ドラック・アンド・ドロップでデータベースとのコネクションを確立できるSnapLogicが新たに4000万ドルを調達

Casual woman inside a cafe downloading or sharing information with a smartphone . A lot of apps, media and other information flying out or into the phone

SnapLogicは企業が抱える難題を解決するスタートアップである。同社が展開するのは、レガシーデータをクラウドや自社内のデータベースと結合するサービスだ。3750万ドルを調達した前回のラウンドから約1年が経過した今日(現地時間7日)、SnapLogicは新しく4000万ドルを調達したことを発表した。

このラウンドでリード投資家を務めたのはヨーロッパのVitruvian Partnersで、この他にも既存投資家のAndreessen Horowitz、Capital One、Ingnition Partners、NextEquity Partners、Triangle Peakなども本ラウンドに参加している。今回のラウンドを合わせると、SnapLogicの合計調達金額は1億3630万ドルとなる。

私たちがSnapLogicを最後に取材した昨年以降、同社は好調に成長を続けているようだ。彼らは新たに300社を顧客として獲得し、現在の顧客数の合計は700社となる。SnapLogicの顧客リストには、同社に出資するCapital Oneを初め、Del Monte、Kraft、Verizon(TechCrunchの親会社)、Adobe、そしてElon MuskのSolar Cityなど、各業界のビッグネームが名を連ねている。

CEOのGuarav Dhillonは、今回調達した資金をグローバルな事業拡大のために利用すると話している ― そして、今回の調達は賢い判断だったと彼は語る。「複雑なタームで巨額の資金調達をするのではなく、明快なタームで連続してアップラウンドを達成するというのが私たちのアプローチです。私たちはたった1350万ドルの資金でInformaticaを創りあげました。ですから、必要な時に必要な分だけ資金調達をするのが私のやり方なのです」と彼は説明する。

Vitrubianがリード投資家を務めた本ラウンドについて彼は、ヨーロッパ進出のための基盤を構築することに加え、過去のラウンドから参加する米国の投資家とのつながりを強化する狙いがあったと説明する。「私たちはすでに一流の米国投資家から出資を受けています(A16Z、Floodgate、Ignition、Microsoft、NextEquity、SilverLake、Triangle Peakなど)。Vitruvianは先見の明をもつ投資家であり、私たちのグローバル展開の手助けとなると判断しました」と彼は話す。

SnapLogicが提供するのは、様々なデータソース向けにあらかじめ設計されたデータベースコネクションの「Snap」だ。SAP、Twitter、Workday、Salesforceなどの様々なデータソースだけでなく、各種の通信プロトコルにまで対応した何百ものSnapがすでに提供されている。

SnapLogicのクラウドサービスは3つのインターフェイスで構成されている。それらのインターフェイスはそれぞれ、「デザイナー」、「マネージャー」、そしてSnapをモニタリングする「ダッシュボード」と呼ばれる。同サービスではデータベースとのコネクションを確立するためにコードを書く必要はなく、必要なSnapを「デザイナー」上にドラッグ・アンド・ドロップするだけでいい。

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画像提供:SnapLogic

企業が複数のシステムを導入している場合、これらのシステム間でデータのやり取りをするのは非常に大変な作業だ。そして、それこそがSnapLogicが解決しようとしている難題なのだ。このサービスは明らかに投資家の興味を惹きつけ、同社は昨年だけで7700万ドルの資金調達を完了している。

SnapLogicのように急成長中の企業は、投下された資金を利用して新しい人材を獲得していく必要がある。同社は今後、セールス部門、マーケティング部門、カスタマーサービス部門の人員強化を進め、グローバルな事業拡大のための準備を整えていく構えだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ゲームインフラを”サーバレス”に―、名古屋のワンダープラネットがGS2に出資

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日本のスタートアップ界隈にはゲームを作ったり配信するパブリッシャーは多いが、ゲーム開発に必要な開発ツールやインフラ系サービスを作ろうというスタートアップは珍しい。

2016年9月に名古屋で設立されたばかりのスタートアップ企業「Game Server Services」(GS2)は「サーバレス・アーキテクチャー」とか「FaaS」(Function as a Service)と呼ばれる設計思想に基づいたゲーム開発者向けインフラサービスを近日β版として提供予定という。そのGS2が今日、同じく名古屋でスマホ向けネイティブアプリ・ゲームを開発・運営するワンダープラネットから数百万円規模のシード出資を受けたことを明らかにした。

ワンダープラネット自身も2012年創設の名古屋拠点のスタートアップ企業で、これまでグローバル・ブレイン、ユナイテッド、ジャフコ、LINE Game Global Gateway、ニッセイ・キャピタル、SMBCベンチャーキャピタル、JAIC-ブリッジ、みずほキャピタルなどから12億円以上の投資を受けている。当然ワンダープラネットはゲームシステムの開発・運用を行っているが、今後は自社タイトルでもGS2を導入する予定があるといい、今回のGS2への投資では事業シナジーも見込んでいる。

GS2への出資と同時にワンダープラネットは、同じくスマホ向けゲーム開発プレイネクストジャパンの全株式を取得して100%子会社することも発表している。買収額は数億円前半とみられる。ワンダープラネットは2013年から2016年に社員数が8倍の63人になるなど急成長している。自社開発の新作として、LINEとの提携による大型タイトルをリリースも直前という。

サーバ→クラウド→コンテナ→サーバレスという時代の流れ

「サーバレス」は2015年夏頃から技術者たちが注目している比較的新しい技術アーキテクチャだ。もともとはAmazonがクラウドで始めたAWS Lambdaが発端となっている。当初オンプレミス(会社のサーバルームにサーバを置くこと。スタートアップなら机の下だ)やデータセンターに設置したサーバーを使って提供してきたサービスやアプリケーションは、徐々に仮想化という技術でクラウドやコンテナへ移行。物理サーバーと切り離された運用単位となってスケーリングやアプリのデプロイ(配備)が容易になってきた。とはいえ、クラウドのIaaSやコンテナを使っていると、サーバOSの保守、管理、運用というサーバ管理が必要となる。

それに対して、Amazon Lambdaでは、すでにクラウド上にあるデータなどに対して、ある操作を実行せよという「関数」のように実行できる。1つ1つの実行時間は短く、Amazon Lambdaでは5分以内に実行が終わることが前提となる。そこにはもはやサーバという概念はない。これがサーバレスという形容矛盾のような用語の由来だ。

そうすると何が良いか?

もはやサーバ(インスタンス)を意識する必要はないし、利用したいタイミングで利用した分だけ課金という柔軟なサービス利用が可能となる。ゲーム開発であれば、事前にヒット具合を予測してサイジングしたり、ヒットしたタイミングでインスタンスを増やすといったような運用管理が不要になる。GS2では、小さなゲームタイトルだとサーバエンジニアを雇わずにサービス継続が可能だとしている。

これはプログラミングでも同様だが、相互依存しない複数の関数を組み合わせてシステム全体を設計すると、個々の機能の独立性が高まることから並列実行することが可能となる。またシステム内部の相互依存部分が減ることで人間のエンジニアにとっても自明性が高まるというメリットがある。分散可能ということは関数はどこで実行しても良いので物理的分散によって耐障害性もグンと高まることが期待できる。

ゲームインフラに特化したサービス

GS2が提供するサービスはBaaSやmBaaSと似ているようにも見えるが、ユニークなのは、ゲーム専用にAPIとSDKを用意していることだ。SDKや詳細な技術ドキュメントはここにあるが、現時点で利用可能なサービスを以下に引用してみよう。

・GS2-Auth
GS2-Auth は GS2 のサービスを利用する上で必要となるアクセストークンを発行するサービスです。あらゆるサービスを利用する前に、GS2-Auth を利用してアクセストークンを取得し、そのアクセストークンを利用してサービスを利用することになります。

・GS2-Identifier
GS2-IdentifierはGS2内のサービスで利用される認証システムを提供します。GS2-IdentifierはクライアントIDとクライアントシークレットという2つのトークンを発行します。これら2つのトークンを合わせてGSIと呼びます。GSI毎にどのAPIにアクセスしてもいいか許可する設定をする機能も備わっています。

・GS2-Matchmaking
マルチプレイヤーゲームを実現するために必要なマッチメイキング機能を提供します。「誰とでも」「カスタムオート」「パスコード」「ルーム」の4種類のマッチメイキング方式を用意しており、様々なニーズに応えることができます。

・GS2-Realtime(Beta)
マルチプレイヤーゲームを実現する際に必要となる通信パケットの中継サーバ機能を提供します。これによりWebSocketを利用したリアルタイム性の高いマルチプレイヤーゲームを待ち受けポートのルーティングなどの問題を高度な技術を要すること無く回避し、実現することができます。

・GS2-Ranking
スコアやクリアタイムを競うようなゲームでのランキングを実現するための機能を提供します。プレイヤー数が数億人単位になったとしても、自分の順位の取得や、とあるスコアを取得したとしておおよその順位を予測する。といった高度な操作を高速に実行することができます。

・GS2-Inbox
メールボックス機能を実現するための機能を提供します。メッセージ開封時に指定したURLに通知する機能などがあるため、通知を受けた際にアイテムを付与することでプレゼントボックスとしてサービスを利用することもできます。

・GS2-Stamina
ゲームをプレイするために必要なポイントであるスタミナ値を管理する機能を提供します。マルチデバイスで同一アカウントを利用した際に、同時にスタミナの消費を行うことで不正に2回プレイする。というような不正行為が行えないよう衝突判定などが実装されています。

・GS2-Timer
指定した時刻に指定したURLにアクセスを発生させる機能を提供します。この機能を利用すれば指定した時刻にアカウントBANを解除するような実装をcronジョブのような原始的な方法を利用しなくても実現できます。

・GS2-Watch
GS2-WatchはGS2で提供しているアプリケーションのモニタリングサービスです。GS2-Watchを利用してメトリックを収集し、条件に従ってアラームを出すこともできます。

・GS2-Notification
GS2-NotificationはGS2で発生したイベントを予め指定したメールアドレスや、URLに通知するサービスです。GS2内のサービスの状況を確認できるGS2-Watchと組み合わせると、サービスの利用状況に応じてアラートを出すことができます。

ちなみに上記サービスは基本的にAWS上で動いているが、統計情報提供のバックエンドには一部GCPのBigQueryを採用するなど異なるクラウド・インフラを使っているそうだ。

かつてゲームエンジンをゲーム開発各社が独自に開発していた時代がある。それがやがて汎用ゲームエンジンを用いた開発にシフトしたように、サーバシステム開発でも、こうした汎用機能セットによって各社のインフラ管理運用を代替していく、というのがGS2の狙いだ。

GS2を創業した丹羽一智CEOはセガ、任天堂出身でゲーム開発、サーバ一ステムの設計・開発業務に従事していたが、サーバレスアーキテクチャに惚れ込んでGS2を創業。今後、家庭用ゲーム機向けの開発者たちもスマホ市場へなだれ込むと見ていて、そうした「一軍レベル」の開発者たちにないサーバ運用の知識を補完するようなサービスを提供していきたいと話している。

GS2のサービスは1時間で数円からという価格で提供を予定しているといい、12月中にもサービス公開するそうだ。

クラウド会計のA-SaaSがシリーズCで3億円を調達、システム刷新へ

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企業会計業務のクラウド化は着々として進行しているが、そこには大きく3つの動きがある。1つは旧来のパッケージ製品のクラウド化。もう1つはFreeeやマネーフォワードのMFクラウド会計のように、SMB市場をターゲットした新興勢力のスタートアップ企業の興隆。最後の1つが、最初から全国の税理士を巻き込んでプロダクトを作ったアカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS:エーサース)の動きだ。そのA-SaaSが新たにシリーズCとして3億円の資金調達を発表した。

A-SaaSは少し変わった創業の歴史を持っている。

2009年に大手会計システムベンダーのJDL出身のベテラン、森崎利直氏が業界関係者を集めて立ち上げたのがA-SaaSだ。当初全国約800の会計事務所を会員として、直接出資を募るという今で言えばクラウドファンディングのような手法で約8億円を調達。これを原資に開発したのがA-SaaSのクラウド型会計システムとなっている。参画した会計事務所はある意味ではプロダクト利用料を先払いしたような格好だ。

A-SaaSは2013年6月の6億2500万円のシリーズA、2014年11月に10億円のシリーズBと、これまで2度の増資を行っている。ただ、シリーズBラウンドと前後して2014年7月に創業者の森崎氏は退任し、後に代表となった佐野徹朗氏も約2年で退任。2016年11月からは新たにメリルリンチ出身の田中啓介氏が代表取締役社長に就任している。

その新社長就任とほぼ同タイミングの今日12月6日に、A-SaaSは追加資金調達と経営の刷新を明らかにしている。AGキャピタル、Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)、香港のArbor Venturesを引受先として総額3億円のシリーズCの資金調達をしたことをA-SaaSはTechCrunch Japanに明かした。Eight RoadsとArborは前回ラウンドから投資しているほか、シリーズAではセールスフォース・ドットコム、グリーベンチャーズ、モバイル・インターネットキャピタルなどから投資を受けている。

新社長に就任してまだ1カ月の田中氏だが、今回調達した資金の使い道は、ずばり開発のやり直しだと話す。

「顧客(税理士や会計士)の声を聞くと、プロダクト的にまだまだだと言われてる。動作が遅いとか、固まるとか、操作性に難があるのを解消したい。開発陣と話し合った結果、システムをほぼ全面刷新することに決めた」(A-SaaS田中氏)

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A-SaaSの会計(仕訳入力)の画面

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A-SaaSの税務申告(法人税)の画面

現行のA-SaaS製品は「Adobe Air」という一昔前すぎてあまり覚えている人のいないであろうRIAプラットフォーム上で構築されている。マイクロソフトがSilverlightを打ち出し、GoogleがHTML5だと言って、PC向けネットアプリのフロントエンドとして3つの選択肢があった時期の話だ。振り返ってみるとモバイルでネイティブ・アプリが優勢となり、その脇でウェブでHTML5やJavaScriptを使った各種フレームワークが標準となっていったのだった。

現在のA-SaaSはバックエンドにJava、フロントエンドにAdobe Airを使っている。これを、それぞれScalaとExt JSというモダンなWeb開発スタックに置き換えることを計画しているという。2年後、3年後に開発のマイルストーンを設定しているものの、「5年計画だと思っている」(田中氏)というからじっくり取り組む構えのようだ。

現在A-SaaSを利用する税理士(もしくは事務所)のアカウント数は2100〜2200。これを月額2万9800円で提供している。その税理士が顧問などを務める企業数は9万7000社ほどになっているという。潜在利用者ともいえる税理士は全国に3万人ほどいる。「会計、給与、税務申告の3つを税理士向けにクラウドで提供しているのはA-SaaSだけ」(田中氏)といい、ときに中小企業向けの経営コンサルティング業も兼務するような層を取り込もうという方向性だ。

A-SaaSが目指したのは、JDLやTKCといった企業が提供する旧態依然としたオンプレミスのプロダクトをクラウドで刷新する、というものだった。これに賛同した全国の税理士や事務所がプロジェクトに加わった。

一方、自分たちの利用者は税理士ではなく、むしろ第一には中小企業やスタートアップの経営者だ、というのがクラウド会計のFreeeだった。FreeeはモダンなWebアプリとして使い勝手の良さからボトムアップで広がりを見せている。クラウド会計が中小企業と税理士の間に割って入っていき、徐々に税務業務など「上向き」にもサービス範囲を拡大していっている。税理士たちを巻き込んで上から攻めているA-SaaSに対して、使い勝手の良さからボトムアップに攻めているFreeeという構図がありそうだ。

ネットの歴史的に見れば最初はおもちゃだと言われながらもボトムアップによって多数のユーザーからの支持を得たプロダクトが勝っていくパターンが多い。この点についてA-SaaSの田中氏は「税務申告は税理士がやっています。顧問税理士がやっています。会社がやっているケースというのはありません」とアプローチ自体の優位性を指摘している。また上のスクリーンショットにある通り法人税の税務申告などが他社製品との特徴的な差別化だ、としている。

A-SaaSは現在社員数は55人。新たに調達した資金でエンジニア増員を計画している。

YC卒業生のWorkrampがシードラウンドで180万ドルを調達

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企業の人材教育のあり方を変えることを目指すWorkrampは現地時間1日、シードラウンドで180万ドルを調達したと発表した。

本ラウンドにはSusa Ventures、Initialized Capial、Haystack、Liquid 2、Wei Fund、Elad Gil、Adrian Aoun、Charlie Songhurst、そしてY Combinatorが参加している。同社はY Combinator Summer 2016の卒業生で、これまでに12万ドルを調達している。

Boxで5年を過ごしたWorkramp共同創業者のTed Blosserは、Boxがコンテンツ・マネジメントに変化をもたらしたように、Workrampによって従来の企業向け学習管理システム(LMS)のあり方を変えたいと語る。

「人材教育と人材開発は常に存在していましたが、LMSは退屈で古臭く、莫大な費用がかかり、誰も使いたがらないものでした」とBlosserは話す。Workrampが目指すのは、ユーザーが簡単にエンゲージでき、バックエンドで管理者がより価値のあるデータにアクセスできるLMSを構築することだ。

同社のアイデアとは、新入社員が企業について学べるデジタルな「道しるべ」を提供することで、彼らが企業に慣れるまでのプロセスを合理化することだ。新入社員を企業に適切に迎え入れることは、あらゆるサイズの企業がもつ課題だ。しかし、成長著しいスタートアップにおいては、それは特に顕著になる。

Workrampでは、新入社員がこなすべき全てのタスクを集約して整理したプラットフォームを提供することで、彼らが企業に慣れ、本来の仕事にスムーズに取り掛かるための手助けをしている。同プラットフォームでは基本的なトレーニングを配信できるだけでなく、具体的なゴールを設定することで、それぞれの企業で働くうえで必要な知識を整理し、それを従業員が効率的に学べる仕組みとなっている。

例えば、新しく配属された営業員はその週の終わりまでに、Saleforce.comの使い方を学び、取引先に送るEメールのサンプルを書き、営業用のプレゼンテーション・ビデオを作成し、配属されてから30日後、60日後、90日後ごとに達成すべき目標を立てるなどのタスクをこなす必要があるとしよう。Workrampを利用すれば、その従業員にそれらのタスクを完了するまでの効率的な計画や、アプローチの方法を与えることができる。Workrampが提供するアプローチ方法は、多くの従業員が当たり前のものだと感じる方法かもしれないが、特に設立直後の企業では、それは実はあるようで無いものなのだ。

「私たちのサービスでは、支離滅裂だったプロセスを整理して、それを一貫したプロセスに作り変えます。そうすることで、マネージャーはそれぞれの社員の進捗状況を目で見ることができるのです」とBlosserは説明する。

マネージャーはさまざまなタスクに対する従業員ごとの進捗状況を、Workrampのダッシュボードで確認することが可能だ。Blosserは、他のSaaS企業でも同様にプラットフォームの利用状況に関するデータをマネージャーに提供していることは認識していると話す一方で、同社が目指すのは全社員の状況を把握するトレーニング・センターだと語る。「すべてのチームには、それぞれのトレーニング履歴やエンゲージメントに関するデータがあります。私たちはすべてのチームを横断的に把握したトレーニング・データを提供したいのです」とBlosserは話す。

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写真提供:Workramp

今後同社は、トレーニング開始日のチェックや、トレーニング終了後に従業員のパフォーマンスをチェックするという現在の機能に加えて、進捗状況を1年を通して管理できる機能を加えていきたいと話す。

現在7人の従業員を抱える2015年創業のWorkrampは、今回調達した180万ドルを利用して、セールスとエンジニアリングのチームを強化し、現在50社の顧客数を伸ばしていく構えだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Instagramの画像からショッピングができるGeeneeがシリーズAで440万ドルを調達

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Instagramのようなプラットフォームでのコンテンツの閲覧と、オンラインショッピングとの間には大きな溝がある。インフルエンサーたちは、リンクを貼ることができないInstagramで彼らのポストをマネタイズする方法を探していた。RewardStyleと同じく、そのために生まれたのがGeeneeだ。

Geeneeは、Instagramを通してオンラインショッピングをすることを可能にするプラットフォームだ。ユーザーは気に入ったポストのスクリーンショットを撮影してGeeneeのアプリにアップロードし、そこで表示されるアイテムの中から買いたいものを選ぶだけでいい。画像認識技術を活用したGeeneeは、ポストの画像に写っているアイテムのブランド、SKU(最小管理単位)、そしてその商品を取り扱うショップを自動で判断するのだ。

Geeneeは現地時間1日、シリーズAでHighlight Communications AGなどから440万ドルを調達したことを発表した。Constantin Media AG、Stephen Cohen、Steve Titusなども本ラウンドに参加している。

現状ではファッション分野のみにフォーカスする同社だが、同プラットフォームは将来的に様々な分野に応用できると創業者のThorsten Magersは話している。

インフルエンサーがInstagramのポストをマネタイズために必要なのは、一度きりのGeeneeの利用登録だけだ。それにより同社はインフルエンサーのInstagramのプロフィールとポストにアクセスできるようになる。するとGeeneeは、それらのポストをすべてスキャンし、そのアイテムの在庫情報を取得し、そのアイテムを同社のアフィリエイト・プログラムと結びつけ、ユーザーをそのアイテムが購入可能なショッピング・ポータルへと誘導する。

「ユーザーがインスパイアされた”瞬間に”行動できる機会を与えるというアイデアです」とThorsten Magersは語る。「これまでは、ユーザーはRewardStyleから送られてくるEメールを待つか、自分自身でそのアイテムを探す必要がありました。しかし私たちのサービスでは、そのプロセスがスクリーンショットを撮るのと同じくらい簡単になるのです」。

Geeneeで買い物ができるのは、Geeneeに登録したインフルエンサーによってアフィリエイト・ネットワークに追加済みのアイテムだけだ。しかし、そのアイテムが入手不可能な状態であったとしても(古すぎるアイテムや、レッドカーペットで着用されるような新しすぎるアイテムなど)、同アプリはそれに類似するアイテムをユーザーに提示する仕組みとなっている。

RewardStyleと同じように、Geeneeは売り上げの一部を受け取り、さらにその一部をインフルエンサーに支払う。

現在のところ、Geeneeに登録しているインフルエンサーは約200名で、同社のアフィリエイト・ネットワークには5000以上のブランド、数百万点のアイテムが登録されている。

Geeneeを使ってみたいと思う読者はこのWebサイトをチェックしてほしい。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

不動産取引プラットフォームのOpenDoorがシリーズDで2億1000万ドルを調達:リスキーなビジネスモデルという評価を跳ねのける

Home and money on hand

本日(現地時間11月30日)午後、Norwest Venture PartnersはOpenDoorにシリーズDで2億1000万ドルの巨額出資を完了したことを発表した。OpenDoorは今回調達した資金を利用して、同社が展開する不動産取引プラットフォームを10都市に拡大することを目指す。

OpenDoorの特徴は、自社で不動産の在庫を抱えているという点だ。不動産の再売却価格を予測するために同社が導入している予測分析のアルゴリズムは複雑である一方で、実際の不動産取引フローはかなり効率化されている。

ユーザーがOpenDoorで不動産を売却したいと考えている場合、そのユーザーは同社から不動産の売却価格を提示される。その売却価格に納得がいけば、ユーザーはOpenDoorに不動産を売却する。その後同社は不動産を修繕し、利益を得るために他のユーザーに売却するという仕組みだ。

OpenDoorは買い手を惹きつけるために、セルフサービスの不動産見学を随時開催している。スマートロックとセキュリティカメラによって実現されたサービスだ。OpenDoorで不動産を購入する際には、180項目もの住宅の品質審査とワランティ、そして30日間のキャッシュバック保証がついてくる。

昨年の今頃、同社はシリーズCで8000万ドルを調達している。すべてのラウンドを合わせると、同社の合計調達金額は3億2000万ドルになる。OpenDoorのバリュエーションがユニコーンとして認められる10億ドルにすでに達している可能性は高い。

本ラウンドにはNorwest Venture Partnersの他にも、NEAKhosla VenturesGGV CapitalAccess IndustriesFifthWallLakestarSVB CapitalCaffeinated CapitalFelicis Venturesが参加している。OpenDoorで経営執行役会長を務めるKeith Raboisは、Khosla Venturesのパートナーも務めており、同VCが本ラウンドにも参加していることは注目すべき点だといえる。CrunchBaseによれば、Khosla VenturesがOpenDoorに資本参加したのは2014年のシリーズAからだ。今回のラウンドまではKhoslaが同社の筆頭株主だったが、今日のラウンド後の出資比率はまだ分からない。

Norwest Venture Partnersは今回の出資にあわせて、OpenDoorが「数百万ドル」の負債を抱えていることを公表している。この負債は同社が不動産の購入に利用した資金だ。通常、フィンテック企業やマーケットプレイスが資金を借り入れる際には、その前に彼らのビジネスモデルがもつ可能性を証明することが求められる。

このビジネスモデルの話がうますぎると感じている者は少なくない。多くのメディアでは、景気の下降局面で同社のビジネスモデルが抱えるであろう問題について触れている。遠慮なしに言えば、景気下降局面で売れ残った住宅を多く抱える企業の株価はこうなってしまう。

それに対してOpenDoorは、同社の「摩擦のない」マーケットプレイスによって全体のリスクを減らすことができると主張している。また、経済的なメルトダウンが発生した場合には、住宅の売り手はどんな値段でも良いのでOpenDoorに売却したいと考えるため、どんな状況でもOpenDoorは利益を得ることができるとも話している—ほとんど不可能とも言える将来予測が可能だと仮定すればだが。

同社は現在200名の従業員を抱えており、OpenDoorのサービスはダラス/フォートワース地区とフェニックスで利用可能だ。これらの地域におけるOpenDoor上での不動産取引のボリュームは約6000万ドルとなっている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

月経周期を予測するClueがNokia Growth Partnersなどから2000万ドルを調達

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機械学習を応用して女性の月経周期を予測するClueは現地時間11月30日、シリーズBで2000万ドルを調達したことを発表した。

本ラウンドにはヘルスケア分野にフォーカスする投資家の数々が参加し、リード投資家はNokia Growth Partners(NGP)が務めている。この他にも、既存投資家のUnion Square Ventures、Mosaic Ventures、Brigitte Mohn、Christophe Maireも本ラウンドに参加した。また、本ラウンドからGiving WingsとFabriceも同社に資本参加している。

ベルリンを拠点とするClueは2013年に創業し、月経周期を予測できるアプリを開発している。その後同社は順調に成長を続け、現在のユーザー数は500万人となっている。現バージョンでは、女性の機嫌や彼女らが「その気」であるかどうかまでトラッキングすることが可能だ。

Max Levchinが所有するEveや、Cycles、Life、My Calenderなどのアプリと同じく、Clueは月経周期のトラッキングという成長セクターに属するアプリだ。また、先日にはついにiPhoneにも月経周期のトラッキング機能が追加されている。

Clueを利用することで、ユーザーは前回の生理日を確認したり、ホルモンバランスの変化によって起きる体調の変化を調べたりすることができる。また、同アプリでは生理日を予測するカレンダー機能も提供されている。

Clueは今回調達した資金を利用して、アプリにさらなる改良を加えていくとしている。新機能の詳細については明らかにされていないものの、創業者のIda Tinは今年9月に開催したDisrupt SFに登壇した際、「ウェアラブル端末やスマートフォンが、病気の予測において技術的により高度な機能を提供できる日が来ることを楽しみにしている」と話している。

それと同じ頃、Clueはユーザーが自分の生理データを他のユーザーとプライベートに共有できる機能を発表している。同社によれば、現在190カ国以上の女性が自分の月経周期や「妊娠の窓」、そして月経前症候群(PMS)を正確に予測し、そのデータを友達やパートナーと共有しているという。

NGPのWaltr Masalinは、今回の投資に踏み切るための重要なファクターとなったのは同社が持つデータだと話し、Clueはモバイル・ヘルスケアに「変化をもたらす」プレイヤーの1つだと語る。

その意見にTinは同意し、彼女はTechCrunchへの返答の中でこのように話している。「Clueのミッションとは、女性の健康とその改善をグローバル・アジェンダの再優先課題に置くことなのだと、今改めて強く感じています」。

「私たちのビジョンに共感する一流の投資家とパートナーシップを結ぶことができたことに、感激しています」とTinは話す。「世界人口の半分が女性だということを考えれば、このマーケットのポテンシャルとFemtech企業がもつチャンスの大きさに気がつくことでしょう」。

今回のラウンドを含めた同社の合計調達金額は3000万ドルだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

製造業向け価格比較サイト「Aperza」などを手がけるアペルザ、GMO-VPから1.5億円の資金を調達

アペルザ代表取締役社長の石原誠氏

アペルザ代表取締役社長の石原誠氏

製造業向けに特化したインターネットサービスを提供するアペルザは11月28日、GMO
VenturePartners(GMO-VP)を引受先とした1億5000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。

アペルザは2016年7月の設立。代表取締役社長の石原誠氏は、新卒でキーエンスに入社。同社初となるネット事業「iPROS(イプロス)」の立ち上げに参画した。2014年に同社を退職し、英語学習者向けアプリを手がけるポリグロッツを創業。さらに2014年9月にも新会社エデュートを立ち上げ、教育向けのアプリ構築プラットフォームを開発した。

石原氏はここからまた本業である製造業領域に戻って事業を始める。2014年年12月には新会社クルーズを創業。同社は製造業コンサルのFAナビ、製造業向けメディアのオートメ新聞と経営統合を経てアペルザを新設。その代表となった。

アペルザが現在手がけているのは製造業向けのニュースサイト「ものづくりニュース」や業界紙の「オートメーション新聞」、製造業向けのカタログポータルサイト「Cluez(クルーズ)」、工業用資材の価格検索サイト「Aperza(アペルザ)」など。アペルザでは、今回調達した資金をもとにCluezおよびAperzaを中心にしたサービス体制強化に充てるとしている。また、今回の調達にあわせて、GMO-VPの宮坂友大氏が社外取締役に就任する。

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アペルザが情報を扱うのは、製造業で用いられる間接資材(製造業向けの組み立て装置など)。間接資材の設備部品は文字通り星の数ほどあるそうで、大手資材商社であるミスミが扱う間接資材の部品点数はなんと800垓(はっぴゃくがい。1垓は10の20乗。億、兆、京、垓となる)にも上るそうだ(ただし製造用途にあわせてある程度の組み合わせは決まっているそう)。Cluezではそんな間接資材メーカー1500社のカタログを掲載。Aperzaでは260万点の価格情報を保持。製造業の調達部門や製造業向けの購買代行商社などに向けてサービスを提供している。

「(間接資材の)市場規模は20兆円。その市場のオンラインシフトが進んでいる。ミスミもMonotaROもAmazon、アスクルも狙っていると言われている。だが現状、買い手向けの『価格.com』的なサービスがない。そこを狙う」(石原氏)

同社は今回調達した資金をもとにCluezの営業強化、Aperzaの開発強化を進めていく。

またアペルザでは現在国内メーカーに加えて台湾、中国での営業も開始。さらに9月には米国シアトルにもラボを立ち上げ、サービスの準備を開始したという。「我々が手がけるサービスは欧米でもまだ存在しない。先行者利益は大きい」(石原氏)

決済サービスのStripeが新たに1億5000万ドルを調達、評価額は90億ドルに

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ウェブサイトやアプリに、数行のコードを挿入するだけで決済機能をAPI経由で搭載できるサービスを提供しているStripeは、新たにシリーズDで1億5000万ドルを調達し、資金調達前の評価額が90億ドル、調達後の評価額は92億ドルに達した。

スタートアップ界のいわゆる”ユニコーン企業”が過大評価されているのではないか、とたくさんの人が疑問に思っている中、この調達額はStripeにとって大きな意味を持つ。なお、Visaと協力して行った昨年夏のラウンド時の同社の評価額は50億ドルだった

資金調達に加え、Stripeは合計2億5000ドル分の回転信用枠(リボルビングクレジットファシリティ)を、J.P. Morgan Chase & Co.、Goldman Sachs Group Inc.、Morgan Stanley、Barclays PLCとの間に設定しようとしている。金利が低迷している今のうちに、借入自体ではなく、借入の上限額を引き上げておこうというのが同社の狙いだ。しかし資金が必要でなければ、Stripeはこの枠を利用しなくても良い。

今回の資金調達に関するニュースは、面白いタイミングで発表された。というのも、先週の木曜日は買い物客が増える休暇の初日で、プラットフォーム経由の全ての決済から手数料をとっているStripeのような会社は、この時期に1年で一番大きな売上を期待することができるのだ。サンクスギビングデーには、売上が2016年に入って初めて20億ドルの超えると予想されている。

中には、ニュースが静かになる休暇中の週末に、このニュースが発表されたことを不思議に思っている人もいるかもしれない。なお、最初にこのニュースを報じたメディアはThe Wall Street Journalだった。

しかし、私はこのタイミングでの資金調達の発表には意義があると感じている。Stripeはいずれ株式を公開するか、同社よりも大きなEC(もしくはテック…もしかしたらGoogle?)企業に買収されることを念頭においているため、今回の発表でStripeは、オンラインショッピング界にとって大事なこの時期に、「Stripeがここにいるよ。これからEC業界を席巻していくよ」と伝えようとしているのだ。

Alphabetブランドの下に検索・モバイル事業を置くというGoogleの組織改編後に、Google Capitalから名称変更を行い、今回初めてStripeに投資した”CapitalG”と、以前から投資家として名を連ねていたGeneral Catalystの2社が今回のラウンドのリードインベスターを務めた。その他にも、Sequoia Capitalや、以前から同社に投資を行っていたものの、名前が明かされていない投資家が同ラウンドには参加していた。

2010年にアイルランド出身のPatrick・John Collison兄弟(それぞれCEOとプレジデントを務めている)によって設立され、サンフランシスコを拠点とするStripeは、今回の調達資金を含め、これまでに約4億6000万ドルを外部から調達している。

同社のビジネスの中心は決済サービスではあるものの、今後金融サービスプラットフォームへと進化していくために、Stripeは決済以外のサービスの開発も進めている。

例えば、アメリカ国外からアメリカ籍の企業を設立するためのサービス詐欺防止ツール、企業の支払をスピード化するツール、Stripeのプラットフォームを利用したマーケットプレイスなどの開発が行われている。Stripeは自社のプラットフォームを利用して、利幅を増やす(決済サービスだけでは少額の利益しかあげられない)と共に、顧客との接点を増やそうとしているのだ。

その点に関しStripeは、今回の調達資金をディベロッパー向けツールの開発や企業買収時に使えるツールなど、実業家をサポートするような機能をプラットフォームに追加するために使っていくと話している。さらにスタッフの増強も行っていく予定だ。

Stripeは次に何をローンチするのか名言していないが、詐欺防止ツールのRaderを10月末にリリースした際に、John Collisonは、EC業界にいる人たちの信頼感を高めるために、売る側・買う側両方をさらに保護していくためのサービスが今後発表されるかもしれないと、ほのめかしていた。

「この分野のサービスの開発は活発に行われており、私たちがやりたいと思っていることもたくさんあります。まだ利用者保護サービス(を単独のサービスとしてローンチするかどうか)の可能性は断念していませんが、今後ユーザーがどのようにこのサービスを利用して、何がうまくいって、何がうまくいかないかというのを観察していきたいと考えています」

ネットビジネスの運営やオンラインコマースへのアプローチとして、仕組みが複雑なサービスをシンプルにすることでPayPalのような企業へ対抗するという、Appleが得意とするやり方をStripeはもっと広く活用しようとしている。

先月Collisonに話を聞いたところ、Stripeのミッションは「ビジネスを成長させる上で直面する複雑な問題を簡素化することです。そのため、今後ローンチされるStripeのプロダクトは、そこに特化したものが多くなると思います。何がビジネス上の問題なのか、なぜ成長スピードが思うように伸びないのか、そして私たちはその状況に対して何ができるのか、というのが私たちの考え方なんです」と語っていた。

Stripeはまだ、世界中のユーザーの数や売上額、Stripeプラットフォーム上での決済総額などは明らかにしていない。しかし同社は、現在ユーザーが110ヶ国にいて、アメリカのインターネット人口の半分にあたる人々の決済をこれまで処理してきたと話している。

つまり、かなり広範囲に渡る顧客が、Stripeのサービスを少なくともひとつは利用したことがあり、そのユーザーには有名なネット企業も含まれているのだ。具体的にはSAP、Macy’s、Missguided、 GE、Adidas、Docusign、Slack、Medium、Daily Mail、Yelp、NASDAQ、UNICEF、「他にも先の大統領選の両候補者」などがStripeのサービスを利用している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

料理動画の分散型メディア「KURASHIRU」、運営元のdelyが約5億円の資金調達

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料理レシピの動画を配信する分散型メディア「KURASHIRU」を展開するdely。同社は11月28日、YJキャピタル、gumi ventures、ユナイテッドおよび個人投資家(フリークアウト取締役COOの佐藤裕介氏ともう1人)から合計約5億円の資金調達を実施した。資金はKURASHIRUのマーケティングおよび運営、開発メンバー増強に充てるとしている。

一時はスタッフが全員会社を去る事態に

delyの創業は2014年2月。当初はフードデリバリーサービスを展開していたが、2015年に入って、女性向けのキュレーションメディア運営に事業をピボットした。2016年初からは動画コンテンツに注力。料理や美容、ライフスタイルなどの領域で動画コンテンツを制作していたが、2016年春をめどに料理動画にコンテンツを集中。キュレーションメディア時代からの名称である「KURASHIRU」として、FacebookやInstagramなどのソーシャルメディアのほか、自社アプリで月間1000本ほどの動画コンテンツを配信している。ユーザーは24歳から35歳が中心。女性比率は92%だという。

メディア事業へのピボット時には、共同創業者を除く全員が会社を去るような状況にもなったというdelyだが、現在は約60人のスタッフが在席。そのうち約40人が料理動画の制作や編集に関わっている状況だという。「(調理している)スタッフはみんなユーザーから採用している。現状、自分たちの持っている媒体で募集をかけると100人ほど応募が来る状況」(dely代表取締役の堀江裕介氏)

Instagramと自社アプリが再生回数をけん引

delyは5月にシリーズAの資金調達と月間再生本数1億回という数字を発表している。この数字自体は、当時展開していた美容やライフスタイルなど別の領域の動画の本数も合算しているため、現在の月間再生本数はこれを下回るそうだが「数字は増えている。Facebookは数字が余り伸びていないが、Instagramは1本で14〜15万回再生されるなど数字が凄く伸びている」(堀江氏)

また、もともとは分散型で自社メディアを持たないことで起こるリスクを低減させようと始めた自社アプリのダウンロード、動画再生も好調だという。

アプリは現在(11月28日9時時点)App Storeの総合ランキングで9位。InstagramやAbemaTV、メルカリなどよりも上位にランクしている状況だ。「広告も出しているが、オーガニックでのダウンロードの割合が高い。僕らは超貧乏なスタートアップ。お金がないなら工夫するしかなかった。だからお金で買えない数字を伸ばそうと目指した結果が出てきた」(堀江氏)。例えばInstagramにアップした動画からアプリのダウンロードをどう促すかといった、細かなグロース施策が奏功しているのだという。アプリは今後1年で1000万ダウンロードを目指す。

動画ネイティブ広告も順調

クライアントの商品を使ったレシピを紹介するような動画ネイティブ広告の案件も増加しているという。「最初は確かに苦戦したし、不安だった。キュレーションメディア(のネイティブ広告)でも苦労したが、そもそも『このメディア(分散型の動画メディア)とは何だ』という説明からしなければいけなかった。そのため動画についての講演も各地でやってきた。だが競合(の分散型動画サービス)も含めて競って市場を広げてくれたおかげでマネタイズもそんなに困っておらず、黒字にしようと思えばできる状況。(1つの案件も)シーズンで数千万円、年間で億単位にもなる状況」(堀江氏)

ネイティブ動画広告において同社が重要視するのは再生完了率だ。堀江氏は一般的な分散型動画の動画広告の再生完了率が約3割なのに対して、KURASHIRUは5〜7割と高いと語る。「コスメやライフスタイル系の動画だとどうしても宣伝臭が出がちだが、料理だと普通のコンテンツと変わらない。僕らもPRのために以前には総再生回数を出していたが、再生数でなく再生完了数(が大事)。ポジショントークと思われるかも知れないが、言い続けないといけない」(堀江氏)。さらに、他ジャンルに比べてクリエイティブのチェックにかかる時間が少ないため、ディレクター1人単位で担当できる案件も増え、結果的に利益率の高さにも繋がるとも語った。

大きなビジョンと、それを裏打ちする成長があると語る堀江氏。だが競合を見てみれば動画領域では元LINE元代表取締役社長・森川亮氏のC Channelやグリー元取締役の吉田大成氏のエブリー、さらに料理領域ではお家騒動こそあれど月間6000万ユーザーを誇るクックパッドなど、ビッグネームが並んでいる状態。堀江氏は周辺環境についてこう語った。

「前回の事業(フードデリバリー)で失敗したことで完全に振り切れて、また今は事業が伸びたから色んな壁が見えてきた。競合がある種の『レジェンド』ばかりで、普通に戦ったら学生起業家(筆者注:堀江氏は創業当時学生だった)では勝てない。どう勝つかを考えたら僕自身が成長するしかない。経験では劣っているが他の面で勝負する。僕らのビジョンにあるのは『Make Future make history』という言葉。ナンバーワンじゃないと歴史に残らないので、今の状況は超おいしいチャンスでもある」

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dely代表取締役の堀江裕介氏

秘密主義のビッグデータ企業Palantirが11月にひっそりと2000万ドルを調達

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Palantir — 政府、金融、ヘルスケア、その他の組織に、分析、セキュリティ、その他のデータ管理ソリューションを提供する、秘密主義の200億ドル規模の企業 — が、新しいSECのファイリング によれば、再び2000万ドルの資金調達を行った。

それは同社にとってはどちらかと言えば控えめな金額だ。2015年12月に行われた最後の資金調達では、Palantirはラウンドを8億8000万ドルで締めくくった、この過程で企業の評価額はうなぎ登りに上がった。

11月23日付けのフォームDのファイリングによれば、この最新のラウンドの最初のセールは11月8日だった — 偶然(?)にも、ドナルド・トランプが大統領選に勝った米国選挙と同日である。Palantirの議長ならびに主要株主でもある共同創業者のPeter Thielは、トランプの熱心な支持者だ。

ラウンドは単一の支援者で行われたが、その他の詳細は明かされていない。私たちはPalantirに質問をしている最中だ、何か詳細が分かった際には報告を行う。

現在までに、Palantirは20億ドル以上を調達している。現在同社に投資を行っているのは、137 Ventures、Artis Ventures、Ben Ling、Founders Fund、Glynn Capital Management、GSV Ventures、CIAが支援するIn-Q-Telファンド、Jeremy Stoppelman、Keith Rabois、Khazanah Nasional、Kortschak Investments、Mithril Capital、REV、Sozo Ventures、そしてUlu Venturesだ。

2000万ドルの資金調達が、昨年多くの浮き沈みを見たPlantirの今年を締めくくった。同社は、ビジネスや一般的な活動についての情報開示にはあまり協力的ではない(そして、残念ながら、それはおそらくPalantirは私たちの質問には答えないということを意味している、とりわけ感謝祭にぶつかってしまったので尚更だ)。しかし、これまでに漏れ聞く情報は沢山あった。

その顧客リストと、Palantirが顧客のために何をしているのかが判明している;そしてスタッフ間の動揺や、Palantirへの支払いを拒む主要顧客への対応といった内部問題もあるようだ。そして、Thielは 明らかに、同社の株式を評価している者たちの中で、今年の彼らの評価額を少なくとも40%下回る評価を下している。

しかし、それはPalantirの悪い運命と暗い先行きを示すものではない。Thielは大統領に選出されたドナルド・トランプの移行チームで指導的な役割を果すことになる、このためPalantirの取引にも弾みがつくだろうと考える者もいる。しかし、例えそうでなくても、Palantirはすでにワシントンと深い関係を結んでいる。既に10月には、裁判所がPalantirに有利な判決を下して、米陸軍に貴重なデータシステムの契約に対してPalantirが参加できるように再入札を命じたことにより、弾みがついていたのだ。

最近では、私たちは同社が2017年半ばにIPOを計画しているという話を複数の情報源から聞いている(これはFTも報告しているタイムフレームだ)。10月には同社の共同創業者兼CEOのAlex Karpが、同社が来年に向けての収益性も計画している最中だと述べている。

追加報告はKatie Roofから。

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(翻訳:Sako)

ユーザーの貯蓄を促すファイナンスアプリのAlbertが250万ドルを調達

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貯蓄口座にお金を預けたり、支出を記録したり、借金を減らしたり、公共料金を節約したり、うまく投資をしたりと、誰でも個人の財政状態を改善するための基本的な方法を知っているはずだ。しかし本当に難しいのは、このような知識を今すぐ実践できるようなアクションへと変換することだ。Albertというアプリがその問題を解決しようとしている。最近行われたシードラウンドで250万ドルの資金を調達したAlbertのアプリを使えば、ユーザーは簡単に収支をトラックできると共に、ひとりひとりに合った財政上のアドバイスを受けることができる。

Bessemer Ventures PartnersやCFSI(Center for Financial Services Innovation)、500 Startups、500 Fintechなどが参加した前述のラウンドが開催されたのは、今年の夏にアプリがローンチされてからすぐのことだった。

Albertは、金融サービス業界での勤務経験を持ち、大学時代の友人同士であるYinon RavidとAndrzej Baraniakによって共同設立された。

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若いモバイルユーザーをメインのターゲットとしているAlbertは、Simpleのようなモバイルバンキングアプリではない。このアプリは、例えるならばMintのように、銀行口座やクレジットカード、不動産、ローン、投資のように、各サービスに散らばったファイナンスに関するデータを一か所に集めるサービスを提供している。

しかし、Mintのようなサービスと違って、Albertはユーザーに対して財政上のアドバイスを行い、ユーザーの行動に変化を起こすことにフォーカスしていると共に、日頃の収支を追うためのサポートも行っている。

そして、実際にユーザーに行動を起こさせるため、Albertは少々強引にアドバイスを行うようにつくられている。

アドバイスの一例として、Albertはユーザーに貯蓄口座を作るように勧めることがある。

「20~40歳の人のほとんどが貯蓄をしておらず、実は彼らの過去3ヶ月間の支出は同じ期間の収入を上回っているんです。そのため、私たちからの最初のアドバイスのひとつは、緊急時のために少しずつでも貯金をするということです」とRavidは説明する。

その後Albertは、実際に貯蓄を作るために、ユーザーの銀行口座からAlbert Savingsへ自動送金を設定するサポートを行う。なおAlbert Savingsとは、アプリ上に存在する、FDIC(連邦預金保険公社)によって保護された貯蓄口座のことを指している。

自動送金は、貯蓄アプリのDigitやQapital、投資アプリのStash InvestやAcornsといった、もっと広い意味でのフィンテックサービスでも採用されている機能で、Albertはそのほかにも、Level MoneyやProsper Dailyのような、ユーザーの財政状態を俯瞰するための機能も備えている。さらに、ユーザーが自分でお金の管理をするためのパーソナルアドバイスサービスは、Albert以外にもLearnVestが提供している。

しかしAlbertは、このような複数の機能を一か所にまとめることで、ユーザーの心をつかもうとしているのだ。

貯蓄以外についても、Albertは、クレジットカード上の負債を支払うために利率の低いローンの借入を促したり、自動車保険の料金を下げるために保険会社の変更を勧めたり、投資を提案したりと、さまざまなアドバイスをしてくれる。

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上記のようなアドバイスをするために、Albertは外部企業と提携しており、そこがこのサービスのマネタイズのポイントでもある。Albertは、ローン見積もりを行う金融業者や、投資に関するアドバイスを行うBetterment、保険見積もりを行うCoverHoundと協力し、彼らから受け取る紹介料を収入源としているのだ。そのため、ユーザーは無料でAlbertのサービスを利用することができる。

これはつまり、ユーザーへのアドバイスに関し、Albertは手間がかかる箇所の大部分をアウトソースしていることになるが、そのおかげでアドバイスの公平さが保たれているとRavidは話す。

「ユーザーにアドバスをして、彼らの財政状態を改善する上で、私たちがとても重要だと考えていることのひとつが、オススメするサービスから一定の距離を保って客観的であり続けるということです」と彼は語る。

アドバイス以外にも、当座貸越の費用が発生したときや、公共料金の支払期限が近づいたときなど、Albertはユーザーのお金に関する重要な情報を通知する機能も備えている。その他にも、Albertには、支出や請求書、収入などを確認するためのツールなど、ユーザーがAlbertのアドバイスにもとづいてアクションをとった後も、継続的にアプリを利用するきっかけになるような機能が搭載されている。

Ravidは、Albertアプリのユーザー数については明かさなかったが、現在iTunes App Storeのファイナンスカテゴリーで、同アプリは84位にランクインしており、Appleも最近Albertアプリを人気アプリとして取り上げている。またRavidによれば、Albertがトラックしている情報量は増加傾向にあり、現時点では5000万件以上の決済情報を追っている。

ロサンゼルスを拠点とし、4人のメンバーで構成されているAlbertは、Android版のリリースを待たずして、最近iOSアプリのバージョン2.0をリリースした。同アプリはApp Storeから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

コーワーキングスペースのSpacemobが550万ドルを調達、アジア太平洋全域でのサービス提供を目指す

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コーワーキングスペースが、アジアで大きなビジネスになり始めている。今年に入ってからWeWorkが中国市場に進出したが、同社以外にも多くの企業がアジアでその覇権を争っている。シンガポールを拠点とするSpacemobもそのうちの一社で、同社は今後アジア太平洋地域全体へサービスを拡大するため、シードラウンドで550万ドルを調達したと本日発表した。

これは、東南アジアに拠点を置く企業のシードラウンドとしては、かなり大規模なものだ。なお、本ラウンドでは、シンガポールの政府系ファンドTemasek Holdingsのベンチャー部門にあたる、Vertex Ventures Southeast Asiaがリードインベスターとなった。

SpacemobのファウンダーであるTurochas “T” Fuadは、以前立ち上げたTravemobという企業を、2013年にAirbnbのライバルにあたるHomeAwayに売却していた。現在Spacemobはシンガポールで”旗艦”スペースを運営中で、シンガポール第二のスペース、そしてジャカルタにも新スペースを設立しようとしている。また、General AssemblyやSurvey Monkeyといった企業が、早くからSpacemobのスペースを活用している。

Fuadによれば、Spacemobは今後3年間で、アジア太平洋地域に合計30のスペースを開設しようとしており、特に、東南アジア、北アジア、オーストラリア、香港の4地域に注力していく予定だ。現在設立準備中の2つのスペースの次は、タイ、香港、台湾での開業を目指している。

これはかなり野心的な計画にも映るが、FuadはSpacemobが”オペレーター”モデルをとっており、多額の資産を必要としないため、スピーディーにスケールできると考えている。

「ホテル業界で採用されているモデルのように、私たちはオペレーターとして、ディベロッパーや物件の所有者と協力しながらサービスを提供し、売上を分け合ったり、家賃なしで彼らの物件を利用したりしながら、彼らの収益を最大化しようという計画です。さらに、アジア太平洋地域の多くのオペレーターとも提携しているため、MarriotやAccorがフランチャイズを展開するように、私たちも競合他社よりかなり早いスピードでスケールすることができると考えています」と彼は説明する。

他のコーワーキングスペースのように、Spacemobは利用者に対して関連サービスと活発なコミュニティを提供しており、利用者が会議室の予約やネットワーキングのために使うソフトウェアは、インハウスで開発された。メンバーシップには、健康保険や給与支払い・決済用のゲートウェイなどが含まれており、さらにはコンテンツライターやサーチエンジンマーケター、ディベロッパーなどの専門家によるサービスも追加料金を支払えば利用可能だ。

「私たちは、コーワーキングスペース自体がサービス仲介業者になるような、エコシステムを構築しようとしているんです。Freelancer.comで外注先を探す代わりに、Spacemobを利用すれば、少し歩くだけで信頼できる人をみつけることができます」とFuadは話す。

WeWorkは、まだ中国以外のアジア市場へは参入していないが、それも時間の問題だ。つまり、Spacemobはそのうち、資金力豊富な競合と勝負していかなければならなくなる。なお、WeWorkはこれまでに13億ドルを外部から調達しており、そのバリュエーションは160億ドルに達している

「Spacemobは低価格戦略をとっており、サービス内容が成功の鍵を握っています。私たちはスタートアップに対して、お金に見合った価値を提供しようとしているんです」とFuadは語る。

コーワーキングスペースはスタートアップ業界でのみ通用するサービスだと考えている人もいるが、Fuadは小企業以外の利用者も想定しており、サービスの提供者も多岐に渡ると彼は考えている。

「(自社のオフィスを構える代わりに)200~300人の従業員の執務スペースとして、Spacemobを利用したいと考えている大企業とも私たちは話を進めています」とFuadは付け加える。「これはホテル業界の動きにかなり近いため、今後世界中でさまざまな企業が、私たちと似たような事業を始める可能性があります」

また、東南アジアのテックブログE27が今年の夏に行った220万ドルの投資ラウンドに参加するなど、Specemob自体も投資活動を行っている。アジアのテックコミュニティや将来有望なスタートアップのことを宣伝する上で、SpacemobとE27の事業には大きなシナジーがあるとFuadは考えているのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

インドでマイクロ・ローン事業を展開するAye Financeが1030万ドルを調達

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インドでマイクロ・ローン(小口融資)ビジネスを展開するAye Financeは、LGTがリードするラウンドで1030万ドルを調達したことを発表した。既存投資家のSAIF PartnersAccionも本ラウンドに参加している。

2年前に創業した同社が手掛けるのは、銀行などの伝統的な金融機関から融資を受けることが難しいビジネスオーナーを対象に小口融資を行う、マイクロ・ローン事業だ。創業者で元銀行員のSanjay SharmaとVikram Jetleyは、なにか「ソーシャルインパクト」のある事業を始めたいとの想いで母国インドに戻ってきた。

Sharmaによれば、同社の典型的な融資ボリュームは20万から30万インドルピー(2900ドルから4400)の間だという。融資対象となるのは、従来の金融機関から融資を受けることが難しい小規模ビジネスだ。しかしSharma は、同社は単に銀行やローン会社が手をつけていない下位マーケットを対象している訳ではないと話す。インドのEコマース・プラットフォームであるFlipkartには多数のマイクロ・アントレプレナーが参加し、そこで生計を立てている者も多い。Aye Financeは、そのようなEコマース・プラットフォームにも参加していないようなビジネスオーナーもターゲットにしている。

「融資を実行しようにも、ビジネスオーナーが納税申告書を保管していなかったり、帳簿をつけていない場合はどうすればよいか」とSharmaは同社のビジネスが抱える問題を説明する。

その問題を解決するため、同社はインド北部を中心に31の支店を設立した。これらの支店でインドの7つの州すべてをカバーしており、サイズは小さいが人員は十分に配置してある。そこでは、Aye Financeの社員がクラウドに同期されたデジタル・プラットフォームを利用して、融資希望者の財務状況を入力していく。Aye Financeでは「業種別クラスター」と呼ばれる概念を利用することで、融資希望者のビジネスを正確に評価することができるとSharmaは語る。先ほど述べたようなビジネスオーナーを極端なケースとして扱い、業種ごとに作成されたマトリックスを利用してビジネスを評価するのだ。例えば靴の製造業者の場合、日ごとの靴の製造数や、従業員1人あたりの製造数などの指標を利用することが考えられるだろう。このように、同社は従来の金融機関が見向きもしないような指標を有効活用しているのだ。

「私たちは8つの指標を利用して様々な業種の仕組みを理解しています」と彼は説明する。

同社の見込み客の多くはインターネットにあまり詳しくないため、彼らはローカルかつオフラインな方法で見込み客を開拓している。

「通常、業種クラスターはある地域にかたまって存在しています」と彼は加える。「2キロメートル四方のエリアに1万5000人もの潜在顧客がいるかもしれません—私たちが支店を設立するのに必要な(登録済みの)顧客数はたった1000人なのです」。

Aye Financeは月ベースで見ればすでに損益分岐に達しているものの、全体的な損益分岐に達するのは2017年の終わり頃だという。また、Sharmaは今後18ヶ月から24ヶ月以内に追加の資金調達を検討しており、それによって新しいタイプの金融商品にも手を広げていく予定だ。

それについてShamaは、「業務クラスターに関連した金融サービスを提供していきたいと思っています。例えば、デリーに同社の顧客を紹介できるような大規模のバイヤーがいる場合、当社が彼らにマーケットプレイスを提供したり、業務上のアドバイスや市場データの集約サービスなどを提供することが考えられます」と説明する。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

たった1滴の血液で128通りの血液検査ができるGenalyteが3600万ドルを調達

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Theranosに似た血液検査デバイスを開発するGenalyteは本日、Khosla VenturesとRedmile Groupがリード投資家を務めたラウンドで3600万ドルを調達したことを発表した。

サンディエゴを拠点とする同社は、たった一滴の血液で128通りの血液検査を行うことができるラボ・オン・チップデバイスを開発する企業だ。同社はこれをMaverick Detection Platformと呼び、1回のテストにかかる時間は15分以下だ。

Genalyteが自社で開発するシリコンチップにはフォトニック結晶を利用した共振センサーが多数搭載されており、これを利用することでリウマチなどの病気の検診をすることができる。現在申請中のFDAの認可を受けることができれば、このテクノロジーを外来患者にも利用することも可能だ。

これまでにGenalyteはInstitutional Review Boardの許可の元、一滴の血液で実施できる同社の血液検査と、従来の血液検査の正確性を比較することを目的とした臨床実験を実施している。今回調達資金も追加の臨床実験を実施するための費用に充てる予定で、それにより規制機関からの認可を受けるための準備を整える構えだ。

Genalyte CEOのCary Gunnによれば、これまでの臨床実験ではポジティブな結果が生まれており、同社のテクノロジーを次のフェーズに進めるための準備は整ったと話している。この臨床実験の結果は11月12日に開催されたAmerican College of Reumatology(ACR)でも発表されている。

Genalyteのテクノロジーはすでに製薬業界で商用利用されているものだが、Gunnは同デバイスをもっと「患者に近いところ」で利用できるようにしたいと考えている。つまり、外来の患者を研究室に送り出し、検査の結果が出るまでに何日もかかるというようなものではなく、診察室で1滴の血液を採取するだけで、その数分後には血液検査の結果が出ているというような形だ。

この計画は、TheranosがWalgreensと業務提携をした当初のビジネスプランに近い。ユーザーが午前中にWalgreensの店舗の中に設置されたTheranosの研究室に行って少量の血液を採取すれば、午後にはその結果をアプリで見ることができるというものだ。

しかし、そのプランに対する業界からの目は懐疑的だった。特にTheranosに対しては。Gunnによれば、GenalyteはTheranosの失敗から学び、何度も臨床実験を重ね、プロダクトの有効性を確実なものにしてから消費者に提供していく予定だという。同社はすでに臨床実験の成果を学術雑誌を通して発表している。ここがTheranosとの違いだ。さらに、Genalyteの創業者は医学のバックグラウンドを持ち、創業当初から積極的に医学界から人材を登用してきた。これもTheranosは怠ってきた。

「業界関係者はデータを見たがります。彼らが見たいのは実際に臨床実験を行っている姿とその結果です。それが彼らとの関わり方であり、それには時間がかかります」とGunnは語る。「メディアにはこの業界がつまらないものに写ってしまうかもしれませんね」。

問題の渦中にあるTheranosを血液検査のブレークスルーを成し遂げられる唯一の企業だと信じる者もいる。しかし、それを成し遂げる可能性が高いのはGenalyteなどの企業だ。

「血液検査は大きく変化しようとしている業界であり、Genalyteはその変化の主唱者です。彼らは血液検査のあり方だけでなく、精密医療のあり方を変えようとしているのです」と語るのは、Khosla Venturesを率いるVinod Khoslaだ。「検査結果をタイムリーかつ正確に提供するために、厳格な科学的プロセスにコミットし続ける彼らとのパートナーシップを深めることができたことを、私たちは誇りに思います」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

人間に話しかけるようにファイルの検索ができる「Findo」が700万ドルを調達

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ファイルやEメールがどこかにあるのだが、その場所が分からない。これは誰しもが抱える問題だろう。テック業界で働く人々にとっては特にそうだ。そんな時、理想を言えばEメールの受信ボックスやGoogle Docsにこのように尋ねたいと思うことだろう。「この前受け取ったプレゼン資料を探してほしい。送ってくれた人の名前は忘れたけど、彼とは昨年にNYCで会っているはずだ。バイオテックに関するプレゼンテーションだった」。人間にこのように尋ねるのは可能だが、機械では不可能だ。

この会話の問題は、機械が何かを探すために必要なキーワードを人間が思い出せないというところにある。それに加えて、最近では複数のEメールアカウントを持つのが当たり前になり、ファイルの置き場所が増えたことも問題の1つだ。

2013年にこの問題に気づいたのが、Findoの共同創業者であるDavid Yangだ。そして彼は現CEOのGary FowlerとFindoを立ち上げることになる。Garyは東ヨーロッパの主要アクセラレーターの1つであるGVA Launch Gurusを設立した人物としても知られている。

トップに掲載した写真に写っているYangは、少し特殊な経歴を持つ起業家だ。彼は21歳の時にモスクワでABBYYという会社を立ち上げている。ABBYYはその後、世界でも有数のAIを利用したOCR(光学文字認識装置)企業として成長し、1300人の従業員と16のオフィスを持つまでに成長した。シリコンバレーにも100人の従業員がいる。

テック業界のベテランたちへ:彼はあのCybikoを発明した人物でもある。Cybikoは当時10代の若者向けに開発された小型のワイアレス・コミュニケーションPCで、スマートフォンの前身となったデバイスだ。(私はこのCybikoが大好きだった!周りの友達にも普及しさえすれば、、)

そして今、Yangはドキュメントの検索システムに取り組んでいる。

彼が立ち上げたFindoはシードラウンドで追加の100万ドルを調達し、このラウンドでの合計調達金額は700万ドルとなった。それに加え、同社のプロダクトがPDFファイル向けのソリューションを提供するFoxitのソフトウェアに統合されることもすでに決まっている。

今回のシードラウンドに参加した投資家は、ABBYYの創業投資家、Flint Capital Venture Fund、戦略的な出資者として参加したFoxit、そして金額と名称は非公開ながら、ドキュメント・スキャナー業界から出資に参加した者もいる。

FindoのプロダクトがFoxitのソフトウェアに統合されることで、4億2500万人のFoxitユーザーはPDFファイルをトピック別に分類したり、類似ファイルの検索や比較をしたり、キーワードや送信者の名前を覚えていなくてもPDFファイルを検索したりすることが可能になる。このような機能に加えて、PDFの編集機能も備わっている。

Findoは、Dropbox、Evernote、Gmail、Google Drive、OneDrive、Outlook、Yahoo Mail、iCloud、そしてノートパソコンやデスクトップPCのローカルドライブに対応した「スマートサーチ・アシスタント」だ。Findoには5つの「フォームファクター」が用意されている:Webアプリ、iOSモバイルアプリ、チャットボット(Slack、Facebook Messenger、Skype、Telegramに対応)、Chrome拡張機能、iMessageアプリだ。

Findoは人間の言葉を理解することができる:人間に対して話しかけるようにファイルを検索することが可能なのだ。例えば、「1ヶ月前にボストンにいる人から送ってもらったプレゼン資料を探してほしい」だとか、「ユナイテッド航空で予約したサンフランシスコ行きのチケットを探してほしい」というような具合だ。

ユーザーが自身のEメールアカウントやローカルストレージなどをFindoに認識させると、Findoはユーザーのデータをインデックス化する。利用されるインデックスはキーワード・インデックスと「セマンティック・インデックス」の2種類だ。Findoはファイルの内容から企業名、人物名、ローケーション、ミーティングの要点、イベント、アジェンダ、各種チケット、請求書などのデータのまとまりを抽出し、それを全てつなぎあわせて「知識グラフ」を構築する。

Macに搭載されたSpotlightで同じことができるだろうか?SpotlightではローカルファイルやEメールの検索をすることはできるが、Evernoteの検索はできない。ローカルストレージと同期されていないDropbox内のファイルを検索することもできない。さらに、FindoではSpotlightで検索できないようなファイルも検索可能だ。

「ロンドンの”あの人”の電話番号を探してほしい」。このようにFindoに尋ねれば、Findoはロンドンという情報に関連する人物の電話番号を探してくれる。例えば、ロンドンに拠点を持つ企業に勤める人物の電話番号を探すというような具合だ。すべてのユーザーで共有のセマンティックインデックスを構築するGoogleとは違い、Findoは何億ものプライベートなセマンティックインデックスを、何百もの言語向けに構築することを目指している。

これまで3年間のあいだ極秘とされてきた同社のプラットフォームは今日から公開が始まっている。

同社のスポークスパーソンによると、「4つ以上のアカウントを連携するユーザーのリテンション率が特に高い」という。

Findoのプロダクトは現在、WebiOSアプリ版、そしてMessenger、Slack、Skype、Telegramに対応したチャットボット版、さらにChrome拡張機能版が公開されている。

6ヶ月以内に作成されたファイルの検索ができるAdvanced Planは月額4.99ドル、すべての期間に作成されたファイルの検索できるUltimate Planは月額9.99ドルで提供されている。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

ボタニカルライフメディア「LOVEGREEN」のストロボライトが1.4億円を調達、サービスECのマーケット創出へ

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ボタニカルライフメディアの「LOVEGREEN」を運営する日本のストロボライトは本日、ニッセイキャピタル株式会社を引受先とした第三者割当増資により1億4000万円を調達したことを発表した。同社は2015年9月30日にも資金調達を実施している(金額は非公開)。また、株式会社アイスタイル出身の川上睦生氏が10月1日付けでCOOに就任したことも同時に発表された。

同社は今回調達した資金を利用して、LOVEGREENのグロース、新規事業となるサービスEC事業の立ち上げ、そしてそれに伴う人材強化とオフィス移転を予定している。

コアなファンも認める質の高いコンテンツを

2012年創業のストロボライトが手掛けるのは、植物の育成管理や飾り方などの情報を配信するボタニカルライフメディアの「LOVEGREEN」だ。現在、同メディアのFacebookページでは約9万4000の「いいね!」数を獲得しており、植物関連では最大のメディアと言えるだろう。現在のところMAUとPVは公表していないが、代表取締役の石塚秀彦氏は「年明けくらいには公表することも考えている」と話す。

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LOVEGREENが集中的に取り組むのが、記事クオリティの維持向上だ。当初は外部のライターを中心にコンテンツを製作していたものの、クオリティのさらなる向上を目指し、編集部所属のライターを増やしていく方針に転換している。「読者の半数以上が、週に1度は園芸ストアに通ったり、イベントに参加している人たち」だという。石塚氏がある植物の生産者とインタビューした際には、「あの記事どうやって書いてるの?実は、LOVEGREENの記事を参考にして育ているんですよ」と言われることもあったそうだ。

注目すべきはLOVEGREENの読者層だ。同メディアの読者層は40代前半の女性であり、読者の半数以上が「戸建て持ち」の主婦層だという。そこで出番となるのが、ストロボライトの新規事業である。

既存サービスとのシナジー効果の高いストック型のビジネス

ストロボライトは庭の造園・植栽・剪定の見積もりと注文ができるサービスEC事業の立ち上げを予定している。外部の専門業者とユーザーをつなげる仲介型のマーケットプレイスだ。上述したように、LOVEGREEN読者の半分が庭の手入れが必要な戸建て持ち世帯であることを考えれば、既存サービスであるLOVEGREENと新規事業のシナジー効果はとても高いと言える。

気になるのはその市場規模だ。植物にフォーカスする直接的な競合はいないというが、それはその業界がニッチな市場だからなのではないか。しかし石塚氏によれば、「日本には園芸にお金を使う人が全国で3000万人いて、市場規模は1兆円を超える」と語る。さらに、この業界のサービス単価は高い。

枝の一部をはさみで切り取るという、比較的シンプルな作業の「剪定」の単価こそ3万円程度だが、空間のコーディネートである「造園」の場合、数十万円から数百万円の単価になる。

植物は時間が経てば伸びてくる。伸びすぎた枝は切らなければならない。だから、ストロボライトの新規事業は、リピーターさえ増やせれば継続的収入も見込めそうだ。

「造園業者も高齢化がすすんでいて、業者のWebページを見てみても時代遅れと言わざるを得ないようなデザインなのが現状。業者の方々に、この事業について話をしてみても”こういうのがあればよかった”と言われたこともあり、新サービスに対する変なしがらみなどもない」(石塚氏)

新規事業の収益モデルは手数料型で、石塚氏は「当初は実績をあげることに集中するが、消費者と施工業者にそれぞれ付加価値を提供することができれば、将来的には最低でも15%から30%程の手数料率は狙えるのではないか」と話している。

しかし、マーケットプレイス型のビジネスだからこそ懸念されるのが、ユーザーと業者の直接取引だ。実際、人的資源のマーケットプレイスであるクラウドソーシングの「ランサーズ」や「クラウドワークス」でもこのような行為を利用規約により禁止している。それについて石塚氏は、「既存サービスであるメディアを通じてユーザーとの信頼関係を構築したり、ポイント制を導入することなどを考えている」と話しているものの、同社のマーケットプレイスにどれだけユーザーを巻き込めるのかがリリース後の課題となりそうだ。

「ボタニカル石塚」CEOと、彼に魅了された新COO

メディアを通じてファンを獲得することが、直接取引という問題の解決策の1つだが、10月1日付でCOOに就任した川上睦生氏も、実は入社以前からLOVEGREENのファンの1人だったという。川上氏は、「他のメディアが書いている植物に関する記事と比べても、LOVEGREENの記事のクオリティは全然違うと感じていた。そういうこともあり、求人広告を見た瞬間”ここだ!”と思った」と入社したきっかけについて話す。さらに、「石塚さんと話した瞬間から3年くらい先の事業プランも見えたし、彼の熱い気持ちを感じた」とも語る。「Incubate Camp 8th」のプレゼンテーションの最中、みずからを「ボタニカル石塚」と改名する程のCEOの情熱に魅了されたのだろう。

植物への愛にあふれる「ボタニカル石塚」CEOと、新しくCOOに就任した川上氏の新体制となったストロボライト。彼らが次に情熱を捧げる新規事業は、2017年2月から3月頃のリリースを予定している。

コールセンターのフィードバック・プラットフォーム「Cogito」がシリーズBで1500万ドルを調達

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現地時間11月18日、カスタマーサービス向けにリアルタイムなフィードバック・プラットフォームを提供するCogitoは、シリーズBで1500万ドルを調達したことを発表した。本ラウンドを含めると、同社のこれまでの調達金額は合計で2250万ドルとなる。

MIT Media Labのスピンオフ企業である同社は、行動科学の原理をコールセンターに適用することでカスタマーエクスペリエンスの向上を目指している。過去の成功例と現在進行中の会話との間で、会話の各特徴を比較しているのだ。Cogitoでは、声の大きさや、会話が途切れた時間、会話のスピードなどの特徴を模範例と比較し、それに基づいてコールセンターの従業員にリアルタイムなフィードバックを提供している。同プロダクトはこれまでに、HumanaやCareFirst BlueCross BlueShieldなどのFortune 500企業に採用されており、Cogitoはこれらの企業に対する顧客満足度を20%向上することに成功したと主張している。

行動科学のビジネスへの応用はまだ始まったばかりだ。大量のデータを利用する機械学習によって行動科学の研究が進歩するなか、今後さまざまな業界でユニークな応用例が誕生していくだろう。

本ラウンドでリード投資家を務めたのはOpenView Venture Partnersだ。設立から10年のOpenViewは、ボストンにあるCogitoの本社から歩いて通える位置にある。OpenViewのパートナーであり、Cogitoの取締役に新しく就任したScott Maxwellにとっては非常に便利だろう。Maxwellが取締役会に加わることにより、彼のエンタープライズ向けクラウドサービスに関する知識がCogitoにもたらされることになる。また、彼はかなり実践的な人物としても知られている。既存投資家であるRomulus CapitalSalesforce Venturesも今回のラウンドに参加している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

就活サポートのHandshakeが今年2回目のラウンドで2000万ドルを調達

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私の経験からいうと、自分が通う大学が所属する州や地域をまたいで就職活動をするのは難しい。もちろん、Fortune 100のような大企業になれば、様々な地域の学生をリクルートするためのプログラムを運営していることは確かだ。しかし、もし学生がそのような大企業への就職を望まないのであれば、彼らはオンラインで見つけたリクルーターとの冷たいEメールのやり取りに何時間も費やすことになるだろう。このような状況が変わらなければ、優秀な学生も夢にまでみた希望の職業に就くのをあきらめ、自分の能力に見合わない企業に就職することになってしまう。

大学のキャリアセンターと共同でこの問題に取り組む急成長株のHandshakeは本日、シリーズBでSpark Capitalなどから2000万ドルを調達したことを発表した。それと同時に、Spark CapitalのパートナーであるMegan Quinnが同社の取締役会に参加することも発表している。

Handshakeは今年2月にもKleiner Perkins Caufield&Byers(KPCB)がリードするシリーズAで1050万ドルを調達している。その他にもTrue VenturesLightspeed Venture PartnersLowercase CapitalもシリーズAラウンドに参加している。彼らは本日発表のシリーズBにも参加している。

Handshake CEOのGarrett Lord氏は、私に同社のミッションについて説明してくれた。それは、住む場所に左右されない就職サポートを大学生に提供するというものだ。43名のチームを抱える同社のプロダクトは、これまでに170の大学で採用されており、来年には提携大学数を200校にまで伸ばすことを目指している。同社は今回調達した資金を利用してチームを強化し、拡大する同プロダクトへの需要に対応していく予定だ。

大学生たちは所属する大学から提供されたHandshakeを利用することで、採用面接の予定の管理、リクルーターとの連絡、希望の就職先やインターンシップ先を探し出すことができる。Handshakeは長年のあいだ大学で利用されてきた従来のプラットフォームに取って代わることを目指している。そのような従来のプラットフォームでは、その大学が所属する州や地域によってプラットフォームに掲載される企業が人為的に制限されていた。例えば、テック系企業に囲まれたカルフォルニアの大学に通う学生にとって、テキサスにある石油やガス関連企業の求人を見つけるのは難しい。その一方で、Handshakeのプラットフォームを利用する企業は、たった1つのプラットフォームに求人を掲載しさえすれば、別々の大学に通う学生たちに対して横断的にアプローチすることができる。

College Job Fair. (Photo by: Jeff Greenberg/UIG via Getty Images)

この写真のような就職活動はスムーズとは言えない。

大学がHandshakeのプラットフォームに見出す価値は、その大学が抱える問題によって変わってくる。例えば、エンジニアリング分野に定評があるカーネギーメロン大学は、同校に通う文系の学生にもスポットライトを当てるためにHandshakeを利用するかもしれない。さもなければ、その学生は地域の企業から無視される存在になりかねないからだ。一方で、ミシガン大学のような大規模の大学では、同じ学部に通う学生がそれぞれ持つ特徴や違いを強調するためにHandshakeを利用することなどが考えられるだろう。

Lord氏は、同社と大学のキャリアセンターはパートナーのような関係だと考えている。たとえ大学がHandshakeを採用すると決めたとしても、それが同社と大学のリレーションシップの終着駅だと考えている訳ではないと彼はいう。その後も両社は協働を続け、大学は彼らがもつ学生に関するデータや、リクルーティングのプロセスをすべてのステークホルダーのために改善するという彼らの役割に集中するようになる。

大学は大量の学生データを抱えており、彼らがそれを利用することで学生の就職活動をより良いものにするための積極的なステップを踏むことができる。それと同じことをLinkedInが実現するのは不可能だ。

キャリア系のWebサービスを利用する際、ほとんどの場合ユーザー自身がプロフィールの作成や更新をしていかなければならない。その一方で大学と友好な関係を持つHandshakeの場合、大学が持つデータがそのままプラットフォームに反映されるため、就職活動のサポートをすぐに開始することができる。大学が学生の学部や年次などのデータを提供してさえいれば、初回のログイン時にはすでにニュースフィード上におすすめの求人情報が掲載されるようになっているのだ。

リクルーターにとって、そのようなデータが持つ価値は計り知れない。特に、すでにデータが整理され、大学間でデータの構造が標準化されている状態であれば尚の事だ。もし、授業の成績順でコンピューターサイエンス学部の学生を並べることができるとすれば、リクルーターはそのようなデータに巨額の料金を支払うだろう。そのためには、授業を「データサイエンス」などの分野別、または「Python」や「R」などのプログラミング言語別に並べ替えができるシステムを開発する必要があるかもしれない。Handshakeはその実現のため、大学と協働してより効率的なシステムの構築を目指している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Eスポーツのプレイスタイル分析ツールを提供するMobalyticsがシードラウンドで260万ドルを調達

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Disrupt SFのStartup Battlefieldで優勝したMobalyticsは、苦労の後にデータ分析を駆使したEスポーツのコーチングサービスを公開するまでにこぎつけた。すでに2万人のユーザーがベータ版の利用登録済みだ。

Disrupt SFが閉幕してから6週間が経過した本日、同社はシードラウンドで260万ドルを調達したことを発表した。この資金を利用して同社は人員の強化を目指し、ビジネスをグローバルに展開していく予定だ。本ラウンドにはAlmaz CapitalFounders FundGeneral CatalystGGV Capitalが参加しており、これが同社にとって初の外部調達となる。

Mobalyticsは今月末、世界中で大人気のPCゲーム「league of Legends」に対応したベータ版のローンチを予定している。まずは、ベータ版に登録済みのユーザーの中から先着で1万人に公開していく予定だ。

Mobalyticsでは、既存のAPIなどから得たデータを分析することで、プレイヤーが自分自身のプレイスタイルを理解するための情報を提供している。彼らはGamer Performance Index(GPI)と呼ばれる指標を利用し、ユーザーのプレイスタイル、強みや弱点などをまとめたスナップショットを提供しているのだ。これにより、ユーザーはみずからのプレイスタイルの改善すべき点を把握できるだけでなく、自分の能力に合った対戦相手を探したり、バランスのとれたチームの構成に役立てることができる。

同社は今後しばらくPCゲームに注力していく予定だと話しているものの、将来的にはコンソールゲームへの拡大も視野に入れているという。2017年初旬にはPC向けシューティングゲームの「Overwatch」にも対応する予定で、同社のGPIをシューティングゲーム向けに改良することで、ユーザーに射撃の正確性やスピードなどの情報を提供していく。Overwatch対応のベータ版の事前登録はすでに始まっている。

現状では、同社はプロダクトをより多くの初期ユーザーに届けることに集中している一方で、Eスポーツにおけるスキルを評価する指標としてGPIを業界標準の指標にするという、彼らにとってより大きな目標を達成するためにも前進を続けている。チームメイトのGPIをチェックすることで、そのプレイヤーのスキルを素早く把握し、頼れるチームメイトなのかどうか判断することができるのだ。

「現時点での最重要項目は、私たちのアルゴリズムが有用な情報を生み出し、プレイヤーのゲーム体験に価値を加えられることを証明していくことです。」とMobalyticsの共同創業者であるAmine Issaは語る。「GPIを見れば、プレイヤー自身のことが手に取るように分かるようにしたいと考えています。そうすることで初めて、プレイヤーたちは私たちのプラットフォームを信用し、ゲームをプレイする上でMobalyticsを信頼するようになるのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter