注意:ISISツイートをリツイートすると、FBIがやってくるかもしれない

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NY Daily Newsの記事によると、FBIは「リツイート」をはツイートへの「支持」であると解釈しているようだ。すべての場合においてというわけではないのかもしれないが、しかしテロ組織であるISISが関係する場合には、当局の評価が厳し目になるらしい。このことについては以前からも指摘されていた。

下に全文を掲載した9月16日付の裁判所文書によれば、官憲はTwitter上での振る舞いをチェックして、それを拠り所としてクイーンズ群在住のAli Saleh(22歳)の身柄を確保したようだ。

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Salehは2013年より、Twitter上でISISの発言を共有していたのだとのこと。

過激な思想を表現したといっても、1度やほんの数回のツイート(ないしお気に入り登録)により官憲がいきなり逮捕しにやってくることはない。しかし悪い方向に進みつつある人物としてマークされることとなるようだ。FBIはSalehを監視下におき、そしてさらなるリツイートなどの行動により、身柄を拘束するにいたったようだ。

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Twitterのプロフィール欄で「リツイートは支持を表明するものではありません」と記載している人は多いが、FBIはそのように捉えないことがあるということを覚えておいた方が良いだろう。とくにテロ関連については慎重であることが求められている様子。

今回のケースの詳細はまだわからないが、官憲側がツイートの「危険性」を独自に判断しうることが示された事例ということもできるかもしれない。支持しているわけでもなく、むしろ揶揄する意図をもってリツイートした場合にも、当局にマークされるというようなことは起こりえるのだと思う。

Twitterなどの公の場に公開したことは、いろいろな解釈を経て取り上げられることがあるということだ。「テロリスト」になってみたいなどと思う人は、ISISのツイートなどをせっせとリツイートすればのぞみの身分を手に入れることができるかもしれない。

本件について、Twitter社のコメントを要求しているところだ。何か動きがあれば改めてお伝えしたい。

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(翻訳:Maeda, H

地域に根ざしたビデオを匿名でシェアするPanama

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ビデオを扱うことのできるソーシャルネットワークも数多く存在している。しかし「ソーシャル」の面に力点をおき、「コンテンツ」側への意識が薄いものもあるように感じる。

そんな中で勝負しようと出てきたのがPanamaだ。Ochoの共同ファウンダーであるJonathan Swerdlinが、「コンテンツ」を第一に考えるサービスを作ろうと考えて産みだしたものだ。

Panamaでは「地域」に根ざした短いビデオがコンテンツとなる。各「地域」にいる利用者が投稿するものだが、投稿に際しては個人情報を一切必要としないというのが特徴となる。

「Panamaは自分のいる地域のできごとを映し出す鏡のようなものなのです。もちろん他の地域(外国など)にジャンプすることもできます。世界中の人々の心の距離を短くすることができるかもしれません」とSwerdlinは言っている。「皆が、自分のいる場所についての歴史を紡いでいくためのサービスなのです」。

投稿できるビデオは30秒までとなっていて、アプリケーション画面をタッチし続けることで録画・投稿を行うことができる。投稿したビデオは位置ごとに分類され、時系列で表示されるようになる。閲覧者はビデオを見て評価(肯定的および否定的の双方)することができる。

たくさんの肯定的評価を得たビデオは「トレンディング」セクションにまとめられることになる。これは地域に関係なく、まとめて表示されるようになっている。

この「トレンディング」セクションを除けば、基本的には「近所」(Nearby)のビデオが表示されることになる(場所を検索することはできる)。Panamaは現在、公開アプリケーションではあるが、公開前にニューヨークのコンテンツをテスト的に集めている。したがって現在のところはマンハッタンおよびウィリアムズバーグのコンテンツが多くなっている。

利用者はメイン画面から自分の投稿や、あるいは肯定的評価をしたビデオをまとめて閲覧することもできる。

自分でビデオを撮影して投稿する際、実際の音ではなくてBGMを流したいという人もいるだろう。そのような人はストリーミングアプリケーション(SpotifyやPandoraなど)を使うことができる。ビデオ撮影中に音楽を流し続けることで、スマートフォンのマイクがその音楽を拾うようになるのだ。

ビデオ投稿サービスは数多く存在するが、地域に特化して、また投稿者情報を完全に無視するところに新しさがある。

「ログインは無用で、ビデオコンテンツと個人情報が結び付けられることは一切ありません。個人のアイデンティティと結びつけてビデオを投稿する際のプレッシャーから開放されて、ストレートなリアルタイムビデオを投稿できるようになると考えているのです」とSwerdlinは言う。「フォロワーの多寡なども一切関係なく、まったく平等にコンテンツ勝負ができるという魅力もあります」。

もちろん匿名で投稿できるということには悪い面もあるだろう。しかしPanamaはさまざまな仕組みで「不適切」なコンテンツが広まることを防いでいるのだそうだ。

PanamaにはAndroid版とiOS版があり、こちらからダウンロードすることができる。

(訳注:訳者のGalaxy S3ではアプリケーションが異常終了してしまいました。訳者の環境によるものだとは思いますが念の為。iPad版は問題なく動作しています)

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(翻訳:Maeda, H

人工知能で入会審査する学生限定SNS「Lemon」が、社会人も参加可能に

人工知能による審査をクリアした大学生・大学院生のみが入会できるSNS、「Lemon」については2015年5月に紹介したが、今日から参加ユーザーの対象を大学生に加えて一般社会人にまで広げた。

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「毎日、学校や職場の人としか会わない。もっといろんな人と交流したい」、「他の業界の友人を作り世界を広げたい」、「職場に出会いがなく、恋人ができない」といった声に応えるべく業界や学校といった枠を超えた交流ができる、というのがLemonの売りだそう。Lemon上でユーザーは、自分の仕事や活動内容を軸にして掲示板やメッセージのやり取りができる。オフ会などもあり、すでにビジネスパートナーになったとか、友人・恋人になったといったユーザーもいるのだという。プレスリリースから、具体的な声を抜き出すと、

「アフリカをテーマに事業立案したいと考えていたところ、Lemonのおかげで当時アフリカインターン中だった仲間と出会い、ビジコンに出場できました!」(京都大学理学部4年)

「イギリス留学に関しての掲示板がきっかけで、お互いの留学経験についてメッセージするうちによく会うようになり、今は付き合っています」(中央大学4年)

というものがある。ちょっと意識が高めだね。ちょっと甘酸っぱいね。

若い人が集まれば、そりゃ恋の1つも生まれるだろうから、これだけで何かが言える気がしないのだけど、ちょっと面白いのは当初想定していたのと異なる気づきがあったという話だ。親和性が高いユーザー同士でコミュニケーションが発生するのかとおもいきや、案外そうでもなかったという知見が出てきてるという。LIP代表社長の松村有祐氏は、次のように話す。

「審査という点では親和性を軸にしたアルゴリズムで入会審査をやってきました。開始時に話題になったこともあって、すごいプロフィールの方々が集まり、結果として審査通過率は思ったよりも高かったです。一方で定性的観点からみると、ちょっとユーザー層が偏ってしまうという結果が見えました。いろいろと目指す方向になるようにアルゴリズムは随時修正しています。で、そもそも親和性ベースでの審査がどうかという点については、Lemon内のユーザー間のコミュニケーションの発生について分析をしました。結果としては、親和性の高低とコミュニケーションの発生については必ずしも全てに相関があるというわけではなく、ユーザーへのヒアリングを続けたところ、むしろ、親和性が低いというか、あまり接点がないユーザーとの交流を求めている人も多いというインサイトが発見されました。それが今回社会人解禁するにあたって、普段接点のない人たちとの交流を推すことにもつながっています。おすすめユーザー紹介機能やメッセージの送受信などの動向を学習しており、もちろん引き続きもっと良いアルゴリズムの開発に取り組んでいきます」

これはアルゴリズムというよりもコミュニティー運営上の理念みたいなものかもしれないけど、もう1つLemonがユニークなのは、どんどん参加者の顔アイコンを小さくしていっている点だ。もともと松村氏は「顔面偏差値」で出会いの成否が決まることが多い、旧来のデーティング・サイトへのアンチテーゼを掲げて起業している面がある。リアルな出会いでは外見以外の内面がすぐ伝わるので、人柄やコミュニケーションの内容も出会いの成否に影響する。それをオンラインに持ち込むことができれば、よりリアルに近いパートナー探しの場が作れるのではないか、という発想だ。といっても、「最終的には異性との出会いというのもあるとは思いますが、Lemonでは最初からそこまで強い欲求を想定していません」といい、「知らない人とまずオンラインで知り合ってオンラインでお互いの内面を知り深める、そんなコミュニケーションを想定しています。だから、どちらかというとダイレクトな出会いのツールというよりは、Lemonの中でのコミュニケーションを楽しんで欲しいですね」と、松村氏は話している。

コンテンツは何よりも自分のための記録、共有しなくてよいし、特定の人とだけ共有できるソーシャルサービスSpindle

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ソーシャルメディアは人生のとくべつな‘時’を記録するのに適した場所だが、実際には社会的なプレッシャーによって、自分よりも他人の目を気にして、コンテンツを編集したりフィルタしたりしがちだ。

先週ローンチしたSpindleは、ソーシャルな日誌的アプリケーションだが、ユーザがあくまでも自分のためにコンテンツを作り、ついでに友だちと共有することもある、という心理的傾斜を持っている。

Spindleの場合、ユーザが最初に写真やテキストや音を作って自分のタイムラインに載せるまでは、従来のソーシャルメディアと同じだ。

しかしデフォルトの設定では、コンテンツは自分自身としか共有できず、過去の日誌を見られるのも自分だけだ。

Spindleでは多数のオーディエンスやフォロワーが勝手にできていく、ということがないので、ユーザは他人を気にせず、自分の本当の気持をコンテンツに込める/コンテンツで表現することができる。Spindle自身も、ユーザをそう仕向けたいと願っている。

友だちと共有すると、そのコンテンツはその友だちのタイムラインだけに現れる。友だちはそのメッセージを見てから消してもよいし、あるいは自分の日誌に恒久的に保存してもよい。

でもSpindleでは、友だち全員と共有しなくてもよい。というかSpindleは、友だちにする、とか、フォローするというオプションがないことを、従来のソーシャルメディアとは違う特性として打ち出している。誰かと共有したいと思ったら、その人の名前をタイプして彼/彼女のタイムラインへポストする。Facebookなどのような、‘友だち’という人工的で特殊な概念がそもそもない。実際の本当の友だちが、いるならいるだけだ。つまり、その人がSpindleの自分の口座のアドレスブックに載っていれば、コンテンツをポストできる、というだけ。

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Spindleの協同ファウンダAlex WalkerとAmanda Linによると、ソーシャルプラットホーム上に多数のオーディエンスがいるユーザの場合、コンテンツがその人の真正性を失いがちである。逆に、まず自分のためにだけコンテンツを作るよう習慣づければ、ユーザはコンテンツをポストする前に、前もっていろんなことを考えたり、編集したりしなくなるだろう。

Spindleのデザインは絵文字やスケッチやバッジを多用しているが、それらは、ユーザがこのサイトをより積極的に利用するようになると、増える。熱心なユーザは、イースターエッグなどもUIの素材としてもらえる。何よりもまず、自分のための、くつろげる場として利用してほしいのだ。

ソーシャルメディアからフィルタ行為を取り除こうとするBemeのようなアプリケーションもあるが、不完全なコンテンツでもプライベートなタイムラインに保存されるだけだからいいんだよ、と積極的に奨励するソーシャルアプリケーションは、Spindleが初めてだ。

確かに今のソーシャルメディアには、コンテンツの真正性という重大な問題があるから、それを解決する試みとしてSpindleはユニークだ。

Spindleは今のところiOSアプリだけなので、iOSのアプリストアでダウンロードできる。

〔訳注: 新しい、アンチFacebook的ソーシャルメディアとして、Veroなどもある。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プロがプロに尋ねる高度なQ&A/SNSプラットホームWiselikeがシード資金$1.25Mを獲得…GREEも参加

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Web上のQ&Aプラットホームはすでにたくさんあるが、今日(米国時間8/31)は、Q&Aの形式を利用して、質問者、回答者、そして一般読者の三者がもっと高度な情報交換をしよう、という狙いの新進スタートアップWiselikeが、GGV Capital率いるラウンドにより、125万ドルのシード資金を獲得した、と発表した。このラウンドには500 Startupsや日本のGREEなども参加している。

まずWiselike上の回答者は完全招待制なので、回答者になりた人は同社に申し込む。WiselikeがJellyやQuoraのような一般的なQ&Aサイトと違うのは、回答者がWiselikeの上に自分のコンサルティング企業のようなブランドを確立し、知のセレブを核する、一種のソーシャルネットワークがいくつも形成される点だ。質問者の質問も、それがまず一般的に公開されるのではなくて、サイトがもっとも適切と判断したエキスパート回答者へと回送される。

今日(米国時間8/31)のベータローンチで顔を揃えているエキスパートは、Susan Bennett(声優、AppleのSiriの声を担当)、Shanna Peeples(教師、オバマ大統領が選んだ今年の先生賞の受賞者)、Charlie Ayers(シェフ、Google本社の10のカフェをすべて統轄)、Josh Wurman(気象学者、台風ハリケーン専門)、Aaron D. O’Connell(実験物理学者、世界初の量子マシンを作った)だ。

収益化の方法としてWiselikeは、今後蓄積されるコンテンツを有料にすることを考えている。個人対個人で質問をすることが難しい有名人エキスパートからのコンテンツなので、有料でも十分需要がある、と同社は考えている。その料金は、企業がマーケティングや広告のために負担することも、ありえるだろう。ファウンダのKyu Leeは、今後のコンテンツの“稼ぎ力”を信じている。

ただし現状では、Wiselikeの利用は完全に無料で、モバイルアプリも近くローンチする予定だ。

Wiselikeを詳しく知りたい人は、ここへ行ってみよう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、非営利団体向けに「今すぐ寄付」ボタンを提供

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先ほどFacebookは、Our Lady of Perpetual Exemption への寄付を、少しだけ簡単に目立つようにした。

今日(米国時間8/24)Facebookは、あらゆる非営利団体ページおよびリンク広告の行動のきっかけとして、「寄付」ボタンを提供したことを発表した

Facebookの広報担当者がTechCrunchに声明でこう話した:

毎日人々はFacebookを使って、気にかけている大義の認知と支援を募り、他の人々にも同じことをするよう薦めている。このようなつながりがいかに大切かを感じた当社は、Facebookページやリンク広告に、行動のきっかけとなる “Donate Now”[今すぐ寄付]ボタンを追加して、そうしたつながりを今まで以上に作りやすくした。

Facebookが「寄付」ボタンを導入したのは2013年で、米国ガン協会や赤十字等の特定パートナー向けに提供された。非営利団体はこのボタンをページに統合することによって、寄付を募りクレジットカード情報を自分のサイト内に保存できる。

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どうやらFacebookは、この寄付ボタンを特定のパートナー以外の団体に開放するに当たって、手続きを少々面倒にしたようだ。おそらくこれは、評判のよくない大義のために寄付が行われることを避けるためと思われる。

非営利団体のページで「今すぐ寄付」ボタンを押すと、その団体が「Facebookが支持あるいは関係するものではない」ことを示す警告がまず表示され、その後外部サイトへ飛んで寄付を完了できる。

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支払い機能を内蔵していないため、このボタンは事実上単なる「行動要請」リンクであるが、こうした団体にとって宣伝価値があることは間違いない。しかし実際のところ、これは寄付手続きにクリックを加えただけであり、Facebookはこの大義を支持しないという警告が表示され、突然新たなブラウザーウィンドウに連れていかれることになる。

これは非営利団体にとって価値あるツールに違いないが、ユーザーを外部サイトに追いやることは、Facebookページをユーザーが情報を求めてやってくる組織の中心地として位置づけようとしている、最近のFacebookの取り組みとは、およそ相応れない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、Googleマップに食べ物写真を直接アップロードする機能をテスト運用中

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FoodspottingForklyといった、食べ物の写真を投稿する専用のサービスというのは流行らなくなっているようだ(もちろん、依然として便利に使っているという人もいるにはいるだろう)。しかし、レストランなどで食べ物の写真を撮るという行為自体は、廃れるどころかますます一般的になりつつあるように思う。Googleはこの流行を積極的に活用していくために、Googleマップと連携させることを考えついたらしい。Googleマップに食べ物の写真を直接にアップロードしてもらって、見る人と共有しようという仕組みだ。

この機能については、まずAndroid Policeが記事にしていた。そちらの記事にもあるように、Googleはこれまでも利用者の食べ物写真を活用する方法を探ってきていた。今年の初めにはGoogle+における食べ物写真投稿サービスであるTablescapeを閉鎖した。その閉鎖の際にも「食べ物写真を扱う新たなサービスについて考えていきたい」と述べていた。機会を改めて新たなサービスを提供するつもりであると語っていたのだった。

そして食べ物写真をGoogleマップに投稿できるようになったわけだが、Tablescape同様に、まずはGoogleのLocal Guidesプログラムに参加している人に対して提供されることとなった。

このプログラムはGoogleがYelp Eliteに対抗して始めたもので、レストランやバーなどの商業施設について優れたレビューを書いた人にさまざまな特典を付与してて報いるためのものだ。プログラムに参加しただけではさまざまな情報が記されたニュースレターを受け取ることができるだけだが、積極的に関われば関わるほど、多くの特典を得ることがでできるようになる。すなわち特別なイベントに招待されたり、あるいはレビューがソーシャルメディアで紹介されたり、あるいはギフトを受け取ることなどができるのだ。

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Android Policeの記事によれば、食べ物写真の投稿は、Local Guidesプログラムの中で「Level 3」に達している人のみが行えるようになっているそうだ。「Level 3」を獲得するには、少なくとも50本のレビューを投稿する必要がある。「Level 3」の利用者が写真を撮影し、Googleが食べ物写真であると判断した場合には、ショップ情報に結びつけて写真をアップロードすることを促される。

Local Guidesプログラムに参加する利用者からの上質写真を多く集めることで、Googleは素早くかつ簡単に、検索者に役立つ情報を充実させることができるわけだ。もちろん、Yelpなどのライバルサービスとの闘いを有意に進めたい狙いもある。

これまでにも、Googleマップでは商業施設のオーナーないし客からの写真アップロードができるようにはなっていた。しかしLocal Guidesに参加している、より積極的な利用者層にアップロードを促すことにより、一層の活性化を狙っているわけだ。

さらにGoogleはこれ以外にも、レストランと利用者の間を積極的にとりもとうとするサービスを展開してきている。たとえば、5月にはSeamless、Grubhub、Eat24、Delivery.com、BeyondMenuなどのサービスと提携し、検索結果からダイレクトに食べ物をオーダーできるような仕組みも取り入れている。

ちなみに、Android Policeの記事には、写真の投稿を促すメッセージをオプトアウトするための情報も掲載されている。Googleマップは、Local Guidesに参加していない人に対しても乗換駅での電車運行状況を送ってくる。そうした通知の一環として写真のアップロードを促す通知も送られてくるようになっている。そうした通知の一切をこちらのページの指示に従ってオンオフの設定ができるようになっている。

なお、写真アップロードを促す通知は「Location History」がオンになっている場合にのみ行われるようになっている。「Location Hisotry」とは、Googleマップに「タイムライン」というメニューが加わり、過去に訪問した場所を表示することができるようにしたものだ。こちらはこちらで、反対する声などもあって話題になっているサービスだ。

(Image credits: Android Police)

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(翻訳:Maeda, H

一過性 vs 永続的メッセージング:問題は保存期間ではない

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昨今のショートメッセージング・サービスの戦いを観察している人は、これをチャット履歴をすべて保存するTwitterやFacebookのようなシステムと、いわゆる消滅型メッセンジャー ― 例えばSnaptchat ― のように読んだメッセージが消えてしまうシステムとの一元的戦いだと思うかもしれない。

新たに登場するアプリケーションは、それぞれ時間軸のゼロと無限大の間のどこかに位置付けられる。チャットシステムは挙って消滅機能を追加し、エンタープライズ向けメールシステムは、メールの賞味期限や「情報ライフサイクル管理」にまつわる機能を追加する。残る疑問は、果たして本当に問題なのは保存期間なのかである。

一過性コミュニケーションの想定される用途の殆どはよくてわいせつ目的だ。Snapchatの人気は、反道徳的写真を見つからずにシェアできることがティーンエージャーにアピールしたことに支えられている。Mark CubanがCyberDustに投資する前、SEC(証券取引委員会)が彼のソーシャルメディア記録にインサイダー取引の証拠がないか探したことはよく知られている。

これらの会社の中で、自社サービスが何らかの社会貢献をしていると主張するところはまだいない。一時期大きく飛躍しながら今は消えてしまったSecretのファウンダーたちが学んだこと、それは社会的貢献の欠如は、主流サービスとして受け入れられるためには致命的だということだった。

一方、揮発性メッセージングが自分たちの違法を疑われる行為を守ってくれると考えたり、こうしたシステムが違法行為を誘発することを心配する人々も本質を見失っている。他の何よりも一過性のメッセージングシステムを思い出してほしい:電話だ。

それは生成されるそばからリアルタイムで消費される。自分の端末がしゃべり、誰かの端末が聞くオンラインコミュニケーションは、どれも同じ制約を持つ。世界中のビンラデンたちはSnapchatではなく密偵を使う ― 英国議会がどう言おうとも。

他の何よりも一過性のメッセージング、それは電話だ。

一過性メッセージングに対する肯定的欲求の多くは、異なる文脈の会話が一ところに集まれる気楽さにある。ゲイの権利を支持する個人掲示板に書いたコメントが追跡され、カトリック学校の人気教師であるとわかって職を奪われることがあるかもしれない。解決策はメッセージが消えることではなく、そもそも個人情報を保存しすぎないことだ。

この手のアプリに対する欲求は、現在のオンラインソーシャルコミュニケーションの不自然な状態に起因している。実生活ではあらゆるコミュニケーションが何らかの文脈に沿って起きていて、人々はその文脈の中では限定的な自分しか見せない。

クラスを教えている時、私は教師の資格を使っている。レストランのレビューを書く時、私は自分がよく外食するという事実を公表したがっている。政治について語る時、私が自由主義か保守的かを知ることには意味がある。今の主要なソーシャルネットワークに欠けているのは、オンラインコミュニケーションで、必要十分な〈部分的アイデンティティー〉を活用する手段だ。

有名人やブランドを別にして、あらゆる会話の中で個人を全部さらけ出すことの利益は殆どない。私がITゴシップを流す時は、読者にとって私がハイテク企業のCEOであることを知る方が、私の本名や全対話履歴を知るよりもずっと役に立つ。

最近Amazonで買った商品のレビューを書いている時、私の専門的経歴は無関係だ。個人を特定できる情報を保存する理想的な方法は、そもそも集めないことだ。

では、個人情報の集約が役に立たないのなら、なぜソーシャルネットワークは挙ってそれを強調するのか、という疑問が残る。それは、彼らのビジネスが効果的コミュニケーションを可能にすることではないからだ。彼らの本当のビジネスは、ユーザーの個人情報を集め、最高値をつけた入札者に売ることだ。彼らの顧客は広告主であり、サービスを使う人々ではない。

幸いなことに、ソーシャルプラットフォームの新たな選択肢が出現しつつあり、そこでは個人情報を集約して友達やフォロワーのリストを作ることなく、意味のある情報を得ることができる。数ある事実の検証された部分だけを使うことによって、ユーザーは個人をすべて曝け出すよりも強くなれる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Veroは“友だち”の概念をリアルに現実的にしたいと志向するアンチFacebookの新型SNS

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Facebook、Twitterなどの巨大帝国を向こうに回して、本当のソーシャルネットワークが作られるのはむしろこれからだ、と信ずる人たちがいる。そういう人の一人が作ったVeroは、人と人とのリアルな関係を重視しようとする。

ソーシャルメディアとしてのVeroでは、ユーザ同士がふつうに映画や音楽や写真などなどを共有できる。その点は、ふつうだ。ひと味違うのは、その共有をめぐるプライバシーのあり方だ。

ユーザに複雑でわかりづらいコントロールを与えるのではなく、Veroではコンテンツをさまざまなグループと共有できる…親しい友だち、ふつうの友だち、知人、などなど。彼らもコンテンツをポストでき、それを完全にプライベートに保(たも)てる。

協同ファウンダでCEOのAyman Haririは言う、“プライバシーを、分かりやすいものにしたかった。1000個のノブを調節しなくても、よいように”。

彼の話を聞いていると、初期のGoogle+を思い出す。そこでは、やはりユーザが、友だちや知人等々のさまざまな“サークル”とコネクションした。そのGoogle+は今や、Google本体の中で徐々に落ち目のようだ

Haririは、Googleのサークルは複雑すぎた、と一蹴する。ユーザはサークルを無限に多く作れるから、しまいにはユーザは、巨大な迷いの中に放置されるのだ。しかも、それらのサークルのひとつひとつを、思い出すのも難行苦行になる。混乱は深まる。

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Veroには共有のレベルが4つあるだけで、しかもそれらは“同心円”だ、とHaririは言う。外側の円ほど、プライバシーがゆるい。「ふつうの友だち」と共有したら、自動的に「親しい友だち」とも共有されるし、「知人」と共有したら「友だち全員」とも共有される。それらの関係は、Veroのスライダーにわかりやすく表示され、ユーザは一人一人のプライバシーのレベルを設定、あるいは調節できる。

こういうプライバシーのコントロールはかなり新しいが、機能はほかにもある。ユーザは好きなコンテンツのコレクションを作ってシェアできる。シェアしているとき、ボタンを押して特定の映画などをボタンで“こいつはいいよ”とリコメンドできる。またそのコンテンツを話題にしてチャットを開始できる。

モバイルのソーシャルネットワーキングアプリは、写真とかビデオとかメッセージングとか、特定のメディアに限定して成功しているものが多い。今ではFacebookすら、その路線だ

Haririはその傾向に関して、“たしかにモバイル上では単純なのが好まれるけど、そんなことよりも、人間が求めているのは、そこに自分の気持がどうしても行ってしまう何かだ。日常、人間は単に、画像をシェアしたいと思っているわけではない”。

彼は、広告なしを維持したい、という意思も強調した。企業もこのネットワークに参加できるが、扱いは個人ユーザと何ら変わらない。企業のコンテンツも、ユーザが見たいと思えば見るだろう。マネタイズの方法としては、無料利用で1年経ったユーザに、何らかの有料サービスを勧誘したい、という。その具体案は、これからのようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

老兵は死なず、ただ消え行くのみ―Google、全プロダクトでGoogle+ユーザープロフィールの利用を中止へ

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Google+がGoogleが期待したようには成長しなかったことはしばらく前から明白になっている。Googleは最近、写真共有機能をGoogle+から分離したが、さらにGoogle+のユーザー・プロフィールをGoogleアカウント全体で利用することも止める計画だという

GoogleがGoogle+をスタートさせた狙いの一つは、Google+のユーザー・プロフィールをGoogleのあらゆるサービスで利用することにあった。しかしこのアイディアはユーザーには人気がなく、ストリーム、写真、共有担当副社長のBradley Horowitzは今朝(米国時間7/26)のブログでその点を認め、Google+のユーザー・プロフィールの利用を中止する考えを次のように述べた

「一つのアカウントだけでGoogleのあらゆるサービスにアクセスできるのは大変便利だと多くのユーザーに好評だ。しかしGoogle+のプロフィールをあらゆるGoogleのプロダクトで使うのは理にかなっていないと考えるユーザーも多いことにわれわれは気づいた。」

Google+のプロフィール利用が中止される最初のサービスはYouTubeだ。 Googleは2013年にコメントのトロル対策としてYouTubeにコメントを投稿する際にGoogle+ のアカウントを使うことを義務付けたが、ユーザーには不評だった。数ヶ月後にはYouTubeへのアップロード、コメント投稿などにGoogle+のアカウントは必要なくなる。現在Google+アカウントとYouTubeアカウントをリンクさせているユーザーは、将来はGoogle+のプロフィールをYouTubeから削除できるようになるという。

HorowitzはGoogle+の機能を本来のソーシャル・ネットワークの分野に絞り込んでいくと述べた。GooglはGoogle+を運営する意欲を失ってはいないが、今後は「共通の関心を抱く人々の交流の場」に特化される。GoogleはGoogle+についてコレクションや位置情報の共有、ハングアウトのようなコミュニケーション・ツールに重点を移していくことになるようだ。

Google+の生みの親、Vic Gundotraが去った後、Google+はわれわれのAlexia TsotsisとMatthew Panzarinoが昨年書いたように、ウォーキング・デッド状態だった

今日の発表で、Google+は今後も生き続けると分かったが、Horowitzの「機能をSNSに特化していく」という主張にもかかわらず、GoogleはGoogle+を徐々に引退させていくつもりなのではないかと考えざるをえない。Google+から、その最大の特長であった写真共有機能がすでに分離されている。Googleのすべてのプロダクトへのユーザー・プロフィールの提供機能も失った今は、Google+は「共通の関心」をベースにした平凡なソーシャルネットワークにすぎないものに縮小した。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Twitter、パクツイ対策に新たな動き?

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Twitterにジョークを投稿したりしたことがあるだろうか。あるとすれば、投稿したそのジョークは全くのオリジナルのものだったろうか。あるいはTwitter上で見かけたツイートを、元投稿者のクレジットもなく拝借したものだろうか。

もし後者であれば、あなたのツイートは著作権法に触れるものとしてブロックされてしまう可能性がある。元の投稿をした人が、Twitterに著作権法違反の旨を報告すると、そのツイートを拝借してしまった人の発言が読めなくされてしまうようなのだ。

この件を報じたのはVergeだ。@PlagiarismisbadというTwitterユーザーが、Olga Lexell (@runolgarun)が投稿したジョークについて、無断でツイートを再投稿しているツイートのブロックが行われていることに気づいたのだ。

人のツイートを盗用することについて「著作権法」を持ちだしてくるのは、少々新しい動きかもしれない。もちろんTwitter上でも言及されているように、これまでにも同様の説明により、ツイートが削除されるようなケースはあった。たとえば2年前の下の発言のような例もある。

Twitterが140文字の中で展開されるジョークについて、積極的に保護しようとポリシーを変更したのかどうか、まだ詳細なことはわからない。投稿したコンテンツが著作権法の保護に値すると考え、Twitterに対して盗用禁止の申し立てを行い、その対応のために一時的に削除したものが人目につき話題になったということなのかもしれない。

アメリカの著作権法では、短い文言については著作権を認めないこともある(商標権の問題として扱われることが多い)。その流れでいえば、140文字のツイートを著作権保護の対象とすることは、従来の法解釈の拡大であるということになるかもしれない。ただしTwitter上のルールが法律と完全に合致していなければならないわけでもなく、自らのプラットフォーム上でのルールを独自の用語で定義して用いることもできる。

Twitterのスポークスパーソンは、個別のツイートについてのコメントすることは差し控えるとのことだった。コメントの代わりに「著作権とDMCAに関するポリシー」を示してくれた。このポリシーを見てみると、写真やビデオ、ないし外部メディアへのリンクなどを主な保護対象として想定しているようで、ツイートされたジョークについての言及はなかった。しかし、ツイートの盗用により著作権を侵害されたと考える人がいれば、Twitterに報告するみちは用意されているということだ。

@runolgarunは現在、自らのアカウントを非公開設定としている。しかしVergeによるとTwitterに投稿したジョークを盗用された旨、Twitter側に報告は行ったともツイートしていたとのことだ。彼女はプロのライターであり、面白い話を作ることで生計を立てているのだとのこと。Twitterを、制作したジョークのテスト場所にも使っているのだそうだ。また、以前にも著作権侵害についてTwitterへの申し立てを行ったことがあるとも言っている。オリジナルの投稿に言及しない、著作権法的に問題がありそうな行為は、スパムボットによって日常的に繰り返されているのだとも話している。

Twitterは最近、自社プラットフォーム上を流れるコンテンツをコントロールしようとする意志を強めつつあるようにみえる。たとえば攻撃的・暴力的なツイートに対する対応を進めていたりもする。これはIPO以前の初期段階に、Biz Stoneが「徹底的フリースピーチ」の立場にたっていたのとは好対照な状況であると言えるかもしれない。当時は「ツイートは広めてこそ意味がある」(tweets must flow)として、可能な限り発言の制限(削除)はしないようにしたいとの立場をとっていた。

知的所有権法の観点からツイートを見えないようにするというのは、もちろん「気に入らない発言を削除する」というのは大いに異なる。ただし、今回の件についても、利用者増およびメインストリーム層の獲得をねらうツイッターが、徐々にその立ち位置を変え始めている一例となっているのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

Twitter、ユーザーがアップロードした背景画像を削除―広告掲載の準備か?

2015-07-22-twitterhome

Screen Shot 2015-07-20 at 7.03.10 PMTwitterはユーザーに自由に背景を選ばせていた。ボスの顔写真を貼ることもできた。今日までは。

特に発表はなかったにもかかわらず、もはやTwitterの背景をユーザーがカスタマイズすることはできなくなった。われわれがTwitterに「どうしたんだ?」と問い合わせたところ、広報担当からこういう答えが返ってきた。

われわれはすべてのユーザーのウェブのプロフィール・ページとホーム・タイムラインから背景画像を取り除きました。現在背景画像が有効なのは Tweetページリスト・ページコレクション・ページだけです。デザインのカスタマイズについてはヘルプセンターのこちらを参照してください。

おやおや、クールになったわい。

Screen Shot 2015-07-20 at 6.37.26 PM

こういう変更が行われた理由は公式には一切明らかにされていない。私が耳にした一つの噂は、Twitterは広告の表示に対するコントロールを強めたがっているというものだ。そこでもしTwitterがユーザーの背景に全面広告を掲載したいとしよう。これまでは不可能だった。そこにはユーザーがアップロードした画像が表示されているからだ。

そこでユーザーがカスタマイズした背景をすべて削除した…という推測だ。

Twitterユーザーはホームとタイムラインを一時のMySpaceを思い出させるような派手さで飾り立ててきた。MySpaceがあれほど人気を得た大きな理由の一つはプロフィール・ページをいくらでも自由にカスタマイズできるからだった。しかしそのことがデザイナーと広告主を苛立たせた。同じような状況がTwitterにも起きているのかもしれない。

Twitterのユーザーはこの突然の変更に驚き、不満の声を上げている

混乱に輪をかけているのが、背景色をカスタマイズできるオプションが表示されるにもかかわらず、正常に機能しないことだ。.

私は背景色をオレンジ色にしてみた(Twitter全体が白一色になってしまった中で非常に目立つ)。

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ところがオレンジに設定後、数回クリックしていると元の白に戻ってしまう。非常に奇妙なユーザー体験だ。

〔日本版〕訳者の環境でも背景色設定はしばらく保存されるが、ページを閉じて再度開くと白に戻っている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

女の子たちがプログラミングで遊ぶ仲良しブレスレットJewelbots

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先週Kickstarterに登場したプログラマブルな仲良しブレスレット(friendship bracelet)Jewelbotsは、プレティーン(pre-teen, 9-12歳)の女の子にプログラミングで遊んでもらうことが、コンセプトだ。

Jewelbotsは目標額の3万ドルを最初の19時間で突破した。これまでの5日間で額は7万ドルを超え、支援者は800名近くになったが、締め切りまであと25日ある。

Jewelbotsの協同ファウンダSarah Chippsはこう言う、“MySpaceが女の子たちに人気だったころは、HTMLやCSSを知ってることがクールだった。今の子はMinecraftなんかが好きだから、自分で好きなものを作りたいと思ったらJavaね。Jewelbotsは、それをもっと簡単にしたいの”。

この仲良しブレスレットはご覧のようにかなり単純で、LEDライトとボタンがある。自分のと友だちのとが“仲良しペア”になるためにはJewelbotsアプリを使う。電池は一回充電すると3日もつ。

異なる友だちグループはブレスレットの色で指定する(決める)。たとえば青のグループの友だちが近くにいたら、青のブレスレットのLEDが点灯する。そしてお互いが、振動(バイブレーション)の列の暗号で“秘密のメッセージ”を伝える。

たとえばスマートフォンの使用を禁じられている教室で、友だちのメアリーに“ブッブッ”という短いバイブを送ると、この授業終わったら会おうね、という意味になる。

ブレスレットはそのままでも十分使えるが、ArduinoのIDEを使ってプログラミングするとオリジナルのメッセージを作れる。好きな男の子からFacebookにメッセージが来たら、“ぶー”一回で青の点滅、とか、ママからテキストが来たら“ぶっぶっぶっ”で赤点滅、とか。

ただし、Chippsもすでに認めているが、このような、友だちのグループ化は、仲間はずれのようないじめに結果するおそれがある。インターネットをいじめのないコミュニティにすることが、根本的な課題だ、と彼女も言う。

“9歳から14歳ぐらいの女の子200名に話を聞いたけど、みな異口同音に、友だち関係がいちばん重要、と言うわね。とくに重要なのが、自分たちの仲間に誰が入ってくるか、自分がどんな子たちの仲間に入るか、ということなのよ”、とChippsは語る。

ブレスレットは一つ65ドル、発売は2016年の春だ。

Jewelbotsは今、ネットワーキングを信号の弱い携帯電話のセルネットワークに頼らないようにするために、ウェアラブルのためのメッシュネットワークの構築に挑戦している。 また、ティーンのためのそのほかの教育的ウェアラブルの開発にも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

inbound insightはSNSの情報をもとに訪日外国人の行動データを可視化する

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2020年に開催される東京オリンピック。その需要を想定した新事業や新サービスが次々にスタートしている。昨日のニュースだけを見ても、楽天がVoyaginを買収してインバウンド(訪日旅行者向け事業)を強化するとしているし、MAU(月間アクティブユーザー数)1000万人という数字を発表したRettyも、訪日外国人満足度ナンバーワンのサービスを目指すと語っている

今日もそんなオリンピック需要を見越した新サービスを紹介する。ナイトレイは7月3日、訪日外国人の行動データ可視化ツールとデータを提供する「inbound insight(インバウンドインサイト)」の提供を開始した。

ナイトレイはこれまで、場所や店舗の情報に特化したソーシャルメディア解析エンジン「T-Rexa(トレクサ)」を提供するなど、3年以上にわたりSNSのデータを元にした位置・移動・行動データ解析を行ってきた。

今回のサービス提供にあたり、言語判定や国籍判定、入出国判定などを常時解析する技術を新たに開発。これにより、訪日外国人が観光をする際の行動データについて可視化が可能になったのだという。

行動データの解析対象となるのは、Twitterや新浪微博などのSNSのうち、一般公開されているユーザ投稿の情報。投稿内容から地名やランドマーク名や、緯度経度の情報などをもとに位置を特定する。現在1カ月あたり約6500人の訪日外国人旅行者のデータ解析を実現しているという。

inbound insightは、ブラウザから利用できる行動データ可視化ツールと解析データ購入プランの2つのサービスを提供。ツールには無料プランと月額10万円のPROプランの2つのプランを用意する。

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無料プランでは、地図上でのヒートマップ表示、人気エリアランキング表示、行動データのグラフ化が可能。PROプランではこれに加えて、地図上での行動ルート表示、国籍判定(中国、香港、台湾、韓国、タイ)、性別判定(中国、台湾、香港)、ポイントデータ表示、クチコミ詳細内容表示、投稿写真表示の機能が提供される。

また解析データ購入プランは1カ月のデータで50万円となっている。投稿日時、緯度経度、住所、プレイス名、ユーザID、性別、推定国籍、投稿テキスト、投稿画像URLなど、必要な期間の解析結果をCSV形式で提供する。

ナイトレイでは訪日外国人の誘致を進める官公庁や観光業、ホテル業、商業施設、商店街等に向けて導入提案を進める。2015 年末までに行動データ可視化ツールを100社、解析データ購入プランを20社に導入することを目指す。

ザッカーバーグ、公開Q&Aで人工知能利用の成果、幸福、科学、コミュニケーションの未来について語る

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Facebookの人工知能ラボが開発した人口知能はユーザーが共有する記事の内容を正しく判断し、その記事に興味を持ちそうな他のユーザーを探すのに役立っているのだという。昨日(米国時間6/30)行われた、Facebookページ上の公開Q&A セッションでCEOのマーク・ザッカーバーグはFacebookがAIに巨額の資金を投じている理由を詳しく説明した。また幸福、科学、Facebookの将来などさまざまな質問に対して考えを述べた。

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2013年にFacebookはニューヨーク大学からディープ・ラーニングのトップクラスの研究者であるYann LeCun教授をスカウトし、ニューヨークに新設した人口知能ラボの責任者に据えた。その後Facebookはメンローパークの本社キャンパスに、また最近はパリにも人工知能ラボを開設している。

しかしこれまでFacebookはこうした人工知能研究が具体的にどう利用されているかについては「ニュースフィードの質を改善するため」という以上に詳しく語ってこなかった。F8カンファレンスで認知テクノロジーのバックエンドでの利用こ触れられたことがあるが、全体として秘密主義が強かった。

しかし今回のQ&Aではもう少し踏み込んだ説明がなされた。「FacebookのAI利用についてもっと知りたい」という質問に対してザッカーバーグは次のように答えた

AI研究の重点はユーザーが共有するコンテンツの意味分析だ。

たとえば、ユーザーが友達が写っている写真を撮ったて投稿する場合、その写真が友達の目に触れるようにしたいだろう。ユーザーが犬とか政治とかの話題について投稿したら、それぞれ犬や政治が好きなユーザーの興味を引く可能性が高いだろう。

投稿をそれぞれ適切なユーザーに対して表示するAIシステムを構築するのがわれわれの目標だ。このシステムは写真や音声などを対象に、視覚や聴覚など五感を通じた認識でも人間以上に正確な判断ができなければならない。

たとえば視覚の場合、われわれは写真やビデオに写っている内容をすべて認識できるシステムを開発中だ。人間が写っていればそれが誰であるか、また風景やさまざまな対象物についても認識できるシステムだ。こうした人工知能は単に写っている内容を判断するだけでなく、それがどのようなコンテキストで撮影されたのかも推測できなければならない。

聴覚と言語の分野では、発言を文字に書き起こし、言語から別の言語に翻訳するシステムの開発に力を入れている。またさまざまな自然言語による質問を正しく認識して答えられるシステムも開発している。

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ザッカーバーグの発言はFacebookの言語テクノロジー・グループの秘密のベールを少しだけ上げることになった。Facebookはこの部門の拡充を密かに続けており、今年に入ってY Combinator出身のスタートアップで、アプリに音声認識インターフェイスを追加するためのAPIを提供するWit.AIを買収している。またFacebookはユーザーが録音したボイス・メッセージをテキストに変換して相手に伝える機能のテストを始めている

音声のテキストへの変換と自動翻訳のテクノロジーは「世界中の人々をつなげる」という Facebookの壮大な使命を実現する上で重要なステップになる。言語の壁が低くなれば世界のあらゆる場所のさまざまな文化的背景を持つ人々の交流をさらに促すことになるだろう。

その他のQ&A

今回ザッカーバーグはさまざまな質問に答えているが、そのうちのいくつかを紹介する。強調は私が付けたものだ。

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幸福

あなたにとって幸福とは何か?という質問にはこう答えた。

私にとって幸福とは人々の役に立つような意味のある仕事ができたときだ。なぜなら私が愛する人々は私にとってかけがえのない重要な存在だからだ。…毎日幸福でいるのは不可能だろう。しかし人々を助ける意味のある仕事を毎日していくことは可能だろう。

科学

「どんな科学上の問題に一番興味があるか? またその理由は?」というスティーブン・ホーキング博士からの質問にはこう答えた。

私は人間自身に関連する問題に興味がある。われわれは不老長寿を達成できるだろうか? すべての病気は治療可能だろうか? 頭脳の働く仕組みは? 脳内で学習はどう行われているのだろう? 学習の効率を今の100万倍に高めることは可能だろうか? 

私はまた 人間の社会的行動の原理となり、人間の振る舞いを律する根本的な数学的法則が存在するかどうかにも強い興味がある。私はそういう法則が存在すると信じている。

健康

ターミネーターにして元カリフォルニア州知事、アーノルド・シュワルツェネッガーはこう質問した。「ローマ法王やアメリカ大統領だってエクササイズの時間を見つけているのだから忙しくてエクササイズができないなどという言い訳は通らない。マーク、きみはビジネス・パーソンや若者に対してローマ法王よりずっと影響力がありそうだ。どんなエクササイズをしているか教えてもらないか? あとロボットは最後に勝利しそうかね?」

なにをするにも身体のエネルギーが必要だ。しっかり体力をつけていればそれだけ多くのエネルギーが使える。.

私は少なくとも週に3回はエクササイズをしている。だいたいは朝起きてすぐだ。時間があればウチの犬と一緒に走る。ウチの犬が走るのはモップが走っているみたいなので楽しい。

あと、ノー、ロボットは勝利しません :)

Facebookの将来

Facebookは次に何をするのか?という質問にザッカーバーグはこう答えた。

人類のコミュニケーションにはいくつかの重要な側面で改善に向かっていると考えたい。

第一に、Facebookの情報共有能力は日増しに深く、広くなっている。当初われわれはテキストしか共有できなかった。しかし今や共有の主力は写真だ。将来はビデオの重要性が写真より大きくなるだろう。 その後は、バーチャルリアリティーのような没入的コミュニケーションが普及するだろう。 最終的にはあらゆる場所にいる人々が五感すべてを共有できるようになるはずだ。

第二に、コミュニケーションの頻度が大幅にアップしていいる。昔、わわれのコミュニケーションは対面が主役だった。その後コミュニケーションのツールとしてコンピュータが登場した。当初はデスクトップに置かれるかさばった機械だったが、やがてどこへでも持って歩けるようになった。今やわれわれのポケットには信じがたいほどのコンピューティング・パワーを秘めたデバイスが入ってる。それでもわれわれは間欠的にしかコミュニケーションしていない。将来は、 常時装着可能な拡張現実その他のデバイスの助けを借りて、一日の大半を連続的に他者とコミュニケーションして過ごすようになると考えている。

いつかやがて、われわれはテクノロジーを用いて思考や感情を直接相互にやりとりできるようになる日が来ると思う。私が何かを考えると、それが即座に友達に体験として伝わるわけだ。これがコミュニケーションの最終的な発展形態だろう。

コミュニケーションと共有のツールが改善されるにつれてわれわれの生活も改善されてきた。わらわれは他者と以前よりずっと豊かな関係を結べるようになった。われわれは世界で何が起きているかについて以前より詳しく正確に知っており、これは私生活でも仕事上でも、われわれのより適切な意思決定を助けている。われわれは正しい知識を持つことによって、集合的に社会として正しい決定ができるようになった。こうしたプロセスによって人々の共有の力が増していることが、今日の社会を動かす重要な力となっていると私は思う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Industryはシェフやバーテンダーなどサービス産業のプロ向けのLinkedIn的ネットワーク

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ビジネスやエンジニアリングのプロフェッショナルの求職、求人でLinkedInが大きな役割を果たしているが、こうした信頼できるプラットフォームはホワイトカラー労働者以外でも有効なはずだ。

Industry(TC Radio Pitch-Offの最近の優勝者)はサービス産業のプロフェッショナルのためのLinkedInだ。このサイトでは、シェフやパーテンダーなどの登録者はビデオや写真で自分の技能をデモできる。

このサービスは求職側には無料で、求人側が購読料を支払う。レストランやバーが現在求人していなくても、このサービスに登録してプロフェッショナルのコミュニティーに対して存在をアピールしておくことができる。

Industryのファウンダー、CEOのCody Barboは「これまでシェフやバーテンダーの職探しは店から店へ歩きまわって履歴書を置いてくるというものだった。これは職を探す側にも店側にも非効率だ。 このプロセスを効率化するのがわれわれの目的だ」と説明する。

こうした効率化の一環として、このサイトでは登録者の資格、技能にマッチした求人が表示されるようになっている。たとえば調理に関する学位が必要な職はプロフィールに学位を記載している登録者だけに表示される。

サービス産業に新たに入ってきた求職者に対しては今後のキャリヤ形成に役立つトレーニングや資格取得について案内するセクションが設けられている。Industryでは一部の料理学校やと研修サービスと提携してそれらを紹介し、求職者が実際に利用した場合には少額の紹介料を得る。

このサイトはサンディエゴを本拠としており、現在は限定公開のベータテスト中だが、すでに2500人のプロフェッショナルと300のサービス事業者(Il FornaioやTender Greensのようなカリフォルニアで有名な店を含む)が登録している。サイトには毎日300件以上の求人が登録され、平均して毎日1件の就職が仲介されているという。この夏にはベータテストを西海岸一帯に、冬にはアメリカ全土に拡張する計画だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

LINEが人気飲食店のネット予約サービスをひっそり開始、しかも人力で

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LINEが一部地域で、ひっそりと飲食店のネット予約サービス「LINE グルメ予約」を開始した。

「デート」や「宴会」などのシーンから最大4店舗を選び、氏名や電話番号、来店日時、人数を入力すると、オペレーターが電話予約をしてくれる。飲食店のエリアやジャンル、予算などの詳細条件も設定できる。いわば人力の予約代行サービスだ。予約完了後はLINEで通知が届き、予約の依頼から完了まで最短10分で完結するという。

人気飲食店だけを厳選

人気飲食店の予約に特化していることも、大きな特徴だ。サービスの提供にあたっては実名型グルメサービス「Retty」と提携し、人気店舗を中心に9都道府県8500店舗を厳選。Rettyの画像や口コミといった店舗情報を掲載している。

ざっと見た限りだと、食べログの評価3.5点以上の店舗が多いような印象だ。逆に言うと、大手予約サービスが対応しているチェーン店は掲載していない。掲載店舗については、すべて許諾を取得している。

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利用するには外部のアプリインストール不要で、LINEアプリから「その他>LINE App>LINE グルメ予約」を選択する。現在は試験的な「ソフトローンチ」という位置づけで、LINE公式アカウントを登録して整理番号を取得した順番に、利用開始の通知が届く。今後は段階的に利用できるユーザーを増やしていく予定だ。

LINEの飲食店予約サービスは初めてではない。2014年11月には渋谷限定で、空席情報をLINEのトーク上からリアルタイム検索できる「LINEいますぐ予約」を開始。予約希望人数をトーク上から送信すると、当日の空席店舗情報がわかるサービスだ。LINE グルメ予約は、事前の予約を受け付けている点が異なる。

あえて人力予約を採用した理由

国内の飲食店ネット予約サービスにはホットペッパーグルメやぐるなび、食べログなどのプレイヤーが参入しているが、対応店舗は大手チェーン店が中心。今年4月には飲食店向け予約台帳サービスのトレタとヤフーが機能連携し、「俺のフレンチ」をはじめとする人気店のネット予約を開始したが、電話予約しか受け付けない人気店は多い。予約システム導入の負担が大きいためだ。

店舗の負担となっているのは、オペレーション変更に伴う教育コスト、複数の予約サービスを使うことでのオーバーブッキング、キャンセルのリスクなどがあり、集客に困っていない人気店がわざわざネット予約を導入しないのもうなずける。LINEは店舗の負担をなくすために、まずは、あえてスケールが見込めない電話での予約代行という方法を採用した。

前述のとおり、LINE グルメ予約はユーザーに代わってオペレーターが電話予約を代行してくれるサービスだ。店舗側はネット予約のシステムが不要で、オーバーブッキングも回避できる。個人と紐付いたLINEを通した予約となるため、キャンセルの抑止力も働く。悪質なキャンセルを繰り返すユーザーに対してLINEは、LINE グルメ予約の利用を停止させる措置も検討しているという。

ずっと人力の予約代行を続ける?

それでは予約代行サービスをずっと続けるのかというと、そうではない。今後は、飲食店がコミュニケーションツール「LINE@」を通じて予約を受け付けたり、顧客を管理できる機能を提供する。LINEとしては、LINE@の有料アカウント(月額5400円〜)を増やす狙いがある。

もともとネット予約を受け付けていなかった店舗に、どうやってLINE@を普及させるのか。LINE グルメ予約を担当するLINEの杉本謙一氏は、「人気店でも、曜日や時間帯によっては集客のニーズはまだある」と勝算を語る。「LINE経由の予約でキャンセル抑止につながったり、予約のやりとりを簡素化できることもアピールしたい」。

Facebookの終値88.86ドルでまたも最高値を更新―時価総額2500億ドル弱

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今日(米国時間6/24)、Facebookはまたも最高値を更新した。立会時間終了時の株価は88.86ドルで、時価総額は2500億ドル弱となった。

アナリストが全体的にFacebookの先行きに好感していることがこのところ株価を押し上げている。先週金曜の終値は82ドル台だったから今日の値上がりは目覚ましい。Facebookほどの巨大企業になると株価が1%動くだけで何十億ドルもの価値が消えたり生まれたりする。

一方、Piper Jaffrayは Facebookの株価ターゲットを120ドルにアップしており、これは今日の株価に照らしてもきわめて強気の予測だ。RBC Capitalのターゲット価格も105ドルとなっている。Piper Jaffrayほどではないが、やはり強気だ。

現在のFacebookの時価総額は11桁の数字(コンマが3つ入る!)となっており、Walmartを上回っている。

株価は簡単に変動するので、そのときどきの絶対額にはそれほど大きな意味はない。それより興味深いのはアナリストの強気の理由だ。PiperはOculus Riftの出荷が近づいていることを挙げ、RBCはInstagramの価値を評価している。

全体として、投資家はFacebookの過去の大型買収を再検討し、それらの価値を認めて株価予測を修正しつつあるということのようだ。ここ数年のマーク・ザッカーバーグのM&A戦略は実を結びつつある。

2012年の株式上場後、今となっては信じられない話だが、Facebookはかなりの期間にわたって20ドル以下で取引されていた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookアカウントなしでもMessengerが使えるようになった―普遍サービス実現への重要な一歩

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FacebookはこのSNSが嫌いな人々にもMessengerは使ってもらいたいと考えている。そこでFacebookはFacebookアカウントなしでMessengerにアカウントが作れるようにした。ユーザーはサインアップにあたってフルネーム、電話番号を入力するだけでよい。新しいサインアップはアメリカ、カナダ、ペルー、ベネズエラでは今日から利用できる。他地域にも順次拡大される。

Facebookは2012年にインドその他の地域でアカウントなしでのMessengerの利用をAndroid版アプリとしてテストしたことがあった。しかしこのテストは数ヶ月で終了した。私の取材に対してMessengerの責任者、David Marcusは「2年前のわれわれは〔モバイル化の〕過渡期だった。現在われわれはまだMessengerを使っていない少数の人々、いわば『ラスト・ワン・マイル』の層をMessengerに取り込む試みができるようになった。われわれはFacebookを使いたくない、あるいは事情によってFacebookが使えない人々にもMessengerを提供することにした」と語った。

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初めてMessengerを使おうとすると「Facebookでログイン」に並んで「Messengerにサインアップ」というボタンが表示される。Messengerでサインアップする際に、電話番号を入力すると、Facebookは他のMessengerの連絡先を検索し、その電話番号を登録しているユーザーをリストアップする。これが「FacebookアカウントなしのMessengerユーザー」にとってのソーシャルグラフとなる。

Marcusはこの新しい方針は中国に再進出するための布石ではないと強く否定した。中国政権はFacebookの所有する全IPアドレスをブロックしているので、Facebookアカウントの有無にかかわらず、Messengerも検閲にひっかかることは確実だという。

Messengerはどこへ向かう?

最近、Facebookはユーザー間の支払機能新しい位置情報共有専用ウェブ・アプリVOIPビデオ通話、画像や音声のメッセージをやりとりするためのアプリのプラットフォームMessengerゲームなどMessengerの機能を立て続けに拡張している。

Marcusは「Messengerの次のビッグ・プロジェクトはエンタープライズ向けのMessenger For Businessの開発だ」と語った。これはさまざまなバーティカル〔業種〕 に対応したシステムとなり、たとえば、オンライン通販会社は、手間がかかって効率の悪い電話やメールの代わりにMessengerを利用して顧客サポートができるようになるという。またMessengerのプラットフォームを利用してサードパーティーがアプリを開発する環境の整備にも力を入れていく。

成長、成長、成長

こうした努力の背後にあるのは何としても急成長を維持しなければならないという事情だ。

月間ユーザー7億人というMessengerはすでに巨大なサービスだが、SMS市場を制するためには全世界にあまねく普及する普遍的サービスとなることが必要だ。つまり「自分の知り合いは全員がMessengerを使っている」という状況を一刻も早く作り出さねばならない。そうなればユーザーはオンライン生活のすべてをFacebook圏内で済ませ、わざわざ外へ出ていくことがなくなる。

今回のMessengerだけでサインアップできるという方針は、Facebookの普及がすでに飽和点に近づいたアメリカやイギリスのような市場で、なんらかの理由でFacebookを使うのを止めてしまったり、もともと加わりたくないと考えていた人々をFacebook圏内に呼び戻すのが狙いだ。

一方でFacebookがまだ普及の途上にある多くの地域では無料SMSが急速に人気を高めている。そこでこうした市場ではMessengerは「Facebook.入門」の役割を期待される。

「こうした市場で〔普及を持続させるには〕FacebookのアカウントがないユーザーにもMessengerは使ってもらうようにすることが必須だ。われわれはFacebookプラットフォームに文字通り全員が参加するまで努力を止めない。友人、知人のすべてが参加すればプラットフォームのユーザー体験は比較にならないほどアップする」とMarcusは説明した。

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F8カンファレンスでプレゼンするMessengerの責任者、David Marcus

Marcusは「一部の人々はイデオロギー的理由などからわれわれに否定的だ」とFacebookを嫌う人々がいることも率直に認めた。もっともFacebookの過去についてMarcusに直接の責任はない。Marcusは昨年、PayPalのプレジデントだったときにMessengerの責任者にスカウトされた。Marcusの指揮の下でユーザーは2億人から7億人へと驚くべき急成長を遂げた。

MessengerはFacebookにとって「ドアの隙間に突っ込んだつま先」のようなものだ。Messengerのユーザーは連絡相手のFacebookプロフィールやその写真を見ることができる。好奇心を刺激され、やがてFacebookにサインアップしようと考えるユーザーも多く出るだろう。FacebookはMessengerで収益化を図っておらず、広告は本体のニュースフィードにしか表示されないから、Facebookユーザーが増えることは売上のアップに直結する。

要約すれば、Facebookは「Facebookやニュースフィードを嫌うユーザーがいてもチャットするのが嫌いなユーザーはいない」と考えてMessengerのサインアップを独立させたのだろう。おそらくは賢明な判断だ。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

日本でeスポーツは流行らない? ならばモバイル賞金付きゲームで世界を狙う「ワンダーリーグ」

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欧米で流行するe-Sports(eスポーツ)が、日本で独自の発展を見せるかもしれない。

eスポーツとは、複数のプレイヤーで対戦するビデオゲームを競技として楽しむジャンルを総称したものだ。人気ゲームになると世界大会が開催され、テレビやウェブで中継されることもある。TechCrunchでもお伝えしたが、昨年7月に行われた「Dota 2」の世界大会は賞金総額が11億円に上り話題となった。

海外ではPCメーカーや飲料メーカーがスポンサーするほどの盛況ぶりだが、日本はそれほどの熱量はない。主な競技種目である、PCゲームの人口が少ないためだ。ならば、日本が強いスマートフォンを舞台に盛り上げようとしているのが、「世界初のモバイルeスポーツ」をうたうワンダーリーグだ。本日、iPhoneとAndroidアプリを正式リリースした。

1位と100位のランキング獲得者に毎日賞金

アプリ上では日替わりでカジュアルゲームのスコアを競い合い、毎日1位と100位のランキング獲得者が賞金5000円を入手できる。欧米で人気のPCゲームをモバイルで再現するのではなく、スマホが普及した日本ならではの、スキマ時間の暇つぶし感覚で楽しめる脳トレやパズルゲームを揃えているのが特徴だ。

プレイ回数は1日5回まで。友達招待やSNS投稿をすれば、無料で追加プレイができる。それでも足りなければ、課金で追加プレイが可能。この課金と広告費がワンダーリーグの収益となる。

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賞金の元手は広告費だ。といっても、ワンダーリーグが得る広告費ではなく、支払う広告費を抑えて賞金に回している。

同社の北村勝利社長によれば、開発費が数億円かかるようなモバイルゲームの多くは、アプリのダウンロードと引き換えにAmazonギフト券などの報酬を与える、いわゆる「ブースト」に多大な金額を投じていると指摘。「そういった広告費をユーザーに還元すれば、自ずと人気が出る」と見ている。

超定番ゲームを次々と招致

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「糸通し」は2005年の公開以降、「究極の暇つぶし」というキャッチフレーズとともに数多くのシリーズを展開している

ワンダーリーグは有名ゲームを招致する興行主のようなポジションだ。

まずは累計1500万ダウンロードの「糸通し」や、累計700万ダウンロードの「Touch the Numbers」といった定番ゲームを3カ月にわたって配信。期間中にトータルでトップスコアを獲得したユーザーには、ゲーム開発会社が10万円を進呈する賞金イベントも併催する。

近日中にパックマンを配信することも決まっている。ちなみにパックマンは、バンダイ・ナムコの人気タイトル17作品を日本のクリエイターに開放し、二次創作を許可する「カタログIPオープン化プロジェクト」の一環。ワンダーランドは二次創作者として採用されたかたちだ。

ゲーム会社に対してはライセンス料を支払うか、レベニューシェア契約を結ぶ。ゲームはいずれもワンダーリーグ向けにカスタマイズして組み込む「インゲーム方式」を採用していて、ユーザーは1つのアプリで、複数のゲームを日替わりで楽しめる。ゲーム会社としては、過去にヒットしたタイトルで収益を得られるメリットがある。

カジュアルゲームに国境はない、2020年に世界大会を

運営元のワンダーリーグは昨年6月に設立。今年2月にはアドウェイズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、B Dash Venturesの3社から1億円の資金を調達している。

今年50歳を迎える北村勝利社長は過去に、モバイルコンテンツ事業のアイフリークやゲーム事業のバタフライなどでイグジットを経験した起業家だ。2012年8月まで社長を務めたバタフライでは、パチンコ・パチスロ店舗の実機をシミュレーションできるアプリ「モバ7」を手がけ、700万ダウンロードのヒットを飛ばした。「パチンコ・パチスロ人口の3人に1人が利用するほどの人気だった」。

ワンダーリーグの北村勝利社長

ワンダーリーグの北村勝利社長

なぜ、カジュアルゲームで起業したのか。北村氏はバタフライの社長退任後、世界で勝負できる事業を探していて出会ったのがeスポーツだったと振り返る。「実際に業界研究してみると、モバイル分野では誰もやっていない。我々はスタートアップで資金力がないのでカジュアルゲームで勝負するしかないが、独自のイベントを絡めれば新たな市場を作れると思ったので、やるしかないなと」。

年内には、海外で人気のカジュアルゲームを揃えた英語版もリリースする。日本と同様のタイトルに加え、海外でヒットしたゲームの開発企業とも交渉していく。賞金は海外送金手数料を抑えるために、PayPalとBitCoinのどちらかで送金する。「カジュアルゲームに国境はないので十分に勝機はある」と北村氏。2020年にはワンダーリーグの世界大会を開催したいと展望を語っている。