情熱から趣味そしてスタートアップへ

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。
やあみんな!アレックスだ。今週はお休みをいただく。平日のコラムで私を助けてくれている副操縦士のアンナが私が不在の間のニュースレターを扱う。最高なものになるだろう。お楽しみに!

さて数週間前、私たちは成長に焦点を当てながら、いくつかのスタートアップの結果を調べた。今回私たちは、そうして書いたスタートアップコレクションからさらにそれを1社に絞り込む。Water Cooler Trivia(ウォーター・クーラー・トリビア)だ。

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多くのスタートアップは、何らかの問題を解決しようとして始まる。1人の開発者が世のワークフローの欠陥を見つけ、そのソリューションをコード化し、そのハッキングを拡張可能な製品に組み込む。そんな感じだ。

だがCollin Waldoch(コリン・ウォルドック)氏はこれとは違うやり方を選んだ。彼の趣味をビジネスに変えたのだ。

ウォルドック氏は、彼が競争好きと呼ぶ6人兄弟の家庭の出身である。大学時代にはバートリビアを主催し、その後、学校を卒業した後には職場で毎週トリビアの質問を送信していた。Lyft(リフト)での勤務期間を含む、社会人としての初期キャリアの間、彼はその習慣を維持し続けた。

ウォルドック氏が、企業がチーム活動に多額の費用を費やすことをいとわないことに気づいたのは、彼が企業で生活を送っている間のことだった。たとえば彼がとある仕事をしているときに参加したサッカーチームは、十分な数のレギュラー選手を確保するのに苦労していたが、彼の雇用主はそれにかなりのコストを費やしていた。企業が、その従業員のほとんどが望んでいないグループスポーツにそれだけのお金を落とすなら、おそらくトリビア製品で攻略できる予算もあるだろうと彼は考えた。

そこで、ウォルドック氏はWater Cooler Triviaを開始した。企業向け製品として、彼と友人たちが副業として開発したそのプロジェクトはARR(年間経常収益)で約2万ドル(約219万円)に達した。ウォルドック氏は、当時そのレベルの成功をビール代をまかなうのには十分だったと語る。プロジェクトの収益を助けたのは、解約率が非常に低いことだった。このことに後押しされて、ウォルドック氏はLyftでのフルタイム仕事を辞め、これまでの副業をフルタイムで行うことにした。

現在、Water Cooler Triviaは30万ドル(約3292万円)相当のARRに達し、世界中の労働者たちを楽しませている。企業は、毎週のトリビアクイズの難易度を選択し、リーダーボードを使用して従業員のスコアを追跡することができる。

ウォルドック氏の見解によれば、このアイデアの成功の要因の一部は、HR向けではなくエンドユーザー(従業員)向けに構築されていることだ。つまりそれが実際に楽しいことを意味している。現在は、ある程度の解約はみられるものの、それでも100%近くの継続率を誇っている。こうした特徴は、エンタープライズSaaSのようなグレードアップオプションを備えていない製品には大切な性質だ。

それにサービスは安価だ。率直に言って安すぎるとも言える。100人で月額100ドル(約1万1000円)というWater Coolerの利用料金は、程なく値上げされて収益を押し上げるかもしれない。ウォルドック氏は、2021年の第4四半期に料金の引き上げを始める可能性があると述べている。しかし、もし値上がなくても、Water Coolerは、コア製品から大きな成長が見込めると考えている。

私もそうだと思う。人生をちょっぴり楽しくしてくれるソフトウェアに幸あれ。

Drift、Xometry、Carrot

無数のIPO申請80億ドル(約8778億円)分のYCスタートアップピッチの忙しい週だったが、他にも話す必要のあることが起こった。

私はDrift(ドリフト)のプライベートエクイティ(PE)への売却に興味を持っている:ボストンのDriftはその株式の大部分をVista Equity Partnerに売却したことを先週発表した。同社がポッドキャストを録音するための部屋を私たちに貸してくれたので、Driftのオフィスに行ったことがある。そこの人びとはすばらしかった。しかし私は、2020年に70%のARR成長を報告した同社が、なぜより多くの資本を調達して成長を続ける道を選ばなかったのかに、非常に興味がある。同社は過去に多くの民間資金を調達することに成功している。例えば 2018年のラウンドでは6000万ドル(約65億8000万円)を調達した。このように会社の大部分を早々とエグジットさせてしまうことは、Gainsight(ゲインサイト)のPEへの売却が少々頭を悩ませたのと同じように、少し奇妙に感じられる。ボストンにとっては、このエグジットは新しいエンジェル投資家を生み出すのに役立つかもしれないので朗報である。しかし、それでも重要な詳細が欠落しているエグジットのように感じられる。

Xometry(ゾメトリー):これはメモフォルダにしばらく置かれていたのだが、今週は休みをとるのでここに含めておく。私は数週間前の業績報告会の後で、XometryのCEOであるRandy Altschuler(ランディ・アルチュラー)氏から話を聞いた。Xometryが2021年初めに公開されたことを思い出して欲しい。アルチュラー氏は、COVID-19の最中に公開を行なったことについて基本的に強気な見解を報告し、彼の会社のZoom(ズーム)ロードショーは、旅行関連の疲れを防ぎながら、より多くの人々とチャットできたという意味で効率的だったと語った。

Xometryの続き:しかし、IPO後のありがちな雑談の中で、アルチュラー氏は私の記憶にひときわ残る言葉を残していた。その1つ目は、インフレがテクノロジービジネスに影響を与える可能性があるということだ。コストの上昇は、請求コストに影響を与える中古車の価格に対応しなければならないRoot(ルート)のような企業に影響を与えている。インフレは、製造業の需要と供給を結びつけるXometryのビジネスにも影響を与える。マクロ市場の状況は、テクノロジーの世界では本当に重要で、常に簡単に確認できるようなものではないことは忘れないようにしたい。

Xometryのさらに続き:アルチュラー氏はまた、ある時点での炭素税は避けられないと考えていると述べた。この話題は、将来的な米国でのオンショア製造に関する、私たちの議論の中で浮かび上がった。現在の輸送費は高額であり、税金として炭素排出量を追加した場合にはさらに高額になるだろう。これにより、特に地元製造業の競争力が高まる可能性がある。おそらくそれは、脱工業化社会の中でより多くの工業生産を求める人たちに恩恵をもたらすだろう。物理世界の商品を扱うハイテク企業にとって、それは気に留めておくべきことだ。

そして最後に、Carrot(キャロット):メモされたさらに別の話題からCarrotの話をお届けする。同スタートアップは数週間前に7500万ドル(約82億3000万円)を調達した。そこで同社にその成長の歴史やいくつかのことについて尋ねた。Carrotは、雇用主が労働者に出産手当を提供できるようにする製品を販売している。人類の出生率が低下していることを考えると、この種の報告は時間の経過とともに、数が増していく可能性が高い。

もちろん、他の要因も働いてはいるものの、過去18カ月はCarrotのビジネスにとって加速的に働いたことが証明されている。同社によれば、過去6四半期で「全体として約5倍の成長」が見られたという。Carrotは、2021年末までに450社にリーチする予定であり、合計で約100万人の対象者がいると見込まれている。

Carrotは、シリーズBとシリーズCの評価額の差について答えることを拒んだ。幸いPitchBookにこの件に関するデータがあるので、そのデータセットを使って報告するなら、Carrotの評価額は、シリーズ2100万ドル(約23億円)を調達したシリーズB後の約6600万ドル(約72億4000万円)から、シリーズC後に2億6000万ドル(約285億3000万円)へと上昇している。これは、会社の従業員と創業者にとって良い上昇だ。

将来的な出産支援のニーズの高まりに強気な私の予想は、同社の精神と一致している。そのことを同社はその電子メールの中で「出産と家族形成に対するケアは、医療、歯科、視力に並ぶ、従業員の福利厚生とヘルスケアの第4の柱となる可能性があり、またそうあるべきなのです」と述べている。大賛成だ。

では今回はここまで。どうぞご安全に。予防接種を受け、お互いに親切にできますように。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

所有する家具を活用しプロが部屋をバーチャルでデザインしてくれるPancakeが約3800万円調達

すでに家にある家具を活用し、デザイナーの新鮮な目で空間をデザインするホームデザインプラットフォームを開発するPancake(パンケーキ)が、35万ドル(約3800万円)のシードラウンドを獲得した。

コスタリカ出身のMaria Jose Castro(マリア・ホセ・カストロ)氏、Roberto Meza(ロベルト・メザ)氏、Alfred Enciso(アルフレド・エンシソ)の3人は、在宅勤務に移行して部屋の空間を飾る必要に迫られた自分たちの経験をもとに、2020年に会社を立ち上げた。デザインサービスは高額であるため、誰もが利用できるものではなかった。

Pancakeは、部屋をデザインするインテリアデザイナーとユーザーの関わり方を再構築しており、ユーザーは自分の部屋のスペースのレンダリング画像を手に入れることができる。ユーザーは、ウェブサイト上でデザイナーとのオンラインセッションを予約し、部屋の寸法と写真を提供する。

 

次にデザイナーが、空間のレンダリングと、デザインとその方法を説明する資料を用意する。また、持っていない塗料や家具が必要な場合は、Pancakeがユーザーに購入できる場所を教えてくれる。このサイトの将来的な機能として、家具販売業者との連携も予定していると、カストロ氏はTechCrunchに語っている。

メザ氏はこの会社を「ファニチャー・アズ・ア・サービス(サービスとしての家具)」と呼び、すでにあるものを再利用して、そこで働き、住み、楽しむことができるような健康的で持続可能な空間づくりを主眼としている。それは一見難しいことのように思えるかもしれないが、世界的なパンデミックでみんなが突然同じ空間で一緒に過ごすようになると、人間関係というのは、好きな空間にいるときの方がより良くなるものだと彼はいう。

「私は建築におけるウェルネスを仕事にしていますが、Pancakeではそれを実現したかったのです。些細なことが余裕を生み、気分を良くしたり、もしくは悪くしたりすることがあるのです」。と彼は付け加えた。

Pancakeは今回の資金調達により、プラットフォームをさらに発展させ、エコロジカルフットプリント計算機などの新機能を追加して、顧客が自分のデザインがどれだけサスティナブルなのかを確認できるようにする予定だ。また、同社は透明性の高い価格設定を誇りとしている。デザイナーとの平均的な2時間のセッションは199ドル(約2万1800円)で、ペンキや新しい家具などのアイテムが必要な場合は、デザイナーがそこに予算を追加する。

今回のシードラウンドでは、OkCupid(オーケーキューピッド)の共同設立者であるChristian Rudder(クリスチャン・ラダー)氏がリードインベスターを務めている。同氏は、通常、シード段階での投資は行わないが、Pancakeが短期間で成し遂げた進歩に感銘を受けたと述べている。この中には、ソーシャルメディアプラットフォームでのマーケティングテストも含まれており、立派な投資効果が得られたと付け加えた。

一方、Pancakeはこれまでに100回以上のデザイナーセッションを行い、紹介や家の中の別の部屋のデザインも希望するリピーターが増えてきているという。パンデミックで4カ月間中断したにもかかわらず、前月比で平均200%の収益増を達成したとメザ氏はいう。今後は、2022年のシリーズAラウンドに向けて、ブランドと収益モデルの構築を進めていく予定だ。

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画像クレジット:Pancake

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

旅行者と厳選された少人数での冒険旅行をマッチングするYouTravel.Meが1.1億円調達

YouTravel.Meは、グローバルパンデミック渦中で旅行業界が立ち直ろうとしている中、ベンチャーキャピタルから資金を獲得した最新のスタートアップだ。

この1カ月の業界企業の資金調達の状況は以下の通りだ。旅行クリエーター向けのプラットフォームを提供するThatchが300万ドル(約3億3000万円)、トラベルテック企業のHopperが1億7500万ドル(約193億円)、障害者向けにバケーションプランを提供するWheel the Worldが200万ドル(約2億2000万円)、厳しい状況にある旅行業界に気ままな旅を復活させるEludeが210万ドル(約2億3100万円)、無料の旅行計画作成プラットフォームを提供するWanderlogが150万ドル(約1億6500万円)を調達した。

関連記事:トラベルクリエイターが旅行者におすすめ情報を直接販売できるThatchが約3.3億円調達

今回、100万ドル(約1億1000万円)を調達したYouTravel.Meがそうした企業に名を連ねた。同社は、旅のエキスパートが企画する少人数制のアドベンチャーと、参加を希望する旅行者をマッチングするオンラインプラットフォームを開発している。Starta VCがこのラウンドをリードし、Liqvest.com、Mission Gate、そしてAcrobator VenturesのゼネラルパートナーであるBas Godska(バス・ゴドスカ)氏などの個人投資家グループが参加した。

Olga Bortnikova(オルガ・ボートニコワ)氏、夫のIvan Bortnikov(イワン・ボートニコフ)氏、Ivan Mikheev(イワン・ミキーフ)氏の3人は、3年前に欧州でこの会社を創業した。ボートニコワ氏とボートニコフ氏がこの会社のアイデアを思いつくに至ったのは、中国への旅行の際、旅行会社が販売したパッケージが、実は土産屋に行くだけの小旅行だったと後でわかったことが原因だった。フライト遅延やその他の災難にも遭い、2人はより良い旅行体験と、それを他の人と共有する方法を探していた。求めていたものを探し当てることができず、自分たちで作ることにしたのだ。

「大人が友達をつくるのは難しいものです。ですが、たった15人のグループで2週間の旅行をすれば、深いつながりができ、同じ言語や経験を共有することができます」とボートニコワ氏はTechCrunchに語った。「それが私たちの秘密の味付けです。私たちはつながりを作りたいのです」。

出会い系アプリのように、YouTravel.Meのアルゴリズムは、旅行者の興味や価値観、過去の経験に基づき、旅行や逃避行と結びつける。マッチングされた旅行者は、チャットや音声でつながり、旅の専門家との検討を経て予約へと進む。また、旅の専門家がリサーチを行い、旅程を作成する「BeGuide」の提供も行っている。

2018年以降、CEOのボートニコワ氏によると、YouTravel.Meは東欧でトップのトラベルマーケットプレイスとなり、130カ国で1万5900件以上のツアーを提供し、1万人以上の旅行者と4200人の旅行専門家をプラットフォームに引き付けたという。2020年に海外販売に手を広げ始めたところで世界的なパンデミックに見舞われた。

「販売と観光が崩壊し、どうしたらいいのかわかりませんでした」とボートニコワ氏はいう。「私たちのサイトには4000人以上の旅の専門家がいます。パンデミックが業界にとって試練となり、旅の専門家たちは孤独を感じていました。私たちはそれを理解し、彼らのためにビジネスを構築・拡大する方法について、コミュニティと教育的製品を構築しました」。

マッキンゼーの調査で、アドベンチャートラベルが業界の他の分野よりも早く回復していることが明らかになり、創業者らはその市場を狙うと決め、2020年末に500 Startupsの一員となった。その結果、YouTravel.Meの売上高は倍増し、いまだ手元資金で経営を続ける企業でありながら、北米市場に参入したいと考え始めた。

新たな資金は、米国でのマーケティング、旅の専門家の採用と誘致、テクノロジーと製品の開発、そして2021年末までに流通取引総額を月額270万ドル(2億9700万円)に引き上げるのに使うとボートニコフ氏は話す。2022年の初めまでに、旅行件数を2万件に、旅の専門家を6000人に増やすことを目標としている。

エンジェル投資家でもあるゴドスカ氏は、共通の友人からYouTravel.Meの存在を知った。たまたま、数少ない観光客の1人として、スリランカで休暇を過ごしていた時期と重なった。同氏は、ベンチャーキャピタルファンドを設立する以前、欧州やロシアでOrbitzの一員としてツアーパッケージを販売するなど、オンライン旅行に携わっていた。

「インターネットの接続状態が悪いジャングルの中で座っていたとき、興味を持ってしまったのです」と同氏は述べた。「彼らと話をしたときに、革新性と明るい雰囲気を感じ、彼らをサポートしたいと思いました。キュレーションは、とても興味深い動きだと思います。グループで旅行をしたい個人旅行者は、従来の業界が取り扱う分野ではありませんでした」。

画像クレジット:YouTravel.Me co-founders Ivan Bortnikov and Olga Bortnikova/YouTravel.Me

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

BoxとZoomの最高製品責任者が職場の変化と両社の最新コラボを語る

この1年半が何かの兆候であるとしたら、職場の性質は変化している。BoxとZoomはすでに統合しているが、両社の連携がさらに緊密になっていくのは当然だろう。

両社の最新のコラボレーションはBox app for Zoomだ。これはZoomミーティングにアプリを組み込める新しいタイプのプロダクト内統合で、Boxをフルに使えるようになる。

ユーザーはZoomを使いながら直接セキュアにBoxにアクセスし、Zoomからファイルのブラウズ、プレビュー、共有をすることができる。開催中のミーティングに参加していないときでも利用可能だ。2020年にBoxが公開したZoomとの統合により、ワークフローを分断することなくBoxの「推奨アプリ」セクションでBoxからZoomにアクセスできるようになったが、今回の新機能はそれに続くものだ。

BoxのDiego Dugatkin(ディエゴ・デュガキン)氏とZoomのOded Gal(オデッド・ガル)氏の両最高製品責任者が、このようなシームレスな連携が変化する職場の解決策となる理由をTechCrunchに語った。

デュガキン氏は、あらゆるところでデジタル化が起き、共同作業のために「ベスト・オブ・ブリード」の製品(1つのベンダーに統一するのではなく分野ごとに選んだ最適な製品)の統合が必須であるという。しかもユーザーはアプリを切り替えながら使うのではなく、1つの環境にとどまっていたい。

同氏は「それはZoomのプラットフォームを離れることなくコンテンツにアクセスしたいということです」と付け加えた。

それはさまざまな状況からコンテンツや連絡先にアクセスしたいということでもある。みんながオフィスにいたころは、社内ですぐに会うことは難しくなかった。今は多くの人が柔軟であることの価値を理解するようになり、両氏は家で過ごす時間もありオフィスで過ごす時間もある生活は当面変わらないと予測している。

この結果、企業全体として従業員がどこにいても働くことが可能で、どこにいても働く権利があるというニーズが増加するとデュガキン氏はいう。そして企業が文書をセキュアに共有する話につながり、両社のコラボレーションがこうしたことを可能にする。

BoxとZoomの新しい統合により、チャット、ビデオ、オーディオ、コンピュータ、モバイルデバイスとさまざまな場におけるハイブリッドなミーティングが可能になり、どこからでもコンテンツにアクセスできるようになるとガル氏は説明した。

さらに同氏は「従業員が希望する働き方を決められるように、企業はダイナミックでなければなりません。デジタルの世界はそうした柔軟性をもたらしています」と述べた。

デュガキン氏は、この長期的な連携は両社で計画している継続的な改善のほんの一部であると語った。

デュガキン氏とガル氏は、ミーティング前もミーティング中もミーティング後も途切れない統合を今後も提供していく考えだ。Boxのクラウドストレージを使い、一方で従業員間のオフラインでのコミュニケーション機能も提供して、常にワークフローを進められるようにする。

ガル氏は次のように述べた。「ディエゴ(デュガキン氏)がデジタル化について語った通り、毎日のミーティングに関してコミュニケーションによって継続的なコラボレーションが強化されると考えています。Zoomで非同期でも同期でもつながることが、仕事の未来と、未来はどう作られるのかを示しています」。

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画像クレジット:Box

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

検索エンジンのインデックスを最適化するSEOサービスBotifyが約61億円調達、アジア市場を狙う

Botifyの検索エンジン最適化(search engine optimization、SEO)プラットフォームを利用すると、あなたのウェブサイトやコンテンツは検索エンジンが行なうインデクシングによくかかりやすくなり、検索結果に頻繁に現れるようになる。同社はこのほど、InfraVia GrowthがリードしBpifranceのLarge Ventureが参加したシリーズCのラウンドで5500万ドル(約60億5000万円)を調達した。

以前からの投資家であるEurazeoとVentechも再び同社に投資し、またInfraViaのNicolas Herschtel(ニコラス・ヘルシュテル)氏とBpifranceのAntoine Izsak(アントワーヌ・イザック)氏がBotifyの取締役会に加わる。評価額は、以前のラウンドの3倍になった。

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SEO業界はまさに玉石混淆だが、Botifyは自らを「正義の味方」と定義している。同社は検索エンジンのサービス規約を尊重し、検索結果をいじくってインサイトを取り出したりしないし、他のウェブサイトへの怪しげなバックリンクを作ったりしない。

共同創業者でCEOのAdrien Menard(アドリアン・メナード)氏は「まずウェブサイトの質に注目し、検索過程のすべてのステップに対して最適化を行います。それにはサイトのデザインやコンテンツの充実なども含まれています」と述べている。

Botifyの製品群には、現在3つの異なるコンポーネントがある。最初にリリースされたのは、あなたのウェブサイトに関する情報を提供する分析ツール。基本的には、クローラーがあなたのサイトをどのように分析するかを確認することができる。

次にBotifyが開発したのが、インテリジェンスのコンポーネントだ。それにより、自分のSEO戦略を改良するためにやるべきことの優先順リストが得ることができる。そして現在、同社は「Botify Activation」で自動化にも取り組んでいる。Googleの検索エンジンボットがあなたのサイトをクエリする際、それに対するすべての答えをBotifyが代わって提供する。

「Googleのアルゴリズムを騙そうとしているのではありません。Botifyを、検索エンジンとクライアントのウェブサイトの間に入るインタフェイス、と定義しています。検索エンジンはいつも、高品質なコンテンツにアクセスしようとしている。それに対してBotifyはおそらく、一般的な方法よりも安上がりな方法なのです」とメナード氏はいう。

Botifyの顧客企業は、これら3つのツールをすべて使わなくてもよい。アナリティクスから始めたければ、そうすればよい。メナード氏は「企業の大小によって、いろいろな使い方がある」という。

これまでの数年間でGoogleは、検索結果の上にある広告スロットの数を増やした。また、ユーザーがオーガニックな検索結果を見る前に、YouTubeやGoogleマップといった自社サービスを勧めることもある。これらのことは、Botifyの未来にとって心配だろうか?

メナード氏は「おっしゃるとおりです。検索結果のますます多くの部分が、ファーストパーティー(Google自身)や有料の結果からきています。でもそれと同時に、オーガニックな結果から生成されるトラフィックも増えています。それは私たちの顧客のウェブサイトのトラフィックの30%に相当し、その割合は減っていません」という。

メナード氏によると、検索の利用は毎年増える一方だ。だからオンラインのセールスやその他のトラフィックでは、検索への投資が必ず良い結果を生む。

現在、Botifyの顧客はおよそ500社で、その中にはExpediaやL’Oréal、The New York Times、Groupon、Marriott、Condé Nast、Crate & Barrel、Fnac Darty、Vestiaire CollectiveそしてFarfetchなどがいる。

今回得られた資金の主な用途は、自動化の能力アップと、テクノロジー企業とのパートナーシップを増やすこと、そしてアジア太平洋地域に新しいオフィスを構えることだという。

画像クレジット:Botify

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TikTokのCreator Marketplace APIでマーケターは1次データのアクセスし自社に最適なクリエイターが探せる

TikTok(ティックトック)は、ブランドや広告代理店が同社のサービスを使ってインフルエンサーと連携しやすくするサービスを開始する。同社は、「TikTok Creator Marketplace API」(ティックトック・クリエイター・マーケットプレイスAPI)を新たに提供する。マーケティング会社がTikTokの社内向けインフルエンサーマーケティングプラットフォームであるCreator Marketplaceを直接統合できるようにするAPIだ。

2019年末に公開されたCreator Marketplaceウェブサイトを使って、マーケターは自社のブランドキャンペーンに最適なTitTokパーソナリティーを見つけて、キャンペーンの制作、管理、効果の追跡ができている。

新しいAPIによって提携マーケティング企業は視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオ、キャンペーンのリアルタイムレポーティング(ビュー、いいね!、シェア、コメント、エンゲージメントなど)に関するTikTokのファーストパーティーデータ(1次データ)を初めてアクセスできるようになる。

取得したデータは自社のプラットフォームに持ち込んで、顧客に提供している将来予測の強化に利用できる。

TikTokは同APIを9月後半まで正式発表しないが、アルファパートナーには早期利用結果の公表を認めている。

パートナーの1社であるCaptiv8(キャプティブ・エイト)は、同社初のTikTokキャンペーンであるNRF top 50 retailer(NRF小売業トップ50)で新APIをテストした。小売業者は新しいキャンペーンに起用する多様で包括的なTikTokクリエイターを見つけること、さらには自社独自のTokTokチャンネルを作ることを希望している。Captiv8によると、ブランド付きコンテンツは1000万近いビューを獲得し、キャンペーンはいくつかの主要指標が「著しく増加」し、実績はNielsen(ニールセン)の平均を上回った。親密度(平均+4%)、購入意志(+7%)、推奨意志(+9%)などだ。

画像クレジット:TikTok Creator Marketplaceウェブサイト

現在Captiv8は、TikTokのAPIを使って視聴者層情報を取得することで、インフルエンサーの紹介と活性化を集約し、ブランド付きコンテンツの強化とキャンペーン実績のモニターを行うツールを提供している。実績のモニターに関して、同社はTikTok Creator Marketplace APIを使ってリアルタイム指標を取得できる。これは、Captiv8がTikTokのファーストパーティーデータをアクセスしている数少ない企業になった結果だ。

これも早期アルファパートナーであるInfluential(インフルエンシャル)も新API活用の情報を公開しており、視聴者層、成長トレンド、ベストパフォーマンスビデオなどのファーストパーティデータを利用して、同社顧客ベースのFourune 1000ブランドが自社、外部両方の広告キャンペーンに最適なクリエーターをみつける手助けをしている。

同社と仕事をしたパートナーの1社であるDoorDash(ドアダッシュ)は、Influentialの協力を得てTikTokでいくつかのキャンペーンを実施した。DoorDashはMcDonald’s USA(米国マクドナルド)が2021年実施予定のいくつかの新規キャンペーンにも協力する予定で、同チェーンの新製品、Crispy Chicken Sandwich(クリスピーチキン・サンドイッチ)や復活するSpicy McNuggets(スパイシー・マックナゲット)などが対象だ。

その他の早期アルファパートナーには、Whalar(ウェーラー)とINCA(インカ)がある。後者による統合は、2021年2月に発表されたTikTokのWPPとの国際パートナーシップの一環だ。この提携によってWPP代理店は新しい広告プロダクト・マーケティングAPIや新しいAR機能を早期利用できる。

クリエーターのマーケットプレイスは、大規模なインフルエンサーコミュニティをもつソーシャルメディアプラットフォームにはよく見られるようになり、オンライン消費者向け広告の標準的方法の1つになりつつある。若い世代に対しては特にそうだ。現在Facebook(フェイスブック)はBrands Collabs Manager(ブランドコラボマネージャー)をFacebookとInstagram(インスタグラム)向けに提供している。YouTube(ユーチューブ)にはBrandConnect(ブランドコネクト)があり、Snapchat(スナップチャット)は最近、ブランドとLens(レンズ)クリエーターをつなぐマーケットプレイスを発表した。この種の組織内プラットフォームは、ブランドのROI(投資利益率)にとって重要な指標の信頼できるデータを提供することでマーケターが幅広いインフルエンサーコミュニティの協力を得やすくする。インフルエンサー自身が報告するデータに頼ったり、マーケターが自分で収集する必要がない。キャンペーンが始まると、マーケターは提携クリエーターの成果を比較して将来の活動に活かすことができる。

TikTokは現時点でこの新APIの正式発表は行っておらず、まだテスト段階だとTechCrunchに語った。

「クリエイターは当社プラットフォームの生命線であり、私たちは彼らがブランドとつながり協力しやすくする方法を常に考えています。自社のメッセージを正しく伝えられる多様なクリエイターをブランドが発見して協力を得る手助けをする信頼できるパートナーのエリート集団と仕事ができることを大いに喜んでいます」とTikTokのエコシステム・パートナーシップ責任者Melissa Yang(メリッサ・ヤン)氏が選ばれたマーケティングパートナー向けに提供した声明で語った。

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画像クレジット:AaronP/Bauer-Griffin/GC Images / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

栽培指導SaaS「農の相棒Mr.カルテ」開発・運営を手がけるINGENは9月1日、5000万円の資金調達を発表した。引受先はANRI、NEXTBLUE。日本の農業技術を新しい形で継承できるサービス・事業を構築し、農業業界を若手農家・異業種参入企業など次世代が安心して参入できる業界に変えるとしている。

INGENは「JAPANクオリティの農産物を世界の食卓へ」をミッションとして掲げ、2015年に創業した農業ITスタートアップ。日本の農業技術の継承を目的とし、新規就農者・異業種参入企業に対してより良い栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を開発・運営している。

同社は、農業専門SaaS企業として、栽培指導者に寄り添った独自の肥料などデータベース(特許取得済)や、導入支援を強みとしているという。今回の調達した資金は、それら栽培指導の機能強化のスピードアップと、データベース更新・導入支援体制の拡大にあてる。

農の相棒Mr.カルテは、栽培指導・処方のDX化支援を通じ、農業者が遠方からでもオンラインで優れた栽培指導・処方を受けられるようにする農業SaaS。この処方とは、土壌分析や生育状況から肥料・土壌改良材などの組み合わせ・使用量に関する提案を指すという。栽培指導者が作った「カルテ」は、農業者側はそのまま「日誌」として活用できるそうだ。

農家にとっては「指導・処方が記録に残り技術が身につきやすい」「農資材使用のタイミングや超早期病害対策が身につく」をメリットとして挙げており、栽培指導者にとっては「職員だれでも一定レベルの指導が実現」「オンラインでも精度の高い栽培指導が可能」「農資材の単品販売ではなく、栽培指導・処方の一環として農資材提案が行える」としている。新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達新規就農者・異業種参入企業への栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を手がけるINGENが5000万円調達

INGENによると、日本の農産物は「味・質・鮮度」技術を強みとしており、これを活かすと同時に生産量の安定を両立する技術が求められてきたという。

具体的には、「病害虫・天候不良に対する超早期対策」の技術継承が両立に直結していることから、Mr.カルテではこれを可能とすることで新規就農者・異業種参入者の独り立ち促進と減農薬・減肥をサポートするとしている。

ツイッターが悪口や嫌がらせを自動的に除外する「セーフティーモード」のテストを開始

Twitter(ツイッター)が行う最新のテストは、このプラットフォーム上で嫌がらせに悩まされている人々にとって、待望の救済策となるかもしれない。

同社はこの新たなテストで「Safety Mode(セーフティーモード)」と呼ばれる機能を導入する。これはアカウントと、Twitterで悪名高い押し寄せる罵詈雑言リプライとの間に、一時的な防衛線を張るものだ。このモードは設定メニューから有効にすることができ、アルゴリズムによる選別を行って悪意の可能性を排除する。これは7日間継続する。

