スマホで運転挙動を評価する自動車保険「Root Insurance」が390億円調達

米国オハイオ州拠点のRoot Insuranceは、スマートフォンを利用して個々のドライバーの運転挙動を評価する自動車保険のスタートアップだ。このほどシリーズEラウンドで3.5億ドル(約390億円)を調達し、評価額は36.5億ドルだったことを発表した。

今回の調達金額は、先月Axiosが匿名筋の情報として報じていた。今回の正式発表でDST GlobalとCoatue Managementがラウンドをリードしたことがわかった。既存投資家のDrive Capital、Redpoint Ventures、Ribbit Capital、Scale Venture Partners、およびTiger Global Managementのほか、新たな投資家も複数加わった。

Root Insuranceは2015年に設立され、これまでに計5.23億ドルを調達し、それ以外に1億ドルをデットファイナンス(負債)により調達している。今回の資金は同社が運営している米国29州の規模拡大および新規市場の開拓に用いられる。新たな製品ラインの開発も計画していると同社は説明している。

昨年同社は、2019年中に全米50州とワシントンDCをカバーする計画だと言っていた。

「Rootは米国の損害保険で最大の市場である自動車保険を変革し、テクノロジーとデータを活用して消費者に低料金と透明性と公平性をもたらそうとしている」と出資者のDST GlobalのマネージングパートナーであるTom Stafford(トム・スタンフォード)氏が声明で語った。

Rootはドライバーに直接自動車保険を提供する。個々のドライバーの行動やその他の要素を取り入れて保険料を決定するのが特徴で差別化要因になっている。

ドライバーはRootのモバイルアプリをダウンロードし、通常2~3週間テストドライブを行う。運転挙動の良いドライバーには優遇料金が提示され、保険の乗り換えができる。保険の申込みや約款の閲覧はアプリを通じて行う。

Rootは、この方法によって優良ドライバーは従来の保険会社と比べて50%以上節約できると言っている。同社はAIアルゴリズムを利用してリスクを見積もり、場合によってはディスカウントを提供する。たとえば、高度な運転支援システムを備えた車は安全性を改善すると考えられるためさらに追加の割引を受けられる可能性がある。

同社のビジネスモデルは顧客を引きつけているようだ。Rootは2019年の前半6カ月に1.87億ドルの保険を契約し、2018年の同じ時期より824%伸ばした。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Freedaが女性向けメディアブランド強化へ17億円超を調達

イタリア発のスタートアップのFreeda Mediaが、シリーズBにて1600万ドル(約17億円)を調達した。既存の投資家のAlvenがラウンドを先導し、Endeavor CatalystやUniCreditなども参加している。UniCreditは、300万ドル(約3億2000万円)の債務枠を同社に供与する。

Freeda MediaはInstagramやFacebook、その他のソーシャルメディアプラットフォームで数百万人のフォロワーを集めることに成功している。具体的には、短い動画やインタビュー、記事を掲載している。つまりFreedaは、Elle、Vogue、Vanity Fair、Cosmopolitan、Man Repellerのソーシャル版を作りたいのだ。

Freedaは現在イタリア、スペイン、南米で展開している。同社では現在、毎日500万人の女性がコンテンツに関わっている。イタリアとスペインの18〜34歳の女性の80%が、毎月このサービスを利用している。

特にInstagramでは、Freedaは2019年だけで1億件のインタラクションがあった、世界初の女性メディアブランドだと伝えている。

本日の資金調達ラウンドの目標は、明らかに国際展開である。Freedaはロンドンにオフィスを開設し、英国や他の英語圏の市場にも進出する予定だ。同社では現在160人が働いている。

Freedaは現在も、オーディエンスを収益化するためのブランドコンテンツに注力している。しかし、同社は消費者に直結した新しいブランドで、この流れを超えて拡大したいと考えている。Freedaブランドの製品は2020年から購入可能になる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

共有受信ボックスのスタートアップ「Front」がWhatsAppに対応

チームで受信ボックスを管理するスタートアップのFrontが、新たなチャンネルとしてWhatsAppを追加した。米国時間9月5日から、WhatsApp経由のメッセージを読み、返信できるようになった。

この機能は特にWhatsApp Businessユーザー向けのものだ。Twilioで企業の電話番号を取得し、それを顧客に渡すことができる。

その後、Frontで届いたメッセージを読み、Frontのほかのメッセージと同様に扱える。特に、会話を特定のチームメンバーに割り当てれば、顧客は短時間で適切な回答を得られる。さらに情報が必要な場合は、FrontをSalesforce、Pipedrive、HubSpotなどのCRMと統合できる。

顧客に返信する前に、同僚と相談する機能もある。チャットのようなインターフェイスで同僚にアットマークのメンションを送り、WhatsAppのスレッドの途中でインラインのチャットを開始できる。回答できる段階になったら、「返信」をクリックしてWhatsAppのメッセージを送信する。

Frontは「sales@yourcompany」「jobs@yourcompany」のような一般的なメールアドレスからスタートし、Facebook、Twitter、ウェブサイトのチャット、テキストメッセージとチャンネルを増やしてきた。

すでにFrontでテキストメッセージを使っているなら、簡単にWhatsAppを追加し、新しいチャンネルとして同様にサービスを利用できる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyから音楽やポッドキャストをSnapchatにも共有できる

Spotifyのユーザーは、お気に入りの音楽やポッドキャストをSnapchatで友達に共有できるようになった。これは同社が米国時間9月9日に発表したもので、曲、プレイリスト、アーティストのプロフィール、ポッドキャストを友達に対してSnapchatで直接、またはSnapchatのストーリーで共有できる。

これでSnapchatは、Spotifyユーザーからの共有先のひとつになった。ほかの共有先にはWhatsApp、アップルのメッセージ、Facebook Messenger、Twitter、Instagramのストーリーズ、そして8月末に加わったFacebookのストーリーなどがある。

Snapchatに共有する方法は、ほかの共有先と同じだ。右上の「…」アイコンか右下の共有アイコンをタップし、共有先としてSnapchatを選択する。するとSnapchatで新しいスナップが開き、アルバムのアートワークが含まれる。これを編集してから、いつもの通りスナップとして送信できる。

このスナップを受け取った人は、カードをタップして共有された音楽やポッドキャストを聴くことができる。

この機能は音楽を友達と共有するだけでなく、SpotifyのアーティストやチームがSnapchatの2億300万人のデイリーユーザーに向けて音楽をプロモーションするのに使うことができる。Snapchatのユーザー層は、Spotifyのアーティストが狙うヤングアダルト層のティーンに集中している。

この機能は、ユーザーがアプリやウェブサイトからメディアを共有するためのCreative Kit(Snap Kitに含まれる)を利用している。

2018年6月にSnap Kitのプラットフォームが登場し、Spotifyは今や、Snap Kitと統合された200以上あるアプリのひとつだ。Snap Kitは、Facebookに代わる、もっとプライベートなプラットフォームを目指している。しかし今回のケースがまさにそうであるように、FacebookやInstagramをすでにサポートしているアプリやサイトがSnapchatのサポートを追加することがほとんどだ。

ストリーミングサービス、特にAmazon MusicやApple Musicといったライバルとの競争が激しくなり、ストリーマーの期待を受けてSpotifyは共有機能を強化している。Amazon MusicはAmazonプライムやAlexaとの統合に支えられ、Apple Musicはアップルのデバイスにプリインストールされていることが強みだ(そしておそらく、今週のアップルのイベントでApple TV+との新たな統合も発表されるだろう)。

一方のSpotifyは、2019年第2四半期に新規有料会員数の見込みが850万人であったのに対し、実際には800万人と予想を下回った。共有のオプションを増やすことで、Spotifyは有料会員になる可能性のある多くのユーザーにアプローチしたい考えだ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

グーグルとFTCの和解で示された子供のプライバシーの価値はわずか181億円

FTC(Federal Trade Commission、連邦取引委員会)は、ネット上での子供のプライバシーの問題に金で片を付けた。金額はたった1億7000万ドル(約181億7000万円)だ。

この金額は、FTCとニューヨーク州検事総長による、YouTubeへの捜査を終了させるための和解金として、Google(グーグル)が支払うことになる。YouTubeは、保護者の同意なしに、子供の個人情報を収集していた疑いが持たれていた。

YouTubeは子供とその個人情報をオンラインで扱う方法に関して、長い間問題をかかえていた。この少額による和解は、FTCとニューヨーク州検事総長が、YouTubeはCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act、児童オンラインプライバシー保護法)に違反していると告発したことの結果としてもたらされたもの。

今回の和解では、GoogleとYouTubeはFTCに1億3600万ドル(約145億3840万円)、ニューヨーク州に3400万ドル(約36億3460万円)を支払うことになった。FTCによれば、この金額は、COPPAが適用された事件としては、FTCがこれまでに受け取った最大の金額だという。Googleは、この程度の金額は、1日もかからずに回収することができる。実のところ、FTCは、YouTubeが子供向けの広告から、どれだけの金額を稼いでいるかを明らかにした民主党のコミッショナーによる反対意見の一部を修正したのだ。

言うまでもないことだが、規制当局による告発を支えていた支持者は、これで満足するはずはない。

「私たちの働きかけによって、YouTubeの長年にわたるCOPPA違反に、FTCがようやく対処せざるを得なくなり、この世界一の子供向けサイトにおいて、子供をターゲットにした行動広告が大幅に少なくなるであろうことを嬉しく思っています」と、CCFC(Campain for a Comercial-Free Childhood=子供に広告を見せないキャンペーン)の事務局長、ジョシュ・ゴーリン(Josh Golin)氏は述べている。「しかしFTCが、もっと実質的な変更を要求していないことや、長年にわたる違法なデータ収集によって子供たちを傷つけた責任を、もっとGoogleに負わせようとしないことには、非常にがっかりしました。不適切なコンテンツから、おすすめ機能、過大なスクリーンタイムに至るまで、保護者のありとあらゆる懸念は、すべて元を正せば、データを活用して視聴時間と広告収入を最大化しようとする、Googleのビジネスモデルによるものなのです」。

この和解により、CCFCをはじめ、その他の支持団体がきっかけとなって開始された1年間の調査が終了する。

FTCとニューヨーク州検事総長からの申し立ては、GoogleがYouTubeの子供向けチャンネルの視聴者のCookieを利用して、インターネット上で視聴者を追跡していたことを問題にするもの。あらかじめ保護者の許可も得ていなかった。

COPPAのルールでは、子供を対象とするウェブサイトやオンラインサービスは、データ収集に関する慣行を公表し、13歳未満の子供に関する情報を吸い上げる前には、保護者、または後見人の同意を得る必要がある。これにはCookieの利用も含まれる。サードパーティのネットワークも、13歳未満の子供の個人情報を扱っていることが分かっている場合には、COPPAのルールを順守しなければならない。

「YouTubeは、子供たちからの人気の高さを、見込まれる顧客に高値で売り渡したのです」と、FTCのジョー・シモンズ(Joe Simons)会長は声明で述べている。「しかし、COPPAのルールへの準拠という点に関して言うと、YouTubeが提供するサービスの一部について、明らかに子供向けなのに、同社はそれを認めることを拒否しました。それでも、YouTubeが法律に違反していることの言い訳にはなりません」。

YouTubeは、広告主とのやり取りの中で、ユーザーが13歳未満ではないと主張することによって、法の適用を回避していたのだ。そのくせ、Mattel(マテル)やHasbro(ハスブロ)といった玩具メーカーには、「6〜11歳の子供にリーチする手段としては、トップのテレビ番組よりも、今ではYouTubeの方が上だ」と宣伝していた。

YouTubeとGoogleとの和解では、子供を対象とするコンテンツであることを、チャンネル所有者が指定できるようなシステムを開発し、運用することを両社に課している。それによって、YouTubeがCOPPAルールに確実に準拠できるようにするわけだ。また両社は、子供向けのコンテンツはCOPPAのルールに従う必要があることを、チャンネル所有者に伝えなければならない。

子供をターゲットにした広告を表示し、同意なしに情報を収集したとして罰金を科された企業は、GoogleとYouTubeだけというわけではない。Oath(現在はVerizon Media Groupと呼ばれ、実質的にTechCrunchのオーナー)には、同様の違反に対して、500万ドル(約5億3450万円)の和解金の支払いを余儀なくされた過去がある。最近では、Musical.ly(現在のTikTok)が、COPPA違反に対して、当時として記録的な570万ドル(約6億933万円)の罰金を科されている

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アリババ子会社UCWebがインドでeコマース事業を開始する計画

中国のIT大手アリババグループの子会社、UCWebは、今後数カ月のうちにインドでeコマース事業を開始する予定だ。

TechCrunchに宛てた声明の中でUCWebの広報は、インドのコンテンツプラットフォームに関連するeコマース事業を構築する計画だと述べた。インドの既存のeコマース企業と競合する意図はなく、アリババグループはこの事業の開発を監督していないと付け加えた。

UCWebは人気のモバイルブラウザ「UC Browser」で知られている。同社は「インドにおける広範囲のユーザーコミュニティ」を活用してeコマース事業を構築するという。広報は「新しいサービスは、ユーザーとクライアントの双方の体験を豊かにするという当社の戦略に沿ったものだ」と述べている。

UC Browserは世界中で4億3000万人以上に使われている。インドには1億3000万人以上のユーザーがいて、このアプリの重要な市場のひとつだ。第三者の調査会社であるStatCounterによると、UC Browserはインドのモバイルブラウザ市場で23%以上のシェアを獲得し、Google Chromeに次ぐ位置につけている。なお近年、Google Chromeは63%にまでシェアを伸ばしている。

アプリの調査会社であるSensorTowerによると、UC BrowserはGoogle Playストアからのダウンロード数が現在もインドのトップ15に入っている。

近年、UCWebはUC Browserを強化してモバイルブラウジングにとどまらない製品へと成長させている。現在、12万人以上のブロガーおよび700社以上のメディアと連携してコンテンツを制作し、UC Browserのユーザーに提供している。

最近では、UCWebはウェブからビデオをダウンロードしたいユーザーのためのアプリをいくつもリリースしている。このような機能を提供するUCWebのアプリ「Vmate」は、親会社のアリババから1億ドル(約107億円)のコミットメントを得ている。

9月5日にインドで開催されたアリババのイベントの際、UCWeb Global BusinessのバイスプレジデントでありHuaiyuan Yang(ホワイエン・ヤン)氏は通信社のPTIに対し、同社がこれから展開するeコマース事業では既存のプレイヤーと協力するつもりであると述べた。アリババは、インドで電子決済とeコマースを手がけるPaytmの約30%を所有している。

ヤン氏はPTIに対し「我々にはアリババのeコマースの遺伝子がある。我々はまさに革新的なeコマースのビジネスモデルを始めようとしている」と述べた。

画像:VCG/VCG / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Instagramのフォロワーも巻き込む、出会い系Facebook Datingが米国でスタート

米国人は、人との出会いの機会まで、Facebookを信頼するつもりなのだろうか?米国連邦取引委員会が、プライバシー保護に関する過失に対して、Facebookに記録的な50億ドル(約5345億円)の罰金を科し、ユーザーのプライバシーを扱う際の判断について、より重い責任を負うよう、企業としての構造改革までを課してから、まだほんの1カ月ちょっとしか経っていないというのに。このような歴史的なできごとに引き続いて、Facebookはまったく新たな出会い系サービスを全米で開始した。同社が保有しているユーザーの個人データを利用して分析することで、Tinder、Bumble、Matchなどといったライバルの出会い系アプリよりも、適切なマッチングを提案できるとされている。

今回米国で利用可能になったこのFacebook Datingでは、Instagramの投稿を出会い用のプロフィールに組み入れたり、Facebookの友達やInstagramのフォロワーを「Secret Crush」(秘密のパーティ)リストに追加できるようになった。

年末までに、Facebook Datingのユーザーは、自分でFacebookやInstagramストーリーを選んで、出会い用のプロフィールに追加できるようになる。

自分に合う人をFacebookに見つけてもらう

Facebook Datingにとって、米国は20番目の市場だが、このサービスにとって最も重要な国の1つには違いない。ちなみにFacebook Dating自体は、昨年のF8デベロッパーカンファレンスで初めて発表されたもの。

この新しいサービスは、Facebookを友達や家族ではない人とつながるためのツールにするための重要な一歩となる。

同社は今、この分野に多大な金額を投資している。毎月10億人が使用しているFacebookグループのサービスが、関連するグループとも連携して、似通った趣味を持っていたり、地理的に近いといった条件で、ユーザーを結び付ける。同社は数年前にもFacebook at Workを立ち上げ、企業がFacebookのインフラを利用して、独自のネットワークを構築できるようにしていた。

こうした取り組みはどれも、ユーザーのFacebookデータをすべて公開してしまうことに比べれば、さほどの信用を必要とするものではないのは確かだろう。そもそもFacebookは、ユーザーデータの不適切な利用で知られている会社なのだし、それで愛が見つけられるのなら安いものだ。

もちろんFacebookも、このようなサービスには潜在的なプライバシーの落とし穴があることは十分にわかっている。そこで同社は、Facebook Datingの機能を完全に隔離してしまうための対策も、いくつか用意している。家族や友達、あるいは会社の同僚や、仕事上の付き合いのある人、もっと言えば配偶者や伴侶にうっかりバレないようにするためだ。

まず、Facebookで友達になっている人は、Facebook Datingに表示されない。さらに、Facebook Datingに表示される人を、共通の友達がいない人だけに限定するような設定も可能だ。他にも保護機能はある。ユーザーは、自分のFacebook Datingのプロフィールが、特定の人からは見られないよう、先手を打ってブロックすることもできる。たとえば分かれた相手のプロフィールは絶対に表示されないようにしたり、逆にそうした相手から自分のプロフィールが見られないようにすることが可能だ。

そしてもちろん、Facebook Datingは明示的に希望した人だけが利用できるサービスだ。

ユーザーの出会い用プロフィールは、友達になっている人や、Facebook Datingに参加していない人からはけっして見えない。ニュースフィードにも表示されない。新たに利用可能となったInstagram統合機能でも、ユーザーの写真だけが表示され、Instagramのユーザーネームは表示されない。

ただし、Facebookの友人を「Secret Crush」に追加する方法は残されている。これは互いの関心が一致した場合にだけ表示される。利用可能な「Crush」は9個までに限られている。この機能の悪用を防ぐためだ。米国での公開に伴い、このようなポリシーはInstagramのフォロワーについても適用されるようになった。

Facebook Datingのサービスは、メインのFacebookアプリに組み込まれている。同じイベントに参加している人や、同じグループのメンバーになっている人ともつながることが可能だが、いずれの機能も初期状態ではオフに設定されていて、個別にオンにすることができる。

それ以外でも、Facebook Datingは、共通の友達がいるとか(その機能がオンの場合)、同じグループに入っているとか(その機能がオンの場合)、学校が同じとか、あるいはその他不明の要因によって、選ばれた人のプロフィールを提示する。

ここから先はちょっとビミョーな話になる。

そもそもFacebookは、友達を推薦するのに、不気味なほど的確なことがあるのは、みんな気付いている。そのため、何らかのスパイ的な機能があるのではないかと疑う人もいる。結局のところFacebookは、ユーザーが誰とつながりを持っているのか、ユーザー自身が気付いているよりも多くを知っているということなのだ。

Facebook Datingの推奨機能に関しては、ユーザーも知らないどんなデータをFacebookが利用するのか、まったくわからない。

公式には、Facebookは、マッチングの提案は「ユーザーの好み、興味を持っていること、またユーザーのFacebook上での行動」に基づくものだとしている。

Facebook Datingのプロダクト責任者、Nathan Sharp(ネイサン・シャープ)氏は、実のところFacebookは、どのようにしてプロフィールのマッチングをランク付けするか尋ねられたものの、システムの詳細について話すことはできないと述べた。

「私が言えるのは、プライバシーについては、あなたが見かけたり出会ったりした人は、どのような情報も漏らすことはないということです」と彼は説明する。「あなたと、テイラーという人が同じ大学に通っていたとして、あなたはそのことを出会い用のプロフィールに書いてなかったとしましょう。それを人に知られたくなかったとします。その場合、テイラーさんは、あなたがどの大学に行ったのかを知ることはないし、テイラーさんがどの大学に行ったのか、あなたが知ることもないでしょう」とシャープ氏は言う。

シャープ氏は、むしろFacebook Datingのチャット機能を使った会話を通じて、例えば母校が同じといった共通点を、自然に発見していくものだと述べている。

出会い系アプリのメーカーが、秘密のレシピについて口を閉ざすのは珍しいことではないが、Facebookがこの機能のために利用できるデータの量は、競合に比べて有利に働くだろう。ただそれだけに、Facebookが見えないところで扱っているプロフィールデータについて、ユーザーがどこまでコントロールできるのか、疑念を持たれる可能性もある。

例えばTinderでは、「ハイキングが大好き」と自分で書くことができるが、Facebookでは、ユーザーが実際にハイキング関連のグループやイベントに参加したかどうか、そしてその頻度までが考慮されるだろう。本当はもっと多くのことを知っているかもしれない。ユーザーがハイキングの場所にチェックインしたこと、山が写っている写真を投稿したこと、「ハイキング」というキーワードを含むコメントを書いたこと、ハイキングに関連するFacebookのページに「いいね」を付けたことなど、みんな筒抜けだろう。しかしFacebookは、この種のデータが使用されるかどうか、だとしたらどのように使われるのか、一切明らかにしない。

もしユーザーが、自身の個人データをFacebookがどのように使おうと構わないというのなら、このようなサービスのメリットはいくらでも挙げることができる。ただし、それは米国市場では、あまりありそうもないことだが。

Facebook Datingの大きな目標は、出会い系のサービスを、パーソナルなものと感じられるようにすることにある。つまり、表示されるプロフィールの背後には、現実の人がいることを意識させること目指している。そしてその出会いを、ゲームとして扱うことは意図していない。これは、出会い系アプリにはうんざりしているのに、使わずにはいられないという人にとっては、差別化の要因となるかもしれない。

これまでの出会い系アプリには、いろいろなつながりを築くために、長く使い続けようという気にさせるものが欠けているという問題があった。結局のところ、相手を見つけることができると、人は出会い系のサービスの利用を止めてしまうのだ。これは、アプリの収益にとって最悪だ。それでは、ユーザーが使い続けてくれるようにするためには、どうすればいいのだろうか?例えば、Tinderがやっているように、「独り暮らし」というライフスタイルを推奨すればいいのだろうか?

Facebookの場合、ユーザーが離れてしまうことは、それほど心配していない。なにしろFacebookには月間24億人のユーザーがいる。出会い系の機能を、単なるおまけとみなすだけの懐の深さがあるのだ。またその膨大なユーザー数は、出会い系アプリを使おうなどとは考えたこともない人を含めて、出会いの対象となりうる人の潜在的な予備軍を大量に抱えていることを意味する。

またFacebookは、魅力的なユーザー体験を構築する方法を知る企業であるという点でも優位に立っている。出来栄えの良さは、Facebook Datingの随所に見て取れる。たとえばセットアップの際に、性別を設定する画面にスムーズに移行するところとか、最初のデートの際に、安全のため、Messengerを使って信頼できる友達に現在の居場所を簡単に通知する機能など、よくできている。

さらにFacebook Datingでは、一般の出会い系アプリで問題になっている、勝手に写真を送りつけてきたりすることや、ポルノ系ボットによるスパムの送信を、厳重に禁止している。チャットを、テキストとGIFのやり取りのみに制限しているのだ。つまり、URL、写真、支払い要求、動画などをメッセージで共有することはできない。

また、年末までにストーリーも統合されることになっているので、出会い候補の飾らない投稿をチェックすることが、一種の流行になるかもしれない。

最後に言えるのは、これは少なくとも今のところ、出会い系の機能そのものを収益化するために存在しているわけではない。メッセージングや、以前にうっかり削除してしまったプロフィールに戻るなど、本格的な機能を備えたものながら、Facebookは無料で使えるサービスとして提供することができる。そのため、ユーザーからお金を搾り取ろうとするアプリに見られるような制限とは無縁でいられる。

とはいえ、Facebook Datingが、Tinderからあれこれ影響を受けることは避けられないようだ。たとえば、角の丸い「好き」「嫌い」のボタン(なぜそれ以外の選択肢がないのか?)、遺伝的に恵まれた人に有利な写真中心のプロフィール、プライベートなチャット機能、そしてInstagarmの統合といったものだ。

米国に加えて、Facebook Datingはすでにアルゼンチン、ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、エクアドル、ガイアナ、ラオス、マレーシア、メキシコ、パラグアイ、ペルー、フィリピン、シンガポール、スリナム、タイ、ウルグアイ、ベトナムでも利用可能となっている。2020年初頭までにヨーロッパでも使えるようになる。

同社は、Facebook Datingに参加しているユーザーの数については明かすつもりはなさそうだが、今のところ「そこそこうまくいっている」とだけ述べている。

Facebook Datingは、米国時間9月5日から米国内で18歳以上のユーザーに公開された。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ニューヨーク州の司法長官がFacebookへの反トラスト捜査を指揮

米国ニューヨーク州の司法長官であるLetitia James(レティーシャ・ジェームス)市は米国時間9月6日朝、自らの指揮でFacebookの反トラスト問題を取り調べていると発表した。嫌疑は、Facebookがそのソーシャルメディアの支配を利用して反競争的な行為に関与したのではないか、というものだ。

ジェームス氏は「最大のソーシャルメディアプラットホームであっても、法を守り、消費者を尊重しなければならない。各州司法長官の党派を超えたチームを率いて、Facebookが競争を抑圧しユーザーを危険に陥れなかったか取り調べていることを、誇りに思う。われわれはあらゆる捜査ツールを広く利用して、Facebookの行動が消費者のデータを危険にさらし、消費者の選択の質を貶め、あるいは広告の価格を高騰させなかったかを調べたい」と語る。

発表によると、その各州司法長官のチームは、コロラド州、フロリダ州、アイオワ州、ネブラスカ州、ノースカロライナ州、オハイオ州、テネシー州、そしてコロンビア特別区の司法長官から成る。

Facebookはすでに6月に、反トラストで連邦取引委員会(FTC)の取り調べを受けていると発表した。それは、同じ日に発表されたプライバシー関連のFTCとの和解とは別だ。今、大手テクノロジー企業の多くが、FTCや司法省による反トラスト捜査に直面しているようだ。

新たな取り調べが発表されたあとの声明で、Facebookの州と地方ポリシー担当副社長のWill Castleberry(ウィル・キャッスルベリー)氏は「私たちが提供するどのサービスにも、複数の選択肢がある。私たちがイノベーションをやめれば、人々は自由にここを去ることができる。それは米国だけでなく世界的な競争に私たちが直面していることの証だ。もちろん私たちは州の司法長官たちに建設的に協力するし、私たちがその中にいる競争的な環境について、政策立案者のみなさまと会話することを歓迎する」と述べている

関連記事:Facebookが連邦取引委員会の捜査を受けていることを公表

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

閉鎖される求人サービスGoogle Hireの後釜を狙うAgaveが移行促進キャンペーンを展開

求職応募者を追跡するシステムであるGoogle Hireが2020年に閉鎖することになり、企業の雇用担当者のためのツールを作るスタートアップに成長の機会が生まれた。SV AngelやBox Groupから100万ドルの資金を得たAgave(アガヴェ)も、まさにそんなスタートアップだ。

Agaveは無料の求人プラットホームで、そこに求人票をポストしたり、キャリアページを設けたりできる。顧客管理のツールもあり、APIも提供している。有料プランには、月額一人あたり2ドルと6ドルの2種類があり、後者にはメールによる自動化フォローアップサービスや面接のスケジューリング、求人書簡の書式などの機能がある。そのサービスは本日9月6日から利用できるが、当面は招待制だ。

Google Hireと同じく、Agaveも社員数20名から500名ぐらいまでの中小企業が主な対象となる。

Agaveの創業者Jared Tame(ジャレード・タメ)氏は次のように語る。「そのへん(20〜500名)がスイートスポットだね。社員数20名以上ともなれば、紹介だけに頼っていたのでは必要な人材は集まらない。もっと積極的なやり方を考える必要がある。メールなどを使っていても、ある点を過ぎるとATS(Applicant Tracking System、求職者追跡システム)を使わざるをえなくなるんだ」。

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タメ氏によると、彼が同社を初めたのは、自分自身が企業の雇用担当者だった経験があり、既存のプロダクトに不満を感じたからだ。

Google Hireの閉鎖は機会でも、Agaveのコンペティターはほかにもいる。例えば、7280万ドルを調達したLever(レーバー)や、1億1010万ドルを調達したGreenhouse(グリーンハウス)などだ。今は数社のスタートアップがAgaveを利用しているが、同社は顧客拡大のためにMedium上で、Google Hireからの移行勧誘キャンペーンを展開している。

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(翻訳:iwatani。a.k.a. hiwa

米国の音楽ストリーミングサービス有料購読者数が6000万人の大台に

音楽ストリーミング購読が依然として米国の音楽産業の売上成長を支えている。米国レコード協会(RIAA、Recording Industry Association of America)が今週発表した新たなレポートで明らかになった。RIAAによると、2019年上半期の音楽産業の総売上は18%増の54億ドル(約5800億円)となり、そのうちの80%はストリーミングによるものだった。レポートではまた、米国の有料購読者数が初めて6000万人を超えたとしている。

同期のストリーミング売上高は26%増の43億ドル(約4600億円)だった。

この数字には、Spotify、Apple Music、Amazon Musicといった有料購読バージョンに加え、Pandora、Sirius XM、他のインターネットラジオなどのデジタルラジオサービス、そしてYouTube、Vevo、有料でないSpotifyなど広告を流すストリーミングのものが反映されている。

一方、有料購読ストリーミングも成長を続けている。対前年比で有料購読は31%増えて33億ドルに達し、音楽産業の売上高の最大の成長要因となっている。

2019年上半期には、米国における音楽産業の売上高の62%を、音楽ストリーミング売上高の77%を有料購読が占めた。

フルのオンデマンドストリーミングサービスを受ける有料購読者の数は今年上期に30%伸びて6110万人になった。これは平均して1カ月に100万人が新たに購読しているというペースだ。

ここには、たとえばPandora Plusや、Echoだけで利用できるAmazon Musicのような限定サービス「Limited Tier」は含まれていない。限定サービスではカタログ全てへのアクセスが制限されたり、特定のオンデマンド機能が利用できなかったりする。このカテゴリーの売上高は前年比39%増の4億8200万ドル(約515億円)だった。

こうした数字について、「急成長、デジタルダウンロードのわずかな落ち込み、新たな物理的売上のおかげで、ストリーミングはいまや音楽産業の売上高の80%を占めている。そして音楽ファンの好きな曲やアーティストの探し方、共有方法、聴く方法を一新した」とRIAAの会長兼CEOのMitch Glazier(ミッチ・グレイジャー)氏は書いている。

広告を流すオンデマンドサービスは対前年で25%伸びて4億2700万ドルとなった一方で、デジタルラジオサービスは5%増の5億5200万ドルだった。

しかしながらストリーミングサービスでの伸びはデジタルダウンロードの落ち込みで若干相殺された、ともGlazier氏は指摘している。

このカテゴリーの売上高は18%減の4億6200万ドルで、デジタルトラックの売上高は対前年比16%減、デジタルアルバム売上高にいたっては23%減だった。全体として、デジタルダウンロードは総売上高の8.6%にすぎなかった。

今年上半期の物理的プロダクトの売上高は5%増の4億8500万ドルで、これは今後減少に転じるとRIAAはみている。

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(翻訳:Mizoguchi)

グーグル検索で映画やテレビ番組を調べると個人化されたお勧めが出る

これからはGoogle(グーグル)の検索が、次のお楽しみを見つける手助けをしてくれる。同社の米国時間9月5日朝の発表によると、お勧め作品を個人化するその新しい機能は、テレビ番組とムービーの両方を対象とし、そのコンテンツを見られる場所を教える。

今でもGoogleのウェブ検索には、テレビ番組や映画に関する情報のありかを教える機能があるが、今回はその拡張だ。

すでにGoogle検索でテレビ番組や映画のタイトルを検索すると、検索結果の上部に「Knowledge Panel」(知識パネル)というボックスが出てその概要や格付け、レビュー、キャストなどを見られた。そして2017年の春には、それらの作品がストリーミングされているところや、購入できるところを教えてくれるようになった。

でも今度のお勧め機能は、特に見たいものが決まってないユーザーが、検索欄に「面白いテレビ番組」などとタイプするユーザーが対象だ。それから「Top picks for you」(お勧め作品集)のカルーセルでスタートボタンを押し、お気に入りのテレビ番組や映画を格付けすると、Googleはあなたの好みを理解する。

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また、今自分が会員になっているサブスクリプションを指定すると、お勧めをさらにカスタマイズできる。それらは、Netflix、Hulu、HBO GO、HBO NOW、Prime Video、Showtime、Showtime Anytime、CBS All Access、Starzなどなどのサブスクリプションサービスだ。

米国の場合は、ケーブルテレビや衛星放送のサブスクリプションも指定できる。また番組や映画をiTunesやPrime Video、Google Play Movies & TV、そしてVuduなどのマーケットプレースや、ABC、Freeform、Lifetime、CBS、Comedy Central、A&E、Historyなどのネットワークアプリでレンタル、購入、または無料ストリーミングできることもわかる。

各作品の格付け評価は、デートアプリのTinderみたいにスワイプで行う。左スワイプは「好き」、右なら「嫌い」だ。どちらも指定しなかったら、知らないとか、意見があるなどの意味になる。

そうやってGoogleにあなたの好みに関するデータを与えたら、次の検索からは自分の好みに合ったお勧めが提供される。

Googleは「この情報はお勧め機能だけが利用し、広告主に渡されることはない。あくまでも人びとが求める情報を提供することが、Googleの究極の目標である」とコメントしている。

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さらにまた、「80年代のホラー映画」とか「登山に関する冒険アドベンチャー」といった具体的なリクエストもできる。内容はわかっているけど題名を思い出せない映画を、ばっちり見られるだろう。

検索の結果は最初は提案作品のリストだが、どれかを指定すると、それをどこで見られるか買えるかなどが分かる。

映画やテレビ番組を見つけるためにGoogle検索を利用する人がとても多いことを、同社は検索の上位項目のデータからよく理解している。今度から同社は、各個人の好みまで知ることになる。

この新しいお勧め機能は、米国のモバイルユーザーを皮切りに本日から提供される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Mediumがウェブページの保存機能をテストしているらしい

Mediumは、オンライン記事を将来読むために保存、再フォーマットするツールを開発しているらしい。

非公開機能のスクープに定評のある情報源であるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチン・ワン)の情報だ。ワン氏は、MediumのAndroidアプリのリバースエンジニアリングとネットワークトラフィックの監視によってこの情報をつかんだと言っている。

「Save to Medium」機能は、ウェブベージを取り込み、Mediumの非公開ストーリーにするらしい。もしこの機能が公開されれば、Mediumはパブリッシングプラットフォームとしてだけでなく、Instapaperなどと同じように、ウェブ上のコンテンツを読むためのツールとして利用できるようになる。

このツールにはコンテンツから広告を削除したり、有料記事を保存したりする機能もある。ここまでは既存のリーダーアプリとあまり違わないように見える。同僚のTechCrunch記者によると、InstapaperとPocketも不安定ながら有料記事を取り込めるそうだ。しかしワン氏によると、Mediumにはもっと複雑な事情があるという。なぜならMediumは自身がパブリッシャーであり自らも有料記事を提供しているからだ(MediumはTwitterの創業者でもあるエヴァン・ウィリアムズ氏が創業、経営しており、上記の写真は同氏)。

ワン氏はこの機能が実際に公開されるまでに改善されるだろうと指摘する。「メディアやニュースパブリッシャーには協力する方法がいろぽすある。Mediumの「Save to Medium」を自分のサイトの記事を取り込むのを阻止するのは、パブリッシャーにとって最後の手段だ」とワン氏は言った。

本件についてMediumに問い合わせたところ、プロダクト担当副社長のMichael Sippey(マイケル・シッピー)氏から次の回答があった。「今それについて話すことはなにもない。素晴らしいリーディング体験をMediumユーザーにもたらすために、我々は常に実験を重ねている」

関連記事:Medium lowers its paywall for Twitter users

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自治体にクラウドベースのITサービスを提供するOpenGovが54億円を調達

OpenGov(オープンガブ)は、ビッグデータ解析を専門とする企業であるPalantirJoe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏が共同で創業した会社で、自治体や市民団体向けにクラウドで動く財務その他のデータを整理・分析・レポーティングするツールを提供している。OpenGovによる今回の資金調達は、再び大型のラウンドとなった。資金は事業拡大のために使う。5100万ドル(約54億円)を調達した今回のシリーズDは、Weatherford Capital8VC(ロンズデールの投資会社)がリードし、既存株主であるAndreessen Horowitzも参加した。

これで同社の資金調達総額は14000万ドルとなった。これまでの投資家には、JC2 VenturesEmerson CollectiveFounders Fundが名を連ねる。同社はバリュエーションを公開していない(TechCrunchから質問は送付)。参考となるのは、PitchBookがレポートしている前回公開ラウンド時のバリュエーション約19000万ドルだ。もっとも、前回ラウンドは2017年であり、同社の経営陣の顔ぶれと成長性を踏まえれば、バリュエーションはその後上昇している可能性が高い。

1点目の経営陣について。同社によると、取締役会にはロンズデール氏(現在は同社会長)のほか次のメンバーがいる。First Republic Bankの共同創業者兼副会長であるKatherine August-deWilde氏(キャサリン・オーガスト・デウィルドJC2 Venturesの創業者兼CEOであり、Cisco Systemsの元会長兼CEOJohn Chambersジョン・チャンバースAndreessen Horowitzの共同創業者兼ゼネラル・パートナーMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏OpenGovの共同創業者兼CEOを務めるZac Bookman氏(ザック・ブックマン)氏

2点目の成長について。同社によると、現在2000団体を超える自治体を顧客としており、最近新たにウェストバージニア州、オクラホマ州、アイダホ州長官室、ミネアポリス市、および ニューヨーク州サフォーク郡が顧客となった。TechCrunch2017年に同社の急成長について掲載した時には、同社の自治体の顧客数は1400団体だった。トランプ氏が勝った2016年の米大統領選以降、同社は急成長している(明らかにこの選挙がデータに関するセキュリティ強化と透明性向上を促す契機となった)。

通常、自治体のデータは、古いレガシーシステムに格納され、また非常に遅い官僚的なプロセスによって運用されている。これがスタートアップによる参入機会となった。成長するクラウドサービスを市民団体やその職員である都市計画やファイナンスの専門家のニーズに合わせて提供したのだ。OpenGovの場合、OpenGov Cloudと呼ばれるプラットフォームにサービスをパッケージ化している。

 OpenGovの使命は、自治体がもっと有効に機能し説明責任を果たせる組織となるようサポートすることによって、公共部門が迅速に変革できるよう支援することだ」とOpenGovCEOであるZac Bookman(ザック・ブックマン)氏は説明する。「今回の投資ラウンドは、OpenGovが自治体向けエンタープライズクラウドソリューションのリーダーであることを示すものだ。調達した資金で我々は、組織にとって欠かせないこの新しいテクノロジーを開発、販売、導入する体制を拡充することができる。このテクノロジーは自治体の幹部にとって安全で信頼できる選択肢だ」。

また、自治体の幹部が公共サービスを離れた後で、公共サービスの調達担当者とのネットワークを生かしたい場合にも信頼できる選択肢となるようだ。

共同でリードインベスターを務めたWeatherford Capitalのマネージング・パートナーで、フロリダ州の元下院議長であるWill Weatherford(ウィル・ウェザーフォード)氏は「OpenGovは、革新的な技術、優秀な人材、市場におけるリーダーシップ、問題解決優先のアプローチによって、行政が抱える問題に正確に応えている」と言う。「OpenGovの成長を支え、公共セクターのオペレーション近代化に関われることを大変うれしく思う」。

今後気になるのは、今回調達した資金を使って同社が法人向けテクノロジーの分野で買収を行うのか、行うとすればどのような買収になるのかだ。LiveStoriesのような、住民データを一般に公開するのに役立つサービスを提供する会社などは、OpenGovのビジネスを補完する役割を担えるだろう。OpenGovは過去にも買収を行ている。例えば、Ontodiaを買収した際は、OntodiaのオープンソースのデータとテクノロジーをOpenGovのプラットフォームに取り込む狙いがあった。

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(翻訳:Mizoguchi)

Apple Musicがウェブ版の公開ベータを開始

Apple Musicがウェブにやってくる。米国時間9月5日にApple(アップル)は、人気ストリーミングサービスのウェブバージョンの公開ベータを開始する。世界中のApple Music登録ユーザーが利用できる。Apple Musicが公式にウェブ上で提供されるのはこれが初めてだが、この数ヶ月間に非公式のサイトが 数十万人のユーザーを集めて注目を浴びていた。

同サービスのウェブバージョンに対する抑圧された要望が存在していたことは間違いない。

Apple Musicの登録ユーザーがウェブバージョンを使うには、beta.music.apple.comに行ってApple IDを使ってサインインすればいい。

新サービスには、Apple Musicカタログや自分のライブラリー(同期している場合)の楽曲の検索と再生、プレイリストなど多くの基本機能が利用できる。

Apple Musicアプリのライブラリ、見つける、For You、ラジオなどの主要メニューも利用できる。その他の機能は今後追加されていく予定だ。

ベータテスト期間中、Appleはユーザーのフィードバックを受け付けており、サービスの改善やバグの修正に役立てる。

後日、新規ユーザーも同ウェブサイトを通じてApple Musicにサインアップできるようになるが、現在はほかの場所でサインアップした登録ユーザーのみが利用できる。

Apple Musicのウェブバージョンは、同社が音楽サービスをプラットフォームを超えて普及させようという方策の一環だ。

Apple MusicはすでにiPhone、iPad、Apple TV、Apple Watch、およびMacで利用できる。そして今年のWWDC 2019イベントで、AppleはMacのiTunesアプリを解体し、MusicというスタンドアロンアプリでライブラリーやApple Musicのストリーミングサービスなどを利用できるようにする計画を発表した。

Apple Musicは、Apple以外のプラットフォームでも、Android、Window、Sonos、Amazon Echoなどに提供されている。

クロスプラットフォームのサポートは今日のストリーミングサービス市場では必須だ。Apple Musicは、Spotify、Pandora/SiriusXM、Amazon Music、YouTube Music、およびその他のローカルサービスと競合している。

最新データによると、Spotifyの4〜6月の四半期時点の有料登録者は1億800万人で、対するApple Musicは6月末に6000万ユーザーを突破した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

モバイルアプリのエンゲージメント分析のNeuraが約17億円を調達

ユーザーがアプリをどう使っているかを知りたい開発者を支援するスタートアップ、Neura(ニューラ)が、シリーズBで1600万ドル(約17億円)を調達した。このラウンドはシリーズAでも投資したPitango Venture CapitalとLiberty Technology Ventureが主導し、Moneta Capital、Amdocs、AXA Venturesが参加した。

米国サンフランシスコに本社を置くNeuraは、シリーズAで1100万ドル(約11億7000万円)を調達したと2016年に発表していた。今回のラウンドまでの合計調達額は3200万ドル(約34億円)となり、今回の資金は従業員の雇用、米国とEUでのビジネスの拡大、新規プロダクトの提供に使われる予定だ。

Neuraには現在、旅行、交通とライドシェア、健康、eコマース、フードデリバリー、保険などの業種に30社以上のクライアントがいる。開発者はNeuraのSDKを使って、アプリのエンゲージメントやユーザーのモバイルデバイスの使い方に関するデータを分析できる。

例えば月経サイクルトラッカーのMyDaysは、ユーザーがプッシュ通知にどう反応するかをNeuraで分析した。毎日決まった時刻にアプリが通知を送信する機能では、ユーザーの30%は就寝中に通知を受信し、25%は毎日の活動を開始してから受信していた。ユーザーが反応する可能性が最も高い時間帯に応じて通知をカスタマイズしたところ、リテンションが32%上昇した。

かねてからNeuraは、ユーザーのプライバシー保護を優先すると発言している。Facebookのケンブリッジ・アナリティカのような重大なスキャンダルがあって、プライバシーに対する消費者の意識は高まっている。

CEOのAmit Hammer(アミット・ハンマー)氏はメールで「Neuraは広告よりもカスタマーエクスペリエンスを重視しているため、PII(個人を特定できる情報)やユーザーIDは一切収集しないし、GDPRなど最も厳しいプライバシーの規則に準拠している。現在の消費者は、プライバシーを守りつつ、自分に関係のあるパーソナライズされたデジタル体験を得ることを望んでいる。我々は、モバイルのエコシステムの透明性が向上することを歓迎している」と述べている。

画像:Neura

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(翻訳:Kaori Koyama)

Spotifyが2人用サブスクPremium Duoプランをラテンアメリカへ拡大

Spotifyの最新の2人用有料サブスクリプションであるPremium Duoプランは、今年3月にパイロット版としてアイルランド、コロンビア、チリ、デンマーク、ポーランドで開始された。米国時間9月4日、同社はこのプランをラテンアメリカの14カ国に拡大すると発表した。

新たに利用できるようになるのは、アルゼンチン、ボリビア、コスタリカ、ドミニカ共和国、エクアドル、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイ。

Duoプランは主にカップルを対象にしているが、ルームメイトなど自宅住所が同じ2人で利用できる。

価格は、1人用のPremiumサブスクリプションよりは高いが、2アカウントに制限されるためFamily Planよりは安い。Premiumを2アカウントよりもDuoのほうが安い。

メリットはFamily Planと似ている。各ユーザーの音楽の好みは別々に保存され、お勧めはそれぞれ異なる。Family Planでは8月に追加された機能で曲を追加して作ったオリジナルのミックスを家族のほかの人も楽しめるが、これと同じように、DuoのサブスクリプションにもDuo Mixという共有プレイリストがある。これは2人が簡単にプレイリストのライブラリをお互いに共有できるものだ。

これで19カ国で展開されることになったが、SpotifyはPremium Duoプランをいまだに「パイロット版」と説明している。パイロット版といえば一般には、その企業がサービスを全ユーザーに提供すると完全にコミットしているわけではないことを表す。この呼び方はたいてい、企業が新しいサービスの影響を評価中であるという意味だ。

Spotifyの場合、3月に開始したPremium Duoはサブスクリプションの大幅な増加にはまだつながっていない。Spotifyは2019年第2四半期の収益報告で、その四半期の新規サブスクリプションは800万人で、予想の850万人を下回ったと発表した。同社の現在の月間ユーザーは2億3200万人、有料サブスクリプションのユーザーは1億800万人だ。

やはり、Duoのようなプランが有料ユーザーの数に大きな影響を与える米国などの重要な市場に、Spotifyはまだリーチできていない。

Duoが提供されている国に住んでいてPremiumプランに加入しているユーザーは、Spotifyのウェブサイトでアカウントページを開き、パートナーを追加してアップグレードできる。Duoの2人の自宅住所が同じであることが必要だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

NFLが複数年の提携でTikTokに参入

米国時間9月3日、NFLとソーシャルビデオアプリのTikTokは、複数年にわたる提携を発表した。NFL100周年の第1戦が9月5日に開催されるのを目前にして、NFLのコンテンツを世界中のファンに届け始めている。この提携には、TikTokのNFL公式アカウントの開設のほか、ハッシュタグチャレンジなどNFLのコンテンツに関するブランドマーケティングが含まれる。

最初のハッシュタグチャレンジは米国時間9月3〜5日に実施され、ファンは「#WeReady」のハッシュタグでお気に入りチームを応援できる。このチャレンジには人気のTikTokクリエイターとNFLのクラブも参加する。

TikTokは9月5日にシカゴのソルジャーフィールドで開催される開幕戦にも参加する。ファンはNFLをテーマにしたビデオを作り、チームや選手への思いを表現する。

TikTokのNFL公式アカウントには、舞台裏やハイライトから、楽しいミームコンテンツやぐっとくるものなど、開設時にすでにビデオが数本共有されていた。

TikTokのグローバルパートナーシップ担当、Mayan Scharf(マヤン・シャーフ)氏は「スポーツ界の巨人であるNFLとの提携に興奮している。この提携はスポーツエンターテインメントの体験にこれまでになかった活力と新鮮な視点をもたらす。TikTokは、ファンがチームの一員であると感じられる目的地だ。我々は、エキサイティングで本格的で驚きのあるNFLのコンテンツをTikTokのコミュニティに紹介できることを楽しみにしている」と語る。

TikTokはミームコンテンツ、リップシンクをフィーチャーしたショートビデオ、ダンスなどの才能の披露、コスプレ、コメディ、アートなどで知られているが、同社によればスポーツのコンテンツも人気のカテゴリーだという。

一方のNFLは、新しいプラットフォームにいち早く乗り出すことに抵抗がないようだ。Twitterのライブストリーミング、スポーツリーグとして初のSnapchat DiscoverAlexaボイスアプリの公開などをすでに手がけている。

さらにNFLは、ゲームのハイライトとまとめをFacebookで配信するなど、海外のファンにもリーチしようとしている。これはスポーツリーグにとって、視聴率低下が懸念される中では特に重要なことだ。昨シーズンはここ数年の低迷からはようやく回復したものの、米国以外のファンを引きつけるためにもこうした取り組みが有効であるとNFLは考えている。

NFLのデジタルメディアビジネス開発担当バイスプレジデント、Blake Stuchin氏は発表の中で次のように述べている。「TikTokとの提携は、我々のメディア戦略においては自然な拡張だ。TikTokのプラットフォームは、急速に増える世界中のNFLファン、そしてこれからファンになる人々にリーチできる。NFLのプログラムとハッシュタグチャレンジは、NFL100周年の幕開けにまさにふさわしい。TikTokならではの方法で、新たな楽しいコンテンツを発信してファンを楽しませ、ファンであることを誇れる体験を提供する」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アリババによるNetEaseの越境EC部門の買収が間もなく合意か

Alibaba(アリババ)によるNetEase(ネットイース)の越境EC部門「Kaola」の買収が報道されて数週間たつが、買収の合意が近いようだ。中国のテックニュースサイト36krはこのディールが今週にも発表され、現金と株式による買収額は20億ドルになることが予想されると報じた。

Kaolaは引き続き独立運営されるが、Alibabaの巨大な越境EC事業であるTmallグローバルの一部となる。昨年末時点でTmallグローバルのマーケットシェアは31.7%だった。一方のKaolaは24.5%で、これはライバルのJDワールドワイド(11.5%)、VIPインターナショナル(9.7%)、Amazon(6%)よりもかなり大きい。

Caixinグローバルが8月に15日に、AlibabaがKaolaを20億ドルで買収する計画であることを最初に報じた。しかしその後、2社は価格などで折り合わず、ディールは立ち消えになったとされた。

36krは、Kaola従業員のストックオプションがAlibabaの株式に変換され、Kaolaブランドは独立して存在し続けるものの現在のKaolaのトップであるZhang Lei(張磊、チョウ・ライ)氏に代わってAlibabaが新たなCEOを置くと報道している。

Alibabaの広報は「マーケットのうわさにAlibabaはコメントしない」と語った。NetEaseのコメントもない。Alibabaはまた、NetEaseのクラウドミュージックにも投資する計画だが、このディールはKaola買収とは無関係だ。

画像クレジット:SOPA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

YouTubeのヘイトコンテンツ削除件数がQ2に大幅増

YouTubeは、白人至上主義やヘイトに満ちたコンテンツを禁止する6月のコンテンツポリシーのアップデート以降に進めてきた、プラットフォームからの有害コンテンツの排除において目覚ましい進展があったと発表した。第2四半期にビデオ10万本超を削除し、ヘイトスピーチのための1万7000件ものチャンネルを追放したとのことだ。この数は第1四半期の5倍だという。また、ヘイトスピートの削除に伴い、Q1の倍近くとなる5億ものコメントも削除した。

しかしながらYouTubeは、ヘイトを含んだコンテンツと言論の自由の間に手当たり次第に線を引こうとしている。その結果、米国の名誉毀損防止同盟(ADL)は最新のレポートで、今年6月のコンテンツポリシー変更後、反ユダヤ主義で白人至上主義のコンテンツを広めている「かなりの数」のチャンネルがオンライン上に放置されていると指摘した。

YouTubeのCEOであるSusan Wojcicki(スーザン・ウォシッキー)氏はその後すぐに、YouTubeクリエイターブログでオープンプラットフォームを維持することの意義を訴え、この問題に関する同社の姿勢を弁護した。

「プラットフォームが開かれていることに関する責任は簡単なものではない。時にはこれは、本流ではなく、物議を醸し、または攻撃的なコンテンツを残すことを意味する」とウォシッキー氏は書いている。「しかし、幅広い考え方に耳を傾けることが、より強固で情報化された社会につながると確信している。たとえそうした考え方の一部に同感しなくてもだ」。

ADLがリストアップしたビデオの中には、反ユダヤ主義のもの、反LGBTQを訴えるもの、ホロコーストを否定するもの、白人至上主義コンテンツを特集したものなどがあった。ADLが取り上げたチャンネルの5つ合計で8100万回の視聴があった。

YouTubeはそれでも、この手のコンテンツをどのように扱うべきか決めかねているようだ。こうしたビデオはおそらくヘイトスピーチだと考えられれながらも、オンライン上に残ったままだ。YouTubeはまた、先週に白人至上主義を信奉するヨーロッパ拠点の極右YouTubeクリエイター2人のチャンネルを削除し、そしてすぐに復活させた。

ヘイトスピーチの削除についてだけでなく、YouTubeは今日、コンテンツのレビューで活用しているメソロジーについても語った。

YouTubeは、公開される前に禁止されたコンテンツのコピーを自動的に把握するために、頻繁にハッシュ(デジタルフィンガープリント)を活用する。これはプラットフォームが児童性的虐待の写真やテロリストをリクルートするビデオを削除する一般的なやり方だ。新しいプラクティスではなく、今日のレポートでの言及は、ヘイトに満ちたコンテンツやそれに関する問題から注意をそらすためかもしれない。

2017年、YouTubeは削除されたコンテンツと似通ったものを見つけるのに機械学習の活用を増やす、と語った。これはスパムやアダルトコンテンツとの戦いでは有効だ。いくつかの例ではヘイトスピーチを見つけるのにも役立つ。しかし機械はコンテンツを理解しないため、ニュアンスを判断するためには人間によるレビューがまだ必要だ。

スパム対策は最近では当然のことで、今回、削除対象の大半をスパムが占めた。第2四半期では、削除されたビデオの67%がスパムやスキャムだった。

また、第2四半期に削除された計900万ものビデオの87%超は自動システムにより削除された、とYouTubeは話した。スパムをとらえるシステムが同期にアップグレードされ、スパム規則違反で閉鎖されたチャンネル数は50%超増えた、ともしている。

YouTubeはまた、第2四半期に自動システムにひっかかったビデオの80%超は1度も閲覧されることなく削除された、と語った。そして、ガイドラインに反していないか、コンテンツをレビューしたり削除したりする業務を行う人がGoogle全体で1万人超にのぼることも明らかにした。

繰り返しになるが、80%超という数字は主にYouTubeがスパムやポルノを削除するための自動システムを活用したことによる。

今後、YouTubeは4月に発表したクリエイター同士のハラスメントを防ぐことを目的としたハラスメントポリシーのアップデートを間もなく発表する、としている。

加えてYouTubeはコンテンツポリシーの指標と関連するプロダクトの展開を記したタイムラインを公開した。

子供プライバシー法に違反したとしてFTC(連邦取引委員会)との和解金が2億ドルになると報道されているこの困難な時期に今回のアップデートは報告された。罰金は、こうしたヘイトスピーチに満ちたビデオを視聴するのは極端論のコンテンツをに関心があったり、議論に加わっている大人だけでなく、YouTubeから情報を得る何百万もの子供も含まれていることを思い出させるものとなっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Googleカレンダーに勝手に入るスパム、現状では「招待を自動的に追加」を無効に

最近Googleカレンダーを開いたとき、「無料のiPHONEが当る!」とか「レイバンのサングラスが安い」などの広告で埋め尽くされていたことはないだろうか。もしそうなら、決してあなただけではない。

スパム業者たちはGoogleカレンダーを騙して、ユーザーの知らない間にこの手の広告を忍び込ませる方法を発見した。Googleは、問題を認識しており修正中であると言っている。

いったい何が起きているのか?

ある時からGoogleカレンダーは、何かのイベントに招待されるとそれをスケジュールに追加するようになった。招待メールが受信箱で迷子になったときのためだろうか。問題はフィルターがまともに働いていないことだ。もしスパムロボットがあなたのメールアドレスを知り、送った招待状がGoogleのアンチスパムシステムをくぐり抜けると、カレンダーに本人が操作したかのように追加される。

Googleが問題を認識したことを最初に見つけたのはEngadgetで、Googleカレンダーのサポートフォーラムのピン止めされた投稿に書かれていた。内容は以下のとおりシンプルなものだ。

カレンダーにスパムが発生していることを認識しており、問題を解決するべく真摯に取り組んでおります。準備ができたらこのスレッドで報告いたします。スパムを削除して報告する方法はこちら。ご辛抱に感謝します。

一方、、現在カレンダーがスパムイベントで埋め尽くされている人は、Googleカレンダーで問題のイベントをクリックし、右上のドットが3つ並んだポップアップボタンから「スパムを報告」をクリックすれば削除されるはずだ。

Goolgeがスパムを排除する方法を見つけるまでの間、招待が自動的に追加される機能自体を無効にすることもできる。

「招待を自動的に追加」機能を無効にするには、

  • パソコンでGoogleカレンダーを開く
  • 右上の歯車アイコンをクリックして「設定」を開く
  • 左カラムのリストで「予定の設定」をクリック
  • 「招待状を自動的に追加」を探して「いいえ、返信した招待状だけを表示します」に変更

google calendar spam

【Japan編集部追記】もちろん、Googleが対策を講じた後も無効にしたままでもいい。

セキュリティー研究者のBrian Krebs(ブライアン・クレブス)氏が指摘しているように、この手の招待状の多くはURLが添付されている。数え切れない理由(悪質なページやフィッシングサイトなど)によりこの類のURLはクリックしないほうがいいだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook