決算開示業務を「最短・最適ルート」に導く「Uniforce」(β版)を手がけるstart-up studioが1億円のシード調達

決算開示業務を「最短・最適ルート」に導く「Uniforce」(β版)を手がけるstart-up studioが1億円のシード調達

決算開示業務のDX化を目指すサービス「Uniforce -決算開示業務ナビゲーション-」(β版)を手がけるstart-up studioは12月3日、第三者割当増資による1億円の資金調達を発表した。引受先は、イーストベンチャーズ3号投資事業有限責任組合、成田修造氏(クラウドワークス)、野口圭登氏(Brave group)、ほか個人投資家。2022年度の本格的な事業成長に向け、採用活動・開発体制の強化する。決算開示業務を「最短・最適ルート」に導く「Uniforce」(β版)を手がけるstart-up studioが1億円のシード調達

Uniforce -決算開示業務ナビゲーション-は、決算開示業務を「最短・最適ルート」へと導くというコンセプトの基、業務全体を見渡しながら正しい順序でナビゲーションし、細かなタスクの抜け漏れを防ぎ、スムーズで快適な業務を遂行できるDXソリューションサービス(2022年3月末日まで全機能を無料で試用可能)。経験豊富な公認会計士を中心とした、決算開示業務のスペシャリストのノウハウを集結して設計した最も効率的な業務(決算開示業務)フローで、これまで以上の正確性とスムーズな業務を実現するとしている。

バックオフィスを中心とした決算開示業務に携わる方にとって、決算開示業務における複雑さ・非効率さ・情報の網羅性や非対称性といった課題や属人化リスクに関する課題の解決策になるという。決算開示業務を「最短・最適ルート」に導く「Uniforce」(β版)を手がけるstart-up studioが1億円のシード調達

同社は、決算開示業務のスペシャリストとテクノロジーの力を融合させた新たなサービスとしており、先に挙げた課題を根本から解決し業界全体のDX化を牽引していくため、資金調達に至ったとしている。

水中でゲルが膨らむ速度の温度による変化の法則を東京大学が解明、アインシュタインによるブラウン運動の理論が糸口に

水中でゲルが膨らむ速度の温度による変化の法則を東京大学が解明、アインシュタインによるブラウン運動の理論が糸口に

東京大学は11月30日、乾燥ワカメや紙おむつの吸水材などのゲルが吸水して膨らむ速度の温度による変化を決める物理法則を、世界で初めて解明したことを発表した。この発見には、アインシュタインが提案したブラウン運動の理論が糸口になった。

大量の水を含むことができる固形物であるゲルは、長いひも状の高分子(ポリマー)のネットワークでできている。乾燥ワカメやゼリーなどの食品のほか、紙おむつの吸水材や、ソフトコンタクトレンズなどの医療分野にも広く使われている。また光や温度によって水を出し入れして縮んだり膨らんだりできるゲルもあり、それらはバイオセンサーや薬物送達キャリアーなどに利用されている。そのため、ゲルが膨らむ速度を決める物理法則の研究がこれまでも多く行われてきたが、温度による速度の変化に関しては、影響し合う要素が多く、それぞれが異なる温度変化をするなどの問題のために解明されていなかった。

東京大学大学院工学系研究科の酒井崇匡教授らからなる研究グループは、様々なネットワークを持つゲルの膨らむ速度の温度変化を「世界最高水準の精度」で測定し、明確な物理法則を解明した。水中でゲルが膨らむ速度の温度による変化の法則を東京大学が解明、アインシュタインによるブラウン運動の理論が糸口に

水中でゲルが膨らむ速度の温度による変化の法則を東京大学が解明、アインシュタインによるブラウン運動の理論が糸口に

ゲルの弾性率(固さ)とゲルの拡散係数(膨らむ速度)の温度変化の類似性。異なる高分子ネットワークを持つ4種類のゲルの結果となっている(各シンボルが測定データを表し、直線はデータを直線で近似したもの)。左図:ゲルの弾性率の温度変化を直線で近似すると、「温度軸上の1点で交わる」という性質がある。このとき、温度ゼロの切片が「負のエネルギー弾性」の大きさを表す。右図:ゲルの拡散係数(黒丸)の温度変化を直線で近似すると、「1点で交わる」が、温度軸上ではない。拡散係数を浸透圧に由来する成分(赤丸)と弾性率に由来する成分(青四角)に分離すると、弾性率に由来する成分は「温度軸上の1点で交わる」。つまり、弾性率に由来する成分は、負のエネルギー弾性と形式的に同一の法則に従う。ただし、拡散係数には水の粘度が大きな影響を及ぼすために、1点で交わる温度は、両者で大きく異なる

しかし、測定だけでわかったわけではない。解明の糸口となったのは、水中の微粒子の不規則な熱運動としてアインシュタインが提案したブラウン運動だった。ゲルの吸水も、高分子ネットワークの不規則な熱運動によって起こる。そこでアインシュタインの数式から着想を得て、実験結果を解析したところ、先に同研究グループがゲルの弾性率に関する定説を覆して提案した「負のエネルギー弾性」と形式的に同一なシンプルな法則が見出された。それは、「主として水の粘度の温度変化に由来する新しい非平衡系の法則」だという。

今回の研究により、ゲルの膨らむ速度の温度変化は「従来の想定よりもかなり大きい」ことが実証された。ゲルは食品や医療の分野で様々な温度で利用されるため、この法則の発見は、ゲルが利用されるすべての産業分野で大きく貢献することが期待される。

話題の金属有機構造体(MOF)とは何か?使い勝手良すぎるからこその問題と素材ベンチャーの壁

今、注目を集める素材がある。京都大学高等研究院特別教授の北川進氏が発表したPCP(Porous Coordination Polymer、多孔性配位高分子)あるいはMOF(Metal-Organic Framework、金属有機構造体)と呼ばれるものだ。京都大学系スタートアップのAtomisは、MOFを中心技術に据え、その開発・活用を進めている。同社CEOの浅利大介氏が、MOFで何ができるのか。なぜ注目されているのか。何が課題なのか。理系科目が苦手な人にもわかるように説明する。

MOFとは何か?

