お金のないバイオテク・スタートアップのために試験を低費用で代行するTranscripticが広い建物に引っ越した

 

Transcripticはクラウドを利用するバイオテクのラボで、まだ実験段階の薬の試験をロボットなどにより自動化する。このラボは、シリコンバレーの多くのバイオテク企業にとって、重要なプラットホームになっている。

このプラットホームはとくに、Y Combinatorのようなインキュベータ(孵化器)から巣立ったバイオテク企業が重宝している。まだほとんどお金のない連中でも、低料金で、しかも早く、試験結果が得られるからだ。Transcripticは一社あたり2万ドルのクレジットを、Notable LabsやAtomWiseなどYC出身のスタートアップに提供して、シリコンバレーの中に新薬発見産業を育てようとしている。

新薬が市場に出るまでには平均して12年の時間と数十億ドルの費用がかかる、と言われている。Transcripticによると、同社のサービスは科学者たちがリモートで大量のデータを自動化機器(〜ロボット)で生成処理することを可能にし、わずか数日で、かつ低費用で、試験結果を作り出す。新薬の市場化のためにはほかにもいろいろやるべきことがあるが、このラボのおかげで、人の命を救える新薬をよりはやく、より低コストで市場に出すことができる。

こういう、ロボットを利用する試験施設はEmerald Cloud Laboratoryなどほかにもあるが、Transcripticの場合は、高価で従来的な自動化装置を購入するのではなく、ロボットも、それらを動かすコードも、自作だ。このやり方が低コスト化に貢献し、またスケールアップも迅速にできる。

Transcripticは最近、サンフランシスコに近いMenlo Parkの22000平方フィートの施設に引っ越した。これで今後の成長が可能になるし、サービスの内容も多様化できる。本誌TechCrunchは、ファウンダのMax Hodakと一緒に、新しいスペースを見学した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


a16zが出資しているuBiomeが歯のバクテリア収集のためIndiegogoでクラウドファンディング

自分の胃腸の中のバクテリアのフロラやファウナに関心を持ったことある?

歯は、どう?

Y Combinatorのバイオ系育成企業uBiomeは、かつてAndreessen Horowitz(a16z)から資金を調達したが、今度は歯のバイオームに着目して二度目の資金募集を開始した。

バイオーム(biome, 生物群系)とは、体の中の何兆というバクテリア全体の生態系のことだ。人間の体の細胞の数は10兆ぐらいだが、微生物の細胞はその10倍ある。100兆のそれらすべてが、人体のバイオームを構成している。

通常それらは無害だが、体重や健康状態や消化やそのほかの疾病に、予測困難な影響を与えることもある。

uBiomeは人間のバイオームの配列を決定するためのサンプリングを、2年前にクラウドファンディングにより開始した。彼らは35万ドルを集め、資金提供者は2500名にのぼった。この研究でuBiomeは、UCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の歯科医学の教授で、生物情報科学の博士号を持つJeremy Horstとパートナーする。

Indiegogoの資金募集キャンペーンでは、サンプルを採取するためのキットを79ドルで支援者に買ってもらう。同社はサンプルを処理し、配列を求め、その微生物学的成分を理解する。そして発見された微生物と、それらが次の研究に与える影響について、報告書を共有する。

uBiomeの長期的なビジョンは、市民科学者や市民研究者たちの大きなコミュニティを育てることだ。

uBiomeの協同ファウンダJessica Richmanによると、同社の顧客の多くがこれまで何度も試験に協力し、プロバイオティクス(善玉菌)サプリメントの効果や、彼らのバイオームの構成などの研究に貢献してくれた。

“大きなデータ集合からインサイトを得て、それらを今後、治療や診断のためのツールにしていかなければならない”、と彼女は言う。そのデータ収集はもちろん、理解と合意の上で行われなければならない。

たとえとしては、23andMeが遺伝子に対して行うことを、uBiomeは個人のマイクロバイオーム(体内微生物叢)に対して行う。それは消費者製品だが、今後のもっと大きな研究コラボレーションの基盤になる。マイクロバイオームにはどんな個人差があり、それが健康にどんな影響を及ぼすのか…それはまだ、ほとんど未知の研究分野だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


天然ガスを人工微生物に食べさせて工業用化学物質を作り出すIndustrial Microbes

East Bayに生まれY Combinatorに育てられたIndustrial Microbesは、バイオ燃料で長年の経験を持つ三人の合成生物学者が創始したスタートアップだ。

三人はバイオ燃料のスタートアップLS9で出会った。同社はクリーンテクノロジのブームに乗って8000万ドルあまりを調達し、人工的に作ったバクテリアから燃料を作ろうとしていた。しかしベンチャー企業としてのLS9は、その後鳴かず飛ばずで、結局昨年、6150万ドルで買収された

でもLS9で出会った三人、Derek GreenfieldElizabeth ClarkeNoah Helmanは、それぞれ、スタンフォードとUC BerkeleyとUCSFでPhDを取っており、自分たちの新しい企業を作って出直そうとしている。Industrial Microbesの目標は、天然ガスを工業用化学物質に変える微生物を設計することだ。

重要な違いは、バクテリアが糖ではなく天然ガスを消費すること。LS9のようなバイオ燃料企業は、糖のコストが大きいため、他と競合できるエネルギー価格を実現することが難しい。燃料以外の化学物質の市場は170億ドルの規模だが、やはり原料が糖ではなかなか難しい。

Greenfieldは曰く、“糖は原材料と見なされることが多いが、しかし良い原材料ではない。天然ガスは糖の1/4の価格だ。石油よりも安く、埋蔵量も多い。しかもそれは、合衆国で産出される。エネルギー効率は高いし、パイプラインのインフラもすでにある”。

Greenfieldらは、1970年代に発見された、泥炭湿原などで天然ガスを消費している微生物の遺伝子素材を利用しようとしている。元の微生物を育てるのは困難だが、それらのバクテリアから採取した酵素と遺伝子を一般的な微生物に注入してやり、天然ガスを食べて工業用化学物質を作り出す能力を持たせることはできる。

同社の最初の目標化合物はリンゴ酸だ。それはあらゆる生物が作り出すジカルボン酸の一種で、りんごの酸っぱさの元だ。リンゴ酸は、食品添加物として広く利用されている。これを十分な低コストで作れば、生分解性のプラスチックを作れる。そして最終的に彼らは、糖ではなく天然ガスから、安価な液体燃料を作るつもりだ。

DNA解読の費用はムーアの法則よりも高速に下がりつつあるので、Greenfieldらが行うさまざまな実験も、10年前に比べると、とても安くできるようになっている。費用の低下傾向に伴って今では、生物情報科学や合成生物学の分野のスタートアップが数多く生まれている。Y Combinatorの同窓生としては、Counsyl20nなどがいる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa


Yコン出身のNotable Labsは、カスタマイズされた医学検査で脳腫瘍の治療を目指す


Matt de Silvaが Thiel Capital でヘッジファンドのマネジャーとして働いていた2013年の秋、彼の父が脳腫瘍、それも侵攻性の多形性膠芽腫を患っていることを知った。

この種類の腫瘍の治療方法は限られている。de Silvaの父親は、化学療法と放射線治療を行ったとしても余命が3ヶ月から6ヶ月しかないと宣告された。この種の腫瘍を患う人の時間は15ヶ月程しか残されていない。

de Silvaはその事実に打ちのめされたが、父により良い治療を見つけることを決意した。他の治療法について調べる中で、彼は1つのアイディアに辿り着いた。それは侵攻性の腫瘍に対抗するために、既に認可されている医薬品の分子構造の組み合わせを活用することだった。