Twitterのプロダクトリーダーを務めるJarrod Doherty(ジャロッド・ドハーティ)氏は「私たちの目標は、有害な発言の蔓延と可視性を減らすことで、ツイートを受け取る側の個人を、これまで以上に守ることです」と、述べている。

画像クレジット:Twitter

とはいえ、セーフティーモードはまだ広範に展開されるわけではない。この新機能はまず、Twitterが「小規模なフィードバックグループ」と呼ぶ、約1000人ほどの英語ユーザーに提供される。

Twitterのアルゴリズムは、ツイートの内容(憎悪に満ちた言葉、同じことの繰り返し、一方的な言及など)と、アカウント同士の関係性を評価して、除外する発言を選定する。そのユーザーがフォローしているアカウントや、定期的にツイートをやり取りしているアカウントは、セーフティーモードのブロック機能の対象にはならない。

テストグループのユーザーは「プライバシーとセーフティー」の設定から、セーフティーモードをオンにすることができる。一度有効にすると、アカウントは7日間、このモードに留まることになる。7日の期間が終了した後は、再び有効にすることができる。

この新機能を開発するにあたり、Twitterはメンタルヘルス、オンラインの安全性、人権などの専門家に相談したという。Twitterが相談したパートナーは、この機能から恩恵を受ける可能性が高いアカウントを推薦することで、最初のテストグループに貢献することができた。Twitterはこの新機能のテストにおいて、女性ジャーナリストや社会から疎外されたコミュニティに焦点を当てたいと考えている。Twitterは、テストグループの基準を満たすアカウント、すなわちTwitterで最悪の衝動の受け皿となることが多いアカウントに連絡を取り始めるという。

Twitterは数カ月前、新たな悪口防止機能の開発に取り組んでいることを発表した。この機能には、ユーザーがタグ付けされたスレッドから自分を「unmention(アンメンション)」できるオプションや、連続的な嫌がらせを受けているユーザーが自分をメンションできないようにする方法などが含まれる。同社は当時、悪口が拡散している状況に対処するためのセーフティーモードのような機能の開発も示唆していた。

「Twitterで嫌がらせを受ける」というのは、残念ながらそれほど珍しいことではない。憎悪や罵倒がひどくなると、人々はTwitterから離れてしまい、長期間放置したり、完全にやめてしまう傾向がある。Twitterにとっても、それは好ましいことではない。嫌がらせに対する真の解決策を提供するには至っていないものの、同社は明らかに問題を認識しており、いくつかの実行可能な解決策に取り組んでいる。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

日本の「Disney+」が10月27日から4K UHDやDolby Atmosに対応し「スター」新コンテンツ追加、11月1日より値上げ

日本の「Disney+」が10月27日から4K UHDやDolby Atmosに対応し「スター」新コンテンツ追加、11月1日より値上げ

Disney

日本の Disney+(ディズニープラス)が、ようやく4K UHD や Dolby Atmos といったフォーマットへの対応時期を明らかにしました。

10月27日より『デッドプール』や『ノマドランド』など、ディズニーの新しいブランド「スター」からのコンテンツが加わるほか、対応デバイスとしてゲーム機を追加、4K UHDやDolby Atmos対応、別の場所でも7人まで同時に同じコンテンツを再生して楽しめるグループウォッチなど新機能に対応し、改めて本格的なサービスローンチを迎えます。

と同時に、従来は月に770円だった価格は11月1日より990円に値上げ。新たにサービスに入会する経路も増やし、ウェブからPayPal払いでの加入、Apple App Store や Google Play、Amazon App Storeからも加入できるようになります。App Storeから加入した場合は月1000円。

日本の「Disney+」が4K UHDやDolby Atmos対応時期を明らかに、「スター」新コンテンツ追加で値上げ

Disney+

日本国内での Disney+ サービス開始は2020年6月。それ以前からドコモとディズニーが組んで提供していた日本独自の動画サービス Disney DELUXE を引き継いだかたちでのスタートでした。

Disney+ 日本上陸、マンダロリアン舞台裏やアナ雪2・ファイアボールも見放題。アプリは相変わらず

ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル・ジオグラフィックの魅力的なコンテンツが楽しめる点は海外の Disney+ と同様だったものの、アプリはディズニーデラックスのままアイコンと名前が変わっただけで、まずdアカウントを作るドコモ戦略的なサービスのままでした。

何より、サービス内容や機能が海外で本格展開を始めたDisney+より弱く、4Kテレビで観ても最高画質はフルHDまで、5.1chサラウンドやDolby Atmos といった音声フォーマットにも非対応なのが痛いところ。

コンテンツとしては、ディズニー本社が社運を掛けてNetflix など先行する競合に勝負を挑んだだけに、各ブランドの大人気映画ラインナップはもちろん、スター・ウォーズ初の実写ドラマシリーズとして大好評を博した『マンダロリアン』、マーブルの『ワンダビジョン』『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』などなど、ここでしか観られないものが多数ありました。

日本の「Disney+」が4K UHDやDolby Atmos対応時期を明らかに、「スター」新コンテンツ追加で値上げ

Star Wars

このため、本来は4KやAtmos対応で制作されたコンテンツであっても、日本の加入者はサービスが非対応なために低画質でしか観ることができず、BDを買いたくても配信独占コンテンツなのでそもそも売っていないという痛し痒しの状態。

アプリ自体も、マーブルやスター・ウォーズが全部見られるサービスにもかかわらず「ロバート・ダウニーJr」や「マーク・ハミル」で検索してアイアンマンもスター・ウォーズも出てこない(キャラクターや作品名しか探せない)、番組詳細を開くとキャストは吹き替え担当の声優陣、スタッフは国内版の翻訳や演出担当者のデータしか入っていないなど、極めて残念な仕様。

でしたが、値上げと同時にようやく4K UHDやAtmosなど、制作陣が本来意図した品質で楽しめるようになります。

なお、新たに加わる「スター」は、ディズニーの新たなコンテンツブランド(日本のスター・チャンネルとは別)。ABC Signature や 20thテレビジョン、20世紀スタジオ、FXプロダクションズ、サーチライトピクチャーズ等々からの映画やドラマが含まれます。

配信されるのはアカデミー賞を受賞したノマドランドのほか、デッドプール、プリティ・ウーマン、タイタニック、プラダを来た悪魔などの映画、glee や24、ウォーキング・デッド等のドラマなど。オリジナルでは、FXのTVシリーズ版Alienも配信予定。

対応デバイスとしては新たにゲーム機が加わりますが、具体的な機種名と対応フォーマット等の詳細はまだ出ていません。

次のマーベル映画『シャン・チー / テンリングスの伝説』は劇場公開のみ。配信は45日後

8月に実施されたディズニー本社の決算報告での質疑応答では、日本市場でのディズニープラスについて「極めて限られた状態でのソフトローンチ」だったが、10月にはフルローンチを迎える予定との説明がありました。スターの追加コンテンツは他のサービスでも観られるものが多いものの、ディズニープラス独占で円盤がないコンテンツを本来の品質で観られるだけでもありがたいかぎりです。


© 2021 Disney and its related entities

(Source:ウォルト・ディズニー・ジャパンDisney+Engadget日本版より転載)

フェイスブックがスポーツやリアリティ番組の結果を予想するファンタジーゲーム市場に参入

Facebook(フェイスブック)が、ファンタジースポーツなどのファンタジーゲーム市場に参入する。同社は米国時間9月1日朝、米国およびカナダにおいて、iOSおよびAndroid用のFacebookアプリで「Facebook Fantasy Games(フェイスブック・ファンタジーゲーム)」を開始したことを発表した。ゲームの中には、すでに市場に出回っている従来のファンタジースポーツゲームを「よりシンプルにした」と説明されているものや、「Survivor(サバイバー)」や「The Bachelorette(バチェロレッテ)」などの人気テレビシリーズに関連した予想をすることができるものもある。

最初にリリースされるゲームは、Whistle Sportsとの提携による「Pick & Play Sports」で、ファンは、大試合の勝敗やトップ選手の獲得ポイントなど、試合中に展開されるイベントを正しく予想するとポイントを獲得できる。また、プレイヤーは数日間にわたって連続して正しい予想をすることで、ボーナスポイントを獲得することもできる。このゲームは本日提供開始される。

画像クレジット:Facebook

今後数カ月の間に、CBSの人気テレビ番組に登場する参加者たち(サバイバー)を選んで自分のファンタジーチームに参加させる「Fantasy Survivor」や、独身女性のハートを争う求婚者たちの中から男性グループを選び、彼らの行動や番組中に起こった出来事に応じてポイントを獲得する「Fantasy “The Bachelorette”」など、スポーツやテレビ、ポップカルチャーに関連したゲームが続々リリースされていく予定だ。その他にも、最も多くのホームランを打つと思われる野球チームを選ぶ「MLB Home Run Picks」や、その日に勝利するサッカーチームをファンが予想する「LaLiga Winning Streak」など、スポーツに特化したゲームを予定している。

トッププレイヤーがリーダーボードに表示されるだけでなく、これらのゲームは、友達と一緒にプレイしたい人のためのソーシャル機能も備えている。

画像クレジット:Facebook

プレイヤーは、友人と一緒に自分たちのファンタジーリーグを作り、公開または非公開でファン同士の対戦を楽しむことができる。リーグのメンバーはお互いのスコアを比較でき、ピックやリアクション、コメントを共有できる場所が用意されている。このリーグエリアは、メンバーのみが投稿できる専用の投稿作成ボックスやフィードが用意されており、Facebookのプライベートグループに似ている。しかし、このページは「プレイ」や「リーダーボード」を見るための特別ボタンなど、リーググループをサポートする機能を含めて設計されている。

ファンタジーゲームの追加は、FacebookがソーシャルでTikTok(ティックトック)との厳しい競争にさらされている今、ユーザーが同社のアプリに費やす時間を増やすのに役立つかもしれない。App Annieによると、TikTokのユーザー1人当たりの月間平均利用時間は、2020年に他のトップソーシャルアプリよりも速く成長しており、米国では70%もの伸びを示し、Facebookを上回っている。

Facebookはこれまでにもライブイベントのセカンドスクリーン向けコンパニオンアプリというアイデアを検討してきたが、ファンタジースポーツやゲームとは異なる方法だった。Facebookの研究開発部門がテストしたVenueは、著名人がアプリ内でホストを務めるライブイベントにファンがコメントするというものだった。

同社は他にも、デスクトップウェブやAndroid上のクラウドゲーミングサービスストリーマー向けの「Games」タブ、VR企業であるOculus(オキュラス)などを通じ、ゲーム分野でいくつかの投資を行っている。

新しいリーグゲームは、モバイルアプリのブックマークメニューや、ニュースフィードの通知から利用できる。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Twitterが有料サブスク「Super Follows」を米国で開始、数週間内にグローバル展開

Twitter(ツイッター)は6月から申し込みを受け付けていたプレミアムなサブスクSuper Followsの提供を米国時間9月1日に開始した。

2月に発表していたこの機能では、ユーザーはお気に入りのアカウントを月額料金を払って購読し、特別なコンテンツにアクセスできるようになる。さまざまなソーシャルプラットフォームで収益化のオプションが増えつつあるが、クリエイターにとってはそこにまた1つツールが加わった格好だ。

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このサービスを利用できるアカウントは、Super Followsサブスクの月額料金を2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約550円)、9.99ドル(約1100円)から選んで課金できる。この価格は有料ニュースレターとほぼ同程度だ。クリエイターは一部のツイートを有料購読者だけに公開することができ、その一方で通常のツイートで無料フォロワーにもリーチし続けられる。

画像クレジット:Twitter

有料の購読者には特別のSuper Followerバッジが付けられ、ツイートの海の中で無料フォロワーとは区別される。バッジはリプライに表示され、Super Followerはサポートすることを選んだアカウントと直接やり取りできるようになる。Super Followsを利用しているアカウントは、プロフィールページにSuper Follows専用ボタンが表示される。

Super Followsは誰でも使えるわけではない。当面、申し込み制となっていてウェイトリストがある。申し込みはアプリのサイドバーにある収益化オプションから行える。ただし、フォロワー1000人超を抱え、過去1カ月に25回超のツイートをしている米国拠点のユーザーのみが申し込める。

米国とカナダ拠点のiOS Twitterユーザーは9月1日から一部のアカウントをSuper Followできるようになり、今後数週間以内にグローバルのユーザーにも提供される。クリエイターの側では、Super Followsは差し当たってiOSでのみ利用可能だが、Androidとデスクトップも「間もなく」サポートされる。

Super Followの収入は標準的なものとなるが、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)がアプリ内購入手数料として30%を徴収するとTwitterは話す。Twitterは、Super Followsを通じた売り上げに対し、最初の5万ドル(約550万円)までは手数料として3%を徴収する。これから活動を始めようとしているアカウント、あるいは有料のTwitter機能を他のクリエイター収入を補完する方法として活用している人にとって思いやりのある設定だ。売り上げが5万ドルを超えると、Twitterの取り分は20%になる。

Twitterにとって、Super Followsは一般提供につなげる初の収益化実験ではない。同社は5月、Cash Appや他の決済プラットフォームの統合を通じてアカウントが1度限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。テストは差し当たって「クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体」などの対象アカウントに限定して行われている。

8月22日の週には、6月に有料のオーディオルーム機能に申し込んだユーザー向けにTicketed Spacesを導入した。Ticketed SpacesでのTwitterの手数料はSuper Followsと同じ設定で、ユーザーは高機能なチケット発行機能であるTicketed Spacesで1〜999ドル(約110〜11万円)の間で課金できる。

長期間のプロダクト停滞を経て、Super FollowsはTwitterの一連の動きの最新のものとなる。しかし同社はこの12カ月、失敗したFleetsのリリースと提供停止から、導入の兆しが見られる多くの人が何年もの間求めていたいじめ防止機能のようなものに至るまで、忙しくしていた。

ユーザーがプレミアムなコンテンツを提供して課金できるようにすることは、Twitterにとってかなり大きな変化だ。物いう株主がCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏を追放すると脅すまで、同社はほぼ動かなかった。また、コンテンツ制作でユーザーが稼げるようにするツールを多くのプラットフォームが加えるのにともない、熱が高まっているクリエイター分野への参入もTwitterにとっては大きな動きであり、クリエイターが継続して利用しそのプロセスで収入を生み出せるよう維持することが理想だ。

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画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTokがティーンエイジャーの親向けに教育リソースを提供、ユーザー保護強化で

TikTokはアプリ内のペアレンタルコントロール機能「Family Pairing」に、親がティーンエイジャーの子どもをこれまで以上にサポートできるようにするための教育リソースを加えた。同社が米国時間9月1日に明らかにした。2020年に世界中のユーザーへの提供が始まったペアリング機能では、子どものスクリーン使用時間や誰とダイレクトメッセージをやり取りできるかなどを設定できるよう、13歳以上の子どもを持つ親が自分のアカウントを子どものアカウントとつなげることができる。しかし同社のもとには、自分たちのデジタルライフへの親の関わりについても考慮して欲しいというティーンエイジャーからの声も届いた。

新しい教育コンテンツをつくるために、TikTokはオンラインセーフティに取り組む非営利団体Internet Mattersと提携した。同団体は、親にTikTokに関する状況やティーンエイジャーのソーシャルメディア使用について一般的な情報を提供すべく、ティーンエイジャーとのコラボで一連のリソースを開発した。

この取り組みの中で、Family Pairingのような機能を使う時、設定するルールを親に理解して欲しい、とティーンエイジャーはいう。また、ティーンエイジャーがオンラインに費やす時間について議論することにもオープンであって欲しいと思っている。ティーンエイジャーは親が境界線を定めることについては気にかけていない一方で、人生において大人からある程度の信頼を得たいと感じている。

また年齢を重ねるにつれ、ティーンエイジャーは自分のデバイスやソーシャルネットワークで自主権を持ちたくなる。そのため、与えられたプラットフォームで付け回されたくない、と親にいうことがあるかもしれない。

これは必ずしもティーンエイジャーが何か悪さをしているわけではない、と新しいリソースは親に説明している。ティーンエイジャーはただ、厳重な監視なしにオンライン上で友達とつるむことができる、と感じたいだけなのだ。これはパンデミック時代にある今日、オンライン体験の重要な部分になっている。パンデミックでは多くの若者が、実生活で友達と付き合ったり、対面でのグループ活動に参加したりする代わりに、これまでよりも長い時間を家で過ごしている。

画像クレジット:TikTok

ティーンエイジャーはまた、何かまずい状況になったときに、ひどく怒られたり親がパニックになったりするのでは、とびくびくせずに親を頼ることができれば、ともいう。もし規則を破れば相応の結果がともなうことをティーンエイジャーは知っているが、厄介な事態になったときに、怒るだけでなく親に一緒に解決策を考えて欲しいと思っている。

これらは至って簡単で常識的なアドバイスのように聞こえるが、子どものデジタルライフやソーシャルネットワークの使用に対するTikTok上の親の寛容度はさまざまだ。ティーンエイジャーが何を求め、どう感じているのかを説明している基本的なガイドラインが含まれるのは理に適っている。とはいえ、Family Pairingのようなペアレンタルコントロール機能を利用できるほどにテックに詳しい親はすでに最良のプラクティスの手がかりを得ているかもしれない。

画像クレジット:TikTok

加えて、ティーンエイジャーにフォーカスしたこの手のプライバシーセーフティコンテンツは、TikTokが若いユーザーの保護に取り組んでいるプラットフォームと自らを位置付けるのに使うためのものだ。最近大手テック企業が先んじようと試みている潜在的な規制を考えると、若いユーザーの保護はますます求められている。たとえばTikTokは2021年8月、アプリをより安全なものにするために若いティーンエイジャーのプライバシー保護をこれまでよりも強化すると発表したFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、YouTube(ユーチューブ)も同様の取り組みを展開している。

Family Pairing機能を介して自分のアカウントをティーンエイジャーのアカウントにリンクさせている親や保護者は、ティーンエイジャーが望んでいること、そしてデジタルリテラシーやオンラインセーフティに関する会話へのアプローチについて知ってもらうためのノーティフィケーションを受け取る、とTikTokは話す。Family Pairingを初めて使用する親にもこのリソースが案内される。

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グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化画像クレジット:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Spotifyが友達と音楽の好みを合わせてプレイリストが作れる新機能「Blend」を正式公開

米国時間8月31日、Spotify(スポティファイ)は共有プレイリスト機能である「Blend」(ブレンド)を全世界のユーザーに正式公開した。今夏、Spotifyはこの新しい共有プレイリスト体験のベータテストを開始している。この機能は2人のユーザーが互いの好きな曲を1つの共有プレイリストにまとめられるもので、使われているテクノロジーはSpotifyのFamily Mix(ファミリー・ミックス)やDuo Mix(デュオ・ミックス)などの複数人プレイリスト機能と同じものだ。しかしBlendでは、無料ユーザーを含め誰でも自分たちの音楽テイストを融合できる。

新機能はベータ版以降、さらに進化したとSpotifyはいう。

Blend(すなわち2人の共有プレイリスト)を作ったユーザーには、両者のリスニング志向が似ているか異なっているかを表す「taste match score」と呼ばれる数値が与えられる。Blendを初めて作った後、スコアはパーセンテージで表され、どの曲が2人を結びつけたかを示すテキストが添えられる。

Blendにはカバーアートも付加されるのでユーザーは自分のプレイリストを見つけやすくなる。


プレミアムサブスクライバーには追加の特典がある。彼らのバージョンのBlendでは、リスナーはユーザーのどのお気に入り項目がプレイリストの各曲に貢献しているかを見ることができる。

Spotifyによると、Blendのテスト中、Olivia Rodrigo(オリヴィア・ロドリゴ)がBlendプレイリストで最も多くストリーミングされたアーティストのトップになり、Doja Cat(ドージャ・キャット)、Taylor Swift(テイラー・スウィフト)、The Weekend(ザ・ウィークエンド)、Lil Nas X(リル・ナズX)などが続いた。

この機能は、Spotifyに単に楽しい新機能を加えるだけではない。ユーザー獲得戦略の一環だ。無料ユーザーもBlendの作成や参加が可能なので、この機能はSpotifyが初めての人を誘う方法としても機能する。現在音楽にお金を払っていない人やライバルサービスをサブスクライブしている人も。そして、一度Spotifyアプリを使えば、使い続けてくれるかもしれない、という考えだ。

Blendは2021年6月にOnly Youという新しいアプリ内体験とともに発表された。Only Youはユーザーのお気に入り楽曲と聴取傾向に焦点を当てた機能で、Spotifyで人気の年間振り返り、Spotify Wrappedの年途中バージョンのようなものだ。BlendではOnly Youと同じくソーシャル・シェアリングがサポートされている。ユーザーはBlendの「data stories」を自分のSNSでシェアできる。これはBlendが作られた直後にポップアップするスクリーンと同じもので、Blendプレイリストの中でいつでも表示することができる。

こうして頻繁にリリースする機能でSpotifyが伝えようとしているより大きなメッセージは、同社がパーソナライゼーション技術に関して他を大きく引き離していることを、ユーザーやライバルに示すことだ。Spotifyのプレイリストのアイデアは多くのライバルが真似しているが、同社はすぐ後に新機能をリリースする傾向がある。Only Youや通勤者向けのプレイリストワークアウト向けさらにはアーティスト、ジャンル、年代に基づく新しいミックスのコレクションなどだ。

Blendは、SpotifyモバイルアプリのMade for Youタブから利用できる。初めに「Create Blend」、次に「invite」をタップして、自分のBlendに参加する友だちを選ぶ。友だちが承認すると、Spotifyがカバーアートとトラックリストを作り、あなたのtaste match scoreを表示する。「Share this Story」をタップすれば、data storiesをSNSでシェアできる。

Blendは米国時間8月31日から世界の全ユーザーに公開される。大規模な展開には時間がかかるので、すぐには出てこないかもしれないので、時々確認して欲しい。

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画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ラクスルが第4の新規事業発表、ITデバイスとSaaSを統合管理し情シスを支援する「ジョーシス」

ネット印刷で有名なラクスルだが、他にも事業を展開していることをご存知だろうか。同社は「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンを掲げて、デジタル化が進んでいない伝統的産業の構造を変え続けている。

同社は印刷系事業の「ラクスル」の他に、物流のプラットフォーム「ハコベル」、広告のプラットフォーム「ノバセル」(タクシー内などでこちらのCMを目にする人も多いだろう)を展開しているが、本日9月1日、4つ目の事業として、ITデバイス&SaaSの統合管理クラウド「ジョーシス」の正式リリースを発表した。コロナ禍でテレワークが進み、負担が増える情報システム部門を支援すべく、パソコンなどの備品購入から、キッティング(購入端末の初期設定)、入退社にともなうSaaSアカウント管理などを自動化するプラットフォームを提供する。

ラクスル自身が感じた課題をサービス化

本質的な業務が存在するのにも関わらず、突発的な事象の対応に追われ、業務推進が滞るのはどこの部署でもあること。ラクスル代表取締役社長の松本恭攝氏によれば、ジョーシスは、ラクスル自身の悩みから生まれたという。「新型コロナウイルス影響でクライアントのマーケティングコスト削減が起こり、ラクスルの売上は減少。他方、自社においてもテレワークやSaaSの導入が急速に進み、制度設計からライセンス管理まで、情報システム部門の業務は肥大化しました。他社も同様の状況になっているのではと調査したところ、IT管理業務関与者は相対的に離職率が高く、結果的に外注への依存度が高まっていることがわかり、ジョーシスの立ち上げを決めました」と語る。開発には、シリコンバレーでの活躍も目覚ましいインドを主体としたグローバルチーム体制を敷いている。

人事系SaaSと連携し、従業員ごとにデバイスとSaaSを一元管理

ジョーシスでは、人事労務サービスと連携し、従業員ごとにITデバイスやSaaSの登録状況が管理できる。テレワーク推進以降、退職者のアカウント解除が甘かったことが原因で情報漏洩する事例などもあり、これを防ぐため、人事にともなうアカウントの管理漏れ防止機能も整備。接続サービスは現在約40程度、年内で100を目指すという。オンプレシステムについても、項目を追加し管理していく機能により、ジョーシスでの管理一本化を図っていく。

また、オンラインストアでは、創業から100年以上、B2B市場におけるデバイス販売とアフターサービスでは約40年という長い歴史を持つTooと提携しており、業界最安値クラスでITデバイスの購入が可能だ。その後の納品、倉庫保管までフォローされ、ジョーシス以外で購入したデバイスについてもクラウドで管理することができる。

本サービスは、社員100名以上の管理コストが高いレイヤーをターゲットにしている。一方で、多くの企業に取り入れてもらえるようにと、スタンダードプランでは従業員50名以下であれば無料で使えるとのこと。アドバンスプランでは基本機能に加えてオンライン棚卸しとチケット管理(ヘルプデスク)を追加。スタンダードプラン、アドバンスプランともに料金はいずれも個別見積もりとなっている。キッティングは1台あたり5000円から、保管は1日1台あたり20円からとのこと。

「ウィズコロナにおいても出勤とリモートワークのハイブリッド勤務は継続するでしょう。デバイス管理の必要性はますます増えていくと考えられ、ジョーシスも普及していくと思います」と松本氏は語る。コロナ時代のDXに奔走する情シスたちの、救世主になるか。

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ScientistPageがインド工科大学スタートアップ部門に資金調達ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」のサービスを提供

ScientistPageがインド工科大学スタートアップ部門に資金調達ピッチ動画プラットフォーム「GoToPitch」のサービスを無償提供

資金調達のためのピッチ動画を撮影し、スタートアップと投資家とのマッチングを行う動画プラットフォーム「GoToPitch」を運営するScientistPage(サイエンティストペイジ)は9月1日、インド工科大学カラグプル校スタートアップ部門とパートナーシップを提携し、「GoToPitch」のサービスを提供すると発表した。

このパートナーシップによりScientistPageは、インド工科大学カラグプル校スタートアップ部門が開催するビジネスコンテスト「Global Business Model Competition – Empresario 2021-22」に参加するスタートアップ企業に対して、GoToPitchのサービスを提供する。同校在校生、卒業生の起業家は、今後1年間GoToPtichを無料で利用できるようになるという。

スタートアップが資金調達を行う際には、投資家との面談の数だけ資料を用意し、アポイントメントをとり、それぞれの投資家の前でピッチを行う必要があり、その膨大な労力が本業を圧迫しかねない。GoToPitchなら、簡単に編集できるピッチ動画を投稿しておけば、世界中の投資家が見てくれるので個別にピッチを行う手間が大幅に省けるということだ。

カラグプル校の他にも、ScientistPageはデリー校、バラナシ校、ダンバード校、ハイデラバード校のスタートアップ部門、さらにアフリカのナミビアスタートアップNPOとも提携している。日本においても、国内のみならず海外の投資家にアピールできるサービスとして利用されており、これにより「世界の起業家と投資家のリレーション構築を実現していきます」と同社は話している。

インド工科大学は、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏などを輩出した名門大学。ScientistPageの創業者でCEOのシャシャンク ティヤギ氏も、研究者として在籍していたことがある。

LinkedInがストーリーズ機能を廃止しショートビデオ機能を開発中

LinkedIn(リンクトイン)とTwitter(ツイッター)の共通点は何か?どちらも消滅型ストーリー機能を提供したが、はかなく消え去ることになってことだ。米国時間8月31日、LinkedInは同サービスのLinkedIn Stories(LinkedIn ストーリーズ)機能を9月30日で打ち切り、ショートビデオを投稿する別の方法の検討を開始することを発表した。

LinkedInは、ストーリーズの合間に流れる広告をすでに購入している可能性のある広告主に警告するために、来たるべき変更を告知した。それらの広告は代わりにLinkedInフィードに掲載されるが、自分のページで直接ストーリーズを宣伝したりスポンサーしていたユーザーは作り直す必要がある。

なんだよ。妻とはLinkedIn Storiesで出会ったのに。

LinkedInがStoriesを導入したのは2020年9月で、Twitterがその後廃止することになるFleets(フリート)を一般公開したのと同じ時期だった。今回の変更はウェブとモバイルの大がかりな改訂の一環で、在宅勤務のプロフェッショナルたちがつながりを保つためにZoom(ズーム)、BlueJeans(ブルージーンズ)、Teams(チームズ)などとの統合も行った。しかし同社によると、消滅型投稿はLinkedInではあまりうまく機能しなかったという。

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「Storiesの開発に当たり、ユーザーは自分のプロフィールに私的なビデオを載せたがらないだろうが、消滅型であれば投稿の障壁を下げられるだろうと想定していました」とLinkedInのプロダクト担当シニアディレクター、Liz Li(リズ・リ)氏はブログで述べている。「結果的に、ユーザーは職業的な話題を私的な形で紹介することで、個人の特性と専門知識の両方を見せられる永続的ビデオを作りたいことがわかりました」。

リ氏は、ユーザーが「魅力的なビデオを作れるもっとクリエイティブなツール」を欲しがっていることも付け加えた。Storiesにはスタンプやプロンプトを付加できるが、ユーザーはもっとクリエイティブな機能を求めていた。

もしLinkedInが計画どおりショートビデオ作成機能を追加すれば、TikTok(ティックトック)ライクなフィードを提供しているSnapchat(スナップチャット)やInstagram(インスタグラム)の仲間入りを果たすことになる。ユーザーがLinkedInとパーソナルなSNSに同じコンテンツを投稿することはほとんどないが、実際著名なTikTokユーザーがキャリアアドバイスや面接のヒント、履歴書の書き方などをシェアしている例もあるので、LinkedInがビデオに方向転換するのはさほど奇妙なことではないかもしれない。

画像クレジット:Ali Balikci / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramが年齢未登録のユーザーを利用停止の方針、生年月日必須かつサバ読み・詐称をAIで検出

Instagramが年齢未登録のユーザーを利用停止の方針、生年月日必須かつサバ読み・詐称をAIで検出

Instagram

Instagramが、サービスの利用継続に生年月日の登録を必須とする方針を明らかにしました。

年齢を登録していないユーザーは、今後アプリを開いたときなどに生年月日の入力を求められることが増え、登録しないと最終的にはインスタが使えなくなります。

Instagramが年齢未登録のユーザーを利用停止の方針、生年月日必須かつサバ読み・詐称をAIで検出

Instagram

この変更は、以前から Facebook / Instagram が取り組んできた年少者の保護を目的としたもの。Instagramは利用資格を13歳以上としているほか、先月から16歳未満の新規アカウントはデフォルトでプライベート設定にするなどの対策を講じてきました。

また3月からはより直接的な保護策として、大人は自分をフォローしていない未成年者のアカウントにDMできないルールも導入しています。

いずれも自己申告に頼る状態ですが、Instagramでは未成年者が年齢を上に偽ったり、逆に大人が未成年者を騙ることを阻止するため、年齢確認に様々な手段を導入してゆく予定です。

そのひとつは、AIでユーザーの投稿や行動を精査して、歳をごまかしている可能性が高いアカウントにフラグを立てること。例のひとつとして、誕生日についての投稿や寄せられたお祝いコメントで年齢に触れている場合、登録した生年月日との齟齬を検出するといった場合を挙げています。

将来的には、ユーザーが申告した年齢とAIが推定した年齢に食い違いがある場合、ユーザーに対して年齢を確認する方法のオプションを提示して選択させる対応になる見込みです。

主な目的が未成年者の保護にあるため、いい歳をした大人がサバを読んだり歳をごまかしている状態についてはいまのところ厳密に取り締まるわけではなく、AIも死語を使ったり古いゲームやアニメを妙に懐かしがったり、絵文字・顔文字の使い方に年齢を感じさせるアカウントまで厳しく監視するわけではないようです。

一方で、年少者が年上を装っている場合、逆に成年が未成年者に近づくため年下を装っていると思われる場合は高い優先度で精査されることになります。

同様の未成年者保護の取り組みとして、Instagramでは特定の疑わしいアカウントについて、未成年者をフォローできない、投稿やコメントを表示できない、検索しても見つからないようになる施策も導入しています。こちらの疑わしい判定は、未成年者のアカウントに最近ブロックされた等のアクティビティから総合的に判断とされています。

年少の親戚や知人からアカウントを紹介されてフォローを頼まれても何故か自分だけ見えない、フォローできない場合、知らないうちにこの「未成年者を狙っている可能性のあるアカウント」に分類されているかもしれません。

(Source:Asking People for Their Birthdays | Instagram BlogEngadget日本版より転載)

ブラジルでペット用品やサービスをオンライン販売するPetloveが165億円調達、ソフトバンクも出資

サンパウロを拠点とするペット市場向け商品・サービスのデジタルプラットフォームPetlove&Co(ペットラブ・アンド・カンパニー)は現地時間8月30日、Riverwood Capitalがリードする資金調達ラウンドで約7億5000万レアル(約165億円)を調達したと発表した。

このラウンドは、Petloveがこれまでに調達した金額の約2倍に相当する。同社は、インターネット黎明期である1999年に創業した際、PetSuperMarketとしてスタートした。現在では、ペット用品やサービスを幅広く提供するオンラインストアの運営を続けている。

Crunchbaseによると、今回の資金調達ラウンドには、Tarpon、SoftBank(ソフトバンク)、L Catterton、Porto Seguro、Monasheesも参加した。同社の調達総額は2億2580万ドル(約248億円)となった。2020年1月以降だけでも、Petloveは1億9200万ドル(約211億円)以上を調達した。同社は最新のラウンドで、どの程度のバリュエーションで資金を調達したのか明らかにしていない。だが、全体として2020年の売上は前年比65%増だったとしている。

PetloveのCEOであるTalita Lacerda(タリタ・ラセルダ)氏は、今回の新たな資本を、配送能力強化を目的とした物流ネットワークのさらなる拡大に一部使用すると述べている。特に、注文から4時間以内に商品を届けることができるエクスプレスデリバリーサービス「Petlove Já」を他の地域にも拡大する予定だ。このサービスは現在、サンパウロやベロオリゾンテなど、ブラジルの一部の都市でのみ提供されている。

今回の資金調達は、サブスクリプションプログラムの拡大にも充てられる。これはブラジル初の試みであり、同社の主力サービスの1つだとラセルダ氏は話す。同氏によると、パンデミックの際には、このサービスが「大幅に成長」し、同社の取扱量の75%に達したという。

「ブラジルのペット市場は世界最大級であり、同国の消費者は、高いレベルで顧客中心主義を実行するデジタルネイティブな製品やサービスをますます求めるようになっています」とRiverwood Capitalの共同創業設立パートナー兼マネージングパートナーであるFrancisco Alvarez-Demalde(フランシスコ・アルバレス・デマルデ)は書面で述べた。

同社は、最近のDogHeroとの統合、VetusとVetSmartの買収、Porto.Petの立ち上げなどを経て、進化・成長してきた。

「当社は、この急速に拡大する市場において、すべてのステークホルダーのニーズを満たすために、ますます包括的で包摂的なプラットフォームを構築しました」とラセルダ氏はいう。

Petloveによると、ブラジルは総消費額で世界第4位のペット市場だという。Instituto Pet Brasilによると、ブラジルのペット市場の総売上高は2020年に400億レアル(約7700億円)を突破し、前年比13.5%増となったが、Petloveは65%増を達成した。同国のペット所有率は全体的に高く、米国では50%がペットを所有しているのに対し、ブラジルでは60%だ。

PitchBookによると、Petloveは400人以上の従業員を抱えている。

SoftBank Latin America Fundのブラジル担当兼オペレーティング・パートナーであるAlex Szapiro(アレックス・サピロ)氏は、Petloveが「ラテンアメリカ最大のエコシステムの形成」に貢献したことを「このセグメント、そして小売業全体において、最も並外れたものの1つ」と評した。

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画像クレジット:Petlove

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

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メディカルフォースは8月31日、自費診療特化SaaS「medicalforce」において、デジタル問診票機能を正式リリースしたと発表した。これにより、美容クリニックのDXを加速させ、現場の非効率の軽減するとしている。

2020年11月設立のメディカルフォースは、「美容医療業界のニューノーマルをつくる」をミッションに、美容医療の現場の負担をテクノロジーで解決し、現場に余裕をもたらすことを目指すスタートアップ。

同社のmedicalforceは、予約管理・電子カルテ・会計といった自費診療の現場業務を管理・連携できるクラウドで一括管理できるサービスとなっている。自費診療の現場の非効率を減らす上で、「問診票の記入に手間がかかる・ミスが起きやすい」という課題を仕組みで解決するために、デジタル問診票機能をリリースしたという。自費診療特化SaaS「medicalforce」がデジタル問診票機能を正式リリース、美容クリニックのDXを推進

デジタル問診票機能では、患者側が問診票の記入を完了させると、自動でカルテに反映される。問診票に記載する項目は自由にカスタマイズできるほか、施術ごとに特定の問診票を作成することも可能。また、英語・中国語にも対応しており、海外からの患者にも利用できるという。

【コラム】Facebookは独占企業だ、そうだろう?

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は米国時間8月19日、全国テレビに出演して「特別発表」を行った。そのタイミングはこれ以上ないほど興味深いものだ。この日はLina Khan(リナ・カーン)氏のFTC(連邦取引委員会)がFacebookの独占を解体するためにその訴訟を再提出した日である。

普通の人には、Facebookの独占は明白に見える。コロンビア特別区連邦地方裁判所のJames E.Boasberg(ジェームズ・E・ボースバーグ)判事が最近下した判決の中で述べているように「2010年の映画『The Social Network(ソーシャル・ネットワーク)』のタイトルを聞いて、それがどの企業に関するものなのかわからない人はいないだろう」。しかし、自明性は反トラストの基準ではない。独占には明確な法的意味があり、これまでのところリナ・カーン氏のFTCはそれを満たしていない。今回の再提出は、FTCの最初の襲撃に比べてはるかに実質的だ。しかし、まだ批判的な議論が欠けている。最前線からの意見をいくつか示したいと思う。

第1に、FTCは市場を正しく定義しなければならない。メッセージングを含むパーソナルソーシャルネットワークの定義だ。第2に、FTCはFacebookが市場の60%以上を支配していることを証明しなければならない。これを証明する正しい指標は収益である。

消費者に対する損害は、独占的な判断の試金石として広く認識されているが、当法廷はFTCに対し、Facebookが消費者に損害を与えていることを証明して勝訴するよう求めてはいない。しかしこれに代わる訴答として、政府は、Facebookがクリエイターエコノミーにおける賃金を抑制することで消費者に損害を与えている、という説得力のある主張を提示することができる。クリエイターエコノミーが本物なら、Facebookのサービス上にある広告の価値は、クリエイターの労働の成果によって生み出されているはずだ。ユーザー生成コンテンツがなければ、動画の前や投稿の間の広告を見る人はいないだろう。Facebookはクリエイターの賃金を抑制することで、消費者に損害を与えている。

編集部注:本稿はFacebook独占に関するシリーズの第1弾である。Cloudflareの最近のブログ記事で、Amazonの独占が業界に与える影響を説明しているが、感銘を受けるものがあった。おそらくそれは競争戦術だったのだろうが、筆者はこれをより愛国心に訴える責務であると心から確信している。複雑な問題についての議員や規制当局のための道しるべとなる。筆者の世代は、Eメールをほとんど使用しない議員が、私たちがまだ理解していない方法で長い間私たちの生活に浸透してきたプロダクトについて、私たちの時代の第一線の技術者たちに疑問を投げかけているのを、悲しみと不安の中で見てきた。筆者個人としても、また自社としても、このことから得るものはほとんどない。しかし、ソーシャルメディア新興企業の最新世代の参加者として、そして民主主義の未来を懸念する米国人として、私は挑戦する義務を感じている。

問題

裁判所によると、FTCは2つの部分からなる評価基準を満たす必要がある。FTCはまず、Neumann対Reinforced Earth Co.(1986年) においてD.C.巡回区控訴裁判所(控訴裁判所)によって立証された独占力をFacebookが有している市場を定義しなければならない。これは、メッセージングを含む、パーソナルソーシャルネットワークの市場だ。

次に、FTCは、Facebookがその市場の支配的なシェア、すなわち裁判所が定義する60%以上を占めていることを立証しなければならない。これはFTC対AbbVie訴訟(2020年)で第3巡回区控訴裁判所によって定められたものだ。この市場シェア分析の正しい測定基準は、紛れもなく収益であり、デイリーアクティブユーザー数(DAU)× 1ユーザーあたりの平均収益(ARPU)となっている。そしてFacebookは90%超を握っている。

FTCの問題に対する答えは、Snapchatの投資家向けプレゼンテーションを見れば明らかだ。

Snapchat 2021年7月 投資家向けプレゼンテーション「Significant DAU and ARPU Opportunity」(画像クレジット:Snapchat

これはFacebookの独占状態を示すグラフで、パーソナルSNS市場の91%を占めている。グレーのブロックは、FacebookのStandard Oil(スタンダード・オイル)事業部が掘削に成功した巨大な油層のように見える。SnapchatとTwitterは小さな石油試掘者であり、Facebookの規模とはほぼ無関係だ。Facebookがかつて両社を買収しようとしていたことは、市場の観測筋の誰もが認めるところだろう。

市場にはメッセージングが含まれている

FTCは当初、Facebookが「パーソナルソーシャルネットワーキングサービス」市場を独占していると主張した。この訴状では、Facebookの市場から「モバイルメッセージング」を除外しおり、その理由として「 (i) 交流のための『共有ソーシャルスペース』がなく(ii) ユーザーが知っているかもしれない他のユーザーを見つけて『友達になる』ためのソーシャルグラフを採用していない」ことを挙げている。

メッセージングはFacebookのパワーから切り離すことができず、これは正しくない。Facebookはこれを、WhatsApp買収、Messengerのプロモーション、SnapchatとTwitterの買収で証明している。いかなるパーソナルソーシャルネットワーキングサービスもその機能を拡張することができる。そしてFacebookの堀はメッセージングのコントロール次第である。

エコシステムの中で過ごす時間が長いほど、その価値は高くなる。ソーシャルネットワークにおける価値は、誰に対して求めるかに依存して、アルゴリズム的(メトカーフの法則)または対数的(ジップの法則)に計算される。どちらにしても、ソーシャルネットワークでは1+1は2よりずっと多い。

ソーシャルネットワークは、企業がより多くの機能を構築できるノードの数が増え続けることで価値が高まる。ザッカーバーグ氏はこの関係を「ソーシャルグラフ」という言葉で表現した。日本、韓国、中国におけるLINE、Kakao、WeChatの独占はこれを明確に証明している。彼らはメッセージングからスタートし、外部へと拡大し、パーソナルソーシャルネットワーキングの巨人となった。

今回の提出書類でFTCはFacebook、Instagram、Snapchatはいずれもパーソナルソーシャルネットワーキングサービスであり、3つの主要機能を利用していると説明している。

  • 「第1に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスは、ユーザーと友人、家族、その他の個人的なつながりをマッピングしたソーシャルグラフ上に構築されている」。
  • 「第2に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスには、多くのユーザーが個人的なつながりと対話し、1対多の『ブロードキャスト』形式を含む共有ソーシャルスペースで個人的な体験を共有するために定期的に使用する機能が含まれている」。
  • 「第3に、パーソナルソーシャルネットワーキングサービスには、ユーザーが他のユーザーを見つけて接続できるようにする機能が含まれており、各ユーザーが個人的な接続を構築して拡張するのを容易にする」。

残念ながら、これはほんの一部しか真実を語っていない。ソーシャルメディアの危険な領域では、FTCが明言に苦慮しているように、機能セットは日常的にコピーされ、クロスプロモーションされている。InstagramがSnapchatのストーリーをコピーしたことを忘れることができるだろうか?Facebookは、最初から市場で最も成功したアプリの機能を容赦なくコピーしてきた。Clubhouseと競合するLive Audio Roomsのローンチは、ごく最近の例にすぎないだろう。TwitterとSnapchatはFacebookのライバルである。

メッセージングは、コピーして破壊しようとするFacebookの広範で貪欲な欲求を示すために含まれなければならない。WhatsAppとMessengerはそれぞれ20億人と13億人を超えるのユーザーを擁している。機能コピーの容易さを考えると、WhatsAppの規模のメッセージングサービスは、数カ月もすれば本格的なソーシャルネットワークになる可能性がある。これこそがFacebookが同社を買収した理由だろう。Facebookのソーシャルメディアサービスの幅広さには目を見張るものがある。しかしFTCは、メッセージングが市場の一部であることを理解する必要がある。そしてそのことを認めたからといって、彼らの訴えの妨げにはならないだろう。

測定基準:収益はFacebookの独占を示す

ボースバーグ判事は、収益は個人のネットワーキングを算定するための適切な測定基準ではないと考えている。「●PSNサービスによって得られた総収益は、市場シェアを測定するための正しい測定基準ではありません。これらの収益はすべて別の市場、つまり広告市場で得られたものだからです」。同氏はビジネスモデルと市場を混同している。すべての広告が同じ布から切り離されているわけではない。今日の再提出で、FTCは「ソーシャル広告」を「ディスプレイ広告」と区別して正確に識別している。

しかしFTCは、収益を明確な市場シェア測定基準とすることを避けようとしている。代わりにFTCは「消費時間、デイリーアクティブユーザー数(DAU)、月間アクティブユーザー数(MAU)」を挙げている。Facebook BlueとInstagramがSnapchatとだけ競合する世界において、これらの測定基準はFacebookブルーとInstagramを合わせると60%の独占のハードルを超えるかもしれない。しかしFTCは、このような指標の選択を正当化するための十分に説得力のある市場定義の議論をしていない。Facebookは、DiscordやTwitterのような他の個人向けソーシャルネットワーキングサービスと比較されるべきであり、それらが市場に正しく含まれることで、消費時間やDAU / MAUというFTCの選択はその意味を失うことになる。

結局のところ、お金が王様なのだ。収益が重要であり、FTCが強調すべきことである。Snapchatが上記で示しているように、パーソナルソーシャルメディア業界の収益はARPU×DAUで計算されている。パーソナルソーシャルメディア市場は、エンタテインメントソーシャルメディア市場(FacebookはYouTube、TikTok、Pinterestらと競合している)とは異なる市場である。また、これはディスプレイ検索広告市場(Google)から切り離された市場でもある。すべての広告ベースの消費者向けテクノロジーが同じように構築されているわけではない。繰り返しになるが、広告はビジネスモデルであり、市場ではない。

例えばメディアの世界では、Netflixのサブスクリプション収入は明らかにCBSの広告モデルと同じ市場で競合している。News Corp.によるFacebookの初期のライバルMySpaceの買収は、従来のメディア広告市場を破壊するインターネットのポテンシャルについて多くを物語っている。Snapchatは広告を追求することを選んだが、Discordのような初期のライバルはサブスクリプションを利用して順調な伸びを見せている。しかし、その市場シェアはFacebookと比べると依然として低いものだ。

代替的訴答:Facebookの市場支配力がクリエイターエコノミーの賃金を抑制している

公正取引委員会は、独占の定義に関して、可能な限り小さい市場を主張してきた。Facebookが少なくとも80%を支配しているパーソナルソーシャルネットワーキングは(最も強い主張においては)エンターテインメントを含むべきではない。これは成功の可能性が最も高い、最も狭義の議論である。

しかし、彼らは代替案でより広い議論をすることを選択することができた、より大きなスイングをとるものだ。リナ・カーン氏がNew Brandeis運動を始めた2017年のメモの中でAmazonについて言及したことで知られるように、従来の経済的消費者有害性の評価基準は、ビッグテックがもたらす有害性に十分に対処していない。その害はあまりにも抽象的だ。ホワイトハウスのアドバイザーであるTim Wu(ティム・ウー)氏が「The Curse of Bigness(巨大企業の呪い)」の中で論じ、ボースバーグ判事が自身の意見で認めているように、独占禁止法は価格効果のみに依存するものではない。Facebookは、価格効果の悪影響を証明することなく分割できる。

しかしFacebookは、消費者に損害を与えてきている。消費者は、その労働がFacebookの価値を構成する労働者であり、低賃金である。個人的なネットワーキングをエンターテインメントを含むものと定義すれば、YouTubeは教訓的な例になる。YouTubeとFacebookの両方のサイトでは、インフルエンサーはブランドに直接課金することで価値を獲得できる。それはここでの話題ではない。問題となるのは、クリエイターに支払われる広告収入の割合である。

YouTubeの従来のパーセンテージは55%だった。YouTubeは、過去3年間でクリエイターと権利保有者に300億ドル(約3兆3000億円)を支払ったことを発表している。保守的にいうと、資金の半分は権利保有者に配分される。つまりクリエイターの平均収入は150億ドル(約1兆6500億円)、年間50億ドル(約5500億円)ということになるが、これはその期間のYouTubeの460億ドル(約5兆円)の収益のかなりの部分を占めることになる。言い換えれば、YouTubeは収益の3分の1をクリエイターに支払ったということになる(これは明らかにYouTubeの非広告収入は考慮していない)。

これに対してFacebookは、わずか数週間前に、年間10億ドル(約1100億円)というごくわずかな額のプログラムを発表し、変更を加えたばかりだ。確かにクリエイターたちは、インタースティシャル広告からいくらかの収入を得ているかもしれないが、Facebookはその収入の割合を公表していない。それは侮辱的なものになるからだろう。YouTubeの発表に相当する3年間で、Facebookは2100億ドル(約23兆1100億円)の収益を上げた。その3分の1は700億ドル(約7兆7000億円)、年間230億ドル(約2兆5300億円)に相当する額がクリエイターに分配される計算になる。

なぜFacebookはこれまでクリエイターに支払いをしてこなかったのか?その必要がなかったからである。Facebookのソーシャルグラフはあまりにも大きく、クリエイターたちはとにかくそこに投稿しなければならない──Facebook BlueとInstagramの成功がもたらす規模によって、クリエイターたちはブランドに直接販売することで収益化することができる。Facebookの広告はクリエイターの労働力によって価値がもたらされている。ユーザーがコンテンツを生成しなければ、ソーシャルグラフは存在し得ない。クリエイターたちは、自分たちで作ったスクラップ以上のものを受け取る資格がある。Facebookは、それが可能だという理由でクリエイターの賃金を抑制している。これが独占企業のやっていることなのだ。

Facebookのスタンダード・オイル精神

Facebookは長い間、ソーシャルメディアのStandard Oil(スタンダード・オイル)だった。ザッカーバーグは7月に、Robloxが開拓した市場であるメタバースに再び焦点を当てていることを明らかにした。パーソナルソーシャルメディアでの独占を達成し、エンタテインメントソーシャルメディアとバーチャルリアリティで競争した後も、Facebookの掘削は続いている。確かにFacebookは無料かもしれないが、その独占はクリエイターの賃金を抑制することで米国人に害を与えている。反トラスト法は、シャーマン法の下では、消費者被害は独占を証明するための必要条件ではないと規定している。独占は違法である。正確な市場定義と市場シェアを再提出することで、FTCはチャンス以上のものを手にしている。きっと勝利を収めるはずだ。

編集部注:本稿の執筆者Daniel Liss(ダニエル・リス)氏は、デジタル使い捨てカメラのソーシャルネットワークであるDispoの創設者兼CEO。本記事の前バージョンはSubstackに掲載されている。

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(文:Daniel Liss、翻訳:Dragonfly)