AmazonのWhole Foods買収でリテールのライバルの株価急落

Amazonが137億ドル〔1.5兆円〕という金額で高級生鮮食料品スーパーのWhole Foods Marketを買収したことは投資家を恐慌に追い込んだ。Wal-Mart、Target、Costco、Krogerを始めスーパーマーケット・チェーンの株価は軒並み急落した。

Amazonのビジネス帝国の規模、洗練されたロジスティクス、先進テクノロジー、それにもちろん巨額の資金はWhole Foodsのライバルを旧態依然たる存在に見せるのに十分なものがある。

東部標準時で 11:45amにおけるリテール・ビジネスの現状は惨憺たるものだ。

  • Amazon: +2.91% to $992.21
  • Wal-Mart: -6.02% to 74.16
  • Target: -9.52% to $51.14
  • Costco: – 5.89% to $169.48
  • Kroger: -12.34% to $21.53
  • Dollar General: -5.17% to $68.58
  • SuperValu: -13.56% to $3.25
  • Sprouts Market: -6.38% to $20.99
  • Smart & Final Stores: -14.96% to $9.52
  • Weis Markets: -5.30% to $48.22
  • Ingles Markets: -4.57% to $33.40

テクノロジーの巨人、Amazonがアメリカを代表する生鮮食料品スーパーを買収したことは、将来さらに多くの店舗ないしテクノロジーに投資する可能性を感じさせる。Amazonは世界の大きな部分を支配することが現実的な可能性だと気づいただろう。AWSのサーバーはわれわれがいつも使うアプリを走らせている。Amazon Primeは各種商品からストリーミング・コンテンツまであらゆるものを提供する。そして今や現実店舗の大きな部分もAmazonの支配下に入った。

Image Credit: CNBC via Will Oremus

〔日本版〕株価を12%以上下げたKroger(クローガー)は1883年創業の老舗大型スーパーで2016年には売上1153億ドルを記録しスーパーマーケットとしては全米トップだったという。記事原文のリンクがfoodcapypsse(食料品アポカリプス)であることでもシリコンバレーに与えた衝撃が大きいことがわかる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ネット上の運転手付き物置サービスClutterが$64Mを調達、あのAtomicoも将来性を確信

ベンチャーの投資家たちがストレージ(storage)*に数千万ドルを注ぎこんでいる、と聞けば、それはクラウドストレージかフラッシュストレージのことだ、と思うだろう。しかしClutterについて語るときは、まったく違うストレージだ。〔*: storage, 保存, 保管〕

服や家具など、物理的な所有物を保管してくれるロサンゼルスのスタートアップClutterは、スタートアップの世界で著名な投資家たちから6400万ドルの資金を調達した。このシリーズCのラウンドはイギリスのAtomicoがリードし、Sequoia Capital, Google Ventures(GV), そしてFifth Wallが参加した。

Clutterはオンデマンドで品物を持って行ったり届けたりしてくれるが、すべてのコミュニケーションがネット上で行われる。いわば、物を保存/保管すること専門のネット上の便利屋さんだ。

しかもこの市場は大きいから、ご存知の方も多いと思うが、MakeSpace, Omni, Troveなど競合他社も多い。

SequoiaのパートナーOmar Hamouiはこう言う: “保管は大きな産業だが、これまではテクノロジーによって最適化ないし洗練されることがなかった”。彼は、まだまだ需要に対して供給、すなわちスタートアップの数や規模が足りない、と見ている。

よく見ると、誰の家にも大量の物がある。しかし自分で倉庫へ行って物を入れたり出したりするのは、かったるい。画面のボタンを押すだけで自分のスキーが来る方が、今の消費者好みだ。

しかも、保管するのも取り出すのもユーザー本人ではないから、便利な場所でなくても構わない。だから、高額な不動産投資は必要ない。

それでもClutterは、競合他社に比べるとユニットエコノミクス*が良い、と主張する。しかし具体的な数字は教えてもらえなかった。〔*: unit economics, 単位経済, そのビジネスの1扱い単位あたりの売上額、利益率(額)、LTV、CACなど。〕

Clutterの協同ファウンダーでCMOのAri Mirが、数字を挙げずに抽象的に言う: “個々の顧客から利益を上げているだけでなく、進出したどの都市でも粗利益が出ている”。しかし、売上額は数千万ドルあるが、事業全体としてはまだ黒字ではない。

今同社は、都市数を増やすことに注力している。目下稼働しているのは、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、ニュージャージー、シカゴ、シアトル、サンタバーバラ、サンディエゴ、そしてオレンジカウンティだ。また、海外進出もしたい。

Atomicoとのパートナーシップも、それが理由の一部だ。AtomicoのパートナーHiro Tamura(田村裕之)は、“Clutterがアメリカの国境を越えるつもりなら、大々的に支援する。同社のチームとビジネスについては、強い確信を持っている”、とベタぼれだ。

Clutterに関わっている人なら誰もが、Clutterなら350億ドルの上場企業Public Storageにチャレンジできる、と信じている。では、ClutterのIPOはどうか? Mirは即答する: “100%ありだ。この会社を売るつもりは、絶対にないからね”。

〔参考: Atomico関連記事。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon、パーソナライズされたおすすめ商品ショップ “My Mix” をスタート

Amazonはユーザーが買いたいであろう商品をすすめするパーソナライズドページを提供する新機能を密かにスタートした。”My Mix” と呼ばれるこの新機能は、Amazonが 昨年開設した商品閲覧サービスの”Interesting Finds”と連携している。Interesting FindsはAmazonの巨大なウェブサイトを横断して商品を見つけるPinterestライクな体験を提供する。

“Interesting Finds” は、かつて”Amazon Stream” と呼ばれていたサービスの発展形で、Amzonをユーザーが必要な商品や元々欲しかった商品を買うための場所ではなく、商品を見つけて買いたくなる場所にするための新しい試みだ。

商品カテゴリーは「女性」のように幅広いものや、「自転車」などの人気商品、「世紀半ば」と言ったニッチなものまでさまざまだ。そのほか「旅のぜいたく」「写真を楽しむ」「趣味の園芸」などのテーマに沿った商品を集めたミニショップもある。

ユーザーは個々の商品あるいはショップをお気に入りに登録して、後で “My Hearts”セクションで見ることができる。その場で商品の詳細をみて購入することもできる。

今回追加された “My Mix” 機能は、ユーザーのお気に入りに基づいて商品をおすすめする。”Interesting Finds” でたくさんの商品をいいね!すれば、Amazonがあなた好みの商品からなるショップを作ってくれる。

このおすすめは、Amzon.comのホームページに出てくる推奨商品よりよくできている。あちらは過去の購入と閲覧履歴に直接結びついたものだ ―― すでに買った商品を延々と出し続ける古びたおすすめになっている。”My Mix” のおすすめの方が…まあ、楽しい。

ページの説明によると、ユーザーがショップやInteresting Findsで新しい商品にいいね!(ハート)を付けると、”My Mix” ショップが自動的に更新される。ショップは1日に数回更新されるとAmazonは言っている。

パーソナライズされたおすすめを見た後も、スクロールして”Interesting Finds” の商品を見続けることができる。これはウェブでもモバイルでもエンドレスになっている ―― スクロールするたびに新しい商品が現われ永遠に続く。

“Interesting Finds” をしばらく使って以来、私のPinterestの使い方が影響を受けたことはたしかだ。今も装飾のヒントやネイルカラー、クラフトなどの「アイデア」全般にはPinterestを使っているが、実際の購入につながる商品探しについては、”Interesting Finds” に少しはまりつつある。

もちろん、”My Mix” のおすすめがいつもうまくいくとは限らない。私がすでにハートをつけたものや、類似の商品が出てくることもある。また、システムは過去の購入履歴を計算にいれていないようだ。たとえば私は、以前”Interesting Finds” で旅行用の化粧ポーチを見つけて購入したのだが、”My Mix”は、化粧ボーチをすすめ続けている。ありがとう、もう結構!

Amazonによると、”My Mix” では表示するものを決めるためにいくつかの情報源を利用している。

「メーカーや価格だけで選ぶことはなく、すべてはユーザーが以前ハートをつけたかどうかに基づいている。My Mixの商品は1日に数回更新されるので、気に入った商品はその場でいいね!しないと、次に来た時にはなくなっているかもしれない」と広報担当者は言っている。

“My Mix” にはまだ改善が必要だろうが、Amazonの”Interesting Finds” の推奨商品を、カテゴリー別に探さずにすばやく見渡すためには早くて便利なツールだ。

“Interesting Finds” は昨年6月にデスクトップに登場し、iPhoneは11月、Androidでは12月に公開された。”My Mix” 機能は今年5月に公開され、デスクトップ、iOSおよびAndroidで利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleがBusiness Chatを発表、iMessageの中でカスタマーサービスへのアクセスや買い物もできる

Appleが今日(米国時間6/6)、Business Chatを披露した。それはiMessageをFacebook Messengerと競合するコミュニケーションプラットホームに仕立てるとともに、iMessageをユーザーがお店や企業と対話するメインの手段にするかもしれない。

このサービスがデベロッパーサイトのアップデートで秘かに発表されたのは今週の初めだったが、そのときは詳しい情報がほとんどなかった。今日はしかし、WWDCにおける正式の発表となった。

Business ChatはiOS 11の一部となり、個人ユーザーがSafariやMaps、Spotlight、SiriなどからiMessageのウィンドウを開いてお店や企業と会話を開始できる。それは通常のテキストベースのチャットだが、その中に、アポイントの予約など、高度な機能が盛り込まれる。

それだけでなく、Business ChatはiMessageのApp Storeに新しい機会を開くだろう。つまり企業やお店は、チャットに独自の機能を導入できるのだ。たとえばAppleが示している例では、わざわざ航空券予約アプリを開かなくても、チャットの会話の中で予約できてしまう機能だ。

Business Chatをカスタマーサービスに統合することもできる。それを実際にやる初期のパートナーは、LivePerson, Salesforce, Nuance, Genesysなどだ。LivePersonのCEO Robert LoCascioによると、LivePersonのプロダクトの中から、カスタマーサービスのそのほかのメッセージと一緒に、Business Chatの会話を管理できる。

LoCascioが語るLivePersonの究極の目標は、“カスタマーサービスと営業から音声による対話をなくす”ことだ。Business Chatを使えば、その目標に接近できる、と彼は述べる。重要なのは、会話を完全に暗号化して“本物のビジネスプロセス”もできるようになることだ。Business ChatはApple Payをサポートするから、顧客がチャットの中で製品を買うこともできる。

“顧客と企業(お店)の関わり方が、これでがらりと変わってしまうね”、とLoCascioは語る。

Facebook Messengerのメインの話題はチャットボットだが、LivePersonのRurik Bradburyによると、“Appleは人間の体験を作り出そうとしている”。何よりもまず、Business Chatの会話を始動するのは、企業(お店)ではなく顧客でなければならない。

さらに、Bradburyによると、Business Chatの現状は人対人の会話に限定され、チャットボットは介入できない。そのうち、チャットボットもサポートされると思うけどね。

デベロッパーや企業(お店)は、自己のアプリ等への、Business Chatの統合をテストできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Shopifyの仮想ショップアシスタントKitが完全無料化、どのお店でも各種スキルを利用できる

誰でもネットショップを開けるサービスShopifyが、昨年買収した仮想アシスタントKitを全会員無料にし、その機能を、同社の‘誰もが商店主になれる’サービスの基本部分にした。それまで有料だったサービスが無料になることによって、そのカバー範囲が広がり、またShopifyのユーザーのためにできること…Kitの‘スキル’…も多様化するだろう。

Kitは、Shopify上の商店主たちのための“仮想社員”だ、と言われる。彼(彼女?)はご主人のお店に接続し、Facebookなどいろんなところにいる顧客に対応して、お店の内向きと外向き両方の雑務やマーケティングの管理を取り扱う。この仮想アシスタントにはスキルのライブラリがあり、在庫管理や、Facebook上の広告の動的調整、新しい顧客にメールを送る、ご主人のお店のさまざまな側面について報告をする、などのスキルがすでにある。そしてこれらのコントロールはすべて、Facebook MessengerやTelegram、SMSなどの対話的なインタフェイスから行える。

Shopifyによると、Kitはすでに広く採用されていて、これまでに800%増加した。またFacebookの広告からの来店は、Kitがある場合とない場合で5倍の差がある。無料になったからには、もっと多くのお店に採用してほしい、と同社は願っている。

Kitの協同ファウンダーMichael Perryによると、“ShopifyがKitに目をつけて買収しようとしたとき、われわれの眼前にあった実におもしろい課題は、‘誰かがお店を開くのを助けるのはよいけど、そこの最初の社員を5分以内に確保するにはどうするか?’だった”。彼の言うには、無料にしたのもShopifyの本来のミッションにKitが貢献できるためだ。“これはきわめて、ミッション意識に駆られての意思決定だ。われわれにも、Kitを単独で売り物にする気はまったくない”。

むしろKitが目を向けるのは、スキルのマーケットプレースSkillsで、そこを収益源にしたい。しかしその中心的な機能は無料にして、誰もが使えるようにする。現時点でスキルは20あるが、2018年にはスキルライブラリの拡大が同社の最大の課題の一つになる、とPerryは語った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AmazonFreshは生鮮食品のピックアップポイント――シアトルにオープン

今日(米国時間5/25)、AmazonはAmazonFresh Pickupサービスをシアトルで正式にスタートさせた。Amazonで生鮮食品を注文した利用者はここで商品をピックアップできる。オーダーを入れたて15分後には引き取りができるということだ。事前に注文しておけば時間を無駄にせずにすむ。注文額のミニマムもない。ただしAmazon Primeメンバー専用のサービスとなる。

Amazonはピックアップ・サービスについて3月に発表していたが、今日初めて一般に公開された。 まだパイロット・プログラムなのでピックアップ・ポイントが開設されたのはシアトル―Amazonのホームタウンの1箇所だけとなった。しかし好評なら他の都市にも拡大されるのは間違いない。Amazonは生鮮食料品にビジネスを拡大することに長年執念を燃やしてきた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ネット広告の効果としての物理店来店者数予測にGoogleはディープラーニングを利用

Googleは、今日行われたMarketing Nextカンファレンスで、来店計測ツールのアップデートを発表した。Googleは2014年以来、ユーザー名を取り去った位置データと状況的データを利用して、ネット広告に刺激されて物理店に来る人の数を推計してきた。今回同社は、そのツールを機械学習で強化して、考慮する要素を増やし、推計の精度を上げた。

オムニチャネルマーケティングは、今大流行のバズワードだ〔IBMにはOmni-channelという製品まである〕。これは、目立ちすぎて目ざわりな言葉であるだけでなく、マーケターにとっての重要な問題も示唆している。物理的な小売店という古い世界と、オンラインショッピングという新しい世界、この二つの世界のデータをうまく組み合わせて、今後の経営意思決定のために利用したいのだが、具体的にはどうやるのか? それがまさに、オムニチャネル(omnichannel, 全方向的な)マーケティングの課題なのだ。

Googleはこれまで、Wi-Fiの信号や位置データ、地図、計測データなどを利用して来店数を巧みに推計してきたが、でも過密都市や中高層のモールなどでは顧客の動きを掴みかねていた。そういうところのロングテールは、従来の推計テクニックになじまないのだ。

この不確実性を解決するために、Googleはディープラーニングに着目した。大量かつ多様な訓練データをディープラーニングに注ぎ込めば、もっと多様なユースケースを扱えるようになり、データの精度は上がるのではないか。

AdWrodsのプロマネVP Jerry Dsichlerはこう言う: “今は、コアの部分で機械学習を利用している。機械学習がなければ、来店数を計算できなかっただろう”。

Googleによると、わずか3年で、計算した来店者数は50億に達した。この数をもっと大きくしたい同社は、同様のキャンペーンにYouTubeやTrueViewを含めようとしている。今、ますますビデオ広告の効果が大きいから、その動きも当然だ。

YouTubeの利用を告知するにあたってGoogleはマーケターたちに、店舗売上の管理機能をデバイスとキャンペーンの両方に含める、と発表した。店頭データをAdWordsに統合すると、コンバージョンからの来客がさらに目立つようになるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebookがメインメニューからの“Order Food”オプションをテスト中

Facebookアプリを使うと、デリバリーサービスやレストランの独自のアプリやウェブサイトに移動しなくても、お気に入りのレストランの料理を、Facebookアプリ内で直接注文することが容易になるようだ。Facebookのウェブとモバイル双方のメインナビゲーションの中には、現在限られたユーザーを対象に”Order Food”という新しいオプションが登場している。

デスクトップ上ではカラフルなハンバーガーアイコンで、あるいはモバイル上では青と白のハンバーガーアイコンで示されるこのオプションを使えば、Facebookユーザーたちは、Delivery.comまたはSliceを使うレストランのメニューを選び配達を注文することができる。

上図;モバイル上の”Order Food”メニュー

上図:デスクトップ上の”Order Food”メニュー

このメニューオプションを利用すれば、注文からチェックアウトまでの全プロセスがFacebook上で完結する。

この機能は、昨年の10月にFacebookが発表した、Delivery.comならびにSliceとの間に締結したオンライン注文ビジネスの拡張の1つだ。そのときには、Facebookユーザーたちは、サポート対象レストラン自身のFacebookページから、”Start Order”ボタンを通して注文が行えるようになると発表されて、現在それが可能になっている。

メインナビゲーション内の”Order Food”の働きも似たようなものだ。しかし、全てのサポート対象レストランが1つのページに集められているので、より便利なものとなっている。そこには、ピックアップ写真、価格帯($$$などの形式で表示)、星による評価、料理の種類などを伴う、レストランのリストが掲載されている。また配達可能なのか、店に取りに行くのは、あるいはどちらも可能なのかといった情報も提示される。

店を選んで”Start Order”をクリックすると注文プロセスが始まる。ここから先はレストランのFacebookページから行っていたこれまでのやり方とほとんど変わらない。

昨夜カルツォーネをモバイルで注文するのに利用した、とあるユーザーによれば、タップして注文を始めて、メニューを眺め、カートにアイテムを追加し、注文を編集し、チップを入力し、Facebookの中でDelivery.comもしくはSliceが提供しているモバイル機能を使って支払いを行ったそうだ。

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支払いが完了すると確認画面が表示され、注文内容、注文が到着する予定の時間帯、または引き取り可能予定時刻が表示される(同時に電子メールも送られてくる)。

おそらく機能がまだ公開途上であるため、利用開始に際しては少し不安定なところも見られた。たとえば、あるときはオプションそのものが消えて、再び現れたりしたし、また別の場合には私の場所に配達できるレストランはないと言われたり、また私自身が試していたときには”Order Food”は私のiPhone上に表示はされたものの、それをタップしても正常にページがロードされなかったりした。

Facebookユーザーにとって、これは便利な機能の1つだ。Facebookアプリを離れて注文したり、個々のFacebookページにいちいちアクセスして、オンライン注文が利用可能かどうかを確認する必要はない。しかしFacebookにとって、これはユーザーがデバイス上に既にインストール済の他のアプリの機能を複製して、内部に取り込む別の例でもある。こうして様々な機能を提供することで利用者たちを壁(アプリ)の内側に留めようとしているのだ。

ここ数カ月の間に、Facebookは天気 、”discover people“(フォローする人を見つけよう)というセクション、”city guide“と呼ばれるトラベルセクション、”town hall“を介した行政情報、オンライン求人情報、募金活動 、インスタントゲームなどの様々な種類の機能を導入して来た。

Facebookにコメントを求めたところ、この”Order Food”は昨年10月に発表されたFacebookページを介したSliceとDelivery.comによる注文機能と関係しているが、この新しいボタンが一般米国ユーザーに開放され始めるのがいつかは決まっていないとの回答を得た。

しかし、このプロダクトに詳しい情報筋によれば、この機能は昨年10月に公開された機能と同じもので、現在Facebookはそのメインナビゲーション上でのフード注文の場所をテストしている最中だということだ。これはテスト運用に過ぎないので、Facebookユーザー全員が現時点でこのオプションを見ることができるわけではない。

(画像クレジット:@fbjag; @mattlynley)

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(翻訳:Sako)

新しいクリエーター・マーケット、Patreonが急成長――有料メンバー100万、アーティスト5万

ファンが自分の好きなアーティストに直接支払いをするというPatreonの新しいアイディアはホッケースティック型の急成長を生んでいる。PatreonがTechCrunchに述べたところによれば、この1年で月間アクティブ・ユーザー数は倍増し100万人に達した。またアクティブなアーティスト数も5万人を数えたという。

予測によれば2017年には通年換算で1億5000万ドルをアーティストに支払えるものとみられる。Patreaonの手数料は5%なので売上に換算すると750万ドルとなる計算だ。2014年から現在までの支払い額のトータルは1億ドルだ。

Patreonのアーティストはビデオグラファー、ミュージシャン、ライター、イラストレーター、アニメーター、ポッドキャスター、ゲームメーカーなど多彩だ。次に述べるように他のアートのマーケットプレイスの運営にさまざまな制限があるのに比べて、Patreonのクリエーターは比較的安定した支払いを受けることが可能となっている。

YouTubeのビデオグラファー、PewDiePie〔人種的差別的発言をしたなど〕のスキャンダルで広告主は問題のあるコンテンツに広告が掲載される危険性を警戒するようになった。YouTubeは一部のチャンネルから広告を引き上げるなどの対策を取っている。YouTubeのスター側からいえばこれは収入のダウンを意味する。 Vineはビデオ共有を中止した。Snapchatはクリエーターを無視している。広告収入を分配せずこのプラットフォームでのマネタイズを認めないこと、また Instagramの猛攻もあってSnapchatのページビューは減少している

Instagramは広告収入を分配しないが、Facebookはビデオクリップに広告を挿入する場合一部のビデオ制作者に対し収入の55%を分配するシステムを取り入れた。ただしまだ小規模だ。広告収入の分配は再生1回ごとに0.10ドルから0.0005ドルと少額であり、クリエーターの生活を支えるためには膨大な視聴回数を必要とする。

しかしPatreonのメンバーは月5ドルを好きなクリエーターに支払う。つまりクリエーターにとっては広告モデルと比較してファン1人当たり50倍から1万倍も有利だ。クリエーターはビデオクリップ、イラスト、コミックなどの作品を毎月発表する。またプレミアムを支払うファンに対してはサイトの閲覧などさまざまな特権を提供する。2016年には35人のクリエーターが15万ドル以上の収入を得たという。また2万5000ドル以上の収入があったクリエーターは数千に上る。

Patreon自身は4700万ドルのベンチャー資金を調達している。これには2016年1月にThrive Capitalがリードした3000万ドルのシリーズBラウンドが含まれる。 【略】

広告モデルでないことが幸いして、Patreonはサポートするコンテンツに関してかなりの自由がきく。ポルノグラフィー的作品も許容されているが、この表現の自由を広く認める態度は明らかに問題のあるコンテンツも掲載されることになり、批判も起きている。PatreonのビジネスはSteadyのようなライバルより優位にある。またKickstarterやIndiegogoといった大きなクラウドファンディング組織では基本的に映画作品などの一発勝負のプロジェクトが中心となるため、Patreonが脅かされることはないようだ。

結局インターネット上のコンテンツ制作におけるトレンドの変化がPatreonに対する追い風となっている。

ネット上の大規模なコンテンツ配布はアーティストとファンの関係を分断した。過激だったりニッチだったりするため、一部のクリエーターのコンテンツは映画、テレビ、ラジオ、新聞などのメインストリーム・メディアでは決して配信されない。さまざまなオンライン・ツールの進化はクリエーターがスタジオ、レーベル、出版社などの傘下に入らずにコンテンツを制作できる道を開いた。一方で熱心なファンは作品を直接購入することによってクリエーターの生活を支えたいと考えるようになった。

ファン、クリエーターの人数が増えるごとにPatreonのネットワーク効果は増大する。クリエーターが増えれば好みのジャンルのアートを発見することが容易になり、ファンが増えればクリエーターがこのプラットフォームを利用するメリットが増える。こうしたメカニズムがPatreonにキュレーションメディアとしてのパワーを与えている。5%という低額の手数料であっても規模が拡大すれば、他のチャンネルから拒否されたクリエーターとファンを結びつける安定したチャンネルとして有利なビジネスの運営が可能になるわけだ。

[画像:: Ben Adams via Patreon homepage]

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Amazonが「世界を食い尽くしている」理由を考える

編集部:この記事は起業家のの執筆。経歴

私は昨年12月にソフトウェアのスタートアップを共同で創業し、毎月株主に向けて会社の進捗を報告するメモを送っている。しかし先月は自社の状況に関するメモではなく。われわれのビジネス(小売業)を待ち受ける根本的な状況の変化について書いた。

このビジネスでAmazonは支配的な地位を得ているだけでなく、今後ますますその地位は強化されると判断したからだ。これによってリテールビジネス全般にアポカリプスが迫っている。Amazonは世界最強の企業の一つだが、同時にその本質がもっとも理解さにくい会社でもある。そこで多くの人々からAmazonを分析した私のレターを公開すべきだというアドバイスを得た。

私の最初の会社は自動車部品のメーカーだった。われわれはAmazonに対するベンダーでもあり( Amazonはプロダクトの大口顧客だった)、同時に「マーケットプレイス」のサードパーティーの販売者でもあった(この場合われわれはAmazonに売上から一定の手数料を支払った)。つまり私はAmazonのビジネスについて通常知り得ないような経験をした。AWSを始めとするAmazonの各種の事業についても以前からフォローしてきたし、Amazonという会社は私にとってある種の強迫観念に近いものになっている。

一方、リテール・ビジネスは全体としてティッピングポイントを迎えつつあるというのがコンセンサスのようだ。テクノロジー系メディアもメインストリーム・メディアもAmazonという怪物のさらなる成長が小売業に決定的なコラテラル・ダメージを与えるだろうという記事を多数掲載している。Amazonのライバル(アメリカでは主としてWalmart)に対する優位性は維持可能なものであるのか、またライバルはAmazonのビジネスをコピーすることがでいるのかについても多くの議論が交わされている。

たとえばAmazon Primeの特急配送( 2日から1時間まで)やMarketplace(Amazonが販売するのと同じプロダクトを同じエントリーでサードパーティーが販売できる)、Amazon Goストア(レジなしの物理的店舗)からAmazonのドローン利用配送プロジェクトなどだ。

おそらくこうしたプログラムはすべてWalmartのような実力を備えたライバルなら数年で実現できるだろう。たとえば特急配送で利益が出せるかどうかは配送センターを消費者の近くに設置できるかどうかにかかっている。その点Walmartすでに全米150箇所以上の配送センターを持っている。【略】

こうした点を考慮してもなおかつAmazonは世界でもっとも強力な会社であり、Amazonがライバルに対して持つ優位性はまだ十分に理解されていない。向こう10年ほどの間にAmazonのリテール分野での拡大を止められるライバルは存在しないのではないか?

その理由はメディアやアナリストが好んで取り上げる「ブレットポイントの行列」、つまりアナリストが論じることを好むAmazonの事業の多様化にあるのではない。またジェフ・ベゾスのビジョンや企業文化も決定的要素ではない(もちろん私はベゾスは世界でもっとも優れたCEOの1人だと思っている。またAmazonの企業文化も尊敬している)。Amazonの優位性は事業の全てが外部に向けたサービス志向のアーキテクチャーを持っている点にある。Amazonは同社の事業のあらゆる側面をそれぞれ独立したプラットフォームとして公開し、市場での競争にさらしてきた。

「垂直統合」には落ち込みやすい罠がある。垂直統合(部品の内製化、供給メーカーの買収など)によって大幅にコストが削減できるというのがセールストークだが、実際にはそうはならない。当初実現された利益の増大は競争すべきライバルを失った「供給者」が凡庸化するにつれて帳消しとなってしまう。

自動車産業が典型的な例だ。自動車メーカーは部品メーカーを買収する垂直統合の時期の後で部品コストの急上昇を経験し、外注に戻るというサイクルを繰り返している。ライバルとの競争がない事業部は肥大化し、非効率化する。これを防止するために外部メーカーと競争させたりコスト構造について詳細な検討を加えるといった方法は社内官僚制を悪化させるだけで現実のコスト削減にはまったく結びつかないのが普通だ。

AmazonのSOA(サービス志向アーキテクチャー)の典型はやはりAWSだ(AmazonのエンジニアだったSteve Yeggeが2011年に発足当時のAWSについてa非常に面白い記事を書いている)。2000年代にAmazonの通販事業は驚異的なスピードで拡大を続けていたたが、当時はまだエンタープライズ・レベルのSaaSはメインストリームのビジネスとなっていなかった。そこでAmazonは独自のテクノロジー・インフラを構築する必要に迫られた。この社内インフラを顧客向けのサービス(AWS)として開放するという天才的なアイディアについてはすでに多数の記事が書かれている。この戦略は通年換算140億ドルという巨大ビジネスを生んだ。しかしこの金額自体はAmazonが自ら戦略の正しさを知ったという重要性に比べればいわばボーナスに過ぎない。Amazonはプラットフォーム企業になることは競争の喪失によるコストの増大やテクノロジーの停滞に対する効果的な防壁になると発見した。

Jeff Bezoz, CEO of Amazon.

(写真:Drew Angerer/Getty Images)

AWSのデビュー後、10年以上にわたってAmazonは社内向けに開発したツールを洗練させて外部向けのプロダクトとして事業化するという手法をきわめて意識的に繰り返している。最新の例はAWSのAmazon Connectだ。これはもともと自社の通販事業の連絡先管理のために開発されたツールだがAmazonはこれをクラウドベースのセルフサービスのプロダクトとして外部に公開した。この事業の売上も巨額に上っているが、本質はそこではない。本当の価値は、プラットフォームとして公開することにより、部内ツールが肥大化、非効率化することを防げるという点にある。

もう少し具体的にいえばこうだ。もしAmazon Connectがビジネスとして失敗したとしよう。 Amazon経営陣は数値化された結果(売上の減少など)によって自社の連絡先管理ツールのパフォーマンスがライバルに大きく劣っていと知ることができる。Amazonは事業の監査や競争入札といった資源を浪費し官僚制を肥大させるだけの手段を一切必要とせず事業のパフォーマンスに関する正確なフィードバックを得る方法を発見した。プラットフォーム化して外部に公開すれば、その事業が成功していれば利益を生むし、問題があれば直ちにその結果が出る。おおまかにいえば事業が生む利益は事業の質に比例する。数々の事業においてその質を判定する効果的な方法をAmazonは得た。

AWSは非常に目立ち、したがってわかりやすい例だが、この戦略(実行にはヘラクレスの功業的な努力が必要になる)はAmazonのあらゆる事業、部門において一貫して採用されている。Amazonでは膨大な数のサービスが外部から利用可能になっている。エコシステム全体のプラットフォーム化こそライバルがコピーすることがほぼ不可能なAmazonの優位性だ。

もっとも広く利用されている例はFBAプログラムだろう。Amazonに何か注文したときに「この商品は(社名)が販売し、Amazonが発送します」という文言を見たら、これがフルフィルメント by Amazonだ。

FBAプログラムを利用するサードパーティーの業者は商品をバルクでAmazonに送る(所有権はサードパーティーにある)。Amazonは注文に応じて商品を顧客に配送する。返品やサポートもAmazonが処理してくれる。しかも手数料は驚くほど安い。しかもFBAは Amazonサイトでの販売に限られない。AmazonのFBAマルチチャネルサービスはAmazonサイト外で受けた注文をAmazonが代行して販売してくれる。たとえばステンレスの携帯用魔法瓶、Hydro FlaskはShopifyに独自の通販ストアを持っている。Shopifyのストアで注文を受けるとHydro FlaskはFBA(外部APIを利用)でAmazonにその後の処理を任せることができる。

Hydro Flaskのメリットは明らかだ。同社の製品は中国で製造されており、Flexportのようなフォワーダーを通じてAmazonのフルフィルメント・センターに直接搬入される。Hydro Flaskは自社で在庫を保管、管理するという頭痛(とコスト)を避けることができる。Amazonにとっても種々の利益がある。a) 倉庫の収容能力の活用、b) 配送商品量の増大によるバーゲニングパワー、c)フルフィルメント・サービスの手数料(マーケットプレイスなど各種のサービスを含めた手数料売上の総額は2017第1四半期だけで64億ドル。これはAmazonの売上総額の25%になっている)、等々だ。

しかしこの場合でも長期的にみた真のメリットはAmazon自身の社内ツールの競争力の強化だ。膨大な人員を抱えるフルフィルメントはAmazonにとって最大のコストセンターだが、サービスを外部に公開することよってその能力は日々改善される。

FBAのようなマルチテナント、マルチャンネルのクラウドサービスを公開するのは、社内需要を満たすだけのサービスの構築とはまったくレベルが違う完成度を必要とする。社内のみのツールであれば、ハードコーディングされた素人っぽいやっつけ仕事でもいい。しかしそうしたシステムは改良していくことが不可能に近い。【略】

FBAのようなサービスでは〕処理上のエラーの総量は膨大なものになる。Amazon側で商品が失われたため無条件で何万ドルもの払い戻しを受けた業者をいくつも知っている。FBAを運営するために必要なテクノロジー上の能力に加えてこうしたコスト負担に無期限に耐えられる体力があるライバルは果たしてどのどのくらい存在するだろうか?

Amazonがむこう5年間のうちに小口配送サービス(UPS/FedEx/USPS)に参入することは間違いないと思われる。Amazonは最大のコストセンターを次々にプロフィットセンターに変身させてきた。最初はテクノロジー(AWS)で、次はフルフィルメント(FBA)、次はAmazonのオリジナルブランド商品という具合だ。Amazonはすでに40機の貨物機と何千台ものトレーラーを所有している。 10箇所以上の小口荷物仕分けセンターを開設して既存の配送業者への支払いの軽減に努めている。しかも小口配送サービスには、Amazon自身の膨大な社内需要が存在するだけでなく、アーリーアダプターの顧客となることが確実なサードパーティーの小売業者がFBAに多数参加している。

ここでUPS、FedExからRackspace に至るライバル各社に対してAmazonが持つ決定的な優位性は、同社が「ドッグフードを食べる」、つまり自社サービスの最大のユーザーであるという点だ。たとえばUPSは配送エラーについて通販事業者という緩衝帯を持っている。荷物の破損や行方不明、繁忙期の配送遅延などが起きると消費者はまず通販事業者を責める。業者は向き直ってUPSを責めるという順序になる。しかしAmazonの場合、緩衝帯は存在しない。パフォーマンスが劣っていた場合、責任を転嫁する相手はいない。Amazonの強みは単なる多角化ではなく、それぞれの事業が外部に公開されることでフィードバック・ループを完成させているところにある。このはずみ車が回り出すとライバルがこれに打ち勝つのはきわめて困難になる。【略】

〔Marketplace Web Service (MWS) APIや常時最低価格を維持するrepricersなどツール〕その他、いくらでも例を上げることができる。【略】「イノベーションのジレンマ」をAmazon以上に深く理解している企業は少ないに違いない。

そこで簡単にいえば、Amazonには誰も追いつけないというのが私の結論だ。AmazonがFBAを完成させるのに10年かかかった。仮にこれから5年でWalmartがその水準に達したとして、そのときAmazonはどこにいるだろう? この記事で私が紹介してきたのはAmazonのほんの上っ面に過ぎない。まだ知名度は高くないがSeller Fulfilled PrimeやDirect Fulfillmentなどは今後重要になるだろう。予見しうる将来、既存の大型小売業者がAmazonに太刀打ちするのは難しいだろう。しかしある種のバーティカル、たとえばペットフードのChewy.comのようなスタートアップには、すくなくとも短期的にはチャンスがあるかもしれない。

Amazonが打倒されるとすれば反トラスト法訴訟(しかし同社は小売業売上のわずかな部分しか占めていないので当分の間適用は難しだろう) または消費者が物理的な商品を購入する仕方に重大なパラダイムシフトが起きるような場合しか考えられない。没入的仮想現実がすべてを支配し人間は栄養を点滴で摂るようになるといったことにでもなれば話は別だ。しかしそうしたSF的事態が近い将来起きるとは考えられない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

PayPalが小規模ビジネス向けツールセットの”Business in a Box”を開始

本日(米国時間5月1日)PayPalは、Business in a Boxという名のサービスを開始した。米国の小規模ビジネスのオーナーたちをより多く、そのプラットフォームへと誘うことが目的だ。WooCommerceならびにXeroと提携して開発されたこのサービスは、小規模ビジネスオーナーたちに様々なオンラインビジネス向けツールを提供する。例えばオンラインショップ、会計ツール、PayPalからの運転資金の借入申し込み、そして勿論PayPalを介したオンラインもしくはオフラインの支払い受付機能などだ。

Business in a Boxは主に、既にオフラインビジネスを確立していてこの先オンラインへの移行を考えている人たちだけではなく、売りたいものがありロードマップもイメージできているビジネス初心者への支援を狙っている。

しばしば、そうしたビジネスオーナーたちはShopify、Magento、BigCommerceあるいはWooCommerceといったe-コマースプラットフォームに向かう。そうすることで、プロモーション、マーケティング、注文管理、出荷、ソーシャルメディア対応などの様々な側面からビジネスを助けることのできるアドオンを活用し、オンラインでの存在感を高めることができるからだ。

PayPalは既に、こうしたe-コマースプラットフォームとも協力している。たとえば多くのビジネスオーナーが望むPayPalボタンをオンラインショップに提供することなどだ。しかし、この世界でのプレイヤーの1つWooCommerceと公式な提携を行なうことで、PayPalはこの分野での立場を強くできる。また、これにより、その他のサービスを促進することもできる。例えばPayPal Working Capitalを介した運転資金の貸付などがその1つだ。

同社によれば、PayPal Working Capitalは2013年のサービス開始以来、全世界で11万5000以上のビジネスに対して、ローンや前払いという形で30億ドル以上を提供してきたということだ。

しかしBusiness in a Boxは、全く新しい仕掛けというよりも、PayPalブランドの下でスマートに纏められた、ソリューションの集合というべきだろう。サービスにサインアップするビジネスオーナーたちは、申し込みの一環として、PayPalのパートナーたちからの割引を受け取ることができる。例えば、WooCommerceは、1年分のPressableサブスクリプションに3ヶ月の追加期間を特典として与える。さらにプラグインも無償で提供される。またXeroの場合には30日の試用、Xeroのアドバイザーによる1時間のコンサルテーション、ユーザーのアカウントに対する100ドル分のクレジットの付与などが含まれる。

もしこれらが、極めて標準的な新規顧客獲得プロモーションのように聞こえても、間違ってはいない。Business in a Boxとは、実際には自社ビジネスの構築というよりも、PayPalとの統合という意味合いが強い。すべてのパートナーソリューションは、顧客のPayPal Businessアカウントと統合されて、すべてが連動するようになる。オンラインビジネスへの新規参入者たちにとっては、これらがPayPalによってサポートされ、推奨されているソリューションだということで安心感もある。

ビジネス顧客は自分の使いたいソリューションを選択することもできるが、推奨されたパートナーからのものを使う利点は、全ての売上、費用、請求をリアルタイムを追跡して財務状況を見ることができるようになるという点だ。

より広い意味では、この新しいサービスは、ビジネスオーナーたちがPayPalを、単なる決済手段提供会社以上のものとして見るようにする手助けをするだろう。すなわち、顧客を獲得し、そのキャッシュフローを管理し、ビジネスを成長させる手伝いをしてくれる会社としてみなす方向だ。

この動きは、PayPalの堅調だった第1四半期の後にやってきた。この四半期の終了時点では2億300万人のアクティブカスタマーを抱え、1600万のビジネスと提携している。

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(翻訳:Sako)

カタルーニャの本と薔薇の日

紙の本が死んだと思う人は、 サン・ジョルディの日の前日にバルセロナの本屋を訪れたことがない人だろう。この守護聖人のためのフェスティバルは、カタルーニャではバレンタインデーに相当する日だ。しかしこの日、人びとは茎の長い赤いバラを贈るだけではなく、本も贈るのだ。本当に沢山の本だ。なにしろこの日だけで2000万ユーロ(約23億円)に相当する本が売られる(贈られる)のだから。

4月23日はまた、UNESCOの制定する「世界図書・著作権デー」(世界本の日)でもある。これは比較的最近(今年が20周年)の、本に対するお祝いだ。しかしともあれバルセロナでは、今日(23日)はサン・ジョルディの日だ

フェスティバルが近付く何日かの間、カタルーニャの州都バルセロナの書店には人びとが押し寄せ、ピカピカのペーパーバックが平積みに置かれ、完璧な文学の贈り物を求める買い物客たちで引きも切らない。ちょっと立ち止まってタイトルをざっと眺めようとすれば、文字への渇望を抱きながら縦横に行き来する人びとの波に押しのけられてしまうだろう。

今年は、ガウディのカサ・バトリョの乳白色のバルコニーが、このフェスティバルの到来を告げるために赤いバラで飾られ、グラシア通りに立ってロマンチックなセルフィーを取りたがる観光客たちの目を引いている。一方、通りの向かい側の書店カサ・デル・リブロの書架に挟まれた通路にも、別の愛の形が溢れ、キャッシュレジスタはクリスマスイブのように取り囲まれている。

市政府から提供された2015年の統計によればサン・ジョルディの売上は地域の書店の年間の売上の5から8%を占めている。その日だけで150万冊ほどの本が売られたのだ。今年私は、なんとか贈り物を選ぶことができた土曜日の買い物客たちを見た。彼らはまるで教会の儀式の順番待ちをする人たちのように通路に20人ほど蛇行した列を作っていた。もし支払い処理がこれほどまでのボトルネックではなく、需要に応えることができていたなら、どれほど多くの本が売れたのだろうと考えたくなるだろう。

スペイン最大の書店チェーンであるカサ・デル・リブロが、電子書籍コーナーを持っていたとしてもさほど驚きではない。ここでは同社自身による(Tagusという名の)電子リーダーが売られている。サン・ジョルディの前夜には、この明るく照らされたささやかなTagus専用コーナーは、紙の本を求めて通り過ぎていく人たちの前でとても色褪せて見えた。電子書籍を贈ってくれる恋人を待ち望んでいる人など居ないことは言うまでもない。おそらくこれが紙の書籍の販売が勢いを盛り返し電子書籍の勢いが鈍化してきた理由の1つなのだろう。

バルセロナのより小規模な書店では、あなたが購入した本を個別にラッピングしてくれる別のスタッフが待機している。私が立ち寄った書店では、ピエル・パオロ・パゾリーニの「バラのかたちの詩」(Poésie en forme de rose)を新しい赤い紙で包んで貰えた。店の奥には天井に届こうかというほどに古書が積み上げられ、本を眺める人たちで夜まで賑わっている。店の片隅ではピアニストが曲を奏でる。サン・ジョルディが、本を買うことだけの日ではないことは明らかだ。それは雰囲気と文学の祭典なのだ。4月23日が来るまで、街のそこここで、作家たちは話し、詩を読み、物語を語る。

その当日には、街路はさらに多くの人びとと彩りで満たされる。本屋と薔薇売りのテーブルとバスケット、その間をそぞろ歩く手を繋いだカップルたち。花びらが紙よりも何時でも安いわけではないが、薔薇の売店の数は、本屋の屋台の数を、おおよそ4対1の割合で上回っている。多くの屋台は、学生たちによる地元からの応援や、Save the Childrenのような慈善活動によって助けられている。カタルーニャ広場(Plaçade Catalunya)では、好きな作家が最新作に署名しているところに出くわす幸運を体験できるかもしれない。同じように、地元の人たちの穏やかな雑踏の中を、一緒にゆったりとした散策を堪能することもできるだろう。サン・ジョルディは、本の内容や咲き誇る花の美しさの助けを越えて、内に秘められていたものが立ち現れる様を祝うためのものだ。それは創造のプロセスへ、個々にそしてまとめて注ぎ込まれるエネルギーへの祝福だ。本や読書と同じくらい、感情と感覚に訴えるものなのだ。

電子書籍にも、紙の本同様の死が訪れるのかと尋ねる記事の数はもう数え切れない。私にしてみればそうした質問は、花はデジタル式にスクリーン上に表示できるのだから、デジタルスクリーンは本当の薔薇を不要にするのだろうか、と尋ねているようなものだ。明らかにスクリーンにふさわしい場所があり、紙にふさわしい場所がある。2つの異なるフォーマット、2つの異なるメッセージ、そしてその間に現れるあらゆる用途と有益さ。スクリーンを介して情報にアクセスできるように、書籍を購入すれば情報にアクセスすることができる。それと同じくらいに、本を買うことは根本的に異なるものにもなり得る。たとえば正確に言葉にする必要なしに、あなたの気持ちやあなたの希望を伝えたいときのように。メディアはメッセージの本質的な部分である、特に贈り物が関わるときには。常識に従えば、デジタル薔薇は本物のようには甘く匂わず、電子書籍には紙の深さと歴史は刻まれていない。

多分、いつか誰かが何処かで、単一フォーマットのシングルボタン枠の中に本を閉じ込めることのない、より良い電子リーダーを発明するだろう。また、実際のものにより近い感触と振舞を持つ、新しい電子ペーパーも必要だ。束ねて積み上げることができて、読み手が書き込むことができ、角を折ったりページを前後にめくったり、本の重みを感じたり、その中で自分の場所を熟考することができるようなものだ。私たちはまだそこに至っていない。なにしろテクノロジーが特に愛しているのはアップグレードで、歳月を経た風格ではないのだから。絶え間ない消滅に感傷的であり続けることは難しい。こうなると、人間の脳は、スクリーンの上で読み書きをするときよりも、紙の上で読み書きをする方が、情報をよく記憶し理解することができるかもしれないという学説(それがもし本当なら、紙は真に最先端のものとなるだろう)を考慮することもせずに、非常に虚無的な方向へ向かうかもしれない。

また、私たち人間が関わり合いをもちたいフォーマット(この場合はスクリーンと紙)同士の間にも興味深い相互作用の余地が沢山ある。それが意味するのは、印刷からデジタルへの流れがこれまでに沢山あったように、デジタルから印刷の方向へと重なる部分もあるということだ。ここで地元の関連する事例を紹介しよう。Yo Fuí a EGBは2011年に2人のジェネレーションXのスペイン人Jorge DíazとJavier Ikaztによって開設されたFacebookページだ。そこでは彼等が子供だったころの1980年代から典型的なスペインの小学校に至るまでの写真と動画が投稿され始めた。もしそれが少しばかりニッチに聞こえるとしたら、 ご注意を(cuidado) 、決してそうではないからだ。このFacebookページには120万以上のいいね!がつけられており、彼らがデジタルで構築したコミュニティから生み出された興味深い記録は、複数のベストセラー書籍やボードゲーム、さらにはテレビシリーズへと形を変えている(もちろん電子書籍もある)。こうして、人びとが集うデジタルコミュニティが、長い間失われていたものを巧みに複数の形式として甦らせたのだ。「昔なじみの」インクと紙のメディアも含めて。これに驚く人はいないだろう。

まあ別の言い方をするならば、薔薇は薔薇でも、あるときには本物の薔薇を欲し、また別のときには美しい薔薇の絵を愛でたいということだ。

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(翻訳:Sako)

ShopifyのBurstは無料の素材写真サイト、ネット・ショップの内外装用に無難できれいな画像を集める

写真を見て、たとえば、“おっ、こいつはミレニアル世代の手作りショップのヘッダーにぴったりだね”、なんて思うことがあるだろう。誰もがネット・ショップを開けるサービスShopifyがこのほど立ち上げた素材写真サイトBurstには、そんな写真が揃っている。しかも画像はすべて使用料無料で、Creative Commons Zeroのライセンスで提供される。とにかく、自由に使える写真ばかり、ということ。

Burstにある写真は、何かの分野に偏っているわけではなく、上質で完全に無料の、クレジットなしで使える画像を大量に揃えている。写真の変更や編集も自由にできる。どの写真にも、それを撮ったアーチストのリンクがあるから、有料のサイトに使って稼ぐ気なら、ひとことご挨拶するのも悪くない。

Burstは、誰もが気軽にネット・ショップを開けるサービスShopifyの関連サービスだから、写真もそんなショップをより魅力的に見せることがねらいだ。良質な写真を簡単に見つけられてそれを無料で自由に使えることも、Shopifyのサービスの使いやすさ、使い勝手を増大させる。”horse”(馬)で検索するとなにもなかったりだから、何でもある写真集サイトではないけど、Instagramの“あこがれのライフスタイル”的な写真なら、それ的なキーワード検索でたくさん見つかる。

この写真ライブラリの真価は、なにしろ完全に無料で使い方に制約がないことだ。ユーザーの制限もない。ブロガーが自分の記事のアイキャッチに使ってもよいし、ネット・ショップが使ってもよい。こういう、個性臭や芸術臭のない、きれいで一般性のある写真は、通常の素材写真(stock photo)サイトにはなかなかない。このサイトの、見てて気持ちの良い写真を活用して、インターネットをより賑やかにしましょう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Amazon、Diapers.comなどQuidsi事業部の閉鎖を発表―5.5億ドルで2010年に買収

Amazonは赤ちゃん用品のDiapers.comを始めとするQuidsi事業部の通販サイトを閉鎖することを決めた。Amazonはこのことを昨日(米国時間3/29)のBloombergの記事で確認した。閉鎖の理由は黒字化の失敗だという。Amazonは2010年11月に5億4500万ドルでQuidsiを買収したことを発表している。QuidsiはフラグシップのDiapers.comを始め、Soap.com、BeautyBar.comなど1語ないし2語からなる覚えやすいドメインをサイト名として所有していた。

Bloombergの記事によれば、ジャージーシティに本拠を置くQuidsi事業部の260人の従業員は職を失うことになる。ただしニュージャージー州労働局によれば、これらの職員の一部はAmazon内で別の職に応募できるという。

Quidsiの閉鎖を公式に認める声明でAmazonの広報担当者は次のように述べた。

「われわれはここ7年間、Quidsiの黒字化に全力を挙げてきたが、残念ながら成功に至らなかった。Quidsiは強力なブランドを持ち、そうした製品はAmazon.comから引き続き提供される。同社のソフトウェア・チームは今後はAmazonFreshの開発に当たる」ということだ。

Amazonは買収以後 Quidsiの事業に多額の投資をしてきた。たとえば生鮮食品の VineMarket.comをスタートさせたり、モバイル化に対応してiPadなどのタブレットのサポートを進めていた。

QuidsiはDiaper.comなどに加えて、ペット用品のWag.com、男子向けおもちゃのYoYo.comなど専門分野に特化したサイトをいくつも運営してきた。

QuidsiのファウンダーはMarc Loreで、Amazonへの売却後、新しい通販ビジネスのJet.comを立ち上げてでWalmartに30億ドルのキャッシュで売却している。Loreは現在Walmartのeコマース事業部の責任者を務めている。同事業部はここ数ヶ月企業買収に力を入れ始めており、ModClothMoosejawHayneedleShoeBuyなどのオンライン通販サイトを傘下に収めている。

Amazonは当初潜在的ライバルとみてQuidsiの買収に動いたが、その後Quidsiの事業は本体のコア事業とのバッティングが目立つようになっていた。たとえばAmazon本体には紙おむつを始めとする赤ちゃん用品の通販を行うAmazon Family(以前のAmazon Mom)がある。このターゲットはあきらかにDiapers.comと重複していた。

AmazonではQuidsi傘下のサイトの閉鎖スケジュールを明らかにしていない。サイトにはまだ閉鎖は掲示されていないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AmazonFresh Pickupは、ネット注文した食料品を車のトランクに積み込んでくれるサービス

Amazonの食料品事業が買い物客の利便性を新たなレベルに引き上げた。AmazonFresh Pickupは、車のトランクに届けてくれるドライブイン食料品店だ。火曜日(米国時間3/28)にベータ版を開始した。買い物客はオンラインでAmazonFreshのカタログから商品を選び、時間帯(最短で注文の15分後)を指定したら、あとはAmazonFresh Pickupの受け取り場所へ行き駐車スペースに止めるだけで、サービス担当者が数分のうちに車のトランクに直接商品を積んでくれる。

これはAmazon Prime契約ユーザーへの無料付加サービスで、既存のPrime機能に大きな新機能を加えるものだ。注文に最低金額はないので、その気になれば歯磨きのチューブ1本でも買うことができる。

対象商品は野菜、肉、乳製品、日用品など。プログラムは現在ベータテスト中のため、利用できるのはAmazon社員のみだが、正式展開されれば全Primeメンバーが利用できる。地理的制約もあるので、全Primeメンバーが利用可能とは言っても、シアトルのSODO地区またはバラード地区近郊にあるAmazonFresh Pickupの指定場所で受け取らなくてはいけない。

Amazonは食料品買い物の形態を変える様々な方法を検討しており、これもまた伝統的ショッピングと同社のEコマースモデルを融合させた興味深い試みといえる。AmazonFreshは地理的拡大には慎重だが、今回のテスト結果が良ければ、この種のビジネスの促進につながるかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

今や無視率の高いネット広告、フィジカルな郵便物を併用して消費者のエンゲージを高めるPebblePostがシリーズBで$15Mを調達する好成績

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PebblePostは、印刷物のはがきやカタログにマーケティングの大きな機会がある、と信じている。

しかも同社は今日(米国時間2/27)、シリーズBで1500万ドルを調達した。このラウンドはRRE Venturesがリードし、Greycroft PartnersとTribeca Venturesが参加した。RREのJim Robinsonが、PebblePostの取締役会に加わる。

PebblePostは自分たちのサービスを、“プログラミングされたダイレクトメール(DM)”と呼ぶ。見込み客のネット上のアクティビティに基づいて特製されたフォローアップを送るのだ。たとえばあなたがどこかのお店のWebサイトを見ていたら、数日後にはそこの商品を紹介するはがきが来る。たぶんディスカウントもあるだろう。

CEOのLewis Gershは以前、シード投資専門のVC Metamorphic Ventures(今の名はCompound)のファウンダーだった。彼によるとそこでは、ターゲティング広告のこの国最大のポートフォリオを作った。つまりユーザーのネット上のビヘイビアを使って広告のターゲティングを行う企業だ。広告企業はiSocket, Mass Relevance, Movable Inkなどに投資していた。でも彼が悟ったのは、デジタル広告が今では“ジャンクメールの一種”になっていることだ。マーケターたちの競争激化で、広告が多すぎるのだ。

PebblePost

Gershが気づいた問題点は、“今はそれどころじゃない”という状況の人たちにも勝手に広告が表示されることだ。当然、それらは無視される。一方、フィジカルな郵便物は、どこかに重ねておいて、ひまなときに見る、というアクセスをされる。すなわち、意思が見る人の側にある。だから、ブランドのメッセージに目を留めて、実際に買い物をする確率も高い。勝手で一方的なネット広告よりは、断然良いメディアだ。

ただし、ユーザーがネットで見ていた品目を、はがきでまた念押しする必要はない。むしろ関連商品を紹介した方が、好感を持たれる。フィジカルな郵便物でも、しつこいのは嫌われる。同じ品目が来ると、気味悪いと思う人もいる。

Gershは曰く、“ユーザーが製品に関心を持ってくれたら、そこは到達点ではなくてむしろ、そこから対話が始まる。PebblePostでは、ブランドが消費者とのそういう対話を継続することができる”。

また印刷物の郵便物には、ネットで問題になる詐欺などのトラブルがない。郵便物はネット広告と違って誰もが一応見てチェックするし、ボットが郵便受けに侵入することはない。そう、彼は主張する。

PebblePostのフィジカルな郵便物はその7〜10%が購買に結びついているそうだから、たいへん好成績だ(上で述べたように、品目の選定が重要だが)。同社はこの前800万ドルを調達し、また顧客はBoxed, Saatchi Art, ModClothなどのショッピングサイトが主だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

PayPal、キャッシュ支払サービスのTIO Networksを2.33億ドルで買収へ

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PayPalは支払サービスの有力企業、TIO Networksを2億3300万ドルのキャッシュで買収することで同社と合意した。TIO Networksは公共料金などの請求書をドラグストア・チェーンのRite Aidなどの店頭で支払えるようにするサービスだ。今回の買収によりPayPalは一挙にこの分野への参入を果たした。

この買収により、PayPalは給料日から給料日までぎりぎりの生活を強いられている北米の人々に対するサービスが可能になる。こうした人々の多くは銀行口座を持っていないためクレジットカードが利用できない。PayPalのCOO、Bill ReadyはTechCrunchの取材に対し「われわれはこうした〔恵まれていない〕人々に対してデジタル時代への橋渡しをしたい」と語った。

TIO NetworkをPayPal本体にどのように統合するのか、具体的な計画はまだ明らかではない。しかしキャッシュによる支払いをデジタル支払サービスに統合しようというのは以前からのPayPalの目標だった。開発チームはキャッシュをオンライン支払にあてる手続きを簡単に行えるPayPal Cashというシステムを発表している。

昨年TIOは6万5000箇所の支払いコーナーで1400万人の顧客の70億ドルの支払を処理している。

TIOはカナダのバンクーバーを本拠とする会社でドットコム・バブルの時代にトロント証券取引所に上場した。最近の時価総額は買収金額を25%程度下回っている。PayPalは最終的に1株2.56ドルという条件を示した。買収の完了は今年中となる。

PayPalは今やオンライン支払の世界的な巨人であり、PayPalサービス以外にもモバイルのピア・ツー・ピア資金移動アプリ、Venmoなど数多のくサービスを傘下に持っている。またUberやAirbnbの支払を処理して大成功を収めたBraintreeも買収している。

PayPalがeBayからスピンオフしたのは2015年で、企業規模はすでにeBayを追い越している。時価総額は510億ドルで、株価は昨年21%上昇した。

画像: PayPal

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

このAmazonダッシュボタンはトランプに腹を立てるたびに人権団体に5ドル寄付する

Amazonのダッシュボタンは消費者のビヘイビアをとことんまで利用する、狂気か天才の発明だと思うが、あるプログラマーが、それの、人間がいとも簡単に金を払ってしまう機能の、もっと良い使い方を発想した: ACLUに寄付をするのだ。そのヒントになった彼のある友人はあるとき、怒り狂って、トランプが人間性に悖(もと)るひどいことを言うたびに、それに対する怒りのはけ口が欲しいから、ダッシュボタンで簡単に寄付ができるようにしてほしい、と言った。そこでプログラマーのNathan Pryorは、ボタンの改造に取り組んだ

Pryorが注文したのは、IoT的にカスタマイズできるバージョンのダッシュボタンだ。それが届くのを待つ間彼は、ボタンを押すたびにACLUに5ドルの寄付が行くコードを書いた。寄付をするAPIは既存のAPIの中にないから、そのコードも自分で書き、そして到着したダッシュボタンに実装した。そして最終的に、ねらいどおりに動くようになった。ボタンのグラフィクスのデザインも自分で考えて、洗剤のTide用などと同じく、公式のダッシュボタンに見えるようにした。

そしてこれからは、トランプがツイートするたびに、そのボタンを叩けばやや怒りが和らぎ、しかもちょっとした善行ができる。彼はコードを公開しているから、誰もが同じことをできる。あなたが怒りを我慢できない人で、多少技術力があり、そしてトランプの言うことがいつも頭にきている人ならね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

PayPal、好調な売上が続く

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木曜日(米国時間1/26)の取引終了後、PayPalは第4四半期の決算を発表し、結果は投資家たちの期待通りだった。時間外取引の株価は動いていない。

売上は29.8億ドル、対前年比17%増とアナリスト予測とほぼ一致した。調整後1株当たり利益は0.42ドルで、これもウォール街の予測通りだった。総支払い金額は990億ドルで、予測の1001億ドルをわずかに下回ったが、対前年比22%の上昇だった。

「昨年当社は、ネットワーク、金融機関、IT企業、および携帯通信会社と一連の戦略提携を結び、市場機会の転換をはかった。われわれは顧客第一を貫くことでこれを実現した」とCEOのDan Schulmanが声明で語った。

PayPalは2015年にeBayと分離し、現在二社のうち同社の方が大きい。PayPalの時価総額は500億ドル、一方eBayは約360億ドルだ。

これはPayPalが、ピアツーピア送金サービスのVenmoと、StripeのライバルBraintreeを傘下に持っているためだ。Braintreeは、みんながUberに乗ったりAirbnbに泊ったりした時にPayPalが稼ぐのを手助けしているモバイル支払いプラットフォームだ。海外送金サービスのXoomもPayPalが所有している。

PayPalはその名にふさわしくオンライン支払いのパイオニアだったが、インターネット黎明期と結びつけられることも多い。同社は人々がチェックアウトでもっと効果的にPayPalを使えるよう、努力を続けてきた。

PayPalサービスは、Braintreeやつい最近収益化をスタートしたVenmoと比べて利幅の大きいビジネスだ。投資家が未だに同社の中核事業の成長に重点を置いているのはそれが理由だ

PayPalの株価は昨年同時期と比べて31%上がっている。木曜日の終値は41.50ドルだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、科学おもちゃの定期購入サービスを開始

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今日(米国時間1/24)Amazonは、親たちに向けた新しい定期購入サービス、STEM Clubを公開した。月々19.99ドルで、毎月自宅に教育玩具が送られてくる。同社によると、おもちゃはAmazonが選び、必ず年齢に相応のものを送るという。そしてもちろん “STEM” [Science/Technology/Engineering/Mathematics]の名が示す通り、おもちゃは、科学、技術、工学、および数学の分野に焦点が絞られる。

ただしこの定期購入プログラムは、どんなSTEM玩具でも送るわけではなく、最近発売されたものかAmazonが独占で取り扱っている商品に限られる。

登録するには、STEM Clubのページへ行き、子供の年齢(3~4、5~7、または8~13)を選ぶ。最初のおもちゃは一週間以内に届けられ、送料は無料。それ以降は月に一度のペースで送られてくる。同サイトによるとサービスの提供範囲は米国のみ。

AmazonがSTEM玩具を扱うのはこれが初めてではない。2015年、同社はこの種の商品を探すための場所として、STEM Toys & Games Store開設した

もちろん、Amazonにとってこの新たな店舗の開設は、若き心を燃え立たせ、学習意欲を湧かせるためでなく、親たちのSTEM玩具への関心に乗じて自社の収支をよくすることが目的だ。先のホリデー期間、STEM玩具は2番目に来訪者が多かった部門であり、売上は最も多かった。

同じく、Amazonがこうした玩具の定期購入サービスを始める目的は、継続的な収入ストリームを確保できるもある。同社の”Subscribe & Save”[定期購入で節約]プログラムと同じように、Amazonはこの新しい定期購入サービスが、買い物客の間に「設定したら忘れる」とでも言える心理を植え付けることを期待している。

しかし、そもそも親がこれに登録するかどうかは、まだわからない。結局のところ ― あなたのことは知らないが ― 私たちは既に大量のおもちゃに囲まれている。毎月それが一つずつ増えていくの待つところなど私には想像できない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook