批判を受けてInstagramのCEOが10〜12歳向けバージョンの開発を「凍結」と発表

Instagram(インスタグラム)のトップが、13歳以下を対象とするバージョンの計画を「一時停止」することを発表した。ソーシャルメディアサービスはティーンエイジャー女子に不安や精神面での健康問題を引き起こすことをFacebook(フェイスブック)傘下の同社が認識していたことを示す内部資料を明るみに出した、ウォールストリートジャーナル(WSJ)の批判的な報道を受けての対応だ。

InstagramのCEOであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は米国時間9月27日、TwitterのスレッドでWSJの報道に言及した。しかし、少女たちのメンタルヘルスへのInstagramの影響について、極めてネガティブな暴露へのパニック反応とは正反対に、意図的かつ思慮深い対応として「一時停止」してやり直すことを模索することで、調査報道の影響を軽く扱おうとしている。

WSJは2019年からの内部調査スライドを入手し、その中でInstagramの親会社Facebookは「10代少女の3人に1人の身体像問題を悪化させている」と認識していた。

「当社は『インスタグラム・キッズ』と呼ばれるトゥイーン向けのInstagramを構築するプロジェクトを一時停止しています」とモセリ氏は9月27日に一連のツイートに書いた。

「このエクスペリエンスは決して子どものためのものではありませんでした。我々はトゥイーン(10〜12歳)むけのエクスペリエンスをデザインしていました。そして今日展開されているInstagramと同じものにはならないはずでした。親がトゥイーンのアカウントを承認し、子どもが誰をフォローするか、誰が子どもをフォローするか、誰が子どもにメッセージを送るか、使用時間などを監視します。しかしプロジェクトは、それがどのようなものになるのかが見えてくる前に漏れました。人々は最悪のケースを恐れました。その時点で答えは持ち合わせていませんでした。最近のWSJの報道はより大きな懸念を引き起こしました。この件にもう少し時間をかける必要があるのは明らかです」

インスタグラム・キッズとよく呼ばれる、トゥイーンのためのInstagramを構築するというプロジェクトを一時停止し、ティーンエイジャー向けの選択制ペアレンタルコントロールを構築することを発表します。詳細はこちらhttps://t.co/fWwkK5yu6R

ーアダム・モセリ (@mosseri) 2021年9月27日27

「もう少し時間をかける」のが「中止」の婉曲表現なら、モセリ氏の結論はFacebookにこの計画を中止するよう何カ月も促してきた、多くの子ども保護グループや関係者に歓迎されるだろう。

例えば米国44州・準州の司法長官らは2021年5月にFacebookに13歳以下向けのInstagramの計画を破棄することを求める書簡を送った。

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しかしながら9月初めにTechCrunchが報じたように、モセリ氏は以前、アプリがティーンエイジャーに及ぼすネガティブな影響の懸念について「極めて少ない」と退け、軽視することを模索した。

13歳以下の子どもが代わりのアプリを見つけて使用することはなおさら悪いものになるかもしれないとも述べたが、その前に「批判家はこれを、プロジェクトが悪いアイデアだったと譲歩したととらえるでしょう。それは違います」とモセリ氏はプロジェクトを棚上げすると発表したツイートのスレッドで続けた。モセリ氏、落ち着いて欲しい。

Instagramトゥイーン(モセリ氏がそう表現している)を一時停止するという大きなニュースに加えて、 Instagramは「ティーンエイジャー向けの選択制ペアレンタルコントロール」というものを構築中であることも明らかにしている。

記事執筆時点で、この取り組みについてのInstagramのブログ投稿へのリンクは機能しておらず、詳細はまったくない。しかしこの動きは、WSJが報じた内部資料によると、ティーンエイジャー女子の32%が Instagramで身体像が悪くなったと回答していることが明らかになったことにInstagramがプレッシャーを感じていることを示している。

WSJの報道ではまた、この調査への参加者で自殺を考えたことのある人は、英国のティーンエイジャーで13%、米国のティーンエイジャーで6%で、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

「ティーンエイジャーは、不安や気分の落ち込みの増加をInstagramのせいにしています」と別の内部資料のスライドにはある。「この反応は全グループで自発的かつ一貫したものでした」。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化

児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

児童向けのオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOは9月27日、シードラウンドにおいて、第三者割当増資および金融機関からの融資による総額5600万円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のW ventures、また三井住友海上キャピタル(MSIVC2020V投資事業有限責任組合)、個人投資家複数名。

調達した資金は、コンテンツ強化やマーケティング強化、「youtube時間を運動時間に」をコンセプトとする運動動画見放題の新サービス「へやすぽTV」(月額980円)の開発にあてる。今後は、年齢・ステップに応じたクラスの新設や、種目特化ニーズに応じたコースの拡充を行うとともに、児童たちがよりのめり込んで参加できるサービスに仕立てるという。

2021年4月設立のPAPAMOは、「運動との出会いを最高にする」をミッションに、へやすぽを提供している。へやすぽは、週に1回30分の児童向けオンライン運動教室という。鉄棒や球技など児童がつまずきやすい種目の基礎力や運動感覚を、おうちにいながらゲーム感覚で育めるとしている。

へやすぽでは、「運動神経」を分解し、誰でも「できた!」を味わえる300種類以上の豊富なメニューと、キャラクターからのミッションをクリアするとストーリーが前に進むゲーミフィケーションが組み込まれたレッスンで、成功体験を積みながら、運動能力を育むという。また、親子で参加することで、親子関係の構築騒音にも配慮しており、マンションの方も安心して参加できるとしている。児童向けオンラインスポーツ事業「へやすぽ」を展開するPAPAMOが5600万円調達、コンテンツやマーケティング強化し事業展開加速

幼少期の運動体験は、生涯の運動習慣・健康に影響することから、へやすぽとへやすぽTVは、どんな児童も運動習慣をつけられ、運動が好きになれる、そんな運動との出会いを届けるという。

大人も子どもも、モーションエンターテインメントで運動不足を解消するNEXのアプリ「Active Arcade」

運動不足が世界で認識されている。成人の4分の3が「体を鍛えることは健康上の利益のために非常に重要」だと考えている一方で、World Health Organization(世界保健機関)によると、成人の4人に1人、そして青少年の81%は身体活動が不十分な状態であるという。またCenters for Disease Control and Prevention(CDC / 米国疾病予防管理センター)によれば、新型コロナウイルス感染症が発生する以前においても、毎日60分間の身体活動を行っていたのは6歳から17歳の子どもで24%に満たなかった。

パンデミックの期間中、在宅勤務やステイホーム運動不足状態を助長した。ほとんどの人は、映画の鑑賞やライブコンサートのストリーミング、ビデオゲームのプレイ、バーチャルパーティーの開催など、動きが最小限に抑えられた座った状態で楽しむエンターテインメントを選んでいる。

誰もがアクティブな遊びへと促されるような新しい方法を生み出し、非アクティブという世界的な問題を解決に導く。サンノゼと香港に拠点を置くモーションエンターテインメントのスタートアップNEX(ネックス)は、それを実現するべく、身体の動きを促すコンテンツとしてモーションエンターテインメントの構築を進めている。同社は、その新しいモバイルAI対話型モーショントラッキングゲームActive Arcadeのローンチに合わせて、2500万ドル(約27億円)のシリーズBラウンドを発表した。

この新たな資金調達は、Blue Pool Capital(ブルー・プール・キャピタル)が主導し、Samsung Ventures(サムスン・ベンチャーズ)、SparkLabs(スパークラボ)、Susquehanna(サスケハナ)の参加を得た。また同ラウンドは、シャン・チーを演じたSimu Liu(シム・リウ)氏、ロサンゼルス・ドジャースのAlbert Pujols(アルバート・プホルス)氏、アーセナルのレジェンドThierry Henry(ティエリ・アンリ)氏、WNBA(米女子プロバスケットボール協会)選手のSabrina Ionescu(サブリナ・イオネスク)氏といったスポーツやエンターテインメント業界のインフルエンサー、そしてYouTube(ユーチューブ)、Dapper Labs(ダッパー・ラボ)、Alchemy(アルケミー)、OpenDoor(オープンドア)、WordPress(ワードプレス)のCEOや創業者、Zendesk(ゼンデスク)、Uber(ウーバー)、MasterClass(マスタークラス)、Facebook(フェイスブック)の幹部ら、ビジネス界のエグゼクティブたちを惹きつけた。

この最新のラウンドは、NEXが2019年にNBA(米プロバスケットボール協会)、Will Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers Fund(ドリーマーズ・ファンド)、Alibaba Entrepreneurship Fund(アリババ・アントレプレナーシップ・ファンド)から850万ドル(約9億3300万円)のシリーズAを調達した後に行われたものだ。さらに2018年には、Charmides Capital(カルミデス・キャピタル)、Harris Blitzer Sports & Entertainment Ventures(ハリス・ブリッツァー・スポーツ&エンターテインメント・ベンチャーズ)、およびMandra Capital(マンドラ・キャピタル)、Steve Nash(スティーブ・ナッシュ)氏、Jeremy Lin(ジェレミー・リン)氏、およびMark Cuban(マーク・キューバン)氏から400万ドル(約4億3900万円)のシードラウンドも獲得している。他にもスポーツ、メディア、テクノロジー界の多くのリーダーたちがNEXに関心を寄せている。

今回のシリーズBラウンドで、NEXのこれまでの調達総額は4000万ドル(約44億円)となった。

NEXは、David Lee(デビッド・リー)氏、Philip Lam(フィリップ・ラム)氏、Reggie Chan(レジー・チャン)氏、Tony Sung(トニー・ソン)氏によって2018年に設立された。そのミッションは、Active Arcadeのようなアプリを通じて、受動的な活動を能動的な遊びに変換することにあった。同社の最初のアプリHomeCourtは、200を超える国々でプレイされている。

「座位中心のライフスタイルという、世界中ですでに広く深刻化している問題への関心が、パンデミックにより一層高まっています」と、NEXのCEOで共同創業者のデビッド・リー氏は語っている。「動きながら楽しむことは、遊びの最も純粋な定義の1つです。しかし、昔とは異なり、アクティブな遊びのためのエンゲージメントの基準は、最高のビデオゲームと同等である必要があります。アクセシブルなモーションベースのエンターテインメントが、身体活動を高めることへの世界的なニーズに対する答えであることは、私たちにとって明白でした」。

身体活動のための十分な時間がないという向きもある。だが、真の問題は「余暇時間というのは活動的に、楽しく快適なことをして過ごすもの」という概念が、高価で、時間を消費し、困難なものであると認識されていることにある。

NEXが新しくローンチしたActive Arcadeには、モーションゲームのコレクションが用意されており、子どもから大人まで、ゲームをすることを通じてより多くの動きを得られるようになっている。スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップなど、カメラを搭載したあらゆるコンピューティングデバイスを介して、誰もがどこからでもアクセスすることが可能だ。

VRヘッドセット、コネクテッドハードウェア、あるいはゲームコンソールのような、高価なギアを必要とする他のモーションベースのエンターテインメント企業のプロダクトとは異なり、NEXは特別な機器やモニター、またはサブスクリプションを必要とすることなく、モーションベースのエンターテインメントアプリを展開している。

誰でも自分の体の動きを使ってActive Arcadeをプレイできる。個々のゲームがそれぞれ異なるゲームプレイ、スタイル、深度を備えているため、どの年齢層や活動レベルのプレイヤーにも適したものが見つかるだろう。

「モーションベースのエンターテインメント業界には、グローバル企業が開発したハイテクのエクササイズプログラムが数多くありますが、そのほとんどは、高価な新しい機器や、険しい習熟曲線を要するものです」と語るのは、NEXで戦略、マーケティングコミュニケーションおよびパートナーシップ担当バイスプレジデントを務めるAlex Wu(アレックス・ウー)氏だ。

