ワークスペースシェアの「テレスペ」が「誰でも使える・誰でも提供できる」テレワーク個室専門予約サイトを公開

ワークスペース・シェアリングの「テレスペ」が「誰でも使える・誰でも提供できる」テレワーク個室専門予約サイトを公開

首都圏の緊急事態宣言が続き、テレワーク・リモートワーク用スペースの需要がますます高まると思われる中、ワークスペースのシェアリングサービス「テレスペ」を提供するテレワーク・テクノロジーズは8月3日、東京都内のテレワーク個室のための専門予約サイトを公開した。これは、東京都の緊急事態宣言中に期間限定された「テレスペ 緊急事態宣言限定プラン(都内)」に対応するもの。

基本的に同サービスは、以前から提供されている「テレワーク個室」サービスの特別版となる。テレワーク個室は、企業が法人契約をして、社員が1日単位で利用できるほか、個人でも月額会員制で利用できる。しかし、基本的に月単位の契約であるため、たとえば「学生さんがウェブ面接をするために1時間半使いたい」とか、会員になってない人が1日だけ使いたいといったニーズには対応していなかった。

「契約不要、初期費用不要、月額料金不要」で、料金は1時間990円(税込)から

そこでテレワーク・テクノロジーズは、「契約不要、初期費用不要、月額料金不要」で、個人も法人も、最短2分で行えるユーザー登録だけで利用できるサービスを開始した。料金は1時間990円(税込)。4時間では2200円、6時間では4999円となる(それぞれ税込)。目的に応じて1日から30日まで自由に予約が可能(1カ月以上の利用は別途相談)。支払いはクレジット決済のみ。テレワーク・テクノロジーズでは「少し高いけど安心の完全個室」と説明している。

専門予約サイトの運用は、東京都に緊急事態宣言が出されている間となっているが、その後の展望は未定とのこと。

部屋を貸したい人も、気軽に提供できる

このサービスは、誰でも利用できることともうひとつ、「誰でも提供できる」という特徴がある。つまり、部屋を貸したい人にとっても、気軽に提供できるサービスになっている。夜間営業の店舗で日中だけ貸したい、レンタルオフィスを開設したが予約が埋まらない、シェアハウスの個室が空いているなど、1人から6人程度で使える個室を貸したい人は、このサイトに出品しさえすれば、テレワーク・テクノロジーズが提供している、部屋のオーナーがレンタルスペース業務を丸投げできる「テレスペ丸投げ」サービスのノウハウを活かして、すべて代行してくれる。条件としては、最低1坪の個室で、1カ月以上貸し出せるところとなる。

現在テレワーク・テクノロジーズは、「富士通アクセラレーター for Work Life Shift」に採択され、大企業のオフィス分散を支えるサービスの実験を行っているという。テレワークを推進したい企業は、サービス利用とは別に様々な提案が可能なので相談してほしいと話している。

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
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アップルが反ワクチン主義者の出会い系アプリ「Unjected」をApp Storeから削除、Google Playでは公開継続

アップルが反ワクチン主義者の出会い系アプリ「Unjected」をApp Storeから削除、Google Playでは公開継続

Morsa Images via Getty Images

アップルは新型コロナや誤報に関するガイドラインに違反したとして、反ワクチン主義者の出会い系アプリ「Unjected」をApp Storeから削除しました。このアプリは「医療の自主性と言論の自由を支持する、志を同じくする人々」のための場所と自称しており、記事執筆時点ではAndroid版は今なおGoogle Playで公開されています。

Bloomberg報道によると、このUnjectedアプリは5月にサービスを開始したもの。ユーザーはプロフィールの作成や他の人とのマッチング、メッセージのやり取りなどを行うことができたと説明されています。

本アプリは基本的には反ワクチン主義者のための出会い系サービスであり、その公開は偶然にもTinderやBumbleといったマッチングアプリが新型コロナワクチン接種をユーザーに勧める特典を追加した時期と重なっており、そのため「アンチワクチン主義者向けのTinder」と呼ばれていたそうです。

また最近UnjectedはFacebookやTwitterのようなソーシャルフィードを追加したところ、これが(Android版では)Google Playによる審査のきっかけとなり、ユーザーが投稿した誤報を含むコンテンツを十分に取り締まっていないと判明したとのことです。GoogleはUnjected社へのメールで、ワクチンが「実験的なmRNA遺伝子改変剤」や「生物兵器」だという主張、人々を5Gネットワークに接続する「ナノテクノロジーマイクロチップ」などの投稿にフラグを立てた(規約違反と判断した)と伝えられています。

そして7月16日、GoogleはUnjected社に対して、それら投稿を削除するか、あるいはアプリをストアから削除されるかを選ぶ2週間の猶予を与えることに。それを受けてUnjectedの共同創設者シェルビー・トムソン氏は「私たちは検閲の綱渡りをしなければなりませんでした」と語りつつ、最終的にはソーシャルフィードを削除しています。

しかしトムソン氏は、フラグが立てられた投稿とともにソーシャルフィードを復活させる予定であり「レーダーに探知されないようにしたい」と語っており、反ワクチン活動を諦めるつもりはなさそうです。

一方、iOS版のUnjectedアプリは最近までApp Storeで配信されており、この件につきBloombergがアップルにコメントを求めたところ、削除されたとのことです。アップルはUnjectedの開発者に、削除理由を「コンセプトやテーマにおいて、COVID-19感染拡大に言及していることが不適切である」と伝えたそうです。

アップルの広報担当者いわく、最初の審査プロセスではUnjectedを拒否し、新型コロナ関連アプリのポリシーに準拠するよう変更した後にアプリを承認したとのことです。が、それ以降「開発者がユーザーに対して対外的に発言したり、アプリを更新しましたが、その結果、再びコンプライアンスから外れることになりました」と述べられています。

さらにアップル広報は、Unjected社がユーザーに対して、検出を避けるために特定の言葉を使わないように勧めていたとも付け加えました。こうした行いは、App Store Reviewガイドラインにある「システムに対して不正を働こうとした場合は(中略)そのデベロッパのAppはApp Storeから削除されます」の箇所に抵触するというわけです。それらアップルの回答は、米Engadgetも確認しています。

新型コロナのワクチン接種に反対する人々は世界各地でデモを起こすなど、少なからず社会問題となっています。すべての人々がどのように考え、どういった思想を持つことも自由ですが、あくまで正しい知識に基づいて行動し、誤った情報を拡散しないよう心がけたいところです。

(Source:Bloomberg。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

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パンデミックの影響が鈍化し始めている

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター「The TechCrunch Exchange」へようこそ。

先週私たちの仕事は中国で始まりアフリカのスタートアップ活動を掘り下げもう一度中国を扱い、ラテンアメリカのスタートアップエコシステムを深く掘り下げ、そしてそしてRobinhood(ロビンフッド)IPOの再考で締めくくった。言い換えれば、実際にはほとんど何も起こっていなかったのだが。

金曜日にAmazon(アマゾン)の株が急落するのをみて驚いたことだろう。なにしろ、同社はこの四半期に1130億ドル(約12兆3940億円)をわずかに超える巨額の収益を記録したのだ。そして、パブリッククラウドビジネスであるAWSは、順調に進んでいるように見えている。

しかし、投資家はそれ以上の成長を期待しており、それに応じてシアトルを拠点とするeコマースプレイヤーAmazonの価格を設定していたのだ。Amazonが収益に対する期待を裏切って、2021年第3四半期の成長を「2020年第3四半期と比較して10%から16%の間」成長となることを予測したために、投資家たちがその株を手放したのだ。

しかし、金融プレスの一部が指摘しているように、投資家からひどい目にあわされているのはAmazonだけではない。Etsy(エツィー)とeBay(イーベイ)も今週下落している。投資家たちは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックのおかげで電子商取引にもたらされた急成長期が、少なくとも鈍化していて、実質的には終わっている可能性を予想しているようだ。つまり、スタートアップを含む多くの企業で評価額がリセットされるということだ。

パンデミックの初期段階で減速したすべての企業が苦しんでいるわけでもない、Duolingo(デュオリンゴ)は成長が鈍化しているにもかかわらず、公開企業として力強い第1週を過ごした。しかし、デルタ変異種があろうとなかろうと、投資クラスは市場の枠組みを変えている。それを心に留めておくのが賢明だろう。

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それは新しい製品だ

先週から私の脳裏を離れないのは、Robinhoodが消費者投資に関するゲームをどれだけ変えたかということだ。もちろん、先週は主に同社のIPOとそのやや軟調な初期の取引実績について取り上げた。しかし、最終的なS-1/A申請書に埋もれているのは、Robinhoodの文化的影響に関する新しい証拠なのだ。

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同ユニコーンの申請書の冒頭に掲げられているのは2つの統計値だ。それは以下のようなものだ。

画像クレジット:Robinhood

げっ、と思ったかもしれないが、これが示しているのは膨大な投資アカウント数と、毎月のアクティブユーザー数だ。だが考えてみれば、これらは2021年3月31日の数字だ。それらはすでに古くなっている。同じ申請書内で、Robinhoodは、6月30日までの四半期に投資アカウント数が2250万に増加したことを示している。これは、1四半期で25%の成長だ。

