遠隔地からも訪問者を確認できるリモート・ドアベルのi-Bell

Wi-fiを使ってネットワークと繋がるドアベルを提供しようとするi-Bellがクラウドファンディング・キャンペーンを展開している。家の中のみならず、どこにいてもスマートフォンから訪問者とコミュニケートできるようになるというものだ。

これまでにも似たようなデバイスはあった。たとえば昨年登場してきたDoorBotSkyBellを覚えている人も多いだろう(あるいは古いスマートフォンをビデオ機能付きドアベルに転用しようとするものもあった)。しかしイギリス発のi-Bellは、同様の機能を提供する各種デバイスと比べ、性能面で上回っているのだとのこと。

具体的にはどのような点が異なるのだろうか。i-Bellの共同ファウンダーであるGraham Kershbergによれば、i-BellはLinux Arm 11/Debianプラットフォームに構築されており、接続の安定性が増していることも大きな魅力であるはずだとのこと。ちなみにDoorBotにはビデオのやり取りに不安定な面があるのだそうだ。

さらにSkybellと比較すると、i-Bellではより多くの機能をサポートしているそうだ。既存のドアベルを外してドアベル用電源に接続する必要はなく、普通のコンセントないし充電式リチウムバッテリーで用いることができる。

またi-Bellはモーションセンサーや、リモートでのビデオ撮影開始機能をサポートしている。データをクラウドストレージに保存することができるようになってもいる。家に訪問してきた人のデータをすべて保存しておくこともできるわけで、自宅についてはビッグブラザー的な情報権力を手にすることができるわけだ。

さらにこのシステムには、応答できないときのためにボイスメールを残すための仕組みも備えられている。

訪問者を映し出すカメラはHD対応のもので、また広範囲ナイトビジョンの機能も持っている。すなわち暗くなってからの訪問者を映すこともできるようになっている。

現在は3万ポンドの資金調達を目指してKickstarterキャンペーンを展開中だ。キャンペーンの方は20日間を残して既に2万4000ポンド以上を調達しており、なかなか好調に展開しているようだ。出荷時期は11月を予定しているのだとのこと。

価格についても触れておこう。キャンペーン的な先着割引はすでにすべて売り切れの状態だ。現在用意されている価格は145ポンド/250ドルとなっている。DoorBotの199ドルに比べると高くも感じる。さらに言えばSkyBellもまた199ドルにて提供されている。

さらに言えば、ドアベルの価格としてみれば200ドル程度というのはかなり高価ではある。この程度の価格となるのであれば、スマートロックシステムと統合してしまえば、消費者のウケがよくなるかもしれない。両者の機能をあわせれば、遠隔地からやってきた人を認識するだけではなく、さらにうちの中に入って待っていてもらうということもできるようになる。

現在でもDoorBotはLockitronというスマートロックシステムとあわせて利用することもできる。しかし別々に購入して、それをあわせて利用するということが必要になる。確かに便利にはなるだろうが、非常に高価なものとなってしまうのだ。双方を最初からあわせてしまうことで、価格的にも利用者に訴えかけることができるようになるだろう。

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(翻訳:Maeda, H


速報:AppleとIBMがハード、ソフトで全面提携―エンタープライズ分野に激震

AppleはIBMと戦略的提携関係を結んだことを発表した。これによりIBMの150以上のエンタープライズ向けITアプリとツールがAppleのプラットフォームにネーティブで移植される。同時にIBMは世界各国でAppleのiPhoneとiPadを顧客企業に販売する。CNBCのインタビューに答えて、AppleのCEO、Tim CookとIBMのCEO、Virginia Romettyは「AppleとIBMはぴったりと合うジグソーパズルのピースのような関係だ」とその提携が理想的であることを強調した。

この提携によってAppleはIBMのビッグデータとそのアナリティクス処理能力にアクセスできるようになる。またIBMと提携して開発されるクラウドアプリは「下はiPhoneやiPad」までサポートする。これにより、iOSベースのクラウド・サービスはセキュリティー、アナリティクス、大規模モバイルデバイス管理ツールなどが飛躍的に強化される。

いわゆるiOS向けのIBM MobileFirstソリューションはさまざまな業種の特殊な企業ニーズに合致したアプリを提供する。CookとRomettyは航空機のパイロットの支援アプリを例に挙げた。またAppleは、IBMの10万人もの業種ごとの深い現場知識を持つコンサルタントの力を借りられるのはAppleがエンタープライズ・アプリを開発する上でこのうえない助けとなると指摘した。

ここ数年、企業へのiPadの普及とiPhone、BYOD〔私物デバイス持ち込み〕のトレンドなどにより、Appleのエンタープライズ分野への参入の条件が整いつつあった。

AppleとIBMがまず参入を狙う分野はプレスリリースによれば、小売、ヘルスケア、金融、保険、旅行、運輸、テレコムなどになるという。アプリケーションのリリースはこの秋から来年いっぱいかけて順次行われる。その内容はクラウドストレージ、セキュリティー、MDM〔モバイルデバイス管理〕からプライベートなアプリ・ストアまでエンタープライズ・システムの全分野にわたる。つまりGoogleが展開しつつあるPlay for Enterpriseに似ているが、Appleの場合は、IBMという膨大な実績を持つエンタープライズ分野の第一人者の力を借りることができるわけだ。

この提携にはAppleCare for Enterpriseも含まれ、顧客のIT部門に対し、24時間年中無休のサポートを電話とオンラインで提供する一方、IBMの社員はオンサイトでのサポートを行う。IBMは企業顧客に対してiPhoneとiPadの販売(リースを含む)を行う。

業界アナリストのTim Bajarinは、「この提携はGoogleとMicrosoftのエンタープライズ向けモバイル戦略にとって大きな打撃だ」 と指摘する。

Googleの次世代モバイルOS、Android Lの発表が近づく中、AppleとIBMの提携は今後さらに深化し範囲を広げていきそうだ。いずれにせよ、今秋にも始まるというこの提携に基づくアプリのリリースに注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Google、製薬大手のNovartisと提携―血糖値測定コンタクトレンズなどを5年以内に実用化へ

Googleは大手製薬会社のNovartisに対して血糖値を測定できるスマート・コンタクトレンズのテクノロジーをライセンスしたことを発表した。このコンタクトレンズが実用化されれば、糖尿病患者が苦痛なしに連続的に血糖値をモニタできるようになる。今後の開発はNovartisのAlconアイウェア事業部が担当する。NovartisのCEO、Joe JimenezはFinancial Timesのインタビューに答えて、「商用化に5年以上かからないよう期待している」と述べた。

GoogleとNovartisはまた別種のスマート・コンタクトレンズの開発でも協力していくという。これは現在、2焦点の遠近両用眼鏡を必要している人々がコンタクトレンズを利用できるようにする自動焦点調節機能を備えたコンタクトであるらしい。

有力テクノロジー企業が次々にヘルス、医療分野に参入する中で、今回明らかになったGoogleのアプローチは全く異なるものだった。NovartisのCEOはFTに対して、Googleの支援によって開発される血糖値測定や自動焦点調節機能を備えたスマート・コンタクトの市場は年間100億ドルから10年後には500億ドルにも上るだろう(アメリカの糖尿病患者数は増加を続けている)と述べた。

Googleの血糖値測定センサーとワイヤレス・チップの研究はマスコミに大きく取り上げられたが、本当に巨大な市場となる可能性が高いのは視力補正のスマート・コンタクトだ。もしGoogleが現在のデジタルカメラに備わっているようなオートフォーカス機能を備えたコンタクトレンズの開発に成功するなら、遠視、近視など目の焦点調節能力の障害の度合いに応じて、また読書や運転など用途に応じて多種類の固定焦点レンズを必要とする現在の不便が一挙に解消される。誰もが一種類のコンタクトレンズですむという理想的な解決策が得られる。

視力補正アイウェアは現在アメリカで100億ドルの市場となっている。Novartisとの提携でGoogleはこの市場で強力な地位を築くことを狙っているようだ。

〔日本版〕ラリー・ペイジ、サーゲイ・ブリンがGoogleを語る―ヘルス分野は規制が重荷、手を広げすぎた方が実は効率的という記事で、ラリー・ペイジは「ヘルス分野は規制が煩瑣過ぎる。参入するするには苦労が大きい。私が長時間を費やしたいようなタイプの仕事ではない」と述べたため、Googleのヘルス医療分野に関する今後の戦略に注目が集まっていた。Googleは規制のクリアや販売、サポートという膨大な手間のかかる非テクノロジー的作業にリソースを費やすことを避け、十分なノウハウを蓄積したNovartisのような有力パートナーにそれを分担させるというアプローチを取ったようだ。

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Googleが買収したBoston DynamicsのBigDogロボットを海兵隊がリムパックでテスト

この1分間のYouTubeビデオにはGoogle傘下Boston DynamicsBigDogロボットを海兵隊がハワイの演習場でテストする様子が撮影されている。このテストは大規模な多国籍海軍演習、リムパックの一環として行われている。

DARPAと海兵隊はL3S(Legged Squad Support System)〔脚移動式分隊支援システム〕実用化に取り組んでいる。この“pack mule”(荷ラバ)ロボットの目的は複雑な地形で兵士と共に行動して重量物を運搬することだ。ビデオにはまさにその様子が写っている。

Brandon Dieckmann上等兵は、実験の初日に、「このロボットは他の輸送手段では通行が不可能が深い藪の中を抜けてわれわれのチームと行動を共にしました」と語っている。

「最初は皆このロボットがこんなに踏破力があるとは思いませんでした。私の感触では、このロボットはわれわれが歩ける場所の70%から80%を歩けるようです」とDieckmann上等兵は言う。

ちなみに、この恐ろしげな様子のロボットが運んでいたのは水を入れた水筒などの補給物資だ。

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AdobeのInkとSlideを使ってみた…プロの道具だが操作が難しい面も


 
 

InkはSlideAdobeの初めてのハードウェア製品で、特殊なスタイラスとデジタル定規のセットだ。

これらを使用するためのアプリがAdobeのLineで、これを使うことによって図形や直線などをきれいに描くことができる。

スタイラスのInkはアルミ製で、ルックスも手触りもよろしい。しかも、立派な仕事ができる。わずかなディレイ(遅延)はあるが、Bluetoothで接続するスタイラスとしては上出来だ。

一方Slideは、使いづらい。Adobeは磁気ビットを使って人間の容量性のタッチをシミュレートするやり方を選んでいるので、Slideを正しく使うためにはそのビットに圧力を加える必要がある。iPad miniのような小さなデバイスでは、この‘正しく’が難しい。

スタイラスのInkには、あるデバイスの上で描いた図を、ほかのデバイスに落とすなど、便利な機能がいくつかある。

InkとSlideには、そのほかにも、プロのグラフィックデザイナーにふさわしいお利口な機能がいろいろある。それらを本気で使いたい人にとっては、199ドルは高くないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


撮影用照明ドローン、MITとコーネル大で研究中

いったい空飛ぶクワッドコプターに出来ないことはあるのだろうか?MITおよびコーネル大学の研究者らは、空飛ぶ撮影用照明システムを作った。露出計、カメラフラッシュ、連続照明を備え、フォトグラファーはどんな角度からでも完璧なショットが撮れる。

ロボットは、ホバーリングしながら被写体の位置と撮影者の位置を考慮して、極めて厳密なライティングで被写体を照らすことによって、完璧なスナップショットを撮ることを目的にしている。

このシステムは、「rim width[リム幅]― 照らされた被写体の縁の理想的な幅」という考えに基づき、「動きのあるショットでも繊細なリムライティングを可能にする」。この照明効果は、写真ハウツーサイトによると、背面照明あるいはヘアーライトなどと呼ばれることもあり、被写体の後方から照明を当て、光の輪隔を作るものだ。

もちろん、いつでもリムライティングが欲しいわけではないので、もう少しバラエティーに富んだ写真を撮れるよう、ヘルパーロボットを訓練できるものと思いたい。これは、ロボット飛行体がいかに人間と一緒にスムーズに働けるかを示す、コンセプト証明でもある。

「苦労したのはUAV[無人飛行体]の非常に複雑な動きと、照明推定のフィードバックだった」と研究者のFrédo Durandは言った。「われわれはそこに力を注ぎ、ドローンが飛び続けるために必要な非常に高速な状態でも動作するように、またライダー[レーザー式レンジファンダー]や照明推定システムから来る情報を確実に処理できるようにした」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


MakerBot、アメリカの一部ホームセンターで3Dプリンターの店頭販売を開始

大手ホームセンター・チェーンのHome DepotがDIYのコンセプトを拡張中だ。一部の店舗で試験的にMakerBotの3Dプリンターを販売することにした。最新世代のReplicator MiniとDigitizer 3Dスキャナーがメーカー希望販売価格で販売される。

このパイロット・プログラム(pdf資料)では、カリフォルニア州、イリノイ州、ニューヨーク州の12の店舗で3Dプリンターのデモと販売を行う。Home Depotでは3ヶ月前から3Dプリンターのオンラインで販売を始めていた。

もちろん単にMakerBotプリンターを棚に並べておくだけでは3Dプリンターをメイン・ストリームにするのには足りない。店頭で消費者にその能力をデモする必要がある。MakerBotは店頭のもっとも目立つ位置に展示され、3Dプリンティングについて専門的訓練を受けたスタッフがデモを行い、興味を示した客に出力製品をサンプルとして配るなどするという。

MakerBotプリンターはMicrosoft Store、Micro Center Storeでも販売されている。しかしHome Depotでの販売は、これまでのギーク向けと全く異なる顧客層がターゲットだ。つまりまだ3Dプリンティングそのものに馴染みのない一般消費者への売り込みの開始だ。

3DプリンティングがHome Depotのようなホームセンターに取って代わるということはないだろう。しかし近い将来3Dが成熟期を迎えれば、ストックのない特殊な商品を求められたときホームセンターは「それなら3Dプリンターで自分で出力すれば?」と提案するようになるに違いない。

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Microsoft、パートナー・カンファレンスでクラウド戦略を説明―「未来ではなく今の話だ」と強調

今朝(米国時間7/14)、Windowsパートナー・カンファレンスMicrosoftは会場のクライアントに向かって多様なクラウド・サービスを利益と顧客を増加させる有力な手段であると説明し、「クラウドは未来の話ではない。現在の話だ」と強調した。

今回のMicrosoftのプレゼンでは、市場の支配者というより、むしろ古い市場を捨てて新しい市場のシェアを獲得しようとする新参の反逆者のような表現が注目された。

ハードウェア

COOのKevin Turnerは「パソコンのエコシステムは依然として3億台の規模だ。Microsoftはそのうちの90%のシェアを握っている。しかしモバイルを含めた全デバイス市場ではわれわれのシェアはそれよりはるかに小さく、14%に過ぎない。現在Microsoftが全力を挙げているのが、このより広いデバイス市場でのシェアを獲得することだ」と述べた。

Turnerはさらに「90%のシェアを握っている場合、その姿勢は守りになる。しかし14%のシェアしか持っていない場合、ものの見方は少々変わってくる」と指摘した。

カンファレンスの全体を通じてMicrosoftは新しいデバイス、サービスに関するアグレッシブな姿勢を貫いた。プレゼンではSurface Pro 3、Windows Phone、OEMのWindowsタブレットなどのモバイルデバイス、Office 365、CRMツール、Sharepoint、Windows Azureなどのクラウドベースのソフトウェアが終始強調された。

ソフトウェア

TechCrunchが1年近く前に指摘したように、クラウド化、サービス化にともなってMicrosoftのビジネス構造には大きな重心の変化が起きている。Turnerによれば、Sharepointの売上は20億ドルに達しており、Office 365は「われわれの商用プロダクト中で最速の成長ぶりを示している」という。またAzureは2014年度に入って新たに4万2000のユーザーを獲得し、現在毎日1000件の新規契約があるという。

Turnerは「この変革への対応な容易なことではない」と認めた。たとえば「9インチ未満のスクリーンのWindowsデバイスにはロイヤリティを課さないという決断は辛いものだった」という。しかし「この新方針のためにメーカーがWindowsベースの小型のデバイスを開発する動きが加速された」とTurnerは述べた

戦略

ある分野ではMicrosoftはクラウド化をリードしている。Office 365はエンタープライズ・ソフトウェアの分野における大ヒットとなった。Azureも好調だ。だが新しいデバイス分野における競争では依然として遅れをとっている。モバイル戦略の中心となるWindows Phoneも成長はしているが、十分な速さとはいえない。これが「全デバイスを通算すると14%」という残念な数字の原因になっている。Windowsタブレットも市場を支配するようなシェアは獲得できていない。Microsoftはこの状況を打開するために、Windows搭載の低価格のノートとタブレットを今年後半に市場に投入する計画だ。

Microsoftの新プロダクトは非常に多岐にわたっているので、点数を付けるのは難しい。しかし同社の戦略ははっきりしている。Microsoftはあらゆるプラットフォーム上でクラウド・サービスを販売しようとしている。同時に、向こう5年程度で、ハードウェア、ソフトウェア双方でMicrosoft独自のプラットフォームを構築するというビジョンを抱いている。

下は今回のプレゼンの最後に表示された「2015年度のわれわれの攻勢計画」と題されたスライドだ。

〔日本版〕 1:クラウドに全力、2:モバイルで勝利、3:各分野で挑戦者に、4:顧客満足度向上 という目標を掲げている。

今日のイベントはマイクロソフトと提携してプロダクトを開発、販売するパートナー企業が対象だった。Microsoftは依然として伝統的なチャンネルを通じて伝統的なプロダクトを販売し、膨大な売上を得ている。しかしMicrosoftは、今後はサービスを販売することで、より多くの収益を得られるものと考えており、現在そのことをパートナーに納得させようと努力しているところだ。

画像; FLICKR USER ROBERT SCOBLE UNDER CC BY 2.0 LICENSE (IMAGE HAS BEEN CROPPED)

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Raspberry Pi、USBポートの増設や各種性能改善を行った新モデルのB+を投入

Raspberry Piは、誰もが驚く大成功を収めていると言ってよいだろう。このローコストLinuxマイクロコンピューターの販売台数は、その誕生以来2年ほどで250万台を超えることとなった。さまざまなホームメイド・プロジェクトでも利用されてきている。

このデバイスの製造元であるイギリスの非営利組織も、当初の販売予定台数をトータルで数千台程度であると見積もっていた。それと比較すれば、まさに「とてつもない数」のデバイスが売れたこととなる。

Raspberry Piをめぐってはさまざまなコミュニティが生まれ、またそれらから改善に向けての提案や要望も数多く出てきている。性能を上げてより広範囲で利用できるようにしようとするものだ。そうした声をうけてPi財団はBモデルを改良したB+モデルの発表を行った。価格は35ドルに据え置きとなっている。

新しいモデルではUSBポートが2台から4台に増設され、ホットプラグ対応を広げ、過電流に対応できるようになった。GPIOは現行26ピンのレイアウトはそのままで互換性を保ちつつ、そこに追加してトータルで40ピンとなった。さらにSDカードに替えてMicro SDスロットを搭載して専有エリアを小さくしており、全体として省電力となっている。さらにオーディオの性能を向上させ、USBポートの配置も使いやすく改良している。コンポジットビデオは3.5mmジャックの上側に配置され、Piの設置をやりやすくするための4つのマウント孔も設けられた。

新モデルのB+を紹介するビデオの中で、Pi財団のEben UptonはB+はPiの次世代版とはまた別のものであると述べている。新たなシリーズというわけではなく、旧モデルの最終アップデートとしての位置づけであるそうだ。すなわちRaspberry Pi 2というものが世に出てくれば、さらにすぐれた機能を提供してくれるということになる。

B+モデルは、これまで同様のチャネル(イギリスではElement 14およびRS Components)にて既に発売が開始されている。

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(翻訳:Maeda, H


ステッキをつきながら瓦礫の上を歩く2足歩行ロボット登場

Oussama KhatibおよびShu-Yun Chungの2人がSupraPedというロボットを開発した。両名はスタンフォード大学の研究者で、2足歩行ロボットにステッキをもたせることで歩行安定性を確保しようとする研究を行なっている。強靭なロボットに道具を持たせることで、とても踏破不能に見えるクレバスなどもロボットならではの姿勢制御で進んでいくことができる。

被災地などの物理的に混乱した場所でヒューマノイドロボットに作業させる場合、移動手段および制御方法を工夫する必要があります。私達は視覚・知覚機能を有する道具をもたせることで、2足歩行ロボットを3足ないし4足化することで状況に対応できるようにしました。多足化して安定性を増すだけでなく、ヒューマノイド型ならではの操作性も維持できているのです。

ヒューマノイド型を採用する理由は、たとえばタイヤを使ったものやキャタピラ型、あるいは空中移動型の場合、適用範囲が限定的になってしまうという理由があるようだ。また物体の操作に適した腕を使うことで、より詳細な分析が可能にもなる(その際はステッキは脇においておくことになる)。加えて、ステッキをついたロボットというのがおしゃれに見えるという理由もあるのではなかろうか。

このロボットについては論文がPDFで公開されている。香港で開催されたIEEE International Conference on Robotics and Automationにて発表されたものだ。

via Spectrum

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Maeda, H


薬の服用を忘れないようにする警報機能つき薬瓶のAdhereTechが$1.75を調達

電脳薬瓶(スマートピルボトル)を作っているAdhereTech が今日、シリーズAで175万ドルの資金を調達したことを発表した。投資家の名前などは、公表されていない。

同社はこの資金を同社の保健医療サービスの規模拡大に充てる。また、次世代の、より小型のピルボトルを開発する。それは、従来製品よりも小さくて安くて大量生産がしやすい製品になる、という。

AdhereTechが特許を保有するデジタルピルボトルは、患者が薬の服み忘れをしないようにする。薬を飲み忘れたら同社のWebサーバからテキストメッセージが送られてくるし、それでもだめならライトが点滅したり、チャイムが鳴ったりする。そういうアラートやメッセージへの患者の対応がおかしかったら、ケースマネージャが駆けつけるようにも設定できる。携帯やスマートフォンだけでなく、固定電話で通知が来るようにもできる。

AdhereTechは昨年から、The Walter Reed National Military Medical Center(国立ウォルター・リード陸軍病院)で、患者が臨床的に参加する薬学研究のためのパイロット事業を開始した。この夏その事業は拡大され、製薬企業や有力な研究機関も参加する。

また同社はアラバマ大学と共に、スマートピルボトルに対する2つ目の特許を取得して、それにより送信系を改良し、製品の知財保護をより強化できることになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Samsungもコモディティー化による「死の価格レース」に巻き込まれている

テクノロジーの歴史で繰り返し起きてきた現象がまた起きている。あるジャンルの製品があまりに多様化し、無数のメーカーによってありとあらゆる機能とデザインが試されると、ユーザーの選択の基準は最後には価格に収斂してしまう。いったんそういう状況になると、小回りの効く新興メーカーが低価格を武器に既存の大メーカーに挑戦し、大メーカーは高価なハイエンド製品にシフトして売上高を確保しようと試みる。たとえばDellはネットブック市場の不振にDell Adamoで対応しようとした。そしてけっきょくは底なしの価格競争に疲れ果てて全員が倒れることになる。

ノートパソコン、フィーチャーフォン、上記のネットブックなどみなこの運命をたどった。

どうやらこの「死の価格レース」がスマートフォン市場にもやって来たようだ。いっとき絶好調だったLGもHTCも不振が続いている。次にコモディティー化の波に飲まれそうなビッグ・プレイヤーはSamsungだ。今後ひどいことになりそうな予感がする。

私はGalaxyシリーズの大ファンだ。しかし最新のS5には乗り換えなかった。理由はソフトウェアだ。もともとAndroidは完璧には遠い(といえば非難のコメントが殺到しそうだ。こう感じるのは私だけなのだろう)システムだが、マルウェアがはびこり、Play Storeにはガラクタのアプリが大量に並んでますますユーザー体験を損ねている。私は我慢して使っているが、楽しんでいるわけではない。

そのうえSamsungにはライバルが次々に現れている。300ドルのCyanogenmodベースのギーク向けスマートフォンもあれば、HuaweiやLenovoのエントリー・モデルもある。特に中国ではSamsungのシェアが急速にXiaomiに奪われつつある。130ドルと手頃な価格ながらスマートなRedMiハンドセットはSamsungの安っぽいプラスチックのエントリーモデルから魅力を失わせている。KantarWorldPanel ComTechの5月末のレポートによると、4月にはXiaomiは販売台数トップの座を再度奪った。しかも顧客の4分の1はSamsungからの乗り換えだったという。

つまりSamsungはシェアは低いものの天文学的利益を積み上げているAppleから無名のハードウェア・スタートアップまで全員と競争しなければならない。

この好ましからゼル状況はSamsungの売上高の推移に現れ始めている。売上高は9%から11%ダウンし、利益は24%ダウンした。S5は起死回生の特効薬という触れ込みだったが、 そうはならなかった。笑ってしまうのはこのブルームバーグの記事と記事のURLの食い違いだ。〔記事のタイトルは『Samsung、四半期決算はアナリストの予想を下回るも業績回復を予測』だが、URLの文字列には『Samsung予測を下回る―低価格製品が不振』とある〕。ビジネス界は皆Samsungに回復してもらいたいのだが、そういう情勢にはなっていない。

テクノロジー・アナリストのBen Thompsonはこの点について鋭い説明を与えている。まず第一に「ほとんどの消費者は価格を第一に考える」。たとえばMoto GとSamsungのスマートフォンという選択では結局価格がものを言う。無数の類似製品の山の中ではブランドは無力だ。

Thompsonはこう書いている。

結局のところSamsungの最大の問題はソフトウェアで差別化ができていない点だ。そうなれば長期的な競争力の源泉は価格しかなくなる。この点ではHPとDellを先例として学習する必要があるだろう。スマートフォン市場はパソコン市場とよく似ている。独自のOSを搭載したハードウェアのメーカー〔Apple〕だけが巨額の利益を積み上げる一方で、それ以外の全てのメーカーはソフトウェアの支配者に利益を吸い上げられるだけの敗者となってしまう。

と、これが偽らざる実情だ。どんぐりの背比べの参加者で満員となった市場(そうではないと言っても無駄だ)では差別化の要因は価格だけになる。誰もそんな競争はしたくない。しかしけっきょくはそこに落ち込んでいくのだ。今後状況はさらにひどくなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ウェアラブル市場の分かれ目は「妥協」

フィットネスアプリとウェアラブルが牽引力を増す中、Android Wearの発表によって、消費者は初めて〈使えるであろう〉スマートウォッチを提示された。これからの数ヵ月や数年、この新カテゴリーは、MicrosoftのOSに対する統一アプローチ〈対〉AppleのiOSとMac OS Xの意図的な多様化、に似た決断を消費者に迫るだろう。

Windows 8は、「妥協なき」オペレーティングシステムとして設計されたことがよく知られている。タブレット、ノート、デスクトップを含むあらゆるカテゴリーのデバイスに統一された体験を提供する。これは、キーボード、マウス、タッチ、スタイラス等の複数タイプの入力、およびコートのポケットに入る小さなダブレットから、テレビ兼用にも使えるオールインワン機までの様々なフォームファクターを扱えるインターフェースをデザインすることを意味している。

Appleは正反対のアプローチを採用した。自社デバイスはそれぞれのフォームファクターに合わせて正しく妥協してデザインする。iPadのラインアップはタッチに、Macのハードウェアとソフトウェアはキーボードとマウスに、それぞれ最適化されている。

これまでのところ、二つの哲学の間に起きている矛盾は、伝統的PCにおけるWindows 8に対する緩やかな反応と、iPadがライバルのWindows 8タブレットたちを ― Microsoftがゴールをずらして、Surface 3タブレットの本当にライバルはMacbook Airだと言うところまで ― 圧倒しているという結果を招いている

SurfaceがノートPCとタブレットの融合体であるように、Android Wearデバイスは、フィットネス中心のウエアラブルとスマートフォン、それぞれから機能を取り入れている。歩数や心拍数を測定することができるスマートウォッチに、将来メーカーはさらに健康情報を得るために、あらゆるセンサーを投入するに違いない。センサーとバッテリーと画面を詰め込み、さらに道順を値るなど複雑な対話に必要なインターフェースを備えるために、彼らは大きさを犠牲にするだろう。

ウエアラブル界のもう一方の端には、Jawbone UPのように、センサーとワイヤレス機能以外をすべて剥ぎとったデバイスがある。これらの製品はより快適で、バッテリー寿命も長く、デバイス自身には事実上ユーザー体験がない。市場が拡大し、センサーが小さく安くなるにつれ、こうしたデバイスは安くなる一方だ。

どちらの哲学が消費者に受け入れられるかは興味深い。人々は、携帯電話を1台しか持たないのと同じように、1種類のデバイスを腕に巻き、最小限に妥協したデバイスを使うのか? それとも、固有の興味や健康への気遣いのために、減量用にリストバンドを1つ、睡眠習慣の監視にもう一つという具合に選ぶのか。

あるいは、ださいと思われることを乗り越えて複数のデバイスを身に付けるのか。片腕に通知と音声検索のためのスマートウォッチ、もう一方の腕にはセンサー満載の様々なデバイスを、用途に応じて取っかえひっかえするのかもしれない。

Android Wearが今日初めて市場に現れたばかりで、Appleの “iWatch” は来たる10月に発表されるであろうという今、予言するにはまだ早すぎる。どちらの会社とも両面作戦をとっているようだ ― GoogleはAndroid WearとGoogle Fitを提供し、Appleは自社独自のウォッチを作りつつ、Healthアプリで複数デバイスのデータを管理しようとしている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


すべての種類のエクササイズ/トレーニングに使えるジムトラッカーBeastがIndiegogoで資金募集中

最近は、ジムでやるトレーニングの状態や成果を教えてくれるハードウェアがいろいろある。たとえばPushStrength本誌記事)やGymWatchは、あなたがウンウン言いながら筋トレのためにウェートを持ち上げているときの、いろんな種類の測度を教えてくれる。

新たに登場したBeastは今、 Indiegogoで6万ドルを募集している。

これまでの類似製品と違うのは、このちっぽけなデバイスが、何種類かの〜〜ではなくて、すべての種類のエクササイズに使えて、状態や結果をリアルタイムで表示することだ。だからこれは、あなたのモチベーションを上げ(あるいはキープし)、またリフトなどをするときの間違った体の動きを防ぐ。

イタリアのミラノで生まれたこのセンサデバイスは、磁石で各種のウエート(ダンベルなど)やジムのマシンに貼りつき、またボディエクササイズのときは、ユーザは特製のBeast Vestを着用する。データはスマートフォンに送られて表示や記録をされる。

Beastは、あなたが今やってることの各種測度(スピード、パワー、重量、回数、体の動く方向、などなど)をリアルタイムで教えてくれる。スマホに表示させたい測度を、ユーザは指定できる。休憩時にそれまでの結果をチェックするためのアプリも、同梱されている。それを見て、いろんな反省ができる。Beastとそのアプリを使えば、ウエートの重量なども、今のあなたの状態に合ったものを教えてもらえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「千と千尋の神隠し」や「となりのトトロ」に続き「サウスパーク」もOculus Rift化完了

アメリカの人気アニメ「サウスパーク」をご存知だろうか。このアニメで描かれる街を、バーチャルで楽しめるようになった。

制作プロダクションのToolが、VR技術の向上を目的として、Oculus Rift向けにサウスパークのVR化を行ったのだ。

ちなみにこれはあくまでもテストプロダクトとしての位置付けであり、単純化されてしまっている部分もある。また何時間も遊べるようなインタラクティブな仕組みも用意されてはいない。何人かの住人を見つけ、また警官のBarbradyがパトロールする様子を見かければ、用意されているイベントをほとんどクリアしたことになる(但し、少なくともひとつのイースターエッグは用意されている)。

247ものエピソードの中で、街の様子も変わってしまっているところがある。それを正しくマップ化するのは不可能なことだ。それで街のデザインは、最近リリースされたSouth Park: Stick Of Truthというゲームを元にしている。風景はシーズン17で作られた3Dイントロに基づいたものとなっている。

物語やアニメのシーンをOculus化するという動きはほかにもいろいろとある。たとえばJerry Seinfeldの部屋や、「千と千尋の神隠し」の湯屋の風景、あるいは「となりのトトロ」のバス停シーンなどもVR化されている。小説『ゲームウォーズ』(Ready Player One)が予言していたように(この本は面白かった)、映画やゲーム世界で体験した世界を、VRで再体験するような動きが現実化しているわけだ。きっとホグワーツ魔法魔術学校も、まもなくOculus Riftを使って歩き回れるようになるのだろう。

Oculus Riftをお持ちでない方のためにはシミュレーターもある。こちらをチェックしてみると良いだろう。

訳注:「サウスパーク」はSouthpark Studios.comのサイトから全話閲覧できるようです。

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(翻訳:Maeda, H


ウェアラブルなオモチャ「Moff」、Amazon.co.jpとTokyo Otaku Modeで予約開始

Moff取締役エンジニアの米坂元宏氏と代表取締役の高萩昭範氏

クラウドファンディングサービスKickstarterで、目標金額の約4倍にあたる7万8800ドルを集めた日本発ハードウェアスタートアップMoffのウェアラブルなオモチャ「Moff band」。これまでKickstarterでしか手に入らなかったこの商品の一般予約が始まった。国内向けにはAmazon.co.jp(送料込みで5616円)、欧米向けにはTokyo Otaku Mode(送料別で53.99ドル)でそれぞれ予約できる。国内での発売は10月15日、海外では10月後半となっている。当初製造を予定するのは数千個。その後、ブラックフライデー(感謝祭翌日の11月の第4金曜日)以降に始まるクリスマス商戦に備えて増産していく予定だ。

Moff bandは、腕時計のように腕に巻き付けて利用するオモチャだ。内蔵する加速度センサーとジャイロセンサーによって人の動きを感知。Bluetooth 4.0でiOSのデバイスと連携し、専用アプリ上で、感知した動きにあわせて音を鳴らすことができる。

現時点では、チャンバラごっこや電子銃、ギター、ドラム、ピアノ、テニス、ゴルフなど、シンプルな動作で子どもが手軽に遊べるようなテーマを用意している。僕が実際に見せてもらったデモはドラムだったのだが、これが意外とすごいのだ。手を上に向けて振る、地面と水平くらいの向きに振る、下に振るという異なる動きをすると、上向きに振ったときはシンバル、水平に振ったときはスネアドラムというように、それぞれの動きにあわせて異なる音を鳴らすことができる。

Moff代表取締役の高萩昭範氏によると、これは高さの情報を取得するようなセンサーを内蔵しているわけではなく、前述の2つのセンサーで縦に手が動いている、横に手が動いているといった動きの「種類」をとらえており、その種類にあわせて音を変えているそうだ。ドラムのデモは残念ながら含まれていないのだけれど、以下がKickstarterで公開されていたイメージ動画になる。

高萩氏がMoffを設立するに至った経緯については、「『苦痛を感じるほどの課題はあるか?』、MoffがハッカソンからHWスタートアップで起業するまで」という記事で紹介しているが、同氏はコンサルティング会社のA.T.カーニーと、メルセデス・ベンツの商品企画に携わったのち、電子書籍のスタートアップの立ち上げ準備をしていたそうだ。この電子書籍の事業に関しては前述の記事にもない話だったのだけれど、その事業を始める前に参加した大阪市主催のハッカソン「ものアプリハッカソン」をきっかけに、ウェアラブルデバイスの開発を目指すことになったそうだ。「もともとは著作権切れした書籍を読めるサービスを考えていた。だが前職を考えても、正直なところ電子書籍よりIoT(Internet of Things)、特にT(Things)のほうが得意だった」(高荻氏)

Kickstarterでの注文に関しては、現在金型を作成しており、9月末にも購入者の手元に届くという。製品の組み立ては日本で行う予定。当初は中国の工場での組み立ても検討したが、最初に小ロット生産するのであれば、コミュニケーションにかかるコストも考慮して日本で組み立てるほうが安価だと判断したそうだ。なお、Kickstarterで集めた資金でKickstarterでの注文分の生産は可能だそうだが、Amazon.co.jpやTokyo Otaku Modeでの注文に向けて、現在エンジェルからの投資、そして融資で資金を調達しているとのこと。「すでにベンチャーキャピタルから出資を受けていると思われていることもあるのだがそんなことはない。ハードウェアを作るので、集めるときには大きく集めないといけないと思っている」( 高萩氏)


庭や畑に置く土壌センサEdynがKicistarterで目標額の3倍に達しそう

土壌センサEdynは1か月前に本誌の記事でご紹介した(日本語記事)。庭に置いておくと、光量、湿度、気温、土壌中の栄養分などを調べてくれるのだ。

同社は昨年のTechCrunch Disruptでローンチし、Kickstarterで最初の生産資金を獲得した(目標額は10万ドルだが6日後の締め切りには30万を超えるだろう)。同社は、支援者たちからのフィードバックに基づいて、製品の改良も行った。

99ドルのEdynは太陽光発電を使用する土壌モニタで、天候と土壌の状態を調べる。ユーザは二つのiOSアプリからデータにアクセスする。アプリは庭の現時点の状態をユーザに教え、植物の健康状態に関するアラートもくれる。さらに60ドル出すと、アクセサリとして、自動灌水用の水栓をもらえる。

協同ファウンダのJason Aramburuはプリンストン大学を出てから、東アフリカで農業を経験した。Edynをデザインしたのは、高名なデザイナーYves Beharだ。

最初の設計では電池寿命が2年半だったが、Kickの支援者たちからの不満を受け入れて7年にした。来年はAndroidもサポートする予定で、それと同時に自動水栓からの水の消費量を計測する機能も加えたい、と同社は考えている。

支援者はオーストラリア、イタリア、インド、中国、ブラジルなど、ほとんど世界中からで、用途は庭用と農業用の二派に(ほぼ半々で)分かれている。

下の新作ビデオは、とくに内部のセンサについて詳しく説明している。

Edyn Hardware and Software from Edyn on Vimeo.

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


自転車が夜道で追突されないための警報装置つきバックライトBacktracker、Dragon Innovationで資金募集中

南アフリカ共和国のハイテク企業iKubuが、サイクリストの安全を守るためのBacktrackerと呼ばれるデバイスを開発した。このデバイスは、後ろから接近してくる車までの距離と速度を教え、車が近づきすぎると車に対してはライトを点滅し、ライダーに危険を教える。

ファウンダたちはこのデバイスを、ライダーとドライバーの両方に対する通知システム、と位置づけている。ファウンダの一人Franz Struwigは曰く、“これは後ろから接近してくる車のスピードと距離を教え、また車に対してはライトの点滅で自転車の存在を教える”。このシステムは自転車用のレーダーセンサと、ライダーに対する通知機構から成る(iKubuはレーダーのメーカーでもある)。接近する車は、最初のうちは前方に、ゆっくり動く白いライトを見るが、高速で接近すると点滅によって危険を知らせる。

同社は南アフリカのStellenboschにあり、主にコンピュータビジョンを手がけている。自転車用の製品は、これが初めてである。試作とテストは完了した、とみなしている同社は今、本格生産のための資金をクラウドファンディングサイトDragon Innovationで募金している。

目標額22万6000ドルに達したら、製品は12月に発売される。初期支援者は149ドルで入手できるが、最終価格は199ドルだ。これだけ高度な機能をもつ自転車用後尾灯は、これまでありそうでなかっただけに、意外とヒット作になるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


リアル生活を第3者視点で見られるOculusプロジェクト

リアル生活で「カメラ視点変更」ボタンを押せたら、と思ったことはないだろうか。

この連中がやってのけた。もちろんそのためにはOclus Riftを着用し、巨大なデュアルカメラ装置付バックパックを背負う必要がある ― そして、これが楽しい(かつ吐き気をもようさない)のは恐らくほんの1分ほどだ。でも、確かにできる。

ポーランドの工作好き集団、mepiが作ったこのシステムは、カスタムメイド3Dプリンター製マウントに、GoProを2台、使用者の頭上高く設置する。Arduinoといくつかのサーボモーターにつながったジョイスティックを使って、使用者はカメラの視界を制御できる。

もし次期バージョンを提案させていただくなら、自動的に追いかけてくるドローンから、カメラ映像をワイヤレスでRiftに送ってほしい。最大の効果を得るためには、ヒゲの水道工事人のコスプレがおすすめだ。

[Via: 3dPrint.com]

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


心を読むマシンが、脳をハックする

スターウォーズは、心で物を動かすというアイデアの種を35年前にまいた。そのアイデアはこの数年間で急速な進歩を見せ、今現実となった。Emotivは、そのテクノロジーの最先端にあり、おもちゃのクルマを走らせたり、四肢麻痺者がDJのように音楽をミックスしたりすることを、脳の力だけ行うヘッドギアを開発した。

システムは、ヘッドギアに内蔵されたEmotiv EEG[脳波測定]デバイスを使って、人の脳波を読み取ることによって働く。装置は〈脳-コンピュータ〉インターフェースを通じて感情、興味、その他もろもろの信号を検知する。少々慣れが必要だが、上のビデオにあるように、ジェダイのスキルを使って、心で思うだけで物を動かすことができる。

この技術には様々な応用の可能性がある。障害者が史上最高のDJになったり、ビデオゲームをプレイしたり、ロボットアームに命令することが、心で思うだけでできてしまう。てんかん、HDHD、睡眠障害、一時的パニック障害等の人々が、心を落ち着かせ集中するのにも役立つ可能性がある。オーストラリアのロイヤル・オートモビル・クラブが委託したあるプロジェクトでは、Emotivを安全運転の促進に使っている。実験では、注意をそらされた運転者の脳シグナルを検知して、路上で車を減速あるいは停止されている。

そして、それは市場調査の世界にも踏み込んでいく。Emotivは、人が何かを本当に好きかどうかを、店でその商品を見た時の脳シグナルの反応を検知するだけで知ることができる。これを使えば、リサーチャーは、どの商品に人気か出るかどうかを質問すらすることなく知ることができる。脳の中を見るだけだ。

このテクノロジーの大きな脅威は、脳スパイウェアだ ― 特にビデオゲームの中で。認知神経のフィードバックを読み取ることによって、ゲームのレスポンスを高めることができだけでなく、ユーザーのプライベート情報や思考プロセスを、本人が知らなう間にハッカーに盗まれることもあり得る。盗んだ脳波シグナルから、銀行の暗証番号や、精神疾患を持っていることや、薬物依存があることなどが暴かれる可能性がある、とこの2013年の論文に書かれている。

Emotivは、EPOC版およびEEG版のシステムを提供している。EPOCヘッドセット(定価299ドル)では、デベロッパーがライセンスされたSDKを使って独自のアプリケーションを作ることができる。EEGヘッドセット(750ドル)は、EPOCの機能に加えて、EEGの生データを使って調査を行うことが可能だ。

このテクノロジーにはまだ長い道のりが残されているが、現時点で、四肢まひのDJがバーチャルワールドを動き回ったり、精神疾患を発見したり、市場調査を実施するために脳波を使えるところまできていることは、実に印象深い。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook