iPad向けPOSレジシステムのユビレジ、食べログPayやGMO Palletと連携

先日開催したイベント「TechCrunch School」では、決済をテーマに、決済サービスPAY.JPを準備中のBASEやLINE傘下になったばかりのWebPay、リクルートライフスタイルが手がけるPOSレジシステム「AirREGI」などの話を聞いたのだけれども、今日また決済関連のニュースがあった。iPad向けPOSレジシステム「ユビレジ」を手がけるユビレジとカカクコムのグルメサイト「食べログ」が業務提携を発表した。

カカクコムでは、デジタルガレージグループのベリトランスが提供するスマートフォンを使ったクレジットカード決済ソリューション「VeriTrans mPOS(ベリトランス エムポス)」を利用して「食べログPay」というサービスを提供している。

今回の提携では、この食べログPayとユビレジを連携する。これによって、iPadに食べログPayのカードリーダーを挿せば、両方のサービスを連携して利用できるようになる。

ユビレジはこれまで楽天の「楽天スマートペイ」やコイニーの「Coiney」など、4つの決済サービス、freeeなど合計9つのサービスと連携してきている。3月16日はGMOペイメントゲートウェイが手がけるスマートフォンアプリ決済サービスの「GMO Pallet」とも提携している。

ちなみにユビレジはユーザー数などは公開していないのだけれど、代表の木戸啓太氏によると、「ユーザー数はこの1年で伸びてきている。(タブレットを使ったPOSシステム自体の)認知度が高まってきている」とのこと。問い合わせも増えているそうで、「ITに詳しくない人でも選択肢として(ユビレジなどを)考えるようになってきた」という手応えがあるそう。


スタートトゥディがアラタナを子会社化、アパレルメーカーEC支援強化

ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは25日、ECサイト構築を支援するアラタナを株式交換によって完全子会社化することを明らかにした。スタートトゥディは91万5313株を割当て交付する。買収金額は5月28日時点の株価次第だが、本日の終値(3180円)で計算すると買収金額は約29億円となる。スタートトゥディはアラタナを子会社化することで、アパレルメーカー向けに提供する自社EC支援事業を強化する狙い。

宮崎に拠点を置くアラタナは、ネットショップを構築する「カゴラボ」を提供し、これまでに800サイトの導入実績がある。マーケティングを支援する「ECコンサル」や商品ページ・バナーを作成する「SketchPage」など、ECサイトの成長フェイズに合わせたサービスも手がける。2013年9月には、NTTドコモ・ベンチャーズとリブセンスなどから、約5億5000万円の資金調達を実施している。

スタートトゥディは主力事業ZOZOTOWNのインフラを生かし、アパレルメーカーの自社EC支援事業を手がけており、現在はオンワード樫山やユナイテッドアローズ、ビームスなど33社が導入している。アラタナを子会社化することで、アパレルメーカーのニーズに沿ったECサイト開発・運用が実現できるとしている。


リブセンスが越境・CtoCコマースを展開するwajaを子会社化

リブセンスは3月25日、wajaの発行済株式の71.7%を取得して子会社することを発表した。

wajaは自社にフルフィルメント機能を持ち、CtoC・越境ECの「waja」などを展開。wajaは世界60カ国のバイヤーが現地で仕入れた商品を販売する。

取得株式は429個。議決権ベースで71.7%。取得額は3億9300万円。同社は現在メディア向けのブリーフィングを開催している。詳細は追ってレポートする予定。


究極ニッチ?! デバイス上で動作するアプリケーションの写真を作る専用ツールが登場

手に握ったモバイルデバイス上で動作するアプリケーションの写真をしばしば目にする。ありきたりの写真ではあるが、エディトリアルないしマーケティング用に制作しようとなると、これがなかなか難しい。時間もかかるし、気をつけなければならないポイントもたくさんある。

まずはもちろん写真を撮る必要がある。それだけでもそれなりの撮影テクニックを必要とするし、さらにPhotoshopなどの編集ソフトで、狙い通りに見えるように加工する必要もある。

頻繁にそんな作業ををしている人におすすめのアプリケーションが登場した。Unsigned Integerがリリースした、Mac用のSceneryがそれだ。アプリケーションを使えば簡単に目的の写真を作ることができる。ちなみにUnsigned IntegerはプレゼンテーションソフトウェアのDecksetを作った会社でもある。

Sceneryを使って、特定のデバイス上での動作シーンを作成するには、まずアプリケーションのスクリーンショットをとる。そして、テンプレートとして用意されている動作プラットフォームを選択する。あとは基本的にSceneryがやってくれる。と、いうかSceneryが行うのはそれだけだ。この類の写真を作る目的のために特化したアプリケーションなのだ。

「Photoshopで写真を編集して、アプリケーションの動作シーンを作り出すのに疲れてしまったのです。それでSceneryをつくりました」と、Unsigned Integerの共同ファウンダーであるChris Eidhofは言っている。「同じような目的のプロダクトはあります。しかしネイティブなアプリケーションはこれだけだと思います。Sceneryの登場で、作業効率が大幅に改善するはずです」。

Eidhof曰く、アプリケーションがクラウド型でないのもメリットとして考えて欲しいとのこと。写真をUnsigned Integerのサーバーにアップロードしたりする必要がないからだ。「写真はすべてローカルにおいておくことができます。こうした作業はリリース前のアプリケーショについて行うことが多く、写真をインターネットにアップロードせずに作業できるのことは、安心につながると思うのです」。

アプリケーションは無料でダウンロードでき、そして無料で使える3つのテンプレートも用意されている。無料テンプレートに掲載されている以外のデバイスを使いたかったり、あるいは背景を変更したいような場合には、アプリケーション内課金を通じて他のテンプレートを購入することとなる。もっとも安いもので15ドルの値付けとなっており、ひろく使われるようになれば、なかなかの収入を期待することができそうではある。

訳注:用意されているテンプレートの種類などについては、製品ホームページがわかりやすいと思います。

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(翻訳:Maeda, H


ニュースアプリのGunosyが4月にマザーズ上場へ

ニュースアプリ「Gunosy」を運営するGunosyは3月24日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場を承認された。上場予定日は4月28日で証券コードは6047。主幹事証券会社は野村証券。同社は2011年10月の設立。約3年半での上場となる。

Gunosyはニュースサイトやブログなどの注目記事を記事をまとめて閲覧できるアプリ。2013年頃には、ユーザーの嗜好(しこう)に合わせて記事を配信するソーシャル化を進めていたが、2014年に入りサービスの方向性を転換。多くのユーザーから注目を集めるコンテンツを紹介するようになった。

2014年3月と6月には、KDDIなどから合計24億円の資金調達を実施したと発表。その後はテレビCMなどを積極的に展開。直近のダウンロード数は866万件に上る。

またビジネス面では、2013年から広告配信事業を展開。2014年6月からはメディアと連携して配信記事のキャッシュ化などを進めてきた。2014年11月には「Gunosy Platform」なるポータル構想を発表。ディー・エヌ・エーなど11社との提携も発表していた。

2014年8月末には、グノシー創業期のエンジェル投資家でもあり、創業者で代表取締役の福島良典氏とともに共同代表を務めていた木村新司氏が退任。Gunosyでは「任期満了のため」としていたが、業界ではさまざまな噂が流れるに至った。

同社の2014年5月期の売上高は3億5905万1000円、経常利益は13億6560万3000円の赤字、純利益は13億9367万3000円の赤字となっている。2015年5月期第3四半期累計(2014年6月〜2月)では売上高21億7002万8000円、経常利益、純利益ともに1億163万4000円の赤字となっている。上場では48億6640万円を調達し、広告宣伝活動に使う予定。株式の想定発行価格は1520円。また同社の株主構成は以下の通り。前述の木村氏が41.12%の株式を保有している。


体験的イスラエル・スタートアップ論―国全体がスタートアップを盛り立てている

編集部:Omar Téllezは公共交通機関乗り換え案内アプリのMoovit のプレジデント。それ以前はSynchronoss Technlogiesの幹部。

最初にベングリオン国際空港に着いたときのことを私は決して忘れないだろう。

ニューヨークのJFK空港から12時間の長旅の後で入管の行列に並んだときだった。「MoovitのTシャツを着ている人、前へ出てください」と声をかけられた。一瞬私はやっかいごとに巻き込まれたのかと思った。しかし入管の係官は訛りの強い英語で「イスラエルへようこそ! われわれはスタートアップを誇りにしています。世界の人にイスラエルはハイテクのパワーハウスだと知ってもらいたいのです」と言った。係官はパスポートを返し、手を振って私を通らせた。

私は行列に並ぶ時間を1時間は節約できただろう。しかしそれより、入国管理局までもがスタートアップのエコシステムを盛り上げようと努力している国に来たことを知って興奮した。私はMovitのロゴ入りTシャツを着てきたことに感謝した。

イスラエルが「スタートアップ・ネイション」と呼ばれるのは不思議はないと私はタクシーを拾いながら思った。

Uri Levineはシリコンバレーでの親しい友人で、ソーシャルカーナビのWazeのファウンダーだ。「Wazeの公共交通機関バージョンを作ったクレージーな2人組に会いにイスラエルに来ないか」と私を誘ったのがUriだった。UriはそのMoovitというスタートアップの取締役を務めており、国際展開を図ろうとしているところだった。

私もイスラエルがスタートアップの盛んな国だとは知っていたが、イスラエルのハイテク・ベンチャー・キャピタルの規模は人口当たりで世界最大であることは知らなかった。後で知ってさらに驚いたのだが、過去5年間のイスラエルのハイテク・スタートアップのエグジットは980%も成長し、2014年には総額92億ドルにも達していた(MobileyeViber、Wazeなどが大型エグジットの例だ)。

私もイスラエルがスタートアップの盛んな国だとは知っていたが、イスラエルのハイテク・ベンチャー・キャピタルの規模は人口当たりで世界最大であることは知らなかった。

イスラエルのスタートアップと仕事をするのは非常に面白いが、同時に学習曲線もかなり急だ。

仕事をやり遂げる執念、強烈な平等主義と実績主義、文化的民族的背景の多様性などはイスラエルのスタートアップ・エコシステムの大きな長所だろう。

しかしどのエコシステムにしてもそうだが、修整すべき課題も多々ある。たとえば直接的すぎるコミュニケーションのスタイル、他の主要市場と7時間から10時間の時差があること、国内市場の狭さとある種の「島国性」から来る資本調達の困難さなどだ。

一方で明るい発見もあった。イスラエル在住チームとのカンファレンス・コールを何回か繰り返した後、とうとうchutzpah(チュツパ=ずぶとさ、厚かましさ)というイディッシュ語の意味を理解できた。カンファレンス・コール中に外でロケット弾攻撃を警告するサイレンが鳴り、チームはそのつど防空壕に避難して会議を続けた。興味深いのは、イスラエル・チームはこのことを特に大きなリスクとは考えていないことだった。「しなければならないことはするだけだ。これについては以上」というのが彼らの態度のようだった。

私はその後、ニューヨークで数インチの雪が積もっただけで会議がキャンセルされることに我慢がならなくなってきた。なにがあろうとやりぬく精神こそ、NASDAQに70社ものイスラエルの企業が上場されている理由に違いない。ちなみに70社というのはEU、日本、韓国、中国の上場会社を合計したよりも多いのだ。

イスラエル国防軍はこの国に「ものごとをぼやかす」ことを恥とし、同時に権威に対して健全な冷笑を浴びせる精神を植えつけた。プロダクト検討会議で誰かが「こんな馬鹿げたアイディアは見たことも聞いたこともない。最低だ!」と叫ぶのを聞いて息を飲んだり顔を赤くしたりするようでは、彼らといっしょに働くにはチュツパがたりなすぎるというわけだ。

ニューヨークサンフランシスコの会議でプロダクト・マネージャーがそんなことを怒鳴ったらあたりは気まずい沈黙に包まれ、会議は早々にお開きになるだろう。しかしテルアビブでは、こうした反応は大いに歓迎され、ただちにエネルギッシュな議論のジュウジツ試合が始まる。

要はチーム全員が最後により優れたプロダクトを生み出そうとしているのだ。それと、正直に言えば、イスラエルでは単に議論する楽しみのために議論を吹きかけるという傾向もないではない。これはいわば国民的スポーツなのだ。

テルアビブのロスチャイルド通り―地中海沿岸でいちばんトレンディーな地区の一つ―のバーに入ると、この国の多様性を肌で感じることができる。私は半径2メーターで4、5種類の民族的背景の人々によって7ヶ国語が話されているのを聞いた。radius.

It’s no wonder that with over 4,000 startups in the Greater Tel Aviv area, Israel is ranked 1st in the world for innovative capacity in 2014 by the IMD Global Competitiveness Yearbook.

スペイン語、ポルトガル語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、ロシア語のネーティブ・スピーカーで、頭がよく、勤勉で、テクノロジーに詳しい人々がここにはたくさんいる。たとえば2年以内に45ヵ国の500都市にサービスを拡大したいなどという試みを可能にする人的資源はイスラエル以外ではまず見つかるまい。

だからこそテルアビブ圏に4000社のスタートアップが存在し、2014版のIMD Global Competitiveness Yearbookでイスラエルがイノベーション能力で世界のナンバーワンに位置づけられたのだ。

もっともいくら慣れようとしてもイスラエルに飛んで取締役会に出ようとすると時差ボケだけは治らない。同様に、イスラエルのスタートアップと共同作業する上で時差の問題はコミュニケーションの障害として残る。テルアビブとサンフランシスコ、ニューヨーク、パリ、サンパウロ、マドリッドを結んでテレビ会議を始めようとすればどれかの都市は真夜中にならざるを得ない。議題を事前にきちんと整理しておくこと、Googleハングアウトの操作に慣れておくことが必須だ。

またベンチャーキャピタルについていえば、A、Bラウンドくらいの初期の資金調達は比較的容易だが、それ以後の大型資金調達となると、シリコンバレーを頼る必要が出てくる。

実際Dun & Bradstreetのレポートによれば、運用資産が10億ドル以上のイスラエルのベンチャーキャピタルはPitangoとStar Venturesの2社しかない。しかしSequoiaのようなシリコンバレーの名門ベンチャーキャピタルがイスラエルのHerzliyaにオフィスを構え、現地に積極的に投資していることを知って私は驚いた。 だがシリコンバレーには「われわれはイスラエルのスタートアップには投資しない」というポリシーのベンチャーキャピタルも存在する。

イスラエルへの投資で最大の困難は国内人口がニューヨーク市より少なく、世界展開をしなければ成功が確保できないことだろう。このことはイスラエル国民もよく認識している。いずれにせよイスラエルのスタートアップのやり方は強引で独断と偏見に満ちているかもしれないが、嘘や政治的駆け引きはなく、なにより物事を手早く進める能力では世界の追随を許さないのだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


伸び盛りのペット関連スタートアップDogVacayとWhistleとのインタビュー

先週末のSouth by SouthwestのYappy Hourのイベントで行ったインタビューの記事はもう掲載されている。そう、Instagramの人気アカウント、Tuna Melts My Heartに登場する犬の飼い主のCourtney Dasherとのインタビューだ。 でも私は、ソーシャルメディアの人気犬のためだけにここを訪れたのではない。飼い主が留守の間に犬を預かってもらえる人を探せるDogVacayの共同ファウンダーでCEOのAaron Hirschhornとペット専用のアクティビティトラッカーを開発するWhistleの共同ファウンダーでCEOのBen Jacobsとも話をした。

HirschhornとJacobsは、それぞれの企業の事業についてやAustin Pets Aliveに協賛していることについて話した。この日行われていたペットの里親を探すイベントは、殺処分ゼロを目指す動物シェルターを運営するAustin Pets Aliveの宣伝活動の一環で行われた。また、それぞれの専門分野を超えたペット関連のスタートアップが台頭していることについても話を聞けた。異なる事業を展開するペット関連のスタートアップの関係はいつも良好なのかを聞いたところ、Jacobsはこう答えた。

今、素晴らしい企業がいくつか伸びてきています。DogVacayを始め、ニューヨークにはBarkBox、サンフランシスコにはWhistleがあります。ペットの飼い主に向けた新しい製品とサービスを届けることを皆が目標としています。アメリカには8000万頭以上の犬がいます。この数は、子供の数より多いのです。そして600億ドルがペットにかけられています。今は、互いに手を取り合って、新しいカテゴリーの企業を確立させていくことに力を注いでいます。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


Graphic Indiaは自国インドでデジタルコミックを根付かせられるか


Graphic Indiaは、バンガロールに拠点を置くデジタルメディア企業で、今回280万米ドルの資金調達を行った。この企業は、インドとインド文化を代表するコミックやアニメビジネスを展開することを目標としている。

今回の資金調達を牽引したのは、アジア市場に特化したCA Mediaを傘下に持つThe Chernin Groupだ。他には、ニューヨークに拠点を置くStart Media やゲーム会社のBackflip Studiosを創業したJulian FarriorとDale Thomsを含めたエンジェル投資家が出資した。Graphic Indiaは、昨年のシードラウンドで250万米ドルをCA Mediaより出資を受けている。

インドのコミックやスーパーヒーローは、私たちにとってあまり馴染みのないものだ。このスタートアップはその状況を一変させようと、アメリカのホールディングス企業Liquid Comicsの傘下の元、2013年に立ち上がった。

Liquid ComicsとGraphic IndiaのCEOと共同創業者を務めるSharad Devarajanは、TechCrunchのインタビューで、今回のラウンドで得た資金は、コンテンツの創出とGraphic Indiaの所有するコミック、アニメ、映画などを広めるためのデジタルプラットフォームの開発に当てると話した。

「モバイルは、オーディエンスと直接つながり、ファンを作るチャンスです。インドコミックのファン層を構築します。5億5000万人にいるインドの25歳以下の人たちは、このようなつながりの持てるコンテンツに触れる機会は今までなかったのです」とDevarajanは言った。

このスタートアップはこれまで、コンテンツのカタログを作ること、そしてコンテンツの配信を行うサードパーティーを獲得することに多くの時間とリソースを費やしてきた。例えば、Rovioとの提携、インドのCartoon Networkとの配信契約、そして10の映画の上映権の取得などだ。その他にも、有名なコミック作家のStan LeeやバットマンのライターのGrant Morrisonを迎え、コンテンツを提供している。

Graphic Indiaが自国における才能を磨いて開花させるために、LeeやMorrisonは彼らのノウハウを提供することに賛同した。他にも世界的に有名な作家が賛同している。アメリカで生まれたDevarajanは、Virgin ComicsをRichard Bransonと創業したこの業界のベテランである。彼はVirgin Comicsをバイアウトした後、名称をLiquidに変更し事業を続けていた。著名な作家との連携から得られる知識と、ファウンダーチームのアメリカ中に持つ広いネットワークを組み合わせることで、Graphic Indiaが作り上げるコンテンツは、アメリカのコンテンツと遜色ない品質であるとDevarajanは言った。

「クオリティーは今までインドでは見られなかったものになっています。これらの見せ方、作り方、届け方、どれも世界で通用すると思います」と彼は言った。

これまで、Graphic IndiaはAmazon(グローバル対応とインド国内向けサービスの両方)とインド国内の大手小売りサービスFlipkartでコミックを販売してきた。それに加え、テレビでの放映は、コンテンツの品質が良く、インドを含めた世界中のメンスストリームの対象者に広く受け入れられることを示し、業界内の評判を高めてきた。次に彼らが目指すのは、自社と直結するオーディエンスの構築である。

Davarajanは、コンテンツを集約するプラットフォームを開発したVice、Rovioを含む開発陣に賛辞を送った。このプラットフォームは、Graphic Indiaの目標を達成するのに無くてはならないものだからだ。

「次のマーベルになるために私たちはデジタルにフォーカスします」と彼は説明した。「モバイルの台頭により、コンテンツのクリエーターはサードパーティに依存しなくてもよくなりました」。

Graphic Indiaのモバイルプラットフォームは、複数の要素で構成される。既にYouTubeでの存在感を強めているが、アプリにはユーザーが作品にのめりこめるように、電子書籍や動画コンテンツも組み込めるようにする。モバイルによる配信はAndriodから始めるとDevarajanは言った。これは、Andriodの方がインドでより多くのユーザーにリーチできるからだと説明した。

また、Facebook経由でのファンを獲得するため、コミックやアニメ専用のFacebookアプリを開発する予定であると話した。これとモバイルでの施策により、自社と直接紐づくファン層を構築することができる。

「来年の今頃までには、月ベースで100万人の熱烈なファンが訪れるような、確固たる立ち位置を築きたい」とDevarajanは話した。これを達成することで、コンテンツをマネタイズするビジネスモデルを試すことができると説明した。

「今はまだスタートアップの段階で、早急に利益の上がる会社にしたいということではありません」とDevarajanは続けた。目標は インドでのモバイルの急速な普及 に伴うチャンスをつかみ、Graphic Indiaを主軸として、コミックファンを獲得し、コミュニティーを構築していくことだと語った。

「インドにはたくさんの面白い物語や作品があるのですが、それらが花開くには外部の力を借りる必要がありました。インドのどこかにいる次のJK RowlingやStan Leeを見つけ出し、ティンカーベルの塗り絵に色を塗るに留まらず、クリエイティビティを発揮するきっかけになればと思っています」と彼は言った。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


gumi、韓国子会社で数千万円規模の横領か–社内調査で事実を確認中

gumiは3月19日、韓国の一部メディアにて、「同社子会社のgumi Koreaで役員による数十億ウォン(数億円)規模の横領がなされた可能性がある」との報道があったことを明らかにした。

gumiによると、横領は子会社役員ではなく子会社従業員の関与の疑いが強いとのことで、金額についても現時点では数千万円程度だと見込まれているという。

同社では現在、社内調査チームを組成し事実確認を進めており、公表すべき事実が確定したら遅滞なくこれを開示するとしている。


イギリス王室もスタートアップを支援―アンドルー王子、「宮殿でピッチ」の人気投票呼びかけ

本物の高位の王室メンバーがテクノロジー・スタートアップに関与するというのは珍しい。しかしこの数年ヨーク公爵(そう、チャールズ皇太子の弟、アンドルー王子だ)はテクノロジー系起業家の応援と青少年に対するSTEM (サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、マセマティクス)能力の育成に力を入れている。

ヨーク公が主催するPitch@Palaceイベントは、スタートアップが文字通り宮殿―セント・ジェームズ宮や時にはバッキンガム宮そのものでイギリス産業界に向けたピッチを行えるというものだ。ヨーク公はテクノロジー・イノベーションと起業環境の整備を図るために多数の有力な投資家、起業家を組織している。ロイヤル・ファミリーのメンバーが自ら動いてこれほど積極的に起業家を支援するというのは他国ではまず見られないだろう。

ヨーク公はこのイベントに人気投票による賞 “People’s Choice Award”を設け、一般公衆の参加を促している。Pitch@Palace 3.0(3回目のイベント)に参加した42のスタートアップからお気に入りのチームを選んで誰でも投票できる。 サイトはこちら。投票締め切りは3月23日の午後5時(イギリス標準時)。次回のPitch@Palaceイベントで結果が発表される。

結果が判明しだいTechCrunchでも報じる予定だ。

ヨーク公自身による投票の呼びかけ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


コアゲーマーを囲い込み、DeployGateの事前テストでスマホゲームを最適化する「サキプレ」

スマホゲームは今や、資本力がモノを言う時代。1本あたりの開発費は億単位にまで高騰し、集客のためのプロモーション費も欠かせない。投じた金額や時間を考えると、“絶対に負けられない戦い”が、スマホゲームにもあるのだ。

そこで重視されているのが、ヒット作の前提条件とも言える「初動」を後押しする施策。最近では、メールアドレスを登録することで、新作ゲーム情報が得られる“事前登録”がトレンドに。ゲーム会社としては、予約特典を付けることでユーザー獲得が見込める。

その事前登録よりも前段階に注目したのが、スマホゲームのテストマーケティングサービス「サキプレ」だ。コアなゲーマーに事前テストしてもらい、正式リリース前にゲームの最適化を図れる。いわば、ヒット作を生み出すための最終調整作業を行うサービスだ。

スマホゲームの無料アイテムや攻略情報を配信するアプリ「ゲームギフト」や事前予約サービス「ハヤトク」を手がけるAppBroadCastと、スマホアプリのテスト配信サービス「DeployGate」のデプロイゲートが共同で4月にスタートする。

アプリストアの低評価対策

ゲームギフト経由でテスターを募集し、プロダクトとプロモーションの両面でテストマーケティングを実施する。ゲーム提供者は、事前にユーザーから評価してもらうことで、レビューに書かれそうなネガティブコメントを把握。リリース後にアプリストアで低評価がつかないように対策が取れる。

プロモーション面では、アンケート結果からキャッチコピーやメインビジュアルで使うキャラの選定、訴求ポイントを判断できるのが特徴。アプリストアで使うべきタイトルや説明文、キーワードもわかってくるので、ASO(アプリストア最適化)につながるのだという。

テスト環境は、公開前のベータ版アプリを配信できるDeployGate上で実施。ユーザーのログやクラッシュレポートを収集したり、アップデートしたアプリを随時テストしてもらえる。

テストユーザーのメリットは、気になるゲームをいち早く体験できること。ゲーム会社としては、新作タイトルへの愛着を深めてもらうことで、リリースと同時に好意的なレビューや評点を獲得することが見込めるのだと、AppBroadCastの小原聖誉社長は話す。

スマホゲームの成否は初動が分ける

AppBroadCastの調査によれば、Google Playではリリース初月に売上TOP100に入らなかったタイトルのうち、2カ月目以降で売上100位に入る率はわずか1%。つまり、初動がヒット作の条件になっていることが伺える。

小原氏によれば、Google Playの新着ランキング上位に掲載されことで見込めるダウンロード数は1日約1万件。リリース2カ月目には新着ランキングから除外されることから、「リリース直後に新着ランキング上位に入り、売上TOP100に食い込むのが鉄板マーケティングとなっている」。

熱量の高いゲーマをファン化

公開前のアプリをテストするサービスとしては、Google Playのベータ版配布機能があるが、ユーザーは自前で集客する必要があったり、取得できるデータはサークル内でのコメントのみ、といった制限もある。

サキプレは、ゲームギフトを通じてコアなゲーマーに告知できるのが利点。熱量の高いゲーマーにファンになってもらえる可能性もあるので、「テスト」というより「マーケティング」の側面が大きいかもしれない。ただし、課金テストはGoogle Playのベータ版配布でしか行えないので、併用するケースもありそうだ。

ゲーム会社はAPKファイルのダウンロード数に応じて料金を払う。金額の目安は「アドネットワークで獲得できるCPIと同程度」(小原氏)で、年内に約30社の導入を見込んでいる。AppBroadCastは、事前予約サービスのハヤトクに続く、収益の柱としたい考え。一方、ミクシィから3月にスピンアウトしたばかりのデプロイゲートの藤﨑友樹社長は、「サキプレを通じてゲーム会社にリーチできるようになったのが大きい」と、今回の提携の意義を話している。

AppBroadCastの小原聖誉社長(左)とデプロイゲートの藤﨑友樹社長


HaikuJam、「写真俳句」を導入して成長に賭ける

一部の注目を集めていた「HaikuJam」は、アプリケーションの名前にもある「Haiku」(俳句)の世界から抜け出そうとしているようだ。2013年にスタート(イギリスのスタートアップだ)した時点では、確かにコラボレーションスタイルの俳句(短い詩)作成アプリケーションだった。知らない人同士が1行ずつ言葉を書いていき、そこに生まれる「アート」を楽しむものだった。しかし支援企業の意向やビジネスチャンスを広げる狙いもあり、「俳句以上」のものを目指す形に方向転換しようとしている。

新しい方向を目指すHaikuJamアプリケーションはベータ版として提供されていたが、いよいよiOS版およびAndroid版が正式にリリースされた。この新しい版では、写真を使った表現もできるようになっている。すなわち、共同ファウンダー兼CEOであるDhrupad Karwaがいうところの「ビジュアル俳句」機能が追加されたのだ。また、仲間うちで盛り上がるための「サークル」機能も追加された。

望むのならば、言葉を一切使わずに写真だけで「俳句」を作ることもできる。従来もちいられていた3行のフレーズの代わりに、3枚の写真で「俳句」が作られることとなる(もちろんこれまで通り、言葉により表現することもできる)。今後はここに、ビデオや音声を追加するような方向も検討中であるらしい。

もともと、このHaikuJamを使い始めたのはTwitterを利用した短詩を楽しむような人たちだった。しかしそうした表現は進化しつつあるのだと、Karwaは言う(もちろんTwitterを利用した短詩も廃れてはいない)。ベータ版を使ってみてもらったところ、詩的な文章を書いたり、あるいは写真による「表現」に不慣れな人も、アプリケーションを楽しんでいたとのこと。

日々の生活に追われ、ちょっとしたお楽しみによりストレスを解放したいと考える人は多いのだろう。日常のちょっとした思いをHaikuJamに投稿することで、「ソーシャルな繋がり」を感じることができたりもする。またHaikuJamでは利用者に「カルマポイント」というポイントも付与している。親しい「サークル」仲間からの反応を見て癒されたりもするのだろう。きっとShingyも気に入るだろうと思う。

「サービスを積極的に使って楽しんでくれているのは、いわゆる詩人とは違う人たちなのです。銀行家であったり、看護師や医師であったり、あるいは学生だったりするのです。アプリケーションを使うことで、非日常的な感じを得ることができるのが楽しいと言ってくれています。ストレスから解放されるという人もいます。もちろん、日々の仕事からは得られない創造的気分を味わえることも人気です。絵を描いたり、歌をうたったりすることなく、アートな気分を得られるわけです」とKarwaは言う。

「1行ないし数行の文章を書くだけだという手軽さも良いのでしょう。自分の書いたことに他の人が反応してくれることで、見返りを得ることもできるわけです。詩的な表現を楽しみたいと考えて使っている人もいるのですが、どうやら多くの人は表現形式にこだわりを持っているわけではないようなのです。限られた時間の中で、何かクリエイティブな表現を行い、それによってコミュニケーションできるようなツールを探しているという人が多いようです」。

HaikuJamはこれまでにシード資金として15万ドルを調達している。資金を出しているのはJustGiving、Oxygen Enterprise Partneresおよびファウンダーたちの母校であるユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンなどだ。これまで利用スタイルが限られていたサービスを拡大していくとともに、数ヶ月のうちに新たな資金調達を狙っているのだそうだ。

ベータ提供してきた新バージョンをリリースした今日の段階で、HaikuJamのアクティブユーザーは500名程度であり、アプリケーションのダウンロード数は2000件であるとのこと。しかしKarwaによれば、スケール可能なプロダクトモデルを考える間、利用者を増やすことには全く意識を向けていなかったのだとのことだ。

端的に言ってしまえば、「詩」にフォーカスしたアプリケーションはスケールしなかったわけだ。しかしスタートアップ経済圏の中では、写真が絵にまさることは何度も繰り返し明らかになっていることだ。

言葉による表現が好きな人は、HaikuJamの主役の座から追い出されるような形になったとも言える。より手軽な表現プラットフォームとしてのサービス拡大を目指しているというわけだ。今後の動向を見守りたい。

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(翻訳:Maeda, H


Logbookはアナリティクスを放置してる人でも使えるアプリ解析ツール

とりあえずGoogle Analyticsを入れてみたけど、何を見ればわからず放置してしまった……。そんな専門知識がない人でも、サービスの課題を発見できることをうたうアプリ解析ツールが「Logbook」だ。

利用するにはまず、ウィザード形式でサービスのジャンルや想定利用頻度などの質問に答える。それから、iOS/Androidアプリ用のSDKから専用のコードをアプリに埋め込めむだけで、サービス改善にあたって計測すべき指標を自動で表示してくれる。

知識ゼロでも「AARRR」モデルで課題を発見

Logbookが表示する指標は、グロースハックの改善プロセスとして用いられている「AARRR」(アーと読む)に沿った数値。AARRRはユーザーの行動を次の5段階に分類して、指標を追う。

・Acquisition(獲得)
・Activation(活性化)
・Retention(継続)
・Referral(紹介)
・Revenue(収益)

AARRRが既存のモデルと何が違うかというと、ユーザー数や収益だけに注目しがちな「表面的な」マーケティングから脱却できる点だ。AARRRは、サービスのどの部分にどういった課題があるかが明確になるため、対策がとりやすくなるメリットがある。

Google Analyticsを放置しているようなユーザーでは、AARRRの指標を設計するのは難しそうだが、Logbookはウィザード形式の質問に答えるだけで、自分のサイトやアプリに適したAARRR指標を設計してくれるので、知識ゼロでも使えるというわけだ。

例えば、CGMサイトを運営している場合、ユーザーが登録後7日以内にコメント投稿を行った比率がわかったり、ECサイトであればユーザーが商品購入後30日以内に再度、商品を購入した比率といったことがわかる。

Logbookが自動生成したAARRR指標のうち、課題がある場合は赤い画面でハイライト表示する。課題がある指標については、改善につながるためのネット記事を紹介したり、Kaizen Platformをはじめとするサイト改善サービスのリンクを紹介する。

アドウェイズとグローバル・ブレインから数千万円を調達

競合となるのは、広義ではGoogle Analyticsが挙げられるが、ピンポイントではFlurryやMixpanel、Localyticsがある。これらとの差別化ポイントについて、Logbookを運営するpLucky代表取締役CEOの林宜宏氏はこう説明する。

「最大の差別化ポイントは、初心者でも何を見るべきかがわかる指標や対応策を提案できる点。また、『Aという行動をした後X日以内にBという行動をした』という指標が作れるのは、Logbookだけです。」

現在は無料のアルファ版を公開中で、主にウェブサイト向けに300ユーザーが登録。今後はアプリユーザーを増やし、年内に正式サービスに移行する。料金体系は月額料金+従量制を検討している。例えば、DAU(デイリーアクティブユーザー数)1万人のECアプリであれば月額5万円程度になるという。

想定ユーザーはECやニュースメディア、ユーザー投稿型メディア、ユーティリティ、ゲームなど多様。林氏は、「とりあえずワーッとプロダクトを作って、改善に手が回らないスタートアップは少なくない。Logbookが改善サイクルを回すための気づきになれば」と話す。

3月16日には、アドウェイズとグローバル・ブレインを引受先とする第三者割当増資を実施し、数千万円(金額は非公表)を調達した。エンジニアやデザイナーを採用し、正式リリースに向けて製品を強化する。pLuckyは2013年5月にも、サイバーエージェント・ベンチャーズから資金調達を実施している。


「Ring」新モデルが4月末に出荷開始、Kickstarterは再び炎上気味

昨年10月に一般販売を開始し、よくも悪くも話題を呼んだ指輪型のウェアラブルデバイス「Ring」に、第2世代モデルとなる「Ring Zero」が登場した。

開発元のログバーの発表によれば、初代モデルと比べてジェスチャー認識精度が300%、ジェスチャー反応速度が10倍に向上し、重量も3分の1(Sサイズで5.4g)に軽量化したという。白と黒の2カラーがあり、価格は1万6900円。初代モデルの269.99ドルから約1万円値下げしたかたちだ。Amazon.co.jpで先行予約を受付中で、4月30日から発送する。

Ringは人差し指につけて空中に絵文字やアルファベット、数字を描くことで、内蔵するモーションセンサーでジェスチャー情報を取得。この情報をBluetooth経由でRingのスマートフォンアプリに送ることで、照明を点灯させたり、テレビの電源をオン・オフにするなど、事前に登録したアクションを実行できる。

第2世代モデルとなるRing Zeroでは、「Maestro(マエストロ)」と呼ぶジェスチャー認識エンジンを搭載。これによって、初期モデルと比べて、ジェスチャーのマッチング率が300%向上したのだという。

初代モデルについては僕も試したことがあるのだけど、操作の「コツ」をつかむまでは、指先のジェスチャーが認識されたのは2割程度。ログバーCEOの吉田卓郎氏によれば、「多少使い方を練習すれば、ほぼ認識される」ということだった。

第2世代モデルの「マッチング率が300%向上」についてはピンと来ない部分もあるが、吉田氏は「一度ジェスチャーの仕方を覚えるとほぼ100%認識する」と話している。それだけに、どれくらい認識率が向上したのか注目される。

Kickstarterのコメント欄が再び炎上

Kickstarterで88万ドル(約9000万円)を集めて華々しいデビューを飾ったRing。その後、デザイン変更や出荷遅延でKickstarterのコメント欄が炎上したものの、昨年10月に無事出荷をスタートした。東京・渋谷の表参道ヒルズに5日間限定でオープンした「Ring Store」には連日1時間待ちの行列ができるなど、その注目度の高さが伺えた。

その一方で、商品を受け取ったユーザーからは厳しい反応も。

Kickstarterのコメント欄には「サイズが大きすぎる」という投稿が相次ぎ、開発元のログバーは購入者にサイズ調整用のアジャスターを無料で送付している。また、YouTube上ではジェスチャー認識率の悪さを指摘する辛辣なレビュー動画が掲載され、Kickstarterの一部の支援者からは集団訴訟を呼びかけるコメントも投稿されている。

こうした声を受けて開発元のログバーCEOの吉田卓郎氏は昨年末、初代モデルに不満を持つユーザーに対して、第2世代モデルを無償提供することを発表。第2世代モデルを希望したユーザーには、4月30日以降商品が届くという。


BuzzFeed CEO曰く「リンクのシェアは時代遅れ。コンテンツを流せばチャンスが広がる」

「パブリッシャーの多くは、バナー広告を使って閲覧者をサイトに誘導しようとしています。しかしそうした方法はソーシャルメディアの利点を十分に活用したものとは言えません」と話したのはBuzzFeedのCEOであるJonah Perettiだ。「ソーシャルメディアには、情報へのリンクではなくコンテンツそのものを流すべきなのです」とのこと。

Perettiが、SXSWに集まった大聴衆の前で行った公演だ。BuzzFeedがいかにして全世界規模に広がり、月間のユニークビューが2億を超え、そして900名以上の従業員を抱えるまでに成長したかを話していた。

話の中心となったのはBuzzFeedの情報共有戦略についてだった。

Perettiは、ソーシャルネットワーク上にリンクではなく、コンテンツ自体を流すことの重要性をデータで示した。たとえばTwitter経由で獲得するリファラルのトラフィック(月間)は1250万で、Pinterestからは6000万、そしてFacebookからは3億4900万を獲得しているのだそうだ。

リファラルによるトラフィックはさほど大きくはない…

しかし、Perettiの言葉を借りるなら、リンク情報を流して集客を期待するのは「すでに時代遅れ」のものであるとのこと。「リファラルによるトラフィックは、コンテンツ閲覧者に比べると非常に小さな数字となっています」と言っている。確かに、インプレッション数を見るとTwitter上で8億4700万、Pinterestで60億、そしてさらにFacebookでは113億という数字になっているのだ。

BuzzFeedサイト外でのリーチの数字がとても大きいものになっている。

「コンテンツを外部に流すことにより、当然ながらより多くの人にリーチするようになるわけです」とPerettiは述べる。但し、それが可能になっているのは、BuzzFeedの収益モデルによるところも大きい。しかし確かに「BuzzFeed型」を目指すビジネスが増えているようだ。

BuzzFeedは通常記事と同じ体裁を採った「ネイティブ広告」を収益源としている。であるからこそ、その記事を配信することがそのまま利益に繋がるわけだ。自らのサイトに集客し、ページビューを稼ぐ必要もないわけだ。人々の好みの情報を探し出し、そしてそれに基づいたスポンサード・コンテンツを作り出す。そしてそれをできるだけ多くの人に見てもらえば良いわけだ。

ネイティブ広告による収益モデルを確立すれば、閲覧者のクリック数をあげるような努力も無用となる。ソーシャルネットワークを活用して読者数を増やし、そして面白いコンテンツを作ることが求められるようになるわけだ。

そのようなモデルで重要となってくるのが、コンテンツの拡散具合となる。そこでBuzzFeedが注目しているのは、拡散(シェア)時のモチベーションだ。

コンテンツをシェアする際に付される文言を、BuzzFeedでは「Share Statement」(試訳:共有見出し)と呼んでいるそうだ。記事などをシェアする際に、自分で付加する文章のことだ。Peretti曰く、「Share Statement」は記事のもともとの見出しなどよりも重視すべきものだとのこと。この「Share Statement」の分析により、利用者が「なぜ」(なにを、ではなく)コンテンツをシェアしたのかを理解することができるからだ。

この「Share Statement」の分析により、BuzzFeedでは利用者が求めるコンテンツを把握しているのだそうだ。媒体を売っているのではなく、日々向上している「コンテンツ製作能力」をサービスとして提供するのが、BuzzFeedの本質であるとのことだった。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


メルカリとヤマト運輸が連携、全国一律価格で配送実現-今後は匿名配送も

左からヤマト運輸執行役員の小菅泰治氏、メルカリ取締役の小泉 文明氏

注目の集まるCtoCコマース。僕も何度か使ってみたのだけれど、商品次第では、それこそ数分とか驚くようなスピードで売れてしまう。売買自体は非常にお手軽なのだけど、手間がかかるのが梱包や配送といった手続きだ。

フリマアプリ「メルカリ」を手がけるメルカリは、そんなCtoCコマースの課題に対して、物流の巨人であるヤマト運輸と組むことで解決の手段を提供する。スタートアップと巨人の連携という意味でも注目だ。両社は4月1日より、ヤマト運輸の営業所に商品を持ち込めば全国一律の配送料金で配送を依頼できる新サービスを展開する。

アプリでQRコードを発行し、ヤマト営業所に持ち込むだけ

新サービスでは、メルカリのデータベースとヤマトのデータベースを連携。メルカリの出品者に対して、出品した商品が購入されるとQRコードを発行する。その後商品をヤマト営業所に持ち込み、発行したQRコードを店頭端末「ネコピット」で読み込むと、配送伝票を自動で印刷。その場で配送の手続きを完了できる。猫ピットは全国4000カ所のヤマト営業所に設置している。

料金は現時点では非公開だが、全国一律の料金設定となる予定で「他社サービスと比較して競争力のある価格設定」(メルカリ取締役の小泉文明氏)になるという。

通常ヤマトを利用する場合、4月1日スタートの「ネコポス」(これまであったメール便が終了して、新たに始まるサービスだ。角形A4サイズ、厚さ2.5kg以内、重さ1kg以内の荷物をポストに投函(とうかん)する。荷物追跡にも対応。ただし法人のみ利用可能)で上限378円、「宅急便コンパクト」(縦25cm×横20cm×厚さ5cmの専用ボックスもしくは縦24.8cm×横34cmの専用薄型ボックスを利用。手渡しで、荷物追跡にも対応)で354〜594円(ボックス代65円を除く)となっているが、メルカリ経由で利用する場合、ネコポスであれば100円台から利用できるという。

1年越しでサービス連携が実現

メルカリによると、1年ほど前からヤマトに対して提案を進めてきたのだそうだ。そんな折、信書の問題もあってヤマトがメール便を廃止。4月から新サービスを提供することになり、それに合わせるかたちでメルカリとの連携に至った。

実はヤマトは3月3日時点で、宅急便コンパクトとネコポスのサービスを発表しているのだが、そのプレスリリース内で「弊社とご契約のあるフリマサイトなどでは、従来の宅急便に加え、『宅急便コンパクト』と『ネコポス』がご利用になれます」なんてすでにうたっていたのだ。両社ともエクスクルーシブな提携というワケではないようなので、今後はメルカリ以外でもこういったサービスを利用できるようになる可能性がある。

メルカリは先週、新しいテレビCMと同時に1100万ダウンロードを発表したばかり。以前にも紹介した数字ではあるが、月間流通額は数十億円(ZOZOTOWNで100億円程度なので、かなりの規模と考えていいだろう)、出品数は多いと1日で数十万品にもなっているのだそう。ヤマトを含む物流のプレーヤーは、1品あたりの単価が低く、小さいトランザクションが多く発生するフリマの領域に興味を示しているという話も聞く。

両社は今夏をめどに、配送伝票の表示もQRコードのみに変更。出品者と購入者が相互に個人情報を開示することなく匿名で売買できる仕組みも導入する予定だ。

物流ではLINEが先行

フリマと物流の連携というところで先行するのはLINEだ。2014年7月に「LINEモール」向けにフェリシモと連携。「LINE配送」というサービスを始めている。

料金は3辺の大きさで60cmまでの商品の場合650円からで、サイズに合わせて全国一律の価格設定と、メルカリでは現状実現していない匿名での配送をすでに実現している。

ただし、フェリシモが拠点を置く兵庫県・神戸の物流センターを活用しているということで、例えば東京から東京といった配送であっても、一度わざわざ神戸まで送られると聞いている。この点に関しては、全国4000カ所の拠点を持つヤマトの配送のほうがスピード面で有利になってきそうだ。


家事代行サービスのCaSyは不要なブランド品の買取もしてくれる

家事代行サービス「CaSy」を手がけるCaSy。同社は3月16日、古着やブランド品の買取を手がけるスタンディングポイントと連携してブランド品の買取サービスを開始した。ようは家事をやってもらう流れで服も捨てるんだったら、値段のつくブランド品はお金に換えてもらおう、というサービスだ。

CaSyはクラウドソーシングを使った家事代行サービス。クラウドソーシングとは言っても、スタッフには審査を実施の上、合格者に対してトレーニング(同社のオフィスは都内のマンション、そこで実習をしているのだとか)を行うことでサービスの品質を担保しているのだそうだ。実際、スタッフの合格率は「志望者の半分を落とすというと言い過ぎだが、かなり厳選している」(同社)だそう。

料金は都度利用で1時間2500円。現在は都内と神奈川県の一部でサービスを展開しており、売上高等は非公開だが、現在月次2倍ペースで利用が増加しているとのことだ。

今回の買取サービスは、冒頭に触れたとおりで「いらない衣服を捨てて欲しい」といったユーザーのニーズが増えてきたことからスタートしたんだそう。家事代行の申込時に中古買取をあわせて申し込むと、自宅に段ボールなどの買取梱包セットが送られてくる。

その段ボールにブランド品を詰めれば、あとは家事代行スタッフの訪問時に引き取りを依頼する、もしくは指定した時間に引き取りを依頼すればいい。その後スタンディングポイントが査定を実施、金額に納得すれば代金が振り込まれる。ユーザーの手数料は無料となっている。


グルメサービスのRettyが10億円を調達、年内にも海外展開–アプリも検索ロジックを一新

Retty代表取締役の武田和也氏

実名グルメサービス「Retty」を手がけるRettyが、年内にも北米およびアジア進出を目指す。海外進出、そして組織体制強化に向けて、Fidelity Growth Partners Japanのほか、既存投資家のグリーベンチャーズ、みずほキャピタルから合計10億円の資金調達を実施した。

ユーザー数は月間100万人単位で増加

2013年12月に3億3000万円の資金調達を実施したRettyだったが、その後2014年に入りユーザー数は急増。2015年2月には月間700万人を突破。直近では1カ月100万人単位でユーザー数が増加しており、3月は800万人まで増加する見込みだという。ちなみにグルメサイト古参のぐるなびはユーザー数5200万人(2014年12月時点)、カカクコムの「食べログ」は6369万人(2014年12月時点)。どのサービスも開示された資料などを見ると、ユーザー属性は30〜40代が中心だそう。

Retty代表取締役の武田和也氏は、「ぐっと伸びているのを実感している。ユーザーだけでなく、店舗からの認知も上がっている。最近ではテレビCMをやってるサービスなども多いが、我々ははほとんど広告などを使っていない。口コミやSEOでの自然増だ」と語る。口コミは現在150万件、掲載店舗数は都市部を中心に全国25万件。「良質なコンテンツが蓄積された結果、それが価値を作っている」(武田氏)。

店舗の情報をテーマごとに複数件紹介する「まとめ」もトラフィックを集めているそうで、「『渋谷 ランチ』といった検索でも検索結果上位に入っている」(武田氏)という状況。なお全体のトラフィックはすでにスマートフォンが8割以上(ウェブ、アプリの合計。比率は非公開)で、PCは2割に満たない状況だという。

年内にも北米、東南アジアへ進出

今回の資金調達の目的の1つが海外進出だ。年内にも北米および東南アジアにコミュニティーマネージャーを置き、サービスを展開していくという。

「『英語圏』『スマートフォン』『外食文化』の3つのキーワードを重視している。Rettyは2011年6月にスタートしてここまできたので、先行投資で2年くらいはかかると思っている」(武田氏)とのこと。

すでに北米ではYelp(全世界で1億3500万ユーザーだ)が国内の食べログ的な立ち位置になっている印象もあるが、サンフランシスコやニューヨークなど、都市ごとのサービス展開を検討しているそうだ。アジアに関しては、シンガポールや香港などの名前も挙がった。

100人超の組織に、インターンも活躍

Rettyは今月中にもオフィスを移転する予定。現在は社員数は約30人、インターンも約20人(そこから新卒の社員になった人間もこれまで3人ほどいるそうだ)という規模だが、これを数カ月以内にも100人体制まで拡大する予定だという。余談だが、すでにインターンから「カウモ」「TravelBook」といったサービスを手がける起業家も生まれているそうだ。

ビジネス面では、2014年9月からネイティブアドを開始。すでに複数のナショナルクライアントから出稿があったという。「ユーザー数が数百万人となってから、店舗などからの問い合わせ件数も変わってきた」(武田氏)。また以前から語っていた店舗向けの有料機能についても、一部試験的に提供を開始しているそうで、状況を見て正式に展開していく計画だ。

アプリも刷新、ユーザーの好みを検索に反映

実は取材のたびに何度もスマートフォンアプリのユーザー数を聞いてきたのだけれども、Rettyは一度もその数字を開示していない( Google Playで確認しても「インストール数1万~5万件」とのことなので、700万というユーザー数全体から考えれば決して大きい数字ではないと思う。ちなみにぐるなび、食べログはともに「100万〜500万件」)。そんなスマートフォンアプリにもテコ入れを実施している。

iOS版はアプリをフルリニューアル。UIを一新したほか、検索ロジックについては、ソーシャルグラフやユーザーの嗜好(しこう)性を重視するように大きく変更した。Android版アプリでも検索機能が新しくなった。

例えば食べログなどで「渋谷 カレー」と検索した場合、どのユーザーであっても同じ点数順のランキングが表示されるが、新アプリでは、ユーザーがRetty上でフォローしているユーザーやブックマークしているレストランの傾向によって、独自の検索結果を表示するのだという。

「ランキング形式での表示は分かりやすいが、『高級な店』を求めている人もいれば『コストパフォーマンスのいい店』を求めている人もいる。アプリでは多様性を打ち出して、ユーザーごとに好みに合う結果を提供する」(武田氏)


Outernetは宇宙からインターネットへのアクセシビリティ向上を図る


地球上のおよそ40億の人は、インターネットに繋がっていない、あるいはアクセスができない状況にいる。彼らにインターネットを届けるべく人工衛星の打ち上げを始めとする宇宙からの開発競争が始まっている。そこに参戦できるのは億万長者や世界最大のインターネット企業に限ったことではないようだ。

Outernetは独立系の小さなメディア企業だ。彼らはラジオ放送のようにインターネットのコンテンツを配信することを目標に掲げている。彼らは「cubesat」つまり小型人工衛星の製造を行う為、イギリス宇宙機関とスコットランドの衛星の設備を製造するClyde Spaceと組み、資金を出し合って開発に当たっている。

情報を放送するOuternetのCOOを務めるThane Richardは、2016年の初めに3つの超小型人工衛星を打ち上げる予定であると話した。この提携によりOuternetは人工衛星を手に入れることができ、イギリス宇宙機関とClyde Spaceは、よりコスト面で効率の良い小型人工衛星の開発に取り組むことができる。

「私たちの関心は一つです。それは最も低価格で最も効率的な方法で情報を届けることです。」とRichardは話す。現在、彼らはKuバンド上の専用周波数帯においてキュレートしたコンテンツを配信している。

来年打ち上げる人工衛星は地球低軌道に乗せる予定で、この人工衛星から複数の異なる周波数での配信が可能となる。これにより、Outernetは受信機をより一般的な部品から作ることができ、経済的に貧しい彼らのターゲット層に安価にそれを提供することができる。

Outernetは、現代版の短波放送です。世界が知識主導型の経済に移行するほど、コスト、地理、法制の制約により、30億人以上の人がその世界から取り残されてしまいます。

— Syed Karim

2014年1月の下旬にローンチされたOuternetは、Media Development Investment Fundが投資する最初のプロジェクトだ。Outernetは、Facebookのinternet.orgやGoogle のProject Loonが実現しようとするインターネットと全てがつながるユビキタス世界とはまた別の方法で情報の配信を目指している。

会社の立ち上げ時にファウンダーのSyed Karimは、「Outernetは、現代版の短波放送です。」と話していた。「世界が知識主導型の経済に移行するほど、コスト、地理、法制の制約により、30億人以上の人がその世界から取り残されてしまいます。Outernetは、全ての人にニュースや情報を放送します。今より遥かに多くのチャンスと教育を届けることができるのです。」と語った。

最初の資金はMDIFから受けた金額とIndiegogoで行ったクラウドファンディングのキャンペーンで集めた。このキャンペーンで彼らの最初のプロダクトである受信機の「Lantern」が50万ドルを売り上げた。

一つ169米ドルのこのデバイスは、今まで届かなかったところに知識という名の光を当てることを目標としている。デバイスの名前「Lantern」はその目標を表している。このデバイスは、Outernetの専用衛星ネットワークから配信される電波を継続的に受信することができる。受信した電波は、受信機の中でデジタルファイルに変換される。彼らは、ウェブサイト、電子書籍、記事、動画、音楽といった幅広いコンテンツを配信している。デジタルファイルは内蔵されたドライブに保存され、Lanternのホットスポットと他のWi-Fi対応の端末を繋ぐことで、その情報にアクセスできる。

「私たちは、1日に1ギガビット分の情報を受信でき、20ドル以下で手に入る端末を作りたいと考えています。」とRichardは言う。

Outernetのコンテンツは、集められたものの中から自社の編集者が厳選して配信を行っている。ある特定の情報がほしいといった要望を誰でも、どこからでも受け付けている。現在、北アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカ北部と、サハラ砂漠より南のサブサハラで配信している。北アメリカ、ヨーロッパ、中東、北アフリカでの配信は2014年8月に始まり、サブサハラでは12月に始まった。

アジア向けのコンテンツ配信も今後3ヶ月以内に開始する予定であるとRichardは話した。「年内には、毎日10ギガバイト分の世界中の情報をカバーすることが目標で、その目標に向かって順調に進んでいます。」と言う。

LoonとNetと次世代ラジオ放送

インターネットへのコネクティビティを改善しようと、ヨーロッパで有力なパートナーを探していたのはOuternetだけではない。プライバシーの懸念をよそに、Googleは展開するProject Loonにおいてフランス国立宇宙研究センター(CNES) の協力を得ることができた。

CNESはこれまでも高層大気への風船の打ち上げを行ってきた。(ジュール・ヴェルヌ著の「八十日間世界一周」の風船も彼らのだったのかもしれない。)彼らは、Googleがニュージーランドの郊外で行った初の実験の成果に胸を踊らせている。

そう、GoogleのLoonプロジェクトは、ついに日の目を見ようとしているのだ。高層大気にルーターを結びつけた無数の風船を上げることで、 ロードアイランド州程の広さの地域 にインターネットを提供することができる。全ての人をインターネットにつなげようとするGoogleの野望は、今まさに大きなビジネスとして立ち上がろうとしている。Googleの役員は、Loonプロジェクトは何百億円規模のビジネスになると言う。それが空想に過ぎないのか、それとも未来を予見した発言なのかは、そのうち分かることになるだろう。

プロジェクトリーダーのMike Cassidyは、The VergeのBen Popperにこのように話していた。

「考えてもみてください。40から50億人はまだインターネットへのアクセスがありません。その5%でも2億5000万人です。」と彼は言った。月々の収入からほんの少し、例えば5ドルを支払ったとしたら、「月に10億ドルが見込めます。年間にしたら100億ドルを超えます。そう考えたら良いビジネスでもあるのです。」

コネクティビティの改善を競う企業から一歩抜きん出ようとするGoogleのLoonプロジェクトはFacebookが力を入れているInternet.orgとよく対比される。先週バルセロナで開催されたMobile World Congress でMark Zuckerbergは、コネクティビティについての彼の見解を話した。

コネクティビティに着目したLoonのハードウェアとは違い、ZuckerbergとFacebookは、インターネット利用者を増やすためのプロモーションにおいて、携帯キャリアが果たすべき役割が重要であると考えている。

私たちのライターの一人、Josh ConstineはZuckerbergの話を以下のように記事に書いて いる。

Zuckerbergは、「世界の90%の人は、インターネットの届く範囲に暮らしています。人工衛星やレーザー、他のハイテクな方法でインターネットを届けることはかっこいい話ではありますが、ここから変わるべきなのです。」と言った。こことは、Mobile World Congressのことを指している。

データ通信料の引き下げとインターネットの重要性を教えていくことが肝心だという主旨だ。Zuckerbergは、本当に投資を行い、インターネット普及に労力をかけているのは、internet.orgのパートナーとして活動する携帯電話会社だと話した。

では、Googleがコネクティビティを目指して空飛ぶデバイスを作り、Facebookが特定の地域でキャリアと組み、コストを削減、あるいは無料でデータ通信ができるように動いているなら、Outernetには何が残されているのだろうか?

Outernetはそもそもメディア企業であったことから、コネクティビティの向上もこの企業の計画にはあるが、コンテンツの配信とそれにアクセスする方法の改善に重きを置いている。彼らのサービスは、オンラインを閲覧するというよりは、次世代のラジオを目指していると言った方が近いだろう。ただし配信するのは音声に限らない。

Richardによると、ラジオのように受動的に情報を受け取る方法が良い場合もあると言う。権威主義の国で、情報へのアクセスが制限されているような地域では、どのような情報に誰がどこからアクセスしたかがトラックされずに有益な情報が得られるこの方法が適していると言う。

コンテンツの質についてはどうだろう?

この会社は、ユーザーからのリクエストを自社でキュレートし、配信している。そのため、誰が情報の重要度を判断するかによって、受け取るコンテンツはユーザーにとって必読のものからそうでないものまで混在することになる。

コンテンツの問題とさらに共通言語の問題もある。Outernetが配信しているコンテンツの多くは英語であることから、誰もが英語を理解できない新興地域では、その情報の影響力は限定的だ。

「私たちは、全ての地域とコミュニケーションを民主化したいと考えています。これからプレーヤーが多ければ市場も活性するでしょう。」とRichardは言う。「放送を止めることはできないのです。とても基本的でシンプルであるからこそ、必要不可欠なものであると考えています。」と語った。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ facebook


テーマは「変わる決済」 次回TechCrunch Schoolは3月23日開催、読者の質問も募集中

僕たちが不定期で開催しているイベント「TechCrunch School」では、これまでに「学生の起業」「スタートアップのマーケティング」「大企業からのスピンアウト」「IoT」「シェアリングエコノミー」などのテーマでセッションを繰り広げてきた。8回目の開催となる次回は、3月23日月曜日午後7時から「変わる決済」というテーマで開催する。参加は無料で、本日よりこちらで参加登録を受け付けている

無料の参加登録はこちらから

LINEが買収「WebPay」と決済参入「BASE」の創業者が登壇

日本のスタートアップシーンでいま、盛り上がりを見せつつあるジャンルの1つは「Fintech(フィンテック)」だろう。TechCrunch読者であればご存じだと思うが、フィンテックとはFinanceとTechnologyの造語。日本でも、金融関連のスタートアップを指す言葉として、市民権を得てきている感がある。

そんな熱いジャンルの中でも、特に動きが激しいのが「決済」まわりだ。そこで今回は、開発者向けクレジットカード決済サービスを手がけるWebPay創業者の久保渓氏と、先日決済事業への参入を発表したBASE創業者の鶴岡裕太氏をお呼びして、決済にまつわる最新動向を語ってもらうこととした。

WebPayはわずか数行のコードを埋め込むだけで、ECサイトやスマホアプリにクレジットカード決済機能を導入できる開発者向けサービス。2月には、LINEに買収されたことで大きな話題を呼んだ。イベント当日は、開発者向けクレジットカード決済の可能性だけでなく、LINEとの取り組みについてもお聞きする予定だ。

BASEはウェブの専門知識を持っていない人でも、ECサイトを無料で開設できるサービス。昨年12月にはネット決済のPurecaを買収し、WebPayの競合となるサービス「PAY.JP」を今春にリリースする。鶴岡氏には、このタイミングで決済事業に参入した理由などについて聞きたいと思っている。

BASEとWebPayの創業者に聞きたい質問を募集

イベント当日は両社のサービスにとどまらず、ApplePayやBitcoin、LINE Payなどなど、決済を取り巻く動向について、識者の2人に質問する予定だ。そこで今回は読者から質問を募集し、いただいたコメントを読者に代わって質問したいと思っている。

お2人への質問は、TechCrunch JapanのTwitterアカウント「@jptechcrunch」あてに、ハッシュタグ「#tcschool」を付けて投稿していただきたい。イベント当日に採用した質問を投稿してくれた読者には、TechCrunchのオリジナルTシャツをプレゼントする。(該当者にはスタッフからダイレクトメッセージで連絡するので、@jptechcrunchをフォローしていただければと思う)。

当日はこのほか、無料POSレジアプリ「Airレジ」を手がけるリクルートライフスタイル執行役員の大宮英紀氏も登壇。サービス開始1年で10万アカウントをAirレジのこれまでを振り返るとともに、今後の展開についても語っていただく予定だ。

今回の会場は、リクルートホールディングスが東京・渋谷に開設したITクリエイター向けの会員制スペース「TECH LAB PAAK」。会員になるには審査が必要だが、会員になれば施設の利用料だけでなく、Wi-Fi、全席完備の電源、ドリンク、スナックまで全部タダという太っ腹な施設だ。場所は渋谷アップルストアと同じビルとなっている。

TechCrunch School #8
「変わる決済」

【開催日時】 3月23日(月) 18時開場、19時開始
【会場】 東京・渋谷 TECH LAB PAAK (地図)
【定員】 80名程度
【参加費】 無料
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【内容】
19:00〜19:05 TechCrunch Japan 挨拶
19:05〜20:05 パネルセッション「変わる決済」
パネリスト
久保渓氏(ウェブペイ株式会社 代表取締役)
鶴岡裕太氏(BASE株式会社 代表取締役社長)
モデレーター
増田覚(TechCrunch Japan編集記者)
20:05〜20:20 講演セッション「Air レジの取り組みについて」
登壇者
大宮英紀氏(株式会社リクルートライフスタイル 執行役員 ネットビジネス本部クライアントソリューションユニット長)
20:20〜20:30 ブレーク
20:30〜22:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)
【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp

photo by
Oliver Symens