NEXは、モバイルおよびビジョンテクノロジーを使用したAIの独自の組み合わせにより、デジタルと物理の世界を融合させ、Active Arcadeのようなゲームを生成可能な携帯電話アプリケーションを構築している。

リー氏によると、同社は2021年夏にActive Arcadeの限定テスト版をローンチしたという。

NEXは2018年、同社初のAIベースのバスケットボールトレーニングアプリHomeCourtをローンチし、Apple(アップル)のiPhoneスペシャルイベントにおいて、スティーブ・ナッシュ氏とともに壇上でデモを行った。

Brooklyn Nets(ブルックリン・ネッツ)のコーチで2度のリーグMVPのSteve Nash(スティーブ・ナッシュ)氏は、次のように述べている。「私は常に、自分が支援できる、自分の価値観に合った企業やプロダクトに投資したいと考えています。子どもや大人の動きを促進し、活動をプレイに変換するNEXのアプローチは、私が心底支持しているミッションです」。

Harris Blitzer Sports & Entertainment VenturesのジェネラルパートナーであるChip Austin(チップ・オースティン)氏は「世界中の人々の活動を遊びに変換していく上で、重大なネクストステップを踏み出したNEXのチームは、これからも私たちの誇りであり続けるでしょう」と語っている。「私たちは、彼らの重要なビジョンを尊重し、そのリーダーシップとテクノロジーに感銘を受けています」。

画像クレジット:NEX

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(文:Kate Park、翻訳:Dragonfly)

FacebookはInstagramが10代に悪影響を及ぼすことを把握していながら子供向けアプリ立ち上げを計画、この計画はさらに有害だと考えられる

Facebookが再度苦しい立場に追い込まれる。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先にFacebookに関する複数パートからなるシリーズ記事を発表した。この記事では、著名人をホワイトリストに登録して水面下で特別扱いする同社の慣行から、Instagramが10代の少女の精神衛生に重大な打撃を与えることをFacebookが把握していた、といったことまで、内部文書から得られた内容が報告されている。

相次ぐ調査記事により、Facebookがすでに指摘されていた問題について表向きに口にしてきた言葉と、裏で同社が実際に把握していたこととが、必ずしも一致していないことが明らかになった。Facebookは何年にもわたって自ら種を蒔いてきたさまざまな社会的病気について素知らぬふりをしてきたわけだが、それでも今回発表された記事は衝撃を与えた。Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookが2016年の選挙に影響を与えたという考えを「ばかばかしい」として否定したことを覚えておられるだろうか?Facebookが長いこと取ってきたPR戦略は、仮に調査によって問題が社内で明るみに出ていても、その危険性を隠し、社会への負の影響を把握していることを表向きには否定する、というやり方である。

このやり方は、誰かが内部調査報告書を入手するまではまったく問題なかったかもしれない。

WSJのレポートで明らかになった重大な問題の1つは、 Instagramが10代の少女たちの精神衛生に重大な危険を及ぼしていることをFacebookが把握していたことである。2019年の内部調査結果を報告するスライドには「我々は、3人に1人の割合で10代の少女の身体イメージに関する問題を悪化させている」と書かれていた。同社は現在、さらに年若く影響を受けやすい年齢層にもサービスを拡大する計画 を立てており、こうした事実を知っていたことは衝撃的である。

ついこの間の5月、InstagramのAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同アプリが10代のユーザーに与えるマイナスの影響について「ごくわずかである」として、懸念を否定したばかりである。

しかし、内部で把握していたことは、これとは異なるようである。WSJによると、2019年から2021年まで、同社はオンライン調査、日記研究、フォーカスグループ、大規模なアンケート調査などを通し、10代の若者の精神衛生について徹底的な調査を実施した。

ある内部スライドによると、この調査で、10代の少女の32%がInstagramによってマイナスの身体イメージを植え付けられたと報告していることがわかった。自殺念慮を持ったことのある調査参加者のうち、英国の10代の若者の13%、および米国の10代の若者の6%が、自殺への関心を直接Instagramと結びつけていた。

別の内部スライドには次のような記載があった。「10代の若者は、不安やうつ症状の増加に関しInstagramに原因があるとしている。この反応は自発的なもので、すべてのグループ層で同じ傾向が見られた」。

WSJのレポートを受け、Marsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン、共和党・テネシー州選出)上院議員およびRichard Blumenthal(リチャード・ブルメンタル、民主党・コネチカット州選出)上院議員が、Facebookについて、Instagramが10代の若者に与える深刻で致命的な危険について示した内部調査に対する同社の対応が透明性に欠けるとして、調査を実施することを発表した。上院の消費者保護・製品の安全・およびデータセキュリティ小委員会が調査を近々開始する。

「私達は、Facebookの内部告発者と連絡を取り合っており、Facebookがどのようなことをいつ頃知ったかについて、さらに詳しい文書を探すことや証人喚問も含め、あらゆるリソースを使って調査します。ウォール・ストリート・ジャーナルの衝撃的なレポートは氷山の一角に過ぎない可能性があります」と、ブラックバーン、ブルメンタル両上院議員は書いている。

ブラックバーン氏とブルメンタル氏だけがこのレポートに危機感を覚えた米国議員ではない。Ed Markey(エド・マーキー、民主党・マサチューセッツ州選出)上院議員、Kathy Castor(キャシー・カスター、民主党・フロリダ州選出)下院議員、Lori Trahan(ロリ・トゥラハン、民主党・マサチューセッツ州選出)下院議員もFacebookに別途書簡を送り、子ども向けのInstagramの立ち上げ計画を思いとどまるよう要求した。この書簡の中で「子どもと10代の若者は、オンラインによる害を特に受けやすい層であり、さまざまな知見により、Instagramが若者の心身の健康に著しい脅威をもたらすアプリであることを明確に衝撃的な形で示している」と彼らは述べている。

5月、44名の州検事総長が連名で書簡を送り、13歳未満の子どもにInstagramを提供する計画を放棄するよう同社に働きかけた。「Facebookはニーズに応えているのではないように見えるが、実はニーズを作り出しているのである。このプラットフォームは主にそれが存在しなければInstagramアカウントを持たない、または持たないであろう年齢層の子ども向けのものだからである」。と州検事総長らは書き、子ども向けInstagramは「有害だとする理由が数え切れないほどある」と警告している。

4月には、民主党の議員がやはり連名でInstagramが若年層のユーザーの心身の健康に与える影響について「深刻な懸念を」表明したほか、消費者擁護団体連合も子ども向けInstagramの立ち上げを再考するよう同社に要求している。

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WSJが入手した文書をもとに考えると、これらの懸念はすべて非常に妥当に思われる。広範な内部調査を実施しそこから重大な問題があることを把握していたにも関わらず、また規制当局が同社に対し何を実際に把握しているか知らせるよう定期的に求めていたにも関わらず、Facebookは表向き同社が持っている知識を過小に見せてきた。

Instagramのモセリ氏が先に、ソーシャルメディアと自動車についてしゃれにならない比較をしたことで、事態はさらに悪化したのではないかと思われる。モセリ氏はRecodeのポッドキャストでPeter Kafka(ピーター・カフカ)氏に「自動車があるために事故で亡くなる方がいますが、おしなべて考えれば、自動車はそうしたマイナスの要素よりもずっと大きな価値を世界にもたらしています。私はソーシャルメディアもこれに似ていると思います」と述べたのだ。

モセリ氏は、ソーシャルメディアの中毒性が十分な調査によって判明しているにもかかわらず、ソーシャルメディアと薬物、またはタバコとの類似性を否定し、かわりにソーシャルプラットフォームと自動車産業とを結びつけた。当然のことながら、同社を批判している人々はこの発言に飛びつき、ソーシャルメディアと死との関連性、および自動車産業はソーシャルメディアと異なり厳しい規制を受けているという事実を指摘した。

画像クレジット:Rafael Henrique/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Dragonfly)

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時まで利用できなくする青少年モード追加

中国版TikTokの「抖音」が14歳以下の利用を1日40分に制限・22時から6時までは利用できなくする青少年モード追加

China Stringer Network / Reuters

TikTokを運営する中国ByteDanceが、中国版TikTokである「抖音(Douyin)」について14歳以下のユーザー向けに青少年モード(Youth Mode)を追加すると発表しました。このモードではまた、1日の利用時間が40分までに制限されるほか、22時から6時までは利用できなくなります。

青少年モードでは、面白い科学実験や博物館や美術館のコンテンツ、全国の美しい風景に歴史的な知識の解説など、教育向けコンテンツも追加されるとのこと。

なお、Bloombergによると、Douyinとは別にXiao Qu XingあるいはLittle Fun Starという新しいアプリの提供も開始されたとしており、こちらも1日40分などの制限は同じですが、教育向けコンテンツのみを提供しているようです。

中国では、2018年に習近平主席が子供の近視率の増加を憂慮したことから、未成年者のゲーム・インターネット利用を規制する動きが強まっており、直近では、18歳未満のゲーム利用を週に3時間までに制限したばかりです。

週に3時間までの制限と比べれば、1日40分というのは大分軽い制限のようにも思えますが、香港で発行されているSouth China Morning Postによれば、Douyinユーザーのうち、12歳未満は0.34%、13~19歳が4.18%に過ぎず、それほど多くのユーザーには影響しないようです。ただし、Douyinはユーザーの統計データを公開していないため、この数値が正確である保証はありません。

なお、Douyinは、14歳以下のユーザーがこの規制を回避することができるかもしれないと認めており、ログインプロセスの抜け穴を探すバグ発見キャンペーン「DOU to find bugs」も実施しています。

(Source:ByteDanceEngadget日本版より転載)

新学期早々、学校の備品を盗むTikTok動画が米国で大人気

新学期が始まった。しかしなぜか、新学期はTikTokを使う子どもたちにとって、ネジ止めされていないものなら何でも盗んでいいシーズンなのだ。

TikTokの最新トレンドは社会的大混乱を招いており、「悪質ないたずら」で、ささやかな窃盗行為が相次いでいる。盗まれるのは手洗い所の石けん入れや、新型コロナウイルスの検査キット、手の消毒剤で、教室にあるハイテク製品など高価なものも盗まれている。

以下の動画は、Lil Bの「Ski Ski BasedGod」を編集したバージョンで、Mashableによると、米国時間9月13日にはTikTok上で約10万本の動画に登場し、#deviouslickというタグで1億7500万回以上の再生回数があった。

9月15日にはTikTok自身が動き出し、バイラルないたずらの検索結果を制限し、そのタグがついた動画を削除し「先生にはもっと優しくしよう」と呼びかけた。

TikTokの広報担当者は次のように語る。「コミュニティが安全性を維持し、責任ある創作を期待したい。犯罪的な行為をそそのかしたり、可能にするコンテンツは許可しない。このコンテンツは削除し、ハッシュタグと検索結果を弊社のコミュニティガイドラインへリダイレクトして、このような行為を阻止しています」。

どれが流されて、どれが正当なものなのかを知ることは困難だが、このトレンドは全米の教師や親がストレスを感じるほど大きなものだ。ラスベガスのある中学校では、生徒が制限速度の標識、火災報知器、石けん入れ、教室のプロジェクターなどを盗んだと学校管理者は報告している。また、オレゴン州のポートランドでは、少なくとも1つの高校で、建物全体の石けん入れがなくなった。

このトレンドは相当大きくて、国中の教師や親を困らせるに十分だった。ラスベガスの中学校では、速度制限の標識や火災報知器、石鹸入れ、教室のプロジェクターなどを盗んでいると学校管理者が報告している。オレゴン州ポートランドでは、少なくとも1つの高校で、全校の石鹸入れが消えた。パンデミックでみんなが苦しんでいる中での新学期として、良い光景とはいえない。

関連記事:TikTokが「牛乳ケースチャレンジ」の動画を禁止、危険性からユーザーを守るため

画像クレジット:CHANTAL VALERY/AFP via Getty Images/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国政府が新作オンラインゲームの認可を8月から一切停止中、未成年ゲーマー関連規制の成功のため

中国政府が新作オンラインゲームへの認可を8月から一切停止中、未成年ゲーマー関連規制の成功のため

Reuters/Kim Kyung-Hoon

中国では18才未満が週に3時間以上ゲームをプレイするのを禁じられたばかりですが、それに続いてApp Storeを含むオンラインゲームの新作リリースが1本も許可されなくなっていると報じられています。

香港メディアThe South China Morning Post(SCMP)によると、中国規制当局はテンセントやネットイースといった大手ゲーム開発企業との会議を行い、そこで新作ゲームのライセンス発行を停止する決定を下したとのことです。その会議には出席していないが説明を受けた関係者が「すべてが保留になっている」と述べています。

別の関係者によると、この発行停止は「しばらくの間」続くとのこと。規制当局は、2021年前半にライセンス発行を「少し積極的に行いすぎた」と考えているそうです。その目的は「新作ゲームの本数を削減する」ことにあり、それにより中国政府の「ゲームの追加を減らす」意図を助けるつもりだと伝えられています。

この会議に参加していた別の関係者は、「発行を凍結する」と具体的に決められたわけではないとも語っています。むしろ、ゲーム依存症を減らす計画を「円滑かつ成功裏に展開する」ために、認可プロセスを遅らせると議論されたとのこと。つまり、今後は新作のリリースを一切認めないわけではなく、ペースに歯止めを掛けることが狙いと示唆されている模様です。

この会議は水曜日(9月8日)に行われたと報じられてはいますが、SCMPは今年8月にはライセンスが承認されなかったとも伝えています。新作ゲームに対する締め付けは、もっと早くから始まっていた可能性があるわけです。

中国が新作ゲームのライセンス発行を停止したことは、今回が初めてではありません。まず2018年3月~12月にかけて停止され、中国ゲーム市場の成長が大幅に鈍化したこともありました。

もともと中国では2016年以降、有料またはアプリ内購入を提供しているゲームはすべて事前に規制当局に提出し、公開前にライセンスの取得が義務づけられています。それがアップルのApp Storeでは数年にわたってお目こぼしされていましたが、2020年には厳密に実施されるようになりました

中国でのライセンス取得の義務化は、これまでもApp Storeの収益に大きな影響を与えてきました。ティム・クックCEOとルカ・マエストリCFO(最高財務責任者)は、2018年のライセンス発行停止の際に、App Storeにとって財務上の逆風の原因になっていると述べていたことがあります。

すでに中国は世界最大のゲーム市場となっており、App Storeにおいてもゲームの収益は66%を占め、iOS用ゲームで最も稼いでいるのは中国企業テンセントの『王者栄耀』という調査結果もあります。今回のライセンス発行“保留”は、アップルにとって大きな痛手となるのかもしれません。

(Source:The South China Morning Post。Via AppleInsiderEngadget日本版より転載)

【コラム】音声認識が子供のために使えるようになった、今こそ活用する時だ

音声認識テクノロジーが、ようやく子どもたちのためにも使えるようになった。

1999年に私がScholastic Education(スカラスティック・エデュケーション)で同僚たちと音読支援プログラムのREAD 180(リード・ワンエイティー)を作ったときは違っていた。当時私たちは音声対応アプリの導入を考えていた。子どもがコンピュータープログラムに向かって読むと、流暢さと識字能力をリアルタイムでフィードバックする。そして教員は生徒の進歩状況を受け取る。

残念ながら私たちのアイデアはテクノロジーの20年先を行っていたので、音声認識機能を省いたREAD 180の開発を進めることになった。ドットコムバブルの絶頂期でさえ、教室向け音声認識はまだSF世界の産物だった。

人工知能や機械学習を使っても、騒がしい教室の周囲雑音を遮断するために必要なテラバイトのデータを作ることはできなかった。また、大人よりも声の高さやしゃべるパターンの多い子どもたちの複雑な音声を把握したり、さまざまな方言や訛りを認識し、何よりも、システムを使う子どもたちの予測不可能な行動を操るまでには進化していなかった。

Scholasticでは、子どもたちに彼らの知らない何かを習得しているとは言いたくなかったし、実際には正しいのに何かを間違えたと幼い生徒たちに感じさせてしまうことの奥深い意味を私たちは理解していた。

時は過ぎて今。音声認識は子どもたちの発話を認識、理解して、異なる訛りや方言にも対応できるところまで進歩している。たとえばダブリン拠点のSoapBox Labs(ソープボックス・ラボ)は、にぎやかな校庭や教室で聞こえてくる子どもたちの多様な声をモデルにした音声認識技術を開発した。テクノロジーの高い精度と性能のおかげで、小学校教員はこれを使って生徒の進歩を高い規則性をもって測ることが可能になり、個人にあわせた指導方法をとれるようになった。

こうした進歩は、この上なく重要な時期にやってきた。

パンデミック前においてさえ、経済的に恵まれない家族の子どもたちの80%以上が、小学4年生の読み方習熟度に達していなかった。熟練した教育者から1年間切り離され、大人向けに作られたテクノロジーやデジタル格差と戦いながら、生徒たちは例年の87%しか読み方を習得できていない、とMcKinsey & Co.(マッキンゼー・アンド・カンパニー)は報告している。春季の学校閉鎖によって、彼らは平均3カ月分の学習機会を失った。

想像できるように、読み方能力の欠如は有色人種生徒の多い学校で顕著であり、読み方スコアは過去の平均の77%でしかない。

生徒たちが教室に戻ってきた時、音声認識は教育に革命を起こせる。リモート学習や家庭でのエンターテインメントも含めて、子どもたちがテクノロジーとやり取りする方法を転換することによって変わる。音声を利用した読解、さらには数学、言語のプログラムが、子どもたちの習熟度の測定や基本知識の習得における事務的作業を肩代わりすることによって、現場は専門的作業に専念できるようになる。

例えば音声認識を使って生徒の読み方の進歩に関する有益な観察を定期的に生成し、パターンを見つけたり改善の必要な部分を特定したりできる。教師は音声対応ツールが生成した進捗や評価データを見て、それぞれの生徒にあった学習方法を適用し、失読症などの障害を見つけたり、必要な時に介助できるようにスケジュールを組むことができる。

音声利用読書ツールを使うと、授業時間中にすべての生徒が音読してフィードバックを受けることができる。こんなことは教師1人では実現不可能だった。例えば25人のクラスで生徒1人につき15分を費やすと、1人の教師の時間を6時間以上占める、毎日。この種の個人観察と評価は、新型コロナウイルス(以前から)教師にとって永遠の課題だった。自宅学習が導入され、生徒たちが教育的にも情緒的にも過去に類を見ない問題を抱えて学校に戻ってくることで、問題はいっそう深刻化している。

音声認識技術には、教室の公平性を高める可能性もある。人間による読み方能力の評価は、結局のところ極めて主観的であり、評価者の偏見によって最大18%の偏差が見られたという最近の研究報告もある。現在利用可能な子ども中心で精度の高い音声認識は、訛りや方言によらずどの子どもの声も理解することで、人間の必然的な偏見を排除することができる。

今後数年のうちには、このテクノロジーがあらゆる教室で授業の一部となり、年少者の読み方(および数学や言語)能力を高めるようになるだろう。教育者は、この技術をより戦略的に自らの授業に取り入れられることに気づくだろう。そしてこれは、新型コロナ時代に切実に求められているものへの期待を大きく高める。それは読解能力を著しく改善し、世界的な読み書き能力問題に、深く本格的に取り込むことのできるテクノロジーだ。

編集部注:本稿の執筆者Mergery Mayer(マージェリー・メイヤー)氏は、Scholasticで教育担当プレジデントを25年間務めている。

画像クレジット:Flashpop / Getty Images

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(文:Margery Mayer、翻訳:Nob Takahashi / facebook

夜間・休日など病院の時間外に子どもの健康相談が行える「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始

時間外の小児健康相談アプリ「キッズドクター」が福岡エリアでも夜間往診を開始、夜間・休日往診の「コールドクター」と連携

夜間や休日などに子どもの健康相談ができるアプリ「キッズドクター」(Android版iOS版)を提供するノーススターは9月6日、夜間と休日の往診サービスを提供するコールドクターと連携し、福岡エリアでの往診サービスを開始したことを発表した。

キッズドクターは、子どもの健康に悩んでいる保護者に「医師や看護師に気軽に相談できる安心を届ける」サービス。平日夜間や休日の病院が開いていない時間など病院の時間外に、看護師による「チャット健康相談」、医師と会話ができるオンライン診療、医師が自宅に訪問する「夜間往診」などを受けられる。

キッズドクター概要

  • チャット健康相談:厚労省指針に基づき、看護師チームが、医学的判断の伴わない一般的な医学的情報の提供や受診勧奨を行う。子どもの健康に関する悩みや、病院が空いていない時間の子どもの急な体調不良時に「今の症状だと受診したほうがいいのか?」という悩みに、迅速に応える
  • オンライン診療・夜間往診予約:オンライン診療では、かかりつけのクリニックが開いていない時間に、スマホを通して医師と会話ができる。夜間往診予約では、患者の自宅に医師が訪問する往診サービスを予約できる。健康保険・こども助成金なども適用可

またコールドクターは、夜間と休日に健康保険が適用可能な往診を受けられるサービス。医療機関と連携して400人以上の医師が登録している。

これまで「キッズドクター」は、名古屋市内、東京市部、大阪、兵庫エリアで往診サービスを行っており、今回、福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)での往診サービスを始めた。

今後も、対象エリアと時間の拡大を進めてゆくとノーススターは話している。

夜間往診の新規対応地域(地域・時間は順次拡張予定)

  • 福岡県:福岡市(東区、博多区、中央区、南区、城南区)、小郡市、春日市、大野城市、太宰府市、那珂川市、糟屋郡(志免町、須惠町、新宮町、粕屋町)
  • 受付時間:福岡地域では月・火・木の19時~24時(祝日は除く)の時間で診察予約を受付

 

生徒や保護者、教師から大量のデータを収集、新型コロナで孤立する生徒を学校が理解するのを助けるPanorama

幼稚園から高校までの教育ソフトウェアプラットフォームを構築しているPanorama Education(パノラマ・エデュケーション)は、General Atlantic(ジェネラル・アトランティック)が主導するシリーズCラウンドで6000万ドル(約65億7900万円)の資金を調達した。

既存の出資者であるOwl Ventures(オウル・ベンチャーズ)、Emerson Collective(エマーソン・コレクティブ)、Uncork Capital(アンコーク・キャピタル)、Chan Zuckerberg Initiative(チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ)、Tao Capital Partners(タオ・キャピタル・パートナーズ)もこの資金調達に参加し、ボストンを拠点とする同社の2012年の創業以来の調達額は1億500万ドル(約115億1400万円)となった。

Panoramaは、今回のシリーズCの調達額や、具体的な財務成長指標については明らかにしていない。しかし、CEO兼共同創業者のAaron Feuer(アーロン・フォイヤー)氏は、同社が現在、米国内の2万3000の学校で1300万人の生徒にサービスを提供しており、これは米国の生徒の25%がPanoramaのサービスを受けていることを意味すると述べている。

また、国内最大100の学区および州機関のうち50以上が同社のプラットフォームを使用しているという。合計で1500以上の学区がPanoramaの顧客となっている。顧客には、ニューヨーク市教育局、ネバダ州クラーク郡学区、テキサス州ダラスISD、ハワイ州教育局などが含まれる。

フォイヤー氏によると、2020年3月以降、Panoramaの顧客には700の学区が追加され、18カ月前に提供していた800の倍近くになったという。

では、Panoramaは具体的にどんなことをしているのか?ひと言でいうと、生徒や保護者、教師を対象に調査を行い、実用的なデータを収集するSaaSビジネスだ。イェール大学の大学院生だったフォイヤー氏とXan Tanner(ザン・タナー)氏は、学校が生徒からのフィードバックを収集し、理解するための最良の方法を見つけるために、Panoramaを設立した。

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行により、多くの生徒がバーチャルで学校に通うようになった今、生徒の社会的・感情的なニーズに対応する必要性は、かつてないほど高まっている。多くの子どもたちやティーンエイジャーが、仲間から孤立したことで、うつ病や不安症を患っており、そのメンタルヘルスへの影響は、学業への悪影響以上のものがあると考えられている。

例えば、生徒には学校でどれくらい安心できるか、教師をどれくらい信頼しているか、自分にはどれくらいの可能性が秘めていると感じるかなどについて質問する。

「私たちは、学校が生徒、教師、保護者を対象に調査を行い、学校の環境や経験を理解する手助けをしています。そして、学校が社会的・感情的な発達を把握することを支援し、数学の厳密なデータと同じように、社会性と情動の学習(SEL)や健康状態に関する情報を得ることができるようにしています」とフォイヤー氏はTechCrunchに語っている。

例えば、過去1年間に全国で2500万人がPanoramaの調査に参加しており、かなりの量の情報が得られている。Panoramaは、地区の既存のデータシステムすべてと統合することができ、地区データの「全容(文字通りパノラマ)」と生徒の情報をまとめて提供することができる。

「教師がログインして、生徒に関するすべての情報を一か所で見ることができるので、とてもパワフルです。しかし、最も重要なのは、教師が生徒のために行動を計画するためのツールを提供することです」とファイヤー氏は語っている。

Panoramaは、同社のソフトウェアを使用することで、卒業率の向上、学生態度を照会する回数の減少、学習時間の増加、生徒が「大人や仲間とのより強い協力関係」を築くなどの効果が得られると主張している。

Panoramaは今回の資金を、製品開発の継続、地区とのパートナーシップのさらなる強化、そして当然ながら雇用にも充てる予定だ。Panoramaには現在、約250名の社員が在籍している。

Panoramaはここ数年、資金調達を行っていなかったが、それはファイヤー氏によると、資金を必要としていなかったからだそうだ。

「私たちはGeneral Atlanticと出会い、学校に次のレベルのインパクトを与える機会があることを実感しました。しかし、私にとって重要だったのは、資金を調達する必要がなかったということでした。事業に投資できるようにするため、資金調達する道を選びました」と彼はTechCrunchに語った。

General AtlanticのマネージングディレクターであるTanzeen Syed(タンジーン・サイード)氏は、Edtech(EdTech)はこの会社にとって重要な分野であると述べている。

「米国の教育システムに目を向けたとき、そこには大きなチャンスがあり、ソフトウェアやテクノロジーを使って学生の体験を本当の意味で向上させることができる、非常に初期の段階にあると考えました」と彼は語っている。

また、Panoramaについては「単なるビジネスではない」と考えている。

「Panoramaは、学生や管理者に、学生生活をより良いものにするためのツールを提供することを、本当に真剣に考えています。そして彼らは、それを可能にする製品の開発に夢中になっているのです。それに加えて、多くの学校や地区と話をして得られたフィードバックは、一貫してポジティブなものでした」とサイード氏はTechCrunchに語ってくれた。

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画像クレジット:Panorama

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップルが次期iOS15での児童性的虐待コンテンツ検出技術導入を延期

Apple(アップル)は、顧客や政策グループからのフィードバックを考慮して、2021年8月に突然発表した児童性的虐待コンテンツ(CSAM)検出技術の展開計画を延期した。

振り返ってみれば、そのフィードバックは大部分が否定的なものだった。Electronic Frontier Foundation(EFF、電子フロンティア財団)は今週、消費者から2万5000を超える署名を集めたと語っている。またそれに加えて100に迫る政策ならびに権利団体(「アメリカ自由人権協会」も含まれている)も、Appleに技術を展開する計画を放棄するように呼びかけていた。

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米国時間8月3日朝の声明で、AppleはTechCrunchに次のように語った。

「先月私たちは、コミュニケーションツールを使用して子どもを引き込んだり悪用したりするする捕食者たちから子どもたちを保護し、児童性的虐待コンテンツ(CSAM)の拡散を制限することを目的とした機能の計画を発表しました。しかし顧客の皆さま、プライバシー擁護団体、研究者の方々などからのフィードバックに基づいて、これらの非常に重要な子どものための安全機能をリリースする前に、今後数カ月にわたってさらに意見や情報を収集し、機能を改善するために時間をかけることに致しました」。

このAppleの計画しているNeuralHash(ニューラルハッシュ)テクノロジーは、ユーザーのデバイス上の既知のCSAMを、画像を取得しなくても、また画像の内容がわからなくても識別できるように設計されている。iCloudに保存されているユーザーの写真はエンド・ツー・エンドで暗号化されているために、Appleでもデータにアクセスできない、よってNeuralHashは代わりにユーザーのデバイス上で既知のCSAMをスキャンする。このことからAppleは、現在多くのクラウドプロバイダーが行っている一括スキャンよりもプライバシーに配慮していると主張している

関連記事:【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答え

しかし、セキュリティの専門家やプライバシー擁護派は、政府などの豊富な資源を持つ者がシステムを悪用して、罪のない犠牲者を巻き込んだり、権威主義的な国民国家が、好ましくないと判断する任意のデータを検出するためにシステムを操作したりする可能性があると懸念を表明している。

技術が発表されてからわずか数週間で、研究者たちは、NeuralHashを使用して「ハッシュ衝突」を作成し、事実上システムをだまして2つのまったく異なる画像が同じであると思わせることができたと発表している。

iOS 15は、今後数週間以内にリリースされる予定だ。

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画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Zack Whittaker、翻訳:sako)

TikTokがティーンエイジャーの親向けに教育リソースを提供、ユーザー保護強化で

TikTokはアプリ内のペアレンタルコントロール機能「Family Pairing」に、親がティーンエイジャーの子どもをこれまで以上にサポートできるようにするための教育リソースを加えた。同社が米国時間9月1日に明らかにした。2020年に世界中のユーザーへの提供が始まったペアリング機能では、子どものスクリーン使用時間や誰とダイレクトメッセージをやり取りできるかなどを設定できるよう、13歳以上の子どもを持つ親が自分のアカウントを子どものアカウントとつなげることができる。しかし同社のもとには、自分たちのデジタルライフへの親の関わりについても考慮して欲しいというティーンエイジャーからの声も届いた。

新しい教育コンテンツをつくるために、TikTokはオンラインセーフティに取り組む非営利団体Internet Mattersと提携した。同団体は、親にTikTokに関する状況やティーンエイジャーのソーシャルメディア使用について一般的な情報を提供すべく、ティーンエイジャーとのコラボで一連のリソースを開発した。

この取り組みの中で、Family Pairingのような機能を使う時、設定するルールを親に理解して欲しい、とティーンエイジャーはいう。また、ティーンエイジャーがオンラインに費やす時間について議論することにもオープンであって欲しいと思っている。ティーンエイジャーは親が境界線を定めることについては気にかけていない一方で、人生において大人からある程度の信頼を得たいと感じている。

また年齢を重ねるにつれ、ティーンエイジャーは自分のデバイスやソーシャルネットワークで自主権を持ちたくなる。そのため、与えられたプラットフォームで付け回されたくない、と親にいうことがあるかもしれない。

これは必ずしもティーンエイジャーが何か悪さをしているわけではない、と新しいリソースは親に説明している。ティーンエイジャーはただ、厳重な監視なしにオンライン上で友達とつるむことができる、と感じたいだけなのだ。これはパンデミック時代にある今日、オンライン体験の重要な部分になっている。パンデミックでは多くの若者が、実生活で友達と付き合ったり、対面でのグループ活動に参加したりする代わりに、これまでよりも長い時間を家で過ごしている。

画像クレジット:TikTok

ティーンエイジャーはまた、何かまずい状況になったときに、ひどく怒られたり親がパニックになったりするのでは、とびくびくせずに親を頼ることができれば、ともいう。もし規則を破れば相応の結果がともなうことをティーンエイジャーは知っているが、厄介な事態になったときに、怒るだけでなく親に一緒に解決策を考えて欲しいと思っている。

これらは至って簡単で常識的なアドバイスのように聞こえるが、子どものデジタルライフやソーシャルネットワークの使用に対するTikTok上の親の寛容度はさまざまだ。ティーンエイジャーが何を求め、どう感じているのかを説明している基本的なガイドラインが含まれるのは理に適っている。とはいえ、Family Pairingのようなペアレンタルコントロール機能を利用できるほどにテックに詳しい親はすでに最良のプラクティスの手がかりを得ているかもしれない。

画像クレジット:TikTok

加えて、ティーンエイジャーにフォーカスしたこの手のプライバシーセーフティコンテンツは、TikTokが若いユーザーの保護に取り組んでいるプラットフォームと自らを位置付けるのに使うためのものだ。最近大手テック企業が先んじようと試みている潜在的な規制を考えると、若いユーザーの保護はますます求められている。たとえばTikTokは2021年8月、アプリをより安全なものにするために若いティーンエイジャーのプライバシー保護をこれまでよりも強化すると発表したFacebook(フェイスブック)、Google(グーグル)、YouTube(ユーチューブ)も同様の取り組みを展開している。

Family Pairing機能を介して自分のアカウントをティーンエイジャーのアカウントにリンクさせている親や保護者は、ティーンエイジャーが望んでいること、そしてデジタルリテラシーやオンラインセーフティに関する会話へのアプローチについて知ってもらうためのノーティフィケーションを受け取る、とTikTokは話す。Family Pairingを初めて使用する親にもこのリソースが案内される。

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グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化画像クレジット:Anatoliy Sizov / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国政府が子どものオンラインゲームを週末3時間のみに制限、健康懸念で

中国の国家新聞出版広電総局は子どものオンラインゲームに制限を設ける通知を出した。現地時間9月1日からビデオゲーム会社はゲーム時間を金曜、土曜、日曜日の午後8〜9時、週3時間に制限しなければならない。

この新たな規制で中国当局はオンラインゲーム中毒に取り組もうとしている。国家新聞出版広電総局によると、オンラインゲーミングは子どもの肉体的、精神的健康に影響を及ぼしている。

ゲーム時間制限を実施するために、ゲーム会社は実名ベースの登録システムを活用しなければならない。2018年にTencent(テンセント)は人気を博したモバイルゲーム「Honor of Kings」のプレイタイムを制限するためにこのシステムを使い始めた

当時、12歳までの子どものゲームは1日に1時間、13〜18歳は1日に2時間となっていたが、規制はそれほど厳しくなかった。当局は子どもの近視が悪化することを懸念していた。

登録手続きではユーザーはID認証システムを経なければならない。つまり、実名でのアカウント1つだけしか持てない。規制当局はゲーム会社が地方の条例に則っているか定期的にチェックする。

新規制がビデオゲーム全体に今後どのように影響するのか、興味深いところだ。オンラインゲーミングが具体的に言及されていて、これは各ゲームが制限されることはないことを意味するかもしれない。同様に、コンソールゲームと外国のゲームが実名に基づく登録システムを導入しなければならないのかも不明だ。