当然のことながら、2021年の第2四半期には、二度と起こらないことがいくつか起きたが、それでもこれはなお驚くような結果だ。

Robinhoodの初期の投資家であるIndex(インデックス)のJan Hammer (ヤン・ハマー)氏は、彼の投資先の公開を受けてコメントを送ってきたが、同社の動向は、金融サービスを揺るがすためにハイテク企業によって行われている動きの一部なのだと主張している。Robinhoodのような企業は「古い金融商品に新しい塗装を施したものではない」と彼は書いている。

それは正しいと思う。そして重要な点は、時代遅れのウェブサイトや二流のモバイルエクスペリエンスを提供している市場の既存のプレイヤーたちを酷評しているところだ。たとえばZ世代が、Robinhood、eToro(イートロ)、M1 Finance(M1ファイナンス)でなければ代わりに何を使えば良いというのだろう。まあよくわからないがジョン・ハンコック(アメリカ独立戦争を資金面で支えた政治家)とか?。彼らが言うように、歯磨き粉はチューブに戻らない。

Fidelity(フィデリティ)とVanguard(ヴァンガード)は、一体どうすればRobinhoodのユーザーたちに自分たちのサービスに戻るように説得できるというのだろう?彼らはそうできるのだろうか?それともある世代の投資家たち全員が既存の金融プレイヤーを完全にスキップしてしまったのだろうか?強気のRobinhoodは後者のように考えているに違いない。そしてその見方を私も打ち消すことができないのだ。

Robinhoodの業績が、今後の何期かの四半期にどのように推移するかはわからないが、RobinhoodのMAU(月間アクティブユーザー数)や、M1のAUM(運用資産残高)などを考えると、フィンテックのスタートアップたちは信頼できる401(k)業者たちのいくつかを出し抜いたと言えるだろう。それはフィンテックたちが間もなくさらに深く掘り下げると、私が確信している市場だ。

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アフリカについて

アフリカに戻ってみよう、7月のデータはどうだっただろうか?私たちのアフリカ大陸の2021上半期の力強いパフォーマンスの調査は、6月で終わっていたので、いくつかのデータを追加しておこう。アフリカを情勢をウォッチするThe Big Deal(ザ・ビッグ・ディール)によれば、アフリカのスタートアップたちはこの四半期に71回のラウンドで3億800万ドル(約337億8000万円)を調達した。これは約37億ドル(約4058億2000万円)のランレートだ。よりシンプルに言えば、アフリカのスタートアップは、ベンチャーキャピタルの調達に関しては、これまでで最高の年を迎えている。

ではまた、ワクチン接種が無事に終わりますように。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:The TechCrunch Exchange新型コロナウイルスワクチンRobinhood決算発表アフリカ

画像クレジット:TechCrunch

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

半導体不足解消と新車需要によりフォードは2021年の利益増加を予想

Ford(フォード)は、2021年の第2四半期に、半導体不足がピークを迎えたにもかかわらず、SUV「Bronco(ブロンコ)」などの新型車の強い需要が追い風となり、予想を上回る営業成績を収めたと、直近の決算報告で述べた。

4月の時点で同社は、第2四半期に予定していた生産台数の約50%が失われ、同期間の利益が赤字になると予想していた。しかし、決算報告によると、会社全体で11億ドル(約1200億円)の利払前・税引前利益を計上することができたという。

米国時間7月28日の決算説明会で、フォードのJim Farley(ジム・ファーレイ)CEOが「すでに利益が出ている」と述べた電気自動車「Mustang Mach-E(マスタング・マックE)」をはじめとするフォード車に対する需要は、米国では2020年の7倍に増えており「半導体の供給が安定し、需要により密接に沿うことが可能になれば、事業は『バネのように跳ね返る』」と、フォードから発表された声明でファーレイ氏は語っている。

今後については「半導体の供給状況の改善が予想される中、自動車生産量の増加に伴い下半期の運転資本の好転が期待されるため、通期の調整後フリー・キャッシュ・フローの目標を40億ドル(4380億円)から50億ドル(約5480億円)に引き上げました」と、同社は述べている。

表面上は楽観的に見えるものの、会見中に質問を受けたファーレイ氏は、もう少し慎重で現実的な意見を述べた。

「半導体不足の問題は2021年いっぱい続くと見られ、来年の前半にも影響が出る可能性があります」と語った同氏は、次のように続けた。「我々はFABサプライヤー各社と話し合いを続けてきました。彼らは資源を再配分し、自動車向けの供給を増やしていると言っています。しかし、この困難を乗り越えたと本当に安心できるまで、予断を許さないと私は思います」。

自動車業界は、第3四半期に入ってからチップの供給に改善の兆しが見えてきているものの「状況はまだ流動的だ」とファーレイ氏は語っている。

ファーレイ氏は間違っていない。Semiconductor Industry Association(半導体工業会)によると、半導体の売上は、2021年4月に前月比1.9%増加したのに対し、5月には4.1%増加したという。さらに、6月に発表されたWorld Semiconductor Trade Statistics(世界半導体市場統計)の報告によれば、世界における半導体の年間売上高は、2021年に19.7%、2022年に8.8%増加すると予測されている。今月初め、Taiwan Semiconductor Manufacturing Company(台湾積体電路製造公司)は、生産努力を強化したことにより、今期から製造現場での半導体不足が大幅に解消されると予想していると述べていた。同社は、すでに2021年の上半期にマイクロコントローラユニットの生産量を前年同期比で30%増加させており、新型コロナウイルス流行前の2018年の水準より最大30%以上まで引き上げるつもりだと述べている。

それは期待できそうだ。しかし、誰もが同じ考えを持っているわけではない。国際的なチップメーカーであるシンガポールのFlex(フレックス)は最近、世界的なチップ不足が2022年半ばまで続くだろうと警告している。これは、自動車、特に電気自動車の需要が増加していることに加え、新型コロナウイルスの影響からゲーム機、タブレット、ノートパソコンなど、娯楽用電子機器を購入する人が増えていることが原因だ。

フォードはSK Innovation(SKイノベーション)と提携し、バッテリーセルの製造者となることで、バッテリー供給の不安を解消しようとしているのと同様に、半導体メーカーやサプライヤーと緊密に連携することによって、将来必要となるチップ数の予測に役立てようとしていると、ファーレイ氏は述べている。

半導体が不足している大きな理由の1つは、2020年の春に新型コロナウイルス流行の影響から販売台数が減少した際に、自動車メーカーが発注を減らしたことにある。だが、2020年の第3四半期になって乗用車の需要が回復してきた頃には、すでにチップメーカーは家電やIT関連の顧客からの注文をこなすのに手一杯な状態になっていたのだ。

フォードの擁護のためにいうと、ウイルスの流行を予測し、そのためにどれだけのチップが必要になるかを予測するのは簡単ではない。2020年のトイレットペーパー買い占めによる品不足のような事態にならないことを祈ろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford決算発表半導体新型コロナウイルス

画像クレジット:Ford Motor Company

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックもグーグルと同様に職場復帰する従業員にワクチン接種を義務付け

Google(グーグル)のSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは、米国時間7月28日、同社が従業員に対し、現場で仕事に復帰する前にワクチン接種を義務付けることを発表した

このことは、GoogleおよびAlphabet(アルファベット)のスタッフに送られた手紙に書かれており、新型コロナウイルスのデルタ変異型が世界的に流行し続けていることから、同社が在宅勤務ポリシーを10月18日まで延長することにも言及している。

また、Facebook(フェイスブック)のVPであるLori Goler(ローリー・ゴーラー)氏は、TechCrunchへ送られたメッセージの中で、このソーシャルメディアの巨大企業が同様のポリシーを採用していることを認めた。

「オフィスの再開にともない、米国内のすべてのキャンパスに出勤する人には、全員にワクチン接種をお願いする予定です」と、ゴーラー氏は書いている。「このポリシーをどのように実行するかは、地域の状況や規制によって異なります。医療上の理由やその他の理由で予防接種を受けられない人々にはプロセスを用意し、状況の進展に応じてそれ以外の地域でアプローチを評価していく予定です。当社は引き続き専門家と協力して、すべての人の健康と安全を優先したオフィス復帰計画を立てていきます」。

この声明と同様の同様の文言で、ピチャイ氏が書いた長文の手紙にも「医療上またはその他の保護された理由で」という例外を分けている。Facebookでは当初、9月に半数、10月までに全員の職場復帰が計画されていたが、ゴーラー氏のコメントには、この復帰時期の変更については示されていない。

先週、同社の広報担当者は、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙に「専門家のガイドラインでは、デルタ変異を含む新型コロナウイルスの変異種の予防にはワクチンが非常に有効であるとされています。オフィス再開までのスケジュールに変更はありません」とコメントしている。

両社の声明とも、地域や州の規制、医学的または個人的な懸念、そしておそらくは地域によって大きく異なるワクチンへのアクセスなどに基づき、会社の方針にある程度の幅を持たせている。

また、Amazon(アマゾン)もTechCrunchの問い合わせに対し「アマゾンの従業員や契約社員には、新型コロナウイルスワクチンが入手可能になり次第、ワクチンを接種することを強く勧めます」と回答している。

同社の現在のガイドラインでは、オフィスに戻るためにワクチン接種が必要というわけではないようだが、ワクチンを接種していない従業員にはマスクの着用が義務付けられている。ワクチン接種を完了したことが証明されている人は、顔を覆うことは任意となっている。

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カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Facebook新型コロナウイルスオフィスリモートワーク新型コロナウイルスワクチンアメリカGoogleAlphabetAmazon

画像クレジット:Kim Kulish / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

女優スカーレット・ヨハンソンがディズニーを訴訟、映画「ブラック・ウィドウ」の公開方法で

アベンジャーとしてのScarlett Johansson(スカーレット・ヨハンソン)の最盛期がバックミラーの中で遠ざかっていくような今日この頃、「Black Widow(ブラック・ウィドウ)」のスターは、契約違反でMarvel(マーベル)のオーナーであるDisney(ディズニー)を訴えた。訴状は今週、ロサンゼルスの高等裁判所に提出され、スタジオがスターとの合意に反して、映画を劇場公開と同時にDisney+でも公開したと申し立てている。

訴状は感情を混じえず次のように述べている。「ヨハンソン氏、ディズニー、マーベルそしてハリウッドの誰もが知ってるように、『劇場公開』は映画館に限定された封切のことである。ディズニーもこの約束をよく知っていたはずだが、その誓約への違反をマーベルに指示し、同作をそれが映画館で封切られたまさに同じ日にDisney+のストリーミングサービスで公開した」。

パンデミックは少なくとも短期間、映画が公開、消費される方法を抜本的に変えた。2020年、ディズニーとその他のスタジオは、映画をいきなりストリーミングで公開する方法を選んだ。映画館は必須のビジネスではないとして閉館され、映画館で観ることができる場合でも、遅れることが多く、観客数に減少が生じた。それを補う方法として、ストリーミングが選ばれた。最近では両者の違いが確定的なものとなり、映画館が再開しても同日ストリーミングが提供されている。

TechCrunchが入手した訴状のコピーによると、ストリーミングサービスに関するヨハンソン氏の懸念はパンデミック以前のものだ。訴状によると、ディズニーがストリーミングサービスであるDisney+を立ち上げたとき、ヨハンソン氏の代理人たちは、「ブラック・ウィドウが単独で劇場公開されることの確約をディズニー / マーベルに求めた。しかしそのときディズニーは、Disney+の会員数を増やすことに躍起になっていた。

訴状は2021年5月のマーベル主任弁護士からのメールを引用している。

映画の公開に関するスカーレットの前向きの意思を、私たちは完全に理解します。そして彼女の要求のすべては、映画が、私たちのその他の映画と同じく、広く劇場で封切られるという前提に基づいています。私たちは、それが計画の変更であることを理解し、これについて議論し、理解に到達する必要があります。その要求は、一連の(非常に巨額の)興行収入に基づいています。

(訳注:劇場公開への固執は「ストリーミングでの公開は、映画館の来館者そして興行収入を減らす」という前提に基づいている)

一方、ヨハンソン氏の弁護士であるJohn Berlinski(ジョン・ベルリンスキー)氏は、TechCrunch宛の声明で次のように述べている。「ディズニーが『ブラック・ウィドウ』のような映画をDisney+に直接公開して会員を増やし株価を上げようとしていることは公然の秘密だ。同社は新型コロナウイルスを口実に、その後ろに隠れてそれを行っているが、映画の成功の主因であるアーティストとの契約を無視し、その近視眼的な戦略を推し進めることは、彼らの人権を犯すことでもあり、それを法廷で証明しなければなりませんn。ハリウッドの才能がディズニーに対して立ち上がり、契約を尊重する法的義務があることを明らかにする行為は、ディズニーに対する最後のケースではないだけでなく、他のどんな企業に対しても行われるべきことです」。

この声明では、ディズニーが「新型コロナウイルスの後ろに隠れて」と述べているが、2020年に公開方式を考え直さなくてはならなくなったのはディズニーだけではない。残る疑問は、パンデミックは映画公開の意思決定において情状酌量の余地のあるものなのか、ということだ。本裁判の結果は、パンデミック後の大作の公開方法に対して、スタジオに大きな影響を与えるだろう。

更新:ディズニーは訴訟に対して次のようにコメントしている。

本件には、訴訟としての利害実体が何もありません。この訴訟は、新型コロナウイルスによるパンデミックの、恐ろしくまた長期にわたるグローバルな影響に対する思いやりのない無視であり、そのために特別に悲しくまた痛ましいものであります。私たちはヨハンソン氏の契約を完全に遵守しており、さらにまた「Black Widow」をPremier Access(Disney+プレミアアクセス)でDisney+上に公開することは、彼女がこれまでに受領した2000万ドル(約22億円)に加えて、さらなる報酬獲得を大きく強化するものであり、訴訟に値する被害は何1つありません。

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画像クレジット:Amy Sussman/Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ツイッターが新型コロナ感染再拡大を受け再開したばかりのNYとSFのオフィスを閉鎖

ニューヨークとサンフランシスコのオフィスを再開してわずか2週間、ソーシャルメディア大企業Twitter(ツイッター)は米国時間7月28日、それらのオフィスを「すぐに」閉めると明らかにした。

この決定は「CDC(米疾病予防管理センター)のアップデートされたガイドラインを熟慮し、現状を踏まえてのもの」と広報担当は話している。

「Twitterはニューヨークとサンフランシスコのオフィスを閉鎖し、予定していた他のオフィスの再開も一時停止することを決めました。この措置はすぐに取られます。当社は引き続き各地域の状況を注視し、Tweeps(ツイッターユーザー)の健康と安全を優先する必要な措置を取ります」と広報担当は付け加えた。

同社は7月12日に2つのオフィスを再開したばかりだった。各オフィスで働く人数は明らかにしなかった。

CDCは今週、伝染力の強いデルタ株についての懸念が強まる中で、ワクチン接種完了者に新型コロナウイルス感染率が高い地域の屋内でのマスク着用を推奨した

この記事の前に、GoogleのCEOであるSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏がオフィスに戻る従業員にワクチン接種を義務付けることを発表した、とTechCrunchのBrian Heater記者が報じた。ワクチン接種の義務付けはGoogleとAlphabetの従業員に宛てたレターの内容の一部であり、新型コロナ変異種が引き続き世界中で拡大している中で、同社が在宅勤務措置を10月18日まで延長することもレターには記されていた。

TechCrunchへのメッセージの中で、Facebook(フェイスブック)の人事担当VPのLori Goler(ロリ・ゴーラー)氏は同社も似たような措置を取ることを認めた

Amazon(アマゾン)もこの件に関するTechCrunchからの問い合わせに対し「当社はAmazon従業員と契約業者に新型コロナワクチンが利用できるようになり次第すぐさま接種するよう、強く奨励しています」と述べた。

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タグ:TwitterニューヨークサンフランシスコCDC / 米疾病予防管理センターオフィス新型コロナウイルスワクチン

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルが米社員に新型コロナワクチン接種を義務付け、オフィス勤務再開は延期

リモートワーク向けのツールを作り出したテック企業にとっても、オフィスでの業務再開は大きなチャレンジだ。Google(グーグル)のような企業は、2020年3月にいち早く在宅勤務を推奨したのちにオフィスを閉鎖し、自宅から仕事するよう求めた。(世界の大半とともに)バランスを取ることをともなった日々だったが、同社は2020年5月に一部の従業員向けにオフィス勤務再開計画の作成を開始した。

デルタ株や他の新型コロナウイルス変異株が予定していた正常復帰を脅かす中で、AlphabetのCEOであるSundar Pichai (サンダー・ピチャイ)氏は同社のニューノーマルについて明らかな見解を示した。Google Keywordブログにも掲載された従業員に宛てたレターの中で、ピチャイ氏はGoogleの社屋で働く従業員はワクチンを接種する必要がある、と述べている。

「数週間内に米国でこの規則を導入し、今後数カ月で他の地域にも拡大します」とピチャイ氏は述べた。「導入は地域の状況と規則によって異なり、ワクチンがその地域で広く利用できるようになるまでは規則は適用されません」。

問題を複雑にしているのは2番目のポイントだ。デルタ株の流行により同社の在宅勤務は10月18日まで延長された一方で、その日以降ワクチンを接種していない従業員がどうなるのかについてはまだ完全に明らかではない(新型コロナによるさらなる在宅勤務措置の延長はないと仮定して)。ワクチンを接種していない人はGoogleのオフィスやリモートで働くことができないかもしれない。

しかしピチャイ氏のレターは「健康上の理由、その他考慮すべき理由」があるワクチン未接種者向けの特例に言及している。Googleはそうした特例を何に適用するのかについて明確にしていない。

「特異な状況にある人のために、2021年末まで自宅から働くことを申し込める、拡大した一時的な労働オプションを間もなく共有します」とピチャイ氏は書いている。「また、育児や介護をしている人のためにExpanded Carer’s Leave(育児・介護者の一時休職)を年末まで延長します」。

Apple(アップル)などの他のテック大企業もまた、新型コロナ感染の高まりを受けて規制が導入される中で、オフィスに戻る計画を後ろ倒しにし、小売店舗でのマスク着用を義務付けた。Facebook(フェイスブック)を含む他の企業は元々決めていた秋再開の計画を維持している。

「専門家のガイドラインには、デルタ株を含む新型コロナ変異株の予防にワクチンが極めて効果的であると書かれています」とソーシャルメディア大企業Facebookの広報担当はつい最近ウォールストリートジャーナル紙に述べた。「オフィスを再開するという我々のタイムラインに変更はありません」。

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画像クレジット:Sundry Photography / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

おうち時間のマンネリ化解消、自宅でお祭り気分の買い物ができる「食べチョク夏祭り2021」が8月31日まで開催

おうち時間のマンネリ化解消、自宅でお祭り気分の買い物ができる「食べチョク夏祭り2021」が8月31日まで開催国内産直通販サイト「食べチョク」(Android版iOS版)を運営するビビッドガーデンは7月27日、「自宅にいながら夏祭り気分でお買い物ができる」という「食べチョク夏祭り2021」の開始を発表した。夏祭りでは、「今が旬屋」「ひんやり屋」「盛りだくさん屋」の3つの「屋台」から、限定商品を買うことができる。開催期間は、2021年8月31日23時59分まで。

新型コロナで自宅に閉じこもることが多いこの夏の間でも、夏が味わい季節感を楽しめる限定商品を生産者と作ったとのこと。また、飲食店の営業時間短縮などの影響で売上げ減に悩む生産者を支援する目的もある。

3つの屋台の特徴は次のとおり。なお送料については、コロナ復興支援のため期間限定で無料となっている商品もある。詳細は、各紹介ページを参照してほしい。

今が旬屋

年間で今がもっとも魅力的な食材。「めったにお目にかかれない珍しい食材」も揃っているという。詳細はこちら

阿蘇から届く まぼろしの魚・かわべの湧水やまめ(7匹冷凍)、2700円(税込)

ひんやり屋

アイスクリーム、フルーツ、魚介類など、冷やして涼を感じる食材。詳細はこちら。

【はじける爽やかさ!】ジンジャーエールの素、瀬戸内ファーム、2808円(税込)

盛りだくさん屋

バーベキューやホームパーティーにぴったりな「てんこ盛り商品」。詳細はこちら。

BBQセット【香心ポーク】焼肉用厚切り(約1.3キログラム)+無添加特大フランク、500グラム)、7230円(税込)

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新型コロナ検査用3Dプリント綿棒をマサチューセッツのOPT Industriesが完成

2020~2021年にかけて私たちが慣れ親しんだものといえば、鼻腔内の新型コロナウイルス検査用綿棒だろう。しかし、この綿棒は、予想していたよりも手に入りにくかった。2020年5月に米国の118のラボを対象に行った調査では、60%が綿棒の供給に限界があると回答。サプライチェーン上の最もよくある問題は綿棒の不足であると報告している。

ここで綿棒の製造に参入したのが、高密度マイクロファイバー構造の積層造形(3Dプリント)技術を持つOPT Industries(オプトインダストリーズ)だ。OPT Industriesはマサチューセッツ州を拠点とし、設立2年目、従業員15名の小さなスタートアップ企業である。同社のプリンターとソフトウェアは、もちろん綿棒以外のものにも対応しているが、2020年以降は新型コロナウイルス試験で使用する3Dプリント綿棒「InstaSwab」に力を入れている。

2020年、OPT Industriesは、Kaiser Permanente(カイザーパーマネンテ)や医療製品販売会社Henry Schein(ヘンリーシャイン)といった商業パートナー向けに、4カ月間で80万本の鼻腔スワブ(綿棒)を製造した。この試験製造に成功した同社は、生産能力の向上を見込んでいる。創業者のJifei Ou(欧冀飞、オウ・ジーフェイ)は、最新のモジュラー機器の使用により、1台の機械で一日に約3万本の綿棒を生産できるようになったと話す。

「今回のパンデミックは、当社の技術が貢献できる医療分野を示す機会になったと思います」と、オウ氏はTechCrunchに語る。

世界的にはパンデミックは未だ終息していないものの、検査に関してはワクチンの登場で状況が一変した。米国における新型コロナウイルスの検査数は減少しているが、OPT Industriesは、優れた綿棒を製造して在宅検査の市場に軸足を移すことで、これを乗り切ることができると考えている。

パンデミックを初期のテストランで迎えた同社は、現時点までに約500万ドル(約5億5000万円)のシード資金を調達。オウ氏によれば、現在は投資を必要としていない。同社は綿棒製品の次のテスト段階に入っていたが、米国時間7月15日、その結果が発表された。

OPT Industriesが発表した研究結果によると、3Dプリントで製造された鼻腔用綿棒は、平均で63%のウイルス遺伝子を分析装置に移すことができた(繊維製の綿棒、ポリエステル製の綿棒の移行率はそれぞれ36%、14%)。

OPT Industries製「InstantSwab」の性能を従来の2種類の綿棒と比較したグラフ(画像クレジット:OPT Industries)

これらの試験はボストン大学メディカルセンターで実施されたが、その結果はこれまでのところ、査読付きジャーナルには掲載されていない(オウ氏はジャーナル掲載を目指して研究をさらに進めている)。また、試験はヒトの新型コロナウイルス患者ではなく、試験管内(in vitro)で行われた。

理論的には、InstaSwabsは鼻や喉の奥にあるウイルスの痕跡をより多く捕らえることができる。オウ氏は、高密度のマイクロファイバー構造で設計された綿棒などの適切な綿棒は、より多くのウイルスを捕獲し、特に感染初期の、体内にウイルスが少ない時期における偽陰性を防ぐことができると主張する。

新型コロナウイルス検査の偽陰性率を推定しようとしている論文は大量に存在する。例えば34件の研究をまとめたある系統的レビューでは、偽陰性率は2~29%と推定されている。

また、ウイルス量が少ない例と偽陰性を関連付ける調査もある。アルバータ州(カナダ)の公衆衛生研究所で行われたある研究では、約9万5000人の患者から採取した10万0001件の検体(一部の患者からは2~3回検体を採取)を分析し、5件の偽陰性を確認している。

これらの偽陰性は、体内のウイルスRNAの量が少なかったことが原因だが、これはサンプルを採取した時期に起因していると著者は指摘している。つまり、綿棒がウイルスをキャッチできなかったのではなく、そもそものウイルス量が少なかったのだ。

綿棒自体が検査結果に及ぼす影響を分析したところ、研究室で使用された2種類の綿棒で偽陰性の結果が出ている。このことは、綿棒の種類は偽陰性率に影響を与えていないことを意味しているのかもしれないが、著者らは、結論を出すにはさらに多くのデータが必要であるとしている。

だからといってサンプルの収集・保管方法を改善しても検査精度に影響しないとは言い切れない。2021年6月に発表された論文では、著者らは、ウイルス輸送液の量を減らし(サンプルの希釈が少なくなる)、綿棒のデザインを変更して、より多くのウイルスを捕獲し、綿棒が患者の鼻の中に留まる時間を短くすることも、検査の最適化に効果があると主張している。

OPT Industriesが証明しなければならないのは、優れた綿棒は本当に感染の初期段階で十分なウイルスRNAを捕獲することができるのか、高い捕獲率が実際に偽陰性に影響を与えるのかどうか、という2点である。

OPT Industriesの論文(査読なし)は、同社の綿棒がより多くのウイルスを捕獲できることを示唆しているようだが、第二の論点である「同社の綿棒によってヒトの新型コロナウイルス検査の精度が向上する」ことを証明するには十分な情報がない。

オウ氏は次のように話す。「現在、2つの臨床パートナーと協力して、(これを証明するための)臨床研究を行っています」「この研究の結果と次の研究の結果を合わせて、査読付きのジャーナルに掲載してもらうための原稿を準備しています」。

OPT Industriesが3Dプリントで製造した綿棒の優位性を証明した場合、参入できる市場がより大きな問題になる。The Wall Street Journalは、2021年初春にワクチンが普及し始め、新型コロナウイルス検査の需要が全米で約46%急減したと報じている(不思議なことに、検査関連スタートアップ企業の爆発的な増加を遅らせることにはつながらなかったようだ)。

2021年7月現在、米国では1日あたり平均50万4048件の新型コロナウイルス検査が実施されている(1月には1日平均約199万2273件の検査が実施されていた)。感染力の強いデルタ株が広がっているにもかかわらず、CDC(米国疾病対策予防センター)は今もなお、ワクチンを接種した人は定期検査を減らすことができるとしている。

オウ氏は、在宅検査の領域にはまだ成長の余地があると考えている。今回取り上げたのは新型コロナウイルスの検査だが、同社の3D綿棒はほとんどの体液に使用できるという。

「米国では、検査の大部分が、診療所や病院での検査から家庭での検査に移行していることがわかっています。現在はここを焦点として、在宅検査キット企業との提携、協力を検討しています」とオウ氏。

オウ氏によると、すでに「いくつか」の在宅検査キット企業と提携関係を構築しているが、機密保持契約により会社名を明かすことはできない、とのことだ。

新型コロナウイルスに限らず、在宅検査キットの分野には、最近ではAmazon(アマゾン)など、興味深い企業が参入している(Amazonは、新型コロナウイルスと性感染症の在宅検査キットを販売する予定)。

パンデミック後も、OPT Industriesは家庭における新しい綿棒需要に乗ることができそうだ。

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カテゴリー:ハードウェア
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画像クレジット:OPT Industries

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

コロナ禍でモビリティも変化、いま押さえておくべき5つのトレンドとは?

人の移動を支えるモビリティは、日々変化している。移動のあり方、移動のニーズも変わってきた。Frost & Sullivan(フロスト&サリバン)でアジア太平洋地区モビリティ部門担当アソシエイト・パートナーを務めるVivek Vaidya(ヴィヴェック・ヴァイジャ)氏は「コロナ禍はモビリティトレンドを変化させました」と語る。

ヴァイジャ氏が明かす、5つのモビリティトレンドとは何か。本記事はフロスト&サリバン主催『インテリジェントモビリティサミット2021 ゼロへのイノベーション』中のセッションの一部講演を編集、再構成したものとなる。

「三密回避」で広がった「脱通勤」のライフスタイル

ヴァイジャ氏が最初に挙げる最初のトレンドは「脱都市化」だ。新型コロナウイルスが広まってからというもの、三密回避のために多くの人が「家で働く」ライフスタイルを始めた。企業のマインドセットも変わり、ワークライフバランスの定義も変わった。

同時に、在宅ワークを可能にするツールの活用が進み、働くためのオフィスは必須ではなくなったため、オフィスの縮小やシェアオフィスの活用も進んでいる。生活エリアとして都市部ではなく、郊外を選ぶ人も出てきている。

通勤が必要なくなると、移動の目的が変わり、移動の形にも影響する。また、公共交通機関の需要も変わる。

ヴァイジャ氏は「通勤が減ると、公共交通機関で運ばれる人数が減ります。そのため、シェアードモビリティなど、需要に合わせて運用できるソリューションの必要性が高まります。さらに、より細かな目的に即したモビリティの需要が高まり、自転車やバイクなど、規模の小さな移動手段の需要も出てきます」と語る。

モビリティの競争が変革される

2つ目のトレンドは「新しい価値創造モデル」だ。

現在、モビリティ周辺の競争のありようは変化しており、ティア1企業は現状より広い役割を果たそうとしている。スタートアップの競争も激化している。さらに、製品の差別化要素はクルマ自体のパワーから、コネクティビティと自動運転へと変化しているという。

ヴァイジャ氏は「モビリティにおける競争の中心は製品そのものではなく、サービスやソリューションに移り変わっています」と指摘する。

また、テクノロジーのライフサイクルはどんどん短くなりながら、そのコストは上がってきている。研究に対するリソースの重要性は増し、自動車メーカーにとって規模の経済の重要性は増すばかりだが、同時に成功の不確実性は高まっている。

「この状況を打開するには、競合企業の協力が不可欠です。コネクティビティと自動運転はバリューチェーンとテクノロジーの中で進化していますが、競合企業同士が手を組むことで、さらに成長しようとしているのです」とヴァイジャ氏。

「新しい価値創造モデル」は、こうした競合企業同士の協力関係の構築から生まれているという。多様なバリューチェーンが集結し、企業の垣根を越えたコラボが活発化している。

モビリティもサブスクリプションモデルへ

3つ目のトレンドは「ビジネスモデルの改革」だ。

これまでの自動車産業では、クルマを販売した自動車メーカーの利益、自動車メーカーに部品を販売したティア1企業の利益というように、バリューチェーンの1つ1つがそれぞれで利益を出していた。しかし、この形に問題が生じてきている。

ヴァイジャ氏は「まず、バリューチェーンの利益が圧力にさらされています。サービスや部品に対する利益が縮小。さらに在宅ワークが増え、通勤が減ったことなどの影響で、これまでの自動車を徐々に買い替え、車種のグレードを上げていくような消費スタイルが変化しつつあります。それにともない自動車メーカーはビジネスモデルを変革する必要があるのです」と問題を指摘する。

では、どのように変革していけば良いのか。ヴァイジャ氏は「サブスクリプション型サービスの導入が鍵です」という。

実際、自動車メーカーはAndroidベースのOSや独自OSを導入してハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションのシームレスな統合を果たそうとしている。こうした統合ができれば、自動車メーカーは顧客と長期間、直接的な関係を持つことができる、

ヴァイジャ氏は「例えば、顧客がクルマを買って、そこに駐車アプリがインストールされており、そのアプリに対してサブスクリプション料金が発生するといったモデルが可能です」という。

では自動車メーカーとティア1企業は何をすべきなのか。サブスクリプション型モビリティビジネスの鍵はコネクテッドカーとサービスだ。自動車メーカーはコネクテッドカーに焦点を当て、コネクテッドカーの普及率上昇に務める必要がある。

「コネクティビティのための装置や関連するコストは、コストではなく投資と捉えるべきです。これがあれば自動車メーカーもティア1企業も顧客とつながり続けることができ、マネタイズの機会を持ち続けられます」とヴァイジャ氏。

このような装置から得られたデータを活用し、適切なアプリケーションを提供することで、自動車メーカーとティア1企業はアプリケーションをインストールした車両から継続的なキャッシュを手にすることができる。

ヴァイジャ氏は「こうした方法で既存のビジネスモデルのリスクを回避し、キャッシュフローを改善することができます」と話す。

「自動車産業」のマインドセットから「モビリティ」のマインドセットに

4つ目のトレンドは「カスタマーインターフェイスの再構築」だ。

現在、自動車メーカーはカスタマーインターフェイスをコントロールできる立場にいる。そのため、自動車メーカーは自社のブランドの特徴などを意のままに世に送り出すことができる。しかし、EV(電気自動車)が広まることで新しいプレイヤーが市場に登場し、伝統的な自動車メーカーに挑むようになってきた。さらに、シェアードモビリティやMaaS関連企業がカスタマーインターフェイスの主導権を握ろうとしている。その上、顧客がこれまで「運転すること」で得てきたブランド体験を、自動運転車がなくそうしている。

ヴァイジャ氏は「この状況に対応するには、まず『自動車産業』のマインドセットから『モビリティ』のマインドセットに切り替えることが必要です。これはつまり、製品中心の考えから、サービス中心の考えに移行することです。スタートアップとコラボレーションし、新しいバリュープロポジションに投資し、技術と自動運転を受け入れて独自のサービスを提供することで、サブスクリプション型のビジネスに変化することができるでしょう」と対応方法を提示した。

あらゆる『ゼロ』が唯一の未来

5つ目のトレンドは「ゼロカーボンフットプリント」だ。これを推進しているのはスマートシティだ。「自動車メーカーはこれを無視することはできない」とヴァイジャ氏はいう。再生可能エネルギーへの投資額は上昇し、持続可能性は無視できないテーマだからだ。

「ICE(内燃エンジン車)も2040年くらいまでには使われなくなるでしょう。あらゆる『ゼロ』が唯一の未来です。カーボンフットプリントもゼロ。事故もゼロ。死者もゼロ。100%でリサイクルのゴミもゼロ。欠陥ゼロ。リコールゼロ。100%ESGに則る。企業は倫理を問われているのです。紹介した5つのトレンドを見直し、『何が問われているのか』『何をみられているのか』を考えながら、今後のモビリティを前進させてください」とヴァイジャ氏は語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:新型コロナウイルス電気自動車自動運転サブスクリプションカーボンフットプリント二酸化炭素ESGコネクテッドカー

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

医療機関用災害対策システム「Smart:DR」を手がけるSmart119が災害時の病院初期対応アプリを公開

テクノロジーによる緊急医療の改善に取り組む千葉大学発の医療スタートアップSmart119(スマートイチイチキュウ)は、医療機関用災害対策システム「Smart:DR」(スマートディーアール)をスマートフォンやタブレットに対応させた「Smart:DRアプリ」を開発。7月15日、Android版iOS版を公開した。

Smart:DRは、災害やテロの発生時に「スタッフの安否確認」「集合要請」をスムーズに行い、医療機関や企業が被害を最小限に抑え、BCP(業務継続計画)策定による事業継続や復旧、傷病者の救命を支援するシステム。Smart119によると、同システムを導入した医療機関からの要望に応え、アプリ版を開発したという。

アプリ版では、受信したメッセージをより明瞭に把握できるほか、災害発生地点の表示や、健康状態の報告も従来より容易になっているそうだ。また、新型コロナウイルスのワクチン接種状況や副反応発生の有無などの情報収集も可能で、院内クラスター発生抑止や職員の健康管理に貢献するとしている。

主な特徴は次のとおり。

Smart:DRの特徴

  • スタッフへの緊急連絡、安否確認
  • 緊急時の集合状況をリアルタイムに把握でき、最適な人員配置を支援
  • 医学的見地に基づいた健康管理情報を自動集計
  • 返信は、ワンクリックで完了でき、ログイン不要
  • 掲示板機能を有し、平時においても活用できる

アプリ版を使うことで「医療従事者が通常時からSmart:DRを積極的に活用し、緊急時に、スムーズに危機管理体制へ参加」することが期待されるとSmart119は話している。

2018年5月設立のSmart119は、「安心できる未来医療を創造する」を目指し、現役救急医が設立した千葉大学医学部発のスタートアップ企業。Smart:DRをはじめ、音声認識とAIを活用した救急医療支援システム「Smart119」、緊急時医師集合要請システム「ACES」の開発・運用も行っている。また千葉県千葉市において、日本医療研究開発機構(AMED)の救急医療に関する研究開発事業を実施した。

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カテゴリー:ヘルステック
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新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題解消を支援、一般的な3Dプリンターで作れる筋肉注射練習モデルが開発・公開

新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題解消を支援、一般的な3Dプリンターで作れる筋肉注射練習モデルが開発・公開

掲載写真は手技確認時のイメージのため、手袋の着用は省略している

慶應義塾大学SFC研究所は7月12日、同大学看護医療学部 宮川祥子准教授らが、3Dプリンターで作れる製筋肉注射練習モデルを開発し、その設計データ・作り方・使い方に関する説明書を特設サイトで公開したと発表した。ライセンスは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CC BY-SA 3.0)。

新型コロナワクチンの「打ち手不足」問題への対応として、職場を離れている看護師、いわゆる「潜在看護師」の活用が求められているが、長期間現場を離れている看護師がなんの準備もなくいきなりワクチン接種業務に就くのは難しく、協力を得にくいという課題がある。そこで、科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」が支援し、慶應義塾大学を中核拠点とする「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会創造拠点」が、上腕三角筋への筋肉注射の練習ができるモデルを生み出した。

今回の開発の中心となった宮川准教授は、かねてより「FabNurse(ファブナース)プロジェクト」を推進し、看護、介護分野にターゲットを絞った3Dプリンターを用いた「ケアのものづくり」による課題解決を研究してきた人物だ。

このモデルは、すでに臨床経験のある(初学者ではない)看護師が上腕への筋肉注射を練習するものとしており、以下の特徴がある。

  • 一般的に販売されている3Dプリンターで出力が可能
  • 肩峰に触れることができ、注射の部位(肩峰から三横指下)を確認することが可能
  • 実際に針を刺して、液を注入することが可能
  • 3Dの設計データは無償で使用することができ、改変可能
  • 作成方法・使用方法に関する説明書が添付されている

このデータは無料で公開されているが、CC BY-SA 3.0ライセンスに基づき製造販売も可能とのこと。ただし、「販売する場合は、新型コロナウイルス対策への貢献という趣旨に鑑み、適正な価格での販売をお願いします」と宮川准教授は話している。

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唾液とアプリだけで迅速・正確な新型コロナの検査を可能にする英Vatic

新型コロナウイルスのパンデミックでは、デルタ型の感染が一気に拡大する局面を迎えている。しかし、世界中で予防接種が進む今、社会にとっての主なコストは、医療サービスが逼迫することではなく、企業の従業員が追跡システムによって自己隔離を強制されるためにその会社に生じる大規模な混乱だ。このように、職場(あるいはその他の環境)におけるバイオセキュリティが非常に重要になっている。

上の段落は、英国の著名な科学者たちがパンデミックの次の段階に関して最近政府に送った公開書簡の内容を言い換えたものだ。

職場のバイオセキュリティがより効率的でなければならないとすれば、より迅速で優れた検査方法が必要になる。英国のスタートアップが、この問題を解決したかもしれないと考えている。

バイオセキュリティ企業のVatic(バティック)は、新型コロナの「KnowNow」検査を開発した。同社は、この検査が、ラテラルフロー検査よりも正確で、より速く、より簡単で(必要なのは口の中に入れる綿棒だけ)、検査データの共有が可能で、さらにサービスや職場へのアクセスを可能にする「パスポート」のQRコードも作成できると主張している。

Vaticは今回、家庭用検査の展開のために637万ドル(約7億1000万円)を調達した。まず新型コロナウイルス向け検査から始める。

今回のシード資金ラウンドは、ロンドンのVCであるLocalGlobeとHoxton Venturesが主導した。

2019年創業のVaticは、家庭内でデータを生成することを目的とした唾液ベースの検査を開発した。同社によると、検査にかかる時間は15分以内で、身体が感染を撃退したことにともなう偽陽性を回避し、検査時に実際に感染している人を特定できるという。今までの抗原検査では、200人に1人の割合で偽陽性になる可能性があった。

Vaticの検査

Vaticによると、同社の検査は、人間の細胞表面を模倣することで感染性ウイルスを特定するもので、ラテラルフロー検査の開発方法を効果的に再設計し「その精度を高めている」という。

唾液のみによる新型コロナのスピード抗原検査KnowNowは、CEマークの承認を得て、実際に英国で使用されている。唾液検査とアプリを組み合わせることで、自宅での検査結果を医療機関や他のプラットフォームと即座に共有することが可能になる。唾液を使った検査は、喉の奥や鼻腔を綿棒でこする必要がある現在のラテラルフロー検査に比べ、はるかに簡単で不快感も少ないことは明らかだ。Vaticは現在、FDA(米食品医薬品局)から緊急使用許可を得るために米国で臨床試験を行っている。

Vaticの共同創業者でCEOのAlex Sheppard(アレックス・シェパード)氏は次のように説明した。「新型コロナのスピード検査導入が最近減少している理由の1つは、サンプリング技術にあります。今の検査は、受ける人にとって非常に不快でわずらわしいものです。今後、オフィスや学校、接客業などで新型コロナが発生した際の混乱を最小限に抑え、正常な状態に戻すためには、大量の検査を行う際の苦痛を取り除く必要があります。そのために私たちは、検査と一緒にバイオセキュリティ技術を開発し、ユーザーが独自のQRコードを作成して会場に安全に入場できるようにしました」。

どのような仕組みなのか。Vaticによると、同社の技術は、感染力の指標としてウイルスの「スパイク」を探すが、ウイルスの潜在的な変異に対しても免疫があり、どのような変異があっても新型コロナを検査することができるという。

シェパード氏によれば、このVaticの検査はまだ第1段階に過ぎないという。人間の細胞の表面を模倣することで、他の感染性ウイルスも検出できる。

「私たちは、新型コロナウイルスの中から、皮下注射針のようにスパイクを使ってヒトの細胞に侵入する部分を選びました」とシェパード氏は話した。「この部分が、今回の検査で基本的に相互作用する部分です。つまり、今回の検査では人間の細胞を模倣していることになりますが、これは完全にユニークなものです。通常のラテラルフロー検査とはまったく異なるエンジンを搭載していますが、それは動力源となる化学物質がまったく異なるからです」。

Vaticの検査のもう1つの特徴は、唾液の交換検査と連動したアプリを採用していることだ。検査が終わると、暗号化されたQRコードが表示される。

「NHS(英国民保険サービス)の検査とまったく異なるというわけではありません」とシェパード氏はいう。「しかし、完全に信頼ベースのシステムなので、健康データを危険にさらす必要はありません。政府のウェブサイトに自宅の住所を書き込むわけではないのですから。もちろん、通知可能な疾患の報告に関する政府の要件を満たしていますが、健康データを提供しすぎていないことを確認できるよう設計されています。安全なのです」。

シェパード氏と共同創業者のMona Omir(モナ・オミール)氏は、オックスフォード大学の2019年9月のアクセラレータープログラム「Entrepreneur First」で出会い、その後、ロンドンの投資家と、オックスフォード大学のOxford FoundryとInnovate UKからの助成金支援の両方から資金を調達している。

LocalGlobeのパートナーであるJulia Hawkins(ジュリア・ホーキンス)氏は、次のようにコメントした。「Vaticのテクノロジーは検査の未来です。英国の多くのトップ企業が率先して、従業員の検査を事業回復計画の最優先事項としていると聞き、すばらしいことだと思っています。今回の新たな投資は、英国内および海外でのKnowNow検査の展開を成功させ、中断を最小限に抑えて経済活動を再開させるための鍵となるでしょう」。

Hoxton VenturesのパートナーであるRob Kniaz(ロブ・ニアズ)氏は「綿棒で唾液のみの採取は、不快で厄介なスピード検査の世界では真のブレイクスルーであり、Vaticチームの市場への投入の速さは非常に印象的です。Vaticにとっては、この検査は旅の始まりに過ぎず、家庭での検査という市場に革新をもたらす機会は無限にあります」。

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カテゴリー:ヘルステック
タグ:Vatic新型コロナウイルスアプリイギリス資金調達

画像クレジット:Vatic founders, Alex Sheppard and Mona Kab Omir

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

新型コロナ後遺症の検出にFitbitデバイスやApple Watchなどウェアラブル機器が役立つとの研究結果が公表

新型コロナ後遺症の検出にFitbitデバイスやApple Watchなどウェアラブル機器が役立つとの研究結果が公表

Apple

新型コロナウイルス感染拡大が始まって以降、Apple Watchなどウェアラブル機器で感染の初期症状が検出できるかどうかを調べる研究はいくつか行われてきました

そして新たに、感染した人々への長期的影響(いわゆる後遺症)もウェアラブル機器により追跡調査ができ、患者の回復に役立てられるかもしれないとの研究結果が公表されています。

医学専門誌「JAMA Network Open」に掲載された新たな論文(The New York Times経由)が根拠とするデータは、米カリフォルニア州のスクリプス研究所(生物医療科学の研究と教育を行う非営利の医療研究施設)の科学者たちが実施した試験から得られたもの。

この試験は2020年3月25日から2021年1月24日まで実施され、Fitbitsの機器やApple Watchなどを着用した3万7000人が参加し、研究用アプリ「MyDataHelps」が使われたとのことです。

この試験に関わった研究者らは、10月にウェアラブルの収集したデータと患者の自己申告を組み合わせることで、新型コロナの症状をより正確に検出できることを報告していました。

そして最新の報告では、感染から回復した後の持続的な健康への影響( ロング・コビッド(long COVID)とも呼ばれています)に焦点を当てて、データをさらに深く掘り下げています。

まず注目されたのはFitbitユーザーのデータであり、持続的な変化を検出できると示されたとのことです。感染症の専門家であるJennifer Radin博士は「新型コロナに感染した人の安静時心拍数の変化は、他のウイルス感染に比べてはるかに大きい」とともに「歩数や睡眠にも、より劇的な変化が見られます」と述べています。

また、新型コロナに感染した被験者は、最初に症状を訴え始めてから約9日後に安静時の心拍数が低下したことも判明。その後に心拍数は数ヶ月間も上昇し続け、正常に戻るまで平均79日もかかったとのことです。それに対して新型コロナではない(他のウイルス感染の)グループではわずか4日でした。

そして睡眠や身体活動のレベルも、他の疾患を持つ人に比べて、新型コロナに感染した人は基準値に戻るのが遅かったとも述べられています。

今回の研究はFitbitのデータに焦点を当てたものですが、Radin博士いわく「これは予備的な研究であり、将来的には他の多くの研究の可能性を秘めています」とのこと。

新型コロナ感染はたとえ軽症で済んだとしても、回復後に倦怠感や脱力、脱毛や味覚異常、動悸や食欲不振などの後遺症が長引くとの報告もあり、追跡調査や手厚いケアも必要なはず。こうした研究成果が日本でも反映されるよう祈りたいところです。

(Source:JAMA Network Open。Via 9to5MacThe New York TimesEngadget日本版より転載)

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アマゾンが米国で自社ブランドのコロナ検査キットの販売を開始、価格は約4400円

米国時間7月6日、Amazon(アマゾン)は米国で自社ブランドの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)在宅検査キットの販売を開始すると発表した。検査キットは米国の利用者を対象にAmazon.comのウェブサイトで販売され、処方箋なしで購入できる。価格は39.99ドル(約4400円)。この新型コロナウイルスPCR検査キットはAmazonプライムで顧客の自宅に配送され、鼻腔を綿棒で拭う検査に必要なものがすべてセットになっている。利用者は綿棒を回収容器に入れ、キットに同梱の箱で返送する。Amazonは、検査機関で検体を受け取ってから24時間以内で結果を通知できるとしている。

検体はAmazon社内の検査機関で処理される。この検査機関は、同社が現場で勤務する従業員向けに社内COVID-19検査プログラムの一環として設けたものだ。同社はこれまでに米国と英国の検査機関で、従業員のうち75万人以上を対象に数百万回の検査を処理したと述べている。今回発売する新しい在宅検査キットで、同社は米国の検査機関の処理能力を顧客に拡大する。

Amazonによれば、検査は正確性に優れるRT-PCRという手法を用いているため、検査機関で処理をする時間が必要だという。このキットは米国食品医薬品局の緊急使用許可(EUA)を受けている。

画像クレジット:Amazon

Amazon.comの販売ページによれば、このキットには綿棒、生理食塩水の入った回収容器、吸水剤付きのビニール袋、返送用ラベルが貼られた箱が同梱されている。返送にはUPSが使われ、顧客の追加費用負担はない。検体はCAP(米国病理学会)認定とCLIA(臨床検査室改善法)認証を受けたケンタッキー州ヘブロンにあるAmazonの検査機関に送られる。

キットには、AmazonのセキュアなウェブサイトであるAmazonDx.comで検査結果を確認する方法の説明と検査の証明に必要な書類へのアクセスも含まれている。Amazonは、この検査はハワイを除く米国内、および米国から多くの海外諸国へ旅行する際に求められる要件を満たすとしている。このキットは米国医療費免税制度のFSAとHSAの対象となる。

Amazonで新型コロナウイルス検査業務を担当するバイスプレジデントのCem Sibay(ジェム・シバイ)氏は「ワクチン接種が進んではいますが、手頃な価格で信頼できる検査は感染拡大と戦うために依然として欠かせません。Amazonの検査キットは必要に応じていつでもどこでも新型コロナウイルスの検査を受けられるもので、お客様がAmazon.comに期待する利便性を提供します。この検査キットは極めて正確に短時間で結果が得られ、お客様は自信を持って安全に旅行や仕事、学校、日常生活に戻れるようになります」と述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

AIやバイオマーカーで患者のモニタリングと医療研究を進めるHuma、日立ベンチャーズなどが支援し142億円調達

世界中の多くの人々が、ワクチン接種で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が抑えられ、最終的には根絶できることを祈るような気持ちで見守る中、ウイルスの蔓延をモニタリングしてきた企業の1つが、その技術に対する強い需要を背景に、大規模な資金調達を発表した。

Humaは、バイオマーカーのデータと予測アルゴリズムを組み合わせて患者のモニタリングを行い、さらに研究者や製薬会社による臨床試験を支援している。同社はこのたび、1億ドル(約109億円)の株式発行と3000万ドル(約33億円)の融資を含むシリーズCで、1億3000万ドル(約142億円)の資金調達を完了した。後日行使できる7000万ドル(約77億円)の株式発行も追加すると、2億ドル(約219億円)まで資金を拡大できることになる。

Humaは、グルコース、血圧、酸素飽和度などを測定する診断機器からのデータに加え、患者がスマートフォンで提供するデータを収集しているが、今回の資金調達はそのデータを補強することを目的としている。測定できるバイオマーカーの種類を増やし、さらに多くの研究と試験に取り組むために、研究開発への投資を継続すること、ロンドンを拠点とし、ヨーロッパ、特に英国やドイツ語圏で好調なHumaのビジネスを、米国などの新しい地域で拡大していくことがその内容だ。

ラウンドには、世界的な製薬・ライフサイエンス企業であるBayer(バイエル)のベンチャーキャピタル部門であるLeaps by Bayer(リープスバイバイエル)と日立ベンチャーズが共同で主導、Samsung Next(サムスンネクスト)、Sony Innovation Fund by IGV(ソニーイノベーションファンド・バイアイジーブイ、ソニーの投資ファンド)、Unilever Ventures(ユニリーバベンチャーズ)、HAT Technology & Innovation Fund(ハットテクノロジー&イノベーションファンド)、Nikesh Arora(ニケシュ・アローラ、ソフトバンクの元社長でGoogleの元幹部)、Michael Diekmann(ミヒャエル・ディークマン、Allianzの会長)などの多数の戦略的・財政的に著名な支援者が参加。今後のビジネスチャンスを物語るものとなった。Bayerは2019年、まだMedopad(メドパッド)と名乗っていたHumaに対し、2500万ドル(約27億円)のシリーズBも主導している。

MedopadがHumaにリブランドしたのは2020年4月。ちょうど新型コロナウイルスのパンデミックが世界中で本格化した頃だった。それから1年、CEOかつ創業者のDan Vahdat(ダン・ヴァハダット)は、対面で直接診察するのが非常に難しい状況下、患者をリモートで監視する技術を提供する同社はさまざまな分野に懸命に取り組んでおり、成長を続けている、と話す。

関連記事:患者遠隔モニタリングのMedopadがHumaとしてリブランド

「パンデミックが発生した2020年は、健康面だけでなく、研究の面でも皆が悲惨な状況に陥りました」「いかにして治療と研究を分散させるか、がすべての基本です」。

その中には、早期からNHSと提携し、患者の酸素飽和度をモニタリングするために約100万台の酸素飽和度測定器を出荷したことも含まれている。酸素飽和度は、患者が緊急医療を必要としているかどうかを判断する有力な指標であることが早い段階から判明しており、この酸素飽和度測定器は病院が人であふれかえっていた時期に、遠隔で患者のトリアージを行うための重要な手段だった。ヴァハダット氏によると、再入院を3分の1に減らすことに直接貢献したという。

また、同社の技術は手術を予定していたにもかかわらず、延期された多くの患者のモニタリングも担う。英国だけでも480万人の患者が手術を待っているが(「衝撃的な数字です」とヴァハダット氏)、これらの患者にどのように対応すべきだろうか。自宅で心臓手術を待っている患者さんの場合、病状が急速に悪化する可能性がある。そこでHumaは、患者の状態を監視するための診断システムを構築した。病状を管理するだけではなく、状態が悪くなった兆候があれば、悪化して緊急を要するケースになる前に繰り上げて専門家の診察を受けられるようにしたのだ。

臨床分野の活動と並行して、Humaは多くの試験や研究にも取り組んでいる。その中には、緊急承認を受けて流通しているコロナワクチンの1つに関する第4フェーズ試験(承認後に行われる規制プロセス)も含まれる。

また、現在進行中の医学研究に不可欠なデータの提供も続けている。新型コロナに直接関係しないものとしては、Bayerの心臓の研究があり、新型コロナに関係するものとしては ケンブリッジ大学のフェンランド研究と呼ばれる、感染を早期に発見するための、より優れたバイオマーカー(具体的には、デジタル表現型)の研究が挙げられる。

さまざまな企業活動の成功により、HumaにはシリーズBの資金がまだ多く残されている。同社は人道的活動にも力を入れ始め、コロナ危機に瀕するインドやその他の国へのリソースの寄付も行っている。

医療とテクノロジーの架け橋となるスタートアップ企業の将来は明るいが、2020年は、公共の利益という大望を持った優れた企業に投資することがいかに重要であるかが示されただけでなく、彼らがブレークスルーを起こしたときには、企業と投資家にとって大きな意味を持つことが証明された年となった。赤字だったBioNTech(バイオンテック)は、新型コロナワクチンの研究とPfizer(ファイザー)との提携により、2020年最終四半期に10億ドル(約1100億円)以上の利益を生み出すという、まさに大転換を遂げた。

多くの投資家がHumaのような企業やHumaが提供する情報を継続的に支援することに熱心なのは、これが理由だ。

Leaps by Bayerの責任者であるJuergen Eckhardt(ユルゲン・エックハルト)氏は声明の中で次のように述べる。「Leaps by BayerのビジョンとHumaの専門知識と技術の協調は、予防と治療に関する世界的なパラダイムシフトを促進し、データとデジタル技術を使った研究活動を後押しすることになります」「私たちは、世界をより良い方向に変えるポテンシャルのある、最も画期的な技術に投資しています。Humaに初期段階から投資してきた私たちは、Humaがヘルスケアとライフサイエンスにおける主要なデジタルイノベーターの1つとして、どれだけ理想的であるかを理解しています」。

日立製作所の執行役副社長、小島啓二氏も次のように続けた。「Humaは、包括的な遠隔患者モニタリングプラットフォームを構築し、優れた実績を確立しています。私たちは、Humaと協力して、同社の世界最先端の健康技術をアジアの新しい市場に提供できることを非常にうれしく思います。ともに新しいデジタルヘルス製品を進化させ、世界中の人のための優れた医療と研究をパワフルに後押しできると信じています」。

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グーグルのアップデートで新型コロナワクチン接種記録と検査結果をAndroid端末に保存

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

グーグルのアップデートで新型コロナワクチン接種記録と検査結果をAndroid端末に保存

Googleは、新型コロナウイルスの検査結果とワクチンカードをAndroidデバイスにデジタルで保存できるようにしている。米国時間7月1日の発表で、同社は現在、Passes APIをアップデートしており、それによりヘルスケア団体や政府機関、および公衆衛生当局が認可しているその他の団体のデベロッパーは、検査やワクチンカードの情報のデジタルバージョンを作成し、それをユーザーのデバイスに直接保存できるようになる。Passes APIは通常、搭乗券やポイントカード、ギフトカード、チケットなどをユーザーのGoogle Payウォレットに保存するために使われている。ただし今回の場合では、Google Payアプリは要らない。

Google Payアプリのない人は新型コロナウイルスカードのデジタル版をデバイスに直接保存可能で、ホーム画面のショートカットからアクセスできる。Googleにカードのコピーはないので、複数のデバイスに新型コロナウイルスのカードを保存する必要のある人は、ヘルスケアプロバイダーなどのアプリからそれぞれにダウンロードしなければならない。

カードの上部にはヘルスケアプロバイダーのロゴや名前があり、その下に本人の名前と誕生日、そしてワクチンのメーカーや接種または検査した日付などの情報がある。Googleが提供している文書によると、ヘルスケアプロバイダーや関連団体は、カードをメールやテキストメッセージ、モバイルのウェブサイト、アプリなどからダウンロードできることをユーザーに伝えてもよい。

事例写真でGoogleは、ロサンゼルス郡で患者管理サービスを提供しているHealthvanaの新型コロナウイルスワクチンカードを例示している。ただしこの新しい技術に関心があったり採用する計画のあるヘルスケアプロバイダーの案内はない。この件でGoogleに問い合わせると、すでに大手のパートナーや州からの利用申し込みはあるが、現時点ではその名前を公表する許可がないという。数週間後に、いくつかの名前が公表されるようだ。

Passes APIが更新されても、Androidのユーザー自身が新型コロナウイルスのワクチンカードのデジタル版を作れるわけではない。これまで多くの人が、バックアップの手段としてカードの写真を撮ったり、良くない例としてカードをラミネートしていた。2回目以降の接種でもカードが必要なので、ラミネートはしない方が良い。

APIの更新では、デベロッパーが自分のシステムにある新型コロナウイルスの検査や予防接種のデータを、Androidデバイス上のローカルなデジタルカードにエクスポートするツールを作れるようになる。なるべく広く使われているデジタルカードを選んで採用することが、デベロッパーの仕事になる。

この機能の利用には、Androidのバージョンが5以上、そしてデバイスがGoogleの真正のアプリを使っていることを証明するライセンスプログラムであるPlay Protectの証明が必要だ。ユーザーはまた、セキュリティを確保するために、画面をロック画面にセットする必要がある。

Googleによると、APIのアップデートは米国に始まり、その後、他の国でも行われる。

ワクチンカードのデジタル化では、米国は他の国に後れを取っている。今日では、個人のワクチン接種状態や検査結果、発病後の回復状態などを示すEUの新型コロナウイルス証明書が使われている。そのEUDCCと呼ばれる証明はすべてのEU加盟国が認識し、国境を越える旅を可能にする。またイスラエルは2021年の初めにワクチンパスポートというものを発行して、予防接種が要件となっている場所で提示する「通行証」を提供している。日本も、海外旅行用のワクチンパスポートを2021年7月中に発行するようだ。

米国では、ごく一部の州がワクチン証明アプリを提供している。その他の多くの州は、ワクチンパスポートそのものを否定したり、それが政治問題になっているので不採用を検討している。

Googleのデジタルワクチンカードもこんな状況を反映して、紙のカードのデジタルコピーだ。政府のその他の計画との連係はなく、「ワクチンパスポート」でもない。

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画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

EUが新型コロナ「デジタル証明書」を本格運用、ワクチン接種や検査陰性を証明

共通のクレデンシャルで個人の新型コロナウイルス関係のステータスを認証する、欧州連合(EU)のデジタル証明書システムの運用が予定通り現地時間7月1日に始まった。

欧州委員会によると、ほぼすべてのEU加盟国がデジタル証明書を発行・認証することができるようになり、欧州経済域のひと握りの国だけがまだ保留中だとウェブサイトにはある。

多くの国がこれより前に証明書発行を開始した。当局は6週間の移行期間を認めている。

欧州委員会は、2億件超の証明書がすでに発行された、と述べた。

証明書発行の案が公になり始めた2021年1月以来、いくつかの名称が浮上した「EUデジタル新型コロナ証明書」は、標準化され世界的にも受け入れられる証明書を提供することで欧州域内における国境をまたぐ移動を促進するのが狙いだ。

EU市民は、証明書がなくても自由に移動する権利をまだ有しているが、共通のクレデンシャルの導入は、証明書保持者に対し隔離といった新型コロナ関連の規制を免除するなど、域内での移動を促進するのに役立つ。

証明書は、承認された新型コロナのワクチンを接種したEU加盟国内の市民、以前新型コロナに感染した人(ゆえに抗体を持っている人)、あるいは最近の新型コロナ検査で陰性だった人に発行される。

「デジタル」証明書と呼ばれているが、紙バージョンの発行も可能だ。デジタル版と同じく、スキャンできるQRコードが記載される。なので旅行しやすいよう証明書を携帯するためにモバイルデバイスを持っている必要はない。

証明書は無料で発行される。

欧州委員会は以前、デジタル証明書の認証プロセスで個人情報が「交換されたり保持されたり」することはない、と述べていた。認証のためのシグネチャーキーは国レベルのサーバーに保存され、証明書がスキャンされたときに一元化されたゲートウェーを介してアクセスされるだけだ。

デジタル証明書に関するEU規則では、加盟国は公衆衛生を守るために「必要かつ見合っている」ステップでない限り、追加の移動規制を証明書保持者に適用することを控えなければならない、と規定している。

規則は1年で失効する。

EUデジタル新型コロナ証明書システムについての詳しい情報はここで確認できる。

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

Googleが新型コロナ「デジタルパス」をAndroid標準機能としてサポート、「Google Pay」で接種情報表示可能に

Googleが新型コロナ「デジタルパス」をAndroid標準機能としてサポート、「Google Pay」で接種情報表示可能に

Google

Googleは6月30日(現地時間)、Android端末上で新型コロナウイルスのワクチン接種証明書を保存・表示が可能になったと発表しました。まずは米国で提供され、今後他の国でも提供予定です。

海外では、ワクチン接種を条件にマスクの非着用や経済活動の再開などの規制緩和も行われていますが、そこで問題となるのがワクチンを接種したという証明です。

紙の証明書が発行される場合も、常にそれを持ち歩かなければいけないというのがデメリット。一部では専用アプリ、いわゆるワクチンパスポートなどを利用するケースもありますが、個人情報を含めプライバシーの問題も懸念されています。

このため、AppleはiOSで利用できるワクチンパスポートアプリを、公的な保健医療機関に認められた組織またはその組織と提携する開発者に限定しています。

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これに対してGoogleは、OSの標準機能としてサポートする形となりました。Google Payで会員カードなどを表示するのに使われるPasses APIをアップデートして対応します。ワクチン接種の情報はクラウドには保存されず、端末内にのみ保存されます。

自分が所有する複数デバイスへの保存も可能ですが、同期はされないため、各デバイスで手動で保存する必要があります。なお、当然ながら、この情報をサードパーティと共有したり、ターゲッティング広告に利用することはないとしています。

これを利用するには、当然ながら医療機関等の情報提供側でも対応が必要です。情報提供側がWeb上に公開しているワクチン接種情報の仕組みをAPIに対応させると、その情報を端末上に保存可能になります。

この機能はセキュリティの観点から、利用できるのはAndroid 5.0以上でPlay Protect認定を受けている必要があり、加えてパスワードやPIN、生体認証などの登録が必要です。なお、Google Payアプリのインストールは必須ではないとのことです。

ちなみに、日本でのワクチン接種証明書は、現在議論が進められており、7月の中旬から下旬を目途に、まずは書面での交付が開始される予定。将来的にはアプリの利用も検討されています。

iPhoneユーザーはどうするのかという問題はありますが、接触確認アプリの場合と同様、AppleとGoogleで歩調を合わせて、利便性の高い仕組みを提供してほしいところです。

(Source:GoogleEngadget日本版より転載)

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