Web3企業のURL末尾でみかける「.xyz」とは?

最近、暗号資産会社のウェブサイトにアクセスしたことがあるならば、URLの末尾が、よりお馴染みの「.com」ではなく、「.xyz」になっていたことが多かったのではないだろうか。かつてSquare(スクエア)という名前で知られていたフィンテックのBlock(ブロック)をはじめとして、VCのParadigm(パラダイム)、そしてMirror(ミラー)のようなブロックチェーンのスタートアップに至るまで、.xyzは多くのWeb3企業のURL末尾として活躍している。しかし、それは何を意味しているのだろうか。また、なぜWeb3の世界で使われるようになったのだろうか?

2014年に公開された.xyzの人気が最初に急上昇したのは、その1年後にGoogle(グーグル)の親会社であるAlphabet(アルファベット)が、リブランディングしたウェブサイトに使用することを決定したときだった。そのときAlphabetは厄介な問題に直面していた。素直な.comのURLであるalphabet.comはBMWのフリートマネジメント部門によって押さえられていたし、abc.comも、American Broadcasting Corporationによって使われていたからだ。

そこでアルファベットは、abc.xyzとして店を構えることにした。.xyzの創業者でCEOの30歳のDaniel Negar(ダニエル・ネガリ)は、そのことが彼の「未来的な企業」にとっての「無限のブランディングの機会」を提供してくれたのだとTechCrunchへの電子メールで語った。現在.xyzは、同社のDNSデータによると、トラフィックで世界トップ5のトップレベルドメイン(TLD) の1つになっている可能性がある。

ネガリ氏によれば、.xyzは「世界中のユーザに、自分のドメイン名に関する競争と選択の機会を提供する」ために作られたもので「固有の意味を持たない、真に汎用的な初めてのドメイン拡張子」ということだ。「.com」は商業用(commercial)、「.net」はネットワーク用(networks)、「.org」は組織用(organizations)とされているが、ネガリ氏は、これらのカテゴリーにきちんと当てはまらないと感じているユーザーや、目立ちたいと思っているユーザーのために、.xyzを提供することを目論んでいた。

ネガリ氏は「『for every website everywhere(あらゆる場所のあらゆるウェブサイトのために)』という私たちのモットーが市場に受け入れられたのだと確信しています」と語る。「すべての人とすべてのものに対するオープン性と包括性という私たちのモットーは、xyzをドメインとして採用している創造的な思想家のコミュニティに浸透しています」。

.xyzとWeb3の出会い

ネガリ氏は積極的な暗号資産投資家で、Gemini(ジェミニ)、MoonPay(ムーンペイ)、BlockFi(ブロックファイ)など、この分野に「多数」の投資を行っているという。暗号資産に興味があった彼は、イーサリアムネームサービス(ENS)の生みの親であるNick Johnson(ニック・ジョンソン)氏に連絡を取り、協業を持ちかけた。

「この歴史的なコラボレーションにより、アーリーアダプターは.xyzドメインをウォレットアドレスとして使用することができるようになりました」とネガリ氏は述べている。

.xyzの創業者でCEOのダニエル・ネガリ氏(画像クレジット:XYZ)

ENSは、ユーザーが自分のすべての暗号アドレスに共通のニックネームを与えることを可能にし、検索可能なデータベースが提供されることで、さまざまなプラットフォームに存在する暗号ウォレットや取引に、より簡単にアクセスできるようにする。ユーザーは、ソーシャルメディアハンドルやその他の個人情報をENS中で共有するために、ネイティブな.ethドメインまたは.xyzドメインを使ってプロファイルを作成することができる。

.xyzは、ENSと協力し、暗号コミュニティと連携する方法を模索し続けている。今週同社は「eth.xyz」サービスのローンチを発表した。このサービスはネガリ氏によると、.ethの名前の最後に「.xyz」を付けるだけでENSデータベースを検索する代わりに個々のENSプロファイルを検索できるようになるというものだ。

ENSは、暗号資産保有者がイーサリアムを使って自分の好きな名前のドメインを購入できるようにすることで、インターネットをアイデンティティ構築のツールとして活用したいというユーザーの欲求を創造的に収益化したのだ。たとえばShopify(ショッピファイ)のCEOであるTobi Lütke(トビー・ラトカ)氏は2021年12月初めに、ENSのドメイン名であるtobi.ethを30 etherで買収したが、これは買収時点で12万ドル(約1380万円)以上に相当する。

.xyzドメインは現在、インターネット規制当局であるICANNによって管理されているDNS(ドメインネームサービス)システムの管轄下にあるが、いくつかの団体がWeb3を支えるために、DNSに代わる分散型の代替システムを開発しようとしていることを、TechCrunchのAmanda Silberling(アマンダ・シルバーリング)記者が報じている。.xyzがWeb3企業と積極的に連携する戦略は多くの新たな収益化の機会を提供する可能性がある。それは現代のインターネットユーザーがドメインの所有権を新たに主張しようとする際に、分散化されたウェブにおけるアイデンティティとオーナーシップから生じる収益化の機会だ。

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.xyzはブログを運営して、.xyzで終わるドメイン名を選んだ企業を紹介している、その多くがWeb3ネイティブだが、なぜそうしたのかの理由も書かれている。

中には、単純な物流上の理由で使用を選んだものもある。たとえばDeFi(分散型金融)プラットフォームのMatchaは.xyzというウェブ拡張子を使うことでネーミングの選択肢が増えたと説明しているし、イーサリアムデータツールのDune(デューン)はより簡潔なウェブアドレスが可能になるからという理由で .xyzを選んだのだという。

そのドメインは、誰でも購入することができるが、他のドメインと比較しても比較的リーズナブルな価格で提供されている。そのために、.xyzは1.111Bと呼ばれるクラスのドメインを立ち上げた。ネガリ氏によれば、これは6桁から9桁の数字のドメインで、年間99セント(約114円)〜で利用できる。

利便性やアクセスのしやすさだけでなく、Web3を構築する人たちの中には、.xyzを新しいインターネットを構築するという野心の象徴として捉えている人もいる。

「私たちが.xyzを選んだのは、分散化とWeb3アプリケーションの新しい波を象徴しているからです」と書くのは分散型自治組織Agora DAO(アゴラDAO)の創立者であるRéka(レカ)氏だ。

ネガリ氏は、アフター.com時代の次世代のオンラインイノベーションを代表する.xyzの文化的な重要性が、おそらく同社の最も重要な属性の1つであることを認めている。

ネガリ氏は「このコミュニティは、現状を打破して未来に向けて積極的に行動する、数十万から数百万の個人や中小企業で構成されています」と語る。「非営利団体である必要も、営利法人である必要もありません。何であっても、誰であってもいいのです」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:sako)

クラウドファウンドリーの今後

今月、Google在籍中に Kubernetes(クバネティス)プロジェクトを共同で立ち上げ、現在VMWare(自身のスタートアップ、Heptioを同社に売却した)のR&D(研究開発)担当副社長を務める Craig McLuckie(クレイグ・マクラッキー)氏が、非営利団体、Cloud Foundry Foundation(クラウド・ファウンドリー・ファウンデーション)の理事会会長に選出された。

同氏は2020年4月から理事長を務めていたVMWareのPaul Fazzone(ポール・ファゾーン)氏を引き継ぐ。2020年以来、Cloud Foundry Foundationではもう1つ幹部の変更があり、Chip Childers(チップ・チルダーズ)氏が8月に辞任し、同氏が務めていたエグゼクティブ・ディレクターの後任は指名されなかった。これで同団体は、新たに結成された技術検討委員会と理事会に重点を置くことになった。すなわち、現在マクラッキー氏は、かつてのエグゼクティブ・ディレクターの役割に最も近い立場
にいることになる。

マクラッキー氏はCNCF(クラウド・ネイティブ・コンピューティング・ファウンデーション)を設立し、そこにKubernetesを寄贈した中心人物であるにも関わらず、Cloud Foundryエコシステム内での活動は必ずしも積極的ではなかった。ただし、どちらのファウンデーションもLinux Foundation(リナックス・ファウンデーション)の傘下にあるため、両団体には重なる部分も少なくない。加えて、近年のCloud Foundryの動きは、中心基盤をKubernetesに移すことと密接に関連しており、Cloud Foundryエコシステムに由来するbuildpacks(ビルドパックス)の考え方がKubernetesエコシステムに影響を与え始めている。異なるコミュニティの間には多くの交流がある。そしてVMWareがPivotal(ピポタル)を買収したことで、グループ間に多くのつながりができた。

マクラッキー氏が私に話したところによると、約6ヶ月前、同氏はCloud Foundryエコシステムでの自身の役割について深く考えるようになり、行動を起こすきっかけになった。

「VMwareがPivotalを買収したとき、私はCloud Foundryエコシステムの中に作られてきたものをしっかりと見直す機会を得ました。そこには多くのクラウド・ネイティブのパターンを生み出すための重要な技術がありました」と同氏は語った。「たとえばKuberetes以前のテクノロジーがあり、アプリケーションの構築、編成、展開に関わる非常に具体的な考えがありました。そして、Pivotalの買収を通じて1つのコミュニティと密接に関われるようになったことが数多くのクラウド・ネイティブ・パターンを生み出す素晴らしい機会となり、一種のコンテナ・パッケージ配信のアイデアを採用したことで、デベロッパーが自身のIDE(統合開発環境)を非常によくコントロールされた生産環境へと変えることを可能にする抽象概念が生まれました」

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現在重要なのは、この2つのテクノロジーを合体させることだと彼は言った。Cloud Foundryのデベロッパー体験を成功させたものは何か、Kubernetesがインフラストラクチャーの抽象概念として何を提供できるか、を見極めることだ。そう考えると、同財団から生まれる最初のプロジェクトの1つが、2022年第1四半期に公開されるKubernetes上の新たなCloud Foundry体験のベータ版であることは驚くに当たらないだろう。いくつかのメーカーがそれぞれの取組みをしてきたが、この新プロジェクトによってVMware、SAP(サップ)、IBM(アイ・ビー・エム)などいくつかの会社が新たな道に向かって集結した。

「つまるところ、毎晩Hacker Newsを熟読し、あらゆるテクノロジーに手を染めているデベロッパーばかりではない、ということです」とマクラッキー氏は言った。「家に帰ってビールを飲んでYouTubeを見たい、という人もたくさんいます。Cloud Foundryは、非常にシンプルですぐに使える体験をたくさん生み出し、アプリケーションを稼働させることに関わる頭痛の多くを緩和します。今回私たちは、彼らがその体験を維持しながら、マルチクラウド環境の標準になりつつある抽象モデルを提供できるようにしました」

しかし、こうした個々のプロジェクトよりも大切なのは、組織が劇的に変化しようとしていることだ。1年前メーカー主導のグループとして始まったものが、デベロッパー一人一人がエコシステムに貢献しやすく、かつてオープンソース・プロジェクトに参加するために必要だった儀式や式典を通過しなくてもよい組織になった。

「これまでは、Cloud Foundryのテクノロジー基盤に関連する特定のプロダクトを開発する組織の商業的関心を推進するための組織でした。そしてどこの財団でもそうであるように、メーカー間には一種の緊張関係が常にありました」と彼は説明した。しかし今後同財団は、3つのことに焦点を当てる。 貢献者のためのコミュニティーをつくる。メーカーのために働く人もそうでない人も対象だ。オープンソース・バージョンのCloud Foundryを利用しているエンドユーザーのサポートを強化する。そして、エコシステムと連携して、メーカーが団結し、協力してCloud Foundryエコシステムから生まれた数多くのクラウド・ネイティブ・テクノロジー(たとえばBuildpack)のコンセプト化や革新を行うことを支援する。

「この組織は、テクノロジーの進化に目を向け、それを消費する組織と、オープンでフェアな方法でそこに貢献している人々、両方に役立つ新しい時代を象徴しています」とマクラッキー氏は言った。

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画像クレジット:anucha sirivisansuwan / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nob Takahashi / facebook

商用車販売特化の中古車EC「トラッカーズマーケット」など手がけるAzoopがシリーズBファーストクローズで9億円調達

商用車販売特化の中古車EC「トラッカーズマーケット」など手がけるAzoopがシリーズBファーストクローズで9億円調達

トラック運送業向けに車両売買プラットフォームや運送業務支援SaaSなど「トラッカーズ」ブランドを展開するAzoopは12月24日、シリーズBラウンドのファーストクローズとして9億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存投資家のジャフコグループ、新規投資家のモノフル。累計調達額は13億7000万円となった。2022年2月に追加の資金調達を予定しており、同ラウンドにおける調達額は約13億円、また累計調達額は約18億円となる予定。調達した資金は、人材採用や各プロダクトの開発にあてる。

トラッカーズブランドで提供しているサービスは、商用車販売に特化した中古車EC「トラッカーズマーケット」、商用車買取に特化したオンラインオークション「トラッカーズオークション」、運送業務効率化クラウドシステム「トラッカーズマネージャー」。こうしたサービスにより、古い慣習が色濃く残る物流・運送業界のデジタル化を進め、利益最大化と業務効率化に貢献していくとのこと。

2017年5月設立のAzoopは、トラッカーズのブランドにより「仕組みを変えて、『はたらくクルマに関わる個人と企業』の選択肢と可能性を広げていく」というブランドミッションを実現するとしている。

理研とHPCクラウドのRescale、「富岳」をクラウドプラットフォームとして利便性を拡大する研究で基本合意

理研とRescale、「富岳」をクラウドプラットフォームとして利便性を拡大する研究で基本合意

理化学研究所(理研)は12月27日、ハイブリッドHPC(高性能計算)クラウドプラットフォームを手がける「Rescale」(リスケール)と、スーパーコンピュータ−「富岳」のクラウド的な利用に向けた研究プロジェクト「Rescale ScaleX on Supercomputer Fugaku」の実施について基本合意を行ったことを発表した。

理研と富士通により共同開発され、2021年3月から共用を開始したスーパーコンピューター「富岳」は、「さらなる利用分野の拡大による成果創出の最大化」を目指しており、利用拡大・利便性の向上のためのクラウド的な利用サービス「富岳クラウドプラットフォーム」はそのひとつ。その「圧倒的な計算パワー」をより簡単に、より使いやすい形で利用できるようになるという。

理研では、「富岳クラウドプラットフォーム」の開発と運用を2020年度から試行的に実施しており、2021年1月には同プロジェクトの実施が決定。技術的連携の実現性を検討していたが、今回の合意により、本格運用に向けた有効性の検証に移行する。スーパーコンピューティングの運用ノウハウを擁する理研と、HPCクラウドのサービス技術を擁するRescaleが連携することで、「富岳」の新たな利用スタイルの提供を目指すとしている。

ストリーミングに対する公正な支払い実現のために、Tidalがミュージシャンへの直接支払いシステムを構築

先に、Tidal(タイダル)と人気の独立系音楽ディストリビューターであるDistroKid(ディストロキッド)連携し、アーティストへの直接支払いシステムを発表した。Tidalによる今後のより大規模なシフトを予感させる今回のパートナーシップは、1日に何百万ものストリームを得ることのできない世のミュージシャン(要はテイラー・スウィフトやリル・ナズ・Xではない全ミュージシャンである)に資金をより公平に分配できるとされるストリーミングの支払いモデルを実験するためのものである。

Tidalの月額19.99ドル(約2300円)のHiFi Plusプランに加入している場合、月額利用料の最大10%、約2ドル(約230円)が最もよく聴いているアーティストに分配されるシステムで(そのアーティストがDistroKidを利用している場合に限定される)、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)のアプリストアのように、仲介金を取るサービスを通じてサブスクリプション料を支払っている場合この割合は減少する。CD Baby(シーディー・ベイビー)、Equity Distribution(エクイティ・ディストリビューション)、Stem(ステム)、Symphonic(シンフォニック)、Tunecore(チューンコア)、Vydia(ヴィディア)などの独立系ディストリビューターとも同様の契約を結んだとTidalはTechCrunchに対して話している。

このモデルは、一般的にアーティストに支持されているユーザー中心型決済システム(UCPS)の一例だ。UCPSを採用しているストリーミングサービスDeezer(ディーザー)によると、このシステムではファンのストリーミングに基づいてアーティストにサブスクリプション料金が分配されるため、個々のファンが好きなアーティストをより直接的かつ透明性をもってサポートすることができるという。Apple Music(アップルミュージック)のような1ストリームあたり約1セント(約1.1円)が支払われるプラットフォームで10曲入りのアルバムを1回聴いたとすると、そのアーティストは10セント(約11 .4円)の収入を得ることになる(ただしこれはディストリビューターやパブリッシャーが取り分を得る前の価格である)。しかし、DeezerやSoundCloud(サウンドクラウド)のようにUCPSを採用したプラットフォームでは、あるユーザーが1カ月に10人のアーティストの10枚のアルバムを聴いたとすると、そのユーザーの月額利用料の一部がその10人のアーティストに分配されることになり、各アーティストは10セント以上の報酬を得ることができる。つまりCDを買うのと同じ原理で、そのCDをどれだけ頻繁に聴くかではなく、そもそも買ったという事実が考慮されるということだ。

TidalがTechCrunchに話してくれたところによると、独立系ディストリビューターとの契約に加え、2022年1月からはHiFi Plusのレイヤーにもある種のUCPSが導入されるという。Tidalはメジャーレーベルとインディーズレーベルを含む100以上のレーベルと協力して、同社が「ファン中心型ロイヤリティプログラム」と呼ぶシステムを開発したと話している。

画像クレジット:Deezer

現在、Apple MusicやSpotify(スポティファイ)などの主要ストリーミングプラットフォームは、総ストリーミング数に応じて金額を分割するプロラタ方式で支払われている。しかし、音楽著作権侵害の危機に対する答えとして始まった音楽ストリーミングサービスの成長は、全体的に見るとミュージシャンにとってあまり有益なものではなかった。現代ミュージシャンの主な収入源はツアーのため、パンデミックの影響で多くのコンサートが中止になった今、ストリーミング配信の支払いの不公平さがより顕著になったのである。

Union of Musicians and Allied Workers(UMAW)は2020年「Justice at Spotify」というキャンペーンを開始した。このキャンペーンではストリーミング大手のSpotifyに対し、UCPSの採用、支払いに関する透明性の向上、1ストリームあたり最低0.01ドル(約1円)の支払いを要求している。UMAWによると、現状では同プラットフォームは1ストリームあたり平均0.0038ドル(約0.4円)を支払っていると推定されているが、Spotify自身はストリームあたりの支払いが意味のある分析値ではないとして、この値を開示していない。

Joey DeFrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)氏はUMAWを代表して、TechCrunchに次のように伝えている。「Tidalのユーザー中心型決済システム採用に向けた取り組みは称賛すべきものです。これは2020年に「Justice at Spotify」キャンペーンを開始して以来、私たちが要求してきたシフトであり、DeezerやSoundCloud(サウンドクラウド)ではすでに採用されています。ユーザー中心型は特効薬ではなく、ストリーミングロイヤルティにはより根本的な変化が必要ですが、それでも正しい方向への一歩と言えるでしょう」。

一方Apple Musicは、2021年初めに流出した社内メモによると、1ストリームあたり平均0.01ドル(約1円)を支払っている。Tidalも同様の額を支払っているといわれているが、同社自身は正確な数字を明かしていない。そしてストリーミングリーダー3社の中で最も多くの加入者を抱えるSpotifyは、最も低い金額を支払っている。

Spotifyのユーザーは競合他社のプラットフォームのユーザーよりも多くの音楽をストリーミングしているため、競合他社と比較して1ストリームあたりの支払額が少ないように見えるだけだとSpotifyは指摘している。また、Apple MusicやTidalとは違い、Spotifyは広告で補助された無料版を提供しており、これがストリームあたりの支払額の指標を歪めている可能性があるとしている。

ストリーミング配信の収益はアーティストに直接届くわけではなく、まずアーティストの所属するレコードレーベルやパブリッシャーに分配される。アーティストが1ストリーミングあたりに得られる金額は業界内の契約によって異なるが、UMAWによると、独立系アーティストが米国の国民中央値である1078ドル(約12万3000円)の月額家賃を支払うためには、毎月28万3684回のSpotifyストリームを達成する必要がある。

Spotifyは2018年にDistroKidの少数株を取得しているが、つい数週間前発表された四半期ごとのSECファイリングによると、DistroKidの持分の3分の2を約1億6300万ドル(約185億4000円)で売却したことが明らかになっている。このタイミングでDistroKidが、よりミュージシャンに優しいサービスであるTidalとすぐに契約を結び、UMAWがSpotifyに要求しているポリシーを実行に移したというのは実に興味深い。

しかしSpotifyは、ユーザー中心型決済システムが実際にどれだけアーティストの利益になるのか懐疑的だ。フランスの国立音楽センターの調査によると、上位1万以外のアーティストの場合、年間の支払い額は「せいぜい数ユーロ」しか変わらないという。

Spotifyのウェブサイトには次のように記載されている。「アーティスト、ソングライター、権利者が望むのであれば、我々はユーザー中心モデルへの転換を喜んで行います。しかし、Spotifyが単独でこの決定を下すことはできません。この変更を実行するには、業界の幅広い連携が必要不可欠です」。

UCPSの1バリエーションであるTidalの独立系ディストリビューターとの取引モデルは、確かにアーティストにとってはより有益なものになる可能性があり、最も多くストリーミングされたアーティストに対してユーザー1人あたり毎月2ドルのボーナスを支給すれば、それなりの効果が期待できる。しかし、どのようにしたらストリーミングプラットフォームがビジネスを運営しながらミュージシャンに対して正当な対価を支払うことができ、業界全体に変化をもたらすことができるかは、試行錯誤を繰り返さなければ見極めることができないだろう。

「ストリーミングのサブスクリプションコストが、実際に配信されているアーティストを直接サポートするというのは、正しい方向性への第一歩であり、私自身もTidalユーザーとしてうれしく感じています。とはいえ、月2ドルのボーナスは、1ユーザーにつき1アーティストにしか与えられず、独立したディストリビューター経由で契約したアーティストに対してのみのため、多くのミュージシャンにとって納得できるものではなく、形式的にも感じられます」とUMAWのメンバーであるSadie Dupuis(セイディー・デュピュイ)氏はTechCrunchに話している。デュピュイ氏はSpeedy Ortiz(スピーディ・オーティス)やSad13(サッドサーティーン)といったバンドのフロントを務めている。「一般的に、どの程度の自己配信型アーティストが、月間最もストリーミングされたアーティストの1位になれるのか知りたいところです。また、レーベルから配信されているアーティストは除外されています。彼らも公正なストリーミングロイヤルティを必要としていますし、特にそのロイヤルティの50%以上をレーベルと分割している場合はなおさらです。彼らの楽曲がどう配信されているかに関わらず、このサブスクリプションコスがより多くの音楽関係者に比例して分配されるようになればどんなにすばらしいかと思います」。

画像クレジット:DistroKid

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Dragonfly)

いつでも家族の思い出を整理・共有できる、プライベートソーシャルアプリ「Honeycomb」

Honeycombの共同創業者Amelia Lin(アメリア・リン)氏とNicole Wee(ニコル・ウィー)氏(画像クレジット:Honeycomb)

Honeycomb(ハニカム)という女性主導のスタートアップが、Stellation Capital(ステレーション・キャピタル)のPeter Boyce(ピーター・ボイス)氏主導によるシード資金400万ドル(約4億5200万円)の支援を受け、家族向けのプライベートソーシャルアプリをローンチする。今回プライベートベータが終了した同アプリは、Facebook(フェイスブック)やグループメッセージといった、写真や動画を見失いやすい、よりパブリックなソーシャルメディアプラットフォームを利用する代わりに、スマートフォンを介してお気に入りの瞬間や思い出を収集し共有する手段を家族に提供する。

注目すべきは、ボイス氏がGeneral Catalyst(ジェネラル・キャタリスト)を去った後に2021年設立した新しい会社Stellation Capitalが支援する最初のスタートアップがHoneycombであることだ。今回のラウンドには、Kyle Lui(カイル・ルイ)氏のDCM、Ben Ling(ベン・リン)氏のBling Capital(ブリング・キャピタル)、Charles Hudson(チャールズ・ハドソン)氏のPrecursor Ventures(プレカーサー・ベンチャーズ)、そしてAncestry(アンセストリー)のCEOであるDeborah Liu(デボラ・リュー)氏、Giphy(ジフィー)の創業者であるAlex Chung(アレックス・チャン)氏、Twitter(ツイッター)のエンジニアリングVPで以前はReddit(レディット)で同職務を務めていたNick Caldwell氏(ニック・コールドウェル)などのエンジェル投資家も参加した。

Honeycomb自身は、Udacity(ユダシティ)とOptimizely(オプティマイズリー)の元CEOであるAmelia Lin(アメリア・リン)氏と、Instagram(インスタグラム)の元プロダクトマネージャーNicole Wee(ニコル・ウィー)氏によって共同設立された。共同創業者たちは、プライベートなソーシャルネットワークを通じて家族をつなぐアプリを作ることに着想を得ていたが、当初はSagaという別のプロダクトでアプローチしていた。この最初のアプリは、家族が自分たちの人生のストーリーを記録できるソーシャルオーディオ体験だった。例えば、祖父母が最初に出会ったときの話や、子どもの誕生日の願い事を後で聞くことができるオーディオ日記のようなものだ。

しかし、このアプリは初期多くメディアに取り上げられたものの、必ずしも家族が望んだものではなかった。その代わりにチームは、アーリーアダプターたちから、音声だけではなく写真やビデオも保存したいという要望を聞いていた。そこでチームはこの秋、アプリの方向性を転換し名称をHoneycombに変更した。

画像クレジット:Honeycomb

この新しい体験は、9月にプライベートベータテストがローンチされたところで、家族がお気に入りの写真やビデオを保存し、それをテキストと組み合わせ、一種のデジタルストーリーに仕立て上げる方法を提供する。現時点用意されている体験は必ずしも、例えばiMessage上のグループチャットと比べてはるかに堅牢だとは言い切れないが、テキストメッセージングを使用するときには難しいような、古いシェアに立ち戻るための簡単な方法を提示している。ユーザーはリマインダーを設定して、その日のお気に入りの思い出のキュレーションを忘れないようにすることもできる。この機能は、赤ちゃんが新しいマイルストーンに達するのを見守りながら、毎日何十枚もの新たな写真をスマートフォンに次々とアップしていくような新米の親たちには最適かもしれない。

画像クレジット:Honeycomb

「その日の最高の思い出を整理していく、とても簡単な日課となるように手助けしています」とリン氏は説明する。「お気に入りを選択すると、自動的にこのストーリーに編集され、家族と共有されるだけではなく、このコレクションに永久に保存されます」。ただし、この体験はGoogle(グーグル)フォトやApple(アップル)の写真アプリ、あるいはDropbox(ドロップボックス)のようなユーザーの既存の写真サービスを置き換えるものではない、と同氏は指摘する。

「私はそれを、家族と交流するような、キュレーションされた美しい場所だとは思いません」とリン氏。「そしてFacebookやInstagram(を持つユーザーもいるかもしれませんが)、それは自分の赤ちゃんの写真をまさに公にさらしているように感じられます」。一方、Honeycombはデフォルトでプライベートだ。

「家族だけがここにいる人を選ぶことができる、それはかなり異なる哲学的アプローチだと思います」とリン氏は語り、次のように言い添えた。「ユーザーの写真やデータをサードパーティに販売するようなことはしていません」。

画像クレジット:Honeycomb

Honeycombは、広告で収益化するのではなく、サブスクリプションベースのサービスになるという点でも、主流のソーシャルアプリとは異なる。ただし同スタートアップは今のところ、新しいアプリを軌道に乗せるという観点から無料提供を行っている。

同社は、家族の年配ユーザーをどのようにプラットフォームに取り込むかについて検討を進めている。コンテンツをエクスポートして他の場所で共有できるようにすることも考えられるだろう。一方でチームは、赤ちゃんや子どもの新しい写真という魅力的な要素が、祖父母たちに対して、テクノロジーに詳しくなくても、スマートフォンにアプリをインストールする方法を理解する必要性を促すだろうと考えている。

ユーザーはHoneycombをダウンロードすると、まず基本的な機能セットへのアクセスを得る。しかしそう遠くない時点で、家族や友人と思い出を共有するためのより魅力的なストーリー形式を含む新しいベータ版へのオプトインを促される。(このオプトインは即時には行われないが、すでに展開されていることを同社は明らかにしている。)

AIではなく人間のキュレーションに立ち返り、ユーザーが最高の写真やビデオを見つけられるようにするという発想は、最近では確かに違いのあるアイデアだ。しかし、人々が日々のスナップ写真を整理したいのかどうか、特に「赤ちゃんが生まれた」という話題が消えた後にそうするのかは、依然として未知数である。

画像クレジット:Honeycomb

さらに、AIが役に立つこともある(おそらくスマートAIなら、筆者がアプリで誕生日の写真アルバムを作成した後、カバー写真としておもちゃの写真ではなく人物の写真をフィーチャーすることを知っていただろう)。AIはまた、照明の弱い写真や露光量が低い写真を廃棄することで、ユーザーが写真を自動的に分類することにも貢献する。

一般的にユーザーが望まないことは、自分の「最高の」写真についての最終決定権をAIに持たせたり、自らの生活や自身が重要だと考えていることに関するコンテキストなしにAIがアルバムを作成したりすることだ。そして自動化された「記憶」を通じて、自分たちが忘れたいと思う時間をAIに思い出させたくはないのである。

だが最良の解決策は、AIと手動キュレーションとのバランスを取ることかもしれない。ただしプライベートな社会的環境で行われるものとなろう。

Honeycombは事実上新しいアプリであるため、同スタートアップはユーザー数を公開していない。ただリン氏によると、Sagaから方向転換して以来、エンゲージメントは3倍になったという。

「Honeycombは、私たちの最も基本的かつ長期的な人間の欲求の1つ、家族の思い出をアーカイブし共有したいという願いを実現するためにテクノロジーを利用する、真にミッション駆動型の企業です」と、Stellationのピーター・ボイス氏はこのスタートアップへの投資について語った。「Honeycombはファミリーアルバムを21世紀にもたらす可能性を秘めています。イノベーションの段階的な機能変更の機に熟している、これほど大きな問題空間を見出すことは希少です。家族は、個人に向けた、親密になることを意図したソーシャルアプリの次の進化への準備が整っています。そしてこのチームはそれを構築しているのです」と同氏は付け加えた。

Honeycombは現在7人で構成されているが、この新たな資金を、同社のサンマテオオフィスで直接働くエンジニアを含む雇用に充てる計画だ。約10人の増員を見込んでいる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

PlanetScaleがエンタープライズデータベースサービスを一般公開、シリーズCで約57億円を調達

YouTubeに技術提供するVitess(ヴィッテス)オープンソースプロジェクトの共同クリエイターにより設立されたサーバーレスデータベース企業PlanetScale(プラネットスケール)は、2021年11月中旬、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)率いるシリーズCの資金調達ラウンドで5000万ドル(約57億円)を調達したことを公表した。既存の投資会社a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)、SignalFire(シグナルファイア)、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)に加え、GitHub(ギットハブ)の前CEOで共同創設者のTom Preston-Werner(トム・プレストン=ワーナー)氏、Lattice(ラティス)のCEOで創設者の Jack Altman(ジャック・アルトマン)氏、Instacart(インスタカート)の共同設立者であるMax Mullen(マックス・マレン)氏もこのラウンドに参加した。これにより同社は2021年6月に発表したばかりのシリーズBの3000万ドル(約34億円)を含め、総額1億500万ドル(約120億円)を調達したことになる。

関連記事:データベースクラスタリングのPlanetScaleはシンプルで使いやすい開発者体験を実現

さらに、同社はそのホスト型エンタープライズプラットフォームを一般公開したことも発表した。2021年3月の立ち上げからプライベートベータ版のみ利用できていたサービスだが、同社にはすでにYouTube(ユーチューブ)、GitHub、New Relic(ニューレリック)、Slack(巣ラック)、MyFitnessPal(マイフィットネスパル)、Square(スクエア)、Affirm(アファーム)などの顧客がいる。「私達には主要な上位4000のウェブサイトがあり、それがPlanetScaleに移行し、現在PlanetScaleによりベータ版でホスティングされています」と、PlanetScaleのCEOであるSam Lambert(サム・ランバート)氏はいう。「人を寄せ付けずにはいられません。ベータ版もそれを止めませんでした」。

GitHubのエンジニアリング部門の前VP、ランバート氏は、PlanetScaleのチーフプロダクティブオフィサーを9カ月務めた後、7月にCEOの職に就いた。彼は、共同創設者でありチーフストラテジーオフィサーとなって引き続き同社の理事会メンバーを務めるJiten Vaidya(ジテン・ヴァイジャ)氏の後を継いだ。

ランバート氏は、PlanetScaleが急速に拡大し、従業員数が過去6カ月で3倍に増加した。「特にNetlify(ネトリファイ)Vercel(ヴァ―セル)のようなプラットフォームを使用している場合、当社はデフォルトのサーバーレスデータベースとして話題に上っています。サーバーレスは産業の1つとして成長していますが、あまり複雑でない分野で成長していました。【略】サーバーレスの世界でデータベースを組み立てた人が数人いました。しかし私達が現れて、完全に新しい物を持ち込んだのです。地球上で2番目に大きなウェブサイト、YouTube.comのバックエンドとなるデータベースを、サーバーレスの世界にもたらしました」と、ランバート氏は述べた。

Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)のパートナー、Bucky Moore(バッキー・ムーア)氏によると、PlanetScaleのようなトランザクションデータベースは「すべてのインフラストラクチャの中で特別な市場機会」だいう。大手のクラウドプロバイダはこれらのサービスにより何十億ドル(何千億円)も生み出しているが、投資家達は慎重な姿勢を崩さない。「多くの投資家が、率直にいって、この軸のクラウドプロバイダと競争することを躊躇してきました。それが彼らの心と戦略にとって身近で重要なビジネスだからです」とムーア氏はいう。「しかし、それに対する私の考え方はまったく違います。ウェブスケールでソフトウェアを世界のユーザー基盤に提供するにはこの2つのメガトレンドが必要で、もちろんパブリッククラウドがもっと簡単にします。しかし同時に、このデータベースの部分の解決方法についてはそれほど革新が行われていません。そしてもちろん、だからこそヴィッテスがそのような興味深いテクノロジーであり、大変多くの大企業が大規模にそれを運営しているのです」。

その一方で、ランバート氏が議論するのは、サーバーレスがついにクラウドの元の多くの約束を果たすポイントに到達していることである。「クラウドは最終的に、『もうサーバーの電源を差すことはない』段階に移行しました。しかし、企業には人々のチーム、AWSを管理する何百もの従業員がいて、『私達が行くべきところまで行かなかった』。私は、サーバーレスはそれを持ち上げ、それは加速していると思います。半端ないペースです。そしてそれは人類の進歩ももたらします。従業員5人の会社が何十億ドルもの価値を上回るという事実が生まれます。理由はサーバーレスツールを活用するだけ、これらをまとめるだけだからです」。

PlanetScaleはMySQL(マイ・エスキューエル)やVitess(ヴィテス)などのオープンソースプロジェクトの頂点に立つが、ランバート氏もムーア氏も、大手クラウドプロバイダがコードを使って独自の競合を立ち上げることを恐れていない。

「クラウドがクローンできないことの1つはセンスです」。ランバート氏は述べた(そして、ランバート氏ほど多くの熱意と情熱を持つ人はほとんど会ったことがないと書いておくべきであろう。)。「それは間違いなく真実ですよね。みなさんはライセンシングの議論を目にしています。現在のライセンシング戦争です。多くの企業と多くのデータベース企業がBSLライセンシングの陰に隠れています。なぜならクラウドがそのツールを拾い上げるとの恐れからです。人々が私達のセンスを真似ることができても、私達は恐れません。私は大企業がGitHubの競合を作っては閉店させている間、GitHubに留まっていました。そしてそれは、美とデザインと驚くべきセンスを通して人々と感情的に共鳴する、私達の驚くべき能力のおかげです。【略】私達はクラウドの試行を恐れません。なぜなら真に、私達が話にもたらす魔法が非常にユニークだからです」。

同社の将来計画に関しては、ランバート氏は伝えた。これまで、PlanetScaleじゃそのロードマップのために基礎を築いただけだった。彼の見解によると、同社はヴィッテスができることの約10%のみを示したが、チームはログインシステムや監査ロギングのような基本のみを、同社が次のステップでそれらの作業を行えるようになる前に投入する必要があった(しかしデータベースの分岐によって、すでに複数の高度に革新的な機能も立ち上げた)。PlanetScaleチームの見解では、データベースの世界の多数の作業がデータベース自体から作業を取り上げ、データベース外のデータを扱っている。しかし、もしヴィッテスのように堅牢で高度にスケーリング可能なシステムがあれば、アーキテクチャを簡素化し、時間の経過とともに、多くのデータベースシステム外で構築されたプリミティブをそれに戻すことができる。

今日のGAの立ち上げにより、同社はすでに新しいデータベースのインポート機能を提供している。それによりユーザーはたった数クリックで既存のMySQLデータベースをPlanetScaleに移行させることができる。これは新しいユーザーが完全な移行を行う前に独自のデータを用いてサービスをテストすることが簡単になるはずである。サービスは現在新しいPrisma Data Platform(プリズマ・データ・プラットフォーム)にも統合され、開発者がPrisma(プリズマ)でPlanetScaleのデータベースを作ることができる。

画像クレジット:EDUARD MUZHEVSKYI / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

コラボで作ったオーディオクリップをソーシャルメディアビジネスにつなげたいBeams、先行きは不明瞭?

ソーシャルオーディオにさらなる追い風ともいえるのだろうか。ベルリンを拠点とし、2019年に設立されたソーシャルオーディオスタートアップであるBeams(ビームズ)は「オーディオベースのソーシャルメディア」と銘打って、小さなひと口サイズのバラバラなオーディオ録音を共有して視聴してもらうためのプラットフォームを構築している。同社はこのたびのシードラウンドを300万ドル(約3億4000万円)で完了。前回のラウンドで獲得した300万ドルと合わせて合計600万ドル(約6億8000万円)を資金調達した。

Beamsの4人の共同創業者(共同CEO)のうち、Alan Sternberg(アラン・スターンバーグ)とRobert Kilian(ロバート・キリアン)の2人は、今、さらに資金を調達する理由を次のように説明する。「私たちは、2020年末に300万ドルを調達しました。テスト段階では、投資家から非常に高い関心と注目を集めていました。そこで、初夏の頃、The Venture City(ザベンチャーシティー)とKal Vepuri(カル・ベプリ)という2人の戦略的投資家を新たに迎え入れることにしました。そして総額600万ドルのシード資金を獲得することができたのです」。

Crunchbase(クランチベース)のデータを見ると、Beamsの、初回のシードラウンドおよびプレシードにおける投資家は、Mangrove Capital Partners(マングローブキャピタルパートナーズ)とRedalpine(レダルパイン)だったことがわかる。

Beamsの創業チームには、Soundcloud(サウンドクラウド)、Spotify(スポティファイ)、N26(エヌトゥエンティフォー)の元社員が名を連ね、同社のPRによると「人々が音声を軸につながる理由を深く理解している」面々だという。

Beamsの大きな目的は「人々が集まり、さまざまなトレンドや関心事について多様な意見を共有できる」プラットフォームを構築することだ(同じヨーロッパ発のAnyone(エニワン、アドバイスに焦点を当てている)Wisdom(ウィズダム)など、さまざまなソーシャルオーディオスタートアップも同様のことをいっていた)。

Beamsのユーザーは、関心事ごとに分けられたグループに参加し、(それぞれのユーザーのタイミングで)トピックベースのスレッドを聞いたり、クリップしたりすることができる。アート、政治、ファッション、グルメ、音楽など、トピックは何でも良い。

Beamsのトピックはまさになんでもござれで、全体的にはかなりランダムな感じがする。視覚でいえば、塗料を飛び散らせたスプラッシュペイントといったところだろうか。

Beamsのスローガンは「Real people, real voices(本物の人、本当の声)」。ラジオをチューニングしてトーク番組を聞く(あるいはClubhouseTwitterのスペースに参加してフォロワーや他の人のおしゃべりを聞く)ことに取って代わるアプリベースの手段について考え出されたスローガンだ。

しかし、ソーシャルオーディオのノイズの中から自分が聴きたいものを見つけることは、本当に難しい。

Beamsのオーディオクリップは90秒が上限だが、録音はもっと短くても構わない(スレッドが構築されると、アプリが音の断片[サウンドスニペット]をつなげてくれる)。つまり、ある程度短いことで手早く聴けるということになる。

90秒未満でも長いという場合は、アプリのボタンで再生速度を最大2倍まで上げることができるので、もっと短く音声を楽しむことができる(0.75倍までのスロー再生も可能)。

Beamsのアプリを見るとコンテンツの作り手がかなり不足していることがわかる。例えば、トップページの特集スレッドの中には1つ、2つのレスポンスしかないものもある。さらにもう少し見てみると、さまざまなスレッドに同じような顔ぶれが投稿していて、その中にはBeamsのスタッフがいることも確認できた。

本来あるべきコミュニティの形成はまだ始まったばかりのようだ。

Beamsによると、当初からのユーザーは、文化的なテーマや過去の出来事についてのストーリーや思い出を投稿する若者、60秒のインタビューを他の人と共有するプロのオーディオコンテンツクリエイター、フォームを使って写真に写っている人の声を伝える写真家、外部で行われたイベントを記録する市民ジャーナリストなど、実に「幅広い」ユーザーで構成されているという。

アプリで確認できるグループやトピックの多くは、例えば「過去に受けた最高のアドバイス」「世界の朝食」といった、コンテンツの生成を促進するためのわかりやすい種(たね)であるように思われる。また「オープンマイク」というラベルの付いたグループも同様で、女性の「UberStories」や「TinderStories」といった特定のテーマのグループやトピックで、ユーザーにストーリーの共有を促している。

メンバー数が最も多かったグループ(~1000人)は、ポッドキャストのアイデアやポッドキャストプロジェクトへの協力を募るオープンピッチだった。

大まかにいえば、メンバー数が非常に少なく、よりテーマを絞ったニッチなグループが多い(例えば、特定の地域の問題を明らかにすることを目的とした「ミネアポリスの警察改革について」といったグループ、あるいは「9.11から20年」のように特定の視点や経験をナレーションで表現するグループ、旅行や料理のヒントとなる「ラスベガスのビーガン向けベストスポット」などのグループが挙げられる)。しかし、なぜこのようなコンテンツをテキストではなくオーディオで提供する必要があるのか、という点は十分に検討する必要がある。

おもしろいと思ったグループの1つ「Young, Black & Fly」(メンバー数59人)は「若い黒人クリエイターのレンズを通して、アート、映画、音楽についてすべての人に向けて語るマイクロポッドキャスト」と称してさまざまなメディアのクリエイターにひと口サイズのインタビューをしている。

一方、NFTについて、あたかも義務であるかのように毎日投稿されるニュースグループ(メンバー数18人)はあまりおもしろいとは思わなかった。

Beamsの短い音声フォーマットでは、グループのホストと招待されたゲストとの間で一問一答形式のインタビューを行うことができる。1つの(長い)インタビューが、見つけやすい、共有しやすいチャンクに分解されることになるのだが、そうすることでポッドキャストやラジオ番組を視聴するよりも夢中になれないという欠点が生じる。

一問一答に近い形式の再現を目的としたオープングループでは、積極的なキュレーションは行っていないので、気が向いたら誰でも口をはさむ(オーディオクリップを投稿する)ことができる。その結果、リスナーの視点から見たスレッドは、内容や品質が均一ではないこともあり得る。

全体的に、Beamsはまだ実験段階にあるように感じられる。

ひと口サイズの「マイクロポッド」は、ラジオ放送世代よりも後の、注意力が続かない世代には向いているのかもしれないが、まだ不透明だ。どちらかというとソーシャルオーディオのノイズを増やしているようにも思える。

Beamsの共同創業者は、アプリのユーザー数を質問され「4万人以上のユニークユーザーが5000以上のグループに参加している」と回答している。ということは、おそらくアクティブユーザーはもっと少ないだろう(グループの運営にはBeamsのスタッフも積極的に関与している)。とはいえ、Beamsは2021年5月にベータ版がリリースされたばかりだ。

ソーシャルメディアの手法として、なぜ尺の短いオーディオに注目したのか?という問いに対し、スターンバーグ氏とキリアン氏は次のように話す。「クリエイターとリスナーの両方の視点から、短尺のオーディオスペースにはイノベーションが必要です」。

「現在ユーザーが利用できる方法で良いオーディオコンテンツを作るには、非常に高いハードルがあります。ハードウェアも必要ですし、話すためには十分な専門知識も必要で、一般向けではありません。一般の人がオーディオコンテンツを作るには、あまりにも多くの障害があります」。

「また、リスナー側にとっても簡単ではありません。例えば、ポッドキャストやライブオーディオセッションが自分にとって役に立つか、おもしろいか、自分の時間を費やす価値があるかどうかを知るには、それを聴くしかありません。聴いてみてどうなるかわからないし「おもしろいところ」にはなかなかたどり着けないし、コンテンツを作っている人を良く知っていて信頼していない限り、聴いてみるのも簡単ではないのです」。

「私たちは、このような状況を打破する革新的なソリューションを構築したいと考えています。皆が簡単に録音したり、他のユーザーの話を聴いたりできるソリューションです」。

とはいえ、純粋に「聴く価値のあるもの」を探し出すには、明らかに「まだまだ」だろう。

90秒ごとに分割された音声(つまり、何回も最初の挨拶と冒頭のセリフを聴かなければならない)と、人の声を2倍速にするボタンは、すばらしいオーディオ音声の提供とは非常にかけ離れている。

これは、多くのコンテンツがスキップされてもやむを得ないと考えていることを意味しているようなものだ。リスナーが退屈な部分を聴かないで済むようにするためのツールなのに、その過程で(音声コンテンツを募集するとか、感想を話すだけとか、品質が考慮されていないような録音など)その場を埋めるためだけのオーディオを生み出してしまうのであれば、全体的なアプローチとしては逆効果のようにも思える(あるいは、Beamsがまだ上手い方法を見つけられていないだけかもしれないが……コミュニティの成長と成熟には時間がかかるものだから。)

Beamsの共同CEOは、現在のオーディオプラットフォームには「人々が直感的につながる方法」が欠けているとも考えていて「(Beams以外に)トピックベースの双方向型のオーディオプラットフォームは存在しない」と主張する。

彼らは、Beamsの目標は「ユーザーが自分の考えをさまざまな方法で簡単に記録し、グループやトピックに分けて共有できる」ツールを構築することであると話し、オーディオを構造化するという目的を強調している。

また、彼らは自分たちが構築しようとしているのは「音楽ストリーミングサービスのように、ユーザーの声をボイススレッドの一部にするための拡張オーディオプレイヤー」であるとも説明する。将来的には音声の書き起こし機能を追加し、Beamsの音声記録を他のソーシャルネットワークにエクスポートして利用できるようにすることも計画しているという。

ボイススレッドを中心に、他の形式のツールを追加することも予定しているそうだ。

オーディオの共有と視聴のための「シンプルで包括的な」ツールを構築することに注力すると同時に、スターンバーグ氏とキリアン氏は(Beamsよりも)閉鎖的な競合他社と比較してもっとオープンにすることで、競争の激しい業界で差別化を図ることも目的としていると話す。

「他のオーディオプラットフォームの多くは、そのアプリの中だけ、あるいはログインしたサービスの中だけですべてを完結させていますが、私たちは、クローズド(閉じた)エコシステムでユーザーとユーザーがつながることを強要したくありません」「私たちはBeamsを、単なるソーシャルメディアネットワークではなく、オーディオソリューションを構築するためのプラットフォームだと考えています。Beamsはウェブ上でも利用可能でオープンです。ログインしなくてもBeamsアプリを持っていなくても利用できます」。

「Beamsの目的は、ユーザーには路上で声を集めて共有する方法を、ジャーナリストやメディアにはストーリーを簡単に埋め込んで共有する方法を提供することです。友人同士なら、WhatsApp、Telegram、Signalなどの自分が好きなアプリで声を共有できますね」。

収益性はどうだろうか。Beamsの共同CEOたちは、まだ収益化のことは考えていないようだ。

「私たちは、コーポラティブな短尺オーディオのためのプラットフォームとコミュニティの構築を目指しています。さまざまなユーザーグループが私たちの製品をどのように使用しているかを注意深く観察して経験を積み、将来的にはコミュニティとBeamsの双方に収益をもたらすことが可能な有意義な方法を導入できると考えています」。

モデレーション機能(投稿やコメントをチェック・評価して不適切な投稿を除外する仕組み)については、彼らは次のように話す。「モデレーションは大きな課題ですが、オーディオコンテンツが録音されていること(と書き起こしのテキスト)があれば、コミュニティを守るためのサービスを構築できます」。

画像クレジット:ChaiyonS021 / Shutterstock

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

無駄な在庫が激減、ファッション業界向けのキャンセル待ちと予約注文のプラットフォーム英Purple Dotが4.6億円調達

ファッション業界は予測が難しいため、ファッションブランドは製品の需要を当てずっぽうで見積もることが少なくない。需要の予測が外れれば無駄な在庫を抱えることになる。衣服は最終的に焼却処分されることが多く、環境に影響を与える。英スタートアップのPurple Dotは、eコマースの「キャンセル待ちと予約注文」プラットフォームで、ファッションブランドは注文を受けた分だけを製造できるので結果として無駄が減る。

Purple Dotは、米国を拠点とするUnusual Venturesが主導したアーリーステージのラウンドで400万ドル(約4億6000万円)を調達した。以前に投資していたConnect VenturesとMoxxie Ventures、そしてIndeedの共同創業者であるPaul Forster(ポール・フォースター)氏のファミリーオフィスも参加した。

2019年に起業家のMadeline Parra(マデリーン・パーラ)氏とJohn Talbott(ジョン・タルボット)氏がPurple Dotを創業した。Purple Dotはeコマース企業が「売上を最大化するやり方で在庫を早く販売し、ブランドロイヤルティを構築し、需要のデータを早期に得る」プラットフォームだと同社は説明する。同社のキャンセル待ちソリューションを利用すれば、在庫を倉庫に入れる前に販売できる。同社はこうしたことが可能な、市場で唯一のソリューションであるとしている。

Purple Dotの共同創業者でCEOのマデリーン・パーラ氏は次のように述べた。「早い段階での販売は、ブランドが売上を獲得する上でまったく新しい世界を開きます。販売用の在庫を倉庫に置く必要があるというのがこれまでの考え方やテクノロジーでした。しかしPurple Dotを利用すると、販売と出荷を非同期にできるため常に販売できます。これは我々のブランドパートナーにとって驚きの瞬間です。早期販売の戦略を成功させるには、適切なカスタマーエクスペリエンスと社内運用を実現する専用のアプローチが必要です」。

Unusual Venturesの投資家であるRachel Star(レイチェル・スター)氏は次のように述べた。「Purple Dotは単なるeコマース支援ではありません。サプライチェーンの管理とブランドの販売方法を変革しつつあります。予約注文とキャンセル待ちがオンラインショッピングのこれからの形になると我々は考えています」。

画像クレジット:Purple Dotのマデリーン・パーラ氏(CEO)とジョン・タルボット氏(CTO)

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokをモデレーターが提訴、生々しい動画の審査業務が精神的トラウマに

Bloombergの報道によると、TikTok(ティックトック)のモデレーターが、生々しい動画による精神的トラウマを理由に、同ソーシャルメディアプラットフォームとその親会社であるByteDance(バイトダンス)を訴えたという。提案されている集団訴訟の中で、モデレーターのCandie Frazier(キャンディー・フレイジャー)氏はこれまで、暴力、学校での銃撃、致命的な転落、さらにはカニバリズムなどが映っている動画をスクリーニングしたと述べている。「(結果)原告は睡眠障害に悩み、眠れた時には恐ろしい悪夢にうなされています」と訴状には記されている。

問題をさらに悪化させているのは、TikTokはモデレーターたちに12時間のシフト制で働くことを要求し、1時間の昼食と15分の休憩を2回取ることしか許さないことだという。訴状によると「膨大な量のコンテンツがあるため、コンテンツモデレーターは、1つの動画につき25秒以内の視聴しか許されず、同時に3~10本の動画を観ることになる」とのこと。

TikTokは、Facebook(フェイスブック)やYouTubeを含む他のソーシャルメディア企業とともに、児童虐待やその他のトラウマになるような画像にモデレーターが対処するためのガイドラインを作成した。その中には、モデレーターのシフトを4時間に制限することや、心理的なサポートを提供することなどが盛り込まれている。しかし、訴訟によると、TikTokはこれらのガイドラインを実施しなかったとされている。

コンテンツモデレーターは、ソーシャルメディアに掲載される生々しい画像やトラウマになるような画像の矢面に立ち、ユーザーがそれらを体験しなくて済むようにする役目を背負っている。大手テック企業にコンテンツモデレーターを提供しているある企業は、この仕事が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を引き起こす可能性があることを同意書の中で認めているほどだ。しかし、ソーシャルメディア企業は、心理的な危険性を考慮して十分な報酬を支払っておらず、メンタルヘルスのサポートも十分ではないとして、モデレーターなどから批判を受けている。2018年には、Facebookに対して同様の訴訟が起こされている。

フレイジャー氏は、他のTiktokスクリーナーを代表して集団訴訟を起こすことを希望しており、心理的傷害に対する補償と、モデレーターのための医療費支援基金を設ける裁判所命令を求めている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

レブコムの音声解析AI電話MiiTel、Salesforceとの連携を強化する「MiiTel for Salesforce」提供開始

RevComm(レブコム)は12月23日、Salesforce AppExchange上において「MiiTel for Salesforce」を提供開始したと発表した。音声解析AI電話「MiiTel」とSalesforceの連携をより強固にするアプリケーションで、工数削減や架電振り返りに活用できるという。

MiiTelは、電話業務における会話の内容を自動録音・文字起こしにより可視化、AIにより解析し、高精度のフィードバックを行うことで業務効率化を実現できる音声解析AI電話サービス。電話営業やコンタクトセンター業務などにおいて商談の内容を振り返ったり、また別部門への伝達をスムーズに行えるようになるという。これを顧客関係管理システムであるSalesforceとの連携を強化するのが、MiiTel for Salesforceとなる。

MiiTel for Salesforceでは、MiiTelでの会話録音の再生や、応対評価や音声評価、音声認識結果をSalesforce上から確認できるようになる。MiiTel管理画面に遷移することなく内容を把握できるため、工数削減や架電振り返りに活用できるという。

「MiiTel for Salesforce」概要

  • MiiTelでの会話録音の再生:気になった録音をSalesforce上ですぐに確認することで、振り返りを迅速に行える
  • 応対評価・音声評価:Talk比率、沈黙回数、被り回数、ラリー回数、抑揚、話速といった指標をSalesforce上で確認可能。セルフコーチングを行いやすくした
  • 音声認識結果:音声認識結果をSalesforce上で確認することで、電話応対の可視性を高められる。会話の文字起こし結果をSalesforceの活動履歴上で確認でき、応対内容の社内共有を迅速に行える

 

レジャー予約サイト「アソビュー!」運営元が総額30億円のシリーズE調達、累計調達額約55億円に

レジャー予約サイト「アソビュー!」が総額30億円のシリーズE調達、累計調達額約55億円に

遊び・体験の予約サイト「アソビュー!」をはじめ、観光・レジャー産業向けSaaSなどを提供するアソビューは12月24日、シリーズEラウンドにおいて、総額30億円の資金調達を12月23日に完了したと発表した。引受先は、フィデリティ・インターナショナル、三井不動産とグローバル・ブレインが共同運営する「31VENTURES-グローバル・ブレイン-グロースI事業」。累計調達額は約55億円となった。

調達した資金により、アソビュー!の認知拡大、観光・レジャー産業向けのバーティカルSaaSによるDX支援を実施する。またこれに伴う、プロダクト開発やインフラ面の整備、人材採用にあてる。

2011年3月設立のアソビューは、「アソビュー!」、大切な人に思い出を送る体験ギフト「アソビュー!ギフト」、レジャー観光・文化施設向けDXソリューション事業を提供。「生きるに、遊びを。」をミッションとし、「遊び」が衣食住に並ぶ人生を豊かに彩るものとして、ウェルビーイング(Well-Being)な社会の実現を目指している。

アマゾンのワーナー・ヴォゲルスCTOがまだ引退できない理由

Amazon(アマゾン)のWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)氏がCTOに就任してから16年という月日が経つが、御年63歳の同氏の頭に引退の文字はまだない。「まだまだやるべきことがたくさんあります」。先にラスベガスで開催された同社の年次カンファレンス「re:Invent」で私が行ったインタビューで同氏はそう話す。「今自分たちがやっているすべてのことに夢中になっています。夢のような仕事ですね」。IT予算のうちクラウドに使われている割合がまだ少ないことを指摘し「テクノロジー面ではさらに多くのことが計画されているので、私はどこにも行きませんよ」と同氏は意気込んでいる。

re:Inventを開催することにより、対面式カンファレンスの復活という大きな賭けに出たAmazon。同イベントには通常6万人以上の参加者が参加し、1週間にわたってラスベガス・ストリップが占拠される。2021年の参加者数は約2万7000人となったが、それでもこの人数は新型コロナウイルスの蔓延前の平常時のイベントとしても最大級の技術カンファレンスである。

長年AWSのCEOを務めてきたAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏率いるAmazonのリテール部門のCEOに就任したことにより、Adam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏がAWSの指揮を執るようになったが、今回のカンファレンスは同氏をトップに迎えて以来初のイベントとなった。セリプスキー氏は今回のイベントで、一部の人間に期待されていたようなAWSの大きな戦略変更を発表することはなかったのだが、それもそのはず、ヴォゲルス氏によると、新しいリーダーシップ下ではまだ大きな変化が何も起きていないのだという。

関連記事:アマゾンのベゾス氏が退任、新CEOにAWSトップのアンディ・ジャシーが就任

「もちろんアダムのことは知っていましたよ。彼はAWSの2年目、あるいは1年目に参加してくれました。その後はご存知のようにTableau(タブロー)に行ってしいましたが、また戻ってきてくれました。彼はこのビジネスを熟知していますから、とてもすばらしいことです」とヴォゲルス氏は話しており、またセリプスキー氏がTableauのCEOに就任する前から、セリプスキー氏とジャシー氏が長い間緊密に協力し合っていたことにも言及した。「ただ継続的に取り組んでいるのみです。私たちを取り巻く世界は当然変化しており、彼が対応しなければならないことはたくさんあると思いますし、AWSについても同様です。我々のビジネスは、現在の栄光に満足してゆっくり座っていられるようなものではありません。革新を続け、自らも革新していかなければならないビジネスなのです」。

画像クレジット:AWS

基調講演の中で、AWSには現在何百種類ものサービスが存在すると言及したヴォゲルス氏。その理由はどんどん欲しがるお客のせいだと言って笑いをとったが、実際のところ同社がどのサービスを進めるのかを判断するのが年々難しくなっており、これは現実的な問題にもなっている。AWSはフレームワークではなくプリミティブを構築することを信条としているとヴォゲルス氏はいうが「しかしそれだけではなく、過去数年間に見られたように、私たちにはより多くのソリューションを構築し、顧客のためにより多くのパッケージ化されたものを構築するチャンスがあると思います。AWSには組み立てなどを得意とするビルダー面もまだ多くありますが、データレイクを必要としているお客様もかなりの割合でいらっしゃいます」。その中には、同社のマネージドサーバーレスデータ統合サービスであるAWS Glueのようなプリミティブを利用して、他のソリューションを構築するAWSの内部顧客も含まれている(もちろん、これらの内部チームからのフィードバックサイクルは非常に迅速である)。

すべてのサービスにおいてユーザーは常にあらゆる新機能を求めているが、同社の開発チームのロードマップはそれに付随している。AWSはしばしば、顧客がサービスをどのように利用しているかに基づいてロードマップを変更するのだとヴォゲルス氏はいう。例えばAWSのNoSQLキーバリューデータベースであるDynamoDBの場合、開発チームは顧客がセカンダリインデックスを必要としていることを知っていたものの「顧客がこれらのデータベースをどのように使い始めるのかを正確に理解するために、あえてインデックスを使わずにサービスを開始することにしました。セカンダリインデックスはすでにロードマップに入っていましたが、実際にはお客様はセカンダリインデックスよりもセルレベル、ロウレベルのセキュリティを求めていました。お客様次第でロードマップを変更することで、より健全なアプローチができるのだと思います」。

クラウドへの移行というテクニカルな部分だけでなく、それにまつわるあらゆることに頭を悩ませている伝統的な大企業も、同社にとってのもう1つの顧客層だとヴォゲルス氏は説明する。そのための組織体制をどのように構築するか、というところでAWSのパートナーネットワークの出番となるわけだが、最近ではこうした企業文化的な変化についてもAWSに直接依頼されるケースが増えているという。

2019年11月7日、ポルトガル・リスボンのAltice Arenaで開催されたWeb Summit 2019の最終日、MoneyConfステージに登場したAmazonのCTO、ワーナー・ヴォゲルス氏(画像クレジット:Harry Murphy/Sportsfile、Web Summit用、Getty Images)

5年前、クラウドへの移行が進んだ主な要因は、開発者の生産性向上とハードウェア所有からの脱却だった。「最近となっては一番の理由はセキュリティです」とヴォゲルス氏は指摘する。「多くの企業、特に大企業は自分たちで自分たちを守ることが不可能だということに気づき始めています。企業がそこまで投資することができなくても、AWSが作って差し上げることは可能です。そのためセキュリティがクラウドへの移行の大きな原動力となっているのです」。

数年前までは企業がクラウドのセキュリティを懸念し、それが理由でクラウド移行をためらっていたことを考えるとかなりの進歩である。それはほぼ「FUD」が原因だとヴォゲルス氏はいう。「Fear(恐れ)、Uncertainty(不確実性)、Doubt(疑念)を意味するFUDです。競合他社はより良い製品を作る努力をする代わりに、嘘の情報を流して恐怖や不確実性を煽ることを好むことがあります。標準的なIT企業は皆、本屋でサーバーを買うなんて頭がおかしいんじゃないかと思っていたのでしょうが、蓋を開けてみたら、誰もが本屋からサーバーを買いたかったのです。人々はAmazonが初めからテクノロジー企業であることに気づいていなかったのです」。

画像クレジット:AWS

ヴォゲルス氏自身も入社前はAWSに対して非常に原始的な見解を持っていたという。学者であった同氏が初めて講演に招かれたとき、同氏はAmazonのことをよく知らなかったという。実際、サービス開始当初はエンジニアの採用が最大の課題の1つだったと同氏は振り返る。「しかし裏側を覗いてみると、Amazonでは分散システムの教科書に載っているようなことが、それもこれまでに見たことのないようなスケールで起きていることに気づいたのです」。

クラウドのセキュリティに関しても、初期の頃は同じような誤解があったという。また、ヴォゲルス氏自身がAmazonの規模について抱いていたような純粋な誤解の他に、別の種類の誤解もあったという。それが「競合他社に対する悪意ある誤解」だ。「今ではとても良いパートナーとなっている当時の競合他社の1社は、以前実際に営業会議で『誰がAmazonからサーバーを買いたいというんだ。まったく馬鹿げている、心配する必要はない』と言っていました。今では状況が違います」。

大企業のCIOやCTOなどの意思決定者と話をしていると、高度なクラウド環境の醍醐味を最大限に活用するためにマルチクラウドにしたいという話がよく出てくる。AWSをはじめとする大手クラウドベンダーは現在、これを実現するために自社の技術を使って競合他社のクラウド上でコンテナやサービスを実行・管理できる何らかのサービスを提供しているが、実際にはこれをしっかり実現できている企業は多くない。実際にはこれでは最低共通項に固定されてしまうという声を聞くことが多く、ヴォゲルス氏も同じことを感じている。

「もし私が大企業のCIOであれば、部下に全部見てみるように指示するでしょうね。私が話をするようなお客様がマルチクラウドに本当に興味があるのであれば、使いたいと思うクラウドの特出した機能が何であるかを調べるべきなのです。開発者にさらに3つ、4つのクラウドに透過的に取り組めとはいうべきではありません。最低共通項に落ち着いてしまうからです。結局クラウドをデータセンターとして利用することになり、せっかくのメリットが失われてしまうのです」。

他のサービスを評価するときと同様に、お客様は出口戦略を持ちたいと考えていると同氏は主張する。実際には単一のクラウドプロバイダーを利用しつつ、必要に応じて他のクラウドに簡単に移行できるようなシステムを構築するということだ。

多くの企業にとってクラウドへの移行とは、いまだ既存のサービスを持ち上げて移行することを意味している。しかし最近では新しい開発パターンにも目が向けられるようになっている。基調講演の中でヴォゲルス氏はサーバーレスのパターンを使うことを特に強調していたが、実際に今後はそれがデフォルトのようになるべきだと考えている。私がこの点について質問すると「ゼロから構築するのであればそれが賢明ですね」と回答した同氏。その上で現在のコンピュートプラットフォームには、インスタンス、コンテナ、サーバーレスの3種類があることも指摘する。SAPシステムであればおそらくEC2上の専用インスタンスへの移行が一般的で、また小さなブロックに分解できる自社ツールなら、コンテナやKubernetesに適している。そしてまったく新しいサービスには、サーバーレスが適しているということだ。

「おもしろいことに、AWSのサーバーレスプラットフォームのLambdaを発表したとき、当時は若い起業家やデジタル系の人間が喜ぶのだろうと思っていました。しかし結果的には、Lambdaの最大のユーザーは大企業だったのです」。ヴォゲルス氏はこれはサーバーレスによって企業がコストをよりコントロールできるようになったからではないかと推測している。

また、サービスがアイドル状態の間はリソースを消費しないサーバーレスでは、持続可能性の確保が見込めるのだと同氏は指摘する。AWSは先週、ヴォゲルス氏が基調講演で発表したように、サステナビリティを自社のフレームワークの6番目の柱に指定している。AWSはクラウドの持続可能性のための共有責任モデルを信じており、2025年までに100%再生可能エネルギーで運営することを計画している。しかし同時に、クラウドを最も効率的に利用する方法を考えるのはユーザー次第なのである。

画像クレジット:AWS

「私はお客様にも何ができるかを考えてもらうよう、呼びかけています。技術的なことだけではなく、例えば少しでも軽いウェブサイトに変更するのはどうでしょう。画像の容量を5メガバイトではなく、50キロバイトにするのは無理ですか?このようなことです。アプリケーションの設計やウェブサイトの設計において、実際に使用するリソースが少なくて済むようなことを意識してみたら良いのです」。ある意味、エンジニアの常識に反する考え方ではあるが、何を最適化するかが問題なのだと同氏は考えている。多少のレイテンシーはコンバージョン率を下げるかもしれないが、持続可能性の目標を達成するには効果的なのである。

「2、3年後にはより多くの開発が行われるでしょうし、もちろんパフォーマンスを測定するためのツールも必要になるでしょう」。しかし、何を最適化したいかを決めるのはお客様自身であると同氏はいう。「お客様が何をすべきかを指示するつもりはありません。ゲートキーパーなど必要ないからです。人はどんな方法でもイノベーションを起こすことができるはずですが、自分で意識する必要があるのです」。

今後の展望として、ヴォゲルス氏が精力的に取り組んでいる技術の1つが量子コンピューティングである。2021年初め、AWSは超伝導量子ビットに賭けて、独自の量子ハードウェアの構築を開始すると発表した。現時点では、IonQ、Rigetti、D-Waveなどの主要な量子プレイヤーと提携し、それらのハードウェアやサービスをBraketのサービスで利用できるようにしている。しかし、GoogleやMicrosoftと同様に、AWSも古典的なチップと同じく、独自の量子ハードウェアを構築したいと考えているのである。

「ハードウェアとソフトウェアが互いに歩調を合わせている分野の1つだと思います。ハードウェアの改善がソフトウェアの改善を生み、ソフトウェアの改善がハードウェアの改善につながります。例えば、量子に関するソフトウェアツールは、古典的な計算を行うためのソフトウェアツールには到底及ばないと思いますが、そのためにはアプリケーションの構築を始める必要があります。Amazon Braketを使ってお客様は調査を始めることができるのです。どのようなアルゴリズムを使っているのか?そのためのソフトウェア開発はどうしているのか?それをどうやって追跡するのか?そのための運用はどうするのか?といったことです。ハードウェアにも影響を与えるような、解明すべきことがたくさんあります。3年後の私たちがどうなっているかとても楽しみです」。

どうやら世界的なロックダウンが再度起こらない限り、re:Invent 2024の最終日にはヴォゲルス氏がステージに立ち、AWSの量子コンピューターの最新の改良点や、会場に訪れた開発者たちがそれを最大限に活用する方法について話すことになるのだろう。

画像クレジット:Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Dragonfly)

アマゾンの倉庫で働く従業員が、待遇改善を求めてクリスマス前にストライキ

米国時間12月22日、シカゴ近郊にあるAmazon(アマゾン)の2つの施設で働く数十人の倉庫労働者が、1年で最も忙しい時期にクリスマス前のストライキを行い、待遇改善と賃上げを要求した。

「私たちは昇給を見送られ、人員が足りているときでさえ過重労働させられています」。シセロにあるDLN2施設の従業員は、Amazonの従業員団体「Amazonians United(アマゾニアンズ・ユナイテッド)」のシカゴ支部が配信したライブストリームで語った。「約束していたボーナスを受け取っていません。正社員として雇われていたのに、バッジを取り上げられて臨時従業員にされてしまった人もいます。アマゾンはこの場所に安全でない人員を配置し、必要以上に人々を忙しく働かせています」。

午前1時20分から午前11時50分まで働くこれらの労働者は、時給5ドル(約570円)の昇給も要求している。アマゾンがTechCrunchに語ったところによると、ストライキを行った2つの施設、シセロのDLN2とゲージパークのDIL3では、現在の初任給は時給15.80ドル(約1800円)だという。Amazonians Unitedの発言者は、同施設では新型コロナウイルス対策として20分の休憩時間が設けられていたが、これが15分に短縮されたとも述べている。しかし、ウイルス感染流行はまだ終わっておらず、特にオミクロン変異株が広がっている。発言者によると、前日にはシセロの施設で検査を受けた3人の労働者が陽性反応を示したという。

ストライキを起こす前に、労働者たちは自分たちの要求を記載した嘆願書を経営陣に提示したが、それに対する回答が得られなかったため、今回のストライキに至ったと述べている。

発言者は、経営陣からストライキに参加する者は「バッジを置いていったほうがいい」と言われたとも主張している。つまり、もう戻って来られないという意味だ。

民間企業が、ストライキを行った従業員に対して措置を取ることは違法である。しかし、従業員がストライキ後に戻ってみると、スケジュールが空白になっていたり、その日はもう退社したことになっていたりといったことが報告されたため、ストライキ参加者の間では報復を懸念する声が上がっていた。

「当社は、従業員が抗議行動をする権利を尊重し、その法的権利を認識しています。当社では、従業員に一級の給与、他に引けを取らない福利厚生、そして会社とともに成長する機会を提供していることを誇りに思っています」と、アマゾンの広報担当者は、TechCrunchの取材に対して述べている。

アマゾンの担当者は、今回のストライキに参加したことで解雇や停職になった労働者はいないと付け加えた。同社によると、労働者は抗議しても報復は受けないと、繰り返し安心させられたという。

しかし、全米各地でアマゾンの労働者は、同社が労働者の組織化を制圧しようとしていると非難している。2020年、Amazonians Unitedの共同設立者であるJonathan Bailey(ジョナサン・ベイリー)氏は、組織化を行った同氏に報復したことで、アマゾンが労働法に違反していると、全米労働関係委員会(NLRB)に訴えを起こした。ベイリー氏はストライキを組織した後、マネージャーに90分間拘束され、尋問を受けたと述べている。NLRBはこれらの申し立てに価値があると判断し、アマゾンを連邦機関に提訴した。同社は和解し、和解条項の一環として、従業員には団結権があることを、メールや物理的な掲示板で再認識させるよう求められていた。

NBC Newsによると、ベイリー氏の訴えは、2020年2月から2021年3月までの間にNLRBに提出されたアマゾンに対する37件の提訴のうちの1件だったという。しかし、この和解のわずか数カ月後、アマゾンはスタテン島の従業員が休憩室で組合を呼びかける文書を配布するのを、違法に阻止したことが判明した。

アマゾンの社員さえも、同社に対してNLRBに苦情を申し立てている。9月には、新型コロナウイルス感染流行発生時に倉庫労働者を擁護したために解雇された、元シアトル本社勤務のMaren Costa(マレン・コスタ)氏とEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏の申し立てにアマゾンが和解した。この和解案では、アマゾンはコスタ氏とカニンガム氏に失われた賃金を補償するとともに、従業員がアマゾンの問題について発言する権利を改めて通知することが求められた。

しかし、ここ数週間で、緊張はさらに高まっている。米国時間12月10日、イリノイ州エドワーズビルでは、竜巻によってDLI4の施設が破壊され、アマゾンの従業員6名が死亡した。アマゾンでは長年、倉庫内での携帯電話の携行が禁止されていたが、新型コロナウイルス感染流行の際にはこの方針を緩和した。しかし最近になって、アマゾンはこの方針を復活させており、そのため、米国気象局が避難を呼びかける緊急警報を出しても、アマゾンの従業員の中には、致命的な嵐が近づいていることを知る手段を持たなかった人もいた。

全国の施設で働くアマゾンの従業員が報酬や条件の改善を求めている中、この大手電子商取引企業は1年で最も忙しい時期を迎えている。

「私たちは、すべての人がクリスマスプレゼントを手にし、すべての人が荷物を手にすることができるように懸命に働きます」と、シカゴの倉庫で働く労働者は、FOX 32 Chicago(フォックス32シカゴ)に語った。「しかし、わかるでしょう、私たちはただ公平に扱われたいのです。それだけです」。

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

電話自動応答サービスの「IVRy」(アイブリー)を提供するIVRyは12月22日、シリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による約3億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、フェムトグロース・スリー投資事業有限責任組合、プレイド。調達した資金により、プロダクト開発および採用・組織体制の強化を行ない、電話応答の自動化による業務効率化の推進、他サービスとの連携による電話DXの実現を目指す。電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

IVRyは、様々なシーンでの電話業務を自動化・効率化し、業務オペレーションへの集中や対応工数削減を実現するSaaSサービス。PCやスマートフォンから即時登録・設定でき、最短5分で利用開始可能という。自由な分岐設定と自動応答・SMS返信・電話の転送(リダイレクト)・録音機能・ブラウザー電話機能などを活用することで、営業電話・顧客からの問い合わせ・注文・予約などの対応を自動化する。

  1. 電話自動応答サービスのIVRyが約3億円のシリーズA調達、プロダクト開発および採用・組織体制を強化

2020年7月にベータ版として提供を開始し、2020年11月に正式リリース。サービスリリースから1年で、病院や企業の代表電話・部署電話、飲食店、美容院、EC事業者などをはじめ、20種以上の業界で利用されているという。「最短数分で利用開始できる即時性」「月額3000円から使えるコスト面のハードルの低さ」「デジタルサービスに明るくないユーザーにも使いやすいUI・UX」「幅広い業種で活用できる高いカスタマイズ性」を特徴としている。

今回調達した資金は、サービスの機能開発およびマーケティング、組織体制の強化、採用活動に活用し、さらなる事業成長を目指す。必要不可欠でありながら業務効率化が進んでいないコミュニケーションツールである「電話」のあり方を再構築し「電話DX」を実現することで、スモールビジネスや中小企業を中心にあらゆるビジネスの業務効率化を実現したいという。

Go Discoは地元のリアルイベントをキュレーションし、サービスで人と人とのリアルな共感関係を作るアプリ

Go Discoアプリ

Foursquareの全盛期はとっくに過ぎたが、自分の地元のクールな催しを見つけるという問題は健在だ。口コミとFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)を組み合わせるという、面倒な方法に頼っている人も多いようだが、実際には、アプリを離れて世界に出ていくことを助けてくれる良いアプリは少ない。Go Discoはここに注目した。

Go Discoの共同創業者であるSean Conrad(ショーン・コンラッド)氏は次のように語る。「簡単にいうとこれは、あなたをオフラインにして、日頃気にかけている人たちと一緒に過ごすためのアプリなんだ」。つまりGo Discoはイベントレコメンデーションエンジンだが、コンラッド氏によるとこのアプリは、エンゲージメントを注入してユーザーをつなぎとめるソーシャルネットワークに対する解毒剤でもある。

「テクノロジーは、医療やロジスティクスや運輸・交通に利用されて人の命を救い世界を効率化したけど、悪い面もある。それは、人間の社会生活に市場原理を強要したことだ。ポケットの中の、人を元気にする魔法のようなデバイスが、我々の社会生活にとって悪夢になっている」とコンラッド氏はいう。

コンラッド氏は以前、消費者アプリのデベロッパーで、もう1人の共同創業者であるJesse Berns(ジェシー・バーンズ)氏はデータサイエンティストだ。iOSバージョンは米国時間12月17日にローンチしたが、Androidは2022年半ばになる。ローンチ時のGo Discoは、ロサンゼルスのクールなイベントを紹介するだけだが、2022年内にはニューヨークとワシントンD.C.、サンフランシスコ、マイアミ、ポートランド、そしてオースチンも対象となる。

 

Go Discoは、ローカルイベントの検索や分類を自動化システムと人力を併用して行っている。人の編集チームは、他では見つからない特定のコミュニティに結びついたアンダーグラウンドな催しを見つける。

同社のイベント集積技術は、公開されているイベントのリストを特定の用語でふるいにかけ、それを65種類の関心のリストに割り振る。アプリにサインアップすると、まずそのリストから関心を選ぶ。ロッククライミングもあれば、書籍もあり、LGBTQのコミュニティや活動もある。

コンラッド氏は、Go Discoのレコメンデーションで人間的な感触の重要性を強調している。それによりレコメンデーションが格差や差別に陥ることなく、思いやり豊かなものになる。またそれは、そこから選ぶのが大変な何でもありのイベントのカレンダーではなく、個人とコミュニティに配慮し、意思決定の面倒をユーザーに押し付けない。

Go Discoにとっては、「少ない」ことが「良い」ことだ。ユーザーが住んでいる都市で行われるすべてのイベントを載せるのではなく、そのユーザーにとって楽しめると思われるイベントだけを選別する。コンラッド氏は「何もかも載せる必要はない。3つから5つの本当にニッチなイベントを紹介すればいい。完全なアプリとは、ユーザーがそれを開いたら必要なものだけがそこにある、それを見たら終わりというアプリだ。何かを見つけるのに時間がかかるのはダメなことです」。

アプリの最初のバージョンは米国時間12月17日にローンチするが、今後はユーザー体験を深めるためにソーシャルなレイヤーを追加する計画だ。2022年3月頃に、Go Discoは今後のイベントについてユーザー同士がコミュニケートし、リプライがスレッドになるような機能を加える。それまでは、一般的なシェアとカレンダー的な機能だけとなる。

ソーシャルのレイターを加えるとGo Discoは、友だちと日程などを調整するためにテキストのスレッドを探しまくるという困難からユーザーを解放し、特定のイベントに群がる人たちを、そのイベントの周りに集めるようになる。そして会話がイベント固有になれば、ユーザーは単純にその会話に参加すればよく、1つの巨大なテキストの塊の中から特定のスレッドを苦労して探さなくてもよくなる。

コンラッド氏によると「私にはロッククライミング好きの友だちもいるし、グルメな友だちもいる。そして音楽の友だちもいる。一部は重複しているが、そうでない人たちもいる。そえを3つの極端にノイズの多いテキストのスレッドにはしたくない。それぞれの友だちグループとエンゲージして、接続した状態を維持したい。それと同時に、私のライブの音楽友だちが参加するようなライブすべてに行きたいわけでもない」。

Go Discoはまだ初期の段階だが、収益化については一定の考えを持っている。このアプリはユーザーデータは販売しないが、チケットを売って手数料を取ったり、特定のユーザーに有料の機能を提供することは行うだろう。コンラッド氏が強調するのは、イベントの宣伝を載せるような場合も、思いやりを忘れないことだ。なぜなら、このプロジェクトの全体が思いやりのある選択と編集方針をベースにしているからだ。健全なS/N比を維持することも重要だ。また、多くの人たちのリアルでの結びつきを尊重し、彼らをより幸福にしたいと考えている。

「子どもたちが、Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)が作ったフェイクの世界で成長することを想像すると、とても悲しくて怖ろしい。その世界は、私たちをお互いに戦わせるために作った奇妙なアルゴリズムの増幅にすぎない。私たちが何度も考えたのは、他者への共感が今のこの状態を緩和できるということです。そして、人が一緒にいることが共感を強制的に作り出す関数だと考えています」。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ZillowがFaceTimeのSharePlay機能を追加、通話中に家族や友人と一緒に物件を閲覧できるように

不動産テックのZillow(ジロウ)は、iOS 15のiPhoneおよびiPad版アプリをアップデートし、SharePlayに対応したことを発表した。iOSユーザーは、グループでFaceTime通話を開始し、SharePlayを有効にしてZillowのフォトギャラリーを閲覧することで、通話中の全員が物件を見ることができる。

「米国人はZillowサーフィンをするのが大好きで、そのほとんどは誰かと一緒に物件を探していますが、新しい方法でそれができるようになりました」とZillowは述べている。「iPhoneやiPadでZillowアプリを使って家を探している人は、家族や友人、不動産エージェントと一緒にシームレスな同期体験で、売家や賃貸物件を検索・閲覧できるようになりました」。

Zillowによると、ユーザーの86%がパートナーや配偶者、同居人と一緒に住宅を閲覧しているとのことで、実際に一緒にいられない場合には、この新機能は理に適っていると言えるだろう。また、ZillowのCTOであるDavid Beitel(デビッド・ベイテル)氏は「不動産業者にとっても、顧客とつながるすばらしい新たな方法」だと述べている。

この機能を利用するには、各参加者が、iOS / iPadOS 15.1以降を搭載したiPhoneまたはiPadでZillowアプリを起動する必要がある。ユーザーは、Zillowでさまざまな場所を検索し、コンテンツが同期された状態で購入・賃貸可能な物件を閲覧することができる。ライバルの不動産アプリであるRedfin(レッドフィン)は、10月に同様の機能を導入している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Zillow

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾン、インド独禁監視当局にCatamaranからのPrione株式購入の承認を求める

Amazon(アマゾン)は、eコマースプラットフォームで最大級の販売事業を運営するCatamaran Ventures(カタマラン・ベンチャーズ)が持つPrione(プリオーネ)の株式を購入するため、インドの反トラスト法監視当局の承認を求めている。両社が2022年5月以降は合弁事業を更新しないと発表してから数カ月が経過している。

今回の発表は、CatamaranがPrioneの76%の株式を所有していることから、驚きをもって受け止められている。Amazonは以前、同社の49%の株式を保有していたが、eコマース企業が自社のマーケットプレイスで販売する企業に直接または間接的に出資することを禁じるインドの法律を順守するため、24%に希釈した。

両社は現地時間12月22日の共同声明で、取引を完了するために「すべての資産と負債を含む」適用法を遵守しており、規制当局の承認を求めていることを明らかにした。Amazonはインドの監視機関であるインド競争委員会に承認を求めていると、この件に詳しい人物は述べた。

億万長者のN.R. Narayana Murthy(N.R. ナーラーヤナ・ムールティ)氏のCatamaranとAmazonは、2014年にインドで合弁事業を開始した。インドの規制変更にともない、合弁会社は2019年に所有権を再編した。そして2021年8月、両社は提携を終了すると発表した。

その発表は、ロイターがAmazonの資料を引用して、AmazonがCloudtail(クラウドテイル)を含む少数の販売者グループに何年も優遇措置を与え、インドの法律を迂回するためにそれを利用していたと報じた後だった。インド競争委員会はそれとは別に、AmazonとFlipkart(フリップカート)が自社のeコマースプラットフォームで一部の販売者(出資している販売者)を宣伝し、競争を阻害する商習慣を用いた疑いがあるとして2021年に調査を命じている。両社はこの調査を却下する試みを行ったが、失敗に終わった。

AmazonとCatamaranは12月22日に共同声明で「合弁会社の事業は現経営陣のリーダーシップの下で継続し、規制当局の承認を得た上で、PrioneとCloudtailの取締役会は適用される法を遵守して取引を完了するための措置を取ります」と述べている。

Cloudtailは、インドのAmazonで最大の販売者の1つだ。30万人以上の販売者と起業家のオンライン化を実現し、400万の加盟店にデジタル決済機能を提供してきたと、両社は2021年初めに発表した。

インドでは長年の法律により、Amazonや他のeコマース企業が在庫を保有したり、消費者に直接商品を販売したりすることが制限されてきた。これを回避するために、企業は在庫保有企業として活動する現地企業との合弁事業という迷路を通じて事業を展開してきた。

インドは2018年末、当時国内におけるアメリカ企業への最大の反撃と広く見られた動きで、この抜け穴の修正に取りかかった。AmazonとWalmart(ウォルマート)傘下のFlipkartは、何十万もの商品を店頭から撤去するために奔走し、関連企業への投資をより間接的なものにした。

2021年6月、インドはさらに厳しいeコマース規制を提案し、とりわけAmazon、Flipkart、その他のeコマース企業が自社ブランドあるいはプライベートブランドを運営することを禁止している。この新提案では、eコマース企業に対し、顧客に直接販売するための売り手として、その関連・関係者がプラットフォームに掲載されないようにすることを求めている。(インド政府はまだこの新規制について動いていない)。

Amazonは、Patni Group(パトニグループ)との合弁会社であるAppario Retail(アパリオリテイル)を含む、さらにいくつかのサードパーティの販売者に出資している。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP Photo / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

性的コンテンツの禁止で揺れたアダルト系SNS「OnlyFans」創業者兼CEOが退任、後任は広報担当者

OnlyFans(オンリーファンズ)の創業者でCEOを務めてきたTim Stokely(ティム・ストークリー)氏が退任することになったと、Bloombergが報じている。後任には、同社の元コミュニケーションマーケティング部長だったAmi Gan(アミ・ガン)氏が就任する。この動きは、OnlyFansにとって不安定な1年の終わりに行われたものだ。同社は8月にそのプラットフォーム上で繁栄しているセックスワーカーを禁止すると発表したが、この決定は1週間後に保留にされた

関連記事:アダルト系SNS「OnlyFans」が性的なコンテンツを禁止する決定を「一時的に中止」

広報担当者を会社のCEOに任命することが奇妙に思えたとしても、それは当然だろう。しかし、報道によると、これはストークリー氏自身の判断だったとのこと。同氏はアドバイザーとして会社に残ることになっている。

「私たちは、このクリエイターエコノミーに対する情熱を共有しながら、机を並べて仕事をしてきました」と、新CEOのガン氏は語る。「私たちの優先事項は、世界で最も安全なソーシャルメディアプラットフォームであるために引き続き全力を注いでいくことです」。

また、ガン氏は同社のsafe-for-work(職場で閲覧しても大丈夫)なストリーミングアプリであるOFTVに投資し、クリエイター向けの新しいツールを構築していくとも述べている。ストークリー氏自身のビジネスバックグラウンドがオンラインポルノであるのに対し、ガン氏はRed Bull(レッドブル)、Quest Nutrition(クエスト・ニュートリション)などのブランドや大麻カフェで働いた経験がある。

TechCrunchはOnlyFansに、このリーダーシップの変化がプラットフォーム上のセックスワーカーに影響を与えるかどうかを尋ねたが、OnlyFansはコメントを辞退した。

OnlyFansは、NSFW(not safe for work、職場での閲覧には不適切な)クリエイターのおかげで繁栄しており、8月には2021年の売上高が、2020年の12億ドル(約1370億円)から大きく増加し、25億ドル(約2860億円)に達する見込みであると発表していた(OnlyFansはクリエイターの収益の20%を徴収する)。しかし同時に、OnlyFansは同社を10億ドル(約1140億円)規模の企業にしたセックスワーカーたちの生活を脅かすような爆弾発言をした。それは、OnlyFansがNSFWコンテンツ(つまり、露骨に性的なコンテンツ)を禁止するというものだった。それが急速に反発を招いた後、OnlyFansはこの決定を保留し、銀行プロバイダーとの問題を解決したと発表している。

それでも、セックスワーカーたちは、プラットフォームから追い出されることを懸念しているようだ。結局、OnlyFansは禁止措置を撤回するのではなく「保留」すると言っているのだ。

OnlyFansのようなプラットフォームがセックスワーカーを排除すると脅すことは、彼(女)らが生活の糧を失うことを意味するだけでなく、彼(女)らをより危険なオフラインの労働環境に追いやることにもなりかねない。

米国議会は2019年に「Safe Sex Workers Study Act(性労働者安全調査法)」を導入し「Fight Online Sex Trafficking Act(FOSTA 、インターネット上の性的人身取引対策法)」など、オンラインでのセックスワークを困難にする法律の影響を調査した。この研究では、セックスワーカーが「オンラインプラットフォームへのアクセスによってもたらされる経済的安定性」を失った後「コミュニティ組織は、セックスワーカーのホームレス化が進んでいると報告していた(いる)」ことが判明した。

OnlyFansにおける変化の可能性は、プラットフォームからプラットフォームへと移ることがどれほど大変なことかを知っているセックスワーカーにとっても恐怖である。Patreon(パトレオン)でさえ、2018年にセックスワーカーをプラットフォームから排除した。同社はポルノを決して許可しないと言っていたが、何年もの間、このガイドラインは厳格に施行されていなかったため、セックスワーカーは同プラットフォームを利用して生計を立てることができていた。

Patreonでは、少なくともクリエイターはサブスクリプション会員のメールアドレスにアクセスできるので、プラットフォームの仲介がなくてもファンベースと連絡を取ることが可能だ。しかし、OnlyFansは、Instagram(インスタグラム)やTwitter(ツイッター)と同様に、たとえ誰かにフォローされても、その人と直接コミュニケーションを取る手段がない。顧客と連絡を取る手段がなかったら、どうやって別のプラットフォームで新しいビジネスを構築すればいいのだろうか?

OnlyFansは、このリーダーシップの変化がセックスワーカーを危険に陥れると暗示してはいないが、NSFWクリエイターの信頼をすでに翻弄してきたプラットフォームにとって、これは重大な変化である。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

トラブル続きのアマゾンAWS、今月3度目の障害でSlack、Asana、Epic Gamesのサービスに影響

Amazon Web Services(AWS)のデータセンターの1つで米国時間12月22日、今月3度目となる障害が発生。同社のUS-EAST-1リージョン(バージニア北部)で発生した停電により、Slack(スラック)、Asana(アサナ)、Epic Games(エピックゲームズ)などのサービスに影響が出た。

問題が発生したのは米国東部時間の午前7時30分頃で、午後1時(日本時間12月23日午前3時)現在もその影響は続いている。AWSでは、この地域の多くのサービス、特にEC2コンピューティングサービスと関連するネットワーク機能に問題が発生していると報告している。直近では、この地域のシングルサインオンサービスでもエラー率が上昇し始めていた。

同社は米国東部時間午前8時のアップデートでこう説明している。「US-EAST-1リージョンの1つのアベイラビリティーゾーン(USE1-AZ4)内の1つのデータセンターで停電が発生したことが確認されました。これにより、影響を受けたデータセンターの一部であるEC2インスタンスの可用性と接続性に影響が出ています。また、影響を受けているアベイラビリティーゾーン内の起動で、RunInstance APIのエラー率が上昇しています。影響を受けるアベイラビリティーゾーン内の他のデータセンター、またはUS-EAST-1リージョン内の他のアベイラビリティーゾーンへの接続性と電源は、この問題の影響を受けませんが、影響を受けているアベイラビリティーゾーン(USE1-AZ4)からフェイルオーバーできる場合は、そうすることをお勧めします」。

ここ数週間で発生したAWSの障害がこの1回だけだったら、ほとんど注目されなかっただろう。現代のハイパークラウドの複雑さを考えれば、障害は時々起こるものだと考えられる。しかし、AWSでは現在、毎週のように障害が発生している。12月7日には、同じUS-EAST-1リージョンがネットワークの問題で数時間にわたってダウンした。さらに12月17日には、西海岸の2つのリージョン間の接続に影響を与える障害が発生し、Netflix(ネットフリックス)、Slack、Amazon傘下のRing(リング)などのサービスが停止した。さらに、これらの障害は、12月初めに開催されたre:InventカンファレンスでAWSが自社のクラウドの回復力をアピールした直後に発生したものだ。

もちろん、理想的にはこれらの障害は起こらず、AWSユーザーは地理的に離れたリージョンにフェイルオーバーするようにシステムを構築することで、障害から身を守ることができれば一番だ。だが、それにはかなりのコストがかかるため、ダウンタイムとコストのトレードオフに見合う価値がないと判断する企業も多い。結局のところ、安定したプラットフォームを提供するのはAWSにかかっている。この会社が単に不運続きなのか、それとも何か組織的な問題があってこのような問題が発生しているのかはわからないが、もし私が今US-EAST-1リージョンでサービスをホスティングしていたら、少なくとも別の場所に移すことを検討するだろう。

画像クレジット:Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)