一部の若いゲーマーは外国のサーバーに申し込むことで規制を回避したいだろう。大人のゲーマーはこれまで通り好きなだけプレイできる点も注目に値する。

今回のニュースを受け、Tencentは声明文を出した。「Tencentは強く賛同し、可能な限り早期に通知の関連要件を満たすようあらゆる努力をします」としている。

Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたように、NetEase(ネットイーズ)の株価は8月29日の終値に比べて現在8%下げている。NetEaseも中国の人気のゲーム開発会社で、Tencentほど事業は多角化していない。

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画像クレジット:VCG / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

【インタビュー】アップルのプライバシー責任者、児童虐待検出機能とメッセージアプリの通信の安全性機能への懸念について答える

先にApple(アップル)は、同社の端末を使う児童の安全性の向上を目的とした一連の新機能を発表した。この新機能はまだリリースされていないが、2021年後半にはダウンロード配信される予定だ。これらの機能は、未成年の保護と児童性的虐待画像の拡散を抑えることをも目的としており、良い機能として受け入れられているものの、アップルが採用しているやり方に疑問の声が上がっている。

関連記事:アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

この記事では、アップルのプライバシー担当責任者Erik Neuenschwander(エリック・ノイエンシュバンダー)氏に、アップル製端末に搭載されるこれらの新機能について話を聞いた。同氏は、この機能についてユーザーが抱いている多くの懸念について丁寧に回答してくれた。この機能の導入後に発生する戦術的、戦略的な問題についても詳しい話を聞くことができた。

また、密接に関連しているが、同じような目的を持つ完全に独立したシステム群であるこれらの機能の導入についても話を聞いた。アップルは今回3つの機能を発表しているが、これらの機能はその守備範囲においても、一般ユーザーの間でも、混同されることが多いようだ。

iCloud写真でのCSAM検出NeuralHashと呼ばれる検出システムは、全米行方不明・被搾取児童センターやその他の組織のIDと照合可能なIDを作成し、iCloud写真ライブラリにある既知のCSAMコンテンツを検出する。大半のクラウドプロバイダーでもユーザーライブラリをスキャンしてこうした情報を取得しているが、アップルのシステムは、クラウド上ではなく端末上でマッチングを行う点が異なる。

メッセージアプリの通信の安全性親がiCloudファミリーアカウントで未成年向けにオンにできる機能。画像を表示しようとする子どもたちに、その画像には露骨な性的表現が検出されていることを警告し、親にも同じ警告がなされることを通知する。

Siriと検索への介入:Siriや検索を介して児童性的虐待画像関連の表現を検索しようとするユーザーに介入して、そのユーザーに介入を通知し、リソースを紹介する。

これらの機能の詳細については、当社の記事(上記にリンクがある)またはアップルが先に投稿した新しいFAQを参照いただきたい。

関連記事:アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し子どもと親に警告する新技術を発表

筆者は、個人的な体験から、上記の最初の2つのシステムの違いを理解していない、あるいは、自分たちの子どもの無害な写真でも何らかのフィルターに引っかかって厳しい調査を受ける可能性があると考えている人たちがいることを知っている。ただでさえ複雑な内容の発表に混乱を生じさせる結果となっているようだ。この2つのシステムはもちろん、組織がすでに虐待画像と認識しているコンテンツと完全に一致するコンテンツを検索するCSAM検出システムとは完全に別個のものである。メッセージアプリの通信の安全性では、すべての処理が端末上で実行され、外部には一切報告されない。単に、端末を使っている子どもに、性的に露骨な画像を表示しようとしている、またはその可能性があることを、その場で警告するだけである。この機能は親によるオプトイン方式となっており、有効化されていることを親も子どもも意識する必要はない。

アップルのメッセージアプリの通信の安全性機能(画像クレジット:Apple)

また、端末上で写真をハッシュ化しデータベースを使って比較対照できるIDを作成する方法についても疑問の声が上がっている。NeuralHashは、写真の高速検索など、他の種類の機能にも使用できるテクノロジーだが、iPhone上では今のところCSAMの検出以外には使用されていない。iCloud写真が無効になっている場合、この機能は、まったく動作しない。これにより、この機能をオプトアウトできるようにしているのだが、iCloud写真がアップルのオペレーティングシステムに統合されていることの利便性を考えると、オプトアウトすることで失うものが非常に大きいことは明らかだ。

エリック・ノイエンシュバンダー氏へのインタビューでは、これらの新機能について考えられるすべての質問に答えているわけではないが、アップルの上級プライバシー担当者による公開の議論としては、最も詳細な内容になっている。アップルがこれらの新機能の内容を公開しており、継続的にFAQを更新し、記者会見を開いていることから、同社はこのソリューションに明らかに自信を持っているように思われる。

この機能については、さまざまな懸念や反対意見があるものの、アップルは、必要なだけ時間をかけてすべての人たちに納得してもらうことに尽力しているようだ。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

ーーー

TC:大半の他のクラウドプロバイダーは、すでにCSAM画像のスキャンをかなりの期間実施していますが、アップルはまだ行っていません。現在、サーバー上でCSAM画像の検出を行うことを強制する規制はありませんが、EUやその他の国では規制による混乱が起こっています。今回の新機能はこうした動きを受けてのことでしょうか。なぜ、今なのですか。

なぜ今リリースするのかという点については、児童の虐待からの強力な保護とユーザーのプライバシーのバランスをとるテクノロジーが実現したということに尽きます。アップルはこの分野にかなりの期間注目してきました。これには、クラウドサービス上のユーザーのライブラリ全体をスキャンする最先端の技術が含まれますが、ご指摘のとおり、アップルはこうした処理、つまりユーザーのiCloud写真を走査するという処理を行ったことがありません。今回の新システムもそうした処理は一切行いません。つまり、端末上のデータを走査することもなければ、iCloud写真に格納されているすべての写真を走査することもありません。では、何をやっているのかというと、既知のCSAM画像が蓄積し始めているアカウントを特定する新しい機能を提供しているのです。

ということは、この新しいCSAM検出テクノロジーが開発されたことが重要な転機となって、このタイミングで今回の機能をリリースすることになったというわけですね。しかも、アップル自身も満足のいく形で、なおかつユーザーにとっても「良い」方法でこの機能を実現できると考えていると。

そのとおりです。この機能には、同じくらい重要な2つの目的があります。1つはプラットフォーム上での児童の安全性を向上させること、もう1つはユーザーのプライバシーを保護することです。上記の3つの機能はいずれも、上記の2つの目的を実現するテクノロジーを組み合わせることで実現されています。

メッセージアプリの通信の安全性機能とiCloud写真でのCSAM検出機能を同時に発表したために、両者の機能と目的について混乱が生じているようです。これらを同時に発表したことは良かったのでしょうか。また、この2つが別個のシステムなら、なぜ同時に発表されたのでしょうか。

確かにこれらは2つの別個のシステムですが、Siriと検索における当社による介入の増加に伴って開発されたものです。アップルのiCloud写真サービスの中の既知のCSAMのコレクションが格納されている場所を特定することも重要ですが、その上流部分を特定することも重要です。上流部分もすでにひどい状況になっています。CSAMが検出されるということは、すでにレポートプロセスの処理対象になったことのある既知のCSAMが存在しており、それが広範囲に共有されて子どもたちが繰り返し犠牲になっているということです。そもそも最初にそうした画像が作成される原因となった虐待があり、そうした画像の作成者がいたはずです。ですから、そうした画像を検出することも重要ですが、人々が問題のある有害な領域に入ろうとするときに、あるいは、虐待が発生し得る状況に子どもたちを仕向ける虐待者がすでに存在している場合に、早期に介入することも重要です。メッセージアプリの通信の安全性と、Siriおよび検索に対する当社の介入は、まさにその部分に対する対応策です。つまり、アップルはCSAMに至るまでのサイクルを遮断しようと試みているのです。最終的にはCSAMがアップルのシステムによって検出されることになります。

iCloud写真システムにおけるアップルのCSAM検出プロセス(画像クレジット:Apple)

世界中の政府と政府機関は、何らかのエンド・ツー・エンドまたは部分的な暗号化を組織内で使用している大規模組織に常に圧力をかけています。政府機関は、バックドアや暗号解読手段に賛成する理論的根拠として、CSAMやテロにつながる可能性のある活動を抑えることを挙げることがよくあります。今回の新機能および端末上でのハッシュ照合を実現する機能をリリースするのは、それらの要求を回避し、ユーザーのプライバシーを犠牲にすることなく、CSAM活動を追跡し防止するために必要な情報を提供できることを示すための取り組みでしょうか。

最初に、端末上での照合についてですが、このシステムはマッチング結果を(通常マッチングと考えられているような方法で)端末または(端末が作成するバウチャーを考えている場合でも)アップルに公開しないように設計されている、という点を申し添えておきます。アップルは個々の安全バウチャーを処理することはできません。このシステムは、あるアカウントに、違法な既知のCSAM画像に関連付けられたバウチャーのコレクションが蓄積した時点で初めて、そのユーザーのアカウントについて調査できるように設定されています。

なぜそんなことをするのかというと、ご指摘のとおり、これはユーザーのプライバシーを保護しながら検出機能を実現するための仕組みだからです。我々の動機となっているのは、デジタルエコシステム全体で児童の安全性を高めるためにもっと多くのことを行う必要があるという事実です。上記の3つの機能はすべて、その方向への前向きな一歩になると思っています。同時に、アップルが、違法行為に関わっていない人のプライバシーを侵害することも一切ありません。

端末上のコンテンツのスキャンとマッチングを可能にするフレームワークを作成するというのは、法的執行機関の外部のフレームワークを作るということでしょうか。つまり「アップルはリストを渡します。ユーザーのデータをすべて検索するようなことはしたくありませんが、ユーザーに照合して欲しいコンテンツのリストを渡すことはできます」ということでしょうか。そのリストをこのCSAM画像コンテンツと照合できるなら、探しているCSAM画像以外のコンテンツとも照合できますよね。それは、アップルの現在の考え方、つまり「アップルはユーザーの端末を復号化できない。端末は暗号化されていて、我々はキーを持っていないのだから」という立場を損なうことになりませんか。

その立場は一切変わりません。端末は依然として暗号化されていますし、アップルは復号化キーも持っていません。今回の新システムは端末上のデータに対して機能するように設計されています。アップルが作成したのは端末側コンポーネントです。プライバシーを向上させる端末側コンポーネントも含まれています。サーバー上のユーザーデータをスキャンして評価するやり方もあったわけですが、そのほうが(ユーザーの承認なしに)データを自由に変更できるし、ユーザーのプライバシーも低いのです。

今回のシステムは、端末側コンポーネントとサーバー側コンポーネントで構成されています。端末側コンポーネントは、バウチャーを作成するだけで何も認識しません。サーバー側コンポーネントには、バウチャーと、アップルのサービスに入ってくるデータが送信され、当該アカウントについて、違法なCSAM画像のコレクションが存在するかどうか調査されます。つまり、サービス機能です。話が複雑になりますが、このサービスの機能に、バウチャーが端末上に作成される部分が含まれているのですが、何度も申し上げているとおり、端末上のコンテンツの内容が認識されることは一切ありません。バウチャーを生成することで、サーバー上ですべてのユーザーのコンテンツを処理する必要がなくなりました。もちろん、アップルはiCloud写真の内容を処理したことも一切ありません。そのようなシステムは、プライバシー保護の観点から、より問題を起こしやすいと思います。ユーザーに気づかれずにシステムを本来の設計意図とは異なるものに変更できてしまうからです。

このシステムに関して大きな疑問が1つあります。アップルは、CSAM画像以外のコンテンツをデータベースに追加して端末上でチェックするよう政府やその他の機関から依頼されたら拒否すると明言しました。アップルには、ある国で事業展開したければ、その国の法律に最高レベルで準拠しなければならなかった例が過去にあります。中国の件が良い例です。政府からシステムの意図的改ざんを要求または依頼されても、アップルは、そうした干渉を一切拒否するという約束は本当に信頼できるのでしょうか。

まず、このシステムは米国内でのみ、iCloudアカウントのみを対象としてリリースされます。ご質問では国全般または米国以外の国からの要請を想定されているようです。少なくとも米国の法律では、こうした要請を政府が行うことは許されていないと思われます。

システムを改ざんする試みについてですが、このシステムには、多くの保護機能が組み込まれており、児童虐待画像を保持している個人を(政府が)特定するにはあまり役立たないようになっています。ハッシュリストはオペレーティングシステムに組み込まれるのですが、アップルは1つのグローバルなオペレーティングシステムのみを所有しており、個々のユーザー向けにアップデートを配信することはできません。ですから、ハッシュリストはシステムを有効にしているすべてのユーザーに共有されます。第2に、このシステムでは、(バウチャーの中身を見るには)画像のしきい値を超える必要があるため、個人の端末または特定のグループの端末から単一の画像を探し出すことはできません。というのは、システムはアップルに、サービスに保存されている特定の画像について一切情報を提供しないからです。第3に、このシステムには手動によるレビュー段階が組み込まれています。つまり、あるアカウントに、違法なCSAM画像のコレクションが保存されていることを示すフラグが立つと、外部の機関に報告する前に、アップルのチームがその画像が確かに違法なCSAM画像と一致していることを確認するようになっています。ですから、ご指摘のような状況(アップルが政府の要請に応じてシステムを改ざんするような事態)が発生するには、例えばアップルに内部プロセスを変更させて違法ではない(既知のCSAM以外の)コンテンツも報告させるようにするなど、本当に多くの作業を行う必要があります。それに、アップルは、そうした要請を行うことができる基盤が米国内に存在するとは考えていません。最後に付け加えておきますが、ユーザーはこの機能を有効にするかどうかを選択できます。この種の機能が気に入らなければ、iCloud写真を使わない選択をすればよいだけです。iCloud写真が無効になっていれば、このシステムは一切機能しません。

iCloud写真が無効になっていればこのシステムは機能しないと、確かにFAQでも明言されています。この点について具体的にお聞きしますが、iCloud写真が無効になっている場合でも、このシステムは端末上で写真のハッシュの作成を継続するのでしょうか。それとも、無効にした時点で完全に非アクティブな状態になるのでしょうか。

ユーザーがiCloud写真を使用していない場合、NeuralHashは実行されず、バウチャーも生成されません。CSAMの検出では、ニューラルハッシュがオペレーティングシステムイメージの一部である既知のCSAMハッシュのデータベースと比較対照されます。iCloud写真を使用していない場合、安全バウチャーの作成やバウチャーのiCloud写真へのアップロードなどの追加部分は、一切実行されません。

アップルは近年、端末上での処理によりユーザーのプライバシーが保護されるという事実に注目しています。今思い浮かぶ過去のすべての事例において、これは真実です。確かに、例えば写真をスキャンしてそのコンテンツを特定し、検索できるようにするといった処理は、ローカルの端末上で実行し、サーバーには送信しないで欲しいと思います。しかし、この機能の場合、外部の使用ケースがなければ個人的な使用をスキャンするのではなくローカルの端末をスキャンするという点で、ある種の抗効果が発生し、ユーザーの気持ちに「信頼性の低下」というシナリオが生まれる可能性があるように思います。それに加えて、他のすべてのクラウドプロバイダーはサーバー上をスキャンすることを考慮すると、この実装が他のプロバイダーとは異なるため、ユーザーの信頼性が低下するのではなく向上するのはなぜか、という疑問が生じるのですが。

アップルの方法は、業界の標準的な方法と比較して、高い水準にあると思います。すべてのユーザーの写真を処理するサーバー側のアルゴリズムでは、どのようなものであれ、データ漏洩のリスクが高くなり、当然、ユーザーのライブラリ上で行う処理という点で透過性も低くなります。これをオペレーティングシステムに組み込むことで、オペレーティングシステムの完全性によって他の多くの機能にもたらされているのと同じ特性を実現できます。すべてのユーザーが同じ1つのグローバルなオペレーティングシステムをダウンロードおよびインストールするため、個々のユーザー向けに特定の処理を行うのはより難しくなります。サーバー側ではこれは実に簡単にできます。いくつかのプロパティを用意しそれを端末に組み込んで、この機能が有効になっているすべてのユーザーでプロパティ設定を統一できることで、強力なプライバシープロパティが得られます。

第2に、オンデバイステクノロジーの使用によってプライバシーが保護されるというご指摘ですが、今回のケースでは、まさにおっしゃるとおりです。ですから、ユーザーのライブラリをプライバシー性の低いサーバー上で処理する必要がある場合の代替策になります。

このシステムについて言えるのは、児童性的虐待画像という違法行為に関わっていないすべてのユーザーのプライバシーが侵害されることは一切なく、アップルがユーザーのクラウドライブラリに関して追加の情報を得ることも一切ないということです。この機能を実行した結果としてユーザーのiCloud ライブラリが処理されることはありません。その代わりに、アップルは暗号的に安全なバウチャーを作成できます。このバウチャーには数学的プロパティが設定されています。アップルがコンテツを復号化したり画像やユーザーに関する情報を取得できるのは、そのユーザーが、CSAMハッシュと呼ばれる違法な画像ハッシュに一致する写真を収集している場合だけです。一方、クラウド処理スキャンサービスでは、まったく状況が異なります。すべての画像を復号化された形式でくまなく処理し、ルーチンを実行して誰が何を知っているのかを決定するからです。この時点で、ユーザーの画像に関して必要なことは何でも確定できます。それに対して、アップルのシステムでは、NCMECおよび他の児童虐待保護組織から直接入手した既知のCSAM画像ハッシュのセットに一致することが判明した画像について知ることしかできません。

このCSAM検出機能は、端末が物理的にセキュリティ侵害されたときにも全体として機能しますか。何者かが端末を手元で操作できれば、暗号がローカルに迂回されることもあります。これを防ぐための保護レイヤーはありますか。

これは難しく、犠牲が大きい問題ですが、非常に稀なケースであることを強調しておきたいと思います。この問題はほとんどのユーザーにとって日常的な関心事ではありませんが、アップルはこの問題を真剣に受け止めています。端末上のデータの保護は我々にとって最重要事項だからです。では、誰かの端末が攻撃されたという仮説の下で説明してみます。その攻撃は極めて強力なので、攻撃者が対象ユーザーに対して行えることはたくさんあります。攻撃者にはアクセス可能なユーザーのデータが大量にあります。誰かの端末のセキュリティを侵害するという極めて難しい行為をやってのけた攻撃者にとって最も重要なことが、アカウントの手動レビューを起動させることだという考え方は合理的ではありません。

というのは、思い出して欲しいのですが、しきい値が満たされていくつかのバウチャーがアップルによって復号化されても、次の段階で手動レビューによって、そのアカウントをNCMECに報告するべきかどうかを決定するわけですが、我々は合法的な高価値レポートであるケースでのみこうした報告を行うべきだと考えています。我々はそのようにシステムを設計していますが、ご指摘のような攻撃シナリオを考えると、攻撃者にとってあまり魅力的な結果にはならないと思います。

画像のしきい値を超えた場合のみ報告されるのはなぜですか。CSAM画像が1つ見つかれば十分ではないでしょうか。

NCMECに対してアップルが報告するレポートは高価値でアクション可能なものにしたいと考えています。また、すべてのシステムについて共通しているのは、その画像が一致するかどうかにある程度の不確かさが組み込まれるという点です。しきい値を設定することで、誤報告によってレビューに至る確率は年間で1兆アカウントに1つになります。ですから、既知のCSAMのコレクションを保持しているユーザー以外の写真ライブラリをスキャンすることに興味がないという考え方に反することになりますが、しきい値を設定することで、レビューしているアカウントをNCMECに報告したとき、法執行機関は効果的に調査、起訴、有罪判決まで持っていくことができると確信できます。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Matthew Panzarino、翻訳:Dragonfly)

グーグルが検索やYouTubeなどの自社プラットフォームにおける未成年者保護を強化

Instagramがアプリを利用する未成年者の保護の強化を展開して数週間経過し、Google(グーグル)もGoogle検索、YouTube、YouTube Kids、Google Assistantなどのサービスにも同様の措置を講じることとなった。同社は米国時間8月10日、オンライン上の若年層を非公開にして保護された状態を維持できるようにサービスおよびポリシーを変更すると発表。広告ターゲットを制限する変更も行う。

関連記事:Instagramが10代ユーザーのアカウントをデフォルトで非公開に、広告や望まない大人からの接触を制限

Googleのサービスは1つのアプリに限定されるものではないので、Instagramの発表よりもさらに広範囲で、同社のサービス全体にわたる変更になる。

米国議会は、Googleをはじめとするハイテク企業に対し、企業のサービスが未成年者に与える悪影響を排除するよう圧力をかけてきたが、Googleは、法律で要請される以上の変更を行うという。

Googleの広報担当者は、TechCrunchの取材に対し次のように話す。「今後の規制に対応するアップデートもありますが、私たちはGoogleとYouTubeを利用するティーンエイジャーを保護するために、法律が要請する以上のことを行ってきました」「これらの変更の多くは、現在および今後発生し得る単体の規制を超えるものです。私たちは、世界中の子どもたちやティーンエイジャーに向けて、一貫性のあるエクスペリエンスとユーザーコントロールを提供する方法を検討しています」。

つまり、Googleは、現状に対応するだけでなく、業界の将来を考慮したアップデートを行うというのだ。

YouTubeでは、13~17歳のユーザーを対象に、デフォルトのアップロード設定を、最も限定的なものに「徐々に」変更していくという。これにより、動画の公開範囲は、一般ユーザーではなく、ユーザー本人と、本人が直接共有する相手に限定されることになる。アップロード設定を「公開」に変更することは可能だが、その際には明確かつはっきりとした意思を持つ選択が必要だ。Googleはこの場合、YouTubeに、自分のビデオの公開範囲を示すリマインダーを設置するとしている。なお、今回の変更はYouTubeの新規アップロードにのみ適用され、現在公開されている動画を遡って非公開にする予定はないとのこと。

また、YouTubeは、13~17歳のすべてのユーザーに対して「休憩」と「おやすみ」のリマインダーをデフォルトで有効にし、自動再生を無効にする。繰り返しになるが、これらの変更は、デフォルトの設定に関するものであり、ユーザーはDigital Wellbeing(デジタルの健全な利用)機能を無効にすることができる。

YouTubeの子ども向けプラットフォーム「YouTube Kids」には、自動再生オプションが追加される。このオプションはデフォルトでは無効になっており、子どもに自動再生機能を使わせるかどうかは保護者の判断になる。この変更は、子どもの安全支援団体や一部の国会議員による、アルゴリズムを使った機能に問題があるという指摘に対応し、選択を保護者の判断に任せるというものだ。保護者はデフォルトの選択をロックすることもできるようになる。

YouTube Kidsからは「過度に商業的なコンテンツ」も削除される。これは長らく「YouTubeは子どもたちによる消費(正確には、親にお金を使わせてくれと頼むこと)を助長している」と主張してきた消費者保護団体や子どもの専門家からの圧力が高まったことを受けた措置である。

許容できるコンテンツと「過度に商業的な」コンテンツの線引きは明確ではないが、例えば人気のある「開封の儀」動画のような、商品のパッケージに焦点を当てた動画は削除するとしている。この変更は、YouTubeで子ども向けの動画を制作している大手クリエーターの中でも、非常に高額な収入を得ているRyan’s Toy Review(ライアンズ・ワールドのおもちゃレビュー)のようなクリエーターに影響を与える可能性がある。同社は商品パッケージの他にも「視聴者に商品の購入を煽る」コンテンツや「商品の過剰な収集や消費に焦点を当てたコンテンツ」の削除も検討するとしている。

画像クレジット:YouTube

YouTube以外でも、未成年者を対象とする変更が展開される。

今後数週間のうちに、Googleは、18歳未満のユーザーまたは保護者が、Google画像検索の検索結果から自分の画像の削除を要請できるようにする新しいポリシーを導入する。これは、欧州ですでに実施されている「忘れられる権利」のプライバシーポリシーを拡張するもので、子どもとティーンエイジャーを守る新しいサービスと制御方法が全世界で展開されることになる。

また、18歳未満のユーザーアカウントについても、さまざまな調整を行う。

YouTubeの変更に加えて、Googleファミリーリンクで管理している13歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチフィルタリングをデフォルトで有効にして、アダルトコンテンツへのアクセスを制限する。また、18歳未満のすべてのユーザーに対してセーフサーチを有効にし、新たにアカウントを作成するティーンエイジャーにもセーフサーチをデフォルトで適用する。Googleアシスタントでは、スマートスクリーンやウェブブラウザなどの共有デバイスで、セーフサーチの保護機能がデフォルトで有効になる。先の発表のとおり、Google Workspace for Educationを使用している学校の設定でも、セーフサーチがデフォルトになり、ゲストモードやシークレットモードのウェブブラウジングへの切り替えもデフォルトで無効になる。

位置情報の履歴はすべてのGoogleアカウントでデフォルトで無効になっているが、今後は管理対象のアカウントを利用している子どもたちについて、位置情報の履歴を有効にすることはできなくなる。この変更は全世界の18歳未満のユーザーに適用される。法的に成人するまで位置情報を有効にすることはできない、ということだ。

また、Google Playでは、アプリがファミリーポリシーに従っているかどうかを保護者に知らせるセクションが新設され、アプリ開発者は、自分のアプリがどのようにデータを収集・利用しているかを開示することが必要になる。これらの機能は、Apple(アップル)の「App Storeのプライバシーラベル」に一部ヒントを得たもので、すでにAndroid開発者向けに詳細が発表されている

Googleのペアレンタルコントロールツールも拡充される。ファミリーリンクを利用している保護者は、アシスタント機能を搭載したスマートデバイスで、ニュース、ポッドキャスト、ウェブページへのアクセスをフィルタリングしたり、ブロックしたりすることができるようになる。

広告主にとっても重要な変更がある。

Googleによると、年齢制限のある広告カテゴリーがティーンエイジャーに表示されないようにするための保護機能を拡充し、18歳未満のユーザーに対しては、年齢、性別、興味や関心などの要素に基づく広告ターゲティングをブロックするという。ティーンエイジャーや子どもをターゲットにする際に「興味や関心」のデータを利用しないという点は、Instagramが導入した広告の変更に似ているが、Instagramは年齢や性別によるターゲティングを許可している。Googleは年齢や性別によるターゲティングを許可しないことになり、この変更は「今後数カ月のうちに」全世界に展開されるとのことだ。

GoogleとYouTubeにおけるすべての変更は、今後数週間~数カ月の間に全世界で展開される予定である。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

また批判を浴びるアップルの児童虐待検出技術

Apple(アップル)が2021年8月初めに発表した、児童への性的虐待コンテンツ素材(child sexual abuse material、CSAM)を検出する技術は、大きな反発を招いた。AppleがNeuralHashと呼ぶその技術はまだ、その10億あまりのユーザーに対して起動すらされていないが、すでにそのアルゴリズムは欠陥のある結果を出すと主張するセキュリティ研究者たちからの非難に直面している。

NeuralHashはユーザーのデバイスにある既知のCSAMを見つけるが、画像を所有したり、その画像のコンテンツを認知したりはしない。iCloudに保存されているユーザーの写真はエンド・ツー・エンドで暗号化されているため、Appleですらそのデータにアクセスできない。そのため、NeuralHashはそユーザーのデバイスにある既知のCSAMをスキャンし、Appleはこれをよりプライバシーフレンドリーだと主張している。それは他企業のようにすべてのユーザーファイルをスキャンするのではなく、写真だけを対象にスキャンするからだ。

Appleは、ユーザーのデバイス上で、NCMECといった児童保護団体から提供されたハッシュ(画像を一意に識別できる文字と数字の組み合わせ)が同じである画像を探すことでこれを行います。NeuralHashが30個以上の一致するハッシュを見つけた場合、その画像はAppleにフラグが立てられ、アカウント所有者が法執行機関に報告される前に、手動で審査される。Appleによると、誤検出の可能性は1兆個のアカウントで約1つだという。

しかしセキュリティのエキスパートやプライバシー保護活動家たちは、そのシステムは政府のようなリソースが極めて豊富なところでは乱用誤用される可能性があるという懸念を表明している。たとえば罪のない人が巻き込まれたり、システムが操作されて権威主義的な国が有害と認めるような素材を検出するかもしれない。Appleのスタッフに対し社内的に配布されたメモのリークによると、NCMECはそういう批判者のことを「少数派のキーキー声」と呼んでいる。

関連記事:アップルがiCloud上の児童虐待画像を検出する新技術「NeuralHash」導入へ

米国時間8月17日夜、Asuhariet Ygvar(アスーハリエット・イグバー)氏は、NeuralHashのコードをPythonのスクリプトに落として、そのコードをGitHubに公開し、Appleのデバイスが手元にない人でもこの技術をテストできるようにした。イグバー氏はRedditのポストで、NeuralHashは難読化されたコードでiOS 14.3に「すでに存在している」が、その技術を再構築することができたため、2021年の後期にiOSとmacOSデバイスに展開される前にセキュリティの研究者はアルゴリズムをもっとよく理解できる、と述べている。

コードが公開され他の人が手を加えるようになり、NeuralHashのケースでは2つの完全に異なる画像が同じハッシュを生成する「ハッシュの衝突」という現象が初めて報告された。この「ハッシュの衝突」を発見したのは、Intel Labsの著名な研究員であるCory Cornelius(コーリー・コーネリアス)氏だ。その後、イグバー氏も衝突を確認している。

ハッシュの衝突は、セキュリティを暗号技術に依存しているシステムのお葬式の鐘になることもある。何年もの間に、MD5やSHA-1のようなパスワードハッシングアルゴリズムは衝突攻撃によって無効になり、その後現役の座を去った

暗号技術のエキスパートでOpen Crypto Audit Projectを創ったKenneth White(ケネス・ホワイト)氏は、「iOSのNeuralHashのコードが見つかってから、最初の衝突が起きるまでの時間が、数カ月や数日ではなくて2時間だということを、理解してなかった人もいたようだね」とツイートしている。

Appleの広報担当者は公式のコメントを拒否したが、匿名かつオフレコで語ったところによると、Appleはハッシュの衝突を軽視し、保護策を講じることが重要と主張した。それは例えば法執行機関に報告する前に手作業で写真を調べることで虐待を防げる、と。さらにAppleによると、NeuralHashのコードを分解されたバージョンはジェネリック(総称的)なバージョンであり、2021年後期に展開する完全なバージョンではないという。

その技術に懸念を表明しているのは人権グループやセキュリティのエキスパートだけではない。ドイツの高名な国会議員が今週、AppleのCEOであるTim Cook(ティム・クック)氏に書簡を送り、同社は「危険な道」を歩んでいると述べて、Appleがそのシステムを実装しないことを強く要請した。

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画像クレジット:Getty Images

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(文:Zack Whittaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

TikTokが13歳~17歳のアカウント対象に新たな制限、16歳未満はデフォルトで非公開・DMやダウンロード無効

TikTokが13歳~17歳のアカウント対象に新たな制限、16歳未満はデフォルトで非公開・DMやダウンロード無効

LOIC VENANCE/AFP via Getty Images

TikTokが、10代の若者の安全とプライバシーを保護するため、13歳~17歳のユーザーを対象とした、アカウントや動画の視聴、ダイレクトメッセージ(DM)機能に関する新しい制限を設けました。

これにより、13歳~15歳のアカウントについては、デフォルトで非公開となり、動画を公開する際、誰が動画を観られるかを選択するポップアップが表示されるようになります。公開範囲としては、フォロワー、友人、自分のみが選択でき、誰でも観られる設定は行えません。また、DuetやStitchの機能も利用できません。

16歳~17歳のユーザーは、DM機能がデフォルトでオフとなります。ただしこれは設定から変更が可能。初めてDMを利用する場合にもプライバシー設定の確認を求めるメッセージが表示されます。また、同様に公開した動画のダウンロードを有効にする場合にも、同様に確認のメッセージが表示されます。なお、13歳~15歳については、DM機能は利用できず、ダウンロード機能も無効になっています。

このほか、いじめ防止や健康的なデジタル習慣の促進のため、13歳~15歳のアカウントでは午後9時から、16歳~17歳では午後10時からプッシュ通知が無効になります。

TikTokは、以前からいじめやプライバシーに関する取り組みを強化してきています。ただ、これらに関しては終わりがなく、今後数か月でさらに多くの取り組みを伝えていきたいとしています。なお、10代を対象としたプライバシー保護などの取り組みは、Instagramなども力を入れているところです。

TikTok、不快なコメント防止に2つの新機能を導入。コメント承認制も
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(Source:TikTokEngadget日本版より転載)

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Apple

アップルが予告した次期iOS 15等での児童の性的虐待対策は、メッセージアプリに添付された写真やiCloudに保存される画像をスキャンすることから、複数の方面からプライバシー侵害や監視の恐れがあると批判を集めています。

こうした反発に対して、アップルが新機能を「誤解」を招きやすいと認めつつも、これらの新機能は子供たちの安全を守るための「重要な使命」の一部だと信念を強調した社内メモが流出したと伝えられています。

アップルが5日(米現地時間)に発表した「子供のための保護機能の拡張(Expanded Protections for Children)」への反発とは、具体的にはエドワード・スノーデン氏(米国国家安全保障局の情報を持って逃亡し、米政府が個人情報を監視していることを暴露した人物)や電子フロンティア財団(EFF)など著名な関係者からも寄せられているものです。

批判の対象となっているのは、主にアップルがiCloud画像をスキャンして児童性的虐待資料(CSAM)のデータベースに照合して一致するかどうかチェックする計画であり、わずかな変更により他の個人データも監視できるようになる可能性です。

さて米9to5Macが入手したのは、アップルのインテリジェントシステムエクスペリエンス担当副社長 セバスチャン・マリノー・メス(Sebastien Marineau-Mes)が社内スタッフ向けに書いたメモです。そこでは、アップルは「子供のための保護機能の拡張」に含まれる「機能の詳細を説明していく」ことを続けていくと述べられています。

マリノー・メス氏は、これら新機能に対して「多くの好意的な反応」を確認している一方で、どのように機能するのかを「一部の人々が誤解している」ことや、「少なからずその影響を心配している」ことも認識していると述べています。それでも、これらの機能は「子どもたちを守る」ために必要であり、同時に「ユーザーのプライバシーに対する深いコミットメント」を維持するものであるというアップルの信念を強調しています。

そのメモの全文は、次の通りです。

本日、「子どものための保護機能の拡張」が正式に公開されました。この数年間の皆さんのご尽力に感謝するために、この場をお借りしたいと思います。皆さんのたゆまぬ努力とたくましさがなければ、このような節目を迎えることはできませんでした。

子どもたちの安全を守ることは、とても重要な使命です。アップルらしく、この目標を達成するためには、エンジニアリング、GA、HI、法務、プロダクトマーケティング、PRなど、部門を超えた深い関与が必要でした。本日発表した製品は、この素晴らしいコラボレーションの成果であり、子供たちを守るためのツールを提供すると同時に、ユーザーのプライバシーに対するアップルの深いコミットメントを維持するものです。

