Google Playの子供向けアプリのポリシーがFTCの告発を受けて改定

Googleは米国時間5月29日の朝、新しいデベロッパー向けのポリシーを発表した。Google Playで子供向けのアプリを探す子供や家族を、手厚く保護することを目的としたものだ。今回改定されたポリシーでは、デベロッパーは、子供を対象とするアプリに必要なすべてのポリシーと、当局による規制要件を満たしていることを保証しなければならない。アプリのコンテンツ、広告、および個人を特定できる情報の取り扱いなどが対象となる。

まずはじめに、デベロッパーはアプリの対象ユーザーとして子供が含まれるのかどうかを明確にする必要がある。もしそうでないのなら、アプリが意図せずに子供の目に触れることのないようにしなければならない。Googleも個々のアプリのマーケティング状況を再確認し、そのアプリがどちらに該当するのかをチェックして、必要であればデベロッパーに変更を求める。

また、子供を対象とするアプリは、個人を特定できる情報の中身と、その取り扱いに関するポリシー要件を満たさなければならない。これについては、もともとルールを遵守してきたデベロッパーにとって、何も新しいことはないはずだ。Googleは、「ファミリー向け」プログラムの一環として、もう何年も前から子供の安全を考慮したアプリに関するポリシーを制定している。また国ごとに、子供に関するデータを収集する際に守るべき法規は前からある。

さらに、子供向けのアプリを開発しているデベロッパーは、Googleのファミリー向けポリシーに準拠していることが認定された広告ネットワークからのもの以外の広告を配信してはならない。

こうしたポリシーをくまなく適用するため、Google Play Console上で、新しい対象ユーザーとコンテンツのセクションの記述を完成させることを、Googleは今やすべてのデベロッパーに求めている。そこでは、アプリに関する詳細を記述する必要がある。もし子供がターゲットに含まれるとした場合には、対応するポリシーが提示される。

Googleは、こうした情報に、アプリのマーケティング資料を加味してアプリを分類し、3種類のターゲットグループに応じたポリシーを適用する。つまり、子供、子供と大人、大人の3つだ。「子供」の定義は国によって異なる可能性があるので、デベロッパーは、各アプリがGoogle Playに表示される国ごとに、年齢によって課せられる制限を確認しておかなければならない。

デベロッパーは、Google Play Consoleに必要な情報を確実に入力するとともに、改定されたポリシーに準拠するよう対処しなければならない。期限は2019年の9月1日と定められた。

Googleは、子供と家族に「安全で有益な環境」を提供することに全力で取り組んでいるとしている。そのため、今回の変更を発表したのだと。

しかし、この変更は、むしろ昨年12月に提出されたFTCへの告発に対応したものと考えられる。その告発は、合計22の消費者および公衆衛生擁護団体の連盟が参加し、CCFC(コマーシャルフリーの幼年期キャンペーン)と、CDD(デジタル民主主義センター)によって主導されたもので、Google Play上の子供向けアプリを調査することを要求している。

こうした団体は、Google Playのファミリーセクションに掲載されているアプリやゲームが、米国の子供のプライバシーに関する法律、COPPAに準拠しているかどうか、Googleは検証を怠っていると主張していた。

彼らはまた、多くの「キッズ向け」とされているアプリの振る舞いがよろしくないことも指摘した。たとえば、途中で終了するのが難しい広告や、ゲームを続けるためには嫌でも見なければならない広告を表示するようなものがある。アプリの中には、子供にアプリ内購入を迫るものや、アルコールやギャンブルに関する広告を表示するものもある。他にも、有害な行動を助長するモデルとなりそうなもの、性的な画像を表示するものがあることなどを、グループは規制当局に訴えていた。

そうした違反行為が、網の目から漏れてしまっていたのは遠い過去の話となっている。データ保護とプライバシーに焦点を当てたEUのGDPRのような法律を盾にした、規制当局によるオンライン業界全体に対する監視の強化によるものだ。FTCは、必要に応じて積極的に行動を起こすようになっている。最近では、TikTokがCOPPAに違反したとして、記録的な額の罰金を科している。

対象とするユーザーとコンテンツを設定するセクションは、すでにGoogle Play Consoleに設けられている。また、新しいポリシーに関するドキュメント、デベロッパーガイドオンラインのトレーニングも用意されている。さらにGoogleによれば、Google Playのアプリレビューに関するコミュニケーションと、審査に対する抗議に対応するための人員を増やしたという。それによって、デベロッパーが、指摘された変更について理解し、素早く判断できるよう補佐するとのこと。

【米国東部標準時2019/05/29 16:30追記】
Googleの発表を受けて、FTCの告発を主導したCCFC(コマーシャルフリーの幼年期キャンペーン)は、以下のような声明を発表した。

「私たちの連合の主張が、Play Storeの子供向けアプリが抱える大きな問題に対してGoogleを目覚めさせることになったのは素晴らしいことです」と、CCFCのディレクター、Josh Golin氏は述べた。「ただ残念ながら、今回の変更には実効性のあるものはそれほど含まれていません。Googleは、独自のポリシーを施行するための真の一歩を踏み出す代わりに、コンプライアンスに対する責任を、相変わらずデベロッパーに転嫁しようとしていることが懸念されます」。

「さらに言えば、自分たちのアプリが子供向けではないフリをして自らの法的責任を回避しようとしているデベロッパーを、もしGoogleが真剣に取り締まるつもりなら、まず自らの姿を鏡に写して見ることから始めるべきでしょう。YouTubeは、毎日、大々的にCOPPAに違反しています。Googleの、このサイトは13歳以上を対象にしている、という言い訳には笑うしかありません」と、彼は付け加えた。

画像クレジット:Christopher Winton-Stahle/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「Alexa、今日話しかけた言葉を消去して」機能が追加

Amazon(アマゾン)は米国時間5月29日にスマートディスプレイ「Echo Show 5」を発表したが、その影でいくつかのセキュティ機能も追加された。Alexaのコマンドで、ユーザーが喋った言葉を消去できるのだ。

「Alexa、今日話しかけた言葉を消去して」という機能が、本日から配信される。また、「Alexa、今話しかけたことばを消去して」という機能も、アメリカでは数週間中に、そして他国では来月に配信される。アマゾンは録音を消す機能をアプリにて提供していたが、今後はボイスコマンドでも同じ操作ができるのだ。

同社は以前から、デバイスが積極的に録音することはなく、暗号化されたサーバーに録音が保護されていると主張してきたが、セキュリティアナリストやユーザーからは、Echoや同様のスマートホーム製品が常時動作していることへの懸念が増していた。

