物流・輸送のRyderが自動運転トラックEmbarkと物流ネットワークを構築

サプライチェーンとフリートマネジメントのソリューション企業であるRyder(ライダー)が、またしても自動運転トラックによる物流企業と提携することになった。同社は現地時間9月16日、自動運転トラックを開発するEmbark(エンバーク)が所有・運営する、最大100カ所の中継地点の全国ネットワーク立ち上げを支援する計画を発表した。

Ryderが公にしている自動運転トラック企業との提携としては3番目となる。最近では、Waymo Viaの自動運転トラック事業の規模拡大を支援するため、車両のメンテナンスと管理の標準化を支援する計画を発表した。また、TuSimpleと共同で、自社施設をTuSimpleのターミナルとして活用している

「私たちは最先端を走っており、自動運転車が将来の物流において果たす非常に重要な役割をを深く理解し始めたところです。したがって、できるだけ早い段階で参入し、その技術で市場を支配しつつある企業と仕事を始めたいと思っています」とRyderの新製品イノベーション担当EVPであるKaren Jones(カレン・ジョーンズ)氏はTechCrunchに語った。

同社はKodiak、Aurora、Plusといった他の自動運転車の企業と協議はしているものの、ジョーンズ氏によれば、取引の予定はないと述べた。同氏によると、同社は、既存の提携によって得られるさまざまな事例から学び、成長するとともに、同社が早く市場に進出するため、複製可能な中継ハブモデルを構築したいと考えている。

「この技術を前進させるにあたり、どのようにメンテナンスを行い、サービスを提供し、運用するかについて、わからないことが未だに多くあります」とジョーンズ氏は話す。「Ryderは、メンテナンスのための広大な施設を保有しており、さらにサプライチェーンやロジスティクスのビジネスも展開しているため、提携相手として当然に適していると思います。私たちは、こうした施設がどのように機能するのか、また、大きな施設への配送のために車両を出し入れする際にどれほど複雑になるのかを熟知している本物のオペレーターです」。

Embarkとの提携の一環として、Ryderはヤードオペレーション、メンテナンス、フリートマネジメントを提供する。また、Embarkが戦略的に配置している中継地点のネットワークについても助言する。中継地点では、ドライバーレスの長距離トラックからドライバーが運転するトラックに貨物を移し、ファーストマイルとラストマイルの配送を行う。

「Ryderは、Embarkがそうした施設で何が必要かを理解する支援を行い、建設や用地探索を担うEmbarkのサードパーティーパートナーと協力しています」とジョーンズ氏はいう。まずは、カリフォルニア州、アリゾナ州、テキサス州、ジョージア州、テネシー州、フロリダ州の主要な貨物市場にある施設を選び、2024年の商業展開に向け、来年早々にもEmbarkがオペレーションを開始する予定だ。

画像クレジット:Embark

自動運転車企業がサンベルト地域をオペレーション開始の地に選ぶのは、雪やみぞれなどの悪天候をほぼ考慮に入れる必要がなく、テストに最適な環境だからだ。だが、EmbarkとRyderは今後5年間で、不動産事業者のネットワークと協力して、Embarkの中継地点を国内に100カ所開設することを目指している。

Embarkは現在、HPやバドワイザーのメーカーであるAB inBevなどの企業の他、Knight Swift Transportation、Werner Enterprisesなど「米国のトップ25のトラック輸送会社」の貨物を輸送していると、CEOのAlex Rodrigues(アレックス・ロドリゲス)氏は話す。同社は最近、SPACを利用した上場計画を発表した

ロドリゲス氏によると、Embarkの現在の貨物輸送会社との提携は、試験的なものか、将来立ち上げる小規模なものだという。同社は現在、16台のトラックを保有しており、ハイウェイを走行する際には、万一に備えて人間のセーフティーオペレーターを運転席に配置している。通常は、自動運転車が未知の事態に遭遇しても、オペレーターが交代する必要はない。

ハイウェイでの運行は、中継ハブのネットワークをオフハイウェイに構築することを意味する。これは、規模拡大に多くの資本と時間を要するものの、不可欠だと言えるものだ。それに比べてTuSimpleは、Embarkのように新しいターミナルを建設するのではなく、既存のRyderの拠点を利用し、TuSimpleのターミナルとして使えるように改修した。Waymo Viaも独自のハブを構築している。Ryderの車両メンテナンス、検査、ロードサイド・アシスタンスは、Waymoの自動運転トラック運送部門がこれらの拠点を拡張し、車両の稼働率と信頼性を最大化するのに役立つ。

Ryderは、このようにさまざまなケースで自社の多様な能力を提供しながら、物流にとどまらない、自動運転分野における自社の可能性を探っている。ジョーンズ氏は、いつか顧客に代わり自動運転車を運行することが意味をなすのであれば、自動運転車の運行を行う可能性もあると話した。また、ファーストマイルとラストマイルの配送サービスにも力を入れると語った。

「Ryderは、自動運転車分野の進化に合わせ、さまざまな役割を果たすことができます。しかし、この分野への最初の一歩は、サービスを提供し、技術やハブを運営するために必要なことを理解することです」とジョーンズ氏は述べた。

画像クレジット:Ryder

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

貨物輸送業向け生産性プラットフォームの英Vector.aiがシリーズAで約16.5億円を調達

コロナ禍でサプライチェーンに負荷がかかり続ける中、ここ2年間は貨物輸送業がスタートアップで最も熱い分野の1つになっている。実際、世界の貨物輸送業は1990億ドル(約21億9000億円)規模の市場になっている。そして、熱い分野である証拠もどんどん増えている。

2020年11月にデジタル貨物フォワーディングのFortoは、Inven Capitalが主導するラウンドで新たに5000万ドル(約55億円)を調達した。2021年4月にはNuvocargoが1200万ドル(約13億2000万円)を調達し、貨物ロジスティクス業界のデジタル化を手がけている。同年5月には貨物輸送業プラットフォームのZencargoが4200万ドル(約46億2000万円)を調達し、6月には貨物フォワーディングのsennderが10億ドル(約1100億円)以上の評価額で8000万ドル(約88億円)を調達した。7月には貨物輸送業者の輸送費管理を簡単にするFreightifyが250万ドル(約2億7500万円)を調達した。

関連記事:欧州の物流業界に一石を投じる貨物フォワーディング企業Sennderが約88億円調達、評価額約1100億円超えに

そして米国時間9月13日、AIプラットフォームで貨物輸送業者の生産性を向上する英国のVector.aiが、米国のVCであるBessemer Venture Partnersが主導するシリーズAで1500万ドル(約16億5000万円)を調達した。このラウンドにはこれまで投資していたDynamo VenturesとEpisode 1も参加した。Bessemerの投資は、米国のVCが英国やヨーロッパのテックシーンへの参入を続けている表れでもある。

Vector.aiは貨物輸送業向けの自動化システムとして国際進出を加速していく計画だ。

Vector.aiが取り組んでいるのはこんな問題だ。貨物輸送業者は顧客のメールなどから追跡して出荷をするような、同じことを繰り返す管理業務に時間を取られ、価値の高い活動に集中できない。Vector.aiは、同社が開発する機械学習プラットフォームで管理業務を自動化できるとしている。

Fracht、EFL、NNR Global Logistics、The Scarbrough Group、Steam Logistics、Navia Freight、その他トップ10に入る貨物輸送業者がVector.aiを利用している。

Vector.aiの共同創業者でCEOのJames Coombes(ジェームズ・クームズ)氏は次のようにコメントした。「貨物輸送業の従業員のほとんどは、1件の出荷に関わる10〜25の関係先との連絡や、貨物の動きと書類の調整に大半の時間を費やしています。連絡には通常、メールと添付書類が使われます。(中略)貨物の量は世界的に増え続け、Brexitによる負担や中国の港の閉鎖のようなコロナ禍の影響も加わって、貨物輸送業界は人手不足や急激な人件費の上昇、そして売上の減少や荷物の傷みで金銭的な負担となる配送の遅延に直面しています。貨物輸送業者にはローレベルの処理で時間を無駄にする余裕はありません。そこで我々は基本的な作業を自動化するテクノロジーを開発しました」。

Bessemer Venture PartnersのパートナーであるMike Droesch(マイク・ドロエシュ)氏は次のように述べた。「Vector.aiは急速に成長しつつある貨物輸送業のワークフローの自動化、デジタル化ツールの分野で早くから活躍するリーダーの1つです。同社はこの業界に的を絞った直感的な製品を開発しました。同社の製品はすでに最大手クラスの貨物輸送業者を獲得しています」。

Vector.aiの競合には、950万ドル(約10億4500万円)を調達した英国のShipamax、120万ドル(約1億3200万円)を調達した米国のRPA Labs、7590万ドル(約83億4900万円)を調達した米国のslync.ioがある。

画像クレジット:Witthaya Prasongsin / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

中国WeRideが同社初の自動走行の電動貨物バンを発表、運送会社と提携も

中国の自動運転会社WeRide(ウィーライド)が同社初の貨物バンを発表した。この車両は都市ロジスティクス業界に自動運転を持ち込むものだ。同社は、初の自動運転バンを大規模に商業展開するために中国の自動車メーカーJiangling Motors (江鈴汽車、JMC)、速配会社ZTO Express(ZTOエキスプレス)と協業する。

9月8日に開かれた「The Next」というWeRideのオンライン記者会見で、WeRideの創業者でCEOのTony Han(トニー・ハン)氏、JMCの代表取締役副社長Wenhui Jin(ウェンフイ・ジン)氏、ZTOの副社長Renqun Jin(レンクン・ジン)氏が業務提携に署名した。取引の一環として、WeRideとJMCは、JMCの組立ラインで大量生産するRobovan専用モデルを共同でデザインする。そしてZTOの声明文によると、同社はRobovanを自社の都市ロジスティクスサービスで活用する。WeRideの広報担当は、Robovanが非常に充実している車両プラットフォームを備えるJMCのバッテリー電動車両モデルをベースにし、WeRideのフルスタックソフトウェア、ハードウェア自動運転ソリューションと組み合わせる、とTechCrunchに語った。

WeRideは2020年に商業展開に向けて現金をかき集めた。5カ月の間隔を空けてシリーズBとシリーズCラウンドで6億ドル(約658億円)を調達し、現在のバリュエーションは33億ドル(約3618億円)だ。6月に同社は広州拠点の自動運転トラック会社であるMoonX.AIを買収したが、同分野における商業プロダクトの開発にはまだ取り組んでいない。いずれにしても、配車サービスや自動運転バス、都市ロジスティクスの展開、そして自動運転トラックのほんの少しの準備は、WeRideの自動運転ポートフォリオを多様化する動きが競争で優位性を確保していることを意味する。

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中国の検索エンジンBaiduの自動運転部門は2021年4月時点では主にロボタクシーとバスに注力している。Pony.AI はロボタクシーに加え、少なくともラストマイルロジスティクスを試験し、このほど中国でトラックのテストも許可されたばかりだが、これまでのところバスは対象としていない。Waymo Viaはラストマイルとトラックは対象としておらず自動運転タクシーが同社の看板だが、自動運転バスについては何も情報を出していない。GMが出資するCruiseは小型車両に注力しているようで、同社が展開している車両サービスにはライドシェア配達がある。

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WeRideのバンはすでにレベル4の自動運転能力を持つ、と同社はいう。レベル4車両はハンドル操作ができ、大半の場合において人間の介入を必要としてないが、人間がマニュアルで操作する選択肢を持っている車、と米自動車技術者協会は定義している。レベル4車両は限定的な環境で走行でき、だからこそ直近ではライドシェアで使われている。しかし配達車両もおそらく同様にジオフェンス内で自動走行できる。

WeRideはすでに一般向けのRobotaxiサービスのテストを2年展開しており、Robovanが都心からトンネル、高速に至るまでZTOのネットワーク内のさまざまな交通状況に対応することができると確信している、と話す。ZTOによると、同社のネットワークは中国の都市・郡の99%超をカバーしている。

WeRideの広報担当は、Robovanがすでに生産され、人知れず中国内でしばらくの間テストされてきた、と話す。いつWeRideとJMCが大量生産を始めるのか、詳細なタイムラインを発表するのは時期尚早だが、WeRideの次のステップは車両とシステムの安定性を立証するパイロット試験を行う場所を1〜3カ所選ぶことになる、と広報担当は語った。

「そのすぐ後に当社はいくつかのエリアで真のドライバーレスを目指し、都市ロジスティクスへの応用でRobovans運用のノウハウを構築します」とTechCrunchに述べた。「RobovanとRobotaxiがどちらも都市部で展開されていることを考えると、RobovanにはRobotaxiと同じような規制が適用されます。中国の規制は、自動運転テクノロジーの開発に追いつくために一歩ずつ進化しています。3〜5年以内に真のドライバーレスRobovanの応用を目にするでしょう」。

画像クレジット:WeRide

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

10億件以上の配送実績を持つインド物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryが約84億円調達

インドの物流サービス企業であるDelhivery(デリバリー)は、今後2四半期以内に予定されているIPOを前に、さらに1人の著名な投資家から支援を取り付けた。Lee Fixel(リー・フィクセル)氏のAddition(アディション)だ。

グルガオンに本社を置くDelhiveryは、Additionが同社に7640万ドル(約84億円)の出資を行ったことを規制当局に届け出た。市場情報会社のTofler(トフラー)が明らかにしたこの申請書によると、今回の新たな投資はシリーズIラウンドの一部であるという。Delhiveryはこれまでに、Additionの投資額のみを公開している。

10年前に設立されたこのスタートアップ企業は当初、フードデリバリー会社としてスタートしたが、後にインドの2300以上の都市と1万7500以上の郵便番号を対象としたフルスイートの物流サービスにシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じて、物流市場における需要と供給のシステムをデジタル化しようとしている数少ないスタートアップ企業の1つだ。

今回の新たな投資は、Delhiveryが2億7700万ドル(約304億6000万円)の資金調達を完了させ、またそれとは別にFedEx(フェデックス)の子会社が1億ドル(約110億ドル)を同社に投資したことが発表されてから、数カ月後に行われたものだ。Delhiveryは2021年前半に、今後6~9カ月以内にIPO申請を行うことを検討していると述べていた。

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Delhiveryのネットワーク 画像クレジット:Bernstein

Delhiveryはインド最大の物流企業の1つである。同社のプラットフォームは荷主、エージェント、そして陸路輸送ソリューションを提供するトラック事業者を結びつける。Delhiveryによれば、そのプラットフォームはブローカーの役割を軽減し、(Delhiveryにとって最も人気のある輸送手段である)トラック輸送などの資産をより効率的に運用して、24時間体制のオペレーションを可能にするという。

このようなデジタル化は、インドの国家経済を長年にわたって停滞させてきた物流業界の非効率性に対処するために非常に重要である。インドでは、需要と供給の計画と予測が不十分であることから、輸送コスト、盗難、損害、遅延が増加していると、Bernstein(バーンスタイン)のアナリストがインドの物流市場について2021年8月発表したレポートの中で指摘している。

Delhiveryの公式ウェブサイトによると、同社には10億件以上の注文を配送した実績があり「インド最大のeコマース企業や大手企業のすべて」と提携しているとのこと。配送の最後の一歩を受け持つ配達員には、2平方キロメートルを超えることのないエリアが割り当てられており、時間を節約しながら1日に何度も配達を行うことができる。

インドの物流市場のTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)は2000億ドル(約22兆円)を超えると、Bernsteinのアナリストは2021年前半に述べていた。このスタートアップは2020年後半、新型コロナウイルス感染が流行する中、オンラインで買い物をする人が増えたことから、増大する注文需要に対応するため、2年以内に4000万ドル(約44億円)以上の投資を行い、配達隊の規模を拡大することを計画していると語っていた。

インドのスタートアップエコシステムで有名なリー・フィクセル氏は、インドに可能性を見出した最初の国際的投資パートナーの1人だ。同氏が過去10年の間にTiger Global(タイガー・グローバル)を通じて行ったFlipkart(フリップカート)への投資は、この世界第2位のインターネット市場におけるスタートアップエコシステムの成長スピードを加速させた。

それに加えて、フィクセル氏が2020年設立したベンチャー投資会社のAdditionは、すでにインドに注目し始めており、ソーシャル・ネットワークのPublic(パブリック)やネオバンクのJupiter(ジュピター)にも出資している。

フィクセル氏はまた、個人的にもインドのスタートアップ企業に出資を続けている。同氏は現在、ベンガルールを拠点とするコーヒーチェーンのThird Wave(サード・ウェーブ)を支援するための交渉を行っていると、関係者2人が語っている。

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画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

スマートドライブとパナが物流車両の運行管理を行う「ETC2.0 Fleetサービス」実証、ETC2.0活用で新たな専用デバイス不要

スマートドライブとパナが物流車両の運行管理を行う「ETC2.0 Fleetサービス」実証、ETC2.0活用で新たな専用デバイス不要

「移動の進化を後押しする」をビジョンとするスマートドライブは9月7日、パナソニックとの共同事業として、物流車両を利用する企業向けに、ETC2.0を活用した運行管理サービス「ETC2.0 Fleetサービス」の提供を開始すると発表した。今回は、参加企業を限定した実証サービスとなっており、キャンペーン価格で提供する。9月7日から申し込み受け付けが開始している。

物流業界では、貨物量の急増と高齢化によるドライバー不足が深刻化しており、2024年4月に労働基準法の年間残業時間規制が開始されると、状況はさらに厳しくなるという。それに対応すべく車両管理を厳密化しようとすれば、運送事業者の負担が大きくなる。既存の運行管理サービスを利用して業務の効率化を図ろうとすれば、新規に専用デバイスを導入しなければならないなどの金銭的な負担が生じる。

そこで、スマートドライブとパナソニックは、すでに普及しているETC2.0を搭載している車両なら、新たにハードウェアを導入することなく運行管理が行える「ETC2.0 Fleetサービス」を開発した。

ETC2.0 Fleetサービスは、ETC2.0車載器に備わっている乗用車の経路情報や急ブレーキを把握する機能と、高速道路・直轄国道合わせて約4100基ある路側機を連携させて行うサービスという。

運行管理の実施により、車の稼働状況・業務状況の可視化が可能となり、走行履歴も見える化される。これにより、複数のドライバーの走行ルートを把握することで、配車を最適化するなどドライバーの業務効率化も図れるとしている。運行管理業務のデジタル化は、保有車両の台数や形態が適切かを見極めることにもつながり、保有車両台数の削減や配車最適化による業務効率の改善も期待できる。

またドライバーにとっても、運転日報の作成を補助する機能により記入の抜け漏れを防ぐことができるなどのメリットがある。

おもな機能は以下の通り。

車両位置の把握

高速道路や国道に設置された路側機からのデータを利用して、最新の車両位置を把握(車両位置や渋滞情報の更新にはタイムラグが発生するため、リアルタイムを保証するものではない)。渋滞情報などから到着時刻の予測が可能になり、荷待ち時間の削減にもつながる。

安全運転管理

ETC2.0に備わっている急ブレーキを感知する機能を利用し、危険な場所の把握や、ドライバーの安全運転指導が行える。

運転日報の作成補助

走行履歴が残るため、日報作成での記入漏れが防げる。過去の日ごとの走行履歴も一覧で確認可能。

ドライバーの高速時間管理

月間高速時間累計が上限の293時間に近づくと注意喚起がなされる。拘束時間累計の上限に近づくドライバーが出るとアラートで表示する。

運行履歴管理

過去の走行ルートや速度が示されるため、ドライバーの管理や配車計画の検討に役立つ。地図上に速度レンジを色分けして表示する。

同実証サービスでは、2021年12月末まで参加企業を募集するものの、社数が限定されているので早めにお問い合わせをとのこと。対象となるのは、高速道路を使った移動が多い業態、たとえば、センター間輸送、長距離輸送、高速バス、サービスエリアへの配送、高層道路メンテナンスなどを行う事業者だ。保有車両にETC2.0が装備されていなくても、ETC2.0車載器のリースが提供される。

参加を希望する場合は、まずは「https://lp.smartdrive-fleet.jp/FreeDEMO-Form.html」にアクセスして個別説明の予約を行う。希望時間を選択し、「ご要望・ご質問があればご記載ください」欄に「ETC2.0」と記載して予約してほしいとのことだ。

欧州でAmazon流のフルフィルメントと物流をeコマース企業に提供するByrdが約21億円調達

新型コロナウイルスをきっかけに始まったオンラインショッピングの盛り上がりは衰える気配がなく、ヨーロッパのeコマースは2021年30%の成長が見込まれている。このような需要に対応するため、欧州でインフラを構築して販売業者の受注や配送をサポートし、Amazonに代わるフルフィルメントサービスを提供しているスタートアップ企業が、事業拡大のための資金調達を発表した。

倉庫や物流業務を管理するソフトウェアを構築したり、オンラインストアの商品の保管、集配作業をサポートするサービスを行ったりしているByrdは、シリーズBとして1600万ユーロ(約20億9200万円)を調達した。すでに活動している5カ国に加え、東欧、北欧、南欧の5つの市場に拡大するために使用する予定だ。2016年にオーストリアのウィーンで設立されたByrdは英国、ドイツ、オランダ、フランスにも進出し、合わせて約15のフルフィルメントセンターと200の顧客を抱えており、その中にはDurex、Freeletics、Scholl、Your Superfoodsなど、ヘルス&ウェルネス、消費財、化粧品、ファッションなどのD2Cブランドが含まれている。

銀行大手のSantanderから2020年スピンアウトしたフィンテック / eコマース関連の戦略的ベンチャーキャピタルであるMouro Capitalが今回のラウンドをリードし、Speedinvest、Verve Ventures、Rider Global、VentureFriendsも参加した。Byrdは評価額を公表していないが、現在までで約2,600万ユーロ(約33億9900万円)を調達している。

Byrdが狙っている市場機会は成長しつつあり、規模だけでなく、小売業者の需要やフルフィルメントパートナーに求めるものも大きくなってきている。

eコマースは見かけによらず複雑なビジネスである。見かけによらずというのは、私たちが消費者として実際に目にするのは、欲しい商品を適切な価格で見つけることができ、クリックしてあまり面倒な手続きなしに購入し、理想的にはすぐに手元に届くという機能だけだからだ。

しかし、これらのことを可能にするためには裏方で多くのステップが必要で、そのほとんどが複雑であり、通常、一般的な小規模小売業者のコアコンピタンスではない。そのような業者はたとえ人々が欲しがっていると思われる製品を知っていても、それをどうやって届けるかがわからないのだ。そのようなステップには、マーケティング、決済、ユーザーインターフェースのデザイン、パーソナライゼーション、製造、その他のサプライチェーン、そして注文商品を顧客に届けるための物流やフルフィルメントなどがある。eコマースがより大きなチャネルへと成長していく中、これらのサプライチェーンに含まれるすべての部門がかつてないほど大きな可能性を秘めている。

一般的に、小売企業はこれらのサービスを提供するために第三者のテクノロジー企業を利用するが、ここでByrdが、企業の物流とフルフィルメントを扱う外注パートナーとして登場する。Byrdは、小売企業がフルフィルメント業務全体をByrdに委ねることができるよう、一連のAPIを構築している。

これには商品の受け取り、保管、集荷を行うByrdの倉庫との連携や、企業の販売ネットワークとの連携が含まれる。販売ネットワークには、企業のオンラインストアだけでなく、Amazonやその他のマーケットプレイスで商品が販売されている場合も含まれる。注文が入り商品を集荷して発送する際には、Byrdが自社の技術を駆使して、UPS、DHL、Amazon、postNLなどのさまざまな運送会社のネットワークを活用し、商品を購入者に届けるための最も安くて簡単な方法を見つけ出す。

このような事業を行っているのはByrdだけではない。Byrdと競合する他の独立系企業(最大手の1つであるShipBobは、先に10億ドル(約1101億2800万円)の評価額で2億ドル(約220億2520万円)の大型ラウンドを実施した)と並んで君臨しているのがAmazonだ。巨大eコマース企業であるAmazonは、(FBAによる)フルフィルメントだけでなく、オンラインストアでの視認性やマーケティングなど、さまざまなサービスを提供しており、売り手にとってのワンストップショップのような存在となっている。

Byrdの共同設立者兼CCOであるPetra Dobrocka(ペトラ・ドボロッカ)は、インタビューで次のように述べている。「Amazonは一般的に大きな市場シェアを占めているため、多くの販売店は、たとえ主に顧客獲得のためのチャネルとして使用するのであっても、Amazonを使わないというわけにはいきません」。

しかし問題は、Amazonのオプションや他の第三者プロバイダーの中には、パーソナライゼーションにそれほど対応していないものもあるということだ。実際、eコマースが成熟し、厳しい競争にさらされるようになると、eコマース事業者は自分たちが優位に立ち、他社と差をつけるための方法を模索するようになる。この問題についてもByrdが登場し、パッケージをカスタマイズすることで、実際にはByrdが提供するサービスであっても、顧客が直接サービスを体験できるようにしたり、持続可能な配送方法などのオプションも提供している。

これによりスタートアップ企業のスケールアップの速度が遅くなる可能性もあるが、サービスは品質の高いオプションとして提供されている。このことは、品質管理がまったく不十分であったり、市場の中で明確なアイデンティティが欠如していたりする場合には重要な意味を持つ。とりわけスケールアップを続けている場合はそうである。

「私たちはAmazonの代替サービスともいえますが、まったく違うものでもあります。当社の販売者は、ブランドを重視し、お客様にトータルな体験を提供したいと考えています。また、この点を評価してくださる小規模のお客様もいらっしゃいます」とドボロッカは語る。確かに、中小企業は大企業に比べるとサービスレベルを下げられてしまうことがよくあり、小規模な小売業者でも大企業のように扱ってくれるフルフィルメントサービスがあることはプラスだ。

これは、小売業者がよりはっきりとしたオンライン販売での存在感を出し、パーソナライゼーションを構築するのをサポートするテクノロジー企業が次々と登場しているという大きなトレンドの一環でもある。(2021年6月に資金調達を発表したオンラインストア・デザイン・プラットフォームのShogunも、このトレンドに乗ったスタートアップ企業の一例だ)。

これらすべての結果として、Byrdは非常に大きな成長を遂げ、収益は1年前に比べて300%増加し、月に数十万個の小包を取り扱うようになったという。

ByrdはB2Cを中心としたビジネスを展開しているが、それに近い領域であるB2BでもByrdは活躍できると考えており、ドボロッカによれば、今後数カ月のうちにB2Bビジネスもオンラインで登場する予定だ。また、次にどの国でフルフィルメントを構築するかは明らかにしていないが、Mouroの関与を考えると、スペインが次の国の1つになるのではないかと思われる。

Mouro CapitalのゼネラルパートナーであるManuel Silva Martínez(マニュエル・シルバ・マルティネス)は以下のように声明で述べている。「特に新型コロナウイルスの影響で、柔軟なデジタルeコマースフルフィルメントソリューションの必要性が高まっている中、ByrdのシリーズBの資金調達を主導できたことをうれしく思います。Byrdのエンド・ツー・エンドの能力、持続可能性への注力、そして有名ブランドの顧客は、競合他社とは一線を画しており、今回の投資による地理的拡大がもたらす成功を期待しています」。

画像クレジット:chain45154 / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供

物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供初期投資のいらないサブスクリプションで物流ロボットを提供するプラスオートメーション(+A)は8月19日、ZOZOの大規模物流拠点のひとつ千葉県のZOZOBASE習志野1において、「t-Sort」(ティーソート)2ユニットの導入を完了したことを発表した。ロボット280台を含む、大規模2段式ソーティングロボットシステムだ。

この導入は、月額定額制のサブスクリプション型の一貫サービス「RaaS」(Robotics as a Service。サービスとしてのロボティクス)という+A独自の形態で提供された。その特徴を活かし、当初はロボット50台規模からスタートし、課題抽出と改善を繰り返しつつ3カ月あまりで280台という本格稼働を実現させた。物流ロボットのサブスクを展開する「+A」がZOZO大型物流拠点に商品仕分けロボットシステム280台を提供

ソーティングロボットとは、物流倉庫で荷物の仕分けを行うロボットシステムのこと。+Aのt-Sortは、ロボットの走行ステージを2段にすることで、限られたスペースを有効活用しつつインダクション数とシュート数を倍増し、単位面積あたりの処理能力を大幅に向上させるというもの。運用にあたっては、+Aの庫内実行システム「+Hub」(プラスハブ)が用いられる。これによって直感的なロボット操作が行え、作業進捗確認や実績の可視化も可能になるという。

+Aは、三井物産と日本GLPの出資を受け2019年6月に設立。2020年9月には物流ソリューションプロバイダーの豊田自動織機への第三者割当増資も実施した。2021年8月19日現在累計ロボット導入台数は1000台を超えるという。

 

物流スタートアップ「souco」が冷凍冷蔵温度帯の荷物向けに全国一律料金の従量制保管サービス開始

物流スタートアップ「souco」が冷凍冷蔵温度帯の荷物向けに全国一律料金の従量制保管サービスを開始

物流スタートアップsouco(ソウコ)は8月13日、物流施設・倉庫の空きスペースを持つ企業とスペースを必要とする企業をマッチングさせるB2Bプラットフォーム「souco」での重量制保管サービス(全国一律料金)において、冷蔵冷凍温度帯の保管プランを追加したと発表した。

同社は、2019年6月にsoucoを正式に開始しており、倉庫提供アカウントと倉庫利用(荷主)アカウントの合計数は2000社超となっているという(2021年6月時点。倉庫提供企業のアカウント数と荷主企業のアカウント数の単純合計数)。

また2021年7月、荷姿がパレット・カゴ台車・段ボールの荷物について全国一律料金の従量制保管サービスを提供開始。今回冷蔵冷凍温度帯での保管プランを追加した。

料金のうち、保管料が1日1パレットあたり150円。入出庫料が1パレットあたり500円。荷姿はパレットのみ。利用にあたっては、soucoに利用相談をすると、soucoに登録されている倉庫から条件に合った最適な保管場所が提示される。利用を決めると、souco提供の入出庫管理システムにより、入出庫の指示・作業実績管理・在庫状況などの情報を一元管理できるようになる。さらに、荷主と倉庫提供者の双方がオンラインで作業ステータスの確認できるという。

souco料金表(抜粋)

souco料金表(抜粋)

サードパーティー・ロジスティクス(3PL)企業や物流事業者は、閑散期には所有している倉庫が空き、繁忙期には足りなくなるという悩みを抱えている。特に最近では先進的物流施設は規模が大きくなっているものの、余剰スペースの転貸や短期の賃貸借などの融通については貸す側と借りる側の直接の情報交換に頼っているのが現状だという。そこでsoucoは、物流施設の空きスペースと、荷主の荷物情報のデータベースを保有し、「1000坪以下の小ロットかつ、1カ月という短期でも」利用できるプラットフォームを提供して、双方の課題解決に努めているとのこと。

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在庫管理SaaSとECフルフィルメントで小売産業のDXを支援するロジクラが総額3.6億円の資金調達を実施
物流業界向けクラウドのHacobuが9.4億円調達、業界初のビッグデータ・ガバナンス体制立ち上げ

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アマゾンが1600億円以上を投じた米国の航空貨物ハブが運用を開始

米国時間8月11日、Amazonが15億ドル(約1657億5000万円)を投じた航空貨物ハブがノーザンケンタッキーで開業した。40拠点のネットワークを結び、スピードと利便性の向上が求められる配送のあらゆる面をコントロールしようとする取り組みだ。

シンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港にあるAmazon Air Hubは、同社の米国における貨物ネットワークの中心となる。このハブは4年以上にわたる計画と建設を経て開業した。Amazonは、米国のハブは最終的には1日12便を運航し、毎週数百万の荷物を取り扱う予定だと述べた。

このハブには、600エーカー(約2.4平方キロメートル)の敷地に80万平方フィート(約7万4000平方メートル)の仕分け用ビルがあり、敷地には他に7棟のビル、新しい駐機場、立体駐車場もある。

Amazonは、最終的に2000人以上をここで雇用するとしている。エアハブではロボティクステクノロジー、特に荷物の移動や仕分けをするロボットアームや建物内で荷物を運ぶモバイルドライブユニットも活用される。

Amazon Airは2016年にスタートし、40カ所以上のネットワークに成長した。2020年にAmazon Airはドイツのライプツィヒ・ハレ空港でヨーロッパのエアハブの運用を開始した。この施設の広さは21万50000平方フィート(約2万平方メートル)で、Amazonブランドのボーイング737-800型機が2機運航している。

Amazon Airはテキサス、プエルトリコ、フロリダに地域のエアハブも設けており、2021年中にカリフォルニア州のサンバーナーディーノ国際空港とシンシナティ・ノーザンケンタッキー国際空港にも拡大する計画だ。

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画像クレジット:Amazon

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

自律搬送ロボットを開発する福岡の匠がWMパートナーズなどから4億円調達

リフター&棚搬送GRIDのTiTraG

自律搬送ロボットの設計、開発を手がけるは2021年5月31日、WMパートナーズマーキュリアインベストメントから第三者割当増資で4億円を調達した。同社は2015年3月に福岡で「人々の豊かな生活のためのロボット活用」を目指して設立。自立型自動搬送ロボットの開発を手がけており、主に物流業界などにおける自動化、効率化を推進している。今回の資金調達で、新技術の開発を強化するとともに、より多くの顧客ニーズに対応した新製品開発を進めていくという。

同社は、搬送ロボットの企画から設計・開発、製造、アフターメンテナンスまでを一貫して提案するメーカーだ。代表取締役社長の後藤元晴氏自身、物流エンジニアリング事業を営む会社の経験があり、役員にも磁気誘導AGVメーカー経営経験のあるメンバーを配置。通常、ロボット導入には既存施設やシステムへの大幅改修をともなうことが多いが、匠では高いカスタマイズ性により1台からの試験導入にも対応可能であることを強みにしているという。

匠の後藤元晴代表

同社では、床面に碁盤目状に敷設した2次元コード読み取りで自動移動するGRID式、レーザセンスで壁や柱などを認識し地図情報と重ねながら移動するSLAM式の両タイプの開発に対応している。

積載型SLAMのTiTraS

さらに新型コロナウイルス感染拡大にともなう除菌ニーズの高まりには、オゾンを利用した自走式除菌ロボット「タクミクリン」を新規に開発。問い合わせは多く、福岡県宗像市役所への導入も決定している。

オゾン発生空気清浄ロボット「タクミクリン」

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:資金調達物流日本

自動運転トラック開発のTuSimpleが貨物ネットワーク構築に向けRyderと提携

2021年初めに上場した自動運転トラック開発のTuSimple(トゥーシンプル)は、自動運転トラック輸送をサポートする貨物ネットワークを構築する計画の一環としてRyder(ライダー)と提携した。

7月26日の週に発表した取引の下、Ryderの車両メンテナンス施設はTuSimpleの貨物ネットワークのためのターミナルとなる。AFNと呼ばれているTuSimpleの自動運転貨物ネットワークは、2024年までに米国中で展開されることになっている自動運転トラック輸送網のための配送ルートとターミナルの集合体だ。TuSimpleが上場する前に同社の少数株を獲得したUPS、運輸会社​​U.S. Xpress、Penske Truck Leasing、そしてBerkshire Hathawayのグローサリー・食品サプライチェーン会社McLane IncがAFNの立ち上げ時のパートナーだった。

TuSimpleのAFNは自動運転トラック、デジタルマッピングされたルート、貨物ターミナル、顧客が自動運転ロラックのオペレーションをモニターし貨物をリアルタイムで追跡できるシステムから構成される。

Ryderの施設は主に、TuSimpleのトラックがメンテナンスを受けたり、調整された自動運転システムが使われているセンサーを必要に応じて搭載したりできる戦略的ターミナルとして機能する。一部のケースでは、ターミナルは貨物をピックアップしたい小規模オペレーターのための移送ハブのようにも使われる。しかしこれは、TuSimpleの会長兼CEOのCheng Lu(チェン・ルー)氏によると、顧客がやって来て貨物をピックアップするハブ・ツー・ハブを意図するものではない。

「これらのトラックは修理やメンテナンスが受けられる必要があり、長い稼働時間を持っていなければなりません。これは、自動運転だろうがなかろうが、すべての運送業者が気にかけていることです」とルー氏は話した。

小規模の荷主と運送業者は、貨物のピックアップやドロップオフのためにこれらのターミナルを使うかもしれない。しかし大半の場合、特にUPSのような大規模オペレーターのために、TuSimpleは貨物を直接顧客の配送センターへ運ぶ。Ryderの施設はTuSimpleがより広範な地理的領域でより多くの顧客にリーチすることができるようになる結節点、あるいは停留場となる、とルー氏は付け加えた。

提携は徐々に導入される。TuSimpleは安全オペレーターが運転席に乗り込む50台の自動運転トラックを保有し、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州で顧客のために貨物を運んでいる。提携ではこれら地域にあるRyderの施設をまず使用し、米国中にあるメンテナンス施設500カ所へと徐々に拡大する。

TuSimpleは2021年後半にフェニックスとオーランド間で貨物を運び、東海岸へと事業を拡大する予定だと述べた。同社は新しいトラック25台を注文していて、納車され次第、車両群に加わる。

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タグ:自動運転トラックTuSimple物流

画像クレジット:TuSimpe

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Uber Freightが物流管理ネットワークのTransplaceを約2475億円で買収

規制当局への提出書類によると、2018年にUber(ウーバー)からスピンアウトした物流事業のUber Freight(ウーバー・フレイト)は、プライベート・エクイティ・グループのTPG CapitalからTransplace(トランスプレイス)を約22億5000万ドル(約2475億円)で買収した。7月22日に発表されたこの取引では、7億5000万ドル(約825億円)がUberの株式で、残りは現金で支払われる。

Transplaceの買収はUber Freightの事業増強を象徴する動きだ。同社は既存市場でのシェア獲得とメキシコでの事業拡大を目指している。また、今回の買収は、Uber Freightの収益性向上を加速させ、2022年末までに調整後EBITDAベースでの収支均衡を実現する手段であると考えている。

今回の買収により、貨物の配送を必要とする荷主とトラックドライバーを結びつけるUber Freightのプラットフォームに、最大級の輸送・物流管理ネットワークを組み入れることになる。Uber Freightによると、同社の仲介業務はTransplaceのサービスとは独立して運営を続けるという。

「これは、Uber Freightだけでなく、物流エコシステム全体にとって大きな前進です」と、Uber Freightの責任者であるLior Ron(ライオー・ロン)氏は声明で述べた。「これは、一流企業2社の相互補完的な、業界内で最高クラスの技術ソリューションと卓越したオペレーションを結集し、荷主のサプライチェーン全体を変革し、最も重要な時期にオペレーションの回復力を実現し、コストを削減する業界初の荷主間プラットフォームを構築する機会です」

TransplaceのCEOであるFrank McGuigan(フランク・マクギガン)氏は、買収によって荷主がより高い効率性と透明性を享受できるようになると期待している。「全体として、荷主および輸送業者の空荷を大幅に削減し、高速道路や道路インフラ、環境に利益をもたらすと期待しています」と話した。

Uber Freightは2017年にスタートした。2018年8月には独立した事業部に分離されたが、すぐに勢いを増し、より多くの資金を必要とすることになった。Uberからスピンオフした後、拡大を続けた。Uber Freightはアプリのデザインを変更し、荷物の検索やフィルタリングをカスタマイズしやすくする新しいナビゲーション機能を追加するなどの改善を行った。

Uber Freightはカナダと欧州にも進出し、またシカゴに本社を設置した。これは、数百人の労働者の採用を含め、シカゴ地域に年間2億ドル(約220億円)以上を投資するという親会社の広範な計画の一環だ。Uberは2019年9月に、今後3年間で2000人の従業員を同地域で新たに雇用し、そのほとんどがUber Freightで働くと発表した。

Uberは昨年、貨物事業(Uber Freight)の株式を売却した。同時に、ニューヨークに拠点を置く投資会社Greenbriar Equity Groupが率いる投資家グループが、同事業のシリーズA優先株式による資金調達に対し、5億ドル(約550億円)の投資を約束した。この取引では、ポストマネーベースで同事業が33億ドル(3630億円)と評価された。

UberはUber Freightの過半数の所有権を維持し、Greenbriarから得た資金を使って、トラックドライバーと運送会社との連携を支援する物流プラットフォームの拡大を続ける。

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画像クレジット:Uber Freight

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

ホンダと楽天が自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始、筑波大学構内および一部公道で実施

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

本田技術研究所(Honda)と楽天グループ(楽天)は7月19日、自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始したと発表した。実施期間は7月19日~8月31日。実施場所は、筑波大学構内の宿舎周辺と一部公道を含む全長約500m。

現在、コロナ禍により、ラストワンマイルにおける「遠隔・非対面・非接触」配送ニーズの増加、また少子高齢化に伴う配達員不足への対応といった社会課題が顕在化している。その解決に向け、Hondaが長年研究してきたロボティクス技術と、楽天の配送サービスのノウハウとを活用し、自動配送ロボットの検証を行う。

同実証実験では、Hondaが開発した自動配送機能を備えた車台に、楽天が開発した商品配送用ボックスを搭載した自動配送ロボットが、筑波大学構内(一部公道を含む)を自動走行する。電力源にはHondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)を採用しており、充電を待つことなく配送サービスの継続が可能という。

走行中は、楽天モバイルの通信回線(LTE)を用いて、宿舎周辺から最大約650m離れた地点から自動配送ロボットの遠隔監視などを安全確認のために実施する。

また同実証実験での技術検証・データ収集・ニーズ把握を踏まえ、自動配送ロボットを活用した商品配送サービスの提供を目指し技術開発を継続するとしている。

各社の役割

  • Honda:自動配送ロボットの機体とシステムの開発・仕様検討および技術実証
  • 楽天:安全面での対策の検討、商品配送用ボックスの開発およびサービス実用化に向けた検討

なお同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」による支援を受けて実施するものという。

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FedExがインドの物流システムのデジタル化を進めるDelhiveryに約110億円投資

世界の企業がインドでのプレゼンスを拡大しようとしている中で、物流大手FedEx(フェデックス)の子会社FedEx Express(フェデックス・エクスプレス)はインドのスタートアップDelhivery(デリバリー)に1億ドル(約110億円)を投資する。

IPOを数四半期内に控えているグルガオン拠点のDelhiveryは、7月16日に発表した今回の投資の2カ月弱前に2億2700万ドル(約250億円)を調達した。同社の評価額は現在30億ドル(約3300億円)だ。

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取引の一環として、DelhiveryとFedEx Expressは長期的な商業協定も結ぶ。FedEx Expressはインドの国際輸出入サービスにフォーカスし、DelhiveryはFedExに加えてFedEx Expressの国際プロダクトやサービスをインドマーケットで販売し、インド中でピックアップと配達サービスを提供する。FedExはインド国内事業に関連する特定のアセットをDelhiveryに移す。

「我々の目的は、インドとグローバルの企業、そして消費者に我々のネットワークへのユニークなアクセス、そしてテクノロジーとエンジニアリングの能力を通じて新たなプロダクトと機会をもたらすことです」とDelhiveryの共同創業者Sahil Barua(サヒル・バルア)氏は声明文で述べた。

Delhiveryはフードデリバリー会社として始まったが、2300超の市町村と1万7500の郵便番号区域をカバーするロジスティックサービスへとシフトした。同社は、貨物取引プラットフォームを通じてロジスティックの需給システムをデジタル化しようと試みているいくつかのスタートアップの1社だ。

画像クレジット:Bernstein

Delhiveryのプラットフォームは荷主、代理店、そして道路輸送ソリューションを提供している運送業者をつなげる。プラットフォームはブローカーの役割を減らし、Delhiveryで最も人気の輸送手段であるトラック輸送のようなアセットをより効率的なものにし、24時間営業を保証する、とDelhiveryは話す。

インドの経済発展を長らく妨げてきたロジスティクス産業の非効率性を解決するのにデジタル化は不可欠だ。稚拙な需給の計画と予測によってコストや窃盗、損害、遅延などが増えている、とBernsteinのアナリストは2021年6月にインドのロジスティックマーケットについてのレポートで書いた。

Delhiveryのウェブサイトによると、これまでに10億件を超える配達を行い「インド最大のeコマース企業や主要企業」と協業している。ウェブサイトにはまた、同社が1万を超える顧客と協業してきた、ともある。配達のラストマイルのために、同社の配達員は2平方キロメートル以下のエリアが割り当てられ、これにより配達員は配送回数を1日に数回に抑えて時間を節約できる。

インドのロジスティクスマーケットの獲得可能な最大市場規模は2000億ドル(約22兆円)を超える、とBernsteinのアナリストは指摘した。Delhiveryは2020年後半、パンデミックでより多くの人々がオンラインで買い物するようになり、増大する需要に対応するために車両台数を増やすべく、2年以内に4000万ドル(約44億円)超を投資する計画だと話していた。

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画像クレジット:Joel Saget / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

柔軟な処理能力を備えた自動運転技術の開発を進めるISEEがヤードトラックでハブの配送を自動化

ロボタクシーはまだ数年先になるかもしれないが、今日あるような自動運転車によって変革が可能な業界は他にもある。MITのスピンオフ企業であるISEEは、コンテナの仕分けや保管が行われている一般的な輸送ヤードで、その1つを見出した。このところ人間のドライバーの数が減ってきているが、今後は同社が専用に開発したロボット運転のヤードトラックがその作業を担うことになるかもしれない。新たな資金調達と大手荷主との提携により、ISEEは大きく成長を遂げる可能性がある。

船積場は物流業界の緩衝地帯だ。コンテナを満載した船からコンテナを降ろすとき、クレーンがコンテナを降ろした岸壁にコンテナをそのまま置いておくことはできない。時間に制約があるため、すぐにトラックアウトする必要があるが、あるコンテナは税関や検査を経て1週間施設に留まる必要があるかもしれない。あるいは、冷蔵保管されていて、電気と空気の接続が必要なコンテナもあるかもしれない。

このような状況はいずれも、プロのドライバーによって処理される。適切な場所まで数百メートルまたは数千メートルの距離を走る短距離トラックへの連結、電源のある空きスロットへの設置、長期保管、検査の準備に入るなどさまざまだ。しかし、ロジスティクスの多くの仕事と同様に、年々登録者が減少しているため、この仕事も人手不足に直面している。結局のところ、作業はかなり反復的であるが、特に容易というわけではなく、そしてもちろん、重い機器は危険をともなうことがある。

ISEEの共同創業者であるYibiao Zhao(イビャオ・ジャオ)氏とDebbie Yu(デビー・ユウ)氏は、物流業界はさらなる自動化を必要としており、特にコンテナヤードがその傾向にあると指摘する。「顧客と一緒に仕事をしていると、ヤードでの作業がいかに時代遅れなものかということに驚きます。基本的には人々が大声を上げているだけなのです」とジャオ氏はいう。「これを次のレベルに引き上げる大きなチャンスがあります」。

画像クレジット:ISEE

ISEEのトラックは完全にカスタム化されたものではなく、よくあるタイプのヤードトラックで、LiDARやカメラなどのセンサーを装備して360度の認識を持たせている。その仕事は、コンテナ(未処理のもの、そこが重要)をヤードのあちこちに運び、50フィート(約15m)のトレーラーを左右わずか1フィート(約30cm)のスペースしかない駐車スペースに戻すことだ。

「顧客は、まるで別のドライバーを雇うかのように、当社のソリューションを採用しています」とジャオ氏はいう。安全地帯を設ける必要はなく、ヤードで特別な配慮をする必要もない。ISEEのトラックは、障害物を避けながらインテリジェントに走行し、通り過ぎる作業員のために減速し、自動運転か人間による運転かにかかわらず、他のトラックのためのスペースを確保する。多くの産業機械や車両とは異なり、これらは安全を保ち、予測不可能な混沌とした交通の中で可能な限り安全に運転するように、現在の自動運転の状態を適応させることができるのだ。

人間のドライバーを超える自動化システムの利点は、こうした環境において特に顕著である。ヤードトラックのドライバーのやや特殊な制約の1つとして、運転席がキャビンの左側にあるため、十分によく見えるのは左側だけであり、トラックも左側にしか駐車できないことが挙げられる。もちろん、ISEEトラックにはそのような制限はなく、どちらの方向にも簡単に駐車できる。

画像クレジット:ISEE

効率性もまた、絶対確実な機械思考によって改善される。「ヤードには何百、何千ものコンテナがあります。人間は、何がどこにあるのか覚えていないことにより、ヤードを歩き回ってアセットを探すことに多くの時間を費やしてしまいます」とジャオ氏は説明する。だがもちろん、コンピュータは決して記憶を失わないので、ガソリンを無駄にしてヤードを回り、コンテナやそれを置く場所を探し回ることはない。

一旦駐車すると、別のISEE技術が電気や空気のために必要な接続を行うことができるが、これは悪い状況に置かれた人間のドライバーにとっては危険なステップとなり得る。

ロボットプラットフォームは一貫性も提供する。ユウ氏によると、人間のドライバーは訓練生の段階では能力が低く、慣れるまでに数年かかるという。「私たちは効率性について多くを習得しました」と同氏は語る。「これは基本的に顧客が最も気にかけていることであり、サプライチェーンはスループットによって左右されます」。

そのため、速度を調整することは興味深い課題であると同氏は指摘する。車両がより速く進むのは簡単だが、障害物があるときだけでなく、行き止まりのコーナーなどを注意して走行しなければならないときにも、必要に応じて減速できるようにするための意識が必要だ。

これは自律性を開発するための完璧な訓練の場だと言えるだろう、そしてそれこそが同社のアイデアである。

「今日のロボットは、極めて制約の厳しい環境下では、事前定義されたルールに従って動作します。しかし将来的には、自律走行車がオープンな環境で走行するようになるでしょう。私たちは、ロボットや自律走行車が不確実性に対処できるようにするための技術的なギャップを認識しています」とジャオ氏は述べている。

ISEE創業者(画像クレジット:ISEE)

「私たちは、複雑な人間の行動をともなう、比較的制約のない環境を必要としていました。コンテナヤードは、実際に理想的な関係を築くもの、つまり当社が提供する柔軟な自律性と敷地の組み合わせを実現するものであることに気づきました」と同氏は続けた。「ヤードは私有地であり、規制はなく、すべての車両はそこにとどまり、子どももいないし、ランダムな人々もいません。公共の高速道路のような長距離道路や交通量の多い通りもありません。しかし、単純なものではなく、ほとんどの産業環境同様に複雑です。密集し、混雑しており、歩行者やトラックが行き来しています」。

MITからのスピンアウトであり、論文やコンピュータビジョンの研究に強い基盤を有しているが、これは理論上のビジネスではない。ISEEはすでに、Lazer SpotとMaerskという2つの主要な荷主と協働している。両社とも数百のヤードと約1万台のトラックを所有しており、その多くまたはほとんどがISEEによって自動化される可能性がある。

現時点で同社はパイロット段階を終えており、Maerskと協力して1ヤードで数台の車両を稼働させている。Maersk Growth FundもISEEに投資しており、その額は公表されていないが、近い将来に買収の可能性も浮上している。しかし、当面の計画としては、技術とサービスを拡大し、改良することに注力し、ISEEと将来の競合他社との差を広げることを目指している。

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)

NTTドコモが「空の産業革命」実現にらみドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」日本初提供、月額4万9800円

NTTドコモが日本初のドローン向け新料金プラン「LTE上空利用プラン」提供、月額4万9800円NTTドコモが日本初となるドローン向け新料金「LTE上空利用プラン」の提供を開始しました。

同プランは、月額4万9800円(税込)で上空におけるLTE通信を120GBまで利用可能。また、同プランの契約者がドローンを利用する際に、利用場所や日時・台数・高度などを事前に予約できる「LTE上空利用予約」もセットで提供します。

従来、上空のモバイルネットワーク利用は、地上で利用する電波への干渉を避けるため、電波法のもと限定的な利用となっていました。

しかし、官民が提唱した「空の産業革命」のもと、上空での送信電力制御や、上空で利用する周波数帯の限定などを条件に、2020年12月に上空におけるモバイルネットワーク利用を拡大する制度が整備されました。

今回、同プランを活用することで、目視外への長距離飛行やリアルタイムデータ伝送も可能となり、広範囲の農薬散布や生育監視、遠隔地への長距離物流、災害発生時における遠隔地のリアルタイム映像伝送など、幅広いシーンに活用できるといいます。

なお、携帯キャリアがドローン向けの専用プランの提供を開始するのは国内初。ドコモは7月16日・19日に開催する5Gソリューションの展示会「docomo 5G DX MEETUP for business」に同プランおよびサービス内容の詳細を出展します。

(Source:NTTドコモEngadget日本版より転載)

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フィジカルインターネットを見据えるモノフルが東大先端科学技術研究センター「先端物流科学寄付研究部門」参画

パートナー企業との協業や様々なソリューションの組み合わせで物流業界を支える「ロジスティクス・エコシステム」を推進するモノフルは6月30日、高度物流人材の育成を支援するため、東京大学先端科学技術研究センターの「先端物流科学寄付研究部門」に参画すると発表した。

モノフルは、物流施設の開発・管理・運用を行うGLPの日本法人「日本GLP」のグループ会社の出資により2017年に創設された。物流施設や工場におけるトラックの長時間待機問題を解消し効率的な運用を行う「トラック簿」、配車や集車を効率化する「配車プラス」、倉庫スタッフの人材確保と管理を行う「適材ナビ」といった物流SaaSを展開し、オープンな業務提携、プロダクト連携、スタートアップ投資などを通じて物流業界の課題解決に取り組んでいる。

東京大学の「先端物流科学寄付研究部門」は、ヤマトホールディングス、SBSホールディングス、鈴与といった大手物流企業と日本政策投資銀行からの寄付で2019年に設立され、西成活裕教授をリーダーに、企業の枠を超えた物流やサプライチェーンの最適化研究を行っている。「従来とは異なる科学的視点で、ビッグデータやAI、IoT、ブロックチェーンなどの新技術を活用し、サイエンスで物流の未来を創ることのできる高度物流人材」の育成を目指している。

モノフルは、インターネットでデータを送るように物を運ぶという、次世代の物流の形として注目されている「フィジカルインターネット」において、「シェアリング、ルーティングなどの高度な技術的視点を持った人材」の育成が不可欠と考えていた。それが「先端物流科学寄付研究部門」の取り組みと一致したことから、参画を決めたという。

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カテゴリー:EdTech
タグ:東京大学(組織)フィジカルインターネット(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)モノフル(企業)日本(国・地域)

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ハイネケンがキンキンにビールを冷やしながら自走するクーラーボックスロボ「B.O.T」発表

ハイネケンがキンキンにビールを冷やしながら自走するクーラーボックスロボ「B.O.T」発表

Heineken

ビール大手ハイネケンの米国法人が、缶ビール用自走式クーラーボックス「Heineken B.O.T.」を発表しました。B.O.T.とは、Beer Outdoor Transporterの略。B.O.T.には缶のハイネケン12本を氷と共に収納でき、持ち主の後ろに付いて走行する機能を備えます。

つまりこれさえあれば、これからの季節、ビールを冷やしているクーラーボックスを駐車場からBBQをしている場所まで抱えて歩き、腰を痛めることがなくなる…というわけです。

ハイネケンは、B.O.T.にはピクサーの映画『ウォーリー』の主人公ロボットのような「チャーミングなAIパーソナリティ」を備えていると述べ、どういう仕組みか不明ながら、夏の暑さのなか人の喉の渇き具合をチェックすると主張します。要するに、目の前の人を常に監視して、後を追いかけるように作られているということのようです。

B.O.T.の外観はハイネケンカラーに彩られていることを除けば、ここ最近よくテクノロジー系ニュースで取り上げられている、食料品などの”ラストマイル”自動配送用の出前ロボットのようにも見えます。ただ、車輪で走行する以上、砂利浜や河原、段差のあるキャンプ場などでは思うように走行できないかもしれません。とすると、よく整備されたプールサイドなどでの使用になら向いていそうですが、自宅にプールがある海外ならともかく、日本ではなかなか上手く使える場所を探す方が難しそうです。

ハイネケンがキンキンにビールを冷やしながら自走するクーラーボックスロボ「B.O.T」発表

Heineken

まあ、どちらかと言えば実用性よりも見た目の面白さと、こうしたニュースで露出することによる宣伝効果のための製品といえるかもしれません。ハイネケンはB.O.Tを商品として販売する予定はなく、わずかな数を7月1日からのキャンペーンに応募、当選した人にプレゼントするとのこと。残念ながら応募対象者は米国の方々です。

(Source:HeinekenEngadget日本版より転載)

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Waymoが米テキサスで自動運転トラックのテストを物流大手J.B. Huntと共同実施へ

Waymo(ウェイモ)は、輸送・ロジティクスの主要顧客であるJ.B. Hunt Transport Servicesのために貨物を運搬する計画だ。2社がいう「テストラン」が米国で最も交通量が多い商業回廊で実施される。

Waymoのトラッキングと貨物輸送サービスWaymo Viaが州間高速道路45号線を使ってテキサス州のヒューストンとフォートワース間で荷物を輸送する。トラックはWaymo Driver自動走行プラットフォームで動くが、Waymoの「自動走行スペシャリスト」、ライセンスを持つトラックドライバー、そしてソフトウェア技術者がオペレーションをモニターするために各トラックに乗り込む。

J.B. Huntと、Alphabet傘下のWaymoが協業するのは今回が初めてではない。両社はここしばらく自動走行トラックの試験展開のために準備してきたようだ。

「我々はここしばらくオペレーションとマーケット調査でJ.B. Huntと緊密に連携を取っていて、自動走行テクノロジーを展開するために今後も協業を続けます」とWaymoはブログへの投稿で述べた。「長期の準備に備えて、通常のメンテナンスのための最善のプラクティス、今後の施設レイアウトがどのようなものか、どのレーンが自動走行テクノロジーに最適かなどを探ります」。

Waymoはこのテストランで何台のトラックを使用するのかTechCrunchと情報を共有するのは却下したが、広報担当は「どのように協業できるか、共同で長期計画を立てるという目標を持った」期間限定のパイロットとなる、と話した。

Waymo Driverはレベル4プラットフォームであり、理論的に人間のセーフティドライバーが運転席に乗り込まなくても走行できるが、それは(天候がいいなど)特定の条件下に限定される。

WaymoはDaimlerトラックにWaymo Driverを搭載するためにDaimler Trucksとも提携した。この他に電動ロボタクシーの開発でVolvoと、自動貨物バンの開発でFiat Chrysler Automobilesとも提携している。

関連記事:Waymoとボルボが電気ロボタクシー開発で「独占」提携

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タグ:Waymoロジスティクステキサス自動運転トラックJ.B. Hunt

画像クレジット:Waymo

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi