Androidスマートフォンの最新フラグシップモデル、Pixel は Googleの力を最大限に示す製品に仕上がっている。中でも優れているのがカメラだ。ハード、ソフト両面でPixelの撮影能力は非常に高い。だがその能力は写真マニアを満足させるほどのレベルだろうか?
一言で答えればイェスだ。Googleは非常に高いレベルでの写真とビデオの撮影を可能にした。私がテストしたのはXLだが小型のPixelもカメラのハード、ソフトは同一だ。Pixelでスナップ写真を撮るのは簡単かつ素早くできる。HDR+機能が自動的に起動されるのでほぼあらゆるコンディションで鮮明な写真が得られる。
ビデオ撮影の手ブレ補正も驚異的だ。ただし最高の結果を得るためには多少の慣れが必要かもしれない(この点ではデジタル一眼やミラーレス用の大掛かりなジンバル・システムも同じことだ。これについては後述)。一般のPixelユーザーはカメラのパフォーマンスに十分以上に満足するだろう。カメラのソフトの設定などで頭を悩ます必要はない。そのまま使えばよい。Pixelの他の要素も優秀だが、これはBrian Heater記者の長文記事に詳しく解説 されている。
Pixelのカメラに興味ある読者のために以下で詳しく説明してみる。カメラの性能を説明するには実際の写真やビデオを見るのがベストだ。現実的な条件で撮影した画像を見ていだこう。
静止画撮影
私はストリート写真を撮影するのが大好きだ。スマートフォン・カメラはこの目的には絶好だ。デジタル一眼などと違い、スマートフォンを持っている人間には誰も注目しない。携帯性がよく、常に持って歩ける。ただしスマートフォン・カメラは低光量の条件に弱い。これはデジタル一眼やミラーレスを含め、専用カメラに比べてスマートフォン・カメラのセンサーのサイズが極めて小さいためだ。
しかし下のスライドショーを検討してもらえば、Pixelのカメラは直射日光下でも曇りの日でもストリート写真の撮影にまったく問題ないことが分かるだろう。これらの写真はデフォールト設定で撮影されている(PixelのカメラはデフォールトでHDR+が有効)。色調は「リッチ」、「バランス」に設定されている。この設定で、少なくとも私の目には飽和(サチュレーション)が起きているようには見えなかった。直射日光が当たっている条件でもレンズのグレア、ハレーション、白トビといった深刻な問題は一切起きていない。
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同様にマクロ撮影的なクローズアップでも良好な結果を残した。 上のスライドショーでアサガオの写真を見てもらうとわかるが、ディテールがきれいに出ている。紫色の花びらの中心のシベがしっかり描写されており、フォーカスが来ていることが分かる。
もうひとつPixelのカメラが得意なのは明るい場所での動体撮影だ。こちらも私は設定は調整しておらず、デフォールトのままだ。通行人が自転車で通り過ぎるところや明るい空を背景に飛ぶ鳥の群れの写真は、Pixelをポケットから引っ張り出しざまにスナップしたものだ。手ブレを防ぐためにしっかり構えもしないうちに写したにもかかわらずこれだけに描写されているのは驚きだ。
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こちらは室内のもっと落ち着いた撮影環境だ。頭上の照明は40W相当でやや温かみのある色調だ。私の犬の写真を見ればPixelのカメラの優秀さがわかるだろう。
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静止画をライバルと比較
Pixel、Pixel XLはそれ自身で優れたカメラだが、購入を考えている消費者は他の同クラスのスマートフォンとの比較を見たいだろう。 Pixel XL、Samsung Galaxy S7、Apple iPhone 7 Plusでほぼ同一条件で撮影することに成功したので参考にしていただきたい。
屋外では3モデルのカメラはそれぞれに優れている。どれがベストかは好みの問題で、結論は個人によって違ってくる。iPhone 7 PlusはHDRモードでも標準モードでも光が当たっているエリアの描写では色調がいちばん鮮やかだ(iPhoneが自動的にHDRモードを選択した場合、標準モードと両方の写真を貼ってある)。
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色調、明暗のバランスではGalaxy S7はPixel XLに近い。描写は派手さを抑えておりやや暗めだ。しかしSamsungはPixelよりサチュレーションを起こしやすいようだ。また影の部分が暖色によりがちな設定で、仕上がりが私の好みからすると暖色過ぎる。
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室内、特に非常に低光量な条件だと3モデルの差はもっとはっきりしてくる。犬の写真がその低光量での撮影だが、ホワイト・バランスではGalaxy S7がやや優勢だ。ノイズの有無、ディテールの描写でもGalaxyは良い点数を付けられる。iPhone 7 Plusは色の再現の点では優秀だが、これが最高だと言い切れるほどではない。Pixel XLは光が回った状態での屋外ポートレートでは非常に優秀だったが、屋内の低光量の条件ではさほどでもなかった。
カメラやスマートフォンのサイトでの順位付けは別として、 3モデルの機能はきわめて接近している。どれも重大な欠点はなく、、どれを最良とするかは使用条件とユーザーの好みによることになるだろう。
ビデオ
ビデオはPixelがライバルを大きくリードする分野だ。いちばん大きなセールスポイントはソフトウェアによる手ブレ補正だ。Pixel XLの動画の安定性、スムーズさはAndroidで群を抜いている。周辺画像の劣化や歪みなども見当たらない。私は最近DJI Osmo Mobileというスマートフォン用のジンバル安定化システムをテストしたが、手持ち撮影のPixelはさして遅れをとっていなかった。下のサンブルは私が犬を散歩させているところを手持ちでビデオ撮影したものだ。
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もちろんソフトウェアによる安定化にはそれなりのデメリットもある。Googleのカメラ用人工知能はユーザーが狙っている動画の中心を見つけ出し、その点を安定化の基準点とするようだ。しかしユーザーがカメラを大きく振った場合、動画のセンターが突然変化するので、パンニングがぎくしゃくすることがある。ユーザーが画面の中心を意識せず、カメラをランダムにあちこちに向けた場合、この問題が強調される傾向がある。
そういう限界はあるものの、Pixelの動画手ブレ補正で誰でも簡単に安定したビデオが撮影できる。また手ブレ補正の特性に慣れれば比較的簡単に問題を回避できるだろう。パンニングなどでスムーズにカメラの向きを変えるのが難しいというのは、実はジンバル式のカメラ安定化システムでもまったく同様だ。慣れが必要だが、その努力は十分に引き合うと思う。ポートレートでも手ブレ補正は大きな効果がある。
なおiPhone 7 Plusのカメラに組み込まれた光学手ブレ補正システムもスムーズな動画撮影に有効だった。Galaxy S7は3モデルの中では少々安定性に欠ける動画となった。下のサンプルビデオで確認できるだろう。
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写真がまずく撮れたのをスマートフォンのせいにできなくなった
セルフィーもうまく撮れる。
今日の競争の激しいスマートフォン市場では内蔵カメラが優秀でなければ製品として死んだも同然だ。Google Pixelにはそういった不安を抱かせる要素はない。Googleの「最良のスマートフォン・カメラをお届けする」という約束は果たされたと考えていい。
表側カメラもちゃんと役立つ。セルフィーを撮ろうとして失望するということはない。 Googleのカメラ起動方法はよく考えられており、実用的だ。電源ボタンをダブルタップすると、何をしていても即座にカメラ・アプリ起動する。本体をシェイクすることでカメラを操作できるのも便利だ。XLのような大型のスマートフォンの場合、スクリーン上のアプリ起動アイコンに指が届かない場合があるのでこうした片手で操作できる機能は便利だ。
過去にNexusのカメラに失望したことがあるAndroidユーザーにとってPixelはグッドニュースだ。ただしPixelを使い始めると「写真がまずく撮れたのはスマートフォンのカメラだったからだ」という言い訳ができなくなるという大きな問題を覚悟しなければならないだろう。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+ )</P