特定の企業や人としかファイルを共有できないDocpackのアイデア

Docpackは企業に文書(ドキュメント)をシェアする簡単な方法を提供する。同社の顧客は特に、DropboxやGoogle Driveのようなサービスの利用が禁じられている大企業が多い。

ファウンダーでCEOのRurik Bradbury氏によると、彼がこの問題に気づいたのはLivePersonで会話型アプリを開発していたときだ。LivePersonを使ってるような大企業の多くは、ファイル共有サービスのリンクを受け付けない。そこで、プリントアウトした文書をFedExで送ったり、少なくとも一度は、文書を載せたAndroidタブレットを送ったこともある。

しかもこれは、限られた企業の特殊な問題ではなく、広く蔓延している問題のようだ。ある調査によると、BoxやDropboxやGoogle Driveなどは、エンタープライズのIT部門がブラックリストに載せて、警戒し排除しているアプリケーションの仲間なのだ。

Bradbury氏によると、企業が特に心配しているのが完全な双方向のファイルシェアリングだ。そこで、彼が見つけたそれを回避する方法は、各企業が小さなウェブサイトを共有すべき文書ごとに作ることだ。そこから誰か特定の人や企業だけが文書をダウンロードできる。ITから見ると、それらは単なるふつうのウェブサイトで、社員たちが勝手に文書をシェアし入手することはできない。ゆえに、それならブラックリストには載らない。

大きなDropboxではなく、極小のDropbox、ファイルが1つしか保存できないし、特定の人や企業しかアクセスできないDropboxを、必要に応じいくらでもたくさん作ると考えてもいい。Bradbury氏はそう言う。

ただし、この小さなウェブサイト方式はスケーラブルでない。そこでDocpackは、どんな顧客でも簡単迅速にそれらを作れるようにした。Bradbury氏はこのやり方を、WixやSquarespaceのようなウェブサイトビルダーになぞらえる。技術の全然ない人でもウェブサイトを一瞬で作れるという意味で。

Docpack Screenshot

Docpackのユーザーはほんの数クリックでミニウェブサイトを作ることができ、それに自社のブランド色を持たせたり、文書をアップロードできる。それらの文書は、特定企業のメールのドメインの中の人しかアクセスできない。また、文書をアップロードした者は、それをどこの誰がダウンロードしたか追跡できる。

料金は、スタンダードプランで一人あたり10ドルだ。そもそも会社の仕事は外部との文書共有で動いている部分が大きいから、営業や事業開発、マーケティング、PRなど、いろんな部門でDocpackを便利かつ安全に利用できるだろう。また、特定のジャーナリストたちのための無料アカウントもある。

Bradbury氏によると、Dropboxのようなファイル共有サービスもエンタープライズを意識し始めているが、それは単なる既存のサービスの拡張にすぎないという。これに対し、Docpackが提供するのはあくまでも特定企業間のファイル共有だ。

「それには十分に大きな需要があるはずだ。新しい種類のファイル共有サービスとして、ジャンルが確立してもいいよね」と彼は付け加えた。

画像クレジット: Stock4B

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会話型アプリケーション開発のためのAIプラットホームをCiscoがオープンソース化

通信機器大手のCisco(シスコ)は米国時間5月9日、会話型のAIプラットホームのMindMeldをApache 2.0のライセンスにより、誰もが自由に利用できるように一般公開すると発表した。

MindMeldは、Ciscoが2017年に買収した会話型AIの企業だ。同社はその年の終わりごろに、その技術をCisco Spark Assistantに使用して、ミーティング用ハードウェアで音声コマンドが使えるようにした。当時それは、生まれたばかりの新しい技術だった。

現在、エンタープライズのいろんなユースケースに音声を持ち込む取り組みが至るところで行われており、CiscoはMindMeldのツールセットでデベロッパーにそのための方法を提供している。Ciscoで機械学習のチームを率いているKarthik Raghunathan氏が、ブログでこう書いている。「本日Ciscoは、MindMeld Conversational AI Platformをオープンソースにすることによって、会話型アプリケーションを構築するための総合的で実践的なツールでデベロッパーの能力を高めるための、大きな一歩を踏み出す」。

同時に同社は、デベロッパーにとってそのプラットホームが使いやすくなるための教本、Conversational AI Playbookをリリースする。このステップ・バイ・ステップのガイドブックによりデベロッパーは、会話駆動型アプリケーション開発の、第一歩を踏み出すことができる。Ciscoによると、デベロッパーに力をつけることが最大の目的とのこと。

しかしもちろん、Ciscoの外にいるデベロッパーがこのツールセットを使ってくれることが、同社の最大の関心だ。オープンソースにすれば、Ciscoの顧客やそのほかの企業にいるデベロッパーのコミュニティが、このツールを使ったり、試したり、改良したりしてくれるだろう。それによってプラットホームの開発が早くなり、より広範囲に行われるようになる。Ciscoのような大企業では、全社的な浸透も可能になるだろう。

もちろん、オープンソースにしたらいきなりコミュニティができるわけではない。しかし、音声対応のアプリケーションやシステム製品はその人気が急速に成長しているから、このプラットホームを試してみるデベロッパーが増えることは確実だ。どれだけの人に、より深い関心を持ってもらえるか、それは今後のCiscoの努力次第だ。

Ciscoはこのプラットホームのすべてを、同社のデベロッパーネットワークDevNet上で今日から提供開始する。

関連記事: 音声インターフェースがビジネス向けに進出中

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直接上場を控えたSlack、週明けに会社説明をライブストリーミング する

今やあらゆる企業で使われるようになったビジネス・チャットのSlackはNYSE(ニューヨーク証券取引所)への直接上場を予定している。米国時間5月8日、同社は週明けの月曜に投資家向けプレゼンをストリーミングすることをブログ記事で確認した。 Slack株式は来月にも市場で売買が可能となる予定だ。

Slackの投資家向け会社説明、Investor Dayは5月13日午前9時30分(東部標準時)に同社のウェブサイトから配信される。

幹事証券会社が新株を一括引受けする伝統的な上場方式とは異なり、直接上場では企業は新たな株式を発行しない。その代わりに上場と同時に関係者が保有する既存株式が株式取引所で売買でできるようにする。

株主は起業家自身、投資家、社員などだ。 SlackはSpotifyと同様 直接上場を行うことによって、伝統的上場で必要なロードショー(各地での投資家向け会社説明会)やウォールストリートの証券会社に支払う高額の手数料をバイパスできる。

