LeEcoが6億ドルを追加調達、電気自動車プロジェクトには陰りが見える

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電気自動車、スマートフォン、スマートTVなどを開発する、中国の野心的なテック系企業のLeEcoに関する良いニュースと悪いニュースが両方報じられた。

同社のCEOでビリオネアのYuenting Jiaが、同社の早すぎる国際展開を戒めるために企業内部に送った手紙がリークしたことで、LeEcoが新たに6億ドルを調達したことが明らかとなった。しかし同時に、同社がアメリカで展開する電気自動車事業にはブレーキがかかっているようだ。

Reutersが報じたところによれば、LeEcoの中国親会社であるLeShiは、10社以上の中国企業から追加で資金を調達している。同社のスポークスパーソンは出資に参加した企業を明かさなかったが、TechCrunchが取材をしたところ、今回の出資者はすべてJiaが通っていたCheung Kong Graduate School of Businessのクラスメートだと教えてくれた。

今月初め、Jiaは同社が抱える1万人以上のスタッフに手紙を送り、複数の新事業を次々に立ち上げることで成り立っているLeEcoの成長は不安定なものであるという旨の警告をしている。LeEcoはスマートTV事業とNetflixに似たサービスを開始したところだが、この他にもスマートフォン事業や、米Faraday Futureと共同の電気自動車事業にも手を広げている。

この手紙のリークによって、LeEcoの米国向けビジネスと、Faraday Futureと共同で展開する電気自動車ビジネスが危機に陥っていると考える者も多い。しかし、LeEcoの北米事業を率いるBrian Huiは先週開催したTechCrunch Beijingに登壇し、この手紙は北米事業に悪影響を与えるものではないと主張している。さらに彼は、電気自動車ビジネスは同社にとって「最重要事項」であり、このビジネスから撤退することはないと強調した。その一方でHuiは、LeEcoが新しいフェーズに突入したことは認めている。つまり、より少ない事業により大きな投資をするというフェーズだ。同社が20億で買収したVizioなどがその例である。

今回の報道によって、打倒Teslaを掲げるLeEcoの電気自動車ビジネスに切実な資金需要があることが分かった以上、6億ドルの資金調達は成すべき時に成されたものだと言えるだろう。

Jalopnikは、LeEcoとFaradayの2社が18億ドルを投じたネバダ州の製造工場の建設工事が中断していると報じた。さらに、その建設業者への支払いも滞っているようだ

私たちはこの工事の状況について尋ねたが、同社はコメントを控えている。Reutersによれば、今回LeEcoが調達した6億ドルのうち、その半分の3億ドルは今月末までに支払いが完了する予定だという。その資金は、Faraday Futureとのパートナーシップ、米国で始まったばかりのLeMall事業、LeEcoのハードウェアを販売するEコマース・プラットフォームに供給される見通しだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

妊娠しやすい時期を特定できるウェアラブル端末のAvaがシリーズAで970万ドルを調達

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11月15日(現地時間)、女性の生殖に関する健康にフォーカスするメディカル・テクノロジーのAvaは、シリーズAで970万ドルを調達したことを発表した。本ラウンドでリード投資家を務めたのはヨーロッパのPolytech Venturesで、この他にもBlue Ocean Ventures、Global Sources、既存投資家のSwisscomとZKBも出資に参加している。Avaは2015年9月に開催されたTechCrunchのStartup Battlefieldの卒業生だ。

Avaにとって最初のプロダクトである女性周期をトラッキングできるブレスレットは、クラス1の医療用デバイスとして認められ、「妊娠の窓」と呼ばれる妊娠しやすい期間をより正確に特定できるようになった。

ブレスレットの価格は199ドルで、今年7月から出荷が始まっている。私たちが最後に同社を取材した時には、彼らはちょうどUniversity Hospital of Zurichで行なわれた臨床実験を終えたところだった。この臨床実験には41人の女性が参加した。この実験の結果、Avaのデバイスを利用すれば89%の精度で1回の周期につき平均5.3日の妊娠可能日を特定することができることを証明した。ユーザーからの報告によれば、2017年には8人の「Avaベイビー」が誕生する予定だ。

今回調達した資金の使い道については、通常の製品開発費に加えて、研究費用や追加の臨床実験にかかる費用として使う予定だとしている。これまでに、Avaの研究によって女性の体温および心拍数と、「妊娠の窓」との間に相関関係が存在することが分かっている。

同社は近日中に2回目の臨床実験を予定しており、その実験には200人の女性が参加する見通しだ。今後Avaは、これまで収集した女性のカラダに関するデータによって新しい研究成果を発表することを目指している。そのデータには、尿中LHやエストリオール3-グルクロニド(エストロゲン代謝物)などのホルモンや、生体インピーダンス法による体脂肪率の表示、脈拍数、呼吸速度、睡眠時間、寝返り、心拍変動、皮膚温度、熱損失量、パヒュージョン(毛細血管から細胞への血液の動き)などの人体に関する各指標が含まれる。

また、Avaは先日「CEマーク」と呼ばれるEUの基準適合マークを取得しており、これによってEU加盟国でもプロダクトを販売できるようになった。2017年初めにはイギリス、ドイツ、オーストリア、スイスで販売を開始する予定だ。

共同創業者のLea Von Bidderは、Avaが目指すビジョンとは女性の人生のあらゆるステージにおいて彼女らをサポートすることだと話している。Avaは、女性が避妊するときも、子作りに励むときも、妊娠中も、そして閉経期であっても彼女らのサポートを続けていくのだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

コワーキングスペースのTalent Gardenが1300万ドルを調達

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今では至る所にコワーキングスペースが設立されている。しかし、WeWorkTechHubといった企業が主要国の首都圏にフォーカスする一方で、コワーキングスペースという分野がまだ発展途上の国にある「豊かな土地」に目をつけてきた企業もある。

コワーキング・ネットワークのTalent Gardenは、Endeavor Catalyst(LinkedInが支援するVC)、500Startups、そしてイタリア最大の投資銀行であるTamburi Investment Partnersなどから、1200万ユーロ(1300万ドル)を調達したことを発表した。今回の資金により同社は、イギリスやアイルランド共和国を初めとしたヨーロッパ各地への事業拡大を目指す。同社の事業拡大モデルは、北欧や東欧にある「将来有望な都市」にフォーカスするというものだ。

イタリア北部にあるBresciaという小さな街からスタートしたTalent Gardenは、過去5年間ヨーロッパ各地にコワーキングスペースを設立してきた。

実際のところ、これまで同社は運営コストが低いイタリア各地にコワーキングスペースを設立しており、アルバニア共和国の首都であるTiranaやルーマニアのBucharestにも拠点を構えている。

現在、同社はヨーロッパの5カ国(イタリア、スペイン、アルバニア、ルーマニア、リトアニア)で17のコワーキングスペースを運営しており、会員数は1500人だ。今後はドイツ、オーストリア、スイス、フランスなどにも拡大し、スペインにある施設数も増やしていくという。

同社は「TAG Innovation School」と呼ばれる教育プログラムも運営しており、コーディングやUX、Eコマースなどを学べるコースを提供している。

Talent Gardenの創業者兼CEOのDavide Dattoliは、同社は従来のコワーキングスペースのようにテック系のスタートアップのみにフォーカスするのではなく、小規模のデザイン会社やマーケティング会社などにも注力することでネットワークを築いてきたと話している。

彼によれば、同社が狙うのは「第2のマーケット」であり(つまり、ロンドンやベルリンは含まれない)、彼らのターゲット顧客はそこで働くクリエイティブ系のフリーランスや企業だという。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

現在シード投資家が注目している5つの分野

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シード投資家は、その名の通り、世界を変える力を持っているスタートアップやテクノロジーに誰よりも早く投資している。そのため、2000年代前半のソーシャルメディアや、ここ数年でいえば自動運転車のように、彼らの投資が集まる業界は将来的に爆発的な成長を遂げる可能性が高い。

これを考慮に入れ、この記事では現在シード投資家の間で話題になっている業界やテクノロジーのカテゴリーについて紹介したい。分析にあたってはCrunchbaseのデータを使用し、前年同期比で投資額や投資案件数に著しい増加が見られた業界をピックアップしている。以下が今後注目の業界だ。

自動車:自動車業界でのディスラプションに関する話は、UberやTeslaといった有名企業や、レイトステージ企業の資金調達・買収などを中心に語られることが多い。しかし、実は設立されたばかりの企業の間でもさまざまなことが起きている。今年は、推定で57社が約5500万ドルをシード投資家やエンジェル投資家などから調達しており、2015年の3200万ドルから増加した。自動運転技術のようなテック企業らしい事業を運営している企業も少数存在するが、多くは既存のビジネスモデルに変革を起こそうと、車の売買やシェア、レンタル、駐車、修理関連の新しいサービスを提供している。

AR・VR(拡張現実、仮想現実):シード投資家は、必ずしもたくさんの数のAR・VR企業に投資をしているというわけではない。しかし、ひとつひとつの企業には多額の資金を投じている。これが、今年の投資関連数字からAR・VR業界についてわかることだ。昨年は39社が2600万ドルを調達していた一方、今年は42社が5200万ドルをシード・エンジェルラウンドで調達した。

機械学習:機械学習のサービスを提供しているシードスタートアップへの投資額は昨年急増し、今年もその勢いを保っている。2016年は、これまでに90社が1億2500万ドルを調達したが、2015年の調達額は年間で80社、8200万ドルだった(これでも2014年の調達額合計から2倍以上増えている)。最近投資を受けた企業は、スマート幼児モニターや給与最大化ソフト、さらには”牛用のFitbit”など、数々の面白いプロジェクトに取り組んでいる。

食品・飲料:どうやらシード投資家は、去年にも増して食品・飲料スタートアップに興味を持っているようで、今年は145件以上の投資ラウンドに合計1億2500万ドルが集まった。なお、去年のデータは企業数が155社、調達額が8900万ドルだった。豪華な食事を現地市場で提供するための新しいビジネスモデルやスペシャリティコーヒー専門店、代替タンパク源の開発、食料品やおやつを扱うオンラインショップなどが、この業界で特に注目の分野だ。

農業:種をまいて収穫を待つ、というつまらない冗談を言うこともできるが、農業スタートアップの状況は数字を見れば明らかだ。シード・エンジェル投資家は、今年に入ってからこれまでに、3300万ドルを農業スタートアップに投じており、その額は2015年の合計投資額1800万ドルから倍近く増加した。投資を受けた企業の数を見ても、去年の18社から今年は25社に増えた。人気の分野としては、害虫駆除や病原体検出、収穫物モニタリング技術などが挙げられる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

AIによる全自動衣類折りたたみ機を開発する日本のセブンドリーマーズが60億円の大型資金調達を発表

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AIによる全自動の衣類折りたたみ機を開発する日本のセブンドリーマーズは11月14日、パナソニック株式会社、大和ハウス工業株式会社、SBIインベストメントを引受先とした第三者割当増資、技術開発提携および販売提携により、60億円の大型資金調達を実施したことを発表した。2015年6月のシリーズAで調達した約15億円を含め、同社のこれまでの資金調達額の合計は約75億円となる。

日本のスタートアップとしては、今年3月に約84億円を調達したメルカリなどに次ぐ大型の資金調達だ。

放り込むだけでAIがベストな折りたたみ方を判断

セブンドリーマーズが開発するのは、構想に10年を費やした全自動の衣類折りたたみ機「ランドロイド」だ。同社によれば、人間が一生のうちに洗濯物の折りたたみに費やす時間は9000時間で、日に換算すると375日にもなるという。ランドロイドを活用することで、この時間を他のことに費やすことができるというのがコンセプトだ。

洗濯乾燥が済んだ衣服をランドロイドに放り込むと、画像解析によって衣類の種類ごとにベストなたたみ方をランドロイドが判断する。このテクノロジーの背後には機械学習が応用されているため、長く使えば使うほど賢くなっていく仕組みだ。また、設定により家族のメンバー別やアイテム別に仕分けることもできる。一度に約30枚の衣服が投入可能だ。

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ランドロイドの価格、サイズについては「来年3月の記者会見まで非公開」ということだが、サイズは大型の冷蔵庫のイメージが近いとのこと。衣類の折りたたみにかかる時間については、「出勤前にランドロイドを利用すると、帰宅前には折りたたまれた状態になっている」。ディープラーニングの度合いによっても折りたたみにかかる時間は変動するため、長く使えばそれだけ折りたたみにかかる時間が短縮する可能性もある。

長く培った技術力が強み

形の整ったモノを扱うのではなく、衣類という柔軟物を扱うには高度なロボティクス技術が必要になる。セブンドリーマーズ代表取締役社長の坂根信一氏によれば、ランドロイドに使われている技術は「セブンドリーマーズ独自のアルゴリズムを構築し、独自設計のロボットアームおよび制御技術との融合に実現した唯一無二の人工知能」だと語る。また、ランドロイドの開発の過程で生まれたあらゆる技術は、国内外で特許を取得済み、または申請中だという。

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スーパーレジン工業の創業者である渡邊源雄氏。1957年、彼が東京に設立したコンポジット成形工場がスーパーレジン工業のはじまり。

このように、みずからを「世の中にないモノを創り出す技術集団」と呼ぶセブンドリーマーズの強みは、同社の卓越した技術だ。同社の創業は2011年だが、そのルーツは1957年に創業のスーパーレジン工業株式会社までさかのぼる。同社は独立系専業FRP(繊維強化プラスチック)成形メーカーとしては国内最古参の企業だ。現在は航空宇宙分野などにおいてその技術力が広く認められており、2010年に話題となった小惑星探査機の「はやぶさ」にも部品供給をしている。テクノロジーの分野こそ違えど、ランドロイドは同社が長く培った技術力の結晶だと言えるだろう。

 

セブンドリーマーズは現在、サンフランシスコとパリにそれぞれ営業所と支店を構えており、ランドロイドについても国内外同時発売を計画している。ただし、出荷は国内優先になるとのこと。

2019年には洗濯乾燥機能も付いたオールインワンタイプも

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セブンドリーマーズ代表取締役社長 坂根 信一氏(理学博士)

家電分野への参入というところで気になるのが販売チャネルだ。特に日本国内では家電メーカーと販売チャネルの結びつきが強い。ランドロイドの販売チャネルについて坂根氏は、「自社での独自販売を軸に計画を立てています。具体的には、Webやショールームなどを通して、お客様に直接お届けできるチャネルを構築していきます。家電メーカーの販売チャネルについては、活用はするが戦略の中心ではありません」と話している。

セブンドリーマーズは今年10月、今回のラウンドに参加したパナソニック、そして大和ハウス工業と業務提携を結んでいる。同社によれば、折りたたみ技術の開発はこれまで通り独自で進めていくものの、ランドロイドの量産に関してはパナソニックのアドバイスを受けながら進めていくという。また、同社は2019年に全自動洗濯乾燥機と折りたたみ機能を合わせたオールインワンタイプのランドロイドを発売予定であり、その開発には「パナソニック社の先進的な洗濯乾燥機の技術が必要不可欠」となる(坂根氏)。同じく、2020年には大和ハウス工業と共同してスマートハウス向けのビルトインタイプを販売予定だという。

ランドロイドの予約販売開始は2017年3月16日、現在はプロジェクトの参加メンバーを募集している。

ドローンによる医療品配達サービスのZiplineが2500万ドルを調達

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ドローンによる医療品の配達サービスを展開するZipline International Inc.が、シリーズBで2500万ドルを調達した。今回調達した資金によって、ルワンダ、米国などで同社の人道的なビジネスを拡大していく予定だ。

Ziplineは、ドローンを利用してクルマなどが通れない僻地にある診療所や病院に重要な医療品を届けるサービスを展開する企業だ。

先日、TechCrunchはカリフォルニア州Half Moon BayにあるZiplineの本社を訪れ、同社の固定翼ドローン、射出機、そしてユニークな着陸方法について取材した。

共同創業者兼CEOのKeller Rinaudoによれば、今回のラウンドでリード投資家を務めたのはVisionnaire Venturesで、その他にもSequoia CapitalAndreessen HorowitzSubtraction Capital、そして個人投資家のJerry Yangも本ラウンドに参加している。今回のラウンドを含めたこれまでの資金調達金額の合計は4300万ドルとなる。

Rinaudoは、「Doordashなどが夕食の即時配達サービスを展開し、Instacartは食料品の配達をしています。それであれば医療品の配達サービスも可能なのではないかと考えたのです」と話す。

Ziplineは先日、ルワンダの国家プロジェクトとして、計600万人の患者を抱える複数の診療所にオンデマンドで輸血用の血液を配達するというプロジェクトを開始している。

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Zipline CEOのKeller Rinaudo(中央)。その隣にはルワンダ大統領のPaul Kagameがいる。

11万人いるルワンダの全国民に血液を届けることを目指し、政府はZiplineと連携したこのプロジェクトを今後も拡大していく方針だという。また、血液の他にも、抗毒素、各種ワクチン、狂犬病の治療薬(専門的には「ウイルス暴露後ワクチン」と呼ばれる)など、配達する医療品の種類も拡大する予定だ。

今回調達した資金によって同社は人員の強化、技術開発などを進め、インドネシア、ベトナム、米国などの新しいマーケットに参入していくことを目指すとRinaudoは話す。

しかしながら、米国で同様のサービスを展開するためには、規制機関から認可を受け取るか、規制除外のサービスとして認めてもらう必要があると彼は話す。

競合企業となるFlirteyやMatterportは、ドローンによる食料品、建築資材、薬品などの配達サービスを展開している。しかし、Ziplineは医療品のデリバリーのみに特化していく方針だ。

米国のマーケットでは地方の診療所への血液やワクチンの配達サービスが考えられるだろう。また、都市部ではアレルギー症状を一時的に緩和する「エピペン」の即時配達サービスを展開することも可能そうだ。そうすれば、急に子どもたちが深刻なアレルギー症状を起こしたとしても安心できる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Uberのライバル「Zoox」のバリュエーションは15億ドル

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自動運転車の競争が激化している。いまだ秘密の多いスタートアップであるZooxは、まだ最初のプロダクトを発表する前にもかかわらず、15億ドルの価値があると判断されたようだ。

TechCrunchは、先日Zooxが香港のヘッジファンドであるComposite Capitalから5000万ドルを調達したという情報の裏付けを取ることに成功した。この資金調達の情報を最初に報じたのはThe Wall Street Journalだった。この資金調達は、10億ドルのバリュエーションで2億ドルを調達した前回の資金調達から1ヶ月も経たないうちに行われている。

Zooxはクルマそのものを消費者に販売するのではなく、Uberのライバルとなるようなサービスを創りあげようとしている。私たちが聞いたところによると、このサービスのベータ版は来年にもローンチされる予定だという。どのマーケットでローンチするかはまだ未定だ。

同社を立ち上げたのは、スタンフォード大学で自動運転車の研究グループを指揮するJesse Levinsonと、オーストラリア人起業家のTim Kentley-Klayだ。Menlo Parkを拠点とするZooxが設立されてからまだ2年といったところだ。それにもかかわらず、同社はすでに100人以上の従業員を抱えており、その中にはTeslaやAlphabet、Apple出身の者もいる。

今年初めにGeneral Motorsが自動運転のCruise Automationを10億ドルで買収したことで、自動運転車に関連するスタートアップのバリュエーションが引き上がっている。今回の情報の提供者によれば、自動車企業は今もこういったスタートアップの買収を検討しているという。

すでにUberは自動運転車による配車サービスのテストをピッツバーグで開始している。さらにはOttoの買収も完了し、彼らの自動運転車の開発チームはさらに強化されることとなった。

しかし、いまだに自動運転車に対する規制は多い。Comma.aiがそういった規制の多さに白旗をあげたばかりであり、失意の真っただ中といったところだ。

Zooxは以前にもDFJ、Lux Capital、Blackbird Venturesなどから資金を調達している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

シャトルバスのシェアリング・プラットフォーム「GoOpti」が約4900万ドルを調達

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GoOptiが提供するサービスは「シャトルバス版のUber(またはUberPool)」とでも呼べるだろうか。このサービスでは、ヨーロッパの郊外に住む人とシャトルバスをつなぎ、空港に近い都市部への交通手段を提供している。その際、規模の経済を利用してユーザーが必要なときにシャトルバスを用意できるようにしている。

「私たちのプラットフォームを利用すれば、需要サイドと供給サイドが抱える問題をそれぞれ解決することができます」と語るのは、GoOptiの共同創業者兼CEOのMarko Gučekだ。「需要サイドが抱える問題とは、郊外に住む人々は空港にアクセスすることが難しく、たとえローカルの空港があったとしても、直行便の数が少ないせいで航空券の値段が高くなりがちだということです」。

この問題への解決策とはもちろん、大きな空港のある都市まで移動することだろう。だが、そこまで行くのにも1時間から3時間程の時間がかかってしまう。大半の人は車で移動しようとするだろうが、それでは「高いガソリン代や高速道路の通行料、空港での駐車料金を払わなければならず、それに長いフライトの後の運転は危険」だという。空港まで友達に送ってもらうこともできるが、そうすると合計2回往復することになるので、2倍のコストがかかってしまう。

その代わりに、GoOptiでは空港に向かうユーザーをまとめ、その時に利用可能なシャトルバスを利用するように促している。価格は利用時によってバラバラだ。同システムには需要を予測するアルゴリズムが組み込まれている。こうすることで、GoOptiはユーザーに安価で環境に優しい交通手段を提供しているのだ。また、このビジネスは環境が悪化するシャトルバスの運営会社側にもメリットがある。

「出張者やグループ旅行者向けに、ミニバスやバンで空港まで送迎するサービスがあります。しかし、業界の変化によって、そのようなビジネスが減ってしまったり、逆に競争が激しくなっているといった問題があります」とGučekは説明する。

それに加えて、多くのシャトルバス運営会社ではマネージャが同時にドライバーでもあるという問題がある。それでは長時間の労働は避けられないし、24時間体制で顧客の対応をするのは不可能だ。しかも、収入が得られる保障はない。

「彼らが私たちの革新的なビジネスモデルに参加することで、私たちの顧客にリーチすることができるだけでなく、快適なマネジメントツールや統合されたサポートセンターを活用することもできます。熱心なビジネスオーナーであれば収入も保障されます。簡単に言えば、両サイドの人々をつなぎ合わせることで彼らが持つストレスを解消し、両者を満足させることができるのです」。

このミッションを達成するため、同社は新しく4400万ユーロ(約4900万ドル)の資金調達を完了したと発表した。そのうちの1500万ユーロはEUからの助成金であり、残りの金額はシリーズAでEBRD、Point Nine、RTAから調達した資金だ。

現在、同社のサービスはスロベニア、クロアチア、イタリア、ドイツ、オーストリア、ハンガリー、スロバキアで利用可能だ。同社は今回調達した資金によって利用可能地域の拡大を目指すと話している。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

空飛ぶホームセキュリティのSunflower Labsが210万ドルを調達

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この10年間で家庭のブロードバンド、モーションセンサー、高精細度ビデオなどが誕生したことにより、ホームセキュリティという分野はもう一度息を吹き返した。

しかし、Sunflower Labsの共同創業者兼CEOであるSlex Pachikovと、同CTOのChris Eheimは、ホームセキュリティにはまだ重要な問題が残っていると話す。固定されたカメラでは、ある人物が家に近づくか、あるいは実際に建物に侵入しようとするまで、その人物が侵入者だと検知することができないのだ。

Palo Altoを拠点とするSunflower Labsは、シードラウンドで210万ドルを調達したことを発表した。彼らが提供するのは、玄関よりずっと先まで監視でき、しかも導入するのが簡単な「家庭用の監視システム」だ。

家庭のセキュリティを強化する製品としては、NestやLogitech、Ring、Canary、Ocoなどから販売されているスマートカメラやスマート玄関ベルなどの製品がある。しかし、これらの製品が監視するのは玄関だけであり、しかも取り付けられた後は固定されていて動かない。

Sunflowerのシステムは、これとは異なるアプローチを採用している。このシステムで使われているのは、Smart LightとSmart Cameraと呼ばれるデバイスだ。

Smart Lightにはセンサーが搭載されており、太陽光から電力を供給するようになっている。家の周りを照らしてくれるだけでなく、周囲の不審な動き、音、振動などを感知してくれるライトだ。
そのSmart Lightと通信するのが、カメラを搭載したドローンのSmart Cameraだ。ライトによって不審な動きが感知されると、ドローンがその場所まで飛んで行き、ビデオを撮影する。撮影されたビデオはクラウドに保存される仕組みだ。

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Sunflower SystemのFlying CameraとSmart Light

Sunflower Systemを利用するユーザーは、自宅で不審な動きが感知されるとスマートフォンで通知を受け取れるようになっている。このアプリには徐々に学習していく機能も備わっており、毎回発生するルーティン化した動きと、そうでない不審な動きとの区別ができるようになる。

配偶者が駐車している、子どもがバスケットボールで遊んでいるなど、ルーティーン化された動きに対するアラートを無視することができる一方、不審な動きに対するアラートがあれば、撮影されたビデオをチェックすることが可能だ。

「不審な動きだけを感知し、危険が玄関まで到達する前にそれを察知するというアイデアです」とPachikovは語る。「それと同時に、ユーザーのプライバシーも保護したいと考えました。それを可能にするために、毎日24時間監視するカメラを使わない方法を考えだしたのです」。

今回のシードラウンドでリード投資家を務めたのはGeneral Catalystだ。

Evernoteの創業者であり、現在はGeneral CatalystでManaging Directorを務めるPhil Libinは、今回の投資に踏み切った理由の1つは、彼がSunflowerの創業者をよく知っているからだと話す。Pachkov自身もEvernoteで10年以上働いた経験があり、Sunflowerの他の社員にもEvernote出身の者がいる。

しかし、LibinはSunflower Systemのコンセプト自体にも興味があった。

「ホームセキュリティという分野は、製品が消費者の期待に応えられていない業界の1つです。敷地全体を監視するという現状のシステムでは、家庭で味合う楽しみを増すことができないばかりか、被害妄想を生みかねません。スマートなセンサー、ドローン、人工知能を組み合わせることによって、家自身が自己管理する仕組みをつくり、ユーザーは自分の家の周りで起こっていることをこれまで以上によく知ることができるのです」とLibinは話す。

General Catalystによれば、Sunflower Labsは今回調達した資金を利用して、同社のテクノロジーがもつ可能性を実証していくとのこと。

Pachikovによれば、同社のプロダクトはオンラインで直接顧客に販売される予定であり、2017年には家電量販店などを通じた販売も開始する予定だ。

Sunflower Systemはオンラインで購入予約を受け付けており、価格は25ドルだ。ハードウェアの販売により利益をあげるのではなく、サービスの月額料金によって利益を上げていく戦略である。

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(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

オンラインの100均ショップ「Hollar」が3000万ドルを調達

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100円均一ショップに似たモバイルアプリを運営するHollarがシリーズBで3000万ドルを調達したことを発表した。リード投資家を務めたのはKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)で、他にも新規投資家のComcast VenturesとGreycroft Partners、そして既存投資家のLightspeed Venture Partners、Index Ventures、Forerunner Ventures、PritzkerGroupも本ラウンドに参加している。

これに際し、KPCBでGeneral Partnerを務めるEric FengがHollarの取締役会に加入する。

これまでにHollarは合計で4750万ドルの資金調達を完了している。シリーズAでは1200万ドル、シードラウンドでは550万ドルを調達しており、この間はわずか4ヶ月だ。

Hollarはとても興味深いビジネスに取り組んでいる。取り扱われている商品の値段は非常に安く、そのほとんどは2ドル程度の商品だ。創業後10ヶ月のあいだは5ドル以上の商品を取り扱っていなかったが、今後はホリデーシーズンに合わせて10ドル程度の商品も取り入れていく。これによって、より高いクオリティの玩具やギフトを取り揃えることができる。

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David Yeom

Hollarのバックグラウンドを説明すると、同社のアイデアはThe Honest Company CEOのBrian Leeが構想したモデルが元となっている。彼がHollarの共同創業者兼CEOであるDavid Yeom(当時はHonestのバイスプレジデント)と同社のコンセプトを練り上げ、このビジネスを開始するに至ったのだ。現在Leeは同社の取締役会のメンバーではあるが、日々の経営には関与していない。

Yeomによれば、当初はオンラインで100円均一ショップを運営するというアイデアを理解してくれる人はいなかったという。

「私たちが創業した当初は、みなが口を揃えて”2ドルの商品を売るビジネスで稼げるわけがない!”と言っていました」とYeomは笑いながら話す。しかし、そのように否定的な態度をとる人々は、100円均一ショップで買い物する人々の消費者行動を理解していなかった。1つの商品だけを買うために100円均一ショップに行く人はいない。その安い商品をカゴいっぱいに詰めて買い物をするのだ。

Hollarで買い物をするユーザーの消費者行動も同じだ。

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実際、Hollarの買い物かごに入れられる金額は1人あたり15ドルから30ドル程度となっており、この数字は従来型ショップの2倍以上にもなるとYeomは説明する。つまり、Hollarの顧客は1人あたり平均して10ドルの買い物をするということだ。

これこそが、同社が6ヶ月間で100万ドルを超える売上を達成し、毎月2桁の成長を成し遂げている理由なのだ。

ただし、Hollarでは10ドル以下の買い物をすることができないこと、また、25ドル以上の買い物でないと送料が発生することも平均注文価格の増加に寄与しているだろう。

HollarはWebとモバイルの合計で100万人以上のユーザーを獲得したと主張している。しかし、Sensor Towerによって集計されたデータによると、HollarのiOSアプリが米国内でダウンロードされた回数は19万2000回程度しかなかった。とは言うものの、同社はAndroidアプリも提供しているし、Webでも買い物をすることは可能だ。

しかし、本当に興味深いのは、広告チャネル以外からの顧客流入が全体の半数にものぼるという点だ。この数字は同社が口コミによって成長してきたことを表している。ついでに言っておくと、私はその事実を目の当たりにしたのだ。私の頼みで友人数名がHollarを試してみたとき、彼らは合計で20ドル以上の商品を買い物かごに詰め込んでいたのだ。

売上高と同じく、Hollarの利用者数も増加している。その大半はモバイルアプリからの利用だ。

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現在Hollarは1万種類以上の商品を取り扱っており、来月までには300点以上のHollarのプライベートブランド(PB)商品がラインナップに加えられる予定だ。それには家庭用品やキッチン用品、家電、アクセサリーなどが含まれており、なんとHollarブランドのスマートフォン用VRヘッドセットも発売するという。

YeomはPB商品から得られるマージンについて詳細を明かさなかったものの、外部製品に比べると「大幅に大きい」マージンが得られると話す。

従来型の100円均一ショップに似たHollarではあるが、実店舗を真似ていないところが1つある。食料品の取り扱いだ。この点についてYeomは、「私たちはその分野にあまり投資をしていません。軽くて、楽しいものを取り扱うというコンセプトに忠実でありたいと思っています」と話している。

Hollarが掲げる成長戦略は、PB商品と慎重に選ばれた取扱商品だけではない。その1つが、2017年の第1四半期にローンチを予定しているHollar独自のマーケットプレイスだ。これは、AmazonやeBayのように売り手が直接Hollarのユーザーに商品を販売できる仕組みだ。

「本当の意味でスケールしたいのであれば、これが本当に適切なアプローチなのだと思います」とYeomは語る。「Eコマースのビジネスでは在庫はすぐに無くなります。それを常に気にかけていなければなりません。マーケットプレイスは、より幅広い商品を顧客に提供するための方法の1つなのです」。

Hollarのマーケットプレイスに参加する売り手には厳しい審査を課すことで、商品のクオリティを維持する予定だと彼は話している。

「それには細心の注意を払い、売り手を厳しく審査するつもりです。(中略)顧客体験を第一に考えることを徹底していきたいと思っています」とYeomは説明する。売り手を評価したり、レビューを投稿するシステムも来年には導入し、顧客がフィードバックできる仕組みを取り入れていく。

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現在は150名のチームで運営されているHollarは、これまで別々の場所にあった倉庫とオフィスを統合するにあたってチームを増強していく予定だ。新しいオフィス兼倉庫の予定地は約1万7000平方メートルの面積を持ち、皮肉にも、元々99セントショップが所有していた建物だという。同社は米国東海岸にも倉庫を設置する予定だ。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Gfreshが2000万ドルを調達、海産物の売買のかたちを変える

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中国では平均可処分所得の増加とともに、海産物の消費量が増えている。しかし生で食べられる魚や甲殻類については、中国の国境をまたいで売買・輸送するのが難しい。

さらに過剰漁獲が問題になっている中、活魚を輸送する際の複雑さや、衛生・関税に関する規制対応の結果、毎年何トンもの海産物が廃棄されている。

上海を拠点とするスタートアップのGfreshは、効率的に中国全体および国外へ生の海産物を売買・輸送できるように、モバイルマーケットプレイスを開発するとともに物流サービスを提供している。

Gfreshの共同ファウンダーAnthony Wanによれば、同社はシリーズAで約2000万ドル(1億人民元)を調達し、ラウンドにはAlibaba傘下の投資会社Riverhill Fundと、RenRenという中国で人気のSNSに早くから投資していたLegend Capitalが参加していた。

すでにこのディールは8月にクローズしていたが、本日Gfreshは、中国で行われたQingdao Seafood Expoにて、Alibabaの共同ファウンダーであるSimon Xie Shihuangを同社の取締役に迎えると発表した。

Regs Groupという、家具輸送サービスを提供している大手企業のスピンオフとして2年前に誕生したGfreshは、これまでに2億ドル分の活魚を卸してきた。

Gfresh is a mobile marketplace for sales of live seafood.

Gfreshは活魚を扱うモバイルマーケットプレイス

同社はAndroid・iOS向けアプリのほか、ウェブアプリも準備しているが、現状ほとんどのユーザーがAndroid端末からアクセスしているとWanは話す。

プラットフォームの販売者側では、在庫や産地、魚種、品質、価格が設定可能だ。さらに、販売者は全体の販売価格や需要に関するデータを確認でき、これをガイドとして値段を設定することができる。

そしてユーザーがGfresh経由で海産物を購入すると、同社はGpayのエスクロー口座にその料金をおさめる。

また、少量の注文であれば、Gfreshが複数の注文をまとめてひとつのコンテナで輸出の手配を行い、それぞれの送り先に応じた、衛生基準や関税に関する書類の準備まで行うようになっている。

さらに商品到着時は、Gfreshが所定の港や空港まで冷蔵車でピックアップに向かう。

その後Gfreshは注文の品を卸業者のもとまで届け、そこでは検査官が受け取り時にビデオ撮影をするようになっている。これには、箱の中のロブスターが何匹が死んでいたり、高級食材である浮き袋の箱に十分な海水が入っていなかったりといった問題が発生した際に証拠を残しておく意味がある。

商品に何か問題があれば、Gfreshは販売額を割り引きし、残りの金額を事前に合意した条件に従って販売者へ支払う。Gfreshは将来的に、購入者が携帯電話やタブレットを使って、自分たちで品質管理のためのビデオを撮影するようになると考えている。

このようなビデオ撮影やエスクロー口座の使用は、世界中を飛び回って見込み顧客に会うための予算や詐欺を防ぐ手立てを持っていない、小規模もしくは職人気質の生産者にとっては大きな助けとなる。

またGfreshがバッチ輸送を行っていることから、小規模生産者は、輸出業者の提示する価格に屈することなく、限られた量の海産物を販売することができる。

「マーケットプレイスが、ホテルの予約や靴の購入のかたちを既に変えている一方で、私たちがGfreshを設立するまで、水産業界ではまだ握手とFAXに頼って取引が行われていました」とWanは説明する。

Gfresh cofounder Anthony Wan.

Gfreshの共同ファウンダーAnthony Wan

海産物の生産ハブとなっているオーストラリアのオークランドやシドニー、カナダのバンクーバーなどにオフィスを構えるGfreshは、シリーズAでの調達資金を、増員や新拠点の設立のほか、新たな”リバースオークション”機能のローンチに向けて使っていく予定だ。

生ものの在庫を抱える水産業では、シアトルからシドニーを含む主要な市場において、リバースオークションが1番人気の競りの形だとWanは話す。

長期的な計画として、Gfreshは同社のサービスとアプリをアジア以外の地域にも展開するとともに、例えば(生きていなくても)新鮮な魚やフルーツのように、傷みやすくて輸送の難しい活魚以外の商品を取り扱っていきたいと考えている。

 

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

小惑星採掘のPlanetary Resourcesがヨーロッパの小国ルクセンブルクで2800万ドルを調達

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ヨーロッパの小国(しかし裕福な国)のルクセンブルク。みずからを商業の味方だと呼ぶこの国で、小惑星採掘企業のPlanetary Resourcesは有望な鉱脈を探り当てたようだ。ルクセンブルクは同社に対して1200万ユーロの直接投資を行うと発表し、同時に民間の投資銀行であるSNCIも1300万ユーロを出資すると発表した。

この話は突然現れたわけではない。ルクセンブルクとPlanetary Resourcesは今年6月、両者のパートナーシップに関する合意に達したことを発表しているが、その時は出資規模や契約内容を明らかにしていなかった。そして本日、その詳細が公式に発表されたというわけだ。

ルクセンブルクの副総理を務めるÉtienne Schneiderは、「ルクセンブルク大公国はPlanetary Resourcesのシェアホルダーとなることで彼らとパートナーシップを結び、これからの両者の協力関係の礎を築くことができました」とプレスリリース(PDF)の中でコメントしている。

今回の出資は特定の採掘場やテクノロジーに対する投資ではなく、企業そのものに対する投資だ。森林と山々に囲まれた、ロードアイランド程の面積しかないルクセンブルクが、みずから大規模な調査を開始するのは難しいのだ(観光に行くことはおすすめする。とても美しい国だ)。

同社が今回調達した2500万ユーロ(約2770万ドル)は、2020年にローンチが予定されている小惑星調査システムの開発費用となる。また、同社は5月にも2100万ドルを調達している。

だが、ルクセンブルクは他の選択肢も手元に握ったままだ。同国はPlanetary Resourcesの競合企業(まだ両者ともプロジェクトを開始していないので、潜在的な競合とも言うべきか)であるDeep Space Industiesともパートナーシップに関する合意に達しているのだ。しかし、この出資内容の詳細はまだ明かされていない。

もしルクセンブルクと宇宙関連企業とのパートナーシップの動向に興味があれば、この公式サイトでチェックすることができる。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

オンデマンドの避妊ピル配達サービス「Nurx」がUnion Square Venturesから530万ドルを調達

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避妊ピルが切れたって?Nurxは避妊ピルをものの数時間で自宅まで届けてくれるWebプラットフォームだ。その同社は今回、Union Square VentureからシリーズAで530万ドルを調達したことを発表している。

2014年に創業のNurxを利用すれば、避妊ピルが無くなっても新しい処方箋を待つ必要がなくなる。今年初めにはHIV予防薬のPrEPの取り扱いも開始し、LabCorpとパートナシップを結ぶことで、検査結果の入手するプロセスを簡易化し、HIV予防薬を効率的に配達することができるようになった。

避妊ピルを入手する方法はとてもシンプルだ。まず、Webアプリにログインして、いくつかの質問に答えて情報を打ち込んでいく。すると、その情報が同社のネットワークに加入している医師の元に送られ、すぐにその医師が処方箋を用意する。そしてNurxが避妊薬をユーザーの元に届けるというわけだ。親しみやすい配達員が自宅のドアまで届けてくれる。薬局に行く必要もなければ、医師のオフィスで待ちぼうけを食らうこともない。

Nurxの競合にはPillPackZipdrugなどの医薬品の配達サービスがある。他にもL.Condomsなどがあり、この企業は名前の通りの製品を配達するサービスだ。しかし、避妊薬という分野ではNurxは群を抜く存在だ。

「ヘルスケアの分野には、どんな研究よりも人々が求めているものがあることに気づいたのです。避妊薬は確実にそのうちの1つです」と共同創業者のHans GangeskerはTechCrunchとのインタビューで語る。「どの人に話を聞いても、友達の友達が緊急で避妊ピルが必要になったというようなエピソードを聞かせてくれたのです」。

避妊薬だけにフォーカスすることで、Nurxはこれまで着実なペースで成長することができたと彼は話す。しかし、今後は苦しい戦いが待っているかもしれない。数百万人の女性を対象に行った調査によって、避妊薬がうつ病を引き起こす可能性があることが分かったのだ。しかし、Nurxでは避妊ピルの代わりに利用できるNuva Ringやパッチなども扱っており、どれを使うかはユーザーの好み次第だ。

そのどれを使うにしろ、Nurxのビジネスモデルは優れており、簡単に他の処方箋薬向けにもビジネスを拡大することができる。彼らがPrEPを取り扱い始めたのがその例だ。結局のところ、人々は毎月のように処方箋を必要としていて、どこかに取りに行くよりも家まで届けてくれた方が便利であることは間違いない。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

遠隔医療のPlushCareがシリーズAで800万ドルを調達

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本日、遠隔医療のPlushCareがシリーズAで800万ドルを調達したことを発表した。リード投資家を務めたのはGGV Capitalで、他にもLightspeed Venture PartnersExponentの2社が本ラウンドに参加している。

遠隔医療という分野はなにも新しいものではない。2002年に創業し、今では上場企業となったTeladocもビデオ通話による遠隔治療サービスを提供している。しかし、PlushCareはこれまで同業他社ができなかったことを成し遂げようとしている。快適に遠隔治療というサービスを利用してもらおうという試みだ。

AirbnbやUberなどのアプリと同じように、PlushCareのアプリでは自分で好みの医師を選ぶことができ、その医師からオンデマンドで遠隔治療を受けることができる。扱われるのは緊急性の低い病状だ。PlushCare CEOのRyan McQuaidは、医師の緊急治療室への呼び出しの7割が不必要なものだと説明する。

増加し続ける医療費に健康保険業界が苦しめられているという現状を考えれば、PlushCareのサービスが与える価値が大きいことは明らかだろう。だが残念なことに、OG Teledocを含めた既存の遠隔医療サービスは、そのサービスの経済性を証明することができず、そのために重要なパートナーシップを維持することができていない。CVS Minute Clinicなどのサービスと遠隔医療サービスが提携を結ぶと、両者の収益を共食いしてしまうとMcQuaidは主張する。

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PlushCareの共同創業者の2人。左からRyan McQuaidと、James Wantuck博士。

「遠隔医療というマーケットが大きくなるにつれて、他のカテゴリーとの関係性も深まり、診断医療や調剤業界などに与える影響も大きくなります」と語るのは、CGV Capitalでマネージングパートナーを務めるJeff Richardsだ。

しかし、PlushCareの場合、他社とパートナーシップを結ぶことにフォーカスするよりも、顧客の獲得に直接フォーカスすることが今後しばらくの彼らの方針のようだ。また、彼らは自分たちがコントロール出来ないものの優先順位を考える代わりに、医師のネットワークを構築することに専念してきた。他社との差別化を図るために、彼らはTOP50のメディカルスクールを卒業した医師としか契約を結んでいない。

風邪や腰痛など、緊急性の低い病状しか扱わないサービスとしては、これはいささかやり過ぎの感があるが、それだけ同社は顧客から信頼を獲得することに注力しているということだろう。大学受験予備校など、他の業界もコスト以外の面で差別化をするために、これと似たモデルを採用せざるを得ない状態だ。PlushCareはコスト面での差別化も図るため、ネットワークへのアクセス料金を取っていない。遠隔治療を受ける回数が少ないユーザーにとっては朗報だ。

「今後、この分野に対する規制が緩和され、低コストで満足度の高いヘルスケアを提供するという消費者中心型のヘルスケアがもつチャンスがさらに広がると確信しています。PlushCareは、コストと消費者満足度という両方の側面で優れたサービスなのです」とRichardsは語る。

PlushCareは積極的なマーケット進出戦略をとっている。これまで数十年間、数々の規制によって遠隔治療サービスが全国的にビジネスを拡大するのは困難だった。しかし、すでにPlushCareは15の州でビジネスを展開中だ。これまでは米国東部と西部の州への拡大を中心的に行ってきたが、今後は米国全土の他の地域へも拡大していく予定だと同社は話している。

今のところ、医者のカルテはそれぞれの医療機関にバラバラに保存されていて、それがシームレスな医療を実現する妨げになっている。つい先日、臨床研究サービスのQuest DiagnosticsとPlushCareがパートナーシップを結ぶとの発表があった。これにより、何百人もの患者の臨床検査の結果がPlushCareに提供されることになる。だが、PlushCareのプラットフォームに加入している医師と、外部の医療機関の一部はそのデータにアクセスすることが可能にはなったが、主要な医療機関と遠隔医療サービスとの間のデータの共有はまだ十分ではない。

これは同社にとって解決すべき重要な課題だ。なぜなら、McQuaidは同社を単なる遠隔医療サービスではなく、ハイクオリティな医療データのポータルにすることを目指しているからだ。それを実現するためには、エコシステム全体に眠るデータの所有権をこれから獲得していく必要がある。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

2000万ドルの投資を受けた総合検索アプリAtlas Recallのオープンベータテストがスタート

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コンピューターが完璧な記憶力を持っているとすると、なぜコンピューター上での探し物はあんなに大変なのだろうか?もしかしたら、私たちの記憶とは違った働き方をするからなのかもしれない。Atlas Recalは、”全方位検索機能”を武器にこの問題を解決しようとしている。このアプリは、ユーザーが全てのデバイスでやったことや見たものにインデックスを付け、人間の記憶の仕方に沿って情報を整理することができる。そして、本日からAtlas Recallのオープンベータテストが開始された。

私は今回、Atlas Recallの開発元であるAtlas Informatics CEOのJordan Ritterと、マーケティング担当ヴァイスプレジデントのTravis Murdockに話を聞くため、アプリのローンチ前に、シアトルにある彼らのオフィスを訪れた。以前はNapsterに勤務していたこともあるRitterは、会社や製品の成り立ちについて説明してくれた。要点をまとめると、資金的な自由が生まれたことで、新しい冒険に乗り出すことができ、彼はすぐに検索機能の改善に取り組みはじめたのだ。

「私は自分がしたことを、デバイスごとではなく、複数のデバイスをまたいで覚えているんです」と彼は話す。しかし、私たちも間違いなく経験したことがある通り、それぞれのサービスや検索エンジンがアクセスできる領域は限られている。

Googleはインターネット上を検索するためのもであり、Facebookはプライベートの写真や友人との記録を残すためのものだ。Outlookは連絡先やメールや予定を記録するためにあり、Spotlightではローカル上のファイルを検索することができる。そしてSpotifyは音楽やプレイリストを管理するためにある。この他にも、同じような例はいくらでも挙げることができる。

そしてどの辺り(もしくはどのプラットフォーム上)にデータがあるかわかった後も、実際にそこへ移動して探しているものを掘り起こさなければならない。Slackのどのチャットルームにミーティング時間を記載していただろうか?どのスレッドにファイルが添付されていただろうか?ルームメイトが話していたプレイリストはどれだろうか?といった具合に。

「検索には大きくわけてふたつの種類があります。ひとつは、今まで見たことがない新しいものをみつけるための検索。そしてもうひとつが、どこにあるかは分からないけど、絶対に見たことがあるものをみつけるための検索です」とRitterは語る。

Atlas Recallは、後者を現存するどのサービスよりも上手くこなすために開発されたのだ。このアプリを使えば、ユーザーがコンピューターやモバイル端末上で見る全てのものにインデックスが付けられ、あとで検索できるようになる。ウェブ上にあるもの、Facebook上の情報、Outlookの中身、ローカルファイルなどユーザーが見るもの全てだ。びっくりする前に以下を見てほしい。

  • 検索対象のサービスにアクセスする必要はなく、API連携も不要
  • やりとりされる情報は常に暗号化される
  • ユーザーはアプリが記録する対象を簡単にコントロールできる

さらにAtlas Recallは、検索対象となるアイテムやそのコンテンツだけではなく、関連情報まで記録することができる。いつ・どの順番でそのアイテムを見たか、当時他にどんなウィンドウやアプリを開いていたか、アクセス時ユーザーがどこにいたか、その情報は以前誰とシェアされていたといった情報の他にも、たくさんのメタデータが関連情報には含まれている。

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「シアトル・シーホークス 試合」といった曖昧なワードで検索すると、すぐにさまざまな領域をまたいだ全ての検索結果が、関連度の高いものから表示される。このケースで言えば、メールで受け取ったチケットや友人と立てた試合観戦の計画、Facebookの招待状、以前読んだチームに関する記事、フォットボールのファンタジースポーツチームのページなどが検索結果に含まれるだろう。そしてそのうちどれかをクリックすると、すぐに探している情報のもとへたどり着くことができる。

ほかにも、例えばユーザーが空港で読もうとした記事を保存し忘れた際にも、「LAX(ロサンゼルス国際空港)」と検索すれば、空港にいる間にやったことや見たもの全てが表示される。ファイルがノートパソコン、デスクトップ、Google Docs、Dropbox上に散乱する中、同僚へプレゼン資料や関連情報を送ろうとしたときも、一か所からファイルを検索し、必要なものを選び出すことができる。

コンテンツのタイプや期間のフィルターを使って、検索結果を絞り込むこともできる。さらには、記録してほしくないウェブサイトやアプリも選べるため、確定申告の作業中や秘密のポエムを書いているときなどは、一時的に記録をストップすれば良い。

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一度試してみると、このアプリが今後すぐに欠かせないツールになると感じることができる。私は記憶力が悪い方だが、もしそうでなかったとしても、ひとつのPDFファイルを探し出すために、仕事中に4つのウェブアプリを順番に確認したくはない。どこにそのファイルが”生息”しているかに関わらず、プロジェクト名を入力するだけで、自分と同僚が送受信した全ての関連情報がすぐに表示されるとしたら、どんなに素晴らしいことだろう。

これがコンピューター上でのAtlas Recallのインターフェースの様子で、似たような機能がモバイル版にも採用される予定だ。さらにモバイル版では、GoogleやSpotlightとAtlasを連携させることで、いつも通り検索すれば関連情報が全て表示されるようにも設定できる。

全てのデータはもちろんクラウド上に記録されるため、ここまで詳細なオンライン行動の記録が、誰かのパソコンに保存されることを心配に思う人も中にはいるかもしれない。Ritterも今後ユーザーとAtlas Informaticsの間で、信頼関係を築いていかなければならないと認めている一方で、元セキュリティエンジニアとして、セキュリティ面にも真剣に取り組んでいると彼は話す。

プライバシーについて、GoogleやFacebookはユーザー情報をもとに広告を販売して収益を挙げているものの、Atlas Informaticsではデータの中身が確認されることはない。さらに同社はフリーミアムモデルを採用する予定で、広告掲載は検討されていない。そもそもプライバシーに関する保証なしでは、誰もこのようなサービスを利用しないだろう。そのため、Atlas Infromaticsは誰(ユーザー)がデータを所有して、どのようなデータ(コンテンツではなくメタデータ)に同社がアクセスできて、利用をやめるときには何の痕跡も残らないようにするということを名言している。

Microsoft、Nathan Myhrvold、Aspect Venturesから調達した2070万ドルの資金を使って、Ritterと彼のチームは”私たちのデジタルライフの検索可能な写真記憶”を実現しようとしている。なお、オープンベータにはこちらからサインアップできる。おわかりの通り、バグを減らし、インターフェースを改良するほか、ユーザーが好きな機能や使っていない機能、見もしない機能を発見することなどが、このバージョンの目的だ。アプリは現在macOSとiOS向けに公開されており、Windows 10とAndroid向けも近日中に公開予定だ。

有料版には、グループ間での共有機能や、管理者向けツールなどの追加機能が搭載される予定だが、Atlas Recallの基本機能は無料で提供され続ける。

今後数週間のうちにこのアプリをテストして、機能性やパフォーマンス上の問題、このアプリを気持ち悪く感じるようになるかなどを見ていきたい。読者の皆さんも是非自分で試してみてほしい。Atlas Recallは次の必須デジタルツールになる可能性を秘めている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ゲームのような社員教育プログラムのAxonifyが2700万ドルを調達

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最後に会社のトレーニングを受けた時を思い出してみてほしい。おそらく、そこから何かを学ぼうという気持ちよりも、早く終わってくれとイライラする気持ちの方が強かったのではないだろうか?(それは違うと言う人がいるとすれば、その人の気を疑ってしまう)。

JMI EquityBDC Capitalから2700万ドルを調達したAxonifyは、トレーニング受講者の負担を軽減しながら、それが生む成果を高めようとしている。あなたはどれくらい短いトレーニングを望むだろうか?Axonifyのプログラムは1日あたり3分のトレーニングで、しかもそれはゲームのようになっている。この時点ですでに、オフィスに座って受講する1時間のビデオ・レクチャーよりも魅力的に聞こえるのではないだろうか?しかし、ここまで聞いてまだ納得できないとしても、悪いのはあなたではない。

そもそも、なぜ社員を教育するコンテンツが必要なのだろうか。それを理解するためには何よりもまず、企業の導入例を見てみるのが良いだろう。自動車パーツ販売の全国チェーンであるPep Boysでは、職場での事故が原因で実際に毎年何百万ドルもの費用が発生していた。そのような費用は”OSHA(職業安全衛生法)”関連費用とも呼ばれている。このようなコストが発生するのを避けるのは簡単だ。もし従業員が謙虚にも、床にこぼれた油をそのままにしておいたら?

Pep Boysはまず、700店舗のうち20店舗にだけAxonifyを導入することにした。こうすることで簡単にこのツールの効果を測定できる。そのプログラムが完了したとき、Pep BoysはOSHA関連費用を1500万ドル削減することに成功しており、それどころか、万引きによる被害も2500万ドル減らすことができたのだ。

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Axonifyの興味深い特徴はおそらく、この教育プログラムは現在70代になるマーケッターの夫婦が考え付いたアイデアを元につくられたものだということだろう。OSHAのようなコストを削減するためにとった彼らの手法とは、従業員の心の中にある自意識過剰な部分を改めるというものだった。Axonify CEOのCarol Leamanは、このプロセスは3つのステップに分けられると説明している。

まず第一に、Axonifyのプログラムではコアとなるコンセプトが従業員ごとに最適化された間隔で何度も繰り返される。また、復習用のコンテンツが定期的に配信され、さらなる繰り返し学習で脳への定着を図る。最後に、Axonifyでは受講者からの回答とともに、その答えに対する受講者の自信の度合いも計測している。この背景にあるのは、答えに対する自信度と正解率との相関性を受講者に見せることで、自信過剰がどのような悪影響をもたらすのかということを学ばせるというアイデアだ。

Axonifyのゲームはどのようなデバイスでもプレイすることができ、PCからPOSデバイスまで様々な環境でプレイすることができる。Axonifyは昔ながらのアーケードゲームに似ているが、ゴルフゲームやCandy Crushのようなゲームを選ぶこともできる。

ゲームをプレイしている最中にキリのよいポイントまで到達すると、クイズが出題される。クイズの難易度や内容は従業員ごとにカスタマイズされている。クイズへの回答は強制ではないが、マネージャーはプログラムを管理するダッシュボードにアクセスでき、従業員のパフォーマンスを向上できる方法があれば、それを後から確認することもできる。

「従業員の教育という分野では、費用対効果を測定しにくいという問題がある」とJMI EquityのMatt Emeryは話す。

HRという分野には、問題に対する即効薬になると謳っている無数のサービスが存在していて、企業がそれに飽き飽きするのも無理はない。だが、LeamanとEmeryの両者は、Axonifyは他社の既存サービスに取って代わるものではないと主張している。繰り返しによって知識の定着力を伸ばすというコンセプトを社員教育プログラムに応用したものが、たまたま企業向けの教育プログラム市場には沢山あるというだけだ。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Eメール認証サービスのVailMailがシリーズAで1200万ドルを調達

Turquoise color closed padlock with turquoise color binary code background. Safety concept. Illustration.

DMARCという認証技術とそれに関連するオープンプロトコルを利用したVailMailのサービスを利用することで、Eメール認証のプロセスを簡略化し、企業用メールの受信ボックスをスパムやフィッシングメールから保護することができる。これにより、独自ドメインネームを使ったフィッシングメールによって企業が攻撃されるのを防ぐことができるだけでなく、自社内外のEメールサービスがどのように利用されているかということを監視できるようにもなる。

本日、VailmailはシリーズAで1200万ドルを調達したことを発表した。リード投資家はShasta Venturesで、Flybridge CapitalとBloomberg Betaも本ラウンドに参加している。これにより、同社がこれまでに調達した合計金額は1350万ドルとなる。

このタイミングでの調達に踏み切った理由として(同社にはまだ18か月分の運転資金が残っている)、CEOのAlexander Garcia-Tobarは「私たちのテクノロジー・プラットフォームに新しい機能を追加し、Eメール認証を市場に浸透させる良いタイミングでした。また、創業後まもない企業が次々にEメール認証を導入しており、それにより生まれた大きな需要を取り込むにも良いタイミングだったのです」と話す。その理由を踏まえれば、新しく調達資金はプラットフォームのさらなる開発と、新しく獲得したクライアントへの対応するために使われると同社が話したことには納得がいく。それに加え、Vailmailは独自のエコシステムを構築するために、APIの開発にも着手している。現在、チームの人数は20人以下であるが、今後16ヶ月でその数字を3倍に伸ばす予定だ。

DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting and Conformanceの略)は、Eメール認証の標準的なプロトコルだ。実質ほとんどのEメールサービスがこのプロトコルをサポートしているものの、その導入はまだ比較的難しいとVailMailは話す。同社のサービスを利用すればEメール認証の管理・自動化ができ、シンプルなインターフェイスでサービスの管理やスレッドの監視をすることもできる。

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複雑なスピアフィッシング攻撃による被害が増えつつあるなか(しかも、そのような攻撃には内部ドメインや、信頼性の高いドメインが利用される)、企業をその攻撃から守るというビジネスはVCに魅力的な投資対象として映ったようだ。

2016年に黒字化を達成したと話すVailMailは、UberやYelp、Twillio、Fenwick&Westなどの企業を顧客として獲得した。VailMailは「世界中で27億通も存在するEメールの認証を自動化することが可能だ」という表現を好んで使う。もちろん、これはサービスの規模を実際より大きく見せるための大げさな表現だ。現在、世界中の受信ボックスに入ってくるEメールは1日あたり27億通である。つまり、プレスリリースに使われているこの数字がどれだけ見栄えが良くても、それは単にVailMailが標準的なプロトコルを利用しているということを表しているに過ぎない。私がVailMailに確認したところ、同社のプラットフォームで認証されるEメールの数は一ヶ月あたり15億通で、顧客の数は現在24社だという。同社はこれまでに4000万通のフィッシング・メールからクライアントを守ってきたと話している。

[原文]

(翻訳:木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Postmatesが1億4000万ドルを調達、バリュエーションは6億ドル

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私たちが先月報じたように、オンデマンドの配達アプリを展開するPostmatesが追加の資金調達を完了したことを発表した。リード投資家はFounders Fundで、既存投資家も本ラウンドに参加している。同社は今回のラウンドで1億4000万ドルを調達したことを発表し、資金調達後のバリュエーションは6億ドルとなる。また、同社の取締役会にFounders FundのBrian Singermanが加わることも同時に発表している。

かつてはホットな投資カテゴリーだったオンデマンド分野だが、最近ではその分野に対するVCの視線は冷たくなった。オンデマンド分野のスタートアップの多くが利益をあげることができていないからだ。特にPostmatesに対するVCの態度は非常に厳しいものだった。

しかし今年の初旬ごろ、私たちはPostmatesの売り上げが加速していること、そして彼らのビジネスが十分な粗利益率をもっていることを伝えるプレゼン資料を手に入れた。配達料金以外のマネタイズの方法を見つけたからこそ達成できた数字だ。Postmatesに登録している店舗は追加料金を払うことで、アプリの中のより有利な位置に店舗情報を表示できるだけでなく、25ドル以上の買い物で配達料が無料になるという会員制サービスのPostmates Plus Unlimitedで自分の店舗を特集してもらうことができる。現在約6000の店舗がこの制度を利用しているという。また、AppleやStarbucksなどの企業からはPostmatesのAPIを彼らの注文プラットフォームに統合するための料金を受け取っている。

「私たちのビジネスモデルはとてもユニークなものであり、そのおかげで利益率を犠牲にせずにビジネスを急速に成長させることが可能なのです」とLehmannは私たちに話してくれた。

現在、同アプリは月間で150万件の配達実績をもっており、Postmatesで成長戦略部門のバイスプレジデントを務めるKristin Schaeferによれば、彼らが「望みさえすれば」来年にも黒字化を達成できる見込みだ。しかし、今回調達した資金に関しては、エンジニアの強化や新マーケットへの拡大のために利用する予定だと彼女は話す。Amazon Primeとの競合関係についてSchaeferは、「Unlimitedは私たちがもっとも期待を寄せているプロダクトです」と話し、UnlimitedはAmazon Primeにも負けないサービスだということを強調した。

しかし、競合はAmazonだけではない。今ではDoorDashやGrubHubなど無数の配達アプリが存在するだけでなく、Uber EatsをリリースしたUberも強敵だ。

「マーケットの主導権を握るために、そして、それを守っていくために私たちは今後アグレッシブな戦略をとっていきます」とLehmannは語る。

Postmatesが買収によるエグジットを検討しているという噂もあったが、それに関しては同社はコメントを控えている。

IPOについては、「私たちが検討している選択肢であることは間違いない」とSchaeferは話しながら、それは少なくとも2年後になるのではと示唆していた。

Lehmannは、「IPOは1つのオプションだが、2017年に上場することは考えていない」と話している。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

 

電話カウンセリング「ボイスマルシェ」のバーニャカウダが6000万円を調達、法人向けの福利厚生サービスに軸足

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「いま、割とカウンセリング市場が熱い。注目され始めた感じ」──そう語るのは、女性専用の電話カウンセリングサービス「ボイスマルシェ」を運営するバーニャカウダのCOO 菅野彩子氏だ。同社はSMBCベンチャーキャピタル・みずほキャピタル・三生キャピタルを割当先とする第3者割当増資を実施。調達額は約6000万円で内訳は非公開。調達資金を元手にさらなるサービス拡大を図る。

ボイスマルシェは、女性ユーザー専用の電話カウンセリングサービスだ。ユーザーは、心理カウンセラーやキャリアコンサルタント、コーチなどの専門家による個別カウンセリングをうけることができる。25分で3000円、55分で1万2000円、110分で2万4000円の3プランを用意し、通話料は無料。サービス開始は2012年3月。

相談できる悩みは多岐にわたる

ウェブサイト上で相談したいカウンセラーを選ぶことができる

相談できる内容は、20代の就活から終活まで多岐にわたる。例えば友人との喧嘩・仕事のキャリア形成・婚活・結婚・子供に関する悩みなど。カウンセラーは約500人以上が登録しており、心理カウンセラーやキャリアコンサルタントなど公的・民間の有資格者がほとんどを占めている。バーニャカウダが面談と実技指導を行い、カウンセラーの一定の品質を確保しているという。

また法人向けには「ボイスマルシェforビジネス」も展開している。これは従業員向けの福利厚生サービスで、企業が窓口となって契約し、従業員は1回1時間の電話カウンセリングが受け放題だ。2015年9月より提供を開始し、すでにルミネなどが導入。こちらは女性だけでなく男性の従業員も利用できる。2015年12月から一定規模以上の事業所で従業員のストレスチェックが義務化されるなど、従業員のメンタルヘルスに関心が高まっており、法人向けサービスの企業からの引き合いも増えているという。

イメージしたのは食べログ

バーニャカウダCEOの古川亮氏は、ボイスマルシェについて「イメージしたのは食べログ」と語る。利用者は、ボイスマルシェのWEBページからカウンセラーの評価やレビューをチェックし、気に入れば日時を予約、クレジットカードで決済できる。評価から予約、決済までがウェブサイト上で完結する点が売りで「カウンセラーのプラットフォームでもある」と古川氏は説明する。

左からバーニャカウダ COOの菅野彩子氏、CEOの古川亮氏

左からバーニャカウダ COOの菅野彩子氏、CEOの古川亮氏

競合サービスとしては、エキサイトが運営する”お悩み相談室”などがある。それらと比較した強みについて古川氏は「カウンセラーの数」を挙げる。同様のオンラインカウンセリングサービスでは、カウンセラーは多くても数十人が一般的であるといい、500人以上という在籍数は「日本最大級」と古川氏は胸を張る。カウンセラーが多いために「当日上司に怒られてしんどい時に、10分前に予約してカウンセリングをうけることもできる」と菅野氏は言う。またコンシューマ向けと法人向けの両輪で展開している点も国内では珍しいという。

相談できる相手がいなかった

バーニャカウダは2010年1月に設立。創業メンバーの古川亮CEOと菅野彩子COOはともに前職がリクルートで、2人はリクルート時代の社内研修で知り合った。2人とも起業志向ということで意気投合。当初は「占い」を軸としたサービスを構想していたが、途中で「カウンセリング」に変えた。その理由について菅野氏は次のように語る。

「当時結婚を前提に交際していた人がいたが、転職を機に破談。追い詰められた時に相談できる相手がいなかった。占いだといまいちだが、専門家に相談できるプラットフォームがあればいいなと思った」

女性向けにサービスを絞る理由については、女性管理職の割合を増やすという日本政府の政策的な後押し。そして女性の社会進出が進む中で、「仕事でのキャリア形成」「家庭と仕事の両立」など、親世代が経験しなかった新しい悩みが産まれ、女性の悩みが急速に多様化している点を挙げる。

「予約と購入を抑える」のがリクルート流

前職のリクルートでは、古川氏はSUUMOやHR事業でマッチングサービスを、菅野氏はインターネットマーケティングやウェブメディアの立ち上げや運営に携わった。ボイスマルシェの立ち上げにはその経験も役立ったという。菅野氏は「既存の広告メディアでは勝てないと思った。リクルートでは、ホットペッパーのように広告よりアクション、つまり予約と購入を抑える。ボイスマルシェもこの考えで立ち上げようと思った」とも語る。

創業期には古川氏と菅野氏の自己資金でサービスを運営。2014年9月にSMBCベンチャーキャピタルから第3者割当増資により3000億円を調達した。そして2015年9月に今回の6000万円の調達に至った。資金調達の際には、500人以上のカウンセラーと密接なコミュニティを構築している点、さらに、法人向けサービスのボイスマルシェforビジネスがルミネ内で好評だという点が評価された。

バーニャカウダは今回調達した資金をもとに、サービス拡大に向け人員を拡充。現在は社員3人とパートで運営しているが、これを10名に増員。また直近ではB2CよりもB2B向けサービスに注力する方針で、そのための営業やマーケティングの人材も揃えたいとしている。

オンライン家庭教師サービスのマナボがZ会グループと資本業務提携、2.5億円を調達

manabo

スマホやタブレットを使ったオンライン家庭教師サービス「manabo」を展開するマナボは、11月1日、Z会グループの持株会社である増進会出版社を引受先とする2.5億円の第三者割当増資の実施と、Z会の会員などを対象にmanaboサービスを提供する業務提携契約の締結を発表。また同日、Z会グループの経営管理を担うZEホールディングス取締役の下田勝昭氏、およびBloom & Co.代表の彌野泰弘氏の社外取締役就任も発表した。

manaboはスマホアプリを通じて、生徒が宿題や問題集などの分からない部分を撮影し、チューターにオンデマンドでリアルタイムに質問できるサービス。主に有名大学の学生がチューターとして2000人以上在席しており、得意科目をアプリの音声通話と手書きの画像共有で教える。

今回の資本業務提携により、Z会グループでは2017年4月より、Z会高校受験コース受講の中学3年生の全会員、栄光ゼミナール高等部“ナビオ”の全塾生、および10月26日に発表されたタブレット向けオンライン学習サービス「Z会Asteria(アステリア)」の会員を対象に、manaboのサービス提供を予定している。サービスは、マナボからZ会グループへは有償で提供される。両社は2017年度以降も対象範囲を順次拡大する方針で、サービスの共同開発の可能性について協議を進めていくという。

Z会Asteriaのティーザーサイト。

Z会Asteriaのティーザーサイト。

マナボでは、BtoCの自社サービス提供も行っているが、2015年末からはBtoBtoCの法人向けOEMサービス提供に軸足を置いている。そうした中、Z会グループの栄光ゼミナールとは2回のトライアルを実施。結果が好調であったことから、より深く提携を進めることとなり、今回の資本業務提携に結びついた。ちなみにマナボは、2014年9月にベネッセコーポレーションから資金調達を実施しているが、現在では「リアルタイム家庭教師」の名称で提供していたベネッセへのサービス業務契約は終了している。

マナボ代表取締役社長の三橋克仁氏は「自社サービスも将来的にはもちろん、テコ入れしていくが、BtoCサービスはやはり成長に時間がかかることが経験してみて分かった。今はBtoBtoCにリソースを強めに割いて、体力を付けたい。Z会はもちろん、それ以外の教育系事業会社とも多角的にやっていこうと考えている」と話す。

AI導入など、manabo以外のスタイルのオンライン教育サービス展開の可能性について質問してみると、三橋氏は「今のところはオンライン家庭教師サービスに集中してより深く、よりサービスクオリティが上がる方向でやっていく」と言う。「業界の動向を見ると、EduTechは2013〜2014年にかけて非常に盛り上がったが、その後Tech界隈の注目がFinTechやAI、IoT分野へシフトしていき、今は山を越えて下り坂の状態だと感じる。一方で、教育のリアルな現場のICTは、取り組むべき課題としてようやく浸透してきたところ。進み方は遅いけれども、先端のEduTechとの間にはまだまだギャップがあって、着実に成長している。投資対象としても働く領域としても、おもしろく、チャレンジしがいのある分野だ。我々はリアルな教育現場の中でも比較的意思決定の早い塾や私学などへアプローチして、まずは粛々とBtoBtoCでサービスを広げていくつもりだ」(三橋氏)

また、最近日本でもトレンドになってきているアクティブ・ラーニング(能動的学習)やアダプティブ・ラーニング(適応学習)などの教育手法とmanaboとの関係について、三橋氏はこう語る。「自律学習やアダプティブ・ラーニングの本質とは、“先生が生徒に(一方的に)教える”というのを“生徒が先生に(自発的に)学ぶ”という逆向きのベクトルに変えることで、それは元々manaboがサービスとしてやってきていること。あらためて大局がmanaboの目指す方向に向かっていると感じる」(三橋氏)