公開されたコンテンツからAIでインサイトを抽出し企業の意思決定を支援するSignal AIが約57億円調達

インターネットなどで公開されている膨大なデータの海を探索し、より良いビジネス上の意思決定を行うためのセンチメントインサイトなどを組織に提供する人工知能スタートアップのSignal AI(シグナルエーアイ)が5000万ドル(約57億円)を調達した。同社はこの資金でAIプラットフォームの構築を進め、より多様なデータソースを取り込むことで、人が尋ねる可能性のある、より幅広いビジネス上の質問に対するインサイトを引き出す。

「組織はまだ、脅威や機会を先取りし、困難をチャンスに変えるための効果的なレーダーを持っていません」と同社のCEOであるDavid Benigson(デイビッド・ベニグソン)氏はインタビューで語った。同社は、ソーシャルメディアやニュースメディアから2万5000のポッドキャスト、規制当局への提出書類、その他の公的記録まで、何百ものデータソースを単一のプラットフォームに集約している。

そして、機械学習やその他のAI技術を適用し、Signal AIの顧客が投げかけた自然言語の質問に基づいて、そのすべてからインサイトを抽出する。「当社はプラットフォームに注入するデータを多様化しています」とベニグソン氏は付け加えた。Signal AIは現在、約100の言語で動作する。

今回の資金調達はシリーズDの形で行われ、Highland Europeがリードし、新規投資家のabrdnに加え、既存投資家のRedline(Signal AIの2019年のシリーズCをリード)、MMC、戦略的投資家のHearstとGuardian Media Group Venturesも参加している。ロンドンに拠点を置くSignal AIは、これで累計1億ドル(約114億円)を調達したことになる。評価額は公表していないが、ベニグソン氏(同社のチーフデータサイエンティストであるMiguel Martinez[ミゲル・マルティネス]氏と共同で創業)は、前回のラウンドより100%成長したと述べた。

PItchBookは同社の評価額が2019年時点で1億ドル程度だったと推定しており、この数字が正確であれば、現在は2億ドル(約228億円)ということになる。いずれにせよ、Signal AI自体が成長したことは間違いない。ベニグソン氏によれば、同社は現在、フォーチュン500に選ばれている企業の40%と取引しており、その顧客層にはDeloitte(デロイト)、Bank of America(バンクオブアメリカ)、Google(グーグル)などが含まれるという。

Signalが特定し、解決しようとしている課題は誰もが日々遭遇するものだが、道を間違えれば数十億ドル(数千億円)の投資が危ぶまれる可能性のある厄介な問題を企業が対処する際には、特に深刻に感じられるだろう。

インターネットは私たちに膨大な情報の宝庫を提供してくれるが、それを解き明かし、回避するための最適な鍵や地図があるとは限らない。特に、センチメント分析に関するよりふわふわした質問や、実際には多くのソースからの情報の照合である「答え」の場合のように、探している答えが単純ではない場合はなおさらそうだ。

Dataminr(2021年、41億ドル[約4670億円]の評価額で膨大な資金を調達)、Meltwater(株式公開企業で、技術力を高めるために企業買収も実施)、Cision(現在は非上場で、成長のために大規模買収も実施)など、このギャップを特定し、解決に向けて構築を進めている企業も多数存在する。

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これらの企業が重視し、推進したのはメディアモニタリングの分野であり、他のメディアソースだけでなく、企業自体も利用する巨大なビジネスだ。実際、Signal AIも以前はSignal Mediaと呼ばれ、この分野を中心に活動していた。

従来のやり方は、メディアの切り抜きを集めてクライアントに提供するものだったが、新しいやり方は単に言及を集めるだけでなく、そこから得られたより要約された情報やインサイトを提供するものだ。インターネットが発達すればするほど、クリップの数は増え、実際、最も熱心なコミュニケーション専門家のチームでさえ、クリップの山に対応するのは不可能になっている。

しかし、よりインテリジェントなメディアモニタリングのために構築されたこのモデルは、同じフォーマットとアルゴリズムをより幅広いユースケースに適用する道を開くものであり、Signal AIはその前提のもとに構築されている。

このように、Signal AIはコミュニケーション戦略に携わる人々へのインサイト提供に重点を置いているが、AIQプラットフォーム(Signalはそう呼んでいる)を通じて、クライアントに提供できる情報の種類をさらに増やしている。

例えば、潜在的なビジネスパートナーに関する情報や「インサイト」の提供、多様性と包括性でのスピードアップやそれらに他社がいかにアプローチしているか、環境戦略に関する決定事項、税金やデータ保護などの規制遵守についての企業の戦略に関するデータなどだ、とベニグソン氏は話す。

同氏によれば、Signal AIをDataminrのような企業と比較するのは妥当だが、ユーザーが求めるクエリの種類や回答において、より多くのコンテキストを提供する点でSignal AIは異なるという。ビジネスの成長とともに、このような豊かな体験ができることも、同社がいかに成長するか投資家が関心を寄せる理由だ。

Highland EuropeのパートナーであるTony Zappalà(トニー・ザッパラ)氏は「Signal AIは、傑出したカテゴリー定義会社です」と話す。「同社の革新的な成長の次の章に関与することに興奮しています。デイビッドと経営陣は、彼らが定義するのに役立っている意思決定拡張カテゴリに対して明確なビジョンを持っており、Gartnerの調査が示すように、その機会は膨大なものです」と述べた。

画像クレジット:pigphoto / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

海外の学校へのリモート留学を可能にするEducate Onlineが約4.5億円のシード資金を調達

Educate Onlineのチーム

学生と国際的な教育機会を結びつけるStudyFree(スタディーフリー)が300万ドル(約3億4000万円)のシードラウンドを調達したことを知ったのは、今週始めのことだった。しかし、さらに従来のコースに合格すること以上のものが存在する。パンデミックによって教育はリモート産業と化し、テック系スタートアップ企業はこれに対応した。

Educate Onlineは、留学生が英国、米国、カナダの学校で勉強できるようにするプラットフォームだが、ひとひねりある。外国に移住したり、それにともなう関連費用を負担したりすることなく、すべてオンラインで、遠隔地から、フルタイムまたはパートタイムで学習することができるのだ。

現在、Xploration Capital(エクスプロレーション・キャピタル)、TMT Investments(TMTインベストメント)、Flyer One Ventures(フライヤー・ワン・ベンチャーズ)、Softline(ソフトライン)、Angelsdeck(エンジェルズデック)から400万ドル(約4億5400万円)のシード資金を調達している。

過去12カ月の間に、18カ国から2500人の生徒が集まり、幼稚園から高校までの学習、ESOL、キャリア模索、大学進学準備、インターンシップやメンタープログラムをカバーしているという。

このプラットフォームでは、学生がキャンパス内のサマープログラムやセメスタープログラムに参加するオプションも提供している。現在、LATAM(ラテンアメリカ)、アジア、中東での展開を計画している。

競合には、Transitions Abroad(トランジションズ・アブロード)Smapse(スマプス)Academic Families(アカデミック・ファミリーズ)など、まだオフライン教育に重点を置いている代理会社がある。

Educate Onlineの共同創業者兼CEOであるAlexander Zheltov(アレクサンダー・ゼルトフ)氏は「Educate Onlineは2018年に設立され、それ以来、4歳から19歳までの4000人以上の子どもたちをトップスクールに斡旋してきました。新型コロナウイルスの流行後、オンライン教育への関心が高まっていたため、オンライン教育へのハードピボットを行いました。2020年には5.5倍に成長し、今後も前年比3~5倍の成長を見込んでいます」と述べている。

Xploration CapitalのマネージングパートナーであるEugene Timko(ユージン・ティムコ)氏は「学校は歴史的に非常にローカルな運営をしてきました。主に海外キャンパスや現地での提携を通じて、海外に進出しているところはほとんどありません。そのため、国際的な学校教育の可能性はかなり制限されています。Educate Onlineは、既存の学校のインフラを補完する有力なオンライン層となり、現在の国境を越えた教育市場を大幅に拡大する可能性があります」と述べている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

香港のグローバルアクセラレーターBrincがシリーズBで約34.2億円を調達、日韓印・シンガポールにも拡大検討

ここ数回、香港に行った際にBrincの本部を訪れる機会があったが、このアクセラレーターが扱うスタートアップの幅広さに驚かされた。私は、主にコンシューマー向けハードウェア企業を通してこの組織のことを知っていたからである。2014年に設立されたときには、その分野を主な焦点としていた。

Brincはその後、食品、健康、ディープテックなどに大きな焦点を当て、活動の範囲をかなり拡大した。Web3やNFTのようなカテゴリを視野に入れ、今後も範囲を広げていくという。香港に拠点を置くAnimoca Brandsは、この動きで大きな役割を果たしているようだ。2020年、両社はブロックチェーン / NFTアクセラレーターのLaunchpad Lunaを立ち上げた。

Animocaはまた、Brincの3000万ドル(約34億2000万円)のシリーズBラウンドを主導しており、同アクセラレーターはこの資金で提供プログラムの拡大、拠点の追加、従業員の追加雇用を予定している。Brincの共同創業者であるBay McLaughlin(ベイ・マクラフリン)氏は、TechCrunchとの電話インタビューで日本、韓国、シンガポール、インドを含むアジアの多くの市場を潜在的拡大のターゲットとして挙げ、さらに中国での存在感を高めることを目指していると明らかにした。

また、11月にはラテンアメリカで初となるブラジル事務所を開設するとのこと。現在、Brincは7つのオフィスを持ち、合計12拠点でスタッフが働いている。

Animocaは、シリーズBへの参加に加え、Brincを通じて、VCファンドのような形でスタートアップ企業に1億ドル(約113億9000万円)を直接投資する予定だ。

Animocaの創業者兼会長であるYat Siu(ヤット・シウ)氏は、このニュースに関連したリリースでこう述べている。「Brincは、新興市場と技術のためのスタートアップアクセラレーションの代表的な存在であり、その目標は、未来とサステナビリティをしっかりと見据えています。我々は、伝統的な分野と成長分野でのブロックチェーン導入によるオープンな未来という共通のビジョンを持っており、そのアクセラレーションプログラムから生まれるイノベーションに期待しています」。

画像クレジット:Brinc

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行うKAICOが2.6億円のシリーズA調達

カイコを利用したタンパク質の受託発現や、試薬、診断薬、医薬品原料の製造販売を行う九州大学発スタートアップKAICO(カイコ)は12月15日、第三者割当増資による2億6000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合、双日、東京センチュリー、ユーグレナ。これは2020年5月25日に公表したシリーズAの追加ラウンドにあたり、シリーズA累計調達額は5億2000万円となった。

KAICOは、2020年から新型コロナウイルスのスパイクタンパク質を生産し、2021年9月からは、このタンパク質を利用した新型コロナウイルスの抗体測定サービスも開始している。また2021年4月には、KAICOは、開発したワクチン抗原タンパク質が経口接種によるワクチン効果があることを確認し、特許を申請している。ワクチンの原料となるタンパク質は、通常は経口接種するとアミノ酸に分解され免疫の獲得は困難となるが、一部のカイコ由来タンパク質は経口接種でも注射と同じように免疫を持つことが確認された。

経口接種ワクチンが実現すれば、医療機関で注射を受ける必要がなく、誰もがドラッグストアで購入して飲むことができる。また常温で保存が可能なため、世界中どこへでも運ぶことができる。家畜にも、1頭ずつ獣医師が注射をすることなく、餌に混ぜて接種できるなどのメリットが大きい。

カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行う九州大学発KAICOが2.6億円調達

KAICOのコア技術は、「カイコ・バキュロウイルス発現法」と呼ばれるもの。バキュロウイルスは、昆虫を宿主とするウイルスで、異種遺伝子を発現させるために使われている。目的のタンパク質の遺伝子をカイコに挿入すると、カイコの体内でそのタンパク質が作られる。医薬品やワクチンを量産したければ、カイコの数を増やすだけでよい。即座にスケールアップが可能ということだ。また、複数の薬を同時並行して開発することもできる。

今回の資金調達で、KAICOは経口ワクチンの実現を目指して、ヒト用(新型コロナウイルス、ノロウイルスなど)と動物用の開発を進めるとしている。経口ワクチンの前段階として、カイコを使ったサプリの開発、販売も予定しているとのことだ。

データ統合自動化サービスtroccoなどを手がけるprimeNumberが約13億円のシリーズB調達、採用・マーケ強化

データ統合自動化サービスtrocco」などを手がけるprimeNumberが約13億円のシリーズB調達、採用・マーケ強化

データ活用を効率化するクラウド型サービス「trocco」(トロッコ)を運営するprimeNumber(プライムナンバー)は12月15日、シリーズBラウンドにおいて第三者割当増資により約13億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、リード投資家のCoral CapitalおよびOne Capital、またSBIインベストメント、大和企業投資、SMBCベンチャーキャピタル。調達した資金は、100名規模への体制強化とマーケティング活動の促進に活用される。

企業がデータ活用を推進する上では、様々な準備作業が必要となる。部署・部門・担当領域ごとに、クラウド・SaaS・各種アプリケーション・データベース・ストレージサービスといった環境ごとに「(1)点在」するデータを、意図に沿って「(2)統合」し、データウェアハウスをはじめとした保管庫に「(3)蓄積」、BIツールなどによって「(4)可視化」、その上で「(5)分析」「(6)活用」ができる。データ統合自動化サービスtrocco」などを手がけるprimeNumberが約13億円のシリーズB調達、採用・マーケ強化

この6プロセスをスムーズに行うためには、「データエンジニアリング」と呼ばれる様々な知識・技術が必要となる。「データ分析基盤」というインフラ構築の知識を基にに、「(2)統合」でのSQL(データベースを操作する言語)などの利用、「(4)可視化」にはBIツールなどを選定・操作する技術が求められる。

しかしこれらスキルを備えるデータエンジニアは数が少なく、2030年にはAIやビッグデータなどを担う先端IT人材が約55万人不足する恐れがあるとも試算されている(経済産業省「IT人材需給に関する調査 調査報告書」)。

そのような背景を受けprimeNumberは、troccoの提供をはじめ、上記6プロセスと周辺領域アプリケーション開発をサポートする「ソリューションサービス」、非IT人材のデータ活用育成を支援する「データエンジニアリングワークショップ」など、データ活用の必要性が増す中でのデータエンジニア不足解決を支援するサービスを提供している。

食料品を15分で届けるクイックコマース「Grovy」、東欧進出と持続可能性で差別化を図る

Grovyのファウンダーたち(画像クレジット:Grovy)

また1つ、食料品を15分配達の「クイックコマース」スタートアップがこの分野に参入し、山ほどの企業があふれるこの市場に加わろうとしている。しかし、Grovy(グロービー)は、混み合っているヨーロッパ西部を避け、東部で日常デリバリーのリーダーになることを目指している。

300万ユーロ(約3億8000万円)の調達ラウンドをLighthouse Ventersのリードで完了した同社は、フランクフルトとマインツでドイツ市場への参入を果たした後、すでにプラハ、ブカレストにオフィスを構え、中央および東ヨーロッパへの拡大を図っている。

多くの企業が、最大20%にのぼる高い手数料と低賃金のギグワーカーに依存しているのに対し、Grovyはフルタイム労働者のみを雇い、配送手数料を5%に固定し、40ユーロ(約5120円)以上の注文では無料だと同社は語る。

同社のもう1つの特徴は持続可能性で、配達には自転車とEV(電気自動車)のみを使用し「見た目の悪い」野菜や賞味期限の迫った生鮮食品を割引販売している(食品廃棄物の軽減に役立つ)他、食品廃棄物のスタートアップであるToo Good To Goらと提携し、カーボン・オフセット・プログラムも導入している。

Grovyの共同ファウンダーでCEOのJustin Adams(ジャスティン・アダムス)氏は「フランクフルトとマインツというクイックコマース需要の高い地域は実験に理想的でした。しかし、このモデルをドイツの他の都市へ展開するのではなく、未だに10分配達が目新しくスケーリングの可能性が膨大な中央・東ヨーロッパ地域の大都市へこのモデルを持ち込むことにしました」。

