【コラム】持続的な宇宙開発のために、宇宙ゴミ問題に今すぐ取り組まなければならない

英国宇宙庁が不要な衛星2機の除去プログラムに軌道上サービスに取り組むアストロスケールを選定

億万長者を宇宙に送り込む競争は、ブランソン対ベゾス、ロケット対ロケットだった。

Blue Origin(ブルーオリジン)は6月7日に、7月20日に予定されている同社初の有人飛行に、創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)が搭乗することを発表した。同日、Parabolic Arcは、Virgin Galacticが7月11日にRichard Branson(リチャード・ブランソン)を弾道飛行に送る予定であると報じた。そしてどちらも、宇宙飛行を行う3人目の億万長者であるElon Musk(イーロン・マスク)を打ち負かすことを目指していた。

アポロ11号の月面着陸から半世紀以上が経過し、宇宙開発は明らかに再び盛り上がりを見せている。しかし、今日のミッションには、億万長者の野望以上のものが反映されている。たとえ、マスク、ベゾス、ブランソンが個人的な宇宙計画で最も大きな見出しを躍らせていたとしてもだ。

真の宇宙経済が出現している。この新しい分野は指数関数的な成長段階にあり、現在の商業プロジェクトに共通しているのは、新しい技術とインフラへの投資の到来だ。

今日の探検家たちは、他の惑星への旅行や火星の植民地化といった私たちの想像力の限界を超えた拡張計画に始まり、何千もの通信衛星、全地球航法衛星システム、地球観測衛星の打ち上げに至るまで、巨額の投資を行っている。

衛星サービスと地上設備、政府の宇宙予算、全球測位衛星システムの設備を合わせた世界の宇宙経済の規模は、約3450億ドル(約39兆4250億4700万円)と推定されている。2019年のスタートアップの宇宙ベンチャー企業の収益は57億ドル(約6513億5600万円)で、2018年の35億ドル(約4000億3075万円)の記録を簡単に更新した。2040年までに、世界の宇宙産業は1兆ドル(約114兆3575億円)以上の収益を上げることができるとモルガン・スタンレーは推定する。

つまり、宇宙でのゴールド・ラッシュが始まっているのだが、ゴールドラッシュにおける環境の持続的な発展という点では、これまであまり目立った実績は見受けられない。

宇宙空間での壊滅的な衝突の脅威が高まっている

私たちは、宇宙における新たなビジネスチャンスを安全かつ持続的に発展させるための重要な転換点に立っている。これらの活動の多くは、地球の軌道と同じ領域を利用しており、これは無限の空間ではない。NASAによれば、約1mm以上の宇宙ゴミ(デブリ)が1億個以上、国防総省のグローバルな宇宙監視ネットワーク(SSN)のセンサーによって追跡されている。地球近傍の宇宙環境には、小さすぎて追跡できないものの、有人宇宙飛行やロボットミッションを脅かすほどの大きさの宇宙ゴミがもっとたくさん存在している。

地球低軌道上では、宇宙ゴミと宇宙船の両方が時速約25,266kmを超える速度で移動しているため、たとえ5mmのナッツでも太陽電池パネルを紙のように切り刻むことができる。実際、NASAの報告によると、地球低軌道で運用されているほとんどの宇宙ロボットにとって、ミリサイズの宇宙ゴミはミッション終了に対する最も高いリスクとなっている。宇宙空間がますます混雑していく中で、誰か1人でも安全でない、あるいは無責任な行動をとれば、壊滅的な結果を招く可能性がある。

再利用可能なロケットの開発により、1kgの衛星を軌道に乗せるためのコストが下がったことや、人工衛星の小型化が進んだことで、地球の軌道上に渋滞が発生する恐れが出てきた。現在、地球上の軌道上には約3000個の能動衛星があるが、この数は今後数年間で急増すると考えられている。MarketWatchによると、2025年までに年間の衛星打ち上げ数は230%増加すると予想されており、現在2万4000機の衛星打ち上げが計画されている。しかもこの数字には、SpaceXやOneWeb、Kuiperによる打ち上げは含まれていない。SpaceXのStarlinkだけでも4万個の衛星の打ち上げを申請している。

再使用型ロケットのおかげで、地球低軌道に22トンの衛星を打ち上げるコストは、2億ドル(約228億7200万円)から約6千万ドル(約68億6100万円)に下がった。かつては数億ドル(数百億円)のコストがかかる巨大な高性能衛星を1機必要とした衛星アプリケーションも、今では100万ドル(約1億1400万円)の安価・小型の低性能衛星コンステレーションが登場し、グローバルなサービスを提供できるようになった。

小型の衛星1基では、大型の衛星1基に比べると性能が劣るが、複数の衛星のデータを利用することで同等の結果が得られることが多い。さらに、衛星コンステレーションのアーキテクチャは拡張性が高いため、新しい世代の衛星が打ち上げられるようになれば、インフラ全体のパフォーマンスが飛躍的に向上する。

持続可能な開発には、新しい技術とより良いガバナンスが必要

持続的な経済発展のためには、ミッションの要件を慎重に分析するところから寿命が尽きるまでの宇宙ミッションのライフサイクルの間中、従来の顧客と新しい顧客をサポートできる革新的なソリューションが必要となる。

これらのソリューションの中には、打ち上げ、運用、廃棄を効率化できるようなまったく新しい宇宙ベースのインフラが必要になるものもある。例えば、D-OrbitのION Satellite Carrierは、複数の衛星を搭載して軌道上まで輸送し、それぞれの衛星を別々の軌道に投入することができる宇宙輸送機だ。この展開サービスは、最も戦略的な軌道のみを対象とする打上げ業者が提供するサービスを補完するもので、衛星運用事業者はラストマイルを大幅に短縮し、宇宙船のあらゆるリソースを活用してミッション自体の期間を延長することができる。

これは、宇宙船をある軌道から別の軌道に移動させたり、古い機体の寿命を延ばしたり、修理を行ったり、難破した衛星や残骸などを回収したりできる恒久的な宇宙物流インフラの構築に向けた第一歩だ。

宇宙経済の持続的な成長をめぐる問題は、一企業や一国に任せておくにはあまりにも重要・重大なものだ。

国際協力を強化し、基本的なルールを確立するためには、各国の合意に基づき、共通の基準を持つ新しい宇宙統治モデルが必要だ。例えば、デブリを捕獲する宇宙船の技術はすでに実現しているが、ある国に拠点を置く事業者が、他の国が打ち上げた宇宙物体に接近・捕獲して除去することを認めるには法的な課題がある。このような運用に対応するためのグローバルな規制の策定は、新しい市場とビジネスチャンスを開くために不可欠なステップだ。

D-Orbitを含む48の団体およびその他の政府や業界の関係者は、2019年にSpace Safety Coalition(宇宙安全連合、SSC)を結成し、宇宙事業の長期的な持続可能性のためのベストプラクティスを積極的に推進している。SSCは、宇宙事業全体の長期的な持続可能性のためのベストプラクティスとして、打ち上げ時や軌道上での衝突の回避、宇宙船やデブリの再突入による人的被害の最小化、無線周波数妨害(RFI)イベントの影響の最小化などのガイドラインを策定した。

この業界主導の持続可能性への取り組みは、すべての宇宙関係者が採用する必要がある。宇宙経済の発展や規制の方法は、長期的な影響を及ぼすことになり、失敗を避けるためのタイムリミットは急速に迫っている。

人類の宇宙での活動能力を向上させ、私たち全員にまだ想像もつかない機会をもたらすためには、インフラ、ベストプラクティス、ガバナンスの整備を早急に進める必要がある。

編集部注:本稿の執筆者Luca Rossettini(ルカ・ロッセッティーニ)氏は、D-Orbitの創業者兼CEO。

画像クレジット:Bernt Ove Moss / EyeEm / Getty Images

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(文:Luca Rossettini、翻訳:Dragonfly)

SpinLaunchが運動エネルギーを利用した発射システムで試作機の初飛行に成功

運動エネルギーを利用した宇宙への発射システムを開発しているスタートアップ企業のSpinLaunch(スピンローンチ)が、初めてプロトタイプの打ち上げに成功した。これは、7年前に設立されたこの会社にとって、実物大のシステムのテストに向けた重要なマイルストーンとなった。

このシステムのコンセプトは非常に斬新だ。SpinLaunchの基本的な考え方は、大きな真空密閉室と極超音速のテザーを使い、宇宙船を回転させて大気圏を脱出するのに十分な速度(最高時速約8000キロメートル)を得て、軌道に到達させようというもの。つまり、ロケットもロケットエンジンも使わないということだ。従来の一般的な打ち上げシステムよりも、巨大なレールガンに近いもので、宇宙飛行に対する考え方が明らかに異なる。

SpinLaunchによると、電子機器の小型化や炭素繊維などの高強度素材の進歩により、機体と小型衛星の両方とも高い重力加速度に耐えられるようになったため、このようなシステムが可能になったとのこと。

プロトタイプの打ち上げは、米国時間10月22日にニューメキシコ州のスペースポート・アメリカで行われた。今回のテストでは、実際に予定しているシステムの約3分の1の大きさ(それでも自由の女神像よりは大きい)の加速器を使って、試験機体を超音速で打ち上げることに成功しただけでなく、後のテストに再利用するために機体を回収することもできた。

2014年に設立されたSpinLaunchは、今後6〜8カ月間で約30回のサブオービタルテスト飛行を行うことを目指していると、CNBCは報じている。このスタートアップには、Airbus Ventures(エアバス・ベンチャーズ)、Kleiner Perkins(クライナー・パーキンス)、GVが出資している。

SpinLaunchは最初の軌道飛行の場所を公表していないが、同社のウェブサイトには「米国の沿岸地域」になると記されている。

画像クレジット:SpinLaunch

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イーロン・マスク氏、Starshipロケットは「規制当局の承認があれば」来月にも最初の軌道打ち上げの準備ができると語る

SpaceX(スペースX)の「Starship(スターシップ)」ロケットは、テキサス州南東部で現在も開発が進められており、発射塔の建設や、宇宙空間に到達した際の動力源となる真空仕様の「Raptor(ラプター)」エンジンの搭載など、重要な要素に大きな進展が見られる。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、規制当局の承認が得られれば、来月にも初の軌道宇宙飛行を試みる準備ができると述べている。

SpaceXがこの試みを実施するためには、これまでテキサス州ブラウンズビル郊外の開発拠点で行ってきたStarshipのテスト飛行と同様に、米国連邦航空局(FAA)の承認が必要になる。FAAは基本的に、SpaceXが打ち上げ時に何か問題が発生しても最小限のリスクで済むように、必要な安全対策をすべて講じていることの証明を求めている。

Starbase(スターベース)発射塔が完成に近づき、初の軌道飛行に向け、StarshipとSuper Heavyブースターがスタンバイ

SPadre

すべてが順調に進めば、規制当局の承認を得た上で、来月にはStarshipの最初の軌道打上げに向けた準備が整います。

Elon Musk

この開発段階では、それも決して有り得ないというわけではない。SpaceXはすでに開発プログラムの中で、多くのStarship試作機が爆発するのを目にしてきた。だが、SpaceXのテストには、地球の大気圏内における高高度飛行テストや、制御された着陸に向けた宇宙船の降下など、いくつかの成功例もある。

SpaceXの次の大きなマイルストーンは、Starshipとブースター部分の「Super Heavy(スーパー・ヘビー)」のコンボを完全に積み重ねたバージョンを、地球の大気圏を超えて宇宙空間に飛ばすことだ。マスク氏によれば、技術的にはその準備は整っているとのことだが、FAAが最近行った打ち上げライセンス付与に関するパブリックコメントの募集が示唆するところによれば、規制当局の承認が得られるまでには1カ月以上かかる可能性もある。

先週行われたタウンホールミーティングでは、次のステップに進む前にFAAがSpaceXと一緒に検討・対処しなければならない多くの問題を、賛成派と反対派の両方が声をそろえて提起した。しかしながら、FAAはテストを目的とした一時的なライセンスを発行し、進行中の打ち上げ許可を再検討することで、これらの問題の解決を先送りする可能性もある。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マスク氏はスペースXの新都市「スターベース」の発電所とロケット燃料に必要な天然ガスをどうやって調達する?

SpaceX(スペースX)が世界最大のロケットのテストを開始する前に、ある環境関連の文書にFAA(米連邦航空局)の承認を得る必要がある。そこに、燃料の調達先についての重要な詳細が欠けていると専門家は指摘する。

FAAは9月、SpaceXのStarship(スターシップ)とSuper Heavy(スーパーヘビー)ロケットのプログラム環境アセスメント(PEA)の草案を発行し、パブリックコメントを募った。Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、スターシップとスーパーヘビーロケットをまもなく軌道に乗せ、その後、火星に送ることを目指している。142ページに及ぶ草案の対象は、マスク氏が新都市「スターベース」の建設を希望しているテキサス州ボカチカにおける、SpaceXの施設での建設と日常業務だ。飛行前のオペレーション、ロケットのテスト、打ち上げと着陸、燃料・水・電気の供給などが含まれる。

新しい前処理システムで、天然ガスを精製・冷却し、スターシップとスーパーヘビーロケット用の液体メタン燃料にする。その上、新しい250メガワットのガス火力発電所向けに、さらに多くのガスが必要となる。この規模の発電所は、通常10万以上の世帯に電気を供給し、コストは数億ドル(数百億円)に上ることもある。PEAはロケットの打ち上げについて大きく取り上げているが、新しい発電所についてはほとんど触れていない。特に、1日に必要な数千万立方フィートのガスが、メキシコ国境近くにあるSpaceXの遠隔施設にどのように運ばれるのかが明らかにされていない。

バーモント大学ロースクールのPat Parenteau(パット・パレントー)教授は「PEAにこのような記述がないのは異例であり、連邦政府の国家環境政策法(NEPA)に違反している可能性があります」という。

「NEPAは、いわゆる『Look-before-You-Leap(跳ぶ前に見よ)』法です」とパレントー教授は話す。「連邦政府の意思決定者に、ある行動が環境に与える影響と、それを回避する方法を知らせるための法律です」。

発電所への天然ガス運搬には一般的にパイプラインを利用する。連邦政府機関の関係者がTechCrunchに語ったところによると、SpaceXは2021年の初め、リオ・グランデ・バレー国立野生生物保護区を通る、今は使用されていない天然ガスパイプラインの再利用について問い合わせてきたそうだ。

「彼らはメタンの輸送に、現在彼らが行っているようにトラックを使うのではなく、パイプラインを再利用したいと考えています」と匿名の関係者は述べた。

しかし、この関係者と州の記録によると、そのパイプラインは2016年に永久に放棄された。その関係者がTechCrunchに語ったところによると、廃止されたパイプラインには現在、テキサス大学リオグランデバレー校のインターネット接続用の光ケーブルが設置されているという。

大規模発電所と定期的なロケット打ち上げの両方を支えるのに十分な天然ガスをトラックで運ぶのは、かなりの大仕事になる。TechCrunchが話を聞いたあるエンジニアによると、毎年タンカーで何千回もの運搬が必要になるという。

2021年初めにブルームバーグが最初に報じたように、SpaceXは自らガスを掘削することに興味があるとさえ表明している。同社は、放置された複数のガス井の所有権をめぐる争いの中で「SpaceXには、輸送やガス市場への販売に依存しない、異なる経済的な動機で天然ガスを利用する独自の能力があります」と記している。

SpaceXがどの方法を選択するかにかかわらず、環境への影響はPEAで開示されるべきだったとパレントー教授はいう。

「メタンは非常に強力な温室効果ガスです。裁判所は、メタンが絡むプロジェクトを誰かが提案する際には、ガス井、パイプライン経由の輸送、ガスが燃やされる下流での影響までを考慮しなければならないとしています」。

スターベースについて調査している環境エンジニアのブログによると、PEAでは、熱酸化装置、アンモニア貯蔵タンク、ガスフレア焼却装置など、ガス発電所やガス処理施設によくある設備についても言及していない。これらはすべて、二酸化炭素排出量や大気汚染など、環境に影響を与える。

FAAは次のような声明を出した。「評価書の草案は、米国家環境政策法など適用される環境関連法令を順守して作成されました」。

SpaceXはコメントの要求に応じなかったが、マスク氏は米国10月7日木曜日に開催されたTesla(テスラ)の株主総会で、同社の化石燃料への依存について触れた。「人々は炭素税がテスラの利益になると言っています」と同氏は発言した。「私は、『それはそうですが、SpaceXには不利です』と言いました」と述べた。そして、大気中のメタンは最終的に二酸化炭素に分解されることを指摘した。「メタンのことはあまり気にしなくていいです」と締めくくった。

ガス発電所の正確な位置は不明だが、広さは約5.4エーカー(約2万2000平方メートル)、高さは最大150フィート(約46メートル)の構造物で、昼夜を問わず1年を通して連続して稼働する。また、PEAによると、小規模(1メガワット)の太陽光発電所もあり、SpaceXはそれを拡張したいと考えている。

同社がガス発電所を必要としているのは、新しい海水淡水化プラントを稼働させるためだ。このプラントでは、打ち上げ時の防音や消火のために、年間数百万ガロン(数百万リットル)もの真水を生産する。また、空気から液体酸素を作るために、大量の電力も必要となる。

適用される連邦規則はNEPAだけではない。パレントー教授と別の専門家によると、250メガワットの発電所は通常、米大気浄化法の下で、重要な新規大気汚染源として認定される。そうなれば、長期にわたる環境審査が別途必要とされる。

「NEPAが制定されてから50年以上が経過しているにもかかわらず、このようなことをする機関があるとは驚きです」とパレントー教授はいう。「誰も気づかないことを期待しているのではないでしょうか」。

11月1日にパブリックコメント期間が終了すると、FAAは最終版のPEAを発行し(安全性に関する発見事項を付す可能性はある)、SpaceXに許可を出すか、あるいは通常は数年を要する、より詳細な環境影響評価書(EIS)を作成する意向を表明する。

最終版PEAがNEPAや大気浄化法の要件を満たしていなければ、地元のコミュニティや環境団体がFAAにEISの作成を求める訴訟を起こし、スターシップの軌道への打ち上げがさらに遅れる可能性がある。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Mark Harris、翻訳:Nariko Mizoguchi

NASAが「アルマゲドン」のような小惑星軌道変更ミッションの打ち上げを11月23日に予定

NASAが、最もハリウッド的なミッションである「Double Asteroid Redirection Test(二重小惑星軌道変更実証実験)」の打ち上げ日を決定した。これは基本的に映画「Armageddon(アルマゲドン)」の予行演習だ。映画とは違って、核兵器や石油掘削機、Aerosmith(エアロスミス)は登場しないものの、これは小惑星の軌道を大幅かつ予測可能な方法で変化させることができるかどうかについての実践的なテストとなる。

惑星防衛調整局(!)が管理するこのDARTミッションでは、比較的近くにあるディディモス(Didymos)連星と呼ばれる二重小惑星に、一対の宇宙機を送り込む。この二重小惑星には、直径780メートルの大きな惑星(これがディディモス本体)と、その軌道上に直径160メートルの小さな惑星がある。

この小さい方の惑星が、地球に衝突の脅威を与える典型的な種類の小惑星(この大きさの小惑星は増えており、観測が難しい)であるため、これに約500kgの宇宙機を6.6km/sの速度で衝突させ、その軌道を変更させる可能性を試すのだ。これによって小惑星の速度はほんの数パーセント変わるだけだが、その軌道周期には大きな影響を与えることになる。それがどの程度の影響を与えられるかを正確に把握することは、いつか将来、地球への衝突を避けるために小惑星の軌道を変更させるミッションに役立つが、当然のことながら、宇宙に浮かぶ岩石に宇宙機を衝突させることに関する既存の科学はあまりない。

小惑星に衝突させるDART機に同行するもう1台の宇宙機は、LICIACube(Light Italian CubeSat for Imagine Asteroids、小惑星画像用軽量イタリア製キューブサット)と呼ばれ、先週最後の仕上げが終わったばかりだ。こちらは作戦の直前に切り離され、衝突の瞬間に飛行しながら「結果として生じる噴出物と、おそらく新たに形成される衝突クレーター」の撮影を試みる予定だ。

これが非常にエキサイティングで興味深いミッションであることは間違いないが、当初予定されていた2021年夏の打ち上げウィンドウは延期され、11月23日が新たな打上げウィンドウの初日となった。DARTは米国太平洋標準時の11月23日午後10時20分に、南カリフォルニアのバンデンバーグから、SpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで打ち上げられる予定だ。

「Osiris-Rex(オサイリス・レックス)」や日本の「はやぶさ2」など、地球の宇宙機関は小惑星に手が届くようになってきた。ディディモス連星攻撃計画については、打ち上げに向けてより詳細な情報が得られるようになるだろう。

関連記事:はやぶさ2が小惑星タッチダウンに成功、弾丸射出しサンプルリターンミッション実施

画像クレジット:NASA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定、「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道スペースポートHOSPOがCAMPFIREと協定を結び「宇宙のまちづくり」のためクラウドファンディングによる資金調達開始

北海道の東部海岸に面する大樹町に位置する北海道スペースポート「HOSPO」(ホスポ)を推進する北海道大樹町とSPACE COTANは10月4日、CAMPFIREとの3者間パートナーシップ協定を結び、クラウドファンディングによる資金集めを開始すると発表した。

「宇宙のシリコンバレー」を目指して、スペースポートを中心とした地域づくり、町づくりを進めるHOSPOプロジェクトは、これまで企業版ふるさと納税で、25社から2億5330万円の資金提供を受けているが、個人でも支援したいとの声を受けて、数々のクラウドファンディングを実施することにした。第1弾は「【北海道スペースポート】HOSPO LC-1クルーとして共に宇宙を目指そう!」で、5000円を寄付するとリターンとしてHOSPOプロジェクトの仲間「HOSPO LC-1クルー」になれるというもの。集めた資金はHOSPOのPR・営業・観光などの商品開発、HOSPO関連事業に使われる。

このほかに予定されているクラウドファンディングは、北海道コンサドーレ札幌との限定コラボTシャツがもらえるコース(1万6000円)、大樹町の特産品がもらえるコース(2万円)、ロケット射場に名前が刻めるコース(3万円)、ホリエモンとの宇宙交流イベントに参加できるコース(5万円)、LC-1の竣工式でテープカットができる権利がもらえるコース(100万円)、さらにはインターステラテクノロジズのロケットZEROを打ち上げる権利がもらえる10億円のコースなどもある。

HOSPOは2021年4月から本格稼働し、すでに最初のロケット射場「LC-0」は、JAXAや民間ロケット企業、大学などの航空宇宙実験に利用されている。2023年には人工衛星打ち上げロケット用の射場「LC-1」が稼働し、現在ある1000m滑走路をスペースプレーン用に300m延伸する計画もある。

第4世代の宇宙推進システム「TILE」開発のスピードアップに向けてAccion Systemsが約46.3億円調達

宇宙推進装置を開発するAccion Systemsは、これまでで最も重要な資金調達ラウンドを終了した。同社は、Tracker Capitalが主導するシリーズCで4200万ドル(約46億2800万円)を調達し、評価額は8350万ドル(約92億100万円)に達した。

今回の投資にともない、Tracker CapitalはAccion Systemsの株式の過半数を取得した。今回の資本注入により、同社の第4世代推進システム(TILE[Tiled Ionic Liquid Electrospray]システム)の開発・製造が促進される。

TILEシステムは、電気エネルギーを使って電荷を帯びた粒子(イオン)をシステムの背面から押し出して推進力を得る。イオンエンジンは何十年も前から開発されているが、Accion ではガスではなくイオン液体(塩)という液体を推進剤として使用している。この液体は、不活性で非加圧であるため、爆発の危険性がない。また、イオンチャンバーのような大掛かりな部品を必要とせず、システム全体の小型化・軽量化を実現している。これは、ペイロードが1グラムでも多くなるとコストが高くなる宇宙では重要なポイントだ。

Accionの共同設立者であるNatalya Bailey(ナタリア・ベイリー)は、TechCrunchに次のように説明している。「既存のイオンエンジンをプリウスの大きさに縮小しようと頑張る代わりに、この推進剤を使えば、非常に小さなシステムから始めることができます」。小さいというのは本当で、スラスターのタイルの大きさは切手と同じくらいだ。

TechCrunchの最近のインタビューの中で語ったAccionのCEOであるPeter Kant(ピーター・カント)によれば、TILEシステムは拡張性とモジュール性を備えているため、キューブサットから恒星間航行用宇宙船の推進力まで、あらゆるものに使用することが可能だ。彼曰く「これは、獲得可能な最大の市場規模(TAM)と、当社が貢献できる実際の獲得可能な市場がほぼ一致している数少ない場合の1つです」。

最新世代のTILEシステムでは、サイズは従来のものと同じだが、Accionは1つのチップに搭載するエミッターの数を約10倍に増やしている(エミッターとは、実際にイオンを発射して運動量を生み出す技術のこと)。「面積あたりのイオンの数が増えることで、同じ空間からより大きな推進力を得ることができるのです」とカントはいう。

Accionは、第4世代のスラスターシステムの最初の製品を2022年の中・晩夏に出荷することを目指している。

TILEシステムは、アクシオンの共同創業者であるナタリア・ベイリーとLouis Perna(ルイス・ペルナ)が、マサチューセッツ工科大学在学中に開発したものだ。この技術は大手航空宇宙企業から大きな関心を集めたが、彼らは売却ではなく2014年にAccionを設立することを決めた。同社は、マサチューセッツ州チャールストンにある施設で、製品の製造と組み立てを行っている。

TILEシステムは、6月末にスペースXのTransporter-2の打ち上げで上がった商業宇宙船(Astra Digital製とNanoAvionics製)に搭載されていた。Accionはまず、キューブサットのような小型の宇宙船に対してサービスを提供することに注力したが、ベイリーはそれは始まりに過ぎないと述べている。

「最初はこの分野を追求し、その後、学んだことを再投資してより大型のシステムを構築し、最終的には大型の静止衛星や恒星間ミッションなどを実現したいと考えています。最近のロケットに搭載されたシステムは、おそらく50kg程度までの衛星に適していると思いますが、私たちが目指す分野の中では小さい方です」。

画像クレジット:Accion Systems

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など挑戦

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

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ホンダが「新しい事業領域に関する説明会」を開催し、都市間や都市内移動用の「Honda eVTOL(電動垂直離着陸機)」や、時間や空間の制約に縛られず、バーチャルな能力拡張を実現する「Hondaアバターロボット」の開発に取り組んでいくと発表しました。また、月面で使用することを想定した燃料電池式発電システムの開発も行うとしています。

ホンダはeVTOLにはEVやPHEVで培ったリチウムイオン電池に加えガスタービン式ハイブリッドパワーユニットを搭載し、電池だけでは足りない航続距離を確保します。もちろんこの計画はまだごく初期の段階なので、実機が登場するには10年ほどの歳月がかかると予想されます。ホンダは2030年代に試作機、開発機を制作し、2040年代の商業化を目指しています。

次世代の交通であるeVTOL分野には、スタートアップから既存自動車メーカーまで多くの企業が参入しています。たとえばNASAと提携するJobyは実物大のモックアップに近い試作機をすでにテスト的に飛行させています。また、VTOLではないもののスロバキアのKlein Visionは今年、空陸両用車「AirCar」の35分間の有人飛行を成功させています。ただ、まだ乗客を乗せての商業飛行を行うには機体の安全性や信頼性、搭乗可能人数、航続距離、そして既存の法規制といったさまざまなハードルがあり、それらをひとつひとつ解決潰していかねばなりません。先行する企業に遅れての参入はホンダにとってハンデかもしれませんが、ホンダにはすでに小型ジェット機の開発実績・技術があり、それをeVTOLにも応用できると考えられます。

一方「Hondaアバターロボット」については多指ハンドと独自のAIサポート遠隔操縦機能を組み合わせたものになり、利用者はわざわざ遠隔地に出向くことなく、VRヘッドセットとグローブを通じてアバターロボットの視覚と触覚を借りて作業ができるようになるとのこと。たとえば、多指ハンドを通じて人が使う道具を使いこなし、AIサポートによって複雑な作業も直感的な操作で正確に行えることを目指すとしています。

このロボットはASIMOをベースに改良を加えたものになるとしており、2024年第1四半期末までに技術実証実験を行う計画。そのための第一歩としてはASIMOの手をもっと小さくしつつ、物を掴む力を向上させるための開発を行うとのこと。

さらにもうひとつ、ホンダは宇宙開発にもその守備範囲を拡げようとしています。「燃焼・誘導制御技術、燃料電池技術、ロボティクス技術といったHondaならではのコア技術」を活かし、月面で利用可能な循環型再生可能エネルギーシステムの構築を検討しています。

このシステムでは、太陽光など再生可能エネルギーとして得た電力を使って、液体の水を電気分解し、水素と酸素を生成します。これを燃料電池で使用して発電すると同時に月面の居住施設に酸素とロケットの燃料にもなる水素を供給します。

ホンダが「空飛ぶハイブリッドカー」「アバターロボ」「月面循環エネルギーシステム」「再使用型小型ロケット」など新領域に挑戦

©JAXA/Honda

ほかにも、ホンダは若手技術者の発案をきっかけとした小型ロケットの開発にも取り組むことを明らかにしました。これは地球低軌道への小型人工衛星の打上げを目標とするとのことです。JAXA/Honda

(Source:HondaEngadget日本版より転載)

米宇宙軍からBlue Origin、ULA、Rocket Lab、SpaceXの4社が次世代ロケット開発に関わる契約を獲得

2019年12月に空軍から軍種としてスピンアウトした米国宇宙軍は、次世代ロケットエンジンの試験や上段の改良に関するプロジェクトに向けて、次の契約を勝ち取った企業を発表した。

この契約は、宇宙軍の宇宙システム司令部が管理する「Space Enterprise Consortium(SpEC、スペース・エンタープライズ・コンソーシアム)」プログラムによって選定された企業に付与されるものだ。SpECは、米国防総省と宇宙産業の連携を促進し、約600社の参加企業が契約を競い合っている。今回の契約は総額8750万ドル(約97億5000万円)で、以下の4社のロケット打ち上げ企業が獲得した。

  • Blue Origin(ブルーオリジン)は、大型ロケット「New Glenn(ニューグレン)」上段用の極低温流体管理技術開発のために2430万ドル(約27億円)を獲得
  • United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)は、新型「Vulcan Centaur(バルカン・ケンタウルス)」2段式大型ロケットのアップリンク・コマンド&コントロールのために2430万ドルを獲得
  • Rocket Lab(ロケットラボ)は、同社史上最高額となる2430万ドルの契約を獲得。この資金は、同社の次期中型ロケット「Neutron(ニュートロン)」の上段の開発に充てられる
  • SpaceX(スペースX)は「Raptor(ラプター)」ロケットエンジンの燃焼安定性分析および試験のために1440万ドル(約16億円)を獲得

SpaceXとULAは、宇宙軍の国家安全保障宇宙打ち上げプログラムのもと、米国政府のための打ち上げ業者としてすでに選定されている。Rocket LabとBlue Originの両社は、2024年に次回の打ち上げ契約を競うことになるだろう。今回の契約は、両社が入札に向けて準備を進めていることを窺わせるものだ。なお、Blue OriginとNorthrop Grumman(ノースロップ・グラマン)は、2020年にSpaceXとULAに敗れている。

今回の契約獲得について、Rocket LabのPeter Beck(ピーター・ベック)CEOは、Neutronロケットに対する「信頼の証」であると声明で述べている。「私たちはElectron(エレクトロン)で信頼のおける打ち上げシステムを構築してきましたが、ニュートロンでも同じことを行い、より打ち上げ能力の大きな新型ロケットで、引き続き自由な宇宙へのアクセスを提供して参ります」。

画像クレジット:Aubrey Gemignani/NASA

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Inspiration4の民間人クルー、宇宙へ。スペースXの初となる民間人だけの打ち上げミッション成功

史上初、民間人だけのクルーで宇宙にたどり着いた。

Inspiration4クルーは、米国東部標準時午後8時4分(日本時間9月17日午前10時4分)にフロリダ州のNASAケネディ宇宙センターを離陸し、訓練を受けた宇宙飛行士がゼロという人類史上初の宇宙ミッションをスタートした。

再利用可能なFalcon9ロケットの第1段は、地球に帰還するまでに燃焼を2回行い、打ち上げ後9分半ほどでスペースXの無人機「Just Read the Instructions」に垂直着陸した。Dragonは、米国東部時間午後8時16分(日本時間9月17日午前10時16分)に第2段から分離した。

2段目の分離(画像クレジット:SpaceX

4人の乗組員は、Falcon9ロケットに取り付けられたスペースXのCrew Dragon Capsuleに乗って軌道上で過ごすことになる(このDragonは2回目、Falcon9の第1段は3回目の利用となる)。この高度は、2009年にハッブル望遠鏡の修理を行ったとき以来、人類が到達した最高高度となる。現在のハッブルや国際宇宙ステーションの軌道よりも高いため、宇宙にいるすべての人間の上を飛ぶことになる。

乗組員は、宇宙にいる間に地球を15周する。宇宙空間にいる間、Crew Dragonのノーズコーンに取り付けられた透明な観測ドーム「キューポラ」から宇宙空間を見ることができる。これは、宇宙にある連続した窓としては最大のものだ。Inspiration4は、宇宙飛行が人体に与える影響を解明するための研究をはじめ、さまざまな科学実験を軌道上で行う。また、宇宙飛行が人体に与える影響を知るための研究も含まれている。研究対象となるのは自分自身で、乗組員は飛行前、飛行中、飛行後に自分自身の生物医学的データや生物学的サンプルを収集する。

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現在のところ、億万長者がいなければ民間宇宙飛行は行えない。Inspiration4にもその1人がいる。ミッションの司令官であり、資金提供者でもあるJared Isaacman(ジャレッド・アイザックマン)氏は、決済処理会社Shift4 Paymentsで財を成した。残りのクルーである医師助手のHayley Arceneaux(ヘイリー・アルセノー)氏、地球科学者で科学教育の博士号を持つSian Proctor(シアン・プロクター)氏、ロッキード・マーティンのエンジニアであるChris Sembroski(クリス・センブロスキー)氏たちは才能豊かで、並外れた勇気を持っていることは明らかだが、普通の人たちだ。

発射台39AでFalcon 99ロケットを見るInspiration4のクルー(画像クレジット:SpaceX

このミッションはセント・ジュード研究病院のための募金活動だ(セント・ジュードの募金キャンペーンに寄せられた約7万2000件の寄付の中からセンブロースキーしは選ばれた)。クルーは総額2億ドル(約220億円)の募金を目指した。アイザックマン氏は1億ドル(約110億円)を寄付し、ミッションは目標を大きく上回り、打ち上げ時には3億ドル(約330億円)近くに達している。

民間人による最近の宇宙飛行と比べてはるかに長いミッションに向けて、乗組員たちは、レプリカのDragon Capsuleで12時間、さらに30時間のフライトシミュレーションを行い、2021年5月にはワシントン州のレーニア山に登るなど、何百時間ものトレーニングを行ってきた。

スペースXのCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、ケネディ宇宙センターでクルーを見送った。また、スペースXのカスタム宇宙服を着た2台のModel Xで発射塔に向かうなど、スペースXらしいスタイルを貫いた。今回のミッションにおけるNASAの関与は、100万ドル(約1億1000万円)相当のサービスや機材を提供した程度のものだったが、スペースXを現在のような高い地位にまで押し上げる上で、NASAは重要な役割を果たした。スペースXは、2014年にNASAから26億ドル(約2841億円)を獲得し、商用クループログラムのもと、Crew Dragonを開発した。

世界最大かつ最も収益性の高い打ち上げ会社であるスペースXにとって、大きな節目となった。今回の打ち上げは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏やRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏がここ数カ月で行ったものとは大きく異なるものだ。類似点もあるにはあるが、Blue OriginやVirgin Galacticのミッションよりも、クルーはより高く、より長く飛行することになるからだ。しかし、スペースXの有人宇宙飛行担当シニアディレクターであるBenji Reed(ベンジー・リード)氏が先に述べたように、3社とも宇宙飛行を「航空会社のようなモデルに進化させる」という目標を持っている。

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リード氏は「究極的に私たちは、多くの惑星を生命のあるものにしたいと考えています。つまりそれは、何百万人もの人々を宇宙に送り出すことを意味します。長期的なビジョンは、宇宙飛行が航空券を買って行くようなものになることです」という。

2021年も、スペースXはより多くの有人ミッションを実施する予定だ(ただし、全員が民間人のクルーということはない)。2021年末にはFalcon9によるISSへの宇宙飛行士輸送が予定されており、2022年初めには初の商用Axiomミッションが実施され、同じく宇宙ステーションへの輸送が予定されている。「Dragonのマニフェストは、刻々と忙しくなっています」と付け加えた。

すべてが計画どおりに進めば、3日後にはInspiration4のクルーがフロリダ沖のメキシコ湾または大西洋に着水、地球に戻ってくる姿を見ることがでる。天候も重要だ。「打ち上げ時の天候だけでなく、3~4日後の帰還時の天候も考慮しなければなりません」とリードは米国時間9月14日の記者会見で説明した。

クルーが軌道上にいる間は、Inspiration4のメンバーであるセンブロスキー氏(宇宙でウクレレを演奏する予定)が監修したプレイリストを聴くことができる。

画像クレジット:SpaceX

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画像クレジット:SpaceX

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Rocket Lab CEOインタビュー、宇宙開発のキャリアで学んだ教訓は「絶対にやらないとは絶対に言わない」こと

Peter Beck(ピーター・ベック)氏の一番古い記憶は、故郷であるニュージーランドのインバーカーギルで父親と一緒に外に立って星を見上げていたときに「その星の周りを回っている惑星にいる人たちが、お前を振り返って見ているかもしれないんだよ」と言われたことだ。

「3歳か4歳の子どもにとって、それは衝撃的な出来事で、私の記憶に刻まれ、それ以来、私は宇宙産業で働くことを運命づけられていたのです」と、Space Generation Fusion Forum(SGFF)で語った。

もちろん、後からなら何とでも言える。しかし、ベック氏のキャリアは、ロケットに一途に集中している。ベック氏は大学に行かずに貿易関係の仕事に就き、昼間は工具製作の見習い、夜はロケットエンジン作りに没頭していた。「これまでのキャリアで非常に幸運だったのは、一緒に仕事をしてきた企業や政府機関が、私が夜に施設を使って何かをすることを常に奨励してくれた─あるいは耐えてくれたと言った方がいいかもしれませんが─ことです」と彼はいう。

彼の腕前は経験とともに成熟し、ダブルワークが功を奏した。2006年、彼は宇宙開発会社Rocket Labを設立した。それから15年、21回の打ち上げを経て、同社は特別買収目的会社との合併により株式を公開し、7億7700万ドル(約853億3000万円)の資金を手に入れた。

スペースSPACの流行

Vector Acquisitionとの合併により、Rocket Labの評価額は48億ドル(約5271億5500万円)に跳ね上がり、宇宙開発企業の中ではElon Musk(イーロン・マスク)のSpaceXに次いで第2位の評価額となった。SPACは、多額の資金を確保したい宇宙産業企業にとって、上場にあたって人気のルートとなっている。ライバルの衛星打ち上げ企業であるVirgin OrbitAstraは、それぞれSPACの合併により上場しており、その他にもRedwirePlanetSatellogicなどの宇宙産業企業が存在する(一例)。

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ベック氏がTechCrunchに語ったところによると、上場はRocket Labが何年間にも渡って計画していたことで、当初の計画では、従来の新規株式公開を行う予定だったが、特にSPACルートが資本と評価を確実なものにした。SPACとの合併前に行われた3月の投資家向けプレゼンテーション(大いに半信半疑で見るべき資料だが)によると、将来は明るいとしている。Rocket Labは、2025年に7億4900万ドル(約822億7400万円)の収益を見込み、翌年には10億ドル(約1098億4600万円)を超えると予想されている。同社は、2019年に4800万ドル(約52億7200万円)、2020年に3300万ドル(約36億2400万円)の収益を報告しており、2021年は6900万ドル(約75億7900万円)程度になると予想している。

しかし彼は、収益を上げる前の宇宙産業スタートアップや、資金調達に失敗した企業がSPACを金融商品として利用することには、依然として懐疑的だ。「多くのスペースSPACが行われていますが、その品質には確実に差があると思います。民間市場での資金調達に失敗し、(SPACの合併が)最後の手段になっているものもあります。それは公開企業になるべき方法では決してありません」。

Rocket LabやSpaceXのような企業が衛星を軌道に乗せ、無数の新規参入企業がそれに加わろうとしている(あるいは、より楽観的にいうなら、主導権を握ろうとしている)現在、宇宙産業は比較的過密状態にあるが、ベック氏はその混雑は解消されると予想する。

「達成している会社、達成しようとしている会社がどれなのかは、投資家にとってすぐに明らかになるでしょう。今、私たちは興奮の渦中にいますが、結局のところ、この業界と公開市場は実行力がすべてです。使えるものと使えないものはあっという間に分かれてしまうでしょう」とベック氏はいう。

ElectronからNeutronへ

Rocket Labの収益は主に小型ロケットの打ち上げ市場からのもので、Electronロケットでトップの座を獲得している。Electronは、高さはたったの約17.98メートル、直径はかろうじて約1.21メートルと、現在宇宙に飛ばされている他のロケットよりもはるかにサイズが小さい。同社は、ニュージーランドのマヒア半島にある民間の発射場と、バージニア州にあるNASAのワロップス島施設(実際のRocket Labのミッションはまだ行われていない)の発射台の2つの場所から打ち上げを行う。

Rocket Labは、Electronの第1段ブースターを再利用可能なものに移行する作業を行っている。同社は、パラシュートを使ってブースターの降下を遅らせる、新しい大気圏再突入と海への着水プロセスを導入しているが、最終的な目標はヘリコプターを使って空中でキャッチすることだ。

これまでのところ、Rocket LabとSpaceXが市場を独占してきたが、これはすぐに変わる可能性がある。AstraとRelativityはともに小型のロケットを開発している。Astraの最新のロケットは高さが約12.19メートルで、RelativityのTerran 1はElectronとファルコン9の中間で約35.05メートルとなっている。

そのため、Rocket Labが待望の(そして非常に謎めいた)Neutronロケットで中距離ロケットに事業を拡大しようと計画しているのも納得がいく。当社はNeutronの詳細を明らかにしておらず、ベック氏はSGFFの参加者に、公開されているロケットのレンダリング画像でさえも「ちょっとした策略」であると述べている(つまり、下の画像はNeutronの実際の姿とはほとんど似ていないということだ)が、高さはElectronの2倍以上、約8000kgを地球低軌道に送ることができると予想されている。

画像クレジット:Rocket Lab

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「業界の多くの人々が、さまざまな方法で私たちをコピーしているのを目にしています。だから、私たちはもう少し先を行ってから、自分たちが行った仕事を明らかにしたいのです」と彼はTechCrunchに説明した。

Rocket Labは、エレクトロンとNeutronが2029年までに打ち上げられると予想される衛星の98%を搭載できると予想しており、追加のヘビーリフトロケットは必要ないと考える。

同社はNeutronに加えて、宇宙船の開発にも着手している。その名もPhotonで、Rocket LabではElectronロケットに簡単に組み込める「衛星プラットフォーム」として開発を進めている。Rocket Labでは、Photonを使った月やその他の場所へのミッションをすでに計画している。まず、NASAのCAPSTONE(Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment)プログラムの一環として、月周回軌道に乗せる。

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2021年8月初めには、火星への11カ月間のミッションに2機のPhotonが選ばれ、ベック氏はPhoton衛星を使って金星の大気圏に探査機を送るという長期計画を公に語っている。

Rocket LabはPhotonの他にも、宇宙船製造のスタートアップであるVarda Space Industriesと契約を結び、2023年と2024年に打ち上げる宇宙船を製造している。

Neutronは、宇宙飛行士を運ぶための一定の安全基準を満たすように、最初から人間が解読できるように設計されている。ベック氏は「宇宙飛行の民主化が進む」と確信しており、Rocket Labが将来的にそのサービスを安定して提供できるようにしたいと考えている。また、Rocket Labが将来的に着陸機や有人カプセルなど、他の宇宙船の製造にも進出するかどうかについては、ベック氏は否定的だった。

「絶対にやらないとは絶対に言わないです」と彼はいう。「これが、私が宇宙開発のCEOとしてのキャリアの中で学んだ1つの教訓です」。

画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

Fireflyは初試みのロケットを打ち上げるも空中爆発、機体は完全に破壊される

Firefly(ファイヤーフライ)はカリフォルニア州のヴァンデンバーグ空軍基地から初のロケットを打ち上げた。ロケットには地球低軌道にのせる数多くのペイロードが積載されていた。ロケットは計画通り打ち上げられ、打ち上げ後はかなり順調なように見えた。だが、明らかな爆発があり、そして宇宙到達前にロケットは完全に破壊されるという「異常」事態となった。

米国時間9月3日に打ち上げられたロケットはFireflyのAlphaで、同社にとって初の試みだった。実際のところ、打ち上げパッドからの離陸は成功し、ロケットの破壊は「マックスQ」として知られる、大気圏内で最も動圧を受ける点を過ぎた後に起こったように見える。

Fireflyは、Everyday Astronautがホストするライブストリームで爆発の様子が流れてから程なくしてTwitterで声明を出した。このライブストリームにはFireflyが提供した音声と動画があった。Fireflyは、地上のスタッフがリスクを最小限に抑えるため、そして安全プロトコルに従って打ち上げパッドとその周辺を離れた、と付け加えた。

同社はAlphaロケットに何が起きたのか、なぜ機体を失ったのか、詳細を提供する見込みだ。発表があり次第アップデートする。

オースティン拠点の民間商業打ち上げ会社であるFireflyはもともと2014年の創業で、破産を乗り越えて2017年にFirefly Aerospaceとして生まれ変わった。同社のAlphaロケットは小型の完全消耗品であり、2200ポンド(約998kg)のペイロードを低軌道へと運搬できる。同社はまた1万7000ポンド(約7711kg)のペイロードに対応するBetaロケットも開発中だ。

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

ヴァージン・ギャラクティックが初の商業宇宙旅行を9月下旬〜10月上旬に予定、イタリア空軍・学術会議と

初の有人船打ち上げを祝ってからわずか2カ月後、米連邦航空局(FAA)の調査を受けている最中のVirgin Galactic(ヴァージン・ギャラクティック)は、再び宇宙に戻ろうとしている。

同社は9月下旬から10月上旬にかけて、同社の広大なSpaceport America施設から、ロケット搭載のスペースプレーン「VSS Unity」の23回目のフライトとなる同社初の商業ミッションを実施する予定だ。このフライトには、イタリア空軍とイタリア学術会議(CNR、Consiglio Nazionale delle Ricerche)から3名のクルーが搭乗する予定だ。それぞれの座席のために支払われた購入金額は公開されていない。また、Virgin Galacticのスタッフも1名搭乗する。

ミッションリードの役割を担うのは、イタリア空軍のWalter Villadei(ウォルター・ヴィラデイ)大佐、医師でもあるAngelo Landolfi(アンジェロ・ランドルフィ)中佐、イタリア学術会議を代表する航空宇宙エンジニアのPantaleone Carlucci(パンタレオーネ・カルルッチ)氏、そしてVirgin Galacticのチーフ宇宙飛行士インストラクターであるBeth Moses(ベス・モーゼス)氏である。スペースプレーンの操縦は、Michael Masucci(マイケル・マスッチ)氏とCJ Sturckow(CJ・スターカウ)氏が担う。

このミッションの目的は、微小重力環境に移行する際の「移行段階」における人体への影響を調査することで、そのために乗組員は生理的活動を測定するセンサーを装着する。そしてヴィラデイ氏はさらに、Virginが「イタリアのファッションスタイルとテクノロジーを取り入れた」スマートスーツを着用するとのこと。

今回の発表は、FAAが7月のVSS Unityの初有人飛行について調査していると発表してからわずか1日後のことである。このニュースはThe New Yorkerが最初に報じ、FAAが確認したもので、同社のスペースプレーンが「Spaceport Americaに戻る際に航空管制の許可を逸脱した」と航空規制当局は述べている。ジャーナリストのNicholas Schmidle(ニコラス・シュミットル)氏の報道によると、飛行中のUnityのコンソールには、予定していた軌道から逸脱したことを示す赤い警告ランプが点灯していたという。

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その後、Virgin Galacticはこの記事に反論する声明を発表し「フライトの最終的な軌道は当初の計画から外れましたが、それは制御された意図的な飛行経路であり、Unity 22は無事に宇宙に到達し、ニューメキシコ州のSpaceport(America)に安全に着陸することができました」と述べた。

「この軌道変更の結果、乗客や乗員が危険にさらされることはありませんでした」と同社は付け加えている。

Virgin Galacticの超音速飛行の安全性に関するニュースをシュミットル氏が明るみに出したのは今回が初めてではない。彼の著書「Test Gods」には、飛行機の翼に深刻な問題が発生する可能性があった2019年のテスト飛行について、これまで知られていなかった記述も含まれている(その件は同書の中で、Virgin Galacticの元社員によって確認されている)。

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画像クレジット:Virgin Galactic

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

「エンド・トゥ・エンドの宇宙企業」を目指すRocket Labが大規模な部品製造施設の新設を発表

Peter Beck(ピーター・ベック)氏は、Rocket Lab(ロケットラボ)を単なる打ち上げ業者ではなく、宇宙船を製造してそれを軌道に乗せるまで自社で行う完全な垂直統合型の宇宙企業に成長させたいという意思を隠そうとしない。ベック氏が2006年に設立したこの会社は、米国時間9月1日、これまで以上に大規模な人工衛星の部品を製造するための新しい製造施設を開設すると発表し、その目標に向けてさらに大きく前進した。

この新施設では、人工衛星の重要な姿勢・安定性制御システムであるリアクションホイールを製造することになる。Rocket Labによると、この施設は2021年の第4四半期に操業を開始し、年間最大2000個のリアクションホイールを生産できる能力を備えるという。宇宙機には一般的に3個から4個のリアクションホイールが搭載されていることを考えると、ロケットラボの顧客はこれらの部品を受け入れる約500基の衛星を計画していると見ていいだろう。Rocket LabのCEOであるベック氏は「これらは複数のコンステレーションに大量に供給するためのものです」と、TechCrunchによるインタビューで語った。

Rocket Labの宇宙システム事業は、自社開発の宇宙機「Photon(フォトン)」ですでに多忙を極めており、2020年には大手衛星ハードウェア製造会社のSinclair Interplanetary(シンクレア・インタープラネタリー)を買収したことで、さらに勢いづいている。Rocket Labは、個々の用途に合わせてカスタムメイドしたPhotonを提供しており、宇宙製造業のスタートアップ企業であるVarda Space Industries(バルダ・スペース・インダストリーズ)と共同で、近々打ち上げ予定の機体を設計したり、2024年に予定されている科学ミッションでは2基のPhotonを火星に送ることになっている。

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これまで宇宙機の部品は、数十から数百という規模で生産されるのが普通だった。軌道に乗るまでのハードルが高かったからだ。しかし、Rocket Labのような企業の技術革新によって、打ち上げコストが下がり、より多くの企業が宇宙にプロジェクトを送れるようになった。つまり、より多くの衛星と、より多くのリアクションホイールが製造されるということだ。現在でも、Rocket Labが製造したリアクションホイールは約200個が軌道上にあるが、1年で2000個というのは大幅な規模拡大となる。

これはすべて、Rocket Labが目指す「総合的な宇宙サービス企業」を実現するための取り組みだ。顧客にとって垂直統合型の大きなメリットは、同社によると、製造リードタイムを短縮できることだという。Photonの製造を開始した当初は、リアクションホイールの納入に数カ月を要したため、軌道に打ち上げるまでのタイムラインが大幅に遅れてしまったと、ベック氏は語っている。

「宇宙経済が予測通りに成長するためには、これを解決しなければなりません」と、ベック氏はいう。「これは解決しなければならない根本的な問題です。宇宙のサプライチェーン全体は、小規模な事業を特徴としており、どんな規模であれ大量生産する能力には本当に欠けています」。

Rocket Labは、宇宙システム部門と新しい生産施設をサポートするため、16人以上の人材を採用する予定だ。高度に自動化が進んだこの施設では、生産ツールと環境試験用ワークステーションはすべて自動化され、金属加工は無人で行えるように最適化されていると、Rocket Labは声明で述べている。これらの技術は、Rocket Labの他の製造プロセスと非常によく似ていると、ベック氏はいう。自動化を利用して製品を迅速にスケールアップする能力の礎として、同氏はRosie(ロージー)と呼ばれる製造ロボットのことを挙げた。

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Rocket Labが製造しているスタートラッカーのナビゲーションツールのような、他の宇宙機部品も生産を拡大する予定があるかと尋ねると、ベック氏は口を閉ざした。しかし、ベック氏によれば、同社では新製品の投入を計画しているという。それがどんな物になるかは、明言しなかったものの、ベック氏が宇宙システム部門を起ち上げた当時、掲げていたその目的は「宇宙に行くものにはすべてRocket Labのロゴがついていなければならない」というものだった。

この目標は、Rocket Labのさらに大きなビジョンである、打ち上げサービスと宇宙機製造を組み合わせ、軌道上のインフラを構築できるエンド・ツー・エンドの宇宙企業になることにもつながる。

「これらを組み合わせれば、軌道上でインフラを整備し、最終的にサービスを提供するための非常に強力なプラットフォームになります」と、ベック氏は語っている。

しかし、どのようなサービスを考えているのかという質問に対して、ベックは胸の内を明かさず、代わりに競合他社の有名な例を挙げた。それは、SpaceX(スペースX)が自社で製造・打ち上げを行うインターネット衛星プロジェクト「Starlink(スターリンク)」だ。ベック氏は、Rocket Labがどのような事業展開を目指しているのかについては口を閉ざしたまま、垂直統合によって新しいビジネスモデルを試すことができるとだけ語った。

「私たちが実験するための限界費用は、非常に低く抑えられます」。
画像クレジット:Rocket Lab

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新型コロナウイルスの影響から液体酸素が不足、ロケット打ち上げ延期の原因に

新型コロナウイルス流行の余波は、宇宙飛行というおそらく最も似つかわしくない場所にまで及んでいる。米国時間8月27日、NASAは新型コロナウイルスの影響による液体酸素(LOX)の不足を理由に、9月の衛星打ち上げを延期するという予想外の措置を取ったが、今後も打ち上げの延期は続くかもしれない。

酸素の需要はデルタ変異株で高まる一方だ。多くの都市で入院やICUへの入室率が、新型コロナウイルス流行開始時の状態にまで戻ってしまった。酸素は人工呼吸器に使われるだけではない。宇宙産業では、LOXをロケット推進剤の酸化剤として使用しており、液体水素など他のガスと組み合わせて使用されることが多い(打ち上げ時に大量の蒸気が発生するのは、水素が酸素と反応して水になるためだ)。

Boeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)の合弁会社であるUnited Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)とNASAは、Landsat 9(ランドサット9号)衛星の打ち上げ日を9月23日に変更すると発表した。

LOX不足の影響を受ける可能性のある打上げ会社はULAだけではない。SpaceX(スペースX)のGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)社長は、先週開催されたSpace Symposium(スペース・シンポジウム)のパネルディスカッションで「2021年は打ち上げ用の液体酸素が不足するため、実際に影響を受けることになるでしょう」と述べ「もちろん、病院で必要な酸素が確実に手に入れられるようにすることが大事です。しかし、どなたか余分に液体酸素をお持ちの方はメールでご連絡ください」と続けた。

SpaceXの創業者でCEOであるElon Musk(イーロン・マスク)氏は、数日後にTwitter(ツイッター)でLOX不足について「リスクではあるが、まだ制限要因ではない」と発言した。

SpaceXのグウィン・ショットウェル社長、COVID-19による液体酸素の不足により、ロケット打ち上げの頻度が減ると語る。

ヴィンセント・ユー

リスクではありますが、まだ制限要因ではありません。

イーロン・マスク

実際に酸素の供給量が少ないだけでなく、新型コロナウイルスによる混乱がサプライチェーンに影響を与え続けているため、出荷の遅れが広まっていることも液体酸素不足を悪化させている。ULAのTory Bruno(トリー・ブルーノ)CEOはTwitterで、カリフォルニア州のヴァンデンバーグ宇宙軍基地への窒素輸送を担当している業者が、フロリダ州でLOX配送を支援するために転用されたことを付け加えた。

9月16日の@ulalaunchによるSLC 3の打ち上げ予定時刻に関して、新たな情報はありませんか?

ムーン・トゥ・マーズ

VAFBに液体GN2を輸送しているUSGの業者は、フロリダでCOVIDの影響によるLOXの問題に協力しています。現在そのような状況で作業を続けています。

トリー・ブルーノ

LOX不足の影響を受けているのは、宇宙産業だけではない。NASAが打ち上げ延期を発表する少し前、フロリダ州オーランド市の当局は、住民に節水を呼びかける通知を送った。同市の水道処理にLOXが使われているためだ。

「当然ながら人命救助を優先するため、全国的に液体酸素の需要が非常に高まっており、OUC(オーランド市水道局)への供給が制限されています」と、オーランド市のBuddy Dyer(バディ・ダイアー)市長は、Facebookで述べている。「処理に必要な水の量を直ちに減らさなければ、私たちの水道水の水質に影響が出る可能性があります」。

非営利団体「Center for Global Development(グローバル開発センター)」は、2020年5月の時点で、新型コロナウイルスを、病院への十分な酸素供給に対する「警鐘」と呼んでいた。

画像クレジット:Heather Paul Flickr under a CC BY-ND 2.0 license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

上場ロケット企業Astra初の商業打ち上げは軌道に到達せず、ロケットは無事着陸

今や上場企業となったAstra(アストラ)は、初の商業打ち上げの際に問題が発生し(このミッションは、米国宇宙軍の宇宙テストプログラムの一環として契約したテストペイロードを搭載していた)、ロケットが軌道に乗ることはなかった。米国時間8月28日、同社のロケットはアラスカの発射台で離陸時にすべてのエンジンに点火したものの、直後に5つのエンジンのうち1つが故障したため、かなり異例のホバリングとドリフトを起こしたが、その後十分な揚力を得て、空に向かい上昇することができた。

驚くべきことに、ロケットは最初のふらつきと横方向の傾きにもかかわらず、最大高度約50km(約16万4000フィート)まで上昇することに成功した。その後、同社はシャットダウン指令を出し、ロケットは無事に地上に戻ってきた。これは、同社のターゲットとしていた、受託テストに関わるペイロード展開のシミュレーションのための軌道上の目的地に到達しなかったことを意味する。

Astraの創業者で会長兼CEOであるChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は、今回の打ち上げに関するプレスリリースの中でこう述べた。「米国宇宙軍のミッション目標をすべて達成できなかったことは残念ですが、今回のテストフライトから膨大な量のデータを得られました。今回の試験で得た知見を、現在製造中のLV0007を含む将来のロケットに反映させていきます」。

Astraが最後に打ち上げを行ったのは2020年12月のことで、その時の試験打ち上げの1つは宇宙空間に到達したものの、軌道速度にはわずかに届かなかった。その際Astraは、軌道に到達するために必要なのは、ナビゲーションシステムのソフトウェアの調整だけだと確信していると述べていた。

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画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

Dawn Aerospaceが準軌道スペースプレーンのテスト飛行を5回完了

ロケット打ち上げの分野が急速に混み合ってきている一方で、準軌道宇宙飛行機を開発する企業はそうでもない。つまり、Dawn Aerospace(ドーン・エアロスペース)のようなスタートアップが成長する余地は大きいという意味だ。同社は、地表から最大60マイル(約96km)の高度を飛ぶために開発されたスペースプレーンMk-II Aurora(マークツー・オーロラ)のテスト飛行を5回完了した。

テスト飛行は、ニュージーランドの南島にあるGlentanner Aerodrome(グレンタナー・エアロドローム)で2021年7月に行われ、スペースプレーンの機体とアビオニクスが評価された。飛行機は高度3400フィート(約1km)までしか達しなかったが、テストでDawnのチームは「Mk-IIの能力に関する研究開発を進めるための幅広いデータ」を得ることができたとCEOのStefan Powell(ステファン・パウエル)氏が声明で述べている。

画像クレジット:Dawn Aerospace

Dawnのアプローチは、一般の空港で離着陸可能で、1日複数回宇宙と行き来できる飛行機を作ることだ。明白な利点は、垂直打ち上げよりも著しく資本集約的でないことだ。Mk-IIはサイズもコンパクトカー並みで長さは16フィート(約5.4m)以下、空の状態の重さはわずか165ポンド(約75kg)なので、さらにコストを下げられる。

名前から想像できるように、Mk-IIは同社の第2弾のスペースプレーンだが、Dawnはそこでやめるつもりはない。同社は2ステージで軌道に乗るスペースプレーン、Mk-IIIの建設を計画中で、科学実験や、気象観測、気象モデリングに使う大気データの採集にも利用できる。Mk-IIの積載量は3U、8.8ポンド(約4kg)以下なのに対し、Mk-IIIは最大551ポンド(約250kg)を軌道に運ぶ能力がある。

Mk-IIは最終的にロケットエンジンを搭載して超音速・高高度のテストが可能になる予定だ。

同社は2020年12月、Mk-IIを空港から飛ばすためにニュージーランド民間航空管理局から無人航空機運行許可を取得して、大きな節目を迎えた。さらに、オランダの南ホラント州からも、低出力感知・検出レーダーシステムをテストするためのRadar Based AvionicsおよびMetaSensingの許可を受けた。このデモンストレーションは2022年に予定されており、Mk-IIに小さな改造を加えたあと実施する、とパウエル氏がTechCrunchに伝えた。

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画像クレジット:Dawn Aerospace

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

台湾TiSpaceは初の同国産ロケット試験打ち上げを2021年中にオーストラリアで予定

オーストラリアの規制当局は、創設5年目のロケット打ち上げ会社であるTaiwan Innovative Space(晋陞太空科技、通称TiSpace)に、2021年後半にオーストラリア南部の新たに認可された施設で商業打ち上げを行うことを許可した。

TiSpaceは、オーストラリア南部のホエーラーズ・ウェイ軌道発射施設で、2段式弾道飛行ロケット「Hapith I(飛鼠一號)」の試験飛行を行う予定だ。この飛行では、ロケットの推進、誘導、テレメトリ、構造の各システムの検証を行うと、TiSpaceはニュースリリースで述べている。宇宙インフラ企業のSouthern Launch(サザン・ローンチ)が運営するこの発射施設は、3月にオーストラリアの産業省から認可を取得した。

このニュースは、他国に比べて遅れをとっているオーストラリアと台湾で急成長中の宇宙産業にとって、潜在的に重要な意味を持つ。オーストラリアは2018年に国の宇宙機関が設立されたばかりだが、それ以来、新たな宇宙経済への参入方法について国家的な関心が高まっている。新たに認可された発射施設では、まずは最大3件の弾道飛行ロケットの試験打ち上げキャンペーンを支援することになっている。その目的は、この地域で起こりうる環境への影響に関するデータを収集するためだ。

「今回の打ち上げ許可は、オーストラリアの商業打ち上げ能力を確立し、国際的な宇宙分野においてオーストラリアが何を提供できるかを示す重要な成果です」と、Christian Porter(クリスチャン・ポーター)産業・科学・技術大臣は声明で述べている。「宇宙は世界的に重要な成長市場であり、大規模な投資、新しい技術、さまざまな産業分野における雇用拡大を通じて、オーストラリアの経済的未来を支えることになるでしょう」。

台湾でも自国の宇宙産業は発展が遅れていたが、2021年5月に立法院が国内の宇宙開発を促進するための「太空発展法(宇宙開発法)」を可決したことで、大きな一歩を踏み出した。最近では1月にケープカナベラルからSpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットで運ばれたキューブサット「YUSAT」や「IDEASSat」など、いくつかの衛星を軌道に乗せているものの、国内からロケットや宇宙船を打ち上げたことはまだない。

Hapith Iは台湾初の国産ロケットであり、TiSpaceは同国初の商業宇宙打ち上げ会社である。当初は台湾の発射場からHapith Iの試験打ち上げを行う予定だったが、場所に関する法的問題から中止となった。打ち上げだけでなく、TiSpaceは国外でさらなる事業の展開を始める可能性さえある。オーストラリア向けに発行されたプレスリリースによると、同社は「ロケットシステム一式の製造」を現地で行うことも検討しているという。

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画像クレジット:Australian Space Agency

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

3Dプリントで作られたTerran 1ロケットの実証打ち上げをRelativity Spaceは2022年初頭に延期

3Dプリントによるロケット開発企業のRelativity Space(レラティビティ・スペース)は、同社の軽量ロケット「Terran 1(テラン1)」の実証打ち上げの日程を、2021年冬から2022年初頭に延期した。同社はTwitter(ツイッター)でスケジュールの変更を発表するとともに、打ち上げがフロリダ州のケープカナベラルから行われることを明らかにした。

#Terran1の最新情報をお伝えします。

ステージ2が、構造試験台で極低温圧力証明+油圧機械式座屈性能試験に合格したとお伝えできることを大変うれしく思います。次は S1の構造テストです。

Terran 1のデモンストレーション打ち上げは、2022年初頭にケープカナベラルLC-16から行われることになりました。

Relativity Space

また、Relativityによれば、ステージ2は極低温圧力と油圧機械式座屈性能の試験に合格したという。今後、ステージ1の構造試験が行われる予定だ。

今回の延期のニュースは、RelativityがTerran 1を2021年の冬に打ち上げると(同じくツイッターで)言ってから、わずか2カ月後のことだった。軌道飛行実証を行うこのロケットにはペイロードは搭載されないが、同社はすでに2022年6月に2回目の打ち上げを予定しているという。そちらのロケットは、NASAとのVenture Class Launch Services Demonstration 2(VCLS Demo 2)契約の一環として、CubeSat(キューブサット)を地球低軌道に運ぶことになる。

同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、打ち上げ日が延期された理由は「1つではない」とのこと。「新型コロナウイルスの影響でいくつかのプロセスを遅らせている間に、Relativityはこの1年間で、Terran 1のアーキテクチャを改良し、まったく新しいエンジンを開発し、素材をアップグレードしました」と、広報担当者は語り「パートナーとの連携を円滑に進めるため、実証打ち上げの日程を2022年初頭に変更しました」と続けた。

今回の打ち上げでは、3Dプリンターで全体が作られたロケットが、世界で初めて宇宙へ飛び立つことになる。Relativityの技術は投資家の関心を集めており、2021年の夏に行われた6億5000万ドル(約714億円)の資金調達で、評価額は42億ドル(約4600億円)にも達したほどだ。同社はTerran 1に加えて、2機目の「Terran R(テランR)」と呼ばれる重量物運搬用の完全再利用可能なロケットの開発も進めており、早ければ2024年の打ち上げを目指している。

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画像クレジット:Relativity Space

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロケット企業Astra初の商業軌道打ち上げに米規制当局がゴーサイン、8月末にデモミッション

ロケット打ち上げ企業のAstra(アストラ)は、米国航空局(FAA)から重要なライセンスを取得し、2021年8月末に予定されている同社初の商業軌道打ち上げにゴーサインが出た。

AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOはこのニュースを米国時間8月19日にツイートし、FAAからの打ち上げオペレーターライセンスは2026年まで有効であると付け加えた。同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、この新しいライセンスは、同社が以前に取得した打ち上げライセンスを変更したもので、同社の現行バージョンのロケットに適用されるという。

FAAのウェブサイトに掲載された同ライセンスは、Astraがアラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(PSCA、旧Kodiak Launch Complex / コディアック打上げ基地)にある同社の発射台から、Rocket v3の飛行を行うことを許可するものだ。期限は2026年3月9日まで。これにより、Astraは現地時間8月27日に米国宇宙軍のためにデモンストレーションミッションを実施することが可能になり、2021年後半に予定されている2回目の打ち上げにも道が開かれた。

2021年は、Astraにとって躍進の年になりそうだ。8月27日に初の商業軌道打ち上げを行うだけでなく、同社はNASDAQでティッカーシンボル「ASTR」での取引を開始した。同社は、特別目的買収会社(SPAC)であるHolicityと、プロフォーマの企業価値21億ドル(約2305億円)で合併し上場した。

2021年の夏の初めには、Astraは宇宙空間推進システム企業のApollo Fusionを買収した。電気推進システムは物体を低軌道から高軌道に移動させるのに有効であるため、この買収は、Astraが将来の打ち上げについてどのように考えているかを示すヒントとなるかもしれない。

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画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)