音楽ストリーミングの大手であるSpotifyも、上場に際して投資家のみ閲覧できる会社説明をストリーミングしている。 Slackのストリーミングもこれにならったものになるとするなら、Slackの共同ファウンダー、CEOのスチュワート・バタフィールド氏と何人かの経営トップが登場して同社のビジョンについて語ることになるはずだ。

Slackが上場計画を明らかにしたのは2週間前だ。SECに提出された申請書によれば、2019年1月31日を終期とする会計年度において同社の収入は4億60万ドル、これに対する損失は1億3890万ドルだった。その前の会計年度では2億2050万ドルの収入に対して1億4010万ドルの損失を計上していた。

また同社は申請書で今年に入って60万件の組織からDAU(1日あたりのアクティブユーザー)が1000万人を達成したと述べている。

Slackはこれまでに総額12億ドルの資金を調達している。投資家にはAccelAndreessen HorowitzSoftBank、Google Ventures、 Social Capital、and Kleiner Perkinsなどが含まれる。

画像:Chesnot / Contributor / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがドラッグ&ドロップの機械学習ツールをローンチ、ユーザーはデータを用意するだけ

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月2日、機械学習のプロセスを単純化するための3つのサービスを発表した。それらは、(1)モデルの作成を完全に自動化するツールへの新しいインターフェイス、(2)モデルの構築と訓練とデプロイをデベロッパー自身が行うためのコード不要のヴィジュアルなインターフェイス、そして(3)高度なユーザー向けにホストされるJupyter様式のノートブックだ。

機械学習を始めることは難しい。とても簡単な実験ですら、相当な専門知識が要る。Microsoftの新しいツールは、コードを隠したり、あるいは自分でコードを書きたい人向けにはあらかじめ構成されたプラットホームを提供して、そのプロセスを大幅に単純化する。

Azureの自動化機械学習ツールへの新しいインターフェイスは、モデルの作成をデータをインポートしてどの値を予測するのかをサービスに告げるだけ、という簡単な作業にする。ユーザーはコードを1行も書かないが、バックエンドでは多くの新しいアルゴリズムと最適化技術により、より正確なモデルを作る。その過程のほとんどは自動化されるが、Microsoftは、このサービスが「アルゴリズムへの完全な透明性を提供するので、デベロッパーやデータサイエンティストはプロセスを手作業でオーバライドしたりコントロールできる」と強調している。

またMicrosoftは同日、最初から自分でコントロールしたいというユーザーのために、Azure Machine Learningサービスのヴィジュアルインターフェイスをプレビューでローンチした。これによりデベロッパーは、コードに触ることなく機械学習のモデルを構築、学習、そしてデプロイできる。

このAzure Machine Learningヴィジュアルインターフェイスと呼ばれるツールは、Microsoftの最初のヴィジュアルな機械学習ツールであるAzure ML Studioに酷似している。というか、2つのサービスは同一であるようにも見える。でもMicrosoftはML Studioを積極的に推していないし、初心者向けには便利なツールのように思えたにもかかわらず、今では忘れてしまったかのようだ。

Microsoftによると、今回の新しいバージョンはAzure ML StudioのいいところとAzure Machine Learningを結びつけている。つまり、インターフェイスはほとんど同一でも、Azure Machine LearningヴィジュアルインターフェイスはAzure Machine LearningサービスのおかげでML Studioにできたことを大幅に拡張し、さらにセキュリティとデプロイメントとライフサイクル管理を加えた、ということのようだ。

このサービスは今や、データのごみ掃除やさまざまなアルゴリズムによるモデルの訓練、それらの評価、そして最終的にプロダクションへの導入を、シンプルなインターフェイスでできるようにしている。

上記、モデル作成の完全自動化と、デベロッパーが関与できるインターフェイス、これら2つのサービスは明らかに初心者向けだが、Azure Machine Learningでホストされるノートブックは、明らかに機械学習の経験者向けだ。ノートブックにはAzure Machine Learning Python SDKのサポートがあらかじめ組み込まれ、同社によると「安全でエンタープライズ級の環境」で利用できる。ノートブックの利用は簡単とは言えないにせよ、でもデベロッパー自身が開発環境やクラウド環境を自力ですべてセットアップすることに比べれば、はるかに仕事の着手が早いと言えるだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトが発表したHoloLens 2 Development Editionは約39万円

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月2日の午後というやや奇妙な時間帯に、Buildデベロッパーカンファレンスの予告記者発表を行った。

そしてその中には、HoloLens 2 Development Editionの発表もあった。同社は、大幅に改良されたHoloLens 2を2月のMWCバルセロナで発表したが、まだデベロッパーの手には渡っていない。今のところ最短で今年後半と言われているが、Development Editionは通常のHoloLens 2と同時ローンチになるようだ。

Development Editionは、買えば3500ドル(約39万円)、借りれば月額99ドル(約1.1万円)だ。いずれも本体のみだが500ドル(約5.6万万円)のAzureクレジットがつき、Unity ProUnity PiXYZ pluginの3カ月無料試用もある。ゆえに開発時のレンダリングはUnityを使える。

Development Editionを入手したい人は、Microsoft Mixed Reality Developer Programに参加しなければならない。標準エディションを予約した人も、今年後半になればオーダーを変えられる。

HoloLensのニュースにしては、ちょいとわびしいね。Azureのクレジットは誰でももらえる(通常は200ドル)し、Unity Proの無料試用も30日までなら誰でもできる。

おかしなことに、通常のHoloLens 2も3500ドルになるらしい。通常版がもっと安くなるのか、クレジットなしで同額か、そもそもなぜMicrosoftはそんなことをするのか、全然わからない。これを特別に「Development Edition」と呼ぶこと自体、マーケティングの小細工と思えてくる。今日の発表をHoloLensバイザーの未来的な魔力で盛り上げたいのかもしれない。

でも、Unityの連中は大喜びだ。Unityの業務部門のゼネラルマネジャーであるTim McDonough氏が、今日の声明でこう言っている。「HoloLens 2とUnityのリアルタイム3D開発プラットホームがペアを組めば、企業はイノベーションを加速でき、没入的な体験を作り、産業界の顧客をもっと対話的なやり方で取り込める。Unity ProとPiXYZ PluginがHoloLens 2のDevelopment Editionに加われば、企業はリアルタイムの2Dや3D、VR、ARなどの対話的な体験をすぐに作れるようになり、デザインデータをインポートして準備するだけでリアルタイムの体験を作れる」。

Microsoftは今日の話の中で、Unreal Engine 4のHoloLens 2サポートは5月末に利用可能になると述べた。

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MirantisのModel Designerツールでオンプレミスクラウドの構成を楽に

OpenStackの初期を担った主要企業として記憶に残るMirantisは米国時間4月29日、企業がオンプレミスのクラウドの構築とデプロイを容易にできるためのサービスを立ち上げた。

そのMirantis Model Designerと呼ばれるサービスによりITのオペレーターたちは、自分たちのクラウドを容易にカスタマイズできる。来月はOpenStackのクラウド、その後はKubernetesのクラスターに関し、それらのデプロイのための構成の作成を支援する。

従来の構成作業は、大量のYAMLファイルを手書きすることを要し、間違いも起きやすいので、それが好きだというデベロッパーはまずいない。

でもそれがまさに、Infrastructure as Codeモデルの中核だ。しかしModel Designerは、MirantisがOpenStack用の人気の高いインストーラーFuelから学んだことを拡張している。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが今日の発表の前にデモしてくれたところによると、Model Designerはユーザーに提示するGUIで構成を一歩々々進めていく。

うまいな、と思ったのは、その各ステップに難度のレベルがあって、設定をどれだけカスタマイズしたいかによってユーザーが選ぶ。レベルはDoomを参考にしたとあって、「I’m too young to die」とか「Ultraviolence」などがあるが、なぜか「Nightmare!」はない(Infrastructure as Code参考記事)。

Model Designerはクセの強いツールだが、ユーザーの自由度もかなりある。構成の段階が終わったらMirantisはその設定を実際にJenkinsのオートメーションサーバーで動かして、その構成を検証する。

Renskiによると、その段階では各プラットホームの特異性に十分対応していないが、ファイルが正しいことは確証される。そのあと、このツールはユーザーに構成ファイルを提供し、OpenStackのクラウドの実際のデプロイは、それらのファイルとMirantisからダウンロードできる中核的なバイナリを一緒にしてオンプレミスのクラウドに持って行き、コマンドラインのスクリプトを実行するだけだ。それが、この工程のすべてである。

そこからはMirantisのDrive Trainツールにバトンが渡ってクラウドをプロビジョニングする。アップグレードは、以上のプロセスを繰り返すだけだ。

Mirantisの収益源はサポートで、それにはベーシックから顧客のクラウドの完全管理まで何段階かある。Model Designerは多くの企業に同社の存在を知ってもらうための方法の一環であり、そうやって同社のツールを使ってもらえるようになれば、次はそのサポートという算段だ。

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上場申請書でSlackは収入4億60万ドル、赤字1億3890万ドルと判明

ビジネス向けコミュニティーツールのSlackはDPO(直接上場)を行う予定だ。証券会社の一括引受けにより上場のための新株を発行するという通常の方式ではなく、昨年のSpotifyの上場と同様、発行済株式を直接投資家に販売する。

SlackがSEC(証券取引委員会)に提出したS-1申請書では販売予定株式総額は1億ドルとなっているが、これは仮の数字だろう。

一方、申請書に記載された財務情報によれば、今年1月31日を終期とする会計年度の純損失は1億3890万ドル、収入は4億60万ドルだった。その前年度は赤字1億4010万ドル、収入2億2050万ドルだった。

Slackでは巨額の赤字を計上している理由を「市場シェアを獲得し会社を急成長させるための先行投資」によるものと位置づけ、収入に対する赤字の率が対前年比で減少していることを指摘している。

またSlackは昨年11月から今年1月にかけての四半期で一日あたり1000万アクティブユーザーを得ており、60万の会社その他のユーザー組織のうち、8万8000が有料プランに加盟していることを明らかにした

申請書によれば、Slackはもともと自社内の連絡ツールとして開発されたのだという。同社は自社のサービスについて次のように述べている。

2014年に一般公開して以来、世界の無数の組織がSlackが提供するようなサービスをを必要としていたことが明らかになった。そのためわれわれのマーケティングは主として口コミの推薦によっている。組織におけるSlackの導入はほぼすべてボトムアップであり、まずエンドユーザーが利用を始めている。そうであっても(われわれ自身も含めて) Slackというサービスの本質を説明することは難しい。「チーム活動のOS」「共同作業のハブ」「組織を結合させる何か」その他さまざまな呼ばれ方をしているが、ビジネステクノロジーのまったく新しいレイヤーであり、まだ充分に定義されているとはいない。

同社はビジネスの共同作業のためのコミュニケーションツールの世界市場の総額は280億ドル前後と推定している。Slackの成長戦略は機能を拡充し続けることによって既存のユーザー企業内の地位をさらに強固にしつつ、Slackを中心とするデベロッパーエコシステムを確立することだという。

申請書が触れているリスク要素は他のインターネット企業の場合とあまり変わらない。巨額の赤字を計上している以上、現在の成長率が維持できない事態となれば経営は深刻な問題を抱えることになる。またヨーロッパのGDPR(一般データ保護規則)も.リスクとなリ得る。

Slackはこれまでに総額で12億ドルの資金調達を行っている。Crunchbaseのエントリーによれば、大口投資家はAccel、Andreessen Horowitz、Social Capital、ソフトバンク、Google Ventures、Kleiner Perkinsなどだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

AWSがクラウドのインフラストラクチャをさらに拡張、AMD EPYCを使うT3aインスタンスを供用開始

Amazonは常に、AWSを使っているデベロッパーに提供するオプションを増やそうとしている。そして米国時間4月25日、同社はそのためにAMD EPYCプロセッサーによるT3aインスタンスを数多く発表した。これらは最初、昨年のデベロッパーカンファレンスre:Inventで発表された。

しかし今日のは、その一般供用の開始を告げる発表だ。それらはバーストのある特殊なタイプのワークロードに適したインスタンスで、ユーザーの通常の計算力のニーズはそんなに、バースト時ほど高くはないというものだ。

AWSのJeff Barr氏がブログにこう書いている。「これらのインスタンスはバーストに対応できる費用効率のいいパフォーマンスを提供し、常時維持されるコンピュートパワーとしてはそれほど高いパワーを必要としないが、使用時に一時的なスパイクがあるワークロードに適している。そのため、十分に余裕のある、確実に保証されたベースラインの処理能力を提供するとともに、さらなる処理能力が必要なときには、必要十分な時間、完全なコアパフォーマンスにまで透明にスケールアップする能力がある」。

これらのインスタンスは、Amazonが数年かけて開発した特製のネットワーキングインタフェイスハードウェアAWS Nitro Systemを使用する。このシステムの主要な部位は、Nitro Card I/O Acceleration、Nitro Security Chip、そしてNitro Hypervisorだ。

今日のリリースの前身として、昨年発表されたArmベースのAWS Graviton Processorsを使用するEC2インスタンスがある。これもまた、スケールアウトするワークロードのためのソリューションを探しているデベロッパー向けのオプションだ。

さらにこの直前の先月には、低コストのAMDチップを使用するM5およびR5インスタンスが発表された。これらもやはり、Nitro Systemを基盤としている。

EPCYプロセッサーは今日から7つのサイズで可利用になり、必要に応じ、ユーザーが選んだスポットインスタンスやリザーブドインスタンス、あるいはオンデマンドインスタンスで提供される。可利用域はUS East(Northern Virginia)、US West(Oregon)、EU(Ireland)、US East(Ohio)、そしてAsia-Pacific(Singapore)だ。

画像クレジット: Thomas Cloer/Flickr CC BY-SA 2.0のライセンスによる

関連記事: AWSはアグレッシブに世界制覇を目指す――エンタープライズ・コンピューティングで全方位路線

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メール大好き人間もSlack上のコラボレーションにメールで参加できる

いまなおユーザー数の増加が止まらないSlackが、今週に米国サンフランシスコで行われた同社のカンファレンス「Frontiers Conference」で、いくつかの機能強化を発表した。その中には、Slackの中で同僚とたむろするよりもメールにこだわりたい連中とのコラボレーションがある。

なかなか捨てられない習慣の典型が、ファイル共有やコラボレーションにメールを使うことだ。メールが適しているコミュニケーションもあるが、しかしメールは完全なコミュニケーションツールではない。Slackのような新しいツールがメールを完全に置換することはなくても、メールによるコミュニケーションはけっこう難しい。

しかし、Slackでプロジェクト管理を担当しているAndy Pflaum氏は、メール愛好派と戦うのではなく、メールやカレンダーへのブリッジを作って、彼らがSlackの仲間と、チームの一員として容易にコミュニケーションできるようにした。

彼らはSlackを開いてスレッドを見なくても、使い慣れたメールの受信箱にメッセージが来ている。今月の初めに同社はSlackとOutlookのカレンダーおよびメールとの緊密な統合を発表したし、GmailやGoogle Calendarとの同様の統合も進めている。それは、メールとカレンダーの内容をSlackの中で共有できる仕組みだ。Pflaum氏によると同社は、そのメールやカレンダーとのブリッジを、さらに強化しようとしている。

それによると、Slackのユーザーでない人はSlackのスレッドではなくメールを受け取る。自分がメールで参加しているスレッドへの複数の応答は、ひとつにまとめられてメールで受け取る。ひとつひとつの応答ごとにメールが来ることはない。

そしてメールの中の[Slack]ボタンを押すとSlackが開かれたり、あるいはふつうにメールで応答してそれが自動的にSlackへ行ったりする。Slackが開かれる方式にすると、彼らをメール派からSlack派に転向させられるかもしれない。そんなつもりはない、とPflaum氏は言うけどね。

メールで仕事をしたい人が何人かいるユーザーは、Slackにリクエストするとこれらの機能が有効になる。メールからSlackを開いてリプライする機能も、もうすぐ完成する。[Reply]ボタンでSlackに返事をする機能も、年内に提供される。

関連記事: Slack integration with Office 365 one more step toward total enterprise integration(SlackとOffice 365の統合がさらに前進、未訳)

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GoogleがGKE Advancedでコンテナサービスをエンタープライズ向けに拡充

Google Cloudは長年、Kubernetes Engine(GKE)でそのプラットホーム上でコンテナを動かすためのマネージドサービスを提供してきた。Kubernetesユーザーのニーズはさまざまだが、でもこれまでのところGoogleはGKEの単一のティアのみを提供し、それは必ずしも、同社が顧客として捉えようとしているハイエンドのエンタープライズユーザーには向いていなかった。しかしながら米国時間4月16日に同社は、新しい機能を数多く備え、SLAに経済的条件を導入し、セキュリティと自動化の機能を高めた、より高度なエディションのGKEであるGKE Advancedを発表した。GKE Advancedはいわば、GKEのエンタープライズバージョンだ。

この新しいサービスは本年の第2四半期にローンチするが、料金はまだ発表されていない。通常のバージョンのGKEは、GKE Standardと呼ばれる。Googleによるとこのサービスは、社内的に何年間も複雑なコンテナインフラストラクチャを動かしてきた経験から学んだことが、ベースになっている。

エンタープライズの顧客にとっては、SLAに経済的条件(SLOが達成されないときの返金制)が盛られていることが嬉しいボーナスだ。ここでの基本的な約束は、リージョナルクラスターの保証可用性(SLO)が99.95%であることだ。

マネージドなKubernetes環境を選んだユーザーの多くは、クラスターを自分で管理する面倒を避けたいからそうしている。しかしGKE Standardでは、クラスターのスケーリングに関してユーザーが一部の作業をしなければならない。そこでGKE AdvancedではVertical Pod Autoscalerと呼ばれるツールがリソースの使用状況をたえずウォッチし、必要に応じてリソースの伸縮を図る。またNode Auto Provisioningツールは、GKE Standardにあるクラスターオートスケーリングの高性能バージョンだ。

GKE Advancedは本体のこれらの機能だけでなく、GKE Sandboxのようなセキュリティ機能も加えている。このサンドボックスは目下ベータだが、GKE Advancedだけにしかない機能になる。そして、コンテナ環境では署名があって検証されたイメージだけしか使われないように強制する。

このサンドボックスは、GoogleのコンテナサンドボックスランタイムgVisorを用いる。これによってどのサンドボックスも自分だけ用のユーザースペースカーネルを取得し、セキュリティの層がひとつ増える。またBinary AuthorizationによってGKE Advancedのユーザーは、すべてのコンテナイメージが信頼された機関によって署名されてからでないとプロダクションに入れられないようにできる。コンテナに悪意あるコードを潜ませることは論理的には可能だが、コンテナのリリースにこのプロセスが課せられることによって、検定され認可されたコンテナのみがその環境で動けるようになる。

GKE AdvancedにはGKEの利用計測機能があるので、社内での利用状況に応じて各部門に課金の適性な分担を求めることもできる。これもやはり、GKE Advancedのみの機能だ。

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Google Cloudがサービスメッシュのためのネットワーキング管理ツール「Traffic Director」を発表

いつも新しいテクノロジーが、新しい用語の一群を引き連れてやってくる。コンテナ化された世界では、アプリケーションは離散的な小片すなわちマイクロサービスに分割される。そんなサービスが増殖すると、サービスメッシュと呼ばれるサービスのネットワークが作られ、その上で彼らは対話する。このような新しいテクノロジーはつねに管理層(マネジメントレイヤ)が必要になり、とくにここではネットワークのアドミニストレーターが新しいコンセプトであるサービスメッシュを理解しコントロールしなければならない。

米国時間4月9日のGoogle Cloud Nextカンファレンスで同社は、オープンなサービスメッシュのためのTraffic Directorのベータを発表した。それはサービスメッシュの中で起きていることの、ネットワークの管理者による理解を助ける。

Google Cloudで技術的インフラストラクチャのエンジニアリングを担当しているヴァイスプレジデントのBrad Calder氏が、このツールを紹介するブログ記事でこう言っている。「サービスメッシュの採用を加速しその管理の苦労を減らすために、Traffic Directorをご紹介できることはきわめて喜ばしい。それはサービスメッシュのためのエンタープライズ対応の構成とトラフィックコントロールのプレーンであり、その上ではグローバルな回復力とインテリジェントなロードバランシング、および、カナリアデプロイメントのような高度なトラフィックコントロールが可能である」。

Traffic Directorは、オペレーションがサービスメッシュを自分たちのネットワーク上にデプロイする方法を提供し、その仕事ぶりやシステムのほかの部分との対話をより強力にコントロールできるようにする。このツールはGCP上のVirtual MachinesやCompute Engineで利用でき、コンテナ化されたアプローチではGCP上のGKE(Google Kubernetes Engine)で使える。

このプロダクトは4月10日の時点でやっとベータだが、そのロードマップには新たなセキュリティ機能とハイブリッド環境のサポート、そして最終的には、昨日同社が紹介したハイブリッド管理ツールAnthosとの統合も行われる。

関連記事: Google’s hybrid cloud platform is coming to AWS and Azure(ハイブリッド環境&マルチクラウド環境管理ツールAnthosの紹介、未訳)

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米国土安全保障省が企業用VPNアプリケーションのセキュリティの欠陥を警告

米国の国土安全保障省のサイバーセキュリティ部門が発行した警告によると、企業用のVPN(Virtual Private Networking、仮想非公開通信網)アプリケーションの一部には、セキュリティ関連のバグにより、遠方からアクセスした犯人が会社の内部的ネットワークに侵入できるものがある。

カーネギーメロン大学の脆弱性開示センターCERT/CCの一般公開開示を受けて米国時間4月12日には、国のCybersecurity and Infrastructure Security Agencyが警告を発行した

Cisco、Palo Alto Networks、Pulse Secure、およびF5 Networks、計4社の作ったVPNアプリケーションは認証トークンとセッションクッキーをユーザーのコンピューターに不正に保存する。これらは消費者ユーザーがプライバシーを護るために従来から利用してきた消費者向けVPNアプリケーションではなく、遠方の社員らが会社のネットワーク上のリソースにアクセスできるために、通常は企業のITスタッフが設置する企業向けVPNアプリケーションだ。

これらのアプリケーションはユーザーのパスワードからトークンを作り出し、ユーザーのコンピューターに保存してユーザーをログイン状態に保ち、彼らが毎回パスワードを入力しなくてもよいようにする。しかしそのトークンが盗まれると、ユーザーのアカウントにパスワード不要でアクセスできるようになる。

マルウェアなどを利用してユーザーのコンピューターにアクセスした犯人は、トークンを盗み、それらを使って、そのユーザーと同じ授権レベルで企業のネットワークにアクセスできる。つまり会社のアプリケーションやシステム、データ等にアクセスできる。

今のところ、Palo Alto Networksのみが、同社のGlobalProtectアプリケーションが脆弱であることを確認している。同社は、WindowsとMacの両クライアント向けにパッチを発行した

CiscoとPulse Secureはアプリケーションをパッチしていない。F5 Networksは、トークンの不正な保存を少なくとも2013年から知っていたが、パッチをリリースする代わりに、二要素認証の利用をユーザーに勧めているそうだ。

CERTの警告によると、同様の欠陥はそのほかの数百ものアプリケーションにある、とされるが、それらを確認するテストはこれからの課題だ。

関連記事: サイバーセキュリティ強化のためにチェックすべきトップ5

画像クレジット: TechCrunch

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IoTのセキュリティサービスは需要急増でArmisは早くもシリーズCで70億円相当を調達

Armisは、エージェントを使わずにネットワーク上のIoTデバイスを保護する。その技術は市場のニーズにフィットしたらしく、同社の売上は前年比で700%も増加した。そしてそれは当然投資家の関心を惹き、彼らは同社にシリーズCのラウンドで6500万ドル(約70億円)を、同社の成長の加速を今後も維持するために注入した。

Sequoia Capitalがそのラウンドをリードし、新たな投資家としてInsight Venture PartnersとIntermountain Venturesが加わった。また、これまでの投資家Bain Capital Ventures、Red Dot Capital Partners、そしてTenaya Capitalも参加した。同社によると、これで調達総額は1億1200万ドルに達する。

同社は、ネットワーク上のデバイス管理の中でもとりわけ難しい問題を解決する。デバイスはあちこちにあるけど、それらの上でエージェントを動かせないとしたら、どうやって管理するか?同社の協同ファウンダーでCTOのNadir Izrael氏は曰く「古いデバイスは、ポートをスキャンしただけでシャットダウンしてしまうこともある。細心の注意が必要なんだ」。

そこでArmisは、受け身なアプローチでセキュリティの問題に臨む。まず、正常なデバイスのやることを観察し学習し理解する。それらは、動作の指紋のようなものだ。Izrael氏は次のように語る。「デバイスがネットワークの上でやることを観察する。彼らがどう振る舞うかを見る。そこから、必要なことをすべて見つけ出す。Amisの本質は、デバイスのビヘイビアを知るための大きなクラウドソーシングエンジンだ。基本的に、Armisのどのクライアントも、デバイスの動作をつねに学習している。そしてそれらの統計モデルや機械学習のモデルをもとに、マスターモデルを作る」。

データの取り方の詳細は聞かなかったが、いずれにせよ同社の技術はセキュリティの痛点を捉えているのだろう。同社は1年前に3000万ドルのシリーズBを発表したばかりだが、成長がはやく人手が足りないので、新たな雇用のための資金が必要になった。

急成長はそれ自身がスタートアップにとってチャレンジになる。今125名のワークフォースを年内に倍にしたいのだが、新しい社員たちと新しい顧客のためのシステムを即動くように整備することも欠かせない。

もちろん新社員は営業とマーケティング方面でも必要だが、そのほかにカスタマサポートの充実や、パートナーシップ事業によるシステムインテグレータやISV、MSPたちからの協力も重要だ。彼らは、同社のためにも顧客のケアをやってくれるだろう。

関連記事: Armis raises $30 million Series B as enterprise IoT security heats up(ArmisのシリーズB、未訳)

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Google Cloudはクラウドのシェアを伸ばす方法として垂直市場に深入り、まずリテールから

GoogleはAdobeやSalesforceではないが、でもリテイラー(小売業)の要求に見事にフィットするスキルがあり、それによって顧客の体験を良くすることができる。そのスキルの中には、ピーク時でもお店のWebサイトやアプリが確実に動き続けるようにすることも、含まれるだろう。米国時間4月10日のGoogle Cloud Nextカンファレンスで同社は、その垂直戦略(業種別戦略)の例として、複数のソリューションから成るパッケージを紹介した。

また今朝は、同社がSalesforceとのパートナーシップの新たな段階を発表した。それは、コンタクトセンターのAIツールとチャットボットをSalesforceのデータと組み合わせて、両社の長所をより強化し、より良いカスタマーサービスの体験を作り出すプロダクトだ。

しかしGoogleにはSalesforceのような有名企業とのパートナーシップだけでなく、リテイラー向けの独自のサービスもある。それはたとえば、お馴染みのブラックフライデーのような小売店向け販促サービスだ。クラウドの価値がいちばん分かりやすいのは、ブラックフライデーのようなイベントだ。ご存知のようにその日には、サーバーが大量のトラフィックの爆撃に見舞われる。

クラウドは常に、このようなイベントを容易にスケールアップできるが、しかし完全ではない。Amazonは昨年、Prime Dayにサーバーが遅くなった。リテールのウェブサイトが遅くなったりダウンすれば大量の売上を失うから、Googleはそれが起きないように企業を助けたい。

そのために同社は、オンラインのリテイラー専用のサービスeCommerce Hostingを提供する。この特別プログラムでリテイラーは、技術的なレビューやピーク時のオペレーションのサポートなど、行き届いた世話をしてもらえる、という。つまり小売企業のサイトが需要増でダウンしたときでも、損失の大きい惨憺たる結果が生じないようにする。

またGoogleのリアルタイム在庫管理ツールを使えば、店員もお客もどの品番のソックスがあるか、ないかを正確に知ることができる。これもGoogle Contact Center AIと同じく、AIを使っている。Cloud Visionテクノロジーにより、顧客がカメラを商品に向けると、類似製品や関連製品を教える。そしてRecommendations AIは、お客が買った商品の関連商品をおすすめする。

ShopifyやIkeaなども、同社のリテールの顧客だ。またAccentureやCapGemini、DeloitteのようなSIパートナーや、Salesforce、SAP、Tableauのようなソフトウェアパートナーとも協働している。

Googleはこのように多面的なサービスを揃えて、さまざまな垂直市場(業種別市場)に対応しようとしている。それにより、どの業種にも、クラウドのアドバンテージを享受してもらいたい。これが、Google Cloudがソリューションを売っていく新たな方法であり、それによってクラウドのマーケットシェアを増やしたいのだ。

関連記事: Salesforce and Google want to build a smarter customer service experience…SalesforceとGoogleがカスタマーサービスで提携(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

API管理サービスのApigeeもハイブリッドのバスに乗り込んできた

今年のGoogle Cloud Nextは、ハイブリッド環境のサポートが大きなテーマだった。だから、同社が2016年に2億6500万ドルで買収したAPI企業Apigeeもまさに、その機に乗ろうとしている。米国時間4月9日、Apigeeはハイブリッド環境向けのプロダクトApigee Hybridのベータを発表した。

長年Oracleにいて最近Google Cloudに来たAmit Zavery氏とNandan Sridhar氏が、共著のブログ記事でこの新製品を説明している。「それはAPI管理プラットホームであるApigeeの新たなデプロイメントオプションであり、それによりユーザーはランタイムをどこででもホストできる。自分のデータセンターでもよいし、あるいはパブリックなクラウドのどれかでもいい」。

今朝Googleが発表したハイブリッド環境管理サービスAnthosと同様に、こちらはAPIをどこで動かしても単一の方法で管理しよう、というものだ(Anthos参考記事12)。

Zavery氏らのブログ記事は、次のように述べている。「Apigee Hybridによって、すべての環境にまたがる単一のそして完全なAPI管理ソリューションが得られる。ユーザーはAPIとそれらが露出するデータをコントロールでき、企業内のすべてのAPIに対する統一的な戦略を確保できる」。

この発表は、多様な環境から成る顧客のコンピューティングシステムをひとつの全体としてサポートしようとするGoogleの全体的な戦略の一環だ。そういう混成環境のことを、昨今はハイブリッドクラウドと呼ぶことが多い。今日のクラウドネイティブの世界では、この考え方は、ユーザーのデプロイメントをそれらがある場所にとらわれずに管理するための、単一のファブリックを提供することに通ずる。

このApigee Hybridも、そんな考え方の延長であり、しかもそれは今やコンテナ化とクラウドネイティブコンピューティングの最前線に位置するオープンソースツールのKubernetesを開発したGoogleにふさわしいやり方だ。ハイブリッドだから純粋にクラウドネイティブではないが、その精神は引き継いでおり、コンピューティング全般に対するGoogle Cloudのアプローチの視界にはしっかりと含まれている。だからこそ、それは、今年このカンファレンスで定義されようとしているのだ。

関連記事: GoogleAPI開発の上場企業、Apigee62500万ドルで買収へ

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Google Cloudの2つの新データセンターがソウルとソルトレイクシティで2020年稼働

米国時間4月9日に開催されたGoogle Cloud Nextで同社は、2020年までに新しいデータセンターを2つ稼働させる。ひとつは韓国のソウル、もうひとつは米国のユタ州ソルトレイクシティである、と発表した。

同社は、他のウェブスケール企業たちと同じく、これまでの数年間、新たなデータセンターの建設に邁進してきた。今では15リージョンが計45ゾーンをホストしている。これにより同社は13カ国にプレゼンスがあり、2016年から2018年にかけては470億ドルという巨額の資本的支出を行ってきた。

Googleのデータセンター(画像提供: Google)

プロダクト管理のディレクターのDominic Preuss氏は、次のように述べた。「韓国ソウルの可用性は2020年の早期に発表できるだろう。これにより、アプリケーションを構築する顧客には3つのゾーンを持つ1つの新しいリージョンが提供される。なお、顧客には、その市場の自分たちの顧客にサービスを提供しようとしている多国籍企業や、グローバル展開を目指している地元企業が含まれる。これによって弊社は彼らのニーズに対応することができ、彼らは自分たちが望むやり方で顧客に奉仕できるようになる」。

さらに付け加えて、「ソルトレイクシティはオレゴンとロサンゼルスに次いで合衆国西部における弊社の第3のリージョンになる。デベロッパーは西部において、複数のリージョンにまたがる分散アプリケーションを構築できるようになる」。

なお、同社の発表では日本の大阪の新しいデータセンターは数週間後に稼働を開始する。インドネシアのジャカルタに建設中のデータセンターは、来年前半に稼働開始の予定だ。

【訳注】上の地図はおかしいので、正しくはこちらをご覧ください。

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企業と社員のアップル製デバイス管理を自動化するFleetsmithが海外進出を目指す

Fleetsmithは2016年に、クラウド上のApple(アップル)製デバイスを管理することをミッションとしてローンチした。同社はAppleのDevice Enrollment Program(日本語ページ)を利用して、これまでは複雑だったITの活動を単純化する。同社は昨年そのサービスを大幅に充実し、そして米国時間4月8日、Menlo VenturesがリードするシリーズBのラウンドで3000万ドルを調達したことを発表した。

Tiger Global ManagementとUpfront Ventures、およびHarrison Metalがこのラウンドに参加した。契約の条件として、MenloのパートナーですNaomi Pilosof Ionita氏が同社の取締役会に加わる。彼女の同僚であるMatt Murphy氏が取締役会のオブザーバーになる。同社発表のデータによると、これで同社の調達総額は4000万ドルあまりになる。

同社の共同創業者でCEOのZack Blum氏によると、最初のミッションは痛点の解消を目指し、共同創業者はAppleのデバイスを管理する現代的なアプローチを手探りで探した。Blumはこう説明する。「Fleetsmithを利用すると、顧客企業はデバイスを社員たちに直接配布できる。そして、それをもらった社員はWi-Fiに接続し、デバイスは自動的に管理システムに登録される」。

彼によると、このような自動化と、同社プロダクトのセキュリティおよびインテリジェンスの機能が合わさって、ITはデバイスの登録やアップデートについて心配する必要がなくなる。社員は、世界中のどこにいてもよい。

最初は主に中小企業に問題解決を提供していたが、最近では規模の大小を問わず、ワークフォースが分散している企業が主な顧客だ。そういう企業にとっては、どこからでも自動的に登録ができるのでとても便利だ。登録が完了したら顧客企業は、会社の全社員にセキュリティアップデートをプッシュしたり、必要ならアップデートを強制できる。ただし社員がクライアントところで会議に出ていることもあるので、そのようなアップデートができない場合には、強力なリマインダーを送る。

昨年同社は、ITが管理下のすべてのデバイスを一望にできるために、ダッシュボードを開発した。それを見ると、個々のデバイスの健康状態や問題点が分かる。たとえば、ディスクの暗号化をやっていないMacBook Proが数台見つかるかもしれない。

このダッシュボードは、Office 365やG Suiteのアイデンティティ管理部位に統合できる。ITはこれら両ツールから直接に社員をダッシュボードへインポートし、すると社員はFleetsmitこれらツールの認証情報でサインインできるから、全社員を管理下に収めることが迅速にできる。

スクリーンショット提供: Fleetsmith

Fleetsmithはまた、Managed Service Providers(MSPs, 各種のマネージドサービスのプロバイダー)とのパートナー事業により、そのリーチをさらに広げた。MSPsは中小企業のITを管理しているから、彼らとの関係を構築すればFleetsmithの拡大も迅速に行える。

現在同社は社員数30名、顧客企業数1500社に成長しているから、このやり方がうまく行ってるようだ。今回の新たな資金は今後のさらなる社員増と、プロダクトの能力拡大、そして海外進出に充てられる(これまでは米国市場のみ)。

関連記事: 中小企業の多様なApple製品の利用を自動化クラウドサービスで管理するFleetsmith$7.7Mを調達(同社シリーズA時)

画像クレジット: MacFormat Magazine / Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

プロセスマイニングからカスタマーエクスペリエンスへと向かうCelonis

Celonisは、企業内部のプロセスの理解と改善を自動化する活動である「プロセスマイニング」というアイデアを生み出した企業だ。しかし、企業が自社の内部プロセスを理解することの効果は限定的なものだ。最終的には、企業はその情報を使用して、カスタマーエクスペリエンスを向上させる必要があるからだ。だが本日発表された新しい運用レイヤーが、それらを実現するのに役立つかもしれない。

カスタマーエクスペリエンスの管理について考えようとする際に、私たちがまず意識するのは消費者向けアプリケーションやWebサイトである。もしそれがうまく機能していない場合、あるいは購買プロセスに不要な摩擦がある場合には、顧客を失ってしまう可能性がある。

しかしCelonisの共同CEO兼共同創業者であるアレクサンダー・リンケ氏は、プロセスの最前線での摩擦を排除することは、解の一部に過ぎないのだと語る。製造業者や倉庫そしてバックエンドシステムを含む配送システムのどこかに問題がある場合には、そこで起きる摩擦もやはり難しい問題となるのだと彼は述べている。

「プロセスマイニングが本当に役立つのは、摩擦がある場所を明らかにしてくれることです。企業が直面する最大の課題は、運用の中に大量の摩擦があることです。物品は滞留し、配送は遅延し、顧客との約束が破られています」と彼は言う。

Amazonがうまく機能する理由の一部は、顧客が簡単に注文をWebサイトまたはアプリケーションで出すことができるようにしただけでなく、注文を受け取ったAmazonが、約束された時間内に商品を顧客に届ける方法を考え出したことだ。もしそのプロセスに遅延があったなら、人びとは、今ほどAmazonに引き寄せられることはないだろう。

しかしほとんどの企業はアマゾンのような優れた運用環境を所有していない。そここそがCelonisが、運用上の問題点を特定しそれを自動化によって解消することで、支援できると考えている場所だ。「当初私たちは、見通しを良くして、複雑な企業の中で何が起きているかを理解することができる、発見のためのツールを販売していました。そして現在は、ますます多くの企業がこうして得られた洞察を運用に取り込もうとしているのです。問題に取り組み、不具合を修正し、そうした修正を自動化することを望んでいるのです」とリンケ氏は説明した。

これに対する同社の答えがWorkflow Engineのベータ版である。これは企業がその運用フローを改善することを助けるツールだ。説明によれば「コード不要、ポイントアンドクリックのワークフローにより、ビジネスアナリストがプロセスステップをアレンジし、システム間でプロセスフローを連携させることができます」ということだ。これには、SAP、Oracle、Salesforce.com、ServiceNow、Jiraなどの一般的なツール用に、すぐに使えるテンプレートが含まれている。

彼は、電子決済に切り替えてみたものの、顧客がまだまだ彼らの動きについて来ていない企業の例を挙げた。彼らは、ツールを使うことによってそうした顧客を特定し、そうした人たちに対してもし次回の注文を電子的に決済するのならばディスカウントをすると提案することができる(既に電子決済をしている顧客の邪魔はしない)。

同社はまた、SAPシステムへの接続を容易にするための新しいツールも発表した。リンケ氏が指摘しているように、世界中の企業でバックエンドを実行している、システム(財務、在庫、人事など)が何百も存在している。それらが抱える歴史と複雑さのために、接続は必ずしも容易なものとは限らない。

その解決のために、同社はBanyasを買収したことを明らかにした。Banyasは、SAPシステムのワークフローを自動化するためのツールであり、大規模組織全体のプロセスフローを理解し自動化するという同社のビジョンにぴったり合うものだ。

Celonisは2011年に設立された。現在700人以上の従業員を擁し、約7800万ドルを調達している。

画像クレジット: noipornpan / Getty Images

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(翻訳:sako)

コンテナのセキュリティをサービスするAquaがシリーズCで約68億円相当を調達

コンテナのセキュアな立ち上げを助けるAqua Securityが、Insight Partners率いるシリーズCで6200万ドルを調達したことを発表した。

これまでの投資家であるLightspeed Venture Partners、マイクロソフトのベンチャーファンドM12、TLV Partners、そしてShlomo Kramerも参加した。米国時間4月2日の投資で、「これまでの累積調達額は1億ドルを超える」と同社は言っている。

初期の投資家たちは、同社が2015年に創業されたとき賭けに出た。というのも当時はコンテナはまだ何者でもなかった。でもファウンダーたちは、次に来るものに関して確かなビジョンを持っていた。そしてその後、賭けはでっかく当たって今同社は、先行馬のアドバンテージを享受している。ますます多くの企業がKubernetesとコンテナの方を向くようになり、コンテナという特殊な環境を最初から想定したセキュリティ製品が必須になりつつある。

共同ファウンダーでCEOのDror Davidoff氏は、Fortune 500社のうち60社が同社の顧客だというが、その社名は明かさない。でもひとつのヒントとして、世界のトップバンクのうち5行が顧客だそうだ。そんなクラスの企業がコンテナのような新しい技術へ舵を切ったら、しっかりとしたセキュリティオプションなしでは本気で前へ進めない。それを、Aquaが提供する。

Davidoff氏はこう語る。「うちの顧客はみな、思い切った決断をして新しい技術を採用している。彼らは、既存のセキュリティツールでは問題を解決できないことも、よく知っている」。彼によると、みな最初は小さく始めるが、まわりでコンテナの採用が増えるにしたがって自分たちもコンテナの利用を拡大している。

コンテナのような軽量で短命(エフェメラル)なコンセプトはセキュリティの脅威も少ない、と思いがちだが、しかしDavidoff氏によると、コンテナはオープンな技術だから不正行為に遭いやすい。彼はこう言う。「今のコンテナは、誰も知らない初物技術ではない。多くの人に知られており、したがって危険性も増している。技術そのものがオープンだから、ハックもしやすいし脇道にも行きやすい。コンテナに機密情報があれば、その情報には容易にアクセスできる」。

Aquaは、コンテナのイメージをスキャンしてマルウェアを探し、安全を証明されたコンテナだけが確実に本番で動いているようにする。いわばAquaがコンテナの関所になるから、悪者が不正なイメージを挿入することが困難になる。しかしコンテナの短命という性質が、何かがこっそり入り込むことを許してしまう。DevOpsがいるところなら、欠陥コンテナを取り外して新たに証明されたコンテナに迅速に入れ替えるのも簡単だが。

同社は150名の社員がボストン周辺のオフィス、そしてR&Dチームはイスラエルのテルアビブにいる。今回の新たな資金で同社は、営業とマーケティングそしてカスタマサポートを充実させたい、と言っている。またプラットホームとしての能力を、サーバーレスコンピューティングなど新しい領域にも拡張したい。あれやこれやでDavidoff氏の皮算用によると、今から12ないし18カ月後には社員数は倍増、顧客数は3倍から4倍増を期待している。

これだけの資金があれば同社は今後のコンテナ化の拡大に遅れを取ることなく成長でき、プロダクションにおけるコンテナを安全に保ちたいと願う各社からの、セキュリティソリューションの需要に対応していけるだろう。

関連記事: Four years after its release, Kubernetes has come a long way(Kubernetesの誕生後の4年は長い旅路だった、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Driveが電子署名や機械学習ツールなど統合して事務処理自動化へ

Googleは米国時間4月3日、ファイル保存サービスDriveに、いくつかの新しいワークフローを統合したことを発表した。それによりこのサービスは、電子署名のDocuSignや、プロセス自動化プラットホームK2Nintexの機能を持つことになる。

これらの新たな統合はどれも一見平凡だが、ユーザーの日常の仕事をすこし楽にしてくれることは確かだろう。DocuSignの統合によって、Google Driveの中でドキュメントを作成、署名、そして保存できるようになる。合意の署名を交わしたら、請求やアカウントのオープン、決済などの事務処理もDriveの中でできる。

K2の統合はやや違って、同社の機械学習ツールにフォーカスする。それによってユーザーは、Googleの機械学習ツールを使って、ワークフロー上でモデルを訓練し、たとえばローンの承認否認判断を自動的に行い、さらにそのローンの申込から承認までに関するすべての情報をGoogle Sheetに保存する。この統合は、Drive内の大量のドキュメントを見つけやすくするなど日常的なユースケースにも対応する。

K2でGoogleとの連携を担当しているバイスプレジデントのEyal Inbar氏は次のように語る。「K2はオンプレミスとクラウドの両方で、ユーザーの情報管理を単純化する。Google Driveとの統合で次世代型のコンテンツ管理サービスを顧客に提供し、彼らが自分のアプリケーションの中で強力なワークフローを構築実装できるようにする」。

Nintexのソリューションはやや専門的で、HRにおける契約管理のライフサイクルを扱う。契約の管理というときわめて地味に聞こえるが、これまた、自動化によって恩恵を得る重要な事務処理のひとつだ。

画像クレジット: Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images/Getty Images

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