「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3も示唆

「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3の可能性も示唆

YouTubeは2月18日、日本版YouTube公式ブログのエントリー「2022年の展望:コミュニティ、コラボレーション、コマース」を公開した。「クリエイター向け」「視聴者向け」「パートナー向け」に2022年の展望を掲載しており、新たなサービスやツールのリリースを予定していることを紹介。Web3、メタバースについても触れている。

Web3については、クリエイター向けの話題の中で「Web3もまたクリエイターに新たな機会をもたらします」と紹介。「ブロックチェーンやNFTのような新しいテクノロジーによって、クリエイターはファンとより深い関係を築くことができるようになるでしょう」としている。「このような新しいテクノロジーには、責任を持って取り組むべきことが沢山ありますが、同時に素晴らしい可能性も秘めていると考えています」という。「YouTubeの将来を語るうえでメタバースに触れないわけにはいきません」YouTubeがメタバース参入検討、Web3の可能性も示唆

メタバースについては、視聴者向けとして採り上げている。「より没入感の高い視聴体験をどうすれば提供できるか」を考えているという。まずはゲームへの適用を検討しており、「ゲームにもっとインタラクションを持たせ、よりリアルな体感を導入することを目指します」としている。

凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

凸版印刷は2月18日、メタバースへの社会的な関心の高まりを受け、自分の分身として生成されたアバターに対し、唯一性を証明するアバター生成管理基盤「AVATECT」(アバテクト)を開発したと発表した。2月より試験提供を開始する。

凸版印刷は、写真1枚で3Dアバターを自動生成できる同社サービス「MetaCloneアバター」や、構築したメタバースの中で様々なビジネスを行う事業者などに向けて、AVATECTの試験提供を実施。複数のメタバース事業者間における同一アバターの行動分析や、それに伴うプライバシー保護の有用性の検証を経て、2022年9月までにアバター管理事業を開始し、2025年度までにメタバース関連事業として100億円の売り上げを目指す。

昨今、メタバース市場への関心が高まる一方、本人の許可や確認のない映像などによりアバターが生成されてしまう危険性や、アバターのなりすまし・不正利用がメタバース普及の大きな課題になっているという。また凸版印刷は、メタバース上でアバターの行動に対する倫理規定が進んでおらずディープフェイクのようなリスクが生じる危険性があると指摘。

凸版印刷は、メタバース普及に伴うそれらセキュリティリスクを低減させるため、アバターの出自や所有者情報を管理すると同時に、NFTや電子透かしによってアバターの唯一性・真正性を証明できるアバター生成管理基盤として、AVATECTを開発した。

アバターに関するメタ情報を管理

アバターを生成した際に「モデル情報」(氏名・身体的特徴・元となる顔写真など)、「モデルが当該アバター生成に対して許諾しているか(オプトイン)の情報」「アバター生成者(もしくは生成ソフトウェア、サービス)情報」「アバター生成日時情報」「現在のアバター利用権情報」などを、メタ情報として記録。「アバター生成管理基盤」に、アバター本体とメタ情報を紐づけて保管する。

NFT化と電子透かしで唯一性と真正性を証明

生成したアバターをNFT化することで、アバターに唯一性を示す情報を付与する。一方、NFT化だけではアバターの不正コピーや二次加工は防止できないため、AVATECTでは、目視では判別できない情報「電子透かし」を埋め込むことで、オリジナルかコピーされたものかを判別できるようにし、アバターの真正性を証明する。凸版印刷、アバターの真正性を証明する管理基盤AVATECTを開発、メタバースでのアバター不正利用やなりすまし抑止

アバターの本人認証(2022年度実装予定)

凸版印刷が提供する「本人確認アプリ」との連携により、アバターの登録やメタバースへのアバターのアップロードロード権限を、本人確認された利用者のみに限定することを実現する。またこの本人確認アプリでは、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)が提供する公的個人認証システムと連携し、マイナンバーカードを使って本人確認を行う。

将来的には、メタバース内で提供される会員入会申込みやオンライン決済のような本人確認が必要なサービスにおいて、アバターと本人確認された利用者を紐づけることで、サービス事業者が本人確認書類の確認プロセスを経ずにサービス提供を行えるようにする。

マイクロソフト、ハラスメント対策のためAltspaceVRのソーシャルハブをシャットダウン

Microsoft(マイクロソフト)は、AltspaceVRアプリ内でのハラスメント対策としていくつかの変更を加えると発表した。同社は米国時間2月16日付けで「Campfire」「News」「Entertainment Commons」のソーシャルスペースを削除した。これらのスペースは、AltspaceVRのユーザーが自由に集まり、互いに語り合うことができるハブだった。しかし、その自由度の高さゆえに、ハラスメントの問題が絶えなかった。

AltspaceVRのSafety Bubble(セーフティーバブル)機能は、デフォルトですべてのユーザーにとってオンになっている。これは、自分のアバターのパーソナルスペースに他の人が入ってこないようにバリアを作るものだ。また大事な点として、Microsoftによると、同アプリではこれから、新しい参加者が初めてイベントに参加したときに自動的にミュートになるとのこと。また、これらの変更を補完するために、モデレーションを強化し、イベントコンテンツの評価を改善することを同社は約束している。

今後数週間のうちに、Microsoftは、AltspaceVRにアクセスするために、Microsoftアカウントの使用を義務付けるという。その結果、保護者は同社のファミリーセーフティ機能を利用して、子どもがアプリ内で過ごせる時間を制限できるようになる。

MicrosoftのMR部門責任者であるAlex Kipman(アレックス・キップマン)氏は、次のように述べている。「AltspaceVRのようなプラットフォームが進化していく中で、既存の体験に目を向け、それが現在および将来のお客様のニーズに適切に応えているかどうかを評価することが重要です。これには、人々が共通の関心事を持つ人々とよりよくつながることを支援すると同時に、彼らがアクセスする空間が不適切な行動やハラスメントから安全であることを保証することも含まれます」。

今回の変更は、他のVRプラットフォームがそれぞれのハラスメント問題に取り組んでいる中で行われた。2月初め、Meta(メタ)はHorizon WorldsPersonal Boundary(パーソナルバウンダリー、境界線)という機能を導入した。これは、AltspaceVRのSafety Bubbleのように、自分のパーソナルスペースに人が入ってくるのを防ぐためのものだ。より広く解釈すれば、今回の変更は、Microsoftが何らかの形でメタバースの開発に取り組んでいることを示しているようにも見える。最近の報道では、同社のMR部門は、Metaのような競合他社にかなりの数の従業員を奪われたといわれている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

マイクロソフト、ハラスメント対策のためAltspaceVRのソーシャルハブをシャットダウン

Microsoft(マイクロソフト)は、AltspaceVRアプリ内でのハラスメント対策としていくつかの変更を加えると発表した。同社は米国時間2月16日付けで「Campfire」「News」「Entertainment Commons」のソーシャルスペースを削除した。これらのスペースは、AltspaceVRのユーザーが自由に集まり、互いに語り合うことができるハブだった。しかし、その自由度の高さゆえに、ハラスメントの問題が絶えなかった。

AltspaceVRのSafety Bubble(セーフティーバブル)機能は、デフォルトですべてのユーザーにとってオンになっている。これは、自分のアバターのパーソナルスペースに他の人が入ってこないようにバリアを作るものだ。また大事な点として、Microsoftによると、同アプリではこれから、新しい参加者が初めてイベントに参加したときに自動的にミュートになるとのこと。また、これらの変更を補完するために、モデレーションを強化し、イベントコンテンツの評価を改善することを同社は約束している。

今後数週間のうちに、Microsoftは、AltspaceVRにアクセスするために、Microsoftアカウントの使用を義務付けるという。その結果、保護者は同社のファミリーセーフティ機能を利用して、子どもがアプリ内で過ごせる時間を制限できるようになる。

MicrosoftのMR部門責任者であるAlex Kipman(アレックス・キップマン)氏は、次のように述べている。「AltspaceVRのようなプラットフォームが進化していく中で、既存の体験に目を向け、それが現在および将来のお客様のニーズに適切に応えているかどうかを評価することが重要です。これには、人々が共通の関心事を持つ人々とよりよくつながることを支援すると同時に、彼らがアクセスする空間が不適切な行動やハラスメントから安全であることを保証することも含まれます」。

今回の変更は、他のVRプラットフォームがそれぞれのハラスメント問題に取り組んでいる中で行われた。2月初め、Meta(メタ)はHorizon WorldsPersonal Boundary(パーソナルバウンダリー、境界線)という機能を導入した。これは、AltspaceVRのSafety Bubbleのように、自分のパーソナルスペースに人が入ってくるのを防ぐためのものだ。より広く解釈すれば、今回の変更は、Microsoftが何らかの形でメタバースの開発に取り組んでいることを示しているようにも見える。最近の報道では、同社のMR部門は、Metaのような競合他社にかなりの数の従業員を奪われたといわれている。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

投資家はメタバースのキラーアプリを必死で探す、3DソーシャルネットワークアプリBUDが約17.3億円調達

投資家たちはメタバースの次なるキラーアプリを見つけようと必死だ。ユーザーが3Dのコンテンツをカスタマイズして他の人と交流できるアプリのBUDが米国時間2月13日、シリーズA+ラウンドで1500万ドル(約17億3100万円)を調達したと発表した

「どうぶつの森」を思わせるかわいらしいキャラクターが登場するBUDは2021年11月に公開されたばかりだ。調査会社のApp Annieによれば、アプリ公開から数週間で米国など数カ国においてAndroidのソーシャルアプリカテゴリーでトップ10に入ったが、その後は100位台に沈んでいる。

勢いは落ちたが、この新しいアプリに対する中国の積極的な投資家の動きは止まらなかった。「予定オーバー」であるシリーズA+ラウンドを主導したのはQiming Ventures Partnersで、Source Code Capital、GGV Capital、Sky9 Capitalも参加した。シリーズAの調達金額は明らかにされていない。新たに調達した資金は製品の研究開発と国際市場でのユーザー獲得に充てるとBUDは述べている。

SnapのエンジニアだったShawn Lin(ショーン・リン)氏とRisa Feng(リサ・フォン)氏が共同で2019年にBUDを創業し、従業員数100人の企業へと成長させてきた。2022年末までに従業員数を200人にし、グローバルの本社を暗号資産ハブとして台頭するシンガポールに開設することを目指している。

BUDのセールスポイントの1つは、テクニカルな知識がなくてもドラッグ&ドロップで簡単に3Dワールドをカスタマイズできることだ。この点が、人気のクリエイター向けメタバースアプリで韓国インターネット複合企業Naver傘下のZepetoとは異なる。中国では最近、Zheliという新しい3DアバターソーシャルプラットフォームがApp Storeの無料ソーシャルアプリカテゴリーでトップになった。

関連記事:韓国NAVER Zがメタバースクリエイター向けの約115億円ファンドを設立

BUDやRoblox、Zepetoなどはエンドユーザーがメタバースを体験できるアプリだが、メタバースを単なるバズワードではなく現実のものにするためのインフラを開発している起業家も多い。分散型決済システムを開発している人もいれば、クリエイター向けツールを作っている人もいる。後者の例としては、3Dグラフィックス開発者向け共同作業プラットフォームで最近シリーズAで5000万ドル(約57億7000万円)を調達したTachi Graphicsがある。

関連記事:500以上のモバイルアプリが「メタバース」というバズワードを使って新規ユーザーにアピール

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

レトロなアーケードでゲームを楽しめるハイブリッドな没入型プラットフォームをPortalOneが年内提供予定

過去2年間のパンデミック生活において、最も人気のエンターテインメントの1つはやはりゲームである。このカテゴリーの「ゲームチェンジャー」になると信じ、新タイプのプラットフォームを構築しているゲームスタートアップが今回、その高まる波に乗るための資金調達を発表した。

没入型ゲームプラットフォームを開発するPortalOne(ポータルワン)は、自らを「あらゆる意味でハイブリッド」と表現しており、モバイルやコンソール、VRヘッドセットなどさまざまなデバイスで動作するように設計されたゲームショーやトークショーの形態をミックスしたゲームを開発している。オスロを拠点とし、ロサンゼルスでも活動を広げている同スタートアップは、今回調達した6000万ドル(約69億円)という資金を使い、レトロな「アーケード」を舞台にさまざまなゲームを楽しむことができる「PortalOne Arcade」の初となる一般販売に向けてプラットフォームと運用の構築を進めていく予定だ。

PortalOne Arcadeは2021年からクローズドベータ版を実施しており、試してみたいゲーマーのためのサインアップリストも用意しているようだが、すでに同社の動向にはあらゆるビッグネームからの熱い視線が注がれている。

シリーズAとなる今回のラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)がリードし、Scooter Braun(スクーター・ブラウン)氏のTQ Ventures(TQベンチャーズ)、Temasek(テマセク)、Avenir Growth(アベニール・グロース)、Founders Fund(ファウンダーズファンド)、Talis Capital(タリス・キャピタル)、Connect Ventures(コネクト・ベンチャーズ)、Animoca Brands(アニモカブランズ)、Access industries(アクセス・インダストリーズ)、Coatue Management(コートゥー・マネージメント)などに加えて「多くの著名なエンジェル投資家」も参加しているという。PortalOneが前回1500万ドル(約17億3000万円)のシードラウンドを実施したのは約8カ月前のこと。当時もその規模と支援者の顔ぶれで注目されていたが、その中にはゲーム業界の象徴的存在であるAtari(アタリ)も含まれており、同社はPortalOneと協力して、同社のブランドやIPの一部をArcadeのローンチに加えようと取り組んでいる。

PortalOneを弟のStig Olav Kasin(スティグ・オラフ・カシン)氏と共同で設立したCEOのBård Anders Kasin(ボード・アンダース・カシン)氏はインタビューの中で、PortalOne Arcadeのリリースは2022年の後半を予定しているが、クローズドベータ版ではすでに約200のショーを制作したと伝えている。最先端のゲームデザイン、ライブ放送、インタラクティブ機能、そしてビデオの撮影と処理をすべてクラウド上で行う低コストのアプローチを組み合わせた技術が拡張可能である、という同社の考えがこれで証明されたのではと同氏は話している。

「複雑な要素が絡み合っているため、これはかなりの数だと思います」。

スティグ・オラフ・カシン氏は現在LAに拠点を置き同社のスタジオを建てている最中だが、今後は世界各地の他の都市にもスタジオを設置していく予定だという。

PortalOneの事業はこれ以上ないタイミングで展開されている。

まず第一に、他のストリーミングエンターテインメントと同様、パンデミック渦中、家に閉じこもっていた多くの消費者にとってゲームは救世主となっていた。そのためゲームへの興味や関心が記録的なレベルに達し、その結果この分野に多くの新規参入者が現れた(Netflixのような他のエンターテインメント分野からの参入もある)。

その結果、同カテゴリーは現在テック系スタートアップの中で最もホットなカテゴリーとなっており、投資家たちはこの分野で最も有望と思われるプレイヤーに資金を投入しようと必死になっている。この数週間だけでもYahaha(ヤハハ)が5000万ドル(約57億6000万円)、Spyke(スパイク)が5500万ドル(約63億4000万円)を調達したと発表しているが、どちらもまだ実際には何もローンチしてはいない(両社ともクローズドベータやその他のパイロットプロジェクトは行っている。この分野ではそれ自体が高価な取り組みなのである)。一方、まだ設立間もなくも実績のあるDream Games(ドリームゲームズ)というスタートアップは、2022年1月初めに発表されたラウンドを経て27億5000万ドル(約3168億4000万円)の評価額に達している。

第二に、PortalOneは時代の流れにぴったりはまっているのである。「メタバース」は今最もホットな言葉の1つとなっており、乱用されて意味をなさなくなる危険性もはらんではいるものの(すでにそうなっている?)、現在のところこの新領域にどう適合させるかを検討している大手企業や中小企業から多くの関心が寄せられている。

PortalOneはまるでカスタムメイドで作られたかのように、メタバースの隙間を埋めているのである。メタバースの先駆けとなったコンセプトであるVRやARには、魅力的なコンテンツが決定的に不足しており、またハードウェア面などのハードルも高くなっている。PortalOneは「ハイブリッド」をキーワードに、ユーザーの手元にあるあらゆるプラットフォームで利用できる最高にフレキシブルな製品として自らを位置づけている。

また「リーンバック・エンターテインメント(リラックスして観る番組などのエンターテインメント)」と「夢中になれるゲームプレイ」の両方に焦点を当て、馴染みのあるゲームブランドとまったく新しいタイトルをともに提供することで、さまざまな層、さまざまなユーザー、さらにはスクリーンに向かうときの消費者のさまざまな心境にアピールするのである。

ボード・アンダース・カシン氏によると、同社はプラットフォームを運営する企業からコンソール大手、コンテンツを提供する企業、そしてそれらを実現する技術を開発する企業まで、ゲームやソーシャルのエコシステムに関わる幅広い企業と話をしているという。しかし少なくとも現時点では同社のゲームで遊べる独自のウォールドガーデン「Arcade」の構築に注力しており、たとえPortalOneが誰かのメタバース(より平凡に言えばサードパーティのコンソール)で使える体験を作ったとしても、自社の「メタバース」世界にゲーマーを呼び込むことを目的とし続けるという。

その理由は、PortalOneがこれまでにどうプラットフォームを構築してきたかという点にある。

「初期段階で我々が解決した主要な課題の1つは、規模をいかにして拡大するかということでした。モジュール式の効率的なプラットフォームでこれだけの量のコンテンツを制作することができるというのは、コスト効率の面で画期的なことです。当社のハイブリッドゲーム制作は、業界標準よりもはるかに低コストで実現されています」とボード・アンダース・カシン氏は説明する。ビデオやプレイの取り込み方だけでなく、PortalOneがさまざまなゲームの構成要素を再利用する方法にもモジュール式のアプローチが使われているという(コンポーネントはすべてクラウド上にある)。「これが当社の秘密のレシピなのです」。

そしてこのレシピは大衆にも気に入られるだろうと投資家たちは目論んでいる。

Tiger GlobalのパートナーであるEvan Feinberg(エバン・ファインバーグ)氏は声明の中で「我々は、PortalOneがゲームとエンターテインメントの間で革新的な体験を構築していると感じています。ビジネスを構築し、成長させていくカシン兄弟と才能あるチームを支援できることを楽しみにしています」と伝えている。

「PortalOneは最も人気のあるエンターテインメントを1つのシームレスな体験に集約するプラットフォームを構築しており、これはあらゆる分野のパフォーマーにアピールできるものです。これこそが、無限のコンテンツの可能性を秘めた、没入型ゲームの世界における次なる場所なのでしょう」とスクーター・ブラウン氏は話している。

画像クレジット:PortalOne

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

Republicのメタバース不動産部門が分離独立、Everyrealmにリブランド

2021年にメタバースプラットフォームの上位4社で5億ドル(約580億円)以上の不動産が売却されたことがデータで明らかになっている。DecentralandやSandboxのような仮想世界の土地の区画に権利を主張するために集まっている多くの投資家の中には、従来の不動産会社が含まれている。メタバースブームにおいて、どのプラットフォームやユースケースが勝利を収めるのか、重要な疑問が残るが、1つはっきりしていることは、メタバースに資本が急速に流入しており、いわば「非現実的な不動産」も例外ではない、ということだ。

代替資産クラウドファンディングプラットフォームのRepublic(リパブリック)は、Janine Yorio(ジャニン・ヨリオ)氏が2020年6月から率いるRepublic Realm部門を通じて、メタバース不動産物件への投資を積極的に行ってきた。そして現在、ヨリオ氏はRepublic Realmを独立させ、Everyrealm(エブリリアルム)という私企業にしたが、Republicは少数株主として残るとヨリオ氏はTechCrunchとのインタビューで述べた。

関連記事:デジタル証券の第二取引市場を目指す投資プラットフォームRepublicが171億円超を追加調達

Everyrealmは「メタバースのエコシステム全体へのゲートウェイ」になることを望んでいるという。同社は25の異なるメタバースに投資しており、現在3000以上のNFT(非代替性トークン)を所有しているとヨリオ氏は話した。

「当初はメタバースに投資していましたが、今ではそれ以上のことをするようになりました。自社をメタバースコンテンツの開発者だと考えていて、ただ受動的に投資して他の人が何かを作るのをじっと待っているわけではありません」と同氏は話す。例えば、2週間前にDecentralandで小売店のコンセプトを立ち上げたが、これは他のメタバースプラットフォームにも拡大する予定だという。実際、この店舗では1万点のバーチャルアイテムが1時間で売り切れたと同氏は付け加えた。

Everyrealmはまた、Somnium SpaceメタバースでRealm Academyというバーチャルキャンパスを運営しており、ユーザーはオンラインコースを通じてWeb3のコンセプトについて多くを学ぶことができる。同氏によると、初回のクラスには1000ドル(約11万6000円)を支払った生徒500人が参加しているとのことだ。

ヨリオ氏は、このような例は、ユーザーがメタバースでの体験に喜んでお金を払うことを証明していると話す。また、同氏はEveryrealmが販売した資産がOpenSeaのようなセカンダリーマーケットのプラットフォームでどのように評価されているかも牽引力の指標として見ている。

メタバースにおけるコンテンツ開発は、そのインタラクティブかつ無限の性質から「ほとんどの場合、ビデオゲームよりもさらに複雑」だと、ヨリオ氏は指摘する。

「これらのプラットフォームがスタートし、成熟するのを待つ間、我々はオンラインコミュニティを構築し、メタバースとは何か、またメタバースでどのように仕事を得ることができるか人々を教育し、彼らが実際に構築者になれるようにしたいのです。というのも、 Web3はコンテンツクリエイターがコンテンツ消費者になることが目的だからです」。

Everyrealmは独立企業となり、成長資金として6000万ドル(約69億円)を調達した。同社によると、これは女性のCEOが率いる企業のシリーズA調達としては最大規模だという。Andreessen HorowitのArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏が新規投資家としてこのラウンドをリードし、ベンチャー企業のCoinbase Ventures、Lightspeed、Dapper Labs、さらにParis Hilton(パリス・ヒルトン)氏、Lil Baby(リル・ベイビー)氏、Nas(ナス)氏といった有名エンジェル投資家を含む新旧の投資家が参加した。

画像クレジット:Vadmary / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

ガートナー「2026年までに25%の人々が1日1時間以上をメタバースで過ごす」

ガートナー「2026年までに25%の人々が1日1時間以上をメタバースで過ごす」

ガートナージャパン(Gartner)は2月9日、メタバースに関する展望を発表した。2026年までに、25%の人々は、仕事、ショッピング、教育、SNSやエンターテインメントなどで、1日1時間以上をメタバースで過ごすようになるとGartnerは予測している。メタバースのハイプ(過剰な期待)は、デジタル・ビジネスを拡張する新たなビジネスモデルに移行するきっかけになるという。

Gartnerは、メタバースについて、仮想的に拡張された物理的現実とデジタル化された現実の融合によって創り出される、集合的な仮想共有空間と定義。メタバースは、継続的な没入感(イマーシブ・エクスペリエンス)を提供し、タブレットからヘッドマウントディスプレイまで、デバイスに依存せず、様々なデバイスからアクセス可能としている。

同社アナリストのマーティ・レズニック氏は、「ベンダーは、ユーザーがデジタル化された世界で生活を体験するための空間やサービスをすでに構築している。仮想クラスルームへの出席から、デジタル空間上の土地の購入、仮想住宅の建築に至るまで、これらの活動は現在、別々の環境で行われている。将来的には、様々なテクノロジーやエクスペリエンスにまたがる単一の環境、すなわちメタバースの中で行われるようになる」としている。

デジタル通貨とNFT

また、メタバースは単一のベンダーが所有するものではなく、デジタル通貨とNFT(非代替性トークン)によって実現される、新たなデジタル・エコノミーになると予想。メタバースは、消費者が日々接するあらゆるビジネスに影響を与えるという。

2026年までに、世界の組織の30%がメタバースに対応した製品やサービスを持つ

さらに、メタバースは、働き方にも影響を及ぼすと予測。企業は、仮想オフィスに没入型ワークスペース(没入型テクノロジを利用した仮想オフィス)環境を導入することで、従業員により良いエンゲージメント、コラボレーション、つながりの機会を提供できるとしている。また、メタバースがフレームワークを提供するため、ビジネスの実行においても独自のインフラを構築する必要はない。

さらに、この1年半の間に人気を得た仮想イベントは、今後従来以上にコラボレーティブで没入感のあるつながりの機会やワークショップを提供するという。

企業は、デジタル・ビジネスからメタバース・ビジネスに移行することで、自社のビジネスモデルを、これまでとはまったく違うやり方で拡大・強化できるようになる。2026年までに、世界の組織の30%がメタバースに対応した製品やサービスを持つようになるだろう。

ただし多額の投資は時期尚早、学習・検証・準備するために時間を割くべき

ただし、メタバース・テクノロジーの採用は始まったばかりで部分的であるため、Garnterは、特定のメタバースに対する多額の投資については注意を促している。レズニック氏は、「どの投資が長期的に有効なのか判断するのは時期尚早だ。プロダクト・マネージャーは、競争力を高めるためにメタバースを学習・検証・準備するために時間を割くべき」としている。

メガトレンドの1つ

同社アナリスト亦賀忠明氏は、「メタバースは、従来型の仮想空間を『超えた』もの。リアルの物理空間とバーチャル仮想空間を融合した、フルデジタル化された環境を指す。『メタバースはアバターで参加する仮想空間である』というように単純に捉えるべきではない。

メタバースは、『これから』の話であるため、今すぐに成熟した完璧なメタバースが登場するわけではない。メタバースは将来に向けたビジョン。すべての企業は、メタバースを2030年、またそれ以降に訪れるであろう『New World』に向けた1つのメガトレンドと捉え、インターネット初期と同様これからの将来を展望し、可能性とリスクを洞察することが重要」としている。

同じくアナリストの針生恵理氏は、「メタバースは、デジタル・ワークプレースの議論と実践を新たなステージへとシフトするきっかけをもたらす。メタバースによって、企業は、VR・AR・MRといった単なるテクノロジー採用を超えた、新たなワークプレースを模索していくことになる」と話している。

画像クレジット:Giu Vicente on Unsplash

VRイベント「バーチャルマーケット」のHIKKYがシリーズA調達を70億円で完了、メディアドゥと提携し「メタバースと読書」追求

VRイベント「バーチャルマーケット」のHIKKYがシリーズA調達を70億円で完了、メディアドゥと提携し「メタバースでの読書」追求

「バーチャルリアリティマーケットイベントにおけるブースの最多数」としてギネス世界記録に認定された

世界最大級のVRイベント「バーチャルマーケット」をはじめVRサービスの開発ソリューションを提供するHIKKYは2月8日、シリーズAラウンドのセカンドクローズとして、第三者割当増資による5億円を調達したと発表した。引受先はメディアドゥ。シリーズAラウンドにおける調達総額は、2021年10月のNTTドコモを引受先としたファーストクローズの65億円を含め、70億円で完了したことになる。

またHIKKYとメディアドゥは、2022年1月18日に資本・業務提携を締結した。

メディアドゥは、2200社以上の出版社・150店以上の電子書店と取引があり、電子書籍流通において国内トップシェアという。「本との出会い方」や「読書の仕方」について、両社はメタバース空間を通し新たな幅広い体験に昇華させるとしている。同メタバース空間では、ユーザー同士やクリエイターとファンなどのコミュニティを創出し、ファンアートなどを介した交流やIPコラボの可能性を拡大予定。また、メディアドゥグループが取り組む世界最大級のアニメ・マンガコミュニティ&データベース「MyAnimeList」(マイアニメリスト)を通じたシナジーも追求する。

調達した資金についてHIKKYは、スマートフォン・PCブラウザー上で動くVRコンテンツ自社開発エンジン「Vket Cloud」(ブイケットクラウド)を中心としたVR関連サービスの開発体制の強化、同エンジンを用いたオープンメタバースの開発・運営、バーチャルマーケットやVket Cloudを含むVRサービス事業の国内外への拡大、新規事業であるVRコンサルティング業務、組織基盤強化などにあてる方針。

資金調達の目的と今後の展開

  • オープンメタバースの開発、およびサービスの提供
  • Vket Cloudエンジンの開発体制の強化
  • バーチャルマーケット事業の開発体制の強化
  • 海外展開を含めた事業拡大
  • 新規事業であるVRコンサルティング業務
  • 人材採用強化

HIKKYが掲げるオープンメタバースとは、「プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境」「オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション」などを実現するサービスという。

HIKKYが掲げるオープンメタバース

  • プラットフォームの壁を超えて人々が行き交う環境
  • オープンワールドにおける大人数での体験やコミュニケーション
  • 独自ドメインでのオリジナルのコンテンツ展開
  • デバイスフリー&アプリレスでの簡単なアクセス
  • リアルとバーチャルを融合した体験の提供

今後HIKKYは、バーチャルマーケット事業によってつながった数多くのクリエイター、パートナー企業の力を借りながら、Vket Cloudを用いたオープンメタバースの開発・サービス展開を行う。また、オープンなメタバースにおいて、これまでの社会では評価されることのなかったあらゆる人の創造性やコミュニケーションが新しい価値として認められ、新たなイノベーションを生み出すべく様々なサービスを提供するとしている。

Meta、ハラスメント対策としてVR空間Horizon Worldsなどに「境界線」機能を追加

Metaは、バーチャルリアリティ空間「Horizon Worlds」と「Horizon Venues」でのハラスメント対策として「パーソナルバウンダリー(境界線)」という機能を展開する。各アバターには半径2フィート(約61cm)のバブルがあり、互いに4フィート(約122cm)前後まで近づくことができなくなる。

画像クレジット:Meta

もし誰かがあなたのパーソナルスペースに入ろうとしたら、近づきすぎた時点でその人の前進は止まる。しかし、MetaはThe Vergeに対して、アバターが互いの間を行き来することは可能であり、ユーザーが隅や出入り口に閉じ込められることはないだろうと語っっている。

このパーソナルバウンダリー機能は、ユーザーが無効にすることはできないもので、Metaがハラスメント対策として以前追加した、他の人のパーソナルペースに入るとアバターの手が消えるという機能をベースにしている。Metaが12月にHorizon Worldsを米国とカナダの18歳以上の全員に公開する直前、ベータテスターが自分のアバターが見知らぬ人に体を触られたと述べていた

いずれは、パーソナルバウンダリーの半径を変更できるようになるかもしれない。ユーザーは他のアバターとハイタッチや拳を突き合わせることはできますが、そのためには腕を伸ばす必要がある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Meta

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(文:Kris Holt、翻訳:Katsuyuki Yasui)

500以上のモバイルアプリが「メタバース」というバズワードを使って新規ユーザーにアピール

真の「metaverse(メタバース)」はまだ存在しないかもしれないが、そのことは、モバイルアプリストアで自社のアプリやゲームを宣伝するために、マーケティング担当者がこのバズワードを使うことを止めはしない。Sensor Tower(センサー・タワー)が米国時間2月3日に発表した新しいデータによると、アプリのタイトルや説明文に「metaverse」という言葉を含むモバイルアプリは現在552個あり、このウェブの次の進化に対する消費者の関心を引きつけることを期待しているようだ。また、その多くがここ数カ月の間に追加されたものであると同社は指摘している。

App StoreとGoogle Playのグローバルアプリランキングのアプリ全体で、2021年11月から2022年1月の間に、合計86のアプリがタイトルまたは説明文に「metaverse」への言及を追加したことが、Sensor Towerのデータで示されている。

画像クレジット:Sensor Tower

この時期は、Facebook(フェイスブック)が企業名を「Meta(メタ)」に変更し、今後10年にわたって「metaverse」技術に多額の投資を行う計画を発表した後にあたる。MetaとなったFacebookは、metaverseをすでに構築したとは主張していないが、この言葉はすぐに、人々が仮想の自分自身として相互に作用する、ほぼすべての没入型オンライン環境を表すものとして、よりカジュアルに使われるようになった。スタートアップは、自分たちをmetaverse企業であると表現し始めた。ゲームプラットフォームRoblox(ロブロックス)はmetaverseの先駆けとして注目された。ソーシャルクリプトプラットフォーム(実際にはMMORPGに金融要素を加えたもの)もmetaverseと呼ばれ、metaverse用不動産が殺到したことなどがあった。

例えば、友人やコネクション、バーチャルな「もの」がすべてあなたと一緒に移動するデジタルワールド間の移動を可能にするために構築される必要がある新しい業界標準といったmetaverseが存在するための実際の技術的要件には、マーケティング担当者はあまり関心がなかったようだ。

Facebookが10月28日にmetaverseの取り組みを発表した後「metaverse」という言葉を参照したアプリの数は、11月までに前月比66%増となった。11月末時点で、この単語を含むように更新されたアプリは29個で、10月の11個のアプリの2倍以上になっている。

Sensor Towerはまた、どのようなアプリがmetaverseのトレンドにのっているのかを分析した。その結果、多くのアプリが「metaverse」という言葉とともに、例えば「Crypto」「NFTs」「AR」「VR」など、他の人気のある技術用語も参照していることがわかった。

画像クレジット:Sensor Tower

このうち「metaverse」と並んでよく目にするのが「Crypto」で、23%のアプリ(合計144アプリ)がこの言葉を挙げている。Web3のクリプトコミュニティが最近、誇大広告に大きく依存していることを考えると、これは驚くべきことではないし、それが存在する前に何かを「metaverse」と呼ぶことは、確かに誇大広告の定義そのものだ。「NFTs」は2番目に人気のある用語で、調査対象グループの18%、つまり合計118のアプリに登場した。「AR」と「VR」という用語は「metaverse」アプリの11%と9%にそれぞれ見受けられた。

画像クレジット:Sensor Tower

また「metaverse」という言葉は、ゲームや暗号金融アプリだけでなく、意外にもさまざまなアプリで使われていた。

しかし、モバイルゲームのパブリッシャーがこのキーワードを率先して採用し、現在ゲームカテゴリの107のアプリがこの用語を参照しており、それは調査対象のアプリの19%に相当する。この用語が登場する2番目に大きなカテゴリは「金融」で「metaverse」アプリの101個を占めた。以下、ソーシャル(70アプリ)、エンターテインメント(57アプリ)、ブック(37アプリ)、ライフスタイル(33アプリ)、ツール(26アプリ)、ビジネス(25アプリ)、アート&デザイン(13アプリ)、教育(11アプリ)の順となった。

これらのアプリに「metaverse」という言葉が追加されたことが、ユーザーの取り込みに役立っているのかどうかについては、まだあまり明らかになっていない。ユーザーがアプリストアで「metaverse」という言葉を検索することを狙って採用されたことは明らかだが、この市場で成功したアプリは、そうでないアプリよりも優れたユーザー体験を提供しているに過ぎないのだろう。

画像クレジット:BlackSalmon / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

フェイスブックとSpotifyが時間外取引で叩かれている理由

もしあなたが株を持っているなら、悪いニュースだが、おそらくあなたは今損をした。

Facebook(フェイスブック)として知られるソーシャルネットワークの巨人Meta(メタ)の株価が、時間外取引で20%以上下落している。また、音楽ストリーミングとポッドキャスティングの中堅企業であるSpotify(スポティファイ)は、米国時間2月2日の取引終了後、15%以上下落している。この2つの急落は、同じく株価を下げたPayPal(ペイパル)の迫力にかける決算と、Alphabet(アルファベット)のかなり良い決算を受けてのものだ。

Alphabetの第4四半期の好業績は、中央値というより異常値に見え始めている。

Meta、そしてShopifyについて、何が起こっているのかを解析してみよう。

Metaの高価な四半期とたるんだガイダンス

第4四半期、Facebookの売上高は336億7000万ドル(約3兆8500億円)、営業利益は125億9000万ドル(約1兆4400億円)、純利益は102億9000万ドル(約1兆1700億円)だった。また、1株当たり利益は3.67ドル(約420円)だった。

これらの数字は、アナリストの予想と比較してどうだったのだろうか?Yahoo Financeの平均値では、アナリストは、売上高334億1000万ドル(約3兆8200億円)、1株当たり利益3.84ドル(約440円)と予想していた。つまり、Facebookは、1株あたりの利益では届かなかったものの、堅実なトップラインを達成したことになる。

しかし、この利益未達は、単に一株当たり数セントという話ではなく、同社にとってより大きな問題だ。その点を明らかにするために、前年比の比較をしてみよう。2020年第4四半期のMetaの営業利益は127億6000万ドル(約1兆4600億円)で、同期間の売上高の約46%であった。後者の数字は、直近の四半期ではわずか37%に落ち込んでいる。これは、腹に効く、営業利益率の劇的な低下だ。

Metaの収益性を落とすコスト上昇の内部には、同社のVR、いわゆるメタバースへの投資がある。

Facebookが「拡張現実と仮想現実関連の消費者向けハードウェア、ソフトウェア、コンテンツ」を含むとするReality Labs(リアリティ・ラボ)は、直近の四半期に8億7700万ドル(約1000億円)の収益をもたらし、2020年第4四半期の7億1700万ドル(約821億5200万円)から増加した。しかしながら、Reality Labsの2021年第4四半期の営業損失は33億ドル(約3781億円)で、損失は2020年第4四半期の21億ドル(約2400億円)を大きく上回った。

要するに、Metaのメタバース推進は現在のところ、そのコアビジネスが長年にわたって証明してきたような金鉱ではないということだ。そして、その簡単に利益が出ない事実が、会社全体の業績に悪影響を及ぼしている。メタバースは、同社が明らかに期待している「シッツ・ゴールド・ア・バース(バカみたいに儲かるメタバース)」には程遠い。

先を見れば、Metaにとって事態はさらに悪くなる。同社のCFOは「2022年第1四半期の総収入は270~290億ドル(約3兆〜約3兆3200億円)の範囲になる」と予想しており、これは3%から11%の成長に相当する。これは良くはない。アナリストはMetaの2022年第1四半期のトップラインを301億4000万ドル(約3兆4500億円)と予想していたので、同社のガイダンスはかなり惨めだ。

株価は下がった。

Spotifyのしこり

Joe Rogan(ジョー・ローガン)の件はさておき、Spotifyは今週もかなり厳しい状況にある。通常取引で5.75%下落した後、時間外取引で2桁の割合で値を下げている。

なぜか?同社は実際、利益予想を上回ることができ、1株当たりの損失は市場の予想より50%ほど少なかった。そして、26億9000万ユーロ(約3400億円)の売上は、2021年第4四半期の予想を数段上回った。

それなのに、叩き売られている。なぜか?Metaと同様、問題なのは未来についてだ。

Spotifyは2021年末の月間アクティブユーザー数4億600万人から、2022年第1四半期には4億1800万人にスケールアップすると予想している。そして、同じ3カ月間に、有料ユーザー数を1億8000万人から1億8300万人に増やすと予想している。

この数字はどれくらいずれているのだろうか。SeekingAlphaによると、投資家は2022年第1四半期の有料ユーザー数を1億8530万人、月間アクティブユーザー数を4億2200万人と予想していたそうです。つまり、Spotifyは前四半期はなんとかうまくいったが、投資家は今後の業績について興奮するには程遠いというわけだ。

ここ数週間で、私が記憶している以上に、投資家の逆鱗に触れるテック企業が増えている。より詳細なメタ分析が必要だが、テック企業に対する風向きの変化は、SaaS企業や最近のIPO企業にだけ起きていることではないようだ。多くの人がスティックを持っているのだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Akihito Mizukoshi)

チャットやビデオ会議の代わりにアバターを採用、孤独を感じない快適なデジタルワークプレイスを提供する「Pesto」

Pesto’の社員アバター(画像クレジット:Pesto)

私たちの仕事の世界がメタバースに移行しつつある中、以前はPragli(プラグリ)として知られていたPesto(ペスト)は、リモートワークを少しでも孤独を軽減しようと、アバターアプローチで参入している。

「Zoom疲れ」は、2019年に会社の構想を練り始め、1年後に正式発表したDoug Safreno(ダグ・サフレノ)氏と共同創業者のVivek Nair(ヴィヴェク・ネア)氏にとってリアルなものだった。彼らのアイデアは、従業員が職場でアバターをカスタマイズできるデジタルネイティブなヒューマンワークプレイスで、アバターがビデオの代わりとなり、疲労感が少なく、よりパーソナルになるというものだ、CEOのサフレノ氏はメールで説明した。

「workplace(ワークプレイス)」には、社員が作ったさまざまな部屋があり、スクリーンシェア、ビデオ、ゲーム、または空間的な機能を含むオーディオファーストのコラボレーションのための組織的なスペースとなる。

「私たちがPestoを設立したのは、テキストチャットとビデオ会議の間で行き詰まったからです」と、サフレノ氏は付け加えた。「テクストチャットは、やりとりが多く、時間がかかるのでイライラしますし、また、ビデオ会議は堅苦しく、スケジュールを組むのが大変でした。ビデオ会議は、やる気をなくさせるようで、楽しいものではないです。Pestoは、より人間らしいリモートワークの方法なのです」。

2年近く経った今、Enhatch(エンハッチ)、Sortify.tm(ソルティファイ.tm)、HiHello(ハイヘロー)、FullStory(フルストーリー)、aiPass(aiパス)、Tidal Migrations(タイダルマイグレーション)といった企業の1万以上のチームと連携し、ユーザーは1億分以上の音声とビデオを記録しており、同社の初期の仕事は成果を上げている。

米国時間2月1日、同社は、Headline(ヘッドライン)が主導し、K9 Ventures(K9ベンチャーズ)、Rucker Park Capital(ラッカーパークキャピタル)、NextView Ventures(ネクストヴューベンチャーズ)、Collaborative Fund(コラボレーティブファンド)、Correlation Ventures(コーリレーションベンチャーズ)、Garrett Lord(ギャレット・ロード)、Nikil Viswanathan(ニキル・ヴィスワナサン)、Joe Lau(ジョー・ラウ)が参加する500万ドル(約5億7300万円)のシード資金調達を発表した。

サフレノ氏は、世界は「産業革命以来、人々の働き方に最大の変化が起きています」と、語る。オフィスの稼働率が20%以下にとどまっている中、ほとんどの社員が対面式の仕事に戻る可能性は低いにもかかわらず、オフィスで働くために作られたツールを使わざるを得なくなっていると彼は考えている。これに対し、Pestoは、対面よりもデジタルで共同作業や交流を行う未来の仕事に適合するように設計されていると、彼は付け加えた。

利益率や売上高は明らかにしなかったが、1年前は創業者2人だけだったのが、今では従業員数は8人に増えたという。

今回の資金調達により、ペストは総額600万ドル(約6億8800万円)の投資を行うことになる。この資金は、製品設計やエンジニアリングチームの雇用、製品開発、特に職場のメタバース体験を深める機能の構築し、より複雑なコラボレーションニーズを持つ大企業をターゲットにした開発に使われる予定だ。

Pestoは現在、無料で利用できるが、2022年後半には有料ティアを導入する予定だ。

HeadlineのパートナーであるJett Fein(ジェット・ファイン)氏は「こだわりのあるユーザーベース」を持つ企業をよく探しており、Pestoにそれを見出した。

リモートワークがなくなるとは思えないので「より本格的でコラボレーション可能なツール」が求められているのだと、彼は付け加えた。Pestoは、多くの企業や従業員が抱えている、ビデオ会議疲れやコラボレーションスペースの不足といった問題を解決してくれると確信しているからだ。

このように、同社のメタバース機能は「自然で自由な人間同士の交流」を職場に取り戻すことができる点で、際立っていると感じており、今後このような従業員間の交流に投資する企業が増えていくことが予想される。

「Doug(ダグ)、Vivek(ヴィヴェック)、Daniel Liem(ダニエル・リエム)氏(創業者 / 製品責任者)の3人は、まさに未来の仕事のために作られたプラットフォームを作り上げました」とファイン氏はいう。「過去数年間、私たちは分散型チームで仕事をすることの利点と落とし穴を目の当たりにしてきました。自由と柔軟性を手に入れた反面、職場でよく見られる仲間意識や予定外の会話は失われてしまいました。Pestoはこうした課題に対する答えであり、遠隔地でのコラボレーションや共同作業が、直接会っているときと同じかそれ以上に効果的に感じられるような未来を創造するものです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:Yuta Kaminishi)

コインチェックとThe Sandboxがメタバース上の都市「Oasis TOKYO」の開発プロジェクト開始、2022年春に一般公開予定

コインチェックとThe Sandboxがメタバース上の都市「Oasis TOKYO」の開発プロジェクト開始、2022年春に一般公開予定

暗号資産取引所・販売所などを手がけるコインチェックと、ゲーム分野においてメタバースの活用を推進するThe Sandboxは1月31日、コインチェックが保有するThe Sandbox上の土地「LAND」において、2035年の近未来都市「Oasis TOKYO」を制作するプロジェクトを開始したと発表した。この取り組みは、メタバース上での活動を体験する機会を提供することや、The Sandbox上でのコミュニティ活動の活性化を目的とするもので、2022年春に一般公開予定という。

The Sandboxは、メタバースと呼ばれる仮想空間の中で、ユーザーがボクセルアートのアバターや建物などのアイテムやゲームを作成して遊ぶ「ユーザー主導のゲームメイキングプラットフォーム」。

今回The Sandbox上に建設するOasis TOKYOは、「2035年の近未来都市」をコンセプトにしたメタバース×NFTのコミュニティ拠点となるという。日本を連想させる象徴的な街並みの中に美術館やステージなど様々なイベント施設を設置し、様々な分野のアーティストとファンとの交流や企業のコミュニティ育成の場として活用してもらうことを目指している。

コインチェックとThe Sandboxは2020年9月にパートナーシップを締結。NFTマーケットプレイス「Coincheck NFT(β版)」でのLANDの販売など、日本市場におけるThe Sandboxの認知拡大を推進してきた。2021年後半より、メタバースやWeb3に注目が集まり、SNSやその上に成り立っていたコミュニティの形も変化するとされる中で、両社で連携し今回の取り組みを行うことで、近い将来訪れるであろうメタバースの世界を体験できるきっかけを創出したいとしている。

バーチャル空間プラットフォームXR CLOUDを手がけるmonoAIが7.5億円調達、メタバース市場拡大見据え開発・事業強化

バーチャル空間プラットフォームXR CLOUDを手がけるmonoAIが7.5億円調達、メタバース市場拡大見据え開発・事業強化

monoAI technology(monoAI)は1月31日、総額7億5000万円の資金調達が完了したと発表した。引受先は、Sony Innovation Fund、GMCM VENTURES PTE. LTD.、きらぼしキャピタル夢・はばたき1号投資事業有限責任組合、アドウェイズ、イグニス、個人投資家。累計調達額は15億2500万円となった。メタバース市場のさらなる拡大を見据え、monoAI独自技術によるバーチャル空間プラットフォーム「XR CLOUD」(エックスアールクラウド。Android版iOS版)の開発と事業強化を推進する。

monoAIのXR CLOUDは、標準時には1000人の同時多接続サービスを提供、企業ニーズに応じて順次同時接続10万人規模まで拡大提供可能というプラットフォーム。iOS・Android・Windows・MacOSに対応し、マルチデバイス環境でバーチャルイベントが展開できる。

2013年1月設立のmonoAIは、「先進技術で、エンタメと社会の未来を創造する。」を理念とし、ゲームの技術をベースにエンターテインメントから仮想オフィス、バーチャル展示会といったソリューションまで、幅広いコンテンツを提供。通信・AI・ゲームエンジンを駆使したサービスで、バーチャルとリアルのパフォーマンスを最適化し、社会に貢献するとしている。

また、独自開発のXR開発プラットフォームとテンプレートを活用することで、顧客の依頼から最短1週間で個別の企業ニーズにカスタマイズしたメタバース上で展開するイベントを企画・制作・開発および運営サービスを提供可能。顧客は、XRやITに関する技術的な知識を特に必要としないとせず、就職セミナー、新商品発表会、自社開催の会議・カンファレンスなどの用途で活用されているという。

なお同社は、阪急阪神ホールディングスが3月12~13日に開催する「JM梅田ミュージックフェス(β)」において、XR CLOUDを提供。大阪・梅田の街をバーチャル3D空間に忠実に再現したJM梅田(Japan Multiverse 梅田)で実施されるオンライン音楽祭というもので、XR CLOUDおよびメタバース領域のノウハウで協力している。

ワーナーがアニモカブランズ傘下のメタバースThe Sandboxで「音楽テーマパーク」構築へ、ライブや新しい音楽体験を提供

ワーナーがアニモカブランズ傘下のメタバースThe Sandbox内で「音楽テーマパーク」を構築へ、ライブや新しい音楽体験を提供

The Sandbox

「メタバース」はその概念ばかりが話題にのぼる一方、実態がなかなかはっきりと見えてこないのがもどかしいところですが、メタバースを具現化した成功例のひとつといえるのがゲーム『Fortnite』内で何度か開催されている音楽イベントの類いです。

そして、ワーナーミュージックグループ(WMG)は、これに触発されたかのような音楽パフォーマンスステージを、香港拠点の「Animoca Brands」(アニモカブランズ)傘下、有力なメタバースプラットフォームのひとつである『The Sandbox』との提携により構築しようとしています。

3大メジャー音楽レーベルのひとつであるWMGは、エド・シーラン、Green Day、デュア・リパなど有力なアーティスト多数と契約しており、それらの一部が、今後The Sandbox内のバーチャルステージでコンサートを開催し、ユーザーがそれを体験できるようにしていく予定とのこと。また、The Sandboxは熱心な音楽ファン向けにプラットフォーム内のWMGセクションの仮想不動産を販売する予定もあるとしました。

The Sandboxはすでにスヌープ・ドッグやDeadmau5、スティーブ・アオキらと独自に契約しているものの、メジャー音楽レーベルとの提携は当然ながら過去最大規模のコンテンツ資産がこのプラットフォームで活用されるようになることを意味し、膨大な数のアーティストがその中でバーチャルなイベントを定期的に開催するとなれば、ファンには無視できない新しい音楽メディアの形になるかもしれません。

当然、ワーナーだけでなく、ライバルのユニバーサルミュージックグループなどもレーベル所属アーティスト公式のアバターを公開するなどして、メタバースへの進出を図ろうとしています。

ワーナーのメタバース内テーマパークがユーザーへのサービスを開始する時期はまだ示されていませんが、それが誰もが驚く次世代音楽体験の場になるのか、子供騙しのバーチャルハリボテに閑古鳥が鳴く結果に終わるのか、見守っていきたいところです。

(Source:Warner Music GroupEngadget日本版より転載)

ノーコードの没入型ゲーム制作プラットフォーム「Yahaha Studios」が2022年ローンチに先駆けて約57.3億円調達

Roblox(ロブロックス)をはじめ、Overwolf(オーバーウルフ)などのようなユーザー生成ゲーミング体験の成功は、ゲームを作るコンセプトを大衆化し、それをメインストリームに導いた。そして今、Unity(ユニティ)、Microsoft(マイクロソフト)、EA(エレクトロニック・アーツ)のベテランたちが立ち上げたスタートアップが、クリエイターに没入型ゲーム制作の場を提供する新しいプラットフォームと、同じ考えを持つ人々のための関連コミュニティの構築に向けて、2022年中のローンチの準備を進めている。これに先立ち、同社は5000万ドル(約57億3000万円)の資金調達を明らかにしている。

フィンランドのエスポーに本拠を置き、研究開発の拠点を上海に構えるYahaha Studios(ヤハハ・スタジオ)は、まだ商用プロダクトをローンチしていない。しかしそれは、ノーコードの「ゲームのためのメタバース」として何を構築しているかを表している。そこでは人々がコミュニティに集まり、仮想と現実世界の要素を組み合わせたゲームを構築し、プレイすることができる。

同社が調達した5000万ドルは、明確にいうと新たな資金調達ではない。この資金は、約2年前になる2020年の6カ月間に、3回のラウンドを経て集められた。

同社によると、5Y Capital(五源資本)が「ラウンド1」を、HillHouse(高瓴)が「ラウンド2」を、Coatue(コーチュー)が「ラウンド3」を主導した。初期の投資家はその後のラウンドにも参加しており、ZhenFund(真格基金)、Bertelsmann Asia Investments(贝塔斯曼亚洲投资基金 )、Bilibili(ビリビリ、哔哩哔哩)、Xiaomi(シャオミ、小米科技)などが出資者に名を連ねている。TechCrunchが確認したところによると、Yahahaの評価額は3億ドル(約344億円)から5億ドル(約573億円)の範囲になる(「数億ドル(数百億円)」というのがTechCrunchが取材したときに使われたフレーズである)。

Yahaha Studiosのローンチはさらに数カ月先になるかもしれないが、その一方で、少数の初期ユーザーグループ(約220人)によるDiscord(ディスコード)コミュニティを粛々と運営してきた。プロダクトのアルファ版は2022年の第2四半期にローンチされることを同社は筆者に伝えている。広報担当者によると、これ以上の資金調達は予定していない。

「メタバース」という言葉はすぐに過度に使われるようになった。多くの企業が、拡張現実と仮想現実の技術を組み合わせて、まったく新しい種類のデジタル体験、ゲーミングやその他を作り出すことを約束し、この漠然とした空間への道を切り開いていると主張する。Yahahaはいくつかの理由から、群衆とは一線を画し、早くから投資家の注目を集めていたようである。

第1に同社の創業者たち、CEOのChris Zhu(クリス・ジュー)氏、COOのPengfei Zhang(ホウヒ・チャン)氏、CTOのHao Min(ハオ・ミン)氏の存在がある。3人はともにクロスプラットフォームゲームエンジンのUnityでエンジニアとして働いており、長年の経験を有している。

チャン氏はこの15年間フィンランドに住んでおり、そこで同社はスタートしているが、それはYahahaがエスポーを拠点とする唯一の理由ではない。Supercell(スーパーセル)のような企業もヘルシンキ郊外を起源としており、この地域には、チームを作り新しいゲーミングイノベーションを活用していく強力なエコシステムが備わっている。

YahahaのプラットフォームはUnityとのパートナーシップで構築されていることを同社は明らかにしている。その連携によって、より多数のクリエイターが参加し、より豊富なクロスプラットフォームゲームプレイ、コミュニティが生まれることになる。

第2に、Yahah自体の根底にあるコンセプトは、現在テック業界で人気のある2つのテーマ、ユーザー生成コンテンツとノーコード開発にフォーカスしている。UGCはこの数十年の間、オンラインエンターテインメントの一部として人気を博してきたが、TikTok(ティックトック)やInstagram(インスタグラム)のようなプラットフォームは「クリエイター」、すなわち自らが生成したコンテンツを中心に巨大なオーディエンスとビジネスを構築する人々への新たなフォーカスを生み出している。

Twitch(トゥイッチ)やDiscordなどのプラットフォームはゲームプレイヤーからセレブを作り出したが、クリエイターが実際のゲームを中心に巨大なコミュニティを構築するのを容易にするようなプラットフォームは、まだあまり存在しない(Robloxは部分的にこれに対処しているが、ソーシャルプラットフォームのようには感じられない)。これがYahahaが目指しているものであり、うまく機能すれば、非常に興味深いものにつながる可能性がある。

一方、プラットフォームを「ノーコード」のフレームワーク上に構築することは、より多くの人々がYahahaを利用する可能性を高めるのに役立つであろう。ノーコードのアプリケーションの多くはエンタープライズITの分野に置かれていたが(例えばCRMと会計ソフトの統合の容易な構築)、消費者向けのサービス、特にクリエイターコミュニティにサービスを提供するためのものが増えてきていることは興味深い。

「5000万ドルの投資の達成は、私たちにとって極めてエキサイティングなことです」とCEOのクリス・ジュー氏は声明で述べている。「メタバースが成長し続ける中、Yahaha Studiosは次世代エンターテインメントの先駆けとなる重要な役割を担っています。世界中のユーザーを仮想エンターテインメントでつなぐことで、Yahahaはゲーム開発者とゲーマーの双方に、独自のクリエイティブでソーシャルな体験を提供します。Yahahaを通じて私たちは、実績のある開発者から、初めてゲームを制作する開発者に至るまで、あらゆるレベルのクリエイターに力を与えます。誰もが仮想世界でクリエイターになることができるのです。私たちは2022年に本格的にローンチし、チームを成長させ、コンテンツ制作の未来に向けたビジョンの第一段階を実現できることを、心から楽しみにしています」。

画像クレジット:Yahaha Studios

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

NFTゲーム事業を展開するNFTARTSが1200万円のシード調達、2次元アイドルNFTメタバースゲームを開発

NFTを活用したゲーム事業を展開するNFTARTS(エヌエフティアーツ)は1月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資による合計1200万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はエンジェル投資家2名と事業会社。調達した資金は、NFTゲームの開発とマーケティングにあてる。

NFTARTSは、「アイドルコネクト」や人気VTuber「ウタゴエ放送部♪」などのコンテンツプロデューサー宮脇元康氏が、「NFTゲーム・メタバース」に特化したスタートアップ企業として2021年12月に設立。NFTを活用したクリエイター支援事業を行うことなどを目的としている。「アイドルインフィニティ(IDOL INFINITY)」(仮称)を開発中。またオリジナルIPとしてハイクオリティなNFTゲームをリリースしていく。

NFTARTSが手がけるNFTメタバースアイドルゲームは、プレイヤーがアイドル事務所のプロデューサーとなり、担当アイドルとトップを目指して活躍するというもの。NFTを活用した「Play to earn」ゲームとなる。

NFTゲーム事業を展開するNFTARTSが1200万円のシード調達、2次元アイドルNFTメタバースゲーム開発を加速

キャラクタービジュアル(一部)

NFTホルダーの特典例としては、ゲーム内に登場するアイドルキャラクターのボイス声優オーディションへの参加、NFTホルダーによる投票オーディションで選ばれるなどがある。NFTトークンホルダーは、アイドルプロデューサーとして新人声優発掘オーディションを体験できるという。また新人声優に対して、前述の仕組みにより新たな活躍の場とNFTを活用した1次・2次収益を提供し、継続的な活動支援を行うとしている。

同作品のロードマップとしては、NFTゲームからスタートし、アイドルが活躍するメタバースを目指し展開するという。3D CGによるアイドルがメタバース空間でライブ活動を行うなど、プレイヤーはリアリティーのあるプロデュース体験を楽しめるとしている。将来的にはアイドル特化メタバースの最高峰を目指すとのこと。

開発中のメタバース空間(3Dライブステージ)

開発中のメタバース空間(3Dライブステージ)

韓国NAVER Zがメタバースクリエイター向けの約115億円ファンドを設立

韓国のインターネット複合企業NAVER Group(ネイバーグループ)は、若いユーザーをターゲットにした最もホットなインターネットトレンドに乗り続けている。メッセージサービス大手のLINE人気の自撮りアプリSnowを手がけたのも同社だ。そして今、RobloxやEpic Gamesなどの大手ゲーム会社で話題になっているメタバースという最新のコンセプトに向かっている。

3DアバターアプリZepetoを運営するNAVERの子会社であるNAVER Zは、クリエイターがスマートフォン、PC、VR機器向けに2Dおよび3Dコンテンツを開発できるプラットフォームUnityを搭載した新開発のプラグインを宣伝するため、今後数カ月内に1億ドル(約115億円)のファンドを設立する。

リリースから4年となるZepetoは、エンターテインメント、ゲーム、ソーシャルネットワーキングを融合させた体験を提供している。ユーザーは、自撮りした写真を3Dアバターに変換したり、デジタル空間をデザインしたり、他のユーザーと交流したりすることができる。NAVER Zの最高戦略責任者であるRudy Lee(ルディ・リー)氏はTechCrunchに、Zepetoの月間アクティブユーザー数は2020年5月の1000万人から1月時点で2000万人に増加したと語った。

同アプリの登録ユーザーは1年半前からほぼ倍増して2億9000万人となり「ワールド」という、Robloxの「エクスペリエンス」に相当するユーザー生成型の仮想空間での平均セッション時間は30分だという。

Zepetoは世界中にユーザーを抱えているが、特に韓国と中国の10代から20代前半の女性に人気がある。ターゲット層を考えれば、GucciRalph Laurenなどのデザイナーブランドや、BlackpinkやSelena Gomezといったセレブが、Zepetoを使って自社ブランドのデジタル体験を構築しているのは当然だろう。現実の世界ではほとんどの人にとって法外に高価なデザイナーズアクセサリーが、Zepetoの仮想世界では突然手ごろな値段になる。

1億ドルのクリエイターファンドは、Zepetoがサポートする「メタバース」体験を多様にすることを可能にする。NAVER Zは、Zepeto上で3D体験を生成するUnityプラグインを使用する有望なスタジオに出資する予定だ。また、プラグインを使用するZepetoの非常に有望なクリエイターには、再生、訪問、アクティブユーザーなどのパフォーマンス指標に基づいて、現金報酬を提供する。

この取り組みは、ソフトバンクビジョンファンド IIが主導し、Mirae Asset、大手のKポップタレント事務所、およびその他の投資会社が参加した、Naver Zの2021年の1億9000万ドル(約219億円)という大型のシリーズBラウンドのおかげだ。

多くのバーチャルエンターテインメントプラットフォームと同様、Zepetoは収益化をアイテム販売に頼っている。2018年の立ち上げ以来、20億個のアイテムを販売し、2020年半ばの販売数は6億個だった。売上最多のクリエイターの2021年の粗利益は50万ドル(約5800万円)だった。

画像クレジット:Zepeto

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Oculusで人気のVRオープンワールドRPG「A Township Tale」開発元のAltaがシード資金14.2億円調達

バーチャルリアリティ(VR)のメタバーススタジオであるAlta(アルタ)は、Makers Fund(メーカーズ・ファンド)とAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が共同主導したシードラウンドで、1240万ドル(約14億2000万円)の資金を調達したことを、米国時間1月26日に発表した。他にもPioneer Fund(パイオニア・ファンド)、Boost VC(ブーストVC)、muru-D(ムルD)、Thomas Rice(トーマス・ライス)などの投資家が参加した。

この資金は、独自のコンテンツやIPのさらなる開発、チームの拡大、新しいプラットフォーム向けゲームの展開に使用する予定であると、Altaの共同創業者兼CEOであるTima Anoshechkin(ティマ・アノシェチキン)氏はTechCrunchに語った。今回の資金調達により、同スタートアップの企業価値は6200万ドル(約71億円)になるという。

アノシェチキン氏とJoel van de Vorstenbosch(ジョエル・ファン・デ・フォルステンボス)氏、Boramy Unn(ボラミー・ウン)氏によって2016年に設立され、現在はシドニーとサンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業は「A Township Tale」を制作するVRゲーム開発会社としてスタートしたと、アノシェチキン氏は語る。A Township Taleは、すべてのユーザーが自分独自の中世ファンタジー的な仮想世界を持ち、他のユーザーと共有できるVRオープンワールドRPGだ。

Altaは2021年半ばに、Oculus Quest 2(オキュラス・クエスト2)向けに最初のVRゲームを発売して人気を博した。発売後、このゲームはOculusのチャートで7週間以上にわたって1位を獲得し、同プラットフォームの歴史的なエンゲージメント指標を生み出したと、Altaは述べている。さらに、このスタートアップの収益は、開始当初から10倍になったと、アノシェチキン氏は収益の具体的な数字を示さずに語った。Altaには現在、約50万人のユーザーがいると、同氏は付け加えた。

「Altaは、人々を結びつける世界を創造するという1つの探求から始まりました」と、アノシェチキン氏は語る。「今回の資金調達は、主力ゲームの成長だけでなく、そのビジョンを拡大するために役立ちます。また、これによって私たちはチームを拡大し、協力し合える新たな機会やパートナーシップを作り、VRやその他のプラットフォームを問わず、世界クラスの技術を開発し続けることができます。いつ、どこでプレイしていても、私たちの体験は常に魅力的で、シームレスで楽しいものになるでしょう」。

アノシェチキン氏によれば、Altaの次の目標は、メタバースの要素を取り入れながら、複数のプラットフォームで仮想世界のネットワークを拡大・構築することだという。同社の技術が他の競合他社と異なる点は、プロシージャル生成に大きく依存していることだ。プロシージャル生成とは、コンピュータのアルゴリズムと人間が作成した素材データを組み合わせ、大量のコンテンツをシームレスに自動生成する方法で、これによって同社の仮想世界は構築されると、アノシェチキン氏は説明する。

Altaでは、早ければ年内にも新たな資金調達を行い、全世界で人員を増強することを計画していると、AltaのCOOであるAllison Howard(アリソン・ハワード)氏は述べている。同社は現在、オーストラリアと米国にオフィスを構えているが、近い将来に欧州とアジアのより多くの国に参入する計画を持っていると、ハワード氏は付け加えた。

ここ数年、VR技術のエコシステムは着実に成長してきた。消費者向けVR市場は、2020年の26億ドル(2980億円)から、2023年には50億ドル(約5730億円)以上に達すると予測されている。

「私たちは2年前から、深い没入感のある空間を構築して協力しながら探索するというAltaの魅力的なビジョンのファンであり、ティマと彼のチームが最初の大きなマイルストーンを達成したことに引き続き感銘を受けています。それは、洗練された高度にシステム化されている世界を創造し、それがまだ出来たばかりの段階から、コミュニティに愛されているということです」と、Altaの取締役会に参加することになったMakers Fundの創業パートナーであるJay Chi(ジェイ・チー)氏は語っている。

「このチームは、高い技術力と決断力を持ち、熱心なコミュニティが成長できるような魅力的な体験を構築することに情熱を注いでいます。これは、ゲームとソーシャルプラットフォームがますます交差するという我々の確信と完全に一致しています。特にこの2年間で、VRの普及とともにメタバースの成長を目の当たりにしてきた私たちは、このコミュニティに貢献し、成長し続けるAltaとパートナーを組めることに興奮しています」と、a16zのパートナーであるAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は述べている。

画像クレジット:Alta

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)