Keyweeが読者のロイヤルティを測定するスコア機能を公開

すべての読者を同じ条件で獲得するわけではない。そう聞くと気分を害するかもしれないが、これは事実だ。

画像:Jon S / Flickr under a CC BY 2.0 license.

少なくともユーザーの獲得という観点では、確かにそうだ。新しい読者にリーチするためにパブリッシャーが広告キャンペーンを実施しても、自分たちのサイトを再訪しそうもない大多数の無作為な訪問者を呼び込んだだけに終わってしまうかもしれない。

マーケティングのスタートアップであるKeywee(キーウィー)の最高コマーシャル責任者のJared Lansky(ジャレド・ランスキー)氏は「パブリッシャーにとっては、コンテンツの訪問者数よりも、ロイヤルティの方が価値がある」と言う。

Googleの元CEOのEric Schmidt(エリック・シュミット)氏が率いるInnovation Endeavorsとニューヨークタイムズが支援するKeyweeは、ロイヤルティスコアという新しい機能でこの問題を解決しようとしている。ランスキー氏は筆者に対し、スコアとはまさにその名前通りのもので、ある人が何回サイトに戻ってきたか、何ページ表示させたかに基づいて読者のロイヤルティを測定すると説明した。

結果としてこのスコアは、パブリッシャーがより良い決定をして成長につなげるのに役立つ。パブリッシャーは、Keyweeを介して実施したどのFacebookの広告キャンペーンがロイヤルティの高い読者を実際に呼び込み、どのキャンペーンは呼び込まなかったかを知ることができる。それに応じてキャンペーンを修正し、無作為の訪問者ではなくロイヤルティの高い読者をもっと引きつけられるように、オーディエンスの的を絞り記事を選んで取り上げる。

このスコアを、パブリッシャーがサイト訪問者とのやり取りに生かすこともできる。例えばサブスクリプションのビジネスを構築しようとしているパブリッシャーなら、ロイヤルティスコアの高い読者に対してのみ、サブスクリプションの割引や有料購読者専用コンテンツを提供することが考えられる。ランスキー氏は、スコアを計算するためのデータはKeyweeのピクセルとFacebookピクセルから取得し、そのほかのデータを収集する必要はないと補足した。

Kiplinger.comのデジタルオペレーション&広告ディレクターであるAndy Price(アンディ・プライス)氏は、発表の中で次のように述べている。「ロイヤルティスコアは、私たちのユーザー獲得キャンペーンにまったく新しい知見をもたらした。例を挙げれば、退職のプランニングに関するコンテンツのプロモーションは、日用品や食費を節約する投稿よりも多くの再訪者を集められることがわかっている」。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンはサプライ品を自動補給する企業向けのDashスマートシェルフを開始へ

Amazon(アマゾン)は、たしかに消費者向けのDashボタンの販売を停止したが、Dashハードウェアそのものを止めたわけではなかった。同社は米国時間11月21日、新たにAmazon Dash Smart Shelf(スマート・シェルフ)を発表した。Dash Smart Shelfは、個人ではなく小規模の企業向けで、Dashボタンよりもさらに自動化が進んでいる。内蔵の計りを使用して備品の重量を検知し、それに応じて在庫の補充を自動的に発注する。

Dash Smart Shelfには3つのサイズ、7×7インチ(約178×178mm)、12×10インチ(約305×254mm)、18×13インチ(約457×330mm)があるが、高さはどれも1インチ(約25.4mm)で、その上に、普段仕事で使う一般的なサプライ品を積み上げて置くことができる。つまり、プリンタ用紙、コーヒーカップ、ペン、ペーパークリップ、トイレットペーパー、コーヒーなどを乗せておくだけでいい。するとAmazonの補充システムが、サプライの残量が一定の重量を下回ったとき、自動的に発注してくれる。あるいは、自動的に注文したくない場合には、社内の誰かに通知を送るようにだけ設定することもできる。

Dash Smart Shelfは、内蔵Wi-Fiによって通信する。電源は、コンセントから取ることもできるし、単4電池を使うこともできるので、置く場所に合わせてフレキシブルに対応できる。ウェブ、またはAmazonのアプリを使って、Amazon Businessアカウントにサインインし、Smart Shelfの上に積み上げておきたい製品を選択するだけでいい。またたとえば、これまで注文していたコーヒーの種類を変えたくなったら、簡単にブランドや製品を変更することも可能だ。

現状では、まだDash Smart Shelfは、誰でも利用できるようになっているわけではない。Amazonでは、ピックアップした小規模の企業を対象に、今月中にトライアルプログラムを開始する予定だ。その後来年には、米国内のAmazon Businessのアカウントを持つ一般の顧客も利用できるようにする計画となっている。企業としてSmart Shelfを利用したいと考えている人は、Amazonのアカウントにサインアップして申し込めば、いつから使えるのか通知を受けとれる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「体験型小売店+ソフトウェア」RaaSスタートアップb8taの戦略

11月14日(木)・15日(金)の両日、東京・渋谷ヒカリエで開催されたTechCrunch Tokyo 2019。Day1冒頭のFireside Chatには、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)スタートアップ、b8ta(ベータ)CEOのVibhu Norby氏が登壇。「最新ガジェットを試し購入できるリテール・アズ・ア・サービスb8taの戦略」と題して、同社が展開する体験型小売店ビジネスとソフトウェアプラットフォームについて語ってくれた。モデレーターはEngadget Chinese編集長のRichard Laiが務めた。

「リテールは死んだ」時代に小売サービスを始めたb8ta

b8taは米国で、ガジェットやテックプロダクトなどを試したり購入したりできる体験型小売店「b8ta」を展開している。製品を提供する企業側は、b8taが全米20カ所に構えたスペースを借りてプロダクトを展示できる。

b8ta店舗内を紹介する画像

Norby氏は「世界中から探してきた優れたプロダクトを、顧客は使って試すことができる。顧客がどのように製品を使い、どんな経験をしたのか、開発企業にはフィードバックを伝えている」とb8taのモデルについて説明する。

「b8taは2015年の創業以来、4年間でおよそ1500の新製品を市場に出してきた。ハードウェアやエレクトロニクス製品中心にフォーカスしてきたが、プラットフォームをほかのカテゴリにも広げており、(昨年から営業を停止していた)Toys “R” Us(トイザらス)の米国での復活にも関わっている。顧客はフェイク(モックアップや動かないサンプル)ではない製品を体験することができる」(Norby氏)

2015年というと、米国ではオンライン小売が優勢で、マーケットはリテール業界には消極的だった時期だ。Norby氏は「2013年ぐらいから『リテールは死んだ』と言われていて、2015年に小売サービスに進出するというと『なぜ今そんなものを始めるのか』といわれる時代だった」と語る。

「オンラインでは確かにスクリーンでいろいろなことができるが、プロダクトに触れることはできない。リテールで、店舗で何ができるかと言えば、行かなければ分からない体験、例えばスピーカーの音質やブランケットの肌ざわりを体験することができるということだ」(Norby氏)

また「カスタマーリレーションシップが作れない売り方をメーカーも望んでいない」とNorby氏は続ける。「メールなどの通知ではなく、双方向のリレーションシップが持てる方法を、店舗でのビジネスモデルで実現できないかと考えた」(Norby氏)

Norby氏が着目したのは、新しいコンセプトを持ち、誰も見たり触ったりしたことがないようなプロダクトだ。「新製品は続々と出ている。カテゴリーも増えている。20年前にはコストが高くて作れなかったハードウェアが作れるようになった」(Norby氏)

こうしたプロダクトが世に出るときの小売の課題は、その良さ、新しさが伝わりにくいところだ。Norby氏は「日本の小売店でもそうだと思うが、製品が棚には載せられていても使い方が分からなかったり、見て楽しめなかったりする。Googleのスマートスピーカーが置いてあっても『OK Google、○○してみて』といって得られる体験の良さは分からない」と話している。

そこで「いろいろな製品を試してみたい」という声に応えられるビジネスモデルを、リアルな場を持つリテールで実現したのがb8taというわけだ。

リアルな場+顧客の体験まで一貫して提供するRaaS

b8taのソリューションは、RaaS(リテール・アズ・ア・サービス)として提供されている。プロダクトを持つ企業に対しては物理的なスペース提供のほかに、店舗を運用するためのPOSやプロダクトのデータベース、在庫管理、従業員のシフト管理や教育の仕組み、顧客体験の分析レポートなどがパッケージされている。

「ブランドと契約するときには、顧客の体験まで統括できる。お客さまがプロダクトをどう使って、どういう体験をしたのかをレポートして、メーカーに伝えている」(Norby氏)

メーカーがリアル店舗を運営して顧客との接点を持とうとすると、テナント料・家賃や従業員の賃金が固定費として必要になる。これを「アズ・ア・サービス」として提供するb8taは「特に新しい製品では有効だ」とNorby氏はいう。b8taでは、従業員のトレーニングをかなり重視しているという。「1〜2週間かけてトレーニングを行い、プロダクトやブランドに関する質問に答えられるようにする」(Norby氏)

Norby氏はトイザらスとの協業にも触れ、「子どもは実際の製品に触りたがるものだ。だから体験型小売でのエクスペリエンスが合うのではないかと考えた」と話している。米国テキサス州ヒューストンと、ニュージャージー州パラマス(ニューヨーク・マンハッタン近郊)に、間もなく2店舗を開店するトイザらス。子どもが実際に遊べるツリーハウスや遊び場など「細かいところまでこだわって作った」という店舗に「ぜひ来てほしい」とNorby氏は話す。

またb8taでは、おもちゃに続いてアパレル業界への進出も検討しているという。Norby氏は「業界は違っても『試すことができる場』ということでは同じ」として、鏡や壁、スクリーンに情報を表示し、照明にもこだわった“アダプティブ”な試着室を構想していると述べている。「アウトドアウェアにしてもスーツにしても、環境によってどういうものを着ればよいか、どう見えるかは違ってくる。例えば、こうやってステージに上がるときとか」(Norby氏)

リアルなスペースを提供するという点では、店舗がどこに位置しているか、ということも重要なのではないかと思われるが、Norby氏は「期待していなかった場所の店舗がよい店になっている」という。「シリコンバレーで成功するのは分かるけれどと言われるが、実際にはアーリーアダプターはどこにでも住んでいる。どんな人がいるか、というときにどの町かは関係がない」(Norby氏)

現在米国で20店舗を展開するb8ta。Norby氏は数週間後に初の国外店舗となるドバイに出店を控えていることも明かしている。海外への出店には以前から興味があり、いくつかの市場に注目していたそうだが、ドバイには現地パートナーの存在もあり、ビジネス面でもアクセスしやすいことから出店を決めたということだ。

次の市場として、日本はどうかと問われたNorby氏は「まだ発表できることはないが、よい市場だとは思う」と述べている。「リテール業界が強く、銀座などのショッピング街もある。アジアのハブとして、中国をはじめとした観光客も集まり、技術もある。アジアのどこかで出店を、と言われたら日本はよい環境だと思う」(Norby氏)

フリーランサーへの支払い簡単にするツールをOutVoiceが正式提供

編集者がクリック1つでフリーランサーに支払いできるようにするスタートアップのOutVoice(アウトボイス)がベータ展開を終え、正式にサービス提供を開始した。同社はまた、額は非公開ながらも、コンテンツ収益化のスタートアップCoil(コイル)からシード資金を調達したことも発表した。

OutVoiceMatt Saincome(マット・セインカム)氏とIssa Diao(イッサ・ディアオ)氏によって設立された。昨年プロダクトがまだベータ段階だったとき、セインカム氏は「編集のフリーランスに携わっている皆にとって『最悪の問題』を解決するためにOutVoiceを立ち上げた」と語っていた。同氏がフリーランスのライターだったとき、彼は報酬を支払ってもらうために絶えず編集者に催促しなければならなかった。しかしその後、風刺のサイトThe Hard TimesとHard Driveの創設者となり、彼は支払い管理がかなり頭の痛いものだと認識した。

OutVoiceはWordPressや他のコンテンツ管理システム(CMS)に直接統合することで全体のプロセスをシンプルなものにしている。編集者が記事をCMSに載せると、執筆者と支払い金額を確認できるようになっている。そして記事を公開すると、報酬が送金されフリーランサーの銀行口座に数日中に届く。

つまり、フリーランサーは支払い遅れを懸念する必要はなく、一方の出版元はインボイスを追跡したり小切手を切ったりに頭を悩ませなくてもいい(これをきっかりやらないと優秀なライターや写真家を失うことになる)。

OutVoiceはまた、フリーランサーが記入しなければならない最初の書類仕事も仕切る。それから、経理と税務のための月々の報告も作成する。出版元は、支払いがあるごとに(支払額の5%+送金1回あたり1ドル)、あるいは29ドル〜の月額購読料金として、OutVoiceにサービス利用料を払う。Coilとの協業では「Interledgerのような新しい支払いのテクノロジーを利用することができる」とOutVoiceは語る。

「Coilにとってのゴールは、支払ってもらうプロセスをコンテンツクリエイターにとって簡単で楽なものにすること」とCoilのCEOであるStefan Thomas(ステファン・トーマス)氏は声明文で述べた。「まだベータ展開だったとき、OutVoiceはすでにフリーランスのコンテンツクリエイターと彼らの支払いの間にある何百年というタイムラグを解消していた。クリエイターに制作するための時間とお金を与えることになる、より効率的な支払いのソリューションとプロセスを推進するためにOutVoiceと提携できることをうれしく思う」。

画像クレジット;OutVoice

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(翻訳:Mizoguchi)

Twitterが「返信を非表示」をグローバル公開、ブロックも選択可能に

Twitterの「返信(リプライ)を非表示」はリツイートという仕組みが導入されて以來の抜本的な変更だ。これまで米国、日本、カナダのユーザーを対象にテストを続けてきた「返信を非表示」が、いよいよ米国時間11月21日から世界のユーザーに公開される。

Twitterの発表によれば、この機能は若干変更が加えられているがテスト版とほぼ同様で、今日中に世界のユーザーがこの機能を利用できるようになるという。

「返信を非表示」はツイートに対する返信のうちどれを見てどれを見ないかを選択できる機能で、会話の主導権をオリジナルの投稿者側に傾けるものだ。 この機能はTwitterユーザーの間に大きな賛否の議論を引き起こしている。選択しても返信が削除されるわけではないし、もう一度クリックすれば表示される。ともあれこれで無関係な話題、侮辱的、その他不快な表現、さらには意図的な荒らしの返信がタイムラインを占領するのを防げる。

Twitterでは「ヘイトスピーチを含むなどの不適切な返信は表示されないことがあると知れれば、そういった返信を抑制して会話を適切なものにする効果があるはずだ」と考えている。

ただしその裏側では「返信を非表示」は批判者、反対者を黙らせるために使われる可能性がある。この場合、捏造と思われるツイートに対してファクトチェックを要求する返信であっても表示されない。

この機能は7月からカナダでテストが始まり、9月には米国と日本が加えられた。ウェブとモバイルの双方で利用可能だ。

テスト開始以後、Twitterではほとんどの投稿者が非難、無関係、その他不快と感じられるようなツイートについてブロックやミュートといったより強い手段ではなく「返信を非表示」を選択してことがわかった。カナダでは調査対象のユーザーの27%が返信を非表示にされた経験があり、将来ソーシャルネットワークで相手とどのようにやり取りすべきか考え直すと答えている。これはある程度期待を抱かせる結果だ。

ただしグローバル展開にあたってオリジナルの機能には変更が加えられている。Twitterによれば一部のユーザーは「非表示」を選択した後、さらに強い対策を取りたいと希望していた。そこで新機能には返信者をブロックできる機能が追加された。またTechchCrunchではユーザーから「自分のアイコンが見えてしまうので嫌がらせその他の報復行為の対象にならないか不安を感じている」という声を聞いた。今回のアップデートではこの点についての変更はなかったが、Twitterではこの問題には留意しており、解決法を探っているという。

もうひとつTwitter上で頻繁に論じられている問題は、「返信を非表示」にした場合に表示されるポップアップが大きすぎてむしろ注意を引きつける結果になっているいるのではないかという点だ。以下のツイートは「非表示の返信があることを示すこういう巨大なポップアップを表示するのはナンセンス」という批判だ。

Twitterによればこういうポップアップが表示されるのは「非表示の返信」が存在するツイートを最初に見たときだけだという。その後非表示の返信があることを示すアイコンはもっと小さくなり、ツイートの直下ではなく別のページに移される。

そうではあってもこれほど大きなポップアップは非表示の効果を大幅に削ぐものではないだろうか?クリックすればツイートを見ることができるのだから、探す場所を教えているようなものだともいえる。トロルの側からいえば、誰かかこの機能を使っていると知ればますますいきり立ってトロル行為をエスカレートしかねない。

今回のグローバル公開に伴い、Twitterでは「返信を非表示」を利用するためのAPIを公開し、サードパーティのデベロッパーがアプリケーションにこれを組み込めるようにするという。

Twitterでは今後、返信ができるユーザーを制限するなどのオプションを加えることを検討しており、ユーザーが会話をより良くコントロールできるようにしてプラットフォームの健全化を図っていくという。

Lightwellの買収.によってTwitterに加わったプロダクトマネジメントの責任者であるSuzanne Xie(スザンヌ・シャ)氏は「すべてのユーザーが安心して快適にTwitterを利用できるようにしなければならない。そのためにはTwitterにおける会話の仕組みそのものを変えていく必要がある」と述べている。

Twitterが「返信を非表示」の導入に踏み切ったのは興味ある現象だ。Twitterはもともと皮肉、非難、罵倒、激怒など、強い言葉が頻繁に使われる場所として知られていたが、プラットフォームの運営者はついにユーザーに礼節を要求する方向に動いた。今後もさまざまな実験が導入され、効果があるものは残り、効果がないと分かれば廃止されことが繰り返されるだろう。

Twitterでは通常のサービスと平行して新しいアイデアを試すためにベータ版(twttr)を運営している。もしTwitterが新機能によりソーシャル・ネットワークとしての性格を変えることができたらプロダクト・マネージメントとして驚くべき成功といっていい。

Twitterの「返信を非表示」はiOS、Androidのアプリ(Twitter Liteを含む)、ウェブのtwitter.comで本日から全ユーザーが利用できる。

【Japan編集部追記】日本サイトでの「返信を非表示」オプションの使い方の説明(11月22日朝現在はベータ版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

電話、FAX、メールの受発注をクラウドに集約「CONNECT」運営のハイドアウトクラブが1.2億円調達

ハイドアウトクラブは11月22日、9⽉に1億2000万円の資⾦調達を実施したことを公表した。第三者割当増資による資金調達で、リード投資家のGMO VenturePartnersと既存株主のジェネシア・ベンチャーズが引受先となる。

同社はクラウド型の受発注システム「CONNECT」を開発・提供している2015年6月設立のスタートアップ。同社はこれまで、1日1杯に限って渋谷・新宿エリアを中心とする提携バーでウェルカムドリンクが無料で飲める会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」を開発・提供していたことから、飲食店と仕入先の受発注が依然としてアナログで、主な連絡手段がFAXや電話という問題を身近に聞いていたそうだ。

関連記事:会員制ドリンクアプリ「HIDEOUT CLUB」が3000万円調達、SaaS型の店舗支援機能も

飲食店の従業員は店舗のFAXやPCから発注書を送信しなければならず、仕入先は多数の飲食店からさまざまな発注書が送信されてくるため紛失のリスクがある。しかも、アルコール類、魚介類、肉類、野菜類、冷凍食品、備品などで発注先が異なり、発注書もさまざま。このような飲食店と仕入先のペインを解決するためにCONNECTの開発に着手したという。

CONNECTはウェブサービスなので、いつでもどこでも発注が可能だ。飲食店をはじめとする小売店の従業員は、閉店後も店舗に留まる必要がなく帰宅時に時分のスマホやPCを使って電車内や自宅で発注作業が行える。もちろん発注履歴は記録されているのですぐに参照可能だ。最大の特徴は、発注書の送信方法を仕入先の環境に応じて柔軟に変更できる点。CONNECTを導入済みの仕入先の場合は、リアルタイムに発注書を受け取れるほか、納品書や出荷伝票の自動作成が可能になる。FAXやメールでの発注しか受け付けていない仕入先に発注する場合は、CONNECTがテータを生成・送信してくれる。電話発注の場合のみ従来と同様の手間はかかるものの、もちろん通話した時間や発注内容は記録されているので重複発注などのミスは防げる。

CONNECTはすでに90万点の商品の受発注に対応しており、飲食店だけでなくアパレルやメガネ店などさまざまな小売店で利用可能とのこと。

同社は今回の資⾦調達により、AIによる商材の需要予測、⾳声解析による⾳声発注などの機能開発を進め、CONNECTのサービスを拡充していくという。具体的には、スマートスピーカーと連動した受発注などを検討しているそうだ。受注から出荷、請求までの業務を⼀気通貫で管理できるシステムを構築するのが同社の狙いだ。

Kubernetesを使用したクラウド開発を容易にするGravitationalが27億円超を調達

このところますます、マルチクラウドの世界になるにつれて、クラウド間でのアプリケーションの移動という問題が生じてきた。この問題の解決を目指すGravitationalが(グラヴィテーショナル)は米国時間11月20日、シリーズAラウンドで2500万ドル(約27億円)の資金調達を発表した。

このラウンドはKleiner Perkinsが仕切り、S28 CapitalとY Combinatorが参加した。同社によると、これで同社の総調達額は3100万ドルになる。

Gravitationalの共同創業者でCEOのEv Kontsevoy(エヴ・コンツェボイ)氏によると、彼の会社はクラウドのポータビリティをめぐる2つの大きな問題を解決する。同氏は「互いに異なるクラウドプロバイダ間には当然違いがある。アプリケーションがそれぞれのクラウドへの依存性を持つからだ。アプリケーションはクラウドプロバイダーの能力に依存し、今日ではクラウドプロバイダーがそのインフラストラクチャの一部としているさまざまなミドルウェアソフトウェアに依存しているだろう」と語る。依存性、つまりディペンデンシーがあるから、新たなコードを書かずにアプリケーションを移動することが困難になる

そして彼によるもう1つの問題は、アプリケーションをクラウドにデプロイした後の、その後の管理と関係がある。それは大きなオペレーションチームを必要とする。しかし、大量の人材を簡単に集めることはできない。

これらの問題を解決するために、GravitationalはKubernetesに目を向ける。顧客は、Kubernetesを使ってソフトウェアを作るべきだ。それはオープンソースのソフトウェアで、しかもスタンダードだ。最初からクラウドのディペンデンシーの中で作る代わりに、完全にバニラ(原型のまま)のプログラムを作る。

コンツェボイ氏は「クラウドのことをまったく気にせずにアプリケーション開発をスタートする。最初から特定のクラウドのアカウントなんかあってはならない。アプリケーションがKubernetesの上で動くことを確認し、ソフトウェアのディペンデンシーのすべてをKubernetesの中へパッケージする。できるかぎりオープンソースのソフトウェアとオープンスタンダードを使うのだ」と語る。

彼によると、Kubernetesはアドミンの苦労がほとんどないソフトウェアを作らせてくれる。そしてそれから、GravitationalのGravityツールを使ってそのソリューションを単一のファイルへパッケージする。それならどんなクラウドへも、あるいはプライベートなデータセンターでもデプロイできる。1990年代みたいに、ソフトウェアをダウンロードで提供することすらできる。

彼の視界の中で企業は今、Kubernetesを使ってコンテナ駆動型のソフトウェアへ移行しつつある。そしてそうすることによって、個別のクラウドプロバイダーへのディペンデンシーをGravityなどのツールにより破壊できる。

本当にそのとおりなら、なかなか素晴らしい。Gravitationalは社員数20名で、有料顧客は約100社だ。同社は、GravityとGravitational Teleportという2つのツールをオープンソースで提供している。同社はY Combinator 2015の卒業生だ。

関連記事:ひとつのソフトウェアのクラウドバージョンとオンプレミスバージョンを単一のコードベースから開発できるGravitationalのデベロッパサービス

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

人助けプラットフォームGive InKindがプレシード投資で1.6億円調達

困っている友だちをネットを通じて助けるのは、意外なほど難しい。お金を渡すのは簡単だが、本当に必要なものはお金じゃなかったりもする。そこで、Give InKind(ギブ・インカインド)は、お金を渡すよりも、もっといろいろなことができるプラットフォームを目指している。とても自然な発想のため、同社はシアトルの投資家たちから目標の3倍にあたる150万ドル(約1億6000万円)を調達できた。

同社は、Female Founders Alliance(女性創業者連盟)が主催するReady, Set, Raise(レディー・セット・レイズ)アクセラレーターに参加が認められ、そのデモデーに、私は創設者Laura Malcolm(ローラ・マルコム)氏に会えた。

関連記事:「Ready, Set, Raise」は女性起業家のためのY Combinator

マルコム氏が解決を目指しているのは、本当に困っているときは資金調達サイトを立ち上げる気力もなく、しかもその苦境を乗り越えるのに必要なものはお金ではない、という単純な問題だ。マルコム氏自身も、そんな体験をしている。個人的な悲劇に見舞われたとき、周囲の人から助けてもらうための手段が整っていないことを痛感したのだ。

「全国の友だちや家族が私を助けてくれようとしましたが、そこで使えるツールは時代遅れで、私たちの問題を解決できませんでした」と彼女は説明してくれた。「必要な助けをすべてひとつにまとめてくれる場所がないのです。食べ物の差し入れ、子どもの学校の送迎、Instacart(買い物と配達のサービス)の無料券、Lyftのクレジットなどです。ひとつとして同じ状況はありえません。すべてを一箇所にまとめておいて、誰かが『お手伝いできませんか?』と申し出てくれたときに役立つような場所を作ろうとした人もいませんでした」。

Give InKindの目的は、人助けのための豊富な選択肢を提供することにある。もちろん、現金を寄付することもできるが、その欲しいものリストにあるアイテムを購入したり、配達を手配したり、紙おむつやギフトボックスなどの援助物資の定期配達を設定したり、専用のカレンダーに人的支援が可能な日時を書き入れたりもできる。

すべては中心的なプロフィール・ページに示される。このページは、サービスを受ける本人が自分で作ることは滅多にないと、マルコム氏は話していた。

「ページの9割が、他の人が作ったものです。すべての人が苦境に陥っているということではなく、誰かが困っていることを知って、何か力になれることはないかと気にしている人が大半です」と彼女は言う。「なのでこれは、困っている人を集めるものではなく、人助けの方法を知りたい人たちの問題を解決するためのものなのです」。

まさにその部分に私は共感した。本当に苦しんでいる人にお金を寄付するのは、なんとも事務的で心がこもっていないと感じていたからだ。個人的に力を貸せるのが理想だが、他の街に住んでいて体の自由が利かなくなった友人が、犬の散歩を手伝ってくれる人を探していたとしたらどうだろう。ギブ・インカイドは、まさにそうした悩みを表に出して、リンク(たとえば犬の世話を代行してくれるサービスRoverなど)や関連する情報を提供する。

「サイトで行われているのは、食事や手伝いの手配など、自分で自分のことをする活動が大半です。日時の調整用にカレンダー・ビューがありますが、サイトでもっとも多く利用されている場所でもあります。およそ70%がカレンダーで、残りは(インスタカートやウーバーなどの)全国的なサービスに関するものです」とマルコム氏。

地域限定のサービス(全国展開していない掃除サービスなど)も計画には含まれているが、ご想像のとおり、それらをひとつにまとめるには相当なフットワークが必要になるため、実現には時間がかかる。

現在このサイトは、完全な会員制になっている。援助をしたい人は、カレンダーに自分のスケジュールを記入したり、プロフィールの編集を手伝うといった作業をしたいときは、アカウントを作らなければならない。すると、商品サイトに移動して取り引きを行うことができる。同社では、支援物資などのサイト上での購入を実験しているが、本当に価値のあるもの以外は、中心的な取り引きになることはない。

拡張の計画は、このサイトの今ある有機的な成長パターンを確実にするためのものだ。作られたページは、どれも新しいユーザーや訪問者を惹きつけている。そのユーザーたちは、数年後が経過した後でも、新しいページを作り始める可能性がとても高い。そこに改良を加えながらマーケティングにも動き回るマルコム氏は、急速に成長できると確信し、GoFundMe(ゴーファンドミー)などの大手の寄付サービスとの大きな規模での提携できる日も近いと考えている。

位置について、よーい、そして期待以上の資金調達

私がGive InKindに注意を引かれたのは、シアトルの女性創業者連盟を通じてのことだった。少し前に、連盟はデモナイトを開催し、いくつもの企業と、当然のことながらその創設者にスポットを当てて紹介していた。いくつかの企業は、女性の体に合わせた作業着が入手困難であることなど、女性を強く意識した問題に特化していたが、デモナイトの目的は、本当に価値の高い企業を掘り出すことであり、その創業者がたまたま女性というだけの話だ。

「Ready, Set, Raiseは、高い可能性を持つ不当に評価が低い投資機会を発掘し、ベンチャー投資コミュニティーが理解できる形で紹介することを目的に設立されました」と連盟の創設者Leslie Feinzaig(レスリー・フェインゼイグ)氏は言う。「私たちの最新のメンバー調査の結果は、女性創業者が調達できた資金は低めだが改善しようと頑張っている、という所見と一致しています。Give InKindは、その完璧な実例です。彼らは3年間、自己資金で頑張った末、プロダクトマーケットフィットを見つけ、月20パーセントの成長率を示しているにも関わらず、いまだに投資家の共感を得るのに苦労していました」

しかし、プレゼンテーションの後、マルコム氏の会社は表彰され、Trilogy Ventures(トリロジー・ベンチャーズ)から10万ドル(約1080万円)の投資を受け取った。それ以前から50万ドル(約5400万円)を目標に資金調達をしていたのだが、たちまち総額に制限をかけなければならない事態になった。予想外の、しかしとても嬉しい150万ドル(約1億6000万円)が集まったのだ。このラウンドの最終参加者には、Madrona Venture Group(マドローナ・ベンチャー・グループ)、SeaChange Fund(シーチェンジ・ファンド)、Keeler Investments(キーラー・インベストメンツ)、FAM Fund(ファム・ファンド)、Grubstakes(グラブステークス)、X Factor Ventures(エックス・ファクター・ベンチャーズ)が名を連ねている。

これは、正当性が認められたことなのだと私は推測した。「最高の正当化です」と彼女も同意した。「創設者の旅は長く厳しいものです。しかも、女性創業者やインパクトのある企業にはどうしても分が悪い。シアトルでは、消費者の力も強くないのです。私たちは、このラウンドを早々に決められたことで、分の悪さを全面的にひっくり返しました。シアトルがいいところを見せてくれました」。

彼女はこのアクセラレーターを「驚くほどユニーク」だと説明している。「女性創業者を、投資家、メンター、専門家と結びつけることに専念しています」。「私たちは、私のモデルを上下逆さまにして何もかもを振り落とすことに、とても長い時間を費やしました。結果としてそれは、思っていたよりもずっと正当化できることでした。私たちは事業も変えず、製品も変えず、立ち位置とほんの少し変えただけです」と彼女は話す。「指導者やメンターとのつながりを持つことと、魅力的な方法で事業を紹介する方法を組み合わせると、こうした機会を持たない人たちにとって、それがいかに遠い存在であるかを思い知らされます。私はGive InKindを3年間、紙袋に入れて持ち歩いていました。そこに彼らが鈴を付けてくれたのです」。

フェインゼイグ氏は、その申請方法と指導の質(1対1の講座が多い)のために、このアクセラレーターから巣立つ企業の質が高いと説明している。第2期のその他の企業はここでわかる。そしてもちろん、助けを必要とするあなた自身、あるいはあなたの知り合いのために、Give InKindも頑張っている

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(翻訳:金井哲夫)

Googleが仮想マシンをAnthosクラウドに移行させるテクノロジーを公開

Googleは11月20日からロンドンで開催されているCloud Nextカンファレンスで、エンタープライズコンピューティングのAnthosプラットフォームへの移行を助けるための重要なアップデートをいくつか発表した。また各種Cloud Codeツールも一般に公開された。これらはGoogle CloudないしKubernetesクラスターをサポートする環境で作動するモダンアプリケーションを構築するために役立つという。

モダンアプリケーションの開発、移行プラットフォームであるAnthosは、最近Googleがスタートさせたサービスの中で最も重要なものだろう。これはGoogleのエンタープライズビジネスをGoogle Cloudの外、つまりクライアント企業のデータセンターにに拡張するものだ。やがてエッジコンピューティングにもAnthosプラットフォームが浸透していくことになりそうだ。

20日のイベンドでGoogleはAnthos MigrateをベータからGA(一般公開)に移行させた。簡単に言えば、Migrateはエンタープライズが既存のVMベースの処理をコンテナ化するツールだ。オンプレミス、AWS、 Azure 、Google自身のCompute Engineなどすべてのワークロードはコンテナ化され、容易にAnthos GKE、Kubernetesをサポートする環境で作動するようになる。

取材に対し、Googleのプロダクト・マネジメント担当のバイスプレジデントであるJennifer Lin(ジェニファー・リン)氏は「Anthos Migrateはカスタマーの期待に答えて画期的な進歩をもたらすツールだ。既存の仮想マシンを維持しつつ、Kubernetesの利点をフルに活かせる。カスタマーは当初からすべての業務をクラウド・ネーティブのコンテナで処理できるとは限らない。カスタマーにとって重要なのはオペレーションのパラダイムの一貫性と継続性だ」と語った。

Anthos自体についてリン氏は「Googleは有望な手応えを感じている」と述べた。Googleはいくつかのクライアント企業のユースケースを紹介したが、その中にはドイツの空気圧縮機の大手、Kaeser Kompressorenやトルコの銀行、Denizbankが含まれていた。

リン氏によれば、多くの金融機関がAnthosプラットフォームに関心を示しているという。「データ駆動型アプリケーションでは複雑な処理が多数必要とされる。Kubernetesはこのような場合にうってつけだ。つまりデータ駆動型業務では分散した複数のデータベース、ウェブサイト、モバイル・デバイスからの入力を処理しなけれならない。多様なデータセットを対象にしなければならないため、単一のアプリケーションでは処理できないのが普通だ。しかも分析結果はリアルタイムで求められる。成果物はウェブブラウザやモバイルアプリで表示できなければならない。しかしこうした作業はGoogleの得意とするところだ」。

さらに今回のイベントでCloud Codeのベータ版が外れて一般公開された。 これはVisual Studio CodeやIntelliJなどのIDE向けのGoogleのエクステンションで、でロッパーがクラウドネーティブのアプリをコーディング、デバッグ、デプロイするのを効率化する。もちろん最終的な狙いはコンテナをビルドすることを助け、Kubernetesで利用できるようにすることだ。.

一般公開されたツールにはApigeeハイブリッドも加わった。 これはデベロッパー、オペレーターがAPIのトラフィックを管理することを助ける。 APIのホスティングにオンプレミス、クラウド、マルチクラウド、ハイブリッドを選択できるという。最近のエンタープライズではこのような複数の環境を利用することが珍しくなくなっている。これによりApigeeのAPIランタイムをハイブリッド環境で利用することも簡単になる。その場合でもApigeeクラウド上のモニター、分析ツールはフルに利用できるしAnthosにデプロイすることも可能だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google CloudがBare Metal Solutionで顧客機によるベアメタルサービスを提供

Google Cloudは米国時間11月20日、Bare Metal Solutionと名付けたベアメタル(物理サーバー)サービスを発表した。ただしそれは、Google Cloudが直接提供するベアメタルサービスではなく、Googleが認定したハードウェアを企業がGoogleのデータセンターに置き、そこでそれら専用のワークロードを動かし、Google Cloudの一連のサービスにも直接接続できるというものだ。このようなセットアップがふさわしいワークロードはデータベースだとGoogleは表明している。具体的にはOracle Databaseだ。

Bare Metal Solutionは、その名が示すとおり、この種のインフラストラクチャをセットアップするための完全に統合された、そして完全な管理を伴うソリューションだ。ハードウェアのインフラストラクチャも、サーバーだけでなく電源や冷房までも含むその全体が完全に管理される。Google Cloudとのサポート契約や課金はGoogleのシステムが扱いSLAもある。それらのマシンにデプロイされるソフトウェアは、Googleではなく顧客が管理する。

全体としての考え方は、特殊なワークロードを抱えた企業が容易にクラウドへ移行できるようにし、それによって、クラウドからのサービスがこれらのシステムのデータに便利にアクセスできるようにすることだ。機械学習がそんなワークロードの典型的な例だが、Googleの考えではこれによって企業が徐々に自己の技術的インフラストラクチャを現代化していける。ここで現代化とは、クラウドへの移行という意味だ。

Googleは「そういう特殊なワークロードは認定されたハードウェアと、ライセンスやサポートに関する複雑な協定を必要とする場合が多い。今回のソリューションはアプリケーションのインフラストラクチャの全体構造を現代化する経路を与え、それと同時に既存の投資とアーキテクチャを保全できる。またBare Metal Solutionで特殊なワークロードをGoogle Cloudに持ち込むことができ、各種のGCPサービスに最小のレイテンシーでアクセスおよび統合できる」と説明する。

このサービスはGoogle Cloudと同じ場所にあるので、同じリージョンのBare Metal SolutionとGoogle Cloudの間のデータの出入りは課金されない。

このソリューションで使うサーバーは、Oracle Databaseをはじめさまざまなアプリケーションの実行に関して認定され、構成は最小でも2ソケット16コアでメモリー384GB、最大は112コアでメモリー3072GBの4ソケットサーバーとなる。料金は月額制で、推奨契約期間は36か月だ。

もちろんこれは、完全に自力で用意するシステムではないから、その料金なども含めて、Googleの営業と話し合うことが第一歩になる。今、いろんな手段やサービスでエンタープライズ対応を手厚く進めているGoogle Cloudにとって、当然予想できたサービスだが。

関連記事:Google makes converting VMs to containers easier with the GA of Migrate for Anthos(GoogleはMigrate for AnthosでVMのコンテナ変換をサポート、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

文書補完機能の「Smart Compose」がGoogleドキュメントで利用可能に

米国時間11月20日、英国ロンドンで開催されたCloud Nextイベントで、Google CloudのThomas Kurian(トーマス・クリアン)CEOはG SuiteのGoogleドキュメント向けの新機能としてSmart Composeを発表した。AIを利用して文書作成を補助するものでGmailにはすでに導入されている。ただし新機能を使うためにはG Suite管理者がベータテストに登録する必要がある。対応言語は英語のみだ。

GmailのSmart Composeは、全世界で人々がタイプする文字数を毎週20億文字減らしている、とGoogleは言っている。私の経験でもこの機能は驚くほどうまくいっていて、公開以来改善を続けている(個人やユーザー全体の行動を学習して反映している)。同じ技術がGoogleドキュメントの長い文にどれほど適用できるかはまだわからないが、長い文も形式に沿っていることが多いので、アルゴリズムは有効に働くはずだ。

Googleが最初にSmart Composeを発表したのは2018年5月のGoogle I/Oデベロッパーカンファレンスだった。GoogleがSmart Reply機能のために開発したものと同じ機械学習技術を利用している。その後GoogleはSmart Composeを2018年7月からG Suiteおよび個人のGmailユーザーに公開し、後にモバイルアプリも対応した。

関連記事:GmailのSmart Composeで簡単に英文レターが書ける

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google Earthで誰でもストーリーやマップを作れるようになった

Google Earth(グーグル・アース)が大きく変わろうとしている。同プラットフォーム上で誰でも地図やストーリーを作れるコンテンツ作成ツールが公開された。これは2017年に公開されたVoyagerプログラムを拡張したもので、Voyagerにはさまざまな有名作家、科学者、NPOなどによるガイド付きツアーが導入され、BBC Earth、ジェーン・グドール、セサミストリート、NASAなどが参加している。

ツアーはテキストと映像の融合で、ストリートビューや360度ビデオによって利用者は世界中の目的地を没入体験して探究、学習することができる。

新しいコンテンツ作成ツールはVoyagerと同様の機能を提供し、ストリートビューの写真やGoogle Earthの3Dビューを使って自分だけのストーリーを作れる。プレースマーク(目印)、線、図形、写真、ビデオを追加したり、リッチテキストエディターで文字を配置したり、フルスクリーンのプレゼンテーション用にタイトル画面を作ることもできる。

出来上がったストーリーは、視聴者がプレゼンテーションを見ながらいろいろな場所に飛んで行けるように構成することもできる。共同作業も可能で、作品はGoogleドライブ経由で共有が可能。たとえば、教育者のグループが授業プランを補完するツアーを作るのにも使える。

アーリーアダプターたちはこうしたツールを使って、枯渇しそうな川南極探検を紹介したり、イタリアのルネサンス建築の3Dツアーを体験できるマップを既に作成している。ある教育NPOはこの機能を使って、ヤングアダルト向け小説「Walk Two Moons」(邦訳:めぐりめぐる月)にて出てくる場所を巡るツアーを作った。

このツールを教育に使う場面は容易に想像できる。教師は授業と現実を結びつけて、今学習している場所を詳しく観察できるストーリーを作れる。一方、もっと私的な利用方法を考える人たちもいるだろう。旅行のアイデアや死ぬまでに行ってみたい場所のリスト作成など。

Googleが2017年にVoyagerをプラットフォームとして公開したとき、同社はGoogle Earthの近代化も行い、最新のウェブブラウザーに対応した。つまり、Google Chromeのウェブアプリとして動作できる。

これらはすべて、Chromebooksを教室に持ち込もうというGoogleの壮大な計画と結びついている。Apple(アップル)やMicrosoft(マイクロソフト)と競合する分野でもある。

闘いは激化している。今週アップルのマーケティング担当上級副社長であるPhil Schiller(フィル・シラー)氏は、GoogleのChromebookを「ちゃち」で成功することはないと切り捨てた。調査によると、米国でK-12(年長から高3まで)の教室向けに購入されたノートパソコンとタブレット全体の60%はChromebookで、アップル製品は18%に過ぎなかったとCNBCが報じている

Google EarthのクリエイティブツールがGoogleドライブに統合されたことによって、Googleはまた新たな競争力を手に入れた。しかし教師が実際にこれらのツールを使うようになるかどうかは不明だ。プロが作ったツアーがすでに数多く作られている。Voyagerを使って。また、簡単に作れるとはいっても目的にあった写真やビデオや場所を見つけてテキストを書くのは時間のかかる作業だ。

ひとつ心配なのは、クリエイティブツールを広く公開することによって、Google Earthにスパムなどの不適切なコンテンツが出現し、教室で子どもたちが使うプラットフォームに広まる恐れがあることだ。Googleは、ポリシーに反するコンテンツを排除するための自動検出システムを開発済みで機械学習モデルも利用していると言っている。

Googleは、ユーザーがフラグを付ける仕組みも導入して不適切なコンテンツに対処できるようにしている。コンテンツにはユーザーの属性が明確に表示されているので、違反を繰り返すユーザーはコンテンツ作成を禁止されることになる。

新しいコンテンツ作成ツールはGoogle Earthのウェブアプリですでに公開されている。出来上がったプロジェクトはiOSとAndroidのGoogle Earthモバイルアプリを使ってスマートフォンやタブレットで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Adobeがカスタマーデータプラットフォームの提供を開始

カスタマーデータプラットフォーム(CDP)は、カスタマーエクスペリエンスの武器の集まりともいえる最新のツールだ。大手企業が複数のチャネルから集めた顧客データを扱うためにこれに取り組んでいる。米国時間11月14日、AdobeはCDPを一般に提供すると発表した。

画像:Towfiqu Photography / Getty Images

CDPは一人ひとりの顧客に関するあらゆる情報を保管するデータ倉庫のようなものだ。そのチャネルはWeb、メール、テキストメッセージ、チャット、実店舗への来店、そしてCRMやeコマース、POSといったシステムまで多岐にわたる。こうしたデータを1件のレコードにまとめ、企業が顧客を驚くほど詳細なレベルで深く把握しようとする。そして企業はこの情報を活用して、複数のチャネルにわたって高度にカスタマイズされた体験を提供することを目指す。

CDPは情報をすべて集め、マーケティング担当者に必要なツールを提供するものだ。Adobe Audience ManagerプロダクトマーケティングマネージャーのNina Caruso(ニーナ・カルーソ)氏は「マーケティング担当者がAdobe Experienceプラットフォームの利点をすべて活用できるようにしたい」と説明する。

マーケティング担当者が見たいデータを使いやすいようにダッシュボードなどでまとめて提示するが、その裏側ではAIと機械学習によって見やすいダッシュボードが生成されるので面倒な作業は不要と、カルーソ氏は語る。

さらに、Adobe Experienceプラットフォームの中の1カ所でリアルタイムのストリーミングデータにアクセスできるようになり、マーケティング担当者はこれまで以上に精密に市場のセグメントを作成できる。「マーケティング担当者が活用できるように、リアルタイムCDPの一環として統合されたプロモーションを製品化できるようにする。キャンペーンの対象となっているセグメントやオーディエンスを複数のチャネルで利用することで、カスタマージャーニーのライフサイクル全体を通して一貫した体験を提供できる」とカルーソ氏は言う。

危惧する人も多いと思うが、こうした情報をまとめることは、顧客に応じたカスタマイズを可能とするプラットフォームを実現する一方で、さまざまなセキュリティやプライバシーの危険性もはらんでいる。GDPRや今後施行されるカリフォルニア州消費者プライバシー法に関しては、特にそうだ。企業はプラットフォーム全体にわたってデータの使用ルールを遵守しなくてはならない。

そのためAdobeは、企業がデータ使用に関するルールを定めるのに役立つよう、Adobe Experienceプラットフォームのデータガバナンスに関する有効性も発表した。これは「(顧客が)データ使用ポリシーを実行し、データを適切に使用することで、さまざまなデータセットに関連する規則、義務、制限を遵守するためのフレームワーク」だという。

カルーソ氏は「我々のお客様がデータを適切に管理できるように、お客様に制御機能を提供する。プライバシーとさまざまなポリシーが重要になりつつある現状では、特に重要なことだ」と述べている。

CDPのツールはAdobeの利用者向けにすでに公開されている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

セールスフォースがService CloudにAmazon Connectを導入

Salesforce(セールスフォース)とAWSは継続的なパートナーシップの拡大を発表した。両社のパートナーシップは2016年のインフラサービスに関する4億ドル(約434億円)の合意に始まり、昨年には両社間でのデータの統合に拡大されていた。今年は、セールスフォースは同社のService Cloudのコールセンターソリューションの一部として、Amazon ConnectでAWSのテレフォニーと通話のトランスクリプション(文字起こし)サービスを提供すると発表した。

画像:vgajic / Getty Images)

Service Cloudプロダクトマネジメント担当バイスプレジデントのPatrick Beyries(パトリック・ベイリーズ)氏は「我々はAWSと戦略的パートナーシップを組んでいる。そのためお客様は我々からAmazon Connectを購入すれば、あらかじめ統合されていてすぐに通話をトランスクリプションできるし、もちろん通話の録音もできる」と説明する。

セールスフォースはほかのテレフォニーベンダーとも提携しているので、顧客はAmazonのソリューションのほか、Cisco、Avaya、Genesysからも選択できるとベイリーズ氏は語っていることに注目だ。

こうしたテレフォニーのパートナーシップはService Cloudのコールセンターサービスに足りない部分を埋めるもので、セールスフォースから直接、通話そのものにアクセスできるようになる。テレフォニーベンダーが通話のトランスクリプションを処理し、それをセールスフォースに渡す。するとセールスフォースはEinstein(アインシュタイン)という同社のAIレイヤーを使ってトランスクリプトを「読み取り」、CSRとして次にとるべきアクションをリアルタイムで提示する。こうしたことはチャットなどのチャネルでは可能だったが、音声のやりとりではできていなかった。

ベイリーズ氏は「会話が進むと、消費者はどういう問題が起きているかを説明する。Einsteinはその会話を『モニタリング』している。会話が決定的な局面になるとEinsteinはその内容を理解し、具体的な解決策を担当者に示す」と言う。

セールスフォースはService Cloudのこの新機能を来年春に試験的に開始する。一般への提供は来年夏になる見込みだ。

わずか1週間ほど前にセールスフォースは、同社のMarketing CloudをMicrosoft Azureに移行する大規模なパートナーシップを発表した。最近の一連の発表は、セールスフォースはビジネスの理にかなっていれば複数のクラウドパートナーとこれからも協力していくことを示している。今回はAmazonの番だった。

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(翻訳:Kaori Koyama)

マットレスの直販で成功したCasperのスタッフが今度は高級ドッグフードの直販に挑戦

ベッド用マットレスで成功したCasperの元メンバー3人が作ったスタートアップであるJinxは、CEOのTerri Rockovich(テリ・ロコビッチ)氏の言い方では「Casperのやり方」でドッグフードを売る。

同社はオールスターのような顔ぶれの投資家たちから565万ドル(6億1300万円)を調達した。その面々はInitialized CapitalのAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、Align Ventures、Brand Foundry、Wheelhouse Group、Will Smith(ウィル・スミス)氏と彼の家族、ラッパーのNas、歌手のHalsey(ホールジー)、YouTubeのスターで深夜番組のホストであるLilly Singh(リリー・シン)氏、テレビのパーソナリティーで元NFLのスターであるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏だ。

ロコビッチ氏はCasperで顧客獲得定着マーケティング担当の副社長だったとき、のちにJinxの共同創業者となるSameer Mehta(サメール・メタ)氏とMichael Kim(マイケル・キム)氏に出会った。3人とも犬大好き人間で、3人とも食べ物の好き嫌いの激しい犬に給餌した経験がある。そして3人とも、もっとミレニアル世代の消費者の感覚に合ったブランドに飢えていた。

しかしそれは、ふつうのドッグフードを変わったやり方で売ることでもない。ロコビッチ氏によると、米国では犬の56%が太り過ぎまたは肥満だ。そこで大きな栄養士団体から出向しているJinxの栄養士は、ほどほどにアクティブな動物のための、オーガニックなプロテインと起源が多様なプロテインと消化しやすい炭水化物から成るフードとおやつを開発した。

Jinx

Jinxの計画では、最初の製品を1月に発売する。ターゲットは、一定のライフスタイルを持った飼い主たちだ。例えば、アパートに居住、散歩を犬の散歩士に頼んでいる、ベッドで犬と一緒に寝るなどのライフスタイルだ。そして彼らに、これまで使っていたドッグフードの原料をよく調べるよう教育する。それは、Jinxで買ったものか、それともよそで買ったものか。

ロコビッチ氏は「身体の中に入ってライフスタイルの原動力になるものを作るのは、すごくシリアスな仕事である。私たちはそれを強く意識している。正直に言って、最初のスケジュールより遅れている。すべてを正しくやらなければならなかったから」と語る。

価格に関して同氏は「Jinxは高額商品になる」とコメント。高級ドッグフードのブランドをご存知の方のために申し上げると、それはBlue BuffaloとOrijenの中間ぐらいだ。ウェブサイトから消費者に直接売るが、ロコビッチ氏によるとCasper時代に学んだのは特にリテールの場合のIRLプレゼンス(In Real Life、オフライン性、実物性)の重要性だ。

関連記事:人間の食事並みの高級ドッグフードを犬の特性に合わせて調整するOllie

画像クレジット: Jinx

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

リーガルテックでオンラインでの紛争解決を目指すODR事業者協会が発足

一般社団法人ODR事業者協会は11月20日、同協会の発足会見を都内で開催した。ODRとは、Online Dispute Resolutionの略で、日本語に訳すとオンライン紛争解決のこと。

ざっくりいうと、弁護士に相談しても賠償金や和解金よりも弁護士費用のほうが高額になり、判決や和解までに時間のかかる訴訟を、裁判以外の方法で短期かつ低額で解決する方法のこと。海外では欧米を中心にODRが進んでおり、離婚を専門にしたWevorceやさまざまな問題をオンラインで解決するPeopleClaimなどの民間サービスがある。

東京弁護士会所属でレアラ取締役の大橋良二氏

日本では欧米などに比べて訴訟の数自体が少なく、弁護士に相談するというハードルも高いのが現状だ。弁護士ドットコムが集計したデータによると、法律トラブルに遭遇しても弁護士に相談して裁判などを起こす割合は2割と少なく、多くの人は時間的、金銭的な制約で泣き寝入りするケースが多い。同協会は、ODRを普及させることによって泣き寝入りしている8割の当事者の問題を解決することを目指す。

ODRでは、個人や企業が申し立てを行ったあと相手方の個人や企業が応諾すると、同協会が選抜した弁護士資格を持つ調停人(一部例外あり)が、双方の意見を聞いて調停に乗り出すという仕組みだ。調停にかかる費用などは賛助会員などから徴収するため、申し立てた側も応諾した側の基本的に調停費用はかからないという。

ODR事業者協会の具体的な活動としては、一般ユーザーがODRを使いやすくするために勉強会や海外の運用事例を含めた情報共有会などを定期的に開催する。また、ODRの存在を広く認知させるための情報発信や調停人の育成も進めていくという。賛助会員や企業会員が増えることでODRでトラブルを解決できる範囲が広まる。

一方で、近年弁護士数が増えたものの訴訟の数が比例していない現状もある。法律事務所に雇用されている「いそ弁」、事務所を間借りしながら独立採算で働く「ノキ弁」、さらには修習終了後にすぐに独立せざるを得ない即独弁護士も増えている。ODRには、資格があっても訴訟を担当できない弁護士をODRの調停人として育成し、弁護士キャリア形成の一環とする狙いもあるようだ。さらに同協会ではODRによって蓄積される情報をビックデータとして分析し、ODRの調停の精度を向上させる計画もある。

ODR事業者協会の構成メンバーは以下のとおり。

  • 代表理事:大橋良二氏(東京弁護士会、レアラ取締役)
  • 理事:早川吉尚氏(東京弁護士会、立教大学法学部教授、同大学大学院法務研究科教授)
  • 理事:横路俊一氏(札幌弁護士会、札幌学院大学特任教授)
  • 理事:山岸泰洋氏(東京弁護士会、弁護士法人一新総合法律事務所理事)
  • 理事:林 和成氏(レアラ代表取締役/CEO)
  • 理事:和田光弘氏(元日本弁護士連合副会長、日本弁護士連合会リーガルアクセスセンター委員長)
  • 賛助会員:損害保険ジャパン日本興亜
  • 企業会員:キビタス

なお、代表理事を務める大橋氏が所属するレアラは、弁護士向けの定型業務自動化や経営改善を実現するアプリを開発する、2019年3月設立のリーガルテック系スタートアップだ。企業会員のキビタスも、デジタル紛争解決プラットフォームを開発・運営する2019年4月設立のリーガルテック系スタートアップ。

内閣官房・日本経済再生総合事務局で参事官を務める川村尚永氏。裁判のIT化、クラウド化についての説明があった

ちなみにODRだけでなく、日本の司法はクラウド化、IT化が信じられないぐらい遅れている。各種書類は手渡し、郵送、もしくはFAX、訴訟記録は紙ベースで収入印紙なども必要だ。当事者は裁判所への出廷が必要で、しかも長時間、長期間拘束される。

そこで政府は裁判手続きのIT化を進めている。将来的には訴訟記録の電子化やウェブ会議システムの導入などを目指しているが、一部は法改正が必要になる。現行の民事訴訟法下でのIT化、クラウド化の試みとしては、第1回口頭弁論のあとに実施される、争点整理手続きや争点を確定するための話し合いにウェブ会議システムやファイル共有サービスが導入されるそうだ。まずは2020年2月ごろに、知的財産高等裁判所、地方裁判所6庁(東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松)で運用開始予定となってる。そして2020年5月には、地方裁判所5庁(横浜、さいたま、千葉、京都、神戸)での運用も見込まれている。ちなみにウェブ会議システムには、マイクロソフトのビデオ会議システムであるMicrosoft Teamが導入されるという。

ホスティングの古参LinodeがKubernetes Engineをベータでローンチ

ハイパークラウドの前には、Linode(リノード)やMediatemple(メディアテンプル)、HostGator(ホストゲーター)など、非常にたくさんのホスティングサービスがあり、自分の開発ニーズのためにそれらの仮想プライベートサーバーを手頃な料金で借りることができた。いまではそれらが日常の話題になることもないが、例外的にDigital Oceanは数年前にその低料金でクラウド市場への参入に成功し、現在のデベロッパーに適応したサービスを提供し続けている。当然ながらその適応サービスには、多くの場合コンテナのサポートが含まれるが、実はこのほどLinodeLinode Kubernetes Engine(LKE)を立ち上げた。

類似のサービスと同じく今年で16歳になるLinodeも、そのサービスにより従来よりも多くのデベロッパーが、この種のインフラストラクチャを管理するエキスパートでなくてもコンテナを採用できるようになると主張している。

LinodeのCEOで創業者のChristopher Aker(クリストファー・アーカー)氏は「Linode Kubernetes Engineをローンチして、Kubernetesをどんなデベロッパーでも使えるようにした。持ってるリソースや専門知識が十分でなくても、立派に使える。Kubernetesのクラスターの構成とノードのプロビジョニングと管理を自動化して、現代的なアプリケーションを速く容易に作れるし動かせるようにした。またリアルタイムのオートスケール機能と、無料のマスターサービス(主サービス)、そして直感的なクラウドマネージャーのインタフェイスとオープンAPIにより、デベロッパーは従来の複雑なコンテナ管理をバイパスして自分のイノベーションにフォーカスできる」と語る。

無論このサービスはLinodeのそのほかのツールを統合している。今ではそれは、ブロックとオブジェクトのストレージ、ロードバランシング、などなどのサーバーオプションだ。オートスケールをサポートしており、また高度なユーザーはHelmチャートやTerraform、Rancherなども利用できる。さらに、ワンクリックアプリサポート機能により、頻繁に使うアプリケーションを便利にデプロイできる。

Linodeのサービスは、すでに機能満載の他のプレーヤーで混み合っている市場に参入する。でもコンテナはまだまだこれからの技術だから、さまざまなツールの成長の余地も大きい。Kubernetesのようなツールがある今では、Linodeのような企業でも既存の顧客を超えた領域に進出し、顧客企業はおそらく最初はテスト用のプラットホームとしてツールとサービスを利用、その評価により本番利用にも採用、という過程になるのだろう。もちろん、いきなりLinodeの本番利用でも構わない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonが広告付き音楽ストリーミングサービスを米、英、独で無料提供

Amazon(アマゾン)は音楽ストリーミングサービスを無料にする。同社はこれまでAmazon Echoデバイスを所有している人だけに広告付きのストリーミングを無料で提供してきた。そして今回、この無料サービスの対象を、米国、英国、ドイツのAmazon Musicアプリ(iOS、Android)、Fire TV、ウェブ版Amazon Musicに広げる。

Amazonは料金を下げながら着実に音楽サービスを利用しやすいものにしてきた。例えば今年初めAmazonは、 Amazon Music UnlimitedからEchoデバイスへのストリーミングや、200万曲が聴けるPrime Musicにアクセスするのに Amazon Primeの料金を払っている顧客に課していた3.99ドル(約430円)を今後はチャージしないと発表した。そしてEcho所有者向けに広告付きの無料Amazon Musicの提供を始めた。このサービスのカタログには基本的にPrime Musicと同じ200万曲があり、ただ広告が入るだけで、プライム会員である必要はない。

このAmazon Musicをいま、Echo所有者に限らず誰でもあらゆるデバイスで無料で利用できるようにする。Pandoraと同じようにユーザーは曲、アーティスト、時代、ジャンルに基づいて何千ものステーションをかけることができる。また世界のトップソングを特集した「オールヒット」などのトッププレイリストや、「休日のお気に入り」といったステーションを利用することもできる。

Amazonの無料サービスのカタログは小さいので、このAmazonの動きは、SpotifyやPandoraのプレミアムサービス、Apple Musicといった有料購読サービスを脅かすものではない。また、SpotifyのDiscover Weeklyや他のカスタムプレイリストを支えているパーソナライゼーションテクノロジーという点でもさほど進んでいるわけではない。こうした機能は音楽ファンを引きつけるものであり、サービスを選ぶ基準となっている。

その代わり、Amazonの無料音楽サービスは、広告なしにするためにプライム会員になるよう促すことで消費者により高額なサービスを販売する手法となる。(Prime Musicの200万の曲はプライム会員にサービスとして付いてくる)。そしてAmazonの真意は次のとおりだ。Amazonプライムに多くの客を取り込み、送料無料や他のメリットの価値を認識させることで、Amazonプライムを毎年更新してもらうこと。一度プライム会員になれば、よりAmazonで買い物するようになり、Amazonはもうかる。

無料の音楽サービスはまた、Amazonのより広い音楽エコシステムへの入り口にもなる。もし利用者が広告なしで多くの音楽を楽しみたいと思ったら、Amazon Music Unlimitedに切り替えることができる。このサービスは5000万曲を有し、プライム会員向けに月7.99ドル(約860円)で、非会員向けには月9.99ドル(約1100円)で提供されている。真のオーディオファイルで楽しみたい人はAmazon Music HDにアップグレードでき、こちらはプライム会員向けに月12.99ドル(約1400円)、非会員向けには月14.99ドル(約1600円)で提供されている。Amazonは目下、4カ月のAmazon Music Unlimited利用料金を0.99ドル(約110円)としている。

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(翻訳:Mizoguchi)

Valve、Half-LifeのVRタイトルを開発中と発表

何年も前から噂になっていたが、Valve(バルブ)はVR(バーチャルリアリティー)向けのHalf-Lifeタイトルを開発している。

新タイトルの公式発表はValveの新しいTwitterアカウントで行われ、同社は今週中にさらなる詳細の公開を約束している。

新しいアカウントからの最初のツイートでこのようなニュースを流すのは少々奇妙だが、Valveの古くからの公式Streamアカウントもニュースをリツイートしているため、これは本物であることがわかる。

残念ながら、私たちは米国時間11月21日の午前10時まで、新タイトル「Half-Life: Alyx」について知り得ない。12年前にValveが「Half-Life」の筋書きを途中でやめたとき、シリーズは中断してしまったが、ようやくAlyx Vance(Half-Life 2のNPCキャラクター)の結末を知ることになる。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

グーグルがレガシーアプリをクラウド上で共存させるCloudSimpleを買収

ほんの数カ月前、Google(グーグル)はCloudSimpleとの提携を発表し、より多くの企業チームがオンサイト業務をクラウドに移行できるよう支援した。そして現在、GoogleはCloudSimpleを買収すると発表した。

そもそも、CloudSimpleとは何なのだろうか。企業はVMWare vSphereのワークロードをクラウド上で実行できるようになり、既存のツールやデータベースを最小限の修正でGoogle Cloudに接続できるようになる。

TechCrunchのFrederic Lardinois(フレデリック・ラルディーノア)記者は、最初の提携の際に以下の記事を出している。

関連記事:Google CloudがVMwareのレガシーアプリケーションをクラウド上に共存させるツールを発表

Googleはすべての企業がコンテナに移行して、Anthosハイブリッドクラウドサービスを利用することを望んでいることは確かだが、現在大企業の多くはVMwareを使用している。企業はワークロードをパブリッククラウドに移行したいと考えているようだが、長年使用してきたツールを廃止する準備ができていない。

CloudSimpleはGoogle Cloudに加えて、Microsoft(マイクロソフト)のAzureプラットフォームもサポートしている。このサポートが買収後も継続されるかどうかは不明だ。TechCrunchはこの詳細についてGoogleに問い合わせているが、同社はコメントを避け、今回の発表に関するブログ記事へのリンクを提示している(ただし、Azureについての言及はない)。

また、買収の条件はまだ明らかにされていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter