カリフォルニア工科大学がアップルとブロードコムから特許侵害訴訟で1200億円勝ち取る

数年に渡る法廷闘争を経て、裁判所はApple(アップル)とBroadcom(ブロードコム)に、カリフォルニア工科大学に対する特許侵害に関する総額11億ドル(約1200億円)の支払いを命じた。Bloomberg(ブルームバーグ)が報じた。報道によるとアップルは8億3780万ドル(約868億円)、ブロードコムは2億7020万ドル(約293億円)の罰金をそれぞれ課せられた。

アップルはここ数年、ワイヤレスチップセットの技術を巡る訴訟に悩まされている。昨年同社は、Qualcomm(クアルコム)とのロイヤルティー支払いに関する長年にわたる訴訟で和解に達した。

関連記事:アップルがクアルコムと和解、6年間のライセンス契約で合意

カリフォルニア工科大学の訴訟は、2016年ロサンゼルス連邦裁判所に提出され、ブロードコム製Wi-Fiチップを搭載したアップル製品数億台が、同校の特許を侵害していると主張した。ブロードコムは、iPhoneを含むさまざまなアップル製品にワイレスチップを供給している。

「アップルとブロードコムよる本校の特許侵害を陪審が認めたことを喜んでいる」とカリフォルニア工科大学が声明で述べた。「本校は非営利の高等教育団体として、人間の知識を拡大するミッションと教育と一融合した研究を通じた社会貢献のために、知的財産を保護することに全力を尽くす所存だ」。

ブルームバーグによると、これは特許関連で史上6番目に大きい判決だという。当然のことながら、アップルとブロードコムは裁定を不服として控訴すると表明している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米国特許登録は2019年に過去最高の33万3530件を記録、FAANGではなくIBM、Samsungが他をリード

巨大IT企業が、知的財産権の侵害をめぐって法廷で争っているというニュースが毎日のように駆け巡るような状況は一段落したかもしれない。とはいえ、特許というものは、企業や人々の進歩を測る指標となるものであり、将来の収益につながることを期待して、自分たちの仕事を守るための堀を築く重要な礎石となるものでもある。米国の特許活動を追跡調査している企業、IFI Claimsは、米国時間1月14日、知的財産に関する実績の年間集計を発表し、その意義を再確認した。それによれば、2019年には、米国特許商標庁によって認可された特許の件数は、33万3530件という最高記録を達成した。

画像クレジット:Bill Oxford/Getty Images

この数字は、いくつかの点で注目に値する。1つは、これまでに1年間で取得された最多の特許であったということ。そしてもう1つは、この数字は前年に比べて15%も増加しているということだ。全体の数が多いことは、知的財産の保護に対する関心が、依然として高いことを示している。また、15%の増加は、実は一昨年の特許の取得数が、その前年から3.5%ほど減少していたのと無関係ではない。ただし、その年も、出願されて未認可だった特許の数は、それまでで最多だった。そこから言えるのは、出願人と米国特許商標庁の両方が、出願とその処理に少し余計に時間がかかっていたのかもしれないということ。特許の出願数そのものが減っていたわけではなさそうだ。

しかし特許の件数だけでは、別の非常に重要な点を見逃してしまう可能性があり、全体像は見えてこない。というのも、世界で最も金銭的な価値が高く、最も知名度の高いハイテク企業が、特許の出願に関しては、常に最高ランクに位置しているわけではないからだ。

一般にFAANGグループと呼ばれる、Facebook、Apple、Amazon、Netflix、Googleを見てみよう。Facebookが昨年取得した特許は989件で36位だった。伸び率は高いが、まだトップ10には届いていない。同期間にAppleは2490件の特許を取得し、7位につけている。Amazonは2427件で9位だ。Netflixはトップ50にも入っていない。そして、Android、検索、広告の巨人Googleは、2102件の特許を取得しているが、15位に甘んじている。伸び率についても目立ったものはない。それを考えると、IT企業としては最古参のIBMが、最多の特許を取得しているという事実は、なんだか皮肉のようにも思える。

IBMは、例年どおり(正確に言えば27年間連続で)年間最多の特許を取得した。昨年の件数は合計9262件だ。Samsung Electronic(サムスン電子)が6469件で、大きく離された2位だった。

繰り返しになるが、こうした数字だけで、すべてを物語ることはできない。IFI Claimsによれば、子会社を含むいくつかの部門にまたがって出願された、すべての有効な「特許ファミリー」を考慮し、昨年1年だけでなく、歴代のすべての特許をカウントすると、サムスンが1位にランクされるという。そうした特許ファミリーの数では、サムスンは7万6638件となり、IBMは3万7304件で、遠くおよばない2位となる。

そのような数字も、ビジネスの範囲を考慮すると理解しやすいだろう。Samsungは、消費者向けにも企業向けにも、幅広い分野の製品を製造している。一方のIBMは、数年前に消費者向けの市場から基本的に撤退し、最近では主にエンタープライズとB2Bに焦点を合わせている。またハードウェアの比率もはるかに小さい。つまり、そのような種類の研究開発と、そこから生じる特許ファミリーに関して、ずっと低いプライオリティしか置いていないというわけだ。

注目に価する他の2つの領域は、伸び率の高い会社と技術のトレンドだ。

前者としては、自動車会社がトップに挙げられるという事実は、非常に興味深い。韓国の自動車メーカーKiaは、58位上昇して、41位(921件)にランクインした。車は次世代の「ハードウェア」であり、コネクテッドカーや自動運転車、そしてそれらを駆動する代替エネルギーといった、非常に刺激的な時代に入ることを考えると、象徴的のように思える。

大きく順位を上げた他の企業としては、28位上昇して48位(794件)となったHewlett Packard Enterprise(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)、22位上がって36位(989件)となったFacebook、9位上がって25位(1268件)のMicron Technology(マイクロン)、6位上げて10位(2418件)のHuawei(ファーウェイ)、4位上げて13位(2177件)となったBOE Technology、3位上がって4位(3081件)を獲得したMicrosoft(マイクロソフト)などがある。

技術のトレンドに関しては、IFIはこの5年間を視野に入れている。現状では、医療およびバイオテクノロジーの革新に、一連の力強い流れがある。まず、ハイブリッドプラントの建造が、その流れの筆頭にあり、遺伝子編集技術CRISPRが続く。さらに、がん治療を代表とする医薬製剤が続いている。コンピュータープロセッサーという意味での「IT技術」としては、ようやく4番目に挙げられていて、それもダッシュボードや、その他の自動車関連技術としてだ。また、量子計算機、3Dプリンター、飛行車両技術なども挙げられている。

もはや、モバイル、インターネット、コンピューターそのものといった技術革新が停滞期に入ってしまったのではないかと疑う人も、その考えが正しいことを証明するために、リストをこれ以上確認する必要はないだろう。


IFI Claimsが挙げる10の急成長技術分野

意外なことではないが、米国企業が、2019年に認可された米国特許の49%を占め、前年の46%から増加している。それに続く2番目は日本の16%で、韓国の7%(その大部分はSamsung占めていると思われる)が続く。そして中国が5%を占め、ドイツを抜いて4位に入った。

  1. International Business Machines Corp 9262
  2. Samsung Electronics Co Ltd 6469
  3. Canon Inc(キヤノン) 3548
  4. Microsoft Technology Licensing LLC 3081
  5. Intel Corp 3020
  6. LG Electronics Inc 2805
  7. Apple Inc 2490
  8. Ford Global Technologies LLC 2468
  9. Amazon Technologies Inc 2427
  10. Huawei Technologies Co Ltd 2418
  11. Qualcomm Inc 2348
  12. Taiwan Semiconductor Manufacturing Co TSMC Ltd 2331
  13. BOE Technology Group Co Ltd 2177
  14. Sony Corp(ソニー) 2142
  15. Google LLC 2102
  16. Toyota Motor Corp(トヨタ自動車) 2034
  17. Samsung Display Co Ltd 1946
  18. General Electric Co 1818
  19. Telefonaktiebolaget LM Ericsson AB 1607
  20. Hyundai Motor Co 1504
  21. Panasonic Intellectual Property Management Co Ltd(パナソニック) 1387
  22. Boeing Co 1383
  23. Seiko Epson Corp(セイコーエプソン) 1345
  24. GM Global Technology Operations LLC 1285
  25. Micron Technology Inc 1268
  26. United Technologies Corp 1252
  27. Mitsubishi Electric Corp(三菱電機) 1244
  28. Toshiba Corp(東芝) 1170
  29. AT&T Intellectual Property I LP 1158
  30. Robert Bosch GmbH 1107
  31. Honda Motor Co Ltd(ホンダ技研工業) 1080
  32. Denso Corp(デンソー) 1052
  33. Cisco Technology Inc 1050
  34. Halliburton Energy Services Inc 1020
  35. Fujitsu Ltd(富士通) 1008
  36. Facebook Inc 989
  37. Ricoh Co Ltd(リコー) 980
  38. Koninklijke Philips NV 973
  39. EMC IP Holding Co LLC 926
  40. NEC Corp(日本電気) 923
  41. Kia Motors Corp 921
  42. Texas Instruments Inc 894
  43. LG Display Co Ltd 865
  44. Oracle International Corp 847
  45. Murata Manufacturing Co Ltd(村田製作所) 842
  46. Sharp Corp(シャープ) 819
  47. SK Hynix Inc 798
  48. Hewlett Packard Enterprise Development LP 794
  49. Fujifilm Corp(富士フィルム) 791
  50. LG Chem Ltd 791

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Appleがサーモグラフィーで本人確認するApple Watch用ベルトの特許を取得

Apple(アップル)はApple Watchのベルトをもっとスマートにする方法を研究しているらしい。

PatentlyAppleによると、米国時間9月3日午前、同社のいくつかの特許が承認された。いずれもベルトを使って新しい仕組みをApple Watchに持ち込むものだった。

apple watch wrist 2

1つ目の特許は、Apple Watchまたはベルトに組み込まれたセンサーが、赤外線を使って手首のサーマル画像を作成し、肌の質感や体毛などの特徴を識別することで、誰が使っているかを特定する。指紋に似ているが、代わりに手首を使う。

他の多くのAppleデバイスと異なり、Apple Watchはアンロックに生体認証を利用していない。Touch IDのための指紋センサーもFace IDのためのカメラもない。Apple Watchをアンロックするには、小さな画面に暗証番号を打ち込む必要がある(設定によってはiPhoneをアンロックすればウォッチもアンロックされる)。このセンサーを使えば、iPhoneをアンロックしなくてもウォッチを自動的にアンロックできる。

apple watch band

2つ目の特許は、長さを自動的に調節する時計ベルトだ。Nikeの自動ひも締めシューズの腕時計バージョンだと思えばいい。走っている時、ウォッチがずれたことが検知されると(上で述べたサーマルセンサーが変化を感じた時も)、命令を受けた内蔵テンショナーがベルトを締めたり緩めたりする。

apple watch meters

そして3つ目の特許は、時計ベルトに内蔵されたライト・インジケーターで、メールの着信や一定の距離を走った後、カレンダーの予定が近づいた時などにベルトが光って通知する。いずれもウォッチの画面ではすでに出来ていることだが、画面をオンにすることなく見ることができる。

apple watch meters

例によって、特許が承認されたからといって、すべての機能が製品化されるわけではない。AppleのR&D部門が何かいいアイデアを見つけたものを会社が権利を確保しただけだ。

これまでApple Watchのベルトは比較的シンプルで交換しやすくさまざまな材質で作られていて、電子的な部分はウォッチ本体がすべて受け持ってきた。センサーやインジケーターをベルトに組み込むと、そのシンプルさが損なわれることになる。ユーザーは、自分にいちばん似合ったベルトを買うか、派手なインジケーターライトのついたものにするかを決めなくてはならない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転車が加速する知的財産保護の改革

1900年代初頭の社会は、馬車から自動車への移行に苦心していた。今日ではおかしなことに思えるかもしれないが、「通行の優先権」や速度制限、交通標識や信号などの概念がなかった時代があったのだ。こうした規則は、車が馬車に出合ったとき、馬を驚かせて暴走させたり、辛うじて「道路」と呼べるような砂利道をお互いに逸れて、馬の助けを借りなければ抜け出せなくなるような事態を避けるために、考え出されなければならなかった。

100年ほど早送りしてみよう。Quo Vadisはラテン語で「汝はいずこへ」という意味。これは、現代の自動車によって可能になった、どこにでも自由に行ける生活様式を表すのにふさわしいフレーズだろう。行きたいときに、行きたいところへ、行きたい人といっしょに行ける。フォレストガンプに触発された田舎道のドライブに、化石燃料車で出かけたり、深夜に軽く空腹を満たすために、EVで町中を流す。まったくモバイルな社会になったものだ。

しかし、注意散漫だったり、運転が下手なドライバーで溢れた通りや高速道路は、「オートピア」を「ディスオートピア」に変えてしまった。人工知能によって可能になるはずの、すばらしい自動運転車の世界を想像してみよう。自分で運転することなく、運転によるすべての恩恵が受けられるのだ。車は、自分の行き先に自分自身で完璧にガイドし、渋滞を緩和し、交通量を増加させ、道路の利用率を最適化する。さらにすばらしいのは、あなたがラテをすすりながらTEDトークを観てリラックスしていても、車は勝手に目的地に向かってくれる。

いや、そうじゃない。現在の技術水準では、さまざまな運転状況に対して、せいぜい高いパーセンテージで対応できる、というくらいであって、例外なく、というわけにはいかない。きわどい状況など、5〜10パーセントのケースでは、まだ人間の介入が必要となる。たとえば、道路にできた穴を緊急に補修している作業員に出くわしたとき、どうしたらよいのかわからない、といったケースは、まだかわいいものだろう。もっとマキャヴェリズム的な例を挙げれば、全方向が一時停止の交差点で、停止中の自動運転車に、人間が運転する車が90度の方向から向かってきた場合が考えられる。AI自動車は乗員を危険にさらさない、ということを知っていて、人間の運転者は前後の車との車間距離を保ったまま徐行して近づき、うまくAI車の動きを止めさせて、人間が運転する車の列がゆっくり途切れることなく永久に通り続ける、ということも、ラッシュアワーには起こり得る。

いずれの場合でも、人間(あるいは遠隔の操縦者)なら簡単に運転を引き継ぎ、交通整理の手信号に従うか、人間の運転する車を牽制することで、交差点を通過できるだろう。しかし、高速道路上で人間による介入が必要になった場合はどうだろう。たとえば、先に通ったトラックが落とした土砂が、車線を区切る白線を覆い隠してしまったら? 自動運転車は、コンクリートの壁に向かってハンドルを切り始めてしまうかもしれない。その場合、人間の運転者が、即座に運転を代わることが唯一の望みとなる。もしその頼りの人間がビデオを見ていたとしたら、顔を上げたときには、金属やガラスの破片の嵐の中、すべてが暗転することに…

大きな懸念は、現在の特許関連の法律ではAIシステムを保護するのに不十分であるということ

人工知能、というのは人間のように思考することを暗示する魅惑的な言葉だ。よくある映画のキャラクタのように、まるで人間のように話し、やりとりすることができるものと思われがちだ。しかしAIは、もう少し正確に言えば「機械学習」のこと。今日の機械学習は、世界と対話し、矯正のための入力を受け取ることによって、人間の知性を再現しようとしている。子供を褒めたり叱ったりすることによって、良いことと悪い事の区別を教えるのとほとんど同じように、今日のAIの機械学習は、似たような二者択一の矯正によるものとなっている。掲示されている30ではなく、35mphで走行すれば、それが誤った行動であるというフィードバックがあり、それを処理することで、AIはMapleストリートを30mphを超える速度で走ってはいけない、ということを「知る」。また、今はラッシュアワーだから、Mapleは西向きの一方通行になり、西に進む場合には全3車線のどこを通ってもいいということを知ることもできる。

何千ではないにしても、すでに何百というテスト車両が、人間が運転する車やトラックと道路を共有している。そうして何百万マイルも走行することで、経験豊かなドライバーと同じような、少なくともそれにできるだけ近い知識が得られるように学習する。そうすれば、道路工事の交通整理に従ったり、車間を詰めて運転するドライバーに対処したりできるほどの信頼を勝ち取ることができる。特許に記載されている技術の場合、新規参入者が追いつくことが可能だ(もちろん、特許使用料を払うか、その特許を回避する設計ができればの話だが)。今日の機械学習には時間と経験が避けられない。それとも、それをバイパスすることができるのだろうか?

大きな懸念は、現在の特許関連の法律では、AIシステムを保護するのに不十分であるということたとえば、機械学習のトレーニングセットや、プログラマが書いたソースコードの特定の表現など、データの編集結果を、特許で保護することはできない。さらに、機械学習プロセスと、その基礎となるアルゴリズムの反復的で漸進的な進化を考えると、特許の認可に必要とされるほど正確かつ細密に、AIシステムの手法と機能を記述すること自体、困難なものになり得る。

そして、誰による発明か、ということも問題になる。AIの自己学習プロセスが意味するのは、発明の主体がAI自身によって自律的に開発される可能性があるということ。もし、その結果に特許性があるとしても、HALを発明者として挙げるべきなのだろうか? これは法律だけでは解決できない領域であり、議会による決議を必要とする問題だろう。現実的な問題もある。この分野は急速に進化しているので、出願から取得までの手続きに何年もかかる特許では、最終的に認可されたとしても、それが有効となる前に無用のものとなったり、時代遅れになったりしかねないということだ。

こうした懸念もあるので、ほとんどの自動運転車(およびAI)の開発者は、知的財産を保護するために企業秘密保護法に頼っている。しかし、これはこの分野に新たに参入しようとする企業にとって、重大な技術的ハードルとなっている。もし、AI開発者が自らの技術を特許化していれば、必要となる情報は公開されていることになるが、そうでなければ、競合他社は基本的にゼロから始める必要がある。これは非常に不利な状況だ。もし市場に参入する競合が少なければ、消費者の選択肢もそれだけ少なくなるのは間違いない。

企業秘密保護に頼る開発には、数え切れないほどの難点がある。中でも深刻なのは、競合他社が熟練した従業員を引き抜き、学習済のデータも不正に入手しようとすることだ。それによって何百万マイルも必要な学習プロセスをバイパスすることができる。保護を徹底し、このような不正行為にも対処できるようにするためには、企業秘密を厳重に管理しておく必要がある。その結果、「知る必要がある」人だけが限定的に情報を扱えるような、厄介なセキュリティ対策が不可欠となる。

こうした状況は、馬が車を引いていた時代からの移行を容易にするために、道路、標識、信号機などの規則を開発しなければならなかったことを思い起こさせる。それと同じように、現在の知的財産保護の概念は、自動走行車への移行を可能にするための新たなコンセプトの創出までは必要ないとしても、少なくとも進化させる必要があるだろう。もう少し見守ってみよう。そして魅力的なドライブに備えて、シートベルトの着用をお忘れなく。

画像クレジット:mato181Shutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Lyftは自動運転車と歩行者のコミュニケーションをどのように想定しているのか

自動運転車が人間とどのように対話し、コミュニケーションをとるのかについての疑問は、以前から出されているものだ。だがその答はまだ定まらないままである。Googleは2012年以来これを検討し続けているし、今年初めにはUberは歩行者に知らせるために、点滅する光と音を使用する特許を申請した。そして今度は、米国特許商標庁がLyftに対して、自動運転車通知システムと言われているものに関する1つの特許を許諾した

Lyft’のソリューションは、車の最も目立つウィンドウ上に表示するメッセージを事前に準備するというものである。例として、各ウィンドウ用のプロジェクターを用意したり、シースルースクリーンを使ったり、他の表示デバイスを使ってメッセージを伝えたりする。

「…これらの自律的に提供されるサービスを、自律性と人間の操作が混在した環境に統合することには、多くの困難が伴う」と特許出願書には記載されている。「運転手と歩行者は、ある種のやり方でやり取りをすることに慣れているため、運転手を車両から取り除いてしまうと不確実性とコミュニケーションの欠如につながる可能性がある」。

下の図では、Lyftが車の到着を待つ乗客はもちろん、他の車両や自転車乗りとのコミュニケーションをどのように想定しているのかを見ることができる。

  1. slide01

  2. slide02

  3. slide03

既に述べたように、自動運転車と外側の世界との対話手段を検討している会社はLyftだけではない。例えば、スタートアップDrive.aiは、テキストや図を使ってコミュニケーションを行うLED表示装置を利用する。

一方Fordは最近、意図を伝えるための自動運転車両言語の業界標準策定を呼びかけた。

「私たちは全てのひとに自動運転車を信用して欲しいのです。ここで言う全てのひととは、自動運転車両の乗客、歩行者、サイクリスト、スクーター利用者、道路を共用する他の運転手たちを含みます」と10月にMediumに投稿したのは、Ford社の”Human Factors Technical Specialist for Self-Driving Vehicles”(自動運転車のためのヒューマンファクター技術スペシャリスト)であるJohn Shutkoである。「自動運転技術の普及を成功させるためには、様々な場所や年代にまたがるグループの人たちが、1つの汎用コミュニケーションインターフェイスを持つことが肝心だ」。

Lyftは2017年7月に自動運転車部門を初めて立ち上げた。それ以降、Lyftは自動車業界のティア1サプライヤーMagnaと自動運転技術で提携しただけでなく、Drive.aiとも提携を行っている。Magnaはまた、株式交換によってLyftに対して2億ドルを投資している。

はっきりさせておきたいことは、特許が常に製品実装に反映されるとは限らないという点である。Lyftに対してコメントを求めた。何らかの回答があった場合には記事を更新する。

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(翻訳:sako)

特許出願の前に先行技術を調べるためのデータベースをMIT/Google/Cisco/米特許局などが共同ローンチ

パテントのシステムは破綻している。破綻の様相は実際に、いろんなやり方でリストアップできる。それらのリストの中には、先行技術(prior art)をめぐる問題も必ずあるだろう。そこで、著名な企業や団体から成るチームが協力して、先行技術を調べるためのデータベースPrior Art Archiveを作ろうとしている。

このデータベースのためのコラボレーションに加わったのは、MITのMedia Lab(メディアラボ), Google, Cisco, そして米政府のPatent and Trademark Office(特許商標局, PTO)だ。とくにPTOにとって、利用価値が大きいだろう。このアーカイブはMITがホストし、特許を出願しようとする者は、先行技術の例やそのほかの参考技術情報に容易にアクセスできる。

“パテントを審査するプロセスは、古い、または自明の技術に対してパテントが発行されることを防ぐものでなければならない”、とMITは書いている。“しかし残念ながら、それが古い技術だからといって、検査官が容易に見つけることができるとは限らない。とくにコンピューターの分野では、多くの先行技術が古いマニュアルやドキュメンテーション、Webサイトなどに拡散しており、今日までそれらは、総合的な検索がほぼ不可能だった”。

Googleもこのアーカイブにおける自己の役割…主に検索…についてブログ記事に詳説している。Googleは、検索のためのAIとML技術も、特製して提供している。同社曰く、“この目的のために最近、オープンなエコシステムGoogle Patents Public Datasetsを作った。それは、一般向けの公共政策や、経済、機械学習の研究などの分野が大きなデータベースにアクセスできるようにするためだ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Uber、アプリで酔っ払い乗客を識別する特許を申請

Uberの登場は、多くの人の交通に対する考え方に変化をもたらし、そして酔っ払った人が夜帰宅する方法も変えた。手当たり次第タクシーを大声で呼び止めたり、酔った状態で車を運転したりするより、Uberを使った方がかなり安全にA地点からB地点へと移動できる。

Uberは酔っ払いのユーザーに非常に関心を持ち続けていたようだ。機械学習を使って乗客の“状態”を判断するシステムの特許を米国特許商標庁に申請した。

特許そのものは“ユーザーの状態”という不毛の議論に限定される一方で、Uberの本当の関心は、素面の人と酒が入っている人との違いを感知することにある。

この特許についてはCNNが最初に報道したが、位置情報、入力の精度やスピード、操作状況、端末を持つ角度、そして歩くスピードといったデータを使って、正常な行動と比較しながらユーザーの行動を見極める手法、と形容している。

この特許にはまた、乗客の状態をドライバーに知らせるシステムも含まれていて、理論的にはこのシステムによりドライバーは、厄介な客かもしれないと心の準備をしておくことができる。

また特許では、かなり酔った客には特別な訓練を受けたドライバーまたは専門のドライバーをあてたり、あるいは乗車サービスそのものを提供しないこともあるとしている。

多くの場合において、酔っ払った人が帰宅するのにUberを呼ぶのが最も安全な方法の一つだ。一方で、Uberでは、ドライバーが乗客に性的暴行を加えるという事件もあった。CNNは、過去4年間に米国で少なくとも103人のUberドライバーが乗客に性的暴行または暴力を加えたとして告発された、としている。警察の発表では、それらのほとんどのケースで乗客は酔わされたり、乗車する前に飲酒していたという指摘はない。

乗客が酔っているかどうかをドライバーに知らせるというのは、どうしようもない客を乗せてあちこち走らされるということからドライバーを救うことになる。あるいは、往々にして料金の争いにつながる、車内での嘔吐などをあらかじめ回避することにもつながる。しかし、特許にあるこのシステムでは、タチの悪いドライバーに略奪行為を許してしまうことにもなる。

また、酔っているかどうかをUberに把握されるというのは広範に関係してくる。ユーザーデータに関してUberは信頼される存在ではない。 Uberは“God View”を使って客の行動を監視していたとして2万ドルを支払わなければならず、また大量のデータ漏えいについての口止め料を支払っていたともされる。

もちろん、企業が出願した特許が最終的に商品化されるのはごくわずかだ。乗客を監視するという今回のUberのアイデアがアプリ内にとどまるのかどうかは今後明らかになる。

イメージクレジット:Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Google、中国Tencentと特許権クロスライセンスに調印

Googleからまた中国関連のニュースが出た。Googleは中国のテクノロジーの巨人、Tencent(騰訊)と特許に関するクロスライセンス契約を結んだことを発表した。

契約の詳細は明かされていないがTencentは時価総額5000億ドルの巨大企業であり、Googleではこの契約は「広汎なプロダクトとテクノロジーが含まれる長期的なもの」としている。両社は今後もイノベーションとテクノロジーに関して協力していくことを約束した。

Googleの特許部門の責任者、Mike Leeは「われわれはTencentと特許に関するクロスライセンス契約を結んだことを報告する。両社がこのような協力で合意できたことは喜ばしい。このような協力によりテクノロジー企業はユーザーのためのプロダクトとサービスの改良に努力を集中することができる」と声明で述べた。

Googleの主要事業である検索サービスは中国で依然としてブロックされているが、Googleはそれ以外の分野で中国との関係を深める一連の行動を取ってきた。昨年12月にGoogleは北京にAIラボを開設している。Googleが最初にこのような施設を中国に設けたのは、 深センの施設だが、最近ではスポーツ・ストリーミングの Chushou(触手)に投資している。

Tencent側にとっても今回の契約はグローバル企業に発展する上で重要なステップとなる。同社は長く中国最大の企業の一つであり、巨大かつ高収益のゲーム・ビジネス、圧倒的な規模のWeChatサービスなどをベースに、昨年は世界的な存在に向けてSnapTeslaSpotifyなどに大型の投資を行っている。

画像:Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

2017年の特許取得数のトップはまたしてもIBMだった、Facebookがベスト50に初めて登場

特許は、一部の企業の利益のための濫用(と誤用)が元となって、謂(いわ)れのない非難を受けるときもあるが、それでもなお、あるテクノロジー企業がどれほどR&Dで先行し、イノベーションを推し進めているかを知るための指標となる。そうした先進性の指標の1つとして、特許分析会社のIFI Claimsが、2017年に最も多くの米国特許を取得した企業のリストを発表した。

リストの最上位に載ったのは、再びIBMである。これは25年連続のことである。同社は2017年に9043件の特許を取得したが、それは2016年に取得した数を1000件上回り、2位に付けているSamsung Electronicsよりもおよそ3300件多い数字である。

上位10社として3位以下に続くのは、Canon、Intel Corp、LG Electronics Inc、Qualcomm Inc、Google、Microsoft、Taiwan Semiconductor Manufacturing Co (TSMC)、そしてSamsung Displayである。

IFIによれば、生産台数という意味で世界最大手の携帯電話メーカーであり、巨大なテクノロジー会社であるSamsungは、関連会社の特許全てを合わせると、IBMにあと150というところまで肉薄している(トップ1000には3つ入っているが、それはここで見ることができる)。

もちろん、特許はその会社の命運と直接関係している訳ではない。なぜなら特許が取得された、イノベーションの最先端にある技術は、おそらくこれまでに商品の世界では目にしことがないようなものだからだ。

そして実際、世界で最もリッチで最も利益を挙げているテクノロジー企業の1つであるAppleは、トップ10には入っていない。昨年のAppleは11位にとどまり、2229件の特許を獲得した。もう1つのテクノロジーの巨人Amazon――eコマース、ロジスティクス、クラウドサービス、そして近年は音声AIイノベーションでのリーダーシップで主要なブランドとして認知されている――は順位を1つ上げて13位となり、1963件の特許を取得している。

以下にトップ20を示した。

IFI Claimsの報告書はまた、技術という面に関して、広く世界で最も大きな話題(あるいはVC資金調達または販売)を集めたテーマが、必ずしも特許を最も獲得している、あるいは最も成長しているトップ技術と同じであるとは限らないことを強調している。

アナリストによると、特許の伸び率という意味では、2017年のトップテクノロジーは、電子タバコ関連で、45パーセントの伸びを示した。それに続いているのは3Dプリントで(GEがそのほとんどの特許を押さえている)、その次が人工知能に関連した対になったテクノロジーの、機械学習と自動運転車だ。IBMはこれらのそれぞれに最大数の特許を出願した。他の急速に成長している分野としては、飛行ドローンとフードテックが挙げられる。

出願された特許のうち、最も人気のある分野は、「電子デジタルデータ処理」の一般的な領域が最も多く、合計で4万8935件が取得されている。このカテゴリは、ハードウェアとソフトウェアの両方を対象とし、データ転送の様々な方法に関連している。IBMはこのカテゴリーでもリードしている。

トップ5のカテゴリーリストを考えてみることで、世の中のテクノロジーの概観と、現在製品という意味でどんなものに興味が抱かれているかを見て取ることができる。

最も多くの特許が出願された、他の4つのカテゴリーは以下のようなものだ:「電気通信などのデジタル情報伝送」、半導体、無線コミュニケーション、そして映像コミュニケーション(テレビのようなものだが、ビデオや写真アプリなども含まれる)である。

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(翻訳:sako)

AppleがNokiaに対して、特許紛争の和解金として20億ドルを支払った模様

AppleとNokiaは特許で争っていたが、先の5月に素早く和解した。しかし、両社は和解金額についてはコメントしていなかった。内容の詳細はまだ公表されてはいないが、Nokiamobサイトが、NokiaがAppleから20億ドルのキャッシュ(17億ユーロ)を受け取ったことを発表したことを記事にしている

これは非常に高額のように見えるが、Nokiaはこの金額をこの先四半期ごとに受け取るわけではない。これは1回限りの過去分を含んだ支払いだ。Nokiaはこのキャッシュを用いて何をする計画なのかについては何も述べていない。

訴訟は昨年末に始まった。Nokiaは当初、AppleがNSNとAlcatel-Lucentの特許だけでなくNokiaの特許の一部を侵害していると訴えた。NokiaはNSNとAlcatel-Lucentを所有しており、それぞれの特許も保有している。

Nokiaによれば、AppleはiPhone 3GSのときから、Nokiaの特許の一部に頼り続けており、長年に渡る侵害が続いていたということだ。それらの特許はソフトウェア、ビデオコーディング、チップセット、ディスプレイ、UI、そしてアンテナに関連したものだ。

AppleがWithings(WithingsはNokiaの一部門)の製品をストアから取り除いたので、この戦いは当初、激しいもののように思われた。しかし、両社はすぐに合意に達し、AppleストアではWithings製品を再び見ることができる。

通常の特許ライセンス契約に署名するのではなく、AppleとNokiaはさらに一歩先に進んで、技術と研究開発について協力することを望んでいる。言い換えれば、Appleはデジタルヘルス、光ネットワーク、IPルーティングに関してNokiaの協力を得る対価として支払いを行うのだ。

この契約のためにAppleがどれだけの金額を支払ったのかを知るために、Nokiaの今後の四半期決算発表を見るのが楽しみだ。しかし確かなことが1つある。Nokiaはこの新しい収益源に対してとても満足しているに違いない。

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(翻訳:Sako)

次のiPhoneの顔認識機能はAppleのこのパテントに書かれているかもしれない

テクノロジーの大きな問題は、ノスタルジアと無縁であることだ。Nintendoや、もしかしてFujifilmを除けば、かつての快適な製品や機能にこだわる企業はめったにない。そして、それは当然だ!

たとえばApple。私は今でも、自分のiPhoneに正しいヘッドフォンジャックがないことが苦痛だ。ドングルはすぐなくすから、いらつくし、Touch IDのような新しい機能がiPhoneのセキュリティやユーザー体験の抜本的な改良ではないことを、忘れてあげるのはとても難しい。

しかし、栄枯盛衰は世の常である。ヘッドフォンジャックに次いで今度消されるのはTouch IDかもしれない。

今週初めのBloombergの記事によると、AppleはiPhoneに強力な3Dカメラを載せて顔認識機能を実装するらしい。そしてそうなると、Touch IDは要らなくなる、と。

数日前にKGIのアナリストMing-Chi Kuoが、次のiPhoneは全面ディスプレイのデザインになり、顔認識を使う、と書いていた。

これら最新の噂の前には、Touch ID用センサーはスクリーンの下に置かれる、という説もあった。

でもBloomberg/KGIの最新の記事を前提にすると、Appleの新しい特許が気になる存在だ。

そのパテントは、コンピューティングデバイスがスリープモードの間に、ユーザーをカメラで認識する方法を記述している。消費電力はそのとき最小だが、ユーザーがそのコンピューティングデバイスに近づくと自動的に覚醒する。

そのシステムは三つのパラメータ(肌の色、顔、動き)を使って、これからユーザーがデバイスを使おうとしているのか、そのユーザーは本当のユーザーか、を見分けようとする。すべてのパラメータが合えば、デバイスは覚醒してあなたを歓迎する。

この特許文書に使われている画像は、存在認識システムを使っているデスクトップコンピューターだ。iPhoneやiPadのようなモバイルデバイスは静止していないことが多いから、デスクトップ機の方が画像認識の仕事がやりやすいに決まっている。しかし、かといって、この顔認識/存在認識システムがモバイルデバイスでは使われないとは、どこにも書かれていない。

ただしAppleのパテントでよくあるのは、その技術が実際の製品ではまったく使われないことだ。でも、iPhoneの顔認識の噂を聞いた以上は、このパテントがどうしても気になってしまうのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

QualcommがAppleに反撃、重要特許侵害で輸入禁止を求める

モバイル技術における最も重要な企業2社間の法廷闘争は、ますます激しさを増している。本日(米国時間7月6日)Qualcommは、クパチーノの巨人(Apple)が、iPhoneのバッテリー寿命を伸ばすための6つの特許を侵害していると提訴した。Qualcommは米国の貿易規制当局に対して、影響を受けるiPhoneモデルの輸入を禁止することを要望している。

Qualcommのエグゼクティブバイスプレジデント兼相談役のDon Rosenbergは、CNBC向けの声明で「Appleは、Qualcommのテクノロジーを、対価の支払いは拒否したまま使い続けている」と述べている。

どのモデルが輸入禁止措置の影響を受けるのかははっきりしていないが、Qualcommは、裁判所が現在どのiPhoneが他社のプロセッサを使用しているかを判断することを求めている。

TechCrunchはQualcommとAppleにコメントを求めている。

Qualcommは、ここ数ヶ月他のハイテク大企業たちが成長する中で、損失を受け続けて来た。その主たる要因はAppleとの問題含みの関係にある。Qualcommの株式は、年初から15%以上値下がりしている。1月には、iPhoneメーカー(Apple)がQualcommに対して「旧来の古臭い標準でビジネスを構築していて、排他的な戦術と過剰なロイヤルティを使って支配力を強化している」という理由で10億ドルのロイヤルティ訴訟を行なっている。

続報待ち

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(翻訳:Sako)

いまや実店舗小売業でもあるAmazonが「反ショールーム化」特許を取得した

新しい特許がAmazonに許諾された。実在店舗内で買い物客たちによる商品価格比較を阻止するためのテクノロジーに関する特許だ。その通り。この実店舗の「ショールーム化」を妨害できる新しい特許が、よりにもよってAmazonの手に入ったのだ。そもそもAmazonは、消費者たちがオンラインで購入を決意する前に、実店舗で実際の品物を確かめた上で、Amazon.comでより安く購入することで、利益を得てきたその当事者なのだ。

もちろんAmazonのCEO Jeff Bezosは、2012年にこの「反ショールーム化特許」を申請したときには既に、Amazonがいつか実店舗を持ち、自身のためにそのテクノロジーが必要になることを見越していたと考えることもできる。

しかし、そうではなく、他の実店舗たちがその店舗内でAmazonでの価格チェックを阻止しようとする動きに、Amazonが法的に対抗できるようにしたと考える方が合理的だ。

Physical Store Online Shopping Control(実店舗内オンラインショッピング制御)」と呼ばれるこの特許は、 物理的実店舗内のWi-Fiネットワークが、価格比較に関連する要求であると思われる検索クエリをインターセプトし、それに対応したアクションをとるというシナリオを想定している。

最も極端な対応は、リクエストを完全にブロックしてしまい、店舗内の買い物客が価格チェックを行なうことを阻止してしまうというものだ。

これが今やAmazonの所有するテクノロジーであることはとても奇妙だ。結局のところ、価格の比較はAmazonが何年も推奨してきたもので、2010年には価格チェックアプリ(米国内専用)さえ提供したのだから。

もちろん、アマゾンは今や物理的な小売業者でもあるため、ショールーム化の反対側の立場にいることに気が付いたのかもしれない。同社は現在、実店舗の書店、Amazon Goブランドの名前で展開するキャッシュレスコンビニエンスストア、そして…食料品チェーンのWhole Foodsを137億ドルで買ったばかりだ。

しかし、この「反ショールーム化」特許には、より探究する価値のある他の側面もある。

実は価格比較を阻止することは、小売業者が特許に記載された技術を実装するときにできることの1つに過ぎないのだ。特許の記述によれば、小売業者は例えば、対抗価格を提示したり、クーポンを発行してインセンティブを与えたり、関連商品の情報を返したり、さらには買い物客のところに担当者を向かわせることさえ可能だ。

Amazonも、いつか自分の店のショールーム化に対抗する必要が出てくるかもしれないが、店舗の通路に立ちながら購入を検討している買い物客を特定することの方が、おそらく2017年においては大切なことだろう。

例えば、買物客がAmazonのFire Tablet展示の前に立ちながら、最新のiPadに関する情報をググっていたとする。Amazonはこの特許の技術を使用して、こうしたシナリオ特定したいはずだ。また同時に、小売業者に買い物客が店内のどの位置にいるかを教えることもできる。セールス担当者が消費者のもとに赴き、意思決定を助けたり質問に答えたりすることができるだろう。または、おそらく、人間の仕事を排除したいAmazonの願望を考慮するなら、人間の代わりに仮想ヘルプを使用して、そうした質問に答えることもできるだろう(特許では顧客にプッシュ通知を送信できることも説明されている)。

買い物客の店内の場所を知ることで、顧客のモバイルデバイスにターゲットを絞り込んだオファーを送ることも可能だ。さらには、近くにあるアイテムに限ったものではなく、パーソナライズされたものにすることもできる。特許は、過去の購入履歴のような情報に基づいて、顧客の関心事の履歴情報を集める手段について説明している。そしてオファーを送信するなどの先取り行動についても述べている。

いずれにしても、ここに述べたことは予想にすぎないし、Amazonがどの程度これらを適用するつもりなのか(そもそも使うつもりがあるのか)は実際に行うまでよくわからない。大規模なテクノロジー企業は、常に特許技術を取得し続けている。将来的に実際展開する可能性のある領域を示すものもあれば、競合他社の行動に対して自分たちの立場を守るためのものもある。Amazonは、この特定のテクノロジーに関する計画を、まだ具体的には策定していない。

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(翻訳:Sako)

アメリカ最高裁、パテント・トロールに打撃――特許権侵害訴訟の提起先を制限

お気の毒だが、30年にわたってアメリカの訴訟制度を巧みに利用してきたパテント・トロールがアッパーカットを喰らった。これまでパテント・トロールは訴訟提起先の裁判所をほぼ自由に選ぶことができた。その結果、特許権保有者に甘いことで悪名高いテキサス州東部連邦裁判所が頻繁に選ばれてきた。しかし今後は特許権侵害訴訟を起こすに当ってそうした振る舞いは許されなくなる。

アメリカ最高裁は、原告は特許権侵害を主張するにあたって、特許権侵害企業が設立された場所または現実に継続して業務を行っている場所あるいは現に特許権が侵害されている場所を管轄する裁判所にのみ訴を起こすことができると全裁判官の一致で決定した。

他社を訴えて金銭的利益を得ることを主たる目的として特許を保有する会社にとってこの決定は打撃となる。

法律の専門家は、今後の多くの特許権侵害訴訟がアメリカ企業多数が登記先としているデラウェア州、テクノロジーのハブであるカリフォルニア州やマサチューセッツ州に移るだろうと考えている。

こうした場所ではトロールに訴えられた企業側が訴訟のための十分な資源を持つだけでなく、その場所自体がテクノロジー企業にとってホーム側だという利点もある。ただしWall Street Journalの記事によれば、訴訟の集中により審理はこれまでより長引くだろうという。このことは特にデラウェア州の裁判所において事実となりそうだ。テキサス州東部地区では驚いたことに最近の全特許訴訟の30%が提起されており、同州の裁判所はこれを処理するために必要な資源を配置している。デラウェア州の特許訴訟は大幅に増加することが予想されるが、同州の裁判所には今のところこの負荷の増大をさばくための準備がない。

Apple、Samsung、Microsoft、Googleは数多くの特許権侵害訴訟に関係しているが、今日の最高裁決定は実はテクノロジー企業とは直接関係ない訴訟に関連するものだった。清涼飲料のフレーバーを提供するTC Heartland LLCと食品・飲料の大手企業、Kraft Heinz Coとの裁判でこの決定が下された。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法、Cloudflareの先行技術調査戦術に学ぶ

“トロールに餌をやるな”、と教えられる。しかし企業向け多目的逆プロキシサービスとして今や著名なCloudflareは、彼らから儲けの源泉を取り上げることによって、トロールを餓死させようとしている。

テクノロジー企業に対する特許訴訟はほとんど日常化しているので、多くの企業は高価な法務費用(そして短くない法廷関与時間!)を負担するよりも、示談ですませてしまうことが多い。企業がそうやって早くケリをつけようとするので、特許訴訟は原告トロールにとって濡れ手で粟の金儲け手段になっている。トロールたちはテクノロジー関連の特許を1ドル程度の安値で買い、その特許をネタにお金持ちの企業から示談を引き出す。

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。

Cloudflareの法務部長Doug Kramerはこう語る: “迷惑行為に対しては、示談で済ませる企業が多い。しかし弊社は、いかなる点でも示談にするつもりはなかた。示談は、問題の劇症化に貢献するだけである。すべての企業が、立ち上がって戦う必要がある”。

CloudflareはProject Jengoでトロールの特許訴訟を無効にしただけでなく、Blackbirdのトップも訴追している。同社は弁護士たちが創り、テクノロジーとはまったく無縁の企業だ。パテントを買ってそれらに関する訴訟を起こすことが、彼らの“事業”である。それは非倫理的である、とCloudflareは主張し、Blackbirdの弁護士たちを訴えている。

今Blackbirdにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートしよう。

アップデート: “Blackbird Technologiesは弊社に対するCloudflareの申し立てを検討した。これらの申し立てには訴訟としての理非がまったくなく、したがって弊社としては強力に、それらから弊社を守りたい”、BlackbirdのCEO Wendy Verlanderは、本誌にこう語った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Qualcomm、iPhoneの米国輸入禁止をITCに提訴へ

QualcommはAppleに予想外の強烈なパンチを見舞うかもしれない。 Bloombergによれば、Qualcommは国際貿易委員会(International Trade Commission) (不公正貿易を排除してアメリカ産業を保護するための独立機関)に対してiPhoneのアメリカへの輸入を差し止めるよう訴えることを検討しているという。これはQualcomm対Appleの法廷闘争に新しい段階をもたらすだろう。

Qualcommは裁判所や他の機関よりITCの審理が迅速なことに着目している。これはQualcommにとって見逃せない有利な点だ。iPhone、iPadは全数が中国で生産されており、Appleはこれらの製品をアメリカで販売するためには中国から輸入しなければならない。

QualcommもITCがAppleに対して輸入の全面禁止の裁決を出すとは期待していないだろうが、Qualcommは時間を稼ぐと同時にその主張をさらに多面的に展開するチャンスを得ることになる。

先週金曜にAppleは金額が不公正であるとしてQualcommに対してロイヤルティーを支払うことを中止した。 これはQualcommにとって四半期で数億ドルの金額となる。QualcommはもちろんAppleよりはるかに小さい企業だ。

Qualcommは世界のスマートフォン・メーカーにとって最重要のチップセット供給者だ。システムチップもLTEモデムもQualcommが多い。Appleは長年Qualcomm LTEチップをiPhoneに組み込んでいる。iPhone 7ではAppleはサプライチェーンのリスクを低減するためにはLTEチップセットの納入企業をIntelとQualcommに分散した。

しかしチップセットの製造はQualcommのビジネスの一部門に過ぎない。同社はワイヤレス・テクノロジーに関し重要特許を数多く保有しており、たとIntelのチップセットを購入する場合でもQualcommにライセンス収入がもたらされる。チップセット製造からの売上がライセンス収入の伸びを上回っているとはいえ、ライセンス料は依然としてiQualcommの売上の3位を占めている。

Appleは「われわれはQualcommに過大なライセンス料金を支払ってきた。QualcommはAppleに不必要な数の特許の使用を強い、iPhoneの売上の一部を抜き取っている」と主張している。Appleは訴訟で10億ドルの損害賠償を求めている。.

QualcommとAppleは互いに提訴と反訴を繰り返しているがこれは巨大企業間での特許訴訟では珍しくない。

両社は互いに相手を真っ向からねじ伏せようとしている。Appleはこの訴訟でライセンス料金を値下げさせようと試みている。逆に Qualcommは特許ビジネスを守らねばならない。もしAppleに対してライセンス料の値下げを認めれば他のメーカーも一斉に値下げを要求してくるのは明らかだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleとIntertrustの共同事業PatentShieldはスタートアップを特許訴訟から守る

GoogleとIntertrustが今日(米国時間4/25)、スタートアップを特許をめぐる訴訟から守るプログラムPatentShieldのローンチを発表した。この事業の‘参加料’は、スタートアップ各社の所有権(株式など)の小部分だ。

その基本的な仕組みは、この事業に参加するスタートアップに、GoogleとIntertrustのポートフォリオにある一定のパテントの所有権を与えることだ。そしてそれを抑止力に利用して、既成勢力からの特許訴訟から自分を守る。Googleが同社の特許の一部を提供してこのプログラムの基礎を築き、メディアストリーミングやIoT、セキュリティなどの分野のパテントポートフォリオを持つIntertrustは、同社の特許の一部と同社知財チームの力をスタートアップに提供する。

スタートアップが訴訟されたら、PatentShieldのポートフォリオから特許を選び、原告を反訴して自分を守る。

Google法務部の特許担当次長Allen Loはこう説明する: “このプログラムは、些細でほとんど意味のない訴訟をテクノロジーの世界から減らすためにGoogleが開発した一連のイニシアチブの延長だ”。実際にGoogleは、かなり前から、特許訴訟からほかの企業を守ることにも、一定の関心を示してきた。たとえば同社のOpen Patent Non-Assertion Pledgeでは、サードパーティが作った無料またはオープンソースのソフトウェアが同社の一定のパテントに抵触しているおそれがあるときは彼らを訴訟しない、と確約した。ただしその特許集合は、2014年以降アップデートされていない。

Google, Microsoft, Facebook, IBMなど数社が昨年共同で、特許を売り買いするマーケットプレースを作った

でも、この事業のいちばんおもしろい部分は、参加企業がPatentShieldに株式(ないし企業所有権)のごく一部を付与することだ。Intertrustによると、その付与ぶんの大きさが“会社とその製品の成熟度や、彼らのマーケットにおける訴訟リスクを測る目安になる”、ということだ。

今Googleに、この事業における同社の役割と、同社自身もこれらの企業の持ち分を得ることになるのか、問い合わせている。答が得られたら、この記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Waymoが企業秘密の窃盗でUberとOttoを訴訟、元社員が14000件のファイルを無断ダウンロード

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Googleの自動運転車プロジェクトがAlphabet傘下の独立企業になったWaymo社が今日(米国時間2/23)、自動運転トラックのOttoとその親会社Uberを訴訟した。Waymoによると、Uberは同社の企業秘密を“悪用し”、同社が保有する特許を侵害した。具体的には、Waymoが見つけた証拠によると、OttoとUberは、同社が今年初めに発表した同社独自開発によるライダー(LiDAR)センサーに関連した、自動運転技術のいくつかの要素を、使っていた。

訴状でWaymoは、同社は、いくつかのユニークなレーザーシステムの組み合わせにより、完全な自動運転車の操縦のための重要な情報を得ているが、それをOttoのファウンダーAnthony Levandowskiが奪った、と言っている。彼は以前、Waymoに勤務するマネージャーだった。Levandowskiは14000あまりの、機密性の高い、企業に私権のあるファイルを、社を去る前にダウンロードした。その中には、企業秘密とされているLiDARの回路基板の設計図もあった。そしてWaymoの驚くべき指摘によると、同社がこれら一連の事件を発見したきっかけは、あるサプライヤーからのメールに、そのサプライヤーがUberとOttoに宛てたメールのコピーが、うかつにもあったことだ。そこには、そのライドシェア企業〔==Uber〕から送られてきた回路基板の設計図もあり、しかもその図面はまさしくUber自身のものとされていた。

Waymoによると、この窃盗行為が行われたのは2015年の12月だ。その直後にLevandowskiはWaymoを去り、自分の会社を始めた。それが、2016年1月にOttoになった。訴状によるとLevandowskiは、Waymoを去る前に自分のベンチャー企業を設立していた。

訴状はLevandowski以外の元Waymo社員も訴えており、彼らも後にOttoとなる企業に参加し、その前には、サプライヤーリストや技術的ドキュメントなどの企業秘密をWaymoからダウンロードした、としている。

Waymoが訴状で引用しているBusiness Insider誌上のBiz Carsonの記事によると、Ottoが独自のLiDAR技術を内部開発できたことが、Uberによる買収の中心的動機であり、したがってLevandowskiとOttoはこの窃盗行為から直接、5億ドルあまりを獲得したことになり、またUber自身も、それまで行き詰っていた自動運転車の取り組みを蘇らせて、その計画的な悪事に基づいてWaymoと再び競合できるようになった、と訴状は言っている。

当然ながらこれは、Uberにとって大きな打撃だ。今は元社員が被ったいわゆるセクハラ事件が明るみに出て、内部的にも対外的にももめている時期だけに、大きな火に多量の油を注ぐ形になった。

今、Uberにはコメントを求めている。得られ次第、この記事をアップデートしよう。

〔参考記事: ライダーとは何か

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Qualcommの反競争的行為を母国アメリカのFTCも告訴

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

世界各地で同様の告発を受けていたQualcommが、故国のアメリカでも大きな反発を食らっている。連邦通商委員会(FTC)は同社を告訴して、Snapdragonのメーカーであるこのサンディエゴの企業が反競争的な手法によりチップビジネスにおける独占を維持しようとした、と非難している。

同委員会が今日発表した声明は、同社がそのいわゆる“ライセンスなければチップなし”(no license, no chips)政策により特許の免許料をつり上げ、また競合他社のチップを使っている電話機メーカーにはより高いライセンス料を強要している、とその非難を詳述している。

FTCはこう述べている:

“No license, no chips”は、半導体デバイスの他の供給者たちが課していない条件である。Qualcommのベースバンドプロセッサーへのアクセスを失うことのリスクは携帯電話のメーカーにとって担うことができないほど大きい。なぜならばそれによってメーカーは、主要なセルネットワーク上で使用できる携帯電話を売れなくなるからである。

訴状は反競争的行為の例としてAppleのケースを挙げ、QualcommはiPhoneのメーカーのビジネスをめぐる競争から他のチップメーカーを閉め出した、と非難している。Appleとの大きな契約は、メディアに対する効果も非常に高いからである。

告訴が要求しているのは、“Qualcommにその反競争的行為をやめさせて、競争的条件を回復する”、ことである。

このFTCの告訴は、世界中のQualcommに対する一連の反競争訴訟の、最新のものである。過去には同社は、韓国で8億5400万ドル、中国で9億7500万ドルという、巨額な罰金を科せられている。EUでは、今も調査が続いている。

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パテントをめぐるNokiaとの喧嘩が再燃したAppleはWithings(==Nokia)の製品をストアから一掃

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クリスマス休日はみんな比較的おとなしくしていたと思うが、AppleとNokiaだけは戦闘の用意をしていた。2011年に7億2000万ドルで決着したとされる、いくつかのパテントをめぐる戦争が、再び燃え上がるらしいのだ。

今週の初めAppleはカリフォルニア州で訴状を提出し、Nokiaはその契約から一部のパテントを取り去り、“過剰な使用料を強奪しようとした”、と申し立てた。その後の、本誌TechCrunch宛の声明では、かつてはスマートフォンのリーダーだった企業が“パテント・トロールの手口を使っている”、と非難した。

一方Nokia側はドイツの三つの都市と、パテント抗争のグラウンドゼロであるここアメリカ(テキサス東部地区地裁)で訴状を提出し、スマートフォンの多様なハードウェアとソフトウェアで使われている32のパテントに関し、権利を主張した。

すでにホリデー商戦は終幕だから、売上にもたらすダメージは大きくないと思うが、今回の大量の訴訟の結果として、Withingsの製品はAppleのオンラインストアから姿を消した

Withingsのスマート体重計とか血圧計などを買おうとすると、いやみなエラーメッセージが表示される: “何かお探しですか? そう感じました。でも、お探しの製品はもうapple.comにはございません”。

Appleの小売店舗からも、姿を消したようだ…同社の物理店舗にはネット上にないものの在庫はない。Appleには今コメントを求めているが、でもタイミングが奇妙だ。Nokiaはそのフランスの電子製品メーカーを、この夏買収したばかりなのに。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))