャンの成功に寄り添っている(と考える人がいる)、音楽専業のライバルと比較したときに、必要以上にビジネスライクで資本主義的なもののように見られる可能性もある。

真剣なリスナーによるチャンネル登録者数を増やし、クリエイターの信頼を勝ち取るには、Apple Musicは、単により多くのアップルハードウェアを販売するようにデザインされているように見られるわけにはいかない。そこで今夜、同社はアーティストたちへの敬意を示し、最初のApple Music Awardsをお披露目したいと考えたのだ。ビリー・アイリッシュはアーティスト・オブ・ザ・イヤーと、彼女の兄であるフィネアス・オコネルとともにソングライター・オブ・ザ・イヤーを獲得した。一方リゾ(Lizzo)はブレイクスルー・アーティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞した。さらに、Apple Musicのストリーミングカウントに基づいて、アイリッシュの「When We All Fall Asleep, Where Do We Go?」がアルバム・オブ・ザ・イヤーを受賞し、Lil Nas X(リル・ナス・X)の「Old Town Road」がソング・オブ・ザ・イヤーとなった。

賞のトロフィー自身が特別に加工されたアップルの作品であり、WWDCでガジェットを作成するロボットのビデオで見られるような、非常に凝ったデザインのものだ。ナノメートル精度の平らなシリコンウエハーの単一の12インチディスクから加工されるが、これはAppleのiPhoneを駆動しているものと同じ種類のものだ。銅の層には紫外線リソグラフィーでパターンが刻まれ、ウェーハ上の数十億個のトランジスタ間をエッチングで接続する。その後、何百個ものチップに切断され、数カ月をかけてガラスと酸化皮膜で覆われたアルミニウムの間に吊るされた反射するトロフィーが作成される。一風変わったコレクターアイテムになることを予想させるものとして、それぞれの賞にはしっかりと設置するためのアップル特製の水準器が付属している。

受賞者とその仲間のアーティストたちが、アップルが音楽を本当に気にしているという認識とともに会場を去ることを期待しているように思われる。それに加えて、Apple Musicの規模は、アーティストたちに、このストリーミングサービスで曲へのリンクをより多く共有し、競合するリスニングアプリよりも優先してプロファイルを紹介したい気持ちにさせる役に立つだろう。

コンサート方面に関して言えば同社は2007年に、年次開催のApple Music Festival(以前はiTunes Festivalと)を開始した。しかし、10年目の2017年に、ブリトニー・スピアーズ、エルトン・ジョン、そしてチャンス・ザ・ラッパーのライブを大々的にストリーミングしたあと、アップルはイベントを中止していた。Apple Musicは昨年、専用のMusic Videosタブを追加したが、最近はいくつかのイベント(テイラー、ザ・クリエイター、ショーン・メンデス)以外でのコンサートストリーミングは実施しなかった。これらのコンサートビデオは、Apple Music内で見つけるのが難しいものもある。

しかし、今回の取り組みはアップルにとって大きなチャンスでもある。音楽ストリーミングサービス全体を眺めると、カタログはより似通ったものになり、誰もがお互いのパーソナライズされたプレイリストと発見メカニズムをコピーし合い、多くがラジオとポッドキャストを取り込んでいる。一方、数年前と比較して、ストリーム限定音楽やアーティストに対する包括的な支払いはそれほど流行っていない。音楽カタログの断片化はリスナーに対して不便を強いることになり、大量配信に失敗したアーティストにとって有害である可能性がある。そして複数の冗長なストリーミングサービスにお金を払いたくないアーティストファンからの反発を招く可能性がある。

その点、通常はカメラ付き携帯電話の揺れる画像としてしか見ることができないストリーミングコンサートビデオは、音楽のエコシステムに対する新しい追加要素と感じられる。もしプラットフォームがビデオの撮影と制作にお金を払う意思がある場合、プラットフォームのための強力な差別化要因となり得る。そして、今夜アップル本社で行われたビリー・アイリッシュの木で覆われたステージのように、記録されたショーが普通見られるツアーとは異なっている場合には、ファンを画面の前に釘付けにすることができる。単に一般的なアプリで音楽を聴くことに比べて、ビデオ視聴はショーを放送する会社への親しみを深める可能性がある。

Spotifyのような。コンサートビデオの面ではまだほとんど何もしていない競合他社に比べると、アップルはすでに先を行っている。今夜のような番組をさらにストリーミングすることで、Apple Musicは、従来の音楽ストリーミングにさまざまなレア動画やミュージックビデオ、およびCoachellaなどのストリーミングコンサートを統合しているYouTube Musicの、良きライバルになるだろう。幸運なことに同社は、世界中に小売店とオフィスを持っているため、より多くのショーの開催と記録のための移動の労力を減らすことが可能だ。

これまでのところ、Apple Musicはその成長を、同社の携帯電話、タブレット、コンピューターへの事前インストールに加えて、無料トライアルシステムに頼って来た。しかし、もしそれが業界のコンテンツ提供に欠けている部分を見つけて、その潤沢な資金を活用してプレミアムビデオに投資し、アーティストの役に立つことを示すことができたなら、Apple Musicはアップル自身から独立した、より多くの信頼を集めるブランドを構築することができるだろう。

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(翻訳:sako)

3行広告のCraigslistに公式アプリがついに登場

派手なウェブサイトやサービスが現れては消える中、Craingslist(クレイグズリスト)は持ちこたえている。そしてこのたび、最大の欠点のひとつが解消された。公式アプリの登場だ。現在iOS版Androidのベータ版が公開されている。アプリはCraigslistを地で行く体験を提供する。便利で飾り気がなく匿名だ。

このアプリについては、ウェブサイトを忠実に再現していること以上特に言うべきことはない。カラースキームも同じだ。すべてのカテゴリーの投稿を閲覧、検索できる。お気に入りに追加したり、検索を保存したり、結果の表示方法を変えることもできる。カテゴリーごとに適切な設定がなされているので、車を探すと走行距離や年式などが表示される。

アカウントがなくても掲示を閲覧したり売り手に連絡することが可能で、連絡方法がすべてポップアップするので、メール、ショートメッセージ、電話のいずれも簡単に利用できる。

もちろんウェブサイトもこれまでどおり利用可能で、こちらを好む人もいるだろう。しかし、ネイティブアプリがあるのはいいことだ。実用本位なサービスの人気に乗じたイミテーションCraiglistアプリを阻止するだけでも価値がある。

Craiglistアプリは12月3日に公開されたばかりだが、すでにチャートを上昇している。今すぐ入手して無料の家具を探そう!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramがようやく13歳未満の年齢確認を開始

Instagramはユーザーの年齢を見て見ぬ振りをするのをやめた。開始から9年、Instagramはついに、未成年の子供たちをソーシャルメディアの問題から守る責任を真剣に捉え始めた。 これからは新規ユーザーに生年月日を入力させ、13歳未満のユーザーは登録させない。ただし既存ユーザーには年齢を尋ねないので、Instagramは既存メンバー10億人の中にいる未成年の子供については目をつぶることになる。

今後Instagramは、年齢情報を利用して低年齢ユーザーに対して新たなプライバシー制御などの設定に関する教育を行う予定だ。さらに、自分がフォローしている相手だけがメッセージを送ったり、グループに追加したり、ストーリーに返信できるようにするオプションも追加する。

米国時間12月3日、TechCrunchはInstagramについての意見記事を書いた。これは、モバイル研究者のJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏が、Instagramの年齢確認機能のプロトタイプを発見した後、Instagramが何もコメントしなかったことを受けてのことだった。ウォン氏が見つけたコードによると、Instagramは生年月日を非公開のままにし、アカウントをリンクした場合にはFacebookプロフィールと同期する。

関連記事:Instagram still doesn’t age-check kids. That must change.

Instagramは未成年のユーザーを保護することに関して大きく遅れをとっている。同サービスはユーザーの年齢を無視することで、13歳未満の子供から個人情報を収集することを禁止する「児童オンラインプライバシー保護法」(COPPA)違反の罰金4万ドルを回避してきた。「生年月日を尋ねることで未成年がInstagramに登録することを防ぎ、低年齢ユーザーの安全を確保し、年齢に適した体験を提供できるようになる」とInstagramは説明している。

すでにFacebook、Snapchat、TikTokの各サービスは登録手続の最初に生年月日を入力させている。TikTokは、COPPAに違反してFTC(連邦取引委員会)から570万ドルの罰金を課された後、アプリに子供たちがビデオ見ることはできるが投稿もコメントもできない別セクションを作った。

ここまで長い時間がかかったことについてInstagram広報はTechCrunchに、「我々は歴史的にユーザーの年齢を尋ねてこなかった。これはInstagramを誰もが年齢を問わず自らを表現できる場にしたかったからだ」と語った。ずいぶんと薄っぺらい言い訳に聞こえる。

年齢確認の実施はInstagramにとってまずはよいスタートだと言える。しかし彼らは、ユーザーの入力した年齢を検証し、年齢に達しない少年少女がアプリを通じて見知らぬ相手と接触するのを防ぐ方法をさらに考えるべきだ。業界標準への準拠は最低限の責任を果たすことにはなる。しかし、若いユーザーにこれほどアピールし、これほど繊細なデータを扱うアプリとしては、多数派に従うのではなく、率先して安全を守るべきだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Redditの今年の月間アクティブユーザーは4億3000万人

米国時間12月4日の朝に発表された今年のまとめで、米国のニュースサイトであるReddit(レディット)はユーザーベースが30%増え、10月末時点で月間アクティブユーザー数が4億3000万人に達したことを明らかにした。1億9900万件の投稿、17億件のコメント、320億のアップボート(賛成)があった。

昨年Redditは月間アクティブユーザー数が3億3000万人だったと発表していた。この数字はTwitter(ツイッター)よりも多い。毎月のコメントや閲覧の数も年間ベースで増えていて、コメントは37%増、閲覧は54%増だった。

今年最もアップボートを集めた投稿は、中国のTencent(テンセント)がリードするRedditの資金調達だった。2月に行われたこの資金調達(シリーズD)で、Redditは3億ドル(約326億円)を調達し、バリュエーションは30億ドル(約3260億円)になった。中国の検閲によってRedditのサイトは中国では禁止されている画像であふれているが、ユーザーは当時、Tencentの投資が中国の検閲につながることを懸念した。そうした禁止されている画像の1つが「天安門広場の戦車男」で、この画像はアップボート最多の投稿となり、22万8000ものアップボートを集めた。一方、最もアップボートがついたAMA (Ask Me Anything)投稿はBill Gates(ビル・ゲイツ)氏のもので11万件を集めた。

Redditはまた、10万を超えるアクティブなコミュニティにおけるトレンドにも言及した。ここには、前年比63%増となったビューティーのコミュニティ、そして同52%増となったスタイルのコミュニティが含まれる。こうした成長はある程度ブロガーのビューティー争いによるものだ。例えば、r/beautyguruchatterコミュニティは前年比87%増となった。Redditによると、r/skincareaddictionコミュニティはこの種のコミュニティで最も人気で購読者は100万人を超える

結婚式にフォーカスしたコミュニティでも成長が見られ、r/weddingsunder10kは同109%増、r/bridezillasは同852%増となった。家族とペアレンティングのコミュニティは同87%増だった。上位50位のフードコミュニティは前年に比べ35%成長し、スピリッツにフォーカスしたいくつかのコミュニティも成長した。r/tequilaは99%増、r/whiskeyは52%増、r/vodkaは44%増、r/bourbonは27%増、r/winemakingは16%増といった具合だ。フィットネスとウェルネスの上位50位のコミュニティは30%成長した。

ニュースもまた今年フォーカスされ、上位50位のニュースコミュニティは前年に比べ17%成長した。タイムリーな記事に多くの人がアクセスできるようにするため、Redditは2018年に初めて「ニュース」タブを設けた。成長しているところをみると、Redditの狙いどおりにいったようだ。今年のトップ記事にはRobert Mueller(ロバート・モラー)氏の公聴会、現在展開されている弾劾調査、香港の抗議活動、気候変動などがあり、r/politicsも昨年に引き続き入っている。

そのほか、上位50位のエンターテイメントコミュニティは27%、上位50位のスポーツコミュニティは34%、上位50位のゲーミングコミュニティは42%それぞれ成長した。フルレポートにはより多くのデータや詳細が記載されている。

しかし、Redditが今年のまとめに盛り込まなかったことがある。それは、ページビューと売上高についての具体的な数字だ。eMarketerの予測によると、米国での広告収入は今年1億1900万ドル(約130億円)に達し、米国デジタル広告マーケットでのシェアが0.1%になるとされている。アナリストは、2021年までに広告収入が今年の2倍超の2億6170万ドル(約285億円)に、マーケットシェアが0.2%になると予想する。2019年の売上高の57%がモバイルによるものと見込まれている。

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(翻訳:Mizoguchi)

ベライゾンとAWSが5G Edgeコンピューティングで提携

Qualcomm(クアルコム)が今後数年間の5Gプランを強調し始めたのと同じくして、Verizon(ベライゾン)のCEOことHans Vestberg(ハンス・ベストバーグ)はAWS re:Inventのステージに登壇し、同社のチームがクラウドコンピューティング分野の巨人と協力することについて語った。

ベライゾンは今後、5Gエッジコンピューティングへの注力の一環として、新たに発表されたAWS Wavelengthを最初に利用することになる。同プラットフォームは、開発者が5Gデバイス向けの超低レイテンシのアプリを開発できるように、設計されている。

現在AWS Wavelengthは、FalloutとElder Scrollsの開発元であるNFLやBethesdaを含むいくつかの大手パートナーとともに、シカゴで試験運用されている。具体的なアプリケーションについての詳細はまだ不明だが(当然、リモートゲーミングやライブストリーミングが該当するだろう)、将来的にはスマートカー、IoTデバイス、AR/VRなどでも利用される可能性がある。

AWSのCEOことAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は壇上で、「AWS Wavelengthは5Gネットワークの現場で利用されているのと同じAWS環境(API、管理コンソール、ツール)を提供する」と語った。「米国内のベライゾンの5Gネットワーク拠点を皮切りに、顧客はアプリケーションのレイテンシの影響を受けやすい部分をエッジに配置し、モバイルおよび接続デバイスに1桁ミリ秒の低レイテンシを提供することができる」

ベライゾンのCEOとCNO(最高ネットワーク責任者)のNicki Palmer(ニッキー・パーマー)はハワイにてクアルコムのイベントに参加し、次世代のmmWave(ミリ波)へのアプローチについて語った。この技術は、サービスエリアに関していくつかの疑問が存在する。ベライゾンはBoingoなどのサードパーティーと提携して、この問題にある程度対処してきた。

AWSは年末までに、米国の30都市でサービスを開始する予定だ。なお、現在は18都市にて提供されている。

【Japan編集部注】TechCrunchはVerizonのメディア部門に属している。
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(翻訳:塚本直樹 Twitter

YouTubeが「閉鎖アカウント削除で登録者数減少する」とクリエーターに注意喚起

YouTubeはコンテンツのクリエーターに「チャンネル登録者の数が減少しているかもしれない」と注意喚起した。これは現在YouTubeから閉鎖アカウントを削除しているためだという。

閉鎖アカウント(Closed Account)とは、ユーザーが自発的に返上したアカウントやスパム、虐待など利用約款違反によってYouTubeが停止したアカウントなどだ。

YouTubeはこうした閉鎖アカウントの削除により登録者数が減少するかもしれないとYouTubeヘルプのコミュニティページで通告した。Twitterのニュースフィードやクリエーターツールのダッシュボードにも同様のメッセージがアップされている。

このようなアカウント削除はシステムのメンテナンスの一環として行われるもので、今後もスパムや違法、不当な動画のアップロードを防ぐために実施していくという。ただしこうしたアカウント削除は登録者を減少させ、結果としてクリエーターの収入に影響する可能性がある。

注意:本日、閉鎖アカウントを削除しているので一部のチャンネルでは登録者数が減少するかもしれない。YouTubeのスパムアカウント、閉鎖アカウントの削除の詳細についてはリンク先を参照。

チャンネルのダッシュボードのアナリティクスに「12月3日、4日」の減少として表示された場合、アカウント削除の影響を受けた可能性が高い。削除された閉鎖アカウント数を正確に知りたい場合、クリエーターはアナリティクスの「詳細」メニューから「閉鎖アカウント」(Closed Accounts) に進む。

アカウント削除はクリエーターにとってありがたくない。チャンネルメンバーシップグッズの販売といった重要なマネタイズの仕組にアクセスする資格が登録者数にかかっているからだ。またYPP(YouTube Partner Program)と呼ばれるパートナープログラムに参加するにも登録者数は要因となってくる。登録者数1000人以上というYPPの参加資格ぎりぎりのクリエーターはほんのわずかの登録者減少でも経済的に大打撃を受ける可能性がある。

こうした理由があるため、クリエーターはチャンネル登録者に対してサブスクリプションが有効であるかもう一度確認するよう呼びかけている。つまりこの種のアルゴリズムによる大規模なアカウント削除ではアカウントが削除されることがあると考えているからだ。

クリエーターのソーシャルメディアへの投稿を見ると、削除の影響はチャンネルごとに大きく違うようだ。数人が減少しただけと報告しているクリエーターもいるが、数千の登録者を失ったチャンネルもある。

YouTubeが登録者を削除するのはこれが初めてではない。昨年の12月にもYouTubeは相当数のスパムアカウントを削除中だとクリエーターに警告している。これにより登録者数の大幅ダウンに見舞われたチャンネルも多数出た。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSがUltraWarmティアをAmazon Elasticsearch Service向けに発表

AWSはAmazon Elasticsearch Service向けの新ティア(プラン)を発表した。これは、コスト削減につながる可能性があり、プレビューも公開されている。現在、Amazon Elasticsearch ServiceにはhotとUltraWarmの2つのストレージティアがある。

hotはパフォーマンスを重視する場合に、最も効果的なティアだ。hotではインデックス作成や、データへの高速アクセスが必要なすべての処理に使用できる。

UltraWarmでは最大900TBのストレージが利用でき、既存のオプションと比較して最大90%のコスト削減が可能だ。UltraWarmでは、Amazon Elasticsearch Serviceがデータブロックを調べ、そのブロックが頻繁にアクセスされているかどうかを判断する。アクセス頻度の低いデータはS3に移動され、コスト削減につながる。

興味深いことに、hotとUltraWarmの両方にわたってElasticsearchデータを照会し、表示できる。UltraWarmティアにてに保存されるデータは同じAPIを使用するため、すでに使用しているツールを使用できる。またこれまでのように、保存中および実行中の暗号化、統合されたアラート、SQLクエリーを有効にもできる。

UltraWarmティアではAWS Nitro Systemを利用して、データのキャッシュとクエリを実行する。顧客はアメリカ東部(北バージニア)および西部(オレゴン)地域からプレビューにアクセスできる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Amazon EKS on AWS Fargateが公開された

米国時間12月3日、ラスベガスで開催されているAWS re:Inventカンファレンスで、AWS FargateでEKS(Elastic Kubernetes Service)を利用できるようになったことが発表された。

画像:Ron Miller

EKSは、Amazonが提供するKubernetesのフレーバーだ。Fargateは2017年に公開されたサービスで、基盤インフラストラクチャを気にせずにコンテナアプリケーションを起動できる。

同社はこの新機能について発表するブログで「今日からAmazon EKSを使ってAWS FargateでKubernetesのPodを実行できる。Amazon EKSとFargateにより、Podのためのプロビジョニングやインフラストラクチャの管理は必要なくなり、AWS上でKubernetesベースのアプリケーションを簡単に実行できるようになる」と述べている。

Podは同一のKubernetesクラスタ上で起動されるコンテナの集まりだ。KubernetesではPodを自動で起動できることから、Podを自動で実行させるために必要な基盤インフラストラクチャをプロビジョニングすることにも意味がある。

同社はブログで「AWS Fargateにかかる費用は、Podを実行するのに必要なvCPUとメモリのリソースの分だけだ。これにはPodが要求するリソースと、Podとともに動作するKubernetesのコンポーネントを実行するために必要な少量のメモリが含まれる。Fargateで動作するPodは、既存の価格モデルに従う」と述べている。

つまり開発者は、オーバープロビジョニングを心配する必要はない。Fargateは、その時点でPodが動作するために必要なリソースだけを実行する仕組みになっているからだ。

この機能は同日から、米国東部(バージニア北部)、米国東部(オハイオ)、ヨーロッパ(アイルランド)、アジア太平洋(東京)で公開されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazon Redshiftのクエリを10倍速くするAQUA

米国時間12月3日、AWSのre:InventカンファレンスでCEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は、同社のデータウェアハウスサービスであるAmazon Redshif向けのAQUA(Advanced Query Accelerator)を発表した。ジャシー氏が基調講演で述べたように、データを分析する際にデータウェアハウスをスケールすることは難しい。データウェアハウスやデータレイクが大きくなると、現在の高速ネットワークや高速チップをもってしても、ある時点でデータはネットワークや利用可能なコンピューティングを圧迫し始める。AQUAはこれに対処するためのもので、基本的にはハードウェアアクセラレーションキャッシュであり、クエリのパフォーマンスはクラウドベースのデータウェアハウスのコンピューティングに比べて10倍速くなるという。

同氏は「コンピューティングのためにどれほどのデータがネットワーク上で移動しなくてはならないかを考えてみてほしい。今はこのことが問題になっていない企業でも、生成されるデータの量を考えれば、すぐに問題になるだろう」と述べた。

ジャシー氏は「AQUAは求められるコンピューティングのパワーをストレージレイヤーに直接もたらす。Amazonの標準的なS3サービスの上位にキャッシュが置かれるため、必要な数のノードに必要なだけスケールできる」と説明した。

AWSは、このサービスを実現し、データ圧縮と暗号化をオンザフライで高速化するために、独自の分析プロセッサを設計した。当然、このサービスはRedshiftの現在のバージョンと100%互換性がある。

同日、AWSはさらに、Redshiftの次世代のコンピューティングインスタンス、RA3インスタンスも発表した。48個のvCPU、384ギビバイトのメモリ、最大64テラバイトのストレージを備える。これを利用して最大128インスタンスのクラスタを構築することができる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがロサンゼルスにローカルゾーンを新たに開設

米国時間12月3日、AWSはロサンゼルスにローカルゾーンを新たに開設したと発表した。南カリフォルニアの顧客に高バンド幅、低レイテンシのコンピューティングリソースを提供する目的だ。この地域がエンターテインメント産業の発信地であることは偶然の一致ではない。

画像:franckreporter / Getty Images

AWSのJeff Barr(ジェフ・バー)氏はこの新しいゾーンについて発表するブログの中で、ロサンゼルス近辺で動画処理、ゲーミング、アドテック、機械学習などに関わる企業は、ローカルゾーンを使用することでこれまで以上に地域に近いリソースを使えるようになると述べている。

バー氏は「本日、カリフォルニア州ロサンゼルスにローカルゾーンを開設する。ローカルゾーンは新しいタイプのAWSインフラストラクチャのデプロイメントで、AWSの一部のサービスを特定の地域のごく近くで展開するものだ。このローカルゾーンは、ロサンゼルスをはじめとする南カリフォルニア地域からアクセスするアプリケーションにきわめて低いレイテンシ(1桁のミリ秒)を提供できるよう設計されている」と書いている。

同氏が指摘しているように、ロサンゼルスにはゲーミング、3Dモデリングとレンダリング、リアルタイムのカラーコレクションなどの動画処理、ビデオストリーミング、メディア制作パイプラインなどローカルコンピューティングを必要とする企業がたくさんある。

ロサンゼルスのゾーンは、実際には米国西部(オレゴン)リージョンの一部だ。新しいゾーンを利用したい顧客は、ローカルゾーンのコンソールで選択して申し込む必要がある。費用は別にかかるが、割引プランもある。

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(翻訳:Kaori Koyama)

AWSがウェブベースの機械学習用IDE「SageMaker Studio」を発表

AWSのCEOであるAndy Jassy(アンディ・ジェシー)氏は米国時間12月3日、re:InventカンファレンスでSageMaker Studio発表した。機械学習ワークフローを構築し、トレーニングするためのウェブベースのIDEだ。データサイエンティストが仕事を始めるために必要なものすべて、つまりノートブック、データセット、コード、モデルなどを編成するための手段が含まれている。とにかく始めるために必要な、すべての機械学習ツールと成果のワンストップ・ショップになることを目指したもの。

Studioの中核には、同じプロジェクトに対して作業している他のユーザーと、プロジェクトやフォルダを共有する機能もある。そこには、ノートブックや成果について議論する機能も含まれている。

そうしたモデルもトレーニングする必要があるので、当然ながらこのサービスも、AWSのSageMaker機械学習サービスに統合されている。そのサービスは、ユーザーのニーズに応じて自動的にスケーリングされる。

Studio本体に加えて、Studioに統合されることになるSageMakerの他の多くの部分のアップデートも発表された。そうした機能のほとんどは、Studioの内部で実行されるが、スタンドアロンのツールとして使用することも可能だ。その中には、デバッガ監視ツール、それにAutopilotが含まれる。Autopilotは、ユーザーのデータに基づいて、最適なモデルを自動的に作成してくれるもの。どのような判断によってモデルを構築したかを、詳細に可視化する機能もある。

これに関連してAWSは、SageMaker Notebooksも発表した。これもStudioに統合される。これは、本質的にマネージドサービスとしてのノートブックだ。必要に応じてインスタンスを自動的にプロビジョニングしてくれるため、データサイエンティストが自らプロビジョニングする必要はない。

Studioを利用することで、より広範なデベロッパーにとって、モデルの構築が身近なものになる、というのが理想だ。AWSでは、これをスタックのミドルレイヤーと呼んでいる。機械学習を実践する人が、あまり詳細を掘り下げなくても、実質的なコントロールがしやすいものになることを意図したものだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AWSがスループット保証付きマネージドCassandraサービスをローンチ

米国時間12月3日に開催されたAWS re:InventでAmazonは、AWS上でCassandra(カサンドラ)データベースを管理できる機能を発表した。

このAmazon Managed Apache Cassandra Service(Amazon MCS)と呼ばれるマネージドサービスは、サードパーティのベンダーからではなくCassandraを直接デベロッパーに提供しようとするAWSの意図の現れであり、すでにGrubhub.com、Netflix、Ooyala、Openwave、Reddit、Uberなどさまざまな企業が使っている。

同社によると、Amazon MCSはサーバーレスなので、ユーザーは自分が実際に使うリソースにだけ料金を払い、アプリケーションのトラフィックに応じてスケールアップとダウンは自動的に行われる。アプリケーションは毎秒数千のリクエストに応じられ、そのスループットとストレージに上限はない。IoTにとっては、とびきり魅力的な特性だ。

デベロッパーは、Cassandraの既存のアプリケーションをそのままAWS上で動かせるし、これまで使っていたデベロッパーツールを使える。アプリケーションのアップデートはAmazon MCSのサービステーブル中のエンドポイントを変えるだけだ

データはデフォルトで暗号化されて保存される。暗号化にはAWS Key Management Service(KMS)に保存されている暗号鍵が使われる。同社によると、Amazon MCSAWS Identity and Access Management(IAM)と統合されているので、デベロッパーはテーブルデータの管理やアクセスが容易とのこと。

Amazonによると、同社はCassandraのAPIライブラリにも協力しており、またオープンソースのApache Cassandraプロジェクトにバグフィックスで貢献している。プレビュー期間中はオンデマンドのキャパシティに課金され、一般公開時にはある程度予測できるワークロードに対して一定のスループットを確保・提供する。

今このプロダクトはAmazonの無料ティアに含まれている。企業は、最初の3か月はライトリクエスト3000万、リードリクエスト3000万、ストレージ1GBの無料ティアを使用できる。

画像クレジット: Ron Miller

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AWSのCodeGuruは機械学習を応用してコードレビューを自動化

AWSは米国時間12月3日、コードレビューを自動化する機械学習ベースの新サービスのCodeGuruを発表した。同社内でコードレビューを実施して収集したデータに基づくもの。

デベロッパーは、コードを記述したらプルリクエストにCodeGuruを追加するだけでいい。今のところ、GitHubとCodeCommitをサポートしている。CodeGuruは、Amazon社内のレビューと、約1万件におよぶオープンソースのプロジェクトのレビューから得た知識を利用して問題を見つけ、必要に応じてプルリクエストにコメントする。問題を特定するのは当然として、修正方法を提案するほか、関連するドキュメントへのリンクも示してくれる。

CodeGuruには、AWS自身のベストプラクティスが蓄積されている。一般的な問題に加えて、並行処理に関する問題、リソースの不適切な処理や入力の検証に関する問題も指摘してくれる。

AWSとAmazonのコンシューマー部門は、ここ数年、CodeGuruのプロファイラー部分を利用して、「最も高くつく1行のコード」を見つけてきた。その数年間、同社のアプリケーションが大規模なものになっていく中で、CPUの利用率を325%以上向上させ、コストを36%も削減したチームもあったという。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookは広告による差別への対策を拡大

ACLUや他の公民権団体との今年初めの和解条件に基づき、Facebookは差別的な広告ターゲティングを防ぐための措置を講じてきた。

画像クレジット:Getty Images

具体的には、「住宅、求人、貸付といった米国内の広告は、もはや年齢、性別、郵便番号、あるいは文化的多様性に基づいてターゲティングすることができない」と同社は述べている。また、そうしたカテゴリに関連する、より詳細なターゲティングもできなくなっているという。

米国時間の12月3日、Facebookは、同社の広告製品マーケティング担当副社長のGraham Mudd(グラハム・マッド)氏が「差別を削減し排除するための取り組みにおける次のマイルストーン」と表現したことの内容について発表した。

1つ目は、こうしたルールの適用をFacebook Ad Managerだけでなく、誰かがFacebook上の広告を購入する可能性のある他のすべての場所にも拡げていること。つまり、Ads Managerアプリ、Instagram Promote、Facebook Pages上の広告作成ツール、サードパーティの広告購入ツールが利用するFacebook Marketing APIなどだ。

2つ目に、当初は政治的な虚報に対する懸念に対処するために作成した、検索可能な広告ライブラリを拡大して米国内のユーザーをターゲットにした住宅広告も対象となるようにした。

その結果、もし規制当局や公民権団体、ジャーナリスト、その他だれでも、企業が実際にどのようにFacebookを利用して住宅販売の広告を出しているのかを確認したければ、アーカイブを確認できるようになった。これに関するライブラリは、米国時間12月4日以降に広告のアーカイブを開始する。Facebookによれば、いずれは求人や貸付の広告も含める予定だという。

マッド氏は、広告主が新しいルールの中でどのように仕事を進めるべきかを理解するのを、Facebookとして手助けしているとも語っている。またこれを、差別と戦うための「正しいトレードオフ」であると表現する一方で、年齢や性別に基づいたターゲティングを使用しながら「非常に合理的かつ合法的な非差別的広告手法」がこれまでもあったし、今もあることを示唆している。

また現状では、広告主は「こうした制約を考慮した上で、プラットフォームの使い方を再学習しなければならない」とも述べた。

関連記事:米住宅省が住宅広告におけるFacebookの広告ターゲティングを差別として告訴

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Mozilla独自のVPN機能「Firefox Private Network」が拡張ベータに

Mozillaは米国時間12月3日、Firefoxの接続を暗号化するFirefox Private Network(FPN)が、Firefox Test Pilotプログラムでの比較的限定的な数カ月間のテストを経て、拡張ベータになったことを発表した。ただしこのベータ版は、今のところ米国のユーザーのみが利用できる。また無料の暗号化サービスは、当面の間12時間までに限定され、Firefoxのデスクトップ版での利用に限られる。なお、この拡張機能を使用するには、Firefoxアカウントが必要となる。

画像クレジット:JOSEP LAGO/AFP/Getty Images/Getty Images

それより興味深いのは、Mozillaが、デバイスレベルで動作するフル機能のVPNにも取り組んでいるということの方だろう。すべてのインターネットサーフィンはもちろん、アプリの通信にも適用される。現在はWindows 10用だが、他のプラットフォーム用も間もなく登場する予定。この新しいサービスは、現在招待の申し込みを受け付け中だ。

初期費用は月額4.99ドル(約540円)になる予定。Mozillaが提供するサービスに対して、ユーザーに直接課金するのは、これが初めてのこと。ただし、サービスを進化させながら、支払う意志があるのはどのようなユーザーなのかをMozillaが理解すれば、価格は変更される可能性もある。VPNの運営にはそれなりのコストがかかることを考えれば、MozillaとしてもVPNを無料で提供できないのは当然のことだろう。

また今回の発表には、独自のGeckoViewエンジンを利用した次世代モバイルブラウザーFirefox Previewのアップデートや、デスクトップ版Firefoxで利用できる、あらゆるビデオサイトに対応したピクチャーインピクチャーのサポートも含まれている。Firefox Previewは、すでに一般公開されているAndroid版Firefoxの新世代のテストバージョンだ。今回のFirefox Previewには、デスクトップ版と同様のトラッキング防止機能の強化をはじめとして、Androidのホーム画面で使える検索ウィジェット、開いているタブを複数まとめて他のデバイスに送信できる「タブを送信」機能の改良など、見どころも多い。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国サイバーマンデーのオンライン売上高は過去最高の約1兆200億円

サンクスギビング(感謝祭)で始まるホリデーシーズン買い物週末の最終日であるサイバーマンデーのeコマース売上高は過去最高を記録した。Adobe(アドビ)のデータによると、米国の消費者はオンラインでの買い物に計94億ドル(約1兆200億円)を費やした。

この数字を別の視点で分析すると、ピーク時に消費者は1分あたり1200万ドル(約13億円)を使っていた。スマホ経由の売上高が30億ドル(約3260億円)を超えたのは今回が初めてだ。昨年のサイバーマンデーの売上高は15億ドル(約1630億円)超だった(10億ドル超えがすごいことだった日のことを覚えているだろうか?)。また、11月初めからのオンラインショッピング額は815億ドル(約8兆8000億円)となった。

一方で、懸念された以上に消費の動向は緩やかだった。サンクスギビングブラックフライデーのオンライン売上高はアドビの予想を若干下回り、合計ではほぼ予想通りだったが、予想を大幅に超えるものではなかった。アドビは19%近くの増加を予想していた。。なお、Salesforce(セールスフォース)の売上予測はもっと保守的なものだったことを記しておくべきだろう。同社はサイバーマンデーの売上高が米国で前年比15%増の80億ドル、ワールドワイドで12%増の300億ドルになると予想していた。

そうした予測はオンライン小売の側からすると強気なものだった。「小売業者は例年より短いショッピングシーズンに対応するためにセールの開始を早め、その一方でブラックフライデーやサイバーマンデーのような定着したセールの販促も続けた」とAdobeのMarketing and Consumer Insights責任者John Copeland(ジョン・コープランド)氏は発表文で述べた。「消費者は買い得商品に金をつぎ込み、特にスマホで買い物した。スマホでのショッピングは雪や雨の日に増えた」

サイバーマンデーで最も売れたアイテムとしては、Frozen 2のおもちゃ、L.O.L Surprise Dolls、NERFプロダクト、Madden 20、Nintendo Switch、Jedi Fallen Order、Samsungのテレビ、Fire TV、AirPods、Air Fryersなどだ。ブラックフライデーからサイバーマンデーにかけてAppleは300万セットのAirPodsを売ったという報道もある。サイバーマンデーで最もお買い得だったのはテレビだった(割引率は平均19%)。

サイバーマンデーの最終的な数字はアドビのものと少し異なるかもしれない。売上高は午前中に計4億7300万ドル(約513億円)となり、太平洋時間午後5時に50億ドル(約5400億円)を突破した。

ブラックフライデーのオンラインショッピングが実在店舗での買い物と競っている一方で、サンクスギビングでは一部の人は消費に控えめであり、そしてサイバーマンデーは多くの人がウェブでの買い物に没頭する。サイバーマンデーには仕事が始まり、人々は実在店舗にはあまり足を運ばないが、それでもホリデーバーゲンの買い物をしている。

スマホ経由での30億ドル(約3260億円)もの買い物は、全売上高の3分の1を占めた。スマホの売上高だけもすごいが伸び率は46%だ。別の言葉で言うと、スマホ経由での買い物の成長は目覚ましく、オンライン売上高全体の成長を牽引している。

ブラウジングも人気で、しかしそれほど著しい成長ではない。サイト訪問の54%がスマホからのもので、これは1年前に比べて19%増えた。人々が出先で手早く買い得商品を探すことを思えばこれはもっともなことだ。しかし、座ってクレジットカード番号や住所の入力というやっかいな作業をするとなれば、人々はより快適なキーボードと大きなスクリーンを選ぶ。

アドビがサイバーマンデーまでのセール期間中に指摘したいくつかの傾向は最後まで見られた。ここには、大きなものはさらに大きくなるということも含まれる。どういうことかというと、年間売上高が10億ドル(約1085億円)を超えるようなeコマース大手は、このショッピング期間を最大限利用し続けた。

大手の売上高は今年71%増え、かたや中小の売上は32%増にとどまった。この理由としては、大手のほうが大きな割引を提供できること、品揃えが幅広いこと、配達のオプションがフレキシブルであることが大きい。アドビはまた「オンラインで購入して実在店舗でピックアップする」サービスが昨年から43%増えたことも指摘した。

サンクスギビングとブラックフライデーの後にくる大きなショッピングデーを意味する「Small Business Saturday」と「Super Sunday」という言葉はまだ比較的新しいものだが、この週末を通して消費者は74億ドル(約8030億円)を使った。

サイバーマンデーの売上に影響を及ぼす通常の要因に加え、今年のショッピング期間は悪天候の恩恵も受けたようだ(現在、米国の各地で荒れた天候になっている)。天候が厳しくなると、人々は家にこもってショッピングする傾向にある。たとえば米国ではブラックフライデーに2インチ(約5cm)を超える記録的な積雪があり、オンラインの売上は7%伸びた。

「このホリデーシーズンのオンラインショッピングは予想以上の伸びとなった。小売業者はセール期間がいつもよりも短くなることを意味する短いホリデーシーズンを恐れ、消費者はそれに気づいた。一部のエリアでは、雪や大雨といった天候によって多くの消費者が外出を控え、オンラインでお得な買い物をすることを選んだ。ブラックフライデーだけでもオンラインで74億ドル(約8030億円)の売上があり、この数字は昨年のサイバーマンデーの79億ドル(約8600億円)に迫るものだった」とAdobe Digital Insightsの主席アナリスト兼責任者のTaylor Schreiner(テイラー・シュレイナー)氏は述べた。

「消費者は、今シーズン多用されたスマホの存在もあって、ホリデー期間中の買い物の仕方について認識を新たにしている。今年のホリデー期間中に消費者はスマホ経由の買い物で140億ドル(約1兆5000億円)を使うと予想している」とシュレイナー氏は付け加えた。

大事なことを1つ言い残したが、Amazonのような大手オンライン小売がなぜ広告事業を積極的に展開しているか、Adobeが追跡しているトレンドについて述べる。有料の検索は売上の24.4%を占め(前年比5.2%増)、実際のダイレクト・トラフィック(21.2%)を3ポイント超上回った。「ナチュラルな」検索は売上の18.8%を占め、一方で電子メールは16.8%だった(前年比8.9%増)。オンラインセールのドライブとしてソーシャルメディアの影響は最も小さかった(わずか2.6%だった)。しかしインフルエンサーとしての存在を証明し、サイト訪問の8%を占め、これは前年から17.5%のアップとなった。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Sun Asteriskが初の外部資金調達で日本のIT人材不足解消に踏み切る、農林中央金庫から約10億円

左から、Sun Asterisk取締役の平井誠人氏、取締役の梅田琢也氏、代表取締役CEO小林泰平氏、取締役の服部裕輔氏

スタートアップの成長支援や企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援、IT人材の育成などを手がけるSun Asterisk(サンアスタリスク)は12月4日、農林中央金庫を引受先とする第三者割当増資により、約10億円の資金調達を実施したことを発表。2020年の年初にラウンドをクローズし、金融機関および事業会社などから合計で約20億円を調達する予定だ。

このラウンドはSun Asteriskにとって、初の外部からの資金調達となる。「各引受先企業との業務提携を進めている」とのことだが、その件に関しての詳細はまだ明らかにされていない。

農林中央金庫は「Sun Asteriskは、幅広い企業に対する新たな価値創造のサポートを行っており、農林水産業を含めた日本の産業界の発展に大きく貢献していく企業であることから、投資を決めました。新たな取り組みにおける直接投資の初号案件として、金融面のサポートにとどまらず、ともに事業成長を目指していきたいと考えています」とコメント。

Sun Asterisk代表取締役CEOの小林泰平氏は「昨今、海外VCや機関投資家による日本の未上場企業への投資などが増えて来ていますが、市場運用資産60兆円を超える農林中央金庫によるSun Asteriskへの投資が、国内機関投資家のスタートアップへの投資を加速させ、資金調達の多様化が進むと良いなと思っています」と述べている。

2013年頃から産学連携における教育事業を通じてグローバルなIT人材を育成してきたSun Asteriskは、日本におけるIT人材の恒常的な不足の早急な解消を目指し、外部資金調達という手段に踏み切った。

FramgiaはSun Asteriskに

Sun Asteriskは2012年に創業。今年の3月には社名をFramgia(フランジア)からSun Asteriskへと変更。Sun Asterisk代表取締役CEOの小林泰平氏は、社名変更を行なった今年こそが、同社にとっての「第二創業期」だったと話す。

「もう、前の会社の面影がない。(Sun Asteriskは)本当の意味でのデカい会社で、クリエイティブなことをやりたい集団が、国籍関係なく集まっている。今は、『フロム・アジア(Framgiaの社名の由来)』ではなく、より大きな枠組みで考えている。『“アジアから”新しいサービスを生み出していこう』、ではない。『世界に対して』が当たり前になってきた」(小林氏)

そんなSun Asteriskが第二創業期である2019年を締めくくるニュースとして発表したのが、初の外部からの資金調達。小林氏は、その道を選んだのは「Sun Asteriskという会社になり、自分たちがやりたい事を改めて見つめ直した」結果だと言う。

「Framgiaは周りからも『急成長(企業)』と言われていた。5年で1000人、6年で1300人といった具合に成長してきた。外部資金の調達は一切なしで、自分たちで売り上げたところから出た利益でやってきた。それは良い事で、事業もすごく順調だ。このまま自分たちの手金でやっていくこともできるし、今後、市況が悪くなったとしても、僕らのビジネスモデルだとそこまで影響されることはないと思っている。だが、自分たちがやりたいことを見つめ直した時に、やっぱり、より大きな社会課題にしっかり立ち向かっていきたいと考えた」(小林氏)

外部資金調達に踏み切りIT人材不足の解消を目指す

今回調達した資金で、Sun Asteriskはテクノロジー人材の育成プログラムを拡大させる予定だ。同社は現在、ベトナムにて3大学の約1500名に同プログラムを提供しており、今後は「多国展開」を含む事業拡大を図る。資金はクリエイティブスタジオの中長期的な成長基盤の強化、そしてアクセラレーション事業であるスタートアップスタジオによる、各国のスタートアップの創出にも使われる。結果として、「DXソリューションの継続的かつ拡大的な提供」を目指す。要するに、大企業からスタートアップまで、幅広い規模の会社の高度IT人材不足を、海外で育てた人材で満たしていくというスキームを、資金調達によりより加速させていく、ということだ。

「僕たちがやっている教育事業では、海外のトップ大学と提携をして、5年間かけて、日本語と実践的なITを教えていく。『日本に行きたい』という人たちがまだいる。それら(日本語とIT)を教えて、彼らが日本で就職する支援まで行うという事業が凄く上手くいっているおかげで、色んな国の色んな大学から、『うちでもやってほしい』と、引き合いがある。そんなに上手くいっている産学連携の取り組みは聞いたことがない」(小林氏)

とは言うものの、小林氏は、前述の教育事業には多大なコストがかかるため、現在のスポンサーモデルでは勢いのあるスケールは見込めないと説明。そして、数年で同社が育てているようなグローバル人材は「日本を向かなくなる」恐れがあると言う。「ベンチャーなどは別だが、一部のITを除き、大きい企業は、外国人に対するリテラシーが低すぎる傾向にある。日本においても様々な努力が行われているが、労働環境やグローバル人材を受け入れる体制におけるネガティブな要素をなくしていかなければ、彼らは来たくなくなってしまう。日本は英語が通用しない国。英語が喋れる他の国に目を向けられてしまう」と同氏は話す。

だが、小林氏は、今のところは「日本に来たいと言ってくれている、トップクラスに優秀なグローバルで優秀な人材がいる。先人が築いてきた日本というブランドがまだ生きている」と加えた。2030年には日本国内のIT人材が約79万人不足すると予測されているが、Sun Asteriskがこの問題の解決に貢献するためには、スタートアップのような急速な成長が必要だと同社は考えている。

「今、一気に踏み込んでやらないと、この日本のIT人材不足の問題は絶対に解決できない。僕たちに期待されているのは、人と技術の安定供給。かつ、サブスクリプション型で安定稼働ができるというところが大事。Jカーブを描くなら今しかない」(小林氏)

Instagramの隠された「いいね!」数を復活させるブラウザー拡張機能

Instagramは「いいね!」の数を非表示にして人々の気持ちを平穏にしようとしている。しかし、果たして自分が人気者なのかつまらない人間なのかを知りたいときはどうすればいいのか?

Instagramに隠された「いいね!」とコメント数を明らかにするこのChrome拡張機能をインストールすれば、再び人気コンテンツの様子がわかる。この拡張機能「The Return of the Likes」(いいね!の帰還)は、Instagramウェブサイトで投稿の右上隅に「いいね!」とコメントの数を表示する。Instagramの過干渉に嫌気が差している人は、今すぐ拡張機能をダウンロードしよう。

残念ながら、Instagramのモバイルアプリで「いいね!」数を見られるわけではない。そのためにウェブでInstagramを見ることにする人はいないだろうが、もし「いいね!」の数が気になる投稿があったら、固定リンクを自分に送ってパソコンで開くことができる。

現在Instagramは、「いいね!」数の非表示を世界各国のごく一部のユーザーでテストしている。4月にカナダで実験を始め、7月に6カ国が追加され、先月米国も加わった。Facebookも同じような「いいね!」数非表示の実験を9月からオーストラリアで始めている。

関連記事:Instagramは「いいね!」の数を世界で非表示にする実験を実施

TechCrunchはReturn of the Likesを使ってみて、意図どおらに動作することを確認した。作ったのはソーシャルメディア分析のSocialinsiderで、エンゲージメントの測定やライバルとの比較ベンチマークなどを行うソフトウェアを開発している。同社は「Socialinsiderのサーバーには一切データを送っていない」と強調した。本誌はこのChrome拡張機能がアプリ規定に沿っているかどうかInstagramに問い合わせている。

ソーシャルメディアが普及するにつれ、プラットフォームがユーザーを保護する傾向が強まっている。多くのケースでユーザーは守られている。「いいね!」の数は、他人と自分を比べて嫉妬スパイラルに陥ったり、少ない「いいね!」数で惨めな思いをしないようにと自主検閲するなど、人々の平穏な生活を脅かしかねない。しかし、ユーザーは自分の体験を管理できるべきではないかという議論もある。かつてのように「いいね!」数は見られるようにすべきなのだろうか? ユーザーのブロックや禁止ワードを管理できるように。

プラットフォームが安全確保の段階を上げた後、隠されたものを見たいと要求するかどうかはわれわれの判断だ。

追加取材:Lucas Matney

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google CEOのサンダー・ピチャイ氏が親会社AlphabetのCEOを兼任へ

Google(グーグル)の共同創業者であるLarry Page(ラリー・ペイジ)氏とSergey Brin(セルゲイ・ブリン)氏はGoogleのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏がペイジ氏に替わってGoogleの親会社、AlphabetのCEOに就任すると発表した

ピチャイ氏は引き続きGoogleのCEOを続ける。これを機にブリン氏はAlphabetのプレジデントから退く。

Alphabetが 創立されたのは2015年で、当初は「Google本体とその他の賭け」を分離することことが目的だった。「その他の賭け」と呼ばれた諸企業には自動運転テクノロジーのWaymo、ライフサイエンスのVerily、バイオテックのCalico、都市開発のSidewalk、気球を利用した遠隔地のインタネット接続のLoonなどが含まれる。

GoogleのCEOにピチャイ氏が就任し、検索ビジネスの指揮を取るようになると、ペイジ氏は努力の中心をGoogleからAlphabetに移していった。ペイジ、ブリンの両氏は本日の発表で「AlphabetとGoogleはもはや2人のCEO、1人のプレジデントを必要としない。今後はサンダーがGoogleとAlphabet双方のCEOを兼ねる」と書いている。

ピチャイ氏はしばらく前からGoogleの顔として広く認識されているが、ページ氏、ブリン氏がグループの公的役職から去ることで指導力を一層高めることになるだろう。ピチャイ氏は声明で次のように述べた。

「私はAlphabetがテクノロジーを通じて世界の大きな問題の解決に取り組んできたことに強い感銘を受けてきた。新しい地位に就いた後も、引き続きラリー、サーゲイとともに働けるものと期待している。時を経ても変わらぬ使命、価値感、共同作業の文化は2人が築いたものだ。この基礎の上に更に新しい未来を築いていきたい」。

ピチャイ氏、ペイジ氏についてブリン氏は以下のようの書いている。

サンダーは謙虚さと我々のユーザー、パートナー、社員を日々益するようなテクノロジーへの強い情熱を強化した。スンダーはAlphabetの創立からGoogleのCEO、Alphabetの取締役などを通じ、我々と密接に15年間働いてきた。我々はAlphabetという組織と価値観を守り、テクノロジーを通じて大きな挑戦を続けていく能力に関してサンダーを全面的に信頼している。Alphabetの創立以來、スンダー以上に優れた人材を我々は知らない。サンダーはGoogleとAlphabet両社の未来を切り開いていくためにまさに理想的な選択だった。

またペイジ氏、ブリン氏は今回の動きをグループからの離脱ではなく、新たな段階と位置づけて「我々はこれまでもいわゆる管理職ではなかったし、今後もGoogleとAlphabetに深くコミットしていくことに変わりはない。特にグループの長期的ビジョンに関して、取締役会のメンバーとして、株主として、また共同創業者として積極的に関わっていくつもりだ」と述べた。

東部時間午後5時4分(日本時間12月4日午前7時4分)現在、Alphabetの株価は時間外取引で0.68%アップした。

画像:Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国がデジタル税報復で仏製品に最大100%の関税を検討

フランスのエマニュエル・マクロン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領は、テック大企業に対するフランスの課税について当初妥協していた。しかし米国はフランスの製品であるワインやチーズ、ハンドバッグなどに最大100%の報復関税を課すことを検討している。

米通商代表部はフランスのデジタル税を調査し、レポートをまとめた。このレポートとは別に発表したプレスリリースで通商代表部は新たな関税を推奨し、さらにはオーストリア、イタリア、トルコのデジタル税を調査する可能性にも言及している。「米国企業を差別しているフランスのデジタルサービス税(DST)は国際税政策の原則に反していて、影響を受ける米企業にとってかなりの負担となっている」としている。

フランスのブリュノ・ル・メール財務相はフランスのラジオで「そのような関税は「欧州からの強力なしっぺ返し」につながりかねない」と語った。今年初め、フランスはテック大企業に課す新税を承認した。税適正化スキームを避けるために、フランスでかなりの売上を上げているテック大企業はフランスで得た売上高に課税される。

もし売上高がグローバルで7億5000万ユーロ(約903億円)以上、フランスで2500万ユーロ(約30億円)以上の企業を経営しているなら、フランスでの売上高の3%を納税しなければならない。

この税は2つのカテゴリーのテック企業に適用される。そのカテゴリーとはマーケットプレイス(AmazonのマーケットプレイスやUber、Airbnbなど)と広告(Facebook、Google、Criteoなど)だ。米国企業をターゲットしているわけではないが、フランスで事業を展開しているテック大企業の大半は米国企業だ。

この夏、トランプ大統領はフランスのデジタル税計画をTwitterで批判した。「フランスは素晴らしい米テクノロジー企業に税を課そうとしている。そうした企業に課税できるのは、企業のホームカントリーである米国であるべきだ」と書いた。「我々はマクロンの馬鹿げた考えに相応の報復措置を間もなく発表する。私はいつも米国のワインはフランスのものよりも素晴らしいと言っている!」。

G7サミット期間中にフランス政府とトランプ政権は妥協したようだった。デジタル課税をめぐっては、テック企業が事業を展開する国で課税されるというルールの制定にOECDが現在取り組んでいる。

フランスはOECDのフレームワークが実行に移されればデジタル税をすぐさま廃止し、OECDのフレームワーク前に税を払いすぎた企業には払い戻すことを約束した。例えば、Facebookが2019年にフランスのデジタル税で多額を納税し、一方でOECDのフレームワークを適用したときにそれよりも少なくなる場合、フランスは差額を払い戻す。

しかし、関税はOECDの作業を危うくすることになるかもしれないため、この論争は振り出しに戻った。

画像クレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)