テスラのパートナーであるパナソニックがネバダのギガファクトリーを一時閉鎖

Panasonic(パナソニック)はCOVID-19拡大の懸念から、パートナーであるTesla(テスラ)とともに操業していたネバダ州の巨大な工場から3500名の従業員を引き上げる。

同社は米国時間3月20日に、来週初めに工場の稼働を縮小しその後14日間閉鎖する、と発表した。この動きはパナソニックの従業員にのみ影響する。Teslaもネバダ州スパークスにあるいわゆるGigafactory 1(ギガファクトリー・ワン)で数千名の従業員を雇用している。

現在のところTeslaはコメントに応じていない。

2014年6月に操業を始めたGigafactory 1は、バッテリーの容量を全世界的に拡大し、電気自動車のコストを下げることによって持続可能エネルギーへの移行を加速する、というTeslaの目標の実現に欠かせない要素だ。パナソニックはこのプロジェクトのサプライヤー、協力者としてとしてプロジェクトにおいて最も重要なパートナーだった。

この工場はModel 3の電動モーターとバッテリーパックだけでなく、同社のエネルギー保存プロダクトであるPowerwallとPowerpackも製造している。パナソニックはセルを製造し、Teslaはそれを同社電動車用のバッテリーパックに使っている。

パナソニックのスポークスパーソンであるAlberto Canal(アルベルト・カナル)氏は、次のように声明している。

パナソニックはすべての従業員の健康と幸福を守ることを義務としている。ネバダ州スパークスにあるパナソニックの工場は来週初めより操業を縮小し、その後14日間閉鎖する。閉鎖の影響を受ける従業員は14日分の給与全額と福利厚生を受け取る。パナソニックはまた、工場の衛生状況を向上するためのいくつかの措置を制定する。社会的距離(social distancing)を奨励し、シンプルかつ安全で効果的な行動を可能にする。この14日間で、工場施設は徹底的な洗浄が行われる。

パナソニックがいなければ、Teslaのサプライチェーンに不具合が生じてしまう可能性がある。そのためTeslaは3月27日よりModel X、Model S、Model 3そして現在、Model Yの組み立てを行うカリフォルニア州フリーモントの工場における製造を中断する。

画像クレジット:Tesla

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Waymoも新型コロナの影響で全自動運転車サービスを停止

Waymo(ウェイモ)は自動運転車のパイロットサービスの一部停止期間を延長し、これには完全無人運転車のテストも含まれることを、米国時間2月20日の金曜日に認めた。Alphabet(アルファベット)傘下のWaymoはすでに、セーフティードライバーが同乗する自動運転車の運用を停止しているが、新型コロナウイルスの拡散の可能性を最小限に抑えつつ、完全自動運転車のテスト走行を続ける予定だった。

これらの完全自動運転車は、フェニックスにおける公共配車サービスの顧客と、地域配送サービスのパイロットプログラムとして利用されている。これらの事業も停止するという同社の決定は、Waymoが3月17日に最初の決定を下して以来、さまざまな州でますます厳格な移動と労働に関する制限をもたらしてきた、米国におけるCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の状況に対する一貫した危機感の高まりを反映していると思われる。

またWaymo以外にもCruise、Argo AI、Pony、ai、Uber(ウーバー)などが自動運転車のテストを一時停止している。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

テスラは自宅待機要請に反して工場の従業員に出勤を指示

Tesla(テスラ)は、米国カリフォルニア州フレモントの工場は閉鎖せず生産を続ける。アラメダ郡の自宅待機要請が出ている間の操業が可能か否かについて、「政府の異なるレベルからの指示が矛盾」しているためだと、水曜日、同社の人事部から従業員へ向けた電子メールが伝えた。

テスラの人事部は、製造、サービス、配達、自社製電気自動車のテストの各部署に所属する従業員は、アラメダ郡の自宅待機要請に関わらず出勤するよう求めている。郡は、新型コロナウイルスによるCOVID-19の世界的感染拡大のため、バー、スポーツジム、レストランなどの不要不急の事業は停止するよう要請している。

テスラからもアラメダ郡当局からも、コメントを聞き出すことはできなかった。応答があれば更新情報をお伝えする。

テスラの工場とその複数の関連施設は、フレモントとその周辺に点在しており、すべてアラメダ郡の中にある。問題の電子メールは、アラメダ郡保安官がテスラの工場を「不要不急の事業」であり自宅待機要請に従うべきと宣言した後に送信されている。

他のテスラの従業員から聞いたところによれば、テスラは今すぐ生産を中止するつもりはなく、郡と真っ向から対立しているという。匿名で取材に応じたある従業員は、フレモント工場から車が出荷できるように仕事を続けてほしいと3月18日に言われたと話している。

3月18日に、人事部から従業員に送られた電子メールは以下のとおりだ。

市、郡、州、連邦政府からはまだ、私たちの事業の状況に関する最終判断が届いていません。政府の異なるレベルから受けた指示が矛盾しています。

それまでは、必要不可欠な従業員のみで操業を続け、その他の従業員は、自宅勤務、または私たちの事業に対する疾病対策センターのあらゆる指示に従い勤務していただきます。

みなさまの業務分担に変更はなく通常どおりです。担当部署が必要不可欠な業務、つまり生産、サービス、配達、テスト、サポートに携わる方は、今までどおり出勤してください。これら必要不可欠な部署に属さないみなさまには、各部の責任者から必要業務を支援するための一時的な転属の提案、または自宅待機の指示が出ます。

具合が悪い場合は、有給休暇を利用して自宅に留まってください。有給休暇の残りが少ない方には、有給休暇を使い切った後に最大80時間(2週間)分を貸与します。担当責任者にその旨を報告し、通常の病欠の手続きを行ってください。

出勤して仕事を続けることへの不安をテスラの人事部に相談した従業員は、人事部は上記のメールにほぼ沿った内容に、いくつかの詳細情報が追加された返信を受け取っている。

TechCrunchが入手した一通の電子メールでは、出勤できない者、あるいは出勤したくない者は、有給休暇を使うか、有給を使い果たした場合は無給の休暇を取るよう従業員に指示している。またこのメールは、健康上のまたは出勤が不可能な理由により休む判断をした場合には、ペナルティーも懲戒処分も科さないと伝えている。

匿名を条件に話をしてくれたある従業員によれば、セールス担当者は状況に応じて自宅勤務ができるという。テスラ製自動車の納車担当者は出勤の必要があり、購入者の自宅まで直接届けるように言われているとのことだ。

テスラのウェブサイトには、同社のフレモント工場では1万人以上を雇用していると書かれている。普段は、その電気自動車工場には従業員が溢れている。そこで生産されている車両は、Model S、Model X、Model 3、Model Yだ。

自宅待機要請は、米国の他の自動車メーカーの行動とも対立するが、それらはどれも自宅待機を要請している郡には属していない。ホンダは3月18日、新型コロナウイルス(COVID-19)による需要の低下を受け、米国内12箇所にある工場すべてを、3月23日から6日間操業停止にすると発表した。

全米自動車労働組合は、従業員の保護と新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、GM、フォード、FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)と対策本部を設立した。同組合は、自動車メーカーに対して、工場を一時的に停止するよう促している。全米自動車労働組合は3月18日、米疾病対策センターによる職場での社会的距離の確保勧告へのアドヒアランスをさらに強めた新たな措置に各自動車メーカーが同意したと話した。

この3つの自動車メーカーは、順番に工場を停止する措置、工場施設と工具のシフトごとの入念な洗浄、シフト間の空き時間の延長、従業員の感染防止のための対策強化を実施することに合意している。

彼らはリスクを最小限にするためにシフト制で仕事をしていると、全米自動車労働組合のウェブサイトに掲載された最新記事には書かれている。「これらの企業は会員を代表し、ワシントンD.C.で業界の混乱に対処する我々と協力することに合意しました」

更新情報:フォードは、北米のすべての工場を3月30日に閉鎖すると発表した。

画像クレジット:David Butow / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

Waymoが新型コロナ対策で完全ドライバーレスを除くロボタクシーサービスを停止

Waymoは3月17日、新型コロナウイルス(COVID-19)流行を受けて、フェニックスエリアで展開しているWaymo Oneサービスの一時取りやめを明らかにした。このサービスは、訓練を受けたセーフティオペレーターが運転席に乗り込んでいる自動運転車の配車をユーザーが依頼できるというものだ。同社はまた、カリフォルニアでの公道試験も中止している。

しかしウェブサイトでの発表によると、Waymoは一部のオペレーションを継続している。それは、セーフティドライバーを必要としない完全ドライバーレス車両だ。これらのドライバーレス車両は、一部のメンバー向けのアーリー・ライダー・プログラムの一環としてフェニックスで展開されている。

Waymoアーリー・ライダー・プログラム、Waymo Oneサービスどちらも、チャンドラーやテンペなどの郊外を含む限定区域内でフェニックス住民を輸送するのに自動運転のChrysler Pacificaミニバンを使用している。昨秋まではこれらの「自動運転乗車」すべてで運転席にはセーフティドライバーが乗り込んでいた。

昨年10月、Waymoはアーリー・ライダー・プログラムのメンバーに、セーフティドライバーが乗り込まないドライバーレス車両による乗車の提供を始めた。

Waymoはドライバーレス車両をきれいに保つ策を強化した、と話す。車両は1日に数回清掃・消毒される。また、乗車する人が利用できるよう、全車両に消毒製品を備え付けた。

以下が発表全文だ。

我々のライダー並びにWaymoコミュニティ全体の健康と安全のために、新型コロナウイルスの状況を鑑みて、Metro Phoenixでの訓練を受けたドライバーが乗り込むWaymo Oneサービスを当面取りやめる。

ローカルデリバリーやトラック輸送とともに、フェニックスでの完全ドライバーレスオペレーションはアーリー・ライダー・プログラムとして継続される。

適切な距離を保つことの重要性を認識し、またCDCや地元当局が共有している衛生ガイドラインを守りながら、我々はライダーやパートナーのためにドライバーレス、デリバリー、トラッキングのサービスを提供する。ドライバーを取り除くことは、移動をより安全なものにするだけでなく、こうした不安定な状況でライダーの健康をサポートするのにも貢献する。

我々は今後も注意深く新型コロナウイルスの状況を見守り、サービスに変更が生じる場合はライダーにお知らせする。それまでは我々のライダー・サポートチームがあらゆる質問に答える。

Waymoスタッフ一同みなさんの健康を願っている。

こうした動きは、新型コロナウイルス感染拡大を抑制しようと特別対策を取っている国のガイダンスに基づくものだ。また、少なくとも1件の事案が影響している。その事案とはWaymo One車両のドライバーが、新型コロナウイルス感染例が確認されたと聞いたためにアリゾナ州チャンドラーにあるIntel(インテル)のキャンパスでのピックアップを拒否したというものだ。

カリフォルニア州外での輸送やトラックテストを含むUPSとのパートナーシップは継続される。

画像クレジット:Dllu / Wikimedia Commons under a CC BY-SA 4.0 license

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(翻訳:Mizoguchi

テスラがCybertruck製造工場の候補地としてテネシー州ナッシュビルを検討中

Tesla(テスラ)は米国内陸部のテネシー州ナッシュビル当局と、同社のCybertruck(サイバートラック)とクロスオーバー車のModel Yを生産する工場の設置を話し合っている。交渉に詳しい情報筋が明らかにした。

TeslaのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は米国時間3月10日夜に、同社が米国に新たに設けるギガファクトリーの設置場所を「スカウトしている」とツイートした。

「Cybertruckギガファクトリーの場所をスカウトしている。米国中央部になりそうだ」とマスク氏はツイートした。彼はまた「この新ギガファクトリーが東海岸マーケット向けのModel Y生産にも使われる」と付け加えた。最初のModel Yはカリフォルニア州フリーモントのプラントで生産中だ。

マスク氏はツイートでは多くは語らなかった。しかし交渉を知っている情報筋は、さほど多くない候補リストにはナッシュビルが載っていると話した。

テネシー州はすでに電動車両生産のハブになりつつある。昨年、Volkswagen(フォルクスワーゲン)はテネシー州チャタヌーガに置く米国工場の拡大に8億ドル(約840億円)を投じると発表した。電動車両生産の北米拠点となる。発表当時、同社はテネシー州での電動車両生産は2022年に開始すると話した。一方、日産は2013年から同州スマーナで完全電気自動車のLeaf(リーフ)を生産してきた。

テスラはカリフォルニア州フリーモントにある工場でModel S、Model X、Model 3を組み立てている。この工場ではかつて、GMとトヨタの合弁会社NUMMIが操業していたが、テスラが2010年に工場を買収した。最初のModel Sは2012年6月にこの工場で生産された。

テスラはその後バッテリー生産にも注力し、2014年6月にネバダ州リノ近くの土地に最初のギガファクトリーを起工した。その建物はかなり巨大で、面積は190万平方フィート(17万平方m)を超える。そこでテスラはModel 3向けのバッテリーパックや電動モーターを製造している。また、同社はリチウムイオン電池を製造するパナソニックとのジョイントベンチャーも抱えている。

さらにテスラはニューヨーク州バッファローにギガファクトリー2を置き、そこではソーラー電池やモジュールを製造している。2018年には、Teslaは上海に工場を建設することで中国政府と合意した。これは、中国を長らく重要なマーケットと位置付けてきたマスク氏にとってマイルストーンとなった。中国工場は昨年後半にModel 3の生産を開始した。そして最初の納車が1月初旬に始まった。

同社はいま、ベルリン近くに工場を建設するための整地を進めている。完成すれば、ドイツ工場は欧州マーケット向けのModel 3とModel Yを生産することになる。

画像クレジット: Kirsten Korosec

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(翻訳:Mizoguchi

配達用ドローンのランディングステーションはSF映画のセットみたいだ

配達用ドローンはもちろんハイパーローカルなテクノロジーのホットな話題だが、その未来の飛行物体はそもそもどこに着陸するのか?芝生?そこでMatternet(マターネット)は、同社の輸送ドローン用のランディングステーションを作った。しかし、それは配達のためのインフラというよりも、60年代のSF映画の殺人光線兵器に似ている。

離着陸の場所を特定しないPrime Airなどと違ってMatternetのドローンは、特定の場所を結びつける配達ネットワークを使う。そのやり方は確実ではあるが、病院など時間を争う配達には向いていないかもしれない。

関連記事:大学病院が血液サンプルの配送にドローンを利用

同社はスイスとノースカロライナでパイロット事業を行い、最近サンディエゴでも始めた。医療機関が交通渋滞などの問題に悩まされずに血液などの検体や医療品やワクチンなどの発送や受け取りが目的だ。

問題は、ドローンがどこに着陸してそのあとどうするか。誰かが電池交換をするのか?そのドローンに接近しても安全だと誰が言うのか?積荷をどうやって取り外すのか?どんな方法にせよ、なるべく容易でできるだけ自動化してほしい。それを実現するのが、ステーションの役目のはずだ。

テクノオーガニックな曲線と、花のような上部のハッチを見ると、高さ10フィート(3m)のそのステーションは「Star Trek: The Original Series」(スタートレック宇宙大作戦)とか「Lost in Space」(宇宙家族ロビンソン)なんかを彷彿とさせ、機能的であると同時に、明らかに目立つことも狙っている。

ドローンが到着すると上部が開き、ドローンはその中央に着陸する。ステーションの機構部がドローンをしっかりと固定し、積荷を下ろすとともに電池も換える。積荷は塔の部分に収容され、認証された人物が来るのを待つ。その人はドングルをスキャンしてドアを開き、パッケージを受け取る。

ドローンが1台だけなら、再び必要とされるまで上部のバルブのような部分に収まるだけだが、配達に複数の機を使用するときは中の機がすぐ離陸して約60フィート(18m)上空を「ドーナツ状に」旋回する。

このステーションは今年の第2四半期に、Matternetの既存の顧客である病院のひとつに設置される。そして安定稼働が実証されたら、もっと広く展開されるだろう。下のデモビデオは、俳優たちが演じるドラマになっている。

画像クレジット: Matternet

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

地図サービスのTomTomとTRI-AD、デンソーの3社が自動運転向け高精度地図作成で協業

オランダを拠点とする地図サービスなどを運営するTomTom(トムトム)は3月11日、トヨタ自動車のグループ会社で自動運転などを研究するトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)とデンソーとの協業を発表した。併せて、自動運転技術に不可欠な地図データを高速かつ高精度に生成するための実証実験に成功したことを明らかした。

TomTomは、アップルの「マップ」アプリに地図データが採用されていた企業で、最近では中国ファーウェイが同社とナビゲーションとマッピング、交通情報へのアクセスの提供について契約合意している。

関連記事:ファーウェイは失ったGoogleマップの代わりを求めTomTomを頼る

3社が合同で実施した実証実験は、デンソーの車両センサーを搭載したTRI-ADの試験車を利用し、TRI-ADの自動地図生成プラットフォーム「Automated Mapping Platform」(AMP)とTomTomのクラウドベースのトランザクション・マップ・プラットフォームを併用。車両センサーが道路上で観測した情報を収集し、それらの情報をAMPがデータ形式の変換・補正を実行、TomTomのトランザクション・マップ・プラットフォームに反映されるという流れだ。このシステムが実用化されれば、地図上とは異なる現在の道路や周辺環境を随時クラウド上で管理・更新可能になる。既存の地図データと組み合わせることで、最新かつ詳細な地図が手に入る。

BMWが電動iX3 SUVの米国投入計画を白紙に

BMWは、同社初の電動クロスオーバーであるiX3を米国に投入しない。EV戦略を修正して、ヨーロッパと中国に注力することにした自動車メーカーが、また1つ増えた。

画像クレジット:BMW

BMWがAutomotive Newsに今回の変更について語り、同メディアが最初にレポートした。それによると、今のところBMWはiX3を米国市場に持ち込む予定はないという。この方針転換は意外なことと受け止められている。というのも、iX3がベースとなったX3は米国で最も人気の高いBMW車だからだ。

BMW iX3は、中国で製造されることになっており、2021年の前半には市場に投入される予定だ。

BMWは、北京で開催されたAuto China 2018でiX3のコンセプトを発表した。同社は広範なEV戦略として米国、欧州、中国をターゲットにしている。しかし、テスラ以外の自動車メーカーが、EVに対する煮え切らない反応に直面している米国市場の現実は、ヨーロッパで厳しさを増す排ガス規制と相まって、今やBMWにとっても痛手となっている。

BMWは、今後米国に電気自動車を導入する計画を見直した唯一の自動車メーカーというわけではない。メルセデスベンツも、電動のEQC SUVの米国での発売を1年遅らせた。今のところEQCは、2021年に米国に導入される予定となっている。

またフォルクスワーゲンも、これから登場するIDシリーズの電動車の販売戦略を修正した。同社はコンパクトなハッチバックのID.3は、米国に導入しないことにした。その代わり米国には、I.D. CROZZとしても知られるID.4を持ち込むことを計画している。ただし、それも先に欧州で発売した後のこととなる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

キャデラックが新型コロナ感染拡大で初EVの発表を中止

Cadillac(キャデラック)は新型コロナウイルス感染拡大の懸念から、ブランド初の電気自動車(EV)となる中型SUV「Lyriq」の発表を中止した。

GMのラグジュアリーブランドであるキャデラックは、4月2日にロサンゼルスで開催するイベントでLyriqを披露する予定だった。

過去に流行を引き起こしたSARSやMERSウイルスの仲間で、コロナウイルスの一種である新しいウイルスが原因の病気COVID-19をめぐっては、政府や企業が世界中でテックやビジネス、自動車関連のイベントの中止を余儀なくされている。ジュネーブ国際モーターショーやバルセロナのMWC、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルなどが中止となった。

「十分に注意を払うために」イベントは中止される、とキャデラックは声明文で述べている。

声明文は以下の通りだ。

ご存知のとおり、米国でのCOVID-19(新型コロナウイルス)をめぐる状況は悪化し続けている。いくつかの州は緊急事態宣言を出し、感染者の数は増え続けている。

十分に注意を払うために、4月2日のカリフォルニア州ロサンゼルスでのキャデラックLYRIQ披露を中止するという難しい判断を下した。我々は現在、今後の計画について検討中で近くアップデートする。最優先事項はメディアの招待客や従業員の安全だ。GMのメディカルセキュリティと連携を取りながら状況を注視しており、米疾病予防管理センターや世界保健機関(WHO)の勧告に従っている。

Lyriqは、GMが今後2年以内のマーケット投入を計画しているEVの1つだ。GMは新しい電動アーキテクチャを使って製造・販売するEVの包括的な計画を3月4日に発表している。新アーキテクチャは Buick(ビュイック)、Cadillac、Chevrolet(シボレー)、GMCを含む同社の全ブランドのあらゆるプロダクトに使用される。一連のEVには、コンパクトカーから産業用トラック、大型のプレミアムなSUV、高スペックな車両まで含まれる見込みだ。

この「Ultium」と呼ばれるモジュール式のアーキテクチャは19種のバッテリーとドライブユニット構成、容量50kWh〜200kWhの400Vと800Vの電池パック、フロント・リア・全輪ドライブ構成に対応する。

1月に発表された電動自動運転車でシェアリング用のCruise Originは、今後発表される新しいEV戦略における初の製品だった。その次にキャデラックのLyriqが公開され、5月20日にGMCのHummer EVが続く予定だった。現在のところHummerのイベントは中止になっていない。

画像クレジット: GM

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(翻訳:Mizoguchi

フォードが完全電動のトランジット貨物バンを米国市場向けに開発中

Ford(フォード)は、人気の高いFord Transit(フォード・トランジット)貨物バンの全電動バージョンを開発し、2022年度から北米市場向けに販売すると発表した。同社の電動化に対する決意を示す動きの1つと考えられる。

画像クレジット:Ford

この全電動トランジットは米国内で製造される。フォードは、2022年までに電動化に対して115億ドル(約1兆1800億円)以上を投資することにしている。同社のEV計画には、他にも2019年4月に発表した欧州市場向けの全電動トランジットであるMustang Mach-E SUV(マスタング・マッハ-E SUV)、さらには電動のF-150トラックが含まれる。

商用バンをEV戦略の中に含めるというフォードの決定は、米国内での販売状況と将来の成長に関する見通しとリンクしたもの。2015年以降、同社の米国内のトラックおよびバンのフリート販売は、33%増加している。フォードは、eコマースと「最後の1マイル」の配送の増加によって、米国でのバン販売は継続的に成長するものと予想している。

またフォードは、電気自動車は、2025年の米市場で、この分野の8%を占めるまでに成長すると予測している。「商用車は、私たちの電動化に対する大きな賭けの、重要な要素です」とフォードの最高執行責任者であるJim Farley(ジム・ファーリー)氏は声明で述べている。「この分野のリーダーとして、私たちは企業の業績向上につながるソリューションを構築する計画を加速しています。まずは全電動のトランジットとF-150から始めます。このフォード・トランジットについては、単に電動の駆動系を製作するだけでなく、フリート全体を推進するデジタル製品の設計、開発することも目的としています」と続ける。

フォードは、車内インターネット接続やドライバーアシスタンスなど、IT機能にも焦点を当てるつもりだ。「世界は電動化された製品に向かっており、フリートの顧客も、まさにそれを求めています」と、ファーリー氏は言う。「フリートの車両は、コネクテッドモバイルビジネスとして運営されています。したがって、テクノロジーに対するニーズも、一般の顧客向けのものとは異なることを、私たちも理解しています。そこでフォードは、コネクティビティの関連性について深く考慮しています。私たちの車内高速電子アーキテクチャをクラウドベースのデータサービスと結び付けることで、単に電動の駆動系を備えた車ではなく、スマートビークルと呼べるものを、そうしたビジネスに供給するのです」と語る。

フォードによると、そうした「スマート」機能を組み込むことで、顧客はフリートの効率を最適化し、無駄を削減し、ドライバーの行動を改善することができるという。フリートは、内蔵のFordPass Connectモデムを利用して、4G、LTE、Wi-Fiに対応したホットスポットに接続し、フォードのテレマティクスシステムによって収集されたデータにアクセスできるようになる。このホットスポットは、最大10台のデバイスに接続できるという。フリートのマネージャーは、フォードのデータツールによって、ライブマップ上でのGPSによる追跡、ジオフェンシング、車両診断など、車両とドライバーの状態をひと目で確認可能なパフォーマンスインジケーターを利用できるようになると、フォードは説明している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

IT活用で“運転代行業界”の適正化へ、沖縄のAlpaca.Labが7000万円を調達

運転代行のマッチングプラットフォーム「AIRCLE」を開発するAlpaca.Labは3月9日、シードラウンドでXTech Ventures、すこやかホールディングス、BORベンチャーファンド1号投資事業有限責任組合、沖縄振興開発金融公庫を引受先とした第三者割当増資により総額約7000万円を調達したことを明らかにした。

同社は2018年2月設立の沖縄発スタートアップ。県内で必要不可欠の交通インフラとなっている「運転代行」の課題解決に向けて、調達した資金を基にエンジニアを始めとした人材採用の強化を進めていく計画だ。

運転代行を効率化するマッチングプラットフォーム

Alpaca.Labが手がけるAIRCLEは、わかりやすく言えば「タクシー配車サービスの運転代行版」だ。

運転代行とは代行業者がドライバーの代わりに車を運転して目的地まで送り届けるサービスのことで、飲食店でお酒を飲んだ後などに使われる。マイカーを運転して飲食店まで行き、食後は代行業者を呼んで車と自分を家まで送ってもらうようなイメージだ。代行業者は予約が入ったら自社の随伴車で現地へ向かい、到着後は1人が顧客の車を運転し、もう1人が随伴車で目的地まで一緒に行く。

都市部など公共交通網が発達している地域ではあまり馴染みがないかもしれないが、地方では日常的に利用される交通サービスだ。全国的には約8850ほどの代行業者が存在し、中でも沖縄は約737業者と全都道府県でも最多。この業界はアナログな要素が多くITの活用で改善できる余地は大きい。

運転代行は飲食店を通じて手配されることも多いため、Alpaca.Labでは2020年1月より独自のオペレータAI(配車最適化アルゴリズム)を基に飲食店と代行業者を効率よくマッチングするサービスから始めた。

飲食店向けにはデジタル端末から「テーブル番号、車両数、顧客の行き先」を入力するだけで代行業者を発注できる仕組みを提供。従来電話で行っていた発注作業をラクにするだけでなく、位置情報を基に近くにいる業者を優先的にマッチングするため顧客の待ち時間も短縮できる。

一方の代行業者向けには随伴車の管理や受発注の仕組みをIT化することによって、配車効率を上げるための基盤を開発。日報・運行管理や車両管理など日常業務をサポートする業務支援システムも合わせて提供する。

「飲食店にとっては発注作業が大きな負担になっている。忙しい時間帯だと電話がつながらない業者も多く何件も電話をかけ続けなければならないし、到着までに時間がかかるとなればそれだけお店の回転率も悪くなる。そもそも飲食店にとっては本業ではないため、ここにリソースを割きたくはない」

「代行業者としては受発注を最適化して少しでも多くの顧客を獲得したい。ITを活用することで随伴車の位置情報をリアルタイムに確認しながら効率よく配車手配を行えるだけでなく、ミスマッチの解消も見込める。たとえばこれまでは現地に着くまで顧客の情報がわからず、行ってみたら担当者が運転できない車だったり(左ハンドルの外車など)、目的地が遠すぎて自社の方針に合わなかったりすることも度々あった」(Alpaca.Lab代表取締役の棚原⽣磨氏)

今夏を目処に個人向けアプリのローンチも控えていて、個人が自らのスマホから簡単に代行業者を呼べるようにする計画。その際には「左ハンドルの車を運転できる人」などユーザーが条件を設定できる機能や相互評価の仕組みも搭載し、スムーズかつ安心して運転代行を使える環境を整備していくという。

現在は随伴車約60台(数十業者)、飲食店約150店舗を対象にサービスを展開。ビジネスモデルは代行業者から売上の10%をシステム利用料として受け取る形だ。

沖縄の課題解決を全国に課題解決へ

Alpaca.Lab創業者の棚原氏は沖縄県の出身。北陸先端科学技術大学院大学を経て教育系のコンサルティング会社に務めた後、沖縄に戻り沖縄科学技術振興センターで産学連携プロジェクトの推進を担当した。

具体的には大学の先生が持つ技術と県内外の企業をマッチングすることで新しい事業を生み出す支援をしていたそう。現在Alpaca.LabではAIRCLEのキモとなるオペレータAIを琉球大学の研究室と共同で研究開発しているが、その研究室とも前職で出会ったそうだ。

「産学連携のプロジェクトをいくつもやる中で、これは面白い技術だなと。沖縄で起業するなら沖縄の課題解決をしたい、地域の課題解決が全国の課題解決にも繋がる事例を作りたいという思いがあり、その観点でも運転代行はやりがいのある領域だと考えた」(棚原氏)

運転代行の概念自体は数十年前から存在し、2002年に「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」が施行されてからも20年近くになる。過去にはITを活用して業界の課題を解決しようとしたプレイヤーもいたが、どれも大きな成果を出すまでには至らなかった。

棚原氏がその原因にあげるのが業界内で「4/5の課題」と呼ばれる課題だ。これはざっくり言うと4/5の業者が表示義務違反や保険未加入、無許可の運行などによって「適切に運行することが困難」な状態にあることを指す。運転代行業界をアップデートするためには、そもそもこの状況を変えていく必要があるというのが棚原氏の考えだ。

「代行業者も必ずしも好きこのんでそうしているのではなく、金銭的に入る余裕がないことも多い。それは勘や経験に頼った非効率な配車オペレーションなど業務形態の課題だけでなく、行政側が実態をほとんど把握できていない状態や過度な価格競争により業界全体が疲弊してしまっていることなど、様々な要因が絡み合っている」(棚原氏)

そこでAlpaca.LabではオペレータAIを軸としたマッチングプラットフォームによって業務形態の効率化をサポートしつつ、全国運転代行協会とタッグを組みながら安全基準の策定や代行業者へのレクチャーなど業界全体を適正化する取り組みも進めてきた。

その上でゆくゆくは相互評価の仕組みを取り入れた個人向けアプリで、個人と代行業者を直接繋いでいく。これによってユーザーは安心して運転代行を手配でき、質の高い代行業者はきちんと評価され適正な価格で受注できる環境を整えていくのが目標だ。

運転代行の余剰リソース活かした新たなビジネス創出目指す

今回の資金調達はその動きを加速させるためのもので、エンジニアを中心とした人材採用に投資をする計画。今後は他業界のプレイヤーなどとも協業しながら「酔客に依存しないビジネスモデルの確立」に向けたプロジェクトにも取り組んでいきたいという。

「たとえば飲食店以外にも観光客や病院などを中心に新しい利用者の獲得や、日中使っていない随伴車の貸出(カーシェアリング)、配送業者とのコラボによる夜間・深夜帯の貨物輸送など、運転代行の余剰リソースを上手く活用することで人やモノの移動に関わる課題を解決できるチャンスもある。運転代行業界を良くしていくには酔客だけに依存しない仕組みが必要だ」(棚原氏)

上述したように運転代行業者は過疎地域を含め全国の市町村にすでに存在する上、日中はそのリソースが余っていることも多い。使い方次第では地域の課題解決インフラの1つとして強力なツールになりうるかもしれない。

棚原氏はMaaSならぬ「DaaS(代行 as a Service)」なんて表現もしていたけれど、テクノロジーを取り入れることで運転代行業界がどのように進化していくのか、今後の動向が気になるところだ。

Waymoが自動運転車の次世代技術をJaguar I-Paceで試験中

2年半ほど前Waymo(ウェイモ)のエンジニアらは、前世代を改良し、そして自動運転の乗用車からセミトラックまでさまざまな車両に対応する能力のあるハードウェアセンサーの開発に着手した。

そしていまWaymoは、手始めに全電動のJaguar I-Pace車両でこれまでの取り組みの成果を披露している。

Waymoは次世代のハードウェアシステムをJaguar I-Paceに搭載し、機械学習モデルを訓練するためのデータ収集に活用している。今後は運転席にセーフティードライバーが乗り込んだ自動走行モードでのJaguar I-Paceテストを開始する。マイルストーンを達成したら、大きなトレーラートラックに着手する。公道でのI-Pace試験は今後も継続され、ゆくゆくはWaymoの社員が配車を依頼して乗車できるようになる。最終目標はI-Paceを現在フェニックスエリアで展開されているWaymo Oneサービスに組み入れて展開することだ。

これはWaymoの第5世代ハードウェアだ。研究と開発に10年以上かけられ、前世代のものよりも高性能なはずだ。Waymoによると、実際そうだという。

もちろん、自動運転車両を商業展開するビジネスのために、最も有能でしっかりとしたハードウェアを製造することは、たとえ多額のコストがかかったとしてもそれは問題ではない。新たなハードウェアのコストは前世代の半分で、デザインと製造過程のシンプル化によりコスト抑制を達成している。

次世代ハードウェアはラボではなくライン製造される。ただし、Waymoはどこで製造するかは明らかにしていない。これらハードウェア一式のインテグレーションはデトロイトにあるWaymoの施設で行われる。

こうした改良には資金が必要だ。開発、テスト、有効化、そしてゆくゆくは対応した自動運転車両の商業展開にかなりの資金が注がれる。絶えず現金を必要とするために、AVスタートアップの数社は撤退した。

Alphabet(アルファベット)傘下の企業として、Waymoは他社とは少し異なった、そして居心地のいいポジションにいる。だからといって資金調達をしなくていいわけではなく、Waymoは22億5000万ドル(約2370億円)を調達した。同社は先週、Silver Lake、Canada Pension Plan Investment Board(カナダ年金制度投資委員会)、Mubadala Investment Companyがリードする投資ラウンドを発表した。これはWaymoにとって初の外部からの資金調達で、Magna、Andreessen HorowitzAutoNation、そして親会社のAlphabetも参加している。

次世代テックの中身

一連のハードウェアはカメラ29台を含む新しいビジョンシステムを有する。これにより視野をオーバーラップさせて道路のあらゆる方角の視野を確保し、500メートル先の停止サインもとらえることができる。

Waymoはまた、より自動運転車に適するよう、レーダーのアーキテクチャや信号出力、シグナル処理能力のデザインにも変更を加えた。

Lidar(light detection and ranging radar、光による検知と測距)はWaymoのハードウェアの重要な部分だ。同社は能力の改善とコスト抑制のためにLidarの開発に時間、人、資金とかなりのリソースを注入した。Lidarは自動運転の根幹をなすものであり、2017年に同社は前Google(グーグル)エンジニアのAnthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキー)氏によって企業秘密が盗まれ、Uberがその秘密を使用したとして、Uberを相手取って訴訟を起こした。

Lidarは第5世代システムと変わらない。基本的には周囲の3D図を提供するデジタル画像化のフォームであり、それが主な機能だ。しかし重要な変更も加えられた。

Waymoは、周囲360度の視野を確保するために中距離Lidarと長距離Lidarを1つのルーフトップユニットに結合させた。同社はまた、新たに周囲の長さを計測するセンサーを開発した。これは車両の4カ所に設置する。これらの短距離Lidarは画像解像度と精度を高めるためのもので、近接物体感知と回避が必要になったときスピードを緩めるのに最も有用だ。

こうした短距離Lidarのアップグレードは、Waymoの自動運転車両を向上させるという野心以上のものとなっている。同社は2019年3月に短距離センサー(Laser Bear Honeycombというものだ)を自動運転車両以外の産業向けに販売する計画を発表した。

当時、Waymoは最初にロボティクス、セキュリティ、農業テクノロジーに照準を当てると言っていた。こうした販売はWaymoが自動運転テクノロジーをより早く展開し、また大量生産することでセンサーをリーズナブル価格にするのに寄与する、と同社のLidarチームの責任者Simon Verghese(サイモン・ベルギーズ)氏は昨年にMediumで書いている

WaymoはすでにLaser Bearユニット販売で売上を上げていると話したが、具体的な販売台数や販売先は明らかにしなかった。

画像クレジット: Waymo

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(翻訳:Mizoguchi

Birdが米国オースティンで小型バイクScoot Mopedsをローンチ

BirdがScootを買収して生まれた電動モペッド(小型バイク)のScoot Mopedは、その発表から5か月後にオースティンでローンチされることとなる。

この新型の電動モペットは、Birdによるより多くの顧客を獲得するために製品の多様化を図る取り組みだ。Scoot Mopedは、Birdのアプリから利用でき、幅広タイヤ、油圧ディスクブレーキ、2つのサイドミラー、車速情報用のLCDディスプレイのほか、2サイズのヘルメットが車両のボックスに格納されている。Scoot Mopedの使用者は18歳以上で、かつ有効な運転免許証を所持している必要がある。

BirdがScoot Mopedを初めて発表したのは、Scootの買収後となる昨年10月だった。Birdによると、最初はロサンゼルスで試験走行を実施していたという。そして、音楽やテクノロジー、映画、コメディの祭典ことSXSWの開催の1週間前に、Scoot Mopedsはオーステンにてローンチされる予定だった。

【アップデート】オースティン市は米国時間3月6日、SXSWフェスティバルを中止すると発表した。

Scoot Mopedsは、すでにオースティンの市道を走っているシェアモビリティの一群に加わる。オースティン市議会は2018年2月、「ドックレス(充電設備なし)」シェアサイクルのパイロットプログラムの創設を承認した。そしてすでに、このサービスを運営している企業もあり、一方でその反応として規制の枠組もできた。しかし、スクーターは続々と登場している。

SXSW 2019にてTechCrunchが取材した複数の市当局者によると、シェアスクーターの利用者はシェアサイクルを逆転し、需要不足のために一部のシェアサイクルを路上から撤去するよう企業に促したという。

Birdの政府パートナーシップチームメンバーであるBlanca Laborde(ブラン・カラボルド)氏は声明で「(同社は)オースティン市と緊密に連携して、2039年までに50-50モードシフトという目標の達成を支援し、Austin Strategic Mobility Planを支援するより多くのソリューションについて、協力できることを楽しみにしている」と述べた。そして「オースティンの市民は、この新しいモビリティを気に入るだろう」と続けた。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

テスラ中国工場でのModel 3ロングレンジの生産にゴーサイン

画像クレジット:Costfoto/Barcroft Media via Getty Images/Getty Images

中華人民共和国工業情報化部のWebサイトに米国時間3月6日に掲載された文書によると、Tesla(テスラ)は、同国政府から中国の工場でModel 3のロングレンジ後輪駆動タイプを生産するための承認を受けた。

ロイターが最初に報じた

テスラは、2019年末に上海工場でModel 3のスタンダードレンジプラス後輪駆動タイプの生産を開始した最初の納車も1月初旬に始まっている。今回の承認により、テスラは中国で販売する車種のリストを充実させることができる。最終的に同社は、中国の工場で電気自動車モデルYも製造する予定だとしている。

この動きが注目を集めるのには理由がある。というのも、テスラは米国ではロングレンジ後輪駆動タイプのModel 3の生産を中止し、現在ではそのバリエーションとして、デュアルモーター4輪駆動タイプのみを提供しているからだ。またこの動きは、中国ではModel 3の基本的なタイプを販売する、という同社が打ち出していた当初の計画からはズレている、と点もある。

テスラの中国版Webサイトによると、スタンダードレンジプラスのモデル3は、1回の充電で276マイル(約444km)を走破できる。しかし同社はまだ中国版Webサイトに、ロングレンジタイプの走行距離を掲載していない。

テスラは、2018年7月に中国政府と契約を結び、上海に工場を建造した。これはテスラと同社CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏にとって、節目となるできごとだった。同氏は中国を非常に重要な市場であると、ずっと位置づけてきたからだ。また中国が、これをテスラと中国政府とのジョイントベンチャーとはせず、テスラが100%所有する工場として認めたという点でも注目を集めた。通常外国企業が中国に工場を作る際には、伝統的に現地のパートナーと50対50の合弁事業としなければならなかったためだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米裁判所が自動運転技術の元エンジニアにGoogleへ約192億円を支払うよう命じる

自動運転車のエンジニアでスタートアップの創業者でもある、Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキ)氏は、Uber(ウーバー)とWaymo(ウェイモ)との間で争われている機密情報裁判の中心人物である。このほど同氏は、Google(グーグル)退社を巡る契約問題を収束させるために、1億7900万ドル(約192億円)を支払うよう命じられた。Reuters(ロイター通信)が 最初にこの裁判所命令を報じた

昨年12月、仲裁委員会はレヴァンドフスキ氏とLior Ron(リオール・ロン)氏が不当競争行為を犯し、競合するトラック輸送に特化した自動運転車会社であるOttoを設立するためGoogleを退社した際、同社と交わした契約に違反したという裁定を下した。2017年にUberはOttoを買収した。米国時間3月4日、サンフランシスコ郡裁判所は委員会の決定を承認した。

ロン氏は先月Googleと970万ドル(約10億4000万円)で和解している。しかしレヴァンドフスキ氏は決定に不服を申立てた。サンフランシスコ郡最高裁判所は米国時間3月4日、同氏の申立を却下して同氏に和解契約を守らせるためのGoogleの請願を許可した。

和解金は必ずしもレヴァンドフスキ氏個人が支払う必要はない。この種の義務は会社との契約あるいはその他の奇妙な法律によって、同氏の雇用主に帰せられる場合があるからだ。しかし、同氏は本日付で破産申請をしており、1億7900万ドルの負債は自身の資産額よりはるかに大きいと表明している。同氏の資産は5000万~1億ドルと推定されている。

レヴァンドフスキ氏の代理人は本件についてのコメントを拒んだ。

【編集部注】本稿にはDevin Coldeway(デビン・コールドウェイ)記者が協力した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

GMは米国時間3月4日、新しい電気自動車用アーキテクチャーを公開した。これは、GMの将来のEV計画の基盤となるもので、コンパクトカーから業務用トラック、大型の高級SUV、高性能車、さらにこの夏に発売が予定されている新型Bolt EUV Clossover(ボルトEUVクロスオーバー)に至る、同社の車種に幅広く採用される。

Ultium(アルティウム)と呼ばれるこのモジュラー式アーキテクチャーは、19種類のバッテリーと駆動系の組み合わせに対応する。400V(ボルト)と800Vトのバッテリーパックが使用でき、充電容量は50kW/h(キロワット毎時)から200kW/h。前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動の設定ができる。

EVアーキテクチャーのモジュール化にこだわった背景には、Cruise Origin(クルーズ・オリジン)自動運転タクシー、コンパクトなChevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルトEUV)、GMC Hummer(GMCハマー電動トラック兼SUV、それに先日発表されたCadillac Lyriq SUV(キャデラック・リリックSUV)など、同社の製品を全般的に電動化するというGMの意欲がある。3月4日にGMはこれまで一般公開されず姿を見せることがなかった数々の新型EVも発表し、モジュラー方式にしたことで同社の車種に幅広く対応できることを示していた。そこにはキャデラックのフラッグシップとなる大型セダンであるCelestiq(セレスティーク)も含まれていた。

Celestiqは、将来キャデラックのシリーズに加わる大型電動SUVとともにデトロイト地区で手作りされると、GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は話していた。同社のBUICK(ビュイック)ブランドの将来のクロスオーバー2車種のスタイルは、明らかにTesla(テスラ)を意識している。シボレーの中型クロスオーバーは、その他のGMの(今後の)EVラインアップがみな高級志向なのに対して、手の届きやすい価格帯に設定されている。

これほど多様な車種を単一のアーキテクチャーで賄うことにより、これまでは少量生産で収益性に課題があったEV市場に、必要に応じてスケールできる可能性と資本効率性がもたらされる。GMは、このスケール性でバッテリーパックのコスト削減と機構の単純化を果たした。バッテリーパックの配線の量は、現在のシボレー・ボルトの場合と比較して80%少なくなり、バッテリーパックのコストも1kW/hあたり100ドルを切った。

この新型モジュラー・アーキテクチャーの心臓部には、大容量のパウチ型バッテリーセルが使われる予定だ。これは、韓国のLG化学とGMとの合弁製造事業の一環として製造される。両社は2019年12月、オハイオ州ローズタウンの工場でGMの電気自動車向けバッテリーセルを大量生産すると発表した。

GMは、リチウムイオンと電子製品のサプライヤーであるLG化学とは10年来の取り引きがある。この合弁事業はGMにとって、電気自動車分野での躍進力を高める転換点となるだろう。

GMとLG化学は、新しいニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム(NCMA)バッテリーセルを共同開発した。どの大容量パウチ型バッテリーよりもコバルトの含有量が少ないとGMは話している。平坦な形状の充電式パウチ型セルは縦に重ねることができるため、テスラやRivian(リビアン)などが好む円筒型セルと比べてパッケージングの柔軟性が高く、室内空間も広くとれる。

GMとLG化学の合弁事業は、23億ドル(約2470億円)規模の工場を春に着工する。そこでは、年間30GW/h(ギガワット毎時)ぶんのセルを、余裕をもって生産できる。両社は、ゆくゆくはセルの化学成分からコバルトとニッケルを完全に排除できるよう共同研究を進め、劣化したセルを修復する電極内添加物の開発、固体電池の可能性も探っていく。

GMからの電気自動車の第一波は、今年後半に発売される新型シボレー・ボルトから始まる。来年の夏にはボルトEUVクロスオーバーが続くが、これはキャデラック以外で、手放しで自動運転ができるSuperCruise(スーパークルーズ)運転補助システムが搭載される最初の車になる。また今年後半、GMは新型高級電動SUVを2車種発表する予定もある。ひとつは2021年に生産を開始するGMCハマーEV
、もうひとつは2022年に発売されるキャデラック・リリックだ。

GMの新しいEVアーキテクチャーは、充電能力がレベル2、10分間の充電で最大100マイル(160キロメートル)走行できる高速直流充電に対応する。だがGMは、高速充電ネットワークを自社で整備することはない。Chargepoint(チャージポイント)やEVgo(イーブイゴー)などの公共充電ネットワークをmyChevrolet(マイシボレー)モバイルアプリでまとめて利用できるようにし、EVgoの充電器ではアプリ内で精算できるようにする。またGMは、Qmerit(キューメリット)と提携して認定充電器を家庭に設置する事業も進める。EVオーナーの80%は家で充電しているからだと同社は話していた。

【編集部注】筆者のEd Niedermeyerは、作家・コラムニストでポッドキャスト「The Autonocast」の共同主宰者。今年8月に「The Unvarnished Story of Tesla Motors」を出版した。

画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

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(翻訳:金井哲夫)

NASAがスタートアップを含む民間17社と都市空域交通の変革に取り組む

NASA(米航空宇宙局)は、スタートアップ企業や一般企業17社と共同で、Urban Air Mobility Grand Challengeを(アーバン・エア・モビリティ・グランドチャレンジ)企画し、都市部の移動手段を変える計画を推進する。

「すべて実現した暁には、この新しいUrban Air Mobility(都市空域交通)システムによって、不便な地域や遠隔地域への宅配、タクシー、先端航空医療サービス、貨物輸送などが可能になる」とNASAは声明で語った。

「Grand Challengeシリーズには、新しい交通手段や空間管理技術を開発する企業が集結する」とNASAは説明する。「この一歩と共に取り組みを続けることで、小型無人航空機が都市や郊外を飛び回ってさまざまなサービスを提供するという長年期待されてきた光景を早く実現できると期待している」とNASAの航空学副長官であるRobert Pearce(ロバート・ピアース)氏が声明で語った。

企業を集めて共同作業するだけでなく、規制当局にも技術情報を提供し、協力して早期に空域交通を大衆化する方法を探ろうとしている。同氏は声明で「FAA(連邦航空局)との提携は、今後数年間に予定されている一連のグランドチャレンジを通じて、業界にとって有効かつ安全な結果が生まれるために不可欠だ」と語った。

契約の締結は、2022年に行われるチャレンジ企画の公式コンペに向けての最初の一歩だ。今年中には、予備的な技術テストが行われる。「これはグランドチャレンジ1に向けてリスクを軽減するための1手段とわれわれは考えている」とNASAのグランドチャレンジ責任者、Starr Ginn氏は言う。「技術テストでは、米国の航空機会社と空域管理サービス会社が経験を積むために、NASAも飛行テストに使っているシミュレーション環境で自社のシステムを実地運用できる」と同氏。

チャレンジのための提携には以下の3つのカテゴリーがある。

  • 開発用飛行テスト:チャレンジで飛行する航空機を提供する産業パートナー。
  • 開発用空域シミュレーション:NASAが設計した都市交通用空域シミュレーション環境で交通管理サービスをテストする企業。
  • 航空機メーカーとの情報交換:このカテゴリーのパートナーは、自社の航空機に関する情報を提供して、NASAが2022年のグランドチャレンジで実施される飛行活動に向けて準備ができるよう、密に共同作業を行う。

グランドチャレンジの管理は、都市空域交通を管理するためにNASAの航空研究ミッション局(ARMD)内に設立されたAdvanced Air Mobilityプロジェクトを通じて行われる。チャレンジ企画に参加する企業は以下のとおり。

  • Joby Aviation(ジョビー・アビエーション、カリフォルニア州サンタクルズ)
  • AirMap(エアマップ、カリフォルニア州サンタモニカ)
  • AiRXOS(バージニア州シャンティリー)
  • ANRA Technologies(アンラ・テクノロジーズ、バージニア州シャンティリー)
  • ARINC(エーアールインク、アイオワ州シーダーラピッズ)
  • Avision(エービジョン、カリフォルニア州サンタモニカ)
  • Ellis & Associates(エリス&アソシエーツ、カリフォルニア州ロサンゼルス。同州パロアルトのLacuna Technologiesの完全子会社)
  • GeoRq(ユタ州ホラデイ)
  • Metron Aviation(メトロン・アビエーション、バージニア州ハーンドン)
  • OneSky Systems(ワンスカイ・システムズ、ペンシルベニア州エクストン)
  • Uber Technologies(ウーバー・テクノロジー、カリフォルニア州サンフランシスコ)
  • The University of North Texas(ノース・テキサス大学、テキサス州デントン)
  • Bell Textron(ベル・テクストロン、テキサス州フォートワース)
  • The Boeing Company(ザ・ボーイング・カンパニー、バージニア州シャンティリー)
  • NFT(カリフォルニア州マウンテンビュー)
  • Prodentity(プロデンティティー、ニューメキシコ州コラレス)
  • Zeva(ゼバ、ワシントン州スパナウェイ)

画像クレジット:CurvaBezi

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定

フランスの破棄院(Court of Cassation)は、「Uberドライバーは自営業のパートナーとしてではなく従業員として扱われるべきだった」と裁定した。破棄院は司法訴訟に関する最高裁判所であるため、Uberはもう上訴できない。

2017年6月、1人のUberドライバーがアカウントが凍結されたためにUberを相手取って訴訟を起こした。労働裁判所は当初この訴訟を「従業員と雇用主の間のものではないために扱うことはできない」と判断した。

そのため、パリの別の裁判所がこの訴訟を引き受け、UberドライバーとUberの間には雇用関係があったと裁定した。裁判所によると、Uberとドライバーの間には従属関係があった。別の言葉で言うと、ドライバーはUberの命令に従っていた。

パリの裁判所は、ドライバーが自前の顧客ベースを構築できず、価格も決められなかった点を指摘した。ドライバーはまた、「Uberが仕事を監督していて乗車の提供を3回断ると『まだ働いている?』というメッセージを受け取っていた」と主張した。

この裁判は結局、破棄院の判断を仰ぐことになった。「ドライバーがUberのデジタルプラットフォームでオンラインになると、ドライバーとUberの間には従属関係が生じる。これに基づくと、ドライバーは自営業としてではなく、従業員としてサービスを提供している」と破棄院は書いている。

破棄院はまた、「自営業の人はクライアントを自分で管理する、価格を設定する、タスクをどのように実行するかを決める、という3つのことができなければならない。Uberはこうした要件をクリアしていなかった」とも指摘した。

Uberはドライバーが乗車を引き受けてからでなければ行き先を明かさないので、ドライバーは行先によって乗車を引き受けるか断るかを決められない。もしドライバーが何回も乗車を断ったり、悪い評価を付けられたらドライバーはアカウントにアクセスできなくなる。

「ドライバーは管理された輸送サービスに参加し、Uberは一方的に運営条件を決めている」と破棄院は指摘する。たとえドライバーが「おとがめ」を伴うことなく数日間Uberの使用をやめることができたとしても、それは今回の訴訟とは無関係だ、という考えも示した。

Uberの広報は下記のようなコメントを出した。

今回の裁定は、Uberのアプリを2017年から使っていないドライバーに関係するものだ。なぜドライバーがUberの使用を選んだのか、その理由がこの裁定には反映されていない。働くための自立と自由だ。過去2年間、我々は手厚い社会的保護を提供するとともに、Uberの使い方についてより多くの裁量をドライバーに与えようと変更を加えてきた。

そして我々は振り出しに戻る。今度は労働裁判所がこの訴訟を担当する。今回の裁定に基づいて、前ドライバーが金銭の補償を受けるべきかどうかを決める。

他のドライバーも自分の訴訟に最高裁判所の判断を生かすかもしれない。Uberが何と言おうと、今回の裁定はUberと、フランスで自営業のパートナーとマーケットプレイスを運営している他の企業が従わなければならないものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

BMWのコンセプトカー「i4」、2021年予定の量産型が見えてきた

BMWは米国時間3月3日、近く発売が予定されるi4のコンセプトカーを公開した。EPA電費は推定270マイル(約435キロメートル)、出力は530馬力という、ガソリンエンジン搭載のハイパフォーマンスカーM3の性能を凌ぐ完全電動4ドアグランクーペだ。

i4コンセプトカーは、ジュネーブの国際モーターショーがコロナウイルスの影響で中止になったためインターネット上で公開されたが、2021年に生産開始の予定が組まれている。BMWはここしばらく、電気自動車i3の次に出る車両について語り、情報を小出しにしてき。2019年11月には、ロサンゼルスのオートショーでi4の仕様の一部を公表している。そして今回の最新発表では、i4がどんなスタイルになるのかが、一層はっきりしてきた。また、インテリアと電費の予測値に関する情報も少しだけ公開されている。

このコンセプトカーは、ロングホイールベース、ファストバックのルーフライン、ショートオーバーハングという形状で、量産型はこれに近くなることがうかがえる。i4はツーボックスのi3とは、ずいぶんかけ離れたスタイルだ。

前面には通気性のないグリルがある。その目的は、過去のガソリンエンジン車のイメージを引き継ぐためだけではないとBMWは話している。さまざまなセンサーを搭載するためにグリルが使われるとのことだ。

おそらく、巨大な腎臓のような形のフロントグリル以外に、もっとも注目すべき点は、ガラスのルーフと車内に配置された湾曲したデジタルディスプレイだろう。

量産型にもこれと同じものが搭載されるかは定かでないが、インテリアのタッチ操作が基本になり、ボタンやノブは少なくなると予想される。BMWが1画面デザインにこだわり続けるかどうかも見どころだ。下の写真では、コンソール部分にノブが1つしかないことがわかる。

BMWのEV計画を詳しく追いかけてきた人は覚えているだろうが、i4の電費は600キロメートルになると言われていた。その数値はライバル車よりも頭ひとつ抜き出るものだが、EPA電費なのかヨーロッパのWLTP電費なのか、基準が明確にされていなかった。EPAのほうが控えめな値になることが多い。BMWは、今回その電費を明らかにし、EPA推定値270マイル(約435キロメートル)と公表した。

i4は、5代目のBMW eDriveを搭載する。新型の電動モーター、電力制御系、充電ユニット、高電圧バッテリーを搭載したプラットフォームだ。この第5世代プラットフォームは、iNEXT SUVと中国市場に投入されるiX3にも使われる。i4の80キロワットのバッテリーパックはフラットな形状をしており、BMWによると重量は550キログラムとのこと。ちなみに、Tesla Model3のバッテリーの重量は480キログラムだ。

i4コンセプトの発表は、電動化を深いレベルで推し進めるとBMWが以前から公言していた姿勢を示すものだ。2019年11月、BMWは中国のバッテリーセルメーカーContemporary Amperex Technology Co.(寧徳時代新能源科技:CATL)と韓国のSamsung SDIから100億ユーロ(約1兆2000億円)を投じてバッテリーを調達すると発表した。2018年中ごろに発表されたCATLとの最初の契約では、40億ユーロ(約4800億円)相当のバッテリーセルを購入するという話だった。今度の新規契約は2020年から2031年までの期間にわたるものだと、同社は同時に公表した。

BMWグループは、ドイツのエアフルトに建設中のCATLのバッテリーセル工場における最初の顧客となる。CATLをドイツに招致するうえで、BMWは大きな役割を果たしたと、BMW AGの取締役会メンバーであり、購入とサプライヤーネットワークの責任者であるAndreas Wendt(アンドリアス・ベント)氏は話していた。

画像クレジット:BMW

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(翻訳:金井哲夫)

自動運転のWaymoが初の外部資金調達で約2430億円を確保

以前はGoogleの自動運転車プロジェクトで、現在はAlphabet傘下となっているWaymo(ウェイモ)は3月2日にSilver Lake、Canada Pension Plan Investment Board(カナダ年金制度投資委員会)、Mubadala Investment Companyがリードするラウンドで22億5000万ドル(約2430億円)を調達したと発表した。

Waymoにとって初の外部資金調達となる。その他の出資者はMagna、Andreessen Horowitz、AutoNationそして親会社のAlphabetだ。

「我々はOEMやサプライヤーパートナー、提携企業、そして世界で最も経験のあるドライバーを構築して展開しようとしているコミュニティとコラボしながら、ミッションに対して常にチームスポーツのように取り組んでいる」とWaymoのCEO、John Krafcik(ジョン・クラフシック)氏は3月2日に投稿したブログの中で述べた。「今日、我々は投資家と重要な戦略的パートナーを加えることでそのチームを拡大する。こうしたパートナーは過渡期にあるプロダクトをつくるのに成功しているテック企業をサポートしたり、投資したりといった何十年にもわたる経験を我々にもたらす。今回注入される資本とビジネスの知見により、世界中でWaymo Driver展開をサポートするために、Alphabetとともに我々は従業員やテクノロジー、オペレーションにさらに投資する」

今回のラウンドは、Waymoが営利企業になろうと努めてきたさまざまな活動に続く動きだ。活動の多くはフロリダのような新ロケーションでのマッピングと、自動運転車両テクノロジーのテストだ。その一方で、カリフォルニア州マウンテンビューや、フェニックスエリアで展開する車両の拡大も続けてきた。

Waymoは長らくテストと、フェニックス郊外での自動運転車両を使ったWaymo Oneと呼ばれるオンデマンド配車サービスの立ち上げに注力してきた。

しかし他方面での拡大も行ってきた。配達や輸送、カスタムライダーセンサー販売開始計画など、自動運転車両技術を応用したロボティクスやセキュリティ、農業テクノロジーなど自動運転車両以外の企業向けの新たな事業の模索だ。

2020年1月、Waymoはテキサスとニューメキシコの一部でマッピングと、自動運転長距離トラックのテストを行うことを発表した。

Waymoはまた買収や提携を通じても事業を拡大させてきた。2019年12月に同社は、オクスフォード大学コンピューターサイエンス部門からのスピンオフであるLatent Logicという英国企業を買収した。同社は、Waymoのシミュレーション研究を強化しうるイミテーションラーニングと呼ばれる機械学習のフォームを使っている。この買収でWaymoは同社初の欧州エンジニアリングハブをオクスフォードに設置する。

2019年春にWaymoは、4月に廃業したロボティックスタートアップのAnkiからエンジニア13人を採用した。このロボティクス専門家の中にはAnkiの共同創業者で前CEOのBoris Sofman(ボリス・ソフマン)氏も含まれる。ソフマン氏は自動運転トラック輸送部門のエンジニアリングを率いている。

Waymoはまた、フランスや日本で商業自動運転車両を乗客輸送と荷物配達でどのように活用できるかを調べる独占的パートナーシップRenault(ルノー)、そして日産と結んだ。

画像クレジット: Waymo

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(翻訳:Mizoguchi