筆頭出資者であるLighthouse VenturesのマネージングディレクターMichal Zalesak(マイケル・ザレサク)氏は次のように語った。「Grovyは、通常の食料品チェーンなら1年かかることをわずか数週間で成し遂げました。膨大な競争圧力にもかかわらず、クイックコマースにおける同社独自のアプローチは、ドイツで驚くべき成功を収めました。私たちは彼らのヨーロッパ中東部への進出を支援します」。

Grovyには、ドイツのGorillas(ゴリラズ)とFlink(フリンク)、ワルシャワのLisek(リセック)などの直接的な競合がいるが、同社が運用しているヨーロッパの他の都市の大部分では、Bolt(ボルト)やDeliver Hero(デリバリー・ヒーロー)などの1時間配達のライバルしかいない。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ブラウザ拡張機能としてサイバーセキュリティを提供するGuardioが初の外部資金調達で約53億円獲得

クラウドでの次世代コンピューティングに関しては、PCにインストールするウイルス対策ソフトはもう限界かもしれない、ともいわれている。その次に来るものと信じられているプロダクトを構築したスタートアップが米国時間12月14日、初の外部資金調達となる大規模なラウンドを実施し、ニュースになっている。

Guardio(ガーディオ)は、ウェブ利用時や、インターネットを利用して相互接続するデジタルサービス(メッセージングサービス、買い物、銀行サービスなどを想定しているが、今のところモバイルサービスはない)利用時に、疑わしい活動や悪意のある活動を監視するブラウザ拡張機能を構築した。同社はTiger Globaがリードし、Emerge、Vintage、Cerca Partners、UnionそしてSamsung Nextが参加したラウンドで4700万ドル(約53億円)を獲得した。ブラウザ拡張機能は、コンピューターやインターネット接続の遅延に影響を与えず「ただバックグラウンドで座っているだけ」だとCEOのAmos Peled(アモス・ペレド)氏はインタビューで語った。「当社は、ユーザーにアドバイスしたり手助けしたりしたいのです。ポジティブな摩擦を信じています」。

2018年に自己資金で設立されたテルアビブ拠点のGuardioは、すでに100万もの拡張機能ユーザーを集めている。それが早い段階でこれだけの資金調達ができた理由の1つでもある。Daniel Sirota(ダニエル・シロタ)氏、Michael Vainshtein(マイケル・ベインシュテイン)氏と共同で創業したペレド氏によると、通常、平均的なユーザーに対するGuardioの検出率は最初の1週間で73%だ。そこでデータ漏洩や悪意のある拡張機能、その他の悪意のある活動の可能性があるアクティビティを特定することができているという(時間の経過とともに、この数字はシステムがより多くを学習するにつれて大きくなるようだ)。

現在、フリーミアム製品のアクティブユーザーは100万人だが、そのうち10万人は有料ユーザーで、消費者と「マイクロ」(つまり零細)企業が混在しているとペレド氏は話す。今後は、この2つの路線で成長を続け、さらに幅広い製品群へと拡大していく予定だ。地域的には、ペレド氏が指摘するように、約1700万の零細企業が存在する米国市場での継続的な成長に重点を置くことになる。このような零細企業は、専属のセキュリティ専門家を置いておらず、セキュリティ関連に費やすリソースも必ずしも多くはないが攻撃の影響を受けやすく、その規模ゆえに攻撃が原因で倒れる危険性も高い。

会社設立のきっかけについてペレド氏は、そのような規模の組織の多くが、すでにセキュリティ保護にある程度の費用を支払っているが、そのほとんどが古いウイルス対策ソフトであり、目的にかなっていないという認識からだったと話す。

「攻撃者は適応しており、昔のようなエクスプロイトやOSに対する攻撃ではなく、ブラウザの仕組みを悪用するようになりました。数十年にわたって存在しているウイルス対策ソフトなどの保護レイヤーがうまく適応できなかったため、セキュリティ環境に隙が生じたのです。インターネットに接続するOSを更新しているユーザーの多くは、ウイルス対策ソフトを使用していました。そのため、多くのウイルスが侵入してきたのです」。

ここ数年、サイバーセキュリティのスタートアップが大量に市場に参入しているが、その多くは企業向けに展開し、大企業や消費者に特有のアーキテクチャのセキュリティに焦点をあてている。そこで、この2つの境界に位置するグループ向けの製品を開発し、そのための強力な牽引力を見出す能力が投資家の目にとまった。

Guardioは、3人の創業者が共同で立ち上げた2番目のスタートアップだ。最初のArpeelyは、機械学習と深層学習技術によるリアルタイムメディアオークションに特化しているとのことだ。

「このチームはサイバー、プロダクト、市場開拓の専門知識を結集し、この市場を破壊しイノベーションを起こすのに最適なポジションにいます。自己資金起業での牽引力はその証です」とTiger Globalのパートナー、John Curtius(ジョン・カーティス)氏は声明で述べた。

画像クレジット:JuSun / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

店舗の場所探しやサプライチェーンの最適化など、マップ上でのデータ可視化と活用を支援するCartoが約69億円調達

空間分析プラットフォームCarto(カート)がシリーズCラウンドで6100万ドル(約69億円)を調達した。多くの企業は、何らかの位置情報が結びついたデータを大量に収集している。Cartoは、そのデータをインタラクティブな地図上に表示し、より簡単に比較、最適化、比較検討、意思決定ができるようにする。

米国時間12月14日のラウンドは、Insight Partnersがリードしている。またAccel、Salesforce Ventures、Hearst Ventures、Earlybird、Kiboといった既存投資家の他、European Investment Foundも参加した。

多くの企業がデータ戦略に取り組み、何らかの知見を得ようとしている。まず、データウェアハウスを採用し、現在と過去のすべてのデータを1カ所に集約する。企業はAmazon Redshift、Google BigQuery、Snowflakeといった製品を利用している。

その後、ウェアハウスに蓄積されたデータを活用するために、さまざまなビジネスインテリジェンス、レポーティング、データ可視化ツールが用意されている。そのうちの1つが、空間分析に特化した製品を展開するCartoだ。

Cartoは、複数のソースからデータを取り込むことができる。過去のデータをローカルファイルとしてアップロードすることもできるが、ライブデータに直接接続することも可能だ。データベース(PostgreSQL、MySQL、Microsoft SQL Server)、クラウドストレージサービス(Dropbox、Box、Googleドライブ)、データウェアハウス(Amazon Redshift、Google BigQuery、Snowflake)との接続を提供する。

「この3年間で、データウェアハウスが台頭し、データウェアハウスをベースにしたアーキテクチャはほとんどなかったところから、支配的な実装になりました」と、CartoのCEOであるLuis Sanz(ルイス・サンズ)氏は筆者に語った。「そのため、我々はすべての主要なデータウェアハウスの上に空間的な拡張としてCartoを構築することに注力してきました。というのも、この傾向はちょうど加速しているところだからです」。

その後、顧客はSQLクエリを使ってデータを調べ、データを充実させることができる。特に、Carto独自のデータカタログを活用することができる。同社は、オープンデータソースと民間プロバイダーの両方から約1万のデータセットをコンパイルしており、約3600のデータセットがオープンデータだ。

すべての設定が完了すると、インタラクティブなダッシュボードが表示される。地図上を移動したり、レイヤーを選択・解除したり、実際の数字を見たりすることができる。まるで「シティーズ・スカイラインズ」をプレイしているような感覚になるはずだ。

顧客はCartoを使って、次の店舗を開くべき場所を探したり、屋外広告の予算を一部の地域に優先配分したり、サプライチェーンを最適化したり、適切な地域に携帯電話の基地局を配備したりしている。

地方自治体、銀行、消費財メーカー、クレジットカードネットワーク、そして交通機関、公共事業、通信事業といったインフラ企業など、さまざまな顧客を納得させることができるのはそのためだ。

「データウェアハウスの台頭により、企業はすべてのデータを1カ所で統合し、接続することができるようになりましたが、地理空間データも例外ではありません。そして今、我々のクラウドネイティブサービスによって、その上で空間分析を行うことができるようになりました。当社のSpatial Extensionは、主要なデータウェアハウスの上で動作し、その利点を最大限に活用します。そしてユーザーに高いパフォーマンス、拡張性、安全性を備えた地理空間分析のための完全なツールを提供します」とサンズ氏は声明で述べた。

基本的に、Cartoはデータウェアハウスへの移行と一般的なデジタルトランスフォーメーションの恩恵を受けている。より多くの企業がクラウドに移行すれば、そうした企業はCartoの潜在顧客となる。

画像クレジット:Timo Wielink / Unsplash

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

留学生の奨学金・助成金プラットフォーム「StudyFree」が約3.4億円調達

StudyFreeの創業者ダーシャ・クロシキナ氏(画像クレジット:StudyFree)

コミュニティ主導のB2C SaaSモデルで、学生と国際的な教育機会を結びつけるStudyFreeは、I2BF Global Ventures、TMT Investments、Techstarsが主導して300万ドル(約3億4000万円)のシード投資ラウンドを行った。また、PandaDocのCEOであるMikita Mikado(ミキタ・ミカド)氏とGoogleの元製品担当ディレクターAndrey Doronichev(アンドレイ・ドロニチェフ)氏が参加している。StudyFreeは現在、合計360万ドル(約4億1000万円)の資金を獲得しています。新たな資金は、コミュニティの新規メンバー獲得、新市場への進出、マーケティング、プラットフォーム開発などに充てられる予定になっている。

2018年11月に創業したStudyFreeは、学生生徒や他校の卒業生の大学や大学院への入学を支援し、奨学金や助成金をリストアップする。同社によると、プラットフォームを利用している国際的な学生生徒は計1030万ドル(約11億7000万円)相当の奨学金や助成金をもらい、米国やカナダ、ヨーロッパ、アジアなどの大学で勉強している。また、奨学金付きの様々な学位のプログラムを30万件以上提供し、9万人の学生が利用している。

StudyFreeのCEOで創業者のDasha Kroshkina(ダーシャ・クロシキナ)氏は「私も小さな町に生まれて国際的に勉強したため、このような機会提供が何よりも重要なことを誰よりもよく知っています。推計では、海外の国際的な教育市場は毎年150万の学生を受け入れています」と述べている。

StudyFreeの主な競争相手は、ユニコーンになったApplyBoardと従来からあるコンサルティングエージェンシーだが、StudyFreeが傑出しているのは学生たちの独立のコミュニティがメンターとして力を貸して入学を助け、外国での勉強の経験を提供していることだ。これらの卒業生たちは、自分が助けられたことのお返しをしたいという気持ちで、新しい学生たちのためのコミュニティイベントやネットワークをホストしている。同社のサービスの収益源は、サブスクリプションだ。

PandaDocのCEOであるミキタ・ミカド氏は、次のように語る。「StudyFreeは国際的な大学入学サービスの先頭に立ち、今やその世界の指導的なエキスパートになっています。過去3年の成功率は98%にも達しています。アドバイスのプロセスを入学志願の全過程を通じてデジタル化したことだけでなく、人的資本とコミュニティをプロダクトの基盤にしたことで、国際的な進学に関するコンサルティングやアドバイスに関する市場を、同社は変えてしまいました」。

クロシキナ氏は、Seedstarsが7年間やってきたグローバルなスタートアップコンペで、初めての女性の優勝者でもあり、またニューヨークのアクセラレータTechstarsやバークリーのSkyYDeckでも選ばれ、Techstarsからは2回投資されている。これまでの投資家には、Acrobator VCやBas Godskaのファンド、東西ヨーロッパに投資しているJoachim Laqueur(ヨアヒム・ラクール)氏、そしてChris Adelsbach(クリス・アデルスバッハ)氏らがいる。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

倉庫用ロボットのスタートアップForwardXがシリーズCで約35億円調達

倉庫内に設置されたForwardXのAMRロボット

北京に本社を置き、自律移動型ロボット(AMR)を製造するForwardX Robotics(フォワードX・ロボティクス)は、世界的な事業拡大を目指し、シリーズC資金調達ラウンドの最初のトランシェをクローズしたことを米国時間12月14日に発表した。

同社の最高執行責任者(COO)であるYaxin Guan(ヤクシン・グァン)は、TechCrunchのインタビューの中で、投資家が中国の倉庫業や製造業のロボットメーカーに声をかけている時期に、同社はシリーズCラウンドの残りの資金を調達していると述べた。

今回の新たな投資により、Oracle(オラクル)の元副社長であるNicolas Chee(ニコラス・チー)氏が2016年に同社を設立して以来、ForwardXの調達総額は約1億ドル(約113億円)に達した。同社は、資金調達後の評価額や、シリーズC全体でいくらかき集める予定なのかについては明らかにしていない。

C1ラウンドは、中国の保険会社であるTaikang Life Insurance(泰康人寿)が主導し、Qualcomm Ventures(クアルコム・ベンチャーズ)と、業界のアップグレードに焦点を当てた中国のアーリーステージの投資会社であるStarlight Capital(スターライト・キャピタル)が参加した。

2014年、Qalcommは、インターネット、eコマース、半導体、健康、教育などのモバイル技術を推進する中国のスタートアップ企業に1億5000万ドル(約170億円)を出資することを発表している。

ForwardXは現在、別の大手サプライヤーのチップを使用しているが、チップメーカーの大手が参加することで「5G技術のリーダーと協力して、スマート倉庫や製造プロジェクトでの5Gの使用をさらに進めることができる」と同社は述べている。

今回の資金調達により、中国のスタートアップ企業は、研究開発のタイムラインを加速し、米国などの「主要市場」での展開能力を高め、新しい市場での販売を拡大する計画だ。

現在、同社の収益の大部分は中国からのもので、eコマース大手のJD.com(JDドットコム)や、DHLと提携している物流大手のSF Supply Chain China(SFサプライ・チェーン・チャイナ)が主な顧客となっている。グァン氏によると、このロボットメーカーはこれまでに、JD.comの倉庫で500万件以上のピッキングを行ってきたという。

他の中国のロボットベンチャー企業と同様に、ForwardXも海外市場への進出を着実に進めている。すでに東京にオフィスを開設し、米国支社の設立を予定している他、2022年にはヨーロッパへの進出も計画している。

つまり、Locus Robotics(ローカス・ロボティクス)や6 River Systems(6リバー・システムズ)などの米国企業を狙っているのだ。競合するために、同社のソリューションは「競争力のあるハードウェアコストと、そのソリューションにおける1人当たりに必要なロボット数」により、競合他社よりも少ない初期投資で済むと主張している。同社のロボットは、1台あたり最大1200kgの荷物を運ぶことができる。

ForwardXは、AMRソリューションを販売するだけでなく、自動車送迎のプラットフォームがドライバーの生産性を最適化するために使用しているアルゴリズムのように、ロボットが倉庫内をどのように歩き回るかを決定できるフリート管理システムも売りにしている。

LiDARとディープラーニングを搭載したロボットのおかげで、作業員は歩き回るよりもピッキングに時間を割くことができ、新入社員は倉庫内のどこに何があるかを覚える必要がなくなるとグァン氏は説明してくれた。

中国のハイテク企業は、海外で規制当局の監視を受けることが多くなっている。「ビジネスの観点」から見ると、同氏は米中関係の悪化が同社の米国進出の足かせになるとは考えていない。

「米国では人手がさらに少なくなっているので、物流の顧客が米国で必要としているのはロボットなのです」と語った。

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(文:Rita Liao、翻訳:Akihito Mizukoshi)

複業・転職マッチングOffers運営のoverflowが3億円のシリーズA調達、2022年開始を目指し人材管理SaaS開発

複業・転職マッチングOffers運営のoverflowが3億円のシリーズA調達、2022年開始を目指し人材管理SaaS開発

エンジニア・デザイナー・PMなどプロダクト開発人材の複業・転職マッチングプラットフォームOffers(オファーズ)を運営するoverflowは12月14日、シリーズAラウンドにおいて3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、FFGベンチャービジネスパートナーズ、DNX Ventures、アカツキ「Heart Driven Fund」、三菱UFJキャピタルなど。調達した資金は、既存事業の成長および新規事業立ち上げを目的とした積極的な人材採用にあてる。

同社は2019年よりOffers(ユーザー登録ページ企業登録ページ)を開始し、これまで累計300社、1万人を超えるユーザーが利用しているという。今回、その次なるサービスとして、新たな人材管理SaaSを2022年の開始を目指し開発を進めると明らかにした。Offersと新サービスによって、採用から評価までワンストップで管理を行えるようにすることで、同社提唱の新採用手法「複業転職」を軸にした採用市場の活性化をリードするとしている。

AIを活用したセールスチーム向けビデオ通話プラットフォームのUniqueが約6.8億円を調達

Uniqueの創業者2人(画像クレジット:Unique)

AIを活用してセールスチームの商談を改善するビデオ通話プラットフォームのUniqueが、シードラウンドで多くのエンジェル投資家から600万ドル(約6億8000万円)を調達した。このラウンドには米Fyrfly Venture Partnersの創業者でゼネラルパートナーのPhilipp Stauffer(フィリップ・スタウファー)氏、Daniel Gutenberg(ダニエル・グーテンバーグ)氏などが参加した。

Uniqueは顧客との会話をAIで分析する。会話を録画したビデオは、セールス担当者が最適な商談をするために役立てられる。

Uniqueは12種類の言語で動作し、その中には難しいスイスドイツ語も含まれる。同社によれば、このサービスの利点はセールス担当者のトレーニング時間を短縮し、パフォーマンスを向上できることだという。また、セールスのビデオ通話の中から重要な瞬間を見つけて「Deal Room」という場所で安全に共有することで、買い手側がそれを後から参照したり自分のチームに共有したりすることもできる。

Uniqueを起業したのはシリアルアントレプレナーのManuel Grenacher(マヌエル・グリナハー)氏とAndreas Hauri(アンドレアス・ハウリ)氏で、両氏はB2BのSaaSスタートアップであるCoresystemsでセールスチームを編成して率いた経験がある。CoresystemsはSAPに買収された。

グリナハー氏は次のように述べた。「リモートワークやハイブリッドワークが続き、セールスチームは顧客や見込み客、同僚や上司と離れることが多くなっています。そのため、顧客とつながりを持つことができず、チームから学んだりフィードバックをもらって準備を整えたりするのが難しい状況です。我々はセールスのプロセスを刷新するためにUniqueを作っています。AIを活用して会話を分析することで洞察や関係性の上で重要な瞬間を見つけ出し、セールスチームと顧客がより深く生産的な関係を構築できるように支援します」。

投資家のフィリップ・スタウファー氏は次のように述べた。「セールスチームのオートメーションと会話型インテリジェンスが交わる分野は、Fortune 500企業が導入する優先順位と成長率の両面で急成長していくでしょう。セールスの成果を伸ばす価値創造のチャンスは極めて大きいものです」。

Uniqueの競合にはGong.ioやPeople.AIがある(どちらもユニコーンだ)。Uniqueに優位性があるとすれば「Deal Room」のアプローチと、ヨーロッパで構築されたためGDPRの厳しいプライバシー規則に準拠していることだ。セールスチームがUniqueを使い始めたら、Zoomの市場にも食い込んでいくかもしれない。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」のascendがプレシリーズAエクステンションで5000万円調達、累計調達額約2.5億円に

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」のascendがプレシリーズAエクステンションで5000万円調達、累計調達額約2.5億円に

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を開発するascend(アセンド)は12月14日、プレシリーズAのエクステンションラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、B Dash Ventures(BDV)が運用するベンチャーキャピタルファンド。調達累計額は約2億5000万円となった。

アセンド・ロジは、現在手作業・アナログでなされている運送事業者の運行管理業務をデジタル化することで一元集約し、運送業者の売り上げに直結する物流データ(荷物、車両、運転手、ルート等)を可視化するサービス。同時に、これらデータを基に運送事業者の経営改善に資するインサイトを提供するという。

また受注側による物流データの可視化には、発注側である荷主のポートフォリオを運送事業者側が把握・分析できるという側面もあり、双方が対等な交渉力を備える、健全な経済のあり方にもつながっていくものと、同社は考えているそうだ。

BDVは、地方中小企業のDX推進を目的とし、2021年10月に、地域金融機関への強いネットワークを持つ株式会社あおぞら銀行との合弁会社であるB Sparkを設立。ベンチャー企業の持つDXのナレッジと地方中小企業のDXニーズを効果的に結びつける挑戦を行っている。今回、BDVの運営ファンドからの出資を契機として、ascendもB Sparkの持つ地域金融機関とのネットワークを効果的に活用し、地方の中小運送業者のDX支援を強化できるよう務めるとしている。

元Snap社員が会話型コマースのスタートアップWhymが4.9億円調達

元Snapの社員たちが作った会話型のコマースサービスWhymは、モバイルデバイスからの買い物をもっと簡単にしようとしている。チェックアウトのフォームに長々と記入したり、決済カードの詳細を手で入力する代わりに、Whymでは1回のタップでApple PayやGoogle Pay、あるいは単なるテキストメッセージでチェックアウトを終えることができる。同社は、一般消費者製品や健康グッズ、美容製品などで成功し、このほど430万ドル(約4億9000万円)のシード資金獲得を発表した。

ラウンドはDeciens Capitalがリードし、DNX VenturesやReciprocal Ventures、Unusual Ventures、Chaos Ventures、Magic Fundらが参加、またSequoiaやLightspeed、Canaan Partnersらも小額を投資した。さらにStripeやPayPal、Venmo、Microsoft、Salesforce、Google、Facebook、Twitter、TikTok、Snapchat、Uber、Airbnb、Red BullそしてSpotifyなどの創業者や役員からのエンジェル投資もある。

同社は2017年にCEOのKelly Nyland(ケリー・ナイランド)氏とCOOのRhenee Bartlett(レニー・バートレット)氏が創業した。2人はともに、Snapに在籍していた。ナイランド氏はSnapの消費者プロダクトとマーケティングのトップとして、SnapのARサングラスSpectaclesの市場開拓戦略をつくった。バートレット氏はSpectaclesのイベントマーケティングとパートナーシップを担当。Whymの創業に加わりエンジニアリングのVPになったRyan Hornberger(ライアン・ホーンバーガー)氏は、彼のスタートアップであるScan, Inc.が買収されたあとSnapで働き、SnapchatのSnapcodeの基本を作った。

画像クレジット:Whym

Snapにいたときナイランド氏は、ユーザーの多くが、毎日、DM(ダイレクトメッセージ)の画面からSnapを利用し始めることに気づいた。そこで彼女は同社に、アプリ機能の一部として、ブランドと消費者がSnapの上で直接コミュニケーションできるようにしたらどうか、と提案した。

「その経験から、未来のソーシャルショッピングではメッセージングがとても重要だと確信しました」とナイランド氏はいう。

Whymのチームは、メッセージングとコマースを一体化して、テキスト(SMS)やDMのスレッドでショッピングができるようにすれば、ソーシャルショッピングの新しいかたちになると確信し、2018年にベータでローンチした。それによりブランドは、テキストメッセージで「買い物行動に対する応答」ができるようになった。

その後、Whymは小さな店を提供し、それをテキストによるキャンペーンと組み合わせて、その場で商品を買えるようにしている。テキストのやり取りで色やサイズなどを指定することができ、チェックアウトもできる。ブランドはソーシャルメディアやメッセージングアプリで、他の場所のリンクを宣伝してもよい。それを、リンクインバイオやスワイプアップ(Instagramのリンクステッカーなど)、メッセージングアプリなどで展開できる。

画像クレジット:Whym

消費者は、これまでのようにモバイルサイトをあちこちクリックしなくても、簡単かつ迅速に精算できる。小さな店に行ってカートをカスタマイズし、それからApple PayやGoogle Payをタップして買い物が終わる。Whymは初期のようにテキストでチェックアウトもできるが、今後は消費者の電話番号を使う方法も導入する。つまり2022年から、消費者は商品を選んで電話番号を入力すると、それだけでその商品に対する関心や近く買う意思を示せる。従来のようにウェブサイトのリンクを送ったり、スクリーンショットを撮ったりしなくてもいい。

今後は、Whymが顧客にユニバーサルカートを提供して、いろいろなブランドから買い物できるようにし、またブランド側はユーザーに、案内メッセージを送れるようにする。

「中心的な業種は、新進気鋭のD2Cブランドや美容、ウェルネスなどとなります。リピートの多いブランドを重視したい。Whymにできることは顧客のカートを個別一対一で再構築して、そうしたブランドのための「買い物によるリプライ」(リプライの一環として購入アクションがある)を作っていくことです。そのためにはバックグラウンドでテキストメッセージングのパワーを利用して、ブランドと消費者に生じるリピート購入体験を自動化していきます」とナイランド氏はいう。

Whymを利用しているブランドは今数百社で、1回のオーダーにつき3%+10セント(約11円)の手数料を払っている。今同社は年間総取引額が5000万ドル(約56億8000万円)から2億5000万ドル(約284億円)という高級で高額なブランドに注力し、段階的な料金制を導入しようとしている。まだ、そのレートは発表されていない。

自分のブランドをWhymに統合したい人は、その処理の一部始終をセルフサービスでできるが、約10分間かかる。同社の営業チームが、Whymのデモをしたり、Whym統合や最初のキャンペーンを手伝ってくれる。

現在、同社は社員が50名ほどで、今回の資金は新しいブランド顧客の開拓とプロダクトの機能強化に充てる。新しい機能の多くは、顧客の要望によるものだ。これまでWhymは、700万ドル(約8億円)を調達している。

画像クレジット:skaman306/Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

5カ月でGitHubスター2000獲得、LiveKitはメタバースにはオープンなインフラが必要だと考える

世界的なパンデミックが発生したとき、Medium(ミディアム)でプロダクト部門を担当していたRussell d’Sa(ラッセル・ダサ)氏は、全員が自宅で仕事をしているため、企業カルチャーがインパクトを受け、社員間の交流にも大きな影響を与えていることに早くから気づいていた。

「なくなったのは、同僚同士の会話や、金曜日の夜に飲むこと、一緒にコーヒーを淹れて飲むことなどでした」とTechCrunchに彼は語った。「職場で友人になるということは、最終的にどのようにコラボレーションするかを下支えします」。

2020年、Clubhouse(クラブハウス)がアルファ版で公開されたとき「すべてを変える新しい参加型メディア」として話題になったが、ダサ氏は仕事仲間のためにもそのようなものを求めていたという。

関連記事:隔離生活で求められる自然発生的なコミュニケーションを生むソーシャルアプリ

彼は、ClubhouseアプリがAgora(声網)を利用していることを知り、自分のアイデアを実現するためのデスクトップアプリの開発を始めた。ダサ氏がこのアプリをリリースすると、すぐに1300社がウェイティングリストに登録した。同氏は最終的にこのアプリを棚上げにしたが、企業は「この新しい環境では何でも試してみたい」と考えていることがわかった。

実際、ある大手ソーシャルメディア企業からは、傘下の1000人規模の企業でそのアプリを使ってみないかと持ちかけられたが、Agoraのセキュリティが心配だったという。ダサ氏は代替手段を検討し始めたが、多くは会議に特化したもので、ネイティブモバイルに対応する柔軟性を備えていなかった。

そこで生まれたのがLiveKitだ。共同設立者のDavid Zhao(デビッド・ザオ)氏を含むダサ氏のチームは、WebRTCと呼ばれるリアルタイムのオーディオ・ビデオ体験をアプリケーションで構築しスケーリングするための、無料でオープンソースのインフラを開発した。

7月にこのツールをリリースした同社は、米国時間12月13日、Redpoint Venturesと、Justin Kan(ジャスティン・カン)氏、Robin Chan(ロビン・チャン)氏、Elad Gil(エラッド・ギル)氏などの個人投資家からの支援を得てシードラウンド700万ドル(約7億9000万円)を調達したと発表した。

公開からわずか5カ月の間に、同社のツールはGitHubでトレンドを生み出し、ゼロから始まって約2000スターを獲得したとダサ氏は述べている。また、メタバースの話題が増えている中で、製品の市場適合性も証明された。

「新型コロナは私たちの世界を、オンラインで生活し、ネット上で結婚式を挙げるような世界に変えました」と彼は語る。「私たちはすでにメタバースの中で生活しており、それは2年以上前から続いています」。

同氏は、会議通話は未来のものではなく、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)によってより現実のように感じるものになると考えている。しかし、課題は、インターネット上でいかにすばやくデータを移動させ、カメラやマイク、3Dオブジェクトに対応したインフラを持つかということだ。

LiveKitによるライブオーディオ・ビデオ体験の初期のユースケースはイベント会場のカメラだったが、あるドローン会社もこの技術を使っている。LiveKitを利用したプロジェクトが100件を超えるなど、採用が進むにつれ、ダサ氏は、ベンチャーキャピタルの支援を受けてチームの規模を拡大することを決意した。立ち上げ当初は3人だったチームが今では15人に増えたという。

現在、同社は収益を上げていないが、分析、遠隔測定、スパムや不正使用の監視、音声転写、翻訳、音声や顔の機能など、基本的な機能以外にも提供されるサービス、新しいツールが登場すれば収益を上げることができるだろう。

目下、LiveKitチームは、ツールの信頼性と柔軟性を高め、デベロッパーや彼らが構築するユースケースへのアクセシビリティを改善するための技術開発に注力していきたいと考えている。

「目標は、ネットワークの状態が悪くても動作する方法を見つけることです」とダサ氏はいう。「当社は大小さまざまな企業と話をしていますが、最大手の企業は、100万人規模のイベントをすべてインタラクティブに行うための大規模なスケールを求めています」。

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

コードを一行も書かずにWeb3プロジェクトを構築・立ち上げ・管理できるツール「Thirdweb」

Web3プロジェクト用のソフトウェアスタートアップ「Thirdweb(サードウェブ)」は、Gary Vaynerchuk(ゲイリー・ヴェイナチャック)氏やMark Cuban(マーク・キューバン)氏など、著名なビジネスリーダーや起業家、クリエイターたちから500万ドル(約5億7000万円)の資金調達を完了した。

同社は、デベロッパーがコードを一行も書かずにWeb3プロジェクトを構築、立ち上げ、管理できる無料ツールを3カ月前に発表した。Thirdwebは、Social Chainの創業者であるSteven Bartlett(スティーブン・バートレット)氏と、BeboやAppLovinの創業CTOを務めたFurqan Rydhan(フルカン・ライダン)氏によって設立された。

ロンドンとサンフランシスコにオフィスを構えるThirdwebは、NFT、ソーシャルトークンや通貨、さらにトークン、NFTのルートボックスやドロップを売買するマーケットプレイスなどの機能を、数クリックで追加することを可能にする。

Thirdwebの共同設立者であるスティーブン・バートレット氏とフルカン・ライダン氏(画像クレジット:Thirdweb)

バートレット氏は、Web3と暗号資産に興味を持ち、4年以上にわたってこの分野を追いかけていたとTechCrunchに語った。同氏が初期の暗号投資家だというライダン氏と出会ったとき、2人はWeb3のことで意気投合した。

「私たちは、起業家たちがこのスペースでものを作りたいと思っていること、そして彼らがツールを必要としていることを知っていました」とライダン氏は語る。「私たちはベースとなるアイデアからスタートし、1年かけてThirdwebを構築し、今では数百社のお客様にSDKをご利用いただいています。Stripeが簡単にプラグインできるようにしたように、当社のコードも、誰にでも提供できるように書きました」。

彼らはアーリーアダプターたちと一緒に機能を開発しており、中には1年以上Thirdwebを使い続けているケースもある。また、Nike(ナイキ)、Disney(ディズニー)、Bumble(バンブル)、Meta(メタ)などの企業が、メタバース、Web3、NFTの空間に向けて、ブロックチェーンゲーム、NFTプラットフォーム、DAO、クリエイタープロジェクトなどのアプリや製品の構築を始めたくて、すでにうずうずしているという。

まだ初期段階だが、同社のツールを使って作られた独自なプロジェクトは500件を超えた。当初はアート分野での利用が多かったが、今ではより複雑なWeb3アプリの構築や、スペースを作りたいと考えているゲーテッドコミュニティなど、様々な用途で利用されている。

Thirdwebの目標は、1000以上のデベロッパー、チーム、企業にツールを使ってもらうことであり、ライダン氏は「それに向けて順調に進んでいる」と述べている。

新しい資本は、技術チームと成長チームの両方の雇用に使用され、ユーザーにツールを紹介するためのマーケティングとビデオ資産にフォーカスする予定だ。Thirdwebは、発売されたNFTの売上にロイヤリティや手数料がプログラムされるまでは、無料で使用することができる。その後、同社は二次販売のロイヤリティの5%を取ることになる。つまり、同社の報酬は顧客の成功に直接比例することになる、と共同設立者は述べている。

ヴェイナチャック氏は、メールで次のように述べた。「Web3は始まっており、NFTは私たちが生きている間ずっと存在するでしょう。1995年から2000年にかけて『インターネット』で何が起こったかを見て、その歴史的教訓をもとに、今後5年の間にWeb3でどれだけのことが『修正』されるかを展開してみましょう。Thirdwebがこの変化を加速させてくれることを期待しています。15年前、世界がソーシャルメディアのクリエイターやアーティストで溢れかえるとは誰も信じていませんでした。Web3は今、彼らに自分の創作物を所有し、利益を公平に分配する機会を与えています。私はこのスペースとこのチームを信じています。彼らのビジョンを信じ、機会を信じ、エグゼキューションを信じています」。

画像クレジット:Thirdweb

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

SlackやMicrosoft Teamsなどプラットフォームを超えてチャットできる企業向けメッセージサービス「Mio」

Mio(ミオ)は、Zoom Chat(ズーム・チャット)、Microsoft Teams(マイクロソフト・チームズ)、Slack(スラック)、Cisco Webex(シスコ・ウェブエックス)などのメッセージングサービスを横断して、企業チームの協業を支援するスタートアップ企業だ。同社は米国時間12月9日、シリーズA投資ラウンドを実施し、870万ドル(約9億9000万円)の資金を調達したと発表した。このラウンドは、Zoom(ズーム)とCisco Investments(シスコ・インベストメント)が主導した。

2016年にオースティンで設立し、Y Combinator Winter 2016(Yコンビネータ2016年冬)クラスに参加したMioは、これで総額1700万ドル(約19億3000万円)を調達したことになる。その他の投資家には、Goldcrest Capital(ゴールドクレスト・キャピタル)、Eniac Ventures(エニアック・ベンチャーズ)、Two Sigma Ventures(ツー・シグマ・ベンチャーズ)、Khosla Ventures(コースラ・ベンチャーズ)、Y Combinator(Yコンビネータ)、Capital Factory(キャピタル・ファクトリー)などが含まれる。

プラットフォームを超えてチャットができることは、社内では普通、あまり問題にならないが、組織を超えて仕事をしていると問題になる。従来、この種の会話は、対面でもバーチャルでも、事前に計画されたミーティングで行われていた。しかし、新型コロナウイルス感染流行の発生により、このように社外組織と協業するユースケースでも法人メッセージングサービスへの移行が加速した。

画像クレジット:Mio

MioのCEO兼共同設立者であるTom Hadfield(トム・ハドフィールド)氏は「この分野の互いに異なるプレイヤーたちは、自分たちの壁に囲まれた庭を競合他社から遮断しておきたいと考えるのではないかと、あなたは思うかもしれません。しかし、ZoomとCiscoがMioに投資しているという事実は、相互運用性を非常に重視していることを示しています」と、筆者に語った。さらに同氏は、Microsoft(マイクロソフト)とMeta(メタ)が最近、Teams(チームズ)とFacebook Workplace(フェイスブック・ワークスペース)の統合で提携したことや、SlackとTeamsもVoIPの統合で以前から提携していることを指摘した。

「Microsoft Teams はローカルエリアネットワーク(LAN、構内通信網)のようなもので、Microsoftは常に Microsoftユーザー間でメッセージを配信します」と、ハドフィールド氏は語る。「TeamsのユーザーがSlackのユーザーにメッセージを送りたい場合、職場でのコミュニケーションにワイドエリアネットワーク(WAN、広域通信網)を経由することになります。それがMioで構築しているものです」。

CTOのJames Cundle(ジェームズ・キャンドル)氏と共同で会社を設立したハドフィールド氏によると、同社のチームはこの数年、メッセージングクライアント間の基本的な違い(Slackがカスタム絵文字をサポートしていることなど)の管理や、チャンネルの扱い方など、技術的な課題への対応に取り組んできたという。プラットフォームが異なればユーザーに課せられる制限も異なるし、APIも常に変化する。

画像クレジット:Mio

「コラボレーション業界は、2000年代初頭にAIM、ICQ、MSN、Yahoo! Messenger(ヤフー・メッセンジャー)を接続していたTrillian(トリリアン)のような『多頭型クライアント』から長い道のりを歩んできました」と、ハドフィールド氏は説明する。「10年前には、XMPPやSIPなどのオープンスタンダードが大々的に推進されましたが、標準化団体はチームコラボレーションの急速な革新に追いつくことができませんでした。Mioは、一般に公開されているAPIを連合させることでこの問題を解決しているため、各プラットフォームがそれぞれのペースで革新しても問題ありません」。

このようなサービスに対する明白なニーズがあることを考えれば、そこに多少の競争が生じることは当然だろう。Zoom(ネクストプレーン)も同様の機能を提供しており、Matrixは分散型メッセージングのためのオープンソースプロトコルを使って、SlackやDiscord(ディスコード)などの橋渡しを行っている(ただし、Teams、Zoom、Webexは含まれない)。「我々はMatrixやNextplaneと緊密に協力して、統一メッセージング・エコシステムという共通のビジョンを推進していくつもりです」と、ハドフィールド氏は述べている。

Mioは新たに調達した資金を使って、Google Chat(グーグル・チャット)やMetaのWorkplace(ワークスペース)、Symphony(シンフォニー)など、対応するメッセージングサービスを追加し、同社のサービスを強化することを計画している。また、サービス間でプレゼンス情報を同期させることができるプレゼンス統一化機能も導入する予定だ。

「コラボレーション業界の最大手2社による今回の投資は、相互運用性の新しい時代の到来を告げるものです」と、ハドフィールド氏はいう。「これによって、地球上の誰もが、どのチャットアプリを使っているかに関わらず、お互いにコラボレーションできる『コラボレーション・ニルヴァーナ(協業涅槃)』に、私たちは一歩近づきます」。

画像クレジット:Morsa Images / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

新興ブランドと小売業者を繋ぐPod Foodsが食料品のサプライチェーンを改革

Pod Foods(ポッドフーズ)は、消費者が求める新興の食品ブランドを小売店の棚に並べている企業間デジタル卸売市場だ。同社はそのサービスの開発を継続するため、シリーズAラウンドによる1000万ドル(約11億4000万円)と未発表のシードラウンドにおける300万ドル(約3億4000万円)、合わせて1300万ドル(約14億8000万円)の資金調達を行ったと、米国時間12月9日に発表した。

オースティンを拠点とする同社の創業者、Larissa Russell(ラリッサ・ラッセル)氏とFiona Lee(フィオナ・リー)氏については、2019年にMoment Ventures(モメント・ベンチャーズ)が主導し、M12も参加したラウンドで300万ドルを調達した際にTechCrunchでも紹介した。同社の技術は、データを活用したアプローチで、小売店がブランドから調達するプロセスを効率化するとともに、新進気鋭のブランドを含むより多様な商品と消費者を結びつけるものだ。

シードラウンド後、Pod Foodsはシカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスでサービスを開始。また、適切な商品を適切な小売店にマッチさせる在庫管理をより容易にするモバイルアプリも発表した。

その後、新型コロナウイルス感染流行が世界中を襲った。小売店では店頭の在庫を確保するために、Pod Foodsが注力しているニッチな新興ブランドの品が、有名ブランドに押されて店頭から消えていることに同社は気づいた。そこで同社は、ブランドの認知度を高めることに乗り出した。

「それは加速度を生み、私たちが変えようとしたすべてのことを増幅させました」と、ラッセル氏はTechCrunchの取材に語った。「私たちは2020年、ウイルス感染流行拡大の結果として生じた課題に取り組み、事業に邁進したのです」。

Industrious Ventures(インダストリアス・ベンチャーズ)が主導した今回のシリーズAでは、M12とMoment Venturesが再び参加した他、Unshackled Ventures(アンシャックルド・ベンチャーズ)、Barrel Ventures(バレル・ベンチャーズ)、Relish Works(レリッシュ・ワークス)、X Factor Ventures(Xファクター・ベンチャーズ)、XRC Labs(XRCラブズ)、K2 Global(K2グローバル)、Graphene Ventures(グラフェン・ベンチャーズ)などの投資家が参加。Pod Foodsが調達した資金の総額は1600万ドル(約18億2000万円)となった。

今回の投資は、Pod Foodsの成長軌道に沿ったものだとラッセル氏は述べている。同社はすでに7都市で展開しており、今後10都市に拡大する予定だ。ウイルス感染流行前のデータと比較すると、現在はブランドのリピート購入が20%増加しているという。

Pod FoodsはこのシリーズAで調達した資金を使って、2020年12月には33名だった従業員を58名に増員することができた。さらに同社は、Google(グーグル)、Amazon(アマゾン)、Walmart(ウォルマート)での経験を持つTimothy Wee(ティモシー・ウィー)氏という最高技術責任者も確保し、新しいサービスや製品を構築するためのデータにも投資していくと、リー氏は述べている。

デリバリーサービスは、より早く商品を届けて欲しいという消費者の期待を背景に、過去2年間で急速に成長し、小売業者が需要に追いつくのに苦労する原因となっている。その結果、Pod Foodsは2019年以降、売上高と顧客数の両方が前年比で3倍に増加したという。同社では、何が売れて何が売れないかというデータに基づき、小売業者がより早く商品をリセットできる状況が作れるように支援していると、ラッセル氏は述べている。

「私たちは適応する必要がありました」と、リー氏は付け加えた。「以前は買ったらそのまま食べられるような食品が売れていましたが、ウイルス感染流行の際には、冷凍食品や飲料などの商品が売れました。迅速に方向転換する必要がありましたが、私たちは小規模で機動力があるため、お客様の要望をすぐに伝え、ブランドを採用し、小売店の棚を確保することができました」。

Pod Foods 2021 from Blank Space Studio on Vimeo.

Pod Foodsは今後、太平洋岸北西部や、同社最大の市場であるニューヨークとシカゴの拠点周辺、さらにはフロリダでの事業拡大を計画している。

Industrious VenturesのパートナーであるChristian Gammill(クリスティアン・ガミル)氏は、Pod Foodsのアプローチについて「食料品のサプライチェーンを全面的に見直し、小売店とブランドの両方が繁栄できる真のエンド・ツー・エンドのシステムを構築するために必要な物流インフラを提供する初めての企業」であると述べている。

コマースがサプライチェーンの基調を決定づける中、Pod Foodsはデジタルを最優先し、データを活用したインテリジェントなオペレーションを構築することで、差し迫った変曲点を利用しようとしている。同社のような企業がデータプレーを正しく行うことができれば、顧客やブランドの助けになるだろうと、ガミル氏はいう。

「ラリッサとフィオナはすばらしい2人組で、互いに相性の良いスキルを持っています」と、ガミル氏は付け加えた。「この分野はあまり注目されていませんでしたが、他のサプライチェーンは多大な注目を集めています。だからこそ、私たちはこの分野に参入しようと思ったのです」。

画像クレジット:Pod Foods / Pod Foods co-founders Fiona Lee and Larissa Russell

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クロスチェーンインフラを手がけるRouter ProtocolにCoinbase Venturesなどが出資

暗号資産の分散型取引所や、レイヤー1とレイヤー2のブロックチェーンソリューション間における通信を容易にするクロスチェーンインフラストラクチャを構築しているスタートアップ企業が、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)から支援を受けることになった。

シンガポールに本社を置くRouter Protocol(ルーター・プロトコル)は米国時間12月10日、戦略的資金調達ラウンドを実施し、Coinbase Ventures、Alameda Research(アルマダ・リサーチ)、Polygon(ポリゴン)、Woodstock(ウッドストック)、Wami Capital(ワミ・キャピタル)、QCP、De-Fi Capital(ディーファイ・キャピタル)、Maple Block(メープル・ブロック)、TeraSurge Capital(テラサージ・キャピタル)、Wintermute(ウインターミュート)、Shima Capital(シマ・キャピタル)、および複数の起業家から、410万ドル(約4億7000万円)を調達したと発表した。同社は2020年のシードラウンドでも、48万5000ドル(約5500万円)を調達している。

近年、同様の問題を解決しようとするレイヤー1ブロックチェーンネットワークが急増している。これらのレイヤー1プロジェクトが支持を集めると、好みのブロックチェーンの上にレイヤー2ソリューションを構築している開発者コミュニティを引き寄せることができる。

Router Protocolの創業者兼CEOであるRamani Ramachandran(ラマニ・ラマチャンドラン)氏は、TechCrunchによるインタビューに「ブロックチェーンは都市のようなもので、無限に拡張することができますが、接続インフラを構築しない限り、誰もそこに行こうとはしません」と語った。「このようなブロックチェーンが続々と登場してきましたが、しかしそれらの間には接続性がありません。それがRouter Protocolの発端になりました」。

2020年設立されたRouter Protocolは、これらのレイヤー1ブロックチェーンネットワークの多くが今後も運営され、さらに多くのブロックチェーンネットワークが参入してくると確信している。同社が提供するサービスは、開発者が流動資産をチェーン間でシームレスに移動させることを可能にする。「おそらく約50ほどのブロックチェーンが存在し、50の異なるコミュニティと独自のエネルギーを持っています」と、ラマチャンドラン氏は語る。

「レイヤー1のスケーリングソリューション、つまりこの世界のPolygon(ポリゴン)や、Aave(アーベ)やSolana(ソラナ)のような 『Ethereum(イーサリアム)キラー』、そしてTerra(テラ)やAlgorand(アルゴランド)のようなEVM以外のプレイヤーが、さまざまな観点から登場してくるでしょう。それに加えて、この分野には豊富な資本が存在しています。これらのプレイヤーはみな、莫大な軍資金を持っています。誰も10億ドル(約1135億円)以下の話はしていません。この戦いはすぐには終わらないでしょう」。

Router Protocolが提供するも1つのサービスはDfynで、これはPolygonの上に構築されたUniswap(ユニスワップ)やPancake Swap(パンケーキ・スワップ)のような分散型取引所だ。「Dfynと呼ばれるたくさんの空港ターミナルがあって、これらのDyfnネットワークを結ぶ航空路線があるようなものです。しかし、それらは他の空港にもつながっています。それが、このモデル全体の美しさです」。

ラマチャンドラン氏は、2022年にはクロスチェーンソリューションが普及すると予想しているという。「例えば、あなたがSolanaブロックチェーン上にいて、Ethereumを売りたいと思っているけれど、Binance Smart Chain(バイナンス・スマート・チェーン)の方がはるかに良い価格が見られるとします。Routeを利用すれば、ワンクリックでBinance Smart Chainの最高値を取得し、それをあなたのネイティブブロックチェーンであるSolanaに戻すことができるのです」と同氏はいう。

現在、Router Protocolで最も利用されているユースケースはトレーディングだが、ラマチャンドラン氏は、将来的にはさらに多くのアプリケーションが登場すると予想している。「境界を越えて会話ができるようになれば、トレードだけでなく、借りたり貸したり、クロスチェーンガバナンスを行うことができます。例えば、Sushi(スシ)には15のチェーンがあり、15の異なるコミュニティが存在します。これらのチェーンでコミュニティ投票を行うには、15の異なるスナップショットを行う必要があり、まるで悪夢のようです。それを我々が解決できるのです。あるチェーンから借りて、別のチェーンで貸すことができるのです」と、同氏は語った。

Router Protocolは、今回調達した資金を製品提供の規模拡大のために投入し、また複数のセキュリティ監査に投資することも計画しているという。

「ブロックチェーン同士を効果的に通信させることは、今後のDeFiにとっての聖杯であり、Router &Dfynのチームと協力し、この問題を解決する彼らのユニークなアプローチをサポートできることをうれしく思います」と、QCP Capitalの共同創業者であるDarius Sit(ダリウス・シット)氏は、声明の中で述べている。

「我々は、多目的かつアプリケーションに特化したいくつかのブロックチェーンにまたがる将来のWeb 3.0の活動を予想しています。RouterのXCLPは、チェーンをまたいだ流動資産の流れを可能にする重要なクロスチェーン・インフラストラクチャ・ソリューションとなるでしょう。我々は、この方向性に対するRouterチームの取り組みを支援し、サポートできることに喜びを感じています」。

画像クレジット:Router Protocol

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(文:Manish Singh、翻訳:Hirokazu Kusakabe)