PUBG Mobile開発元が印eスポーツ企業Nodwin Gamingに約24.3億円を投資

asdf人気ゲームタイトル「PUBG Mobile」の開発会社であるKraftonは、インドのeスポーツ関連会社のNodwin Gamingに2240万ドル(約24億3000万円)を投資し、米国時間3月9日に両社はKraftonがかつての主要な海外市場での存在感を維持するよう努めると語った。

インドのゲーム大手であるNazaraの子会社であるNodwin Gamingは、同国で最大級のeスポーツ企業としての地位を確立している。

グルガオンに本社を置くNodwin Gamingは現在、Blizzard Entertainment、Valve、Riot Games、ESLを含む複数の企業と連携し、イベントの開催、解説の提供、コンテンツの制作やライセンス提供、ブランドやスポンサーの獲得などを支援している。

Nodwin Gamingは最近アフリカに進出したが、国際市場での成長を加速させるため、新たな資金を投入するという。

KraftonとNodwinは、以前からお互いに協力してきた。両社は先週、アジアでPUBG Mobileのイベントを2回開催すると発表している。

「eスポーツは今後のスポーツエンターテインメントの成長にとって、大きな柱となるでしょう。スポーツ、エンターテインメント、テクノロジーのすばらしい交差点に位置し、インドのような国がその道を切り開くことができます。Kraftonが参加することでゲームとeスポートのメッカである韓国から、モバイルファーストなマーケットでインドから世界へと私たちが構築しているものを支持しています」と、Nodwin Gamingの共同創業者でありマネージングディレクターであるAkshat Rathee(アクシャット・ラッティー)氏は声明で述べている。

インドは2020年サイバーセキュリティ上の懸念を理由に、PUBG Mobileや中国と提携した他の数百ものアプリを禁止した。KraftonはインドでPUBG Mobileを復活させようと試みてきたが、まだうまくいっていない。

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ユーザーのセキュリティに関する政府からの懸念を和らげるため、Kraftonは中国のパブリッシャーであるTencent(テンセント)との提携を解消したと述べた(また、Microsoftとのグローバルクラウド契約にも署名した)。Kraftonの企業開発の責任者であるSean Hyunil Sohn(ショーン・ヒュニル・ソン)氏は2021年3月初めに開催されたゲームカンファレンスで、同社がインドにPUBG Mobileを復活させるために「努力する」と述べたが、詳細は明らかにしなかった。

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KraftonのChanghan Kim(チャンハン・キム)CEOは声明で「KraftonはNodwin Gamingと提携して有望なeスポーツのエコシステムを育成し、インドのファンやプレイヤーと交流することを楽しみにしています」と述べた。

「このパートナーシップを機に、私たちはビデオゲーム、eスポーツ、エンターテインメントおよびテクノロジー業界の育成に向けた取り組みと貢献を維持するために、この地域でさらなる投資機会を模索します」。

カテゴリー: ゲーム / eSports
タグ:PUBG MobileKrafton投資Nodwin Gamingインド

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(文:Manish Singh、翻訳:塚本直樹 / Twitter

エネルギー消費を抑制する電動モーター開発企業にロバート・ダウニー・Jr氏、ビル・ゲイツ氏が支援する企業が投資

とても小さなイノベーションが、グローバル気候変動を食い止めようとする世界の取り組みにかなり大きな影響を及ぼすことがある。間違いなく、これまでの気候変動対策における最大の貢献の1つがLEDライトへの転換だ。LEDライトはビル内のエネルギー消費を減らすことで数億トンもの二酸化炭素排出を減らした。

そしていま、Robert Downey Jr(ロバート・ダウニー・Jr)氏とBill Gates(ビル・ゲイツ)氏が支援する企業が、Amazon(アマゾン)やiPod発明者のTony Fadell(トニー・ファデル)氏のような投資家の仲間入りをしようとしている。グローバル気候変動を減速させるという世界の取り組みにおいて次のすばらしいイノベーションを持っていると確信している、Turntide Technologies(ターンタイド・テクノロジーズ)という会社に資金を注ぐためだ。そのイノベーションとは改良された電動モーターだ。

アーク反応器ほどに派手なものではないが、電球同様にモーターはユビキタスで、19世紀以来、基本的に同じように作動してきた完全に地味なテクノロジーだ。そして電球同様、アップグレードしようとしている。

「我々の地球を元の状態に戻すためのTurntideのテクノロジーとアプローチは、エネルギー消費を直接減らします」とFootPrint Coalitionの共同創業者Steve Levin(スティーブ・レビン)氏は述べた。

ビルのオペレーションは世界の二酸化炭素排出量の40%を占めている、とTurntideは声明に記した。また米エネルギー省によると、商業ビルで使用されるエネルギーの3分の1は無駄遣いだ。スマートビルディングテクノロジーはライトやエアコン、暖房、換気、他の重要なシステムを自動で効率的にコントロールすることでこうした無駄を省くインテリジェントなレイヤーを加えていて、Turntideの電動モーターではさらに節約できる。

だからこそ、投資家らは過去わずか6カ月でTurntideに1億ドル(約107億円)超を投資した。

iPod発明者でNestの創業者かつ元CEOのTony Fadell氏、2017年6月16日、フランス・パリ(画像クレジット:Christophe Morin/IP3/Getty Images)

CEOそして会長としてRyan Morris(ライアン・モリス)氏が率いるTurntideはイリノイ工科大学で最初に開発されたテクノロジーを商業化しようとしている。

Turntideの基本的なイノベーションはソフトウェアでコントロールするモーター、あるいスイッチリラクタンスモーターだ。これはコンスタントな電気の流れの代わりにエネルギーの正確なパルスを使っている。「従来のモーターでは、あなたが望むスピードで絶え間なくモーターに電流を流します」とモリス氏は話した。「我々はあなたがトルクを必要とするときだけ正確な電流量を流します。ソフトウェアで特徴づけられているハードウェアなのです」。

このテクノロジーの開発には11年かかった。モリス氏によると、システムを動かすための処理能力が存在しなかったためだ。

モリス氏は当初、2013年にテクノロジーを買収したMeson Capitalという投資会社に属していた。そしてモーターが実際にパイロット試験で機能できるようになるまでにさらに4年開発にかかった、と同氏はいう。同社は最後の3年を商業化戦略の検討と最初の市場での価値の提供に費やした。その価値とは、世界の気候変動につながっている二酸化炭素の排出の28%を占めている、ビルの暖房換気とクーリングシステムの改良だ。

「我々のミッションは世界中のモーターを取り替えることです」とモリス氏は述べた。

電動モーターが今日使われているところの95%にこのテクノロジーを応用できると同氏は推定しているが、まずはスマートビルディングに注力する。というのも、簡単に始めることができ、エネルギー使用量に対してすぐさま大きな影響を与えるところだからだ。

「我々が行っているカーボンインパクトはかなり巨大なものです」とモリス氏は2020年筆者に語った。「エネルギー削減量は平均で64%になります。もし米国のビルのすべてのモーターを取り替えることができたら、毎年3億トンの二酸化炭素隔離に相当します」。

だからこそロバード・ダウニー・Jr氏のFootprint Coalition、ゲイツ氏のBreakthrough Energy Ventures、そして不動産と建設を専門とするベンチャーファームFifth Wall VenturesはTurntideを支援すべく、 Amazon Climate Fund、ファデル氏のFuture Shape、BMWのiVenturesファンド、他の投資家に加わった。

Turntideは2020年10月にクローズし、米国時間3月3日に明らかになった8000万ドル(約85億6000万円)を含め、これまでに約1億8000万ドル(約192億7000万円)を調達した。

明らかにビルはTurntideが最も注力するところだ。同社は3月2日、カリフォルニア州サンタバーバラ拠点のRiptide IOという小さなビル管理ソフトウェアデベロッパーの買収を発表した。しかし他の大きな産業への応用がある。電気自動車だ。

「2年後、我々のテクノロジーは必ず電気自動車に使われています」とモリス氏は話した。

「我々のテクノロジーは電気自動車産業で大きなアドバンテージがあります。どのEVも電動モーターのパフォーマンスを高めるためにレアアースを使っています。レアアースは高価で、鉱山を破壊し、中国が世界のサプライチェーンの95%を握っています。当社は外国産の材料、レアアース、マグネットは一切使っていません。我々はそれをかなり高度なソフトウェアと計算で取り替えます。ムーアの法則がモーターに適用されるのは初めてです」とモリス氏は語った。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Turntide気候変動投資電動モーターロバート・ダウニー・Jrビル・ゲイツ

画像クレジット:Chris Unger/Zuffa LLC / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

石油の巨人シェブロンが地熱プロジェクトのスタートアップを支援

米国を拠点とする石油大手のChevron(シェブロン)は、Baseload Capitalというスウェーデンの低温地熱および熱発電プロジェクト開発業者に投資した。地熱発電への投資を加速している。

石油会社は新しい事業分野を探し出すプレッシャーにさらされている。世界が再生可能エネルギーへ大規模にシフトしつつあるためだ。地球の気温を上昇させる温室効果ガスの排出が引き起こす気候関連の災害増加を前にして、再生可能エネルギーはあらゆる産業に電力を供給している。

Chevronの投資に加わったのは、億万長者が投資するクリーンエネルギー投資会社のBreakthrough Energy Venturesと、Gullspang Invest ABというスウェーデンの投資グループだ。

Baseloadへの投資は、Chevronが地熱技術開発業者Eavorに対して行った別のコミットメントと、Breakthrough Energy Venturesが最近行ったGoogleの関連会社であるDandelion Energy(Googleの親会社のムーンショット技術開発ビジネスユニットからのスピンアウトで「X」と呼ばれる)への投資に間を置かずして続くものだ。

DandelionとEavorは石油およびガス業界の知識を活用して、ベースロードエネルギーから家庭の冷暖房に至る地熱資源の利用に取り組むスタートアップのうねりのほんの2つの例にすぎない。

他には、Fervo EnergyGreenFire EnergySage Geosystemsなどの企業があり、いずれも熱を発電に利用している。

Chevronがプレスリリースで述べたように、熱の力は手頃な再生可能エネルギーの形態だ。地熱資源または廃熱のいずれかから利用できる。

BaseloadとEavorへはCTV(Chevron Technology Ventures)のCore Ventureファンドから投資した。このファンドは、Chevronのコアビジネスにおいてオペレーションの強化、デジタル化、低炭素オペレーションなどの分野で効率を高めるテクノロジーを備えた企業を見つけ出す。

2社は共同で技術テストのためのパイロットプロジェクトを計画している。プロジェクト開発にあたっては日本、台湾、アイスランド、米国での現在のBaseloadのオペレーションを念頭に置いている。

取引の金銭的条件は明らかにされていない。

「8月に、主要市場における展開を加速してくれる戦略的投資家を探していると発表しました」と、Baseloadの最高経営責任者であるAlexander Helling(アレクサンダー・ヘリング)氏は述べた。「これ以上良い投資家を求めることはできなかったでしょう。Chevronは株主グループを補完し、掘削、エンジニアリング、探査などの専門知識を与えてくれます。こうした資産が、熱の力を利用する能力を高め、私たちのやり方を強化してくれるものと思われます」。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Chevron地熱発電再生可能エネルギー投資

画像クレジット:Universal Images Group / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

Allbirdsが2021年末にフェイクレザーの靴を発売、植物ベースの代替皮革企業に投資

持続可能性を重視する靴メーカーAllbirds(オールバーズ)は、Natural Fiber Welding(ナチュラル・ファイバー・ウェルディング)という新しい会社に200万ドル(約2億1200万円)の小規模投資を行い、そのサプライチェーンをさらにグリーンな方向へ前進させた。

米国時間2月25日発表されたNatural Fiber Weldingへの投資は、2021年12月までに、完全植物由来の代替皮革という選択肢となってAllbirdsの製品に反映される予定だ。こうしたオプションが追加されることは、アパレル製造の一側面での環境インパクトを重視すると常に言明している同社としては、自然な流れだろう。

この頃のAllbirdsは、もうただの靴メーカーではない。Natural Fiber Weldingの製品には、同社独自の処理技術で作られた頑丈な綿繊維と植物由来の代替皮革が意図的に使われている。

これらの素材がソックス、靴、Tシャツ、下着、セーター、ジャケット、マスクなどのAllbirds製品に使われることになった。Natural Fiber Weldingはそのウェブサイトで、Porsche(ポルシェ)との提携を宣伝している。つまり、イリノイを拠点とするこのスタートアップの新素材Peoria(ペオリア)に熱を入れているのは、Allbirdsだけではないということだ。

PitchBookのデータによれば、Allbirdsからの投資以外にもNatural Fiber Weldingは1500万ドル(約16億円)の資金を調達している。その他の投資者にはCentral Illinois Angels、Prairie Crest Capital、Ralph Lauren Corp.、そして完全植物由来の製品に特化した投資会社Capital Vがある。

2020年、植物由来の素材に飛びついたアパレル企業は、決してAllbirdsだけではない。何かと話題のPangaia(パンガイア)は同年12月、Kintra(キントラ)というバイオ由来の代替ポリエステルのメーカに200万ドルを投資した。

現在、持続可能ファッションの世界で最も大きなスタートアップは、Bolt Threads(ボルト・スレッズ)という会社だ。同社は、Stella McCartney(ステラ・マッカートニー)、Adidas(アディダス)、Balenciaga(バレンシアガ) のオーナーであるファッションハウスなどと(もっと他にもあるが)契約を結んでいる

関連記事:Bolt Threadsがバレンシアガやグッチ、アディダスなどと新素材マッシュルーム代替皮革で提携

それ以外で、植物由来の繊維や素材で多額の資金を調達したスタートアップには、MycoWorks(マイクロワークス)などの企業がある。同社は2020年にJohn Legend(ジョン・レジェンド)氏、Natalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏、さらにもっと伝統的な投資企業である台北のWTT Investment Ltd.、DCVC Bio、Valor Equity Partners、Humboldt Fund、Gruss & Co.、Novo Holdings、8VC、SOSV、AgFunder、Wireframe Ventures、Tony Fadell(トニー・ファデル)氏から4500万ドル(約47億8000万円)を調達した。

Allbirdsは、Natural Fiber Weldingの製品で人工皮革の環境への影響を大幅に減らせることを誇っている。Natural Fiber Weldingによれば、その素材では、石油から作られる合成皮革と比較して、関連する二酸化炭素排出量は40分の1、製造時の排出量な17分の1だという。

また同社では、植物由来皮革には天然ゴムが使われると話している。天然ゴム業界には人権を侵害してきた歴史があるが、是正の努力もなされているところだ

「ファッション業界は、あまりにも長い間、いかがわしい合成皮革や持続可能性のない皮革に依存してきました。環境よりもスピードとコストを優先させていたのです」とAllbirdsの共同創設者であり共同CEOのJoey Zwillinger(ジョーイ・ズウィリンガー)氏は声明の中で述べている。「Natural Fiber Welding(NFW)は、大規模に、持続可能な形で、皮革の解毒剤を作っています。しかもそれを、炭素排出量を98パーセント削減して業界の流れを変える可能性のある方法で行っています。NFWとの提携と、彼らの技術が生んだ植物由来皮革の導入で、私たちの旅は、ファッション業界から石油を一掃するというエキサイティングな段階に入ります」。

TechCrunchではAllbirdsに詳しいコメントを求めているが、現時点ではまだ返事がない。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Allbirdsファッション持続可能性投資

画像クレジット:Allbirds

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:金井哲夫)

Robinhoodのライバル、株取引アプリPublicが予想通りユニコーン評価で約233億円を調達

Robinhood (ロビンフッド)米議会下院に詰問される前日、国内のライバルPublic.com(パブリック)は米国時間2月17日朝、12億ドル(約1270億7000万円)の評価額で2億2000万ドル(約233億円)の資金調達ラウンドを完了したと発表した。このラウンドのニュースはTechCrunchが最初に報じていた。さらなる報道で、投資規模と評価額の範囲が明らかになった

Publicは今回の資金調達のニュースを確認するとともに、新たに会員数100万人に到達したという指標を追加した。サービス開始からわずか18ヶ月の間にそれを達成したと、同社はすかさず指摘している。

つまり、Publicの投資家(最新のラウンドは、Greycroft、Accel、Tiger Global、Inspired Capital、その他を含む先行投資家によってまとめられた)は、現在の「メンバー」1人あたり約1200ドル(約12万7000円)で同社を評価していることになる。それを高価と感じるかどうかは、読者の方々の判断にお任せする。

しかし、貯蓄と投資の分野への関心が高まっており、Robinhoodの収益は2020年第4四半期に8億ドル(約847億円)以上のランレートに成長し、2021年初めにはさらに良くなると見られている中、投資家がなぜPublicを支援しているのか理解するのは難しいことではない。RobinhoodブランドがGameStop(ゲームストップ)騒動による苦境から重大なダメージを受けたと信じるならば、なおさらだ。

両社は、貯蓄や投資商品を提供する他の多くのフィンテックサービスとともに、物理的な世界(対面ショッピング、銀行の支店、プラスチックカード)からデジタル(ネオバンク、eコマース、バーチャルカード)への銀行業務の長期的なシフトに後押しされてきた。Robinhoodは、ゼロコスト投資で取引の世界を揺るがし、構築が進んでいるモバイルおよびバーチャルバンキングの未来によくフィットしている。そして一方のPublicは、注文フローの支払い(PFOF、Payment For Order Flow)を廃止することによって、そのモデルをさらに一歩踏み出した。PFOFは、Robinhoodのような企業がユーザー取引を特定のマーケットメーカーに発注する際に小額の報酬を得ることにより収益を生み出す方法だ。

TechCrunchでは最近、この予想されていたPublicのラウンドを踏まえて、「株式取引スタートアップのための資金は無限にある」ようだとジョークを飛ばしていた。次の高額小切手は誰が手にするのか、見どころだ。

関連記事:南アフリカのVC企業Knife Capitalが資金52.5億円確保、シリーズB10〜12社への投資を計画

カテゴリー:フィンテック
タグ:投資 資金調達

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Aya Nakazato)

南アフリカのVC企業Knife Capitalが資金52.5億円確保、シリーズB10〜12社への投資を計画

南アフリカのベンチャーキャピタルであるKnife Capital(ナイフ・キャピタル)は、シリーズBの資金調達を目指すスタートアップ企業のために5000万ドル(約52億5000万円)の資金を調達している。同社のKnife Fund III(ナイフ・ファンドIII)はAfrican Series B Expansion Fund(アフリカのシリーズB拡張ファンド)と呼ばれ、南アフリカのスタートアップ企業の積極的な拡大に直接投資することを目指すものだ。また、同社はアフリカの他の地域を拠点とする企業に向けた共同投資も計画している。

その最初の投資ファンドは、Knife Capital Fund IまたはHBD Venture Capital(HBDベンチャー・キャピタル)として知られ、Eben van Heerden(エベン・ファン・ヘールデン)氏とKeet van Zyl(キート・ファン・ジル)氏が運営するクローズド・プライベート・エクイティ・ファンドだった。これによって同社はいくつかのスタートアップ企業に着手資金を提供した。また、そのポートフォリオからは、VISAによるフィンテック系スタートアップのFundamo(ファンダモ)の買収や、UberEats(ウーバーイーツ)によるorderTalk(オーダートーク)の買収など、重要なエグジットも生まれた。

2016年にこのVC会社は、Knife Capital Fund IIとして現在の所得税法第12J条(アーリーステージの企業に対するVCなどからの投資については100%の税控除を行う法案)を利用した投資オファーを開始。主にシリーズAステージに投資する同ファンド(KNF Ventures)は、8つのスタートアップをポートフォリオに抱えている。同社は2020年、このFund IIを拡張して新規投資家に開放する意図をTechCrunchに語っていた。その計画は、スタートアップ企業にネットワーク、資金、拡大の機会へのアクセスを与えることだった。

「南アフリカやアフリカの企業の国際化を支援したい」と、共同経営パートナーのAndrea Bohmert(アンドレア・ボーマート)氏は当時語っていた。その証拠に、同社のポートフォリオ企業の1つであるDataProphet(データプロフェット)は、米国と欧州に進出するために600万ドル(約6億3000万円)のシリーズAを調達している。

ボーマート氏がTechCrunchに語ったところによると、第3のファンドを設立した目的は、南アフリカのベンチャーキャピタルの資産クラスを特徴づけてきた深刻なシリーズBの資金調達ギャップに対処するためだという。この問題は、南アフリカのスタートアップ企業にとって、ビジネスの潜在能力を十分に発揮できなかったり、早期に撤退せざるを得なくなる結果を招くことがあった。

「最近では、200万ドル(約2億1000万円)から500万ドル(約5億2500万円)の資金調達が可能な企業が増えています。それらの企業は、自国内で事業を展開している限り、私たちの場合は南アフリカですが、現地のコスト構造から、それだけの資金があれば成功を収めることができるでしょう」と、ボーマート氏はいう。「しかし、これらの企業が国際的な牽引力を得て、母国以外の国でインフラを構築する必要が出てくると、そのためには多額の資金調達が必要になります。現在のところ、南アフリカ企業がより大きな市場に打って出るための資金調達を積極的に展開し、500万ドル以上の小切手を書ける南アフリカのVCファンドは、おそらくNaspers Foundry(ナスパーズ・ファンドリー)以外にはほとんど存在しません」。

その結果、アフリカは国際的なVCのインキュベーターになってしまったとボーマート氏は主張している。そのような国際的なVCは、高額の小切手を書くことはできるが、多くのスタートアップがまだ現地で必要とするサポートを提供することはできない。

同様に、国際的な投資家が南アフリカで積極的に現地の共同投資者を探してラウンド投資を行っている例もあるが、現地でそのような共同投資者が見つからない場合、投資を進めるチャンスを失うことになりかねない。Knife Capitalは、このファンドを立ち上げることで、このようなギャップを埋めたいと考えていると、ボーマート氏は語っている。

「私たちは、国際化を目指す南アフリカのテクノロジー企業のために、シリーズB投資の話し合いをリードできる国際的な投資家から、共同投資を行うために選ばれる地元のリード投資家になりたいと考えています」。

Knife Capitalは先週、南アフリカに拠点を置く投資会社のMineworkers Investment Company(MIC、マインワーカーズ・インベストメント・カンパニー)から1000万ドル(約10億5000万円)を確保した。この公約により、MICは他の国内外の投資家と並んで、このファンドのアンカー投資家となる。

MICのCIOであるNchaupe Khaole(チャウプ・カオール)氏は、地元の機関投資家がベンチャーキャピタル投資にアプローチする方法を変える動きは、以前からMICのパイプラインの中にあったと説明する。そしてKnife Capitalとの提携により、このアイデアは具体化し始めている。

「我々のコミットメントは、経験豊富なプレイヤーとして当社が持つ多くの強みとともに、今回の投資を実現するものになるでしょう。その1つは、我々と提携することで南アフリカ経済に実際に目に見える変化をもたらすと、ポートフォリオ内の企業を感化させる当社の能力です。今回の資金調達ラウンドの成功の鍵となる触媒となることを嬉しく思います」と、カオール氏は述べている。

その他の詳細としては、Knife Capitalは2021年5月までに最初のクローズを行い、年末までに最終クローズを行うことを目標としている。その大半は共同出資となり、10から12社の企業が資金を受ける計画だ。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Knife Capital南アフリカ資金調達アフリカ投資

画像クレジット:Knife Capital

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2つの新しい取り組みがベンチャーファンドに直接投資する人々の範囲を広げる可能性

Acrew Capitalのメンバー。彼らはDiversity Capital Fundと呼ばれる最初のグロースファンドのメンバーでもある

ベンチャーファンドは歴史的に自身の投資資本について限られた種類のリミテッドパートナー(LP)に頼ってきた。1つのグループは年金基金、大学基金、病院システムなどの機関投資家だ。2つ目は企業。3つ目は裕福な個人と、多くの場合そのファミリーオフィスだ。

つまり、かなり狭い世界だが、今週発表された新しい、非常に異なる2つのイニシアチブがいずれもその方程式を変えようとしている。そしてまもなく同様の取り組みの先駆けとなる可能性がある。

Arlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏が最初にニュースを発表した。同氏は有色人種、女性、LGBTQコミュニティのメンバーが創業したスタートアップへの投資に特化するベンチャーキャピタルのBackstage Capitalの創業者だ。要するに、Backstageの中心には多様性がある。しかし、自身が黒人であるハミルトン氏は、多様な創業者だけに資金を提供することに興味はない。社会経済的にもさまざまなバックグラウンドを持つ多くの人々が、アセットクラスとしてのベンチャーキャピタルに投資できる環境づくりにも関心を持っている。

そのために同氏は今週初め、未公開企業への投資プラットフォームのRepublicで新しいファンドを開いた。非適格投資家を含む誰もが、Reg CFまたはRegulation Crowdfunding(レギュレーションクラウドファンディング)と呼ばれる証券取引委員会の規則の下で投資できる。

ハミルトン氏は、Reg CFで企業が調達可能な上限、すなわち12カ月の期間内で107万ドル(約1億1300万円)に達した。わずか100ドル(約1万600円)の投資に招かれた2790人の投資家にとっては数時間に感じられたはずだ。しかし次の展開があるかもしれない。この規則は2020年11月に元SEC議長のJay Clayton(ジェイ・クレイトン)氏の下で変更され、2021年3月から企業は最大500万ドル(約5億3000万円)をクラウドソーシングできるようになる。

このプロセスは次期SECチーフの下で進みが遅くなる可能性がある。バイデン大統領は、規制当局出身で元ゴールドマンパートナーのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏を任命した。同氏は上院の承認を受ける必要がある。新政権はまた、トランプ政権の後半に進められた措置の多くを見直している。ただし、すべてのシステムが機能すれば、もうすぐ非適格投資家が他の大規模なベンチャーファンドに出資するよう招待されるだろうと容易に想像できる。

機会がやってきた

今週2つ目のイニシアチブは、ハミルトン氏にとって同じ目的を持っている。つまり多様な投資家をLPに迎えることができる。ただしアプローチは異なり、適格投資家のみを対象としている。適格投資家とは、基本的に年間20万ドル(約2100万円)の収入があるか100万ドル(約1億600万円)以上の純資産を持つ個人を意味する。

ベテランベンチャーキャピタリストのTheresia Gouw(テレジア・ゴウ)氏が率い、パロアルトとサンフランシスコを拠点とするアーリーステージのベンチャーキャピタルであるAcrew Capitalが始めたファンドが米国時間2月3日、従来のグロースステージのファンドにひねりを加えて立ち上げていると明らかにした。現在のLPに新しいファンドへの投資機会を与えることに加え、レイターステージのプライベートビークルに投資する機会が必ずしもなかった多くの女性、有色人種、過小評価された個人にビークルを開放する。

ここで重要なのは、グロースステージの投資にAcrewが力を入れていることだ。より多くの女性や有色人種がシードステージ投資の仲間入りをしている一方で、アーリーステージの資金調達から収益を生み出すには長い時間がかかる。一方、グロースステージのファンドは投資先企業が通常「エグジット」に近いため、より独占的だ。そのため、ミューチュアルファンドやヘッジファンドなどにとって非常に魅力的であり、Acrewが現在、招き入れようとしている種類の個人が入り込む余地はほとんどない。

Backstageと同様、多様性はAcrewのDNAに組み込まれている。Acrewは、ゴウ氏が以前在籍したファンドで、Aspect Venturesの同僚のLauren Kolodny(ローレン・コロドニー)氏、Vishal Lugani(ビシャル・ルガーニ)氏、Asad Khaliq(アサド・カリク)氏、Mark Kraynak(マーク・クレイナク)氏と共同で創業した。

Acrewはチーム全体の88%が女性で、63%が過小評価された経歴を持っているという。そんな同社が多様なエンジェル投資家、取締役会メンバー、経営幹部をレイターステージの投資の世界に引き込むことに率先して公に取り組むことに驚きはない。

新しい取り組みを通じて投資のための新たな資本を獲得するBackstageのように、フィンテックとサイバーセキュリティに焦点を当て、他の多くの中でも高いバリュエーションを得たチャレンジャーバンクのChimeに出資したAcrewの新しい取り組みは包摂的かつ戦略的だ。

関連記事:フィンテックのChimeが約1.5兆円のバリュエーションで510億円調達、EBITDA黒転を主張

コロドニー氏が説明するように、役員室の多様性を高めることに力を入れるスタートアップが増えている。多様な個人から成るLPの基盤を持ち、そうした個人を興味深い取締役会のポジションにつなげられれば、Acrewだけでなく、新しくLPになる企業にとっても、さらにすべての関係者にとって上手く機能するはずだ。

実際、Acrewのパートナーらはこのアプローチのために同社がこの先も他社と異なる存在でいることを望んでいない、とコロドニーはいう。「私たちの希望は、5年後、多様で独立した取締役会メンバーと多様な経営幹部が企業で増えることを支援するベンチャーキャピタルが他に例がない戦略になってしまわないことです」。

「その希望は」と同氏はつけ加えた。「この取り組みにより、ベンチャー企業への期待に関する新しい基準を人々が受け入れることです」。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Backstage CapitalAcrew Capital

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

ダブリンのVC「Frontline Ventures」がB2Bスタートアップ向けファンドに89億円調達

ダブリン拠点のFrontline Ventures(フロントラインベンチャーズ)が欧州のB2Bスタートアップを対象とする7000万ユーロ(約89億円)のFrontline Seed Fund IIIの詳細を明らかにした。新ファンドによりFrontlineが管理するファンド総額は2億5000万ユーロ(約317億円)になる。同社はロンドン、ダブリン、サンフランシスコにオフィスを構えている。ファンドへの出資者は欧州と米国にまたがり、European Investment Fund(EIF)、Ireland Strategic Investment Fund(ISIF)、アイルランドの大手銀行AIB、そのほか主にエグジットした起業家など10人のテックエンジェル投資家だ。

新規ファンドはすでにアーリーステージの企業への投資を開始し、今後4年間で45社への投資を目指す。投資額は25万〜250万ユーロ(約3200万〜約3億2000万円)だ。新規ファンドはFrontlineの米国拠点のグロースステージファンドFrontline Xに続くもので、アイルランドがEUのメンバーであること、そしてブレグジットの予期せぬ結果の恩恵を受ける立場であることを踏まえている。Frontline Xは欧州やEU地域に進出したい米国のスタートアップ向けのものだ。

パートナーのWilliam McQuillan(ウィリアム・マクキラン)氏は新しいファンドが資金の約50%を新たなアーリーステージ企業に投資すると述べた。残りの資金はすでにポートフォリオにある企業への後の投資に振り向ける。

マクキラン氏の見立てでは、グローバルのB2Bソフトウェアマーケットの26%を欧州が占め、そして米国が50〜55%と欧州は成長する余地がかなりある。

2020年、ロンドンにオフィスを開設したSequoia、そして直近ではGeneral Catalystなど米国のVCファームが欧州に根づきつつある中での新しいシードファンドの立ち上げとなる。2020年5月にFrontlineはKleiner Perkins、Index、Sequoiaとともにアイルランドに本社を置くEvervaultに投資した。

Frontlineのポートフォリオにあるシード期の企業の70%が2012年以降に米国のVCから資金を調達した。そしてFrontlineのパートナーはGoogle、Twitter、SurveyMonkey、Airtable、Yammerなどの企業と協業した。

声明の中で、マクキラン氏は「Frontlineスタート時の2012年のデータをみると、欧州の起業家が欧州外での事業を立ち上げるためのインフラやサポートが欠けていたのは痛々しいほど明らかでした。本日、欧州は当然のことながら米国の投資家のターゲットリストの上位にきます。チームとして、当社は大西洋を超えて創業者たちのサポートに注ぐ経験とリソースを蓄積してきました。Seed Fund IIIは創業者たちが離陸し、世界に進出するのをサポートする我々の取り組みのエクステンションになります」。

Frontlineの投資で目を引くものには、Linked Finance、Clearbanc、Currencyfairが含まれる。Frontline XグロースファンドはTripActionsのシリーズB、People.aiの1億ドル(約105億円)のシリーズC、Clearbancの5000万ドル(約53億円)のシリーズBなどに投資した。

注目すべきエグジットにはRapid7に買収されたLogentries、CenturyLinkに買収されたOrchestrate、2020年にGoogleに買収されたPointyがある。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Frontline Ventures資金調達投資

画像クレジット:Frontline Ventures

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

a16zによる次の気候テック投資がカーボンオフセットAPIのPatchになる可能性

アーリーステージのカーボンオフセットAPI開発会社のPatch(パッチ)は、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)にとって気候テックへの初期の投資の1つになる可能性がある。

この投資ラウンドについて知る何人かによると、OpenTableの元最高経営責任者であり、現在Andreessen Horowitzのパートナーを務めるJeff Jordan(ジェフ・ジョーダン)氏がこの若い会社の最新の資金調達をリードすることを検討している。

このような投資はPatchにとって勝利だ。ますます混みあってきている分野でAndreessen Horowitzのマーケティング力を享受できる。取引が成立すれば、ベンチャー業界で最も(社会的に)活発な投資家の1つがもっと多くの投資を行う予兆となる可能性がある。

PachamaCloverlyCarbon InterfaceCooler.devなどの企業はすべて、同様のAPIを提供している。必要最小限の労力でオフセットによるカーボンニュートラルを目指す企業が増えるにつれ、この種のサービスの市場は拡大しそうだ。成長する市場は複数のベンチャー投資の勝者を生み出す可能性がある。

Patchの共同創業者とAndreessen Horowitzのいずれも資金調達についてコメントに応じなかった。

Patchのようなサービスに関する懸念の1つは、顧客が事業から排出する二酸化炭素の量を削減するための一歩ではなく、最終的な目的としてオフセットを検討してしまうことだ。気候危機の解決にはさらに多くの仕事が必要になる。

Patchはアパート賃貸サービスのSonderの従業員だったBrennan Spellacy(ブレナン・スペラシー)氏とAaron Grunfeld(アーロン・グランフェルド)氏が創業し、2020年9月にVersionOne Venturesから最初の資金調達を行った。

同社の事業運営に詳しい人々によると、現在約15〜20社がこのサービスを利用している。

同社には、企業のERPシステムと統合することにより排出量を計算できるAPIがある。その後、同量の二酸化炭素を除去するオフセットプロジェクトに資金を投じる。

関連記事:企業向けにカーボンオフセットAPIを開発するスタートアップが急増中

Pachamaのようなサービスは森林再生や森林管理などの低コストの除去ソリューションを優先するが、Patchはオフセットのためのさまざまな投資機会を提供する。同社の計画に詳しいある人は、同社が新しい技術のコストを削減するために、より高価で高度な複数のオプションに顧客を誘導しようとしていると述べた。

オフセットを自動化する他のサービスと同様に、Patchはプロジェクトの追加性(すでに確立されたベースラインを超えて除去する炭素量)、永続性(炭素排出量が除去される期間)、検証可能性に基づいてプロジェクトを評価する。

また創業者らが同社のサービスについて声明で述べているように、顧客が展開すべき唯一のソリューションを意図したものではない。

多くの気候モデルは大気から二酸化炭素を除去しながらも、地球規模で排出量を削減する必要があることを示しています」と創業者らはMediumの投稿に書いている。「当社は企業の炭素削減の目標に取り組み、企業は排出量の削減に力を注ぎます。企業の努力には、より専門的な事業運営の知識が必要とされます。Patchが企業の行動の変化を補完します。これは気候変動を軽減する真のチャンスです」。

VersionOneのAngela Tran(アンジェラ・トラン)氏は2020年9月の発表で、Patchのテクノロジーの防御可能性に関する懸念に答えた。

「また、防御可能性には、質の高い供給の集約と『デジタル化』がともなうと考えています。Patchを市場と見なすとき、企業(需要)は排出量を中和するために購入するプロジェクト(供給)の種類に関心があると考えています」とトラン氏は書いている。「たとえば企業は、持続可能性の遺産を林業や鉱化プロジェクトに結びつける選択をする場合があります。Patchは、最高の炭素除去開発会社および最新の負の排出技術を持つ会社と提携し、低コストで影響力のあるプロジェクトのネットワークを構築しています」。

Patchは気候変動にはっきりと特化しているが、Andreessenは持続可能性というテーマに幅広く、アーリーステージの投資を複数行っている。2020年はSiloへの900万ドル(約9億5000万円)の投資をリードし、2019年にはKoBold Metalsに投資した。

Siloは生鮮食品のサプライチェーン向けにエンタープライズリソースプランニングツールを開発した。現在、卸売農産物に特化する同社は2020年の声明で、来年には肉、乳製品、パントリー製品にサービスを拡大すると述べた。

「Siloのようなイノベーターが廃棄物を削減し、マージンを改善する市場の可能性は非常に大きい。私たちは米国で食品流通の記録システムとしての取り組みをサポートできることをうれしく思います」とAndreessen HorowitzのゼネラルパートナーであるAnish Acharya(アニッシュ・アチャリヤ)氏は当時の声明で述べた。「Siloは西海岸を越えて拡張する潜在力があります。より多くの顧客がペンと紙からソフトウェアへと業務を最新化し、移行できるよう支援します」。

一方KoBoldは、機械学習とビッグデータ処理技術により、企業が新しいバッテリーと再生可能エネルギー生成技術を開発するために必要とする貴金属の新しい分野を開拓するソフトウェア開発者だ。

「KoBoldのソフトウェアは、コンピュータービジョン、機械学習および現在業界では利用できない高度なデータ分析により(ゼロからフルスタックで)デジタルプロスペクティングエンジンを開発することにより、これまで利用できなかったダークデータを従来の地球化学的、地球物理学的、地質学的データと組み合わせます。他のデータネットワーク効果と同様に、時間の経過とともに良くなるモデルにおいて見通しを示します」と、当時のブログ投稿でConnie Chan(コニー・チャン)氏は書いている。

以上を踏まえると、Andreessen Horowitzとその運用資産165億ドル(約1兆7300億円)のプールが再生可能エネルギー業界にどのようにアプローチするかがわかる。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:PatchAndreessen Horowitzカーボンオフセット投資

画像クレジット:Luke Sharrett/Bloomberg / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

在宅フィットネスのPelotonが配達短縮のためにロジスティックへ約105億円投資

これは長い目で見ればおそらく「いい問題」の範疇に入る。記録的な業績となった四半期の後に、Peloton(ペロトン)は「プロダクト配達にかかる受け入れ難い待ち時間」のために、航空便と船便による配達に1億ドル(約105億円)超を投資すると発表した。

フィットネス企業であるPelotonは、パンデミックの期間にかなりの関心を引き寄せたテック企業の1社だ。実際、このところVCは自らの関心を満たすスピードで。在宅フィットネスソリューションに資金を注入することはできないようだ。LuluLemon(ルルレモン)による5億ドル(約527億円)でのMirror(ミラー)買収から、Apple(アップル)やSamsung(サムスン)のプラットフォームに至るまで、2020年は在宅ワークアウトソリューションにとって当たり年だった。

Pelotonは直近の四半期に10億6000万ドル(約1118億円)を売り上げ、前年同期比200%を上回る成長だった。この業績はウォール・ストリートの予想を上回った。次の四半期も絶好調となることが予想されており、減速する兆しはない。

「今回の投資が短期的な収益を押し下げる一方で、会員のエクスペリエンスの改善は当社の最優先事項です」と同社が認めたことで、株価は少し下げた。供給のボトルネック解消に向けた今回の巨額の支出は明らかに長期的な意味合いを持つ。

もちろん同社の収益がパンデミック後に安定するかは今後、判明する。新型コロナのワクチンによってあちこちでジムが再び利用できるようになれば、Pelotonや他のブランドはやや減速するのではと筆者は予想する。しかしながら、たとえ新型コロナが過去のものになっても、リモートワークのように在宅ワークアウトも根づく側面があるかもしれない。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Peloton投資

画像クレジット:Ezra Shaw

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

GGV Capitalが「世界中の起業家」のための新ファンドに合計2630億円を調達

GGV Capitalは、主に米国と中国に長い間投資し、現在20年の歴史を持つベンチャーキャピタルだ。米国時間1月28日、GGV Capitalは新しい4つのファンド合計で25億2000万ドル(約2630億円)の新規資本のコミットメントを得てクローズしたと発表した。

資金の大部分は同社の8番目の旗艦ファンドを通じて投資される。同ファンドは15億ドル(約1560億円)をあらゆるステージのスタートアップへ投入する。ブレイクアウト投資に大きく張るオポチュニティファンド(GGVキャピタルVIIIプラス)も3億6600万ドル(約380億円)でクローズした。また、創業者をネットワークに招き入れ、彼らとともに投資するファンドを8000万ドル(約83億円)でクローズ。さらに、世界中のアーリーステージのスタートアップの創業者に資金を提供する「ディスカバリー」ファンドを6億1000万ドル(約630億円)でクローズした。

GGVはまた、2018年に最初の人民元ファンドの資金調達を2億3600万ドル(約250億円)相当でクローズしてから3年後、2番目の人民元ファンドを約34億人民元(約560億円)でクローズしている。

これらの資本により、同社の運用資産は17ファンド合計で92億ドル(約9570億円)となる。

現在のベンチャー投資の状況を考えると、GGVの最近の実績は驚くに当たらない。過去10年間、低金利(金融機関は「アルファ」を探している)と未公開市場全体の成長に支えられ、資金がこのアセットクラスになだれ込んだ。VCは長い間未公開でいた企業の成長から多くのメリットを享受し、そうした企業の多くが公開するときに大きな飛躍の恩恵を受けた。

もちろん、すべてのファンドが優良な会社のかなりの部分を手に入れるわけではない。GGVは、これというスタートアップに意味のある小切手を書くことに関してかなり熟練しているようだ。

Affirm、Airbnb、Peloton、Slack、Square、Zendeskといった企業のS-1申請書類でわかるようにGGVはポートフォリオ企業の5%未満しか所有していなかったがOpendoor(5%)、Poshmark(7.9%)、Wish(6.2%)といった企業で大きな地位を築いた。

ラテンアメリカ、インド、東南アジア、イスラエルにも投資しているGGVは、非常に高く評価されている多くの未公開企業にも賭けている。こうした中には、2020年に51億ドル(約5340億円)のバリュエーションで資金を調達したインフラ自動化会社のHashicorpがある。オンライン教育会社のZuoyebanは、2020年12月にクローズしたラウンドで65億ドル(約6760億円)の価値があると報じられた。また、オンライン再販マーケットプレイスのStockXは、最新のラウンドをクローズした12月に28億ドル(約2910億円)のバリュエーションがついた。

いずれにせよこの発表は、少なくとも今のところ、大規模ファンドが指数関数的に成長するという長年の傾向にまだ終わりがないことを裏づけているようだ。

米国時間1月27日、創業25年の投資会社TCVが記録的な40億ドル(約4160億円)のファンドを発表した。Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)は2020年末、総額45億ドル(約4680億円)の2つのファンドをクローズした。また、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)は2020年に9、これまでで最大のファンドである95億ドル(約9880億円)のグロースエクイィビークルをクローズした。

一貫してトレンドに逆らう数少ないトップベンチャー企業の1つがBenchmark Capital(ベンチマーク・キャピタル)だ。2020年は、1995年の設立以来の9つのファンドの大半とほぼ同じサイズの4億2500万ドル(約440億円)のファンドを静かにクローズしている。

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カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:GGV Capital投資

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunc

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi)

ミレニアル世代と初心者に焦点を当てるインドネシアの投資プラットフォームAjaibが26億円調達

現在、取引数ではインドネシアで5番目に大きいと言われるオンライン投資プラットフォームのAjaib Group(アジャイブ・グループ)が、Li Ka-Shing(リ・カシン)氏が設立したベンチャーキャピタルのHorizons VenturesとAlpha JWCが主導したシリーズAで2500万ドル(約26億円)の調達を行ったことを公表した。以前からの投資家であるSoftBank Ventures Asia、Insignia Ventures、Y Combinatorもこのラウンドに参加しており、ラウンドは2回のクローズで完了した。

最高経営責任者(CEO)のAnderson Sumarli (アンダーソン・スマリ)氏と最高執行責任者(COO)のYada Piyajomkwan(ヤダ・ピヤジョムクワン)氏によって2019年に設立されたAjaib Groupは、ミレニアル世代と投資初心者に焦点を当てており、現在は月間100万人のユーザーを擁しているという。これまでの調達額は、2019年に行われた200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドを含め、総額2700万ドル(約28億1000万円)となっている。

インドネシアにおける株式投資の普及率は非常に低く、同国における資本市場の投資家はわずかに約160万人(The Jakarta Post記事)と人口の1%にも満たない(対照的に、Gallup社のデータによれば、米国人の約55%が株式を保有している)。

普及率が非常に低いことに加え、パンデミックの影響で個人投資家の資本市場への関心が高まっている(The Jakarta Post記事)ことから、特にミレニアル世代に焦点を当てたオンライン投資プラットフォームへのVCの関心に拍車がかかっているのだ。先週、インドネシアの投資アプリBibit(ビビット)がSequoia Capital Indiaが主導する3000万ドル(約31億3000万円)のグロースラウンドを発表し、また別のオンライン投資プラットフォームBareksa(バレクサ)は2020年に、決済アプリOVO(オボ)から非公開でシリーズBを受けたことを認めている(Deal Street Asia記事)。

Ajaib Groupの創業者は、低手数料の株式取引プラットフォームとして差別化を図るとともに、分散投資のための投資信託も提供しているという。Bibitは投資信託向けのロボットアドバイザーであり、Bareksaは投資信託のためのマーケットプレイスだ。

スマリ氏とピヤジョムクワン氏は、インドネシアの株式投資家率が低いのは、オフラインのブローカーを利用する高い手数料を支払う余裕がある富裕層が行うケースが一般的なためだと、電子メールでTechCrunchに語っている。Ajaib Groupは、株式投資についで学んだスマリ氏が、インドネシアに投資プラットフォームがないことに不満を感じたことをきっかけに、2019年に立ち上げられた。

米国のRobinhood(ロビンフッド)やブラジルのXP Investimentos(XPインファスティメンドス)のような企業に触発されたイAjaib Groupは、オフラインのブローカーや支店を一切持たない、モバイルファーストの株式取引プラットフォームとして誕生した。シンプルなユーザーインターフェース、アプリ内教育機能、投資アイデアを共有できるコミュニティ、低手数料などが、投資初心者やミレニアル世代にアピールしている。

初めてアプリを試してみる人は少額の投資を好むため、Ajaibは取引口座の開設にあたって最低残高を要求しない。ピヤジョムクワン氏は、「Ajaibで投資してから、2カ月以内に投資金額が3倍になるのが一般的です」と述べている。

Ajaib Groupのプラットフォームでは、株式取引用のAjaib Sekuritas(アジャイブ・セクリタス)と投資信託用のAjaib Reksadana(アジャイブ・レクサダナ)が提供されている。同社によると、Ajaib Sekuritasは2020年6月にローンチしてから、わずか7カ月で取引数でインドネシア第5位の株式証券会社になったという。

インドネシア政府とインドネシア証券取引所は、より多くの株式投資を奨励するための取り組みを開始した。Ajaib GroupのシリーズA資金の一部は、政府と協力してミレニアル世代に投資やファイナンシャルプランニングについて教育する「#MentorInvestai」キャンペーンに使用される。今回のラウンドの資金はまた、Ajaibの技術インフラや製品の拡充、エンジニアの雇用拡大にも投入される予定だ。

Ajaibはいずれ他の東南アジア市場にも進出する可能性があるが、近い将来ではインドネシア国内に多くのチャンスをみている。ピヤジョムクワン氏は「Ajaibの2人の創業者は、東南アジアの2大資本市場であるインドネシアとタイの出身で、この地域に対して強い情熱を抱いています」と語っている。「とはいえ当面は、投資浸透率がまだ低く、サービスを提供できるミレニアル世代の投資家が多いインドネシアに焦点を当てていきます」。

関連記事:インドネシアのロボット投資支援アプリBibitが約31億円を調達、セコイア・キャピタル主導

カテゴリー:フィンテック
タグ:Ajaib資金調達投資インドネシア

画像クレジット:Ajaib

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(翻訳:sako)

積極的なTencentの投資は2020年最も活発に

Tencent Holdings社長のMartin Lau(マーティン・ラウ、写真左)とTencent Holdings CEOのMa Huateng(マー・ワウタン、写真右)氏(画像クレジット:Brent Lewin/Bloomberg via Getty Images)

中国のテック大手Tencent(テンセント)が、WeChat(ウィーチャット、微信)やいくつかの大ヒットビデオゲームの背後にいるだけでなく、積極的な投資家でもあることは周知の事実だ。パンデミックが世界の多くの地域で経済活動を減速させた2020年の間でさえも、Tencentはその投資的野心で突き進んでいた。

中国のスタートアップデータベースITJuzi(IT桔子)によると、Tencentは1年の間に170以上の資金調達ラウンドに参加し、その投資総額は2億4950万元(約40億円)に達したという。この結果、過去10年間に優れた成果を上げてきたTencentの投資チームにとって、2020年はこれまでで最も活発な年となった。

2020年1月までに、Tencentの投資先800社のうち70社以上が株式を公開し、160社以上が評価額1億ドル(約104億円)を突破したと、TencentのMartin Lau(マーティン・ラウ)社長は、投資先企業たちを前にして語った。これにより、Tencentは世界のトップベンチャーファンドたちと肩を並べることになるかもしれない。

Tencentは2008年に投資・M&A部門を設立し、2012年頃から本格的にファイナンス活動を開始した。2015年以降、毎年100社以上の企業に資金を提供していることが、ITJuziのデータから明らかになっている。

このソーシャルならびにエンターテイメントの巨人は、長い間その投資活動を秘密裏に進めていたため、ITJuziのような第三者機関が収集したデータは網羅的ではないことが多い。同社は2020年への投資についてのTechCrunchからの質問には、回答していない、そのためこの記事は、主に公開された情報や情報を知りえる立場の人たちへのインタビューから導き出されている。

B2Bへの関心

テンセントの全体的な投資戦略は一貫しており、デジタルエンターテインメントを中心とした多様なポートフォリオを構成しているものの、他方では主力であるゲーム以外の分野への取り組みも静かに強化している。たとえば同社は2018年にB2Bへ(未訳記事)の転換を発表して以来、企業向けサービスへの注目を強化し、クラウドコンピューティングやフィンテックなどにより力を入れている。ITJuziによれば、エンタープライズソフトウェアへの投資額は2015年の5件から2020年には28件になったという。

企業向け投資への注力に足並みを揃えるように、Tencentはフィンテック分野にも力を入れている。2015年にはわずか4社だったフィンテック系スタートアップの支援は、2019年と2020年にはそれぞれ18社と15社に増えたことをITJuziのデータは示している。徐々にではあるものの、このような増加が示しているものは、大きな利益を生む一方で多くの制約もともなうこの分野へのTencentの関心の高まりを反映している。

中国では、Tencentは長期に渡って、Alibaba(アリババ)のフィンテック関連会社であるAnt Group(アントグループ)と競合しており(未訳記事)、支払い、融資、資産管理、さらには保険の分野でユーザーにアプローチしている。現在Antが直面している規制上の問題は、(Alibaba創業者の)Jack Ma(ジャック・マー)帝国だけに当てはまるものではなく、Tencentのフィンテックセグメントも含む、小さな競合他社たちを苦しめることになる可能性が高い。

このため、Tencentは中国の金融市場での地位を強化することに関しては、Antほど「積極的ではない」と、Tencentの海外フィンテック事業と提携している人物がTechCrunchに語っている

海外でのフィンテック

またこの地政学的緊張の時代に、同社はフィンテックの海外展開にも慎重になっている。これまでのところ、海外で現地の人々に直接サービスを提供するのではなく、中国から出かけていく観光客に、国境を越えた決済サービスを提供するという範囲に留まっている場合が多い。

「TencentとAlibabaが米国内で行っていることに対しては、多くの精査が行われていて、それが課題となっています」と、Tencentの支援を受けた米国に拠点を置くとあるスタートアップのCEOが、匿名を条件に述べている。

とはいえ、Tencentは投資を通じて海外の金融市場に広がっている。2015年にはTencentは中国国外で1件のフィンテック投資を行った。それが、Crunchbaseが収集した公開データによれば、2020年には8件の投資を行っている。

Tencentの外部投資のかなりの部分は、戦略的な重要性を担っていない。同社はそのポートフォリオのスタートアップが自律的な経営を行うのに任せる傾向がある。そうしたこともあって、2018年には、「Tencent Has No Dream(テンセントにはビジョンがない)」と題されたバイラル記事で、Tencentは製品開発やイノベーションよりも投資や金銭的リターンを優先していると非難された。これはAlibabaが好む事業の支配権を買取り、Lazadaに対して行った(未訳記事)ような、経営陣を揺さぶる強権的なやり方とは、まったく対照的な放任主義だ。

しかし、Tencentの投資の多くは、プレス発表では潜在的な戦略的相乗効果が除外されているとしても、その投資対象事業に付加価値を与えるものなのだ。ここ数年、Tencentは米国をはじめとする欧米諸国への小口投資を相次いで行っている。こうした企業の中には、近いうちにTencentとの協業の機会をもたらすと思われるものはほとんどないが、それでもTencentはこれらの企業の幹部を中国に招待し、お互いに学び合う機会を設けるだろう。

「Tencentがこうした投資を行ったのは、米国は何が行われているのか、またそれを中国ではどのように応用できるのかを学ぶためでした」と語るのは先に挙げたテンセントが支援するスタートアップの幹部だ。

「私たちは、近い将来中国で何か行う計画は持っていません。しかしTencentは中国でも米国でも、とても評判の良い企業です。それにこの先、Tencentと戦略的なパートナーシップを結ぶことができるオプションがあるというのは良いことですよね」。

香港に拠点を置くあるファンドマネージャーによれば、Tencentの中国国外でのフィンテック投資は、同社のゲーム事業の海外展開にも役立つ可能性があるという。2019年にはTencentが、同社のゲーマーの半数を海外ユーザーにすることを目標にすると公約している(South China Morning Post記事)。

「ラテンアメリカと東南アジアのゲーム業界にとって、最大のボトルネックはハードウェアではなく、意外なことに決済なのです」とそのファンドマネージャーはTechCrunchに語った。「もちろんローカライズや互換性も重要です」。

関連記事:中国政府がジャック・マー氏のフィンテック帝国Ant Groupの「修正」計画を発表

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Tencent投資

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(翻訳:sako)

EarlyBirdは子ども将来のために家族が投資できるアプリ

EarlyBird(アーリーバード)という登場したばかりのフィンテックスタートアップは、家族が子供の将来のために投資できるようにしたいと考えている。EarlyBirdモバイルアプリを通じて、ものの数分で親は未成年者のための後見口座を開くことができる。この口座はUGMA (Uniform Gifts to Minors Act=未成年の子どもへの財産の移譲について規定している法律) 口座としても知られている。こうした口座では一般的に、親あるいは「保護者」が未成年の子どもに代わって株や債権、投資信託、その他の証券などに投資できる。子どもが成年になったとき、それらの投資は子どものものになる。

アプリを通じて親は子どものために口座を開き、家族のメンバーや親しい友人に口座への貢献を呼びかけることができる。

アイデアそのもの、少なくともその精神はHoneyFundのようなものとそう違うものではない。HoneyFundでは、新婚の人たちがギフトの代わりに現金のプレゼントを親しい人にお願いできる。それと同様に、EarlyBirdは家族や友人に寄付を呼びかけることで、子どもにおもちゃやぬいぐるみをあげる以外のプレゼント方法を提供している。ただしEarlyBirdでは単刀直入に募金をお願いしてはいない。結局、これは美化されたクラウドファンディングプラットフォームであり、投資を可能にしている。

特にEarlyBirdは親の後見口座開設を簡単に、そしてわかりやすいものにするのが目的だ。これに挑むフィンテックはEarlyBirdが初めてではなく、たとえばStash(スタッシュ)やAcorns(エーコーンズ)がある。

ただしEarlyBirdは、ソーシャル機能と寄付機能を持つプラットフォームを投資口座に組み合わせている。小切手やグリーティングカードと一緒に渡す現金と違って、口座への寄付を本物の贈り物のようにしようというコンセプトだ。

画像クレジット:EarlyBird

EarlyBirdのアプリでは、寄付する人は投資口座への寄付とともに短いビデオ「メモリー」を録画できる。子どもはのちにこうしたビデオで回顧でき、これにより寄付をよりソーシャルで個人的な体験にすることができる。加えて、他の家族のメンバーや友人もビデオを閲覧し、その子どもの投資口座に寄付しようという気持ちになるかもしれない。

EarlyBirdのアイデアは、AgilityIOの前COOで現在EarlyBirdのCEOであるJordan Wexler(ジョーダン・ウェクスラー)氏と、かつてYello.coで働きバイスプレジデントまで務め、いまEarlyBirdでCOOをしているCaleb Frankel(カレブ・フランケル)氏によるものだ。

ウェクスラー氏は、自身の身内の家庭に子どもが生まれたときに、実際の贈り物に代わる方法としての投資を考え始めたと説明する。

「かわいらしい姪が生まれた数年前に経験した問題からすべては始まりました。私は姪っ子に首ったけで、馬鹿馬鹿しいぬいぐるみに数百ドル(数万円)も使いました。かなりゴミのような贈り物にです」と話す。

数年前、同氏は子どもに代わってインデックスファンドに現金を投資するというアイデアを思いついた。

「私は姪っ子の人生に大きな影響を、彼女が大きくなったときに実際に使うことができるようなものを与えたかったのです」と同氏はいう。

実際、ウェクスラー氏の父親はかつて同じことを同氏のために行った。ウェクスラー氏が12才だったとき、父親はTD Ameritradeの口座を通じて彼にお金を与えた。後にウェクスラー氏はこの口座からお金を引き出して、最初のスタートアップの資金に使った。このスタートアップは中国・青島市のSucceedOverseasで、企業の従業員転勤をサポートする戦略コンサルだった(2015年にChiway Education Groupに買収された)。

ウェクスラー氏はEarlyBirdの共同創業者フランケル氏に青島市で出会い、そして米国に戻ったときに再会した。彼らは2019年、子どものために後見投資口座を開きたい親向けにそのプロセスを簡単にしようとEarlyBirdでチームを組んだ。

画像クレジット:EarlyBird

公平な観点からいうと、おそらく後見口座は子どもを持たない人にはあまり知られていない投資ビークルだ。子どもがいる人にとってもある程度そうかもしれない。これは、もう1つの選択肢である529プラン(米国の学資積み立てのための公的貯蓄制度)の方が税制上の利点があるためにもっと人気があるからだ。

いずれの口座でも未成年に代わって家族が投資できる一方で、529プランの投資は税が免除される。授業料や家賃、寮費、本など教育にかかる費用のための出金にも課税されない。これは大きな特典だ。

一方、UGMA口座はある水準になると課税される。不労年間所得1100ドル(約11万円)は非課税だが、それ以降の2200ドル(約22万円)までは子どもの税率で課税される。2200ドル以上の不労所得は、子どもの税率よりも高い信託・遺産の税率で課税される。

UGMA口座への寄付は所得税控除の対象にはならないが、個人向けなら1万5000ドル(約155万円)まで、既婚カップルまでなら3万ドル(約310万円)まで課税されない。

ほとんどの家庭が大学の費用や税金上のメリットを想定して投資しているため、529プランはよく知られている。しかしウェクスラー氏は、状況は変わりつつあると指摘する。

「多くの親が実際には15年後の教育や大学がどのようなものになっているか想像できず、もう少しフレキシブルなものを求めています」と説明する。

加えて、UGMA口座は必要なら大学のために使える。しかしもし、いつの日か米国の大学の費用が無料になったら、UGMA口座の投資は何にでも使える。そうしたフレキシビリティは、このところ一部の親にとってUGMA口座、そしてこの分野に参入しているAcornsなどの他のフィンテックが魅力的に映る理由だ。

しかしEarlyBirdは1年以内に529プランにサービスを拡大する、と話す。ただそこから開始しなかっただけだ。

画像クレジット:EarlyBird

Acorns、Stashの後見プランと、EarlyBirdとの別の違いはEarlyBirdがいかにプロダクトに財務管理リテラシーを組み込んでいるかだ。

誕生から5才までの間、親は子どもの口座をすべて管理する。しかし子どもが6〜13才のとき、親は子どもに特別な「閲覧のみ」モードでアプリを見せることができる。このモードでは子どもは自分の投資を確認し、増えていく様子を見ることができる。13〜18才で子どもはアプリをダウンロードでき、親と一緒にアプリを操作できる。そして18才(州によっては21才)以降は子どもが口座を管理する。

EarlyBirdはまた、保守的なものからハイリスクハイリターンのものまでそろったさまざまなポートフォリオを提供することで投資をシンプル化している。保守的なものだとポートフォリオは100%ETF債権ベースのものになり、アグレッシブなポートフォリオは100%ETFエクイティベースのものだ。Acornsと同様、EarlyBirdは固定されたポートフォリオモデルも提供している。しかしEarlyBirdはまた、ユーザーが自分の価値観に合わせて投資できるようカスタマイズしたポートフォリオも提供する。そしてユーザーは規模を問わず再投資の自動化を選ぶこともできる。

画像クレジット:EarlyBird

ポートフォリオはEarlyBirdアドバイザーEvan List(エヴァン・リスト)氏が率いる金融アドバイザーの専門家チームがデザイン・構築した。同氏はBernstein Private Wealth Managementで12年間バイスプレジデントを務めている。ポートフォリオには、各出資比率がEarlyBirdが定めた目標とする分配の10%以内に留まるようにする調整エンジンをバックエンドに統合している、と同社は話す。必要に応じて、他のロボ投資家と同様に四半期ごとにポートフォリオをレビューし、再分配する。

現在、EarlyBirdの投資口座はApex Clearing Corporationとの提携のもとに展開されている。Apex Clearingは米証券取引委員会に登録しているブローカーディーラーで、米金融業規制機構(FINRA)と米証券投資家保護公社(SIPC)の会員だ。この提携により、計50万ドル(約5200万円)までの投資は保護される。EarlyBirdはゆくゆくはブローカーディーラーに移行することを目指している。

現在EarlyBirdは月3ドル(約310円)の管理費で売上を上げている(子ども1人増えるごとに月1ドル=約103円プラスされる)。

今後は多くのフィンテックがそうであるように収益化を追求する。Apex Clearingとの取引と決済を活用する計画だ。そしてブローカーディーラーに移行するにつれ(ユーザーベースと管理資産の規模が大きくなったとき)、他のブロケージ同様に有料貸付プログラムを展開する。

はっきりさせておくと、こうしたプログラムは現在提供されておらず、EarlyBirdは設立されてまだ1週間だ。

同社は、Network Venturesがリードし2020年11月にクローズしたラウンドで240万ドル(約2億5000万円)を調達した。本ラウンドにはChingona Ventures、Bridge Investments、Kairos Angels、Takoma Ventures、Subconscious Ventures、そのほかさまざまなエンジェル投資家が出資した。

EarlyBirdのiOSアプリは無料でダウンロードできる。

カテゴリー:フィンテック
タグ:EarlyBird投資

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(翻訳:Mizoguchi

エネルギー貯蔵システム開発のFluenceのバリュエーションが1030億円以上に

カタール投資庁(QIA)は、エネルギー貯蔵システムインテグレーターであり、電力管理技術開発会社であるFluence(フルーエンス)に1億2500万ドル(約130億円)を投資する。この取引におけるバリュエーションは10億ドル(約1030億円)を超える。

Fluenceは米国の独立系発電事業者であるAES Corp(AESコープ)とドイツの産業コングロマリットSiemens(シーメンス)の合弁事業。同社の戦略および提携担当副社長であるMarek Wolek(マレク・ウォレク)氏によると、取引前にすでに9億ドル(約930億円)の評価がついていた。

Fluenceは新しく得た現金でソフトウェアとサービスの開発および取得を目指す、とウォレク氏は話す。同社の中核クライアントである電力会社や独立系発電事業者に提供するメニューを増やせるという。

そして、同社が公開市場から追加の流動性を求めるまでそれほど長くはないかもしれない、とウォレク氏は語る。QIAはすでにバッテリー会社のQuantumScapeに投資していると同氏は指摘した。QuantumScapeは2020年11月下旬に特別目的買収会社に買収されて以来、株価が急上昇している。

QIAによる投資後、AESとSiemensは引き続き過半数を持つ株主として留まる。2社はそれぞれ44%の持ち分を保有する。

「世界的な気候変動の問題は、世界中の技術者と投資家の能力を組み合わせて初めて取り組めるものだと信じています」と、Fluenceの最高経営責任者であるManuel Perez Dubuc(マニュエル・ペレス・デュブク)氏は声明で述べた。「エネルギー貯蔵は脱炭素グリッドの要です。QIAを国際的な株主として加えることで、Fluenceはさらに迅速にイノベーションを起こし、大規模バッテリーを基礎とするエネルギー貯蔵の巨大な世界市場に打って出ることができます」

ワンプラネット・ソブリンウェルスファンド・イニシアチブの創設メンバー6社の1つであるQIAは数十億ドル(数千億円)規模の投資ビークルだ。Fluenceのような気候関連のテック企業への支援継続に必要な多額の資本を有する。

ウォレク氏によると、Fluenceはすでに約5ギガワットのエネルギー貯蔵および管理システムを幅広い顧客に導入している。

Fluenceは自社とそのエネルギー貯蔵事業を世界的な脱炭素化の重要な一部分であると考えている、とウォレク氏はいう。脱炭素化は気候変動との戦いで不可欠だ。だが、必要な技術は電力の貯蔵だけではない。

「エネルギー市場と1つのテクノロジーを見て、その1つのテクノロジーがすべてを解決するというのは難しい」とウォレク氏は述べる。

むしろ同社の役割は、同社が展開するバッテリー技術を、業界や社会が必要とする電力供給に求められる他の技術と統合できるようにすることだ、とウォレク氏はいう。「私たちは絶対にバッテリーベースのストレージの専門家になりたいと思っています」とウォレク氏は述べる。「同時に、ストレージにとどまらず給電機能を拡張するため、デジタル面にかなりの投資を行っています」。

それは将来、水素燃料プロジェクトの開発者のような他のエネルギー供給業者と協力することを意味するかもしれない、と同氏はいう。

「私たちはバッテリー側のエネルギーの部分をマスターしたいのです」とウォレク氏は会社の究極の目標について語った。

その目標は同社をElon Musk(イーロン・マスク)氏のTesla(テスラ)が手がけるエネルギー事業と衝突するコースに置くことになるかもしれない。

現在のFluenceの10億ドル(約1030億円)という評価額と、QuantumScapeの366億ドル(約3兆7700億円)という時価総額は、テスラの価値が6500億ドル(約67兆円)を超えると見られている理由を説明している。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:カタール投資庁Fluence投資

画像クレジット:Jose A. Bernat Bacete/Moment / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ソーシャルな株式取引サービスのPublicがシリーズCで6500万ドルを調達

ソーシャルに特化した無料株式取引サービス、Public(パブリック)がシリーズCで6500万ドル(約67億円)を調達した。これは同社がシリーズBで1500万ドル(約15億4000万円)を調達してからわずか1年足らずのことである。

今年連続してラウンドを調達したのは同スタートアップだけではなく、Welcome(ウェルカム)やSkyflow(スカイフロー)などもこの偉業を成し遂げている。将来性のあるスタートアップに賭けるという投資家の最近の傾向が、PublicのシリーズCを実現させたのだろう。

パンデミック初期の数ヶ月間は動きがなかったものの、その後ベンチャーキャピタリストやその他の投資家は後期段階のスタートアップに小切手を切るペースを加速させている。PublicのシリーズCはこの傾向を代表するもので、これまでの同社の総資金調達額の72%強を占めている。

また、投資先企業の次のラウンドを既存投資家が先取りするという、ベンチャー界のもう一つのトレンドをPublicの今回のラウンドが例証している。このケースでは、Accel(アクセル)が新規投資を主導しているが、同社はPublicのシリーズAおよびシリーズBラウンドも主導している。

しかしトレンドだけでラウンドは調達できない。そこでTechCrunchはPublicを共同で創設したJannick Malling(ジャニック・マリング)氏とLeif Abraham(リーフ・エイブラハム)氏に電話で話す機会をもらい、投資家らがフィンテックスタートアップに何を見出しているのかについて話を伺った。

成長

同社は2020年、急成長を遂げており、年初から10倍数でユーザー数を拡大してきた。

エイブラハム氏によると同社の成長には一貫性があり、毎月約30%のペースで拡大を続けている。同氏はまたPublicのユーザーのほとんどがそのサービスを有機的に見つけていることを強調しており、同社のマーケティングコストはさほど高額なものではく、成長が人為的に押し上げられたものではないことを伝えている。

ユーザー数の成長がさらなる資金調達を可能にしたのは分かったが、なぜユーザー数が成長したのか。

創業者の2人は、前ラウンドからの資金はまだ十分に銀行に残っていたが、今回の資金調達は同社のモデルを強化するための手段として考えていたとTechCrunchに語っている。

Publicの競合他社の多くもゼロコスト取引を謳っているが、同社のモデルはソーシャルに焦点を当てたものだ(例えばTechCrunchはPublicのソーシャルプラットフォームの要素をこの記事で取り上げている)。より多くの人がPublicを利用すればするほど、Publicが優れたものになっていくというのが創業者2人の考えだ。

したがって同社は新たな資本を使い、安定性を保ちつつも製品に投資を続けていくというわけだ。

このダイナミックな自己強化型モデルの仕組みは次の通りだ。同社は投資家が無料で取引について話し合い実行できる場を提供する。こういった投資家が同社のことを友人に伝えると、その友人らも後に会話に参加するようになる。これらの会話は新たな参加者によってより豊かなものとなり、そのプロセスは延々と繰り返される。ちなみにPublicは有価証券を扱っているので、荒らしを制限するために登録したユーザーだけが参加できることになっている。

これまでのところ同モデルは順調のようだ。しかし、同社やRobinhood(ロビンフッド)、M1(エムワン)、Wealthfront(ウェルスフロント)やその他の競合が今後どのくらいの期間、彼らのプラットフォームに純新規投資家を追加し続けることができるかは知る由もない。

収益

鋭い読者は上記の段落で、筆者がPublicの成長をユーザーの視点からのみ論じたことに気がついただろう。収益に関してはどうなのか。

無料の株式取引を提供している多くの企業と同様、同社は「Payment for order flow(PFOF)」と呼ばれるものから利益を得ている。これは異なるマーケットメーカーへの取引ルーティングであり、例えばRobinhoodはこの仕組みから莫大な利益を得ている

Publicと話をする前、筆者はPFOFの額について学ぶために同社の取引パートナーであるApex(アペックス)の提出書類を掘り下げてみた。合計金額はApexが収集したクライアントを考えるとやや控えめである。したがって総額の一部であるPublicの収益指標はなおさら控えめであるということだ。

当然我々は、同社がビジネスモデルを変更し、外部資料からは見抜けないような収益が新たな投資に向かっているのではないかと気になっていた。しかし創業チームはTechCrunchにモデルは変えていないと語っており、同社は目先の収益目標よりもユーザーの成長を重視しているという。

これはある程度理にかなっている。同社はユーザーのほとんどが長期保有者であることを強調している。ユーザーが証券を保有している期間が長ければ長いほど、取引をする可能性は低下する。するとPFOFのような取引収入がそれにより限られてしまうため、同社の利益率の成長にはつながらない可能性が高い。

同社の収益化計画は不透明なままだ。つまり同社が手に入れた新たな小切手は、ソーシャル体験という点でのプロダクトワークだけでなく、将来の収益創出のための資金にもなるのではないかと推測される。

フィンテック市場を見て回れば、同社がユーザーベースを収益化するための方法例を見つけることができる。

Publicの収益が全く伸びていないと言っているわけではない。事実成長はしているのだ。筆者が一般的に取引量がユーザーの成長に比例するのかどうかを同社に尋ねると、相関関係はあると創業者は伝えている。つまり今もなお成長を続けている同社のユーザーベースは、時間をかけてより多くの取引を実行することになるだろう。

Publicが次に何を構築するのかを楽しみに待つことにしよう。そして同社がいつ、ユーザーから十分な収益を得ることができるようになるのかも乞うご期待である。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:投資 資金調達

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(翻訳:Dragonfly)

中国のドローン大手DJIが支援するアグリテック企業FJ DynamicsにTencentが投資

2018年にTencentは、中国の伝統的な産業が最近ますますテクノロジーを利用して生産性を上げているため、自分たちもエンタープライズへの注力を増やすと宣言した(未訳記事)。同社の産業プロジェクトは、AIを利用して医療画像を選別したり、同社のメッセージサービスWeChatを利用して小売企業のための顧客管理ツールを作るなどさまざまだ。

最も新しいところでは、TencentはFJ Dynamicsに投資した。この中国のスタートアップは、スマートトラクターや田植え機など農業を自動化するソリューションを販売しているほか、港や工場用の無人車を世界中の顧客に販売している。Tencentとそのほかの匿名投資家からの投資は数億元(数十億円)に達している、とTencentは12月15日に発表している

2017年に創業されたFJ Dynamicsは、中国の複数の有名企業とつながりがある。たとえば同社の株主の中には、ドローンのメーカーであるDJIや中国の国有自動車製造企業であるDongfeng Asset Managementがいる。FJ Dynamicsは、その名前にも同社を知る手がかりがある。すなわちFJは「Feng」と「Jiang」の省略形であり、さらにそれらはDongfengとDJIの中国語綴から取られている。創業者でCEOのWu Di(ウー・ディー)氏もDJI出身で、氏はそこでチーフサイエンティスト(搜狐)としてチップの研究開発を率いた。

 

おもしろいことに、DJI自体も最近では農業用ドローンを強力にプッシュしている。

Tencentの投資部門のマネージングディレクターであるJeffrey Li(ジェフリー・リー)氏は、2020年4月のスピーチで次のように述べている。「中国社会はいま、生産性の向上に向けて舵を切りつつあり、そこにエンタープライズサービスの成長機会がある。米国では大量のベンチャー資本とプライベートエクイティ投資がエンタープライズにフォーカスした企業に投じられているが、中国では消費者を対象とする企業に比べるとエンタープライズにフォーカスしたビジネスは投資全体のごく一部でしかない。この傾向が変わって、投資が産業分野にも向かっていくためには時間がかかるだろう」。

中国で登記している企業であるFJ Dynamicsによると、同社はR&Dセンターが中国とスウェーデンとオランダにある。

カテゴリー:その他
タグ:FJ DynamicsDJITencent投資農業中国

画像クレジット:FJ Dynamics

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

セキュリティ脅威を芽の段階で狩るHuntersにデータクラウドのSnowflakeが追加投資

わずか数カ月前に1500万ドル(約15億6000万円)のシリーズAを発表したイスラエルのテルアビブを拠点とするサイバーセキュリティ企業Huntersが米国時間12月10日、Snowflake VenturesからOpen Extended Threat Detection & Responseサービス(XDR)のための追加の成長投資を受け取ったことを発表した。これによりSnowflakeのベンチャー部門は、シリーズAラウンドをリードした既存の投資かであるM12U.S. Venture PartnersYL VenturesBlumberg CaptialOkta Venturesに加わることになる。

Snowflake Venturesが同社に投資しているという事実は、SnowflakeがHuntersの最初の顧客の1人であり、同社の脅威探索サービスのデザインパートナーだったことを考えれば、驚くことではない。Huntersは、これまで手作業で行われていた脅威検出プロセスを自動化するツールを企業に提供する。企業のネットワークおよびセキュリティツールから収集したデータを使って、Huntersは企業のインフラストラクチャおよびデータ資産に対するステルス攻撃を検出することができる。

「SnowflakeとHuntersは、組織が安全な方法でデータを完全に活用できるようにするという同じビジョンを共有している」とSnowflakeの企業開発責任者であるStefan Williams(ステファン・ウィリアムズ)氏はいう。「SnowflakeのデータクラウドとHuntersの画期的なセキュリティ運用テクノロジーを組み合わせることで、クラウド規模でのクラス最高レベルの自動脅威検出を共通の顧客に提供できます」。

なお、Snowflake Venturesがローンチしたのはわずか1カ月前(Snowflake Venturesリリース)のこととなる。ファンドの目標は「データを活用し、顧客への価値提供とデータクラウドにとっての機会の拡大にコミットしている成長段階の企業への投資を通じて、イノベーションを促進すること」だ。同社の最初の投資先は、機械学習のプラットフォームであるDataRobotだった(Snowflake Venturesリリース)。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:HuntersSnowflake投資

画像クレジット:Hunters

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

置き場所を問わないワイヤレス充電パッドのAiraに車両パーツサプライヤーのMothersonが戦略投資

Aira(アイラ)は、最もエキサイティングなワイヤレス充電イノベーションの1つを手がけている企業だ。そしていま、同社のテクノロジーが車両に搭載されようとしている。Airaはグローバルでも有数の車パーツサプライヤーであるMotherson(マザーソン)からの戦略投資を発表した。

Airaのテクノロジーを使って企業はより良いワイヤレスチャージャーを作ることができる。ユーザーがワイヤレス充電で特定の場所を使用することを余儀なくされる代わりに、Airaのテクノロジーではユーザーは表面のどこにでもデバイスを置くことができる。NomadのBase Station Proを支え、そして開発が中止されたApple(アップル)のAirPower充電ステーションがうたった機能を満たすマジックの技術だ。

「Mothersonは世界最大、そして最も前向き思考の車部品サプライヤーです。我々はワイヤレス充電のエクスペリエンスと車両のバリュープロポジションを高めるという目標を共有しています」とAiraの共同創業者でCEOのJake Slatnick(ジェイク・スラトニック)氏は話した。「Mothersonが持つ専門性と繋がりは、検証済みで認証された車両向けワイヤレス充電モジュールを世界中で提供する取り組みを大きく前進させるでしょう」。

戦略投資を通じて、MothersonとAiraは車両向け充電モジュールを開発・製造・供給する。どの車に搭載されるのか?これら充電モジュールを車両に組み込むことを契約した自動車メーカーがいるかどうかは現時点では不明だ。

Airaのソリューションは、自動車産業で現在見られる充電パッドへの歓迎されるアップグレードとなるかもしれない。デスクトップで使用するものと同じように、今日車両に搭載されている充電パッドでは、ユーザーが特定の場所にデバイスを置かなければならない。パッド上にデバイスをキープすることすらクルマが動いているときは難しい。一部のメーカーは、スマホを特定の場所にキープするためにクリップをデザインに加えたりもした。Airaのテクノロジーではより大きなパッドにさほど正確に置かなくても充電できるようになるはずで、これは車内使用に向いているだろう。

「我々の核となるミッションは世界の車メーカーや主要サプライヤー向けに最善のテクノロジーソリューションを見つけて提供することです」とMotherson Innovationsの事業開発担当グローバルディレクターであるEdward Saenz de Viteri(エドワード・サエンズ・デ・ヴィテリ)氏は説明した。「FreePowerは車載ワイヤレス充電向けの最高のQiソリューションだと確信しています。すでにコンシューマデバイスでうまくいっていて、車への応用で得られるメリットはさらに大きなものです。Airaの置き場所を問わないテクノロジーを車載ワイヤレスチャージャーのグローバル基準にすることを楽しみにしています」。

投資の取引条件は明らかにされなかった。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:AiraMotherson充電器投資

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(翻訳:Mizoguchi

GMが2025年までに電気自動車開発に2.8兆円投資、「リーダーシップを失うつもりはない」

General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)は、今後5年間で電気自動車と自動化テクノロジーに270億ドル(約2兆8000億円)を注入すると述べた。ガソリン・ディーゼルへの投資を超える35%増で、プロダクトのすばやいマーケット投入を狙う。

GMの設備投資と開発チームの半分以上を電気自動車・電気自動運転車のプログラムに充てる、と同社は述べた。

同社はまた、GTM戦略タイムラインを加速させ、さらに多くのEVをポートフォリオ計画に加える。米国時間11月19日、2025年までに電気自動車30モデルをグローバルマーケットで展開するという野心的な計画を明らかにした。同社は以前、2023年までに20モデルのEVの展開を約束している。同社によると、それらのモデルの3分の2以上が北米で展開されCadillac、GMC、Chevrolet、Buickを含むGMのすべてのブランドにEVが含まれる。

GMの計画の加速は、9カ月前倒しの2022年第1四半期にCadillac Lyriq SUVを立ち上げるのを含め、自動車業界でEVに関する動きが活発な中でのものだ。数多くのスタートアップが公開企業となるためにSPAC(特別買収目的会社)との合併を発表した。大規模展開するのに必要な資本を確保するのが目的だ。Ford(フォード)やVW Group(フォルクスワーゲン・グループ)といった既存の車メーカーは自前のEV計画を展開している。車業界で電気自動車メーカーとしての地位を確立したTesla(テスラ)は増産するためにオースティンとベルリンに工場を建設する。2021年末までに消費者はLucid Motors Air、Rivian R1Tピックアップトラック、FordのMustang Mach-Eなど、いま以上に多くのEV選択肢を持っているはずだ。

「ただ参加するのではなく、リードしたいのです」とGMのグローバルプロダクト開発・購入・サプライチェーン担当の上級副社長Doug Parks(ダグ・パークス)氏は発表に先立つ記者会見で述べた。「Teslaはいいスタートを切りました。そして素晴らしいことを成し遂げ、手強いライバルになっています。多くのスタートアップ、その他の企業もこの分野に進出していて、当社はリーダーシップを失うつもりはありません」。

GMの戦略は従来の手法を精算して典型的な50カ月の開発サイクルを凝縮し、官僚主義でないチームにフォーカスしたアプローチを受け入れることだ、とパークス氏は話した。例えば電動GMC Hummerのデザインからマーケットまでのタイムラインは26カ月になる、と述べた。同氏はまた、次世代EVプログラムの根底をなす、Ultiumバッテリーアーキテクチャとドライブユニットの初期の取り組みによって同社は早く動けると追加した。

その結果、GMは3モデルのGMC電気自動車の開発を進めているとパークス氏は述べている。これらのモデルはすべて、そしてピックアップやコンパクトクロスオーバーを含むChevrolet EVの4モデル、Cadillacの4モデルもUltiumを使っている。BuickのラインナップにはUltiumベースのEV2モデルが含まれる見込みだとGMは話した。

GMはまた、ペースを維持し最終的には競争を勝ち抜くために人材を探している。同社は2020年11月初め、電気システム、インフォテイメントソフトウェア、コントロールのエンジニア3000人、それからJava、Android、iOS、その他のプラットフォームのためのデベロッパーを雇用すると明らかにした。

同社はモジュラーアーキテクチャのためのバッテリー開発・供給でLG Chem(LG化学)と合弁会社も立ち上げた。Ultiumと呼ばれるこのモジュラーアーキテクチャ(バッテリーの名称と同じだ)は19種類のバッテリーとドライブユニットコンフィギュレーション、容量50kWh〜200kWhの400ボルト、800ボルトのパック、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動コンフィギュレーションに対応する。このモジュラーアーキテクチャのキモは新しい工場で製造される大きな電池だ。

2社はこれまでに、最大23億ドル(約2390億円)を合弁会社に投資すること、オハイオ州北東部のローズタウンの敷地に電池組み立て工場を設置することを約束していた。新工場では新たに1100人の雇用が生まれる見込みだ。

すでに建設中の工場は年間30GWh分を製造できる。これに対し、パナソニックと一部提携しているネバダ州スパークスにあるTeslaの工場の製造能力は35GWhだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:GM電気自動車投資

画像クレジット:GM

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