今回の機能の追加は、明らかにこのような懸念に応えたもので、また会話をどのようにコントロールするのかをユーザーがもう少し積極的にコントロールできるようにする、アマゾンの試みでもある。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

iOS 13はダークモード搭載か、スクリーンショットが流出

9to5MacのGuilherme RamboがiOS 13の最新スクリーンショットを入手した。見た目はこれまでのiOSと変わらないがひと工夫加わっている。システムレベルのダークモードが追加され、夜でも見やすくなった。Apple(アップル)はiOSの新バージョンを、米国時間6月3日に開催されるWWDCの基調講演で発表する見込みだ。

iOS 13では、ユーザーは設定アプリまたはコントロールセンターでダークモードをオン/オフできるようになる(設定アプリでコントロールセンターにボタンを追加する必要があるかもしれない)。

9to5Macが入手したスクリーンショットは以下のとおり。

見てのとおり、ホーム画面は下端のドック以外ほとんど違いがない。しかしミュージックアプリは大きく変わり、黒の背景に白いテキストが書かれている。下端のタブバーも透明な白から透明な黒に変わった。ボタンとリンクには引き続き赤が使われているため、やや見にくくなっている。

ダークモードを有効にすると、OSレベルのユーザーインターフェース部品も変化する。例えば、スクリーンショットを撮ったあとサムネイルをタップしたとき上端と下端のメニューがダークになる。サードパーティーアプリの開発者もダークモードに対応する必要がある。

Ramboは、新しいリマインダーアプリのスクリーンショットも載せている。メニューが、Today、Scheduled、All、Flaggedの4つに分かれ、ユーザーインターフェースも一新された。

さらに9to5Macは、先日スクープした新アプリ「Find My」のアイコンを掲載して情報を裏付けた。アップルはFind My Friends(友達を探す)とFind My iPhone(iPhoneを探す)を1つのアプリに合体させる考えだ。

噂によるとiOS 13ではほかにも基本的な変更があるらしい。アップルは同一アプリのウィンドウを複数開けるよう計画している。そうなればユーザーは複数のドキュメントや複数の会話を同時に見ることができる。これはiPadユーザーにとって特に重要な機能だ。

Safari、メール、フォント管理、音量表示、キーボードなどにも小さな変更があるようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SoundCloudがアーティストディストリビューションプラットホームを買収

昨年はSpotifyが一連の買収で自己のサービス、中でもとくにポッドキャストのコンテンツの充実を図った。そして今度は、同じくヨーロッパの音楽スタートアップであるSoundCloudが、ここ数年の迷走にもかかわらず買収に意欲を示した。ベルリン出身の同社が選んだRepost Networkは、アーティストがSoundCloudをもっとも有効利用できるためのサービスだ。

契約の詳細は公表されず、買収が発表されたのもつい先週で、広く報じられることがなかったのも、たぶんSoundCloudには、今日の音楽ストリーミング市場のアウトサイダーというイメージがあるからだ。

かつては、アーティストのためのオンラインディストリビューションのパイオニアだった同社は、やがてスウェーデン出身のSpotifyが、2億あまりの月間リスナーを抱えるグローバルなサービスに育つのをただ指をくわえて見ていた。競合は、AppleやGoogle、それにPandora、Deezer、Jay-ZのTidalなどなどからも押し寄せてきた。

Soundcloudは18カ月ほど前に、シリーズFで1億6950万ドルを調達してひと息ついた。その投資はニューヨークの投資銀行Raine Groupとシンガポールの国有ファンドTemasekがリードした。

2017年8月に発表されたその資金調達は、SoundCloudを倒産から救う人工呼吸だった。その1か月前にはスタッフの40%をレイオフしてコストを切り詰めていた。その投資でトップも代わり、共同創業者のAlex Ljung氏に代わってVimeoのCEOであるKerry Trainor氏がCEOになった。新たなお金でSoundCloudの総調達額は4億7000万ドル近くになり、その投資前評価額は1億5000万ドルだったと言われている。前回の資金調達では7億ドルだったから大きく下がってしまった。

しかしそれでもなお、状況はこの買収に向けて熟していった。それはSoundCloudの二度目の買収だ。同社によると、トップアーティストたちがRepost Networkのツールにアクセスできるようになる。それらは、ストリーミングの配給、アナリティクスダッシュボード、そしてコンテンツの保護などだ。

リストラは苦悩の体験だったが、おかげでファンダメンタルズを重視できるようになった。買収の申請書類によると、2017年の売上は9070万ユーロで前年比80%の増加、損失は27%細って5140万ユーロになった。これらの結果はTrainorのCEO就任以降だが、さらにその後の現況を最新の数字で知りたいものだ。

SoundCloudの最初の買収は2012年までさかのぼり、そのときは1000万ドルで音楽管理のInstinctivを買った。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

執筆支援ツールのUlyssesがiPad用分割ビューとGhostブログをサポート

執筆支援アプリUlyssesが、いくつか気の利いた機能追加と共に更新された。iPad上では、エディタを2つの編集画面に分割することができる。この機能だけでも多くの可能性が広がる。またUlyssesから、Ghostブログに対して自分の文章を直接公開するオプションもサポートされた。

Ulyssesは現在、macOS、iPad、そしてiPhoneで利用可能だ。それは書き溜めたテキストを、デバイス間で自動的に同期する機能を備えた、マークダウンエディタである。1つまたは複数のテキストを、マークダウン、HTML、リッチテキスト、PDF、ePub、DOCX、そしてブログなどに対して、さまざまな形式でエクスポートすることができる。

これまでサポートされていたMediumとWordPressに加えて、UlyssesはオープンソースのCMSプラットフォームであるGhostを使ったブログをサポートするようになった。もしウェブサイトをGhostで構築しているなら、これは素晴らしい追加となる筈だ。

しかし私は、iPad上で2つのエディタを同時に開くことができるようになったことに、更に興奮している。集中執筆環境を探している人にとって、iPadは素晴らしいデバイスだが、iOSはいまだに「1つのアプリ= 1つの文書」と考えている。もちろん、2つのSafariタブを並べて開くことができるが、ほとんどのアプリでは一度に1つのドキュメントしか開くことはできない。

だがUlyssesでは、2つの文書を同時に開くことができるようになった。アプリ内のサイドバーから文書をドラッグして、画面の右側にドロップすることで、画面を2つのパネルに分割することができる。たとえば、もし文書を翻訳しているようなときに参考情報を見る必要がある場合、メインの文章を書きながら2番めの文書をスクロールして読むことができる。

しかし、Ulyssesが提供するものは、それで終わりではない。エディタ設定から2番目のエディタを開いて、同じ文書の違う部分を見ることもできる。また、エクスポートボタンを長押しすると、現在作業中のドキュメントのライブプレビューを開くこともできる。

たとえば、ブログに公開する前にテキストの外観や、ヘッダー、画像、リンク、そして脚注なども同時に確認することができる。テキストを編集すると、Ulyssesは1秒後にプレビューを自動的に更新する。

この分割ビュー機能はうまく実装されていて、文書を流れるように開いたり閉じたりすることが可能だ。同じアプリの中で複数のドキュメントを開くことができるように、AppleがiOSレベルでの改良に取り組んでいるという噂がある。今日行われたUlyssesのアップデートは、その機能がどのようなものであり、またそれがどれ位iPadを便利にしてくれるのかを示す良い例である。

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(翻訳:sako)

Reminizはビデオにリアルタイムでタグ付けする

フランスのコンピュータービジョンのスタートアップであるReminizは、あらゆるタイプのビデオからインデックスを作る。ビデオコンテンツのためのGoogleボットのようなものだ。Reminizは、ライブストリームやオンデマンドビデオの中で人物、ロゴ、感情などにタグ付けすることができる。

「ウェブは、テキストを検索できるように作られている。ビデオではない。我々はビデオを検索できるようにする」と共同ファウンダーのCEOのJack Habra氏が語った。

Reminizを使う場面はいくつか考えられる。まず、同社は放送局や通信会社と提携している。例えば、Orangeとの提携によって、たった今誰が画面にいるのかを知ることができる。コンテンツの推奨やコンテキスト連動広告などにも応用できる可能性がある。

Reminizは、ライブチャンネルを自社サーバーに直接ストリーミングし、画像をスキャンしてタグ付けする。その後ユーザーはメタデータをサーバーからダウンロードする。

関連のあるビデオでブランドをプロモーションするためにReminizを使うこともできる。例えば、ヒュンダイ(Hyundai)はフランス、リヨンのサッカーチームのスポンサーになっている。ヒュンダイはチームがプレイしているサッカー中継の前に自社の広告を配信したい。しかし、YouTubeのキーワードはそういう特定の視聴者をターゲットするにはあまり向いておらず、実際にプレイしているところのないチームについて話すだけのビデオも混じってしまう。

ブランドは、ターゲットとなるビデオをホワイトリストに載せ、そのビデオに広告を配信する。料金はReminizが処理したビデオの分数に応じて課金される。

ライバルにはAWS Rekognitionや、クラウドプロバイダーの提供する一般ビデオ分析APIなどがある。Reminizの特徴は、顔、人物、ブランド、タグの独自データベースを構築するところだ。汎用的なソリューションと比べてもおそらくReminizのほうが使いやすいだろう。

「(EUの)GDPRが制定されて以来、誰もが個人データよりもコンテキストのあるデータに注目して当社に問い合わせるようになった」とHabra氏は言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Atlassianがデータセンターアプリケーションをコンテナに入れて管理を容易に

5月20日〜23日、Linux Foundation主催で行われたKubeCon + CloudNativeConカンファレンスの大量の発表の中で、特に目立ったのがAtlassianだ。

同社はデベロッパーの効率的な仕事を支える開発ツールでよく知られている企業だが、最近ではクラウドインフラストラクチャのプロバイダーとしても台頭してきた。でも、このコンテナ化の時代においては、AtlassianといえどもKubernetesの栄光の輝きをその肩に浴びざるをえない。そこで同社はカンファレンス初日の5月20日に、チャネルパートナーのPraqmaがAtlassian Software in Kubernetes(ASK)をローンチしたことを発表した。それは、エンタープライズがJira Data Centerなどのオンプレミスアプリケーションを、Kubernetesを利用してコンテナとして動かし管理できる、という新しいソリューションだ。

Praqmaは現在、ASKをオープンソースで提供している。

同社は今日の発表の中で言っているが、データセンターアプリケーションを動かして高い可用性を確保することは、今日までの方法では膨大な作業になる。AKSを使ってアプリケーションをコンテナ化すれば、スケーリングと管理は容易になるはずだ。ダウンタイムも避けやすくなる。

Praqmaのチームはこう説明する。「ASKでは可用性が鍵だ。自動化によって、ミッションクリティカルなアプリケーションは何が起きても動き続けるようになる。もしもJiraサーバーが落ちたら、Data Centerアプリケーションは自動的にトラフィックを健康なサーバーへリダイレクトする。アプリケーションやサーバーがクラッシュしたら、Kubernetesが新しいアプリケーションを起動して自動的に解決する。Jiraのゼロダウンタイムアップグレード、というものもある(正常稼働を続けながらのアップグレード)」。

AKSはスケーリングと多くのアドミンタスクを担当し、オープンソースのGrafanaとPrometheusをベースとするモニタリングも提供する。

さまざまなベンダーが、今ではコンテナを最良のディストリビューションメデイアとして使っている。エンタープライズが既存のアプリケーションをコンテナに移行させていくと、同じシステムにある、サードパーティベンダーからの既存のオンプレミスアプリケーションも同様に管理できると思うようになる。一部のベンダーにとっては、これによってサーバーごとのライセンスからユーザーの人数割りのライセンスへの移行を意味するかもしれない。その意味ではこれはビジネス上の含意もあるけど、でも一般的には、多くのベンダーにとって論理的な動きだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトの新アプリはスマホカメラとコンピュータビジョンで英単語を学べる

マイクロソフトの8人のインターンが、新しい言語学習ツールを開発した。スマートフォンのカメラを使って身の回りの語を学び、成人の英語の識字能力向上を図るものだ。Read My Worldと名付けられたこのアプリを使い、スマートフォンで写真を撮って、1500語以上のライブラリから語を学ぶことができる。実際の物体の写真でも、書類の中の文字列でもいいとマイクロソフトは説明する。

このアプリは、授業を補うものとしても使えるし、言語習得のクラスに通う時間やお金がなかった人が語を学ぶ方法としても使うことができる。

授業に参加しなくても、毎日の生活の中で出あうものの写真を撮って学ぼうということだ。

このプロジェクトのソフトウェア開発インターン、Nicole Joyal氏は「もともとは授業のようなスタイルのアプローチを考えていましたが、調査と研究の結果、スイスアーミーナイフのようなもののほうが役に立つと考えました。何かを教えるツールよりも、生活の中で常に役立つツールを作ろうと思ったのです」と語る。

Read My Worldは、Microsoft Cognitive ServicesとComputer Vision APIを組み合わせることで、写真に写っているものを特定する。すると語の綴りが表示され、読み上げられる。特定された語の写真を保存し、アプリの中の自分専用の辞典としてあとで参照することもできる。

さらにこのアプリには3種類の語彙ゲームも含まれていて、ユーザーが新たに学んだ語を練習できるようになっている。

1500語の語彙では少ないと感じるかもしれないが、実はこれは外国語学習者が従来の学習方法で身につけることのできる語数に近い。たとえばBBCの報告によれば、言語学習者の多くは何年も学習しても2000〜3000語以上は習得が難しいという。台湾のある研究では、外国語を9年間学習した学生でも利用頻度が最も高い1000語を習得できなかったという。

この報告では、毎日使う語を身につけるのが最も大切であることも強調されている。

目にするものに焦点を当てているアプリなので、正式な教育に置き換えられるかというと限りがある。初期バージョンをテストした教員と学生からのフィードバックを集めた結果、チームは書類中の語も検出できるようにした。書き言葉を翻訳するGoogleレンズのような使い勝手ではなく、アプリが特定した一部の単語をハイライト表示し、その語の発音を聞いたり写真を見たりすることで、その語が何を表しているかがわかるようになっている。

たとえば学生の持ち物リストにアプリを向けると、鉛筆、ノート、はさみ、バインダーなどの語がハイライトされる。

このアプリはマイクロソフトの社内インキュベーター、Microsoft Garageのプロジェクトで、はじめはテストとフィードバックのために一部の組織に提供される。NGOや非営利団体で低識字率のコミュニティに携わっている人は、フォームから参加を申し込むことができる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

サーバーレスとコンテナは両者を一緒に使うのがベストプラクティスだ

コンテナに収めたソフトウェアを継続的デリバリ方式で使用するクラウドネイティブモデルは、ランタイムにクラウドベンダーがワークロードを動かすために必要なだけの量のリソースを生成するサーバーレスコンピューティングを利用すると、なお一層有利だ。大手のクラウドベンダーはこのことを知っていて、すでにそのインフラストラクチャを抽象化して隠すプロダクトを作っているが、利点はあるにもかかわらず、どんな状況でも有効とは言えないようだ。

クラウドネイティブは、簡単に言うと、コンテナ化したアプリケーションとKubernetesを使って、ソフトウェアをマイクロサービスと呼ばれる小さなパッケージで配布する。これによってデベロッパーは、継続的デリバリ方式により、ソフトウェアを迅速かつ効率的に配布できる。クラウドネイティブの世界では、コードを開発するのは一度だけ、そしてそれを、オンプレミスでも、どんなパブリッククラウドでもそのまま動かせることが理想だ。

一方サーバーレスは、やや間違った名前だ。このモデルでもコードはサーバーが動かすが、しかしそれは専用の仮想マシンではなく、クラウドのベンダーがワークロードを動かすためにつねに適正な量と時間だけ提供するコンピューティングリソースだ。

万能の完全解はない

このような方式は継続的デリバリモデルによく合ってるようだし、ベンダーもそのことを知っているが、しかしあるエンジニアの言葉を借りれば、そのプロセスは相当複雑であり、また、すべての状況に通用する1つの完全なソリューションはない。

Googleでプロダクト管理を担当しているArpana Sinha氏によれば、Kubernetesのコミュニティはサーバーレスという考え方を本当は歓迎しているのだが、その現在の実装形式に制約がある。つまりAWS LambdaやGoogle Cloud Functions、MicrosoftのAzure Functionsなど現在のの実装形式はいずれも、ファンクションという形式だ。

「ファンクションというコンセプトは制約のあるコンセプトだ。サーバーレスといえばファンクションしか連想しない今の状況は、不幸だ」、と彼女は言う。

彼女によると、Googleはその定義の拡張をトライした。「デベロッパーにとってサーバーレスとは、コーディングからデプロイまでを彼らがシームレスに行い、それ以降のことはすべてインフラストラクチャが面倒見てくれること。黙っていても自分のコードが、インフラストラクチャの適切でもっとも自己回復力のある部分へ確実にデプロイされることだ。必要なリソースは自動的に確保されるからスケーリングも自動化され、スケールダウンも必要に応じて自動的に行われるから無駄な出費がない」と彼女は説明した。

しかしAtlassianのKubernetesチームの上級エンジニアであるMatt Whittington氏に言わせると、理論的にはそれで良くても、実際には完全に自動化されたインフラストラクチャでは現実に合わない場合がある。「デベロッパーがコーディングだけに集中できるからサーバーレスはある種のワークロードにとっては理想的だが、でも完全なソリューションではない。インフラを自分でチューニングしなければならない場合もある」、と彼は言う。

彼によると、ベンダーに完全に任せっきりにできるのは、各コンテナの要求をベンダーに対して指定する方法があるときのみだ。たとえば、コンテナのロードタイムの上限下限をベンダーに指定できるだろうか。ある種のコンテナは時間を食うし、また特定の位置へのデリバリが必要かもしれない。彼によると、実際には完全な自動化はできないし、とくにデベロッパーが設定をいじくって過不足のないリソースが得られるようにしたいときは、自動ではなく手作業になる。

ベンダーも新たな解を提供

これらの問題ではベンダーもツールの提供を始めている。例えばGoogleが先月のGoogle Cloud Nextで発表したサービスGoogle Cloud Runは、オープンソースのKnativeプロジェクトをベースとし、コンテナを動かしているデベロッパーにサーバーレスの長所を結びつける。これと同様のサービスに、AWS FargateAzure Container Instancesがあり、どちらもやはり2つの技術を1つのパッケージにまとめようとしている。

というかMicrosoftのパートナー事業マネージャーのGabe Monroy氏によると、Azure Container Instancesは、この問題をファンクション型のプログラミング方式に依存せずに解決することが狙いだ。「Azure Container Instancesを使うと、コンテナをAzureのコンピュートファブリックの上で直接動かせる。仮想マシンや、ハイパーバイザーによる隔離、秒単位の課金などはない。私たちはそれをサーバーレスコンテナと呼んでいる」と彼は語る。

サーバーレスとコンテナは相性がとても良いように思えるが、でもMonroy氏が指摘するのは、クラウドネイティブの技術には、すべてに通用する唯一の方式はない、ということだ。AWS LambdaやAzure Functionsのようなファンクション型のサーバーレスを今後も使い続けたい人もいれば、コンテナに移行して二つの技術を一体化したい者もいる。しかしいずれにしても、デベロッパーのニーズが変わっていくにつれて、オープンソースのコミュニティとベンダーの両方が、それらのニーズを助けるツールを提供していかなければならない。サーバーレスとコンテナの一体化も、そんな例のひとつだ。

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画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

YouTubeで開発されたDBaaSにアンドリーセン・ホロウィッツなどが24億円超を投資

PlanetScaleの共同ファウンダーは元YouTubeのエンジニアで、このサービスの巨大化を助けたVitessデータベースシステムの開発者だ。現在2人が創業したスタートアップは大規模なデータに迅速にアクセスすると同時にセキュリティーも確保したい企業にVitessを販売している。

Vitessは稼働中に簡単にデータベースのレプリケーションができるのが大きな特徴だ。 この機能はEUのGDPR(一般データ保護規則)の遵守を容易にする。GDPRではユーザーデータをそのユーザーが居住する国に保存しなければならないことが要求され、これが企業にとって大きな負担となっている。

PlanetSacaleはAmazonのAWSのライバルであり、同時に補完関係にある。またコンピューティング全般のインフラとなる可能性があることを考えれば、シリーズAで2200万ドル(約24億円)という巨額の資金調達に成功したことも不思議ではない。ラウンドをリードしたのはAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)で、長年Googleのスパム対策のトップを務めたことで知られるマット・カッツ(先月、大統領直属のUSデジタル・サービス責任者に就任)や以前からの投資家であるSignalFireが加わっている。1年前にPlanetScaleが調達したシード資金は300万ドルに過ぎなかったことを考えれば一大飛躍だ。

今回の投資を機会にAndreessen Horowitzのジェネラル・パートナーであるPeter Levine氏がPlanetScaleの取締役に就任し、エンタープライズ向け事業に関するノウハウによってスタートアップを助ける。

PlanetScaleの共同ファウンダー、左から Jitendra Vaidya氏、Sugu Sougoumarane氏

CEOのJitendra Vaidya氏は次のように述べている。

以前我々はAWSやRDBをホスティングするサービスをライバルと考えていたが、むしろパートナーだということに気づいた。われわれのサービスはAWSなどのデータベースホスティングサービスのフロントエンドとして大きな需要がある。PlanetScaleは順調に成長中だ。

ライバルのデータベーススタートアップも巨額の資金調達を行っているのでPlanetScaleも対抗する必要があった。Andreessen Horowitzと関係を作れたことは大きな成果だ。テクノロジーとして見ると、VitessはGoogleが開発したKubernetesの先行者にあたり、MySQのミドルウェアとなってデータベースの水平的規模拡張を助けるプロダクトだ。Vitessは信頼性とパフォーマンスを損なうことなく大規模データベースのメモリー効率を高めるプロダクトとしてまずYouTubeのバックボーンに採用された。2014年にSugu Sougoumarane氏自身が下のビデオでVitessの仕組みを説明している。

PlanetScaleのVitessの販売は4つのチャンネルに分かれている。一つは自社サーバーを利用したデータベース・アズ・ア・サービス(DBaaS)、 次はクライアントがオンプレミスないし他のクラウドで利用するためのテクノロジーのライセンス、 3番目はデータベース専門家に対するVitess利用の教育、4番目がオープンソース版Vitessを利用するユーザーに対するオンデマンド・サポートだ。PlanetScaleには現在18社と契約して有料サービスを提供しているが、近くサビスを一般公開する計画だ。【略】

PlanetScaleは充分な資金を得たため人員を現在の20人から倍増させ、サポート、セールス、マーケティング部門を強化する計画だという。CEOのJitendra Vaidya氏は「我々共同ファウンダーは2人ともエンジニアなので、技術面に関しては心配していない。しかしエンタープライズ向け市場に参入するための戦略が必要だ」と説明する。

Andreessen Horowitzのような有力ベンチャーキャピタルがリードするシリーズAで2200万ドルを調達できたのはどんなスタートアップであれビッグニュースだが、PlanetScaleの場合はテクノロジーエコシステム全体に対する影響が大きい。EUのGDPRは巨大テクノロジー企業の行動を抑制することを目的としているが、実態としては大小あらゆる企業にコンプライアンス・コストを強いるものとなっている。皮肉なことに、このコスト負担はリソースに余裕のある大企業より中小のビジネスに重くのしかかるものとなっている。

「データの保存場所をユーザーの居住国にローカライズせよ」というGDPRの要求はスタートアップにとって耐え難い負担となる。PlanetScaleのVitessは単にデータベースの運用を省力化、効率化するだけでなく、GDPRを遵守することを可能にする。PlanetSclaleのサービスを利用することで、スタートアップは新しいサービスを提供するという本来の目的に専念できるようになるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Appleが6月3日開催のWWDCキーノート招待状を発送

AppleWWDCキーノートの招待状が発送された。開催までもう2週間もない。今回、同社のグラフィックデザイナーたちは、びっくりするようなレインボーユニコーンを招待状に描き、楽しんだようだ。そして描かれたものの中にはAppleApp Storeのアイコンはない。

今年のイベントではiOS 13watchOS 6、そしてmacOS 10.15が間違いなく発表される。今年3月にあった大きなイベントに引き続き、Apple TVについてもさらに発表があると私は読んでいる。

昨年のイベントは完全にハードウェアが欠けていたが、今回は違うかもしれない。面白いことにAppleは今年、大きな発表の前にはほとんど告知しないというのが慣例となっている。今週あった速いプロセッサーを搭載したMacBook Pro、さらに重要なキーボードアップデートについての発表でもそうだった。

今年のビッグイベントは米国太平洋時間6310時に始まる。我々も参加する予定で、私は同僚にユニコーンの着ぐるみを持って来させようとしているところだ。随時報告する。

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(翻訳:Mizoguchi)

ZenHubのWorkspacesはGitHubのリポジトリに複数のチーム別ワークスペースを作れる

GitHub用のプロジェクト管理ツールZenHubは、米国時間5月21日、そのサービスをチームで使いやすくするための機能としてWorkspacesのローンチを発表した。それはZenHubのサービスをチームのニーズに合わせてカスタマイズでき、それでも仕事の基盤としてはGitHubを使用するというものだ。

Workspacesはその名のように、チームがGitHubのリポジトリの中に複数のワークスペースを作れる(ZenHubはそのためにChromeのエクステンションを使う)。それによって、あるデベロッパーチームは、すべての問題の詳細なビューを得られ、そのほかのチームは自分たちに関係のあるものだけが見える。このことによってさまざまなチームが、ScrumやKanbanなどなど、それぞれ独自のワークスタイルを採用できる。

ZenHubのファウンダーでCEOのAaron Upright氏はこう語る。「この機能によって各チームが独自の方法で仕事ができ、そのやり方に応じた独自のユニークなワークフローを作れる。例えば、フロントエンドのチームはGitHubの彼ら独自の問題を抱えていて、それらはKanbanスタイルのワークフローになるだろう。またバックエンドのチームなら、独自のScrumスタイルのワークフローになるかもしれない」。

問題は全チームで共有され、どのチームが今何をやってるかもわかる。つまり、社内の透明性が確保される。

画像クレジット: masahiro Makino/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトはサービスメッシュの相互運用性向上に一石を投じる

クラウドネイティブのコンピューティングの世界では、今サービスメッシュがホットだ。隔年で開催されるKubeConは、クラウドネイティブに関するあらゆる事柄を扱う。その場でマイクロソフトは、米国時間の5月21日、この分野の何社かと協力して、ジェネリックなサービスメッシュのインターフェイスを開発すると発表した。これによりデベロッパーは、特定の技術に縛られることなく、サービスメッシュのコンセプトを容易に適用できるようになる。

現状では、ネットワーク上で利用可能なAPIの数は増え続けている。あちこちのデベロッパーが、猛烈な勢いで新たなマイクロサービス、コンテナ、その他のシステムを立ち上げているからだ。そうしたサービスは、暗号化、トラフィック管理、その他の機能を提供してくれるので、実際のアプリケーションは、詳細を気にすることなく利用できるようになっている。しかしサービスメッシュ自体にも、たとえばIstioLinkerdなど、何社かの競合する技術があるため、デベロッパーはそのうちのどれをサポートすべきか、選択を迫られるのが現状だ。

「この業界の中の人材を集約して、大規模なコンソーシアムをまとめ上げることができたことに、非常にワクワクしています。それにより、サービスメッシュの分野で、相互運用性を推進できるでしょう」と、元DeisのCTOで、現在はマイクロソフトのコンテナ担当の主幹プロダクトマネージャ、Gabe Monroy氏は私に語った。「これは今まさにホットなテクノロジです。それにはもちろん理由があります。クラウドネイティブのエコシステムは、よりスマートなネットワークと、よりスマートなパイプの必要性を増長しているのです。そして、その要求に応えるのがサービスメッシュなのです」。

パートナーとして名前が挙がっているのは、Buoyant、HashiCorp、Solo.io、Red Hat、AspenMesh、Weaveworks、Docker、Rancher、Pivotal、Kinvolk、それにVMwareだ。これは、かなり広範囲の連合だが、クラウド分野で競合する重要なプレーヤー、つまりIstioの背後にいるGoogle、そしてAWSは当然ながら含まれていない。

「急激に進化するエコシステムでは、共通の標準を制定することが極めて重要です。それによってこそ、最終的なユーザー体験を可能な限り最高のものにすることができるのです」と、Solo.ioの創立者でCEOのIdit Levine氏は述べている。「これがSuperGlooを支えるビジョンです。異なるメッシュ間でも一貫性を保つことができるように抽象化レイヤーを設定するのです。そのために、私たちは先週、Service Mesh Hubをリリースしました。サービスメッシュの採用が拡がり、SMI仕様として業界レベルのイニシアチブに育っていくことを嬉しく見守っています。

当分の間、この相互運用性機能は、トラフィックのポリシー、テレメトリ、そしてトラフィック管理に焦点を合わせたものとなる。Monroy氏によれば、これらが今最も差し迫った課題だという。そして、この共通のインターフェースによって、さまざまなサービスメッシュのツールを革新することが可能であり、デベロッパーは必要に応じていつでも独自のAPIを直接利用することもできる、と力説した。また、この新しい仕様はSMI(Service Mesh Interface)と呼ばれ、そうした機能に対して独自の実装を提供するものではないということも強調している。つまり、共通のAPIのセットを定義するだけなのだ。

現在最も有名なサービスメッシュは、おそらくIstioだろう。2年ほど前に、Google、IBM、そしてLyftによって立ち上げられたものだ。SMIの登場によって、この市場における競争が、それほど激しいものになることはないだろう。というのも、SMIは特定のサービスメッシュの実装の選択をデベロッパーに迫るものではなく、サービスメッシュの採用全般を促すものだからだ。

マイクロソフトは同日、SMIに加えて、同社のクラウドネイティブ、およびKubernetesサービスに関して、他にもいくつかのアップデートを発表した。たとえば、パッケージマネージャHelm 3の最初のアルファ版、Visual Studio Code用のKubernetes機能拡張の1.0リリース、オープンソースのVirtual Kubeletプロジェクトを利用したAKS仮想ノードの一般公開などだ。

画像クレジット:Zen Rial/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Firefoxの最新アップデートはスピードとプライバシー保護に重点

MozillaFirefoxバージョン67をWindows、macOS、およびLinux向けに公開を開始した。そして開発チームはいくつかの変更箇所についてその詳細をブログに書いている。新バージョンでは、全体的な性能向上を期待できる。

Firefoxは、重要なコンテンツを優先して読み込み、重要でないスクリプトの読み込みを遅らせ、ページにフォームがないときはオートフィルモジュールを読み込まないという方針を強化した。

モバイル向けウェブブラウザーでは、動いていないタブをメモリーから排除することでほかの作業の性能を上げるのが普通だ。以前のタブに切り替えるとページの再読込が必要になるのはそのためだ。最近ではデスクトップ向けブラウザーでも同じことが行われておりFirefoxもメモリーが400MB以下になると一部の古いタプが停止される。

また、アドオンやテーマをたくさん使っている人なら、Firefoxはブラウザーを終了して再起動したときの立ち上がりが速くなる。AV1ビデオの性能も上がる。これはVideoLAN、VLC、FFmpegなどのコミュニティーの新しいデコーダーを採用したためだ。

プライバシー面では、Firefox 67はクリプトマイニング(暗号通貨の採掘)とフィンガープリンティング(ユーザーの追跡)をブロックする仕組みを追加した。また、Disconnectとの提携によりルールやドメイン名のリストを持つことで、不正なコンテンツの読み込みを防ぐ。

クリプトマイニングとフィンガープリンティングのブロックは標準ではオフになっている(少なくとも今は)。しかし、ブラウザー設定の「プライバシーとセキュリティー」から数回クリックすることで有効にできる。

プライベートブラウジングに関して、Firefoxはプライベートセッション中に一部のアドオンを有効または無効にできるようにした。また、プライベートタブでパスワードをブラウザーに保存できるようになった。

そしてNVIDIA製のGPUを使っているWindowsユーザーは、WebRenderを有効利用できるようになった。WebRenderはGPUベースのレンダリングエンジンで、Rustで書かれたウェブコンテンツで利用される。これはごくわずかなユーザーが対象だが、Firefoxは将来もっと多くのユーザーに対応するにだろうと私は思っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アドビが動画編集アプリPremiere RushをAndroid向けにリリース

2018年後半、Adobe(アドビ)は「Premiere Pro」(プレミアプロ) と 「Adobe Audition」(アドビオーディション) をコンパクトにまとめた、オールインワンの最新動画編集ツール 「Premiere Rush」をリリースした。当時はiOSとmacOS、Windowsにしか対応していなかったが、今回ついにAndroid版がリリースされた。

ただし、アプリはSamsung(サムスン)の「Galaxy S9」や「Galaxy S10」、そしてGoogle(グーグル)の「Pixel 2」や「Pixel 3」、そして「OnePlus 6T」といった、かなり新しいスマートフォンでしか動作しない。

Premiere Rushの背景にあるアイデアは、Premiere Proのような複雑なツールを熟知していなくても、動画を作成するのに必要なすべてのツールを、熱心なユーザーや動画をすぐに公開する必要があるYouTubeユーザーに提供するというものだ。アプリはプロ向けの製品と同じ技術がベースとなっており、ずっと簡単に使える。つまり柔軟性を失う代わりに、効率性を得るのだ。

Premiere Rushの試用は無料だが、その「Starter Plan」では3つのプロジェクトしかエクスポートできない。フルアクセスにはアドビのCreative Cloudを購読するか、Premiere Rushにアクセスする月額9.99ドルのプランを購入する必要があり、またチームとエンタープライズ向けにはそれぞれ月額19.99ドルと月額29.99ドルにて提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

使いやすくて親切なKubernetesサービスを目指すDigital Oceanはユニークな機能を揃える

クラウドインフラの意欲的なプロバイダーの例にもれずDigital Oceanも最近、そのプラットホーム上でKubernetesのクラスターを動かすための同社独自のソリューションを発表した。バルセロナで行われたKubeCon + CloudNativeCon Europeで同社は米国時間5月20日に、そのプラットホームDigital Ocean Kubernetesが一般公開されたことを発表した。

このリリースで同社はKubernetesの最新リリース(1.14)を提供し、このプラットホームのユーザーには自動パッチによるアップグレードもそのスケジュールとともに提供される。

一般公開に伴いDigital Oceanは、そのサービスを同社の世界中のデータセンターに持ち込み、いくつかの新しい機能も導入する。その中にはたとえば、ガイド付きの構成体験がある。それによりユーザーはクラスターのプロビジョニングからデプロイへ移行する。また健康診断(Health Metrics)と呼ばれる機能により、デベロッパーがクラスターの状態をモニタできる。それには、ポッドのデプロイステータスやCPU、メモリの使用、などのデータが含まれる。

また、サードパーティが自分のソリューションにDigital Ocean Kubernetesのサポートを容易に統合できるための、オープンなAPIも提供する。

さらに同社はもうすぐ、Kubernetes用のワンクリックアプリケーションを集めたマーケットプレースを開店する。Kubernetesのクラスターへアプリケーションをデプロイすることが、それらのツール的アプリケーションでより容易になるだろう。この機能は、すでにKubernetes用のパッケージ管理のデファクトスタンダードであるオープンソースのHelmをベースとする。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

GoogleのKubernetes Engineが3種のリリースチャネルとWindows Containerをサポート

2年に一度行われるクラウドネイティブのカンファレンスKubeCon+CloudNativeConでGoogle(グーグル)は米国時間5月20日、Google Kuberentes Engine(GKE)の3つのリリースチャネル、RapidとRagularをStableを発表した。

これによりGoogle Cloudのユーザーは、最新のリリースを選ぶか、それともいちばん安定したやつで行くかなどを選択でき、また最新のアップデートを開発環境の中で容易に評価できる。このリリースチャネル機能は、目下アルファテストの段階だ。

Googleのリリースノートには「各チャネルで、成熟度と鮮度が異なる。デベロッパーはリスクの許容度とビジネスの要求のあいだで適正なバランスを取りながらクラスターをアップデートのストリームにサブスクライブできる」と書かれている。

今アルファで提供されているのはRapidチャネルの最初のリリースで、それがデベロッパーにKubernetesの最新バージョンのアーリーアクセスを与える。

Rapidへのリリースとともに、GoogleはまたGKEによるWindows Containersの初期的サポートを提供する。最近の何回かのリリースの過程でKubernetesのコミュニティはWindowsサポートを徐々に改良し、そして今度はGoogleが6月にWindows Server Containersのサポートを提供する。

これらの機能に加えてさらに、同社はKubernetesをモニタリングするStackdriverツールをリリース。このツールでGKEのモニタリングとロギングができ、また他のクラウドやオンプレミスのインフラストラクチャでのKubernetesのデプロイにも対応できる。

画像クレジット: Alija

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ファーウェイがAndroid提供中止にコメントするも今後の見通しは依然不明

Huawei(ファーウェイ)はようやくAndroid使用禁止について声明を出した。しかし、同社のモバイル事業の長期戦略は依然不透明のままだ。

顧客の懸念を和らげようと、包囲網を敷かれたファーウェイは米国時間5月20日、セキュリティのアップデートと既存のラインアップへの製品サポートの提供を続けると明らかにしたが、同社が言及しなかったことが懸念として今後広がることになりそうだ。

ファーウェイは、顧客がAndroidソフトウェアのアップデートを受け続けられるのかについて保証することはできなかった。その一方で、今後展開するスマホが現在のAndroidのようなもの、あるいは他のものを搭載して出荷されるのかについても発表文では明らかにされなかった。

出荷台数が世界で2番目に多いスマホメーカーのファーウェイは、世界中の顧客のために安全なソフトウェアのエコシステムの開発を続けると述べた。また、展開するスマホブランドであるHonorのサポートも引き続き行う。ファーウェイスマホの半分近くが中国外で販売されている、と調査会社CounterpointはTechCrunchに対し語った。

声明全文を以下に記載する。

ファーウェイは世界中でAndroidの開発と成長に貢献してきた。Androidの主要パートナーの1社として、ユーザーとこの業界が恩恵を受けてきたエコシステムを発展させるために、オープンソースのプラットフォームで緊密に連携してきた。

今後もセキュリティのアップデートと、これまでに販売され、また在庫としてある既存のHuawei Honorブランドのスマホとタブレット製品のアフターサービスの提供を続ける。我々は、世界中の全ユーザーに最高の使用体験を提供するため、安全で持続可能なソフトウェアエコシステムの構築を続ける。

加えて、ファーウェイは計画通りHonor 20を発売すると発表した。このデバイスは米国時間5月21日にロンドンで開催されるイベントで披露されることになっている。Honorはサブブランドだが、ファーウェイに科せられた制裁はHonor事業にもおそらく反映されるだろう。

ファーウェイの生ぬるい対応は予想されたものだ。これにより前に、Google(グーグル)は同様にどっちつかずの声明を出していた。声明では、Huawei端末のユーザーは Google PlayストアとGoogle Play Protectにアクセスし続けることができるとしたが、ファーウェイと同じようにいま本当に聞きたいことである今後の見通しについては言及はなかった。

実際、ファーウェイとグーグル内の情報筋はTechCrunchに対して今後の対応は不透明だ、と語った。

もしかするとファーウェイは、Google Play StoreやGmail、YouTubeといったGoogleサービスなしのAndroidのオープンソースバージョンAOSPの使用を余儀なくされることになるかもしれない。これは、非常事態用に構築されているとメディアが報じるファーウェイの簡素な別の選択肢を拡充させなければの話だ。

Huaweiの今回の声明発表は、グーグルがファーウェイとのビジネスを停止したとロイターが報道したことを受けてのものだ。Googleは、Huaweiと関連する70社を「エンティティーリスト」に追加するという米商務省の指示に従っている。この措置では、米企業がファーウェイとビジネスをするには政府の許可を得なければならない。

一方、ファーウェイにとって状況は厳しくなっている。今回の米政府の措置により、Androidに加えてIntel(インテル)、Qualcomm(クアルコム)Xilinx(ザイリンクス)、そしてBroadcom(ブロードコム)も解決策が図られるまで、ファーウェイへのチップ供給を停止すると報道されている。

イメージクレジット: Jaap Arriens/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

既存ファーウェイ端末はGoogle Playストアを継続利用可能とグーグルが声明

Google(グーグル)は米国時間5月20日、既存のHuawei(ファーウェイ)製デバイスのユーザーはGoogle Playストアを引き続き利用できると発表した。将来的に同社がフル機能のAndroidを利用できるかは不明だが、世界中の何千万人ものユーザーを安心させることだろう。

またGoogleがTechCrunchに寄せた声明によれば、既存のファーウェイ端末にはGoogle Play Protectを通じたセキュリティアップデートも配信される。Google Play Protectは、マシンラーニングを利用してマルウェアを検知し排除する内蔵機能だ。なお、ファーウェイは具体的にどのAndroidスマートフォンがAndroidのアップデートを受けられるのかは明らかにしていない。

この声明は、ロイターによるグーグルがファーウェイとのビジネスを停止するという米国時間5月19日の報道の後に出されたものだ。なお、ファーウェイは昨年に2億台以上のスマートフォンを出荷した世界第2位のメーカーである。報道では、将来のファーウェイのデバイスではGoogle Play Storeやメールクライアント「Gmail」など、多くのGoogle Mobile Servicesが利用できなくなるとしている。ファーウェイのスポークスパーソンは現在状況を調査中としており、それ以上の声明を出していない。

これはファーウェイにとって大きな後退であり、数週間以内に問題が解決されない場合には、中国外でのスマートフォンビジネスにて大きな混乱をもたらしうる。すでにセキュリティ関連の問題を抱えている同社だが、もし解決策がない場合、将来のスマートフォン向けのソフトウェア戦略を再考する必要がある。将来的なAndroidアップデートの配信の遅れ、あるいは停止は、同社の顧客からの評判を世界中で損なうことになる。

ファーウェイのスポークスパーソンは声明にて、「我々は命令を遵守し、その影響を見直しています」と述べている。

現在進行系の米中による関税政策のなかで、ファーウェイとグーグルは奇妙な立場に置かれている。ファーウェイと70社の関連会社は米商務省による国家安全保障上の懸念によりリスト入りしており、グーグルやIntel(インテル)など米企業は取引の前に政府の承認を受けることが要求されている。

ファーウェイは、この事態を予測していたのかもしれない。同社の幹部は最近、現在のシステムが将来利用できなくなった場合に備え、独自のAndroidベースのOSを開発したと明かした。先程のロイターの報道によれば、ファーウェイはGoogle Mobile Servicesを含まないオープンソースのAndroid OSこと「AOSP」も継続利用できるという。さらに理論的には、独自のアプリストアを持てるはずだ。しかし十分な数のディベロッパーを説得してファーウェイのアプリストアでアプリを公開し、継続的にアップデートをしてもらうことは、非常に難しいだろう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Airbnbに元アップル小売担当のアンジェラ・アーレンツ氏がジョイン

Airbnbは来年にも期待されている新規株式公開にむけた動きの中、新たな取締役を迎え入れた。

Apple(アップル)にてリテール部門シニアバイスプレジデントを努めたAngela Ahrendts(アンジェラ・アーレンツ)氏が、3人目の独立社外取締役に就任する。Ahrendts氏はバーバリーにて8年間CEOを努めた後、2014年にAppleに入社した。そして今年4月にアーレンツ氏が辞任した後には、Deirdre O’Brien(ディアドラ・オブライエン)氏が後任として就任する。

Airbnbは8月、ディズニーとPixarで幹部を務めたAnn Mather(アン・マザー)氏を取締役に迎え入れた。マザー氏は男性のみだった取締役に最初に加わった女性の取締役だ。2018年1月には、アメリカンエキスプレスの元CEOのKen Chenault(ケン・シェノルト)氏を取締役に加えた。

Airbnbの長期的な目標は、エンドツーエンドの旅行プラットフォームを築き、ホームシェアリング、ホテル予約、ビジネストラベルのアレンジ、レジャーなどの体験を完成することだ。アーレンツ氏のバーバーリーやアップルで国際的な成長を率いた経験は、Airbnbによる潜在的な株主へのアピールに役立つことだろう。

2017年にAirbnbは10億ドル(約1100億円)を調達し、その評価額は310億ドル(約3兆4000億円)だった。今年1月、AirbnbはEBITDA(利息、税引前利益、減価償却費)ベースで2年連続の黒字だったと発表した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter