セブン-イレブンとNuroがカリフォルニアで自律走行による配送サービスを試験的に開始

コンビニエンスストア大手の7-Eleven(セブン-イレブン)は、Nuro(ニューロ)と提携し、シリコンバレーの中心地であるカリフォルニア州マウンテンビューにおいて、自律走行車による商業配送サービスを試験的に開始する。

このサービスは、米国時間12月1日からセブン-イレブンの配送アプリ「7NOW」で利用できるようになり、最初はNuroの自動運転のプリウスを使用する。最終的には、人ではなく荷物だけを運ぶために特別に作られたNuroのR2配送車を使用する予定だ。

セブン-イレブンは、これまでにも自律走行による配送の実験を行ってきた。2016年には、ネバダ州リノで、ドローン企業のFlirtey(フリルティ)と共同で自律配送の実験を行った。今月、韓国でセブン-イレブンの店舗を運営する同社は、地元のスタートアップ企業であるNeubility(ノイビリティ)が開発した歩道用配達ロボットを使用したテストをソウル南部地区で開始した。

Nuroとの提携は、研究開発ではなく商用サービスとして行われる。しかし、同社の広報担当者は、やはりこれを試験的なものと表現している。これは商業事業になるが、少なくとも最初は限定的なものになるだろう。

Nuroは、他の多くの企業と同様に、商業事業を開始するための規制や技術的なロードマップを何年にもわたって通過してきた。Nuroは2020年12月に、カリフォルニア州の公道で商用のドライバーレスサービスを運営するために必要な最終的な必要許可を得た後、2021年初めに商用配送業務を開始する予定であることを示唆していた。それが遅れ、今になってキックオフされたようだ。Nuroは、カリフォルニア州の自動車局から許可を得て、この規制のハードルをクリアした最初の企業だった。

その際、Nuroは予定されている商業パートナーや都市の名前を挙げていなかった。同社が地元のマウンテンビューを最初のスタート地点として選んだのは、理に適っている。

Nuroはこれまでに、Kroger(クローガー)やFedEx(フェデックス)など、カリフォルニア以外の地域でも数多くのパイロットを行ってきた。

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また、マウンテンビュー以外の地域に進出する時期や、最初に進出するセブン-イレブンの店舗についても、具体的なスケジュールは決まっていない。この町にはいくつかの店舗があるが、今のところ、客がスラーピーやスナックを配達してもらえるのは、マウンテンビューの1905 Latham St.にあるセブン-イレブンだけとなる。将来的には、より多くの郵便番号に対応するよう拡大する意図があると、Nuroの広報担当者はTechCrunchへのメールで述べている。

Nuroは、R2ボットに切り替える時期についても明らかにしていなかったが、それが最終的な目標だ。広報担当者によると、Nuroとセブン-イレブンは、R2を宅配便に導入する共同決定をできるだけ早く行うという。

今のところ、顧客は7NOWアプリでドリンクやスナックを注文すると、マウンテンビューで午前8時から午後9時までの間、追加料金なしでNuroの自律走行車が配達してくれる。注文が処理されると、他の配送アプリと同様、アプリからアップデートが送られてくる。両社によると、注文は約30分で届くとのことだ。なお、アルコール、たばこ、宝くじなどの年齢制限のある商品は、自律走行車による配送では利用できない。

今回の提携は、Nuroが新たな投資家であるTiger Global Management(タイガー・クローバル・マネジメント)を中心とした資金調達ラウンドで6億ドル(約678億円)を調達したと発表してからわずか数週間後のことだった。同社は、この資金を商業活動の強化に充てるとしている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

GMの自動運転部門Cruiseがロボタクシーを「どのように」実現するのかを発表

米国時間11月4日の夜、Cruise(クルーズ)の自律走行技術の詳細について語ったエンジニアたちがTesla(テスラ)の名前を口にすることはなかった。あるいはそうする必要もなく、明確なメッセージが伝えられたのだ。

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転部門であるCruiseが、極めて詳細な技術および展開ロードマップを発表した。これは高度な運転支援システムを搭載した車両を含め、人間が運転するどんな車両よりも安全で拡張性の高い自律走行車を同社がいかにして構築してきたかを誇示することを目的としたものである。

イベントでCruiseが自社の技術をアピールしていたのはもちろんだが(当然のことながら才能ある人材のリクルートのためでもある)、同時にこのイベントは自律走行車全般についての議論の場ともなっていた。木曜日に登壇したエンジニアやプロダクトリーダーらは、シミュレーションの利用方法や独自のチップなどのハードウェア開発、アプリや車両の設計などさまざまな要素を紹介してくれた。

「Under the Hood」とブランディングされたこのイベントは、2021年10月に開催されたGMの投資家向け説明会でCEOのDan Ammann(ダン・アマン)氏が、Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)の改良版を皮切りに、数年後には各目的に合わせた自律走行車Origin(オリジン)を何万台も展開して、商用のロボットタクシーや配送サービスを開始する計画を明らかにしたことを受けて開催されたものである。

Cruiseはカリフォルニア州で商業配送サービスの認可を取得したばかりで、さらにドライバーレスのライドヘイリングとして課金できるようになるにはまだもう1つ別の許可が必要だ。それでもCruiseはコストを十分に削減して、迅速にスケールアップしていくことができると考えている。

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その方法は以下のとおりだ。

システムの検証だけではなく、スケールアップのためにシミュレーションを利用する

Cruiseはシミュレーションを多用しており、それは安全性を証明するためだけでなく新しい都市で何百万マイルものテストを行うことなくスケールアップするためでもある。

同社は進出する都市の地図を作成する必要はあるものの、車線変更や道路閉鎖など、必然的に起こる環境の変化に合わせて都市を再マッピングする必要はない。Cruiseが新しい都市に進出する際には、まずWorldGenと呼ばれる技術を使用する。これは「予測できないような道から細部に至るまで」都市全体を正確かつ大規模に生成するもので、これによりエンジニアが新しいオペレーションデザインの領域を試すことができるのだと、Cruiseのシミュレーション部門の技術戦略リーダーであるSid Gandhi(シド・ガンジー)氏は話している。つまりWorldGenは未来のシミュレーションが行われる舞台となるものなのである。

最適な環境を作り上げるため、Cruiseは24の異なる時間帯の明るさや天候などを考慮し、さらにはサンフランシスコに設置されたあらゆる街灯の光を体系的に測定した。

「高忠実度の環境とプロシージャルに生成された都市を組み合わせることで、新しい都市に向けて効率的にビジネスを拡大することができます」とガンジー氏は話す。

そして次に同氏は道路上で自律走行車が収集した実際の事象を、編集可能なシミュレーションシナリオに変換する「Road to Sim」の技術を紹介した。これにより、すでに見たシナリオと比較してテストすることで自律走行車が逆行しないようにするという仕組みである。

「Road to Simでは、知覚から得られる情報と、何百万マイルもの実走行から得られたヒューリスティックな情報を組み合わせて道路データから完全なシミュレーション環境を再現します。シミュレーションができたら、実際にイベントのバリエーションを作成し、車両や歩行者のタイプなどの属性を変更することができます。これは、AV開発を加速させるテストスイートを構築するための、非常に簡単で非常に強力な方法です」。

Cruiseが実際の道路状況で収集できていない特定のシナリオのためにはMorpheusがある。Morpheusは地図上の特定の場所に基づいてシミュレーションを生成できるシステムで、機械学習を利用して必要なだけパラメータを自動入力し、何千もの特殊なシナリオを生成してそれに対して自律走行車をテストするというものである。

「特殊な状況の解決に向けての実地テストは減少傾向にあります。なぜなら滅多に起こらないイベントを適切にテストするために何千キロもの距離を走らなければならず、拡張性に欠けるからです。そのため私たちは、大規模なパラメータ空間をスケーラブルに探索してテストシナリオを生成する技術を開発しているのです」。

テストシナリオには、他の道路利用者が自律走行車に反応する様子のシミュレーションも含まれている。Cruiseのこのシステムはノンプレイヤーキャラクター(NPC)AIと呼ばれており、これは通常ビデオゲーム用語なのだが、この文脈では複雑なマルチエージェントの行動を表現するシーン内すべての車や歩行者を指している。

「Morpheus、Road to Sim、NPC AIの3つの機能が連携することで、まれに発生する困難な事象に対してより確実なテストを行うことができるようになりました。これにより、現在ある特殊な問題を解決できるだけでなく、将来の類似した問題も解決できるという確信を得ることができました」。

ガンジー氏は、合成データを生成することで、Cruise の自律走行車が特定のユースケースをターゲットできるようになると述べ、特に緊急車両の識別や相互作用について言及した。これは、ADAS(先進運転支援システム)のAutopilotが緊急車両との衝突を繰り返しているとして連邦政府の監視下に置かれているTeslaを意識したものに違いない。

「緊急車両は他の種類の車両に比べて稀ですが、極めて高い精度で検出できる必要があるため、当社のデータ生成パイプラインを使用して救急車、消防車、パトカーのシミュレーション画像を数百万枚作成しています。我々の経験では、ターゲティングした合成データは道路データを収集する場合よりも約180倍速く、数百万ドル(数億円)も安くなります。また、合成データと実データを適切に組み合わせることで、データセット内の関連データを1桁以上増やすことができます」とガンジー氏は説明している。

自社開発の2つのカスタムシリコンチップ

10月に開催されたGMの投資家説明会にて、CruiseのCEOであるアマン氏は、Originの計算能力に多額の投資を行い、今後4世代にわたってコストを90%削減し、利益を上げられるようにするという計画を説明した。その際アマン氏は、コスト削減のためにカスタムシリコンを自社で製造するという意向には触れたものの、そのシリコンを使ってチップを製造するということについては表明していない(TechCrunchは予測していたのが)。しかし11月4日、OriginプログラムのチーフエンジニアであるRajat Basu(ラジャット・バス)氏はこの説を実証してくれた。

「当社の第4世代コンピュートプラットフォームは、社内で開発したカスタムシリコンをベースとする予定です。これは当社のアプリケーションに合わせて作られたもので、フォーカスを可能にして処理能力を向上させるとともに、ピースコストと消費電力を大幅に削減しています。コンピュートは安全性の観点からも重要なシステムであり、冗長性が組み込まれています。それに加えて毎秒10ギガビットのデータを処理するAVシステムでは、かなりの電力を消費することになります。当社のMLHチップを使うことで複雑な機械学習パイプラインをより集中的に実行することができ、それにより性能を落とさずにエネルギー効率を上げることができます」とバス氏は説明している。

CruiseのAIチームは2つのチップを開発している。センサー処理チップは、カメラ、レーダー、音響などの各種センサーのエッジ処理を行うもので、2つ目のチップは、ニューラルネットワーク専用のプロセッサーとして設計されており、AIチームが開発した大規模なマルチタスクモデルのような機械学習アプリケーションをサポートし、加速するものである。バス氏によれば、この機械学習加速装置(MLA)チップは、特定のクラスのニューラルネットやMLアプリケーションを解決するのにまさに適したサイズであるという。

「これによりパフォーマンスを極めて高いレベルで維持することができ、当社にとって付加価値のないことをするためにエネルギーを浪費しないようにしています。複数の外部ホストと組み合わせることも、スタンドアロンで動作させることも可能で、最大25Gまでのシングルイーサネットネットワークをサポートし、総帯域幅は400Gに達します。今回量産を開始するMLAチップはほんの始まりに過ぎません。今後時間をかけて消費電力を抑えながら、さらなる高性能化を進めて参ります」。

Cruiseのエコシステム

今回のイベントでCruiseが明らかにしたのは、成功裏にスケールアップするために必要な自律走行車技術だけでなく、未知のシナリオに遭遇したときの自律走行車の判断を検証するリモートアシスタンスオペレーターやカスタマーサービスの他、人々が実際に乗ってみたいと思う車両、カスタマーサポートや事故対応などを効率的かつ容易に処理できるアプリなど、エコシステム全体を考えているということである。

Cruiseのプロダクト担当副社長であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏は同イベントで次のように述べている。「研究開発を愛される製品へと進化させるためには、人工知能やロボット技術以上のものが必要です。安全な自動運転車というだけでは不十分であり、これは長い道のりの最初の一歩に過ぎません。何百万人もの人々の日常生活に取り入れられるような競争力のある製品を構築し、拡張するためには、安全な自動運転という基盤の上に多数の差別化された機能やツールを構築する必要があります。こういった機能をどのように実装すべきかは、特に安全性の問題にまだ頭を悩ませている企業にとっては明白ではないでしょう」。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

テスラが完全自動運転のテスターに事故時の映像収集の許可を求める

Tesla(テスラ)の最新のFSD(Full Self-Driving、完全自動運転)では、事故や「重大な安全上のリスク」が発生した場合に、車外と車内のカメラで撮影された映像を同社が収集することへの同意をドライバーに求めている。Electrekの報道によると、同社が特定の車両とドライバーに映像記録を求めるのは初めてのことだ。

TeslaはこれまでにもFSDの一環として映像を収集してきたが、それはAI自動運転システムの訓練と改善のためにのみ使用されていた。しかし、今回の新契約によると、同社は映像を特定の車両に関連づけることができるようになる。「FSDベータを有効にすることで、私は、重大な安全リスクや衝突などの安全に関する事案が発生した際に、Teslaが車両の外部カメラやキャビンカメラからVIN(車両識別番号)に関連する画像データを収集することに同意します」と契約書には書かれている。

FSDベータ版を有効にすることで、私は、重大な安全リスクまたは衝突のような安全に関する事案が発生した場合に、Teslaが車両の外部カメラおよびキャビンカメラからVINに関連する画像データを収集することに同意します。

Electrekが指摘するように、この文言は、FSDシステムが事故の原因とされた場合に備えて、Teslaが証拠を確保したいことを示していると考えられる。また、重大な問題をより迅速に検出し、修正するためにも使用される可能性がある。

FSD 10.3は、これまでのベータ版よりも広範にリリースされたが、不当な前方衝突警告や予期せぬ自動ブレーキなどの問題が発生したため、すぐに撤回された。当時、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、このような問題は「ベータ版ソフトウェアでは予想されること」とツイートし「社内QAですべてのハードウェア構成をすべての条件でテストすることは不可能であり、それゆえ公開テストを行う」と付け加えた。

しかし、公道を走る他のドライバーも、知らず知らずのうちにベータテスターになっている。米国道路交通安全局は、11月3日にカリフォルニア州ブレアで発生した事故について、FSDが原因で衝突事故を起こしたというドライバーの訴えを現在調査している。このオーナーは、FSDが原因でModel Yが誤った車線に入り、他の車に衝突して双方に大きな損害を与えたと主張している。

Teslaは、ドライバーセーフティースコアが98点以上のさらに多くのユーザーに新しいベータ版をリリースする。これまでベータ版のリリースは、スコアが100点満点のドライバーに限られていた。同社は、この機能を利用するために月々199ドル(約2万3000円)、または一括1万ドル(約115万円)をドライバーに課しているが、約束していた自律走行実現の期限を守れなかった。現在、FSDシステムはレベル2とされており「完全な自動運転」に必要なレベル4には程遠い。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国の新興EVメーカーXpengが海外進出、ノルウェーを足がかりに多くの欧州市場を目指す

Nio(ニオ)と同様に、中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)も海外展開を開始した。しかし、ノルウェーで派手なキャンペーンを展開したライバルとは異なり、Xpengは2021年10月にスカンジナビアの国で静かにスタートした。

同社はノルウェーで、SUVの「G3」とセダンの「P7」の出荷を開始した。2022年にさらに多くの欧州市場に参入することを目指していると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

Xpengが海外展開を控えめにしているのは、おそらく11月18日発表した最初の「国際的」モデルであるSUVの「G9」の発売を待っていたからだろう。

「G9は、国際市場と中国市場の両方に向けて一から構想を練って開発された当社初のモデルであり、当社の最も洗練されたデザインを世界中の顧客にお届けします」と、同社の共同創業者で社長のHenry Xia(ヘンリー・シャ)氏は11月19日の自動車展示会で述べた。

このSUVは、Xpengの4番目の生産モデルであり、同社の最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した初のモデルとなる。Xpilot 4.0と呼ばれるこのADASは、2021年10月のTech DayでXpengが説明したように、都市部での運転を想定して作られている。Xpilot 4.0を乗用車に搭載するのは野心的であり、完全な自律走行に近づくために「車両の始動から駐車まで」を支援することを目的としている。

Xpilot 4.0のコンピューティングパワーは、2つのNVIDIA Orin-Xシステムオンザチップユニットで構成されている。そのハードウェアには、カメラ、ライダー、ミリ波レーダー、3D視覚認識ネットワークが組み込まれている。

言い換えると、G9にはセンサーが何層にも重なっていることになる。しかし、Xpengはそれらを目立たないようにしている。例えば、デュアルライダーユニットはヘッドライトに組み込まれている。従来、ライダーは量産車には高価なものだったが、Xpengや業界関係者はセンサー技術を手頃な価格にすべく取り組んでいる。

この件に詳しい人物によると、G9が中国で発売されるのは2022年の第3四半期で、そのため欧州の顧客がSUVを試すことができるのは2023年以降になりそうだ。

一方、Xpengは、高度な自律走行乗用車を国際展開できるようにするために多くの課題を抱えている。同社は、ターゲットとする市場で充電ネットワークを構築する必要があるが、このプロセスは新型コロナウイルス感染症で中断されがちだ。また、Xpilotは高精細な地図に頼っているため、おそらく中国国内のナビゲーション会社との連携が必要になる。

また、Xpengはスマートカーの安全性について、各国政府から疑問を投げかけられるかもしれない。自動車の自動運転に対する各国政府の姿勢は異なり、Tesla(テスラ)のADASが絡んだ衝突事故の件で、この技術が準備万端かどうか懐疑的な見方が強まった。

Xpengはこの点に関していくつかの準備をしている。例えば、ドライバーにXpilotを起動させる前に、ドライバーをテストして安全性のスコアを与えることにしている。また、車両に搭載されたモニタリングシステムがドライバーの審査を行い、ドライバーが無責任な行動をしていると判断した場合には、Xpilotへのアクセスを取り消すこともある。

その他の仕様

G9は、Xpengの「スーパーチャージャー」に対応している。このスーパーチャージャーは800Vの高電圧の量産型SiC(シリコンカーバイド)で、5分もかからず最大200km走行分を充電することができる。

また、G9には故障カ所を特定できる「故障検知」システムが搭載されている。そして、システムは在庫があるサービスセンターを表示するとともに、修理時間と費用の見積もりも案内する。

最後に、G9にはギガビット・イーサネット通信アーキテクチャが採用されていて、より高いレベルの自律走行、スマート・コックピット、OTAアップグレードのために「通信とサポートを向上」している。

画像クレジット:Xpeng’s G3

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

アップルは完全な自動運転車の2025年販売を目指すとの報道

Apple(アップル)は、長年開発を進めてきた電気自動車の焦点をより明確にしようとしているのかもしれない。Bloombergの報道によると、Appleは現在、半自動運転機能を備えた従来型の車両ではなく、完全な自動運転車に関心を移しているという。新しいプロジェクトリーダーであるKevin Lynch(ケビン・リンチ)氏は、最初のモデルを自分で運転することを望んでいると関係者は述べています。

同社は、それに合わせて計画を加速させているという。Appleは最近、5〜7年後の発売を目標にしていたが、関係者によると現在、2025年つまりわずか4年後を目指しているとのことだ。しかし、この計画は「流動的」であり、予定どおりAppleが完全な自律型システムを完成させることを軸にしている。同社は、自動車のプロセッサーに関する「中核的な仕事」の多くを終えたとされる。

また、Appleは、ラウンジのようなシート、中央にタッチスクリーンのインフォテインメントシステム、そしてハンドルもペダルもない「理想的な」インテリアを念頭に置いているとの情報もある。さらに緊急時用の引き継ぎ運転モードも検討されているとのことだ。

Appleはコメントを控えている。この新しい優先事項は、役員の退任弱気なパートナーなどでこれまで何度も挫折を経験してきたプロジェクトに役立つことになるだろう。また、VWのように、同時期に完全自動運転またはそれに近い自動運転を提供することを計画している既存の自動車メーカーと肩を並べられるかもしれない。しかし、完全自動運転には、予測が難しい交通事情や雪などの天候問題など、多くの課題がある。Appleがクルマの発売を遅らせたり、少なくとも運転手に一定の条件で運転を代わってもらう必要があったとしても不思議ではない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のJon FingasはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunchCron

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(文:Jon Fingas、翻訳:Katsuyuki Yasui)

Baiduのロボットタクシーサービス、2030年までに100都市での展開を目指す

Baidu(バイドゥ)は、自律運転の実現に向けた取り組みを強化している。中国のテック企業Baiduは、検索エンジンでその名を知られ、現在も収益を検索広告に大きく依存している。しかし、同社は自律運転への大きな賭けが将来的に報われることを期待している。

BaiduのロボットタクシーサービスであるApollo Goは、2025年までに65都市、2030年までに100都市での展開を目指していると、Baiduの共同創業者でCEOのRobin Li(ロビン・リー氏)は現地時間11月18日のアナリスト向け電話会議で語った。

これは、Baiduが大量のライセンスを現地の規制当局から取得しなければならないことを意味する。そして最終的には、これらの許可のうちどれだけがApollo Goに商業活動を許可し、サービスが実際にどれだけの乗車数を集めることができるかが、このビジネスの持続可能性を左右することになる。

今のところ、リー氏はBaiduが「おそらく乗車数では世界最大のロボットタクシーサービスプロバイダーである」と見積もっている。第3四半期だけで、Baiduは11万5000回の乗車を提供しており、同氏は第4四半期の乗車数を「みなさんが世界のどこかで耳にする報告数よりもはるかに多い」と予想している。

運転技術の向上という点では、Baiduはこれまでに1600万キロメートル以上のL4(自走式)走行距離を達成している。これは、第1四半期の報告書に記載された620万マイル(約997万キロ)から増加している。

しかし、これらの膨大な数字は、閉鎖された地域の指定ルートではなく、交通量の多い都市部の道路で実際にどのくらいの走行が行われているのかがわからなければ、意味がない。

中国の多くの自律運転車企業と同様に、Baiduもロボットタクシー事業を展開する一方で、先進的な運転支援技術を自動車メーカーやOEMメーカーに提供している。

Baiduは2017年から、オープンソースのApolloプラットフォームを通じて自動車会社に運転ソリューションを提供している。同プラットフォームは数百の企業ユーザーを蓄積しているが、同社は特定のパートナーとの緊密な関係を育んできた。例えば、中国のGeely(ジーリー)と合弁会社を設立して電気自動車メーカーのJidu Auto(ジドゥ・オート)を設立し、パートナー企業が500億元(77億ドル/約8940億円)を出資している。

画像クレジット:Baidu

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

自動運転トラック界、最後の非上場企業として投資家の注目を集める「Kodiak」

シリコンバレーで最後の株式非公開企業の1つであるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)が、新たに1億2500万ドル(約142億円)の資金を調達した。この資金は、商業化に向けて従業員を倍増させるために使用される。

募集を超えた応募があった今回のシリーズBラウンドは、出資者の数が非常に多いことに加え、主導した投資家の名前が公表されていないことが特徴的だ。TechCrunchが耳にした話によると、ある貨物・物流会社が、このラウンドの戦略的主導投資家として、特別利害関係者向けの金融機関を設立したとのこと。

それ以外の投資家には、新たに加わったSIP Global Partners(SIPグローバル・パートナーズ)、Muirwoods Ventures(ミュアウッズ・ベンチャーズ)、Harpoon Ventures(ハープーン・ベンチャーズ)、StepStone Group(ステップストーン・グループ)、Gopher Asset Management(ゴーファー・アセット・マネジメント)、Walleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)、Aliya Capital Partners(アリヤ・キャピタル・パートナーズ)などが含まれる。また、既存投資家であるBattery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、CRV、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)も参加した。2021年6月にKodiakへの戦略的投資を発表していたBridgestone Americas(ブリヂストン・アメリカス)とBMW i Venturesは、今回のラウンドで資金を転換した。

Kodiakは、2018年の創業以来、合計で1億6500万ドル(約188億円)を調達している。同社は評価額を公表していない。

多くのスタートアップ企業と同様に、この資金はより多くの人材を雇用するために使われる。Kodiakでは、従業員数を現在の90人から、来年末までに約170人に増やすことを目指している。

創業者兼CEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏によれば、今度の採用は社内のすべての部署に及ぶという。新たに調達した資金は、業務の拡大と保有車両の拡充に充てる予定だ。Kodiakでは、少なくとも15台のトラックを追加し、合計25台以上の自動運転走行車を展開する計画だ。

「私たちは規模を拡大する必要があり、規模の拡大には会社全体の成長が伴います。より多くのドライバー、オペレーター、エンジニアが必要になります」と、バーネット氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「研究開発が資金の主な使途であることは間違いありませんが、車両フリートの規模拡大も大きな課題です。当然ながら、この分野を見ていると、商業的な牽引力、顧客、パートナー、走行距離、自動運転貨物輸送ネットワークの規模などへの関心が、ますます高まっていることがわかります。私たちはこれらすべてに対する取り組みを拡大していくつもりですが、それにはお金がかかります」。

今回のシリーズBラウンドは、Kodiakの非常に重要な時期に実施された。同社の規模は、他の自動運転技術企業でトラック輸送を目指しているAurora(オーロラ)やWaymo(ウェイモ)などと比べたら数分の一に過ぎない。しかし、はるかに規模が大きくて資金力のあるライバル企業よりも、Kodiakは資本効率が高いと、バーネット氏は主張している。

これはKodiakが永遠に資金調達を求め続けるという意味ではない。経営の規模が大きくなれば、同社はさらに資金を求め、公開上場や非登録証券市場という選択肢を検討することになるだろう。バーネット氏は合併は考えておらず、買収も求めていないと述べている。

自動運転技術業界の資金調達について、バーネット氏は「今後の展開が非常に興味深い」と語っている。「投資欲求をそそるかという観点から考えると、今回のラウンドが非常に多くの応募を集めたことは、投資家の関心がまだ高いことを示していると思います。競合他社の多くが株式を公開しているため、非公開市場では、Kodiakは大きな進展が見られる最後の非上場の自動運転トラック企業の1つとして位置づけられます」。

10月にKodiakは、第4世代となる自動運転走行トラックシステムの詳細を明らかにし、自社の保有するPACCAR(パッカー)製クラス8トラックを15台、増車すると発表した(現在は10台のトラックが導入されている)。この第4世代のトラックには、フロントルーフラインに設置されたセンターポッドと、両サイドミラーに組み込まれた左右のポッドに、モジュール式のセンサー群が搭載されている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

本田技研工業がオフロードも走れる最新自律型作業車両を公開

CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2018で、いくつかのコンパニオンモビリティロボットのコンセプトを公開したHonda(本田技研工業)は、そのうち少なくとも1つ、オフロードを走れる自律走行車の開発を進めている。Hondaとエンジニアリング会社のBlack & Veatch(ブラック・アンド・ヴィアッチ)は、第2世代の自律作業車(AWV)を、ソーラーパネルの建設現場で試用している。

これは、複数の自律作業車が連携して作業を行う初めてのフィールドテストだ。自律作業車はトレーラーを牽引し、建設資材や水などの物資を1000エーカー(約4.04平方キロメートル)の作業現場で運んだ。自律作業車は、最大で399kgの有料積載量を運ぶことができ、総重量750kgのトレーラーを牽引することができる。

自律作業車を紹介する動画の中で、Black & Veatchの社員は、このような広い敷地を移動するには時間がかかると述べている。そのような環境では、自律作業車に資材を積んで別の場所に送ることで、社員の移動時間を短縮し、他の作業に充てることができ、効率的に作業を進めることができる。

Hondaは、現場の高精細な地図を作成し、オペレーターが自律作業車の始点と終点を設定できるようにした。自律作業車は目的地から数センチ以内に停止したという。また、自律作業車は自律走行だけでなく、遠隔操作も可能だ。

また、同社によると、高温環境下でも1回の充電で最大8時間の走行が可能だという。自律作業車には、GPS、レーダー、LiDARなどのナビゲーション用センサーや、遠隔監視用の3Dカメラなどが搭載されている。Hondaによると、自律作業車は最大積載量でも、ユースケースに応じて最大27.9マイル(約45km)の航続距離を実現している。

Hondaは、(いまのままでもかわいい)プロトタイプを改良しながら、自律作業車の性能とデザインを向上させることを目指している。また、アタッチメントやツールを追加できるようになるかもしれない。なお、Hondaは、自律作業車の市販化について、まだ明らかにしていない。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のKris HoltはEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Honda

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(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

悪条件下でも使える短波長赤外線を利用するセンサーの商業化を目指すTriEye、インテル、サムスン、ポルシェが支援

イスラエルのスタートアップ企業TriEyeは、悪条件下での自律走行システムや運転支援システムの視認性向上に役立つセンシング技術を商業化するため、7400万ドル(約84億円)を調達した。

その技術は、波長の短い赤外線、すなわち短波長赤外線(Short-wavelength infrared、SWIR)を利用する。赤外線なので人間の可視波長域にはない。SWIRによるセンシング技術は以前から存在するが、コストが高くつくため航空宇宙や防衛産業に限られていた。TriEyeによれば、同社はそのコストを大幅に下げて、今日のスマートフォンや自動車で使われているカメラ程度の費用にし、また市場にある他のタイプのセンサーよりも高性能だという。

そのイノベーションはCTOのUriel Levy(ウリエル・レビー)氏がヘブライ大学に在籍していた10在職中の10年以上の間に研究、開発したもので、TriEyeはそのSWIR技術の商用化と市場化を目指している。

CEOのAvi Bakal(アヴィ・バカル)氏によると、SWIRはこれまでの視覚システムにさらにもう1つの情報のレイヤーを加える(tri-eyeは「3つの目」の意)ので、それにより人は「可視物以上のもの」を見ることができる。

「センシングは至るところにあります。どのような産業でも、それは工程を編成し分析するための必須の部分です。しかし現在では、全体的なパフォーマンスと意思決定の向上に役に立つような、必要不可欠なデータの提供能力が視覚システムの市場にはありません」とバカル氏はいう。

TriEyeの創業者ウリエル・レビー氏、アヴィ・バカル氏、Omer Kapach(オメル・カパック)氏(画像クレジット:TriEye)

TriEyeはSWIRと同社独自の光源技術を使って、sedar(spectrum enhanced detection and ranging、 スペクトル強化検出測距)と呼ぶセンサーを開発した。同社によるとsedarは、高度な運転者補助や自動運転のシステムが必要とする像と深さに関するすべてのデータを提供する。ゆえにそれは、今日の高度な運転者補助や自動運転システムが利用しているカメラやレーダーやLiDARなどを使う従来的なセンシング系をリプレースできる。

TriEyeの技術は、カメラやライダーに比べてコストが安いことも大きなアドバンテージだ。バカル氏によると「マスマーケットが採用するためにはその点が欠かせません。最もシンプルなクルマから高級車まで、すべてに対応することが目標です」。

TriEyeのSWIRセンサーはCMOS半導体を使っている。同社はすでに大手のCMOSファウンドリ数社と提携して、今後の年産数百万という市場のニーズに備えている。また大手OEM数社とも、sedarを共同で商用化し搭載する具体的な車種の話し合いに入っているが、詳細はまだ明かされない。

同社のメインのターゲットは自動車業界だが、狙っているのは自動車だけではない。SWIRによるセンシングの性能は食品の検品や素材の検出にも向いている。また、バイオメトリクスや監視システムにも適している。

TriEyeがSWIRの市場を非常に大きく捉えているので、大手の投資家たちも関心を持ち始めた。その中にはIntelやPorscheの投資部門もいる。どちらも、2019年のTriEyeのシリーズAに参加した。

今回の最新の投資ラウンドはM&G InvestmentsとVarana Capitalがリードし、Samsung VenturesとTawazun SDF、Deep Insight、Allied Group、Discount Capital、そしてこれまでの投資家であるIntel CapitalやPorsche Ventures、Marius Nacht、そしてGrove Venturesが参加した。これでTriEyeの調達総額は9600万ドル(約109億円)になった。

画像クレジット:TriEye

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hiroshi Iwatani)

NVIDIAの次世代自動運転ツールキット「Hyperion 8」が2024年の車両モデルに対応

自動運転機能、ロボタクシー、自動運転トラックの導入を目指す自動車メーカー、サプライヤー、スタートアップは、NVIDIA(エヌビディア)の最新のコンピュートおよびセンサーツールキットにあと少しでアクセスできるほど近づいている。

NVIDIAの創業者でCEOのJensen Huang(ジェン・スン・フアン)氏は米国時間11月9日に開催された同社の秋季GTCイベントにおいて、AV開発に必要なセンサー、コンピュート、ソフトウェアを含む量産可能なプラットフォーム「Hyperion 8」を、2024年の車両モデル向けに購入できるようになったことを発表した。

Hyperion 8は、エンド・ツー・エンドのNVIDIA Driveプラットフォームの最新版で、自動車メーカーが好みやニーズに合わせてカスタマイズして使用することが可能だ。Hyperion 8は4月に初めて明らかにされた。しかし、このプラットフォームを構成するカメラ12台、レーダー9台、LiDAR1台をどの企業が供給するかなど、詳細の一部は11月9日まで明らかにされていなかった。注目すべきは、Luminar(ルミナール)がLiDARを提供している点で、これは新規上場企業にとって大きな恩恵となる可能性がある。また、Continental(コンチネンタル)、Hella(ヘラ)、ソニー、Valeo(ヴァレオ)もHyperion 8用にセンサーを提供している。

Luminarの創業者でCEOのAustin Russell(オースティン・ラッセル)氏は「NVIDIAのシステムが(量産車向けに)設計されるのに合わせて、我々も最終的に設計されることになります」と述べた。

Hyperionは、自動車メーカーなどの顧客が、車内の基幹コンピュートやミドルウェア、AI機能など、必要なものにアクセスして調整することができるリファレンスプラットフォームだ。

今回のHyperion 8の提供開始は、秋のGTCイベントでフアン氏が発表した一連の自動車関連の発表の1つだった。主な発表内容は多岐にわたる。6月のDeepMap買収によって強化されたマッピングの開発や、シミュレートされたカメラでリアルなシーンを再現し、データを自動的にラベル付けするツール、デジタルアシスタントの役割を果たして自動運転システムと乗客の間の重要なコミュニケーションを提供し、駐車もこなせるパーソナルコンシェルジュ製品などだ。各新製品の発表はいずれもHyperion 8に適合したり、補完したりするものだ。

結論:この分野には、乗用車用の運転支援システムを開発しているサプライヤーや自動車メーカー、自動運転トラックやロボタクシーのような完全自律走行車の展開に取り組んでいる企業が含まれ、NVIDIAはそうした自動運転マーケットの多くを取り込むことを目指している。

NVIDIAは、Cruise(クルーズ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、TuSimple(トゥーシンプル)、Volvo(ボルボ)、Zoox(ズークス)など、自社のDrive Orinコンピュータ・システム・オン・チップを使って開発している多くの顧客を獲得している。NVIDIAは秋のGTCイベントで、Lotus(ロータス)、中国の自動運転スタートアップQcraft(キュークラフト)、中国のWM Motor Technology Co(WMモーターテクノロジーカンパニー)が所有するEVブランドのWeltmeister(ヴェルトマイスター)など、さらにいくつかのブランドの獲得を宣伝した。

NVIDIAの自動車担当副社長であるDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏は、GTCに先立って行われた説明会で「100%のマーケットシェアを期待しているわけではありませんが、NVIDIA DRIVEで開発している市場のシェアは圧倒的です」と述べた。「その理由は、NVIDIAがエンド・ツー・エンドのソリューションを提供しているからに他なりません。車に搭載されるものだけでなく、データセンター、シミュレーション、車両に至るまで、同じアーキテクチャー上にあることは非常に大きな利点です」。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

自動運転ユニコーンMomentaがシリーズCに約567億円を追加、中国AD分野では今年最大のラウンドに

MomentaのCEOであるCao Xudong(カオ・シュドン)氏とGM China社長のJulian Blissett(ジュリアン・ブリセット)氏(画像クレジット:Momenta)

9月にGeneral Motors(GM、ゼネラルモーターズ)から3億ドル(約340億円)の投資を受けた中国発の自動運転ソリューションプロバイダーであるMomentaは、中国時間11月7日、シリーズC追加ラウンドで5億ドル(約567億円)を調達したと発表した。

この新たな資金調達により、同スタートアップのシリーズCの総額は10億ドル(約1134億円)を超えた。Momentaは、GMなどの自動車メーカーやBosch(ボッシュ)などのTier1サプライヤーに先進運転支援システム(ADAS)を提供する一方で、真の無人運転、すなわちレベル4走行の研究開発を行うという、同社が言うところの二足のわらじ戦略をとっている。

このスタートアップには、中国の国有企業であるSAIC Motor(上海汽車集団)、GM、トヨタ、メルセデス・ベンツ、Boschなど、ヘビー級の戦略的投資家が集まっている。機関投資家としては、シンガポールの政府系ファンドであるTemasek(テマセク)や、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYunfeng Capital(云锋基金)などが名を連ねている。

Momentaは、自動車メーカーとの提携により、自社でロボタクシーを開発するという資金のかかるルートを選択した他社との差別化を図っている。その代わりに同社は、自社のソリューションを搭載した量産車のネットワークからデータを得ることを重要視している。Pony.ai(小馬智行)とWeRide(ウィーライド、文遠知行)は最も近いライバルだが、彼らも多額の資金を調達している。

GMとの提携の場合、Momentaのソリューションは、コンシューマーグレードのミリ波レーダーと高精細カメラを組み合わせたもので、米国ではなく中国で販売されるGMの車両に搭載される。Momentaは最近、ドイツのパートナー企業との関係強化のために初の海外オフィスをシュトゥットガルトに開設したが、これはMomentaの技術が自国の市場以外にも広がっていく可能性を示唆している。

画像クレジット:

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

産業が求めるレベルまで自動運転技術を前進させる「レーダー」技術を開発するSpartan Radarが総額約28億円調達

大量の機械学習とわずかなレーダーセンサー、そして歩行者の大群をひき殺すことのない自律走行車を求めている市場を見てみよう。8月に1000万ドル(約11億4000万円)を調達したばかりのSpartan Radarが米国時間11月3日、Prime Movers Labが率いる投資家たちからさらに1500万ドル(約17億1000万円)を調達した。このラウンドには8VCとMac VCが参加している

2020年に創業された同社は、2年前には存在しなかった企業だがそれにしては立派だ。同社の同社自身による位置づけは、クルマのレーダーと、同じくクルマの自動運転技術が交差するところにいる企業群の仲間だ。同社によると、現在および次世代の自動運転車(autonomous vehicles、AV)のレーダー技術はかなり進歩しているが、まだ車両自身が、レーダーに「見えて」いるものに対して何をすべきかわからない場合が多く、そのために間違いを起こしてしまうという。

Spartan Radarの創業者でCEOのNathan Mintz(ネイサン・ミンツ)氏は次のように主張する。「自動車産業は低レベルのオートメーションへ移行しているが、それにより、レーダーがLiDARよりも魅力的なものになっています。LiDARは初期にはたくさんの約束を披露してくれましたが、その誇大宣伝の実現には失敗しています。しかし、高解像度システムに対するニーズは消えていません。処理能力も、リアルタイムの超解像度などの高度なアルゴリズムが使えるほど大きくなっているため、今やレーダーは自動車メーカーにとってはるかに優れた選択肢なのです」。

同社はその製品をBiomimetic Radar(生体模倣型レーダー)と呼び、人間の感覚処理を模倣してフォーカス(焦点)とコンテキスト(状況理解)を強化している。同社によると、そのアルゴリズムは処理速度をめざましく高速化し、低い解像度や検出過誤など従来のレーダーの欠陥を減らしている。それにより、自動運転車の安全性と商用展開の規格であるADAS level 2(レベル2)以上をクリアしている。

Spartan Radarのソフトウェアは、現存するほとんどすべてのレーダーシステム上で展開できる。同社は顧客について明言しなかったが、矢継ぎ早の2度の資金調達ラウンドが示すのは、顧客たちが行列を作っているということだ。

「残念ながら私たちが実際に目にしているエビデンスによると、LiDARを使用するシステムは、それが追放するはずだった注意力散漫な人間ドライバーのように振る舞うことがあります。Spartanのレーダーシステムは自動運転技術の前進であり、AVとADASのシステムを今日の産業が必要とするレベルに持ち上げます」と同社の取締役会に加わったPrime Movers LabのゼネラルパートナーDavid Siminoff(デビッド・シミノフ)氏はいう。

「AV企業にはこれまで数十億ドル(約数千億円)が投資され、一部は上場もしました。この業界は今やっと、R&Dの段階を脱して、ラストマイルのデリバリーやトラック、ロボタクシーなど実用ユースケースで大規模に商用化されようとしています。OEMやAV開発企業各社は、2022年の市場化に備えて安全で堅牢なセンサーソリューションを必要とし、そして私たちには、そのニーズに呼応する準備ができています」とミンツ氏は語る。

画像クレジット:Spartan Radar

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Cruiseがサンフランシスコで無人運転ロボットタクシーサービスを開始

ゼネラルモーターズの自動運転子会社であるCruise(クルーズ)の従業員は、これからサンフランシスコで運行される人間の運転手が同乗しない自動運転車の初めての乗客になる。一部の一般客も乗ることができるが、運賃はかからない。

Cruiseの共同創業者であり、CTOかつ社長のKyle Vogt(カイル・ボークト)氏は、ドライバーレス自動運転車(AV)に初めて乗車した様子をTwitterで紹介している。

ボークト氏は「月曜日の夜11時頃、私たちは初めて中に誰も同乗していない状態でAVを発車させました」とツイートしている。「これまでは、人間が運転席や助手席に座って実験していたので、これは初めての試みでした。街中を巡航しながら、乗車リクエストを待つようになります。午後11時20分、私はCruiseのアプリを使って、最初の乗車を行うタクシーを呼び出しました。数分後、(「サワードウ」という名前がついている)Cruise AVの1台が私の目の前にきて停車した。車内には誰もいなかった。”start ride”(走り出す)ボタンを押すと、AVはスムーズに車線に入っていきました」。

ボークト氏はその夜、さらに5回乗車リクエストを行ったという。Cruiseがカリフォルニア州自動車局から取得した「ドライバーレス運行許可証」の規定によれば、午後10時から午前6時までの間、最高時速30マイルでしかドライバーレス運行ができないため、乗車は夜間にならざるを得なかったのだ。クルーズは10月初旬にこの許可を取得したが、これにより、人間が乗っていない車両の運行が可能となり、配達サービスに対して料金を請求することができるようになったが、乗客を乗せるタクシーサービスには課金することができない。

Cruiseが人間を同乗させない今回の最初の運行を始めたのは、GMのCEOであるMary Barra(メアリー・バーラ)氏が、Cruiseが2022年までにドライバーレスのタクシーサービスや商用配送運転を開始することをGMは確信していると述べてから約1週間後のことだった。Cruiseは、ロボットタクシーサービスに課金するために必要な、カリフォルニア公益事業委員会(CPUC)からの最終的な許可への申請をまだ行っていない。それまでは、サワードウをはじめとする人間の同乗しないAVに乗ることができるのは、Cruiseの社員と無料乗車の一般市民だけだ。

Cruiseは、特定の一般人も乗れることを認めているが、誰が乗れる資格があるのかは明らかにしていない。またCruiseは、このドライバーレスサービスをまだ一般人には公開していない。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:sako)

「機械学習データセットのためのGoogleフォト」実現加速のためScale AIがSiaSearchを買収

Scale AI(スケールAI)は、欧州でのリーチ拡大と最新製品の開発スピードアップに貢献する小規模なスタートアップを買収した。

買収にともなう合意条件は明らかにされていない。

欧州のベンチャースタジオMerantixからスピンアウトしたSiaSearchは、先進運転支援システムや自動運転システムが取得するペタバイト規模のデータの検索エンジンとして機能するデータ管理プラットフォームを構築している。すでにフォルクスワーゲンやポルシェなどの大手自動車メーカーと提携しているこのスタートアップは、車両群が収集した生センサーデータのインデックスを自動作成し、構造化することができる。

その機能は、Scale AIの既存の技術とうまく調和している。Scale AIは、ソフトウェアと人を使って、画像、テキスト、音声、ビデオデータにラベルを付け、機械学習アルゴリズムを構築する企業に提供している。Scale AIは当初、自律走行車メーカーに、機械学習モデルのトレーニングに必要なラベル付きデータを提供することを目的として設立された。これにより、ロボタクシー、自動運転トラック、倉庫やオンデマンド配送に使用される自動ロボットなどの開発・展開が可能になる。しかし、同社はデータラベリングにとどまらず、データマネジメントのプラットフォームとしての役割を果たしている。政府、金融、EC、エンタープライズなどの他の業界にもサービスを提供しており、現在はAirbnb(エアビーアンドビー)、DoorDash(ドアダッシュ)、Pinterest(ピンタレスト)などの企業と提携している。

ベルリンを拠点とするSiaSearchは、Scale AIの共同創業者兼CEOであるAlexandr Wang(アレクサンダー・ワン)氏が以前「我々の未来の最初の製品」と呼んだNucleusの構築において、特に有益な存在となり得る。ワン氏によると、SiaSearchチームをNucleusの活動に組み込むことを計画しているという。

Nucleusは、ワン氏が「機械学習データセットのためのGoogleフォト」と呼ぶAI開発プラットフォームだ。この製品は、膨大なデータセットを整理、管理し、モデルのテストやパフォーマンス測定などを行うための手段を顧客に提供する。SiaSearchによって、Scale AIは取り組みを加速させ、さらには機械学習のライフサイクル全体をサポートするために機能を拡張することができる、とワン氏はいう。

今後の目的は、SiaSearchの技術をNucleusに組み込み、自動車やAV技術以外でも、あらゆるAI開発者が使用できる完全なデータエンジンを提供することだ。これは、ロボットメーカーや自動車メーカーなど、データの取得、ラベル付け、整理だけでなく、自社製品のアルゴリズムを改善するために必要な新しい種類のデータを継続的に再定義するための追加ツールが必要な企業にとって、非常に有用なものとなるだろう。

ワン氏は、Tesla(テスラ)が同社の先進運転支援システム「オートパイロット」の改良のためにデータエンジンのコンセプトを率先して導入したことを指摘し、これはテスラが行ってきたことに似ています、と語った。

ワン氏は、自動車メーカーやロボットメーカーは、車両やロボットなどのフリートが拡大するにつれ、膨大な量のデータをどのように活用するかに頭を悩ませていると語る。これらのデータをすべてクラウドにアップロードするだけでも、文字通り何十億ドル、何百億ドル(何千億円、何兆円)ものコストがかかると同氏はいう。

「基本的に、すべてのAIチームが求めているのは、いかにして機械学習の開発を加速させ、Teslaのようにデータセットの取り組みを加速させるかということです」とワン氏。「当社は、Teslaが持っているのと同じように、モバイルフリートから最も関連性が高く、最も興味深いデータを使って、常にアルゴリズムをスーパーチャージできるというスーパーパワーを彼らに与えようとしているのです」。

画像クレジット:Scale AI

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

完全自動運転ソフトウェアエラーでテスラが1万1704台をリコール

米国道路交通安全局(NHTSA)の発表によると、Tesla(テスラ)は、前方衝突警告の誤作動や自動緊急ブレーキシステムの予期せぬ作動を引き起こす可能性のあるソフトウェアエラーを特定し、1万1704台を自主的にリコールした。

リコールの対象となった車両はすべて、同社が開発した先進運転支援システム「Full Self-Driving Beta」にいち早くアクセスしていた。このシステムはまだベータ版であり、ドライバーは常に注意を払う必要があるが、ここ数週間で何千人もの顧客に公開された。Teslaによると、このソフトウェアエラーによる事故や負傷者は報告されていないとのことだ。

10月23日に公開された無線によるファームウェアの更新では、規制当局が「ソフトウェア通信切断」と呼ぶものを2つのオンボードチップの間に導入した。翌日、顧客からの指摘を受け始めた、とTeslaは述べた。

「この通信切断により、そのチップ上で作動するビデオニューラルネットワークの動作が予想よりも安定しない可能性がある」と安全性リコール報告書には記載されている。「この不整合により、他の車両が存在する場合に物体速度の検出値が負の値となり、誤った『前方衝突警告』や『自動緊急ブレーキ』が発生する可能性がある」。

リコール対象車両は、2017年~2021年に生産された一部のModel S、Model X、Model 3、および2020年~2021年に生産された一部のModel Yだ。Teslaはこの問題に対処するため別の無線ソフトウェアアップデートをリリースし、車両オーナーには問題と解決策を通知する手紙が送られる。

同社は「数時間のうちに報告内容を調査し、潜在的な安全上のリスクを軽減するための措置を講じました」と話す。

今回の正式なリコールは、同社のこのところのNHTSAとのやりとりとは大きく異なるものだ。リコールにはAutopilotシステムで見つかった別のバグ向けの10月のソフトウェアアップデートも含まれる。このバグではTeslaはリコールを行わず、NHTSAは2021年10月12日、同社に対してリコールを実施しなかった理由を尋ねる書簡を送った。

「Teslaも気づいている通り、安全法は自動車および自動車機器の製造者に対し、製造した自動車または機器に自動車の安全性に関わる欠陥があると判断した場合、または適用される自動車安全基準に適合していないと判断した場合に、NHTSAに通知してリコールを開始する義務を課しています」とNHTSAは記している。

当局は、Tesla車が駐車中の緊急車両に衝突した12件の事故を確認した後、2021年8月にオートパイロットに関する別の調査を開始した。

今回のリコールについてNHTSAは「あらゆる安全上の欠陥が速やかに認識され、対処されるよう、Teslaとの対話を継続する」と述べた。

画像クレジット:Toru Hanai/Bloomberg / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

MITの研究者による自動運転の水上タクシーが、アムステルダムの運河で初航行

確かに、自動運転の水上タクシーが実用化されている都市は多くないが、アムステルダムはそのうちの1つになるかもしれない。先に、MITのCSAIL(コンピュータ科学・人工知能研究所)とSenseable City Laboratory(センサブル・シティ・ラボラトリー)の研究者たちは、自律的に航行する完全自動運転型のロボットボートを初めて進水させた。彼らはこのボートを「Roboats(ロボート)」と呼び、現地時間時間10月28日、運河で初航海を行った。

このボートは5人が十分に乗れるほどの大きさで、開発チームは廃棄物の回収や商品の配送などの、人間が操縦するボートで行っている作業にも使えると考えている。映画「Blade Runner(ブレードランナー)」から出てきたようなこの船は、バッテリーで駆動し、ドックに収まっている時にはワイヤレスで充電できる。チームの主張によれば、10時間の運行に十分な電力を搭載しているという。

自律的に進路を決定し、物体への衝突を避けるために、ロボートはLiDARと360度の視界を可能にする多数のカメラを使用している。ナビゲーションは、一般的な自動車のカーナビと同じように、GPSを使って現在地から目的地までの安全なルートを把握する。

アムステルダムの運河を順調に航行中のロボート(画像クレジット:Roboat)

「認識機能、ナビゲーション、制御システムの精度と信頼性が向上し、ラッチングも可能な近接接近モードなど新機能の導入や、 自動船位保持システムが改善されたことにより、今やこのボートは現実世界の水域を航行できるようになりました」と、MIT教授でCSAIL所長のDaniela Rus(ダニエラ・ルス)氏は語る。「ロボートの制御システムは、ボートに乗っている人の数に適応します」。

ロボートの設計で賢明な点の1つは、ユニバーサルプラットフォームを採用していることだ。これはバッテリーや推進システムの収容と併せて多目的に使用できる船体で、トップデッキを交換することによって、さまざまな用途に合わせて活用できる構造となっている。

「ロボートは24時間365日、船長がいなくても業務を遂行できるため、都市にとって大きな価値があります。しかし、安全上の理由から、レベルAの自動運転に到達することが望ましいかどうかは疑問です」と、プロジェクトの主任研究員であるFábio Duarte(ファビオ・ドゥアルテ)氏は語る。「陸にいるオペレーターが、コントロールセンターから遠隔操作でロボートを監視するシステムになるでしょう。1人のオペレーターが50台以上のロボートを監視することで、円滑な運用が可能になります」。

Roboat.orgでは、この技術が作動している様子を見ることができる。

画像クレジット:Roboat

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転技術シミュレーターの効果を高めるために、Auroraが元ピクサーのベトラン技術者たちを招聘

来週Nasdaq(ナスダック)に上場を予定している、自動運転車技術のスタートアップ企業であるAurora(オーロラ)は、自動運転システムのテストやトレーニングに使用するコンピューター・シミュレーション・ツールをより現実世界に近いものにするために、Pixar(ピクサー)のベテラン・チームを起用することになった。

これまでステルスで活動してきた3人組のコンピュータ・グラフィック映像スタートアップ、Colrspace(カラースペース)がAuroraの知覚技術チームに参加する。Auroraは、ColrspaceのIP(知的財産)、具体的にはCGIと機械学習を組み合わせた技術も得ることになる。Colrspaceの3人、Michael Fu(マイケル・フー)氏、Allen Hemberger(アレン・ヘンベルガー)氏、Alex Harvill(アレックス・ハーヴィル)氏は、写真や画像から3Dのオブジェクトやマテリアルを再構築する技術を開発した。この技術はシミュレーションをより「現実的」にすることができるため、Auroraをはじめとする自動運転走行車の開発者たちは、テストの効果が高まると主張している(下の動画はColrspaceの作品のサンプル。TechCrunchがMP4をGIFに変換した)。

フー氏、ヘンベルガー氏、ハーヴィル氏は、Auroraの知覚技術チームに加わるが、このチームには元Pixarのソフトウェア・エンジニアだったMagnus Wrenninge(マグナス・レニンゲ)氏が設立したシミュレーション・スタートアップ、7D Labs(7Dラブズ)の人々が既に参加している。Auroraは2019年に7D Labsを買収した。

Auroraをはじめ、Argo AI(アルゴAI)、Cruise(クルーズ)、Waymo(ウェイモ)といったその競合他社は、閉鎖されたコースや公道で現実世界におけるテストを定期的に行っているものの、コンピューター・シミュレーションは、彼らの自動運転車技術をテスト、トレーニング、検証するための不可欠なツールであると考えられている。シミュレーションは、自動運転システムが様々なシナリオをテストしたり、現実世界で起こったことを再現するために役立つ。そして最終的にはソフトウェアを訓練し、評価することで、現実世界での安全性を確保することにつながる。

大手の自動運転車開発企業では、毎日数千回から何百万回ものシミュレーションを行うことも珍しくない。例えば、Auroraのシミュレーターは、5万台以上のトラックを連続して走らせるのに相当すると推定されている。この「Virtual Testing Suite(バーチャル・テスティング・スイート)」と呼ばれるAuroraのコンピューター・シミュレーターは、公道を走る車両に搭載される前にエラーを早期発見するために、多様な走行条件に加えて、一般的なシナリオと異常なシナリオ(エッジケース)を実行する。公道を走行中に取得したデータもこのシミュレーターにフィードバックされる。

今年、Auroraはシミュレーション・プログラムの規模拡大に向けて、より多くの努力と資源を投入している。今月の発表によると、同社は今年末までに90億マイル(約145億キロメートル)以上の走行距離に相当するシミュレーションを完了する見込みだが、そのうち60億マイル(約97億キロメートル)は2021年に入ってから現在までに記録したものだという。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

グッドイヤーとポルシェ投資部門が自動車が道路を「感じる」ようにするバーチャルセンシングTactile Mobilityに戦略的投資

イスラエルのスタートアップであるTactile Mobility(タクタイル・モビリティ)は、既存の車両センサーデータを利用して、自動車が道路を「感じる」ことを可能にし、クラウドプラットフォームを介して自動車と道路の両方に関する情報を提供している。同社は米国時間10月27日、2700万ドル(約30億円)のシリーズCを発表した。CEOのShahar Bin-Nun(シャハール・ビン-ナン)氏によると、同社はこの資金を、バーチャルセンサーのさらなる開発、製品ラインナップの拡大、クラウドプラットフォームの強化のために使う。目標を達成するために2021年、研究開発部門で最大20人の新規採用が必要になるという。


今回の資金調達により、Tactileの資金調達総額は4700万ドル(約53億円)になった。今回のラウンドはDelek Motorsが主導し、Goodyear Ventures(グッドイヤーベンチャーズ)とPorsche Venturesが戦略的投資を行い、Union Group、The Group Ventures、Zvi Neta(AEV)、Giora Ackerstein(ジョラ・アッカースタイン)氏、Doron Livnat(ドロン・リヴナト)氏も参加した。

ビン-ナン氏は「当社は基本的に、データの取得とデータの収益化の2つの部分に分かれています」とTechCrunchに語った。「データの取得は、シャシーのエンジンコントロールユニットに搭載されているTactile Processor(TP)と呼ばれる非常にユニークなソフトウェアで行います。TPを使用することで、安全性、パフォーマンス、運転の楽しさを向上させる、視覚に頼らない多数のバーチャルセンサーをOEMに提供することができます」と話す。

Tactileの2つめのビジネスモデルは、Tactile Cloud(TC)と呼ばれるクラウドプラットフォームを中心に展開されている。ここにバーチャルセンサーからのデータがアップロードされ、車両のDNAまたは路面のDNAを記述した触覚マップが作成される。これらのマップは、OEM、交通局、自治体、保険会社、タイヤ会社などに販売される。

ビン-ナン氏によると、Tactileが車両に搭載している23のバーチャルセンサーのうち、同社が取り組んだ主要なものはBMWとのタイヤグリップ推定で、これはクルマが走行している間に車両と道路の間のグリップを測定するというものだ。同氏によると、TactileのTPは年間250万台のBMW車に搭載されており、数百万台のクルマが受動的に路面をマッピングしていることになる。

タイヤのグリップ力を測定して道路をマッピングすることで、Tactileは道路の穴やひび割れ、滑りやすさ、降雪などをマッピングすることができる。これらの情報はリアルタイムに収集され、特定の地域を走行する他の車両にダウンロードされる。これにより、ドライバーは前もって劣悪な道路状況を知ることができ、安全性の向上につながる。また、分析結果は地図会社、道路管理者、車両管理者などの第三者が、道路のひどい場所を特定するためのレポートを介して共有することもできる。

Tactileは、クラウド上で収集したあらゆるデータで収益をあげるために、提携するOEM企業との売上高シェアモデルを採用している。ビン-ナン氏によると、Tactileはこれまでに自動車メーカー7社と30件以上の概念実証やパイロット試験を行ってきたが、量産レベルに達したのはBMWだけとのことだ。

「これまでは25人の会社でしたが、現在は40人になり、事業を拡大するには少し限界がありました」とビン-ナン氏は話す。「小さな会社がBMWのプロジェクトを進めていると、BMWへの実装や統合、要求を満たすためのテストなどで、すっかり忙しくなってしまうことが想像できるでしょう。これからは多くのOEMと並行して仕事ができるようにしたいのです」。

これは、より多くのサービスや知見を顧客に提供できるよう、他のセンサーも開発することを意味する。例えば、一部のOEMメーカーはタイヤの健康状態に関心を持っている。Tactileによれば、センサーは走行中のタイヤの溝の深さを極めて正確に測定することができ、タイヤの交換が必要かどうか、タイヤの種類や地形に応じてドライバーがどのような運転をすべきかをOEMに伝えることができるという。

「Goodyearがこの会社に投資した理由でもありますが、もう1つ重要なことはタイヤが硬すぎるかどうかを正確に測定できることです」とビン-ナン氏は話す。「彼らは今回のラウンドで投資した直後に、我々とテストを行いました。ですから、タイヤの健全度を測るバーチャルセンサーは、私たちが開発するバーチャル・センサーの中でも重要な種類のものであることは間違いありません。他のOEMは、重量推定や重心位置などを求めますが、これらは当社のバーチャルセンサーが感知し、機械学習や信号処理を使って多くのノイズを除去しています」。

その他のセンサーとしては、重量推定、アクアプレーニング、車両のヘルスセンサー、マイクロ衝突などがある。今回のシリーズCの資金調達により、Tactileはこれらのセンサーを構築し、OEMメーカーにアピールできるようにしたいと考えている。Tactileの目標は、すべての主要な自動車メーカーに入りこむことだ。そうすることで、大量のデータを収集、分析、収益化することができ、自律走行車など急成長中の技術との連携を図ることができる。

Goodyear VenturesのマネージングディレクターであるAbhijit Ganguly(アビジット・ガングリー)氏は声明文で「コネクテッドドライビングと自律走行は、ヒトとモノの移動の未来にとって重要な鍵となります。コネクテッドかつ自律走行の安全性と効率性を向上させるためには、タイヤデータが鍵となります」と述べた。

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

米運輸安全委がマスク氏にテスラ「Autopilot」の設計変更を要求、安全勧告無視に懸念

米国運輸安全委員会(NTSB)のJennifer Homendy(ジェニファー・ホメンディ)委員長は、Tesla(テスラ)に対し、同社の先進運転支援システムがドライバーに誤用されないように設計を変更するよう求めた。

TechCrunchが閲覧したこの書簡は、NTSBが4年以上前に出した2つの安全勧告をTeslaがまだ実施していないことに懸念を示している。これらの安全勧告に対応する緊急性は現在、Teslaがいわゆる「フルセルフドライビング(FSD)」ソフトウェアベータ版を通じて、より多くの自動運転機能を展開していることで高まっている。

ホメンディ氏は「貴社の車両に関わる我々の事故調査では、誤使用の可能性があるため、安全性を確保するためにはシステム設計の変更が必要であることが明確に示されています」と記している。Teslaにもコメントを求めているが、回答は得られていない。

NTSBは勧告を行うだけで、既存の法律を施行したり、政策を決定する権限はない。

ホメンディ氏は、NTSBが調査してきたさまざまな事故や事件の後、TeslaがNTSB調査官に協力していることに感謝しつつも、書簡の大部分を使って、Teslaが「NTSBの重要な安全勧告を実施していない」ことへの深い懸念を述べている。

一部抜粋する。

貴社はこれまで「Teslaの設計においては、常に安全性が第一の要件である」と述べてきました。ウィリストン、デルレイビーチ、マウンテンビューで発生した致命的な事故の原因となった設計上の欠陥をまず解決することなく、最近の発表では、Teslaのドライバーは、高速道路と市街地の両方で動作する「フルセルフドライビング(FSD)ベータ版技術」へのアクセスを要求できるということで、以前の発言は裏切られました。

Tesla車の設計において安全性を最優先することを真剣に考えているのであれば、4年前に私たちが出した安全性に関する提言を完全に実行していただきたいと思います。

NTSBは、道路における悲劇や負傷を防ぎ、人命を救うためのさまざまな技術の導入を長年にわたり提唱してきましたが、そのような技術を導入する際には、すべての道路利用者の安全を第一に考えることが極めて重要です。私たちの安全に関する提言についてのアップデートをお待ちしています。

2017年、NTSBは、Joshua Brown(ジョシュア・ブラウン)氏が乗ったTesla Model S(モデルS)セダンが、進路を横切ったトラクタートレーラーに衝突して死亡した事故の調査に基づき、同社に対して2つの安全勧告を出した。この事故では、Teslaの先進運転支援システムであるAutopilotが作動していた。同局は、ブラウン氏がAutopilotを、システムが想定していない道路で使用していたことや、長時間ハンドルから手を離し運転していたことを明らかにした。Autopilotはハンズフリーシステムではない。

NTSBは、TeslaのAutopilotシステムは、ドライバーがステアリングホイールを握る動作を効果的に監視し、それに対応してドライバーのエンゲージメントを確保していないと判断した。同局はTeslaに対し、Autopilotを設計時の条件に限定するセーフガードを設け、さらに「ドライバーのエンゲージメントレベルを効果的に感知し、自動車両制御システムの使用中にエンゲージメントが不足している場合はドライバーに警告する」方法を開発するよう勧告した。

Teslaは、Autopilotなどのいわゆるレベル2の運転支援システムについては、許容される動作環境をドライバーが決定するため、運用設計領域(ODD)の制限は適用されないと主張している。ホメンディ氏はマスク氏に宛てたメールの中でこの主張に反論し、当局の事故調査では「誤用される可能性があるため、安全性を確保するためにシステム設計の変更が必要であることが明確に示されている」と指摘した。

またホメンディ氏は、レベル2の運転自動化システムを搭載した車両を持つ他の自動車メーカー5社に、ドライバーの関与を促し警告する方法を適用するよう勧告を送ったことにも言及した。ホメンディ氏がマスク氏に宛てた書簡によると、これらのメーカー5社はNTSBに回答し、ドライバーのエンゲージメントレベルをよりよくモニターするために計画している、または実施している行動を説明したという。

「Teslaは、この勧告について公式に回答しなかった唯一のメーカーです」と同氏は書いている。

画像クレジット:Tesla

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)

テスラ、最新「完全自動運転」ベータ版ソフトウェアの問題が相次ぎ即座に撤回

Tesla(テスラ)のElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、同社のフルセルフドライビング(FSD)ソフトウェアベータ版の最新バージョンがリリースされてから1日も経たないうちに、一時的にロールバックしたとツイートした。

「(FSDベータ)10.3でいくつかの問題が発生したため、一時的に10.2に戻しました」とマスク氏は米国時間10月24日にツイートした。「これはベータ版ソフトウェアでは想定の範囲内だと了承して頂きたい。社内のQA(品質保証)では、すべてのハードウェア構成をあらゆる条件下でテストすることは不可能であり、そのためのパブリックベータ版ということです」とも。

このニュースは、Teslaが「Autopilot(オートパイロット)」とブランディングされている先進運転支援システムの安全性について規制当局から非難を受けている中でのことだ。AutopilotはTesla車に標準装備されている。いわゆるFSDソフトウェアはプラス1万ドル(約110万円)で、より多くの自動運転機能を提供する。

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ただし、Tesla車は自動運転ではない。先進運転支援システムであることに変わりはなく、FSDが作動していてもドライバーは十分な注意を払う必要がある。最近のMITの研究では、(Autopilot作動中に)ドライバーの注意力が低下する傾向にあり、それが安全上のリスクにつながることがわかっている。

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バージョン10.3は、米国時間10月22日に一部のTeslaオーナーにリリースされる予定だったが、23日にマスク氏は、もう1日待つ必要があると述べていた。

「10.3の内部QAで、信号機での左折時の不具合が見つかった」と同氏は23日にツイートした。「現在修正中で、おそらく明日リリースする予定です」。

FSD10.3ベータ版ユーザーが投稿した動画には、危険がないにもかかわらず「前方衝突警告」が発せられたという例が複数あり、中には理由なく自動ブレーキがかかる車両もあった。また、ドライバーたちはソーシャルメディアに、オートステアオプションの消滅、トラフィックアウェア クルーズコントロール機能の問題、Autopilotのパニックなどの問題を投稿した。マスク氏は、Autopilotとクルーズコントロールの問題に取り組んでいるとツイートしている。

マスク氏は、FSDの次のバージョンのリリース日についてはまだ発表していない。

画像クレジット:Tesla

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Aya Nakazato)