「人事労務freee」と「SmartHR」がAPI連携開始、労務手続きと給与計算をよりシームレスに

クラウド型の人事労務ソフト「人事労務freee」と「SmartHR」が、1月21日よりAPI連携を開始した。

経理・会計ソフトのfreeeが生んだ人事労務freeeは、給与計算機能に強みを持ち、勤怠管理・労務管理機能を持った統合プロダクト。一方、SmartHRは社会保険・雇用保険の電子申請機能など、行政手続きに対応。入社手続きや年末調整といった労務手続きに特化したプロダクトだ。

今回のAPI連携では、人事労務freee、またはSmartHRのいずれか一方に従業員情報が登録されていれば、もう一方に転記することなく、従業員情報が同期できるようになった。これにより、双方のサービスが得意とする機能をシームレスに活用することが可能となる。

SmartHRでは、2018年に外部サービスとの連携強化や拡張機能ストア公開など、プラットフォーム化構想を打ち出している。今回のAPI連携にあたり、SmartHRは「今後も外部連携の強化と、拡張機能が追加できる『Plusアプリ』の開発・提供により、SmartHRの設計を複雑にすることなく、多様化するユーザーのニーズにお応えし、SmartHRのプラットフォーム化を実現していく」としている。

面倒な“行政手続き”をITでスマートにするグラファーが1.8億円を調達

近年FinTechやHR Tech、リーガルテックなどテクノロジーを用いて“レガシー”な産業をアップデートしようと立ち上がったスタートアップが存在感を放っている。

1月21日に複数の投資家から1.8億円を調達したグラファーもその1社。同社が挑むのは個人や事業者が日常的に直面する様々な「行政手続き」の最適化であり、いわゆる「Govtech(ガブテック / 政府×テクノロジー)」領域のスタートアップだ。

プレシリーズAとなる今回のラウンドでは500 Startups Japan、インキュベイトファンド、および個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施。法人登記簿謄本の取得手続きがオンライン上でスピーディーに完結する「Graffer法人登記簿謄本取寄せ」など既存サービスの機能拡充に加え、2月に予定している新サービスに向けて開発面を中心に組織体制を強化する。

なおグラファーは2017年7月の創業期にもインキュベイトファンドから9000万円を調達済みだ。

アナログが主流の行政手続きをアップデートする

世の中であらゆるサービスのオンライン化が急速に進む中で、行政手続きは未だにアナログな要素が多い領域だ。

僕も昨年パスポートの更新のために最寄りの地域振興局に行ってきたけれど、住民票の写しなど「各種証明書の取得」や転出・転入、結婚、出生を始めとした「ライフイベントにまつわる関連手続き」といった目的で、誰しも一度は自治体の窓口を訪れた経験があるのではないだろうか。

もちろん行政手続きの対象は個人だけではない。事業者にも登記申請や登記事項証明書の取得、印鑑証明書の取得など様々な手続きが存在する。

これらの多くは市役所や法務局などの担当窓口に足を運び、紙の書類に手書きで記入するのが主流だ。ウェブサイトから電子申請ができる手続きもあるが、そもそも知られていなかったり、使い勝手に改善の余地があったりと十分に浸透しているとは言えないだろう。

また各手続きごとに別々のサイトや窓口で個別に進める必要がある、自治体によって進め方が異なる、など利用者にしてみればもっとわかりやすくなればいいなと感じる部分も多い。

そこに目をつけたのがグラファーだ。同社では行政手続きに関する「そもそもどんな手続きが必要なのかがわからない」という悩みと、それにまつわる膨大な手間をテクノロジーを活用しながら解決する。

行政手続きの「わからない」と「めんどくさい」を解決

2018年1月にリリースしたGraffer法人登記簿謄本取寄せはその代表例だ。プロダクト自体は非常にシンプル。ウェブサイトから謄本の取得手続きを実施でき、指定の住所まで届けてくれる(PDFで登記情報を閲覧することも可能)。

謄本を取得するためだけにスケジュールを調整してわざわざ法務局まで出向くことなく、スマホやPCから1〜2分で必要な手続きが完結。以前入力した情報を引き継ぐことで2回目以降は1クリックで済む。支払いはクレジットカード決済で、24時間365日受付可能だ。

以前から法務省でも「かんたん証明書請求」というサービスを公開してはいるものの、スマホからサクッと使える設計にはなっていない。支払い手段も銀行振込で、かつ平日の限られた時間帯にしか支払いできないなど、ユーザービリティの面で改善できる余地があった。

Graffer法人登記簿謄本取寄せは代行料という形でユーザーから直接利用料をもらう仕組みのため、ユーザーの視点では通常の取得手数料よりも高くなる構造。ただそれでも不便だと感じている人が多いようで、開始約1年で1400以上の企業・団体に利用されたという。

利用者からの要望に応じて、2月5日には法人印鑑証明書の取得請求をオンライン化する「Graffer法人証明書請求」のリリースも予定している。

通常この手続きは法務局の窓口に行くほか、手数料分の収入印紙を同封し書留等にて郵送申請を行う、もしくは法人の電子証明書を事前に取得した上で平日の8時〜21時に法務局の申請用総合ソフトで申請を行い、ネットバンクかATMで手数料を納付する必要があった。

今回のサービスでは登記簿謄本と同様にシンプルなインターフェースから手続きを進めることができ、カード決済にも対応。電子証明が必要にはなるものの、専用ソフトのインストールをする手間なくオンラインで印鑑証明書の取得請求が完結する。

裏側では独自のBotが法務省のサイトやアプリケーションを動かし、面倒な処理を実行。ユーザーとしては最低限の作業をするだけで、これまで手間だと感じていた複雑な手続きから解放されるのが特徴だ。

これは事業者向けのサービスならず、グラファーが運営する他のサービスにも共通する。2018年10月にリリースした「Grafferフォーム」は、住民票など各種証明書の請求をスムーズにする個人向けのサービス。書類作成から決済まで全てオンライン上で行えるのがウリで、郵送手続きが可能な1733自治体の3414手続きに対応する。

こちらも裏側では各自治体の手続き書式データを集め、オンライン上で入力できるフォームに転換。ユーザーからの申込情報を基に書類を作り、印刷や役所への郵送作業をグラファーで代行する仕組みだ。

返信用封筒や定額小為替など、場合によっては必要となる同封物の準備もお任せできる。

個人の手続きをサポートするサービスとしては行政手続き情報メディア「くらしのてつづき」も運営。wikiのような形で各手続きの解説がまとめられているほか、質問に答えていくと「転入」や「結婚」など各ライフイベントごとに必要な手続きを洗い出せる「手続きガイド(全国版)」を備える。

ただ各手続きに関しては、フローや窓口が自治体ごとでも異なるため、利用者にとっては自分が住む町のやり方をパパッと調べたいというニーズが強い。そこで“自治体向けのSaaS”のような形で、各自治体が内容をカスタマイズできるように「Graffer手続きガイド」として展開している。

1枚のエクセルシートで質問の順番や出し方を調整できるほか、ToDO管理の機能や書類の作成機能なども今後搭載していく計画。3自治体で導入決定済みとのことで、以下は鎌倉市の試験運用ページだ。

行政と利用者の接点を民間サービスとして提供

「マスに使われるようなサービスを作りたい」グラファーのアイデアはそんなディスカッションから生まれた。

ディスカッションの主は同社の創業者で代表取締役CEOを務める石井大地氏と、共同創業者でありインキュベイトファンドの代表パートナーでもある村田祐介氏だ。

石井氏は小説家としてプロデビューを果たした後で起業家に転身するという珍しい経歴の持ち主で、起業後に医療系スタートアップのメドレーで執行役員に就任。前職ではリクルートホールディングスで事業戦略の策定や国内外のテクノロジー企業へ投資をしていた経験もある。

父親が公務員だったため業界の課題を身近に感じる部分もあり、行政スタートアップは面白そうだと感じたと話す石井氏。一方で「それがビジネスとして成り立つのか、始めた当初は自分でも半信半疑だった」(石井氏)が、リサーチを進める中で海外の試算では多額の行政コストを事業者が負担していることがわかった。

日本国内においても事業者が年間数兆円規模の人件費を行政手続きに費やしていると推定できることから、このコストを市場と捉え“誰もが避けて通れない行政手続き”をテクノロジーで最適化するチャレンジを決めたという。

海外ではSeamlessDocsを始め大型の資金調達をしているGovtechスタートアップがあり、この領域に特化したGovtech Fundなども存在するなど、近年注目されている領域の1つだ。

日本でもグラファーのように行政手続きに関するサービスを次々と立ち上げているスタートアップは珍しいが、たとえば「SmartHR」や先日紹介した法人登記支援サービスの「AI-CON 登記」なども広い意味でこの領域に関連するプロダクトだと言えるだろう。

「今手掛けているサービスだけをやりたくて会社を始めたわけではない」と石井氏が話すように、グラファーでは今後もユーザーやマーケットの状況を見ながら“行政と利用者の接点”となるようなサービスを増やしていく計画だ。

プライバシー活動家、データアクセスでAmazonやAppleを告訴

欧州のプライバシー活動家Max Schremsは新たにテック大企業を告訴した。ここにはAmazon、Apple、Netflix、Spotify、YouTubeなどが含まれる。

Schremsの非営利のプライバシーとデジタルにかかる権利団体noybを通じて行われた告訴は、そうしたテック企業によるサービスが地域のデータ保護規則に照らしてどのようにデータアクセスリクエストに応えているかについてのものだ。

欧州一般データ保護規則(GDPR)の第15条ではデータ主体によるアクセス権が認められている。

告訴では、テック企業が構造的にこの権利を踏みにじっていると主張している。データアクセスのリクエストに応える自動システムを構築したが、noybが試してみたところ、法的に認められた関連する全ての情報を提供しなかった。

実際、noybは全部で8企業を欧州8カ国で試し、どのサービスの反応も満足するものではなかった、としている。noybは8企業を相手にオーストリアデータ保護当局に告訴した。この8企業には音楽とポッドキャストのプラットフォームSoundCloud、スポーツストリーミングサービスDAZN、ビデオオンデマンドプラットフォームFlimmitも含まれている。

GDPR第80条では、データ主体をnoybのような非営利団体が代表することができるとしていて、告訴はユーザー10人を代表して提出された。

下記に、noybが行なったテストの結果の詳細を示している。ここには各企業が直面するかもしれない罰金の最大額も示されている。

noybによると、8社のうちDAZNとSoundCloudの2社は全く対応せず、残る6社も部分的なデータのみの対応だった。

また、生のデータ取得に加え、ユーザーはソースや受取人、彼らの情報の情報が処理された目的を知る権利を有する、とnoybは指摘する。しかしFlimmitとNetflixだけがテストリクエストに対する反応でバックグラウンド情報(しかしフルデータではない)を提供した。

「多くのサービスがアクセスリクエストに対応する自動システムを設定しているが、ユーザー全員が権利を有するデータをリモートですら提供しなかった」とSchremsは声明文で述べている。「ほとんどのケースでは、ユーザーは生データを得ただけだった。しかしたとえば、そのデータが誰とシェアされたのかについては情報がない。こうしたシステムは関連情報を差し控えるように設計されていて、これは構造的にユーザーの権利の侵害につながる」。

TechCrunchは訴状にある企業にコメントを求めている。アップデートSpotifyは「我が社はデータのプライバシーと、ユーザーに対する義務を極めて真剣にとらえている。国内、そして我々が完全に受け入れていると確信しているGDPRを含む海外の関連する法律に従っている」とコメントした。

昨年5月、欧州の新たなプライバシー法律が施行された直後にnoybは計画していた第一陣の告訴を行なった。この告訴は“強制された同意”と名付けたものをターゲットとしていて、Facebook、Instagram、WhatsApp 、GoogleのAndroid OSではサービス利用にあたっては同意を必須としていて、ユーザーに彼らのデータを広告向けに処理することに対する同意について選択の自由を与えていない、としている。

この告訴については多くのデータ保護当局による調査が今も続いている。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)

バックアップサービスのBackblazeが6.0へアップデート、ストレージも容量アップ

Backblazeは元々、消費者向けのバックアップサービスだったが、最近ではクラウドストレージなど、そのほかのサービスも提供している。しかし今日(米国時間1/17)は元のルーツに戻り、Backblaze Cloud Backup version 6.0をローンチした。その同社のメインのサービスは、無制限のストレージとデータ転送をユーザーに提供している。

今回のアップデートにより、最大50%のスピードアップとオーバヘッドの減少が提供され、そしてまた、モバイルのホットスポットを使っているとき、ISPの帯域不足などにより有料のネットワークを使ってしまうことを防ぐ。このほか、Googleのシングルサインオンがサポートされる。

ユーザーはバックアップされるスナップショットをBackblazeのクラウドストレージサービスB2に保存できる。これによりたとえば、古いコンピューターのデータをすべて保存して、新しいコンピューターへ移行できる。また恒久的なアーカイブとして使ってもよいし、すべてのSteamダウンロードをB2に移して自機のスペースを確保するような使い方でもよい。ユーザーが自分のバックアップからファイルをリストアするときと同じく、直接ダウンロードしてもよいし、あるいはUSBドライブにコピーしたものを送ってもらってもよい。

USBドライブといえば、BackblazeはそのUSBキーの容量を256GBに倍増し、ハードディスクは最大8TBを保存できる。8TBで契約しても、そんなに使わなければ返金してもらえる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

紙の契約書にまるでクラウドのような体験を、法務書類の共有サービス「hubble」に新サービス

最近、TechCrunch Japanでも「リーガルテック」と呼ばれるサービスを紹介することが多くなった。クラウド契約サービスの「Holmes」や、TechCrunch Tokyo 2018のスタートアップバトルにも登場したGVA Techの「AI-CON」シリーズなどがその例だ。

ただその一方で、特に契約書など法務関連の書類はいまだにWord文化が強いとの考えから、Wordとクラウドのあいだの「橋渡し」を担うリーガルテック系サービスを開発するスタートアップがある。Wordドキュメントの共有サービス「hubble」を手がけるRUCだ。

契約関連書類の共有・管理に適したhubbleの特徴は大きく分けて3つある。ローカルのWordファイルを従来よりも簡単に共有・管理できること、ドキュメントの編集履歴やコメント履歴を自動で記録(バージョン管理)できること、そして複数人で同時に並行編集できることだ。保存ボタンひとつで書類を簡単に共有することができ、編集ログも残るので複数人での契約書作成などにも使いやすい。

また、電子契約サービスのクラウドサイン、DocuSign、AgreeとのAPI連携しているため、hubbleで作成した契約書であれば電子契約までシームレスに行うことができる。

hubbleについては2018年7月の先行リリース時にも紹介しているが、その後2018年10月に正式リリース。導入社数などの数字は公表されていないが、サービスへの問い合わせは約300件。上場企業から弁護士事務所まで幅広い法人から引き合いがあり、上場済みのIT企業を中心に導入が進んでいるという。

そのRUCは本日、新サービスの「押印代行サービス」を発表。従来のhubbleはデータ化された契約書を扱うサービスだったが、それに加えて「紙の契約書」の保管・管理業務にも拡大する。

本サービスでは、ユーザーがhubble上のボタンをクリックすると、RUCがhubbleに保存された契約書を印刷し、押印、契約先への郵送および保管までのすべてを一括して代行する。契約先に郵送された書類が押印されて返ってくると、その書類はhubbleにデータとして保存される。そのため、郵送などのアナログな部分はRUCが行うものの、ユーザーは紙の契約書でもクラウドサービスのような体験を得ることができるというわけだ。

RUCはプレスリリース上で、「昨今、日本において電子契約の普及が著しいものの、その普及率は約2割に過ぎない」とサービス開発の背景を説明。紙の契約書でもクラウドのような体験をユーザーに与えることが目標だという。

価格設定などはまだ検討段階だが、月あたり10通を上限として、月額1万円プラス送料などの実費分を課金することを検討している。サービス開始は2019年2月の予定だ。

SBI損保、LINEで写真と位置情報を送るだけで事故報告が完了する新サービス

SBI損害保険(以下、SBI損保)はメッセージアプリ「LINE」のトーク上で事故受付を完了できる新サービスを1月17日より開始した。トーク画面上に表示される「自動車事故LINE受付」というボタンをタップし、損害状況を移した写真とスマホから取得した位置情報を送るだけで事故報告が完了する。

事故を起こした直後の電話では、気が動転して事故状況や現在位置を的確に伝えることができないこともある。一方、今回の新サービスでは、ユーザーが普段から見慣れたUI上で写真と位置情報を送るだけでいいので、より正確な情報をスピーディーに伝達することが可能だ。それを考えると、このサービスはユーザーにとってはもちろん、SBI損保にとってもメリットが大きいサービスと言えるだろう。

SBI損保は2017年12月にLINE公式アカウントを開設。同社はこれまでにも、LINEで自動車保険証券や車検証などをアップロードするだけで保険料の見積もりがとれる「カンタン見積もり」を提供してきた。

引越しシェアの「Hi!MOVE」はトラックの共有で低価格実現、荷物写真を使った即時見積もりも

時間が経つのは本当にあっという間だ。つい先日2019年がスタートしたと思いきや、気づけば1月もすでに半分以上が経過した。今の時期と言えば、4月から新たな環境でチャレンジを始めるにあたって、そろそろ引越しの準備を本格的に始めようという人もいるのではないだろうか。

本日1月18日にリリースされた「Hi!MOVE」は、シェアリングエコノミーの概念を取り入れた“新しい引越し体験”を提案するサービスだ。トラックをシェアすることで「少しでも引越し料金を抑えたい」というユーザーに新たな選択肢を提供するとともに、荷物の写真を撮ることで手軽に見積もりを算出できる仕組みを構築した。

荷物写真を用いて即時見積もり、トラックのシェアで低価格実現も

同サービスでは引越し予定日や現在および新居の住所・間取りといった最低限の住所を入力し、荷物の写真を撮るだけで即座に見積もりを確認することができる。

一般的な引越し会社のサイトや一括見積もりサービスの場合、最初の段階で名前や電話番号といった個人情報を求められたり、家財情報など多くの項目を入力しなければ次のステップへ進めないケースも多かった。一方でHi!MOVEは基本情報と荷物写真から算出された金額にユーザーが納得した場合のみ、詳しい情報を入力して手続きを進めるフローを採用している。

手元のスマホを使って対象となるモノの写真を取ればその場ですぐに料金が表示され、その情報を基に申し込みの意思決定ができるという点は「CASH」を始めとする即時買取サービスの体験にも似ているかもしれない。

またHi!MOVEは単に見積もりをすぐに確認できるだけでなく、一般的な相場よりも料金を安くできるのも特徴だ。

上述した通り同サービスでは1台のトラックを複数の引越しでシェアするほか、作業時間フリーを前提とすることでトラックの空き時間や空きスペースを有効活用。運営元のGLIDEで代表取締役を務める荒木孝博氏によると「(一般的な貸切型の引越しと比べて)だいたい3〜4割は安い価格を提示できる想定」だという。

もちろん多少高くても時間をピンポイントで指定したいユーザーにとっては従来の仕組みの方が使いやすいかもしれない。ただ近年話題になっている「引越し難民」のように、料金がネックになって引越しができずに困っている人には新しい選択肢になりうるだろう。

Hi!MOVEではまず1名の引越しを対象に、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県からスタートする計画。サービスの利用状況などを踏まえながら対象ユーザーやエリアの拡大を進めるほか、相場確認から支払いまでをスマホで完結できるクレカ決済やQRコード決済機能(現時点の決済方法は指定口座への振込み)、トラックの空満状況を表示する機能、不用品の買取オークションサービスなども検討していくという。

「引越し一括見積もりサイト」を5年続ける中で見つけた課題

2014年1月創業のGLIDEは、これまで5年間に渡って「引越し達人セレクト」という引越し一括見積サイトを運営してきた。

約20年ほどの歴史があるというこの業界においては後発ながら、ここ2〜3年で着実に実績を積み上げてきた同社。その反面いくつかの課題にも直面し「件数が伸びてきた中で今後もこのモデルだけで続けるのはどうなのだろうということもあり、何かしら新しいサービスにも取り組みたいと考えていた」(荒木氏)という。

実際に引越しを検討するユーザー側にとって、一括見積サイトは一度情報を入力すれば複数社の見積もりが確認できるという点では効率が良い仕組みだ。ただ僕自身も経験があるのだけど、各社からひっきりなしに電話がかかってきて、毎回似たようなやりとりを繰り返すのはなかなか大変。人によっては相当ストレスに感じるかもしれない。

荒木氏の話でも、やはり引越し会社とのやりとりで不便を感じているユーザーが一定数いたほか、見積もりをすぐに調べたいというニーズや、(最初の段階で)個人情報を提供するのに抵抗があるという声も多かったという。

引越し業者としても一括見積サイトは重要な集客チャネルとなっている反面、相見積もりが前提となるため成約率が低いことや、特に中小の業者ではスタッフの人数が限られていて十分な対応ができないことが課題だ。

これらに加えて、近年は引越し業者の人手不足などが原因となり引越し難民のような新たな社会問題も生まれている。

「昔は繁忙期で需要があれば何が何でも対応するという企業もあったが、今は労基問題や人手不足などもあり1日あたりに対応できる件数が限られてきている。取扱件数が減少すれば引越し料金の高騰も続くので、引越し難民問題を解決するには引越し業者の生産性向上をサポートし、人手不足を解決する仕組みが不可欠だ」(荒木氏)

Hi!MOVEの場合は同サービスが引越し案件を集客し、引越しが確定したユーザーのみをプラットフォーム上で業者にマッチングする。具体的にはユーザーからどのような依頼が来ているのかを示す「発注依頼表」のようなものを共通のデータベースで共有し、それを各業者が取りにくるような構造だ。

業者の視点では確定した案件だけが紹介されるので営業人件費などのコストを削減できるほか、空いている時間やスペースといったリソースを有効活用できればトラック1台当たりの受注を増やすことにも繋がる。これまで十分な対応ができず、取りこぼしてしまっていたような案件をカバーできる可能性もあるだろう。

イメージとしては「ラクスル」に近いという旨の話もあったが、確かにシェアリングを軸に業界の仕組みをアップデートするという意味では共通する部分がありそうだ。

「(双方にこの仕組みがどれほど受け入れるかなど含めて)ハードルとしては結構高く、自分たちにとっても大きなチャレンジ。引越し会社の賛同がないと難しく、そこも含めて構想からここまで時間をかけて取り組んできた。引越しで不便や課題を感じている人たちをサポートするとともに、良いサービスを提供している引越し会社を少しでも応援できる仕組みを目指していきたい」(荒木氏)

Webマーケ支援のADlive、XTech Venturesなどから1億6000万円調達

中小企業を対象にWebマーケティング支援などを行うADlive(アドリヴ)は1月18日、XTech Venturesとみずほキャピタルから1億6000万円を調達したと発表した。

ADliveは中小企業に特化したWebマーケティングを手がけるスタートアップだ。Webサイト制作、保守・運用、多言語化サポートなどをパッケージにしたコンサルティングソリューションの「URUURERU」を提供するほか、広告やWebサイトのクリエイティブ制作、営業ツールの開発などを行う。

同社は2017年5月にURUURERUを提供開始。中小企業を中心に、これまでに約500社をクライアントとして獲得している。1社あたりの平均顧客単価は30万円程度だという。

ADliveは今回調達した資金を利用して、今後も中小企業向けのプロモーションを続けるとともに、アジア諸国への展開にも取り組んでいくという。

美容医療の経験や悩みをシェアするSNS「Meily」が資金調達

メイリーCEOの川井優恵乃氏(写真中央)と、NOW共同代表の家入一真氏(写真左)、梶谷亮介(写真右)

美容医療SNS「Meily(メイリー)」を運営するメイリーは1月18日、NOW、YJキャピタル、EastVentures、およびフリークアウト代表取締役の本田謙氏など複数の個人投資家から数千万円規模の資金調達を完了したと発表した。

2018年4月にリリースしたMeilyは、美容整形をした人や近い将来したい人が交流するSNSだ。他のユーザーの施術例を写真で見たり、Q&A機能を通じて他のユーザーに質問したりできる。現在のユーザー数やダウンロード数は非公開とのことだが、同サービス上では現時点で1万件以上の投稿が寄せられているという。

従来、美容整形に関する情報を集める手段としてはWeb上のポータルサイトや口コミサイト、Twitter、Instagramなどの既存SNSなどがあった。しかし、美容整形に関する情報は複数サイト(サービス)に分散している、信憑性に欠ける、美容整形に特化していないSNSでは情報の検索性が低いなどの問題があった。そのことから、代表取締役の川井優恵乃氏を中心として6人の開発メンバーが集まり開発したのがMeilyだ。

川井氏自身も過去に美容整形を行った経験をもつ。大学在学中に総額430万円もの費用をかけて美容整形を行ったという。川井氏は自身が身をもって感じた課題感をもとに創業を決意。マッチングアプリの「Tinder」で創業メンバーを見つけ、同じくマッチングアプリの「paters」で先輩起業家や投資家などとのコネクションを作りながらMeilyのアイデアを徐々に形にしていった。創業後、メイリーはYJキャピタルとEastVenturesが共同で運営するアクセラレーターの「CodeRepublic」に採択され、同アクセラレーターから700万円を調達している。

メイリーにとって、今回の調達ラウンドは2回目となる。同社は今回調達した資金を利用して、開発体制の強化を図るほか、ユーザー獲得のためのプロモーションにも力を入れる。川井氏は、「美容医療や美容整形のハードルを下げるためには、今のプロダクトだけではカバーできない点もある。心理的なハードルを取り除く保険や金銭的なハードルを取り除く金融のサービスも必要だと感じている」と話し、回答率やその質の向上などに取り組むほか、関連事業への意欲も見せた。

AWSがBackupをローンチ、完全な管理を伴うバックアップサービスだ

AmazonのクラウドコンピューティングサービスAWSが今日(米国時間1/16)、AWSのサービスからはもちろんオンプレミスのアプリケーションからも容易にデータをバックアップできるツールBackupをローンチした。それは今すでにAWSのユーザーなら誰もが利用でき、最初はバックアップのポリシーをセットアップする。それらはたとえば、Amazon EBSのボリュームやRDSデータベース、DynamoDBのテーブル、EFSファイルシステム、AWS Storage Gatewayのボリュームなどのためのポリシーだ。これら以外のそのほかのサービスも今後サポートされる。オンプレミスのデータをバックアップするためには、AWS Storage Gatewayを使用する。

このサービスによりユーザーは、さまざまなバックアップポリシーやリテンションポリシーを定義できる。たとえば、(EFSなどの)バックアップをコールドストレージに移せるようにするのか、一定の時間後に完全に削除するのか、など。デフォルトでは、データはAmazon S3のバケットに保存される。

サポートされているサービスの多くは、EFSファイルシステムを除き、すでにスナップショットを作る機能がある。基本的にBackupのやることは、その工程の自動化であり、またそのためのルールを設けることだ。というわけでBackupの利用料金は、スナップショット機能の使用料と同じだ(ファイルシステムのバックアップのみGB単位の課金となる)。なお、EFSファイルシステムや、DynamoDBのバックアップからのデータのリストアも、GB単位の課金だ。

現在、BackupはAWSのひとつのリージョンに限定されているが、同社によると年内には複数のリージョンにまたがるバックアップもできるようにする。

AWSでストレージとオートメーションと管理サービスを担当しているVP Bill Vassはこう言う: “クラウドは今や、どんな規模の企業でもデフォルトだから、二つの異なるタイプのビルダーを惹きつけている。ひとつは“いじくり屋”(tinkerers)で、AWSのサービスの全体をいじくり微調整して求めるアーキテクチャを実現する。もうひとつは、やはりAWSの機能性の幅広さと深さに惹かれるのだが、サービスの粒度の一部を犠牲にして、より高い抽象化層でスタートする。それによりビルドがもっと速くなることすらある。AWSのBackupは、後者のタイプのビルダーが対象であり、かねてから彼らは、個々のサービスごとにバックアップをするのではなく、一箇所でバックアップしたい、という要望を寄せていた”。

AWS BackupのアーリーアドプターはState Street Corporation, Smile Brands, そしてRackspaceだが、アドミンの仕事を楽にしてくれるから、ユーザーはとても多くなるだろう。しかしAWSにはバックアップやストレージ関連のパートナーがかなりいるから、AWSのこの市場への進出を喜ばない人たちもいるはずだ。彼らには、AWSのBackupよりも幅広い機能性(クロスリージョンやオフサイトバックアップなど)があることが多いのだから。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SCOUTERが月額制リファレンスチェックサービス「back check」β版の事前登録を開始

有名な企業に務めている誰もが優秀なわけではないが、採用選考時には候補者が所属する会社の知名度によって合否が左右されることは珍しくはないだろう。だが一人当たりの転職回数が増え、副業やフリーランスを始めとした働き方が多様化した結果、従来の履歴書や職務経歴書から取得できる所属企業の知名度、在籍期間、転職回数といった情報は意味を持たなくなりつつある。

そんな時代に重要となってくるのがリファレンスチェックだ。クラウド求人プラットフォーム「SARDINE」などを提供するSCOUTERが1月17日、採用候補者の同僚や上司などから簡単にリファレンスを取得できるリファレンスチェックサービス「back check」β版の事前登録を開始したので紹介したい。

back checkはリファレンスチェックのサービスで、面接や書類からだけでは見えてこない採用候補者の経歴や実績に関する情報を、候補者の上司や同僚といった一緒に働いた経験のある第三者から取得することができる。要するに採用後のミスマッチや職歴詐欺を防げたり、逆に面接では見えてこなかった候補者の“優秀な側面”も元同僚からの評価で判明したりする。

back checkでは採用予定の職種やポジションに合わせて数十問の質問を自動生成。利用経験がないユーザーでも“候補者の情報を登録するだけ”で簡単にリファレンスチェックを実施することができる。

リファレンスチェックで得られた回答はback check上ですべて確認することができ、候補者の人物像や仕事における強みと弱みが一目でわかるようにデザインされている。また、リファレンスチェック時の質問内容は企業ごとにカスタマイズ可能なため、職種やポジションに合わせた最適化が可能だ。

月額価格、サービス利用開始日は未定(事前登録者に随時配信)だが、「ライト」「スタンダード」「エンタープライズ」の3つのプランから選ぶことができる。SCOUTERいわく「業界一低コスト」であり、実施単価は従来のリファレンスチェックの1/10程度。そのため大手企業からスタートアップまで幅広いスケールの企業の利用を同社は見込んでいる。

面接時、多くの採用候補者は口頭による説明以外に過去の実績を証明する手段が少なく、もう一方で、発言内容のファクトチェックも困難だ。同社いわく、それが実態と評価の乖離が発生する要因となっているのだという。「日々の業務における信頼と実績を、次の会社に繰越せる」社会をリファレンスチェックによって実現するべく、同社はback checkの開発に踏み切った。

同社は短期的には選考時の不正や採用後のトラブルやミスマッチの減少を目標としている。中長期では候補者が在籍している「会社の知名度や雇用形態」によるバイアスを解消することで、より一人一人の“本当の価値”による採用の合否が実現された社会を目指す。

SCOUTERは3月中にもback checkを正式リリースする予定だ。

GoogleがG Suiteを値上げ

Googleが今日(米国時間1/16)、G Suiteの料金を初めて値上げし、G Suite BasicとG Suite Businessの各エディションはユーザー一人あたりの月額使用料がそれぞれ1ドルおよび2ドル高くなる。各国の料金は、その国の通貨単位での値上げになる。G Suite Enterpriseの料金は変らない。

新料金が有効になるのは4月2日からで、年契約のユーザーはこの日以降の最初の契約更改で新料金になる。

1ドル2ドルはささやかな額だが、GoogleがG Suiteを値上げするのは今回が初めてだ。同社の言い分は、2006年の立ち上げ以降今日まで、新しい機能をたくさん加えてきたこと:

  • ビデオ会議(Hangouts Meet)
  • チームメッセージング(Hangouts Chat)
  • ストレージ割当の増
  • 新しいセキュリティサービス
  • 新しい生産性ツール

それもわかるけどしかし、小企業にとって20%の値上げは痛いのではないか。しかもG Suiteは今やGoogleのビッグビジネスで、400万社あまりが利用している。そのごく一部は個別の折衝で料金が決まるEnterpriseプランだと思うが、圧倒的多数がBasicまたはBusinessの月額や年額のユーザーだろう。

画像クレジット: Chris Ratcliffe/Bloomberg / Getty Images

〔参考: Microsoft Office 365

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Niantic、シリーズCで2.45億ドル調達、評価額は約40億ドル

昨年12月頃から、Niantic(ポケモンGOや近日公開予定のHarry Potter: Wizards Unite[ハリーポッター:魔法同盟]の開発元)がシリーズCラウンドで巨額の資金を調達中だということは知られていた。その時点で金額は約2億ドルと言われていた。

同社はつい先ほどラウンドの詳細を正式発表し、最終金額が2.45億ドルだったことを明らかにした。

Nianticによると、同ラウンドはIVPのリードで行われ、aXiomatic、Gaming、Battery Ventures、Causeway Media Partners、CRV、およびSamsung Ventresが参加した。同社は企業評価額が〈ほぼ〉40億ドルだったことも認め、最初にこの調達ラウンドのうわさが出たときの数字に言及した。

これはポケモンで圧倒的成功を成し遂げたNianticが、次期計画を構築する中での資金調達だ。同社はこれも大いに郷愁を誘う知的財産に基づくゲーム、Wizards Uniteを近々スタートする一方、同社の誇るARフレームワーク(および興味ある場所の巨大データベース)をサードパーティー・デベロッパー向けにゆっくりと公開していく準備を進めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

政治コミュニティアプリ「PoliPoli」がリニューアルし“議論の場”から“課題解決”のサービスへ

政治コミュニティアプリ「PoliPoli」運営のPoliPoliは1月16日、UIやデザインを大幅にアップデートした同アプリのリニューアル版をリリースした。

2018年7月にベータ版がリリースされたPoliPoliは良くも悪くも政治コミュティらしくお堅くかしこまった印象だった。だがリニューアル版はピンクを基調としており、柔らかで優しそうだ。ロゴもカチッとしたものから角張っていないソフトなものに切り替わっている。

PoliPoli代表取締役社長の伊藤和真氏はロゴに関して、以前のものよりも「よりゲーム感覚で楽しくまちづくりに参加できるといったイメージ」にしたかったと話す。またロゴに使われている丸は完全な丸ではないが、これに関しては「政治は丸ではない。色んな人がいるから政治なのだと思う」と同氏は説明した。

“議論の場”から“課題解決”のサービスへ

このリニューアルには伊藤氏が率いるPoliPoliチームの同アプリを“より建設的なモノにしたい”といった想いが詰まっているのだろう。それもそのはず、リニューアル版には主な機能として「プロジェクト」機能があり、PoliPoliは単なる“議論の場”に止まらず“課題解決型”のサービスを目指していく。

スローガンも以前は「政治をエンターテインする」と若干抽象的だったが、「政治家と、まちづくり」というかなり具体的なものとなった。

プロジェクト機能ではユーザーは身の回りの課題をプロジェクトとして投稿できる。例えば、「息子を入れられる保育園がなくて困っています」「深夜の渋谷の警察の職務質問が度を越している」「田園都市線の満員電車をなんとかしてほしい」など。プロジェクトに共感が集まるとPoliPoliに登録している政治家を招待し、課題の解決に向けて他のユーザーや政治家と話し合うことが可能だ。

PoliPoliでは2018年11月22日から12月22日の間、神奈川県と連携し行政へのアイディアを同アプリ上で募集していた。パブリックコメント制度があることを把握していない“政治と距離”のある人の意見を集めようという試みだった。

伊藤氏いわく、以前、「渋谷の喫煙所の位置が悪い」という議論がPoliPoli上で盛り上がり、そこに渋谷の区議が参加し、課題を区議会に提出することで行政に伝わるといったケースもあったそうだ。

「僕たちのコアバリューは政治家が参加しているというところ。政治家と一緒に議論することが大事だ」(伊藤氏)

PoliPoliのベータ版には2018年7月1日から11月19日の間に9000名以上のユーザーと120人以上の政治家が集まり、550ものトークルームが作られた。

プロジェクト機能が実装されることで、以前にもまして上記のような“課題解決に向けた建設的な議論”が活性化されるのではないか。

政治イヤー2019年、PoliPoliの“これから”

PoliPoliは1月17日、第三者割当増資により総額約6000万円の資金調達を実施したと発表。引受先はNOW、ベンチャーユナイテッド、F Venturesとインキュベイトファンド。調達した資金は開発とPRに使われる。

写真中央が伊藤氏

2019年は地方統一選挙や参議院選挙などの政治イベントが多数あるいわば“政治イヤー”だ。PoliPoliは、この勝負の年で「PoliPoliコミュニティの質・量の成長に全力を注ぐ」のだという。3月には選挙用web版の公開、その後にはAndroid版のリリースを予定している。

伊藤氏が以前の取材でも話していたとおり、同社の目標は“ブロックチェーンを使ってトークンエコノミーを構築することで良質な政治コミュニティを作る”こと。

だがまずは3月くらいまでにクレジットカード経由での献金機能を4月の地方統一選挙に間に合うような形で実装することを目指す。伊藤氏いわく2015年の政治資金収入は2286億円で、そのうちの200億円ほどを個人献金が占める。この個人献金仲介機能が実装されれば政治家たちをPoliPoli上でよりアクティブにする強力なインセンティブとなるだろう。

ユーザーにとってのインセンティブはまだ具体的にはなく、課題を投稿し共感を集めることによってスコアが上がるなどのゲーミフィケーション要素などにより“楽しくまちづくりをすること”が参加のメリットとなる。

しかし長期的には「プラットフォームが株主の利益を最大化するためだけでなく、ユーザーもプラットフォームを保有し参加インセンティブを受けられるいう文脈からも」トークンエコノミー化も視野に入れ事業を進めて行く。

「ゆくゆく暗号通貨市場が整ってきたら全てをトークン化したい。理由は色々とあるが、インセンティブになるというのが大きい。今はSNSは承認欲求を満たすために使われているところが大きい。だがインセンティブがあり、まちづくりに参加したらトークンがもらえる、という世界観が今後出てくるのでは。それが今、一番やりたいことだ」(伊藤氏)

AWSが早くも今年ニつ目の買収、今度はクラウドリソース最適化のTSO Logic

AWSは新年早々から買い物マニアだ。まず先週はイスラエルのディザスタリカバリ(クラウドの災害復旧)屋さんCloudEndureを買い、そして今週は、クラウドのリソースの有効利用を企業に教えるバンクーバーのTSO Logicだ。

両社とも、買収価額は明かさない。

Amazonはこの買収をメールで確認し、TSO LogicのWebサイトにあるCEO Aaron Ralloの声明を読め、と言っている。Ralloはそこで、“TSO LogicがAWSの家族に加わることはとても嬉しい”、と述べている。

同社はワークロードやアプリケーションに関するデータを分析し、リソースのニーズ優先かコスト優先かなどの要求を勘案しながら、それらを動かすためのもっとも効率の良い場所や、ニーズとコストの正しいバランスを見つける。

ワークロードのバランスは、クラウドのパブリックvs.プライベートにおいても重要だ。11月にAWSのre:Inventで発表されたAmazonのOutpostsは、ワークロードの載せ方をオンプレミスとクラウドとの間でバランスするためのツールだ。同社はそれを便利に利用する。

関連記事: AWSのクラウドをそのままオンプレミスのデータセンターに持ち込むAWS Outposts

TSO Logicは成長しているスタートアップの体の一部になって、クラウドのワークロードを最適化する方法を見つける。そしてときにはスポットインスタンスすら使ってワークロードを安いクラウドオプションへ移し、顧客のお金を節約する。

企業がますます多くのワークロードをクラウドに移していくと、そのコスト管理が難しくなる。そこでTSO Logicのようなツールが、クラウドリソースのより効率的な利用法を知るための手助けをする。

Microsoftgが2017年に買ったCloudynも、これと同様のサービスだ。大手クラウドベンダーたちが好位置を取ろうとして頑張ると、こんなサービスが常備薬になる。高いお薬でも、MicrosoftやAmazonにはお金がたくさんある。

Amazonのスポークスパーソンによると、同社はバンクーバーで操業を続け、社員たち全員にAmazonの職階が与えられる。

関連記事: Update: Amazon has acquired Israeli disaster recovery service CloudEndure for around $200M…Amazonが CloudEndureを買収(未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google Docs, Sheets, Slides, SitesがMaterial Designへ装いを一新

Googleが今日(米国時間1/15)、Google Docs, Sheets, Slides, Sitesのアップデートで待望のMaterial Designを実装する、と発表した。同社はG Suiteアプリケーションのこのアップデートを昨年、Google Driveのデザイン一新でテストしていた。

なお、デザインは一新されるが、機能の追加や変更はない。機能的には前のままで、ピクセルが増えたり減ったりする。つまり、デザインのリフレッシュだけがアップデートの目的だ。

アップデートが完了してあなたが気づくのは、インタフェイスのフォントが変わっている; コントロールもやや変わった; 新しいアイコンがある; といったところだ。あちこちで、色も変わっている。以上が、すべてである。

Googleは新しいデザインの展開を今日、G SuiteのRapid Releaseスケジュール上のサブスクライバから開始し、その人たちは15日以内に新デザインを取得する。アドミンがやや臆病でScheduled Releaseのスケジュールに固執しているところは、展開は2月11日ごろになる。いつものように、無料ユーザーに関してGoogleは無言だが、でもまあ、来月中には新デザインになるだろう、と思うけどね。

GoogleはMaterial DesignへのアップデートをWebやモバイルアプリの多くに対して過去数か月間やってきた。その最新の例のひとつがGoogle Calendarで、今回G Suiteの生産性アプリケーションが加わると、ほぼすべてが完了する。最後には、Material Designのガイドラインもアップデートしてもらいたい。

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DuckDuckGo、地図検索結果をAppleマップで表示するように

DuckDuckGoは検索で意外な新パートナーを得た。Appleだ。

ユーザーを決して追跡しないと約束しているプライバシー重視の検索エンジンは火曜日、地図ベースの検索結果表示でAppleマップによるデータの使用を開始した。DuckDuckGoはオープンソースサービスOpenStreetMapからのデータ使用でしばらく限定された地図検索結果を提供してきたが、決してライバルの検索エンジン、とりわけGoogleとBingへは機能を拡大しなかった。

そしていま、DuckDuckGoは住所、店、地理的位置、周辺の場所を示すのにAppleマップをデフォルトで使う(我々が試したとき、道順や乗り換えはMac、iPhone、iPadではAppleマップで案内されたが、非Appleデバイスでは道順案内はBingだった)。

Appleのマップデータ使用は、長らくMac、 iPhone、iPadに限定されていたが、Appleがマップをウェブに開放すると6カ月前に発表した。それ以降、DuckDuckGoがAppleマップ最大のユーザーの一つとなる。

「信頼できるオンラインという新たなスタンダード構築のためにAppleと緊密な連携を図れることを嬉しく思う。みなさんにこのアップデートを楽しんでもらえればと願っている」とDuckDuckGoはブログに投稿した。

実際のところ、このパートナーシップは予想できなかった。

AppleはiOSからGoogleマップをのぞき、そして徹底的に見直したマップサービスを展開することを急いだときに非難に直面し、即座にCEOのTim Cookがひどい内容の展開となったことを謝罪する事態となった。6月に開催した最新のWWDCでは、Appleは信頼と安定性ーそして何より重要なプライバシーを提供できるよう作り直しを約束した。

Googleはユーザーのすること、行き先、検索したものを追跡しているが、Appleは長いこと「知りたくない」としていた。Appleのインターネットソフトウェア・サービス責任者のEddy Cueは昨年TechCrunchとのインタビューで、Appleが集めるデータは全て匿名だ、と話した。「我々は特にデータを集めてはいない。たとえ、ポイントAからポイントBまでのものであってもだ」。データを匿名化することで、Appleはあなたがどこから来たのか、どこに行ったのか、さらには誰がそうした移動を行ったのかも把握していない。

DuckDuckGoは、追跡を行わない対Googleライバルとして、プライバシーを重視するという根幹に背くことなく最終的にかなり必要とされている機能を検索エンジンに持ってきた。

「DuckDuckGoではあなたがオンライン上で重視するプライバシーを提供できると我々は確信している」と同社は述べている。「当然のことながら、個人情報のいかなる収集も共有も行わないという厳しいプライバシーポリシーは今回の統合にも適用される」。

「DuckDuckGoで地図を利用したり、住所関連の検索をするとき、あなたは完全に匿名だ」と話す。

DuckDuckGoのサイトに別途明記されているが、ユーザーは“周辺”の検索でより良い結果を得るために位置情報をオンにすることができるが、DuckDuckGoはそうしたデータをいかなる目的ででも保存したり使用したりしないと約束している。「たとえあなたがより正確な情報のシェアを選んだとしても、あなたの検索は完全に匿名のままだ」としている。

「我々は、IPアドレスのような個人を特定できる情報をAppleや他のサードパーティに送ることはしない」。

同社が昨年語ったところによると、DuckDuckGoは毎日3000万件もの検索を処理していて、この数字は前年比で50%超のアップという。

イメージクレジット: Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazon、Fire TV StickのAlexaリモコンをアップグレード

AmazonがFire TV Stickをアップグレードする。本日(米国時間1/15)同社は、Fire TV Stickに、昨秋発売された新バージョンのAlexa Voiceリモコンを付けて販売すると発表した。このリモコンはBluetoothと多方向赤外線の両方に対応し、Fire TV以外のデバイスも制御できる。なおリモコンがアップグレードされてもFire TV Stickの価格は39.99ドルに据え置かれる。

この新型Alexaリモコンは昨年10月に49.99ドルのFire TV Stick 4Kとともにやってきた。テレビ、サウンドバーその他のAV機器の制御だけでなく、入力切替やケーブルTV装置のチャンネル変更などもできる。古いAmazon Fire TVのためにリモコン単体で購入する場合の価格は昨日まで29.99ドルだった。しかし本日、Amazonは価格を50%引きにした。

音声リモコンにはボタンを押してAlexaに話しかける機能もあり、番組や映画を探したりスマートホーム機器の制御、ニュース、天気予報、音楽ストリーミングなども利用できる。

この次世代リモコンの採用によって、Fire TV Stickはテレビ以外のAV機器を制御できるリモコンが付属する40ドル以下で唯一のストリーミングメディアプレーヤーになったとAmazonは言っている。これはFire TV Stickにとって、Rokuのハイエンド音声リモコンがテレビとRokuのワイヤレススピーカーの電源およびボリューム制御中心であることに対するセールスポイントにもなる。

今年のCESでAmazonは、Fire TVプラットフォームがアクティブユーザー3000万人を突破し、Rokuの2700万人をわずかに上回ったことを発表した。中心製品であるFire TV Stickに高度なリモコンを投入することで、Amzaonは2018年のブラックフライデーとホリデーショッピングシーズンのデバイス大幅値下げで奪ったリードを確固たるものにしようとしている。

改定されたFire TV Stickは、Amazonがスタートしたばかりの無料ストリーミングサービスIMDb Freediveを内蔵する最初のデバイスでもある。CESで発表された同サービスは広告付きの無料映画・TV番組を提供する——ライバルのThe Roku Channelへの挑戦だ。その他のFire TVデバイスにはソフトウェアアップデート経由で配信される。

新しいAlexa音声リモコン付きのFire TV Stickは39.99ドル(英国では £39.99 )で今日から予約受付が始まる。Echo Dotとのセット価格は69.98ドル。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nettflix、米国ユーザーの料金を値上げ。一番人気のプランが月額13ドルに

Netflixは米国ユーザーの月額利用料金を改定する。これは同サービスがスタートした12年前以来最大の値上げになる。

利用する視聴プランによって、値上げ幅は13~18%になる。一番人気のプラン(HDストリーミングを最大2台同時利用)の料金は月額10.99ドルから12.99ドルに上がる。同時視聴可能1台のプランは月額8.99ドル、4台のプランは15.99ドルにそれぞれ上がる。

「われわれは適宜料金を変更している。これはメンバーの利益のために、すばらしいエンターテイメントとNetflix体験全体の改善に投資するためだ」と同社は声明で語った。

Netflixは昨年最上位プランを値上げしたが、最低価格のプランは月額7.99ドルで据え置いた。このため今日の発表は、2010年にこのプランが導入されて以来初めての値上げになる。

値上げはいつからか? 厳密なタイミングは請求サイクルによるが、変更はすぐに有効になるらしい。価格変更はNetflixが米ドルで請求している中南米・カリブ海市場にも適用されるが、メキシコとブラジルは対象外だ。

Netflixがオリジナルコンテンツの拡大を続ける資金を確保するために、料金値上げは避けられないと見られていた。一方で、Disney、AT&T/WarnerMedia、NBCUniversalらも競合するサービスを次々と提供し始めている。これは、各社がNetflixにコンテンツをライセンスすることへの関心が低くなること、またライセンスする場合には高額を要求するであろうことを意味している。

同時に、Netflixの国内市場はほぼ飽和状態にあることから、値上げは米国ユーザーの離脱を促すリスクも高める(大きな成長機会は海外にあると見られている)。

ウォール街はこのニュースに好意的反応を示しており、東海岸時刻10:15 amのNetflix株は5.8%高となっている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook