3月3日はスーパーチューズデー、バイデン復活のカギはシリコンバレーでの資金調達

いよいよ米国時間3月3日にスーパーチューズデーを迎える。民主党大統領候補を目指すJoe Biden(ジョー・バイデン)元副大統領はサウスカロライナ州でBernie Sanders(バーニー・サンダース)候補に大勝した勢いを維持して復活を図ろうとしている。シリコンバレーが今後のバイデン候補の民主党予備選における資金を調達する生命線となる公算は高い。

バイデン候補を支持する政治行動委員会(スーパー PAC)のUnite the Country(我が国を統合しよう)にはシリコンバレーの成功者が多数含まれている。委員会の財務責任者、Larry Rasky(ラリー・ラスキー)氏はCNBCのインタビューで、「我々はスーパーチューズデーに放映する広告枠を購入している」と述べている(米国時間2月28日のFederal Election Committeeの文書で公開ずみ

これまでのUnite the Country委員会のFECデータにはLinkedInのファウンダーでGreylock Partnersのベンチャー・キャピタリスト、Reid Hoffman(リード・ホフマン)氏 の50万ドル(約5420万円)、エンジェル投資家のRon Conway(ロン・コンウェイ)氏の25万ドル(約2710万円)などが記録されている。

FEC提出文書

バイデン候補は劣勢を続けていたが、サウスカロライナ予備選でサンダース候補に28.5%ポイントの差をつけて勝った。しかしバイデン候補はアイオワ、ニューハンプシャー、ネバダの予備選で連敗し、 資金調達が困難になっていると報じられていた。

直近に公開されたFEC(連邦選挙活動)報告書によればサウスカロライナ予備選でバイデン候補の手持ち資金は710万ドル(約7億6910万円)だったのに対し、サンダース候補は1700万ドル(約18億4150万円)近かった。

サウスカロライナ予備選以降、民主党の大統領候補指名争いはサンダース対バイデンに絞られた感がある。一時ブームとなったPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)氏が撤退し、大富豪のTom Steyer(トム・スタイヤー)氏も去った。元ニューヨーク市長でBloombergグループの創立者、Mike Bloomberg(マイク・ブルームバーグ)氏は今回初めてスーパーチューズデーに挑戦するが、同氏が期待しているようなブームを起こせるかどうかは不透明だ。

指名獲得に必要な代議員数ではサンダース候補がバイデン候補を引き離している。バーモント州上院議員のサンダース候補はスーパーPACによる資金調達を拒否して1億2600万ドル(約136億4700万円)という巨額の選挙資金を小口の寄付のみで調達してきた。

NBCニュース

共和党が弱い巨大州(ニューヨーク、カリフォルニアなど)は、本選で民主党候補が取れることが確実であり非常に重要な地域だ。ここでの選挙活動に十分な資金調達をできるかどうかは、大きな意味を持つ。サンフランシスコ周辺やマンハッタンなど富裕層がいる地域は民主党候補にとっていわば貯金箱として機能してきた。

しかし、シリコンバレーでバイデン・グループが資金調達活動に力を入れることは、テクノロジー企業内部の政治的亀裂を明るみに出すリスクがある。つまり成功したファウンダーや企業上層部が穏健で全国区で勝ち目のあるバイデン候補を推す一方で、中下層の有権者は「バーニーはすごいぞ」というキャンペーンスローガンに傾く。

LA TimesCenter for Responsive PoliticsのFEC文書の分析によれば、ハイテク企業の労働者による小額寄付は圧倒的にサンダース候補に集中している。LA Timesは「サンダース候補はGoogle、Amazon、Apple、Microsoft、Facebookの社員からの少額寄付のみでバイデン候補の4倍近い100万ドル(約1億1000万円)以上を集めた」と報じている。た。

テクノロジー系大企業内部の分裂は、候補者の政策の差異によるものだ。バイデン候補の立場は、全般に穏健で各種のイニシアチブにも現実性がある(のに対して)、サンダース候補は奨学金問題に焦点を絞っており、Facebookなどの大企業に亀裂を持ち込む可能性がある。サンダース候補は、ハイテク企業内の賃金格差に厳しく対処し、FacebookとAmazonを分割すべきだと強く主張している。

しかし資金調達がどうであれ、カリフォルニア州のファウンダーも社員も3月3日の火曜日には投票所で自分の意見を表明するチャンスがある。カリフォルニア州は、予備選のスーパーチューズデーを構成する13州の1つだ。この結果は今後の予備選および選挙資金調達の行方に反映されるだろう。民主党の大統領選挙候補者は2020年7月にミルウォーキーで開催される党全国大会で決定される。

画像: Alex Wong / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

政治的利益を狙いネット上で新型コロナウイルスに便乗する動き

現在の資本主義と民主主義では、他人の苦難に付け入るのに決して早すぎるということはないようだ。新型コロナウイルス(COVID-19)がその最新の証左だ。

ワシントン・ポスト紙は2月29日、コロナウイルスの発生に関連する陰謀説を流した200万件のツイートに関して国務省内の機関が報告書をまとめたと報じた。同紙が報じた報告書が言及するデマには、ウイルスはBill & Melinda Gates Foundation(ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団)が作り出したとか、中国政府が開発した生物兵器の成果だという内容が含まれている。

同紙によると、こうしたツイートは政府が調査したツイート全体の約7%を占めていた。重要なのは同紙が報じた通り、オンラインで広まった偽情報の一部が「意図的で組織的な活動」の結果のようだと報告書が指摘している点だ。

報告書の内容は、Check Point Software(チェックポイントソフトウェア)のようなサイバーセキュリティ会社が発している警告とも整合している。同社は今月初め、コロナウイルスの発生をテーマにして新しく立ち上げられたウェブサイトを追跡するレポートを発行した

同社のGlobal Threat Index for January 2020によると、「サイバー犯罪者は悪意のある活動を広めるために、世界中で高まる新形コロナウイルス拡散への関心を悪用して、コロナウイルス発生に関連付けたスパム攻撃を展開している」。同社は、Googleの検索キーワードとウイルスに関する「悪意のある議論」と同社が判断したものを比較し、それらが密接に相関していることを示した。

一例として、日本のウェブユーザーを標的としたハッカーが日本の障がい福祉サービス業者を装い、悪意のある電子メールにファイルを添付した。この電子メールには日本の複数の都市でのコロナウイルスの拡散に関する誤った情報が含まれており、ユーザーが電子メールの添付ファイルを開くと、モジュール型の自己増殖するトロイの木馬ウイルスがコンピュータにダウンロードされる。

電子メールによる攻撃は脅威の1つだが、セキュリティ会社が捉えたもう1つの脅威は、ウイルスに関連付けたドメイン名を持つ新しいウェブサイトだ。

同社はすでに「vaccinecovid-19.com」という偽のウェブサイトを見つけた。2020年2月11日に最初に作成され、ロシアで登録された。Check Pointによると「このウェブサイトは安全ではなく『コロナウイルスを検出する最高かつ最速のテストを1万9000ロシアルーブル(約3万2000円)という素晴らしい価格で』提供するとうたっている」。

Facebook(フェイスブック)、Amazon(アマゾン)、Twitter(ツイッター)はすべて、「この病気の治療法を提供する」とうたう広告など、コロナウイルスに関する偽情報をプラットフォームから削除する措置を講じている。

今月初め、大手テック企業はWHO(世界保健機関)の代表者と会談し、オンライン上の偽情報や詐欺に対処する計画と協力方法について協議した。

Facebookは今週初め、同サイトで偽情報を広げる動きに対する継続的な対応について次の声明を発表した。

世界各国の保健当局がコロナウイルス(COVID-19)に関する新しいガイダンスと警告を発信する中、我々は国や地域の保健機関からの情報を人々へつなぎ、ウイルスに関する偽情報と有害なコンテンツの拡散を抑えるための作業を続けています。

人々を正確な情報と役立つリソースにつなぐ

Facebookでウイルスに関連する情報を検索すると、検索結果の上部に情報提供ポップアップが表示され、世界保健機関(WHO)などの保健専門組織にアクセスすることができます。Facebook上で過去数週間にわたり、この取り組みをすべての言語でグローバルに展開し、ユーザーをWHOのサイトに誘導しました。いくつかの国では、ユーザーを当該国の保健省のサイトに誘導しました。たとえば、米国では疾病対策予防センター(米CDC)からの情報にユーザーを誘導し、シンガポールではシンガポール保健省に誘導しています。さらに、WHOが人から人への感染と死亡を報告している国では、ニュースフィードの上部に追加情報を含む追加のメッセージを表示しました。

画像クレジット:PAU BARRENA / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ビジネスパーソンのための新型コロナ向けパンデミック対策5カ条

COVID-19、SARS-COV-12などと呼ばれる新型コロナウイルスによる感染症が世界で拡大を続けるのは避けらそうにない成り行きだ。米国、ことにノンストップで働くことを当然とするスタートアップのカルチャーでは「そんなことは自分たちと無縁だ」考えがちだ。

しかし今回はビジネス・アズ・ユージュアルではすまない。自分自身だけでなく他人も危険にさらすからだ。自分自身や同僚、他の人々に対する困難や危険性を軽減する助けとなる基本的なルールを以下に公開することにした。

この時期に何をするのが適切か、何をすべきでないのかについて正しい情報を得ていない起業家、起業家志望者始めテクノロジー企業の社員、関係者が多い。ヘルス関連の最新ニュースを求めている場合、またウイルスについてさらに正確な情報を知りたい場合は、CDC(疾病管理予防センター)またはWHO(世界保健機関)の専用サイトにアクセスしてほしい(編集部注:日本では厚労省の「新型コロナウィルスに関するQ&A」を参照)。

1. 合理的な予防措置を取り、周囲の人々にもそれを知らせる

CDCでは「頻繁に手洗いを実行し、衛生に留意することがウイルスの拡散を防ぐための最良の方法だ」としている。マスクをつけることは特に必要とされていないが、しても悪いことはない。ただし主要な効果は健康な人(の感染防止という)より、感染した人々が拡大を防止することにある。

また感染のリスクは感染者に接触することによって生じるというのが重要な点だ。窓の隙間から密かに部屋の空気に入り込んでくる神経ガスとはわけが違う。 リスクを最小限に抑えには家にとどまるのが重要だ。実際に人と顔を合わせるミーティングはキャンセルし、リモートワークを取り入れ、(メジャーなイベントの多くがすでにキャンセルされているが)コンベンションへの参加も取り止めるほうがいいだろう。

カップラーメン、レトルト食品、冷凍庫の残り物などを活用し、外出する場合は頻繁に手を洗う。手指消毒剤を携帯するのもいい。オンラインで商品を購入する場合、玄関の前などに荷物を置いてもらえるならそれもいい考えだ。

予防措置が他の人に影響を与える可能性がある場合、これは予防措置を取っているのだとはっきり説明する。ただし言葉は慎重に選ぼう。「実際に会う代わりにビデオ会議にすることはできますか?今のところ人との接触をを最小限にしようとしています」などと言うのは賢明だ。相手が「私が感染していると疑っているのか?」などと思ったとしてもこれは相手の問題なのでやむを得ない。この文章を読んでもらうのがいいかもしれない。

はっきりさせておく必要があるが、世界は死の罠に捕らえられているわけではない。新ウイルスによる死亡率はさほど高くない。しかしこのウイルスは感染しても無症状の場合があるためり、どこに潜んでいるのかどこなら安全かを推測することが困難だ。そこで公衆への露出・接触を最小限に抑えておく。

2. 予防措置を人マネせず、権威ある情報を拡散する

今後数週間、厄介なことが続く可能性がある。大型イベントだけでなく、対面のミーティングも多数がスキップされるだろう。しかしそうした対処には理由があり、性急な判断は控えるべきだ。

新型コロナウィルスが心配なので握手したり拳を打ち合わせて挨拶したりするのを避ける。 ミーティングをコーヒーショップではなくビデオチャットにしたいという。会社を早退して家に戻る。こういうことはすべてもっともであり、相手を非難してはならない。

普段でも我々は他人の動機や能力について詳しい知識はもっていない。新型コロナウィルスに対する対処の関連ならなおさらだ。 企業や個人が家族、経済、社会、宗教などどんな方面からどんな圧力を受けているのか我々は知りようがない。イベントやミーティングのキャンセルなどその結果が自分にとっていかに不都合であっても当面はそのまま受け入れるしかない。

これは部下の社員についても同様だ。誰かが病休取得を申し出たら認める。リモートワーク、リモートミーティングにしても同様だ。どさくさに紛れた不当利得だった違いないと後で気づくかもしれないが、それは後で考えればいい。パンデミックの危険がある現在、そんなことをいちいち言い立てる必要はない。

ここしばらく感染の予防だといって中華料理店を避けたり風船ガムを破裂させると中国の空気が吹き出すから危ないといった馬鹿げた、そして多くは人種差別的な言動を目にすることになりそうだ。家族や同僚をこういった誤認や偏見の中に放置することなく、CDCなど権威ある情報源の発表を共有する努力を続ける必要がある。これによって少しでも正しい知識の力が増すようにすべきだ。単なる個人のツイートでは影響力はほとんどないかもしれないが、CDCや医療専門家の発表であれば耳を傾けるかもしれない。ともあれそう希望しよう。

3. ダメージはやむを得ない

新型ウィルス感染の予防は金も時間も食う。ビジネスチャンスを減らす。会議は遅れる。非効率が増大する。プロダクトもサービスも予定のスケジュールでリリースできなくなる。スケジュールは右往左往し、それをどうすることもできない。必要な情報を知ったときには手遅れということも出てくる。ありがたくない話ばかりだ。

しかしこれは覚えおかねばならない。困っているのは自分や自分の会社だけではない。全員が困っているのだ。株式市場の暴落ぶりは歴史的レベルだ。韓国や中国沿岸部からのツイートは深刻なものだ。

MWC(モバイル・ワールド・コングレス)は早々にキャンセルされた。開催を強行したとしても誰も参加せず、ゴーストタウンだっただろう。Facebookも今年のF8を中止した。イベントの一部はオンラインに切り替えて実行するという。ライブストリーミングでカンファレンスを主催、運営するサービスはTechCrunchでも紹介した。

主催者、参加者が今後どうすればいいのかは、「感染を避ける方法」ではなく「ダメージコントロール」だ。ただ困っているのではなく、この後どうなるののか何をすればいいのかを考えねばならない。予定表には対策のリマインダーを書き込み、関係者のスケジュール変更を確認し、取引先にも変更を連絡して謝罪する。この記事のトップにも書いたが「合理的な予防措置を取り、周囲の人々にもそれを知らせる」というルールに従うべきだ。

4. 最新情報に留意し、対策を改善する

こうした事態が自分や自分の会社の生産性、機能に深刻な打撃を与えているなら、よく検討してみる必要がある。何ができなくなったのか? 何がどのように損害を与えているのか?具体的に考えることが重要だ。

「対面コミュニケーションに頼りすぎていないか?」「そのためテキストで複雑なコンセプトを説明できないと思い込んでいないか?」「Slackのような生産性の高いコミュニケーションツールを使わないでいるということはないか?」「プレスリリースとメールのピッチはぐったりしているか?」「自分の強みから後退することを余儀なくされると、必然的に自分の弱点に遭遇します。退屈なセールスピッチやプレスリリースを惰性で出し津続けていないか?」。自分の強みがブロックされると必然的に自分の弱みと向き合わざるを得なくなる。

今回の危機は自分と自分の会社にとってコミュニケーションと生産性のうえで何が弱点であるか検討するチャンスでもある。好むと好まざるとに変わらず、否応なくこうした欠点に直面する。単に打撃を受けたままでいるのか、新たな強みを作っていくのかは本人次第だ。

それに多くの活動が止まった今はキャッチアップの絶好のチャンスでもある。時間がかかるので先延ばしにしていた仕事を片付けることができる。メールの受信ボックスを空にする。数週間前に読むと約束しておいたレポートを実際に読む。聞き取りにくいと評判が悪かったセールスピッチを改めて練習することもできる。

テクノロジー企業、またテクノロジー関連企業(現在はとほうもなく広い範囲だ)の仕事の大部分は実際に会ったり、会議したりしなくても可能だ。自分の仕事ができない場合でも、仕事のやり方を改善する努力はできる。

5. 困っているのは自分だけではない

現在起きているのは、医療だけでなく経済、社会活動を含めた複雑かつ広範囲にわたる影響を伴う世界的問題だ。我々が目にしているのはそのごく一部に過ぎない。

自分だけが困っている個人的問題と考えてはならない。新型コロナウィルス(COVID-19)は自分がプロモーションしているB2Bサービスを打ち壊すために現れたわけではない。台風や地震のように突然起きて無差別に損害を引き起こすものだ。影響を受けるの自分だけではない。読者がいかに困っていようと、もっと困った状況に置かれている人々が大勢いることは確実だ。

苛立たしく、不安をかきたてる不快な状況だが、他の人々も同じことを体験し、同じように感じ、それぞれに対処の努力をしていることを思い出すべきだろう。

画像:Marc Romanelli / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookも新コロナへの懸念でF8カンファレンスを中止

Facebookは、COVID-19コロナウイルスのパンデミックに対する懸念の高まりを考慮し、毎年開催されているF8デベロッパーカンファレンスをキャンセルしたことを発表した。

発表によれば、キャンセルされたのはサンノゼで開催予定だった「オフラインのイベント」であり、F8のキーノートやビデオプレゼンなどはリアルタイムでストリーミングされるという。Facebookのデベロッパープラットフォームとプログラムの責任者であるKonstantinos Papamiltiadis(コンスタンティノス・パパミリタディス)氏は声明で次のように述べている。

「毎年のF8は世界のFacebook開発者コミュニティの祝日として非常に重要であるものの、メンバーの健康と安全には換えられない。COVID-19ウィルスに関する懸念から、F8の現実のイベント部分はキャンセルする。しかしライブストリーミングを含む各種のビデオ・コンテンツを通じて世界のデベロッパーパートナーとつながることができるものと期待している」。

このFacebookの決定は、今週バルセロナで開催される予定だったMWCキャンセルに続くものだ。Microsoft(マイクロソフト)を始め多くの企業が来月のゲーム・デベロッパーのカンファレンス、GDCから撤退したが、主催者は昨日「予定どおりに開催される」と述べた

Facebookは「F8カンファレンスのオフライン部分を実施する方策を各種検討したが、(外国からの参加を禁止するなどの方法は)F8を世界の開発者コミュニティーの祭典とするという我々の方針に反する(ので採用されなかった)」とパパミリタディス氏はブログ記事で述べている。Facebookはこの数週間内にさらに詳細を発表するとしている。

F8カンファレンスのキャンセルの影響を軽減するため、同氏は「Facebookはテクノロジーの多様化に取り組んでいる組織に50万ドル(通常の2倍の金額)を寄付する」と述べた。対象はF8が開催される予定だったサンノゼ市民にサービスを提供する組織が優先されるという。Facebookは例年、地元の学生をF8に招待しているため、今年はF8そのものに代わって、「F8に触発された体験」を提供するという。

大規模なハイテクイベントにとってコロナウイルスに対する懸念が2020年を通じてどのような影響を与えるのかは不明だ。株式市場や決算にはすでに影響が及んでいる。WHOによれば 、世界47カ国で8万2000人以上のCOVID-19感染が確認されており、2800人前後が死亡している。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ペンス副大統領、コロナウィルス・タスクフォースに医療、経済専門家を任命

米政府のコロナウイルス封じ込めの責任者となったMike”Pence(マイク・ペンス)副大統領は、任命の初日にコロナウイルス・タスクフォースへに多数の専門家を任命した。

パンデミック封じ込めタスクフォースのトップに任命されたのはDeborah Birx(デボラ・バークス)博士だ。博士は米国務省の世界AIDS対策調整官、世界ヘルス政策調整官として米政府の特別代表(大使)を務めてきた。博士はHIV/AIDS対策で米陸軍、海軍、空軍の対策を調整し、CDC(疾病対策予防センター)の世界HIV/エイズ対策プログラムを指揮してきた。今後はペンス副大統領の直属となる。

バークス博士と同時にタスクフォースに任命されたのはSteven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官、国家経済評議会のラリー・クドロー(Larry Kudlow)長官、公衆衛生局長官のJerome Adams(ジェローム・アダムス)博士だ。

ムニューシン財務長官らの任命はホワイトハウスがコロナウィルス危機の経済的影響に対処することの重要性を強く認識していることを示すものだ。

株式市場はコロナウィルスに対する懸念から再び大きく下落した。アナリスト、エコノミストは2020年の経済成長はゼロないし極めて低いものになると予測している。

米国のテクノロジー企業はコロナウィルスの決算への影響を警告すると同時に大型イベントの中止を発表している。MicrosoftはGDCへの参加を取りやめ、FacebookはF8デベロッパー・カンファレンを中止した。 これに先立ってスペインのバルセロナで開催される予定だったMWCの開催もキャンセルされている。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

中国ハイテク企業はこうしてコロナと戦っている

新型コロナウイルス感染症の影響についてはTechCrunchでもたびたび取り上げてきたが、今回、中国のハイテク企業がこの大流行にどのように対処してているかを取材した。また、これが中国以外の世界にとっての意味についても紹介する。

新型コロナウイルス感染症の大流行は中国の社会、経済全般に大打撃をもたらしているが、わずかな救いはテクノロジーが人々の相互の接触を最小限とする手助けとなっている点だ。巨大な人口が自宅で過ごすためにテクノロジー企業がどのような役割を果たしているかにも触れたい。

2002年に中国で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)は800人近い死者を出したが、これが中国におけるeコマースを立ち上げるきっかけとなった。人々は感染を避けようとして外出を控えることととなり、オンライン通販に頼るようになった。ジャック・マ氏の伝記によれば、Alibabaのオンライン・マーケットプレイス、Taobaoが急成長したのも、ちょうどこのSARS流行期だった。

それから20年近く経ってさらに深刻な新型コロナウイルス感染症が中国の多数の都市をマヒさせている。この中でテクノロジー企業は自らの活動を維持すると同時に生活のライフラインとなり、また新型コロナウイルスを封じ込めるための国や民間の努力を助けようとしている。

データ分析企業のQuestMobileのレポートによれば、中国の市民がモバイルデバイスでインターネットを利用する時間は時間は2020年1月には平均1日6.1時間だったが、旧正月(2020年1月25日前後)には6.8時間にアップし、さらに新型コロナウイルス流行で7.3時間という驚くべき数字に跳ね上がった。これはウイルスの影響で旧正月休み明けにも閉鎖を続けている企業が多いことによる。同時に企業がリモートワークを取り入れつつあることも要因だろう。

以下に紹介するのはテクノロジー企業の努力の例だ。

リモートワークアプリが大ブーム

中国のエンタープライズソフトウェアビジネスは西側に比べると立ち上がりが遅かった。しかし消費者向けオンラインビジネスのプレイヤーが激増するにつれ、テクノロジー系大企業から投資家 までいっせいにエンタープライズ部門に目を向けるようになった。 ここにきて新型コロナウイルスの流行により何百万人ものオフィスワーカーが家に閉じ込められることになったため、リモートワーク向けアプリがブームとなっている。

全国的に学校、大学が閉鎖されたことで、Sensor Towerのデータによれば、オンライン教育ビジネスも同様の活況を呈している。

リモートワーク・アプリのメジャー・プレイヤーはAlibabaのDingTalk、Tencentの WeChat(微信)、 ByteDanceのLark. Appで、 Sensor Towerのレポートによれば、2020年の1月22日から2月20日の期間でDingTalkの14倍をはじめとして、以下のとおり著しい伸びを記録している(対前年同期比)。

DingTalk: 1446%

Lark: 6085%

WeChat Work: 572%

AlibabaはWeChat(微信)に対抗しようとして失敗した後、2014年にDingTalk(釘釘)をスタートさせたが、2020年2月に入って突然急成長し、中国におけるiOSアプリの首位に躍り出た。2019年8月時点の発表ではユーザーは1000万人以上ということだったが、現在は登録ユーザーは2億人以上だという。

新型コロナウイルス感染症の流行でiOS無料アプリのダウンロード数トップとなったDingtalk (Sensor Tower)

WeChat(微信)のエンタープライズ版、WeChat Work(企業微信)は2016年に生まれ、DingTalkの後を追い、当時iOSのダウンロードで2位となった。2019年12月にはWeChat Workには250万社、6000万人以上のアクティブユーザーがいると発表された

BytedanceがLarkをリリースしたのは2019年と新しい。上記2つの巨大サービスに比べれば小型で、 2月上旬までは300位台だった。しかし新型コロナウイルス流行後、Larkは爆発的に急成長した。LarkはTikTokの中国国内版であるDouyin(抖音)に広告を出し始めた。Douyin(抖音)はショートビデオの人気が高まると同時に企業マーケティングの寵児となりLarkに大きな注目が集まるようになった。一方、WeChatは月間ユーザー10億という巨大なサイズに達しているものの収益化には踏み出していない。

問題は新型コロナウイルスによる突然のブームが、維持可能な安定した市場に結びつくかどうかだ。DingTalkとWeChat Workは、あまりに急激なユーザー拡大のためにたびたびシステムがクラッシュしている。両サービスともこれほどの規模のユーザー殺到は予期していなかった。 また多くの企業は新型コロナウイルスの流行が収束すればリモートワークから従来のオフィスに出勤する勤務体制に戻ると予測される。

実際、「在宅勤務時間中はウェブカメラを常時オンにしておくこと」といったプライバシーの侵害につながるような要求をする企業もあるため、在宅勤務は社員からは評判が悪いことが多い。 またDingTalkは最近スタートさせたオンライン学習クラスに思わぬ反撃を受けている。旧正月休みが延長されたと思ったらオンライン学習クラスで勉強させられることになった生徒たちが一斉にアプリに一つ星の低評価をつけている。

マスク着用と国民監視システム

ウイルスの拡散を防ぐために多数の自治体が公衆の前に出るときはマスクを着用することを人々に義務付けたが、これは中国で一般化している監視カメラによる顔認証に重大な障害となっている。しかし、顔認証に代わる虹彩認証などの新しいテクノロジーが導入されつつある。

私が取材した旅行者によれば、駅で列車に乗る際、セキュリティゲートでいちいちマスクを外す必要はなかったという。マスクをしていても個人が特定できるならプライバシーを重視する立場からいえば大きな問題だ。しかし当局がそのような進化した生体認証行うようになったのか、ウイルスの流行で一時的にセキュリティを緩めているのかは不明だ。【略】

デジタル記録の活用

中国政府はClose Contact Detector(濃厚接触検知器というウェブベースのアプリを開発し公開した。ユーザーは氏名、身分証番号、電話番号を入力することでデジタル化された移動情報にアクセスすることができる。たとえば航空機で感染者の3列以内に座っていたことが確認されれば「リスクあり」と判断される。これは感染拡大防止に役立つだろうが、一方では「政府がここまで詳しい個人の旅行データを持っているのなら、なぜもっと早く流行の封じ込めに役立てなかったのか?」という深刻な疑問も生んでいる。なぜ流行が拡大し始めて数週間も経ってからこのサービスが公開されたのだろうか?

もちろん中国の膨大な人口と無数の政府機関の存在を考えると実名で登録されたビッグデータを横断的に処理することが極めて困難な問題を引き起こすことは予測できる。新型コロナウイルスの流行は中国政府によるビッグデータの処理の努力を加速しているようだ。旅行許可のデジタル発行の多くは膨大なユーザー数を考慮してWeChatを利用している。【略】

写真:新華社

デマと戦う

感染症の流行はデマの温床となる。Dxy.cn (丁香园)は医療関係者を対象としたオンラインコミュニティで新型コロナウイルス関連の情報の迅速なファクトチェックの提供を目的としている。また中国全土のマップで流行の現状をリアルタイムで確認できるようにしている。

Yikuangは独立のデベロッパーとアプリレビューサイトのSspai.comが開発したWeChatベースのサービスで、新型コロナウイルス感染症の流行地域を示す。データは自治体の公式発表に基づいており、近隣で感染があったかどうかがわかる。

上海の高等学校の生徒によって始められたブログは世界中の諸機関による新型コロナウイルス情報をまとめたもので、中国の多数の若者が参加してサービスを拡充している。

食事とエンターテインメント

全国的な社会のロックダウンは当然ながらオンラインエンターテインメントにブームをもたらす。QuestMobileのデータによれば、ショートビデオ市場は1日当たりのアクティブユーザーが5億6900万人に達した。流行以前の4億9200万人から大きく増加している。多くのミュージシャンがコンサートが不可能にあったため、ビデオストリーミングによるバーチャルコンサートに切り替えている。同様に映画も上映館の閉鎖によりオンライン封切りを行っている。

中国の都市の多くがレストランでの外食を禁じたため、料理宅配サービスが肩代わりを余儀なくされている。飲食店の口コミサイト、Meituan Dianpin(美団点評)が運営するで宅配サービスではコンタクトレスと呼ばれる人的接触を避ける宅配システムを作った。これは料理を入れたロッカーで、注文した顧客はロッカーを開いて料理を取り出すことができる(下のツイートの動画参照)

画像:ROMEO GACAD/AFP via Getty Images

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滑川海彦@Facebook

JR東日本スタートアップが品川駅にSTARTUP_STATIONをオープン、nanoblock版高輪新駅やリサイクルTシャツを展示

JR東日本スタートアップは2月17日、JR品川駅中央改札口付近の駅構内に「STARTUP_STATION in 品川駅」を2月23日までの期間限定でオープンした。JR東日本グループのビジネス創造活動「JR東日本スタートアッププログラム2019」の採択企業である、日本環境設計とヘラルボニーの作品を展示している。

日本環境設計は、衣類やプラスチックなどのリサイクル開発を手掛ける2007年1月設立の企業で、日本マクドナルドとのリサイクルパートナー契約を結んでいる。マクドナルドでは、全国のマクドナルドからハッピーセットに含まれるおもちゃを回収してトレイなどに再生するリサイクル企画「マックでおもちゃリサイクル」を実施中で、2019年度は回収期間を拡大したことで、2018年度の127万個の約2.7倍となる約340万個の回収に成功している。

日本環境設計では、マクドナルドが回収したこれらのおもちゃからリサイクルされたnanoblockを活用して、3月14日にJR山手線の品川〜田町間に暫定開業する高輪ゲートウェイ駅のジオラマをSTARTUP_STATION in 品川駅に展示。

さらに同社は、再生ポリエステルによるコットンライクな生地を使ったオリジナルTシャツを来場者が制作できるイベントも同時開催する。

また、知的障がいを持つアーティストのデザインを取り入れたヘラルボニーの「SDGs Tシャツ」(2500円)も購入可能だ。なお、SDGs Tシャツの売上の一部はアーティストに還元される。

テクノロジーを正しく機能させるにはユーザーの理解が必要

先週、民主党のアイオワ党員集会で起こったことは、公共部門の仕事にテクノロジーを使う場合、正しく機能させようとしても必ずしもうまくいかないことがあるという教科書的な例だ。

ここからアイオワ州での教訓として、政府関連の手続きにテクノロジーを使うべきではないと結論付けることもできる。だがこれは間違った結論であって、起こったことと起こらなかったことを混同している。テクノロジーは失敗に終わった手続き変更を修復するものではない。重要なのはそれが何に役立つのかを理解することだ。

公共分野の問題解決にテクノロジーを正しく活用したらどうなるだろうか。公益に資するテクノロジーを効果的に構築するための3つの基本原則がある。実際の問題を解決すること、ユーザーの生の姿を念頭に置いて設計すること、小さく始める(テスト、改善、テスト)ことだ。

アプリを開発したり、新しいテクノロジーを政治的手続きの中に投入する前に、次のように問う価値はある。アプリで何が達成したいのか。アプリが既存の手続きを改善する役に立つのか。

実際の問題解決にアプリやテクノロジーを正しく適用する第一歩は、それを使う人間を理解することだ。彼らが実際に必要としているのは何か。アイオワ州のケースでは、地元のベテランの選挙主催者に投票結果集計で何が役立つかを聞いておく必要があった。また、地区のリーダーや党員集会の参加者と直接話をしたり、不成功に終わった候補者の支持者に対し、学校の体育館の別の隅に移動するよう隣の人が説得するという独特のプロセスを観察しておく必要もあった。ウェブアプリの構想について質問するだけでなく、実際の環境とユーザーでアプリをテストし、その動作を確認して改善することも重要だ。

この手の当日一発勝負のアプリを開発する際には、操作手順や使いやすさを現実世界にかなり近い環境でテストする必要がある。アプリ開発担当企業のShadow(シャドー)はユーザーを用いた「軽量級の」テストを実施したが、アプリ設計時に想定した利用者からフィードバックを得たり利用者向けに微調整したりする、いわば助走期間がなかった。アプリが正しく機能しても、誰も使わなかったりダウンロードできなかったりすれば意味がない。

これがどのように機能するか参考になるモデルの1つとして、初めて母親になる低所得者を支援する社会福祉非営利団体であるNurse Family Partnership(ナースファミリーパートナーシップ)がある。

同団体は、メールやテキストメッセージで母親や看護師からフィードバックを受け取る仕組みを備えた。フルタイムで働く担当者が「直接的、間接的な顧客のみならず内部関係者の意見にも耳を傾けた上で学習し、極めて良質の体験を提供するために何ができるか考え、団体の計画を拡大するビジョンを支えて」る体制も整えた。

直接会って母親を支援するプログラムのために同団体は、ソーシャルイノベーションラボであるHopelab(ホープラボ)と、同ラボが提携する行動科学に基づくソフトウェアを開発するAyogo(アヤゴ)とアプリを共同で設計した。「Goal Mama」は看護師と母親の関係をベースにしたアプリだ。調査の結果、プログラムを利用する大多数の母親がスマートフォンを広範囲に使用していることが判明したため、そうしたクライアント像を念頭に置いて開発された。テクノロジーとデータを使用して従業員とクライアントのニーズに対応するこのアプローチにより、633の郡と41の州で30万9787人の母親にサービスを提供している。

もう1つの例は、80の都市と郡でホームレスをゼロにするという野心的な目標を掲げるBuilt for Zero(ビルドフォーゼロ)の取り組みだ。コミュニティの主催者は、住む場所を持たない人が個人的に直面している問題から始める。彼らは、人間とそのニーズを理解しなければ、たとえ介入してもその人に住む家を提供する試みは成功しないことを知っている。彼らは、人間中心の方法論とスマートデータサイエンスを組み合わせて、継続的に自らの進め方を評価・改善している。Built for ZeroはTableau財団と協力して、新しい基準でデータを収集し、ホームレスゼロの目標に向けて進捗を管理し、コミュニティを構築・育成している。

優れた技術は常に小さく始め、実際のユーザーを使ってテスト、学習、改善を重ねる。政党、政府、非営利団体は、The Lean StartupでEric Reis(エリック・ライス)氏が提唱したテックスタートアップも使う学習方法を用いて拡大すべきだ。小規模なテストから始めて迅速に学習することにより、公益に資するテクノロジーには民主主義を改善する重要な役割があるということがわかってくる。実際に多くの人の人生がかかっているのだ。公平性、正義、正当性、誠実性を念頭に置きながら、小規模から始めることで、重要な変更を加えたりねじれを解決したりするために必要な助走期間を確保することができる。

Alia(アリア)の仕事を例にとってみたい。Aliaは全米家事労働者同盟(NDWA)が立ち上げたハウスクリーナー向けの初の福利厚生ポータルだ。家事労働者は通常、会社の従業員が享受できるような福利厚生がないため、病気で仕事を休んだり医師にかかったりするとその分賃金を失わざるを得ない。

使いやすいインターフェイスのおかげで、ハウスクリーナーの雇い主は直接掛け金を拠出でき、労働者側は有給休暇、傷害保険、生命保険を受け取ることができる。Aliaのエンジニアはハウスクリーナーのネットワークに入り込み、そこでユーザー視点の深い洞察を得ることができた。拡大するギグエコノミーにおいてAliaモデルは、地方、州、連邦レベルのさまざまな働き手にとって良い先例になるかもしれない。オバマ陣営の主催者らは2008年、ウェブサイトでの呼びかけのフレーズに使用する単語と色をA/Bテストしただけで、ボランティア活動を劇的に(最大18%)増加させることができた。

ユーザー向け(だけではないが)のデザインに力を入れた公益に資するテクノロジーが数多くある。例えば、市民と政府の間で容易でシームレスなやり取りを可能にするCenter for Civic Design(シビックデザインセンター)や、「ユーザーに寄り添うデザイン」を第一の原則としているThe Principles for Digital Development(デジタル開発の原則)などの市民社会での仕事だ。英国のGovernment Digital Service(政府デジタルサービス)から、オバマ政権で始まったUnited States Digital Service(米国デジタルサービス)など、政府内部で行われている仕事もある。

最後に、テクノロジーが使用される環境を深く理解することも役に立つ。ツールのユーザーが実際に体験するのはどんなことか。デザイナーは党員集会に足を運んで、ジム、カフェ、VFW(対外戦争退役軍人会)のホールで、参加者の身体や心の動きをしっかり観察したか。

アイオワ州のケースでは、党員集会の原則、規則、文化を理解する必要があった。党員集会は一種独特の状況だからだ。

言うまでもなく、今年のアイオワ州党員集会では透明性を高めるためにいくつかの手続きを変更したが、それは複雑さを増すことにもなった。テクノロジーによるソリューションを展開する前に、そうした背景を考慮に入れる必要があった。テクノロジーが展開される環境を理解するには、手続きそのもの、人間のふるまい、また手続きの変更がアプリの設計にどのように影響するか細部に至るまで理解しなければならない。

ユーザーが本当に必要としているものを確認する調査を行わずに、テクノロジーを使ったソリューションを構築すれば、信頼性を低下させたり損なうリスクを負うことになる。多くの場合、テクノロジーの構築自体は単純な部分だ。複雑なのは相互作用がある部分だ。対応するには十分な関与、トレーニング、テスト、これらを反復する体制構築への投資が必要となる。

我々は私生活や社会生活で即日配信や瞬時のストリーミングに慣れているため、公共部門への期待値も同じように高い。合理化が進み無駄が省かれていくと、アプリで何でも解決できると信じてしまいがちだ。だが、民主主義のための次のキラーアプリを構築するには、派手なツールをプロトタイピングするだけでは不十分だ。

公益に資するテクノロジー技術を構築することは、民主主義への信頼を再構築する広範で困難な課題に取り組むことだ。様々な手続きを合理化するためにテクノロジーを使うなら、究極のゴールを見据えて、正しく適用する必要がある。

【編集部注】筆者のHollie Russon Gilman(ホリー・ラッソン・ギルマン)氏は、New America’s Political Reform Programフェロー、コロンビア大学講師、Georgetown’s Beeck Center for Social Impact + Innovationのノンレジデントフェローであり、「Civic Power: Rebuilding American Democracy in an Era of Crisis」の共著者。同じく筆者のTara Dawson McGuinness(タラ・ドーソン・マクギネス)氏はオバマ大統領の元上級顧問であり、現在はNew America’s Political Reform ProgramのシニアフェローとしてMcCourt School at Georgetown Universityで公共政策を教えている。

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(翻訳:Mizoguchi

Uber初のダイバーシティ責任者が退社、給与支払いスタートアップのGustoへ

TechCrunchが確認したところでは、Uberの初代ダイバーシティ責任者、Bernard Coleman(バーナード・コールマン)氏が社を去った。最終日は1月17日だった。

「過去数年にわたるバーナードの貢献により、Uberはより包括的で多様な会社になった。彼の成功を祈る」とUberの広報はTechCrunchに話した。

コールマン氏の次の活躍の場は、給与支払い業務を始めとするクラウドベースの人事サービスを提供するスタートアップのGustoだ。コールマン氏はそこで人事部内の従業員エンゲージメントチームを率いる。コールマン氏は次の仕事を探していたわけではなかったが、Gustoでの機会が純粋に到来したと同氏は語った。

「未知の、やってみたかったと思う分野だ」と話した。コールマン氏がGustoに関心を持ったのは、サービス中心の企業だからだ。Gustoは零細企業の給与支払いから福利厚生、人事、労働時間追跡ツールに至るまでのすべてをサポートする。

「Gustoでの挑戦は、サービスを十分に受けられていない人に奉仕するキャンペーン中の日々に結びついている」とコールマン氏は話した。同氏はヒラリー・クリントン陣営でダイバーシティと人事イニシアチブ部門を率いた。「サービスを十分に受けられていない人のための仕事をし、そしてそれを正しく行う機会を得たことは個人的に感じるところがある」。

コールマン氏はいい会社を選んだようだ。Gustoには、Googleの前ダイバーシティ責任者Danielle Brown(ダニエル・ブラウン)氏が2019年4月に加わった。「ダニエルの存在はかなり魅力的だった。私はいつも彼女と一緒に働きたいと思っていたし、その機会を得たことに興奮している」とコールマン氏は話した。

同氏は2017年1月からUberで働き始めた。同社のエンジニアSusan Fowler(スーザン・ファウラー)氏がセクハラ問題や他の職場問題を詳細につづったブログ投稿を公開する1カ月前のことだ。コールマン氏が加わって数カ月して、Uberは初のダイバーシティレポートを発表した。

同社の直近のレポートによると、他のテック大企業と同様、Uberも白人が44.7%の圧倒的多数で、ついで33%のアジア人がくる。2018年にUberの黒人の割合は8.1%で、ラテンアメリカ系は6.1%だったが、2019年には黒人9.3%、ラテンアメリカ系8.3%になった。一方、Gustoはダイバーシティレポートを公表していない。

Uberがダイバーシティ責任者としてBo Young Lee(ボヨン・リー)氏を雇ったのはちょっとしたサプライズだった。というのも、前司法長官Eric Holder(エリック・ホルダー)氏と彼の法律事務所が、セクハラ問題の調査の観点からコールマン氏をCDOに昇進させるようUberに勧めていたからだ。コールマン氏はこの件に関してコメントは避けたが、Uberから学びGustoで生かせることがある、と話した。

「すべての物事が、自分がこれからやろうとしていることのためになると考えている。UberとGustoを比較すると、Gustoはかなり小さい。どこから取り組み、グロースステージにおいてどの部分でより影響力を持たせるべきかを考えることができる。テック業界でこれまで見られなかった手法で実行する環境にある」とコールマン氏は語った。

一方のUberは、ダイバーシティ・インクルージョン部門がなくなったわけではない。リー氏がまだ在籍しており、また最近Diane Krieman(ダイアン・クリーマン)氏を引っ張ってきてダイバーシティとインクルージョンの戦略プラニング責任者に据えた。

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(翻訳:Mizoguchi

電子タバコのJuulが未成年をターゲットして広告を出稿した疑い

米国マサチューセッツ州司法長官が起訴した裁判で、電子タバコメーカーのJuulは、Seventeen Magazine、Cartoon Network、Nickelodeon、およびNick Jr.の各ウェブサイトで、故意にティーンエージャーをターゲットした違法広告の詳細が報告されている。

同裁判でMaura Healey(マウラ・ヒーリー)司法長官は、2018年に同氏が、Juulのマーケティングおよび広告キャンペーンについて、未成年に対する違法なターゲティング の疑いがあるので捜査すると発表したことを実行した。

本日同州サフォーク郡上級裁判所に提出された訴状では、Juulが当初の計画だった成人喫煙者に焦点を絞ったマーケティングプランを捨て、若手のモデルを起用して若者向けウェブサイトで商品を宣伝し、広告キャンペーンやソーシャルネットワークで未成年をターゲットにしていたことが暴露している。

Juulはコメント要求に返信していない。

「Juulには、全米数百万人に上る電子タバコ中毒の若者に対する責任がある。これは数十年にわたる未成年によるタバコ、ニコチンの服用との戦いを無に帰すものだ」とヒーリー氏は語った。「この裁判では、同社が意図的に若者をターゲットにしていることを明るみに出し、彼らがマサチューセッツ州に対して起こした公衆衛生危機の代償を払わせるつもりだ」。

裁判の新たな陳述によると、Juulは同社の電子タバコのVaporizedを、Nickelodeon、Nick Jr.、The Cartoon Network、およびSeventeen Magazineで展開する広告キャンペーンを購入した。ほかにも、子供たちが数学や社会を学習するためのウェブサイト、coolmath-games.comsocialstudiesforkids.comなどにも広告を掲載した。

マサチューセッツ州の司法長官は、同社が使用しているソーシャルメデアのスターや有名人たちをフォローしている10代の子供たちが多数いることを指摘する。Miley Cyrus(マイリー・サイラス)氏、Cara Delevingne(カーラ・デルヴィーニュ)氏、Kristen Stewart(クリステン・スチュワート)氏、Luka Sabbat(ルカ・サバト)氏、Tavi Gevinson(タヴィ・ゲヴィンソン)氏といったスターたちのことだ。

しかも同社は、マーケティング資料を配布する際に使用するために同社が用意してた年齢検証ツールすら無視していたことを司法長官が指摘している。事実、Juulは同社の年齢検証プロセスを通っていない4万人の個人に対してマーケティング・メールを送信している。同社が集めた42万人分のメールアドレスのうち、83%は18歳以上の人物の記録と一致しなかった。

大胆にも、この会社はマサチューセッツ州ビバリー、モールデン、ブレインツリーの高校と関連のあるメールアドレスを使用しているアカウント、1万2000件以上の作成を許している。

裁判では、Juulのカスタマーサービス担当者が潜在顧客に対して、法定販売制限を回避する方法を助言した疑いも指摘している。

マサチューセッツ州では、Juulを始めとする複数の電子タバコメーカーによるマーケティング・キャンペーンや戦術の結果、高校生の50%以上が電子タバコを試したことがあり、30%が過去30日以内に電子タバコを使用したと答えている。

Juulの2018年9月~2019年8月の米国小売売上は33億ドルで、電子タバコ市場シェアの約75%を占めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

東京都のダイバーシティアワードで「外国人向け予防接種管理」と「まごチャンネル」が最優秀賞を受賞

2月12日、東京都が推進しているSociety 5.0実現への取り組みの一環として、「スマート東京シンポジウム&ダイバーシティTOKYOアプリアワード表彰式」が都内で開催された。

ダイバーシティTOKYOアプリアワードは2019年11月から12月にかけて応募を受け付けていたもので、イベント当日には1次審査を通過した団体のプレゼンテーションと最終審査、結果発表と表彰が行われた。

募集テーマは

  • 外国人が快適に過ごせるように
  • 障がい者がもっと活躍できるように
  • 高齢者が不安なく生活できるように

の3つで、「アイディア部門」と「アプリ部門」が設けられた。イベント当日はアイディア部門とアプリ部門の各3組、計6組がプレゼンを披露し、その後の審査を経て賞が決定した。

【アイディア部門】

最優秀賞
「子育て中の外国人の不安をなくす! 予防接種サービス」(株式会社エムティーアイ
在日外国人にとって子供に予防接種を適切に受けさせることは難しい。母子手帳アプリ「母子モ」を提供する同社が、海外と日本の予防接種の対応、日本のルールに従ったスケジュール、多言語対応などのサービスを提案した。

優秀賞
「住替えくん・馴染めるくん」(GDSC)
高齢になり生活スタイルが変化したために転居したいと思っても、多くの手続きや転居先でのコミュニティ形成などのハードルがある。そこでさまざまなデジタルサービスをパッケージ化して提供しようというアイディア。

優秀賞
「ご近魚さん」川野颯太氏
高齢者が金魚を模したアバターを通じてオンラインで交流するサービスの提案。個人情報を公開せず、簡単なアンケートから同じ悩みを持つ人を知り、共感を得る仕組み。

【アプリ部門】

最優秀賞
まごチャンネル with SECOM」(セコム株式会社 / 株式会社チカク)
チカクの「まごチャンネル」に、セコムの「みまもりアンテナ(センサー)」をプラスしたみまもりサービスで、2019年12月から提供されている。受賞決定後には記念として、2月28日までの新規購入キャンペーンが始まった。

優秀賞
「Payke(ペイク)」(株式会社Payke
主に外国人観光客向けのアプリで2015年に提供開始。商品につけられているバーコードをアプリでスキャンすると、多言語で商品説明を見ることができる。インバウンドデータの分析にも役立てられている。

優秀賞
Mayii(メイアイ)」(大日本印刷株式会社)
“移動に困っている人”と“手助けしたい人”を結びつけるアプリ。2019年7月に公開され、2020年2月7日時点でアプリのダウンロード数は2万5500件、登録者数は7550人だという。

審査委員長の坂村健氏は審査後の講評で「総じて社会的に弱い人をどう助けるかはよく考えられていたが、東京都が持っているデータを利用するとか東京都を窓口とするなど、今後は東京都をもっとうまく利用することを考えてほしい」と述べた。

審査委員の各氏。右から
INIAD東洋大学情報連携学部 学部長 坂村健氏(審査委員長)
武蔵野美術大学造形構想学部クリエイティブイノベーション学教授 山崎和彦氏
駐日外国政府観光局協議会事務局長 マサボ・イザベル氏
有限会社インフィニティ代表取締役 世代・トレンド評論家 牛窪恵氏
TechCrunch Japan編集統括 吉田博英

東京都の小池百合子知事から記念の盾が贈られた

6団体のプレゼン後、審査発表までの間には「スマート東京シンポジウム」と題して2つの講演があった。

まず東京大学空間情報科学研究センター&生産技術研究所教授の柴崎亮介氏からは、東京をさまざまなデータからとらえたスマートシティのあり方が語られた。都市の価値を高めるために重要な役割を果たすスタートアップについても言及があり、初期段階のスタートアップは東京の東部に多く分布している、全国的に見るとスタートアップも投資家も東京に集中している、海外から日本への投資はまだ少なく国際的な魅力を上げていく必要があるのではないかといった状況が紹介された。

続いて講演したのは東京都の宮坂学副知事で、「スマート東京」へ向けての課題や取り組みが説明された。東京が世界の都市間競争を勝ち抜くためにはデジタルトランスフォーメーションを加速度的に進めていく必要があり、2020年度は前年度比約8倍の158億円の予算をつけているそうだ。

宮坂副知事の講演中には、先端技術の紹介として日本国内ではソフトバンクロボティクスが展開するBoston Dynamics社の四足歩行ロボット「Spot」が軽快に動く様子がデモンストレーションされた。実際の動作のデモは日本では初めてとのことだ。

最後に挨拶に立った東京都の小池百合子知事は「今回のアワードには75件の応募があり、いずれも今のニーズを捉えた提案だった。デジタルトランスフォーメーションが進む中、まず5Gなどのインフラを整える必要があり、そこにどんなコンテンツをのせて都民のニーズに応えるかが重要だと思っている」とスマート東京の実現を目指す考えを述べた。

裁判所がUberとPostmatesのギグワーカー法仮差止請求を却下

連邦地方裁判所は、個人事業者との契約形態を強制するカリフォルニア州法案に対するUberおよびPostmatesの仮差止請求を棄却した。本請求は両社がライドシェアリング・ドライバー2名とともに昨年12月末に起こした訴訟の中で提出された。裁判は今も続いている。

下院法案5号(AB5)は今年初めに発効し、企業が労働者を個人事業者として分類することに制限を設けた。これは、請負業者を保護する目的ではあるが、一部のフリーランサーは、職の機会と報酬を得る能力を制限するものであると批判し、ビジネスモデルがギグワーカーに依存しているテック企業も同様の立場をとっている。

米国時間2月10日に発行され裁定で、カリフォルニア中央裁判所のDolly Gee判事は、裁判所は「労働基準法が適用される低所得労働者の大多数の労働条件を向上させる法律を制定しようとする立法機関の選択に批判すべきことはない。これは独立契約を享受しているごく一部の労働者の既存利益を守ることに優先する」と語り、「公正さと公益の観点から国がこの法律を制定することは許される」と付け加えた。

UberとPostmatesは裁判で、AB5が米国およびカリフォルニア州憲法の複数条項に違反していると主張しており、ライドシェアリングおよびオンデマンド配達の労働者の分類について、他の20以上の業界の労働者と同等の適用除外があってしかるべきだという。

関連記事:UberPostmatesがギグワーカー法案「AB-5」は違憲であると訴え

Uber、Postmates、および同裁判の原告であるLydia Olson氏とMiguel Perez氏のふたりには、Gee判事の裁定に不服申立てをする権利がある。

Postmatesの広報担当者は報道向け声明で「トラック運転車、フリージャーナリストを始めとする多数の職種の人々が証言しているように、AB5は全国の労働者の価値を低下させるものであり、Postmatesは今後も労働者の分類と労働者保護を近代化しながら、労働者が意義ある恩恵を受けられるように注力していく」と語った。

Uberの広報担当者は、「われわれは、全労働者が法の下で等しく保護され、働き方を自由に選べるための裁判を、数多くの企業や個人とともに今後も戦っていく」と語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SprintとT-Mobileの合併を連邦地裁も承認、反対州は敗訴

アメリカのモバイル事業に地殻変動が起きる。T-MobileSprint260億ドルの合併には激しい反対者が存在しているが、このほど連邦地裁から合併を承認する判決が出た。この合併により、アメリカ3位と4位のキャリヤが合併する。アメリカのモバイル・キャリヤの数は4から3となる。

この合併の反対して訴訟を起こしていた14州の司法長官らは「競争者の数が減ることはカルテルを結ぶことを容易にさせるものであり消費者の利益を損なう」と主張してきた。T-MobileSprint「事実はその逆であり、合併によって両社の立場を強化することは巨額の投資を必要とする5Gネットワーク建設にあたってVerizonTechCrunchの親会社)と ATTという1位、2位の会社との競争を可能にし、消費者の利益になる」と主張していた。

連邦地裁のVictor Marrero判事は後者の主張を認め、T-Mobileの事業について「同社はこの10年間に(旧AT&Tグループの)2社と競争できる企業に成長し、消費者に利益をもたらす無数の変化を生じさせた」と評価した。

この合併は司法省による反トラスト法の審査でも承認を受けている。しかし反対州はこの判決に強い不満を抱いており控訴する可能性がある。

画像:TechchCrunch

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滑川海彦@Facebook

米国成人の30%が出会い系アプリを使用し12%が特定の相手を見つけている

米国における出会い系アプリの利用は上昇中であり、それに起因する問題も増加している。Pew Research Center(ピュー・リサーチセンター)が米国時間2月6日発表した最新レポートによると、米国成人の30%が出会い系アプリまたはウェブサイトを使ったことがある。2013年のわずか11%から急増した。そして米国成人の12%がオンライン出会いを通じて長期間の関係をもったことがある。さらに、ユーザーの大半はオンラインの出会いを良い体験だったと答えている。しかし、特定の分野を掘り下げてみると、ハラスメントに関する深刻な問題が浮かび上がってくる。

調査によると、オンライン出会いユーザーの37%が、自分は興味がないと言った後も出会った相手が引き続き連絡してきたと回答し、35%が露骨なメッセージや画像を送られ、28%が汚い言葉を浴びせられた。割合は少ないものの(9%)、身体的危害を受けた人もいた。

全体的に、こうした数値は女性の方が男性よりもずっと大きかったとレポートには書かれている。

具体的には、オンライン出会いを利用している女性の48%が、「ノー」と言った後も連絡され続けたことがあると答えた。46%は不快な画像を送られ、33%が汚い言葉をかけられ、11%が身体的脅威を受けた。

若い女性では数値はさらに大きくなる。18~34歳の女性でオンライン出会い系サービスを使っている10人中6人が、興味がないと伝えたあともしつこく連絡をしてこられたと答え、57%が不快な画像を送られ、44%が汚い言葉をかけられ、19%が身体的脅威を受けた。

若年層は、高齢者と比べて出会い系アプリやウェブサイトを多く使う傾向にある。これには複数の要因があると考えられる。若い世代は新しいテクノロジーを使うことに抵抗がなく、多くの高齢ユーザーは最終的に長期的関係をもったために出会い系アプリをやめるという事実がある。

ピューリサーチによると、LGBの人々は、異性愛者より出会い系アプリやうウェブを使ったことがある割合が2倍近く、それぞれ55%と28%だった。

もう1つ、このレポートの興味深い調査結果は、オンライン出会いの成功率だ。出会い系市場のリーダーであるTinderは、若年層の取り込みに最近力を入れており、「シングル」ライフスタイルを目指すユーザーをターゲットにしている。オンラインでの出会いはカジュアルなもの、結婚は何年も先、という人々だ。米国で最大かつ最も成功している出会い系プラットフォームとして2019年に12億ドル(約1318億円)を売り上げたTinderには、業界のトレンドを動かす力がある。

それに関して、米国成人の30%がオンライン出会い系を使ったことがある一方で、信頼ある関係にいたったのは出会い系ユーザーの39%にあたる米国成人の12%にすぎない。ここでも、2013年の出会い系利用者が11%、長期的関係にいたったのがわずか3%という数字よりはずっと大きい。

「2013年の調査と今回とではいくつか異なる点があるが、利用者が増え、成功率が高くなっているという全体傾向に間違いはない」とピューリサーチは説明する。

オンライン出会いにまつわる数々の問題をよそに、良い体験と答えた人(57%)の方が悪い体験(42%)よりも多い。ただし全体的にみると、アプリやサイトが米国における出会いと関係に与える影響に関ついて、人々は複雑な感情を抱いているとピューリサーチは見ている。例えば、米国人の半分が出会い系アプリは良い影響も悪い影響も与えていないと答えている。

しかし、現在出会い系アプリを使っているユーザーに、アプリの印象を尋ねたところ、期待よりも失望(45%)、楽観より悲観(35%)、安心より不安(25%)を感じていると答えた。ちなみにこれは、会いたかった魅力的な相手を簡単に見つけられるなどの好意的回答をしたのと同じ人たちだ。

また、米国成人の半数近く(46%)が、アプリやサイト経由で人と出会うことは安全ではないと考えている。そう感じている女性(53%)の方が男性(39%)よりも多い。この数値は、女性の方がアプリによるハラスメントの標的になりやすいことと相関している可能性が高い。

レポートはほかにも、出会い系アプリの利用やユーザーの感情を、地域・年齢層、教育水準別に分析しているほか、ユーザーの意見も紹介している。

全体的に見て、さまざまな結果が入り混じっている。概してユーザーはオンライン出会いに満足している。多くの人が相手候補を簡単に見つけられると考えているが、必ずしも安全ではないと思っている。ユーザーは、ハラスメントを受けることをオンライン出会い体験の一部としてある程度受け入れているようだ。これは多くの人が、ハラスメントを受けているにもかかわらず、オンライン出会い全体について好印象をもっていることから推測できる。

本調査は、オンライン出会いプラットフォームの浅薄さも指摘しているようで、いかに写真が重要(71%が非常に重要と答えた)であるかを挙げた。これは人との相性を決める価値として、趣味や関心事(同36%)、宗教(同25%)、政治(同14%)、さらには相手がどんな関係を望んでいるか(同63%)さえも上回っている。

大半の人々は、出会い系アプリには嘘つきや騙そうとしている人でいっぱいだと信じており(それぞれ71%と50%)、出会い系サイトやアプリでそうした行為が頻繁に起きていると思っている。

最後に、オンライン出会いに成功した人は、そうでない人よりもアプリやサイトに好印象を持っているようであり、これはオフラインでも同じことだ。

ピューリサーチの調査は2019年10月16日から28日にかけて実施され、4860人の回答を得た。レポート全文を読むことができる。

画像クレジット:Leon Neal / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アフリカ系米国人向けチャンネル「BET Networks」の元CEOが有色人種女性を支援するファンド立ち上げを示唆

米国のアフリカ系米国人を対象とするテレビチャンネルであるBET Networks(ブラック・エンターテイメント・テレビジョン・ネットワークス)に30年以上在籍したDebra Lee(デブラ・リー)氏は2018年5月、Viacomケーブルネットワーク内の一連の再編の後に会長兼CEOを辞任した。

黒人女性のための最初のケーブルテレビネットワークであるBET Her立ち上げや、それに関連する招待者限定の年次女性会議であるLeading Women Definedの監督にも関わった同氏が、辞任後に公の場から姿を消すことはなかった。それどころか、彼女はすべての女性、特に有色人種の女性に関して積極的かつ率直に意見を述べ擁護してきた。同氏は1月29日、カリフォルニア州パサデナで開催されたUpfront Summitに登場し、Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)が先週発表した新しいIPOダイバーシティイニシアチブへの支持を表明した。テック業界の有色人種の女性を支援する新しい投資ファンド立ち上げについても示唆した。

リー氏は最初にJulia Boorstin(ジュリア・ブールスティン)記者から、公開会社を監督する取締役会に女性を含めることを義務化したカリフォルニア州の法律について質問を受けた。2018年後半に成立したこの法律は他の多くの州に広がりをみせ、同様の義務が検討されているようだ。またブールスティン氏は、先週ダボスでゴールドマンサックスが「7月から、少なくとも1人の多様性をもたらす取締役候補がいない限り、企業の上場を支援しない。特に女性を念頭に置いている」と発表したことについても質問した。

想像するより影響は大きいかもしれない。Bloomberg Lawによる分析によれば、ゴールドマンサックスの方針が2019年に実施されていれば、18件の米国のIPOに関して受け取った手数料1億100万ドル(約110億円)を失っていた。これは、同社が昨年米国で引き受けた59件のIPOで獲得した手数料3億1868万ドル(約346億円)の約3分の1だ。

「これについては長い間議論されてきたから、なぜ同社がそう決めたのか理解できる」とリー氏は答えた。「いずれの施策も良いことだと思う。企業が自ら実行することはないからだ」と同氏は述べた。「30年前から議論されてきた。女性や有色人種が取締役会にいない会社は、本当に恥ずべきことだと思わなければならない。だが、まだたくさんある。カリフォルニア州やゴールドマンサックスのような施策を実行しなければならないのは残念だが、企業に対しては強く臨まなければならない」。

「取締役会に多様性を持たせることは、一部の人が認める以上に大きな影響を及ぼし得る」。取締役会が企業の方針に与える波及効果について質問され、リー氏はそう答えた。同氏は最初にTime’s Upという組織で自身が携わった仕事に言及し「Time’s Upが調査していた嫌がらせ、復讐、報復、ハラスメントを受ける女性などの問題は、意思決定層に女性がいる場合には起こりえない。スタジオの経営幹部に女性がいれば『キャスティングカウチ』(性行為と引き換えに役を与えること)を使うことはない。男性が権力にまかせて何でも好きなことできる場合に比べれば使われることは少ないはずだ」と語った。

リー氏はまた「取締役会に多様な人々がいれば、彼らが企業に説明責任を負わせる。私は唯一の黒人女性として役員室に座るつもりはないし、なぜ他に黒人女性がいないのか、他の有色人種がいないのかを尋ねるような状況に身をおくつもりもない」と強調した。

リー氏はTwitter(ツイッター)の取締役会で3年を過ごし、数年前にEastman Kodak(イーストマンコダック)の取締役も務めた。同氏は両社の指名委員会で、欠員の出た取締役を選ぶ際、多様な候補者が載っている候補者名簿が見たいと発言してきた。実際同氏は「Twitterと契約をしたがっていたサーチファームは雇わなかった。黒人のCEOはいないと言ったからだ。『(Amexの元CEOである)Ken Chenault(ケン・シュノー)を知らないの?(MerckのCEOである)Ken Frazier(ケン・フレイザー)は?』私はパッと思いついた名前を言っただけだ」。

「取締役会に1人か2人入れば、会社にもっと圧力をかけることができる」とリー氏は続けた。「発生した問題がきちんと平等に扱われるようにする。差別やハラスメントに関する訴訟の場合は、問題がうやむやにされないようにする。取締役会は本当に重要だ。戦略や財務などを監督するだけでなく、後継者選びも監督する。取締役会でいつも尋ねる質問の1つは「次のCEO候補はどんな人か。候補者に女性はいるのか。有色人種はどうか。候補者が誰でどんな経歴なのか説明しなければならないから、必然的に候補者の一覧は多様になる」。

リー氏は年次会議についても話した。会議には著名な有色人種の女性が招待され「ハイチで起こっていることから、有権者を投票に駆り出すこと、高齢者のケア、個人の財政、黒人の男の子をどう育てるかまで」が話題になる。Michelle Obama(ミシェル・オバマ)氏も2回出席した。

リー氏は、「重要なことは、お互いを知っている女性をペアにし、彼女達に別の女性を推薦してもらうことだ。そうすることで年次会議が『私が思っていたよりもはるかに重要なもの』に変わった」と指摘した。

それがリー氏の次の行動のエネルギーになるかもしれない。「2、3のビジネスが会議から生まれた」と指摘し、同氏と力強い友人たちが現在、テクノロジー分野の有色人種の女性を支援するファンド創設について検討していると示唆した。

間違いなくそうしたファンドが必要だ。昨年、米国のベンチャーファンドは女性が創業したスタートアップにかつてないほど資金を投入したが、全体からすればほんの一部にすぎない。金額にして33億ドル(約3600億円)、米国のスタートアップエコシステム全体に投資された資金の2.8%だ。有色人種の女性が調達したのは、その小さな割合のそのまた小さい割合にすぎない。

1月29日のイベントで主に投資家から構成される聴衆を前に、ブールスティン氏はステージ上でリー氏と冗談を交わした。「もしファンドを創設するなら、ここに何人かLPの候補がいるわ」。

「それはいいわね」とリーは言った。「もし皆さんの中で誰かご存知なら」。

画像クレジット: J. Countess/WireImage / Getty Images

参考:「スタートアップ上場支援は取締役会の多様性が条件」とゴールドマンサックスが表明

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(翻訳:Mizoguchi

アイオワ州の集計アプリ問題は起こるべくして起こった

アイオワ州民主党党員集会の投票結果をアナウンスするために作られたスマートフォンアプリは結局正常に機能せず、ほぼ丸1日におよぶ膨大な遅れをもたらした。

伝統的にアイオワ州党員集会は、州内各群の集会を利用して、どの大統領候補者を支援するかを決めるために用いられてきた。結果の監査には紙の投票用紙が使われる。民主党候補を指名するための1990票のうち、アイオワ州にはわずか41票分の代理人しかいないが、それでも全米で誰が立候補を勝ち取るかのバロメーターと見られている。

そのためのプロセスを近代化し、スピードアップをはかるべく、アイオワ州民主党はアプリを発注した。

しかし、Shadowという会社が作ったそのアプリは、壮大な惨事を招いた。電話で結果を報告することになった選挙区もあった。

アイオワ州民主党広報担当者、Mandy McClure【マンディー・マクレア)氏はアプリの障害を「報告機能の問題」でありセキュリティーやハッキングではないと説明した。後にマクレア氏は、「コーディングの問題」だったと語った。集計結果は米国時間2月3日の夜遅くには発表される予定だったが、2月4日の午後まで延期されるとアイオワ州民主党は説明しているり

果たしてこれを予測できた人はいたのか?実はかなりの人数がいた。「そもそもアプリなど必要なかった」とノースカロライナ大学のZeynep Tufekci准教授がツイートで語った。

アプリについてはほとんど情報がなく、1月にNPR誌が概略紹介した後でさえ秘密に覆われていた。これは米国大統領候補指名プロセスで使われる初めてのアプリであり、電子投票やアプリを利用することはハッカーに露出する恐れがあることが懸念されていたにもかかわらず決行された。

わかっているのは、ハッカーにシステムを悪用されることへの恐怖から、セキュリティーの詳細が秘密に覆われていたことだ。これは「隠蔽によるセキュリティー」は誤りであると主張するセキュリティー専門家らから批判を浴びていた。国土安全保障長官のChad Wolf(チャド・ウルフ)氏は火曜日のテレビ出演で、アイオワ州民主党はアプリのセキュリティー欠陥をテストする同省の申し出を拒否したと語った。そして、秘密であるゆえにアプリが十分なテストを受けたことを示す証拠はない。テストしたとして、どんなレベルのテストや検査だったのかも不明だ。

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不吉な前兆はあったという人たちもいる。「正直なところ、アイオワ州党員集会でこの新アプリに起きたことについて、陰謀論や不正行為を疑う必要はない」とテスト会社であるMobile LabsのCEOであるDan McFall(ダン・マクフォール)氏がメールで私に話した。「これは、当社の企業ユーザーの間でで何年も前から起きている話だ。注目を集める重要な締め切りに向けて、新しいアプリケーション開発が強引に推し進められる。モバイルアプリはみんなが思う以上に難しく、初期リリースは遅れるのが普通であり、納期を守るために実践的テストのプロセスを省けばカオスが約束されている」。

テスト会社のApplauseを率いるDoron Reuveni【ドロン・レウベニ)氏も同意する。開発者自身には見えないことのある「盲点」を見つけるために十分なテストとリアル世界でのテストが必要だと語った。サイバーセキュリティー会社のCyberVistaのCEOで元国防総省アナリストのSimone Petrella(シモーネ・ペトレア)氏は、単純な問題に高度なソリューションは必要ないと語った。

「Googleスプレッドシートか何かの共有ドキュメントで十分」とペトレラ氏は語った。「セキュリティーを守りつつエンドユーザーが操作しやすいソリューションを開発、提供することは驚くほど困難で高くつく」とPetrella氏は言う。「この種の課題を解決するソリューションやアプリを作るのなら、設計当初からセキュリティーを考慮し、開発プロセス全体を通じて厳重なプロダクトテストと検証を行い、すべてが保存され、データは正しく安全に操作されていることを保証する必要がある」

今回の大失敗が、7月の民主党全国集会までにそれぞれの大統領候補を選ぶ党員集会を予定している他の選挙区や州に警鐘を鳴らすことは間違いない。

ネバダ州は2月に行われる党員集会で同じアプリを使うと言われていたが、計画は破棄された。

「我々はアイオワ州党員集会で使用されたアプリやデベロッパーを使わない」と広報担当者は言った。「すでに代替手段や冗長性のある報告システムを開発しており、現在最善の手段を評価しているところだ」。

Shadowは、ツイートでアイオワ州党員集会の問題について「遺憾の意」を表明し、「この教訓を将来に活
生かす」と語った。

そんな重要な事案になぜアプリを使うのか、というのが今多くの人々が自問している疑問だ。アイオワ州が選挙でテクノロジーを使ってはいけない典型例になったことは、少なくとも明るい話題だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

米大統領選アイオワ民主党集会は集計アプリのバグで混乱続く

大統領の座を巡って共和党候補(ほぼ間違いなくドナルド・トランプ現大統領)と戦う民主党の大統領候補が決定するのは今年末になるはずだが、アイオワ州の民主党党員集会は長い予備選の幕開けとなるため、極めて重要な意味を持つ。このチャンスを生かしてブームを作れるかどうかが予備選の勝利に直結する。全国の有権者、メディアの関心も集中していた。

それだけにアイオワ党員集会をめぐる2月3日の混乱は非常に憂慮される事態だ。いまだに集計結果が発表できず、いったい誰がどれほど勝ったのか不明だ。

この混乱の中心はShadowという営利企業によって開発されたといわれるモバイルアプリだ。New York Timesの記事によれば、アイオワ州民主党が利用したアプリは「この2カ月で大急ぎで作られた」プロダクトで、「これほど重要な政治イベントで集計に用いられるアプリなら当然要求される綿密なテストを経ていない」という。アイオワ民主党は Shadowに6万3000ドル(約690万円)を2回分割で支払い、「安くて簡単に使えるツール」の開発を依頼したと報じられている。

TechCrunchでは2月3日の夜、集計用モバイルアプリがクラッシュして結果発表が遅れていることを報じた。アイオワ民主党の広報担当、Mandy McClure(マンディ・マクルーア)氏は声明で「結果に関する3種類の数値の間に矛盾がある(ため精査している)。基礎となる報告、またそのデータにはまったく問題がないので結果発表が若干遅れるだけだ」と述べた。

同氏は「ハッキングや悪意ある侵入などの形跡はない」と付け加えた。2016年の選挙にロシアのハッカーの介入があったという報道が繰り返されたことを考えると重要な点だ。

アプリを開発したShadowの背景にはいくぶん不明な点がある。民主党進歩派のNPO組織であるACRONYMは自サイトでShadowを「ローンチした」としていた。しかし昨夜の混乱の後、広報担当のKyle Tharp(カイル・タープ)氏は「単に投資しただけ」と距離を置き、「アイオワ民主党にいかなるテクノロジー上の援助もしていない」と述べた。ACRONYMの声明によれば「我々は、皆と同様、アイオワ民主党からさらに情報が明かされるのを待っていると声明した。

ACRONYMのサイトのAboutページには当初、「2019年1月、我々はShadowをローンチした。これは選挙運動の組織者がキャンペーンを効率的に実施するためのテクノロジーを開発する企業だ」と書かれていた。これが事件後には「 2019年1月にわれわれはShadowに投資した」と修正されていた。

アイオワ民主党の委員長、Troy Price(トロイ・プライス)氏は問題発生に続く声明で、「プログラミング上の問題」によるものだとした。

我々の調査によれば、(問題の)アプリが収集してデータは自体は正常でありまったく問題ないと判明した。 アプリはデータを正しく記録したものの、データの一部分しか集計出力されないという問題が起きていた。調査の結果、これはアプリの結果出力部分のプログラミング上の問題だと結論した。問題は同定され、すでに修正されている。アプリの結果出力の問題は各地区の責任者が報告した数値の健全性になんら影響を当たるものではない。

(…)地区責任者からの結果報告は現在もアイオワ民主党に送られ集計されつつある。われわれは即日、可能な限り早く結果を公開する予定だったが、データの整合性と正確さを最重点とする立場から、集計発表は延期された。

またプライス氏は「システムはセキュリティ専門家がチェックした」と述べ、ハッキングや侵入の試みがなかったことが確認されていることを繰り返した。

【略】

LA Timesの報道によれば、Shadowは当初Groundbaseと呼ばれ、 2016年の大統領選でヒラリー・クリントン候補のデジタルキャンペーンのスタッフだったGerard Niemira(ジェラルド・ニーミラ)氏とKrista Davis(クリスタ・デイビス)氏によって創立されたという。正確な状況や原因が不明であるため、民主党員の間には、当然ながら、このデジタル集計システムに対する不信が高まっている。

画像:Tim Hynds/Sioux City Journal / Getty Images

【Japan編集部追記】 「3種類の数字」は「参加党員の最初の選択、2回目の選択、最終の選択」。MSNBCの報道によれば、これは前回の大統領選のアイオワ集会で勝利したヒラリー・クリントン候補と次点となったバーニー・サンダース候補の差が0.3%しかないことで紛糾したため。各地区の責任者はモバイルネットを通じてこのアプリで3組の数値をアイオワ民主党本部に送ることになっていたが、トラブルが多発して電話連絡を利用するなどしている。

ShadowのCEOであるニーミラ氏のLinkedin登録ページによれば、彼はACRONYMのCOOでGroundBaseの共同創業者兼CEO、「ヒラリー・フォー・アメリカ」のプロダクト・ディレクターを歴任している。それ以前の職歴は、途上国向けマイクロファイナンスのKiva.orgに7年8カ月在職している。ボストン大学卒業となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

改造HoloLensで視覚障がいのある子供に周囲をガイド、マイクロソフトが進める「Project Tokyo」

全盲や弱視の子供が成長する過程での難しさは、見える友だちと同じ本を読んだりゲームをしたりすることができないだけではない。視覚は社会的な交流や会話において大きな役割を担っているという問題がある。マイクロソフトのプロジェクトでは、視覚障がいのある子供が話している相手を「見る」ためにARを活用する研究に取り組んでいる。

画像:Jonathan Banks / Microsoft

当然のことながら、視覚障がい者には周囲の人が見えないという難題がある。そのため、晴眼者が会話の際に利用している多くの非言語の手がかりを、視覚障がい者は見つけたり利用したりすることができない。早期にそのような行動を学習していない場合は、特にそうだ。

Project Tokyoは、AIやARといったテクノロジーを障がいのある人も含め「すべての」人に役立てようとする、マイクロソフトの研究者たちの新たな取り組みだ。すべてのケースに当てはまるわけではないが、音声対応のバーチャルアシスタントはタッチスクリーンやマウス、キーボードを使いづらい多くの人の役に立つはずだ。

研究チームは数年前、非公式にアクセシビリティの向上に取り組み始めた。まずリオデジャネイロで開催されたパラリンピックを訪れ、人々を観察した。次に全盲や弱視の人々のコミュニティとともにワークショップを実施した。これらのことからチームが気づいた重要なポイントは、ほぼどんな状況でも視覚から微妙なコンテクストが得られていることだった。

マイクロソフトの研究者のEd Cutrell(エド・カトレル)氏は次のように述べている。「私たちは、人間として、他人とのやり取りに関してとても微妙で複雑な感覚を持っています。部屋にいるのは誰か、何をしているのか、自分との関係はどうか、私にとって重要かどうかをどう判断するか、これらを知るための手がかりは私たちにとって当然に得られるものです。しかし、目の不自由な人々にとってはそうではありません」。

このことは子供たちには特に顕著で、このような手がかりや振る舞いについておそらく学んでいないために、社会性に欠ける傾向を示してしまうことがある。会話中にテーブルに突っ伏したり、話している相手の方を見ないといった傾向だ。

補足すると、こうした行動自体に「問題がある」わけではない。彼らにとって最も適切な行動をとっているだけだ。しかしこうした行動は晴眼者との日々の関係を阻害するおそれがある。そのため、すべての人にとって容易で自然な関係の構築を目指す研究には意義がある。

Project Tokyoは、改造してレンズをはずしたMicrosoft HoloLensで実験をしている。HoloLensは、適切な情報を与えられれば物体や人物を識別できるきわめて高度なイメージングデバイスでもある。

ユーザーがこのデバイスをハイテクなヘッドバンドのように装着すると、カスタムのソフトウェアスタックが状況に応じた手がかりをユーザーに提供する。

  • 例えば右前方1メートルほどのところに人物を検出すると、ヘッドセットがその方向から鳴っているようなクリック音を発する。
  • その人物の顔が既知である場合、先ほどとは別の弾くような音が鳴り、その人物の名前が読み上げられる(前述のクリック音と同様に、この音もユーザーにだけ聞こえる)。
  • 未知の顔の場合やうまく認識できない場合は、ゴムバンドが伸びているような音が鳴る。ユーザーの顔の向きに応じて音が変化し、顔を相手に向けるようにガイドする。相手の顔がカメラの中央に来るとクリック音が鳴る(つまりユーザーが相手をまっすぐ見ることになる)。
  • 周囲に人がいる場合、ヘッドバンド上のLEDが検出された人物の方向に白く光り、人物が特定されると緑に光る。

ほかの機能も研究されているが、このセットが出発点であり、12歳のTheo(セオ)という少年のケーススタディではこのセットが特に有効と考えられている。

システムやセオとの実験などについてはマイクロソフトの記事に詳しく記されているが、基本的にセオはシステムを詳しく理解し、それにより晴眼者が主に使用している手がかりによって社会的な関係性に対処できるようになっている。例えば、相手に顔を向けて意図的に注目できるようになってきた。また、室内を自分なりの方法でスキャンして周囲の人を常に意識する方法も自ら身につけた。どちらもテーブルに突っ伏していてはできないことだ。

できることが増えるのは良い取り組みだが、もちろんまだ発展途上だ。高価でかさばるハードウェアを一日中身につけたくはないし、ユーザーごとにニーズが異なるのも当たり前だ。表情やジェスチャーについてはどうだろうか? 看板やメニューはどうする? 最終的にProject Tokyoの未来は、AIシステムなどのモダンなツールを構築する際にはほとんど関わりを持たないコミュニティのニーズによって決まるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

2020年版絵文字はトランスジェンダー旗や性差別のないバリエーションが満載

今年は100種類以上の絵文字(emoji)が新たに加わる。公式に絵文字を統治する団体であるUnicode Consortiumは、2020年に117種類の新しい絵文字Emoji 13.0の一部として追加することを発表した。今回追加されるのは、まったく新しい絵文字62種類と、新しいジェンダーや肌の色のバリエーション55種類からなり、その多くが性差別に配慮したものだ。ほかに今年の追加で注目すべきなのがGoogleとMicrosoftの共同スポンサーによるトランスジェンダー旗で、ほかにも涙のスマイルフェイス、ハグし合う2人、つまんだ指、変装した顔、そのほか大量の動物や食品などが含まれている。

今年は5種類の絵文字(ジェンダーに配慮した派生物を含む)をGoogleがスポンサードしている。

同社が提案したのがベールをつけた人タキシードを着た人のバリエーションで、これで男性、女性、ノンバイナリーのさまざまな肌の色の絵文字が揃った。性別に中立なサンタクロースも追加された。

Googleの新しい絵文字(Android版)

Googleは「哺乳瓶で赤ちゃんにミルクを飲ませている人」の絵文字も提案した。

「これまで、育児を表す絵文字は「母乳を飲ませている」ものだけだった」とGoogleのAndroid絵文字プログラム担当デザインディレクターのJennifer Daniel氏は語る。「母乳を与えられないことは子供の保育ができないことを意味していないので、誰もが使える絵文字を導入したいと考えた」

最近、絵文字はますます差別に配慮し表現性が高くなりつつある。2019年の追加では補聴器、車椅子、義肢、盲導犬などのほか、性的に中立なカップルや、さまざまな肌の色が加えられた。

Googleは2020年、感情に重点を置いた新しい絵文字として、ハグし合う2涙を流す笑顔も提案した。後者は、感謝と安堵を同時に表現するために多くの人々が欲しかったものだ。ダニエル氏はこの絵文字について、喜びと小さな悲しみの入り混じった感情を表すためにも使えると語った。過去の記憶をたどるとき、例えば#tbt(Throwback Thursday、木曜日の振り返り)や、子供の頃の楽しい時間を思うときなど。

Googleの新しい絵文字(Android版)

忍者も人間の絵文字に加わった。

動物のラインアップには、黒猫、バイソン、マンモス、ビーバー、ホッキョクグマ、ドードー、甲虫類、ゴキブリ、ハエ、 ミミズが入った。

食べ物関係では、タピオカティー、ブルーベリー、オリーブ、ピーマン、フラットブレッド、タマーレ、フォンデュー、ティーポットが加わった。

ほかには、羽根、鉢植え、岩石、丸太、小屋、ピックアップトラック、ローラースケート、マジックワンド、ピニャータ、マトリョーシカ、縫い針、結び目、ビーチサンダル、軍用ヘルメット、フック、はしご、エレベーター、鏡、ラバーカップ、ネズミ捕り、バケツ、歯ブラシ、墓石、プラカード、トランスジェンダー旗、(リアルな)心臓、肺などが追加された。

新しい絵文字がこれだけ増えたことで、必要なものを見つけるためのシステムが必要になるだろう。絵文字の予測表示はそこそこ役に立つ。しかし、普段使わない絵文字を探すためには、iOSの絵文字キーボードでは何度もスクロールする必要がある。GoogleのGboardはよく出来ていて、絵文字を見つけるための検索ボックスがついている。サードパーティー製キーボードを使う方法もある。

画像クレジット:Google、およびEmojipedia

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Twitterがヘイト・暴言を理由に英国の右派コメンテーターのアカウントを凍結

Twitter(ツイッター)は、物議を醸している右派コメンテーターであるKatie Hopkins(ケイティー・ホプキンズ)氏のアカウントを一時的に凍結したことを認めた。BBCによっていち早く報じられた。

MailOnlineの元コラムニストで、LBCラジオのプレゼンターであるホプキンズ氏はソーシャルメディアを使いこなしており、10年近く前からTwitterを利用している。同氏は極右傾倒の、自由主義を追いやるような考えを広めるためにTwitterを使っている。定期的に反移民や反イスラム感情をツイートし、いまや白人の英国人が少数派として差別されていると主張してきた。

ホプキンズ氏のどのツイートによってTwitterが最終的に凍結の決断を下すことにつながったのかは不明だが、同氏は最近、黒人で英国人ラッパーのStormzy(ストームジー)氏をターゲットにした一連の口汚い言葉をツイートしていた。

アカウント一時凍結を認めるTechCrunchへの声明で、Twitterは以下のように述べている。

Twitterの安全性を維持することは我々にとって最優先事項であり、Twitterでは暴言やハラスメントは許されません。我々のルールに反したアカウントに対しては強制措置を取ります。この対象には、ヘイト行為ポリシー違反や暴言行為ポリシー違反が含まれます。これらポリシーはサービスを利用する全員に適用されます。

この記事執筆時点で、ホプキンズ氏のアカウントはまだ閲覧できるが、彼女のツイートは1つを残してすべて削除された。

ホプキンズ氏自身が、彼女のツイートの大半を削除したのかどうかは明らかではない。Twitterは、全ツイート削除の選択肢を提供するサードパーティーのサービスを含め、ユーザーが自身のツイートをいつでも削除できるとしている。

ホプキンズ氏のフィードにある閲覧できない2つのツイートには、Twitter’s rules(ツイッターのルール)違反により「閲覧できません」とある。

残る閲覧可能なツイートは、人種的ヘイトをあおるとしてホプキンズ氏を非難する他のユーザーのリツイートだ。そこには、ホプキンズ氏がストームジー氏に対して発した一連の暴言が含まれるツイートのスクリーンショットが載っている。

ツイッターでのホプキンズ氏の自己紹介では、自身を「Milo’s Mum(Miloのママ)」と称し、Milo Yiannopoulos(ミロ・イアノポウロス)氏に言及している。彼は議論を巻き起こしてきたもう1人の右派人物だ。Ghostbusters出演女優Leslie Jones(レスリー・ジョーンズ)氏に嫌がらせをするようフォロワーを煽動し、2016年にTwitterから永久追放された。

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(翻訳:Mizoguchi