「調査する中で、多くの医師と患者がこのアプローチに対して前向きであることが分かったのですが、それを行うには充分なデータがありませんでした。」と彼は言った。

このことはde Silvaを後押しした。彼は、親友で医学部準備教育課程の学生のPete Quinzioと組み、YCの出資を受け、Notable Labsを立ち上げた。Notable Labsは、脳腫瘍患者に対し、それぞれに適した検査を行うことでアメリカ食品医薬品局が承認している化合物の最適な組み合わせを導きだす。これはすぐに医師によって処方することができる。

通常、このようなアイディアがスケールすることは難しい。開発には膨大な時間と費用がかかり、データも充分に揃えるにはそれなりの期間が必要だ。新しい医薬品が手に入れられるようになるまで、平均で29億ドルの費用と12年もの期間を要する。そこまでできたとしても、その間に腫瘍が変異し、その医薬品が効果的でなくなることもある。

Notable Labsは、研究室での運頼みの実験や時間を削減する為に、別のYCの出資を受けるAtomwiseの予測分析手法を使用する。そしてカスタマイズされた装置で、短い時間に何千もの組み合わせの医薬品を検証することを可能にした。

調査する中で、多くの医師と患者がこのアプローチに対して前向きであることが分かったのですが、それを行うには充分なデータがありませんでした。

— Notable Labs 共同ファウンダー、Matt de Silva

2014年の8月、Notable LabsはFounders Fund、First Round Capitalと、Steve Caseが率いる非営利組織のAccelerate Brain Cancer Cureから出資を受けた。Notable Labsは研究者を初めてUCSFから迎え、サンフランシスコのSOMA地区にあるオフィスビルの一階のシェア研究所を借りて活動している。

de Silvaは、シェア研究所内で彼らが借りているデスクスペースやシェア研究所の自由に使用できる高額な設備を紹介して回った。その後、彼らが研究に使用している保存室へと行き、Pythonで走るカスタマイズされた機械の説明をした。

一人の研究者が青いゴム手袋をはめ、ガラスで区切られた実験エリア内でシャーレに乗せた腫瘍細胞を扱っている所だった。de Silvaは、部屋の隅に置かれた保冷庫から赤い溶液で満たされた透明な箱を取り出した。その箱は、ちょうどサンドイッチを入れるタッパー程度の大きさだった。

「液体の中に小さな浮遊物があるのが見えますか?これは、父の腫瘍の細胞です。」と彼は説明した。

de Silvaは脳腫瘍の細胞とそれらの変異した細胞は検証に適していると言う。「これらは、一定のスピード、それも早いスピードで3次元のスフェロイドを形成し、実際の腫瘍をシミュレートします。」と彼は言う。

各種の変異した細胞でも検証を行うことができ、Notable Labsの方法を用いれば、無数にある医薬品の組み合わせを、その場でそれぞれの患者に則したものにアップデートすることができる。

de Silvaは、今度はたくさんの小さな四角に区切られた黒い容器を取り出すと、それぞれの四角の窪みに液体と細胞を入れると説明した。細胞は容器の下の方に沈み、様々なテストが行われる特別な機械へと入れられる。窪みの中には、それぞれ別の組み合わせの化合物が入れられ、どれが腫瘍に対して効果があったかを検証する。医薬品の効果、安全性、腫瘍の抑制といった点から優先すべき医薬品を導きだす。その情報は患者の医師の判断の為に伝えられる。

現在Notable Labsの研究対象は、脳腫瘍の治療に焦点が当てられている。それにはいくつか理由があるが、de Silvaにとって最も重要なことは、脳腫瘍の患者は治療方法の選択肢が乏しいことを解決するということだ。

残念ながらNotable Labsが、de Silvaの父親の病を治す最適な組み合わせの医薬品を見つけるには時間が足りなかった。彼の父が脳腫瘍に屈したのは、一週間半前のことで、それは脳腫瘍の診断を受けてからちょうど15ヶ月のことだった。

父を亡くしてまだ日も浅いが、それでも始まったばかりのスタートアップを前に進められる理由についてde Silvaに聞いた。彼は、父のような脳腫瘍を患う人により良い治療を届けたいという思いが今まで以上に強くなったと答え、その声には固い決意が感じられた。

「父のおかげでNotable Labsがあります。」と彼は言った。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma / facebook


化学物質を生産する微生物を遺伝子工学で作り出す20nがY Combinatorから孵化

最近バイオテクづいているY Combinatorからまた一つ。20nは、UCバークリーの教授と一人のポスドクの着想から生まれたスタートアップだ。

Saurabh SrivastavaとJ. Christopher Andersonが数年がかりで開発したソフトウェアは、遺伝子工学により特定の化学物質を作り出す微生物を設計する。彼らはUCバークリーのDARPAが支援しているラボで、アセトアミノフェン(医薬商品名タイレノール(Tylenol))を生産するバクテリアを作った。

単に遺伝子工学で化学物質を作り出すだけでなく、彼らのスタートアップはソフトウェアプラットホームでもあることが、独特だ。特定の化学物質をを生産するバクテリアを作る方法をライセンスしている会社はいくつかあるが、そういう微生物の作り方を見つける過程が時間的にとても長くてかったるい。

それに対し20nはデータマイニングを活用することによって、これまでより100倍も多い種類の化学物質をを得ることができる。右図はそんな可能性を図解している。

企業は、得たい物質の分子構造を指定し、20nはそれができる微生物を設計する。ただし得たい物質は、有機化合物にかぎる。

スペシャリティケミカルズ(specialty chemicals, 化学物質のオーダーメイド)は1兆ドル産業だ、と言われる。これらの微生物のライセンス料は、安くても数十万ドルはする。20nはすでに、いくつかのライセンス契約を商談中だ。

“もっともありふれた化学物質でさえ、その市場規模は数十億ドルにもなる”、とSrivastavaは語る。

社名の20nは、ユニバーサルジェネティックコードが指定している標準アミノ酸(蛋白質を構成するアミノ酸)が20種類であることに由来している。蛋白質は通常、300から500のアミノ酸の配列で、20nは同社が対象するそのその組み合わせの集合の元の数だ。

Srivastavaはコンピュータ科学でPh.Dを取り、AndersonはUCバークリーの終身教授で、合成生物学を17年研究している。

二人の専門分野の違いから、ときどき、笑えるコミュニケーションエラーが生ずる。たとえばAPIはプログラマにとって”application program interface”という意味だが、生物化学では”advanced pharmaceutical intermediate”になる。

“生物学者とコンピュータ科学者が共に理解できる言葉を、発明しないといけないね”、とAndersonは言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


ほとんどの種類のAIDSウィルス(HIV)の細胞付着を阻止できる新しい化合物を発見

HIVを阻止する新しい化合物が、すでに30年にも及ぶAIDSワクチンの研究に対する答かもしれない。

National Institute of Allergy and Infectious Diseases(国立アレルギーおよび感染症研究所)の科学者たちによると、彼らが発見した新しい化合物は、通常の抗体のような蛋白質を細胞中に作るが、そのY型の頭部が、AIDSを起こすウィルスに対するブロッカー(遮断因子)として働く。

HIVはスパイクにおおわれていて、細胞内の二つのレセプターに付着しようとする。抗体は一つのタイプのスパイクをブロックできるが、ほかはできない。新しい化合物は、eCD4-IGという蛋白質を作り、ウィルスが細胞に付着しようとするときに、両方の接合スパイクをブロックする。

ウィルスをブロックするこれまでの方法は、さまざまな抗体のミックスにより、1〜2種類のウィルスをブロックできた。しかしこの方法は、効率が悪いことが多かった。

この新しい実験的な化合物は、猿に対するテストで、もっとも毒性の強い種類のHIVに対しても有効、と実証された。テストで新しい化合物を投与された4匹の猿は、昨年いっぱい何度も再感染を試みられたが、今でもHIV陰性だ。このプロジェクトを進めている科学者たちは、それが有効なAIDSワクチンが得られた証だ、と信じている。

プロジェクトの指導研究官、ドクターMichael Farzanは、声明文の中で、“われわれの化合物はこれまで記述があるものの中では、もっとも幅広くもっとも強力な侵入阻止素材だ”、と言っている。

National Institute of Allergy and Infectious Diseasesの部長であるドクターAnthony S. Fauciも、Farzanに同意している。彼は、“それはとてもすばらしいし、その方法にはきわめて将来性がある。今はまだ動物実験の段階だが、今後はヒトで治験して効果を検証する必要がある”、とNew York Times紙に語っている。

この研究の初出は、Nature誌だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


バイオスタートアップが行う実験を代行して研究開発の迅速化/低コスト化を支えるTranscriptic

これからY Combinator(YC)で育っていく新進のバイオテックスタートアップたちは、ある先輩企業とその育ての親であるYCとのパートナーシップに助けられることになる。

その、3年前に創業した企業Transcripticは、自動化実験を代行するサービスで、今およそ60の企業や研究機関を顧客として抱えている。同社はこれまで約600万ドルの資金を調達して、ハードウェアとソフトウェアのスペシャリストや実際の実験担当員など、社員を18名にまで増やしてきた。

同社の実験室(ラボ)は、一つが貨物船用のコンテナぐらいの大きさで、同社はそれを“ワークセル(work cell)”と呼んでいる。TranscripticのファウンダMax Hodakによると、同社のセルの中で、今バイオテック界隈で必要とされている実験工程の90%ぐらいはこなせる。ユーザはWeb上のシンプルなインタフェイスから、自分のセルで行うワークフローを組み立てる。するとロボットアームやそのほかのプログラマブルツールが実際の実験行為を行う。

Y Combinatorとのご縁に由来するいろんなアドバンテージのほかに、同社はYCを卒業したそのほかのバイオスタートアップたちからのフィードバックにも助けられている。またこれら卒業生たちは、今回のパートナーシップの一環として、Transcriptのワークセルを利用するための料金として2万ドルのクレジットをYCから提供される。つまりYCは、Amazon Web ServiceなどがWebやアプリケーションベースのスタートアップに対してやっているインフラ/プラットホームサービスを、バイオスタートアップに対してやろうとしているのだ。新進スタートアップにとって、ラボと、そこでの実験工程への大きな投資を節約できることの効果は、きわめて大きい。

Transcripticのラボでできる実験は、合衆国厚生省(U.S.Department of Health and Human Services)の疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention, CDC)の規則で、その生物学的安全性(バイオセーフティ)レベル1とレベル2の実験しかできない。また、臨床試験以外の目的で製薬実験工程を自動化することも許されない。

しかしこれらの制約を除けば、同社のワークセルでほとんどあらゆる種類の実験が可能で、しかもそれをWebから管理〜コントロールできる。そのためのアプリケーションは今2本あるが、年内にもう一本新しいのが加わる。Hodakによると、UC Davis(カリフォルニア大学デイヴィス校)が2014年の国際遺伝子工学マシンコンテストに優勝したときの実験は、Transcripticのワークセルで行われた。

同社のワークセルで使われている実験用の器具機械は、そのおよそ半数ぐらいを内製しているので、競合製品/類似製品に比べて低コストだ。たとえば、ロボットアームや冷蔵保管庫は同社の内製である。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


母体と胎児にとって安全で正確な出生前DNA検査技術のPreneticsが$2.65Mを調達

創業から5年になる企業がシード資金として数百万ドルを調達する、という例はあまりないと思うが、今日香港でまさにそれが起きた。バイオテックのPreneticsが、同社の次世代型出生前DNA検査技術で265万ドルを獲得したのだ。

と同時にPreneticsは、新しいCEOとしてDanny Yeungを迎えた。彼はGrouponの東アジアにおけるビジネスを今年の4月まで率いた。PreneticsではYeungは無給のCEOで、シードラウンドへの参加も個人として行った。しかし彼は、500 Startupsや彼自身が今年協同ファウンダとして創業したSXE Ventures、Grouponのアジア太平洋部門のトップJoel Neoh、SingaporeのCoent Venture Partnersなど、そのほかの投資家たちをかき集めることに尽力した。

同社は最初、香港城市大学(City University Hong Kong)の一研究部門だったが、2009年にスピンオフした。多様なDNA関連サービスを提供しているが、しかし今日は’Prenetics V’と名づけたサービスを公式にローンチした。それは、無侵襲的出生前検査(Non-Invasive Prenatal Test, NIPT)と呼ばれる遺伝学的検査で、DNA検査により胎児の16種類の健康条件を調べる。

安心感を提供

この検査は、母親の血液標本を妊娠10週目という早期に採取して行い、検定の精度は99%以上と高い。主な目的は両親に子どもの健康状態に関する安心感を与えることであり、そのために妊娠初期に今後の問題の可能性の有無を調べる。

NIPTは合衆国や一部の西欧諸国ではすでに標準だが、アジアは違う。

アジアでは、生まれる前の子どもを検査する方法が限られている。しかも、母親の子宮にプローブや針を挿入するなどの侵襲的な手法が多く採られるので、妊娠合併症のリスクがあり、誤診率も10〜20%と高い。また出生前検査をまったく行わない妊婦も多い。

対照的にNIPTは胎児に危害が及ばず、Preneticsによれば診断の精度も侵襲的な方法の200倍正確である。

Preneticsは同社の新製品により、アジアにおける出生前検査の状況を全面的に変えたいと願っている。同社の直接の顧客は医療の専門家であり、最終消費者ではない。とはいえ、同社は香港で消費者向けのマーケティングキャンペーンを行って、ブランドの浸透と、一般人および医療産業における知識と関心の高まりを促進したいと考えている。

生命観の大きな変化

Yeungは彼のグループ購入サイトuBuyiBuyを2010年にGrouponに売り、そのときの契約で今年までGrouponに在籍した。退社後彼は、最初にSXE Venturesを創業したが、やがて彼の“起業家本能”が再び首をもたげ、投資家業から実業へと復帰した。…本誌のインタビューで、彼はそう言っている。

“この会社が大きなインパクトを作り出すのを、ぼくなら支援できると信じている。16名のチームにPhDが4名もいる優秀なスタッフたちだから、ぼくのやることはプロダクトの商用化、サービスのパッケージング、そして製薬業界や一般消費者をこの会社が提供する利益について教育することだ”、と彼は言っている。

さらに彼はこう語る: “妊娠産業の市場は10億ドル規模だが、それにとどまらず、この技術には生命観そのものを根底から変える力がある。アジアではDNAの出生前検査というものの存在を知らない人が圧倒的に多いが、それは必須の検診になるべきだ”。

今はPrenetics Vが同社の主製品だが、Yeungは今後もっと提供製品の幅を広げたいと言う。そのために今回からすでにもっと大きな金額を調達してもよかったが、あえてそうしなかった。

ぼくの二人の子どももアジアで生まれたから、この検査によって得られる安心感が、親の一人として十分納得できる。しかしそのオプションを選べる機会に、これまで遭遇したことはない。でもPreneticsのような企業が香港に現れたのだから、今後は西欧だけでなくアジアでも、母体や胎児にとって侵襲的でないDNA検査がオプションとして存在するようになるだろう。そんな変化を、YeungとPrenetics社はこれから起こそうとしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


体内細菌の検査を一般個人に提供するuBiomeが$4.5Mを調達、クラウドファンディングから離陸へ

Microbiome(マイクロバイオーム、体内微生物相叢)は、体の中に住んでいるバクテリアの生態系で、その数は人体の細胞の数の10倍(数百兆)といわれる。それらの微生物は食べ物の消化やビタミンの合成などさまざまな機能を担い、人間の気分や行動にも影響を与える。

最近 バイオテクづいているY Combinatorが支えるuBiomeは、人体内の微生物の状況を各人が知れるようにしたい、と考えている。昨年同社は、標本採集キットを作る資金としてIndiegogoで10万ドルを募り、35万ドルあまりを集めた。そのキットは、われわれしろうとが便を採取し、試験管に挿入し、同社へ郵送するための器具や用品のセットだ。

uBiomeはさらにその後、エンジェル投資家たちから150万ドル、Andreessen Horowitzから300万ドルを調達した。

同社は標本分析ロボットとそのための機械学習アルゴリズムで特許を取っている。同社はまた、人体のマイクロバイオームの標本の世界最大の(非公開)データ集合を保有し、新たな被験者の参照グループを素早く見つけることができる。

送料を同社が負担する、ユーザの自己採取標本が同社に送り返されてくると、その分析が行われ、ユーザはその結果をWeb上で見ることができる。その結果には、ユーザのマイクロバイオームの、参照グループ(例: 完全菜食主義者たち)との比較も含まれている。

つまりそのデータから、自分のマイクロバイオーム中のバクテリアの種が分かり、ほかの人たちとの比較や、バクテリアに関する最新の研究結果に照らした所見を知ることができる。

同社の目標は、人びとに自分の腸の中を知る方法を与えること以外に、データを研究者たちに与えて、マイクロバイオームをより大きな視野で見られるようにすることだ。

同社のほかにも、American Gut Projectなど、マイクロバイオームの“一般的市民科学”化を志向しているところはある(こちらはキットが99ドル)。しかしそれらの収益はコロラド大学ボールダー校のBiofrontiers Instituteや、シカゴ大学Earth Microbiome Projectなどに納められている。

uBiomeのいちばんベーシックなキットは89ドルで、合衆国ではubiome.comやAmazon Primeで買える。

関連記事

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


最近バイオづいてきたY Combinator、今度は暗闇で光る植物のGlowing Plantを支援

これまで主にソフトウェア企業を育ててきたY Combinatorが、 最近はバイオテクにも手を出し始めた。

YCの今の‘学期’には、昨年暗闇の中で光る植物でKickstarterに登場したGlowing Plantがいる。

Glowing Plantは、害虫を寄せ付けない、空気清浄効果がある、など、家庭用の機能性植物を生産しようとしている。光る植物は、街灯などの、夜間照明器具を見ていて思いついた。

CEOのAntony Evansはこう言う: “光る植物は今でも主力製品だが、ほかのことも考え始めている。1980年代には、すべての家庭にデスクトップコンピュータを、というビジョンがあったが、それと似てうちは、すべての家庭に遺伝子を人工的に変えた生物がいるようにしたい”。

Evansが強調するのは、Monsantoとその、政府による規制論まで招いた遺伝子組み換え食品には手を出さない、ということだ。また、既存の植物を駆逐して生態系を破壊してしまうような遺伝子操作も行わない。

“この分野の足を引っ張っている最大の障害は、大企業がもたらした遺伝子操作に対する、一般消費者のネガティブなイメージだ”、と彼は言う。“うちの植物で、そのイメージが変わることを期待している。食品の場合は、‘予想外の結果’が壊滅的な事態を招く可能性もあるが、うちは、楽しくてクールな製品を作りたいだけだ”。

ゲノムシーケンシングなどこの分野の基本技術の費用は、Mooreの法則を上回る速度で急速に低下しているため、Y Combinatorも手を出しやすい分野になってきている。サンフランシスコのベイエリアの若いバイオテク企業にはこのほか、受胎前の両親の遺伝子を調べるCounsylや、ローコストのDNAプリントを目指すCambrian Genomicsなどがある。

“バイオテク企業が、誰でも始められるほどの低資本レベルになってきたことが、YCの活発な関心を招(よ)んでいる。起業費用は急速に低下しつつある”、とEvansは言う。

Evansによると、今社員4名の同社は、Y CombinatorのDemo Dayでシードラウンドを立ち上げる予定だ。今のところ資金は、Kickstarterでの予約者からの出資48万4000ドルが主なものだ。

数か月前にSOMA(San Francisco, South Of Market地区)にある同社の地下室のオフィスでデモを見たが、たしかに闇の中で光るけど、照明として使えるほど明るくはない。でもEvansによると、世代を重ねるごとに明るくなっているそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


YC育ちのBikanta…ダイヤモンドの粉塵が微小段階の癌を正確に見つける

【抄訳】

Y Combinatorが支援するバイオテク企業Bikantaは、小さな蛍光性のダイヤモンドを体内に入れることによって、がんをその発生箇所で退治することを目指す。オックスフォード大学で生物医学工学の博士号を取ったドクターAmbika Bumbが創始したこのスタートアップは、ナノサイズのダイヤモンドを使って、がんのうんと初期の時点で分子レベルの異状を見つけ、その拡大を抑止する。

Bumbはオックスフォード大学における博士課程終了後の特別研究を、国立衛生研究所(National Institute of Health, NIH)との共同研究として行っていたが、そのときに、現在のがん検診技術の限界に不満を抱いた。現在の方法では、やがて微小転移腫瘍に導くような小さな腫瘍、いわゆる遊離腫瘍細胞を見つけることができない。しかしそれを見逃すと、やがてそれはがんとして体のほかの部分にも広がるのだ。Bumbによると、そういう微細レベルの発見ができない原因として、信号の損失ないし喪失、背景的な妨害要素が大きいこと、有効な試薬の毒性が許容レベル以上であること、などが挙げられる。たとえばBumbの方法以外にも二つある蛍光光学方式の一つである量子ドット(quantum dots)は、カドミウム系の化合物を使うため有毒である。

世界保健機構(World Health Organization, WHO)によると、世界のがん患者は今後の20年間で57%増加する。したがってがん検診の受診者は年間1400万人から2200万人に増加する。それらのがん検診で毎年、小さな遊離腫瘍細胞が見逃されれば、防げたはずの死者が発生する。それはもっぱら、今の方法ではそんな腫瘍細胞が形成された時点で、見つけることができないからだ。

【中略】
〔これまでの光学的方法や蛍光素材の限界や制約〕

ナノダイヤモンド(ナノサイズのダイヤモンド)に関してBumbは、不完全なダイヤモンドをダスト(粉塵状)に破砕すると蛍光を発し、その反射により分子の異状を目立たせることができることを、発見した。“それはまるで体の中にフラッシュライトを入れたようなもので、しかも永続性がある”、とBumbは言う。永続性のある無毒な光源物質は、これまでの市場には存在せず、したがって画期的だ。

ナノダイヤモンドには磁気に感じる性質*もあり、その性質は組織内部の画像をより精細にとらえることに利用できる。初期のテストでは、蛍光性のナノダイヤモンドを使用すると、インヴィヴォ(生体内)でのSN比が従来の素材の100倍に改良された。利用技術の完成度が上がればSN比はもっと上がる、とBumbは言う。今この技術はリンパ節の視覚化に利用されているが、それはこれまでの画像技術では可視化が不可能だった。〔*: magnetic sensitivity, この記事の原文にはBumb本人がこの件でコメントを寄せている。〕

ナノダイヤモンドの精細な可視化特性は、がんの発見を超えて、精密な機械化手術にも利用できる。もちろんそのような手術は、がんの破壊にも利用できるだろう。これまで研磨材などに使われていたナノダイヤモンドには固まる性質があったが、Bikanta社のものは分離状態を維持し、液中での浮遊分散も安定している。しかも目的物質(アプタマーや抗体など)との結合性が良い。ということは、将来的には何らかのナノダイヤモンド製剤によりいろんな疾病の発見ができる可能性がある。今ナノダイヤモンド素材は体内の分子レベルの異状の発見に役立とうとしているが、今後は異状の予防にも貢献するだろう。

Bumbは曰く、“一人のお医者さんが一日に10人の患者を救っているとすると、100人のお医者さんの役に立つ技術を作り出す技術者は、一日に1000人の患者を助けることになる”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))