アップルとグーグルがアクセシビリティに焦点を当てたアプリや新ショートカット公開

昨年秋のiOS 12でApple(アップル)はSiriショートカットをリリースした。iPhoneユーザーが自分専用の音声コマンドを作ることのできる新しいアプリだ。米国時間5月16日Appleは、Global Accessibility Awareness Day(GADD)を祝って、アクセシビリティに焦点を当てた実用的なSiriショートカット集を公開した。あわせてApp Storeにもアクセシビリティ向けの機能やコレクションを導入した。

Google(グーグル)も同様に、Google PlayでAndroidユーザー向けの機能追加を行っている。

Appleの新しいSiriショートカット群は、ショートカットアプリ上のコレクションとして提供される。コレクションにはユーザーの日々の仕事に役立つさまざまなショートカットが入っている。

例えば「Help Message」 ショートカットは、現在位置を緊急連絡先に通知する。「Meeting Someone New」ショートカットは、言葉によらない自己紹介とコミュニケーションをスピードアップする。思ったことや感じたことを記録する「mood Journal」、遠方の人に自分の痛みの大きさを伝える「pain report」などもある。

コミュニケーションの効率を上げるためのショートカットもいくつかある。例えば、よく使う連絡先をホーム画面に置き、ワンタッチで電話やメッセージやFaceTimeができる。

QRコードに関するものもある。「QR Your Shortcuts」は、よく使っているショートカットのQRコードを作ってくれるので、プリントしてそれが必要になる場所に貼り付ける。例えば、歯磨きの手順をひとつずつしゃべる「Speak Bursh Teeth Routine」ショートカットは洗面所に貼っておくといい。

Appleはこうした新しいショートカットだけでなく、アクセシビリティに特化したアプリのコレクションをApp Storeに追加した。Microsoftの視覚障害者向けトーキングカメラのSeeing AIや、音声認識リーダー、オーディオゲーム、手話アプリ、AAC(拡大・代替コミュニケーション)ソリューション、視線制御プラウザー、スマートホームアプリ、微細運動技能などがある。

App Storeにはデベロッパー、アスリート、ミュージシャン、コメディアンらがアクセシブル技術をどのように利用しているかについてのインタビューも載っている。

GAADがテーマの特別コレクションを本日公開したのはAppleだけではない。GoogleもGoogle Playでアクセシブルアプリやゲームのコレクションを公開している。いくつかのユーティリティーに加えて、今月Google I/Oデベロッパーカンファレンスでデビューした聴覚障害・難聴者向け最新アクセシビリティサービスであるLive Transcribe(音声文字変換)紹介されている。

アプリのステータスは「Unreleased」になっているが、先行バージョンをインストール可能で、周囲の会話を聞き取ってすぐに文字起こししてくれる。

ほかにもホーム画面に代わるNova Launcherや、視覚障害者支援アプリのBe My Eyes、ヘッドコントロールのOpen Sesame、コミュニケーション支援のCard Talkど多数ある。

【Japan編集部追記】日本版の「ショートカット」アプリには5月17日11時現在、今回に併せたアクセシビリティ関連のショートカットは提供されていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TikTokがiOS App Storeで5期連続のダウンロード数トップ

FTCに罰金570万ドルを支払い、13歳未満の使用を禁止されながらも、TikTokはApple App Storeのダウンロード数ランキングで5四半期連続でトップの座を守ったことがSensor Towerの最新レポートでわかった。Q1のダウンロード数は3300万回で、トップ5にはYouTube、Instagram、WhatsApp、およびMessengerが続く。

16位アプリだったTwitterにとっても好調な四半期だったとレポートは指摘している。
App Storeのダウンロード数1170万回は、2015年Q1以来最大、対前年比3.6%増だった。ただしこれらの数字がアクティブユーザー数の増加を表すわけではないのはもちろんだ。インストール数と利用頻度に直接の相関はない。

また、TikTokはApp Storeでは再びトップを守ったが、AndroidデバイスではQ1に最も多くダウンロードされたアプリではなかった。

新興市場に強く総ユーザー数も多いAndroidでは、トレンドがiOSと異なることがある。今四半期はWhatsAppがGoogle PlayでNo. 1のアプリで、1億9900万回近くインストールされた。Messenger、TikTok、Facebook、およびInstagramがこれに続いた。

Facebook、WhatsApp、Messengerの3つもTikTokと並んで2019年Q1に1億5000万回以上インストールされた。

Androidのトップアプリではなかったものの、TikTokにとっては大きな四半期だった。特にインドでは8860万人の新規ユーザーが同アプリをインストールし、2018年Q1から8.2倍増だったSensor Towerがレポートに書いている。

とはいえ、TokTokの次の四半期の数字はそこまでよくないかもしれない。同アプリはポルノを含む違法コンテンツのためにインドで4月に禁止された。同月内に禁止措置は解かれたが、Sensor Towerの推計によると1500万回のダウンロード機会を失った。

Q1の成長株アプリはYouTube Kidsで、Goolge Playで対前四半期比291%増の2900万ダウンロードを記録してYouTubeおよびYouTube Musicとともにトップ20アプリに入った。

両アプリストアを合わせると、WhatsAppが四半期で最もダウンロードされたアプリで、App StoreとGoogle Play合計で2.2億回以上ダウンロードされた。

Messengerが2.03億回で2位につけた。App Storeで数を伸ばしたTikTokが3位を獲得し、FacebookとInstagramが続いた。

トップ10のその他の顔ぶれに変化はなく、Facebookグループがトップ5のうち4つを占めている。一方、インドで初めてのユーザーを獲得した画像エディターのPicsArt Photo Studioが全世界トップ20に食い込んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Steam LinkがiOSに対応しSteamゲームがプレイ可能に

およそ1年前、ValveはSteam Linkと呼ばれるアプリケーションを開発していることを発表した。macOS、Windows、Linux用に作られたSteamゲームをiOSやAndroid端末でプレイできるアプリだ。ストリーミングというマジックを使うことで、ローカルネットワーク上のコンピューターに重労働を任せることができる。

そしてValveがこれをApp Storeに申請したところAppleは拒否した。当時Valveは、Apple(アップル)は「利益の相反」が拒否の理由だと言っていた。

1年後、相反はついに解決したようだ。つい先程、Steam Link for iOSがApp Storeに登録された

ほとんどのPCゲームはタッチスクリーンで楽しむ方法がないので、おそらくコントローラーがほしくなるだろう。Valveは「Made fo iPhone」認証済みのコントローラや同社のSteamブランドのコントローラーを使えることを公表している。さらに同社は、最大の性能を引き出すためには、ストリーミングするPCはルーターに直接接続し、iOSデバイスは5GHzのWi-Fiに接続する必要があると注意している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのRivetアプリはスピーチ処理技術で子どもの読解力を伸ばす

RivetはGoogleの社内インキュベーターからリリースされた新しいアプリで、読書に困難のある子どもたちをサポートすることを目指している。このアプリはGoogleの実験プロジェクトのワークショップであるArea 120から生まれた。子ども向けの無償の本が2000冊以上含まれ、単語がわからなくてつまづく子どもを先進的なスピーチテクノロジーで助けるアシスタント機能が備わっている。

例えば、わからない単語をタップすれば発音を聞くことができ、それを復唱すれば正しく読めているかどうかがアプリに表示される。

25以上の言語に対応した語義や翻訳の機能もある。子ども、特に非ネイティブの話者が読み方を学ぶのに役に立つ。

低年齢層の読者のためには、ストーリーを読み上げるモードがある。読み上げに合わせて単語がハイライト表示されるので、子どもは単語と発音を一致させながら見ていくことができる。成長してこの機能が必要なくなったら、保護者はこのモードを無効にして子どもに自分で読ませることができる。

子どもをターゲットとした電子書籍アプリは市場にたくさんあるが、Rivetは音声テクノロジーとスピーチ処理を活用して成長を助けることができるという点で興味深い。

Rivetは、Android版とiOS版がある。マイクのボタンをタップしてページを読み上げると、リアルタイムでヘルプを提供する。ある単語でつまづくと、アシスタントが積極的に介入してサポートする。通常、子どもが知らない単語や発音できない単語にぶつかると、保護者はそれを教えて読書を手伝う。Rivetは、これと同じように動作する。

子どものプライバシーを守るため、Rivetのスピーチ処理はすべてデバイス上で実行され、アプリはCOPPA(児童オンラインプライバシー保護法)に準拠しているという。

あるページを読み終わると、正しく読めた単語はどれか、練習が必要な単語はどれかを見ることができる。ポイントやバッジのごほうびがもらえるほか、アバターやテーマ、本のカスタマイズを活用して、ひとりひとりの関心と読書レベルに応じた体験ができるようになっている。

そのほかにもサプライズやゲームがあって、子どもは飽きずにこのアプリで読書を続けることができる。

Rivetの技術・プロダクト責任者のBen Turtel氏は読書のプロジェクトに取り組んだ理由について、読書はあらゆることを学ぶために身につけなくてはならない基本的なスキルだからだと述べている

Turtel氏はこう説明する。「読むことが困難な子どもは高校の授業についていけず、卒業する可能性は4倍も低い。残念なことに米国の4年生の64%が十分な読解力レベルに達していない」。

Googleが読書に取り組んだアプリは、Rivetが初めてではない。Boloというアプリも同じような機能があり、インドの子どもたちを対象としている。

BoloはArea 120プロジェクトのアプリではないが、同プロジェクトからは教育にフォーカスしたコード学習アプリのGrasshopperや、スピーチ処理技術を使ったカスタマーサービスの電話システムのCallJoyなどが生まれている。

Rivetは今年に入ってからベータ版が配布されていたが、現在は米国をはじめ11カ国Google PlayアップルのApp Storeで一般に提供されている(訳注:本稿公開時点では、日本では提供されていない)。

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(翻訳:Kaori Koyama)

自由の女神ミュージアムの開館を祝うARアプリが登場

米国時間5月16日、同国の最も象徴的なランドマークのひとつである自由の女神像の足元に、1億ドル(約110億円)をかけた「自由の女神ミュージアム」(Statue of Liberty Museum)がオープンする。ミュージアムの広さは約2400平方メートルで、入場制限のために女神像の中に入れない大半の観光客にもその歴史を紹介するスペースとなる。

女神が立つリバティ島になかなか行けない人のために、iOSのApp Storeで「Statue of Liberty」アプリが公開された。このアプリを開発したのはファッションデザイナーのダイアン・フォン・ファステンバーグ氏率いるYap Studiosで、自由の女神をさまざまな方法で生き生きと体験できる。

フォン・ファステンバーグ氏は開業前のイベントで次のように語った。「私はアップルに、自由の女神を訪れる人々にアップルの体験を提供したいと伝えた。私はアップルに招かれ、2日間にわたってアップルを存分に体験した。私はそこで、自由の女神を訪れる人々にアップルの体験を提供するだけでなく、アップルに対しても自由の女神の体験を提供するのだということに気づいた。それがこのアプリだ」。

体験の最も重要なベースになっているのはARだ。このアプリにはさまざまなAR体験が組み込まれ、女神像を実際に訪れることができなくても、その大きさ、視界、歴史を実感できるようになっている。

トーチからのパノラマビューでは、マンハッタンを眼下に見ることができる。女神の足を実物大のARで再現して目の前で見たり、女神像の製作過程を再現したり、内部の支柱をのぞいたり、銅が緑青で見慣れた色に変わっていくさまを観察したりすることもできる。

女神像の秘められた歴史を探ったフォン・ファステンバーグ氏が語る3部作のPodcastなど、オーディオのコンポーネントもある。リバティ島を訪れる人向けに、位置情報に基づくオーディオツアーも用意されている。アプリを開発したYap Studiosが現地でのAR体験を組み込まなかったことは興味深いが、いずれ提供される可能性はある。

現時点では、Statue of LibertyアプリはiOS版のみが公開されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ファーウェイがエンタープライズ顧客をターゲットにしたAI利用データベースを発表

中国のファーウェイ(Huawei、華為)は、新しいデータベース管理システム(DBMS)製品を発表し、エンタープライズビジネス市場に真剣に取り組み始めた。このことでIBM、Oracle、そしてMicrosoftといった強固な面々と真正面から戦うことになる。

深圳(シンセン)に拠点を置くスマートフォンと通信機器の製造でよく知られる同社は、その新しく誕生したデータベースが、チューニング性能を改善するために人工知能を用いていると主張している。従来のチューニングプロセスは人間の管理者を必要としていた。人工知能によるチューニングの性能向上は60%以上に達するという。

GaussDBという名のこのデータベースは、パブリックおよびプライベートクラウド環境で動作するだけでなく、ローカル環境でも動作する。ファーウェイの提供するクラウド上で実行しているときには、GaussDBは、金融、物流、教育から自動車産業にいたるまで、全ての顧客に対してデータウェアハウスサービスを提供する。

このデータベースの誕生は、米国時間5月10日に、まずThe Information上でレポートされた。引用された情報ソースによれば、このデータベースは同社の秘密のデータベース研究グループのGaussによって設計され、当初は中国国内市場に焦点を当てるのだという。

この発表は、ファーウェイの中核となるテレコムビジネスが、噂される中国政府との関わりに起因して、西側から監視を受けている最中に行われた。株式未公開会社であるファーウェイがリリースした財務詳細によれば、テレコム部門は2018年のファーウェイの総収入の40.8%を占めている。

そして急成長しているスマートフォンとデバイスの売上に牽引されているファーウェイの消費者部門は、同社の年間売上高のほぼ半分を占めている。現在エンタープライズ事業による収益は4分の1以下であるが、ファーウェイのデータベース管理システムへの新規参入は、このビジネス領域に新しい燃料を注ぐことになるだろう。

一方、Oracleが最近900人以上の従業員(その大部分は1600人のスタッフを抱える中国国内の研究開発センターに居た)を解雇したことを、複数のメディアが今月始めにレポートしている。

Boss Zhipin(BOSS直聘)からTechCrunchに提供されたデータから、レイオフの手がかりを得ることができる。この中国の求人プラットフォームでは最近Oracle中国で働いていた人の登録が一時的に増えたようだ。とはいえ、米国の巨人は現在Bossを通じて、クラウドコンピューティングに関連する多数のポジションを含む100以上のポジションを募集しているため、新しい採用はまだ行われている最中である。

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(翻訳:sako)

Adobe Lightroomがチュートリアル・共有アルバム・テクスチャコントロールを新装備

Adobe Lightroomは米国時間の5月14日、かなり久しぶりとなる新たなスライダーの追加を含むアップデートを受けた。そのスライダーは、画像に含まれるテクスチャを目立たせる効果を発揮する。この新機能は、Adobe製の写真編集、管理ツールの2019年5月リリースに含まれているもので、LightroomとLightroom Classicの他、Camera Rawでも利用できる。また、Lightroom内で利用できる新たな学習ツールもいくつか追加されている。これによって、初心者から上級者まで、写真編集の方法を学ぶことができる。さらに、クラウド版のLightroom用に共有アルバム機能も装備した。それら以外にも、いくつかの細かなアップデートが含まれている。

Adobeでは、新たなチュートリアルや、その他の学習機能の方をプッシュしているのだが、ほとんどの写真家にとっては、Lightroomが新たに装備したテクスチャコントロールの方が、より強い興味をひかれる機能だと思われる。前回AdobeがLightroomにメジャーな新機能としてツールを追加したのは、「かすみの除去」が最後だった。もう何年か前のことだ。テクスチャコントロールは、「かすみの除去」や「明瞭度」の調整機能と組み合わせて使うとより効果的で、毛髪、肌、樹皮など、中程度の大きさのテクスチャのディテールを際立たせることができる。

当初Adobeでは、スムージング効果を目的としてこの機能の開発を始めた。テクスチャを目立たせるのとは逆の効果だ。実際、今でもテクスチャスライダーに負の値を設定すると、たとえば肌のテクスチャなど、かなり滑らかにすることができる。しかしその際にも、顔写真などの肌のディテールを潰してしまうことがないという優れた特長を備えている。

Adobeも認めているように、このツールは、既存の「明瞭度」ツールと紛らわしく感じられることもある。「明瞭度はテクスチャよりも強い効果を発揮します。それはそれで良いのです」と、AdobeのMax Wendt氏は説明している。「テクスチャの効果は微妙なので、もっと強いものが必要となることもあるでしょう。明瞭度は、より広い領域について色調の変化をもたらします。テクスチャよりも、輝度と彩度の変化が大きくなります。テクスチャと明瞭度は、根本的に異なるツールであり、それぞれ独自の利点を持っているのです」。

さらにAdobeは、Defringe(フリンジの除去)という新しいツールも導入した。これまでのLightroomのツールを使って色収差によるフリンジを除去しようとしても、残ってしまったものを目立たなくすることができる。この機能は、macOS版およびWindows版のLightroomでのみ利用可能となっている。

またLightroomの今回のリリースには、共有アルバム機能も追加された。長い間待ち望まれていたものだ。これで「Classic」が付かない方のLightroomは、ますますクラウド指向となった。

チュートリアル、その他の教育的な素材として、AdobeはまずiOS版とAndroid版のアプリにインタラクティブなチュートリアルを追加しようとしている。今後、Mac版とWindows版でも利用できるようにする予定だ。Adobeは、何人かの写真家に依頼してチュートリアルの作成に協力を仰いだり、「インスピレーションを刺激する」写真の提供を受けている。また、通常のヘルプ機能も強化し、ヘルプ内に多くのチュートリアルを組み込んでいる。

画像クレジット:Adobe

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

日本版Apple TVアプリは映像検索ツールとして少し優秀

アップルは日本を含む100カ国以上で「Apple TV」アプリの配布を開始した。iPhone、iPad、Apple TV、そしてサムスン製のスマートTVの2019年モデルと2018年モデルの一部で利用できる。

プレスリリースによると、米国であれば、HBO、Starz、SHOWTIME、Smithsonian Channel、EPIX、Tastemadeなどの人気のあるチャンネルが視聴できるほか、MTV Hitsなどの新サービスも含まれるそうだ。また「さらに多くの専門チャンネルが世界中で追加されていく予定です」とも記載されている。

早速、日本版をダウンロードしてみたが、結論を先に言うといまのところ日本ではAmazon Primeなどに勝てる要素はほとんどない。独自制作のコンテンツを多数揃え、年会費を払えばいつでも見られるAmazon Primeと比べるのは少々酷な話だが。もちろんこれは今秋に向けての先行リリースで、スティーブン・スピルバーグ監督やJ・J・エイブラムス監督が制作する「Apple TV+」用の独自の映像コンテンツが登場すれば少し風向きは変わるかもしれない。

現状では、「iTunes Store」アプリの「映画」タブのUI

iPhoneの場合は「iTunes Store」アプリ、Apple TVの場合は「映画」アプリと品揃えは変わりばえしない。ダウンロードすると同じ目的で使う純正アプリが2つに増えるだけだが、検索機能についてはApple TVアプリのほうが優れている。

別途契約が必要だが、映像コンテンツを横断的に検索できるのは便利

例えば、Apple TVアプリで「ドキュメンタル」を検索するとAmazon Primeで視聴できる「ドキュメンタル」が、「ときめく」と検索するとNetflixで視聴できる「Kon Mari 〜人生がときめく片付けの魔法〜」が表示される。もちろん、いずれも別途各サービスとの契約が必票だが、iPhoneやiPadでは映像コンテンツのハブとしてアプリを利用できそうだ。

一方で少しややこしいのだが、ハードウェアのApple TV上で利用できるソフトウェアのApple TVアプリでは、私の環境ではこの横断検索が使えなかった。LGなどのスマートTVではYouTubeなども含めて映像コンテンツを串刺し検索してくれるので、ハードウェアのApple TV用の、ソフトウェアのApple TVにこそ対応してほしいところだ。

映像の権利関係や日米でテレビ局の方針も異なるので、米国と同じコンテンツやサービスを日本で視聴や利用ができるという期待は捨てたほうがいいが、Apple IDを使ったなんらかのサブスクリプションプランを用意しない限り、先行してサービスを提供しているAmazon PrimeやNetflixに対抗するには険しい道が待っているだろう。

アップルとしても、まずは北米で存在感を高めてから日本を含む各国への展開を考えると思われるので、当面は静観するしかない。

iPhoneやMacもようやく「令和」表示可能に、アップデーター配布

アップルは5月14日、iOSやmacOSのマイナーアップデートを実施した。バージョンはiOSが12.3、macOSが10.14.5となる。このアップデートによる、日本の新元号「令和」の表示が可能になる。

iOSは「設定」アプリの「一般」→「ソフトウェア・アップデート」から、macOSは「システム環境設定」アプリの「ソフトウェア・アップデート」から実行できる。

iOSアップデータの容量はiPhone Xの場合で460MB程度

 

macOSのアップデータは、MacBook Air(2019)の場合で、2.8GB程度

米最高裁での反トラスト訴訟でアップル株が下落

米国時間5月13日、合衆国最高裁判所はiPhoneのユーザーグループがApple(アップル)を反トラスト法違反で訴えていた件で、5対4でユーザーに原告資格を認めると決定した。 ユーザーグループはAppleの独占的地位を不当に利用してApp Storeに30%という高額な手数料を設定し、消費者に転嫁していることが反トラスト法に違反するという訴えを起していた。

これに対してAppleは「消費者はアプリをデベロッパーから購入するのでありAppleは仲介者に過ぎない」として訴えの却下を求めていた。つまり個々のアプリの価格を決めているのはデベロッパーであり、消費者にAppleを訴える資格がないという主張だった。最高裁はこの主張を認めず、Appleは200万種類のiPhoneアプリすべてをApp Storeで販売する契約をデベロッパーと結んでおり、販売の都度30%の手数料を得ていると述べた。

iPhoneユーザーに反トラスト法による訴えの原告資格を認める決定にあたって、最高裁は次のような点も指摘している。すなわち、反トラスト法に違反する経済行動によって被害を受けた者は裁判によって被害回復が図られるべきところ、Appleの申し立てを認めてユーザーの訴えを却下するなら、そうした司法的被害救済を妨げることになる。つまり販売業者が独占的地位を利用して不当な手数料を設定、徴収している場合、結果的に高額の手数料を転嫁されているユーザーも反トラスト法の原告資格があるというものだ。上流のデベロッパーだけに原告資格を認め、下流の消費者に資格を認めないなら、反トラストの遵守にあたって抜け穴を作ることになるとして、ブレット・カバノー最高裁判事が執筆した決定は次のように述べている。

Appleの原告資格の線引きの主張には合理性がなく、単に同種の反トラスト法訴訟を逃れようとするゲリマンダー(恣意的な区分け)に過ぎない。もし販売業者が不当な独占的行動により消費者に競争的価格を上回る価格を強いているなら、その販売業者が上流の製造業者ないし販売業者との間にどのような仕入れ契約を結んでいるかは(原告資格を認めるにあたって)無関係である。

iPhoneのユーザーグループは「AppleはiPhoneのアフターマーケット市場においても独占的地位を得ており、消費者は競争的環境であれば決定されたであろう価格よりも高い価格を押し付けられている」とも主張していた。

つまりApp Storeを代替するサービスが存在するのであれば消費者には選択の余地があるが、事実はApp Store以外にiPhoneアプリの購入方法がないという点だ。またiPhoneユーザーグループは「デベロッパーはAppleの要求するコミッションを前提として価格を決定せざるを得なかった」と述べている。

もちろん反トラスト法におけるこの問題についてはすでに多数判例がある。最近の例ではSpotifyがAppleを訴えたケースだ。ウェブ経由で契約すれば月額9.99ドルだが、iOSを経由するとAppleへの手数料が加算されるため月額12.99ドルとなってしまう。こうした結果が生ずるのはAppleの独占的地位の優越性によるものだというSpotifyの主張に対し、EUも反競争的行動の疑いでAppleに対する調査を準備している

有力デベロッパーの中にもApp Storeでの販売を中止するところが出ている。例えばAmazonは、物品、書籍、音楽、ビデオなどのオンライン販売をウェブ経由に振り向けている。Netflixも昨年12月に30%の手数料、いわゆるApple タックスを避けるためにiOSのアプリ内販売を中止した。Forniteの開発元であるEpic Gamesも手数料を嫌ってGoogle Play Storeの利用を避けた

最高裁の今回の決定にあたって少数意見は1977年のIllinois Brick Co. v. Illinois訴訟の判決を前例として、(原告適格があるのは)アプリのデベロッパーであり消費者ではない」と述べた。つまりデベロッパーが手数料を消費者に転嫁すると決定した場合のみ消費者に被害が生じるのであり、Appleは単なる仲介者に過ぎないというものだ。

Appleの株価は6%近く下落している。


【TC Japan編集部追記】原告資格が認められたことにより、実際に反トラスト法違反があったかどうかの実体審理に移ることになる。多数意見を執筆したブレット・カバノー判事はトランプ大統領による任命だが、今回の決定ではApple寄りの保守派に同調せず自ら多数派意見を書いたことで注目を集めている。反トラスト法の議論は簡単にいえば「AがBに販売し、さらにBがCに販売するという連鎖があった場合でも、Bが独占的地位を利用してCに販売したのであればCはBを訴えることができる」というものだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米国などで新Apple TVアプリが配信開始、Apple TV+の秋ローンチに先行

Apple TVアプリに大きなアップデートがやってきた。セットトップボックスのApple TVのほうではない。Apple TV+のローンチはまだ先だが、今回のアプリのメジャーアップデートは、秋へと向けた準備を整えるものだ。

新バージョンのアプリはiPhoneやiPad、Apple TV、そしてサムスン製スマートTVの2019年モデルのすべて(と2018年モデルの一部)へと本日配信される。これはApple TV+の発表イベントで語られたとおりだ(編集部注:日本では現在のところ「Apple TV」アプリは配信されていない)。

またプレビューでも示唆されたように、アプリの刷新内容は3つのカテゴリにわけられる。Apple TVのチャンネル、iTunesムービーとTVショーのレコメンドシステム、そして子供専用セクションだ。

チャンネルは最も大きな変更点で、これはApple TVをケーブルテレビの配信業者に変化させている。視聴可能なのはHBO、Starz、Showtime、Smithsonian Channel、EPIX、Tastemadeで、将来的にはCBS All-AccessとMTV Hitsの参加が予定されている。

さらに大きな特徴として、番組のダウンロードとオフラインでの視聴が可能だ。つまり、「ゲーム・オブ・スローンズ」のエピソードを長いフライトのためにダウンロードできるのだ。これは、HBOがサードパーティーに同様の機能を提供した初めてのケースだ。Apple(アップル)はダウンロード数の上限を発表していないが、ほとんどのユーザーには問題はないだろう。

購読を申し込むと、Apple IDを利用した最大6個のアカウントに「ファミリー共有」を通じてチャンネルが登場する。

AppleはBooksやMusicのようなアプリと同じく、エディターによるキュレーションを取り入れている。アプリはアルゴリズムと編集者によるキュレーションを組み合わせており、ユーザーがページを最後までスクロールせずとも、何を次に再生するのかを決める手助けをしてくれる。

さらに上記に加え、SamsungやVizio、LG、ソニーのTVセットでも、アプリからのミラーリングによりコンテンツにアクセスできるようになる。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GitHubがパッケージレジストリを提供、主要なパッケージマネージャーと互換性あり

GitHubは米国時間5月10日、GitHub Package Registryを非公開ベータでローンチした。このパッケージ管理サービスによりデベロッパーは、ソースコードと並んでパッケージをパブリックまたはプライベートで発行できる。

ただしそれはnpmやRubyGemsなどのツールと競合するものではない。GitHubのパッケージレジストリサービスはこれらのツールと互換性があり、デベロッパーは自分のパッケージを、コードのときと同じGitHubのインターフェイスを使って発行したり見つけたりできる。このサービスは現在、JavaScript(npm)、Java(Maven)、Ruby(RubyGems)、.NET(NuGet)、およびDockerイメージと互換性があり、他の言語やツールも今後サポートされる。

GitHubのプロダクト管理部長Simina Pasat氏はこう語る。「GitHub Package Registryは広く使われているさまざまなパッケージ管理クライアントと互換性があるので、自分が選んだツールでパッケージを発行できる。タイプの異なる複数のパッケージを、ひとつのレポジトリーに収めることもできる。そしてウェブフックやGitHub Actionsを利用すれば、パッケージの発行と発行後のワークフローを完全にカスタマイズできる」。

企業は社員たちに単一の認証情報を提供して、彼らのコードとパッケージの両方を管理させられる。そしてこの新しい機能により、承認済みのパッケージセットを容易に作れる。また、利用統計をダウンロードでき、GitHub上のパッケージ操作の完全な履歴にもアクセスできる。

オープンソースのパッケージの多くが、すでにGitHubを使ってコードを開発し、その後それをパブリックなレジストリへ発行している。GitHubの主張によると、そんなデベロッパーたちもこれからはGitHub Package Registryを使って、リリース前のバージョンを発表できる。

また、すでにGitHubを利用してプライベートなリポジトリをホストしているデベロッパーも少なくない。要するに、パッケージとコードは同じ場所にあったほうが便利だ。GitHubが今回行ったことは、そのような慣行を公式化してひとつのプロダクトに仕立てたものとも言える。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

特定の企業や人としかファイルを共有できないDocpackのアイデア

Docpackは企業に文書(ドキュメント)をシェアする簡単な方法を提供する。同社の顧客は特に、DropboxやGoogle Driveのようなサービスの利用が禁じられている大企業が多い。

ファウンダーでCEOのRurik Bradbury氏によると、彼がこの問題に気づいたのはLivePersonで会話型アプリを開発していたときだ。LivePersonを使ってるような大企業の多くは、ファイル共有サービスのリンクを受け付けない。そこで、プリントアウトした文書をFedExで送ったり、少なくとも一度は、文書を載せたAndroidタブレットを送ったこともある。

しかもこれは、限られた企業の特殊な問題ではなく、広く蔓延している問題のようだ。ある調査によると、BoxやDropboxやGoogle Driveなどは、エンタープライズのIT部門がブラックリストに載せて、警戒し排除しているアプリケーションの仲間なのだ。

Bradbury氏によると、企業が特に心配しているのが完全な双方向のファイルシェアリングだ。そこで、彼が見つけたそれを回避する方法は、各企業が小さなウェブサイトを共有すべき文書ごとに作ることだ。そこから誰か特定の人や企業だけが文書をダウンロードできる。ITから見ると、それらは単なるふつうのウェブサイトで、社員たちが勝手に文書をシェアし入手することはできない。ゆえに、それならブラックリストには載らない。

大きなDropboxではなく、極小のDropbox、ファイルが1つしか保存できないし、特定の人や企業しかアクセスできないDropboxを、必要に応じいくらでもたくさん作ると考えてもいい。Bradbury氏はそう言う。

ただし、この小さなウェブサイト方式はスケーラブルでない。そこでDocpackは、どんな顧客でも簡単迅速にそれらを作れるようにした。Bradbury氏はこのやり方を、WixやSquarespaceのようなウェブサイトビルダーになぞらえる。技術の全然ない人でもウェブサイトを一瞬で作れるという意味で。

Docpack Screenshot

Docpackのユーザーはほんの数クリックでミニウェブサイトを作ることができ、それに自社のブランド色を持たせたり、文書をアップロードできる。それらの文書は、特定企業のメールのドメインの中の人しかアクセスできない。また、文書をアップロードした者は、それをどこの誰がダウンロードしたか追跡できる。

料金は、スタンダードプランで一人あたり10ドルだ。そもそも会社の仕事は外部との文書共有で動いている部分が大きいから、営業や事業開発、マーケティング、PRなど、いろんな部門でDocpackを便利かつ安全に利用できるだろう。また、特定のジャーナリストたちのための無料アカウントもある。

Bradbury氏によると、Dropboxのようなファイル共有サービスもエンタープライズを意識し始めているが、それは単なる既存のサービスの拡張にすぎないという。これに対し、Docpackが提供するのはあくまでも特定企業間のファイル共有だ。

「それには十分に大きな需要があるはずだ。新しい種類のファイル共有サービスとして、ジャンルが確立してもいいよね」と彼は付け加えた。

画像クレジット: Stock4B

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マイクロソフトは量子コンピュータ用開発ツールをオープンソース化

Microsoft(マイクロソフト)の量子コンピュータは、まだ量子ビットが実際に動作するところまではできていないかもしれない。それでも同社は、将来の量子コンピュータをプログラムするためのツールの開発に熱心に取り組んできた。ここ数年の間に、量子コードを書くためのプログラミング言語Q#、その言語のためのコンパイラ、そして量子シミュレータなどを発表してきた。そして米国時間の5月6日、Microsoftはこれらの成果を今後数カ月のうちにオープンソース化すると発表した

Microsoftによれば、この動きは「量子コンピューティングとアルゴリズムの開発を容易にし、デベロッパーにとって透明なものにする」ことを意図したものだという。さらに、オープンソース化によって、学術機関がこれらのツールを利用するのも容易になるはず。そして、もちろんデベロッパーは、自分たちのコードやアイディアを貢献できるようになるだろう。

当然のことながら、これらのコードはMicrosoftのGitHubページに掲載されることになる。実はMicrosoftのチームは、すでにいくつかのツールや使用例、さらには量子化学計算のサンプルのライブラリをオープンソース化していた。しかし、このプラットフォームのコア部分をオープンソース化するのは初めてのことだ。

「この業界の困難な問題を解決するための当社のアプローチには、新しいタイプのスケーラブルなソフトウェアツールが必要です。Quantum Development Kitが、まさにそれです。私たちの開発プロセスのすべてのステップをサポートしてくれるはずです」と、1QBitの共同創立者兼CEOのAndrew Fursman氏は、今回の発表の中で述べた。「私たちは、先進材料および量子化学の研究を加速する2つの重要なコードサンプルを提供することにワクワクしています。1つはVQE(Variational-Quantum Eigensolver)に関するもの、もう1つはDMET、つまり密度行列埋め込み理論を実証するもので、私たちのQEMISTというプラットフォーム上で動作しています」。

とはいえ、量子コンピュータに関するコードをオープンソース化するのはMicrosoftが最初というわけではない。例えばIBMは、量子コンピュータのプログラムを開発するためのオープンソースフレームワークQiskitを公開している。これにはAerというシミュレータも含まれている。またRigetti Computingも、同社のツールの多くをオープンソース化している。

ちょうど1カ月ほど前、MicrosoftはQuantum Development Kitが10万回以上ダウンロードされたと発表していた。その際には、Jupyter NotebookにQ#プログラミング言語のサポートも提供した。

このようなソフトウェアについての取り組みは、どれも賞賛に値するものながら、Microsoftの量子コンピュータのハードウェアに関する努力はまだ実を結んでいない。同社は量子コンピューティングに関して斬新なアプローチを取っている。それは長期的に見れば、競合他社に対して優位をもたらすかもしれない。しかし短期的には、すでに競合の何社かは、制限があるとは言え、現実の、物理的な量子コンピュータをデベロッパーに提供し始めている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

会話型アプリケーション開発のためのAIプラットホームをCiscoがオープンソース化

通信機器大手のCisco(シスコ)は米国時間5月9日、会話型のAIプラットホームのMindMeldをApache 2.0のライセンスにより、誰もが自由に利用できるように一般公開すると発表した。

MindMeldは、Ciscoが2017年に買収した会話型AIの企業だ。同社はその年の終わりごろに、その技術をCisco Spark Assistantに使用して、ミーティング用ハードウェアで音声コマンドが使えるようにした。当時それは、生まれたばかりの新しい技術だった。

現在、エンタープライズのいろんなユースケースに音声を持ち込む取り組みが至るところで行われており、CiscoはMindMeldのツールセットでデベロッパーにそのための方法を提供している。Ciscoで機械学習のチームを率いているKarthik Raghunathan氏が、ブログでこう書いている。「本日Ciscoは、MindMeld Conversational AI Platformをオープンソースにすることによって、会話型アプリケーションを構築するための総合的で実践的なツールでデベロッパーの能力を高めるための、大きな一歩を踏み出す」。

同時に同社は、デベロッパーにとってそのプラットホームが使いやすくなるための教本、Conversational AI Playbookをリリースする。このステップ・バイ・ステップのガイドブックによりデベロッパーは、会話駆動型アプリケーション開発の、第一歩を踏み出すことができる。Ciscoによると、デベロッパーに力をつけることが最大の目的とのこと。

しかしもちろん、Ciscoの外にいるデベロッパーがこのツールセットを使ってくれることが、同社の最大の関心だ。オープンソースにすれば、Ciscoの顧客やそのほかの企業にいるデベロッパーのコミュニティが、このツールを使ったり、試したり、改良したりしてくれるだろう。それによってプラットホームの開発が早くなり、より広範囲に行われるようになる。Ciscoのような大企業では、全社的な浸透も可能になるだろう。

もちろん、オープンソースにしたらいきなりコミュニティができるわけではない。しかし、音声対応のアプリケーションやシステム製品はその人気が急速に成長しているから、このプラットホームを試してみるデベロッパーが増えることは確実だ。どれだけの人に、より深い関心を持ってもらえるか、それは今後のCiscoの努力次第だ。

Ciscoはこのプラットホームのすべてを、同社のデベロッパーネットワークDevNet上で今日から提供開始する。

関連記事: 音声インターフェースがビジネス向けに進出中

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

教育用ゲームプラットフォームのKahootが数学学習アプリメーカーを約19億8000万円で買収

さまざまなテーマの教育用ゲームを提供している、有名なeラーニングプラットフォームのKahoot(同社は自らを「教育向けNetflix」と表現している)が、初の買収を行った。数学アプリを開発するスタートアップのDragonBoxを、現金と株式の合計1800万ドル(約19億8000万円)で買収したのだ。

KahootのCEO兼共同創業者のアスムンド・フルセス(Åsmund Furuseth)氏は、インタビューの中で、今回の買収は3億7600万ドルだったこれまでのKahootの評価額が、急速に上昇している最中に行われたと語っている。同社の評価額はいまや4億ドルに近付いているのだ。

これはDragonBoxにとっては、比較的好ましいエグジットだ。PitchBookによれば、同社が2012年以降に調達した資金は50万ドル未満であり、主にインキュベータやアクセラレータと関わる中で調達が行われてきた。

計画では、DragonBoxをKahootのラインナップの1つに加えることはもちろん、DragonBoxの既存のビジネスの成長も大きく進めていく予定だ(ちなみにDrogonBoxはKahoot同様にノルウェーにルーツを持っている)。現在DragonBoxは、数百万のユーザーを既にヨーロッパで抱え、K-12(高校まで)の数学カリキュラムを教えるために使っている学校も存在している。だがこれからは、この先中心となる、Kahootのための教育コンテンツの開発も同時に始める。

これまでのKahootプラットフォームは、Kahootによって作成されたコンテンツとユーザーによって作成されたコンテンツ(ユーザーはKahoot上で独自のゲームを開発できる)の両方を組み合わせながら、有機的に成長してきた。このとき同社が対象にしてきたのは、K-12ユーザー(高校生までの生徒)と、研修に用いる企業顧客たちという2つの市場だった。フルセス氏は、DragonBoxを、これらのうちの最初の市場を補完するものと考えている。特に子どもたちが学校で習ってくるものに対して、親の指導の下で家庭で行う補習としての位置付けだ。

それはKahootが既に大きな事業を展開している分野である。フルセス氏によれば、プラットフォーム上で2018年に行われた10億回のゲームプレイのうち、7億回はK-12の学校の教室から、3000万回が企業から、そして残りのおよそ2億7000万回がKahotを家庭で使っている人たちからのアクセスだったということだ。今回の買収は、DragonBoxが良くフィットする、家庭という3番目のセクターにサービスを提供できる、より多くのコンテンツを開発する機会につながることだろう。

「創業初日以来、DragonBoxは数学の学習をより楽しく、そして世界中の子供たちにとって魅力的なものにしてきました。Kahootと共に、さらに数百万人のユーザーに、数学の学習を素晴らしい方法で楽しんでもらえるようにしていきます」と語るのは、数学教師であり、DragonBoxのCEO兼共同創業者のジャン=バプティステ・フィン(Jean-Baptiste Huynh)氏だ。

フルセス氏はさらに、Kahootの有機的な成長を続けるために、さらなる買収を検討していることを付け加えた。教育の世界には自力で成長しようとしている何十もの小さなスタートアップがあるからだ(現在存在している少数の企業ユーザーは狙わない。おそらくその領域に対しては、現行のものとは異なる別種のビジネスを通して成長することを試みるのだろうと筆者は想像している)。

「一般的に、多くのエデュテック企業にとっては、たとえそこそこ成功していたとしても、大量のユーザーを相手にすることは困難です、なぜならノイズを切り捨てることが難しいからです」とフルセス氏はインタビューの中で答えている。「私たちは、現在そして将来にわたって、より多くの学習体験に手を広げることで、私たちのブランドが役立つことができると考えているのです」。

CEOであるフルセス氏の下で、同社は昨年から始められたIgniteという名のアクセラレーター事業でも、そのことを推進しようとしている。それはスタートアップたちの育成を狙うことはもちろんだが、協業したり買収したりするのにふさわしいスタートアップを発見する手段でもあるのだ。

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(翻訳:sako)

スマホ上で作ったコラージュをARにするGoogleのアートツール

Googleのアーツ&カルチャー部門は、世界中のアートや遺跡の保存に加えて、アーティストとコラボしてテクノロジーとアートの統合を実験している。その最新の実験事業である「Weird Cuts」と呼ばれるARアプリが米国時間5月8日夜、同社のデベロッパーカンファレンスであるGoogle I/Oで公式に紹介された。このアプリはコンセプトをアーチストのZach Lieberman氏とMolmol Kuo氏が作り、Googleアーツ&カルチャー部門の協力で開発された。それはまさしく、拡張現実で遊ぶための奇妙だけど楽しいツールで、難しいことは何も考えずに「ARでおかしなコラージュを作る」ことだけを考えればいい。

このような実験は、一見気楽だけど新しいテクノロジーと人間との対話のあり方を理解する手段として有効だ。今は、実用目的のARアプリが多い。部屋の中の家具の配置を検討するとか、ふだん見られないものを接近して見るなど。昨日のGoogle I/Oのキーノートでは後者の例として、大きな白いサメのARが現れた。

でもWeird Cutsは、楽しいものを作ってやろうというクリエイティブな意図しかいらない。

このアプリには、切り抜きモードとコラージュモードという2つのモードがある。

まず、切り抜きモードでは、カメラのファインダーに映るものを何でも、いろんな形に切り抜く。そしてコラージュモードでは、それらの切り抜きをスマートフォンの画面をタップしながら現実の3D空間の中に貼っていく。上の画像は、そうやって作った3つの作例だ。

切り抜いた図形の位置や向きは、指をすべらせて変えられる。回転や大きさの縮小拡大も自由に変更できる。

出来上がった作品は、一種の多次元アート、もしくは単なるナンセンスかもしれない。そこらにあるものを素材にして即興的に作ったアートだ。

このアプリはアーチストたちの作品だが、クレジットはGoogle Arts & Cultureになっている。Google Playで無料でダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google Playがアプリのレーティング方法を変更

2年前、Apple(アップル)はApp Storeのレーティングの仕組みを変更し、アプリをアップデートした時にレーティングをリセットするかどうかをデベロッパーが選べるようにした。Appleはこの機能を慎重に使うことを推奨している。米国時間5月8日、GoogleもPlay Storeのレーティングの仕組みを変更した。しかし、デベロッパーにレーティングをリセットするかどうかを選ばせるのではなく、最近のリリースを優先するようにアプリのレーティングに重み付けをする。

「みなさんから、レーティングは数年前ではなくアプリの今に基づいてほしいと言われ、われわれもそれに同意した」と、Google Play Consoleの責任者でエンジニアリングディレクターのMilena Nikolic氏が、今日のGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスで語った。

Nikolic氏は、Google Playの全Androidアプリについて、近々平均レーティングを再計算すると語った。生涯の累積値ではなく、アプリの平均レーティングは最近のユーザー評価に「重みを付けるように」計算しなおされる。

この改定によって、ユーザーはアプリの現状をひと目でよく見られるようになる。つまり、修正や変更によって体験が改善されてきたことが、レーティングの決定時に織り込まれるようになる。

「開発者の努力と改善が今まで以上に反映されるようになる」とNikolic氏が新しいレーティングの利点を説明した。

ただその一方で、この変更はかつての高品質なアプリがアップデートやバグ修正を行っていない場合、最近の悪い状態がレーティングに反映されてしまう。

この変更がGoogle Play Store SEOにどう影響を与えるかはわからない。現在アプリ検索の結果は、アプリ名、説明文、キーワード、ダウンロード数、レビューおよびレーティングなど複数要素の組み合わせに基づいている。

アプリレーティングの変更は、本日発表された数多くのGoogle Playの変更の中の1つであり、ほかにはダイナミック配信機能、新しいAPI、Google Play Consoleデータの刷新、カスタムリスティング、さらにはPlay Storeのユーザーレビュー用に、Gmailのような「推奨する返信」まで用意されている。

Google Play Storeの一般ユーザーが新たに再計算されたレーティングを見るのは8月になってからだが、デベロッパーは今日からPlay Store Consoleで新しいレーティングを見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのFlutterはmacOSやWindowsも含む真のマルチプラットフォーム対応へ

GoogleのFlutterは、クロスプラットフォーム開発に対応した UIツールキット。登場してからまだ2年しか経っていないが、あっという間に多くのデベロッパーがこぞって採用するフレームワークとなった。ただし、これまでは「クロスプラットフォーム」の意味は、AndroidとiOSにのみ限定されていた。昨年末になってGoogleは、Flutterをモバイル用だけでなくウェブにも拡張すると発表した。そして米国時間5月7日に開催されたGoogle I/Oで、その言葉通り、ウェブ用Flutterのテクニカルプレビュー版を発表した。

さらにGoogleは、Flutterを利用して、macOSWindowsLinuxをターゲットにした開発がもうすぐ可能になることも明らかにした。すでにGoogle自身も、Flutterを利用してGoogle Home Hub(Nest Hubに改名)のユーザー体験を設計し始めているという。それ以外に、さまざまな組み込みデバイス用に活用することも視野に入れている。

「Flutterは、カスタマイズされたユーザー体験を開発するための、美しく、速く、生産的なオープンソースのツールキットです。もともとはモバイル向けとして、基礎的な部分から構築したものです」と、Flutter担当のグループプロダクトマネージャ、Tim Sneath氏は語った。「今回のニュースは、Flutterをモバイル専用という枠から開放し、モバイル、組み込み、さらにデスクトップを含む汎用のポータブルなUIツールキットに昇華させるという、大きな意味を持つものです」。

デフォルトでは、Flutterを利用するアプリはGoogleのDart言語で記述し、そこからJavaScriptにコンパイルすることができる。その点では、Flutterをブラウザ上で利用するのは単純なことのように思われる。しかし、Flutterのエンジンをブラウザ上で製品レベルの品質で動作させるには、それなりの開発作業が必要だった。Sneath氏によれば、Flutterチームは、ブラウザ上でもモバイルとまったく同様に動くようにするため、特に熱心に取り組んだという。それはデベロッパーからも、ユーザーからも、同じように見え、使えるものでなければならなかった。

「大きな課題は、標準的なウェブの機能を利用して、Flutterベースのリッチなユーザー体験を実現し、それをどうやってクライアントに届けるのか、ということでした」と、Sneath氏は説明した。ウェブ上で動かすということは、ユーザーによるウィンドウのサイズ変更のような基本的なことから、キーボードやマウスとのやりとりといったことまでサポートしなければならないことを意味する。

このような要件は、もちろんデスクトップにも当てはまる。ただし、デスクトップ用のコードは、まだ製品レベルには達していない。とはいえ、すでにデベロッパーはデスクトップ版での開発も試せるようになっている。Flutterチームによれば、現状ではmacOS版の完成度が最も高いが、それなりの覚悟があれば、Windows版やLinux版での開発も可能だという。

チームは、Flutterのコードベースを1つに統一したいと考えている。そうすれば、デベロッパーがさまざまに異なるプラットフォームをサポートする際にも、Flutterのフレームワークや、その上で動作するアプリのコードをフォークし直す必要がなくなる。「私たちは、1つのフレームワークですべての環境に対応できるようにしたいと考えています」と、Sneath氏は言う。しかも、一見するとデスクトップアプリに見えるウェブアプリではなく、ネイティブ動作するデスクトップアプリも含めての話だと強調した。

Sneath氏は、New York Timesのパズルアプリのデモを見せてくれた。モバイルとウェブで、見た目も操作感覚も、まったく同じだった。これはFlutterのデベロッパーにとって、理想的なシナリオに違いない。

今回のアップデートで、GoogleはFlutterのコアに、さらにいくつかの新機能を追加した。その中には、iOS用の新しいウィジェット、Googleならではマテリアルデザイン、Dart 2.3のui-as-codeのサポート、といったものが含まれている。さらにFlutterチームは、ML Kit Custom Image Classifier for Flutterも発表した。これを利用すれば、デベロッパーは自分のアプリに画像認識のワークフローを組み込むことができる。「スマホのカメラを使用してトレーニング用のデータを収集することができます。他の人にデータ収集に協力してもらうことも可能です。1つのアプリでモデルのトレーニングをすることも、トレーニング済のモデルを利用することもできます」と、チームは発表した。

今後の展望としては、テキストの選択やコピー、ペーストのサポート強化、プラグインのサポート、PWA(プログレッシブウェブアプリ)といった新技術を標準サポートすることも計画している。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

サーバーレスをモニタするEpsagonがAWS Lambdaオンリーを脱して多極化

イスラエルのEpsagonが昨秋ローンチしたときは、サーバーレスのアーキテクチャの中でも特にAWS Lambdaをモニタする意向だった。しかし自分のレパートリーを狭くすることを嫌った同社は米国時間5月7日、もっと多様なマイクロサービス開発方式をモニタしていくと発表した。

CEOで共同ファウンダーのNitzan Shapira氏によると、ローンチしたときはサーバーレスを対象とし、中でもLambdaが最有力のツールと思えた。彼はこう語る。「当時の弊社のプロダクトはLambdaのエコシステムのためにトレーシングやトラブルシューティング、そしてモニタリングを自動化するツールだった。しかしその後、Lambdaに限定されない大きな変化が市場に生じた」。

その変化は、この種のデプロイメントのもっと幅広い視野への移行で、マイクロサービスが関与する一連の現代的なアプリケーションのすべてをカバーするものだ。デベロッパーがそのような現代的で多極的なアプローチに移行すると、単純なエージェントではモニタリングができない。そしてそれでもデベロッパーは、そんなアプリケーションの内部への可視性を必要とする。

Shapira氏によると、そこで同社はこのタイプのモニタリングツールとしては初めて、トレーシングとロギングを一体化したツールをローンチした。彼曰く、「今日では、エンジニアリングとDevOpsがかつてないほど密接に協働している。そこで、マイクロサービスアプリケーションのトレースの自動化をエージェントを使わずに行い、ひとつのプラットホームでトレーシングとロギングを結びつけることが、極めて重要になってきた」。

彼によると、今後の同社の計画は、このようなオープンなトレーシングが複数のツールや複数のフレームワークに対してデフォルトでできるようになることだ。「今はますます、いろんなフレームワークが使われるから、Lambdaだけでなくそれらをすべてサポートすることが必要なんだ」、と彼は言う。

関連記事: Serverless computing could unleash a new startup ecosystem(新しいスタートアップエコシステムを育てるサーバーレスコンピューティング、未訳)

サーバーレスという言葉は、やや誤称だ。サーバーは依然としてあるけど、デベロッパーがそのサーバー上で起動するプログラムを書くのではなくて、クラウドインフラストラクチャのベンダーが、デベロッパーがコードを動かすために必要とするインフラストラクチャリソースを必要なときに、自動的に提供する。

マイクロサービスはこの考え方を利用して、一枚岩的なアプリケーションを構築する代わりに、アプリケーションを一連の小さなサービスに分割し、通常はそれらをコンテナに収めてローンチする。そしてそれらのコンテナをKubernetesのようなツールがオーケストレーションする。

同社は10月にステルスを脱したばかりでまだ新人だが、すでに米国に営業オフィスを置いて4名が常駐している。技術チームはイスラエルにいる。今社員数は、20名に近い。

Shapira氏は顧客数を公表しないが、今のユーザー数は数百社で、有料ユーザーは毎月倍増しているそうだ。

関連記事: サーバーレスのインフラをモニタするEpsagonがステルスを脱して正式ローンチ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa