Geolonia、ベクトルタイル形式地図開発を支援する2つのツールを国土地理院との契約により開発―オープンソースとして公開

Geolonia、ベクトルタイル形式の地図開発を支援する2つのツールを国土地理院との契約により開発―オープンソースとして公開

地図、地理空間情報、ロケーションデータの分野で事業を展開する位置情報テクノロジー・スタートアップGeolonia(ジオロニア)は3月29日、ベクトルタイル形式の地図開発を支援する2つのNPMパッケージ「itoma」(イトマ)と「kata」(カタ)を開発し、オープンソースソフトウェアとして公開したと発表した。これは、国土地理院との契約により開発されたもので、国連OpenGISイニシアチブが推進する国連ベクトルタイルツールキットプロジェクトの一部として、MITライセンスで公開されている。同社としては、政府機関からオープンソース化を前提として受注した初めての事例という。

国連OpenGISイニシアチブとは、国連の平和維持活動に必要なオープンソースのGIS(地理情報システム)を開発するための取り組み。Geoloniaは、2021年11月から、地図デザイン編集ソフトウェア「Charites」(カリテス)を提供し参画している。今回開発された2つのツールは、ベクトルタイル形式の地図データを処理するためのNPMパッケージ(JavaScriptのパッケージ管理システム)となる。

itoma」は、ベクトルタイル形式の地図をプレビューするためのコマンドラインツールだ。データで配信されるベクトルタイルを地図として表示する。これを使うことで、ウェブサイトに地図を表示させたり、地図を使ったアプリケーションの開発が楽に行えるうよになる。

kata」は、地図データのデータ形式を他の形式に変換するためのコマンドラインツール。metadata.json形式のファイルを表形式に変換したり、YAML形式のファイルを、地図開発プラットフォーム「Mapbox」がオープンソースで提供するツール「Tippecanoe」の形式に変換するといったことができる。

Geoloniaは、今後もデジタル地図のオープンソース化を進めるべく活動してゆくとのことだ。

NVIDIAが自動運転業界向けマッピング製品を発表

NVIDIA(エヌビディア)は、2024年までに北米、ヨーロッパ、アジアの30万マイル以上の道路をカバーするグランドトゥルースマッピングを自律走行車業界に提供する新しいマッピングプラットフォームを立ち上げたと、創業者でCEOのJensen Huang(ジェン・スン・フアン)氏が米国時間3月22日の同社のGTCイベントで述べた。

「Drive Map(ドライブ・マップ)」と名づけられたこのプラットフォームは、高度な自律走行を可能にすることを目的としている。Drive Mapは、NVIDIAの既存顧客だけのものではなく、AV業界向けの同社の既存のソリューションを補強するものだ。

同イベントでは、さまざまなスマートドライビングや高度な運転支援機能を提供するために、Mercedes(メルセデス)、Volvo(ボルボ)、JiDu、そして3月22日の時点では、BYDとLucid Motors(ルーシッド・モーターズ)によって使用されているNVIDIAのセンサーおよびコンピュート自動運転ツールキットであるDrive Hyperion(ドライブ・ハイペリオン)の次世代版を発表した

TuSimple(ツー・シンプル)、WeRide(ウィーライド)、Zoox(ズークス)、DeepRoute.aiなどのAV企業もHyperionの顧客である。

Drive Mapは、NVIDIAが2021年買収した高精細マッピングのスタートアップDeepMap(ディープマップ)の成果を表している。このツールは、DeepMapの正確な測量地図と、NVIDIAのHyperionアーキテクチャを使用するすべての車両からクラウドソースされた匿名の地図データを組み合わせることで、センチメートルレベルの精度を提供する。このマッピングツールはカメラ、ライダー、レーダーの3つのローカライゼーションレイヤーを備えており、自律走行に必要な冗長性を提供する。

NVIDIAの顧客から引き出されたすべてのデータは、車両の走行中に常にクラウドにアップロードされている。そして、仮想コラボレーションとリアルタイムの物理的に正確なシミュレーションのために構築されたNVIDIAのオープンプラットフォーム、Omniverseに集約されており、車両が適切な定位を達成できるように地図を更新するために使用される。この過程で、NVIDIAはより迅速にマッピングの範囲を拡張することができる。

さらに、Omniverseは詳細なマップを構築するために、自動コンテンツ生成ツールを使用し、それを自律走行車のエンド・ツー・エンド・シミュレーション・プラットフォームであるNVIDIA Drive Simで使用できる走行可能なシミュレーション環境に変換している。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Yuta Kaminishi)

Appleマップ、ロシア以外のユーザーにはクリミアをウクライナの一部として表示するように

Appleマップは、新しい静かなアップデートと思われる変更で、ロシア国外から見たときにクリミアがウクライナの一部であると表示するようになった。この変更は、ロシアがウクライナへの侵攻を続けている中で、Mashableが最初に報じている。現在、クリミアを検索したりクリックすると、ウクライナ領として表示されるようになっている。Apple(アップル)は、この変更に関するTechCrunchのコメント要請に応じておらず、この件に関して公には触れていない。

ロシアは2014年、ウクライナ南部クリミア半島に侵攻して併合し、国際的な非難を浴びた。この侵攻を受け、ロシアはG8からの参加停止と制裁を受けた。

Appleマップのスクリーンショット

過去にAppleは、ほとんどの地域で閲覧される際にクリミアをどの国の一部としても表示しないことで、中立的な立場を取ろうとした。しかし、2019年、Appleはマップアプリをアップデートし、ロシア国内の閲覧者に対してはクリミアをロシア領とマークするようにした。当時、ロシア当局は、Appleがアプリをロシアの法律の要件に適合させることで「義務を果たした」と述べていた。この決定は、ウクライナ当局から大きく批判された。

Appleは現在、米国を含む他の国から地図を見たときに、クリミアはウクライナの一部であると表示することで、異なる姿勢をとっている。新しいマップの変更は、同社がロシアでの製品販売を停止したことを確認した数日後に行われた。ハードウェアの巨人はまた、App StoreからSputnik(スプートニク)とRT Newsアプリを排除し、同国でのApple Payサービスの一部を停止した。

「ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮しており、暴力の結果として苦しんでいるすべての人と共に歩む」と、Appleの広報担当者はその際、TechCrunchに語っていた。「侵攻に対してさまざまな行動を起こしています。状況を評価し続け、当社が取っている行動について関係各国政府と連絡を取り合っています。我々は、世界中の人々と共に平和を求めます」。

画像クレジット:Apple

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

ロシア侵攻でウクライナ市民は暗号化メッセンジャー、オフライン地図、ツイッターを積極利用

ウクライナの人々はロシアによる侵攻を受けて、オフラインで使える地図アプリや暗号化されている通信アプリに目を向けている。侵攻により、数百万の人々が家を離れ、抗戦するか近隣諸国に逃れている。アプリストア分析企業Apptopiaのデータによると、ここ数日、ウクライナの人々はTwitterやストリーミングラジオアプリなど、最新のニュースや情報を入手できるさまざまなコミュニケーションアプリやオフライン地図などをダウンロードしている。

現在、同国のiOS App Storeでは、プライベートメッセンジャーのSignal、メッセージングアプリのTelegram、Twitter、オフラインメッセンジャーのZelloやBridgefyがトップ5にランクインしている。その他トップ10にはWhatsApp、そしてオフライン地図アプリのMaps.Meが入っている。Maps.MeはGoogle Mapsよりも6つ上にランクインしていて、Google Mapsは現在、リアルタイムの交通状況(セキュリティリスクとされる情報)の提供を停止している。そしてSpaceXのStarlinkアプリが入っていて、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が衛星インターネットサービスが現在ウクライナで利用できるようになっていると発表してから39ランクアップした(もちろん、このサービスが必要とされる場所で実際にどの程度利用可能であるかは、今後のアプリの順位に反映されるかもしれない)。

関連記事:グーグル、ウクライナでGoogleマップのリアルタイム交通状況ツールを無効に

メッセージングアプリの上位に入っているものの中で、より多く採用されたアプリがいくつかある。

2022年2月24日のロシアの侵攻開始から2月27日までの間、Telegramの新規インストール数はApp StoreとGoogle Play合計で5万4200回とトップで、1月の同時期から25%増加した。一方、オフラインメッセージングアプリのBridgefyは、新規インストール数の増加率が最も高く、1月同時期にわずか591回だったダウンロードが、ここ数日で2万8550回と、前月比で4730.8%増という大幅な伸びを記録した。

同じくトランシーバーアプリのZelloは、1月24~27日のダウンロード1万2540回から、2月24~27日は2万4990回へと99.3%増加した。Signalの増加率は20.6%と控えめだが、1月の同期間のインストールは3万9780回、ここ数日では4万7990回とかなり強力な採用を誇っている。

もちろん、セキュリティに関しては、すべてのメッセージングアプリが同じように作られているわけではない。

Signalは最も安全なアプリで、エンド・ツー・エンドの暗号化を提供し、アカウント作成日以降のデータは収集されない。一方、Telegramはデフォルトではエンド・ツー・エンドの暗号化を提供していないが、ユーザーが暗号化された「秘密のチャット」機能を手動で有効にすることができる。ただし、TelegramはSignalの創業者Moxie Marlinspike(モクシー・マーリンスパイク)氏から、主張するほど安全ではないとの批判を受けており、その主張は長年にわたり他のセキュリティ研究者や暗号技術者などによっても支持されている

マーリンスパイク氏は最近Twitterで、Telegramが安全でないことをウクライナの人々に再び注意喚起し、Telegramはデフォルトで、誰もがこれまでに送受信したすべてのメッセージのプレーンテキストのコピーを持つクラウドデータベースになっているとツイートしている。

トランシーバーアプリのZelloは、1対1およびグループでの会話をエンド・ツー・エンドで暗号化しているとされているが、同社が2020年にセキュリティ侵害に直面していたことは注目に値する。Bluetoothとメッシュネットワークのルーティングに依存する人気の抗議アプリBridgefyも、過去数年にわたり数々のセキュリティ問題に直面してきた。このアプリは香港、インド、イラン、レバノン、ジンバブエ、米国での抗議活動の際に利用者が急増したが、2020年には深刻な脆弱性が見つかり、「プライバシー災害」と呼ばれることになった。

その後、エンド・ツー・エンドの暗号化のサポートを展開したものの、2021年にアプリを分析した暗号技術者は、それらの修正が不十分であることを発見した

メッセンジャー以外のアプリで、ここ数日ウクライナで急増しているのは、ストリーミングラジオとTwitterのアプリだ。

通常、TwitterはiOSのNewsカテゴリで1位だが、総合順位は90位から130位程度に落ち着いている。しかし、2月27日時点で、ウクライナのiOS App Store総合チャートでは前日から2ランクアップして4位、Google Playでは15ランクアップして28位となった。2月27日にTwitterはiOSとAndroidで約7000回ダウンロードされ、これは1日のダウンロード数としては過去最多だ。

画像クレジット:Apptopia ウクライナのアプリストア 2022年2月27日

ストリーミングラジオアプリのRadios UkraineとSimple RadioはApp Storeでも順位を上げ、現在それぞれ19位と21位につけている(Facebookが20位で、その間に入っている)。

Google Playのウクライナのトップチャートは、少し様子が違う。

Signal、Bridgefy、Telegram、Zelloもトップ5に入っているが、エンド・ツー・エンドの暗号化を提供するAndroid専用のピア・ツー・ピアメッセンジャーBriarもランクインしている。オフライン地図アプリのMaps.Meは11位、Two Wayとシンプルな名前の別の双方向トランシーバーアプリは15位で、WhatsAppがそれに続く。

ウクライナのGoogle Playストア、2022年2月27日(画像クレジット:Apptopia)

両アプリストアとも、多くのゲームがトップチャートにランクインしている。家族が急場しのぎの防空壕に隠れたり、安全な場所まで長距離移動する間に、子どもたちを楽しませるためにダウンロードされたようだ。

世界の他の場所では、ロシア・ウクライナ戦争が他のアプリをチャート上位に押し上げている、とApptopiaは指摘する。

米国では、ニュースアプリのCNNとFox Newsがここ数日で急上昇し、ワシントンポストでは、国家間の緊張が高まる中、2月19日の侵攻に先立って1日のインストール数が過去最高(1万5000回)を記録した。

画像クレジット:Apptopia 米国ユーザーのニュースアプリダウンロード数

そして今、ロシアがニュースやソーシャルメディアへのアクセスを遮断したことで、VPNアプリの需要が高まっている。Apptopiaの調べによると、ロシアが国内でFacebookやTwitterなどのソーシャルメディアアプリへのアクセスを制限し始めた後、VPNアプリのトップ5は1日のダウンロード数が大幅に増加し、ユーザーは通常よりも1日に数万回多くVPNアプリをダウンロードした。しかし、ロシアの人々は、VPNが必ずしもセキュリティに優れているわけではないことに注意する必要がある。VPNプロバイダーは、インターネットトラフィックをISP(インターネットサービスプロバイダー)以外の誰かにルーティングするだけなので、セキュリティは、VPNプロバイダーをどれだけ信頼できるかに左右される。

急増するVPNアプリのダウンロード(画像クレジット:Apptopia)

画像クレジット:Anna Fedorenko / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグル、ウクライナでGoogleマップのリアルタイム交通状況ツールを無効に

Alphabet(アルファベット)は米国時間2月28日、取材に対し、ウクライナでGoogleマップのライブ交通状況ツールの一部を無効にしたことを明らかにした。Reuters(ロイター)が報じたこのニュースは、同国がロシア軍からの攻撃に直面している中で、同社が地元当局と協議した後に発表された。該当する機能に関して、広範なグローバルアクセスは無効になるものの、現地ドライバーのためのローカルターンバイターンナビゲーションは有効になっているとのこと。

人気の高い同社のマッピング技術は、ウクライナ侵攻の当初から意外な役割を担ってきた。カリフォルニア州のある研究施設では、ロシアの「特別軍事作戦」が公式に宣言される数時間前に、Googleマップの交通データと衛星画像を組み合わせて交通渋滞を発見し、ウクライナ国境に向かうロシア軍の接近を察知することができたという。

研究者のJeffrey Lewis(ジェフリー・ルイス)博士は、The Washington Post(ワシントン・ポスト)にこう語っている。「昔なら、現場で起きていることを教えてくれる記者に頼ったところですが、今日ではGoogleマップを開くと、キエフから逃げる人々を見ることができてしまいます」。

Alphabetの動きは、ロシア軍がウクライナ軍の動きを追跡するために、同様に情報を悪用する可能性があるという懸念からきているようだ。この件に関してAlphabetは、いつスイッチをオフにしたのか、他の世界的な紛争で同様の行動をとったことがあるのか、など具体的なことは何も述べていない。

現地では、ウクライナの人々はこの問題に対して、もっとはるかにオールドスクールなアプローチを取っている。同国の道路局であるUkravtodor(ウクライナ道路公団)は、ロシア軍を混乱させるため、道路標識を撤去し始めた

Ukravtodorは26日にソーシャルメディアに「やつらの地獄直行を手伝おう」と書き込んだ。「Ukravtodorは、すべての道路組織、領域共同体、地方自治体に、近くの道路標識の撤去を直ちに開始するよう呼びかけています」。

GoogleはTechCrunchの取材に対し、先週始まった侵攻に関しては直接のコメントを控えた

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

店舗の場所探しやサプライチェーンの最適化など、マップ上でのデータ可視化と活用を支援するCartoが約69億円調達

空間分析プラットフォームCarto(カート)がシリーズCラウンドで6100万ドル(約69億円)を調達した。多くの企業は、何らかの位置情報が結びついたデータを大量に収集している。Cartoは、そのデータをインタラクティブな地図上に表示し、より簡単に比較、最適化、比較検討、意思決定ができるようにする。

米国時間12月14日のラウンドは、Insight Partnersがリードしている。またAccel、Salesforce Ventures、Hearst Ventures、Earlybird、Kiboといった既存投資家の他、European Investment Foundも参加した。

多くの企業がデータ戦略に取り組み、何らかの知見を得ようとしている。まず、データウェアハウスを採用し、現在と過去のすべてのデータを1カ所に集約する。企業はAmazon Redshift、Google BigQuery、Snowflakeといった製品を利用している。

その後、ウェアハウスに蓄積されたデータを活用するために、さまざまなビジネスインテリジェンス、レポーティング、データ可視化ツールが用意されている。そのうちの1つが、空間分析に特化した製品を展開するCartoだ。

Cartoは、複数のソースからデータを取り込むことができる。過去のデータをローカルファイルとしてアップロードすることもできるが、ライブデータに直接接続することも可能だ。データベース(PostgreSQL、MySQL、Microsoft SQL Server)、クラウドストレージサービス(Dropbox、Box、Googleドライブ)、データウェアハウス(Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake)との接続を提供する。

「この3年間で、データウェアハウスが台頭し、データウェアハウスをベースにしたアーキテクチャはほとんどなかったところから、支配的な実装になりました」と、CartoのCEOであるLuis Sanz(ルイス・サンズ)氏は筆者に語った。「そのため、我々はすべての主要なデータウェアハウスの上に空間的な拡張としてCartoを構築することに注力してきました。というのも、この傾向はちょうど加速しているところだからです」。

その後、顧客はSQLクエリを使ってデータを調べ、データを充実させることができる。特に、Carto独自のデータカタログを活用することができる。同社は、オープンデータソースと民間プロバイダーの両方から約1万のデータセットをコンパイルしており、約3600のデータセットがオープンデータだ。

すべての設定が完了すると、インタラクティブなダッシュボードが表示される。地図上を移動したり、レイヤーを選択・解除したり、実際の数字を見たりすることができる。まるで「シティーズ・スカイラインズ」をプレイしているような感覚になるはずだ。

顧客はCartoを使って、次の店舗を開くべき場所を探したり、屋外広告の予算を一部の地域に優先配分したり、サプライチェーンを最適化したり、適切な地域に携帯電話の基地局を配備したりしている。

地方自治体、銀行、消費財メーカー、クレジットカードネットワーク、そして交通機関、公共事業、通信事業といったインフラ企業など、さまざまな顧客を納得させることができるのはそのためだ。

「データウェアハウスの台頭により、企業はすべてのデータを1カ所で統合し、接続することができるようになりましたが、地理空間データも例外ではありません。そして今、我々のクラウドネイティブサービスによって、その上で空間分析を行うことができるようになりました。当社のSpatial Extensionは、主要なデータウェアハウスの上で動作し、その利点を最大限に活用します。そしてユーザーに高いパフォーマンス、拡張性、安全性を備えた地理空間分析のための完全なツールを提供します」とサンズ氏は声明で述べた。

基本的に、Cartoはデータウェアハウスへの移行と一般的なデジタルトランスフォーメーションの恩恵を受けている。より多くの企業がクラウドに移行すれば、そうした企業はCartoの潜在顧客となる。

画像クレジット:Timo Wielink / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決を目指す

総務省がプログラミング未経験者も参加できる地理空間情報学習研修を無料開催、災害発生時を想定し課題解決サービスの開発目指す

ハッカソンやアイデアソンの運営を行うHackCampは、総務省の委託事業「令和3年度地理空間情報を活用可能な人材の裾野拡大に向けた人材育成プログラムに関する調査研究の請負」の一環として「Geospatial Hackers Program 2021」をオンライン開催する(受講無料)。

これは、防災・観光・地域活性化などの有用なデータを可視化する技術「地理空間情報」の担い手育成を目的とした研修プログラム。自治体職員・NPO・市民団体・学生などプログラミング未経験者向け「初学者コース」と、プログラミング経験者向けの「技術者コース」とがある。動画教材を使い、実践的な学習をオンラインで行うというものだが、具体的な流れは、動画を使った自習(ハンズオン講習会の準備)、地理空間技術者によるハンズオン講習会、サービスプロトタイプ作りのための実践研修となっている。

講師は、実際に災害支援に参加した専門家である、高知県立大学の神原咲子特任教授(初学者コース)、静岡県建設政策課チーム(技術者コース)が担当する。実際に、「隣県で災害が発生した」という想定で被災地の課題解決に役立つサービスをチームで開発し、デモデーで優れたアイデアが表彰される。

「Geospatial Hackers Program 2021」概要

初学者コース

  • 対象者:プログラミング未経験者。自治体職員、NPO、市民団体、学生など。MS Officeが使える程度のコンピューターの知識が必要
  • 学習目標
    ・地理空間技術の概念とデータの種類を知る
    ・地理空間情報でできることを知る
    ・オープンデータを自分の力で地図に表現できる
    ・チームで1つのサービスを開発する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月8日9:30〜12:30
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」×オープンデータで避難所地図を作ろう

技術者コース

  • 対象者:プログラミング経験者。地理空間情報技術が未経験のエンジニアやプログラマー。シビックテックに興味のある技術者
  • 学習目標
    ・オープンソースのデスクトップGISソフト「QGIS」を操作・活用できる
    ・ウェブ地図ソフト「leaflet」を活用したウェブ地図が制作できる
    ・点群データの概要と基本的な活用ができる
    ・アイデアを地図サービスに展開するプロセスを習得する
  • ハンズオン講習会日程と内容
    ・2022年1月9日9:30〜14:30
    ・Leafletを利用した、地震ハザードステーションJ-SHISによる地震情報の可視化
    ・静岡県による3次元の地理空間情報「VIRTUAL SHIZUOKA」の点群データを使ってみよう!

実践研修は東日本エリアと西日本エリアに分かれて行われる。

東日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月22日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月23日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月5日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月12日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月19日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

西日本エリア日程と内容

  • 初学者向け
    ・2022年1月29日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年1月30日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)
  • 技術者向け
    ・2022年2月6日9:30〜17:00(Day1 / インプット・アイデア出し)
    ・2022年2月13日9:30〜11:30(自由参加・中間報告)
    ・2022年2月20日9:30〜17:00(Day2 / プレゼンテーション・参加者投票)

デモデー「Geospatial Hackers Program Demo Day」は2022年3月5日(予定。オンライン開催)となっており、各実践研修における参加者投票で、1位を獲得したアイデアについて発表・表彰を行う。

詳細はこちらから:https://ghp.connpass.com/

参加申し込みはこちらから:https://forms.gle/ctttEWi9FeDLqwc6A

ドラレコの映像からリアルタイムの都市のデジタルツインをつくるNexar

スマートドライブレコーダーで知られるNexarが、Qumra CapitalがリードするシリーズDのラウンドで5300万ドル(約60億4000万円)を調達した。その資金の一部は、クラウドソーシングで一般から提供されたドライブレコーダーの映像から作られ、自動車のOEM各社や都市に提供される、同社の「デジタルツイン」サービスの拡張に充てられる。

このラウンドにはState Farm VenturesやCatalyst、Banca Generali、Valorおよび以前からの投資家であるAtreides Management、Corner Ventures、Regah Ventures、Alephが参加している。

「Nexcarを始めたときから、物理的世界のGoogleになるというビジョンを持っていました。その後、多くのマシンやアルゴリズムが世界に関するデータを必要とするようになり、いずれビジョンどころか必要になると信じています」とNexarのCEOであるEran Shir(エラン・シール)氏は述べている。

Nexarのプロジェクトへの本格的な取り組みは、2019年に立ち上げた「Live Map」で始まった。サービスは、道路のリアルタイムの映像を提供し、コンピュータービジョンを使って工事や標識などの特徴をユーザーに教える。その後Nexarは、このサービスが提供する情報の層や特徴を増やしていった。2015年に創業された同社は、今では毎月1億5000万マイル(約2億4000万km)の道路映像を所有している。

今度の資金はデータの利用しやすさの向上と、ドライブレコーダーからの映像の更新サイクルを数秒に短縮して事故や道路陥没などをすばやく見つけることに使われる。たとえば、ネバダ州南部地方交通委員会はNexarのCityStreamプラットフォームを利用して、工事現場とその前後の交通量を減らしている。

また、シール氏によると、その特徴検出能力により、災害時の道路状況を早く把握可能、冬季には除雪済みの道路がわかるという。

都市行政だけでなく、この映像は自動車企業にも役に立つ。「あなたが自動車関連のOEMなら、Nexar CityStreamの『Autopilot or Supercruise(自動操縦または超高速走行)』を有効にして、障害物や事故や工事などがまったくない、長い道路区間を知ることができる。逆に工事があるときは、終了時にそれらの機能を再有効にできる」とシール氏。

Nexarのデータは、例外的な現象や衝突、異常な道路状況などを見つけられるため、自動運転車のシステムで使われるAIのモデルの訓練にも利用できる。

さらにシール氏は「3年から5年後の自動車がどうなってるか考えると、どれも自律性が極限まで達しているでしょう。そうなると、新しいタイプの地図が必要なはずです。私たちがこれから進んでいく未来には、Googleマップのような地図はもはや役に立たないでしょう」という。

画像クレジット:Nexar

[原文へ]

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

位置情報テクノロジーのスタートアップGeolonia(ジオロニア)は11月15日、国連の「国連オープンGISイニシアチブ」(UN Open GIS Initiative)に参画し、同社が開発した地図デザイン編集ソフトウェア「Charites」(カリテス)を寄贈したことを発表した。

国連オープンGISイニシアチブは、国連活動支援局が平和維持活動の一環として行っている取り組み。国連活動に使用できるオープンソースのGIS(地理情報システム)の開発を目指している。そのプロジェクトのひとつに「国連ベクトルタイルツールキット」(UNVT)がある。地図が不整備な国や地域での国連の活動を支援するために、地理的状況分析やインフラ整備などに必要となるデジタル地図が使えるよう、関連するツールを揃えることを目的としている。

この活動に参画したGeoloniaのCharitesは、すでにオープンソースソフトウェアとして公開されているベクトルタイル地図デザインツール。これまでベクトルタイル地図のデザインには、膨大なJSONファイルの編集が必要であり、専門的な知識がなければ扱いにくいものだった。それに対してCharitesは、YAMLフォーマットを採用し、コードの記述が簡略化され、専門知識がなくてもデジタル地図の作成が可能になる。地図を海、線路、高速道路といったカテゴリーで分類でき、CSSを編集する感覚で、色、サイズ、ズームレベルなど、地図を見ながらリアルタイムでデザインが行える。

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

Charites(カリテス)の編集画面

Geoloniaが国連オープンGISイニシアチブにオープンソースの地図デザイン編集ソフトCharitesを寄贈

地図をプレビュー表示しながら編集

また作成したデータは、MapboxMapLibreといった他の地図サービスにも反映できる柔軟性がある。こうした点が国連オープンGISイニシアチブから高く評価された。今後もイニシアチブのメンバーとして開発や協力を続けてゆくために、参画を決めたとのことだ。

CharitesはGitHubで公開されているため、誰にでも使える。日本語サンプルはこちら

やりたいことを提案してくれる「ポケットの中のコンシェルジュ」を目指したシティガイドアプリ「Welcome」

旅行先でも自分が住むエリアでも、街を探索する際にはGoogleマップやYelp、TripAdvisorなど、訪れるべき場所やするべきことを教えてくれるツールが役に立つ。しかし、今日のツールはよりスマートで、よりパーソナライズされたものであるべきだと考えたスタートアップがWelcome(ウェルカム)だ。同社の新アプリは「リアルタイム」テクノロジーを活用し、ユーザーの好みの他、天気、季節、交通量、話題になっていることなど、その時の状況にまつわるさまざまな詳細情報を考慮して、より厳選されたお勧め情報を提供してくれる。

Welcomeの共同設立者であるMatthew Rosenberg(マシュー・ローゼンバーグ)氏は「ポケットの中のコンシェルジュ」のようなシティガイドを目指していると話している。

画像クレジット:Welcome

ローゼンバーグ氏自身が設立した最初の会社であるモバイル動画作成アプリCameo(カメオ)が、Vimeo(ビメオ)に買収されたのはパンデミック前のこと。その後、当時のガールフレンド(現在の妻)とともに旅行をしたことがWelcomeを作るきっかけになったという。旅行中2人はヨーロッパ、ラテンアメリカ、米国の各地を訪れた。すばらしい経験であり、結果的に2人の距離を縮めることになったと同氏は振り返る。

「しかし、たとえ美しい場所やすばらしい美術館にいても、すてきなランチをしていても、携帯電話にかじりついて次はどこに行こうかと考えている自分に気づきました」と同氏は話す。Googleマップや友人からのおすすめ情報を調べたり、レビューを読んだりして、常に次の目的地を探すのに必死になっていたのである。

この経験がきっかけとなり「単純な場所のおすすめという枠を超え、自分の生活や身の回りで何が起こっているかを観察して、よりスマートな提案をしてくれるような賢いツールはないのだろうか」と考えるようになった同氏。

画像クレジット:Welcome

これが今のWelcomeの開発へと繋がった。Welcomeは、インテリジェンス、レコメンデーション、パーソナライゼーション、さらには写真や動画などのメディアを組み合わせて、ユーザーがやりたいことを見つけられるようにするシティガイドアプリだ。

ローゼンバーグ氏はVimeoの社員であるPeter Gerard(ピーター・ジェラルド)氏、Mark Armendariz(マーク・アルメンダリス)氏、Mark Essel(マーク・エッセル)氏と同スタートアップを共同で設立。2019年にはWelcomeの初期バージョンを市場テストのような形で発表した。アイデアがみとめられてAccelからのシードマネーを獲得することができ、これが彼らが思い描いていたアプリのバージョンを構築するための十分な資金源となった。

そしてついにそのバージョンがApp Storeに登場した

Welcomeを最初に起動すると、自分の興味に関する情報を提供する項目や、Condé Nast(コンデネスト)、Lonely Planet(ロンリープラネット)、Eater(イーター)、Culture Trip(カルチャートリップ)、Food & Wine(フードアンドワイン)などの中から自分がフォローしたい出版社を選択できるというオプションが用意されている。こういったコンテンツがWelcomeのおすすめ機能を賢くしていくという仕組みとなっている。

画像クレジット:Welcome

アプリのホームフィードをスクロールすると、現在調べている都市の関連記事を見ることができる。地図上には、レストランならチーズバーガー、バーならマティーニグラス、ファーマーズマーケットなどの屋外イベントなら木といったように、その場所に関連したアイコンが候補として表示されるようになっている。

それぞれの場所をタップすると写真やビデオが表示され、道順やウェブサイト、電話番号へのリンクの他、UberやLyftを発注するためのボタンなどが表示される。また他のWelcomeユーザーに向けてアドバイスを残したり、リストをお気に入りとしてマークしたりタグを追加したりすることもできる。

地図の上部にあるボタンで、フード、ドリンク、アクティビティ、アートなどから選択肢をフィルタリングすることも可能だ。

アプリ自体は、ユーザーインターフェースも上手くデザインされているが、企業の評価やレビューなどのユーザー生成コンテンツの収集に重点を置いたアプリに比べると使い勝手はあまりよくない。

例えば自分が撮った写真や動画をどのようにその場所に掲載できるのか、すぐには理解することができなかった。自分のメディアをアップロードするための「追加」ボタンが目立つように設定されているカ所もあるが、そうではないところもある。実際には「追加」ボタンがないわけではなく右にスクロールしないと表示されないようになっていたのだが、その画面がスクロール可能かどうかさえもよく分からないようになっており、単に「追加」ボタンが存在しないように見えるのである(以下の例を参照)。

Welcomeのスクリーンショット

それでも、Welcomeの基礎となるデータや解析エンジンは非常に興味深い。チームが開発したカスタムツールは、出版社の記事に含まれるキーワードを拾い上げてタグに変換されるようなっており、最終的にはこの技術をローカルブログなどのあらゆるサイトに拡張し、ウェブブラウザーの拡張機能などを使ってユーザーがクリックして保存できるようにしたいと考えている。さらに同社はスプレッドシートやメモ、電子メールなど、意外な場所で人々が集めている旅行リストやメモを取り込む方法を提供したいとも考えている。

将来的には旅行コンテンツの制作者からの提案やガイドを統合して、より充実した提案をしていきたいと考えている同社。これにより、特定のクリエイターや出版社のプレミアム旅行ガイドを有料で提供するというビジネスモデルも可能になるだろう。また、チケットの予約など、アプリ内での取引を増やしていくことで、レベニューシェアの実施も計画している。

Welcomeは、一般公開前から世界350以上の都市で5万人以上のベータユーザーを獲得し、現在では650万を超える場所がデータベースに登録されている。公開時には、世界中の30万件以上の厳選レコメンデーションが提供されるという。

同スタートアップは、Accelが主導し、Lakestar Ventures(レイクスター・ベンチャーズ)が参加した350万ドル(約3億9300万円)のシードラウンドによって支えられている。このラウンドは2020年にクローズしたものの、まだ発表されていなかった。プレシード資金を含めてWelcomeはこれまでに420万ドル(約4億7200万円)を調達している。

Welcomeのアプリは当分の間、iOSでのみ無料でダウンロードが可能だ。

画像クレジット:Welcome

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

グーグルがGoogleマップの山火事追跡、森林被覆率、Plus Codeを強化

Google(グーグル)はGoogleマップの価値を高め、まだの人には使い始めてもらうためにいくつかのツールを改訂した。同社は山火事を追跡する機能を改善し、都市の樹冠被覆率を測定するツールを拡張した他、Plus Code(プラス・コード)によるバーチャル住所作成の自動化を進めている。

山火事は多くのユーザーにとって最も緊急な利用方法であり、それはかつて稀だったこの災害が繰り返し起こる事象へと発展したからだ。Googleは2020年、衛星データを利用した山火事追跡ツールをこの種の火災を探している人たちのために提供した。たとえば「焚き火」などを探すと、ニュースを提供するだけでなく、頻繁に更新される情報センターには火災の専門家による最も有力な予測がリアルタイムで報告される。

その情報が、マップアプリに交通情報や自転車経路のようなレイヤーの1つとして表示されるようになった。機能をオンにすると、近くで起きている火災がすべてマップにマークされ、タップすると約1時間前時点のライブ概要が表示される。危険地帯にもマークがついているので、ある場所に車で行っても安全なのか現場に留まったほうがよいかを知ることができる。山火事が非常に多くて危険であり、状況の追跡が困難であることを考えると、非常に役立つツールだ。

画像クレジット:Google

都市部向けに、Googleは航空写真を利用してヒートアイランドその他の危険地帯を識別する 「Environmental Insights Explorer(EIE) Tree Canopyツール」 を提供している。市政機関はこれを、新たな樹木を植えたりその他の資源を配分する参考に利用できる。ロサンゼルスで最初にテストされたこのツールは、現在世界の100都市、メキシコ、グラダラハラ、英国、ロンドン、オーストラリア、シドニー、カナダ、トロント、日本の東京などで利用されている。

もう1つ、都市当局、特に人口が希薄な地域や急変する都市環境の行政が持っていないデータが住所だ。ある場所に住所がないなんておかしい、と思うかもしれないが、そもそも郵便や荷物が配達されるためには、行政が街路名と番地を割当て、登録し、追跡する必要がある。貧困な田舎町では、近所の公的住所を使い、追加の指示や詳しい配達員に頼って郵便が正確に配達されていることもよくある。

数年前、Googleは「Plus Codes」を導入した。基本的にGPS座標を文字と数字の短い列に結びつけたもので、さまざまなオンライン住所サービスに入力することができる(もちろんGoogleマップにも)。正式な住所を持たない人でも、Plus Codeを持つことは可能で、誰かが自分を尋ねてくるには十分だ。

画像クレジット:Google

このほど、通常の方法で住所を割り当てるのに苦戦しているいくつかの地方自治体と協力して、Plus Codesを公式の政治機構に組み込んだ。たとえばガンビアとケニヤでは、国の身分証明書など、通常政府が検証した住所を必要とする場面でPlus Codeが使用されている。なお、情報を所有、管理しているのは当局でありGoogleではない。会社はコードの生成と既存オンラインインフラとの統合に協力しているだけだ(経路案内の生成にも役立つ新たな一括生成ツールもある)。

一連のツールは、Googleの公私連携への関心を強調している。批判する人たちはGoogleが人々の生活のあらゆる側面を捕まえようとしているだけだと考えるかもしれないが、実際この会社は、広告と観察のビジネスモデルに関わらず、常にこの種のプロジェクトを推進している。産業と政府の転換を純粋に望み、ときには成功している。少なくとも、これらのプロジェクトに私利は見つからず、世界中の人たちにとって大いに役立つ可能性がある。

画像クレジット:Google

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Appleマップが3Dビューを展開、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコで

Apple(アップル)は、「マップ」アプリ内で、ロンドン、ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど、多くの都市に3Dマップを導入する。iOS 15で提供されるこの体験は、市場をリードするGoogleマップとの競争力を高めるためにAppleのマッピングプラットフォームに数年にわたって行われた投資の結果だ。このアップデートには、現在主要な市場に導入されているような3Dマップの追加だけでなく、全体的により詳細な地図、改善された交通機関の機能、AR表示モードなども含まれている。

関連記事:AppleマップがiOS 15アップグレードでより詳細な地図、交通機関ナビ、ARビューなど追加

これらの機能の多くは、充実した機能を得るためまず米国および世界の主要都市で導入され、時間をかけて展開してきた。例えばARビューイングは、2021年に入ってから一部の都市で開始された

画像クレジット:Apple

Appleによると、3Dマップでは、ユーザーは近隣地域、商業地区、マリーナ、ビルなどの詳細を見ることができ、標高の詳細、新しい道路ラベル、さらにはカスタムデザインされたランドマークも表示されるという。

例えば、サンフランシスコのコイトタワー、ロサンゼルスのドジャー・スタジアム、ニューヨークの自由の女神、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールなど、有名なスポットのレンダリング画像がマップに表示され、今後さらに多くのランドマークが追加される予定だ。

画像クレジット:Apple

2021年後半には、フィラデルフィア、サンディエゴ、ワシントンD.C.でこの種の3Dマップが利用できるようになるとAppleは述べている。そして2022年には、モントリオール、トロント、バンクーバーでも利用できるようになる。

Appleは、より明確に表示されるターンレーン、中央分離帯、バス・タクシー用レーン、横断歩道などによって、道路レベルでのナビゲーションも強化している。これらは3D表示モードで表示されるため、交通状況に応じて最適な車線を選択したり、より良いルート計画を立てたりすることが容易になる。また、Googleマップと同様に、現在の道路状況に基づいた到着予定時刻も表示される。Appleは、これまで2021年のリリースが発表されていたこの新しいナビゲーションが、具体的な期限はなしに2021年後半にCarPlayに搭載される予定であると述べた。

画像クレジット:Apple

同様に、2021年初めに発表されていた他の地図のメジャーアップデートも現在展開中だ。これには、Citymapperのような、交通機関を利用する人たちに好まれるサードパーティのアプリケーションに対して、Appleマップがより競争力を持つように設計された機能が含まれている。近くの交通機関の駅が画面上部に大きく表示され、ユーザーはお気に入りの路線をマップにピン留めして簡単にアクセスできるようになった。また、Apple Watchでもできるように、路線を選択すると、降りる時間になるとマップが自動的に通知する。

Appleマップは、拡張現実(AR)を利用したステップ・バイ・ステップの案内で、より臨場感のある徒歩ルート案内を提供する。これは、ユーザーが携帯電話をかざして周辺の建物をスキャンすると、マップがより正確な位置を生成し、より詳細な案内を提供するというものだ。この機能は、2021年に入ってから一部の市場で提供されている。

iOS 15のユーザーは、新しい3D地球儀を見ることができる。また、マップの「ガイドを詳しく見る」ボタンをタップすると、Time Out、The Washington Post、The National Park Foundation、Complex、The Infatuationなどが提供する厳選されたガイドにアクセスすることがでる。これらのガイドは世界中の都市での観光ガイドを提案する。また、ユーザー自身がガイドを作成し、友人や家族と共有することもできる。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geolonia(ジオロニア)は8月5日、地図作成サービス「Geolonia Maps」の正式提供開始を発表した。従来のベータ版からのアップデートを行っており、デザインやインターフェイスの見直しを行い利便性を向上、正式リリースに伴う有料課金機能を新たに搭載した。ユーザーが持つ住所データをアップロードして地図を作成する機能も近日中に提供予定。

利用料金は、1000アクセスまでは無料、10万アクセスまでは3万円。オープンソースコミュニティ向けには地図を無料で提供しており、地図をGitHub Pagesで利用する場合はアクセス数に関わらず無料となる。ライセンスについては、作成した地図は画像としてダウンロードする、印刷して配布するといった再利用が可能。

また、Geolonia Mapsでは利用に際してCookieを取得しておらず、地図上でのユーザーの行動をトラッキングすることはない。

数万件単位の位置情報データを手軽に扱えるダッシュボードを提供

Geolonia Mapsは、オリジナルの地図を自由に作成できるサービス。地図データは、オープン地図サービス「OpenStreetMap」や日本政府が公開するオープンデータを組み合わせて整備することで、低コストで利用上の制約が少ない、自由度の高い地図プラットフォームを実現した。

一般的に、地図で表示する位置情報データはファイルサイズが数百MBから数GB近い大容量ファイルとなる。位置情報データの需要が高まる昨今、今後はさらに多くの位置情報データが流通し、取り扱うファイル容量がさらに膨大になることが予見される。また、地図に位置情報を表示するためには専用のデータベースが必要であり、カスタマイズには高度な専門知識が必要となる。

そこでGeolonia Mapsでは、数万件単位の位置情報データを手軽に扱える「Geolonia Maps ダッシュボード」を提供し、専用データベースを持つことなく地図を作成できるようにした。

Geoloniaがオリジナルの地図を作成できる「Geolonia Maps」正式版を開始、1000アクセスまで無料・10万アクセスまで3万円

Geolonia Maps ダッシュボード

HTMLの編集で自由にカスタマイズ可能、独自開発のAPIを利用することで地図アプリの開発まで行える

地図の基本的なデザインは、HTMLの編集で自由にカスタマイズできるほか、JavaScript APIを利用することで、自社の店舗一覧、お気に入りの飲食店リスト、観光地の見どころスポットなど、テーマに沿った地図をオリジナルのデザインで作成できる。チュートリアルなど利用方法・作成方法に関するドキュメントの公開も行っている。

Geolonia Maps ダッシュボード

地図のカスタマイズ例

Geolonia Mapsの地図表示については、画像を配信するラスタータイル形式ではなく、データ形式で配信するベクトルタイル形式を採用。地図のレンダリングをサーバーではなくクライアントサイドで行うことで、ラスタータイル形式に比べて高速に動作する上、柔軟なデザインカスタマイズが可能という。地図データの分析や加工、表示方法の変更が簡単に行えることから、デザイン性に優れた地図を作成しやすいそうだ。

またアプリケーション開発者は、Geolonia独自開発のAPIを利用し簡単に地図アプリケーションを開発することも可能。緯度・経度情報に対して住所を返す逆ジオコーダーや、不動産に対してIDを発行する「不動産共通ID」、表記揺れの多い日本の住所表記を正規化する住所正規化APIなど、多彩なAPIサービスを利用できる。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:オープンデータ(用語)位置情報(用語)ジオコーディング(用語)Geolonia(企業)地図(用語)不動産 / 不動産テック(用語)日本(国・地域)

急成長中の「ポイ活」アプリ、進むビジネスでの位置情報活用

近年、ビジネスにおける位置情報活用が進んでいる。位置情報関連サービスの中で特に成長著しいのが、移動に応じてユーザーがポイントを貯める「ポイ活」関連のサービスだ。スマホアプリ市場でも注目を集めている。地図DXサービスを提供するData InsightでCAOを務める伊達慶明氏は「主要なポイ活アプリのユーザー数は増え続けています」という。同氏がポイ活アプリの市場動向と主要プレイヤーの動きを解説する。

本記事は位置情報DXカンファレンス 2021July中のセッションを編集・再構成したものとなる。

「ポイ活」とは何か?

位置情報を活用したサービスは数多くある。BtoBではGoogleやゼンリンによる地図提供サービス、広告ソリューション、位置情報の分析 / 解析ソリューション、位置情報で顧客を誘導するOMOソリューション、ビーコンを使ってユーザーにプッシュ通知を送るようなIoTソリューションがある。BtoCでは地図サービス、乗り換えをサポートする交通案内サービス、行った場所を記録する記録サービス、IngressやポケモンGOのようなゲーム、チェーン店の位置情報を提供するマッピングサービス、ユーザーの移動に応じてポイントを付与するポイ活サービスがある。

ポイ活サービスは大きく2つに分けることができる。1つ目は「ショッピングのポイント還元を求める活動」。2つ目は「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」だ。伊達氏は今回、後者を中心にポイ活を解説する。

主要ポイ活アプリのMAU(月間アクティブユーザー)の過去2年ほどのCAGR(年平均成長率)は299%と高い

さまざまな種類があるポイ活アプリ

「何かしらの行為の報酬としてポイントを稼ぐ活動」のポイ活アプリだが、さらに2つのパターンに分かれる。「ユーザーに移動してもらうポイ活アプリ」と「ユーザーにデータを提供してもらうポイ活アプリ」だ。

前者は移動した距離に応じてポイントを稼ぐものと、店舗などの特定の場所に行ってポイントを稼ぐものがある。後者はレシートやイラスト用の画像を投稿することでポイントを集めるもの、アンケートに回答してポイントを集めるものなどがある。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリでは、広告動画視聴やヘルスケア情報の利用でマネタイズを行い、店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリは店舗からの送客フィーでマネタイズし、画像を投稿するポイ活アプリではレシートデータやイラスト用写真を企業に売却することでマネタイズを行う。また、アンケート型のポイ活アプリでは回答を企業に売却したり、マーケティングに活用する。

移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリには、トリマやaruku&がある。ユーザーには30〜50代の男性が多く、アクティブ率が高い傾向にある。休眠ユーザーは30%程度だ。ユーザーは類似のアプリを併用することが多い。

店舗などの特定の場所に行くポイ活アプリの例は、楽天チェックだ。こちらもユーザーは30〜50代の男性が多い。しかし、移動した距離に応じてポイントを稼ぐポイ活アプリに比べ、アクティブ率が低い。

画像を投稿するポイ活アプリには、ONEやCODEがある。ユーザー層の中心は30代女性。アクティブ率は高く、ユーザーは類似アプリを併用する傾向がある。

アンケート型のポイ活アプリの例としてはマクロミルが挙げられる。中心的ユーザーは40代男性と30代女性。アクティブ率が高く、ヘビーユーザーが30%と多い。こちらもユーザーは類似アプリを併用する傾向が強い。

成功に必要な差別化と併用による共存共栄

伊達氏はポイ活アプリの重要成功要因として「ついで感」と「高還元」を挙げる。中でも成功しているのが「トリマ」と「マクロミル」だ。

同氏によると、トリマはポイントが貯まっていることを視覚的に感じられるタンクのデザインが生かされており「移動中にお金を稼げている」という感覚を感じやすくなっているという。さらに、広告動画視聴でもポイントを付与しており、これが高いアクティブに繋がっていると考えている。また、マクロミルはアンケートに回答するたびに10円分のポイントが付与され、高還元になっている。

伊達氏は「ポイ活アプリ市場は一見魅力的ですが、後発参入者はアプリの差別化が必須になります。とはいえポイ活アプリ市場は急成長しており、主要5アプリの直近1年のMAUは計1000万人以上増えています。また、多くの場合、ユーザーはあるアプリをインストールすると同様のアプリはインストールしませんが、ポイ活アプリユーザーは類似のアプリを併用することが多いので、新規参入者にとっても『共存共栄』できる環境です。成功するポイ活アプリを目指すのであれば、先ほど挙げた『ついで感』と『高還元』を重視し、ユーザーがストレスフリーにポイントを集められる仕組みが重要になるでしょう。主要ターゲットは30代、40代なので、それを意識したUI設計も必要です」と分析する。

これからポイ活アプリに参入するには、差別化が重要になるが、具体的には何が差別化要因になり得るのだろうか。伊達氏は「データと地図の組み合わせ」が鍵になると見ている。その根拠は食べログとInstagramだ。

食べログは2020年、アップデートを行い、地図上で飲食店を検索できるようにした。これにより、ポジティブなレビューが増えてきた。一方Instagramはこれまでハッシュタグが主な検索が方法だったが、人気の飲食店などを地図上で検索できるように2021年5月からベータ版が実装された。この機能はまだ一部でしか利用できないが、話題になっている。これからポイ活アプリに参入しようとしている企業は参考にしてみると良いかもしれない。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:位置情報地図ポイ活アプリ

Snapchatが地図上でおすすめのスポットを紹介する「My Places(私の場所)」機能を追加

この夏、多くの人たちが外の世界に飛び出そうとしている中で(どうぞご安全に!)、Snapchat(スナップチャット)が近所のレストラン、店舗、公園、その他の興味深いスポットを簡単に見つけられるようにしようとしている。米国時間7月28日、Snapchatは、ユーザーと3000万以上のビジネスを結びつけるSnap Map(スナップマップ)に「My Places(私の場所)」機能の展開を始めた。ユーザーはお気に入りのスポットを記録したり、友人に送ったり、おすすめのスポットを探したりすることができる。

「My Places」には「人気」「お気に入り」「訪問しました」という3つのメインタブがある。「訪問しました」には、Snapchatでチェックインした場所がリストアップされ「お気に入り」にはその名の通りお気に入りが保存される。特に興味深いのが「人気」タブだ。これはSnapchatにとっては初めての試みとなるが、アルゴリズムを使ってパーソナライズされたお勧めを提供し、ユーザーが周りの世界と関わりを持てるようにさせる機能だ。アルゴリズムが考慮するのは、ユーザーが今いる場所、すでにタグ付けしたりお気に入りに登録した場所、そして友達や他のSnapchatユーザーが訪れた場所などだ。

この点がSnap Mapが他の有力マップアプリ(Google MapsやApple Mapsなど)と一線を画す部分だ。そうした既存のマップアプリは友達が好きなレストランを探す役には立たないからだ。もちろんSnapchatは流行の寿司屋への行き方を教えてくれるわけではないが、それはSnapchatが目指しているものではない、Google Mapsが昨夜友達みんなが自分の知らないうちに行っていた店を教えてくれるわけではないのと同じだ。

画像クレジット:Snapchat

Snapchatのサーベイは、同アプリのユーザーが平均して「パンデミック後」活動を行う傾向にあることを発表し(これは良いことなのだろうか?)、そしてSnapchatユーザーの44%が身近な興味のある場所を探すのにSnap Mapを利用していることを付け加えた。

Snap Mapの月間アクティブユーザー数は2億5000万人を超えており、5月にはパートナー企業が同社の地図に直接データを追加できるLayers(レイヤース)というアップデートを発表した。これまでにSnapchatは、Ticketmaster(チケットマスター)やレストラン推薦サイトのThe Infatuation(ザ・インファーチュエイション)と提携している。こうした提携により、ユーザーは、ライブエンターテインメントが行われている場所や、素敵なレストランが隠れている場所などを知ることができる。Snapchatは2021年後半に、Snap Mapと「My Places」へのLayersの統合をさらに進める予定だ。

先週Snapは、2021年の第2四半期に、過去4年間で最高のペースで収益とデイリーアクティブユーザーの両方が増加したと発表した。前年比では、アプリは23%成長している。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Snapchat地図アプリ

画像クレジット:Snapchat

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

トヨタのウーブン・プラネットが高精細地図スタートアップCarmeraを買収

トヨタ自動車が自動運転などの将来に向けた交通技術に投資し、開発を進め、最終的に商業化するために設立した企業であるWoven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)は、高精度地図のスタートアップ企業であるCarmera(カーメラ)を、非公開の金額で買収すると発表した。2021年4月末にウーブン・プラネットは、Lyft(リフト)の自律走行車部門であるLevel 5(レベル5)を5億5000万ドル(約604億円)で買収することで合意に至ったと発表したばかりだ。

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また、これは6月に発表されたNVIDIA(エヌビディア)によるDeepMap(ディープマップ)の買収に続く、高精度地図スタートアップの買収でもある。

今回の買収により、Carmeraはウーブン・プラネットの完全子会社となる。ウーブン・プラネットの代表取締役CEOであるJames Kuffner(ジェームズ・カフナー)氏によれば、Carmeraで働く50人のチームはニューヨークとシアトルのオフィスを維持し、最終的にはウーブン・プラネットの1000人を超えて成長を続ける事業形態に統合されるとのことだ。

Carmeraは、ウーブン・プラネットの事業会社で東京に本社を置くWoven Alpha(ウーブン・アルファ)の米国拠点となり、同社のAMP(Automated Mapping Platform、自動地図生成プラットフォーム)チームと協業する。Carmeraの共同設立者兼CEOであるRo Gupta(ロー・グプタ)氏は、AMPを統括するMandali Khalesi(マンダリ・カレシー)氏の直属となる。

Carmeraは、商用フリート会社に無料で提供しているサービスから収集したデータを、主要な地図製品の維持・拡大に利用するバーター型のビジネスモデルとして、2015年に設立された。Carmeraの主要かつ最初の製品は、自動車メーカーやサプライヤー、ロボタクシーなど、自動運転車を手がける顧客向けに開発された高精細な地図である。自動運転車開発のスタートアップであるVoyage(ヴォヤージュ)は、2021年3月にCruise(クルーズ)に買収されたが、Carmeraの初期の顧客だった。また、Baidu(百度、バイドゥ)はCarmeraの技術を使って、オープンソースの自動運転基盤「Apollo(アポロ)」におけるマッピングプロジェクトをサポートしている。

Carmeraは、車両やドライバーのリスク管理や安全性の向上を図りたいフリート事業者のために、テレマティクスおよびビデオを使ったモニタリングサービスを提供しており、それら多数のフリート車両から得られたクラウドソースのデータを、自動運転に役立つ高精細地図の更新に利用している。カメラを搭載した人間が運転するフリート車両は、都市部で日常業務を行う際に得た日々新たな道路情報を、自動運転用地図に提供しているというわけだ。

これまでCarmeraは、時間をかけて製品ラインアップを進化させてきた。自動運転用地図にリアルタイムイベントや変更管理エンジンを追加し、都市および市街地計画者向けに空間データや街路分析などの製品を開発した。2020年、同社はいわゆるChange-as-a-Service(サービスとしての変更)プラットフォームを発表した。これは、変化を検出して他のサードパーティの地図に統合できる一連の機能を備えた製品群だ。

リサーチ&アドバイザリ企業のGartner(ガートナー)でVPアナリストを務めるMike Ramsey(マイク・ラムゼイ)氏は「高精細地図の会社で常に問題となるのは、このような機能を持っているのはすばらしいことだが、それをどのように拡張し、提供し、更新し続けるかを考えないと、『誰かに売れそうなソフトウェアのよくできた一部分を持っているだけ』という状態に陥ってしまうことです」と述べている。「今回の買収は、Carmeraの拡張に関する問題を解決するものです」。

画像クレジット:Carmera

Carmeraはウーブン・プラネットに比べて規模も資本も小さいが、業界を注視してきた人はこの合併を予測していたかもしれない。

Carmeraは、ウーブン・プラネットの前身となったToyota Research Institute-Advanced Development(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)と、3年前から協業してきた。このスタートアップが最初に参加したのは、日本で行われた実証実験で、車載カメラを使って都市部や路面の高精細地図を自動生成する方法を開発した。このパートナーシップは2020年に拡大し、日本だけでなくミシガン州のデトロイトなどの道路の地図作成も行われている。

「この関係に多くの投資をすることは実に簡単なことでした」と、グプタ氏は2018年にCarmeraがトヨタと初めて提携したときのことを振り返る。「ビジョンが非常によく似ていたのです。5年前に考えた我々のシードデッキと、ウーブン・プラネットの全体的なビジョンや、地図の自動生成に対する彼らのビジョンを比べると、あまりにも似ていて不気味なくらいでした」。

ウーブン・プラネット(ひいてはトヨタ)は、すでに衛星を使って作成した地図と、現在走行中の何百万台もの車両から得られる膨大なデータを持っている。Carmeraは、ウーブン・プラネットのポートフォリオに、ダイナミックな地図の変更と、フリート事業者や安全性に関するビジネスの経験をもたらすことになる。

「Carmeraとはすでに一緒に実証実験に取り組んできた、近い将来に利用可能なアプリケーションがあります。これらは、まだ発表していませんが、安全性や自動運転の分野に応用できます」と、カフナー氏は語っている。そして、この自動車メーカーの新型Lexus LS(レクサスLS)とToyota Mirai(トヨタ ミライ)に、高精細地図を利用した「Teammate(チームメイト)」と呼ばれる先進運転支援技術が搭載されたことに言及し「私はこれらの次世代の製品にとても期待しています。特に商用フリート車両では、高精細地図には多くの用途があります」と語った。

ウーブン・プラネットが織りなすもの

画像クレジット:Woven Planet/Toyota

LyftとCarmeraの買収は、ウーブン・プラネットが2021年1月に設立されてから行ってきたさまざまな活動の一端を表すものだ。それはトヨタ自動車が、既存のライバル企業や新興企業に対して、特にソフトウェア面での競争力を高めようとしていることも示している。トヨタ自動車の子会社で東京に拠点を置くウーブン・プラネットには、Woven Alpha(ウーブン・アルファ)とWoven Core(ウーブン・コア)という2つの事業会社と、Woven Capital(ウーブン・キャピタル)というVCファンドを擁している。また、この持株会社は、あるゆるモノやサービスが相互接続されたスマートシティのプロトタイプとして、新技術の実験場となるWoven City(ウーブン・シティ)と呼ばれるプロジェクトをてがけている。トヨタは2021年2月、富士山麓にある静岡県裾野市の東富士工場跡地で、このWoven Cityの建設に着工した。

2つの事業会社であるウーブン・アルファとウーブン・コアは、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメントの事業をさらに発展・拡大するために、新体制に移行して設立された。ウーブン・コアは地図作成ユニットを含む自動運転技術に焦点を当てており、ウーブン・アルファはWoven Cityを含む新しいコンセプトやプロジェクトの開発を担当している。

そしてウーブン・キャピタルは、これらの次世代モビリティ・イノベーションに投資を行う。このVC部門は、2021年3月に8億ドル(約880億円)規模の新たな戦略的ファンドを起ち上げ、その第一号案件として、無人自動運転車による配送に特化したロボティクス企業であるNuro(ニューロ)に出資すると発表した。6月には、カーシェアリング、ライドシェアリング、自動運転技術企業などの車両管理を支援するためのプラットフォームを開発した交通ソフトウェアのスタートアップ、Ridecell(ライドセル)に非公開額の出資を行っている。

関連記事:トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

カテゴリー:モビリティ
タグ:トヨタ自動車Woven Planet買収地図自動運転

画像クレジット:Carmera

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

「Google マップ」の屋内ARナビ「インドア ライブビュー」が東京駅や渋谷駅などJR東日本の主要駅で提供開始

「Google マップ」の屋内ARナビ「インドアライブビュー」が東京駅や渋谷駅などJR東日本の主要駅で提供開始

Google

「Google マップ」での屋内ARナビゲーション「インドア ライブビュー」が東京駅や渋谷駅など、JR東日本の主要駅で提供が開始されました。

この機能は、5月のGoogle I/Oで発表されていた機能。ARを利用したライブビューは、周囲の風景をカメラで認識し、そこに画像を重ねることで目的地までのナビゲーションを行うというもの。地図ではなく、実際の風景の中に進む方向が示されるので、地下鉄の出口から出た際など、地図上で自分の向いている方向が分からないといった場合にも便利な機能です。

インドアライブビューは、この機能を建物内でも利用可能にするもの。建物内であっても正確な位置や高度を判別でき、空港や駅での乗り換え、ショッピングモールなど、これまでナビゲーションが難しかった屋内施設でもスムーズなナビゲーションが行えるとしています。確かに、内部が複雑な巨大ターミナル駅などでは、乗換ホームを探すのに苦労することもなくなるかもしれません。

現在、JR東日本の駅では、東京駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅、上野駅、池袋駅、新橋駅、秋葉原駅、高田馬場駅、五反田駅、恵比寿駅、日暮里駅、中野駅、北千住駅、立川駅、大宮駅、浦和駅で利用でき、今後も順次拡大予定とのことです。

(Source:GoogleEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:VR / AR / MR
タグ:iOS(製品・サービス)Android(製品・サービス)Google / グーグル(企業)Google I/O 2021(イベント)JR東日本 / 東日本旅客鉄道(企業)地図(用語)日本(国・地域)

自動運転技術開発のニーズに応えるためScale AIがマッピング分野に進出

自動運転にともなうさまざまな課題を解決することは非常に複雑な作業だが、それでも実現に向かうためには、まず何よりも、正確で十分にアノテーションされた質の高いデータを確保する必要がある。そこで登場したのがScale AI(スケール)という企業だ。AV業界では、特殊なLiDAR画像を含む膨大なデータのアノテーションが必要になると早くから考えていた。同社の共同創業者でCEOのAlex Wang(アレックス・ワン)氏は、2021年6月末にリリースされる新製品でマッピングの分野に進出すると「TC Sessions:Mobility 2021(TCセッション:モビリティ2021)」で語った。

トヨタをはじめとする運輸業界のパートナーとの協力関係について、ワン氏は「当社の役割は進化し続けています」と語った。「ご存知のように、私たちは顧客と協力して、データやアノテーションデータのラベリングに関する問題を解決していますが、すると次に、顧客はデータ管理に関する別の問題を抱えて私たちに助けを求めてくるようになりました。それを解決するために、私たちはNucleus(ニュークリアス)という製品を発売しました。そして現在、多くの顧客がマッピングについて、より強固なマップをどのように展開するかについて、頭を悩ませています。そこで私たちは、そのような問題の対処を支援するための製品を開発することにしました。おそらく今月末には発表できると思います」。

さらに促しても、この件に関してワン氏は具体的な話をしなかった。しかし、マッピングの課題についてや、センサーフュージョンや車両とインフラ間の通信コンポーネントなどの信号を含むAVシステムにマップを統合しようとしている企業にとって、既存のマップでは何が不足しているのかについては、さらに詳しく説明してくれた。

「全体的に私が大きな問題だと思うのは、この業界は歴史的にマッピングに非常に大きく依存してきたことです。非常に高品質で高精細なマップに大きく依存してきました。厄介なのは、これらの地図が間違っていることがあり、それにどう対処するかということです。【略】地図の信頼性や更新といった課題にどう対処するか。考えてみると、世界で圧倒的に優れた地図インフラであるGoogleマップでさえ、(人間の)ドライバーにとって十分な速さで更新されていないことがわかります」。

ワン氏によれば、この課題はScaleが創業以来、積極的に解決してきたデータフライホイールの課題と大きな違いはないという。自動運転走行では、データを迅速かつ正確に収集してアノテーションすることが何よりも重要である。その結果として、データの収集とアノテーションが改善されていき、システムが環境を把握する信頼性が高まっていく。

「絶えず変化する世界の状況にどうやって対処するか、その方法を見つけ出すことは、非常に大きな要素です」と、ワン氏はいう。Scaleが具体的に何を計画しているのかはまだわからないが、何を発表するにしても重要な要素として、地図とマッピングの精度に対する信頼を築くことが重要な要素になると考えてよさそうだ。

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:自動運転地図Scale AI

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

NVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収、自律走行車テクノロジーを強化

半導体メーカーNVIDIAが高精度マップスタートアップのDeepMapを買収すると発表した。NVIDIAは、DeepMapのマップ技術はNVIDIAの自律走行車テクノロジーであるNVIDIA Driveに活かされるとしている。

NVIDIAの自動車部門バイスプレジデントでジェネラルマネージャーのAli Kani(アリ・カニ)氏は発表の中で「DeepMapのユニークなビジョン、テクノロジー、人材を高く評価して買収することになりました。DeepMapは我々のマップ製品を拡張し、マップの運用をワールドワイドにスケールし、完全な自動運転に関する専門性を高めるものと期待しています」と述べた。

乗用車の完全な自動化を達成する上での最大の課題として、各地域への適合と現在の道路の状況を反映した地図情報の更新が挙げられる。NVIDIAの自律走行スタックにDeepMapのテクノロジーを統合することで、精度が上がって自動車が自分の位置を把握する性能が高くなる。

DeepMapの共同創業者でCEOのJames Wu(ジェームズ・ウー)氏は発表の中で「NVIDIAと協力することで我々のテクノロジーをさらに迅速にスケールし多くの方々に早く利用していただけるようになるでしょう。NVIDIAのチームの一員として我々のジャーニーを続けていくことを楽しみにしています」と述べた。

DeepMapはGoogle、Apple、Baiduに勤務していたウー氏とApple、Googleに勤務していたMark Wheeler(マーク・ウィーラー)氏によって設立された。DeepMapはNVIDIA Driveのソフトウェアデファインドプラットフォームを使って自律走行車全体に対してマップを迅速にスケールすることができ、Over the Airのアップデートでデータストレージをそれほどたくさん必要としない。NVIDIAは今後、連携の一環としてDeepMapの新しい機能にも投資していく。

買収は2021年第3四半期に完了する予定だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:NVIDIADeepMap買収地図自動運転

画像クレジット:DeepMap

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Kaori Koyama)

Snapが提携企業からの情報を2.5億人が利用するソーシャルマップに追加するLayersを導入

Snap(スナップ)は、ユーザーが自分の周りの世界を、よりパーソナルに見えるようにしたいと考えている。

GoogleマップやApple(アップル)のマップなどの製品は、背景関係を考慮した洞察の質を高めるために長いことデータパートナーに依存してきたが、Snapはサードパーティーからの協力をSnap Mapにさまざまに組み合わせ、ユーザーが自分の関心事に合わせた地理的環境の視点を構築できるような、より実践的なアプローチをユーザーに提供したいと考えている。

米国時間5月20日のSnap Partner Summit(スナップ・パートナー・サミット)で発表された「Layers(レイヤーズ)」と呼ばれる新機能は、Snapから選ばれた開発者パートナーのデータを直接マップに追加することで、ユーザーは世界を特定の視点から見ることができるようになる。

「Layersによって、Snap Mapは単一の製品からプラットフォームへ進化します」と、SnapのBryant Detwiller(ブライアント・デトウィラー)氏はTechCrunchに語った。「最終的には、Snap Mapをより便利にしたいのです」。

Snap Mapは、自動車や道順ではなく、人や友人を中心にデザインされた、根本的にソーシャルな製品を目指している。Layersは、理論的には、Snap Mapのユーザーが関心事に合わせたポイントからマップの構成をカスタマイズできるようにするものだ。

同社によると、Snap Mapの月間アクティブユーザー数は約2億5000万人だという。

SnapによるTicketmasterの統合

SnapがWeChatのような「Minis」や「Games」を導入したときと同様、Layersでもパートナーシップに関してはかなりゆっくりとしたスタートを切っている。現在はまだ2社のみ、Ticketmaster(チケットマスター)と、レストランレビューサイトのThe Infatuation(インファチュエーション)との提携から始まったところだ。

TicketmasterのLayerでは、近くのコンサート会場で開催されるショーを分類し、Layerから新たに設置されたTicketmaster Miniに直接移動して、Snapchatアプリ内でチケットを購入することができる。The InfatuationのLayerでは、地図をスキャンして近くのおすすめレストランを探し、サイトに掲載されているリストやレビューを見ることができる。このようなパートナーシップは今後も増えていく予定だが、Snapが今すぐ開発者に広く門戸を開くことを計画しているわけではなさそうだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Snap地図SNSアプリ

画像クレジット:Snap

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)