今日は多くの好意的な反応をいただきました。誤解をされている方や、その影響を心配されている方も少なからずいらっしゃると思いますが、私たちが作ったものを理解していただけるよう、今後も機能の詳細を説明していきます。また、数ヵ月後に機能を提供するために多くのハードワークが待っていますが、本日NCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)から受け取ったこのメモを共有したいと思います。私自身、非常に刺激を受けましたし、皆さんにもぜひ読んでいただきたいと思います。

このような素晴らしいチームと一緒にアップルで働けることを誇りに思います。ありがとうございました。

このメモには上記の通り、NCMECからのメッセージも含まれています。

そこでは「全員がみなさん(アップル)を誇りに思っており、子供の保護を優先するという名目で行った信じられないような決断を称賛したいと思い、励ましの言葉をお伝えします」と称賛が述べられるとともに、激しい批判に晒されているアップルに対して「この長い日と眠れない夜の間、御社のおかげで何千人もの性的搾取の被害を受けた子供たちが救出され、癒しと彼らにふさわしい子供時代を過ごすチャンスを得ることができることを知って、慰めにしていただきたいと思います」という励ましの言葉も添えられています。

ほかアップルは、米国外でのCSAM検出機能の拡大は、現地の法律や規制に応じて国ごとに行われると9to5Macに対して確認したとのことです。ただし、いつ、どの国や地域に拡大するのかは具体的なスケジュールは提供されていません。

アップルやNCMECが言うとおり、新機能が本当に「プライバシーを守りつつ、子どもを保護するための道筋」となり、その他の使い道へと逸脱するおそれがあり得ないのか。今後もアップルに対しては技術の詳細につき説明が求められ、専門家らの厳しい精査にさらされる展開となりそうです。

Engadget日本版より転載)

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アップルがメッセージアプリで送受信される性的な画像を検知し、子どもと親に警告する新技術を発表

Apple(アップル)は、子どもがMessages(メッセージ)アプリを通じて性的に露骨な写真を送受信した場合、子どもと親に警告する新しいツールを、今年後半に導入すると発表した。この機能は、アップルのプラットフォームやサービスにおける児童性的虐待素材(Child Sexual Abuse Material: CSAM)の拡散を制限することを目的に、同社が導入するいくつかの新技術の一部だ。

これらの開発の一環として、アップルは消費者のプライバシーを尊重しつつ、iPhoneやiPadなどのモバイルデバイスやiCloud(アイクラウド)にアップロードされた写真の中から、既知のCSAM画像を検出できる技術を導入する。

一方、メッセージアプリの新機能は、子どもたちが健全なオンライン・コミュニケーションを取れるように、親がより積極的に関わり、情報が得られるようにするためのものだ。今年後半に予定されているソフトウェアアップデートにより、アップルのメッセージアプリは機械学習を使って画像添付ファイルを分析し、メッセージアプリで送受信される画像が、性的に露骨なものでないかを判断できるようになる。この技術では、すべての処理がデバイス上で行われるため、アップルが子どものプライベートな通信にアクセスしたり、それを傍受する必要はない。クラウド上のアップルのサーバーには何も転送されることはない。

メッセージの中に、性的な問題がありそうな画像が検知された場合、その画像はブロックされ、写真の下に「これは問題があるかもしれない画像です」というラベルが表示される。タップすればその画像を見ることができるが、子どもが写真の閲覧を選択すると、さらに詳しい情報を伝える別の画面が表示される。そこには、問題のありそうな写真や動画について、「水着で隠すプライベートな体の部分が写っています」とか「あなたは悪くないけれど、刺激的な写真や動画はあなたを傷つけるために使われることがあります」というメッセージが表示される。

また、写真や動画に写っている人が、見られたくないと思っているのに本人が知らないうちに共有されている可能性があることも提言する。

これらの警告は、子どもがそのコンテンツを見ないという正しい判断をするように導くためのものだ。

しかし、それでも子どもがタップして画像を見ようとすると、さらに別の画面が現れ、写真を見ることを選択した場合、親に通知されることが伝えられる。また、この画面では、親たちが子どもの安全を願っていることを説明し、本当は見たくないのに見るようにと強制されているなら、信頼できる人に相談するように勧めている。助けを求めるためのリソースへのリンクも表示される。

画面の下には写真を見るための選択肢は残されているものの、デフォルトで選べるようにはなっていない。その代わり、「写真を表示しない」という選択肢の方が目立つように画面がデザインされている。

コミュニケーションを妨げてアドバイスやリソースを提供するだけでなく、システムが保護者に警告を発するこのような機能は、子どもを性犯罪者から守ることに役立つ可能性がある。子どもが性犯罪者から被害を受けた時、親は子どもが相手とネットや電話で会話を始めたことにさえ気づかなかったというケースが多いからだ。性犯罪者は子どもの心理を巧みに操って信頼を得ようとし、子どもを親から引き離して、コミュニケーションを親に内緒にさせようとする。あるいは犯罪者が親に近づいてくるケースもある。

アップルのテクノロジーは、性的に露骨な内容の画像や動画が共有されることに介入し、特定して、警告を発することで、どちらのケースにおいても役に立つだろう。

しかし、CSAMの中には、いわゆる自己作成型CSAM、つまり子ども自身が撮影した画像を、子どものパートナーや仲間と合意の上で共有するものが増えている。セクスティングとか、裸の写真の共有などだ。子どもの性的搾取に対抗する技術を開発している企業のThorn(ソーン)が2019年に行った調査によると、この行為は非常に一般的になっており、13歳から17歳の女子の5人に1人が、自分の裸の写真を共有したことがあると答え、男子の10人に1人が、同じことをしたことがあると答えている。しかし、その画像を共有することで、性的虐待や搾取の危険にさらされることを、子どもは十分に理解していないかもしれないのだ。

アップルの新しいメッセージアプリは、これに対しても同様の保護機能が働く。この場合、子どもが性的に露骨な写真を送ろうとすると、写真が送信される前に警告が表示される。それでも子どもが写真を送信しようとした場合には、保護者にメッセージが届く。

アップルによれば、この新機能は今年後半に行われるソフトウェアアップデートの一環として、まずは米国から、iOS 15、iPadOS 15、macOS Monterey(モントレー)のiCloudで、家族として設定されたアカウントで有効になるとのこと。

このアップデートはSiriと検索にも適用され、子どもや親がオンラインで安全に過ごせるように、安全でない状況で助けを得るためのガイダンスやリソースが拡充される。例えば、ユーザーはSiriに、CSAMや児童の性的搾取を報告する方法を尋ねることができるようになる。また、ユーザーがCSAMに関連する疑問を検索すると、Siriと検索が介入して、そのトピックが有害であることを説明し、助けを得るための情報や相談先を提供する。

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画像クレジット:Janis Engel / EyeEm / Getty Images
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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

語学学習のDuolingoが子供向け数学アプリを開発中、CEOが明言

フクロウをモチーフにした語学アプリで知られるDuolingo(デュオリンゴ)が、新たに数学アプリを開発中であるとCEOのLuis von Ahn(ルイス・フォン・アン)氏が明らかした。共同創業者である同氏が先に行われたインタビューの中で、そのアプリについて言及した。同社はインタビューが行われたのと同じ日に、正式に株式市場に上場した。

インタビューの後、TechCrunchはDuolingoにアプリの詳細について問い合わせたが、同社は開発プロセスの「非常に初期の段階」であることを理由に、詳細な情報の提供を断った。だが、同社が毎年開催している無料カンファレンス「Duocon」で、ユーザーは8月末にこのアプリについて詳しく知ることができるかもしれないと述べた。5月に掲載された求人情報によると、同社は「小規模なクロスファンクショナルチーム」と一緒に新しい数学アプリを開発する数学の博士号を持つ学習科学者を募集している。

求人情報によると、このアプリは若い学習者向けのものであるようだ。採用候補者には、K-12(日本の高校3年生に相当)レベルの数学、特に3〜8年生(日本の小学3年生から中学2年生に相当)までの若い生徒を対象とした授業の経験と知識を求めていると記載されている。

Duolingoの現在のユーザーは、Duolingoが数学に参入することについて複雑な気持ちを抱いているようだ。

IPO当日のインタビューでCEOのルイス・フォン・アン氏は、ユーザーはDuolingoが数学アプリを推し進めていくのを目の当たりにするかもしれないと語った。また、今後の買収によっては、言語学習以外の分野にも拡大していくと話した。この発言は、Duolingoがまったく新しいソフトウェアやカリキュラムに大量のリソースを投入するかもしれないという懸念を解消するかもしれない。

「もし他の分野で、誰かがかなり良い仕事をしていて、我々と同じようなミッションを持ち、同じような企業文化を持っていると思われる場合、Duolingoはその会社の買収を検討するかもしれません」とフォン・アン氏はインタビューで語った。

数学に特化したEdTech企業には、Khan Academy、Brilliant.orgPhotomathNumerade、そして最近買収したSymbolabなどがある。

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Duolingoにとってこの数学アプリは、同社の実験の歴史に新たな1ページを加える。同社は創業から10年間で何百ものアイデアを生み出してきたが、その成功の度合いはさまざまだった。

ここ数年は、子ども向けの読み書きアプリ「Duolingo ABC」や「Duolingo English Test」など、コアアプリ以外の製品群を開発してきた。一方で、Duolingoの失敗したアイデアの「墓場」には、撤退したマネタイズ戦略やAIを搭載したチャットボットなどがある。リーダーボードのような人気のある機能は、成功する前にくすぶってしまった。そして数学は、興味深いことに、常にフォン・アン氏の頭の片隅にあった。

Duolingo EC-1でも紹介されているが、フォン・アン氏は、同氏と共同創業者のSeverin Hacker(セベリン・ハッカー)氏が、最終的に語学に特化すると決める前に、Duolingoを数学アプリにしようと考えていたと常々言っている。

「私は数学が大好きですが、数学を学んでも、数学そのものがお金になるわけではありません」とフォン・アン氏は以前のインタビューで話している。「エンジニアになるには物理学を学びますが、そのために数学を学びます。一方、英語の知識は世界のほとんどの国で収入を増やす可能性を直接的な形で向上させます」。

あるユーザーは「数学は学ぶべき重要なスキルだ。これによって、特にアクセスが限られている人たちに、より良いリソースを提供できるかもしれない。一方で、より多くの機会に恵まれている人たちには刺激的であり、同様に魅力的なものとなるだろう」と書いている

また、Duolingoに対し、他の分野への進出を検討する前に、言語学習サービスにもっと投資するよう望む声もあった。「まだまだカバーすべき言語がある(フランス語とスペイン語を除く)のに、数学への進出を検討するのは奇妙だ」とあるユーザーは書いている。

同社が教えられるのは、欧州言語共通参照枠(CEFR)に基づく初級から中級下レベルまでの語学力のみだ。同社が5月に発表した指標によると、Duolingoのコースの約30〜40%がCEFRと整合しているという。

Duolingoの数学アプリがどのようなものか、何を提供してくれるのか、収益化されるのかどうかを想像するのは時期尚早かもしれない。いずれにせよ、このアプリはDuolingoにとって、言語以外の教育分野への初めての正式な進出となる。

同社は、製品だけでなく、この2つのテーマの間に哲学的な重なりを見つける必要がある。語学は文化的な背景やニュアンスによって恩恵を受けられるスキルであり、数学は1つの正解にたどり着くことを目標に進む。しかし、どちらの教育分野でも、几帳面な思考と、答えを導き出すために関数を応用する能力が必要だ。最終的には、どちらもDuolingoが最大の製品だと主張する、アプリを開き、画面で起こっていることに注意を払おうとする動機に依存している。

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画像クレジット:Duolingo

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Nariko Mizoguchi