MOFとは、多孔性材料の1つだ。多孔性材料とは、多数の小さな穴の空いている材料。液体や気体から、触媒や物質を除去・分離する際に広く使われる。

多孔性配位高分子(PCP/MOF)とは(画像提クレジット:Atomis)

人間が紀元前から活用している多孔性材料には、現在も水の浄化や脱臭など、多様な用途で使われている活性炭がある。18世紀にゼオライトという多孔性材料が発見され、20世紀から活用されるようになり、石油産業で必要不可欠となった。

多孔性材料の歴史(画像クレジット:Atomis)

「活性炭もゼオライトも、歴史ある多孔性材料ですが、その需要は現在でも伸び続けています」と浅利氏は話す。

1997年になると、京都大学高等研究院の北川進特別教授がPCPを発表する。これは、金属イオンと有機物を三次元的に組み合わせて作る素材で、ジャングルジムのような構造を持つ。

浅利氏は「北川先生の研究のポイントは、『これだけ穴がたくさん空いた構造物には、いろいろおもしろい用途が考えられる』ということです。そのため、この新しい素材をPCP(Porous Coordination Polymer、多孔性配位高分子)という名前で発表しています。一方で、同じ素材の研究をしているカリフォルニア大学バークレー校のオマール・ヤギー教授は、『この構造そのものが興味深い』という点を強調しています。そのため、同じものをMOF(Metal-Organic Framework、金属有機構造体)という名前で発表しています」という(つまりPCPもMOFも同じ構造物のことだ)。

MOFの特徴1:自由に設計できる

浅利氏によると、MOFの特徴は主に3つある。その1つが「自由に設計可能」な点だ。

「MOFは有機物同士を金属イオンでつなぎ合わせた構造物です。つなぎ目にあたる無機物の種類を変えることで、穴の形や大きさ、数を自由自在に設計・デザインすることができます」と浅利氏。

画像クレジット:Atomis

この自由度の高さは、どう画期的で、これまでの多孔性材料と何が違うだろうか。

「これまでの多孔性材料では、穴の形状や大きさ、数を人間の意のままに操作できませんでした。活性炭であれば、どの種類の木を使うのか、どうやって焼くのかなどの工夫を行うことで穴の形や大きさ、数を希望のものに近づけることが限界でした。しかし、MOFの場合、それらをきっちり人間の希望に合わせて設計できるのです。さらに、これまでの多孔性材料は、無機化合物でした。無機化合物は元素で素材が決まり、単一の無機物でしか組み立てることができず、構造も自動的に決まってしまいます。MOFはさまざまな有機物を金属イオンで結合するものなので、素材の特性も構造も自由自在なのです」と浅利氏は答える。

さらに、MOFは、構造の結合部ではない柱の部分に特徴を加えることもでき「CO2が付着やすい穴を作る」といったことも可能だという。このような構造物を作れば、空気中のCO2を回収することに活用できる。また、柱の部分を水と親和性の良いものにすれば、大気中から水を吸収するものを作ることができる。

MOFの特徴2:機能の多様性、MOFの特徴3:柔軟な多孔性

このように、MOFではサイズ、穴の大きさ、穴の特徴、形状などを自由自在に操れるため、その機能も幅広く考えることができる。これが2つ目の特徴だ。物質の分離、貯蔵、隔離、配列、触媒としての利用など、可能性は広がるばかりだ。

「当社も実際、食品、医薬品、電機、半導体、環境、電池、自動車、建材、宇宙開発などの企業からお声がけいただくことが多いです」と浅利氏。

そして3つ目の特徴が「柔軟な多孔性」だ。

「これまでの多孔性材料は、柔軟性に欠ける硬いものばかりでした。卵の殻をイメージするとわかりやすいかもしれません。そのため、使っているうちに潰れてしまうこともありましたし、穴を活用するにしても、物質が穴を出入りするような物しか作れませんでした。ですが、MOFは柔軟に結合しています。そのため、押せば穴が潰れるものの、放せば穴が元通りになるような、スポンジのような柔軟性が実現しています。

MOF関連企業は世界に23社

MOFは注目を集める素材だが、扱っている企業は多くはない。

「私の把握している範囲では、これまでに24社のMOF企業が誕生しました。ですが、MOFの実用化例はまだ少ない状況です。製品化にまでこぎつけられたのは米国のNuMat Technologies、英国のMOF Technologies、そして日本の当社のみです」と浅利氏は語る。

世界のMOF関連企業(画像クレジット:Atomis)

浅利氏によると、10年ほど前であればMOFを1kg生産するのには数百~数千万円かかったという。その後研究が進み、大企業でも活用を検討できる水準にまでコストが下がり、実用化への期待が高まっている。MOFはCO2回収に関して定評があり、特に最近では環境の側面からの期待が大きいという。

とはいえ、これらの企業が激しく競争しているかというと、そうでもないと浅利氏は見ている。

「これらの企業の中には、大学の研究者が研究費を得るために起業したものも含まれています。そうした企業はMOFのビジネス化や実用化を追求していません。実際にMOFでビジネスをしようとしているのはこの中でも一部です」と浅利氏は説明した。

素材ベンチャーの壁

浅利氏は「当社はMOFを扱う素材ベンチャーです。そして素材ベンチャーには特有のビジネスの壁があります」と話す。

素材ベンチャーは新しい素材を開発し、大手企業に売り込みに行く。必然的に新素材は既存の素材と競争することになる。大手企業からすれば、既存の素材でビジネスが回っているため、あえて積極的に新素材を検討するモチベーションは生まれにくく「試してはみるけれど、既存の素材より劣るところがあれば、新素材を活用しない」という流れになりやすい。

また、素材ベンチャーは新素材を作るところに集中するあまり、素材の用途を提案するところまで手が回らないことも多い。その結果「こんな素材を作りました。活用方法は各社で考えてください」というビジネスモデルになりがちだという。

浅利氏は「これではビジネスが安定しにくいのです。いうなれば素材ベンチャーの壁ですね」と説明する。

そのため、Atomisでは新素材を開発する「マテリアル事業」と、独自に新素材を用いた用途開発を行う「環境・エネルギー事業」の2本柱で素材ベンチャーの壁を打破しようとしている。

「マテリアル事業だけで投資家にアピールしても、結局『誰がその素材を使うのですか?』と切り返されます。『我々が、こうやってこの素材を使います』という答えが環境・エネルギー事業なのです。投資を受けるには、素材の用途まで視野に入れることが重要です」と浅利氏。

「量産」も壁

とはいえ、壁はこれだけではない。「誰が素材を生産するのか」も大きな問題だ。

浅利氏によると、製造業の企業で新素材の活用に熱心なところは少なくなく、企業から大学の研究所に声がかかることはよくあるという。

「ここで問題になるのが、一度に生産できる量です。例えばMOFは、大学の研究所で一度に生産できるのは、数mg〜1g程度です。しかし、素材の生産コストを計算するには、最低限一度に数キログラム程度の生産量が必要です。そこで、誰かが量産体制を構築しなければいけません。ユーザー企業の選択肢は2つあります。自社で量産方法を編み出すか、諦めるかです」と浅利氏。

ここで諦めるユーザー企業もあるが、量産を検討する企業もある。ただし、最終的に量産に漕ぎ着ける企業は多くはない。そこでAtomisは量産体制構築もサポートする。だが、量産そのものは行わない。

浅利氏は「素材ベンチャーは、自社の素材を使ってもらって初めてビジネスが成り立ちます。だからこそ、素材の製法を外に出したがらない。その結果、大量生産まで行おうと考えてしまいがちです。しかし、大量生産には一定の規模の生産設備、品質管理体制、品質管理のための多数の人材、規制対応など、幅広いリソースが必要になります。そしてこのリソースこそ、多くのベンチャー企業が持ち合わせていないものです。一方でユーザー企業は大企業が多い。大企業にとって品質と信頼は重要なものです。そんな大企業が、ベンチャー企業が大量生産した素材を使用できるのか。実際は難しい。そこで、当社は量産体制構築のサポートまでを行い、ライセンスを与えることで大企業に量産を任せることにしています」と話す。

MOFの使い方

ここまでMOFとは何か、素材ベンチャーはどんな課題を抱えているのかを見てきた。では、MOFは実際にどのように使われているのだろうか。

次世代高圧ガスCubiTan(画像クレジット:Atomis)

Atomisでは、MOFを使って次世代高圧ガス容器CubiTanを開発した。従来の高圧ガス容器は直径25cmの底に高さ150cm、重さ50kgで、ここ100年ほどイノベーションが起きておらず、同様の容器が使い続けられてきた。CubiTanはMOFの穴にガスを整列して並べることで効率的にガスを収納している。その結果、27cm×27cm×34cmのほぼ立方体型の容器となっている。さらに重さは8kg。軽量化にも成功した。さらに、CubiTanでは、IoTを活用してガスがどこにどれだけあるのかを把握することができ、遠隔管理できる。CubiTanは今後本格ビジネス化予定だ。

MOFはガスなど気体の分離・収納に活用できる素材として注目されているが、用途はそれだけではない。

「これまで気体を整列させられる素材がなかったので、気体を操作するためのソリューションとしてのMOFの側面が目立ちますが、気体でなくてもMOFは使えます。MOFの穴や枠の大きさは自由自在に変えることができるので、その穴や枠に収まるものであれば基本的になんでもその中に入れたり、通したりできます」と浅利氏。

例えば、特定の物質をのMOF枠の中に整列させてからMOFの枠を焼いてしまえば、その物質を自由に整形できる。MOFは一種の型としても活用できるのだ。

浅利氏は「ナノレベル、オングストロームレベルでものを並べられるので、例えばこれまでにない半導体を作ることも可能です」という。

「使い勝手良すぎ」問題

このように使い勝手の良いMOFだが、それゆえの課題もある。MOFは多様な物質をつなぎ合わせることができるため、いくらでも新しいものを作ることができる。これまでに発表されたMOFは10万種類ほどある。

「多くの場合、新素材といえば用途が限られているため、生産性を高めるための試行錯誤がすぐに始まり、深まっていきます。ですが、MOFはさまざまな構造を作れるため、多様なMOFの開発が進んだ一方で、開発したMOFの実用化や生産性を高める試行錯誤がそれほど進みませんでした」と浅利氏は説明する。

また、生産コストを下げる場合、限られた種類のMOFを多く生産すると単価が下がり、コストも下がる。しかし、MOFそのものの種類が増えてしまっては、需要もさまざまなMOFに分散してしまい、コストを下げにくくなる。

また、MOFは柱となる有機配位子というものを変えることで種類や特性を変えていくことができるが「有機配位子を変える」というプロセスにもお金がかかる。

浅利氏は「オーダーメードがMOFの強みですが、それゆえにコストが下がりにくいのです。MOFが競う相手は活性炭やゼオライトなどの既存の多孔性材料です。MOFの価格はこれまで1kgで100~1000万円程度でしたが、活性炭は1kgで数百円程度です。MOFのコストが1kgあたり1万円程度まで落とせれば社会実装が進むでしょう」と話す。

MOFの現実的なコストの下げ方

コストが下がりにくいMOFだが、下げるための道筋はあるのだろうか。

「戦略は主に2つです。1つは『少量のMOFを使えば性能が上がる』例を作っていくことです。例えば、フッ素樹脂コーティングでは少しMOFを添加することで耐久性が大幅に向上します。少量のMOFでも効果が示せるような使い方であれば高額なMOFを使っても十分ペイできます。もう1つは『圧倒的に高付加価値のMOFを開発する』ことです。例えば、エネルギー業界などで水素の需要が高まっています。水素だけを吸着するMOFを開発できれば、競合する素材は今のところないので、圧倒的な需要を得られる可能性があります。また、CO2をメタノールに変えて回収できるMOFを開発できれば、大きな需要を見込めます。メタノールはプラスチックも作れますし、燃料にもなるからです。このアプローチで需要を掴むことができれば、生産コストも下げていくことができるでしょう」と浅利氏は考えている。

実際、Atomisでは、上記の水素を吸着するMOFと、CO2をメタノールに変換するMOFを開発中だという。

MOFの実用化、活用拡大には、量産体制の構築、生産コストの低減、使用用途の提案など、多くの壁がある。しかし、エネルギーや環境分野を始め、多数の分野での活用が期待される、今後が楽しみな注目素材だ。

Sceneが製造業向けの3Dドキュメントツール「Scene」の商用正式版をリリース、日本発のグローバルSaaSへ

Sceneが製造業向けの3Dドキュメントツール「Scene」の商用正式版をリリース、日本発のグローバルSaaSへ

Sceneは12月2日、3D CADファイルを活用して立体的な製造資料を作成できるツール「Scene」の正式版をリリースしたことを発表した。海外企業での導入も進んでおり、日本発のグローバルSaaSとなる。

製造業向け3DドキュメントツールのSceneは、既存3D CADファイルをアップロードすると実物を扱うようにパーツを分解・組み立て可能になり、一般的なプレゼンツールのように編集が行えるソリューション。ITが苦手な人でも直感的に扱える仕様にこだわっている。

Sceneが製造業向けの3Dドキュメントツール「Scene」の商用正式版をリリース、日本発のグローバルSaaSへ

製造業では、設計業務における3D CADツールの活用は進んでいるが、手順書やマニュアルを作成する段階になると、実際の組み立て作業を撮影し、写真を表計算ソフトやプレゼンテーションソフトなどの文書に貼り付け、文章で説明するという体裁が多い。

これにより文書の作成に時間がかかるほか、内容もわかりにくくコミュニケーションロスにつながるといった課題が生まれている。こうした課題は、社内資産の3Dデータを活用して立体的でわかりやすい資料が作成できるSceneにより解決できるという。

現在は製造業が直近のターゲットになっているものの、製品・サービスを成長させることですでに3Dデータの活用が進んでいる建設業界や医療業界への展開を計画しているとのこと。利用企業では、技術者以外の人でも簡単に使えるため、設計部など技術関連部門に集中しがちな業務の分散化にもつながると期待されているそうだ。

2019年12月設立のSceneは、コンテンツプラットフォームの構築に向けARコンテンツの開発に取り組み、その後2回のピボットを経験しながら3Dドキュメントツールの大きなニーズを見つけ、Scene開発・提供に至ったという。今後はARデバイスの活用が一般化し3Dデータの活用需要がさらに高まるという予想から、誰もが3Dデータを活用して表現できる技術基盤の実現を目指している。

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2から資金調達、評価額約380億円に

スニーカー・フリマ「スニーカーダンク」運営のSODAがSoftBank Vision Fund 2からシリーズD調達、評価額約380億円に

国内最大級スニーカー&ハイブランドC2Cマーケットプレイス「スニーカーダンク」(SNKRDUNK。Android版iOS版)を運営するSODAは12月2日、シリーズDにおいて、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先はSoftBank Vision Fund 2。今回の資金調達により評価額は約380億円となった。

調達した資金は、シンガポール、オーストラリア、香港などのアジア市場獲得、国内事業の拡大および強化、AIを活用したロジスティクス、真贋鑑定、カスタマーサポートなどにあてる。

SODAは「世界中に熱狂的ファンを生み出すマーケットプレイスを。」をミッションに、スニーカーダンクを運営。スニーカーダンクは、個人取引の間に真贋鑑定を行うことで偽造品の流通を防ぎ、安心・安全に取引ができるプラットフォームとなっている。2019年9月にスニーカー売買からスタートし、現在ではストリートウェア、ハイブランド、ホビーなどファッション・コレクティブ領域のアイテムを取り扱っている。また、人気スニーカーやブランドアイテムの新作・発売情報を配信するメディアや、コーディネート写真など月間数万件以上が投稿されるコミュニティも提供している。

AI・IoTを活用した在宅介護プラットフォームのウェルモが20.4億円のシリーズC調達、東京海上・凸版印刷との資本業務提携も

AIやIoTを活用した福祉プラットフォームサービスを提供するウェルモは11月30日、第三者割当増資による20億4000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先はDGベンチャーズ(デジタルガレージグループ)、Aflac、Ventures LLC、東京大学協創プラットフォーム開発(東京IPC)、東京海上日動火災保険など12社。累計資金調達額は41億2000万円となった。調達した資金と業務提携により事業展開を強化・加速する。さらに今冬から来春にかけて、エクステンションラウンドも予定している。

また同社は、東京海上ホールディングスや凸版印刷との資本業務提携の締結も明らかにした。ウェルモが保有する在宅介護ビッグデータ×AIのノウハウや在宅介護プラットフォームと、各社が保有する技術・製品等をかけ合わせることで、新たなサービス開発・ビジネスモデルを構築する。

東京海上ホールディングスとの業務提携では、介護領域における社会課題の解決に向けて、両社が保有するテクノロジーおよびネットワークを連携させることにより、介護現場のDX化の促進と新たなソリューション、サービス開発・展開を進めるためとのこと。

凸版印刷との業務提携では、ウェルモが保有する介護データと、医療機関などが保有する医療データとを、凸版印刷の資本業務提携先ICIが次世代医療基盤法に基づいて突合・匿名加工し、医療・介護の匿名加工統合DBを構築する。今後の国内市場の重要性が予測される「医療」×「介護」に関する匿名加工統合データベースの構築を検討するという。

さらに、凸版印刷が提供するセンシングデバイスサービスと、ウェルモのケアマネジメントDX事業におけるデータ・ノウハウを掛け合わせたヘルスケアレポートシステムの構築を行う。凸版印刷の同サービスと、ウェルモが保有する「ミルモネット」に集約されている地域情報資源(保険内外サービス情報)を活用し、介護予防などに役立つ情報をレポート形式にて様々な階層のシニア層に対して提示。超高齢化社会に向けた新しい価値を創造するとしている。

ウェルモは、「持続可能な少子化高齢化社会の実現」をミッションに掲げ2013年4月に設立。ケアプラン作成支援AI「ミルモぷらん」、介護の地域資源情報を集約するプラットフォーム「ミルモネット」、児童発達支援・放課後等デイサービス「unico」といった事業を展開している。

宇宙商社Space BDが10.4億円調達、SpaceX「Falcon9」ロケット衛星打上げ枠の利用権確保など宇宙輸送手段拡大

宇宙商社Space BDが10.4億円調達、SpaceX「Falcon9」ロケット衛星打上げ枠の利用権確保など宇宙輸送手段拡大

宇宙産業における総合的なサービスを展開する「宇宙商社」Space BDは12月1日、第三者割当増資による総額10億4000万円の資金調達完了を発表した。引受先は、既存株主であるインキュベイトファンド、アニヴェルセルHOLDINGS、SMBCベンチャーキャピタル、みずほキャピタル、これに新規株主として、シンガポール政府系投資会社Temasek Holdings傘下のPavilion Capital PTE. LTD.が加わっている。融資も含めた累計調達金額は、18億9000万円となった。

2017年設立のSpace BDは、JAXAの初の民間開放案件「国際宇宙ステーション『きぼう』日本実験棟からの衛星放出事業」に採択されたことを機に、船外プラットフォーム利用事業、微小重力環境を活用するライフサイエンス事業、H-ⅡA/H3ロケット相乗り打上げ事業と、JAXAとのパートナーシップを軸にした事業を進めてきた。現在は、衛星打上げ事業のほか、宇宙をテーマとした地域産業振興、教育および人材育成事業、技術プロジェクトマネージメントなどを展開している。

今回調達した資金で、Space BDは「国内外の多様な打上げ手段の確保による衛星打上げサービスの拡大」と、人材採用と組織力の強化を行うとしている。特に打ち上げ手段に関しては、2021年11月にSpaceXのFalcon9ロケットの利用権を確保するなど、調達の幅を広げている。

「プロジェクトごとに異なる課題・目的に対し、ゼロからの事業立案・実行と技術的な支援をワンストップで提供することで、当社の設立理念である『宇宙を日本発で世界を代表する産業にする』に向けて邁進してまいります」とSpace BDは話している。

キャンピングカーと車中泊スポットの予約アプリ運営のCarstayが約1.1億円調達、プラットフォーム開発を強化

キャンピングカーと車中泊スポットの予約アプリ運営のCarstayが約1.1億円調達、プラットフォーム開発を強化

Carstay(カーステイ)のミッションの世界観を表すために発表されたコンセプトアート「Carstay 2025」。2025年までに100万人のユーザーに愛されるサービスの社会実装を目指す

キャンピングカーのシェアリングと車中泊スポットの予約ができる「Carstay」(Android版iOS版)を運営するCarstay(カーステイ)は12月1日、プレシリーズAラウンドのファーストクローズで約1億1000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、栖峰投資ワークス、W ventures、ミナミインキュベート、ほか既存投資家。今回の資金調達により、金融機関からの融資を含め累計調達額は約2億4000万円となった。年内には同ラウンドでの追加の資金調達も予定している。

「Stay Anywhere, Anytime. 誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」をミッションに掲げるCarstayは、「移動」を基盤とした新しい旅と暮らしのライフスタイルをテーマに事業を展開するスタートアップ。事業開始から3年で、全国各地の車中泊スポット320カ所、車中泊仕様のカーシェア車両220台が登録されたプラットフォームを構築し、地方活性化プロジェクト支援、モビリティ各社やエンタテインメントとの連携、医療従事者や被災地の支援なども展開している。

同社のミッションの世界観を表すために発表されたコンセプトアート「Carstay 2025」。2025年までに100万人のユーザーに愛されるサービスの社会実装を目指す

Carstayは今回の資金調達により、「Carstay 2025」に描かれた世界の実現を目指し、プラットフォームの開発をより加速させるという。「動く拠点」となる車「バン」のカーシェア台数、「バン」で寝泊りできるスペースシェア登録数の増加を図るとともに、スマートフォンやパソコンを介して、それら車両や車中泊スポットを簡単に検索・予約・決済が行えるITプラットフォームの利便性や操作性の強化を図る。

愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

ペットウェルネスブランド「PETOKOTO」を提供するPETOKOTOは12月1日、融資および第三者割当増資による総額約5億円の資金調達を発表した。引受先は、ベガコーポレーション、楽天グループ(楽天キャピタル)、ABCドリームベンチャーズ、DGベンチャーズ、Headline、15th Rock Ventures、既存株主のニッセイキャピタル、西川順氏、鈴木修氏。総調達額は約10億円となった。また、長期的なペットライフプラットフォーム構築に向け、住宅家具領域でベガコーポレーションと、トラベル領域・保険領域で楽天と業務資本提携を締結した。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

調達した資金は、同社ミッションである「人が動物と共に生きる社会」の実現に向けて、プロダクト開発や顧客基盤・ユーザー基盤拡大に向けた営業・マーケティング、それらを支える優秀な人材の獲得などに使用する予定。経営および事業基盤をさらに強化することで、中長期的な成長を加速させる。

PETOKOTOは、「人が動物と共に生きる社会をつくる」というミッションの実現に向けて、2016年5月より専門家によるペットライフメディア「PETOKOTO」、同年12月より保護犬猫マッチングサイト「OMUSUBI」、2020年2月より愛犬のためのカスタムフレッシュフード「PETOKOTO FOODS」を提供。PETOKOTO FOODSにおいては、売上は前年比700%増加で成長しており、累計販売食数は500万食、会員数は1万人を超えたという。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

今後同社は、家族品質のサービスを提供することでペットと暮らす体験を向上しペットライフのQOLを最大化するとともに、OMUSUBIを通じて殺処分問題をはじめ流通市場の課題解決を進めることで、ハード面・ソフト面でのペットライフの課題解決に取り組む。オンライン、オフラインでの接点の強化を進めるとともに、D2Cモデルを通じて取得した行動データから最良のプロダクト・サービスをパーソナライズに提案するペットライフのコンシェルジュプラットフォームの構築を進める。愛犬のためのカスタムフレッシュフードPETOKOTO FOODSなど提供のPETOKOTOが約5億円のシリーズA調達

ブロックチェーンサービス開発プラットフォームのGincoが5.7億円調達、組織体制・プラットフォーム強化

Gincoは11月30日、第三者割当増資による総額約5億7000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先はみやこキャピタル、DBJキャピタル、三菱UFJキャピタル。調達した資金は採用・組織体制の強化およびブロックチェーン開発プラットフォーム構築にあてる。

Gincoの提供するブロックチェーンサービス開発プラットフォームは、インフラストラクチャ構築の複雑さとコストを軽減し、急速に拡大しているブロックチェーン市場へのアクセスを簡易化するという。

昨今、価値流通のデジタル化を背景として、暗号資産・NFT・セキュリティトークンといったデジタル資産市場が急成長していると同時に、ブロックチェーン技術の活用需要も増加傾向にある。だが需要が高まる一方で、ブロックチェーンサービスの開発では技術の複雑性や要求されるセキュリティ水準が参入の障壁であるうえ、参入後も企業がサービスの企画運営に集中できない要因となっている。こうした問題を解決するのがGincoのサービスとしている。

さらに同社は、開発プラットフォームだけではなくそれぞれのビジネス領域で求められる業務用システムパッケージの提供も行っている。このパッケージはセキュリティと利便性を高水準で両立したエンタープライズ品質を有し、暗号資産交換業者などに提供する業務用暗号資産ウォレットの分野では高い実績を挙げているそうだ。これらにより開発リソースに悩む企業でも迅速なサービス開始と業務体制構築が可能となるという。

2017年12月設立のGincoは、価値流通に革命を起こすブロックチェーン技術の社会実装を推進し、価値や権利を自由にやり取りできる「めぐりのよい経済」の実現に取り組むスタートアップ。創業以前より培ったブロックチェーン技術への知見、業務との親和性を高めたプロセス設計力、複数のシステム間の簡易接続や簡易な機能追加を可能とするシステム設計力を駆使して、暗号資産やデジタル証券、NFTなどのデジタルアセット活用に取り組む事業者を支援している。

フィナンシェとコインチェックがIEOによる資金調達に向けた契約を締結、2022年夏までに実現を目指す

フィナンシェコインチェックは11月29日、IEO(Initial Exchange Offering)による資金調達を実現するための契約を締結したことを発表した。この契約のもと、2022年夏までに実現を目指す。

IEOは、企業やプロジェクトがユーティリティトークンを活用した資金調達を行う仕組みであるICO(Initial Coin Offering)のひとつ。特徴としては、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査およびトークンの販売を行う仕組みとなっており、資金を調達できるだけでなく、トークンを活用することでコミュニティの形成・強化がしやすいことが挙げられる。

実現の暁には、すでに100以上の個人や団体のトークンの発行・販売、企画・運用を行っているフィナンシェが「フィナンシェトークン」の発行を担い、コインチェックが2021年7月に提供を開始したIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」において販売を担当する予定。コインチェックにとっては、今回のIEOは第2号案件となる。

今回のIEOにより発行されるフィナンシェトークンは、クラウドファンディングサービス「FiNANCiE」を利用して発行したクラブトークンやNFTを横串に活用するプラットフォームトークンとする計画だという。また同IEOにより、フィナンシェでは調達した資金の一部をFiNANCiEおよびNFT事業のさらなる拡大にあてる予定。

フィナンシェトークンは、記事執筆時点ではホワイトペーパーなど詳細は公開されていない。イーサリアム(Ethereum)ブロックチェーン上で発行され、FiNANCiEユーザーへのインセンティブ付与やエコシステム全体におけるガバナンス参加を促すという。FiNANCiEで発行されているコミュニティトークン同士をつなげ、長期的なトークン価値を向上させるためのプラットフォームトークンとして、FiNANCiEエコシステムにおける「ユーザー主体の運営」の実現を目指すそうだ。

フィナンシェは、2019年1月に設立された「10億人の挑戦を応援するクリエイターエコノミーの実現」をミッションに掲げている企業。ブロックチェーン技術を活用したNFT事業やFiNANCiEを展開しており、トークン(FTおよびNFT)の発行、企画・運用により新しい価値を生み出すトークンエコノミーの実現を目指している。現在は湘南ベルマーレやアビスパ福岡といったプロサッカークラブをはじめ100名以上の発行者(個人、クラブ、プロジェクト)のトークンの発行・販売・企画・運用を行っている。

日産が今後5年間でEV開発に2兆円を投資へ、2030年度までに23車種の新型電動車投入

日産自動車は「Nissan Ambition 2030(日産アンビション2030)」と名づけた長期ビジョンの一環として、今後5年間で2兆円を投資し、新型電動車やバッテリー技術を開発することを発表した。同社は2030年度までに合計15車種の新型BEVを発売し、その時点で電動車が車両ラインナップの半分を占めることを目指す。

同社は、今後8年間で合計23車種の電動車を開発し、そのうち20台は今後5年間で開発すると発表した。2030年には、欧州で75%、日本で55%、米国と中国で40%の電動車販売比率(EVとe-Power PHEV / ハイブリッド車)に達することを目標にしている。

それ以外の部分は、内燃機関(ICE)車だと思われる。注目すべきなのは、2021年初頭、日産は「2030年代初頭までに発売するすべての新型車を電動化する」と発表していた点だ。おそらく、ICE車がまだ販売されている場合は、レガシーモデルということになるだろう。

日産は他にも、2028年までに全固体電池(ASSB)を搭載したEVを発売し、早ければ2024年に横浜にパイロット工場を設置すると発表した。この技術は、充電時間の短縮などのメリットを約束するものだが、まだ期待通りに市場に登場していない。また、バッテリーパックのコストを2028年までに1kWhあたり75ドル(約8500円)に引き下げ、さらに先には65ドル(約7400円)に引き下げることを目指している。Bloombergによると、これは2020年のEVバッテリーの価格の約半分に相当する。日産は、2030年までにグローバルな電池生産能力を130GWhへと引き上げる予定だという。

日産は、運転支援技術「プロパイロット」を、2026年までに250万台以上の日産車およびインフィニティ車に拡大する計画であるとも述べている。また、次世代LiDARシステムを「2030年度までにほぼすべての新型車に搭載する」としている。

画像クレジット:Nissan

「Ambition 2030」の一環として、日産は4つの新しいコンセプトカー「Chill-Out」「Surf-Out」「Hang-Out」「Max-Out」を発表した。他のコンセプトカーと同様に、これらは自動運転やインテリアの機能、そして奇抜なデザインなど、日産の未来のテクノロジーを体験するためのものだ。しかし、日産が実車として公開しているのは「Chill-Out」の画像のみで、他の3車種はレンダリング画像だ。

Chill-Out(トップ画像・上)は小型のクロスオーバーで、日産が以前に確認したように、次世代リーフがハッチからクロスオーバースタイルのボディに移行することを示す初期のプレビューかもしれない。アリアのCMF-EVプラットフォームとe-4orce電動駆動4輪制御システムを採用しており、2025年までに登場する予定だ。

画像クレジット:Nissan

一方、Surf-Outは小型の電動シングルキャブピックアップトラックで、そこそこの大きさの荷台と取り外し可能なキャノピーを備えている。デュアルモーターAWDと多様な出力を備え、オフロード性能、ユーティリティー性、広いカーゴスペースを提供する。

画像クレジット:Nissan

そしてHang-Outは「移動中の新しい過ごし方を提供する」ことをコンセプトにした、小型のキャンピングカー・SUVのようなモデルだ。完全にフラットなフロアと可動式のシアターシートを備え、最近のEVコンセプトにも見られる「移動空間でありながらリビングルームのような快適さ」を提供する。また、e-4orceや先進のプロパイロット機能も搭載している。

画像クレジット:Nissan

そして最後に、Max-Outは「最高の安定性と快適さ」を提供するオープンスポーツカーだ。ボディロールを抑えることで「ダイナミックなコーナリングとステアリングレスポンス」を実現し、ハンドリングと乗員の快適性を最適化している。また、 軽量・低重心で、先進のe-4orceも搭載しているとのこと。

日産の新計画は、カルロス・ゴーン前CEOの逮捕とその後の逃亡など、社内問題に取り組んできた中で生まれたものだ。同社は短期的には、2020年に発表された「NISSAN NEXT」計画の一環として、3000億円規模の固定費削減と生産能力の20%削減を計画している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

パナソニックがハッカーによる社内ネットワークへのアクセスでデータ流出を確認

日本のテック大手Panasonic(パナソニック)は、社内ネットワークへのハッカーのアクセスによるデータ流出を確認した。

パナソニックは11月26日付のプレスリリースで、11月11日に同社のネットワークが「第三者によって不正にアクセス」され「侵入時にファイルサーバー上の一部のデータにアクセスされた」と発表した。しかし、パナソニックの広報担当者Dannea DeLisser(ダンネア・デリサー)氏は、この侵入が6月22日に始まり、11月3日に終了したこと、そして不正アクセスが最初に検出されたのは11月11日であったことを認めた。

大阪に本社を置くパナソニックは、データ流出についてその他の情報をほとんど提供していない。同社のプレスリリースによると、同社は独自の調査に加えて「現在、専門の第三者機関と協力して、漏洩に顧客の個人情報および(あるいは)社会インフラに関連する機密情報が含まれているかどうかを確認中」だ。

「当社は、不正アクセスを発見した後、直ちに関係当局に報告するとともに、ネットワークへの外部からのアクセスを防止するなどのセキュリティ対策を実施しました。今回の事件によりご心配とご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」。

今回のデータ流出のニュースは、パナソニックインドがランサムウェアの攻撃を受け、ハッカーが財務情報や電子メールアドレスを含む4ギガバイトのデータを流出させてから1年も経っていない中でのものだ。また、日本のテクノロジー企業を狙ったサイバー攻撃が相次いでいる中でのものでもある。NECと三菱電機は2020年にハッキングに遭い、オリンパスは最近、ランサムウェアBlackMatterの攻撃を受け、欧州・中東・アフリカ地域での事業停止を余儀なくされた

関連記事:オリンパスがランサムウェア「BlackMatter」の攻撃を受ける

画像クレジット: Sean Gallup / Getty Images

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(文:Carly Page、翻訳:Nariko Mizoguchi

IoT在庫・発注管理を提供するスマートショッピングが資金調達、累計調達額16億円に

IoTを使った在庫・発注管理のためのDXソリューション「スマートマットクラウド」および「スマートマットライト」を展開するスマートショッピングは11月26日、第三者割当増資による資金調達を行い累計調達額が16億円に到達したと発表した。引受先はエムスリー、スズケン。今回調達した資金は両サービスの利用者拡大に向けた施策にあてる。

スマートマットクラウドは、製造業や医療機関などのB2B向けに展開している、あらゆる在庫の管理・棚卸しや発注を自動化するSaaS。今回の資金調達により、サービス・製造業はもとより、医療機関など現場の在庫・発注管理ニーズにより応えられるよう、プロダクトのソフト・ハード両面を進化させる。また、様々な現場へのスムーズな導入を支援するカスタマーサクセスなどビジネス面の体制を強化する予定。

もう一方のスマートマットライトは、B2C向けのソリューション。面倒な日用品の買い物を自動化しゼロクリックショッピングを実現している。こちらでは、ユーザーとの共創によってさらにユーザビリティの高いプロダクト・サービスへの進化を加速させる。またそれに向けて、特にエンジニアなどキーとなるポジションの人材獲得を強化する。

スマートショッピングは「日々のモノの流れを超スマートに」をビジョンとして掲げ、2014年11月に設立。IoT重量計「スマートマット」を活用した在庫管理と発注の自動化ソリューションを開発し、これを基にB2B向けスマートマットクラウド、B2C向けスマートマットライトを提供している。

デジタルヒューマンやAIトレーニングデータなど合成データを生み出すシンセティックAIのデータグリッドが3億円調達

デジタルヒューマンやAIトレーニングデータなど合成データを生み出すシンセティックAIのデータグリッドが3億円調達

デジタルヒューマンやAIトレーニングデータなどの合成データを生み出すシンセティックAIの社会実装に取り組むデータグリッドは11月29日、第三者割当増資および融資による3億円の資金調達を実施したことを発表。引受先は、先端技術共創機構、アエリア、Deep30、京信ソーシャルキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタル、池田泉州キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタル、京銀リース・キャピタル、中信ベンチャーキャピタル、京都エンジェルファンド。累計資金調達額は約6億円となった。

データグリッドは「すべてのデータに、命を与える」をミッションに掲げ、2017年の創業以来、シンセティックAIの技術開発によって製造・通信・教育・アパレル・エンターテインメントなど多岐に渡る分野でプロジェクトを実施。同社開発のバーチャル試着技術を活かしたAIプロダクト「kitemiru」の提供や、シンセティックAIで自動生成したバーチャルアンバサダーの動画も公開している。

シンセティックデータ領域の技術成熟や、技術開発フェーズから実用化フェーズへの移行を背景に、今後も需要の拡大が見込まれるデジタルデータやコンテンツを生み出すAIソリューションを提供することで、データグリッドは人々がよりクリエイティビティを発揮できる社会を目指す。今回調達した資金は技術開発と新規事業開発の強化に充当し、シンセティックAIの社会実装をより加速させたいという。

Preferred Networks、自律移動ロボットの開発・販売を行うPreferred Roboticsを設立し20億円調達

Preferred Networks、自律移動ロボットの開発・販売を行うPreferred Roboticsを設立し20億円を調達

アマノのロボット床洗浄機「EGrobo」(イージーロボ)

深層学習とロボティクスのスタートアップPreferred Networks(プリファードネットワークス。PFN)は11月26日、自律移動ロボットの研究、開発、製造、販売を専門に行うPreferred Robotics(プリファードロボティクス。PFRobotics)の、会社分割による設立を発表した。またPFRoboticsは、普通株式を新規に発行し、そのすべてをアマノに割り当てることで20億円の資金調達を実施する。

「すべての人にロボットを」の実現を目指すPFNは、ロボット事業を迅速に展開できる最適な組織作り、適切なパートナーとの協業の推進、資金需要への柔軟な対応を加速する目的で、ロボット部門をPFRoboticsとして独立させた。

精密機器メーカーのアマノとのパートナーシップにより、アマノの顧客基盤、営業力、サポート力を活かして早期にロボット製品の販売体制を整えると同時に、業務用清掃ロボットを共同開発するという。アマノは、AIを活用したロバスト性の高いSLAM技術を採用し、自律移動性能を高めた次世代型業務用清掃ロボットをPFRoboticsと共同で開発し、両社で年間1000台以上の販売を狙うとしている。

2022年中には、PFRoboticsが単独で開発を進めている、さまざまな分野向けの自律移動ロボットも発売を開始するとのこと。

PFNは、今後もロボット関連基礎技術の開発と既存パートナーとの関連事業は継続し、「あらゆる場面でロボットが活躍する未来の実現を目指します」と話している。

グルメコミュニティアプリSARAHや外食ビッグデータサービスFoodDataBankを運営するSARAHが2.2億円調達

グルメコミュニティアプリ「SARAH」(Android版iOS版)や外食ビッグデータサービス「FoodDataBank」などを運営するSARAHは11月25日、第三者割当増資により総額2億2000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、既存投資家のセブンーイレブン・ジャパン、Social Entrepreneur3投資事業有限責任組合(PE&HR)、DD Holdings Open Innovation Fund投資事業有限責任組合、クロスボーダーインベストメント、新規引受先であるインフォマート、エー・ピーホールディングス。累計調達総額は7億7000万円となった。

調達した資金は、各サービスのマーケティング・セールス・カスタマーサクセス、飲食店向け電子メニュー化サービス「Smart Menu」の体制強化と組織増強に投資予定。

SARAHが展開する事業は3種類。累計投稿数80万件(2021年10月現在)のSARAHは、レストランの1皿に対する投稿を中心としたグルメコミュニティアプリ。レストラン単位ではなくメニュー単位での投稿や検索が可能だ。FoodDataBankは、SARAH内の膨大なユーザーの声を抽出し分析することで外食市場とその顧客ニーズをデータで定量化する。Smart Menuは、2020年5月よりβ版が稼働中のサービス。SARAHのデータを組み合わせることで来店客ごとにお勧めのメニューを表示でき、客単価向上に貢献することを目標としている。

リモート施工管理SaaS「Log System」を開発するlog buildが総額1億円のプレシリーズA調達

リモート施工管理を実現するためのサービス「Log System」を開発しているlog build(ログビルド)は11月24日、プレシリーズAラウンドにおいて総額1億円の資金調達実施を発表した。引受先や融資元は、GMFホールディングス、Monozukuri Ventures、ヨシックスキャピタルなど。

同社は、建設業界において深刻な人手不足や膨大な移動時間が大きな社会課題となっており、テクノロジーを活用したDXが急務と位置付け。レガシー産業の代表といわれる建設業界を変革するとしている。

log buildは、湘南の建設会社であるecomoのVR・AI・ロボット事業部として発足し、2020年2月に設立した建設テックのスタートアップ。

Log Systemは、リモート施工管理を実現するため、「Log Walk」(ログウォーク)、「Log Meet」(ログミート)、「Log Kun」(ログくん)の3つのソリューションで構成されている。Log Walkは、360度カメラとスマホアプリにより建設現場をVR空間化し、現場管理のメイン業務である進捗管理・品質管理・情報管理・安全管理をリモートで行うことを可能とする。Log Meetは、リモート現場立ち会いに特化したオンライン施工管理アプリ。職人でも活用しやすいUIを備え、建設現場に関わるすべての人とビデオ通話機能でオンライン打ち合わせが行える。建設現場特有のコミュニケーションロスを防ぐための機能も持つ。Log Kunは、好きな時に現場を巡視できるアバターロボット。場所や有人無人を問わず、現場に配置したアバターロボットをスマホ・タブレット・PCで操作し、進捗確認や安全管理、品質チェックができる。これにより移動のロスがなくなるという。

メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨DCJPY(仮称)概要公開

メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨「DCJPY」(仮称)概要公開

Matteo Colombo via Getty Images

メガバンク3行やNTT・KDDIら通信企業、JR東日本、関西電力、ヤマトホールディングスなど国内74の企業および団体が参加する「デジタル通貨フォーラム」が、ブロックチェーン技術を使った日本円連動型デジタル通貨「DCJPY」(ディーシージェイピーワイ。仮称)の概要(ホワイトペーパー)を公開しました。

デジタル通貨フォーラムは「民間預金との競合といった問題を回避することができ、また、これにより民間主導のイノベーションを促し、コスト削減や効率化に貢献できる」とそのメリットを説明しています。一方でBitcoinやEthereumなどのいわゆる暗号通貨が銀行との関連を持たない独立した「暗号資産」であるのに対し、DCJPYは民間銀行が発行する「デジタルな通貨」だという点には注意が必要です。

具体的には、DCJPYは「預金(つまり銀行の債務)という形をとることで円建てでの価値を安定化し、共通領域を通じた相互運用性の確保、付加価値領域を通じたさまざまなニーズへの対応」を実現することを想定しているとのこと。共通領域とは、デジタル通貨DCJPYの発行や償却といったやりとりが行われる領域のこと。各銀行は現実の預金口座にひも付けられた共通領域口座を用意し、預金口座から処理に必要な金額を引き落として、共通領域の口座に入金します。そして共通領域内にある他の顧客の口座へと送金処理を行うことで決済処理を完了します。

一方、付加価値領域とは「決済と物流・商流等とのリンクや、モノやサービスと資金との同時受け渡しなど」といったニーズに対応するためにカスタマイズした「プログラムの書き込みを可能とする」領域と説明されます。たとえば企業が特定のサービスのために専用の送金プラットフォームを用意でき、ユーザーは付加価値領域上の口座で取り引きを行います。付加価値領域口座は共通領域の口座と対応しており、実際には付加価値領域で送金の指図が発行されると、それに同期して共通領域でDCJPYによる送金が処理される格好になるとのことです。そのため「付加領域における移転の記録は、共通領域内に存在する付加領域用口座のDCJPYの移転を行うための指図の記録」を意味することになります。

と、ここまで力を振り絞って難解な説明を読んでいただいた読者の方々には感謝しかありませんが、とりあえず、このデジタル通貨がすぐにもわれわれの日常生活での買い物などに関わってくるかといえば、そうでもなさそうです。

DCJPYはどちらかといえば企業間、銀行間の決済をよりスムーズかつ円滑化、低コスト化するためのシステムと言えます。年度内に概念実証実験を開始し、早ければ2022年度のうちにも実用化と伝えられているものの、その実証実験は、まずは電力取引などを対象に行うとされています。

ただ将来のDCJPYの利用シーンとしては、産業流通における決済から、電子マネー連携、地域通貨への活用、サプライチェーンでの活用、エンタメ領域との連携などといったアイデアが出ているとのことなので、いずれはわれわれ一般市民にも関わりが増えてくるかもしれません。

ちなみにDCJPYは民間銀行が発行するデジタル通貨ではあるものの、フォーラムのオブザーバーには金融庁、総務省、財務省、経済産業省、そして日本銀行が参加しています。

また日本銀行は2020年10月9日付の中央銀行デジタル通貨(CDBC)の取り組みに関する公表資料において「CDBC発行の計画はないが、今後のさまざまな環境変化に的確に対応できるようしっかり準備しておくことが重要」とし、その上で「一般利用型CBDCを発行する場合、中央銀行と民間部門による決済システムの二層構造(「間接型」発行形態)を維持することが適当」と述べていました。さらに「システム的な実験環境を構築しCBDCの基本機能を検証する」概念実証実験についても「2021年度の早い時期の開始を目指す」としています。メガバンク3行など参加のデジタル通貨フォーラムが「プログラムを書き込める」円建てデジタル通貨「DCJPY」(仮称)概要公開

(Source:DCJPY(仮称)ホワイトペーパーデジタル通貨フォーラムプログレスレポート。Coverage:日本銀行Engadget日本版より転載)

スペースデブリ除去に取り組む軌道上サービスのAstroscaleがシリーズFで約125.7億円調達

日本の宇宙ベンチャー企業であるAstroscale(アストロスケール)は、新たなシリーズFラウンドで1億900万ドル(約125億7500万円)の資金を調達し、同社の累計調達額は3億ドル(約346億円)に達した。Astroscaleは軌道上サービス技術を専門としており、軌道上でのビジネスをより持続可能なものにする手段として、軌道上の運用高度に存在するデブリの量を減らし、また、既存の衛星の寿命を延ばすことを目的としている。

日本のTHE FUNDが主導し、Seraphim Spaceなどの投資家の参加を得た今回のラウンドにより、Astroscaleの資金調達総額は3億ドル(約346億円)となった。Astroscaleの創業者兼CEOである岡田光信氏は、プレスリリースの中で、今回の資金調達により、事業規模の拡大と「2030年までに軌道上でのサービス提供を日常的に行う能力を劇的に加速させる」ことが可能になると述べている。

Astroscaleにとって、2021年は大きな年だった(ちなみに岡田氏は、米国時間12月15日に開催されるTC Sessions: Space 2021のメインステージに参加する予定だ)。同社は、8月にはデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d (エルサディー、End-of-Life Services by Astroscale – demonstrationの略)」の技術デモを成功させた。年内にその次のフェーズとなるミッションを控えており、また、2022年初頭に予定されている宇宙航空研究開発機構(JAXA)向けのミッションでも、軌道上デブリ除去のデモンストレーションを行う計画が進んでいる。

Astroscale社が前回5100万ドル(約55億円)を調達したのは2020年10月で、その年に同社は、 地球上の主要な通信インフラである大型静止衛星のサービスに注力しているEffective Space Solutionsを買収した。

関連記事:Astroscaleが約54億円を調達、静止衛星長寿命化や軌道上デブリ除去など業務を多様化

画像クレジット:Astroscale

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)