中古建機販売プラットフォーム「ALLSTOCKER」運営のSORABITOが9億円を調達

中古建機の売買プラットフォーム「ALLSTOCKER」を運営するSORABITOは5月13日、住友商事および伊藤忠建機から総額約9億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

SORABITOは2014年5月、建機の買取販売などに携わっていた経験のある青木隆幸氏が創業したスタートアップ。オンライン上で建設機械や重機、運搬車両など「働く機械」を売買できるプラットフォームとしてALLSTOCKERをローンチし、2015年11月には正式リリースを行った。

現在はマーケットプレイス形式の「ALLSTOCKERマーケット」とオークション形式の「ALLSTOCKERオークション」を運営。また、世界中のバイヤーのオファーを集約し買取価格を提示する相見積サービスも提供している。

マーケットプレイスは日本全国の建機レンタル会社以外にも、運営初期から海外、特に中国、台湾、ベトナムといったアジアを中心とした地域でも取引に活用されている。現在では海外向け取引の割合が約半分を占めるまでに至っているという。

SORABITOでは、既存サービスの磨き込み・普及だけでなく、建機業界の課題を先進情報技術を駆使して解決したいとしており、今年夏ごろには新サービスの展開も予定している。こうした中、「業界における確かな知見やネットワーク、強固な財務基盤を持つパートナーの存在が不可欠である」として、建機ビジネスをグローバルに展開する住友商事、1年半にわたり業務提携関係にある伊藤忠建機との連携により、世界を視野に入れた建機プラットフォームの構築を目指す構えだ。

同社では、2015年11月にGMO VenturePartnersらから約1億円を調達、2016年5月にGMO VenturePartners、グリーベンチャーズ、JA三井リース、オプトベンチャーズ、SMBC ベンチャーキャピタル、個人投資家の小泉文明氏や高野秀敏氏らから5億円を調達した。また、2018年5月にはSpiral Ventures Japanらから3.6億円を調達している。

好きなアーティストのライブ情報を見逃さない「Freax」がローンチ

「好きなアーティストのライブ情報を見逃してしまった」「日程を勘違いして期限内にライブのチケット代を払うのを忘れてしまい悔しい思いをした」

もしライブやフェスが好きで、そのような経験が一度でもあるなら「Freax(フリークス)」というアプリをチェックしてみるといいかもしれない。本日iOS版が正式ローンチされたこのサービスは、お気に入りのアーティストが開催するライブや出演するフェスの情報を見つけ、チケット発売開始時と締め切り前に通知してくれる。

開発元であるSpectraの創業者2人は、高校時代に軽音楽部に所属していたバンド経験者。ライブに出演する立場とファンとして参加する立場の双方を経験する中で感じた課題を解決するべく、自分たちで起業してサービスを立ち上げた。

チケット発売開始時と申し込み締め切り前の通知で見逃し防止

Freaxは好きなアーティストの“ライブチケット情報見逃し”を防止するためのサービスだ。

Apple Musicや端末内(iPhone内)の音楽データと連携することで普段から聞いているアーティストを手軽にフォローし、ライブやフェスのチケット情報を受け取ることが可能。情報は随時アップデートされるほか、フォローしたアーティストの情報はチケットの発売開始時と申し込み締め切り前にプッシュ通知で送られてくるため、ライブ情報の見逃しやチケットの買い忘れを減らすことに役立つ。

チケット情報についてはアプリ内の各ライブページでチェックする。現在はチケットぴあやローチケ、イープラスなどに対応していて、複数サイトの情報を一箇所で閲覧した上でチケットの申し込みもできる(申し込みページへのリンクがあり、チケットの購入は遷移先の各サイトにて実施)。

自分が行ける範囲などエリアに絞ってライブ情報を表示する機能やカレンダー機能に加え、アプリ内の検索画面などから能動的にアーティストをフォローする仕組みも搭載。今後は「Spotify」のようなストリーミングサービスとの外部連携なども計画しているようだ。

個々にマッチしたエンタメ情報を最適な時期に届けるサービスへ

Freaxを運営するSpectra代表取締役の浅香直紀氏と取締役の露木修斗氏はかつて同じ高校の軽音楽部に所属。1学年違いの先輩・後輩という間柄だった(代表の浅香氏が先輩)。2人は大学生時代にもキャリアプラットフォーム「JEEK」などを展開するTechouseでインターン生として働いていたという。

浅香氏は同社を卒業後にメルカリ及び子会社のソウゾウでインターンを経験。最終的には新卒1期生として正式にジョインし、「メルカリ」や「メルカリ アッテ」を含むプロダクトの開発・グロースを担当した。

一方の露木氏は一度Techouseを離れnana musicなど複数社でのインターン経験後にTechouseへと復帰。同社で執行役員も担った後、2018年に浅香氏と共にSpectraを立ち上げている。

以前からいずれは音楽に携わる事業を起こしたいという考えはあったようだが、「ビジネスモデルの推移(CDからライブやマーチャンダイジングへ)」「SpotifyやTikTokなどデジタルサービスを軸に地名度をあげたアーティストの台頭」など業界に大きな変化が訪れていることや、周りのアーティストからデジタルマーケティングの相談を受けるようになったこともあり、今のタイミングでの起業に至ったという。

Spectra創業者の2人。右から代表取締役の浅香直紀氏、取締役の露木修斗氏

最初のプロダクトとしてFreaxを選んだのは、自分たち自身がバンドマン・イベンター時代に感じた葛藤と、ファンとしての目線から見た時の課題感を解決するためだ。

バンド時代に「(ライブをやることを)知っていたら行きたかった」と周囲から言われる機会が多く、継続的な集客の難しさを感じていたことが1つのきっかけ。一方で自らも好きなアーティストの情報を追いきれず、ライブやフェスのチケット情報を見逃してしまうこともあり、「情報が届いていない・受け取れないのはアーティストとファン共通の課題では」と考えるようになったという。

実際にアーティストと音楽ファン約100名にヒアリングしてみても同じ課題を持っている人が多かったため、Freaxの開発に踏み切った。

リリース時点の機能はシンプルだが、今後はアーティストに関わる情報をスピーディーかつ最適に届けるための機能拡充などを進める予定。情報過多の時代における「エンタメの情報流通経路の最適化」を目指し、中長期的にはサービスに蓄積されたデータを活用して最適なコンテンツ流通の仕組みを構築することにも取り組んでいく方針だ。

なおSpectraは2018年の創業後にEastVenturesのほか、メルペイ取締役CPOの松本龍祐氏、Fabric創業者の堀井翔太氏、コネヒト代表取締役社長の大湯俊介氏を含む複数の個人投資家から資金調達を実施している。

「Facebook分割は何の助けにもならない」とザッカーバーグ氏が反論

裏切りにあったFacebookのCEOは、共同創業者のChris Hughes(クリス・ヒューズ)氏と、ニューヨークタイムズ紙オピニオン欄に掲載されたヒューズ氏のFacebook、Instagram、そしてWhatsAppの分割を当局に求める厳しい寄稿に反論した。「彼が書いたものを最初読んだときに感じたのは、彼が提案していることは何の助けにもならないということだった。人々が重視しているのが民主主義や選挙であるなら、人々は我々のような会社に政治干渉を防ぐ真に高度なツールの開発のために年間何十億ドルも投資してほしいと考えているはずだ」と、フランスのエマニュエル・マクロン大統領と会見するために滞在していたパリでFrance Infoに語った。

関連記事:Facebook共同創業者Chris Hughes氏が同社分割を提案

ザッカーバーグ氏の主張は、プライバシーや安全性、偽情報、言論といった面でFacebookが抱える問題は社の分割では直接解決できず、実際にはソーシャルネットワークを守る努力の妨げになる、という考えに要約される。ロボットが拡散させている有権者を抑圧するコンテンツを特定する人工知能のような安全のためのテクノロジーに投資するとき、Facebookが展開するアプリのスケールメリットは理論上は小さいだろう。

ヒューズ氏は「マークの権力はこれまでになく大きく、非米国的」で、Facebookの立て続けの買収と模倣が競争を妨げるほど同社を独占的な存在にした、と主張している。彼の考えは、 初代CEOのSean Parker(ショーン・パーカー )氏や、ソーシャルネットワークがいかに社会に影響を及ぼすか注意喚起した成長担当役員だったChamath Palihapitiya氏など、同社の初期の幹部の主張と通ずるところがある。

しかしザッカーバーグ氏は、Facebookの規模は社会にとってメリットがあると主張する。「我々が今年安全性にあてる予算は、10年前に上場したときの総売上高よりも大きい。それは、我々が出費を賄えるだけのビジネスの構築に成功したからだ。我々はどのソーシャルメディア企業よりも安全性に投資している」とジャーナリストのLaurent Delahousse氏に対し語った。

このFacebookのCEOのコメントはさほどメディアに取り上げられなかった。それは部分的には、このTVインタビューが翻訳なしのフランス語で展開されたからだ。しかしここにこうやって初めて文章化してみると、ザッカーバーグ氏がヒューズ氏の主張をいかに強く払いのけているか言葉に表れている。「(ヒューズは)我々が直面している社会問題のいくつかを解決するためにFacebookを分割するという、かなり特異なアイデアについて語っていた」とザッカーバーグ氏は解決策と反トラスト規制を分離させようとする前に語った。「私は、真の問題がある認識している。政治干渉を防ぐために、有害なコンテンツをめぐって、あるいは表現と安全性の間の正しいバランスを見つけることについて真の問題がある」。

分割は「何の助けにもならない」という主張は、Facebookのコミュニケーション担当副社長で前英国副首相のNick Clegg(ニック・クレッグ)氏の主張よりもよりはっきりとヒューズ氏の主張を拒絶するものだ。クレッグ氏が今日のニューヨークタイムズ紙のオピニオン欄に投稿した寄稿で、彼は「問題は規模ではなく、コンシューマーの権利と関心であり、政府や商業・通信を監督する議員に対する我々の責任である。大きいことは悪いものではない。成功は罰せられるべきものではない」。

消費者を守るために、明らかに何かしら行われる必要がある。おそらく、それがFacebookの分割だ。少なくとも、別のInstagramのような企業をFacebookがかっさらうことができないよう、同社がそれなりの規模のソーシャルネットワークをこれ以上買収することを禁止するのが得策であり、実行可能な対策だろう。

しかしヒューズ氏の寄稿の中でもっとも鋭いのは、ユーザーがFacebookにとらわれていることの特定の仕方だ。「競争そのものは必ずしもプライバシーの保護を駆り立てはしない。責任を確保するには規制が必要だ。Facebookはユーザーが他のプラットフォームに乗り移って抗議できないよう、マーケットをがんじがらめにした」と彼は書いている。Cambridge Analytica問題のあと、「人々はFacebookが展開するプラットフォームから一斉に去りはしなかった。人々はどこに移れたというだろうか」。

それゆえに、競争や共同運用性に対するザッカーバーグ氏自らのサポートを求める批判が生まれたことを考えた時、規制の中心となるのはユーザーが簡単にFacebookから他のソーシャルネットワークに乗り移れるようにすることだろう。私がフォローアップ記事で書いているように、ユーザーが友達とのつながりやソーシャルグラフを他のプラットフォームに簡単に持ち込めるよう、ユーザーを適切に扱うようFacebookに強制するものはほとんどない。

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(翻訳:Mizoguchi)

GitHubがパッケージレジストリを提供、主要なパッケージマネージャーと互換性あり

GitHubは米国時間5月10日、GitHub Package Registryを非公開ベータでローンチした。このパッケージ管理サービスによりデベロッパーは、ソースコードと並んでパッケージをパブリックまたはプライベートで発行できる。

ただしそれはnpmやRubyGemsなどのツールと競合するものではない。GitHubのパッケージレジストリサービスはこれらのツールと互換性があり、デベロッパーは自分のパッケージを、コードのときと同じGitHubのインターフェイスを使って発行したり見つけたりできる。このサービスは現在、JavaScript(npm)、Java(Maven)、Ruby(RubyGems)、.NET(NuGet)、およびDockerイメージと互換性があり、他の言語やツールも今後サポートされる。

GitHubのプロダクト管理部長Simina Pasat氏はこう語る。「GitHub Package Registryは広く使われているさまざまなパッケージ管理クライアントと互換性があるので、自分が選んだツールでパッケージを発行できる。タイプの異なる複数のパッケージを、ひとつのレポジトリーに収めることもできる。そしてウェブフックやGitHub Actionsを利用すれば、パッケージの発行と発行後のワークフローを完全にカスタマイズできる」。

企業は社員たちに単一の認証情報を提供して、彼らのコードとパッケージの両方を管理させられる。そしてこの新しい機能により、承認済みのパッケージセットを容易に作れる。また、利用統計をダウンロードでき、GitHub上のパッケージ操作の完全な履歴にもアクセスできる。

オープンソースのパッケージの多くが、すでにGitHubを使ってコードを開発し、その後それをパブリックなレジストリへ発行している。GitHubの主張によると、そんなデベロッパーたちもこれからはGitHub Package Registryを使って、リリース前のバージョンを発表できる。

また、すでにGitHubを利用してプライベートなリポジトリをホストしているデベロッパーも少なくない。要するに、パッケージとコードは同じ場所にあったほうが便利だ。GitHubが今回行ったことは、そのような慣行を公式化してひとつのプロダクトに仕立てたものとも言える。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

特定の企業や人としかファイルを共有できないDocpackのアイデア

Docpackは企業に文書(ドキュメント)をシェアする簡単な方法を提供する。同社の顧客は特に、DropboxやGoogle Driveのようなサービスの利用が禁じられている大企業が多い。

ファウンダーでCEOのRurik Bradbury氏によると、彼がこの問題に気づいたのはLivePersonで会話型アプリを開発していたときだ。LivePersonを使ってるような大企業の多くは、ファイル共有サービスのリンクを受け付けない。そこで、プリントアウトした文書をFedExで送ったり、少なくとも一度は、文書を載せたAndroidタブレットを送ったこともある。

しかもこれは、限られた企業の特殊な問題ではなく、広く蔓延している問題のようだ。ある調査によると、BoxやDropboxやGoogle Driveなどは、エンタープライズのIT部門がブラックリストに載せて、警戒し排除しているアプリケーションの仲間なのだ。

Bradbury氏によると、企業が特に心配しているのが完全な双方向のファイルシェアリングだ。そこで、彼が見つけたそれを回避する方法は、各企業が小さなウェブサイトを共有すべき文書ごとに作ることだ。そこから誰か特定の人や企業だけが文書をダウンロードできる。ITから見ると、それらは単なるふつうのウェブサイトで、社員たちが勝手に文書をシェアし入手することはできない。ゆえに、それならブラックリストには載らない。

大きなDropboxではなく、極小のDropbox、ファイルが1つしか保存できないし、特定の人や企業しかアクセスできないDropboxを、必要に応じいくらでもたくさん作ると考えてもいい。Bradbury氏はそう言う。

ただし、この小さなウェブサイト方式はスケーラブルでない。そこでDocpackは、どんな顧客でも簡単迅速にそれらを作れるようにした。Bradbury氏はこのやり方を、WixやSquarespaceのようなウェブサイトビルダーになぞらえる。技術の全然ない人でもウェブサイトを一瞬で作れるという意味で。

Docpack Screenshot

Docpackのユーザーはほんの数クリックでミニウェブサイトを作ることができ、それに自社のブランド色を持たせたり、文書をアップロードできる。それらの文書は、特定企業のメールのドメインの中の人しかアクセスできない。また、文書をアップロードした者は、それをどこの誰がダウンロードしたか追跡できる。

料金は、スタンダードプランで一人あたり10ドルだ。そもそも会社の仕事は外部との文書共有で動いている部分が大きいから、営業や事業開発、マーケティング、PRなど、いろんな部門でDocpackを便利かつ安全に利用できるだろう。また、特定のジャーナリストたちのための無料アカウントもある。

Bradbury氏によると、Dropboxのようなファイル共有サービスもエンタープライズを意識し始めているが、それは単なる既存のサービスの拡張にすぎないという。これに対し、Docpackが提供するのはあくまでも特定企業間のファイル共有だ。

「それには十分に大きな需要があるはずだ。新しい種類のファイル共有サービスとして、ジャンルが確立してもいいよね」と彼は付け加えた。

画像クレジット: Stock4B

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Twitterが政府からの情報開示要請について公表

Twitterが最新の透明性レポートを公表した。同社が2018年7月から12月に各国政府から受けたユーザーデータ提供の要請は、前期に比べ6%減少したという。

今回公表されたデータによると、Twitterは政府から1万1112アカウントに関して情報提供の要請を6904件受けた。要請の件数は前期とまったく同じだが、アカウント数は減っている。同社が何らかのデータを提供したのは、要請全体の半数強だという。

データ提供の要請が最も多かったのは米国政府で、3860アカウントに関して2092件を要請した。これは全世界の要請のおよそ3分の1にあたる。

TwitterはPeriscopeのビデオストリーミングに関しても、108アカウント、30件の要請を受けた。このうち何らかの情報を開示したのは40%だった。

Twitterは、2通の国家安全保障書簡(NSL、National Security Letter)を開示する許可を得ているとしている。NSLはFBIが司法の監視なしに発行する情報開示の命令書で、発表禁止となっていることが多い。同社は以前と異なり今回はNSLを公表していないが、影響を受けたユーザー2名には通知したという。

同社は、テロ活動に関連する16万6513アカウントを停止したことも発表した。これは前期より19%減少している。また、子どもの性的搾取に関するルールに違反した45万8989アカウントも停止した。

画像: Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

Facebook共同創業者Chris Hughes氏が同社分割を提案

Facebook分割を求める最新の声は、最高の権威を持つリーダーのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏にとって最も不愉快かもしれない。

「マークの権力は前例がないほど大きく、非米国的だ」とChris Hughes(クリス・ヒューズ)氏はニューヨークタイムズの論争を巻き起こすオピニオン欄に書いている。「Facebookを分割するときだ」。

寄稿は長いが、マーケットに打撃を与えるほどのFacebookの独占に対する主張やヒューズ氏のザッカーバーグ氏との付き合いについてのわずかな逸話などがよくつながっていて、読みふける価値はある。

インターネットの支配を続けることが許されているFacebook/ザッカーバーグ氏に対するヒューズ氏の主張が展開されているこの長い記事には、テック企業への批判も盛り込まれている。この批判はザッカーバーグ氏の、Facebookそして何十億人という空前の人々に対する絶対的な影響力とつながっている。こうした人々にザッカーバーグ氏はアクセスでき、コンテンツ区分アルゴリズムを通じて行動を再プログラムすることができる。消費者の注意や選択、プライバシーの握りつぶしは、情け容赦ない成長目標や驚くほど過酷な広告ビジネスモデルのためだ。Facebookの絶対的君主であるザッカーバーグ氏が指示を出している言論のコントロールの弾圧について、ヒューズ氏は1人の人間が持つ影響力としてあまりにも大きいことを懸念している。

「マークは上司を持ったことがない。しかし、彼が持つ権力はチェックされる必要がある」とヒューズ氏は書いている。「米国政府は2つのことをする必要がある。Facebookの独占を分割することと、米国民に対してより責任を持つようにFacebookを規制することだ」。

彼が提案する解決策は単にFacebook、Instagram、WhatsAppを切り離してオンライン上でのFacebookの独占を分割するというものではない。彼は米国の議員にインターネット企業に節度を守らせるために監視機関の存在が不可欠であることを提案し、手はじめに最近厳しくなった欧州のプライバシー規制GDPRを挙げている。

「Facebookを分割するだけでは十分ではない。議会が後ろ盾となったテック企業を規制するための新たな機関が必要だ。その機関の最初の任務はプライバシーの保護であるべきだ」と書いている。「米国における画期的なプライバシー法案は、米国民が自分たちのデジタル情報についてどのような権限を持つのか正確に明示すべきで、ユーザーへの明らかな開示を伴い、また効果的な監視を訓練するため機関に十分な柔軟性を持たせるべきだ。監視機関にはまた、複数のプラットフォームにまたがった基本的な相互運用性を保証する権限も持たせるべきだ」。

ハーバード大学時代にルームメートだったザッカーバーグ氏と同じようにかつてほやほやのFacebook共同創業者だったヒューズ氏はのちに巨額の富になる株を持って2007年にFacebookを退社した。彼は後日書いているが、3年間の労働の対価として、Facebookの2012年のIPOで5億ドルを手にした。

しかしそれ以上に、スキャンダルに揺れ動く巨大企業を早期に離れていたことでヒューズ氏が感じたに違いない安堵には大きな価値がある。初期の過失はその後、プライバシー、セキュリティ、信用面で失敗のオンパレードとなり、それらは次第に無情にも世界規模のスキャンダルに発展した。ロシアが後ろにいる政治偽情報にまで広がった2016年の発覚は、表に出ていなかったFacebook広告の弱点に光を当てることになった。

ほどなくしてCambridge Analyticaのデータ誤使用スキャンダルにより、Facebookのデベロッパープラットフォーム上の恥ずべき動きにも光が当たった(Facebookは自社のスタッフにそうした政治広告をターゲットにするのを手伝わせ、そして巧みに操る政治プロパガンダサービスをCambridge Analyticaに売るためにユーザーデータを黙って吸い取っていた企業の共同創業者を雇った。

いまや、Facebookのプライバシー、セキュリティ、信用の失敗はアクシデントではなかったことが明らかだ。むしろ、それらはザッカーバーグ氏のリーダーシップ、そして容赦のない底なしの成長に向けた終わることのない全力疾走の彼の戦略に鎖でつながっている。

一方、ヒューズ氏はドロップアウトした。かなりの金持ちとしてFacebookを離れた。設立者という役割を考えた時、完全に責任はないとは言えないが、確かにザッカーバーグ氏レベルの消えない罪は負っていない。

いかにFacebookの独占が大規模にそして恐ろしく世界中の人を襲っているかについての彼の明瞭に表現された懸念が、ニューヨークタイムズのオピニオン欄で紹介される前にどこを流れてきたのか、我々は疑念を抱いてもいい。

おそらく彼は初期のザッカーバーグ氏のアドバイザーRoger McNamee(ロジャー・マクナミー)氏の前に批判的なオピニオンを書かなかったことを後悔しているのではないだろうか。マクナミー氏は批判的な本Zuckedを出版し、その中でザッカーバーグ氏にFacebookをダメージの少ないコースに導くよう説得を試みた経験をつづっている。

ヒューズ氏がカミングアウトしてテック企業批判に加わるまでに長い時間を要したことは確かに興味深い。

「Zucked」のニューヨークタイムズ上でのレビューヘッドラインは「Facebook反対マニフェスト」だった。ヒューズ氏のオピニオン投稿にも使える記述だ。2月にあったTechCrunchとのインタビューの中で、ザッカーバーグ氏やFacebookとの限られたつながりの解消を模索したマクナミー氏は声高に語った。「私は正しくないメッセンジャーかもしれない。しかし現在この役割を引き受ける人が他にいない」。

Facebookはもちろん、共同創業者であるヒューズ氏の批判を見下げることはできないだろう。これは、ザッカーバーグ氏にとって手痛い、しかもさっとかわすのが難しいパンチだ(我々はFacebookにコメントはあるか尋ねていて、返事があり次第アップデートする)。

と同時に、Facebookとザッカーバーグ氏を嫌うことはこのところ流行のようになっている。同社の消費者とマーケットを曲げようとする力は、友達や影響力のある人の獲得で得た熱狂を徹底的な嫌悪に変え、同社の幸運を台無しにした。

実際、Facebookの分割を求めているのは、同社の元メンターや元同僚、そして当然、政治家や議員だ。

そうした視点で見ると、ヒューズ氏が意見を表明するのにかくも長い時間がかかったのは恥ずべきことだ。これは彼にとって日和見主義というレッテルが貼られるリスクとなる。または、あえて言うと、テック企業批判主義だ(一部の人はFacebookのでしゃばった影響力に対して何年も警鐘を鳴らしてきた。クリス、クラブへようこそ!)。

しかし、ヒューズ氏はザッカーバーグ氏との長い友情を守ろうとしていたのかもしれない。(寄稿はヒューズ氏が2017年夏にザッカーバーグ氏と会った時の回顧で始まっていて、これは今後個人的にザッカーバーグ氏と会うことはないと暗に知らせていると読める)。

ザッカーバーグ氏に反旗を翻す時を待つ必要があると感じていたのはヒューズ氏だけではない。

昨年Facebookを去ったWhatsAppの創業者たちは、プロダクトの哲学が「fuck ads」に要約されたにもかかわらず、何年も沈黙を続けた。そして最終的に、ザッカーバーグ氏の後出し的なWhatsAppへの広告に満ちたプライバシー侵害に愛想をつかした(微妙な方法、またはさほど微妙ではない方法で)。

WhatsAppの創業者たちの場合は、十分な株式が付与されるのをほとんど待っていただけだったようだ(Brian Acton氏は大量の株式を受け取ることなく辞めた)。しかしヒューズ氏は何年も金の上に座していた。

それでも少なくとも最終的にヒューズ氏の批判が表に出てきた。批判者リストにかなりレアな人物が加わった。ザッカーバーグ氏に近い存在だったFacebookの共同創業者が最終的に「友達ではない」のボタンを押すに至ったのだ。

アップデート:グローバル問題・コミュニケーション担当の副社長Nick Clegg氏の声明として、Facebookは以下のようにコメントしている。

Facebookは責任を伴う成功を享受している。しかし成功している米国企業の分割を求めることでは責任を強制できない。テック企業の責任は、痛みを伴うインターネット新ルールの導入によってのみ成し得る。これこそがマーク・ザッカーバーグが求めているものだ。実際、彼は今後に向けて今週、政府のリーダーと会う予定だ。

イメージクレジット: SAUL LOEB/AFP / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

デルタ航空が無料機内Wi-Fiをテスト開始

Delta Airlines(デルタエアライン)は、無料機内Wi-Fi提供の計画をついに発表した。ただし、目標達成にむけての第一ステップは一部の機内でテストを行うことで、今月開始される。5月13日から1日55便の国内便で無料サービスを提供する。

テストの目的はシステムの負荷を把握することだ。現在、機内Wi-Fiを実際に利用している乗客はごくわずかだ。Deltaの現在のプロバイダーであるGogoによると、さまざまな提携航空会社を合わせた平均で12%程度の乗客が使っている。当然その数字は無料になれば飛躍的に上昇する。

「テストはこの非常に複雑なプログラムを正しく運用するための鍵になる。実現のためには多くの創造性、投資、および計画が必要であり、単にスイッチを入れるだけではない」とDeltaの機内サービス責任者がウォールストリートジャーナルに語った。

飛行機にWi-Fiサービスを搭載、維持する費用は決して安くないが、多くの企業が無料でサービスを提供している世界で、その法外な料金は突出している。荷物のチェックイン料金同様、Wi-Fiは航空会社が旅行者から1セントでも多く搾り取る手段のひとつになっている。

実際、JetBlueは主要航空会社の中で唯一、乗客全員に無料インターネットアクセスを提供しているが、サービス提供にあたっては企業スポンサーに依存している。Deltaは無料アクセスの規模を拡大する正確なスケジュールを発表していない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

LINEで質問に答えるだけで車の一括査定や購入相談、フリークアウトが新サービス

車や不動産を売却する際、引っ越しを検討する際などに複数の業者に対してまとめて見積もりを依頼できる“一括査定サービス”。各社のサイト上で毎回同じような条件を入力する手間を省き、手軽に複数社を比較できる手段として様々な業界で広がってきた仕組みだ。

ただその便利さの一方で、実際に使ってみると「次から次へと電話がかかってきて対応が大変」「電話口で同じようなことを聞かれるのでだんだん疲弊する」といった課題もある。僕も過去に引っ越しの一括査定サイトを利用した経験があるが、想像以上に何件も電話がかかってくるのに疲れてしまって、申し訳ないけれど途中でそっと電源を切ってしまった。

さて、今回は“車の買取”領域において、そのような従来の一括査定サイトが抱えている課題を解決しようというプロダクトを紹介したい。

サービス名は「ビッドナウ車買取」。広告技術を軸に様々なプロダクトを展開してきたフリークアウトが、新規事業として本日5月9日にローンチしたものだ。

LINEを活用、質問に答えるだけで一括査定や購入相談

ビッドナウ車買取はLINEのチャットを活用することで手軽に、かつ負荷なく車の一括査定や購入相談ができるサービス。ユーザーがチャットボットの質問に答えていくだけで、複数の業者による査定金額を比較したり、車の購入サポートを受けられるのが特徴だ。

たとえば車の売却を考えている場合、車のタイプ(国産車or輸入車)、メーカー、車種、年式、走行距離、事故歴や車の状態などを提示される選択肢の中から選んでいく。回答にかかる時間はだいたい45秒程度。ここで登録した情報を元に、LINEのトーク上に各買取業者からコメントと査定金額がどんどん届く仕組みだ。

電話を受ける手間なく複数社の提案をパッと比較し、気になる業者が見つかれば個別でより具体的に内容を詰めることもできる。電車移動中など、ちょっとした空き時間に手軽に使えるのも利点。なお提案がくるのは最大で4社までとなっていて、エリアに応じて買取業社が決められているという。

車の購入相談に関しても大枠のフローは同様だ。基本的にチャットボットの質問に答える形で条件やニーズを絞り込み、ユーザーに合った業者をマッチングするのがビッドナウ車買取の役割。売却や購入意欲のあるユーザーを送客することで企業側からフィーを得るビジネスモデルのため、ユーザーは無料で使うことができる。

ローンチ時は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、山梨県、愛知県、大阪府、兵庫県からのスタート。ただし上記エリア内でも一部利用できないエリアがあるとのこと。

またLINEチャットによる一括査定・購入相談サービスと並行して、Webメディア上でカーライフ全般における情報発信にも取り組む。

電話で発生していた「不」をLINEで解消

これまで車の一括査定は、年間3兆円を超えると言われる中古車の小売販売市場における重要なチャネルのひとつとして機能してきた。

ただ冒頭でも触れた通りユーザーにとっては「電話がしつこい」「複数社との交渉が手間」といった点で改善の余地があり、買取業社にしても「電話連絡の体制が整った業者が一人勝ちで他社は電話も繋がらない」「ユーザーの取り合いが激化し、顧客獲得率が低下」「セールス担当者が疲弊したり、(ネガティブな口コミなど)電話営業によるリピテーションリスクも高まる」といった課題を抱えているという。

「最初に電話が繋がった企業が他社に顧客を奪わせないために長電話をしたり、強引な営業をしようとするケースも少なくない。買取業者に話を聞くと、2番目以降になった際は顧客の機嫌が悪く『まずなだめる所からスタートする』こともあるという。他よりもいい提案ができるのに、繋がった順番や電話スキルの問題で決まってしまうのは、双方にとってもったいない」(ビッドナウ車買取の責任者を務める胡桃沢精一氏)

上述したようにLINEを用いれば、ユーザーにとって負担となっていた「電話の問題」も解消できるほか、企業側も顧客と繋がった順番だけで大きく有利・不利が決まることなく、自分たちの提案内容で勝負しやすくなる。

近年コミュニケーションプラットフォームとして広い層に普及しているLINEにすることで、そもそも電話は使わないという世代にアプローチできる可能性もあるだろう。以前紹介した「確定申告の書類診断 by freee」やSBI損害保険の事故報告サービスなど、LINEをベースにしたプロダクトもどんどん増えてきている。昨年リリースの「ズボラ旅 by こころから」もまさにその一例だ。

ゆくゆくは他の領域への展開も検討

胡桃沢氏によると、昨年の夏頃からビッドナウ車買取の簡易版を作り、ユーザーテストに取り組んできたという。複数社の査定を比較すると見積もり金額に2倍の差がついたようなケースもあり、手応えも感じているようだ。

特に同サービスのキモとなるチャットボットとの質疑応答の部分については、質問数や質問内容、回答の選択肢のチューニングを継続的に実施。当初は実際に顧客と買取業者が個別でやりとりをするに至った割合は全体の50%ほどだったが、ローンチ前には70〜80%ほどにまで改善された。

まずは引き続きチャットボットの精度向上や機能拡充、外部ツールとの連携などに取り組みながら、車の一括査定と購入相談を軸にサービスを運営する計画。ゆくゆくは保険やローンなどクルマ領域で幅を広げていくことや、不動産など別ジャンルへの横展開も検討していくという。

Google社員らがストライキと報復人事についてラリー・ペイジの対応を要求

Googleの社員たちは今も活気があり要求の手を緩める様子はない。報復人事に抗議した先月の座り込みストライキの後、グーグラーらは4つの要求を掲げた。

「Googleは善悪の判断がつかなくなったようだ。労働者と会社の信頼関係は著しく損なわれた」とGoogleのストライキ主催者が本日Mediumに書いた。「会社に危機が訪れるたびに、Google経営陣と人事の欠陥が露呈していることは明らかだ。今こそ人事部門を業績改善プログラム(PIP)にかけ、信頼できる誰かに監視させるときだ。今こそ大きく問題にすべきだ

最初の要求は、Googleがストライキの残りの要求に答えることだ。Googleはストライキ後にある程度の変化をみせたが、主催者の要求すべてには対応しなかった。たとえば、Googleは最高多様化責任者をPichai(ピチャイ)氏直属に昇格させることはせず、従業員代表を取締役会に参加させるという主催者の要求も無視した。

社員らはAlphabet CEOのLarry Page(ラリー・ペイジ)氏が、ストライキの要求に関与し、対応することも要求している。

「ラリーは、Alphabetの取締役会をコントロールしており、変化を起こす個人的権力を持っている。他の人にそれはない」と主催者は書いた。

さらに社員らは、会社がMeredith Whittaker氏の異動を撤回し、Chaire Stapleton氏の新チームへの異動を認めるよう要求した。Whittaker氏はGoogleのOpen Researchの責任者でストライキ主催者の1人でもあり、自分の仕事が「劇的に変えられた」と言っている。同じくストライキ主催者のClaire Stapleton氏は、上司から降格および職責の半減を伝えられたと主張している。

「われわれはGoogleに対し、Meredith氏の異動を撤回して以前と同じ仕事を続け、完全な報酬と支援を受けられるようにすることを要求し、Claire氏の報復や妨害のない新たなチームへの異動を要求する」と社員らは書いた。

最後に彼らは、人事部門による社員の苦情の扱い方について、透明で開かれた調査を行うことを要求している。

「会社は組織の評判を優先するために、社員への虐待と嫌がらせを繰り返してきた」と彼らは書いた。「巻き添え被害はいたるところで起きている。もう時間切れだ。第三者による調査が必要だ。あのUberでさえやっていることであり、Eric HolderとAriana Huffingtonを連れてきた。」

セクシャルハラスメントを巡るスキャンダルの中、Uberは外部チームを結成して会社カルチャーを調査した。Google社員らが求めているのはそれだ。彼らはGoogleやAlphabetと金銭関係のない調査メンバーを望んでいる。

Googleはコメントをせず、報復に関する以前の声明を提示した。

「当社では職場における一切の報復行為を禁止しており、われわれの明瞭なポリシーは一般公開されている。提起された苦情が会社に届かないことのないように、Googleでは社員が問題を報告する手段を匿名を含めて複数用意しており、報復の申立てはすべて調査している」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

直接上場を控えたSlack、週明けに会社説明をライブストリーミング する

今やあらゆる企業で使われるようになったビジネス・チャットのSlackはNYSE(ニューヨーク証券取引所)への直接上場を予定している。米国時間5月8日、同社は週明けの月曜に投資家向けプレゼンをストリーミングすることをブログ記事で確認した。 Slack株式は来月にも市場で売買が可能となる予定だ。

Slackの投資家向け会社説明、Investor Dayは5月13日午前9時30分(東部標準時)に同社のウェブサイトから配信される。

幹事証券会社が新株を一括引受けする伝統的な上場方式とは異なり、直接上場では企業は新たな株式を発行しない。その代わりに上場と同時に関係者が保有する既存株式が株式取引所で売買でできるようにする。

株主は起業家自身、投資家、社員などだ。 SlackはSpotifyと同様 直接上場を行うことによって、伝統的上場で必要なロードショー(各地での投資家向け会社説明会)やウォールストリートの証券会社に支払う高額の手数料をバイパスできる。

音楽ストリーミングの大手であるSpotifyも、上場に際して投資家のみ閲覧できる会社説明をストリーミングしている。 Slackのストリーミングもこれにならったものになるとするなら、Slackの共同ファウンダー、CEOのスチュワート・バタフィールド氏と何人かの経営トップが登場して同社のビジョンについて語ることになるはずだ。

Slackが上場計画を明らかにしたのは2週間前だ。SECに提出された申請書によれば、2019年1月31日を終期とする会計年度において同社の収入は4億60万ドル、これに対する損失は1億3890万ドルだった。その前の会計年度では2億2050万ドルの収入に対して1億4010万ドルの損失を計上していた。

また同社は申請書で今年に入って60万件の組織からDAU(1日あたりのアクティブユーザー)が1000万人を達成したと述べている。

Slackはこれまでに総額12億ドルの資金を調達している。投資家にはAccelAndreessen HorowitzSoftBank、Google Ventures、 Social Capital、and Kleiner Perkinsなどが含まれる。

画像:Chesnot / Contributor / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

仲間への感謝の気持ちをコインで伝える、コミュニティ運営ツール「KOU」がアカツキから資金調達

コミュニティプラットフォーム「KOU(コウ)」を提供するKOUは5月8日、モバイルゲーム事業などを展開するアカツキからの資金調達を発表した。金額は非公開。また、これと同時にアカツキCEOの塩田元規氏がKOUの社外取締役に就任したことも発表した。

KOUは、スマホを使ってコミュニティを作り、そのコミュニティ内で利用できる「コイン」を発行することができるサービスだ。例えば、会社の同僚同士でコミュニティを作り、後輩の初契約を祝うためにコインをプレゼントしたり、地域単位のコミュニティを作って街のパン屋さんを応援したりなど、工夫次第によってユースケースは広がりそうだ。

同社はプレスリリースのなかで、「私たちは、コミュニティ内でのやり取りには、現在の資本主義的な経済システムでは可視化しにくい大切な価値があると考えています。そのような捉えにくい価値がより生み出されていくために、コミュニティがより円滑に運営できるためのスマホアプリとしてKOUを開発してきました」と同サービスの開発背景について語る。

同サービスは2018年9月にスタート。これまでに1500以上のコミュニティがKOUから生まれたという。同社はこれまでコミュニティへのヒアリングやサポート、機能拡張に注力してきたが、今回の調達により、採用を行いプロダクト開発チームを強化する予定だ。

GoogleマップのAR案内がPixelで本日から順次利用可能に

昨年のGoogle I/Oで見た奇妙だが興味をかきたてられるデモが、一般ユーザーにも公開された。GoogleマップのAR歩行経路案内が本日からPixelユーザーに順次提供される。

拡張現実を使った経路案内は、ユーザーがGoogleマップを開いたとき、視覚的なヒントによってユーザーが迷子にならず目的地に到着できるようにする。経路情報がカメラ画面上に表示され、物理空間上に方向を示す矢印が表われる。

このモードを使うと、端末のGPSが少し位置を外れたときでも、ユーサー空間の視覚情報を認識し、クラウド上にあるユーザーの位置情報とマッチさせることによってユーザーを正しく導くことができる。

TechCrunchでは今年、このARマップ機能を実際に使う機会があり、全体的に好印象だった。

Googleはこれを「早期プレビュー」と位置づけており、Pixel以外の端末でいつ利用できるかについては言及しなかった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google I/Oはアクセシビリティ強化に全力、聴覚障害者にも電車でYouTubeを見るにも便利

マウンテンビューの本社に隣接するアンフィシアターで開幕した今年のGoogle I/Oでは驚くほど長い時間がアクセシビリティの改善に関連する発表に振り向けられた。ライブキャプションなどの新機能はすべて発話とテキストを相互変換するテクノロジーの改善をベースとしている。

テクノロジーとして特に注目すべきなのはこうした音声ベースの自然言語処理の一部が、クラウドとデータをやり取りすることなく、デバイス上で直接実行できるようになった点だ。

Androidの新しいアクセシビリティ機能は聴覚などに障害を持ったユーザーの生活の質を大きく改善するはずだ。ライブトランスクリプションは音声による発話を認識してリアルタイムでテキストに起こす機能だ。また逆に音声合成によりテキストをリアルタイムで音声化することもできる。

音声入力機能はGoogleが以前から重点項目として挙げていた。機能として単純だがスピードと精度が高くなれば非常に役立つツールとなる。 現在でもAndroid上でアプリを起動しマイクのアイコンをタップすると音声を聞き取ってテキスト表示してくれる。

現在でもOne Miniなど音声入力、音声出力による機械通訳デバイスが利用できるようになっている。昨日のMicrosoftのBuildカンファレンスでもミーティングの内容をテキストに起こすアプリが発表されていた。こうした機能の必要性ははっきりしており、むしろなぜもっと早く実現しなかったのかというほうが興味ある問題だ。

実は自然言語認識システムはかなり以前から実用化されていたが、特定のユーザーが静かな環境かつ一定のボキャブラリーで話す内容の聞き取りにとどまっていた。これに対して不特定多数のユーザーが雑音の多い駅やカフェで友だちと自由に会話するのを認識するのは非常に困難な作業だった。リアルタイム通訳となれば当然複数のユーザーの話す内容を聞き取らねばならない。出力も自然な音声合成が必要となる。これらを商品として実用に耐えるレベルにまで改善するのは控え目に言ってもチャレンジだった。

今回のアップデートでは音声認識にさらに新しい機能が追加された。これはライブキャプションといい、上に述べた音声認識テクノロジーをビデオに適用してリアルタイムで字幕を表示できるものだ。ユーザーはYouTubeビデオを見ながら登場人物が何を言っているのかリアルタイムで字幕で見ることができる。これはビデオメッセージ、ボイス・メッセージにも利用できる。

この機能は聴覚にハンディキャップがある人々に便利なのは当然として、対象言語の聞き取り能力が不足しているが音声をテキスト化してもらえば判読できるという何千万人ものユーザーにとっても朗報だ。あるいは職場や交通機関内で音声をミュートしてビデオを見るときにも使える。ベッドでビデオを見ながら眠ってしまいそうなときも音を消して字幕にしてしまえれば好都合だ。リアルタイムで自然言語を認識しテキスト化する能力が使える場面はこれ以外にも無数に考えられる。

Gif showing a phone conversation being captioned live.

サンダー・ピチャイCEOによれば通話へのライブキャプションの適用は「まだ開発途上」ということだったが、「ライブリレー」というデモがステージで披露された。ユーザーが聴覚にハンディキャップがあるか、いろいろな理由でうまく発話できない場合、通常の音声通話はほとんど意味ないものとなる。しかしライブリレーが実用化すれば着信ないしマイクで入力された音声をライブでテキスト化して表示、あるいは送信できるようになる。

ライブキャプションはAndroid Qの機能として実装される。デバイスによって機能の一部に制限が生じる可能性はある。ライブテキスト化は現在でも利用できるが、まだベータ段階だ。ライブリレーは上述のように未公開だが、デモの完成度から判断すると公開される時期はそう遠くないはずだ。

【Japan編集部追記】ソースネクストから販売されているリアルタイム翻訳デバイス、ポケトークは複数の音声認識エンジンを利用しており、日本語/英語翻訳のエンジンはGoogle翻訳をカスタマイズして利用している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

自由な働き方を支援する人材事業のキャスターが3.6億円を資金調達

オンラインアシスタントサービス「CASTER BIZ(キャスタービズ)」などを展開するキャスターは5月8日、Gunosy Capital、およびSMBCベンチャーキャピタルが運営するファンドからの第三者割当増資などにより、合計約3.6億円の資金調達を行ったことを明らかにした。

キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、2014年9月に創業したスタートアップだ。同社はオンラインで経理、人事、秘書、WEBサイト運用などの業務を行うCASTER BIZを2014年12月にリリース。その後、リモートワーカーの派遣サービス「在宅派遣」や、副業・時短・在宅など新しい働き方に特化した求人サイト「Reworker」、オンライン採用代行サービス「Caster Recruiting」といった、柔軟な働き方を支援する、さまざまなサービスを展開してきた。累計利用社数は1000社を超えたという。

2018年8月には、Basecampが運営していた、SNSを利用したソーシャル募集サービス「bosyu」事業を譲受。また2019年に入ってからは、「会食手配」や「会議室リサーチ」など、個人が日常業務を500円からオンラインアシスタントに依頼できる「My Assistant」や、安全なリモートワーク環境を実現するためのクラウド型デスクトップ仮想化サービス「Caster Entry」など、関連サービスも拡大している。

キャスターは、2016年8月に大和企業投資から1億円、2017年12月にWiLや既存株主を引受先とした3億円の資金調達を実施している。今回の調達で、これまでの累計資金調達額は約10億円となる。

現在、700名以上が自由な働き方を求めて契約するというキャスター。今回の資金調達により、さらに採用強化に向けた投資を行い、クライアントのニーズに応えていくとしている。また法人向けマーケティングも強化し、認知度の拡大を図るという。

アップルとGoogle PlayはFTC警告の3つのデートアプリを削除

連邦取引委員会(Federal Trade Commission、FTC)によると、Googleとアップルはアプリストアから、3つのデートアプリを削除した。それらは、性犯罪者が子どもたちを見つけるために使っている可能性があるからだ。親へのアドバイスとしてFTCの弁護士Lisa Weintraub Schifferle氏は、ウクライナの企業Wildecが作ったFastMeet、Meet24、およびMeet4Uはどれも、児童オンラインプライバシー保護法(Children’s Online Privacy Protection Act、COPPA)と連邦取引委員会法(FTC Act)に違反していると思われると書いている。

FTCが5月の初めにWildecに送った書簡で、そのアプリが13歳未満を名乗るユーザーの利用や他のユーザーから彼らが見えることを防げていないと通告していた。FTCのスタッフはMeet24の検索機能を試してみて、位置的に彼らの近くにいる12歳を名乗るユーザーを見つけることができた。

COPPAの規定では、13歳未満の子どもに個人情報を求める場合は検証可能な親の同意が必要である。FTCはWildecに対し、子どもが自分たちのアプリを使ってることを知っていながら、その要件を満たしていないことはCOPPAへの違反と思われると通告している。FTCは、来月またアプリを調べて、法の遵守をチェックするとも表明している。

安全対策のあるアプリでも、児童の搾取は深刻な問題だ。たとえば今年の初めに英国政府は、年齢確認チェックをアプリの要件とすることの法制化の検討を開始した。それは、TinderやGrindrなどのアプリを起因とする児童のレイプが2015年以降で30件余りあったとするSunday Timesの記事を受けての政府のアクションだ。

TechCrunchはWildecにコメントを求めるメールを送付した。

画像クレジット: Bryce Durbin/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Twitterのリツイートに写真やビデオを追加可能に

Twitterのリツイートに、ついに新機能が追加された。ちょっとしたことだが便利な機能だ。これまでリツイートの際に追加できるのはテキストだけだったが、新たに写真、ビデオ、GIFも追加できるようになった。

この機能は米国時間5月6日に、iOS、Android、Twitterのモバイル用ウェブサイトで使えるようになった。ちょっとしたアップグレードのように見えるが、Twitterで共有されるメディアの量に大きな影響を与える可能性があるという意味で注目される。

ユーザーはよくコメントを付けてリツイートしている。そのため、リツイートでメディアをサポートすれば、Twitterのタイムラインをスクロールするときに目にするテキスト以外のコンテンツの量はかなり増えると考えられる。

Twitterのフォーマットにはさまざまな制限が伴うが、このアップデートはSMSに似たタイプの公開のプラットフォームを提供するというTwitterの当初の目的とは離れた方向へさらに進む一歩と見ることもできる。これまで、メディア、ユーザーからのライブストリーミングビデオメディアパートナーからのライブビデオオーディオのブロードキャスティングをサポートし、2017年には文字数制限をそれまでの2倍の280文字にした。現在は「twttr」と呼ばれているテストアプリで、会話をよりフォローしやすくために、返信をスレッド化する新しいユーザーインターフェイスのプロトタイプに取り組んでいる。

これらの変更を総合して考えると、Twitterは「テキストでステータスを更新するもの」という評価から離れ、もっとメディアリッチでエンゲージメントの高いプラットフォームの方向を目指していると言える。そうなればユーザーがTwitterに費やす時間が増え、広告収入の増加が期待される。

リツイート機能のアップデートは詳細ページのツイート、タイムライン、アクセシビリティ機能、Twitterクライアントに影響を与えるため、この変更には複数のチームのチームワークとコラボレーションが必要だったと同社は語っている。

Twitter Engineeringのアカウントは今回のアップデートについて「多くの人が望んでいた機能に取り組み、とてもエキサイティングだった。この機能をローンチできてうれしい。皆さんがこの機能を使うのを楽しみにしている」と書いている。

私たちが望む機能はほかにもあることを忘れないでいてくれるといいのだが。編集ボタンは作られないのかな……。

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(翻訳:Kaori Koyama)

テンセントは「善用される技術」を約束する

テンセント(腾讯)はアジアで最も時価総額の高い企業の1つであり、その価格はおよそ4600億ドル(約50.6兆円)に達する。そのテンセントが新しいモットーを導入した。今週、共同創業者兼CEOのポニー・マー(Pony Ma、馬化騰)氏が、世の中に良い影響を与える「善用される技術」(Tech for Good)が、この先の企業のビジョンであり、ミッションの一部となると語ったのだ。

この新しい企業理念は、まだ公式のものとなっておらず、この「邪悪になるな」(Don’t be Evil)に似た響きのスローガンが、テンセントの事業戦略にどのように現れるのかは不明である。さらに、それは現在まだウェブサイト上に掲出されている、以下のような古いミッションを置き換えるものかどうかもわかっていない。

テンセントのミッションは「インターネットの付加価値サービスを通じて、生活の質を向上させる」ことです。「ユーザー志向」のビジネス哲学に導かれながら、テンセントは10億以上のネチズンに統合されたインターネットソリューションを提供することによって、そのミッションを達成します。

最近の出来事に関するエピソードが、おそらく新しいスローガンがもたらすかもしれないことへの、いくつかのヒントを提供しているかもしれない。広い社会よりも個々人に焦点を当てていた旧来のミッションは、テンセントをビデオゲームやソーシャルメディアの分野で優越した存在へと押し上げた。同社は10億人のユーザーが利用しているメッセンジャーソフトのWeChat(微信)を運営している企業であり、複数の最大規模のビデオゲームを運営している。しかし、現在こうしたビジネスセグメントたちは、中国政府による規制環境の変化と、21歳の巨大企業への業界のライバルたちからの挑戦によって、ますます増大するプレッシャーを受けている。

昨年数カ月に及んだゲームの凍結が、テンセントのゲーム収益を圧迫したために、時価総額にして数十億ドルほどが吹き飛んだ。またショートビデオアプリのTikTok(中国内ではDouin=抖音という名称)の登場は、ソーシャルならびにコンテンツ分野での、テンセントの優位性を脅かしている

競争力を維持するために、同社は昨年10月に大規模な組織の再編成を行い、金融、医療、教育から政府サービスに至る各業界に、クラウドコンピューティングやデジタルインフラストラクチャを提供する、エンタープライズビジネスにより重点を置くようになった。

旧来の確立している業界のアップグレードを狙う新たな取り組みは、より多くの収益源を開拓するだけではない。こうした分野が、テンセントがその「善用される技術」ミッションを実現するための試験場となるのだ。

マー氏が、月曜日に開催された政府主導の業界会議のDigital China Summitで誓約を行ったように、テンセントは次のことを訴えたいのだ。「技術は人類に利便性をもたらすことが可能です。人類は技術を善用しなければならず、悪用は控えなければなりません。そして技術はそれが社会に持ち込む問題の解決に努めなければならないのです」。

マー氏は、技術が良い変化を生み出すことができる3つの重要分野を指摘した。1つ目はテンセントが生産効率を高めるためにビッグデータ機能を提供できる、伝統的な産業分野である。 2つ目はテンセントがそのアプリを使ってデジタル化してきた査証の申請や運転免許の更新などのたくさんの市民サービスといった行政分野。そして最後は広範囲で定義は曖昧だが、テンセントの顔認識技術を使った行方不明の子供の追跡などの試みを含む社会分野である。

「世界にある似たようなものを見てみると、Googleは20年前のIPOに先立ち、その行動規範として『邪悪になるな』(Do no Evil)を提案しています。このような高潔なミッションは、ある企業がその身に集めてきた影響の量を物語るものだと考えています」とTechCrunchに語ったのは、元Qualcommの技術者で人工知能を応用した医療用画像スタートアップを創業したジョン・シン(Zhong Xin)氏である。

「技術は両刃の刀です。企業は技術の適切な使用方法を定める、指針となる原則を必要としていますから、技術で世の中のためになる良いことを為すというミッションは当然のものだと思います」とシン氏は付け加えた。

政府の立場からすれば、良いことを為すことに焦点を当てるという企業のモットーは、明らかに心地よく響くものだ。テンセントの新しい行動規範は、現在中国のテック大企業たちが直面している、社会に対する悪影響への、大衆並びに政府からの批判の高まりに対応したものだ。こうした批判は、シリコンバレーにおけるテック企業批判とも呼応している。 そうした批判は、子どもたちの視力障害に対するビデオゲームの影響(この件ではテンセントは特に悪者にされている)から、バイトダンスの人気のあるニュースアプリのToutiao上で猛威を振るうクリックベイトコンテンツなどへと及んでいる。

「『良いことを行う』ことは、どんなテック企業も忘れてはならない価値でなければなりません。もちろんベンチャー投資家たちにとっても同じです」とTechCrunchに語るのは、ベンチャーキャピタルSky9 Capitalのパートナーであるワン・ジン(Wang Jing)氏だ。「しかし企業が取り立てて『良いことを行う』ことを選び出さなければならないのは、既に何か悪いことが起きているということかもしれません」。

問題となっている多くのハイテク大企業たちは、より厳しいポリシーを自社製品に課すことで、批判に対応してきた。たとえばテンセントは、すべてのゲームタイトルに未成年者保護モードを追加した、このことによって、親たちは子供のプレイ時間を監視することができるようになった。Toutiaoもまた、当局によって不適切と見なされたコンテンツを排除するために、何千人もの監査人を雇っている。

テンセントが自身の倫理規範を重視したのは今回が初めてではない。「善用される技術」というフレーズは、最初はテンセントの共同創設者で元CTOのトニー・ジャン(Tony Zhang)氏によって、2018年初頭に口にされたものだった。しかしそれが経営陣からより大きな注目を集めるようになったのは、「夢を持たないテンセント」(腾讯没有梦想)というタイトルのエッセイが、中国のハイテクコミュニティの中で激しい議論を巻き起こした後のことだ。ベテランのジャーナリストによって書かれたこの記事は、テンセントは投資価値のある製品を探すことに固執するばかりで、独自の製品を発明していないと主張している。

「人びとは『テンセントには夢がない』と言っています。『善用される技術』というスローガンを掲げることで、テンセントは世間に対して『夢を持っている』ことを宣言したがっているように見えますね」とTechCrunchに語ったのは、シェアハウスのスタートアップDankeの会長で、かつてはLinkedIn Chinaを率いていたデレク・シェン(Derek Shen)氏である。「そしてそれは、人々の生活に『良いこと』をもたらす、大きな夢なのです」。

画像クレジット: VCG/VCG (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:sako)

Dropboxはファイル保存コスト削減のためコールドストレージを採用

Dropbox(ドロップボックス)は、AWSから独自のデータセンターへと、負荷を移動する作業に何年も前から取り組んできた。ファイルの保存とアクセスの方法を細かく制御する必要があったからだ。そのために、Magic Pocketと呼ばれるストレージアーキテクチャを開発して活用してきた。しかしその過程で気付いたことがある。多くのユーザーは、バックアップ目的でDropboxにファイルを移動すると、その後はめったにアクセスしなくなるということだ。

そしてエンジニアが悟ったのは、すべてのファイルを同じ方法で保存するのは、ほとんど意味がないということ。多くのファイルは、Dropboxに預けた日の翌日以降、あまりアクセスされなくなるからだ。そこでDropboxでは、2種類のストレージを用意することにした。これまでのMagic Pocketを使うウォームストレージと、長期保存に適した新たなCold Storage(コールドストレージ)だ。そうすることでDropboxは、ファイルの保存コストを下げつつ、ユーザーの要求に応じて素早いアクセスを提供することもできる。

Dropboxのユーザーとしては、当然ながら、同社がどのような技術的な課題に直面し、それをどのような方法で解決しているかなどといったことに興味はない。ユーザーは、ファイルをクリックしたとき、特に遅れを感じずに開くことができれば、それでいいのだ。ファイルの古さなど関係ない。しかしDropboxでは、古いものは別のレイヤーに保存する手法を編み出した。

「コールドストレージには、通常、アクセス頻度の低いものを保存することになります。そのため、そうしたファイルの場合、ストレージ容量、パフォーマンス、そしてネットワークのバンド幅の間でバランスを考える必要があります」と、コールドストレージのプロジェクを担当するエンジニア、Preslav Le氏はTechCrunchに語った。

というわけで、コールドレイヤーに保存されたファイルを、許容範囲の待ち時間以内に取り出すことのできるシステムを設計するのは、エンジニアの責任だった。ユーザーが気付いてしまうような遅れは許されない。そのような仕事は、設計上のきわどい綱渡りを必要とする。こうしたアプローチでは、すべの要素のバランスをうまく取る必要があるからだ。

「私たちのコールド階層は、ウォーム階層と同じハードウェア上で動作し、同じネットワークに接続されています。それでも画期的な方法によってディスクの使用量を25%削減することで、コストを節約しています。耐久性やアクセス性を犠牲にすることもありません。ユーザーは、2つの層の違いにほとんど気付くことはないはずです」と、Dropboxはこの新機能を紹介するブログ記事に書いている。

同社では、耐久性と信頼性を確保しつつ、新たなストレージのレイヤーを開発して全体的なコストを削減する必要があった。そのプロジェクトは容易ではなかったが、2つの層を持つシステムによって、やがて10〜15%ほどのコストの削減につながるものと期待している。

画像クレジット:Chris Clor/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Facebookがビデオのガイドラインを改定、オリジナリティーや愛着度を重視

米国時間5月6日、Facebookは投稿されたビデオのランク付け方法に一連の変更を加えたことを発表した。ランクはビデオがどれだけ広く配信されるかを決定する。改定されたガイドラインによると、Facebookが高くランク付けするようになるのはオリジナル作品、ユーザーが長時間視聴したビデオ、ユーザーが繰り返し視聴したビデオなどだ。

狙いは、質の高いビデオを増やして「オリジナリティーのないビデオや使い回しされて付加価値のないビデオ」を減らすことにある。これは他人のコンテンツを(時には適切なクレジットなしに)大量に転載して小遣い稼ぎしているメンバーに対する取り締まりでもある。

Facebookは、シェア詐欺に関与しているFacebookページのビデオもランクを下げると言っている。他のページオーナーに報酬を払って中身のないコンテンツを掲載して宣伝させる手法だ。

さらにFacebookは、熱心で忠実なファンのいるビデオを高く評価するようになる。

従来Facebookは、ビデオクリエイターに対して、視聴者を1分間以上引き止めるよう推奨してきた。今後は、視聴者が3分以上見るビデオを積極的に推進していく。そして、何週間にもわたって視聴者が戻ってくるビデオも高く評価される。

今回の変更の狙いは、人々にとって価値の高いビデオを推進するとともに、優れたビデオクリエイターが、ソーシャルネットワーク上で広く知れ渡ることだとFacebookは言っている。

この変更は、FacebookのビデオサービスFacebook Watchが、AppleのストリーミングサービスApple TV+や、Roku Channel、AmazonのIMDb、そしてもちろんYouTubeといった広告支援コンテンツなどとのユーザーの時間と関心の競争が激化してきたタイミングで行われた。そしてまもなく、Disney期待のストリーミングサービスも視聴者の時間を奪いにやってくる。

Facebook Watchは、スピルバーグやウィザースプーン、オプラーといった大物と契約を結んだApple TV+らの新規参入組と比べてコンテンツの質が低いことを指摘されてきた。今後はMTVの「The Real World」や「Buffy」の再放送などの「プレミアム」コンテンツの提供に集中していく。

最近YouTubeがオリジナルコンテンツの無料・広告支援化を打ち出す中、Facebookは自身のビデオサイトを一時的な注目ではなく視聴者を定着させるものにしていく必要がある。そのためには一定の品質を超えたビデオを広めていくしか方法はない。新しいガイドラインはそのためにある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook